JP2004294688A - ポジ型レジスト組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】現像液濃度依存性やサイドローブ光耐性(サイドローブマージン)に優れたポジ型レジスト組成物を提供する。
【解決手段】(A−1)ポリマー骨格の主鎖にフッ素原子を有する樹脂、(A−2)ポリマー骨格の側鎖にフッ素原子を有する特定の構造をもつ繰り返し単位を含む樹脂、及び(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
を含有する化学増幅型レジスト組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】(A−1)ポリマー骨格の主鎖にフッ素原子を有する樹脂、(A−2)ポリマー骨格の側鎖にフッ素原子を有する特定の構造をもつ繰り返し単位を含む樹脂、及び(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
を含有する化学増幅型レジスト組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超LSI、高容量マイクロチップの製造などのマイクロリソグラフィープロセスや、その他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられるポジ型レジスト組成物及びその製造方法に関するものである。更に詳しくは、波長160nm以下の真空紫外光を使用して高精細化したパターンを形成し得る、化学増幅型ポジ型レジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
集積回路はその集積度を益々高めており、超LSIなどの半導体基板の製造においては、クオーターミクロン以下の線幅から成る超微細パターンの加工が必要とされるようになってきた。パターンの微細化を図る手段の一つとして、レジストのパターン形成の際に使用される露光光源の短波長化が知られている。
【0003】
例えば、1Gビット以上の集積度の半導体製造に於いては、近年より短波長の光源であるArFエキシマレーザー光(波長193nm)の使用、更には0.1μm以下のパターンを形成する為にF2エキシマレーザー光(波長157nm)の使用が検討されている。
【0004】
これら光源の短波長化に合わせ、レジスト材料の構成成分及びその化合物構造も大きく変化している。
F2エキシマレーザー光(波長157nm)に対しては、フッ素原子(パーフルオロ構造)を導入した樹脂が波長157nmに十分な透明性を有することが非特許文献1(Proc.SPIE.Vol.3678. 13頁(1999))にて報告され、有効なフッ素樹脂の構造が非特許文献2(Proc. SPIE. Vol.3999. 330頁(2000))、非特許文献3(同357頁(2000))、非特許文献4(同365頁(2000))、特許文献1(国際公開第00/17712号パンフレット)、特許文献2(特開2002−333715号公報)、特許文献3(特開2001−350265号公報)、特許文献4(特開2002−72484号公報)等に提案され、フッ素原子含有樹脂を含有するレシスト組成物の検討がなされてきている。
【0005】
しかしながら、これらのレジストは、現像液濃度依存性やサイドローブ光耐性(サイドローブマージン)において、充分とはいえず、更なる改善が望まれていた。
【0006】
【非特許文献1】
国際光工学会紀要、第3678巻、第13頁、1999年(Proc. SPIE. Vol.3678. 13頁(1999))
【非特許文献2】
国際光工学会紀要、第3999巻、第330頁、2000年(Proc. SPIE. Vol.3999. 330頁(2000))
【非特許文献3】
国際光工学会紀要、第3999巻、第357頁、2000年(Proc. SPIE. Vol.3999. 357頁(2000))
【非特許文献4】
国際光工学会紀要、第3999巻、第365頁、2000年(Proc. SPIE. Vol.3999. 365頁(2000))
【特許文献1】
国際公開第00/17712号パンフレット
【特許文献2】
特開2002−333715号公報
【特許文献3】
特開2001−350265号公報
【特許文献4】
特開2002−72484号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、波長160nm以下、特にF2エキシマレーザー光(波長157nm)の露光光源の使用に好適なポジ型レジスト組成物及びその製造方法を提供することであり、具体的には波長157nmの光源使用時に十分な透過性を示し、且つ、現像液濃度依存性とサイドローブ光耐性(サイドローブマージン)に優れた化学増幅型ポジ型レジスト組成物及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記諸特性に留意し鋭意検討した結果、主鎖にフッ素原子を有する特定の構造をもつ繰り返し単位を有する樹脂と、側鎖にフッ素原子を有する特定の繰り返し単位を有する樹脂とを共に含む化学増幅型レジスト組成物が、現像液濃度依存性とサイドローブ光耐性(サイドローブマージン)に優れた性能を有することを見出し、本願発明に至った。
即ち、本発明は下記の構成をとる。
【0009】
(1)
(A−1)ポリマー骨格の主鎖にフッ素原子を有する樹脂、
(A−2)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する樹脂、及び
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
を含有することを特徴とする、ポジ型レジスト組成物。
【0010】
【化3】
【0011】
式(I)において、
R11及びR12は、それぞれ独立に、メチレン基または酸素原子を表す。
R13は、水素原子または有機基を表す。
Lは、2価の連結基を表す。
Pは、0または1を表す。
【0012】
(2)
(A−1)成分の樹脂が、下記一般式(II)〜(VII)で表される繰り返し単位のうち少なくとも1つ以上を含有する樹脂であることを特徴とする、(1)に記載のポジ型レジスト組成物。
【0013】
【化4】
【0014】
式(II)〜(VII)において、
R1〜R7は、各々独立に、水素原子又はフッ素原子を表す。ただし、R1〜R3のうちの少なくとも1つはフッ素原子を表す。
Rfは、水素原子、ハロゲン原子又はフッ素化アルキル基を表す。
Zは、有機基を表す。
nは、1〜3の整数を表す。
R60〜R65は、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、フッ素原子、アルキル基またはフッ素化アルキル基を表す。
R80及びR81は、各々独立に、炭素原子または酸素原子を表す。
【0015】
以下、更に、本発明の好ましい実施の態様を挙げる。
(3)
更に、フッ素原子及び/またはシリコン系界面活性剤を含有することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載のポジ型レジスト組成物。
(4)
更に、窒素原子を有する塩基性化合物を酸拡散抑制剤として含有することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
(5)
波長157nmのF2レーザー光による照射用であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
[1](A−1)ポリマー骨格の主鎖にフッ素原子を有する樹脂
本発明のポジ型レジスト組成物は、ポリマー骨格の主鎖にフッ素原子を有する樹脂(A−1)(以下、樹脂(A−1)、(A−1)成分と呼ぶ)を含有する。
【0017】
樹脂(A−1)は、ポリマーの主鎖骨格を形成する炭素原子に直接フッ素原子が結合した構造の繰り返し単位を有する。
樹脂(A−1)は、一般式(II)〜(VII)で表される繰り返し単位のうち少なくとも1つ以上を含有することが好ましい。
【0018】
【化5】
【0019】
式(II)〜(VII)において、
R1〜R7は、各々独立に、水素原子又はフッ素原子を表す。ただし、R1〜R3のうちの少なくとも1つはフッ素原子を表す。
Rfは、水素原子、ハロゲン原子又はフッ素化アルキル基を表す。
Zは、有機基を表す。
nは、1〜3の整数を表す。
R60〜R65は、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、フッ素原子、アルキル基またはフッ素化アルキル基を表す。
R80及びR81は、各々独立に、炭素原子または酸素原子を表す。
【0020】
Rfにおけるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子のいずれでもよく、フッ素原子であることが好ましい。
Rfにおけるフッ素化アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。好ましくは、炭素数1〜3のフッ素化アルキル基、例えば、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。
【0021】
Zが表わす有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルメチル基、アルコキシメチル基、1−アルコキシエチル基が好ましい。これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。
【0022】
Zが表わす有機基としてのアルキル基、アルキルカルボニル基に於けるアルキル基は、直鎖状及び分岐状アルキル基を挙げることができ、例えば炭素数1〜8個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基を好ましく挙げることができる。
Zが表わす有機基としてのシクロアルキル基は、単環型でも良く、多環型でも良い。単環型としては炭素数3〜8個のものであって、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基を好ましく挙げることができる。多環型としては炭素数6〜20個のものであって、例えばアダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を好ましく挙げることができる。尚、シクロアルキル基は、環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたものも含むものとする。
Zが表わす有機基としてのアシル基としては、例えば炭素数1〜10個のアシル基であって、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基等を好ましく挙げることができる。
Zが表わす有機基としてのアルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルメチル基、アルコキシメチル基、1−アルコキシエチル基に於けるアルコキシ基は、例えば炭素数1〜8個のアルコキシ基であって、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、アリルオキシ基、オクトキシ基等を好ましく挙げることができる。
【0023】
Zが表わす有機基がさらに有していてもよい置換基としては、アミノ基、アミド基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の活性水素を有するものや、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、チオエーテル基、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、アシロキシ基(アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基)、アリール基(フェニル基)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0024】
nは、1〜3の整数を表す。好ましくは1または2である。
R60〜R65におけるアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。また、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
R60〜R65におけるフッ素化アルキル基としては、前記Rfにおけるものと同様のものが挙げられる。
【0025】
以下に、式(II)〜(VII)で表される基の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
【化9】
【0030】
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】
樹脂(A−1)は、上記のような繰り返し単位以外にも、更に本発明の感光性樹脂の性能を向上させる目的で、他の繰り返し単位を含んでいても良い。
【0033】
使用することができる共重合モノマーとしては、例えば、上記以外のアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類などから選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物が挙げられる。
【0034】
他に含む繰り返し単位として、好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されない。
【0035】
【化12】
【0036】
【化13】
【0037】
【化14】
【0038】
【化15】
【0039】
【化16】
【0040】
【化17】
【0041】
【化18】
【0042】
【化19】
【0043】
【化20】
【0044】
【化21】
【0045】
【化22】
【0046】
【化23】
【0047】
【化24】
【0048】
【化25】
【0049】
【化26】
【0050】
【化27】
【0051】
【化28】
【0052】
【化29】
【0053】
【化30】
【0054】
【化31】
【0055】
【化32】
【0056】
【化33】
【0057】
【化34】
【0058】
【化35】
【0059】
【化36】
【0060】
【化37】
【0061】
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【0066】
【化43】
【0067】
【化44】
【0068】
【化45】
【0069】
他に含む繰り返し単位の中で、特に好ましい例は、(F−55’)、(F−57’)、(F−59’)、(F−61)、(B−19’)、(B−20)、(B−21)、(B−16−2)〜(B−16−5)、(B−22’)、(B−28)、(1−1)〜(1−35)、(IV−2)〜(IV−15)である。
【0070】
樹脂(A−1)は、酸分解性基(酸の作用により分解してアルカリ可溶性となる基)をもっていてもよい。酸分解性基をもつことにより、樹脂は、酸の作用により分解しアルカリ現像液に対する溶解度が増大する。
本発明において、樹脂(A−1)と樹脂(A−2)の少なくとも一方は酸分解性基を含む、酸の作用による分解しアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(酸分解性樹脂)である。
【0071】
酸の作用により分解しアルカリ可溶性となる基としては、例えば−O−C(R18d)(R18e)(R18f)、−O−C(R18d)(R18e)(OR18g)、−O−COO−C(R18d)(R18e)(R18f)、−O−C(R01)(R02)COO−C(R18d)(R18e)(R18f)、−COO−C(R18d)(R18e)(R18f)、−COO−C(R18d)(R18e)(OR18g)等が挙げられる。R18d〜R18gは、置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基もしくはアリール基を表す。R01、R02は、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基もしくはアリール基を表す。R18d〜R18gの内の2つが結合して環を形成してもよい。
R18d〜R18g、R01〜R02のアルキル基として、好ましくは炭素数1〜5個のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等)を挙げることができる。
R18d〜R18g、R01〜R02のシクロアルキル基として、好ましくは炭素数3〜10個のシクロアルキル基(シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基等)を挙げることができる。
R18d〜R18g、R01〜R02のアルケニル基として、好ましくは炭素数2〜4個のアルケニル基(ビニル基、プロペニル基、アリル基等)を挙げることができる。
R18d〜R18g、R01〜R02のアリール基としては、好ましくは炭素数6〜14個のアリール基(フェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)を挙げることができる。
R18d〜R18g、R01〜R02のアラルキル基としては、好ましくは炭素数2〜12個のアラルキル基(ベンジル基、フェネチル基、クミル基等)を挙げることができる。
酸の作用により分解してアルカリ可溶性となる基は、例えば、一般式(II)〜(VI)で表される繰り返し単位に含まれていてもよい。
【0072】
樹脂(A−1)において、式(II)〜(VI)で表される繰り返し単位の含有量は、一般的に1〜80モル%、好ましくは3〜50モル%、更に好ましくは5〜30モル%である。
樹脂(A−1)において、酸分解性基を有する繰り返し単位の含量は、一般的に1〜95モル%、好ましくは10〜90モル%、更に好ましくは20〜80モル%の範囲で使用される。
【0073】
上記具体例で表される繰り返し単位は、各々1種で使用しても良いし、複数を混合して用いても良い。
本発明の樹脂(A−1)の好ましい分子量は、重量平均で1,000〜200,000であり、更に好ましくは3,000〜200,000の範囲で使用される。最も好ましくは3,000より50,000である。分子量分布(分散度、Mw/Mn)は1〜10であり、好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2の範囲のものが使用される。最も好ましくは1〜1.7である。分子量分布の小さいものほど塗布性、感度、コントラストに優れる。本発明においては、分子量が1000以下の樹脂の割合が20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。また、樹脂(A−1)中の残存モノマーの割合は10質量%以下が好ましく、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0074】
本発明の樹脂(A−1)の添加量は組成物の全固形分を基準として、一般的に5〜95質量%、好ましくは10〜90質量%、更に好ましくは20〜80質量%の範囲で使用される。
【0075】
本発明に用いる樹脂(A−1)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種を、一括であるいは反応途中で反応容器に仕込み、これを必要に応じ反応溶媒、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような、各種モノマーを溶解させ得る溶媒に溶解させ均一とした後、窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で必要に応じ加熱、市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。反応温度は10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃である。尚、モノマーによってはアニオン重合を利用した場合により好適に合成できる。重合法については、日本化学会編「実験化学講座28、高分子合成」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座19、高分子化学」(丸善)に記載されている。
なお、重合反応の反応性が低い場合や、モノマーが常温、常圧でガスである場合、反応容器を密閉して加圧条件で行った方がより好適に合成できる場合もある。また、モノマーによってはパラジウム等の遷移金属触媒を用いて重合するとより好適に合成できる場合もある。
【0076】
本発明において、(A−1)成分の樹脂の酸価が0.05×10−3〜6.0×10−3mol/gであることが好ましい。より好ましくは0.1×10−3〜5.0×10−3mol/g、特に好ましくは0.2×10−3〜4.4×10−3mol/gである。ここで、酸価に影響を及ぼす酸基としては、ヒドロキシ基が挙げられる。
【0077】
[2](A−2)ポリマー骨格の側鎖にフッ素原子を有する樹脂
本発明のポジ型レジスト組成物は、ポリマー骨格の側鎖にフッ素原子を有する樹脂(A−2)(以下、樹脂(A−2)、(A−2)成分とも呼ぶ)を含有する。
樹脂(A−2)は、一般式(I)で表される繰り返し単位を有する。
【0078】
【化46】
【0079】
式(I)において、
R11及びR12は、それぞれ独立に、メチレン基または酸素原子を表す。
R13は、水素原子または有機基を表す。
Lは、2価の連結基を表す。
Pは、0または1を表す。
【0080】
式(I)において、R13の有機基は、酸分解性基であっても、非酸分解性基であってもよい。酸分解性基としては、樹脂(A−1)におけるものと同様なものが上げられる。
【0081】
非酸分解性基とは、酸の作用により分解することのない有機基であり、例えば、酸の作用により分解することのない、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミド基、シアノ基等を挙げることができる。アルキル基は、炭素数1〜10個の直鎖状、分岐状、環状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等を挙げることができる。アリール基は、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等を挙げることができる。アラルキル基は、炭素数6〜12個のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等を挙げることができる。アルコキシ基及びアルコキシカルボニル基に於けるアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基等を挙げることができる。
【0082】
Lで表される2価の連結基としては、例えば、2価の連結基としては、例えば、オキシ基、カルボニル基、置換基を有していてもよい、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びこれらを更に結合した2価の連結基を挙げることができる。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等を挙げることができる。シクロアルキレン基としては、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等を挙げることができる。アルケニレン基としては、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等を挙げることができる。アリーレン基としては、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等を挙げることができる。
Lの2価の連結基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、シアノ基等を挙げることができ、フッ素原子が好ましい。
【0083】
以下に一般式(I)で表される繰り返し構造単位の具体例を示すが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0084】
【化47】
【0085】
【化48】
【0086】
【化49】
【0087】
【化50】
【0088】
【化51】
【0089】
【化52】
【0090】
樹脂(A−2)は、上記のような繰り返し単位以外にも、更に本発明の感光性樹脂の性能を向上させる目的で、他の繰り返し単位を含んでいても良い。
【0091】
使用することができる共重合モノマーとしては、例えば、上記以外のアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類などから選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物が挙げられる。
【0092】
他に含む繰り返し単位として、好ましい具体例は、前記樹脂(A−1)における他に含む繰り返し単位の好ましい具体例と同様のものが挙げられる。
【0093】
樹脂(A−2)は、酸分解性基(酸の作用により分解してアルカリ可溶性となる基)をもっていてもよい。酸分解性基をもつことにより、樹脂は、酸の作用により分解しアルカリ現像液に対する溶解度が増大する。
本発明において、樹脂(A−1)と樹脂(A−2)の少なくとも一方は酸分解性基を含む、酸の作用による分解しアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(酸分解性樹脂)である。
【0094】
酸分解性基としては、前記樹脂(A−1)におけるものと同様のものが挙げれられる。
【0095】
樹脂(A−2)において、式(I)で表される繰り返し単位の含有量は、一般的に10〜90モル%、好ましくは20〜80モル%、更に好ましくは30〜70モル%である。
樹脂(A−2)において、酸分解性基を有する繰り返し単位の含量は、一般的に5〜95モル%、好ましくは10〜90モル%、更に好ましくは20〜80モル%の範囲で使用される。
【0096】
上記具体例で表される繰り返し単位は、各々1種で使用しても良いし、複数を混合して用いても良い。
本発明の樹脂(A−2)の好ましい分子量は、重量平均で1,000〜200,000であり、更に好ましくは3,000〜200,000の範囲で使用される。最も好ましくは3,000より50,000である。分子量分布(分散度、Mw/Mn)は1〜10であり、好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2の範囲のものが使用される。最も好ましくは1〜1.7である。分子量分布の小さいものほど塗布性、感度、コントラストに優れる。本発明においては、分子量が1000以下の樹脂の割合が20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。また、樹脂(A−2)中の残存モノマーの割合は10質量%以下が好ましく、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0097】
本発明の樹脂(A−2)の添加量は組成物の全固形分を基準として、一般的に50〜99.5質量%、好ましくは60〜98質量%、更に好ましくは65〜95質量%の範囲で使用される。
【0098】
本発明に用いる樹脂(A−2)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種を、一括であるいは反応途中で反応容器に仕込み、これを必要に応じ反応溶媒、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような、各種モノマーを溶解させ得る溶媒に溶解させ均一とした後、窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で必要に応じ加熱、市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。反応温度は10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃である。尚、モノマーによってはアニオン重合を利用した場合により好適に合成できる。重合法については、日本化学会編「実験化学講座28、高分子合成」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座19、高分子化学」(丸善)に記載されている。
なお、重合反応の反応性が低い場合や、モノマーが常温、常圧でガスである場合、反応容器を密閉して加圧条件で行った方がより好適に合成できる場合もある。また、モノマーによってはパラジウム等の遷移金属触媒を用いて重合するとより好適に合成できる場合もある。
【0099】
本発明において、(A−2)成分の樹脂の酸価が0.05×10−3〜6.0×10−3mol/gであることが好ましい。より好ましくは0.1×10−3〜5.0×10−3mol/g、特に好ましくは0.2×10−3〜4.4×10−3mol/gである。ここで、酸価に影響を及ぼす酸基としては、ヒドロキシ基が挙げられる。
【0100】
本発明における、樹脂(A−1)と樹脂(A−2)の配合量の比率は、通常、質量比で(A−1):(A−2)=5:95〜95:5であり、好ましくは(A−1):(A−2)=10:90〜90:10、更に好ましくは(A−1):(A−2)=20:80〜80:20である。
【0101】
[3](B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明のポジ型レジスト組成物は、活性光線又は放射線、特にF2エキシマレーザー光の照射により、酸を発生する化合物を含有する。
【0102】
活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物は、一般に、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物(光酸発生剤)として使用されているものから選択することができる。
即ち、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、F2エキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームにより酸を発生する化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0103】
このような化合物としては、たとえば S. I. Schlesinger, Photogr. Sci. Eng., 18, 387 (1974)、T. S. Bal et al, Polymer, 21, 423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同 Re 27,992号、特開平3−140140号等に記載のアンモニウム塩、D. C. Necker et al, Macromolecules, 17, 2468(1984)、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、Chem.& Eng. News, Nov. 28, p31(1988)、欧州特許第104,143号、同339,049号、同第410,201号、特開平2−150848号、特開平2−296514号等に記載のヨードニウム塩、J. V. Crivello et al, Polymer J. 17, 73(1985)、J. V. Crivello et al., J. Org. Chem., 43, 3055(1978)、W. R. Watt et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 22, 1789(1984)、J. V. Crivello et al, Polymer Bull., 14, 279(1985)、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 14(5), 1141(1981)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 2877(1979)、欧州特許第370,693号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のスルホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K. Meier et al, J. Rad. Curing, 13(4), 26(1986)、T. P. Gill et al, Inorg. Chem., 19, 3007(1980)、D. Astruc,Acc. Chem. Res., 19(12), 377(1896)、特開平2−161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S. Hayase et al, J. Polymer Sci., 25, 753(1987)、E. Reichmanis et al, J. Pholymer Sci., Polymer Chem. Ed., 23, 1(1985)、Q. Q. Zhuetal, J. Photochem., 36, 85, 39, 317(1987)、B. Amit et al, Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、D. H. R. Barton et al, J. Chem Soc., 3571(1965)、P. M. Collins et al, J. Chem. Soc., Perkin I, 1695(1975)、M. Rudinstein et al, Tetrahedron Lett., (17), 1445(1975)、J. W. Walker et al, J. Am. Chem. Soc., 110, 7170(1988)、S. C. Busman et al, J. Imaging Technol., 11(4), 191(1985)、H. M. Houlihan et al, Macromolecules, 21, 2001(1988)、P. M.Collins et al, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 532(1972)、S. Hayase et al, Macromolecules, 18, 1799(1985)、E. Reichmanis et al, J. Electrochem. Soc., Solid State Sci. Technol., 130(6)、F. M. Houlihan et al, Macromolcules,21,2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号等に記載の0−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、M.TUNOOKA et al, Polymer Preprints Japan, 35(8)、G. Berneret al, J. Rad. Curing, 13(4)、 W. J. Mijs et al, Coating Technol., 55(697),45(1983), Akzo、H. Adachi et al, Polymer Preprints, Japan, 37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同044,115号、同618,564号、同0101,122号、米国特許第4,371,605号、同4,431,774 号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特開平3−140109号等に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号等に記載のジスルホン化合物等を挙げることができる。
【0104】
本発明に於いては、(B)成分として、例えば、次の(B1)〜(B6)の化合物を挙げることができる。
(B1)活性光線又は放射線の照射により少なくとも1つのフッ素原子を有する脂肪族又は芳香族スルホン酸を発生する化合物
(B2)活性光線又は放射線の照射によりフッ素原子をもたない脂肪族又は芳香族スルホン酸を発生する化合物
(B3)活性光線又は放射線の照射により少なくとも1つのフッ素原子を有する脂肪族又は芳香族カルボン酸を発生する化合物
(B4)活性光線又は放射線の照射によりフッ素原子をもたない脂肪族又は芳香族カルボン酸を発生する化合物
(B5)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する、下記一般式(IA)又は(IB)で表される化合物
【0105】
【化53】
【0106】
一般式(IA)、(IB)中、
R1〜R4は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基又はアリール基を表し、R1〜R4のうち少なくとも2つ以上が結合して環構造を形成してもよい。
R6及びR7は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シアノ基又はアリール基を表す。
Y1及びY2は、各々独立に、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ原子を含む芳香族基を表し、Y1とY2とが結合して環を形成してもよい。
Yは、単結合または2価の連結基を表す。
X−は、非求核性アニオンを表す。
尚、R1からR4、R6、R7のいずれか、若しくは、Y1又はY2のいずれかの位置で、連結基を介して結合し、一般式(IA)又は(IB)の構造を2つ以上有していてもよい。
【0107】
(B6)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する、芳香環をもたないスルホニウム塩
【0108】
(B1)成分及び(B2)成分の、脂肪族又は芳香族スルホン酸とは炭素数1〜20が好ましく、より好ましくは2〜16であり、更に好ましくは3〜12である。
【0109】
(B1)活性光線又は放射線の照射により少なくとも1つのフッ素原子を有する脂肪族又は芳香族スルホン酸を発生する化合物
【0110】
活性光線又は放射線の照射により少なくとも1つのフッ素を有する脂肪族又は芳香族スルホン酸を発生する化合物としては、例えば、下記の一般式(PAG3)で表されるヨードニウム塩、または一般式(PAG4)で表されるスルホニウム塩を挙げることができる。
【0111】
【化54】
【0112】
式中、Ar1、Ar2は、各々独立に、置換もしくは未置換のアリール基を示す。R203、R204、R205は、各々独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。
Z−は、少なくとも1つのフッ素原子を有する脂肪族又は芳香族スルホン酸アニオンを示す。
またR203、R204、R205のうちの2つおよびAr1、Ar2はそれぞれの単結合または置換基を介して結合してもよい。
【0113】
Ar1、Ar2、R203、R204、R205としてのアリール基としては、好ましくは、炭素数6〜14のアリール基、アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。
好ましい置換基としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜9のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニルアミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子及びフェニルチオ基であり、アルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数5〜14のアリール基、炭素数6〜15のアリールカルボニル基、カルボキシル基及びハロゲン原子を挙げることができる。
【0114】
Z−の脂肪族又は芳香族スルホン酸アニオンとしては、好ましくは、少なくとも1つのフッ素原子を有する炭素数1〜20の脂肪族スルホン酸アニオン及び炭素数5〜20の芳香族スルホン酸アニオンを挙げることができる。これらは置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、炭素数1〜10のフッ素置換していてもよいアルコキシ基、炭素数2〜11のフッ素置換していてもよいアルコキシカルボニル基、フェニルアミノ基、フェニルカルボニル基、ハロゲン原子、水酸基を挙げることができる。芳香族スルホン酸アニオンに対しては、さらに炭素数1〜15のアルキル基を挙げることができる。
【0115】
以下に具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0116】
【化55】
【0117】
【化56】
【0118】
【化57】
【0119】
【化58】
【0120】
【化59】
【0121】
【化60】
【0122】
【化61】
【0123】
【化62】
【0124】
【化63】
【0125】
【化64】
【0126】
【化65】
【0127】
【化66】
【0128】
【化67】
【0129】
【化68】
【0130】
【化69】
【0131】
【化70】
【0132】
【化71】
【0133】
【化72】
【0134】
(B2)活性光線又は放射線の照射により、フッ素原子をもたない脂肪族又は芳香族スルホン酸を発生する化合物
活性光線又は放射線の照射により、フッ素原子をもたない脂肪族又は芳香族スルホン酸を発生する化合物として、例えば、先の一般式(PAG3)及び(PAG4)において、Z−がフッ素原子をもたない脂肪族又は芳香族スルホン酸アニオンであるヨードニウム塩及びスルホニウム塩を挙げることができる。
【0135】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0136】
【化73】
【0137】
【化74】
【0138】
【化75】
【0139】
【化76】
【0140】
【化77】
【0141】
上記(B1)及び(B2)で説明した化合物は、過ヨウ素酸塩を用いて芳香族化合物を反応させ、得られたヨードニウム塩を対応するスルホン酸に塩交換することにより合成可能である。
また、アリールマグネシウムブロミドなどのアリールグリニャール試薬と置換又は無置換のフェニルスルホキシドを反応させ、得られたトリアリールスルホニウムハライドを対応するスルホン酸と塩交換する方法で合成できる。また、置換又は無置換のフェニルスルホキシドと対応する芳香族化合物をメタンスルホン酸/五酸化二リンあるいは塩化アルミニウムなどの酸触媒を用いて縮合、塩交換する方法、ジアリールヨードニウム塩とジアリールスルフィドを酢酸銅などの触媒を用いて縮合、塩交換する方法などによって合成できる。
塩交換は、いったんハライド塩に導いた後に酸化銀などの銀試薬を用いてスルホン酸塩に変換する方法、あるいはイオン交換樹脂を用いることでも塩交換できる。また、塩交換に用いるスルホン酸あるいはスルホン酸塩は、市販のものを用いるか、あるいは市販のスルホン酸ハライドの加水分解などによって得ることができる。
【0142】
(B3)活性光線又は放射線の照射により、少なくとも1つのフッ素原子を有する脂肪族又は芳香族カルボン酸を発生する化合物
フッ素含有脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、バレリアン酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸等の脂肪族カルボン酸のフッ素置換物が挙げられる。これらは、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい。また、その脂肪族鎖の中に酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボキシル基、スルホニル基などの連結基を含んでいるものが好ましい。
【0143】
好ましいフッ素含有脂肪族カルボン酸として、下記の一般式で表されるものを挙げることができる。
L−(CH2)p(CF2)q(CH2)r−COOH
一般式中、Lは、水素原子又はフッ素原子を表す。p及びrは、各々独立に0〜15の整数、qは1〜15の整数を表す。この一般式におけるアルキル鎖の水素原子又はフッ素原子は、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)、または、水酸基で置換されていてもよい。
上記フッ素含有脂肪族カルボン酸としては、好ましくはその炭素数が2〜20、より好ましくは4〜20である飽和脂肪族カルボン酸のフッ素置換物であることが好ましい。この炭素数を4個以上とすることで、発生するカルボン酸分解性の拡散性が低下し、露光から後加熱までの経時による線幅変化をより抑制できる。なかでも、炭素数4〜18個の直鎖又は分岐飽和脂肪族カルボン酸のフッ素置換物が好ましい。
【0144】
フッ素含有芳香族族カルボン酸としては、炭素数が7〜20、より好ましくは7〜15であり、更に好ましくは7〜11である芳香族カルボン酸のフッ素置換物であることが好ましい。具体的には、安息香酸、置換安息香酸、ナフトエ酸、置換ナフトエ酸、アントラセンカルボン酸、置換アントラセンカルボン酸(ここで、置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アリール基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基が挙げられる)等の芳香族カルボン酸のフッ素置換物が挙げられる。なかでも、安息香酸、置換安息香酸のフッ素置換物が好ましい。
【0145】
これらフッ素原子で置換された脂肪族若しくは芳香族カルボン酸は、カルボキシル基以外の骨格に存在する水素原子の1個以上がフッ素原子で置換されたものであり、特に好ましくはカルボキシル基以外の骨格に存在する水素原子すべてがフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸(パーフルオロ飽和脂肪族カルボン酸あるいはパーフルオロ芳香族カルボン酸)である。これにより、感度が一層優れるようになる。
【0146】
好ましくは、上記のようなフッ素原子で置換された脂肪族若しくは芳香族カルボン酸のアニオンをカウンターアニオンとして有するオニウム塩化合物(スルホニウム塩、ヨードニウム塩等)、カルボン酸エステル基を有するイミドカルボキシレート化合物あるいはニトロベンジルエステル化合物等が挙げられる。
より好ましくは下記一般式(I)〜(III)で表される化合物が挙げられる。これにより、感度、解像力、露光マージンが一層優れるようになる。この化合物に活性光線または放射線を照射することより、下記一般式(I)〜(III)のX−に相当する少なくとも1つのフッ素原子で置換された飽和脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸を発生し、光酸発生剤として機能する。
【0147】
【化78】
【0148】
(上記式中、R1 〜R37は、各々独立に、水素原子、直鎖、分岐あるいは環状アルキル基、直鎖、分岐あるいは環状アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、または−S−R38基を表す。ここでR38は直鎖、分岐、環状アルキル基またはアリール基を表す。X−は、少なくとも1つのフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸のアニオンである。)
X−は、好ましくはパーフルオロ脂肪族カルボン酸あるいはパーフルオロ芳香族カルボン酸のアニオンであり、特に好ましくは炭素数4個以上のフッ素置換アルキルカルボン酸のアニオンである。
【0149】
一般式(I)〜(III)における、R1〜R38の直鎖、分岐アルキル基としては、置換基を有してもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。環状アルキル基としては、置換基を有してもよい、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個のものが挙げられる。
R1〜R37のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。
R1〜R37のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
R38のアリール基としては、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜14個のものが挙げられる。アリール基は置換基を有してもよい。
これらの置換基として好ましくは、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、沃素原子)、炭素数6〜10個のアリール基、炭素数2〜6個のアルケニル基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
【0150】
本発明で使用される一般式(I)〜(III)で表されるヨードニウム化合物あるいはスルホニウム化合物は、その対アニオンX−として、少なくとも1つのフッ素原子で置換された飽和脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸のアニオンを有する。これらのアニオンは、該カルボン酸(−COOH)の水素原子が離脱したアニオン(−COO−)である。
【0151】
以下に、具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(I)で表される光酸発生剤の具体例:
【0152】
【化79】
【0153】
【化80】
【0154】
【化81】
【0155】
【化82】
【0156】
【化83】
【0157】
一般式(II)で表される光酸発生剤の具体例:
【0158】
【化84】
【0159】
【化85】
【0160】
【化86】
【0161】
【化87】
【0162】
【化88】
【0163】
【化89】
【0164】
【化90】
【0165】
【化91】
【0166】
【化92】
【0167】
【化93】
【0168】
【化94】
【0169】
【化95】
【0170】
一般式(III)で表される光酸発生剤の具体例:
【0171】
【化96】
【0172】
【化97】
【0173】
その他の光酸発生剤の具体例:
【0174】
【化98】
【0175】
【化99】
【0176】
上記一般式(I)で表される化合物は、過ヨウ素酸塩を用いて芳香族化合物を反応させ、得られたヨードニウム塩を対応するカルボン酸に塩交換することにより合成可能である。
一般式(II)、一般式(III)で表される化合物は、例えば、アリールマグネシウムブロミドなどのアリールグリニャール試薬と置換又は無置換のフェニルスルホキシドを反応させ、得られたトリアリールスルホニウムハライドを対応するカルボン酸と塩交換する方法で合成できる。また、置換又は無置換のフェニルスルホキシドと対応する芳香族化合物をメタンスルホン酸/五酸化二リンあるいは塩化アルミニウムなどの酸触媒を用いて縮合、塩交換する方法、ジアリールヨードニウム塩とジアリールスルフィドを酢酸銅などの触媒を用いて縮合、塩交換する方法などによって合成できる。
塩交換は、いったんハライド塩に導いた後に酸化銀などの銀試薬を用いてカルボン酸塩に変換する方法、あるいはイオン交換樹脂を用いることでも塩交換できる。また、塩交換に用いるカルボン酸あるいはカルボン酸塩は、市販のものを用いるか、あるいは市販のカルボン酸ハライドの加水分解などによって得ることができる。
【0177】
アニオン部分としてのフッ素置換されたカルボン酸は、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれるものを用いたものも好ましい。これらのフルオロ脂肪族化合物の製造法に関しては、例えば、「フッ素化合物の合成と機能」(監修:石川延男、発行:株式会社シーエムシー、1987)の117〜118ページや、「Chemistry of Organic Fluorine Compounds II」(Monograph 187,Ed by Milos Hudlicky and Attila E.Pavlath,American Chemical Society 1995)の747−752ページに記載されている。テロメリゼーション法とは、沃化物等の連鎖移動常数の大きいアルキルハライドをテローゲンとして、テトラフルオロエチレン等のフッ素含有ビニル化合物のラジカル重合を行い、テロマーを合成する方法である(Scheme−1に例を示した)。テロマー法による合成においては炭素鎖長の異なる複数の化合物の混合物が得られるが、これを混合物のまま使用してもよいし、精製して用いてもよい。
【0178】
(B4)活性光線又は放射線の照射により、フッ素原子をもたない脂肪族又は芳香族カルボン酸を発生する化合物
活性光線又は放射線の照射により、フッ素原子をもたない脂肪族又は芳香族カルボン酸を発生する化合物として、例えば、下記一般式(AI)〜(AIII)で示される化合物を挙げることができる。
【0179】
【化100】
【0180】
上記式において、R301 〜R337は、各々独立に水素原子、直鎖、分岐あるいは環状アルキル基、直鎖、分岐あるいは環状アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、または−S−R0基を表す。R0は直鎖、分岐、環状アルキル基またはアリール基を表す。
X−は、カルボン酸化合物がアニオンになったものを表す。
【0181】
具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0182】
【化101】
【0183】
【化102】
【0184】
【化103】
【0185】
【化104】
【0186】
【化105】
【0187】
【化106】
【0188】
【化107】
【0189】
【化108】
【0190】
【化109】
【0191】
【化110】
【0192】
【化111】
【0193】
【化112】
【0194】
上記光酸発生剤、すなわち一般式(AI)、一般式(AII)、一般式(AIII)で表される化合物は、米国特許第3,734,928号明細書に記載の方法、Macromolecules, vol. 10, 1307(1977), Journal of Organic Chemistry, vol. 55, 4222(1990), J. Radiat. Curing, vol. 5(1), 2(1978) に記載の方法などを用い、更にカウンターアニオンを交換することにより合成できる。一般式(AIV)、一般式(AV)で表される化合物は、N−ヒドロキシイミド化合物とカルボン酸クロリドを塩基性条件で反応させる、あるいはニトロベンジルアルコールとカルボン酸クロリドを塩基性条件下反応させることにより得られる。
【0195】
(B5)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する、前記一般式(IA)又は(IB)で表される化合物
【0196】
一般式(IA)、(IB)中、R1〜R4は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基又はアリール基を表し、R1〜R4のうち少なくとも2つ以上が結合して環構造を形成してもよい。R6及びR7は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シアノ基又はアリール基を表す。Y1及びY2は、各々独立に、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ原子を含む芳香族基を表し、Y1とY2とが結合して環を形成してもよい。Yは、単結合または2価の連結基を表す。X−は、非求核性アニオンを表す。尚、R1からR4、R6、R7のいずれか、若しくは、Y1又はY2のいずれかの位置で、連結基を介して結合し、一般式(IA)又は(IB)の構造を2つ以上有していてもよい。
【0197】
R1〜R4、R6、R7のアルキル基は、置換あるいは無置換のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、無置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
R1〜R4のアルコキシ基及びアルキルオキシカルボニル基におけるアルコキシ基は、置換あるいは無置換のアルコキシ基であり、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基であり、無置換のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
R1〜R4、R6、R7、Y1、Y2のアリール基は、置換あるいは無置換のアリール基であり、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
R1〜R4のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0198】
Y1及びY2のアルキル基は、置換あるいは無置換のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基である。無置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及びシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基等の環状のアルキル基を挙げることができる。
【0199】
Y1及びY2のアラルキル基は、置換あるいは無置換のアラルキル基であり、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、無置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等を挙げることができる。
【0200】
ヘテロ原子を含む芳香族基とは、例えば炭素数6〜14のアリール基等の芳香族基に、ヘテロ原子、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を有する基を表す。
Y1及びY2のヘテロ原子を含む芳香族基としては、置換あるいは無置換のヘテロ原子を含む芳香族基であり、無置換のものとしては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、インドール等の複素環式芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0201】
Y1とY2とは結合して、一般式(IA)中のS+とともに、環を形成してもよい。
この場合、Y1とY2とが結合して形成する基としては、例えば、炭素数4〜10のアルキレン基、好ましくはブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、特に好ましくはブチレン基、ペンチレン基を挙げることができる。
また、Y1とY2と結合して、一般式(IA)中のS+とともに形成した環の中に、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0202】
上記のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アラルキル基の各々は、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)等で置換されていてもよい。更にアリール基、アラルキル基については、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5)で置換されていてもよい。
また、アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子が好ましい。
【0203】
Yの2価の連結基としては、置換していてもよいアルキレン基、アルケニレン基、−O−、−S−、−CO−、−CONR−(Rは、水素、アルキル基、アシル基である。)、及びこれらのうち2つ以上を含んでもよい連結基が好ましい。
一般式(IA)中、Yとしては、アルキレン基、又は酸素原子を含むアルキレン基、硫黄原子をアルキレン基が好ましく、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、−CH2−O−、−CH2−S−が好ましく、最も好ましくはエチレン基、−CH2−O−、−CH2−S−のように6員環を形成する連結基である。6員環を形成することによりカルボニル平面とC−S+シグマ結合がより垂直に近くなり、起動相互作用により光分解効率が向上する。
【0204】
X−の非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン等を挙げることができる。
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これによりレジストの経時安定性が向上する。
スルホン酸アニオンとしては、例えば、アルキルスルホン酸アニオン、アリールスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなどが挙げられる。
カルボン酸アニオンとしては、例えば、アルキルカルボン酸アニオン、アリールカルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなどが挙げられる。
【0205】
アルキルスルホン酸アニオンにおけるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等を挙げることができる。
アリールスルホン酸アニオンにおけるアリール基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0206】
上記アルキルスルホン酸アニオン及びアリールスルホン酸アニオンにおけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0207】
ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、弗素原子、沃素原子等を挙げることができる。
アルキル基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜15のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
アルキルチオ基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜15のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ウンデシルチオ基、ドデシルチオ基、トリデシルチオ基、テトラデシルチオ基、ペンタデシルチオ基、ヘキサデシルチオ基、ヘプタデシルチオ基、オクタデシルチオ基、ノナデシルチオ基、エイコシルチオ基等を挙げることができる。尚、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基は、更にハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換されていてもよい。
【0208】
アルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基としては、アルキルスルホン酸アニオンにおけるアルキル基と同様のものを挙げることができる。
アリールカルボン酸アニオンにおけるアリール基としては、アリールスルホン酸アニオンにおけるアリール基と同様のものを挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
【0209】
上記アルキルカルボン酸アニオン、アリールカルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、アリール基及びアラルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アリールスルホン酸アニオンにおけると同様のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0210】
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐、弗素化硼素、弗素化アンチモン等を挙げることができる。
【0211】
一般式(IA)に示す化合物は、対応するα−ハロ環状ケトンとスルフィド化合物を反応させる方法、或いは対応する環状ケトンをシリルエノールエーテルに変換した後、スルホキシドと反応させることにより得ることができる。一般式(IB)に示す化合物は、アリールアルキルスルフィドにα−又はβ−ハロゲン化ハライドを反応させることにより得ることができる。
【0212】
以下に、上記式(IA)又は(IB)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0213】
【化113】
【0214】
【化114】
【0215】
【化115】
【0216】
【化116】
【0217】
【化117】
【0218】
【化118】
【0219】
【化119】
【0220】
【化120】
【0221】
【化121】
【0222】
(B6)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する、芳香環をもたないスルホニウム塩
【0223】
芳香環を有さないスルホニウム塩としては、例えば、次式(IIB)で表されるスルホニウムをカチオンとする塩を挙げることができる。
【0224】
【化122】
【0225】
式中、R1b〜R3bは、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
R1b〜R3bとしての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
R1b〜R3bは、各々独立に、好ましくはアルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、最も好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
R1b〜R3bとしてのアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10の環状アルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基)を挙げることができる。
R1b〜R3bとしての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
R1b〜R3bとしてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。
R1b〜R3bは、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
R1b〜R3bのうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R1b〜R3bの内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
光反応性の観点から、R1b〜R3bのうちいずれか1つが炭素−炭素2重結合、あるいは炭素−酸素2重結合を有する基が好ましい。
芳香環を有さないスルホニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオンであり、好ましくは1位がフッ素原子によって置換されたアルカンスルホン酸アニオン、電子吸引性基で置換されたベンゼンスルホン酸であり、さらに好ましくは炭素数1〜8のパーフロロアルカンスルホン酸アニオンであり、最も好ましくはパーフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオンである。これら用いることにより酸分解性基の分解速度が向上し、感度が優れ、また発生酸の拡散性が制御され解像力が向上する。
尚、電子吸引性基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、アシル基等を挙げることができる。
一般式(IIB)で表される化合物のR1b〜R3bの少なくともひとつが、一般式(IIB)で表される他の化合物のR1b〜R3bの少なくともひとつと結合する構造をとってもよい。
【0226】
以下に、本発明で使用できる芳香環を有さないスルホニウム塩の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0227】
【化123】
【0228】
【化124】
【0229】
光酸発生剤の含有量は、組成物全固形分に対し、通常1.0質量%以上であり、好ましくは1.5〜12質量%、より好ましくは2〜8質量%の範囲である。
【0230】
[4]溶剤(C成分)
本発明の組成物は、上記各成分を溶解する溶剤に溶かして支持体上に塗布する。ここで使用する溶剤としては、1−メトキシ−2−プロパノールアセテート(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、1−メトキシ−2−プロパノール(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、3−メトキシ−1−ブタノール、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、1−メトキシ−2−プロパノールアセテート、1−メトキシ−2−プロパノールが特に好ましい。これらの溶剤は、単独あるいは混合して使用される。混合して使用する場合、1−メトキシー2−プロパノールアセテートを含むもの、または1−メトキシ−2−プロパノールを含むものが好ましい。
本発明に於いては、少なくとも1つのフッ素原子を有する溶剤を好ましく使用することができる。
本発明に於いて、使用し得る少なくとも1つのフッ素原子を有する溶剤としては、沸点が80〜300℃で、更に酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有するものが好ましく、例えば、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロウンデカン−1,2−ジオール、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロノナン−1,2−ジオール、1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノナノール等のフッ素原子を有するアルコール類、2−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2、3−ジフルオロアニソール、2、4−ジフルオロアニソール、2、5−ジフルオロアニソール等のフッ素原子を有するエーテル類、トリフルオロ酢酸ブチル、3−トリフルオロメトキシプロピオン酸メチル、2,2,2−トリフルオロエチルブチレート、エチルヘプタフルオロブチルアセテート、エチル−2−メチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチル−4,4,4−トリフルオロブチレート、イソプロピル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、パーフルオロ(2,5−ジメチル−3,6−ジオキサンアニオニック)酸メチルエステル、パーフルオロ−2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカン酸メチルエステル、エチルペンタフルオロベンゾエート、メチルパーフルオロデナノエート等のフッ素原子を有するエステル類、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルトリフルオロメチルアセテート等のフッ素原子を有するエーテル・エステル類、トリフルオロアセトアミド、2,4−ジフルオロトルエン、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−4,6−オクタジオン、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロ−2,4−ヘキサンジオン、2H−パーフルオロ−5,8,11,14−テトラメチル−3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタデカン、パーフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン)などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
全溶剤中、フッ素原子を有する溶剤の割合は、5質量%以上、特に10質量%以上とすることが好ましい。
組成物中の固形分濃度は、5〜15質量%とすることが好ましく、7〜13質量%とすることがより好ましい。
【0231】
[5](D)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤
本発明のポジ型レジスト組成物は、更に、(D)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物が上記(D)界面活性剤を含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
これらの(D)界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同 5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0232】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0233】
(D)界面活性剤の使用量は、ポジ型レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0234】
[6]酸拡散抑制剤(E)
本発明のポジ型レジス組成物には、活性光線又は放射線の照射後、加熱処理までの経時による性能変動(パターンのT−top形状形成、感度変動、パターン線幅変動等)や塗布後の経時による性能変動、更には活性光線又は放射線の照射後、加熱処理時の酸の過剰な拡散(解像度の劣化)を防止する目的で、酸拡散抑制剤を添加することが好ましい。酸拡散抑制剤としては、有機塩基性化合物であり、例えば塩基性窒素を含有する有機塩基化合物であり、共役酸のpKa値で4以上の化合物が好ましく使用される。
具体的には下記式(A)〜(E)の構造を挙げることができる。
【0235】
【化125】
【0236】
ここで、R250 、R251 及びR252 は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアミノアルキル基、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。
R253 、R254 、R255 及びR256 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜6個のアルキル基を表す。
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
【0237】
好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダゾール、イミダゾール、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0238】
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、
【0239】
3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
【0240】
酸発生剤と有機塩基性化合物の組成物中の使用割合は、(酸発生剤)/(有機塩基性化合物)(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。該モル比が2.5未満では低感度となり、解像力が低下する場合があり、また、300を越えると露光後加熱処理までの経時でレジストパターンの太りが大きくなり、解像力も低下する場合がある。(酸発生剤)/(有機塩基性化合物)(モル比)は、好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
【0241】
[7]非ポリマー型溶解抑止剤(X)
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに非ポリマー型溶解抑止剤を含有することが好ましい。ここで、非ポリマー型溶解抑止剤とは、3000以下の分子量を有する化合物に少なくとも2つ以上の酸分解性基が存在し、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する化合物のことである。特に、母核中にフッ素原子が置換しているのが透明性の観点から好ましい。
添加量は、組成物中のポリマーに対して3〜50質量%が好ましく、より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは7〜30質量%である。(X)成分を添加することにより感度、コンラストがさらに向上する。
【0242】
以下に、(X)成分の具体例を以下に示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
【0243】
【化126】
【0244】
[8]両性イオン化合物(Y)
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに両性イオン化合物を含有することが好ましい。ここで、両性イオン化合物とは1分子中にカチオン部とアニオン部を同時に含む化合物を示す。具体的にはアラニン、フェニルアラニン、アスパラギン、グリシン、バリンなどのアミノ酸の両性イオンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
添加量は、光酸発生剤に対して3〜70モル%が好ましく、より好ましくは5〜50モル%、さらに好ましくは7〜40モル%である。(Y)成分を添加することにより感度、コントラストがさらに向上する。
【0245】
本発明のポジ型レジスト組成物は、レジスト組成物中に含まれる金属不純物の含有量が100ppb以下である。レジスト組成物中に含まれる金属不純物としては、Na、K、Ca、Fe、Mg、Mn、Pd、Ni、Zn、Pt、Ag、Cu等が挙げられる。
レジスト組成物中に含まれる金属不純物の含有量を100ppb以下とする方法としては、例えば、フッ素原子含有樹脂を溶剤に溶解させて溶液とし、イオン交換フィルターにより濾過する方法を挙げることができる。
依って、本発明のポジ型レジスト組成物の製造方法として、例えば、フッ素原子含有樹脂を含む溶液をイオン交換フィルターにより濾過する工程、次いで溶液に光酸発生剤及び必要に応じて有機塩基性化合物、界面活性剤等を加えて混合液を調製する工程、次いで混合液を不溶コロイド除去フィルターにより濾過する工程を含むポジ型レジスト組成物の製造方法を挙げることができる。
【0246】
F2エキシマレーザー用レジストに用いられるフッ素含有樹脂は、フッ素含有モノマーの合成過程及びフッ素含有樹脂の重合過程に於いて金属触媒を使用するケースが多いこと、また、一般式(Z)で表される基が金属塩を作り易いことから、金属不純物の含有量が増加し易い。
レジスト中の金属不純物の含有量が多い場合、パーティクル数が増加し易くなるのは、経時変化に伴い、金属不純物を核として樹脂が溶剤中で凝集するためである、と推定される。また、樹脂の凝集は、レジスト組成物を構成する成分の実質的な変化をもたらし、感度変動の一因になる、と推定される。
有機高分子一般の金属不純物の低減法としては、分液洗浄、酸性イオン交換樹脂又はキレート樹脂での処理等が知られているが、酸を用いた処理をする場合、酸分解性化合物を含有するレジスト組成物に於いては、金属不純物を効率的に処理するとともに処理中での安定性を保持することが困難である。
【0247】
本発明に於いて使用し得るイオン交換フィルターとしては、イオン交換基がポリエチレン製多孔膜若しくはポリプロピレン製多孔膜に固定された陽イオン交換型フィルターが好ましく、例えば、イオンクリーン(日本ポール社製)、イオンクリーンAQ(日本ポール社製)等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
イオン交換フィルターによる濾過速度は、500〜10000cc/min/m2とすることが好ましい。
【0248】
本発明に於いて使用し得る不溶コロイド除去フィルターとしては、合成樹脂製フィルターが好ましく、例えば、マイクロリス・オプチマイザーDEV−16/40(マイクロリス社製ポリエチレンフィルター)、マイクロガードミニケム(マイクロリス社製ポリエチレンフィルター)、エンフロン(日本ポール社製ポリテトラフルオロエチレンフィルター)、ウルチポアN66(日本ポール社製ナイロン66フィルター)、ゼータプラス(キュノ社製セルローズフィルター)、エレクトロポアII(キュノ社製ナイロン66フィルター)等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、光酸発生剤等のイオン性化合物を添加した後に濾過工程を行う場合には、不溶コロイド除去フィルターは、イオン交換能をもたないものであることが好ましい。
【0249】
イオン交換型フィルター及び不溶コロイド除去フィルターの孔径は、いずれも0.01〜0.5μmとすることが好ましく、0.01〜0.1μmとすることがより好ましい。
【0250】
精密集積回路素子の製造などにおいてレジスト膜上へのパターン形成工程は、基板(例:シリコン/二酸化シリコン皮覆、ガラス基板、ITO基板等の透明基板等)上に、本発明のポジ型レジスト組成物を塗布し、次に活性光線又は放射線描画装置を用いて照射を行い、加熱、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを形成することができる。
【0251】
本発明のポジ型レジスト組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
これらのアルカリ現像液の中で好ましくは第四アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、コリンである。
アルカリ現像液中のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜15質量%、更に好ましくは0.5〜10質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10〜15、好ましくは10.5〜14.5、更に好ましくは11〜14である。
【0252】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
【0253】
<合成例>
樹脂(A−1)の合成
モノマー(1−1)35.04g(0.1mol)、テトラヒドロフラン20g、重合開始剤V−65(和光純薬工業製)2.48g(0.01mol)をオートクレーブに添加し、系中を窒素置換した後、密閉した。この反応器をドライアイスで冷却しながら、テトラフルオロエチレン(繰り返し単位F−1に相当するモノマー)を反応系中に導入し加圧した。その後、60℃に昇温し、12時間反応させた。反応器を室温まで放冷し、粘度の高いポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をメタノール中に滴下して粉体を取り出し、減圧下で乾燥して樹脂(A−1)を19.73g得た。得られた粉体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分子量は8300、分散度は1.62であった。また、1H−NMRおよび13C−NMR解析による繰り返し単位(1−1)/(F−1)の組成比は56/44であった。
加えるモノマーを変更する以外は同様の方法で、樹脂(A−2)〜(A−6)を得た。
【0254】
樹脂(B−1)の合成
(VI−15)モノマー32.8g(約0.1mol)と(F−19)モノマー30.4g(0.1mol)テトラヒドロフラン70gに溶解し、反応系中を窒素置換した後、重合開始剤AlBNを0.99g(0.006mol)を添加し、反応系中に窒素を流しながら65℃で8時間加熱した。その後室温まで冷却し、反応溶液をヘキサン1.5L中に滴下した。濾過により粉体を取り出して100℃で減圧乾燥し、29.45gの粉体を得た(収率52%)。得られた粉体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分子量は8700、分散度は1.43であった。また、13C−NMR解析によるモノマーの組成比は(VI−15)/(F−19)=31/69であった。
加えるモノマーを変更する以外は同様の方法で、樹脂(B−2)〜(B−5)を得た。
下記表1に、樹脂(A−1)の具体例である樹脂例(A−1)〜(A−6)、樹脂(A−2)の具体例である樹脂例(B−1)〜(B−6)について、繰り返し単位、組成比、重量平均分子量、分散度(Mw/Mn)を示す。
【0255】
【表1】
【0256】
実施例1〜6及び比較例1〜2
<ポジ型レジスト組成物の調製>
下記表2に示すように、樹脂を溶剤に溶解させ、比較例1〜2を除いてイオン交換フィルター(日本ポール社製イオンクリーン、孔径0.1μm)により濾過し、光酸発生剤、有機塩基性化合物、界面活性剤を加え、ポリテトラフルオロエチレンフィルター(日本ポール社製エンフロン、孔径0.1μm)で濾過し、固形分濃度8質量%とした実施例1〜6及び比較例1〜2のポジ型レジスト液を調製した。
【0257】
【表2】
【0258】
表2中の各略号を示す。尚、樹脂欄の括弧内は樹脂の比率(質量比)を示す。
〔酸発生剤〕
P−1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート(VII−4)
P−2:トリフェニルスルホニウムアセテート(II−5)
P−3:フェナシルスルホニウム誘導体(IA−1)
〔塩基性化合物〕
D−1:1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン
D−2:2,4,5−トリフェニルイミダゾール
D−3:ジシクロヘキシルメチルアミン
D−4:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
【0259】
〔界面活性剤〕
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素及びシリコン系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)(シリコン系)
【0260】
〔溶剤〕
S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
S3:シクロヘキサノン
S4:乳酸エチル
S5:γブチロラクトン
【0261】
<性能評価>
上記のように調製したポジ型フォトレジスト液をスピンコータを利用して反射防止膜(DUV42−6 BrewerScience. Inc. 製)を塗布したシリコンウエハー上に均一に塗布し、120℃60秒間加熱乾燥を行い、膜厚0.1μmのポジ型フォトレジスト膜を形成した。このレジスト膜に対し、KrFエキシマレーザーステッパー(NA=0.63)を用いラインアンドスペース用マスク(線幅180nm、ライン/スペース=1/1)を使用してパターン露光し、露光後すぐに130℃90秒間ホットプレート上で加熱した。更に2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃にて30秒間現像し、30秒間純粋にてリンスした後、乾燥した。このようにして得られたシリコンウエハー上のパターンを下記の方法でレジスト性能を評価した。
【0262】
〔現像液濃度依存性〕
各ポジ型レジスト組成物を、スピンコーターにより、反射防止膜(BrewerScience社製ARC−25)を800Åの膜厚で製膜したシリコンウエハー上に塗布し、120Cで90秒間ホットプレート上で加熱乾燥して、膜厚0.2μmのレジスト膜を得た。
得られたレジスト膜に対し、157nmのレーザー照射装置VUVES−4500(リソテックジャパン製)を用い、1mJ/cm2〜100mJ/cm2の範囲の露光量を照射した。露光後、110C90秒間、ホットプレートで加熱し、0.262NのTMAH水溶液で現像処理を行なった。
このようにして得られたシリコンウエハーのレジストパターンをSEMで観察し、大パターンにおけるレジスト膜の膜厚が0Aとなるような抜け露光量(E1)を求めた。
次に、現像液の濃度を0.20Nとした時の抜け露光量(E2)を求めた。
現像液濃度依存性を現像液濃度に対する感度の変動と定義し、下記の式により算出した。
現像液温度依存性(%)=(E2−E1)/E1×100
評価結果を下記表4に示す。
【0263】
〔サイドローブ光耐性〕
反射防止膜(BrewerScience社製ARC−25)をスピンコーターを使用してシリコンウエハー上に800Åに均一に塗布し、190℃で240秒間加熱乾燥を行った後、その上に各ポジ型レジスト組成物をスピンコーターにより厚さ3000Åに塗布し、真空吸着式ホットプレートにより120℃で60秒間加熱乾燥した。次に、0.25μmコンタクトホールパターン(Hole Duty比=1:3)のハーフトーンマスク(透過率80%)を介して、Canon社製KrFエキシマステッパー(FPA−3000EX5:NA0.60)を用い画像形成を行い、130℃で90秒間加熱した後、0.262規定のTMAH水溶液でパドル現像後、純水で30秒間水洗し、スピン乾燥により画像を得た。この際、0.25μmの直径を有するコンタクトホール(マスク)が0.20μmに再現する露光量をEoptとし、更にサイドローブ光がレジスト基板上に転写される最低露光量をElimitと定義し、それらのElimit/Eoptをサイドローブ光耐性の指標とした。この際、比較例1の値を1と規格化し、それとの相対評価により他のサイドローブ光耐性を示した。この値は、大きいほどサイドローブ光耐性が優れていることを示す。
評価結果を下記表3に示す。
【0264】
【表3】
【0265】
表3より、本発明のポジ型レジスト組成物は、現像液濃度依存性やサイドローブ光耐性(サイドローブマージン)に優れていることが明らかである。
【0266】
【発明の効果】
本発明により、現像液濃度依存性やサイドローブ光耐性(サイドローブマージン)に優れたポジ型レジスト組成物及びその製造方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、超LSI、高容量マイクロチップの製造などのマイクロリソグラフィープロセスや、その他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられるポジ型レジスト組成物及びその製造方法に関するものである。更に詳しくは、波長160nm以下の真空紫外光を使用して高精細化したパターンを形成し得る、化学増幅型ポジ型レジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
集積回路はその集積度を益々高めており、超LSIなどの半導体基板の製造においては、クオーターミクロン以下の線幅から成る超微細パターンの加工が必要とされるようになってきた。パターンの微細化を図る手段の一つとして、レジストのパターン形成の際に使用される露光光源の短波長化が知られている。
【0003】
例えば、1Gビット以上の集積度の半導体製造に於いては、近年より短波長の光源であるArFエキシマレーザー光(波長193nm)の使用、更には0.1μm以下のパターンを形成する為にF2エキシマレーザー光(波長157nm)の使用が検討されている。
【0004】
これら光源の短波長化に合わせ、レジスト材料の構成成分及びその化合物構造も大きく変化している。
F2エキシマレーザー光(波長157nm)に対しては、フッ素原子(パーフルオロ構造)を導入した樹脂が波長157nmに十分な透明性を有することが非特許文献1(Proc.SPIE.Vol.3678. 13頁(1999))にて報告され、有効なフッ素樹脂の構造が非特許文献2(Proc. SPIE. Vol.3999. 330頁(2000))、非特許文献3(同357頁(2000))、非特許文献4(同365頁(2000))、特許文献1(国際公開第00/17712号パンフレット)、特許文献2(特開2002−333715号公報)、特許文献3(特開2001−350265号公報)、特許文献4(特開2002−72484号公報)等に提案され、フッ素原子含有樹脂を含有するレシスト組成物の検討がなされてきている。
【0005】
しかしながら、これらのレジストは、現像液濃度依存性やサイドローブ光耐性(サイドローブマージン)において、充分とはいえず、更なる改善が望まれていた。
【0006】
【非特許文献1】
国際光工学会紀要、第3678巻、第13頁、1999年(Proc. SPIE. Vol.3678. 13頁(1999))
【非特許文献2】
国際光工学会紀要、第3999巻、第330頁、2000年(Proc. SPIE. Vol.3999. 330頁(2000))
【非特許文献3】
国際光工学会紀要、第3999巻、第357頁、2000年(Proc. SPIE. Vol.3999. 357頁(2000))
【非特許文献4】
国際光工学会紀要、第3999巻、第365頁、2000年(Proc. SPIE. Vol.3999. 365頁(2000))
【特許文献1】
国際公開第00/17712号パンフレット
【特許文献2】
特開2002−333715号公報
【特許文献3】
特開2001−350265号公報
【特許文献4】
特開2002−72484号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、波長160nm以下、特にF2エキシマレーザー光(波長157nm)の露光光源の使用に好適なポジ型レジスト組成物及びその製造方法を提供することであり、具体的には波長157nmの光源使用時に十分な透過性を示し、且つ、現像液濃度依存性とサイドローブ光耐性(サイドローブマージン)に優れた化学増幅型ポジ型レジスト組成物及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記諸特性に留意し鋭意検討した結果、主鎖にフッ素原子を有する特定の構造をもつ繰り返し単位を有する樹脂と、側鎖にフッ素原子を有する特定の繰り返し単位を有する樹脂とを共に含む化学増幅型レジスト組成物が、現像液濃度依存性とサイドローブ光耐性(サイドローブマージン)に優れた性能を有することを見出し、本願発明に至った。
即ち、本発明は下記の構成をとる。
【0009】
(1)
(A−1)ポリマー骨格の主鎖にフッ素原子を有する樹脂、
(A−2)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する樹脂、及び
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
を含有することを特徴とする、ポジ型レジスト組成物。
【0010】
【化3】
【0011】
式(I)において、
R11及びR12は、それぞれ独立に、メチレン基または酸素原子を表す。
R13は、水素原子または有機基を表す。
Lは、2価の連結基を表す。
Pは、0または1を表す。
【0012】
(2)
(A−1)成分の樹脂が、下記一般式(II)〜(VII)で表される繰り返し単位のうち少なくとも1つ以上を含有する樹脂であることを特徴とする、(1)に記載のポジ型レジスト組成物。
【0013】
【化4】
【0014】
式(II)〜(VII)において、
R1〜R7は、各々独立に、水素原子又はフッ素原子を表す。ただし、R1〜R3のうちの少なくとも1つはフッ素原子を表す。
Rfは、水素原子、ハロゲン原子又はフッ素化アルキル基を表す。
Zは、有機基を表す。
nは、1〜3の整数を表す。
R60〜R65は、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、フッ素原子、アルキル基またはフッ素化アルキル基を表す。
R80及びR81は、各々独立に、炭素原子または酸素原子を表す。
【0015】
以下、更に、本発明の好ましい実施の態様を挙げる。
(3)
更に、フッ素原子及び/またはシリコン系界面活性剤を含有することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載のポジ型レジスト組成物。
(4)
更に、窒素原子を有する塩基性化合物を酸拡散抑制剤として含有することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
(5)
波長157nmのF2レーザー光による照射用であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
[1](A−1)ポリマー骨格の主鎖にフッ素原子を有する樹脂
本発明のポジ型レジスト組成物は、ポリマー骨格の主鎖にフッ素原子を有する樹脂(A−1)(以下、樹脂(A−1)、(A−1)成分と呼ぶ)を含有する。
【0017】
樹脂(A−1)は、ポリマーの主鎖骨格を形成する炭素原子に直接フッ素原子が結合した構造の繰り返し単位を有する。
樹脂(A−1)は、一般式(II)〜(VII)で表される繰り返し単位のうち少なくとも1つ以上を含有することが好ましい。
【0018】
【化5】
【0019】
式(II)〜(VII)において、
R1〜R7は、各々独立に、水素原子又はフッ素原子を表す。ただし、R1〜R3のうちの少なくとも1つはフッ素原子を表す。
Rfは、水素原子、ハロゲン原子又はフッ素化アルキル基を表す。
Zは、有機基を表す。
nは、1〜3の整数を表す。
R60〜R65は、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、フッ素原子、アルキル基またはフッ素化アルキル基を表す。
R80及びR81は、各々独立に、炭素原子または酸素原子を表す。
【0020】
Rfにおけるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子のいずれでもよく、フッ素原子であることが好ましい。
Rfにおけるフッ素化アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。好ましくは、炭素数1〜3のフッ素化アルキル基、例えば、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。
【0021】
Zが表わす有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルメチル基、アルコキシメチル基、1−アルコキシエチル基が好ましい。これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。
【0022】
Zが表わす有機基としてのアルキル基、アルキルカルボニル基に於けるアルキル基は、直鎖状及び分岐状アルキル基を挙げることができ、例えば炭素数1〜8個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基を好ましく挙げることができる。
Zが表わす有機基としてのシクロアルキル基は、単環型でも良く、多環型でも良い。単環型としては炭素数3〜8個のものであって、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基を好ましく挙げることができる。多環型としては炭素数6〜20個のものであって、例えばアダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を好ましく挙げることができる。尚、シクロアルキル基は、環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたものも含むものとする。
Zが表わす有機基としてのアシル基としては、例えば炭素数1〜10個のアシル基であって、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基等を好ましく挙げることができる。
Zが表わす有機基としてのアルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルメチル基、アルコキシメチル基、1−アルコキシエチル基に於けるアルコキシ基は、例えば炭素数1〜8個のアルコキシ基であって、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、アリルオキシ基、オクトキシ基等を好ましく挙げることができる。
【0023】
Zが表わす有機基がさらに有していてもよい置換基としては、アミノ基、アミド基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の活性水素を有するものや、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、チオエーテル基、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、アシロキシ基(アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基)、アリール基(フェニル基)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0024】
nは、1〜3の整数を表す。好ましくは1または2である。
R60〜R65におけるアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。また、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
R60〜R65におけるフッ素化アルキル基としては、前記Rfにおけるものと同様のものが挙げられる。
【0025】
以下に、式(II)〜(VII)で表される基の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
【化9】
【0030】
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】
樹脂(A−1)は、上記のような繰り返し単位以外にも、更に本発明の感光性樹脂の性能を向上させる目的で、他の繰り返し単位を含んでいても良い。
【0033】
使用することができる共重合モノマーとしては、例えば、上記以外のアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類などから選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物が挙げられる。
【0034】
他に含む繰り返し単位として、好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されない。
【0035】
【化12】
【0036】
【化13】
【0037】
【化14】
【0038】
【化15】
【0039】
【化16】
【0040】
【化17】
【0041】
【化18】
【0042】
【化19】
【0043】
【化20】
【0044】
【化21】
【0045】
【化22】
【0046】
【化23】
【0047】
【化24】
【0048】
【化25】
【0049】
【化26】
【0050】
【化27】
【0051】
【化28】
【0052】
【化29】
【0053】
【化30】
【0054】
【化31】
【0055】
【化32】
【0056】
【化33】
【0057】
【化34】
【0058】
【化35】
【0059】
【化36】
【0060】
【化37】
【0061】
【化38】
【0062】
【化39】
【0063】
【化40】
【0064】
【化41】
【0065】
【化42】
【0066】
【化43】
【0067】
【化44】
【0068】
【化45】
【0069】
他に含む繰り返し単位の中で、特に好ましい例は、(F−55’)、(F−57’)、(F−59’)、(F−61)、(B−19’)、(B−20)、(B−21)、(B−16−2)〜(B−16−5)、(B−22’)、(B−28)、(1−1)〜(1−35)、(IV−2)〜(IV−15)である。
【0070】
樹脂(A−1)は、酸分解性基(酸の作用により分解してアルカリ可溶性となる基)をもっていてもよい。酸分解性基をもつことにより、樹脂は、酸の作用により分解しアルカリ現像液に対する溶解度が増大する。
本発明において、樹脂(A−1)と樹脂(A−2)の少なくとも一方は酸分解性基を含む、酸の作用による分解しアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(酸分解性樹脂)である。
【0071】
酸の作用により分解しアルカリ可溶性となる基としては、例えば−O−C(R18d)(R18e)(R18f)、−O−C(R18d)(R18e)(OR18g)、−O−COO−C(R18d)(R18e)(R18f)、−O−C(R01)(R02)COO−C(R18d)(R18e)(R18f)、−COO−C(R18d)(R18e)(R18f)、−COO−C(R18d)(R18e)(OR18g)等が挙げられる。R18d〜R18gは、置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基もしくはアリール基を表す。R01、R02は、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基もしくはアリール基を表す。R18d〜R18gの内の2つが結合して環を形成してもよい。
R18d〜R18g、R01〜R02のアルキル基として、好ましくは炭素数1〜5個のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等)を挙げることができる。
R18d〜R18g、R01〜R02のシクロアルキル基として、好ましくは炭素数3〜10個のシクロアルキル基(シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基等)を挙げることができる。
R18d〜R18g、R01〜R02のアルケニル基として、好ましくは炭素数2〜4個のアルケニル基(ビニル基、プロペニル基、アリル基等)を挙げることができる。
R18d〜R18g、R01〜R02のアリール基としては、好ましくは炭素数6〜14個のアリール基(フェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)を挙げることができる。
R18d〜R18g、R01〜R02のアラルキル基としては、好ましくは炭素数2〜12個のアラルキル基(ベンジル基、フェネチル基、クミル基等)を挙げることができる。
酸の作用により分解してアルカリ可溶性となる基は、例えば、一般式(II)〜(VI)で表される繰り返し単位に含まれていてもよい。
【0072】
樹脂(A−1)において、式(II)〜(VI)で表される繰り返し単位の含有量は、一般的に1〜80モル%、好ましくは3〜50モル%、更に好ましくは5〜30モル%である。
樹脂(A−1)において、酸分解性基を有する繰り返し単位の含量は、一般的に1〜95モル%、好ましくは10〜90モル%、更に好ましくは20〜80モル%の範囲で使用される。
【0073】
上記具体例で表される繰り返し単位は、各々1種で使用しても良いし、複数を混合して用いても良い。
本発明の樹脂(A−1)の好ましい分子量は、重量平均で1,000〜200,000であり、更に好ましくは3,000〜200,000の範囲で使用される。最も好ましくは3,000より50,000である。分子量分布(分散度、Mw/Mn)は1〜10であり、好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2の範囲のものが使用される。最も好ましくは1〜1.7である。分子量分布の小さいものほど塗布性、感度、コントラストに優れる。本発明においては、分子量が1000以下の樹脂の割合が20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。また、樹脂(A−1)中の残存モノマーの割合は10質量%以下が好ましく、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0074】
本発明の樹脂(A−1)の添加量は組成物の全固形分を基準として、一般的に5〜95質量%、好ましくは10〜90質量%、更に好ましくは20〜80質量%の範囲で使用される。
【0075】
本発明に用いる樹脂(A−1)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種を、一括であるいは反応途中で反応容器に仕込み、これを必要に応じ反応溶媒、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような、各種モノマーを溶解させ得る溶媒に溶解させ均一とした後、窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で必要に応じ加熱、市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。反応温度は10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃である。尚、モノマーによってはアニオン重合を利用した場合により好適に合成できる。重合法については、日本化学会編「実験化学講座28、高分子合成」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座19、高分子化学」(丸善)に記載されている。
なお、重合反応の反応性が低い場合や、モノマーが常温、常圧でガスである場合、反応容器を密閉して加圧条件で行った方がより好適に合成できる場合もある。また、モノマーによってはパラジウム等の遷移金属触媒を用いて重合するとより好適に合成できる場合もある。
【0076】
本発明において、(A−1)成分の樹脂の酸価が0.05×10−3〜6.0×10−3mol/gであることが好ましい。より好ましくは0.1×10−3〜5.0×10−3mol/g、特に好ましくは0.2×10−3〜4.4×10−3mol/gである。ここで、酸価に影響を及ぼす酸基としては、ヒドロキシ基が挙げられる。
【0077】
[2](A−2)ポリマー骨格の側鎖にフッ素原子を有する樹脂
本発明のポジ型レジスト組成物は、ポリマー骨格の側鎖にフッ素原子を有する樹脂(A−2)(以下、樹脂(A−2)、(A−2)成分とも呼ぶ)を含有する。
樹脂(A−2)は、一般式(I)で表される繰り返し単位を有する。
【0078】
【化46】
【0079】
式(I)において、
R11及びR12は、それぞれ独立に、メチレン基または酸素原子を表す。
R13は、水素原子または有機基を表す。
Lは、2価の連結基を表す。
Pは、0または1を表す。
【0080】
式(I)において、R13の有機基は、酸分解性基であっても、非酸分解性基であってもよい。酸分解性基としては、樹脂(A−1)におけるものと同様なものが上げられる。
【0081】
非酸分解性基とは、酸の作用により分解することのない有機基であり、例えば、酸の作用により分解することのない、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミド基、シアノ基等を挙げることができる。アルキル基は、炭素数1〜10個の直鎖状、分岐状、環状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等を挙げることができる。アリール基は、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等を挙げることができる。アラルキル基は、炭素数6〜12個のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等を挙げることができる。アルコキシ基及びアルコキシカルボニル基に於けるアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基等を挙げることができる。
【0082】
Lで表される2価の連結基としては、例えば、2価の連結基としては、例えば、オキシ基、カルボニル基、置換基を有していてもよい、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びこれらを更に結合した2価の連結基を挙げることができる。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等を挙げることができる。シクロアルキレン基としては、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等を挙げることができる。アルケニレン基としては、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等を挙げることができる。アリーレン基としては、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等を挙げることができる。
Lの2価の連結基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、シアノ基等を挙げることができ、フッ素原子が好ましい。
【0083】
以下に一般式(I)で表される繰り返し構造単位の具体例を示すが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0084】
【化47】
【0085】
【化48】
【0086】
【化49】
【0087】
【化50】
【0088】
【化51】
【0089】
【化52】
【0090】
樹脂(A−2)は、上記のような繰り返し単位以外にも、更に本発明の感光性樹脂の性能を向上させる目的で、他の繰り返し単位を含んでいても良い。
【0091】
使用することができる共重合モノマーとしては、例えば、上記以外のアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類などから選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物が挙げられる。
【0092】
他に含む繰り返し単位として、好ましい具体例は、前記樹脂(A−1)における他に含む繰り返し単位の好ましい具体例と同様のものが挙げられる。
【0093】
樹脂(A−2)は、酸分解性基(酸の作用により分解してアルカリ可溶性となる基)をもっていてもよい。酸分解性基をもつことにより、樹脂は、酸の作用により分解しアルカリ現像液に対する溶解度が増大する。
本発明において、樹脂(A−1)と樹脂(A−2)の少なくとも一方は酸分解性基を含む、酸の作用による分解しアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(酸分解性樹脂)である。
【0094】
酸分解性基としては、前記樹脂(A−1)におけるものと同様のものが挙げれられる。
【0095】
樹脂(A−2)において、式(I)で表される繰り返し単位の含有量は、一般的に10〜90モル%、好ましくは20〜80モル%、更に好ましくは30〜70モル%である。
樹脂(A−2)において、酸分解性基を有する繰り返し単位の含量は、一般的に5〜95モル%、好ましくは10〜90モル%、更に好ましくは20〜80モル%の範囲で使用される。
【0096】
上記具体例で表される繰り返し単位は、各々1種で使用しても良いし、複数を混合して用いても良い。
本発明の樹脂(A−2)の好ましい分子量は、重量平均で1,000〜200,000であり、更に好ましくは3,000〜200,000の範囲で使用される。最も好ましくは3,000より50,000である。分子量分布(分散度、Mw/Mn)は1〜10であり、好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2の範囲のものが使用される。最も好ましくは1〜1.7である。分子量分布の小さいものほど塗布性、感度、コントラストに優れる。本発明においては、分子量が1000以下の樹脂の割合が20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。また、樹脂(A−2)中の残存モノマーの割合は10質量%以下が好ましく、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0097】
本発明の樹脂(A−2)の添加量は組成物の全固形分を基準として、一般的に50〜99.5質量%、好ましくは60〜98質量%、更に好ましくは65〜95質量%の範囲で使用される。
【0098】
本発明に用いる樹脂(A−2)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種を、一括であるいは反応途中で反応容器に仕込み、これを必要に応じ反応溶媒、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような、各種モノマーを溶解させ得る溶媒に溶解させ均一とした後、窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で必要に応じ加熱、市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。反応温度は10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃である。尚、モノマーによってはアニオン重合を利用した場合により好適に合成できる。重合法については、日本化学会編「実験化学講座28、高分子合成」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座19、高分子化学」(丸善)に記載されている。
なお、重合反応の反応性が低い場合や、モノマーが常温、常圧でガスである場合、反応容器を密閉して加圧条件で行った方がより好適に合成できる場合もある。また、モノマーによってはパラジウム等の遷移金属触媒を用いて重合するとより好適に合成できる場合もある。
【0099】
本発明において、(A−2)成分の樹脂の酸価が0.05×10−3〜6.0×10−3mol/gであることが好ましい。より好ましくは0.1×10−3〜5.0×10−3mol/g、特に好ましくは0.2×10−3〜4.4×10−3mol/gである。ここで、酸価に影響を及ぼす酸基としては、ヒドロキシ基が挙げられる。
【0100】
本発明における、樹脂(A−1)と樹脂(A−2)の配合量の比率は、通常、質量比で(A−1):(A−2)=5:95〜95:5であり、好ましくは(A−1):(A−2)=10:90〜90:10、更に好ましくは(A−1):(A−2)=20:80〜80:20である。
【0101】
[3](B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明のポジ型レジスト組成物は、活性光線又は放射線、特にF2エキシマレーザー光の照射により、酸を発生する化合物を含有する。
【0102】
活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物は、一般に、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物(光酸発生剤)として使用されているものから選択することができる。
即ち、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、F2エキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームにより酸を発生する化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0103】
このような化合物としては、たとえば S. I. Schlesinger, Photogr. Sci. Eng., 18, 387 (1974)、T. S. Bal et al, Polymer, 21, 423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同 Re 27,992号、特開平3−140140号等に記載のアンモニウム塩、D. C. Necker et al, Macromolecules, 17, 2468(1984)、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、Chem.& Eng. News, Nov. 28, p31(1988)、欧州特許第104,143号、同339,049号、同第410,201号、特開平2−150848号、特開平2−296514号等に記載のヨードニウム塩、J. V. Crivello et al, Polymer J. 17, 73(1985)、J. V. Crivello et al., J. Org. Chem., 43, 3055(1978)、W. R. Watt et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 22, 1789(1984)、J. V. Crivello et al, Polymer Bull., 14, 279(1985)、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 14(5), 1141(1981)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 2877(1979)、欧州特許第370,693号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のスルホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K. Meier et al, J. Rad. Curing, 13(4), 26(1986)、T. P. Gill et al, Inorg. Chem., 19, 3007(1980)、D. Astruc,Acc. Chem. Res., 19(12), 377(1896)、特開平2−161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S. Hayase et al, J. Polymer Sci., 25, 753(1987)、E. Reichmanis et al, J. Pholymer Sci., Polymer Chem. Ed., 23, 1(1985)、Q. Q. Zhuetal, J. Photochem., 36, 85, 39, 317(1987)、B. Amit et al, Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、D. H. R. Barton et al, J. Chem Soc., 3571(1965)、P. M. Collins et al, J. Chem. Soc., Perkin I, 1695(1975)、M. Rudinstein et al, Tetrahedron Lett., (17), 1445(1975)、J. W. Walker et al, J. Am. Chem. Soc., 110, 7170(1988)、S. C. Busman et al, J. Imaging Technol., 11(4), 191(1985)、H. M. Houlihan et al, Macromolecules, 21, 2001(1988)、P. M.Collins et al, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 532(1972)、S. Hayase et al, Macromolecules, 18, 1799(1985)、E. Reichmanis et al, J. Electrochem. Soc., Solid State Sci. Technol., 130(6)、F. M. Houlihan et al, Macromolcules,21,2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号等に記載の0−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、M.TUNOOKA et al, Polymer Preprints Japan, 35(8)、G. Berneret al, J. Rad. Curing, 13(4)、 W. J. Mijs et al, Coating Technol., 55(697),45(1983), Akzo、H. Adachi et al, Polymer Preprints, Japan, 37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同044,115号、同618,564号、同0101,122号、米国特許第4,371,605号、同4,431,774 号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特開平3−140109号等に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号等に記載のジスルホン化合物等を挙げることができる。
【0104】
本発明に於いては、(B)成分として、例えば、次の(B1)〜(B6)の化合物を挙げることができる。
(B1)活性光線又は放射線の照射により少なくとも1つのフッ素原子を有する脂肪族又は芳香族スルホン酸を発生する化合物
(B2)活性光線又は放射線の照射によりフッ素原子をもたない脂肪族又は芳香族スルホン酸を発生する化合物
(B3)活性光線又は放射線の照射により少なくとも1つのフッ素原子を有する脂肪族又は芳香族カルボン酸を発生する化合物
(B4)活性光線又は放射線の照射によりフッ素原子をもたない脂肪族又は芳香族カルボン酸を発生する化合物
(B5)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する、下記一般式(IA)又は(IB)で表される化合物
【0105】
【化53】
【0106】
一般式(IA)、(IB)中、
R1〜R4は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基又はアリール基を表し、R1〜R4のうち少なくとも2つ以上が結合して環構造を形成してもよい。
R6及びR7は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シアノ基又はアリール基を表す。
Y1及びY2は、各々独立に、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ原子を含む芳香族基を表し、Y1とY2とが結合して環を形成してもよい。
Yは、単結合または2価の連結基を表す。
X−は、非求核性アニオンを表す。
尚、R1からR4、R6、R7のいずれか、若しくは、Y1又はY2のいずれかの位置で、連結基を介して結合し、一般式(IA)又は(IB)の構造を2つ以上有していてもよい。
【0107】
(B6)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する、芳香環をもたないスルホニウム塩
【0108】
(B1)成分及び(B2)成分の、脂肪族又は芳香族スルホン酸とは炭素数1〜20が好ましく、より好ましくは2〜16であり、更に好ましくは3〜12である。
【0109】
(B1)活性光線又は放射線の照射により少なくとも1つのフッ素原子を有する脂肪族又は芳香族スルホン酸を発生する化合物
【0110】
活性光線又は放射線の照射により少なくとも1つのフッ素を有する脂肪族又は芳香族スルホン酸を発生する化合物としては、例えば、下記の一般式(PAG3)で表されるヨードニウム塩、または一般式(PAG4)で表されるスルホニウム塩を挙げることができる。
【0111】
【化54】
【0112】
式中、Ar1、Ar2は、各々独立に、置換もしくは未置換のアリール基を示す。R203、R204、R205は、各々独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。
Z−は、少なくとも1つのフッ素原子を有する脂肪族又は芳香族スルホン酸アニオンを示す。
またR203、R204、R205のうちの2つおよびAr1、Ar2はそれぞれの単結合または置換基を介して結合してもよい。
【0113】
Ar1、Ar2、R203、R204、R205としてのアリール基としては、好ましくは、炭素数6〜14のアリール基、アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。
好ましい置換基としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜9のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニルアミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子及びフェニルチオ基であり、アルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数5〜14のアリール基、炭素数6〜15のアリールカルボニル基、カルボキシル基及びハロゲン原子を挙げることができる。
【0114】
Z−の脂肪族又は芳香族スルホン酸アニオンとしては、好ましくは、少なくとも1つのフッ素原子を有する炭素数1〜20の脂肪族スルホン酸アニオン及び炭素数5〜20の芳香族スルホン酸アニオンを挙げることができる。これらは置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、炭素数1〜10のフッ素置換していてもよいアルコキシ基、炭素数2〜11のフッ素置換していてもよいアルコキシカルボニル基、フェニルアミノ基、フェニルカルボニル基、ハロゲン原子、水酸基を挙げることができる。芳香族スルホン酸アニオンに対しては、さらに炭素数1〜15のアルキル基を挙げることができる。
【0115】
以下に具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0116】
【化55】
【0117】
【化56】
【0118】
【化57】
【0119】
【化58】
【0120】
【化59】
【0121】
【化60】
【0122】
【化61】
【0123】
【化62】
【0124】
【化63】
【0125】
【化64】
【0126】
【化65】
【0127】
【化66】
【0128】
【化67】
【0129】
【化68】
【0130】
【化69】
【0131】
【化70】
【0132】
【化71】
【0133】
【化72】
【0134】
(B2)活性光線又は放射線の照射により、フッ素原子をもたない脂肪族又は芳香族スルホン酸を発生する化合物
活性光線又は放射線の照射により、フッ素原子をもたない脂肪族又は芳香族スルホン酸を発生する化合物として、例えば、先の一般式(PAG3)及び(PAG4)において、Z−がフッ素原子をもたない脂肪族又は芳香族スルホン酸アニオンであるヨードニウム塩及びスルホニウム塩を挙げることができる。
【0135】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0136】
【化73】
【0137】
【化74】
【0138】
【化75】
【0139】
【化76】
【0140】
【化77】
【0141】
上記(B1)及び(B2)で説明した化合物は、過ヨウ素酸塩を用いて芳香族化合物を反応させ、得られたヨードニウム塩を対応するスルホン酸に塩交換することにより合成可能である。
また、アリールマグネシウムブロミドなどのアリールグリニャール試薬と置換又は無置換のフェニルスルホキシドを反応させ、得られたトリアリールスルホニウムハライドを対応するスルホン酸と塩交換する方法で合成できる。また、置換又は無置換のフェニルスルホキシドと対応する芳香族化合物をメタンスルホン酸/五酸化二リンあるいは塩化アルミニウムなどの酸触媒を用いて縮合、塩交換する方法、ジアリールヨードニウム塩とジアリールスルフィドを酢酸銅などの触媒を用いて縮合、塩交換する方法などによって合成できる。
塩交換は、いったんハライド塩に導いた後に酸化銀などの銀試薬を用いてスルホン酸塩に変換する方法、あるいはイオン交換樹脂を用いることでも塩交換できる。また、塩交換に用いるスルホン酸あるいはスルホン酸塩は、市販のものを用いるか、あるいは市販のスルホン酸ハライドの加水分解などによって得ることができる。
【0142】
(B3)活性光線又は放射線の照射により、少なくとも1つのフッ素原子を有する脂肪族又は芳香族カルボン酸を発生する化合物
フッ素含有脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、バレリアン酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸等の脂肪族カルボン酸のフッ素置換物が挙げられる。これらは、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい。また、その脂肪族鎖の中に酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボキシル基、スルホニル基などの連結基を含んでいるものが好ましい。
【0143】
好ましいフッ素含有脂肪族カルボン酸として、下記の一般式で表されるものを挙げることができる。
L−(CH2)p(CF2)q(CH2)r−COOH
一般式中、Lは、水素原子又はフッ素原子を表す。p及びrは、各々独立に0〜15の整数、qは1〜15の整数を表す。この一般式におけるアルキル鎖の水素原子又はフッ素原子は、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)、または、水酸基で置換されていてもよい。
上記フッ素含有脂肪族カルボン酸としては、好ましくはその炭素数が2〜20、より好ましくは4〜20である飽和脂肪族カルボン酸のフッ素置換物であることが好ましい。この炭素数を4個以上とすることで、発生するカルボン酸分解性の拡散性が低下し、露光から後加熱までの経時による線幅変化をより抑制できる。なかでも、炭素数4〜18個の直鎖又は分岐飽和脂肪族カルボン酸のフッ素置換物が好ましい。
【0144】
フッ素含有芳香族族カルボン酸としては、炭素数が7〜20、より好ましくは7〜15であり、更に好ましくは7〜11である芳香族カルボン酸のフッ素置換物であることが好ましい。具体的には、安息香酸、置換安息香酸、ナフトエ酸、置換ナフトエ酸、アントラセンカルボン酸、置換アントラセンカルボン酸(ここで、置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アリール基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基が挙げられる)等の芳香族カルボン酸のフッ素置換物が挙げられる。なかでも、安息香酸、置換安息香酸のフッ素置換物が好ましい。
【0145】
これらフッ素原子で置換された脂肪族若しくは芳香族カルボン酸は、カルボキシル基以外の骨格に存在する水素原子の1個以上がフッ素原子で置換されたものであり、特に好ましくはカルボキシル基以外の骨格に存在する水素原子すべてがフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸(パーフルオロ飽和脂肪族カルボン酸あるいはパーフルオロ芳香族カルボン酸)である。これにより、感度が一層優れるようになる。
【0146】
好ましくは、上記のようなフッ素原子で置換された脂肪族若しくは芳香族カルボン酸のアニオンをカウンターアニオンとして有するオニウム塩化合物(スルホニウム塩、ヨードニウム塩等)、カルボン酸エステル基を有するイミドカルボキシレート化合物あるいはニトロベンジルエステル化合物等が挙げられる。
より好ましくは下記一般式(I)〜(III)で表される化合物が挙げられる。これにより、感度、解像力、露光マージンが一層優れるようになる。この化合物に活性光線または放射線を照射することより、下記一般式(I)〜(III)のX−に相当する少なくとも1つのフッ素原子で置換された飽和脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸を発生し、光酸発生剤として機能する。
【0147】
【化78】
【0148】
(上記式中、R1 〜R37は、各々独立に、水素原子、直鎖、分岐あるいは環状アルキル基、直鎖、分岐あるいは環状アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、または−S−R38基を表す。ここでR38は直鎖、分岐、環状アルキル基またはアリール基を表す。X−は、少なくとも1つのフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸のアニオンである。)
X−は、好ましくはパーフルオロ脂肪族カルボン酸あるいはパーフルオロ芳香族カルボン酸のアニオンであり、特に好ましくは炭素数4個以上のフッ素置換アルキルカルボン酸のアニオンである。
【0149】
一般式(I)〜(III)における、R1〜R38の直鎖、分岐アルキル基としては、置換基を有してもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。環状アルキル基としては、置換基を有してもよい、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個のものが挙げられる。
R1〜R37のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。
R1〜R37のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
R38のアリール基としては、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜14個のものが挙げられる。アリール基は置換基を有してもよい。
これらの置換基として好ましくは、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、沃素原子)、炭素数6〜10個のアリール基、炭素数2〜6個のアルケニル基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
【0150】
本発明で使用される一般式(I)〜(III)で表されるヨードニウム化合物あるいはスルホニウム化合物は、その対アニオンX−として、少なくとも1つのフッ素原子で置換された飽和脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸のアニオンを有する。これらのアニオンは、該カルボン酸(−COOH)の水素原子が離脱したアニオン(−COO−)である。
【0151】
以下に、具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(I)で表される光酸発生剤の具体例:
【0152】
【化79】
【0153】
【化80】
【0154】
【化81】
【0155】
【化82】
【0156】
【化83】
【0157】
一般式(II)で表される光酸発生剤の具体例:
【0158】
【化84】
【0159】
【化85】
【0160】
【化86】
【0161】
【化87】
【0162】
【化88】
【0163】
【化89】
【0164】
【化90】
【0165】
【化91】
【0166】
【化92】
【0167】
【化93】
【0168】
【化94】
【0169】
【化95】
【0170】
一般式(III)で表される光酸発生剤の具体例:
【0171】
【化96】
【0172】
【化97】
【0173】
その他の光酸発生剤の具体例:
【0174】
【化98】
【0175】
【化99】
【0176】
上記一般式(I)で表される化合物は、過ヨウ素酸塩を用いて芳香族化合物を反応させ、得られたヨードニウム塩を対応するカルボン酸に塩交換することにより合成可能である。
一般式(II)、一般式(III)で表される化合物は、例えば、アリールマグネシウムブロミドなどのアリールグリニャール試薬と置換又は無置換のフェニルスルホキシドを反応させ、得られたトリアリールスルホニウムハライドを対応するカルボン酸と塩交換する方法で合成できる。また、置換又は無置換のフェニルスルホキシドと対応する芳香族化合物をメタンスルホン酸/五酸化二リンあるいは塩化アルミニウムなどの酸触媒を用いて縮合、塩交換する方法、ジアリールヨードニウム塩とジアリールスルフィドを酢酸銅などの触媒を用いて縮合、塩交換する方法などによって合成できる。
塩交換は、いったんハライド塩に導いた後に酸化銀などの銀試薬を用いてカルボン酸塩に変換する方法、あるいはイオン交換樹脂を用いることでも塩交換できる。また、塩交換に用いるカルボン酸あるいはカルボン酸塩は、市販のものを用いるか、あるいは市販のカルボン酸ハライドの加水分解などによって得ることができる。
【0177】
アニオン部分としてのフッ素置換されたカルボン酸は、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれるものを用いたものも好ましい。これらのフルオロ脂肪族化合物の製造法に関しては、例えば、「フッ素化合物の合成と機能」(監修:石川延男、発行:株式会社シーエムシー、1987)の117〜118ページや、「Chemistry of Organic Fluorine Compounds II」(Monograph 187,Ed by Milos Hudlicky and Attila E.Pavlath,American Chemical Society 1995)の747−752ページに記載されている。テロメリゼーション法とは、沃化物等の連鎖移動常数の大きいアルキルハライドをテローゲンとして、テトラフルオロエチレン等のフッ素含有ビニル化合物のラジカル重合を行い、テロマーを合成する方法である(Scheme−1に例を示した)。テロマー法による合成においては炭素鎖長の異なる複数の化合物の混合物が得られるが、これを混合物のまま使用してもよいし、精製して用いてもよい。
【0178】
(B4)活性光線又は放射線の照射により、フッ素原子をもたない脂肪族又は芳香族カルボン酸を発生する化合物
活性光線又は放射線の照射により、フッ素原子をもたない脂肪族又は芳香族カルボン酸を発生する化合物として、例えば、下記一般式(AI)〜(AIII)で示される化合物を挙げることができる。
【0179】
【化100】
【0180】
上記式において、R301 〜R337は、各々独立に水素原子、直鎖、分岐あるいは環状アルキル基、直鎖、分岐あるいは環状アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、または−S−R0基を表す。R0は直鎖、分岐、環状アルキル基またはアリール基を表す。
X−は、カルボン酸化合物がアニオンになったものを表す。
【0181】
具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0182】
【化101】
【0183】
【化102】
【0184】
【化103】
【0185】
【化104】
【0186】
【化105】
【0187】
【化106】
【0188】
【化107】
【0189】
【化108】
【0190】
【化109】
【0191】
【化110】
【0192】
【化111】
【0193】
【化112】
【0194】
上記光酸発生剤、すなわち一般式(AI)、一般式(AII)、一般式(AIII)で表される化合物は、米国特許第3,734,928号明細書に記載の方法、Macromolecules, vol. 10, 1307(1977), Journal of Organic Chemistry, vol. 55, 4222(1990), J. Radiat. Curing, vol. 5(1), 2(1978) に記載の方法などを用い、更にカウンターアニオンを交換することにより合成できる。一般式(AIV)、一般式(AV)で表される化合物は、N−ヒドロキシイミド化合物とカルボン酸クロリドを塩基性条件で反応させる、あるいはニトロベンジルアルコールとカルボン酸クロリドを塩基性条件下反応させることにより得られる。
【0195】
(B5)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する、前記一般式(IA)又は(IB)で表される化合物
【0196】
一般式(IA)、(IB)中、R1〜R4は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基又はアリール基を表し、R1〜R4のうち少なくとも2つ以上が結合して環構造を形成してもよい。R6及びR7は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シアノ基又はアリール基を表す。Y1及びY2は、各々独立に、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ原子を含む芳香族基を表し、Y1とY2とが結合して環を形成してもよい。Yは、単結合または2価の連結基を表す。X−は、非求核性アニオンを表す。尚、R1からR4、R6、R7のいずれか、若しくは、Y1又はY2のいずれかの位置で、連結基を介して結合し、一般式(IA)又は(IB)の構造を2つ以上有していてもよい。
【0197】
R1〜R4、R6、R7のアルキル基は、置換あるいは無置換のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、無置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
R1〜R4のアルコキシ基及びアルキルオキシカルボニル基におけるアルコキシ基は、置換あるいは無置換のアルコキシ基であり、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基であり、無置換のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
R1〜R4、R6、R7、Y1、Y2のアリール基は、置換あるいは無置換のアリール基であり、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
R1〜R4のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0198】
Y1及びY2のアルキル基は、置換あるいは無置換のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基である。無置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及びシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基等の環状のアルキル基を挙げることができる。
【0199】
Y1及びY2のアラルキル基は、置換あるいは無置換のアラルキル基であり、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、無置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等を挙げることができる。
【0200】
ヘテロ原子を含む芳香族基とは、例えば炭素数6〜14のアリール基等の芳香族基に、ヘテロ原子、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を有する基を表す。
Y1及びY2のヘテロ原子を含む芳香族基としては、置換あるいは無置換のヘテロ原子を含む芳香族基であり、無置換のものとしては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、インドール等の複素環式芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0201】
Y1とY2とは結合して、一般式(IA)中のS+とともに、環を形成してもよい。
この場合、Y1とY2とが結合して形成する基としては、例えば、炭素数4〜10のアルキレン基、好ましくはブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、特に好ましくはブチレン基、ペンチレン基を挙げることができる。
また、Y1とY2と結合して、一般式(IA)中のS+とともに形成した環の中に、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0202】
上記のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アラルキル基の各々は、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)等で置換されていてもよい。更にアリール基、アラルキル基については、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5)で置換されていてもよい。
また、アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子が好ましい。
【0203】
Yの2価の連結基としては、置換していてもよいアルキレン基、アルケニレン基、−O−、−S−、−CO−、−CONR−(Rは、水素、アルキル基、アシル基である。)、及びこれらのうち2つ以上を含んでもよい連結基が好ましい。
一般式(IA)中、Yとしては、アルキレン基、又は酸素原子を含むアルキレン基、硫黄原子をアルキレン基が好ましく、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、−CH2−O−、−CH2−S−が好ましく、最も好ましくはエチレン基、−CH2−O−、−CH2−S−のように6員環を形成する連結基である。6員環を形成することによりカルボニル平面とC−S+シグマ結合がより垂直に近くなり、起動相互作用により光分解効率が向上する。
【0204】
X−の非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン等を挙げることができる。
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これによりレジストの経時安定性が向上する。
スルホン酸アニオンとしては、例えば、アルキルスルホン酸アニオン、アリールスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなどが挙げられる。
カルボン酸アニオンとしては、例えば、アルキルカルボン酸アニオン、アリールカルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなどが挙げられる。
【0205】
アルキルスルホン酸アニオンにおけるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等を挙げることができる。
アリールスルホン酸アニオンにおけるアリール基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0206】
上記アルキルスルホン酸アニオン及びアリールスルホン酸アニオンにおけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0207】
ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、弗素原子、沃素原子等を挙げることができる。
アルキル基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜15のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
アルキルチオ基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜15のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ウンデシルチオ基、ドデシルチオ基、トリデシルチオ基、テトラデシルチオ基、ペンタデシルチオ基、ヘキサデシルチオ基、ヘプタデシルチオ基、オクタデシルチオ基、ノナデシルチオ基、エイコシルチオ基等を挙げることができる。尚、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基は、更にハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換されていてもよい。
【0208】
アルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基としては、アルキルスルホン酸アニオンにおけるアルキル基と同様のものを挙げることができる。
アリールカルボン酸アニオンにおけるアリール基としては、アリールスルホン酸アニオンにおけるアリール基と同様のものを挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
【0209】
上記アルキルカルボン酸アニオン、アリールカルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、アリール基及びアラルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アリールスルホン酸アニオンにおけると同様のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0210】
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐、弗素化硼素、弗素化アンチモン等を挙げることができる。
【0211】
一般式(IA)に示す化合物は、対応するα−ハロ環状ケトンとスルフィド化合物を反応させる方法、或いは対応する環状ケトンをシリルエノールエーテルに変換した後、スルホキシドと反応させることにより得ることができる。一般式(IB)に示す化合物は、アリールアルキルスルフィドにα−又はβ−ハロゲン化ハライドを反応させることにより得ることができる。
【0212】
以下に、上記式(IA)又は(IB)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0213】
【化113】
【0214】
【化114】
【0215】
【化115】
【0216】
【化116】
【0217】
【化117】
【0218】
【化118】
【0219】
【化119】
【0220】
【化120】
【0221】
【化121】
【0222】
(B6)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する、芳香環をもたないスルホニウム塩
【0223】
芳香環を有さないスルホニウム塩としては、例えば、次式(IIB)で表されるスルホニウムをカチオンとする塩を挙げることができる。
【0224】
【化122】
【0225】
式中、R1b〜R3bは、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
R1b〜R3bとしての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
R1b〜R3bは、各々独立に、好ましくはアルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、最も好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
R1b〜R3bとしてのアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10の環状アルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基)を挙げることができる。
R1b〜R3bとしての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
R1b〜R3bとしてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。
R1b〜R3bは、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
R1b〜R3bのうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R1b〜R3bの内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
光反応性の観点から、R1b〜R3bのうちいずれか1つが炭素−炭素2重結合、あるいは炭素−酸素2重結合を有する基が好ましい。
芳香環を有さないスルホニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオンであり、好ましくは1位がフッ素原子によって置換されたアルカンスルホン酸アニオン、電子吸引性基で置換されたベンゼンスルホン酸であり、さらに好ましくは炭素数1〜8のパーフロロアルカンスルホン酸アニオンであり、最も好ましくはパーフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオンである。これら用いることにより酸分解性基の分解速度が向上し、感度が優れ、また発生酸の拡散性が制御され解像力が向上する。
尚、電子吸引性基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、アシル基等を挙げることができる。
一般式(IIB)で表される化合物のR1b〜R3bの少なくともひとつが、一般式(IIB)で表される他の化合物のR1b〜R3bの少なくともひとつと結合する構造をとってもよい。
【0226】
以下に、本発明で使用できる芳香環を有さないスルホニウム塩の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0227】
【化123】
【0228】
【化124】
【0229】
光酸発生剤の含有量は、組成物全固形分に対し、通常1.0質量%以上であり、好ましくは1.5〜12質量%、より好ましくは2〜8質量%の範囲である。
【0230】
[4]溶剤(C成分)
本発明の組成物は、上記各成分を溶解する溶剤に溶かして支持体上に塗布する。ここで使用する溶剤としては、1−メトキシ−2−プロパノールアセテート(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、1−メトキシ−2−プロパノール(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、3−メトキシ−1−ブタノール、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、1−メトキシ−2−プロパノールアセテート、1−メトキシ−2−プロパノールが特に好ましい。これらの溶剤は、単独あるいは混合して使用される。混合して使用する場合、1−メトキシー2−プロパノールアセテートを含むもの、または1−メトキシ−2−プロパノールを含むものが好ましい。
本発明に於いては、少なくとも1つのフッ素原子を有する溶剤を好ましく使用することができる。
本発明に於いて、使用し得る少なくとも1つのフッ素原子を有する溶剤としては、沸点が80〜300℃で、更に酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有するものが好ましく、例えば、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロウンデカン−1,2−ジオール、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロノナン−1,2−ジオール、1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノナノール等のフッ素原子を有するアルコール類、2−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2、3−ジフルオロアニソール、2、4−ジフルオロアニソール、2、5−ジフルオロアニソール等のフッ素原子を有するエーテル類、トリフルオロ酢酸ブチル、3−トリフルオロメトキシプロピオン酸メチル、2,2,2−トリフルオロエチルブチレート、エチルヘプタフルオロブチルアセテート、エチル−2−メチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチル−4,4,4−トリフルオロブチレート、イソプロピル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、パーフルオロ(2,5−ジメチル−3,6−ジオキサンアニオニック)酸メチルエステル、パーフルオロ−2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカン酸メチルエステル、エチルペンタフルオロベンゾエート、メチルパーフルオロデナノエート等のフッ素原子を有するエステル類、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルトリフルオロメチルアセテート等のフッ素原子を有するエーテル・エステル類、トリフルオロアセトアミド、2,4−ジフルオロトルエン、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−4,6−オクタジオン、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロ−2,4−ヘキサンジオン、2H−パーフルオロ−5,8,11,14−テトラメチル−3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタデカン、パーフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン)などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
全溶剤中、フッ素原子を有する溶剤の割合は、5質量%以上、特に10質量%以上とすることが好ましい。
組成物中の固形分濃度は、5〜15質量%とすることが好ましく、7〜13質量%とすることがより好ましい。
【0231】
[5](D)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤
本発明のポジ型レジスト組成物は、更に、(D)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物が上記(D)界面活性剤を含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
これらの(D)界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同 5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0232】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0233】
(D)界面活性剤の使用量は、ポジ型レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0234】
[6]酸拡散抑制剤(E)
本発明のポジ型レジス組成物には、活性光線又は放射線の照射後、加熱処理までの経時による性能変動(パターンのT−top形状形成、感度変動、パターン線幅変動等)や塗布後の経時による性能変動、更には活性光線又は放射線の照射後、加熱処理時の酸の過剰な拡散(解像度の劣化)を防止する目的で、酸拡散抑制剤を添加することが好ましい。酸拡散抑制剤としては、有機塩基性化合物であり、例えば塩基性窒素を含有する有機塩基化合物であり、共役酸のpKa値で4以上の化合物が好ましく使用される。
具体的には下記式(A)〜(E)の構造を挙げることができる。
【0235】
【化125】
【0236】
ここで、R250 、R251 及びR252 は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアミノアルキル基、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。
R253 、R254 、R255 及びR256 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜6個のアルキル基を表す。
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
【0237】
好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダゾール、イミダゾール、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0238】
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、
【0239】
3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
【0240】
酸発生剤と有機塩基性化合物の組成物中の使用割合は、(酸発生剤)/(有機塩基性化合物)(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。該モル比が2.5未満では低感度となり、解像力が低下する場合があり、また、300を越えると露光後加熱処理までの経時でレジストパターンの太りが大きくなり、解像力も低下する場合がある。(酸発生剤)/(有機塩基性化合物)(モル比)は、好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
【0241】
[7]非ポリマー型溶解抑止剤(X)
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに非ポリマー型溶解抑止剤を含有することが好ましい。ここで、非ポリマー型溶解抑止剤とは、3000以下の分子量を有する化合物に少なくとも2つ以上の酸分解性基が存在し、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する化合物のことである。特に、母核中にフッ素原子が置換しているのが透明性の観点から好ましい。
添加量は、組成物中のポリマーに対して3〜50質量%が好ましく、より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは7〜30質量%である。(X)成分を添加することにより感度、コンラストがさらに向上する。
【0242】
以下に、(X)成分の具体例を以下に示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
【0243】
【化126】
【0244】
[8]両性イオン化合物(Y)
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに両性イオン化合物を含有することが好ましい。ここで、両性イオン化合物とは1分子中にカチオン部とアニオン部を同時に含む化合物を示す。具体的にはアラニン、フェニルアラニン、アスパラギン、グリシン、バリンなどのアミノ酸の両性イオンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
添加量は、光酸発生剤に対して3〜70モル%が好ましく、より好ましくは5〜50モル%、さらに好ましくは7〜40モル%である。(Y)成分を添加することにより感度、コントラストがさらに向上する。
【0245】
本発明のポジ型レジスト組成物は、レジスト組成物中に含まれる金属不純物の含有量が100ppb以下である。レジスト組成物中に含まれる金属不純物としては、Na、K、Ca、Fe、Mg、Mn、Pd、Ni、Zn、Pt、Ag、Cu等が挙げられる。
レジスト組成物中に含まれる金属不純物の含有量を100ppb以下とする方法としては、例えば、フッ素原子含有樹脂を溶剤に溶解させて溶液とし、イオン交換フィルターにより濾過する方法を挙げることができる。
依って、本発明のポジ型レジスト組成物の製造方法として、例えば、フッ素原子含有樹脂を含む溶液をイオン交換フィルターにより濾過する工程、次いで溶液に光酸発生剤及び必要に応じて有機塩基性化合物、界面活性剤等を加えて混合液を調製する工程、次いで混合液を不溶コロイド除去フィルターにより濾過する工程を含むポジ型レジスト組成物の製造方法を挙げることができる。
【0246】
F2エキシマレーザー用レジストに用いられるフッ素含有樹脂は、フッ素含有モノマーの合成過程及びフッ素含有樹脂の重合過程に於いて金属触媒を使用するケースが多いこと、また、一般式(Z)で表される基が金属塩を作り易いことから、金属不純物の含有量が増加し易い。
レジスト中の金属不純物の含有量が多い場合、パーティクル数が増加し易くなるのは、経時変化に伴い、金属不純物を核として樹脂が溶剤中で凝集するためである、と推定される。また、樹脂の凝集は、レジスト組成物を構成する成分の実質的な変化をもたらし、感度変動の一因になる、と推定される。
有機高分子一般の金属不純物の低減法としては、分液洗浄、酸性イオン交換樹脂又はキレート樹脂での処理等が知られているが、酸を用いた処理をする場合、酸分解性化合物を含有するレジスト組成物に於いては、金属不純物を効率的に処理するとともに処理中での安定性を保持することが困難である。
【0247】
本発明に於いて使用し得るイオン交換フィルターとしては、イオン交換基がポリエチレン製多孔膜若しくはポリプロピレン製多孔膜に固定された陽イオン交換型フィルターが好ましく、例えば、イオンクリーン(日本ポール社製)、イオンクリーンAQ(日本ポール社製)等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
イオン交換フィルターによる濾過速度は、500〜10000cc/min/m2とすることが好ましい。
【0248】
本発明に於いて使用し得る不溶コロイド除去フィルターとしては、合成樹脂製フィルターが好ましく、例えば、マイクロリス・オプチマイザーDEV−16/40(マイクロリス社製ポリエチレンフィルター)、マイクロガードミニケム(マイクロリス社製ポリエチレンフィルター)、エンフロン(日本ポール社製ポリテトラフルオロエチレンフィルター)、ウルチポアN66(日本ポール社製ナイロン66フィルター)、ゼータプラス(キュノ社製セルローズフィルター)、エレクトロポアII(キュノ社製ナイロン66フィルター)等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、光酸発生剤等のイオン性化合物を添加した後に濾過工程を行う場合には、不溶コロイド除去フィルターは、イオン交換能をもたないものであることが好ましい。
【0249】
イオン交換型フィルター及び不溶コロイド除去フィルターの孔径は、いずれも0.01〜0.5μmとすることが好ましく、0.01〜0.1μmとすることがより好ましい。
【0250】
精密集積回路素子の製造などにおいてレジスト膜上へのパターン形成工程は、基板(例:シリコン/二酸化シリコン皮覆、ガラス基板、ITO基板等の透明基板等)上に、本発明のポジ型レジスト組成物を塗布し、次に活性光線又は放射線描画装置を用いて照射を行い、加熱、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを形成することができる。
【0251】
本発明のポジ型レジスト組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
これらのアルカリ現像液の中で好ましくは第四アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、コリンである。
アルカリ現像液中のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜15質量%、更に好ましくは0.5〜10質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10〜15、好ましくは10.5〜14.5、更に好ましくは11〜14である。
【0252】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
【0253】
<合成例>
樹脂(A−1)の合成
モノマー(1−1)35.04g(0.1mol)、テトラヒドロフラン20g、重合開始剤V−65(和光純薬工業製)2.48g(0.01mol)をオートクレーブに添加し、系中を窒素置換した後、密閉した。この反応器をドライアイスで冷却しながら、テトラフルオロエチレン(繰り返し単位F−1に相当するモノマー)を反応系中に導入し加圧した。その後、60℃に昇温し、12時間反応させた。反応器を室温まで放冷し、粘度の高いポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をメタノール中に滴下して粉体を取り出し、減圧下で乾燥して樹脂(A−1)を19.73g得た。得られた粉体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分子量は8300、分散度は1.62であった。また、1H−NMRおよび13C−NMR解析による繰り返し単位(1−1)/(F−1)の組成比は56/44であった。
加えるモノマーを変更する以外は同様の方法で、樹脂(A−2)〜(A−6)を得た。
【0254】
樹脂(B−1)の合成
(VI−15)モノマー32.8g(約0.1mol)と(F−19)モノマー30.4g(0.1mol)テトラヒドロフラン70gに溶解し、反応系中を窒素置換した後、重合開始剤AlBNを0.99g(0.006mol)を添加し、反応系中に窒素を流しながら65℃で8時間加熱した。その後室温まで冷却し、反応溶液をヘキサン1.5L中に滴下した。濾過により粉体を取り出して100℃で減圧乾燥し、29.45gの粉体を得た(収率52%)。得られた粉体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分子量は8700、分散度は1.43であった。また、13C−NMR解析によるモノマーの組成比は(VI−15)/(F−19)=31/69であった。
加えるモノマーを変更する以外は同様の方法で、樹脂(B−2)〜(B−5)を得た。
下記表1に、樹脂(A−1)の具体例である樹脂例(A−1)〜(A−6)、樹脂(A−2)の具体例である樹脂例(B−1)〜(B−6)について、繰り返し単位、組成比、重量平均分子量、分散度(Mw/Mn)を示す。
【0255】
【表1】
【0256】
実施例1〜6及び比較例1〜2
<ポジ型レジスト組成物の調製>
下記表2に示すように、樹脂を溶剤に溶解させ、比較例1〜2を除いてイオン交換フィルター(日本ポール社製イオンクリーン、孔径0.1μm)により濾過し、光酸発生剤、有機塩基性化合物、界面活性剤を加え、ポリテトラフルオロエチレンフィルター(日本ポール社製エンフロン、孔径0.1μm)で濾過し、固形分濃度8質量%とした実施例1〜6及び比較例1〜2のポジ型レジスト液を調製した。
【0257】
【表2】
【0258】
表2中の各略号を示す。尚、樹脂欄の括弧内は樹脂の比率(質量比)を示す。
〔酸発生剤〕
P−1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート(VII−4)
P−2:トリフェニルスルホニウムアセテート(II−5)
P−3:フェナシルスルホニウム誘導体(IA−1)
〔塩基性化合物〕
D−1:1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン
D−2:2,4,5−トリフェニルイミダゾール
D−3:ジシクロヘキシルメチルアミン
D−4:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
【0259】
〔界面活性剤〕
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素及びシリコン系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)(シリコン系)
【0260】
〔溶剤〕
S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
S3:シクロヘキサノン
S4:乳酸エチル
S5:γブチロラクトン
【0261】
<性能評価>
上記のように調製したポジ型フォトレジスト液をスピンコータを利用して反射防止膜(DUV42−6 BrewerScience. Inc. 製)を塗布したシリコンウエハー上に均一に塗布し、120℃60秒間加熱乾燥を行い、膜厚0.1μmのポジ型フォトレジスト膜を形成した。このレジスト膜に対し、KrFエキシマレーザーステッパー(NA=0.63)を用いラインアンドスペース用マスク(線幅180nm、ライン/スペース=1/1)を使用してパターン露光し、露光後すぐに130℃90秒間ホットプレート上で加熱した。更に2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃にて30秒間現像し、30秒間純粋にてリンスした後、乾燥した。このようにして得られたシリコンウエハー上のパターンを下記の方法でレジスト性能を評価した。
【0262】
〔現像液濃度依存性〕
各ポジ型レジスト組成物を、スピンコーターにより、反射防止膜(BrewerScience社製ARC−25)を800Åの膜厚で製膜したシリコンウエハー上に塗布し、120Cで90秒間ホットプレート上で加熱乾燥して、膜厚0.2μmのレジスト膜を得た。
得られたレジスト膜に対し、157nmのレーザー照射装置VUVES−4500(リソテックジャパン製)を用い、1mJ/cm2〜100mJ/cm2の範囲の露光量を照射した。露光後、110C90秒間、ホットプレートで加熱し、0.262NのTMAH水溶液で現像処理を行なった。
このようにして得られたシリコンウエハーのレジストパターンをSEMで観察し、大パターンにおけるレジスト膜の膜厚が0Aとなるような抜け露光量(E1)を求めた。
次に、現像液の濃度を0.20Nとした時の抜け露光量(E2)を求めた。
現像液濃度依存性を現像液濃度に対する感度の変動と定義し、下記の式により算出した。
現像液温度依存性(%)=(E2−E1)/E1×100
評価結果を下記表4に示す。
【0263】
〔サイドローブ光耐性〕
反射防止膜(BrewerScience社製ARC−25)をスピンコーターを使用してシリコンウエハー上に800Åに均一に塗布し、190℃で240秒間加熱乾燥を行った後、その上に各ポジ型レジスト組成物をスピンコーターにより厚さ3000Åに塗布し、真空吸着式ホットプレートにより120℃で60秒間加熱乾燥した。次に、0.25μmコンタクトホールパターン(Hole Duty比=1:3)のハーフトーンマスク(透過率80%)を介して、Canon社製KrFエキシマステッパー(FPA−3000EX5:NA0.60)を用い画像形成を行い、130℃で90秒間加熱した後、0.262規定のTMAH水溶液でパドル現像後、純水で30秒間水洗し、スピン乾燥により画像を得た。この際、0.25μmの直径を有するコンタクトホール(マスク)が0.20μmに再現する露光量をEoptとし、更にサイドローブ光がレジスト基板上に転写される最低露光量をElimitと定義し、それらのElimit/Eoptをサイドローブ光耐性の指標とした。この際、比較例1の値を1と規格化し、それとの相対評価により他のサイドローブ光耐性を示した。この値は、大きいほどサイドローブ光耐性が優れていることを示す。
評価結果を下記表3に示す。
【0264】
【表3】
【0265】
表3より、本発明のポジ型レジスト組成物は、現像液濃度依存性やサイドローブ光耐性(サイドローブマージン)に優れていることが明らかである。
【0266】
【発明の効果】
本発明により、現像液濃度依存性やサイドローブ光耐性(サイドローブマージン)に優れたポジ型レジスト組成物及びその製造方法を提供することができる。
Claims (2)
- (A−1)成分の樹脂が、下記一般式(II)〜(VII)で表される繰り返し単位のうち少なくとも1つ以上を含有する樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載のポジ型レジスト組成物。
R1〜R7は、各々独立に、水素原子又はフッ素原子を表す。ただし、R1〜R3のうちの少なくとも1つはフッ素原子を表す。
Rfは、水素原子、ハロゲン原子又はフッ素化アルキル基を表す。
Zは、有機基を表す。
nは、1〜3の整数を表す。
R60〜R65は、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、フッ素原子、アルキル基またはフッ素化アルキル基を表す。
R80及びR81は、各々独立に、炭素原子または酸素原子を表す。
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