JP2004294570A - レンズ鏡筒及びカメラシステム - Google Patents

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JP2004294570A JP2003083974A JP2003083974A JP2004294570A JP 2004294570 A JP2004294570 A JP 2004294570A JP 2003083974 A JP2003083974 A JP 2003083974A JP 2003083974 A JP2003083974 A JP 2003083974A JP 2004294570 A JP2004294570 A JP 2004294570A
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Tomoaki Suzuki
智明 鈴木
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Abstract

【課題】合焦位置にレンズを素早く移動させることができるレンズを提供する。
【解決手段】レンズ鏡筒100は、レンズ10、絶対位置センサ11、相対位置センサ12、制御部20、フォーカス位置設定SW21、ゴーホーム設定SW22、EEPROM23、AFモータ駆動回路24等を備えており、制御部20は、フォーカス位置設定SW21からの外部操作信号により設定された所望のプリセット位置に、ゴーホーム設定SW22からの動作開始の指示により、AFモータ駆動回路24を制御して、レンズ10の位置を調整する(ゴーホーム動作)。制御部20は、AFモータ駆動回路24を制御して、レンズ10の位置を合焦位置に合焦させる(AF動作)。制御部20は、プリセット位置及びレンズ10の固有情報、又は、プリセット位置に基づいて、ゴーホーム動作からAF動作に切換えるための動作切換位置を算出して、動作切換位置で動作を切換える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀塩カメラ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の撮影装置でレンズのフォーカシングを自動的に制御する機能を有するレンズ鏡筒及びカメラシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、撮影者等により予め設定されたフォーカスプリセット位置に、レンズをフォーカシングするいわゆるフォーカスプリセット機能が知られている。フォーカスプリセット機能によれば、例えば、スポーツ撮影等、既にフォーカス位置がある程度決まっている場合に(フォーカスプリセット位置が設定されている場合)、通常のAF機能に比べて、フォーカスプリセット位置までレンズを素早く移動させることができる。
このため、フォーカスプリセット機能は、AF機能を有する撮影装置において、広く実用化されている。ここで、フォーカスプリセット機能により、レンズがフォーカスプリセット位置に移動する動作を、ゴーホーム動作といい、レンズの焦点を被写体に合わせることを合焦という。また、合焦時のレンズ位置を合焦位置という。
【0003】
従来のフォーカスプリセット機能を有するレンズ鏡筒としては、例えば、
(1)所定の操作により、レンズをフォーカスプリセット位置まで移動させるものであって、フォーカスプリセット位置を、通電状態に応じて摺動抵抗又はカウンタで検出して、記憶するものがある(例えば、特許文献1参照)。
(2)ブラシとパターン部材との接触によって、フォーカスプリセット位置を記憶し、このフォーカスプリセット位置を、レンズ鏡筒に設けられた表示手段に表示するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−148752号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平6−43353号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、実際の撮影時には、被写体がフォーカスプリセット位置から多少動いてしまう場合もある(すなわち、フォーカスプリセット位置の近傍に合焦位置がある)。この場合には、レンズをプリセット位置に移動させた後(ゴーホーム動作実行後)、改めてマニュアル又はAF機能により焦点を合わせることになってしまう。
マニュアル操作では、撮影者が初心者であった場合には、スムーズな操作を行うことが困難となる。一方、AF機能を用いた場合では、カメラボディの制御によっては、被写体を探しながらスキャンするため、撮影条件(例えば、周囲が暗い等)により、スキャン速度が低下する場合もある。また、カメラボディとの組み合わせやレンズの位置によっては、逆方向にスキャンが始まる場合がある。
【0007】
したがって、上述したレンズ鏡筒では、このような状況下において、以下のような課題があった。
(1)プリセット位置への移動を指示する操作(ゴーホーム開始操作)に加えて、マニュアル又はAF機能を実行するための操作が必要となって、操作が煩雑になる。
(2)ゴーホーム動作を行った後、改めてマニュアル又はAF機能を実行するので、レンズを被写体に合焦させるまでに時間がかかる。
【0008】
本発明の課題は、レンズを合焦位置に素早く移動させることができるレンズ鏡筒及びカメラシステムを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。すなわち、請求項1の発明は、外部操作により設定された所望のプリセット位置に、光学部材(10)の位置を調整するためのプリセット部(20,22,24)と、前記光学部材(10)の位置を合焦位置に移動させるための自動合焦部(20,21,24)と、を備え、前記プリセット部(20,22,24)の動作完了前に、前記プリセット部(20,22,24)の動作から前記自動合焦部(20,21,24)の動作に切換わること、を特徴とするレンズ鏡筒である。
【0010】
請求項2の発明は、外部操作により設定された所望のプリセット位置に、光学部材(10)の位置を調整するためのプリセット部(20,22,24)と、前記光学部材(10)の位置を合焦位置に移動させるための自動合焦部(20,21,24)と、前記プリセット位置及び前記光学部材(10)の固有情報、又は、前記プリセット位置に基づいて、前記プリセット部(20,22,24)の動作から前記自動合焦部(20,21,24)の動作に切換えるための動作切換位置を算出して、前記動作切換位置で動作を切換えるための切換制御部(20)と、を備えたレンズ鏡筒である。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載のレンズ鏡筒において、前記光学部材(10)の固有情報は、焦点距離又は絞りであって、前記切換制御部(20)は、前記焦点距離又は絞りに基づいて、所定距離(a)を算出し、前記プリセット位置から前記所定距離(a)だけ手前の位置を、前記動作切換位置とすること、を特徴とするレンズ鏡筒である。
【0012】
請求項4の発明は、請求項2に記載のレンズ鏡筒において、前記切換制御部(20)は、前記プリセット位置から所定パルスだけ手前の位置を、前記動作切換位置とすること、を特徴とするレンズ鏡筒である。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載されたレンズ鏡筒において、前記プリセット部(20,22,24)の動作における前記光学部材(10)の最高到達速度は、前記自動合焦部(20,21,24)の動作における前記光学部材(10)の最高到達速度よりも大きいこと、を特徴とするレンズ鏡筒である。
【0014】
請求項6の発明は、請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載されたレンズ鏡筒において、前記切換制御部(20)は、前記自動合焦部(20,21,24)の動作に切換わった後であって、前記プリセット位置から所定距離(c)又は所定時間を経た場合に、前記自動合焦部(20,21,24)の動作を中断し、前記光学部材(10)の位置を、前記プリセット位置に移動すること、を特徴とするレンズ鏡筒である。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載されたレンズ鏡筒において、前記光学部材(13)が、焦点距離を変更できるズームレンズであって、前記焦点距離を検出する焦点距離検出部(14)をさらに備えたこと、を特徴とするレンズ鏡筒である。
【0016】
請求項8の発明は、請求項2から請求項7までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、前記プリセット部(20,22,24)の動作を開始させるための外部操作信号を、前記切換制御部(20)に出力する動作開始出力部(22)をさらに備えたこと、を特徴とするレンズ鏡筒である。
【0017】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、前記プリセット部(20,22,24)は、前記光学部材(10)の位置と、前記プリセット位置と、前記動作切換位置とを記憶するための記憶部(23)を備え、前記記憶部(23)は、不揮発性メモリであること、を特徴とするレンズ鏡筒である。
【0018】
請求項10の発明は、外部操作により設定された所望のプリセット位置に、光学部材(10)の位置を調整するためのプリセット部(20,22,24)と、前記光学部材(10)の位置を合焦位置に移動させるための自動合焦部(20,21,24)と、を備え、前記プリセット部(20,22,24)の動作完了前に、前記プリセット部(20,22,24)の動作から前記自動合焦部(20,21,24)の動作に切換わること、を特徴とするカメラシステムである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施の形態について、更に詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明によるレンズ鏡筒100の第1実施形態の概要を示すブロック図である。なお、レンズのフォーカシングを自動的に制御するAF機構については、周知技術であるので、詳細を省略する。
レンズ鏡筒100は、レンズ10と、レンズ位置センサ(絶対位置センサ)11と、レンズ位置センサ(相対位置センサ)12と、制御部20と、フォーカス位置設定SW21と、ゴーホーム設定SW22と、不揮発性メモリ(EEPROM)23と、AFモータ駆動回路24等とを備えている。また、上述した各部材は、制御部20を介して電気的に接続されている。
【0020】
レンズ10は、被写体との合焦を行う合焦用光学部材であって、焦点距離が固定された固定焦点レンズである。また、レンズ10は、絶対位置センサ11、相対位置センサ12、AFモータ駆動回路24等に接続されている。
絶対位置センサ11は、分解能の粗い(低い)絶対距離エンコーダであって、レンズ10がレンズ鏡筒内(不図示)で、どの範囲に位置しているかを、符号化された位置情報として制御部20に出力する。
【0021】
絶対位置センサ11から得られる位置情報は、カメラボディ(不図示)の電源ON時に生成される。ただし、この位置情報は、例えば、レンズ鏡筒内のHIGH−LOW等の広範囲でしかレンズ10の位置を特定できない。一方、相対位置センサ12は、高分解能の相対距離エンコーダであって、レンズ10が動作することで発生するパルスを検出して、レンズ10の位置を符合化された位置情報として制御部20に出力する。すなわち、絶対位置センサ11と相対位置センサ12とが連動することにより、レンズ鏡筒内のレンズ10の位置を特定することができる(詳細は、後述)。
【0022】
フォーカス位置設定SW21は、フォーカス位置がある程度決まっている場合に(例えば、スポーツ撮影等)、撮影者等による外部操作(ここでは、フォーカス位置の設定)により発生する外部操作信号を検出するための検出部であって、この外部操作信号を制御部20に出力する。この予め設定されたフォーカス位置を、フォーカスプリセット位置とする。
ゴーホーム設定SW22は、レンズ10をフォーカスプリセット位置に移動させる、いわゆるゴーホーム動作を実行するための外部操作信号を、制御部20に出力する動作開始出力部である。ここで、レンズ10を合焦位置に合焦させる通常のAF動作と、ゴーホーム動作とを比較すると、レンズ10を駆動させるときの最高到達速度及び平均速度は、ゴーホーム動作の方が大きい。このため、合焦位置とフォーカスプリセット位置とが一致している場合であれば、ゴーホーム動作だけを用いればよいことになる。
【0023】
しかし、本実施形態によるレンズ鏡筒100及びレンズ鏡筒100を装着したカメラシステムでは、例えば、被写体がフォーカスプリセット位置からある程度動いているような撮影状況をも考慮している。
このような撮影状況では、レンズ10の実際の合焦位置は、フォーカスプリセット位置の付近にあることになる(付近にない場合については後述する)。したがって、レンズ鏡筒100におけるゴーホーム動作は、制御部20の指示により、フォーカスプリセット位置より所定量(レンズ10の固有情報である焦点距離又は絞りから決定されるAF予定距離:後述)だけ手前の位置を、AFスタートポジションとして、このAFスタートポジションにレンズ10が到達するまで実行される。
【0024】
このゴーホーム動作を実行するための外部操作信号がゴーホーム設定SW22により検出された場合に、制御部20は、AFモータ駆動回路24に駆動信号を印加して、ゴーホーム動作によって、レンズ10をAFスタートポジションまで駆動する。制御部20は、AFスタートポジションにレンズ10が到達すると、自動的に通常のAF動作をスタートさせる。制御部20は、AFモータ駆動回路24に通常のAF動作を実行させるための駆動信号を印加して、通常のAF動作によって、レンズ10を実際の合焦位置まで駆動する。すなわち、AFスタートポジションは、ゴーホーム動作とAF動作とを切換えるための動作切換位置となる。
【0025】
制御部20は、例えば、フォーカス位置設定SW21によりフォーカス設定が有効になると、不揮発性メモリであるEEPROM23にレンズ10の位置情報を書き込む。これにより、レンズ鏡筒100内の電源がOFFになっても、レンズ10の位置情報は消去されずに記憶されている。EEPROM23には、例えば、制御部20の指示によって、レンズ10の位置情報と、AF予定距離と、フォーカスプリセット位置等とが記憶される。
【0026】
ここで、AF予定距離について説明する。AF予定距離は、AFスタートポジションを決定するために用いられる計算値である。AFスタートポジションは、例えば、プリセット位置(実際の合焦位置とは必ずしも一致しない)からAF予定距離だけ手前(ゴーホーム動作が開始されたレンズ10の位置情報を基準とする)の位置である。ここで、AF予定距離は、レンズ10の焦点距離又は絞りに基づいて算出するだけでなく、例えば、レンズ10の移動量に応じて発生するパルスに基づいて算出してもよい。この場合には、所定パルスに対応する所定距離をAF予定距離とする。
【0027】
つぎに、制御部20の動作について詳細に説明する。
図2は、第1実施形態によるレンズ鏡筒100でのシーケンスを説明するフローチャートである。なお、以下の各ステップは、制御部20の各処理を示している。
まず、合焦用レンズであるレンズ10が移動している状態からスタートする(S100,101)。制御部20は、絶対位置センサ11から得られるデータをEEPROM23に記憶させる(S102)。つぎに、制御部20は、相対位置センサ12から得られるパルスをEEPROM23に記憶させる(S103)。
【0028】
制御部20は、フォーカス位置設定SW21が有効か否かを判定し(S104)、有効であれば、EEPROM23に有効なデータか有るか否かを判定する(S106)。ステップS106での有効なデータとは、レンズ10の位置を特定することができるデータをいう。制御部20は、ステップS106でEEPROM23に有効なデータが有れば、これらの有効なデータを、EEPROM23に記憶して(S107)、再び、ステップS102へ戻る。
【0029】
ステップS106において、EEPROM23に有効なデータが記憶されていない場合には、制御部20は、レンズ10の位置を特定するために、相対位置センサ12からのパルスをカウントしながら、レンズ10を駆動し(S108)、絶対位置センサ11のデータが変化したか否かを判定する(S109)。ステップS109において、制御部20は、絶対位置センサ11のデータが変化するまで、レンズ10を駆動し続ける。
制御部20は、絶対位置センサ11のデータの変化時に、絶対位置センサ11及び相対位置センサ12のデータを、EEPROM23に記憶する(S110)。この時点で、制御部20は、レンズ10の位置を特定したことになる(後述)。制御部20は、相対位置センサ12のデータに基づいて、レンズ10を元の位置まで駆動し(S111)、再び、ステップS102へ戻る。
【0030】
ここで、制御部20がレンズ10の位置を特定する動作原理について説明する。なお、以下の説明は、上述したステップS108〜111に対応する。
制御部20は、レンズ10の位置を特定するために、絶対位置センサ11及び相対位置センサ12からの位置情報をモニタしている。ここで、制御部20は、絶対位置センサ11及び相対位置センサ12からの位置情報をモニタしているだけでは、レンズ10の位置を特定できない場合がある(例えば、電源ON時等)。理由としては、絶対位置センサ11は、絶対距離エンコーダであって、レンズ10の位置を広い範囲でしか特定できない点(例えば、レンズ鏡筒内のHIGH−LOW等)、また、相対位置センサ12は、相対距離エンコーダであって、レンズ10が動作してパルスが発生するまでレンズ10の位置を特定できない点等が挙げられる。
【0031】
したがって、制御部20は、電源ON時に、レンズ10を駆動してパルスを発生させ、相対位置センサ12からの信号をモニタしながら、絶対位置センサ11の信号が変化した時点で、レンズ10の駆動を停止させる。これにより、制御部20は、例えば、レンズ10の位置がHIGHからLOWへ変化するまでのパルス数をカウントして、電源ON時のレンズ10の位置を特定することができる。
レンズ10は、電源ON時のレンズ10の位置を特定するために、制御部20の指示により駆動されているので、レンズ10の位置を電源ON時の位置に再び戻す必要がある。このため、制御部20は、カウントしたパルス数分だけレンズ10を逆方向に駆動することにより、レンズ10を電源ON時の位置に戻すことができる。
【0032】
図2の説明に戻る。上述したステップS104で、フォーカス位置設定SW21が有効でなければ、制御部20は、ゴーホーム設定SW22が有効か否かを判定し(S105)、有効でなければ、再び、ステップS102に戻る。一方、ステップS105において、ゴーホーム設定SW22が有効であれば、ゴーホーム動作処理に移行する(S200)。
【0033】
図3は、第1実施形態によるレンズ鏡筒100でのゴーホーム動作処理に関するフローチャートである。なお、以下の各ステップは、制御部20の各処理を示している。
制御部20は、ゴーホーム動作処理に移行すると、まず、EEPROM23に記憶された絶対位置センサ11からのデータを読み出し(S201)、さらに、相対位置センサ12からのデータを読み出す(S202)。制御部20は、ステップS201,202から得られたデータによりレンズ10の位置を特定する。
【0034】
つぎに、制御部20は、EEPROM23に記憶された上述したAF予定距離データを読み出す(S203)。制御部20は、ステップS201〜203で得られたレンズ10の位置及びAF予定距離データに基づいて、ゴーホーム動作からAF動作に切換えるための動作切換位置であるAFスタートポジションを算出する(S204)。制御部20は、AFモータ駆動回路24にゴーホーム動作を行うための駆動信号を印加して、レンズ10を駆動し、レンズ10がAFスタートポジションに到達したか否かを判定する(S205)。
制御部20は、AFスタートポジションに到達するまでレンズ10を駆動し(S206)、レンズ10がAFスタートポジションに到達すると、通常のAF動作へ移行して(S207)、自動的にレンズ10が被写体に合焦するように動作させ、処理を終了する(S208)。
【0035】
図4は、第1実施形態によるレンズ鏡筒100でのレンズ10のレンズ位置と速度の関係を示す図である。また、横軸は、レンズ10のレンズ位置であり、縦軸は、制御部20からの駆動信号に基づくレンズ10の移動指示速度(レンズ速度)である。
制御部20は、図示のように、ゴーホーム設定SW22が有効になると(ゴーホームSWオン:S105に対応)、AFスタートポジションに到達するまで、レンズ10を高速で移動する(最高スキャン速度:S205に対応)。また、AFスタートポジションは、制御部20によって算出される値であって(S204に対応)、フォーカスプリセット位置からAF予定距離(図中、a)だけ手前に位置している。
【0036】
AFスタートポジションに到達したレンズ10は、通常のAF動作に移行する。したがって、制御部20は、外部操作により予め設定されたフォーカスプリセット位置から被写体が多少動いていた場合(すなわち、フォーカスプリセット位置と合焦位置とが一致していない場合)であっても、合焦位置を自動的に測距して、レンズ10を合焦位置まで駆動するように制御することができる。
また、AFスタートポジションから合焦位置までの距離(図中、b)は、合焦位置がフォーカスプリセット位置より手前にあれば、AF予定距離(図中、a)より小さくなり、一方、合焦位置がフォーカスプリセット位置より遠くにあれば、AF予定距離(図中、a)より大きくなる。すなわち、AFスタートポジションから合焦位置までの距離(図中、b)は、実際のAF動作距離である。また、図中では、合焦位置がフォーカスプリセット位置より手前にある状態を示している。
【0037】
本実施形態によれば、(1)被写体がフォーカスプリセット位置から多少動いた場合であっても、レンズ10は、通常のAF動作より高速なゴーホーム動作によって、AFスタートポジションに到達し、その後、通常のAF動作に自動的に移行して、被写体と自動的に合焦するようにしたので、合焦に要する時間を短縮できる。ここで、ゴーホーム動作がAF動作より高速にできるのは、合焦状態の監視を省けるためである。
(2)ゴーホーム設定SW22を有効にするだけで、ゴーホーム動作及び通常のAF動作を一連の動作として実行することができ、さらに、レンズ10を被写体に自動的に合焦させることができるので、合焦に伴う操作の簡便化を図ることができる。
【0038】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態によるレンズ鏡筒100でのゴーホーム動作処理に関するフローチャートである。なお、以下の各ステップのうち、ステップS201〜207の処理は、上述した処理と同一であり、説明を適宜省略する。
本実施形態でのゴーホーム動作処理は、第1実施形態におけるゴーホーム動作処理において、ステップS207でのAF動作が所定の範囲内(例えば、所定距離)で終了しなかった場合を想定した処理を示したものである。
【0039】
制御部20は、通常のAF動作へ移行した後(S207)、AF動作が所定の範囲内に終了せず、レンズ10が被写体に合焦できなくなるような状況(例えば、スポーツ撮影等で被写体を捉えられない等)を回避するために、フォーカスプリセット位置から所定距離(後述)だけ遠い位置を、AF中断位置として予めEEPROM23に記憶しておく。
制御部20は、レンズ10がAF中断位置に到達したか否かを判定し(S300)、AF中断位置に到達していないならば、再び、ステップS207に戻る。ステップS300において、レンズ10がAF中断位置に到達した場合、制御部20は、追尾モードか否かを判定する(S301)。追尾モードであれば、制御部20は、通常のAF動作処理を行う(S302)。
【0040】
一方、ステップS301で追尾モードでなければ、制御部20は、EEPROM23に記憶されているフォーカスプリセット位置へレンズ10を移動させ(S303)、レンズ10がフォーカスプリセット位置に到達したか否かを判定する(S304)。ステップS304において、レンズ10がフォーカスプリセット位置に到達していなければ、再び、ステップS303へ戻り、フォーカスプリセット位置に到達すると、処理を終了する(S305)。
【0041】
図6は、第2実施形態によるレンズ鏡筒100でのレンズ10のレンズ位置と速度の関係を示す図である。また、横軸は、レンズ10のレンズ位置であり、縦軸は、制御部20からの駆動信号に基づくレンズ10の移動指示速度(レンズ速度)である。なお、レンズ10のレンズ位置とレンズ速度との関係は、レンズ位置がAFスタートポジションに到達するまでは、上述した第1実施形態と同様であるので、説明を適宜省略する。
AFスタートポジションに到達したレンズ10は、通常のAF動作に移行する。ここで、制御部20は、AF動作が誤動作した場合(例えば、他の被写体に合焦しようとした場合)、又は、被写体がフォーカスプリセット位置から大きく離れてしまった場合(例えば、AF中断位置よりさらに遠い位置に被写体が位置している場合)等を考慮して、フォーカスプリセット位置から所定距離(図中、c)だけ遠い位置を、AF中断位置としてEEPROM23に予め記憶させる。
レンズ10は、AF予定距離(図中、a)を移動して、フォーカスプリセット位置に到達した後、所定距離(図中、c)を経て、AF中断位置まで移動する。制御部20は、AF中断位置に達した時点で、AF動作を中断して、レンズ10を再びフォーカスプリセット位置まで移動させる。
【0042】
本実施形態によれば、(1)AF動作が誤動作した場合であっても、AF中断位置を予め設定しているので、通常のAF動作より高速なゴーホーム動作によりレンズ10をフォーカスプリセット位置に移動させ、被写体を完全に逃してしまうことを防止できる。
(2)被写体がフォーカスプリセット位置から大きく離れてしまった場合であっても、AF中断位置を予め設定して、AF動作を自動的に中断することができるので、新たな操作を行い、レンズ10を被写体に合焦できる可能性を大きくできる。
【0043】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲である。
(1)上述した第1,2実施形態では、レンズ10を焦点距離が固定されたレンズとしたが、例えば、焦点距離が可変であるズームレンズを用いてもよい。以下、具体的に説明する。
図7は、変形形態によるレンズ鏡筒の概要を示すブロック図である。以下に示す変形形態では、同一部材には同一符号を付し、重複部分についての説明を適宜省略する。
レンズ鏡筒400は、第1実施形態におけるレンズ鏡筒100と比べると、レンズ10の代わりにズームレンズ13を用いた点、ズームレンズ13のズーム位置を検出するためのズーム位置センサ14をさらに備えた点が異なる。ズーム位置センサ14は、ズームレンズ13及び制御部20に接続されている。制御部20は、上述したAFスタートポジションを算出する場合に(S204に対応)、ズーム位置センサ14からのズーム位置も用いることになる。
【0044】
AF予定距離は、例えば、ズームレンズ13の焦点距離が長くなるにしたがい、長くなる。フォーカスプリセット位置からAF予定距離分だけ手前の位置がAFスタートポジションであるので、例えば、ズームレンズ13の焦点距離が長くなるにしたがい、AFスタートポジションは、さらに手前になる。
このように、レンズ鏡筒400によれば、ズーム位置により焦点距離の変わるズームレンズに対応できる。また、一般に、被写界深度は、焦点距離により変化するので、被写界深度に対応してAFスタートポジションの位置を変更することができる。
【0045】
(2)第2実施形態では、AF中断位置を、フォーカスプリセット位置から所定距離(図中、c)だけ遠い位置としたが、これに限られず、所定距離だけ近い位置としてもよい。また、タイマ等を用いることにより、CPU20は、AF動作に切換わった後であって、フォーカスプリセット位置から所定時間又は所定距離を経た場合に、AF動作を中断して、レンズ10の位置を、フォーカスプリセット位置に移動するようにしてもよい。
【0046】
(3)上述した第1,2実施形態では、制御部20は、レンズ10の固有情報(焦点距離又は絞り)に基づいて、AF予定距離(図中、a)を算出して、フォーカスプリセット位置からAF予定距離だけ手前の位置を、AFスタートポジションとし、同じく、制御部20は、フォーカスプリセット位置から所定パルス(レンズ10の移動量に応じて発生するパルス)に対応した所定距離だけ手前の位置を、AFスタートポジションとしていたが、これに限られず、レンズ10による合焦度合値(例えば、ぼやけ具合、ピントの合い具合)によりAFスタートポジションを決定してもよい。
具体的には、合焦度合値に関するしきい値を予めEEPROM23等に設定し、制御部20は、フォーカス値がしきい値を超えたら、ただちにゴーホーム動作からAF動作に移行するように、AFモータ駆動回路24を制御する。これにより、制御部20は、レンズの固有情報である焦点距離又は絞り、カメラシステムの固有情報であるパルス等を用いなくても、AFスタートポジションを決定することができる。
【0047】
(4)レンズ鏡筒100,400の各機能は、レンズ鏡筒に限らず、レンズ鏡筒が装着されるカメラボディ(カメラシステム)と共有するようにしてもよい。例えば、レンズ鏡筒は駆動系の機能を備え、また、カメラボディは制御系の機能を備えるようにしてもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、プリセット部の動作完了前に、プリセット部の動作から自動合焦部の動作に切換わるようにしたので、被写体の合焦位置がプリセット位置付近にあるときに、プリセット位置付近の合焦位置に、光学部材を素早く移動させることができる。
【0049】
(2)外部操作により設定された所望のプリセット位置に、光学部材の位置を調整するためのプリセット部の動作から、光学部材の位置を合焦位置に合焦させるための自動合焦部の動作に、切換えるための動作切換位置を、プリセット位置及び光学部材の固有情報、又は、プリセット位置に基づいて算出して、動作切換位置で動作を切換えるようにしたので、被写体の合焦位置がプリセット位置付近にあるときに、通常のAF動作よりも高速に合焦位置の手前付近まで光学部材を移動させた後、通常の合焦動作を行う。このため、プリセット位置付近の合焦位置に、光学部材を素早く移動させることができる。
【0050】
(3)切換制御部は、光学部材の固有情報である焦点距離又は絞りに基づいて、所定距離を算出し、プリセット位置から所定距離だけ手前の位置を、動作切換位置とするようにしたので、光学部材の固有情報に対応した動作切換えを行うことができる。
【0051】
(4)切換制御部は、プリセット位置から所定パルスだけ手前の位置を、動作切換位置とするようにしたので、光学部材の動作に伴って発生したパルスに対応した動作切換えを行うことができる。
【0052】
(5)プリセット部の動作における光学部材の最高到達速度は、自動合焦部の動作における光学部材の最高到達速度よりも大きいので、光学部材を、高速に合焦させることができる。
【0053】
(6)切換制御部は、光学部材の位置がプリセット位置に一致した後であって、プリセット位置から所定距離又は所定時間を経た場合に、自動合焦部の動作を中断し、光学部材の位置を、プリセット位置に調整するようにしたので、自動合焦部が誤動作した場合であっても、通常の自動合焦部での動作より高速なプリセット部での動作により、光学部材をプリセット位置に移動させて、被写体を完全に逃してしまうことを防止できる。
【0054】
(7)光学部材が、焦点距離を変更できるズームレンズであって、焦点距離を検出する焦点距離検出部をさらに備えたので、切換制御部は、ズームレンズであっても適切な動作切換位置を算出することができる。
【0055】
(8)プリセット部の動作を開始させるための外部操作信号を、切換制御部に出力する動作開始出力部をさらに備えたので、切換制御部は、プリセット部の動作を外部操作信号によって開始することができる。
【0056】
(9)プリセット部は、光学部材の位置、プリセット位置及び動作切換位置とを記憶するための不揮発性メモリを備えているので、レンズ鏡筒の電源がOFFになっても、光学部材の位置、プリセット位置及び動作切換位置は、消去されずに記憶されている。
【0057】
(10)カメラシステムは、外部操作により設定された所望のプリセット位置に、光学部材の位置を調整するためのプリセット部と、光学部材の位置を合焦位置に移動させるための自動合焦部と、を備え、プリセット部の動作完了前に、プリセット部の動作から自動合焦部の動作に切換わるようにしたので、被写体の合焦位置がプリセット位置付近にあるときに、プリセット位置付近の合焦位置に、光学部材を素早く移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるレンズ鏡筒100の第1実施形態の概要を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態によるレンズ鏡筒100でのシーケンスを説明するフローチャートである。
【図3】第1実施形態によるレンズ鏡筒100でのゴーホーム動作処理に関するフローチャートである。
【図4】第1実施形態によるレンズ鏡筒100でのレンズ10のレンズ位置と速度の関係を示す図である。
【図5】第2実施形態によるレンズ鏡筒100でのゴーホーム動作処理に関するフローチャートである。
【図6】第2実施形態によるレンズ鏡筒100でのレンズ10のレンズ位置と速度の関係を示す図である。
【図7】変形形態によるレンズ鏡筒の概要を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 レンズ
11 絶対位置センサ
12 相対位置センサ
13 ズームレンズ
14 ズーム位置センサ
20 制御部
21 フォーカス位置設定SW
22 ゴーホーム設定SW
23 EEPROM
24 AFモータ駆動回路
100 レンズ鏡筒

Claims (10)

  1. 外部操作により設定された所望のプリセット位置に、光学部材の位置を調整するためのプリセット部と、
    前記光学部材の位置を合焦位置に移動させるための自動合焦部と、
    を備え、
    前記プリセット部の動作完了前に、前記プリセット部の動作から前記自動合焦部の動作に切換わること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  2. 外部操作により設定された所望のプリセット位置に、光学部材の位置を調整するためのプリセット部と、
    前記光学部材の位置を合焦位置に移動させるための自動合焦部と、
    前記プリセット位置及び前記光学部材の固有情報、又は、前記プリセット位置に基づいて、前記プリセット部の動作から前記自動合焦部の動作に切換えるための動作切換位置を算出して、前記動作切換位置で動作を切換えるための切換制御部と、
    を備えたレンズ鏡筒。
  3. 請求項2に記載のレンズ鏡筒において、
    前記光学部材の固有情報は、焦点距離又は絞りであって、
    前記切換制御部は、前記焦点距離又は絞りに基づいて、所定距離を算出し、前記プリセット位置から前記所定距離だけ手前の位置を、前記動作切換位置とすること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  4. 請求項2に記載のレンズ鏡筒において、
    前記切換制御部は、前記プリセット位置から所定パルスだけ手前の位置を、前記動作切換位置とすること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載されたレンズ鏡筒において、
    前記プリセット部の動作における前記光学部材の最高到達速度は、前記自動合焦部の動作における前記光学部材の最高到達速度よりも大きいこと、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  6. 請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載されたレンズ鏡筒において、
    前記切換制御部は、前記自動合焦部の動作に切換わった後であって、前記プリセット位置から所定距離又は所定時間を経た場合に、前記自動合焦部の動作を中断し、前記光学部材の位置を、前記プリセット位置に移動すること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載されたレンズ鏡筒において、
    前記光学部材が、焦点距離を変更できるズームレンズであって、
    前記焦点距離を検出する焦点距離検出部をさらに備えたこと、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  8. 請求項2から請求項7までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、
    前記プリセット部の動作を開始させるための外部操作信号を、前記切換制御部に出力する動作開始出力部をさらに備えたこと、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、
    前記プリセット部は、前記光学部材の位置と、前記プリセット位置と、前記動作切換位置とを記憶するための記憶部を備え、
    前記記憶部は、不揮発性メモリであること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  10. 外部操作により設定された所望のプリセット位置に、光学部材の位置を調整するためのプリセット部と、
    前記光学部材の位置を合焦位置に移動させるための自動合焦部と、
    を備え、
    前記プリセット部の動作完了前に、前記プリセット部の動作から前記自動合焦部の動作に切換わること、
    を特徴とするカメラシステム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8027581B2 (en) 2008-01-25 2011-09-27 Sony Corporation Imaging apparatus, imaging apparatus control method, and computer program

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