JP2004294354A - 振動体の特性調整方法及びこの調整方法により形成された振動ジャイロ - Google Patents

振動体の特性調整方法及びこの調整方法により形成された振動ジャイロ Download PDF

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Abstract

【課題】振動体の特性を改善するために脚の角部を面取りすることにより改善が可能であることは知られている。しかしその方法として信頼性や小型化の要請に答えられる特性の調整方法に課題があった。
【解決手段】振動体の一部に振動方向などの特性を調整する調整部M1〜M8を有する振動体の調整部を、運動発生体により往復運動を与えられた硬質の工具である砥石K1により研削を行う。この砥石K1は片持ちにより保持され、振動体を容器J14の支持部に取付け且つ箱形の容器J14に収納した状態で研削する。この振動体は2個以上の脚J11〜J13とこの脚を結合する基部を有し、この脚J11〜J13の叉部近傍の角部の対角線方向の2カ所に面取りM1からM8を施すことによって特性の調整が行われる振動ジャイロ用の振動体に採用される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動体の振動方向等の特性を調整する特性調整方法とその調整により形成された振動体を採用した振動ジャイロに関するものであり、特に角速度を検出する振動ジャイロの振動方向を調整するのに有効な調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
振動体は、例えば切り出し角度などにより、一般には振動方向が決めらることにより正確な振動を発生させ、その振動数などを利用しようとするものである。この際、決められた方向以外の方向に振動が現れると、これはノイズとなっていろいろ悪さをするものである。振動ジャイロの場合はこの異なる振動方向を利用して駆動及び検出の2つの振動モードを使用するが、駆動振動発生時に検出振動が発生すると性能が落ち、高精度と高信頼性を備えた振動ジャイロを得ることが出来ないことが知られている。以下、本願では振動体として振動ジャイロに用いるものを例に取り説明するが、一般の振動体にも適用できることは当然である。
【0003】
近年では振動ジャイロも小型化の研究が進み、圧電素子で振動体を励振し、振動体に設けた別の圧電素子で振動体が回転により受けるコリオリ力によって起きる振動により発生する電圧を検出する振動ジャイロの実用化が進み、自動車のナビゲーションシステムやビデオカメラの手振れ検出装置等に使われている。
【0004】
このような振動ジャイロの応用分野は、振動ジャイロの出力である角速度から見て、角度を算出する積分型用途と、振れなどの角加速度を検出する微分型用途に大別されるが、特に積分型用途では高い精度と信頼性が要求される。
【0005】
振動体の中で、圧電性単結晶の振動体を用いた振動ジャイロは、構造が簡単で、温度特性に優れ、積分型用途として有望視されている。以下に圧電性単結晶を使用した例として、水晶を用いた音叉型振動ジャイロについて図面を用いて説明する。図5,図6は振動ジャイロの動作を説明するための図で、図5は従来の2脚音叉型振動体の外観を示す斜視図、図6は2脚音叉型水晶ジャイロの駆動検出方法を説明するための断面及び配線や駆動検出回路の模式図である。
【0006】
図5において、2脚の音叉型振動体J10は水晶を一体加工したものに、駆動及び検出電極を蒸着した構造を有している。すなわち音叉型振動体J10は、平行に配置された第1の脚J11及び第2の脚J12が、基部J15に結合した構造を持つものである。第1の脚J11には、駆動電極J1、J2、J3及びJ4が蒸着されており、第2の脚J12には、検出電極J5、J6、J7及びJ8が蒸着されている。尚、図5には電極J1、J2とJ5は図示されていない。基部J15の底面は、容器への支持に用いられる。
【0007】
ここで、脚の伸びた方向をY軸より角度θだけ傾けたY’軸方向とし、2本の脚の並ぶ方向をX軸方向、X軸及びY’軸方向に直交する方向をZ’軸方向とする。本願においては以後の説明にはこの方向軸を使用する。
【0008】
次に図6を用いて作用について説明する。図6において、左側に記す第1の脚J11の断面には、脚の平面に駆動電極J1、J2、J3及びJ4の断面が記載され、右側に記す第2の脚J12の断面には脚の角部に検出電極J5、J6、J7及びJ8の断面が記載されている。
【0009】
まず第1の脚J11が例えば第2の脚J12方向に向かってX軸方向に屈曲すると、電極J2近傍がY’軸方向に伸び、電極J4近傍がY’軸方向に縮むが、この時水晶内部では圧電効果により電極J2近傍ではX軸方向に、また電極J4近傍では−X軸方向に電界が発生する。この時電界の向きを考慮すると、電極J2及びJ4はその絶対値が(ほぼ)同電位で、脚の中央より例えば高い電位となる。X軸方向に見ると、脚の中央付近に配置された電極J1及びJ3は、相対的に電極J2及びJ4より低い電位となるので、電極J2及びJ4と、電極J1及びJ3の間には、電位差が発生する。
【0010】
圧電効果は可逆的なので、電極J2及びJ4と、電極J1及びJ3の間に電位差を与えれば、水晶内部には、これに応じた電界が発生し、第1の脚J11はX軸方向に屈曲することになる。これらのことから、例えば電極J1及びJ3の電位を参照として発振条件を超える増幅率でアンプJGを用いて増幅し、発振条件を満足する位相に移相回路JPで整えて電極J2及びJ4に戻すことにより、第1の脚J11の屈曲に伴う機械的な戻り力と電気的な力の間でエネルギーの交換が起こり、第1の脚J11をX軸方向に自励発振させることができる。
【0011】
音叉型振動体J10全体で見ると、第1の脚J11及び第2の脚J12の運動量をバランスさせる為、第1の脚J11がX軸方向に動く時、第2の脚J12は−X軸方向に動き、第1の脚J11が−X軸方向に動く時、第2の脚J12がX軸方向に動く動作となるが、これを、通常の音叉が1つの面内で振動を行うのを理想とする慣例から、面内屈曲振動と呼ぶが、第1の脚J11とアンプJG及び移相回路JPで発生させる振動は面内屈曲振動と同じ動作であり、その周波数は、音叉型振動体J10の面内屈曲振動の共振周波数とほぼ一致する。
【0012】
この状態で音叉型振動体J10全体をY’軸の回りに角速度ωで回転させると、音叉型振動体J10の2つの脚には、面内屈曲振動と直交するZ’軸方向にコリオリ力Fcが働く。コリオリ力Fcは以下の式で表すことができる。
FC=2・M・ω・V
ここで、Mは第1の脚J11又は第2の脚J12の質量であり、Vは第1の脚J11又は第2の脚J12の速度である。このコリオリ力FCは、第1の脚J11及び第2の脚J12に、面内屈曲振動の動作方向であるX軸方向と直交する、Z’軸方向に変位する屈曲振動を励起する。以下これを面外屈曲振動と呼ぶ。また、コリオリ力は変位でなく、速度に比例する力なので、コリオリ力により発生する面外屈曲振動は、面内屈曲振動より90度位相が遅れて発生する。
【0013】
この面外屈曲振動により、例えば第2の脚J12の電極J5及びJ8の近傍はY’軸方向に伸び縮みし、電極J6及びJ7の近傍は電極J5及びJ8の近傍と逆相で伸び縮みする。例えば、電極J5及びJ8の近傍がY’軸方向に伸びている時、電極J5及びJ8の近傍の第2の脚J12の内部ではX軸方向に電界が発生し、この時電極J6及びJ7の近傍はY’軸方向に縮むので、電極J6及びJ7の近傍の第2の脚12の内部では−X軸方向に電界が発生する。
【0014】
すなわち電極J5の電位が電極J8の電位より高い時、電極J7の電位は電極J6の電位より高い状態となる。また、電極J5及びJ8の近傍がY’軸方向に縮んでいる時、電極J5及びJ8の近傍の第2の脚J12の内部では−X軸方向に電界が発生し、この時電極J6及びJ7の近傍はY’軸方向に伸びるので、電極J6及びJ7の近傍の第2の脚J12の内部ではX軸方向に電界が発生する。すなわち電極J5の電位が電極J8の電位より低い時、電極J7の電位は電極J6の電位より低い状態となる。
【0015】
面外屈曲振動により発生するこれら電極J5及びJ8と、電極J6及びJ7の間の電位差は、Z’軸方向に振れる第2の脚J12の方向に従って変化する。見方を変えると、例えば電極J5が高電位の時電極J7も高電位であり、この時電極J6及び電極J8は低電位であり、電極J5が低電位の時電極J7も低電位であり、この時電極J6及び電極J8は高電位である。コリオリ力は、電極J5又は電極J7と、電極J6又は電極J8の間の電位差として現れる。
【0016】
コリオリ力の検出信号は、電極J5及び電極J7を一方の入力信号とし、電極J6及び電極J8を他方の入力信号とした、差動バッファJDを経て乗算回路JMに導かれ、面内屈曲振動の発振系の出力を、コリオリ力が90度遅れて発生するのを補正する目的で、アンプJGの出力を、移相回路JP2により90度移相し、コンパレータJCにより2値化した参照信号により乗算され、乗算により検波された結果は、更に積分回路JSにより平滑化され、正確な直流出力として検出できる。この直流出力はコリオリ力FCに比例し、コリオリ力FCは角速度ωに比例するので、この直流出力により角速度ωを知ることができる。
【0017】
このように、振動体は、脚の伸びた方向に直交する面内に直交する2つの方向軸を採り、この何れかを駆動振動発生方向とし、これに直交する方向を検出振動発生方向としている。即ち脚の2つの直交する振れ方向の振動を利用するものである。この際2つの方向の共振周波数が近接していると、圧電単結晶の結晶異方性や製造時の誤差により、多くの場合は、駆動振動と検出振動に機械的結合が生じ、脚は1方向にのみ振れるのではなく、脚はあたかも皿回しの棒のごとき回転動作となってしまう。即ち、脚の先端の軌跡は楕円運動となる。
【0018】
このことを図7の説明図により説明すると、駆動振動と検出振動の共振周波数が300Hz程度の接近した構成を必要とする振動体に於いては、加工精度の限界や、水晶などの結晶異方性に起因して、駆動振動と検出振動の機械的結合が発生する。図7に示すように、駆動振動と検出振動の機械的結合がある場合は、脚J11及びJ12の先端の軌跡はX軸方向への直線的な振動とならず、X−Z’平面に平行な平面内で楕円軌道を描くような動作となる。このとき、電極J5、J7及びJ6、J8からはコリオリ出力と無関係な振動出力が発生しており、これがノイズやドリフトの原因となる。
【0019】
このような楕円軌道を描く振動方向を矯正するために、図8に示すような振動方向の調整構造が採用されている。図8は2脚音叉型の振動体の外観を示す斜視図で、調整箇所を示している。即ち、この楕円軌道の調整のためには矩形の脚の角部を面取りすることにより振動方向を変化させることができる(例えば、特許文献1参照)。面取りを行う部分は、脚の先端部ではなく、叉部に近い部分であり、図6に示すように、調整に用いることができる面取り部分は、2脚型の音叉型振動体J10の場合は脚J11か脚J12の2本の脚の叉部付近の角部である面取り部M1からM8の8カ所から適宜選択する。
【0020】
上記の面取りの方法として、従来は研磨剤を埋め込んだテープを脚の面取り部分に接触させて脚を研削する方法が採られていた(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されている図9と図10により簡単に説明すると、駆動ローラを含むテンションローラにテープを巻き付け、振動体に対し約7度傾けた状態でテープを振動体に接触させ、駆動ローラを往復回転させて振動体に研削された面取り部を形成する。
【0021】
尚、本願に示す図9は3脚音叉型水晶ジャイロの駆動検出方法を説明するための断面及び配線や駆動検出回路の模式図である。今までは全て2脚音叉型水晶ジャイロの振動体や検出回路について説明してきたが、3脚音叉型水晶ジャイロについても全く同様の構成で説明することが出来る。
【0022】
図9を簡単に説明すると、脚J11と脚J12は脚の平面に駆動電極1L、1R、1D、1U及び2L、2R、2D、2Uを有し、これらの駆動電極によって面内屈曲振動をする。脚J13においては1つは脚の平面上に電極2Rを有しアースされており、2個の電極3D、3Uは角部に形成されこの電極3D、3Uが検出電極を形成する。回路系については図6の構成と同じである。
【0023】
【特許文献1】
特開2002―243451号公報(第4頁から第7頁、図3及び図9と図10)
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術で説明したように、振動ジャイロは駆動振動発生時に検出振動が発生するとコリオリ出力によらない検出振動は温度ドリフトやノイズの原因となるため、その除去として振動脚の根本付近の角部分を面取りする。この面取り方法として従来は研磨剤を埋め込んだテープのように軟質の工具を利用していたが、センサーの小型化の要請に従って振動子の小型化を極限まで進めると、脚の角部分の面取り作業を行う刃物の構造に制限が発生し、ある程度の小型化を境に事実上テープによる作業では面取りが困難になる。特に脚の対角線上の角部に面取りを行うことは不可能に近い。
【0025】
更に、自動化による加工を行おうとする時、テープのような軟質工具を使用すると、装置が複雑になったり、装置が大型化してしまうなどの課題を有することとなる。特に、箱形の容器のようなものに振動体を支持した状態で上記の軟質テープを使用すると、容器側の角部の面取り作業が不可能となるという欠点を有している。
【0026】
[発明の目的]
本発明の目的は、上記課題を解決しようとするもので、信頼性や小型化の要請に答えられる振動方向などの特性の調整方法を提供するものである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の振動体特性の調整方法は、下記の構成を採用する。即ち、請求項1に記載の発明は、振動体の一部に振動方向などの特性を調整する調整部を有する振動体の特性調整方法であって、調整部を研削する硬質の工具と、この工具に往復運動を与える運動発生体とを用い、硬質の工具の往復運動により調整部を研削することを特徴とする。
【0028】
また請求項2に記載の発明は、特性の調整のため、硬質の工具として砥石を用い、片持ちされた砥石に往復運動を与えることによって行うことを特徴としている。
【0029】
請求項3に記載の発明は、振動体が駆動電極と検出電極を備えた振動ジャイロに使用するものであり、振動体の調整部は脚の角部に面取り形状を施すことによって特性の調整を行うことを特徴とする。
【0030】
請求項4に記載の発明は、振動ジャイロ用の振動体は2本以上の脚とこの脚を結合する基部を有し、この脚の叉部近傍の角部の対角線方向の2カ所に面取りを施すことによって振動方向などの特性の調整を行うことを特徴とする。
【0031】
請求項5に記載の発明は、特性の調整において振動体の基部を容器の支持部に取付け且つ箱形の容器に収納した状態で行うことを特徴とする。
【0032】
更に請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のうちのいずれかの方法により特性の調整を行った振動体を支持した振動ジャイロであることを特徴としている。
【0033】
[作用]
本発明による振動体特性の調整方法は、運動発生装置先端に片持ちで砥石を装備し砥石に往復運動を与えながら振動体に接触させる方式を採ることにより、信頼性や小型化の要請に答えられ、自由なパッケージ構造を採用しても振動方向の調整を可能としたものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の振動ジャイロを得るための最良の実施形態を図面に基づき説明する。図1は3脚音叉型の振動ジャイロの振動方向を調整する調整方法を示す断面図であり、図2は調整装置の構成を示している。図3及び図4は面取りされた形状を説明するための模式図である。前述のように説明に用いる座標軸は図5に示すものを用いている。
【0035】
本実施の形態に於いて取り扱う振動体は、図9に示した3脚音叉型振動体の形状を用いて説明するが、前述のように図6で説明した2脚音叉型振動体のものとその構成は同等である。すなわち、図6の2脚音叉型振動体のように、駆動電極J1からJ4を用いて振動体を自励発振させ、電極J5からJ8にてコリオリ出力を得る構成において、差動アンプJDにより打ち消すことが出来ない、脚の検出方向への振動に起因する出力を低減する為の調整を行う方法を述べる。
【0036】
駆動振動と検出振動の共振周波数が300Hz程度の接近した構成を必要とする振動ジャイロに於いては、加工精度の限界や、水晶などの結晶異方性に起因して、駆動振動と検出振動の機械的結合が発生する。図7に示すように、駆動振動と検出振動の機械的結合がある場合は、脚J11及びJ12の先端の軌跡はX軸方向への直線的な振動とならず、X−Z’平面に平行な平面内で楕円軌道を描くような動作となる。このとき、電極J5、J7及びJ6、J8からはコリオリ出力と無関係な振動出力が発生しており、これはノイズやドリフトの原因となる。
【0037】
しかしながら、この楕円軌道は矩形の脚の角部を面取りすることにより変化させることができる。図8に示すように、面取りを行う部分は、脚の先端部ではなく、又部に近い部分であり、脚J11及びJ12の2本の脚の又部付近を調整に用いることができる。面取り部分は角部M1〜M8の8カ所のいずれかを研削することで行う。
【0038】
次に面取りによる調整方法を説明する。図1は調整方法を説明するための模式図である。図1は3脚構成で図示してあるが、2脚構成でも方法は全く同じである。非常に硬い水晶の面取りは、砥石等での研削工程となる。本実施の形態に於いては、PZT等の圧電素子や、電磁コイルを用いた振動発生部分と砥石を組み合わせた後述の振動研削装置を用いて面取りを行う。
【0039】
図1において、板状の砥石K1を紙面に平行な方向に往復運動させ、砥石K1の紙面に垂直な方向の板面を例えば脚J12の面取り部M6に平行になるように接触させることで面取り調整を行う。他の面取りについても同様で、脚J11の面取り部M2あるいは脚J12の面取り部M7についても、板状の砥石K1を紙面に平行な方向に往復運動させ、砥石K1の紙面に垂直な方向の板面を平行に接触させることで調整を行う。
【0040】
図2は研削装置の大まかな構成を示す説明図である。矩形の筐体K3に圧電素子を用いた往復運動発生装置K2を取り付け、更にその先端側に板状の砥石K1を片持ち形式で取り付けてある。筐体K3は面取量や面取り箇所の変更を実現できるようにX−YステージK4に保持固定されてある。
【0041】
次に調整作業について、図3と図4を参照しながら説明する。調整作業は、図9に示した回路構成を持つ検査装置で検出電極3D、3Uから観測される、駆動振動との結合により生じた検出振動方向への振動に起因する出力の大きさをモニターしながら、これが小さくなる様に、面取り部M1〜M8を加工していく作業である。
【0042】
検出方向への振動は、M1、M3、M5及びM7の面取り部が平行になる頂点の面取り(図3参照)では同じ方向に変化し、また面取り部の方向がこれらと直交するM2、M4、M6及びM8の頂点の面取り(図4参照)では逆方向に変化する。このように面取りによる調整作業は脚の角部の対角線方向に行うとより精度が安定する。従って、調整は、次の手順で行う。
【0043】
まず、調整を行いやすいM1を面取りすることにより、漏れ出力の大きさの変化を観察する。漏れ出力が減少する場合は、M1、M3、M5及びM7の面取りをバランスよく行い、漏れ出力を限りなくゼロになるまで追い込んでゆく。M1だけでなくM3、M5及びM7をバランス良く面取りする理由は、面取りによる脚の変形が対称的に行われることにより、Q値の劣化をできるだけ防ぐ目的からである。
【0044】
一方最初のM1の面取りで漏れ出力が増加した場合は、M1とは逆方向の面取りが必要であることを意味しているのであるから、M2、M4、M6及びM8の角部の面取りを上述と同様の理由でバランス良く面取りを行う。
【0045】
調整作業は、振動体単体ではなく、振動ジャイロの製造工程に於いて、支持部に取り付けた後に行う。これは、振動体の振動状態が支持部に取り付けられた状態で初めて決定されるからである。更に近年は振動ジャイロの容器としてはセラミックなどの容器を使用するが、後に真空封止を行うことを考慮すると、このような容器は図1に示すような箱形の容器J14が最適である。本実施の形態でも、支持部としては信頼性の高い箱型のセラミック容器を用いている。箱型の容器内の支持部に取り付けられた状態で面取り部M1からM8の角部の面取りを行うのである。
【0046】
さて、このような面取り部M1からM8の角部の面取り部分を面取りできるための条件は、脚の間隔を脚幅の2倍程度に設計しておき、容器J14の側面と脚J11(又はJ13)との間隔を脚幅の2倍程度に設計し、砥石の厚みを脚幅の半分程度にする必要があるが、現実的な砥石K1の厚み100マイクロメートル(μm)から逆算すると、脚の幅が200μm程度の振動ジャイロまでなら調整は可能である。更に小型のものに対しては、砥石の厚みを同じ比率で小さくしてゆく必要がある。
【0047】
このような箱形容器J14に収納した振動体の調整を行うためには、従来技術のようなテープ状の軟質工具で行うことは不可能で、本願のような硬質の工具である砥石のようなもので加工を行わなければならない。硬質の工具であれば工具を片持ちで保持することが可能だからである。
【0048】
また、この時面取りに使用する振動発生装置K2の周波数は、被加工物の共振周波数からはずれたもの、具体的には、支持部固定時の1次振動は6個あり、例えば10キロヘルツ(以下kHzと記載する)、12kHz、15kHz、16kHz、17kHz、17.3kHz等を使用する。被加工物の共振周波数付近の振動を被加工物に与えると、共振を起こしている部分で被加工物が破壊されるからである。
【0049】
本実施の形態に於いては、既に示した水晶3脚音叉の振動子を例に説明したが、本発明は、脚の数は例えば1,2,3,4,5本等、脚の数に限定されるものでは無く、また材質も水晶に限らず全ての材質の振動体に適用できるものである。更に工具としては硬質のもので有れば使用可能で、例えば切削的に加工することが可能で有れば切削工具でもかまわない。また、本実施の形態においては振動ジャイロ用振動体として説明したが、振動ジャイロ用に限るものでもない。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明による振動体の特性調整方法は、振動発生装置先端に硬質工具である砥石を装備した加工部を振動子に接触させる方式を採ることにより、振動体の信頼性や小型化の要請に答えることが可能である。また、自由な容器の構造を採用しこの容器に支持した状態で特性の調整が可能となり、駆動振動の影響を殆ど検出部に及ぼす事がなく、結果として高いS/N比と低いドリフトを実現する振動体を提供できる。しかもこのような振動体を採用した振動ジャイロを提供することにより、信頼性や小型化の要請に答えられ自由なパッケージ構造を採用出来る振動ジャイロを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による3脚音叉型の振動ジャイロの特性を調整する調整方法を示す断面図である。
【図2】本発明による調整装置の構成を示す。
【図3】本発明による面取りされた形状を説明するための模式図である。
【図4】本発明による図3と反対方向に面取りされた形状を説明するための模式図である。
【図5】振動体の動作を説明するための図で、従来の2脚音叉型振動体の外観を示す斜視図である。
【図6】振動ジャイロの動作を説明するための図で、2脚音叉型水晶ジャイロの駆動検出方法を説明するための断面及び配線や駆動検出回路の模式図である。
【図7】2脚音叉型振動体の楕円振動を説明するための説明図である。
【図8】2脚音叉型の振動体の調整箇所を示す斜視図である。
【図9】3脚音叉型水晶ジャイロの駆動検出方法を説明するための断面及び配線や駆動検出回路の模式図である。
【符号の説明】
J1〜J8 電極
J10 音叉型振動体
J11 第1の脚
J12 第2の脚
J13 第3の脚
J14 容器
J15 基部
JC コンパレータ
JD 差動バッファ
JG アンプ
JM 乗算回路
JP ,JP2 移相回路
JS 積分回路
M1〜M8 面取り部
K1 砥石
K2 振動発生装置
K3 筐体
K4 X−Yステージ

Claims (6)

  1. 振動体の一部に振動方向などの特性を調整する調整部を有する振動体の特性調整方法において、前記調整部を研削する硬質の工具と、該工具に往復運動を与える運動発生体とを用い、前記硬質の工具の往復運動により前記調整部を研削することを特徴とする振動体の特性調整方法。
  2. 特性の調整は、前記硬質の工具として砥石を用い、片持ちされた該砥石に往復運動を与えることによって行うことを特徴とする請求項1に記載の振動体の特性調整方法。
  3. 前記振動体は駆動電極と検出電極を備えた振動ジャイロに使用するものであり、前記振動体の調整部は脚の角部に面取り形状を施すことによって特性の調整を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の振動体の特性調整方法。
  4. 前記振動ジャイロ用の振動体は2本以上の脚とこの脚を結合する基部を有し、該脚の叉部近傍の角部の対角線方向の2カ所に面取りを施すことによって振動方向などの特性の調整を行うことを特徴とする請求項3に記載の振動体の特性調整方法。
  5. 特性の調整は前記振動体の基部を容器の支持部に取付け且つ箱形の容器に収納した状態で行うことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の振動体の特性調整方法。
  6. 請求項1から請求項5のうちのいずれかの方法により特性の調整を行った振動体を支持したことを特徴とする振動体の特性調整方法により形成された振動ジャイロ。
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