JP2004294041A - 極低温冷凍機 - Google Patents
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Abstract
【課題】真空槽の外部からの操作により、冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性を高めるのに有利な極低温冷凍機を提供する。
【解決手段】主真空断熱室10及び副真空断熱室11を仕切ると共に外郭冷却ステージ3をもつ隔壁部12を有する真空槽1が設けられている。冷凍部5は、副真空断熱室11内に着脱可能に出し入れされる。冷凍部5は、外郭冷却ステージ3に熱的に接触可能であり且つ極低温に維持される冷却ステージ6をもつ。冷却ステージ6及び外郭冷却ステージ3の接触度が増加するように、冷却ステージ6及び外郭冷却ステージ3のうちの一方を他方に対して押し付ける押し付け力を、真空槽1の外部からの操作で実行する外部操作手段7が設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】主真空断熱室10及び副真空断熱室11を仕切ると共に外郭冷却ステージ3をもつ隔壁部12を有する真空槽1が設けられている。冷凍部5は、副真空断熱室11内に着脱可能に出し入れされる。冷凍部5は、外郭冷却ステージ3に熱的に接触可能であり且つ極低温に維持される冷却ステージ6をもつ。冷却ステージ6及び外郭冷却ステージ3の接触度が増加するように、冷却ステージ6及び外郭冷却ステージ3のうちの一方を他方に対して押し付ける押し付け力を、真空槽1の外部からの操作で実行する外部操作手段7が設けられている。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は第1真空断熱室及び第2真空断熱室を仕切る隔壁部を有する真空槽をもつ極低温冷凍機に関し、特に第2真空断熱室に冷凍部を着脱可能に取り付ける方式の極低温冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】
スターリング冷凍機、ギフォード・マクマホン冷凍機、パルス管冷凍機等の冷凍機は、その被冷却体の冷却温度や形状に応じて、単段または複数段の寒冷発生部である冷却ステージを持ち、冷却ステージで熱的接触性により被冷却体を冷却している。
【0003】
各冷却ステージにおける熱的接触性は、熱抵抗を十分小さくすることが好ましく、被冷却体に十分な圧力で押し付けるためネジ等での締結で確保されている。さらに外部からの熱侵入を十分低く抑えるために、冷却ステージと被冷却体とを真空断熱室に配置している。
【0004】
そのような接続構造のため、極低温冷凍機の冷凍部をメンテナンスする場合には、極低温冷凍機の運転を停止させ、真空断熱室を室温まで昇温させた後に、その真空断熱室の真空を破り、被冷却体と冷却ステージとを締結しているネジを外し、冷凍部を真空断熱室から分離、取り出し、冷凍部を改修する等の作業を必要としている。
【0005】
この作業において、被冷却体の昇温自体がヘリウム等の寒剤を併用している場合にはその寒剤の消耗等になったり、あるいは真空の破壊後の再真空引き実施という時間的なロスになっている不具合がある。
【0006】
このような不具合を解決するために、近年、特許文献1に開示されて技術が開発されている。即ち、第1真空断熱室及び第2真空断熱室を仕切ると共に外郭冷却ステージをもつ隔壁部を有する真空槽と、第2真空断熱室内に着脱可能に出し入れされる冷凍部とを備えている極低温冷凍機の構造が提案されている。
【0007】
このものによれば、冷凍部を交換するときには、第2真空断熱室から冷凍部を取り外す。この場合、第1真空断熱室における真空状態、極低温状態は基本的には維持される。このものによれば、冷凍部の交換時において、極低温冷凍機の冷凍部の冷却ステージ(寒冷発生部)を外郭冷却ステージに熱的に接触させることにしている。
【0008】
この場合、問題になるのが、外郭冷却ステージと冷凍部の冷却ステージとの熱的接触性を確保することである。殊に、冷凍部により極低温が発生すると、極低温化に伴う熱収縮に基づいて、外郭冷却ステージと冷却ステージとの熱的接触性が低下するおそれがある。このおそれを防止するための手段として、通常は、冷凍部を真空槽に取り付けるときにおける押付力を利用している。
【0009】
更に、近年、第2真空断熱室を形成する隔壁部の一部にバネ構造を設け、そのバネ構造の弾性復元力により、冷凍部の熱収縮に起因する熱的接触性の不足を解消する技術が提案されている(特許文献2)。
【0010】
上記した特許文献2に係る技術について図8に基づいて更に説明する。図8に示すように、この極低温冷凍機は、第1真空断熱室10H及び第2真空断熱室11Hを仕切ると共に外郭冷却ステージ3Hをもつ隔壁部12Hを有する真空槽1Hと、第2真空断熱室11H内に着脱可能に出し入れされる冷凍部5Hとを備えている。外郭冷却ステージ3は、隔壁部12Hと共に第2真空断熱室11Hの真空断熱状態を確保している。そして、図8に示すように、第2真空断熱室11Hを形成する隔壁部12Hの一部にバネ構造12kを設け、そのバネ構造12kの矢印Y1方向に向かう弾性復元力により、第2外郭冷却ステージ3Hを第2冷却ステージ6Hに押しつけ、第2外郭冷却ステージ3Hと第2冷却ステージ6Hとの熱的接触性を高め、第2冷却ステージ6Hにより第2外郭冷却ステージ3Hの吸熱性を高め、ひいては被冷却体300を効率よく冷却させている。
【0011】
【特許文献1】特開2001−23814号公報
【特許文献2】特開2001−230459号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記した特許文献2に係る技術によれば、図8に示すように、バネ構造12kは一定のバネ定数を有するものの、バネ構造12kによる押し付け力を真空槽1の外部から操作できるものではなく、第2外郭冷却ステージ3Hと第2冷却ステージ6Hとの熱的接触性を高めるには限界があった。
【0013】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、真空槽の外部からの操作により、冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性を高めるのに有利な極低温冷凍機の取付構造を提供することを課題とするにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る極低温冷凍機は、第1真空断熱室と、第2真空断熱室と、第1真空断熱室及び第2真空断熱室を仕切ると共に外郭冷却ステージをもつ隔壁部とを有する真空槽と、
第2真空断熱室内に着脱可能に出し入れされ、外郭冷却ステージに熱的に接触可能であり且つ極低温に維持される冷却ステージをもつ冷凍部とを具備する極低温冷凍機において、
極低温冷凍機は、
冷却ステージ及び外郭冷却ステージの接触度が増加するように、冷却ステージ及び外郭冷却ステージのうちの一方を他方に対して押し付ける押し付け力を、真空槽の外部からの操作で実行する外部操作手段を具備することを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る極低温冷凍機によれば、真空槽の外部から外部操作手段を操作することにより、冷却ステージ及び外郭冷却ステージのうちの一方を他方に対して押し付ける押し付け力を発生させ、冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性が高められる。これにより冷却ステージにより外郭冷却ステージを効率よく冷却でき、ひいては被冷却体を効率よく冷却できる。
【0016】
なお、冷却ステージは寒冷発生部であり、冷凍部により極低温に維持されるものである。外郭冷却ステージは冷凍部の冷却ステージの相手材であり、冷却ステージに熱的に接触して冷却ステージによって冷却されるものであれば、何でも良い。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る極低温冷凍機によれば、冷凍部は、例えば、スターリング冷凍機、ギフォード・マクマホン冷凍機、パルス管冷凍機等の冷凍部とすることができる。この場合、ジュールトムソン冷凍機と組み合わせても良い。
【0018】
第1真空断熱室及び第2真空断熱室は、極低温冷凍機の運転時において高真空状態に維持されるものである。第1真空断熱室及び第2真空断熱室は、真空度が同一であっても良いし、異なっていても良い。
【0019】
本発明に係る極低温冷凍機によれば、外部操作手段は、冷却ステージと外郭冷却ステージとを締結する締結部材と、締結部材を操作させて冷却ステージ及び外郭冷却ステージの熱的接触性を高める治具を真空槽の外部から挿通する治具挿通孔とを有する形態を例示できる。締結部材としては螺子部材を例示できるが、冷却ステージ及び外郭冷却ステージを連結して両者の熱的接触性を高め得るものであれば、何でも良い。治具挿通孔を気密的に覆う機能をもつ蓋部材が設けられていることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る極低温冷凍機の他の形態によれば、外部操作手段は、冷却ステージ及び外郭冷却ステージのうちの少なくとも一方に設けられ冷却ステージ及び外郭冷却ステージに接触可能な締結部材と、真空槽の外部から操作され操作に伴い締結部材を冷却ステージの半径方向に変位させて冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性を高める治具とを有する形態を例示できる。
【0021】
また、本発明に係る極低温冷凍機の他の形態によれば、外部操作手段は、冷却ステージ及び外郭冷却ステージのうちの少なくとも一方に設けられ冷却ステージ及び外郭冷却ステージに接触可能な締結部材と、真空槽の外部から操作され操作に伴い締結部材を前記冷却ステージの半径方向に変位させて冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性を高める治具を真空槽の外部から挿通する治具挿通孔とを有する形態を例示できる。治具挿通孔を気密的に覆う機能をもつ蓋部材が設けられていることが好ましい。
【0022】
また、本発明に係る極低温冷凍機の他の形態によれば、外部操作手段は、冷却ステージを第2真空断熱室に進入させつつ冷凍部を設置する設置部と、冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性を高める方向に設置部を真空槽に対して変位可能に保持する締結部材とを有する形態を例示できる。冷凍部設置用の設置部の位置を真空槽に対して変位させれば、冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性を調整することができる。従って冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性を高めることができる。
【0023】
本発明に係る極低温冷凍機によれば、冷却ステージは、第1冷却ステージと、第1冷却ステージの先方に設けられた第2冷却ステージとを有しており、外郭冷却ステージは、第1冷却ステージに熱的に接触可能な第1外郭冷却ステージと、第2冷却ステージに熱的に接触可能な第2外郭冷却ステージとを有している形態を例示できる。この場合、第1外郭冷却ステージ及び第2冷却ステージのうちの少なくとも一方は、第2冷却ステージを第2真空断熱室内に進入させたとき、第2冷却ステージと第1外郭冷却ステージとの干渉を抑える逃げ開口を有する形態を例示できる。逃げ開口により、第2冷却ステージと第1外郭冷却ステージとの干渉を抑えることができ、第2冷却ステージを第2真空断熱室内に進入させることができる。
【0024】
本発明に係る極低温冷凍機によれば、第1真空断熱室及び第2真空断熱室を連通する第1形態と、第1真空断熱室及び第2真空断熱室を非連通とする第2形態とに切り替える切替弁が設けられている形態を例示できる。第2真空断熱室に配置されている冷凍部の冷却ステージを外すため第2真空断熱室の少なくとも一部が大気に露出するときには、切替弁により、第1真空断熱室及び第2真空断熱室を非連通とさせれば、第1真空断熱室の高真空状態、極低温状態を維持するのに有利である。
【0025】
【実施例】
(第1実施例)
本発明の第1実施例について図1を参照して説明する。極低温冷凍機の寒冷発生部である冷凍部5は、真空断熱機能を有する容器としての真空槽1に着脱可能に取り付けられている。真空槽1は、被冷却体300を収容する第1真空断熱室10と、第1真空断熱室10内に配設された第2真空断熱室11と、第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11を非連通状態に仕切る隔壁部12とをもつ。第1真空断熱室10は第2真空断熱室11よりも容積が大きく、第1真空断熱室10は第2真空断熱室11を包含する。
【0026】
図1に示すように、第1真空断熱室10は、螺子16aにより取り付けられた第1取付フランジ16をもつ槽本体15と、槽本体15の第1取付フランジ16の開口16bに第1シール部材17を介して固定部材18により気密的に固定された第2取付フランジ19とにより形成されている。第2取付フランジ19は差し込み口20を有する。
【0027】
隔壁部12は筒形状をなしており、第2取付フランジ19に差し込み口20の軸芯P1を包囲するように一体的に保持されている。隔壁部12の下端部である先端部12xは、第1真空断熱室10に延設されている。隔壁部12の先端部12xには、外郭冷却ステージ3が溶接やろー付け等の結合手段で固定されている。外郭冷却ステージ3は、第2真空断熱室11の他端開口を気密的に閉鎖する蓋部材として機能する。外郭冷却ステージ3は熱伝導性が良好な材料で形成されており、隔壁部12の先端部12xの外周面に気密的に嵌合するリング状の嵌合筒部33と、被取付部として機能する雌螺子孔で形成された締結孔35とを有する。図示はしないものの、外郭冷却ステージ3には、極低温に維持される被冷却体300が螺子止めされており、外郭冷却ステージ3と被冷却体300との熱的接触性は確保されている。
【0028】
図1に示すように、冷凍部5は、第2真空断熱室11内に着脱可能に出し入れされるものである。冷凍部5は、冷凍方式は特に限定されず、例えば、スターリング冷凍機、ギフォード・マクマホン冷凍機、パルス管冷凍機等の冷凍部で形成することができる。冷凍部5は、真空槽1の第2取付フランジ19に螺子部材23により着脱される着脱部50と、着脱部50に宛われる蓋部材としての固定蓋51と、着脱部50に繋がる連設部52と、連設部52の先端に繋がる冷却ステージ6とをもつ。着脱部50は、冷媒(ヘリウム等)を圧縮する圧縮機ユニット5tに繋がる複数の配管54,55を有する。着脱部50と第2取付フランジ19とは第2シール部材24により気密的にシールされている。連設部52は、圧縮機ユニット5tなどで圧縮された冷媒が冷却ステージ6の側に流れる冷媒通路(図示せず)を有する。冷却ステージ6は、連設部52内の冷媒通路を流れる冷媒により極低温(例えば10〜100K)に維持されるものであり、外郭冷却ステージ3に熱的に接触しており、被冷却体300を冷却する。
【0029】
本実施例によれば、外部操作手段7が真空槽1側に設けられている。この外部操作手段7は、冷却ステージ6及び外郭冷却ステージ3の接触度が増加するように、冷却ステージ6を外郭冷却ステージ3に対して矢印Y2方向に押し付ける押し付け力を真空槽1の外部からの操作で実行するものである。
【0030】
この外部操作手段7は、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3とを一体的に締結する締結部材70と、締結部材70を回転操作させて冷却ステージ6及び外郭冷却ステージ3の熱的接触性を高める治具100(ドライバー工具等)を真空槽1の外部から挿通する治具挿通孔73とを有する。
【0031】
治具挿通孔73は着脱部50にこれを貫通するように形成されており、大気側と第2真空断熱室11とを連通する。着脱部50に固定蓋51が被着されているときには、治具挿通孔73は、第3シール部材25を介して気密的に固定蓋51で閉鎖されている。第3シール部材25のシール作用により、治具挿通孔73からの大気進入は防止される。
【0032】
治具挿通孔73としては、冷却ステージ6の締結部材70に対面するように設けることができ、また、冷却ステージ6の締結部材70の数と同数個設けることができる。
【0033】
この締結部材70は螺子部材とされており、外郭冷却ステージ3の締結孔35に着脱可能に螺合されている。この締結部材70の締結作用により冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3とは一体的に締結されており、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3とは熱的に接触している。なお、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との間に、熱的接触性を更に高めるためにインジウム等の熱伝導性が良い軟金属を介在させておくことが好ましい。
【0034】
第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11を排気する排気系8が設けられている。排気系8は、第1真空断熱室10に連通するように第1取付フランジ16に形成された第1連通孔81と、第1連通孔81に繋がる第1通路82と、第1通路82を開閉する第1仕切弁83と、第2真空断熱室11に連通するように第2取付フランジ19に形成された第2連通孔84と、第2連通孔84に繋がる第2通路85と、第2通路85を開閉する第2仕切弁86と、第1仕切弁83及び第2仕切弁86に繋がる減圧手段としての真空ポンプ87とを有する。第1仕切弁83及び第2仕切弁86とが本発明の切替弁を構成する。
【0035】
図1から理解できるように第1仕切弁83を閉じれば、第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11の連通を遮断できる。また第1仕切弁83を開放すれば、第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11を連通できる。このように第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11の連通は弁の操作により切替可能である。ここで、第1仕切弁83及び第2仕切弁86を開放させた状態で、真空ポンプ87を作動すれば、第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11内を排気し、第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11内を高真空断熱状態に維持することができる。
【0036】
図1に示す状態において、メンテナンス等のため冷凍部5を真空槽1から取り外すときについて説明する。この場合、冷凍機の運転を停止させる。次に、沸点が十分に低くその冷凍部5の温度では凝縮しない非凝縮性気体(ヘリウム等)を送給できる気体源27に第2通路85を接続する。そして第1仕切弁83を閉鎖した状態で、第2仕切弁86を開放し、当該非凝縮性気体を気体源27から第2真空断熱室11に送給する。送給が完了したときは、第2真空断熱室11は大気とほぼ同程度の圧力とされる。
【0037】
このように当該非凝縮性気体を第2真空断熱室11に送給する理由としては、第2真空断熱室11に大気が進入することを防止するためである。第2真空断熱室11に大気が進入すると、大気に含まれている水分が凝縮し、冷凍運転時において第2真空断熱室11の高真空状態を維持するのに悪影響を与える。
【0038】
上記したように当該非凝縮性気体を第2真空断熱室11に送給した後、螺子部材23を外して固定蓋51を着脱部50から取り外す。これにより着脱部50の治具挿通孔73が露出するが、第2真空断熱室11には非凝縮性気体が大気圧とほぼ同程度の圧力で装填されているため、治具挿通孔73から大気が第2真空断熱室11に進入することが抑えられる。この場合にも第1仕切弁83は閉鎖されて第1真空断熱室10は第2真空断熱室11に非連通とされており、この結果、第1真空断熱室10は第2真空断熱室11及び大気に対して遮断されており、大気は第1真空断熱室10に進入しない。
【0039】
この状態で、真空槽1の外部から着脱部50の治具挿通孔73にドライバー工具等の長細い治具100を、第2真空断熱室11内に挿入する。治具100は、治具挿通孔73の先端開口73mから締結部材70まで到達する長さを少なくとも有する。そして、ドライバー工具等の治具100の先端を締結部材70に係合させ、真空槽1の外部から治具100を回転操作することにより締結部材70の締結を外す。これにより冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3とが離脱可能となる。その後、冷凍部5を連設部52の長さ方向に沿って矢印Y1方向に向けて移動させ、冷凍部5を第2真空断熱室11から速やかに離脱させる。従って冷却ステージ6、連設部52、着脱部50は第2真空断熱室11から離脱される。
【0040】
そして予め用意しておいた別の冷凍部5を第2取付フランジ19の差し込み口20から連設部52の長さ方向に沿って矢印Y2方向に向けて速やかに差し込む。これにより冷凍部5の先端側の冷却ステージ6を外郭冷却ステージ3に接触させると共に、締結部材70を外郭冷却ステージ3の締結孔35に螺合させて締結する。この場合においても、真空槽1の外部から着脱部50の治具挿通孔73を介して第2真空断熱室11内に挿通させた治具100を用い、その治具100を回転操作させることにより、雄螺子部材である締結部材70を外郭冷却ステージ3の締結孔35に螺合させて締結する。
【0041】
このように締結が進めば、冷却ステージ6の挿入方向(矢印Y2方向)に沿って冷却ステージ6を外郭冷却ステージ3に押し付けることができ、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性を高めることができる。これにより冷却ステージ6により外郭冷却ステージ3を効率よく冷却させることができる。なお、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性は、締結部材70による締結度合により調整できる。
【0042】
上記したように別の冷凍部5を真空槽1の第2取付フランジ19に取り付けたら、螺子部材23により固定蓋51を着脱部50に固定して治具挿通孔73を気密的に閉鎖する。その状態で、第2仕切弁86を開放させて真空ポンプ87で第2真空断熱室11を高真空状態にする。そして第1仕切弁83を開放させれば、第2真空断熱室11及び第1真空断熱室10が連通する。
【0043】
また、別の冷凍部5を事情により真空槽1の第2取付フランジ19に直ちに取り付けないときには、固定蓋51(あるいは別の蓋)を第2取付フランジ19に当てて、螺子部材23で固定蓋51(あるいは別の蓋)を第2取付フランジ19に固定しておく。この場合、固定蓋51(あるいは別の蓋)が第2取付フランジ19の差し込み口20を覆い、且つ、第2シール部材24のシール作用により差し込み口20から第2真空断熱室11への大気の進入を抑えることができる。
【0044】
以上説明したように本実施例によれば、真空槽1の外部からドライバー工具等の長細い治具100を冷凍部5の着脱部50の治具挿通孔73に第2真空断熱室11内に挿入し、その治具100により締結部材70の締結を解除したり、締結部材70の締結を行ったりすることができる。これにより第1真空断熱室10の真空断熱状態を良好に維持しつつ、冷凍部5を真空槽1から取り外すことができる。このように冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との締結及び締結解除を、真空槽1の外部からの操作で行うことができるため、作業性が良好であり、冷凍部5の冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性を良好に確保することができ、ひいては被冷却体300を極低温状態に維持することができる。
【0045】
更に、寒冷に伴う熱収縮により冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性が緩んだときであっても、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との締結を、真空槽1の外部からの上記操作で熱的接触性の緩みを必要に応じて容易に矯正でき、冷凍部5の冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性を良好に確保することができる。
【0046】
更に本実施例によれば、弁手段としての第1仕切弁83を開放すれば、第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11を連通できる。また第1仕切弁83を閉じれば、第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11の連通を遮断できる。故に、冷凍部5を第2真空断熱室11から取り外すときに、前述したように第1仕切弁83を閉じて第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11の連通を遮断すれば、第2真空断熱室11が治具挿通孔73を介して大気に露出される場合であっても、第1真空断熱室10への大気の進入を防止できると共に、第1真空断熱室10の高真空断熱状態を良好に維持することができ、ひいては被冷却体300を極低温状態に維持することができる。換言すれば、冷凍部5を真空槽1から取り外すときに、第1真空断熱室10を室温まで昇温させずとも良く、また、その第1真空断熱室10の真空を破らずとも良い。
【0047】
(第2実施例)
本発明の第2実施例について図2,図3を参照して説明する。第2実施例は第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。共通する部位には共通の符号を付する。図2に示すように、極低温冷凍機は、真空断熱機能を有する真空槽1と、真空槽1に着脱可能に取り付けられる冷凍部5とを備えている。真空槽1は、被冷却体300を収容する第1真空断熱室10と、第1真空断熱室10内に配設された第2真空断熱室11と、第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11を仕切る隔壁部12とをもつ。第1真空断熱室10は第2真空断熱室11よりも容積が大きく、第2真空断熱室11を包含する。
【0048】
図2に示すように、第1真空断熱室10は、第1取付フランジ16をもつ槽本体15と、槽本体15の第1取付フランジ16の開口に第1シール部材17を介して固定部材18により気密的に固定された第2取付フランジ19とにより形成されている。第2取付フランジ19はこれを貫通する差し込み口20を有する。図2に示すように、第2真空断熱室11は、第1第2真空断熱室11Aと、第1第2真空断熱室11Aに連通すると共に第1第2真空断熱室11Aよりも低温とされる第2第2真空断熱室11Bとで形成されている。
【0049】
隔壁部12は筒形状をなしており、第2取付フランジ19の差し込み口20の軸芯P1を包囲するように一体的に保持されている。隔壁部12の下端部である先端部12xは、第1真空断熱室10に向けて延設されている。隔壁部12は、第1隔壁部12Aと、第1隔壁部12Aと同軸的な第2隔壁部12Bと、第1隔壁部12A及び第2隔壁部12Bの境界に溶接やろー付け等の結合手段で固定された第1外郭冷却ステージ3Aと、第2隔壁部12Bの先端部に溶接やろー付け等の結合手段で固定された第2外郭冷却ステージ3Bとを有する。図2に示すように、輻射熱を遮断する容器状の断熱シールド部材26が第1真空断熱室10内に配置されている。断熱シールド部材26は第1外郭冷却ステージ3Aに接合されている。
【0050】
冷凍機の冷凍部5は、第2真空断熱室11内に着脱可能に出し入れされるものである。図2に示すように、冷凍部5は、真空槽1の第2取付フランジ19に螺子部材23により着脱される着脱部50と、着脱部50に着脱可能に宛われる固定蓋51と、着脱部50に繋がる第1連設部52Aと、第1連設部52Aの先端に繋がる第1冷却ステージ6Aと、第1連設部52に繋がる第2連設部52Bと、第2連設部52Bの先端に繋がる第2冷却ステージ6Bとをもつ。
【0051】
図2に示すように、着脱部50は、冷媒(ヘリウム等)を圧縮する圧縮機ユニット5tなどに繋がる複数の配管54,55を有する。着脱部50と第2取付フランジ19とはシール手段としての第2シール部材24により気密的にシールされている。第1冷却ステージ6Aは、第1連設部52A内の冷媒通路を流れる冷媒により極低温の高温側に維持されるものであり、熱伝導性が良好な材料で形成されている。第1冷却ステージ6Aは、螺子部材である複数の第1締結部材70Aを第1外郭冷却ステージ3Aの第1締結孔35Aに螺合することにより第1外郭冷却ステージ3Aに締結され、締結により第1外郭冷却ステージ3Aに熱的に接触している。
【0052】
図2に示すように、第2冷却ステージ6Bは、第2連設部52B内の冷媒通路を流れる冷媒により極低温の低温側に維持されるものであり、熱伝導性が良好な材料で形成されている。第2冷却ステージ6Bは、雄螺子部材である第2締結部材70Bを第2外郭冷却ステージ3Bの第2締結孔35Bに螺合することにより第2外郭冷却ステージ3Bに締結され、締結により第2外郭冷却ステージ3Bに熱的に接触している。
【0053】
なお、通常の使用状態では、第1冷却ステージ6Aでは50K〜70Kレベル、第2冷却ステージ6Bでは4K〜20Kレベルの温度で用いられる。
【0054】
図3(A)に示すように、第1冷却ステージ6Aは円盤状をなしており、複数の第1透孔61Aを仮想線α1,α2上に有する。また図3(B)に示すように、第1外郭冷却ステージ3Aは熱伝導性が良好な材料で形成された円盤状をなしており、雌螺子で形成された複数の第1締結孔35Aを仮想線α1,α2上に有する。図3(A),図3(B)に示すように、第1透孔61A及び第2締結孔35Aは共に仮想線α1、α2上に形成されており、周方向の位相は同じとされている。このため第1透孔61A及び第2締結孔35Aは互いに対面する。第1締結孔35A及び第1透孔61Aには第1締結部材70Aが取り付けられるからである。
【0055】
更に、図3(C)に示すように、第2冷却ステージ6Bは、円盤部63と、円盤部63から半径方向外方に延設された複数の鍔部64と、鍔部64に形成された複数の第2透孔65Bとを仮想線β1,β2上に有する。図3(D)に示すように、第2外郭冷却ステージ3Bは熱伝導性が良好な材料で形成された円盤状をなしており、雌螺子孔で形成された複数の第2締結孔35Bを仮想線β1,β2上に有する。このように第2透孔65B及び第2締結孔35Bは仮想線β1、β2上に形成されており、周方向の位相は同じとされている。このため第2透孔65B及び第2締結孔35Bは互いに対面する。第2透孔65B及び第2締結孔35Bには第2締結部材70Bが取り付けられるからである。なお、仮想線β1,β2は仮想線α1,α2に対して周方向に角度θ分ずれた位置に配置されている。
【0056】
ところで、第1冷却ステージ6Aと第1外郭冷却ステージ3Aとの伝熱面積を増加させるためには、第1冷却ステージ6Aを半径方向に大きくしてその表出面積を増加させることが好ましい。同様に、第2冷却ステージ6Bと第2外郭冷却ステージ3Bとの伝熱面積を増加させるためには、第2冷却ステージ6Bを半径方向に大きくしてその表出面積を増加させることが好ましい。しかしこのように第2冷却ステージ6Bを半径方向に大きくした場合には、第2冷却ステージ6Bを第2真空断熱室11B内に差し込むときに、挿入途中に位置する第1外郭冷却ステージ3Aに第2冷却ステージ6Bが当接して干渉するおそれがある。
【0057】
そこで本実施例によれば、図3(B)に示すように、第1外郭冷却ステージ3Aに逃げ開口36を形成している。逃げ開口36は第2冷却ステージ6Bの挿通を許容するものである。具体的には、逃げ開口36は、図3(B)(C)に示すように、第2冷却ステージ6Bの円盤部63を嵌合する円形状のメイン開口36aと、メイン開口36aに連通すると共に第2冷却ステージ6Bの鍔部64が嵌合する複数のサブ開口36bとを有する。逃げ開口36のサブ開口36bは、第2冷却ステージ6Bの鍔部64に対して周方向において同位相に形成されていると共に、鍔部64の形状よりもやや大きめの相似形状である。逃げ開口36と第2冷却ステージ6Bの鍔部64との挿通を許容するためである。
【0058】
すなわち、図3(B)(C)から理解できるように、第1外郭冷却ステージ3Aの逃げ開口36は、第2冷却ステージ6Aの外観形状を打ち抜いた形状に相似している。このように逃げ開口36を第1外郭冷却ステージ3Aに形成しているため、第2冷却ステージ6Bを第2第2真空断熱室11B内に差し込むとき、第2冷却ステージ6Bが第1外郭冷却ステージ3Aに当接して干渉するおそれがなくなる。故に、図2に示すように第2冷却ステージ6Bを第2第2真空断熱室11Bの奥方に配置することができ、ひいては、第2冷却ステージ6Bを第2外郭冷却ステージ3Bに熱的に良好に接触させることができる。
【0059】
本実施例においても、図2,図3に示すように外部操作手段7Uが設けられている。この外部操作手段7Uは、第1冷却ステージ6A及び第1外郭冷却ステージ3Aが互いに熱的に接触すると共に、第2冷却ステージ6B及び第2外郭冷却ステージ3Bが互いに熱的に接触するように維持するものである。
【0060】
すなわち、外部操作手段7Uは、第1冷却ステージ6Aを第1外郭冷却ステージ3Aに対して矢印Y2方向に押し付ける押し付け力と、第2冷却ステージ6Bを第2外郭冷却ステージ3Bに対して矢印Y2方向に押し付ける押し付け力とを、真空槽1の外部からの操作で実行するものである。
【0061】
図2に示すように、この外部操作手段7Uは、第1冷却ステージ6Aと第1外郭冷却ステージ3Aとを一体的に締結する第1締結部材70Aと、第2冷却ステージ6Bと第2外郭冷却ステージ3Bとを一体的に締結する第2締結部材70Bと、第1締結部材70Aを外す治具100A(ドライバー工具等)を真空槽1の外部から挿通するように着脱部50にこれを貫通するように形成された第1治具挿通孔73Aと、第2締結部材70Bを外す治具100B(ドライバー工具等)を真空槽1の外部から挿通するように着脱部50にこれを貫通するように形成された第2治具挿通孔73Bとを有する。
【0062】
なお、説明の便宜上、治具100A,治具100Bは別体のものとしたが、第1締結部材70Aの締結と第2締結部材70Bの締結とで必要とされる長さは異なるものの、共通するものを用いても良い。
【0063】
さて、図2に示す状態において、メンテナンス等のため冷凍部5を真空槽1から取り外すときについて説明する。この場合、第1実施例と同様に、冷凍機の運転を停止させると共に、第1仕切弁83を閉鎖すると共に第2仕切弁86を開放し、非凝縮性気体を気体源27から第2真空断熱室11に送給する。この場合、前述同様に、第2真空断熱室11は大気とほぼ同程度の圧力とされる。
【0064】
上記したように非凝縮性気体を第2真空断熱室11に送給した後、第1実施例と同様に、螺子部材23を外して固定蓋51を着脱部50から取り外す。これにより着脱部50の第1治具挿通孔73A,第2治具挿通孔73Bが大気に露出するが、第2真空断熱室11には非凝縮性気体が大気圧とほぼ同程度の圧力で装填されているため、第1治具挿通孔73A,第2治具挿通孔73Bから大気が第2真空断熱室11に進入することが抑えられる。この場合にも第1仕切弁83は閉鎖されているため、第1真空断熱室10は大気から遮断されており、大気は第1真空断熱室10に進入しない。
【0065】
この状態で、真空槽1の外部からドライバー工具等の長細い治具100Aの先端を冷凍部5の着脱部50の第1治具挿通孔73Aに挿入させると共に、第2真空断熱室11の第1第2真空断熱室11A内に挿入させる。治具100Aは、第1治具挿通孔73Aの先端開口73mから第1締結部材70Aまで到達する長さを少なくとも有する。そして、ドライバー工具等の治具100Aの先端を第1締結部材70Aに係合させ、治具100Aを回転操作することにより第1締結部材70Aの締結を外す。これにより第1冷却ステージ6Aと第1外郭冷却ステージ3Aとが離脱可能となる。
【0066】
同様に、真空槽1の外部からドライバー工具等の長細い治具100Bの先端を冷凍部5の着脱部50の第2治具挿通孔73Bに挿入させると共に、第2真空断熱室11の第2真空断熱室11B内に挿入させる。この治具100Bは、第2治具挿通孔73Bの先端開口から第2締結部材70Bまで到達する長さを少なくとも有する。そして、ドライバー工具等の治具100Bの先端を第2締結部材70Bに係合させ、治具100Bを回転操作することにより第2締結部材70Bの締結を外す。これにより第2冷却ステージ6Bと第2外郭冷却ステージ3Bとが離脱可能となる。
【0067】
その後、冷凍部5を矢印Y1方向に移動させて着脱部50を第2取付フランジ19から離脱させる。従って冷凍部5は第2真空断熱室11から離脱される。即ち、第1冷却ステージ6A、第2冷却ステージ6B、第1連設部52A、第2連設部52B、着脱部50は、第2真空断熱室11から離脱される。
【0068】
そして予め用意しておいた別の冷凍部5を第2取付フランジ19の差し込み口20から第2真空室11内に矢印Y2方向に向けて差し込み、その冷凍部5の第2冷却ステージ6Bを第2外郭冷却ステージ3Bに接触させると共に、第2締結部材70Bを第2外郭冷却ステージ3Bの第2締結孔35Bに螺合させて締結する。この場合、着脱部50の第2治具挿通孔73Bから第2第2真空断熱室11B内に挿通した治具100Bをこれの周方向に回転操作させることにより、第2締結部材70Bを第2外郭冷却ステージ3Bの第2締結孔35Bに螺合させて締結する。
【0069】
また、冷凍部5の第1冷却ステージ6Aを第1外郭冷却ステージ3Aに接触させると共に、第1締結部材70Aを第1外郭冷却ステージ3Aの第1締結孔35Aに螺合させて締結する。この場合においても、着脱部50の第1治具挿通孔73Aから第1第2真空断熱室11A内に挿通した治具100Aをこれの周方向に回転操作させることにより、第1締結部材70Aを第1外郭冷却ステージ3Aの第1締結孔35Aに螺合させて締結する。
【0070】
上記したように締結を行えば、第2冷却ステージ6Bを第2外郭冷却ステージ3Bに押し付けることができ、第2冷却ステージ6Bと第2外郭冷却ステージ3Bとの熱的接触性を高めることができる。これにより第2冷却ステージ6Bにより第2外郭冷却ステージ3Bを効率よく冷却させることができる。
【0071】
また、第1冷却ステージ6Aを第1外郭冷却ステージ3Aに押し付けることができ、第1冷却ステージ6Aと第1外郭冷却ステージ3Aとの熱的接触性を高めることができる。これにより第1冷却ステージ6Aにより第1外郭冷却ステージ3Aを効率よく冷却させることができる。
【0072】
上記したように別の冷凍部5を真空槽1に取り付けたら、螺子部材23により固定蓋51を着脱部50に固定して第1治具挿通孔73A,第2治具挿通孔73Bを閉鎖する。その後、第2仕切弁86を開放させて真空ポンプ87で第2真空断熱室11を真空状態にする。なお、第1仕切弁83を開放させれば、第2真空断熱室11及び第1真空断熱室10が連通する。
【0073】
また、別の冷凍部5を真空槽1の第2取付フランジ19部に取り付けないときには、固定蓋51(あるいは別の蓋)を第2取付フランジ19に当てて、螺子部材23で固定蓋51を第2取付フランジ19に固定しておく。この場合、固定蓋51(あるいは別の蓋)が第2取付フランジ19の差し込み口20を覆い、且つ、第2シール部材24のシール作用により差し込み口20から第2真空断熱室11への大気の進入を抑えることができると共に、第1治具挿通孔73A及び第2治具挿通孔73Bを固定蓋51(あるいは別の蓋)で気密的に覆う。
【0074】
ところで本実施例によれば、第2締結部材70Bを外す治具100Bを第2第2真空断熱室11Bに挿入させるときに、途中にある第1冷却ステージ6A及び第1外郭冷却ステージ3Aに治具100Bが干渉しないようにする必要がある。そこで本実施例によれば、図3(A)に示すように、第1冷却ステージ6Aに治具挿通孔73Dが形成されている。更に図3(B)に示すように、第1外郭冷却ステージ3Aにサブ開口36bが治具挿通孔73Dに対面するように形成されているため、治具挿通孔73D及びサブ開口36bに治具100Bを挿通させ、その治具100Bにより第2締結部材70Bの締結、締結解除を行うことができる。治具挿通孔73Dは仮想線β1上に形成されており、治具挿通孔73Dの周方向の位相がサブ開口36b,第2締結孔35Bと同一とされている。
【0075】
更に本実施例によれば、第1実施例と同様に、冷凍部5を第2真空断熱室11から取り外すときに、前述したように第1仕切弁83を閉じて第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11の連通を遮断すれば、第1真空断熱室10への大気の進入を防止できると共に、第1真空断熱室10の高真空断熱状態を良好に維持することができ、ひいては被冷却体300を極低温状態に維持することができる。なお、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との間に、熱的接触性を更に高めるためにインジウム等の熱伝導性が良い軟金属を介在させておくことが好ましい。
【0076】
なお本実施例は図2に示すように冷凍部5は第1冷却ステージ6A及び第2冷却ステージ6Bをもつ2ステージタイプであるが、3ステージタイプとすることもできる。
【0077】
(第3実施例)
本発明の第3実施例について図4〜図6を参照して説明する。第3実施例は第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。共通する部位には共通の符号を付する。図4に示すように、極低温冷凍機は、真空断熱機能を有する真空槽1と、真空槽1に着脱可能に取り付けられる冷凍部5とを備えている。
【0078】
冷凍部5は、第2真空断熱室11内に着脱可能に出し入れされるものである。図4に示すように、冷凍部5は、着脱部50と、着脱部50に繋がる連設部52と、連設部52の先端に繋がる冷却ステージ6とをもつ。この外部操作手段7Wは、外郭冷却ステージ3に設けられ半径方向に移動可能な締結部材70と、真空槽1の外部から操作され操作に伴い締結部材70を冷却ステージ6の半径方向(矢印D1,D2方向)に変位させる治具100とを有する。
【0079】
図6及び図5に模式的に示すように、締結部材70は、周方向に分散して配置され外周側に第1傾斜面76を有すると共に締結部材70の半径方向(矢印D1,D2方向)に沿って変位可能な複数の爪部75と、爪部75の第1傾斜面76に係合する第2傾斜面77を内周側に有する係合体78と、係合体78を押圧する押圧部材79とをもつ。係合体78は爪部75を包囲するように配設されている。周方向に隣設する爪部75間には、バネ部材74(図5参照)が配置されている。爪部75は、熱伝導性の良好な金属で形成されており、外郭冷却ステージ3及び冷却ステージ6に熱的接触する。
【0080】
治具100の先端には回転体130が設けられている。回転体130の外周部には雄螺子130wが形成されており、外郭冷却ステージ3の雌螺子孔3wに螺進退可能に螺合している。図4に示すように、治具100は着脱部50の治具挿通孔73に気密的に挿通されており、着脱部50の外方に露出する操作部100xを有する。固定蓋51は着脱部50に固定されている。固定蓋51により、治具挿通孔73は第3シール部材25を介して気密的に閉鎖されている。
【0081】
さて、真空室1の外部に露出している操作部100xを一方向に回転操作して治具100をこれの軸芯回りで回転操作すれば、回転体130が回転しつつ矢印Y2方向に移動する。この結果、押圧板79が矢印Y2方向に移動し、係合体78が矢印Y2方向に変位する。この結果、係合体78の第2傾斜面77が爪部75の第1傾斜面76を押圧する。これにより締結部材70の爪部75がバネ部材74に抗して縮径する。即ち、複数の爪部75が径内方向つまり矢印D1方向に移動し、爪部75の内面75iで冷却ステージ6の外周面を締結することができる。この結果、冷却ステージ6の外周面と爪部75の内周面との熱的接触性を高めることができる。
【0082】
また、メンテナンス等のため冷凍部5を真空槽1から取り外すときには、前述のように冷凍機の運転を停止させると共に、図4において第1仕切弁83を閉鎖した状態で、第2仕切弁86を開放し、非凝縮性気体を気体源27から第2真空断熱室11に送給する。この場合、第2真空断熱室11は大気とほぼ同程度の圧力とされる。上記したように非凝縮性気体を第2真空断熱室11に送給した後、操作部100xを逆方向に回転操作して治具100をこれの軸芯回りで逆方向に回転操作すれば、回転体130が回転しつつ矢印Y1方向に移動する。するとバネ部材74により複数の爪部75が拡径方向つまり矢印D2方向に自動的に移動し、爪部75の第1傾斜面76が係合体78の第2傾斜面77を矢印D2方向に押圧する。この結果、爪部75が冷却ステージ6の外周面から離脱し、爪部75による締結が解除される。その後、螺子部材23を外すことにより、着脱部50を第2取付フランジ19から取り外し、冷凍部5を第2真空断熱室11から離脱させる。従って冷凍部5を構成する冷却ステージ6、連設部52、着脱部50は、第2真空断熱室11から離脱される。
【0083】
そして予め用意しておいた別の冷凍部5を第2取付フランジ19の差し込み口20から第2真空断熱室11内に矢印Y2方向に差し込み、その冷凍部5の冷却ステージ6を外郭冷却ステージ3に接近させると共に、螺子部材23により着脱部50を第2取付フランジ19に着脱可能に保持する。
【0084】
更に治具100の操作部100xを操作すれば、前述同様に、係合体78が矢印Y2方向に変位し、係合体78の第2傾斜面77と爪部75の第1傾斜面76との係合により、複数の爪部75が径内方向つまり矢印D1方向に移動し、爪部75の内側で冷却ステージ6の外周面を締結することができる。この結果、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性を高めることができる。
【0085】
なお本実施例では、操作部100xを一方向に回転操作して治具100をこれの軸芯回りで回転操作することにしているが、これに限らず、直動タイプの別の治具を設け、治具の操作部を矢印Y1,Y2方向に直動操作させて治具をこれの軸芯に沿って直動させることにしても良い。また本実施例では、図4に示すように冷凍部5は冷却ステージ6をもつ1ステージタイプであるが、2ステージタイプ、3ステージタイプとすることもできる。
【0086】
(第4実施例)
本発明の第4実施例について図7を参照して説明する。第4実施例は第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。共通する部位には共通の符号を付する。図7に示すように、極低温冷凍機は、真空断熱機能を有する真空槽1と、真空槽1に着脱可能に取り付けられる冷凍部5とを備えている。
【0087】
冷凍部5は、第2真空断熱室11内に着脱可能に出し入れされるものである。冷凍部5は、着脱部50と、着脱部50に繋がる連設部52と、連設部52の先端に繋がる冷却ステージ6とをもつ。
【0088】
本実施例に係る外部操作手段7Xは、図7に示すように、冷却ステージ6を第2真空断熱室11に進入させつつ冷凍部5の着脱部50を螺子部材23により着脱可能に設置するプレート状の設置部90と、設置部90の貫通孔90mに挿通された締結部材70とを有する。締結部材70は、第2取付フランジ19の雌螺子孔状の取付孔19mに螺進退可能に螺合された雄螺子部材で形成されている。
【0089】
図7に示すように、真空槽1側の取付部としての第2取付フランジ19と設置部90との間には、伸縮可能な伸縮部材として機能できるベローズ91が配設されている。締結部材70の締結及び締結解除に伴って設置部90が矢印Y1,Y2方向に変位したときでも、ベローズ91は伸縮できるため、第2真空断熱室11の真空状態を確保する。
【0090】
図7に示す状態において、真空槽1の外部から締結部材70の頭部70mを回転操作して第2取付フランジ19の取付孔19mに螺進退させれば、ベローズ91を伸縮させつつ、設置部90を真空槽1に対して矢印Y1,Y2方向に変位可能とすることができる。この場合、締結部材70を一方向に回転操作して設置部90を真空槽1に対して矢印Y2方向に変位させれば、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性を高めることができる。また締結部材70を他方向に回転操作して設置部90を真空槽1に対して矢印Y1方向に変位させれば、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性を緩めることができる。
【0091】
図7に示す状態において、メンテナンス等のため冷凍部5を真空槽1から取り外すときについて説明を加える。この場合、前述のように冷凍機の運転を停止させると共に、第1仕切弁83を閉鎖した状態で第2仕切弁86を開放し、非凝縮性気体を気体源27から第2真空断熱室11に送給する。この場合、第2真空断熱室11は大気とほぼ同程度の圧力とされる。
【0092】
上記したように非凝縮性気体を第2真空断熱室11に送給した後、螺子部材23を外すことにより、冷凍部5の着脱部50を設置部90から離脱させる。従って冷凍部5を構成する冷却ステージ6、連設部52、着脱部50は、第2真空断熱室11から離脱される。
【0093】
そして予め用意しておいた別の冷凍部5を第2取付フランジ19の差し込み口20から第2真空室11内に矢印Y2方向に差し込み、その冷凍部5の冷却ステージ6を外郭冷却ステージ3に接触させると共に、螺子部材23により着脱部50を設置部90に着脱可能に保持する。
【0094】
更に真空槽1の外部から締結部材70の頭部70mを回転操作して締結部材70を螺進させれば、設置部90が矢印Y2方向に変位して設置部90が真空槽1内の外郭冷却ステージ3に相対的に近づくため、冷凍部5の冷却ステージ6を第2真空断熱室11の奥方に向けて変位させ、これにより冷却ステージ6を外郭冷却ステージ3に押し付けることができる。故に、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性を高めることができる。この結果、冷却ステージ6により外郭冷却ステージ3を効率よく冷却させることができる。なお本実施例は図7に示すように冷凍部5は冷却ステージ6をもつ1ステージタイプであるが、2ステージタイプ、3ステージタイプとすることもできる。
【0095】
(その他)
その他、本発明は上記した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
[付記項1]第1真空断熱室と、第2真空断熱室と、前記第1真空断熱室及び前記第2真空断熱室を仕切ると共に外郭冷却ステージをもつ隔壁部とを有する真空槽と、
前記第2真空断熱室内に着脱可能に出し入れされ、前記外郭冷却ステージに熱的に接触可能であり且つ極低温に維持される冷却ステージをもつ冷凍部とを具備する極低温冷凍機において、第1真空断熱室及び第2真空断熱室を連通する第1形態と、第1真空断熱室及び第2真空断熱室を非連通とする第2形態とに切り替える切替弁が設けられていることを特徴とする極低温冷凍機。この場合、冷凍部の冷却ステージを第2真空断熱室から外すため、第2真空断熱室が大気に露出するときには、切替弁により、第1真空断熱室及び第2真空断熱室を非連通とさせれば、第1真空断熱室の高真空状態、極低温状態を維持するのに有利である。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る極低温冷凍機によれば、真空槽の外部から外部操作手段を操作することにより、冷却ステージ及び外郭冷却ステージのうちの一方を他方に対して押し付ける押し付け力を発生させ、冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性が高められる。これにより冷却ステージにより外郭冷却ステージを効率よく冷却でき、ひいては被冷却体を効率よく冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係り、極低温冷凍機を模式的に示す構成図である。
【図2】第2実施例に係り、極低温冷凍機を模式的に示す構成図である。
【図3】(A)は第1冷却ステージの平面図であり、(B)は第1外郭冷却ステージの平面図であり、(C)は第2冷却ステージの平面図であり、(D)は第2外郭冷却ステージの平面図である。
【図4】第3実施例に係り、極低温冷凍機を模式的に示す構成図である。
【図5】第3実施例に係り、締結部材を示す構成図である。
【図6】第3実施例に係り、締結部材を示す断面図である。
【図7】第4実施例に係り、極低温冷凍機を模式的に示す構成図である。
【図8】従来技術に係り、極低温冷凍機を模式的に示す構成図である。
【符号の説明】
図中、1は真空槽、10は第1真空断熱室、11は第2真空断熱室、12は隔壁部、3は外郭冷却ステージ、36は逃げ開口、5は冷凍部、50は着脱部、51は固定蓋、52は連設部、6は冷却ステージ、7は外部操作手段、70は締結部材、73は治具挿通孔、75は爪部、8は排気系、82は第1通路、85は第2通路、83は第1仕切弁(切替弁)、86は第2仕切弁(切替弁)、90は設置部、91はベローズ、100は治具を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は第1真空断熱室及び第2真空断熱室を仕切る隔壁部を有する真空槽をもつ極低温冷凍機に関し、特に第2真空断熱室に冷凍部を着脱可能に取り付ける方式の極低温冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】
スターリング冷凍機、ギフォード・マクマホン冷凍機、パルス管冷凍機等の冷凍機は、その被冷却体の冷却温度や形状に応じて、単段または複数段の寒冷発生部である冷却ステージを持ち、冷却ステージで熱的接触性により被冷却体を冷却している。
【0003】
各冷却ステージにおける熱的接触性は、熱抵抗を十分小さくすることが好ましく、被冷却体に十分な圧力で押し付けるためネジ等での締結で確保されている。さらに外部からの熱侵入を十分低く抑えるために、冷却ステージと被冷却体とを真空断熱室に配置している。
【0004】
そのような接続構造のため、極低温冷凍機の冷凍部をメンテナンスする場合には、極低温冷凍機の運転を停止させ、真空断熱室を室温まで昇温させた後に、その真空断熱室の真空を破り、被冷却体と冷却ステージとを締結しているネジを外し、冷凍部を真空断熱室から分離、取り出し、冷凍部を改修する等の作業を必要としている。
【0005】
この作業において、被冷却体の昇温自体がヘリウム等の寒剤を併用している場合にはその寒剤の消耗等になったり、あるいは真空の破壊後の再真空引き実施という時間的なロスになっている不具合がある。
【0006】
このような不具合を解決するために、近年、特許文献1に開示されて技術が開発されている。即ち、第1真空断熱室及び第2真空断熱室を仕切ると共に外郭冷却ステージをもつ隔壁部を有する真空槽と、第2真空断熱室内に着脱可能に出し入れされる冷凍部とを備えている極低温冷凍機の構造が提案されている。
【0007】
このものによれば、冷凍部を交換するときには、第2真空断熱室から冷凍部を取り外す。この場合、第1真空断熱室における真空状態、極低温状態は基本的には維持される。このものによれば、冷凍部の交換時において、極低温冷凍機の冷凍部の冷却ステージ(寒冷発生部)を外郭冷却ステージに熱的に接触させることにしている。
【0008】
この場合、問題になるのが、外郭冷却ステージと冷凍部の冷却ステージとの熱的接触性を確保することである。殊に、冷凍部により極低温が発生すると、極低温化に伴う熱収縮に基づいて、外郭冷却ステージと冷却ステージとの熱的接触性が低下するおそれがある。このおそれを防止するための手段として、通常は、冷凍部を真空槽に取り付けるときにおける押付力を利用している。
【0009】
更に、近年、第2真空断熱室を形成する隔壁部の一部にバネ構造を設け、そのバネ構造の弾性復元力により、冷凍部の熱収縮に起因する熱的接触性の不足を解消する技術が提案されている(特許文献2)。
【0010】
上記した特許文献2に係る技術について図8に基づいて更に説明する。図8に示すように、この極低温冷凍機は、第1真空断熱室10H及び第2真空断熱室11Hを仕切ると共に外郭冷却ステージ3Hをもつ隔壁部12Hを有する真空槽1Hと、第2真空断熱室11H内に着脱可能に出し入れされる冷凍部5Hとを備えている。外郭冷却ステージ3は、隔壁部12Hと共に第2真空断熱室11Hの真空断熱状態を確保している。そして、図8に示すように、第2真空断熱室11Hを形成する隔壁部12Hの一部にバネ構造12kを設け、そのバネ構造12kの矢印Y1方向に向かう弾性復元力により、第2外郭冷却ステージ3Hを第2冷却ステージ6Hに押しつけ、第2外郭冷却ステージ3Hと第2冷却ステージ6Hとの熱的接触性を高め、第2冷却ステージ6Hにより第2外郭冷却ステージ3Hの吸熱性を高め、ひいては被冷却体300を効率よく冷却させている。
【0011】
【特許文献1】特開2001−23814号公報
【特許文献2】特開2001−230459号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記した特許文献2に係る技術によれば、図8に示すように、バネ構造12kは一定のバネ定数を有するものの、バネ構造12kによる押し付け力を真空槽1の外部から操作できるものではなく、第2外郭冷却ステージ3Hと第2冷却ステージ6Hとの熱的接触性を高めるには限界があった。
【0013】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、真空槽の外部からの操作により、冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性を高めるのに有利な極低温冷凍機の取付構造を提供することを課題とするにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る極低温冷凍機は、第1真空断熱室と、第2真空断熱室と、第1真空断熱室及び第2真空断熱室を仕切ると共に外郭冷却ステージをもつ隔壁部とを有する真空槽と、
第2真空断熱室内に着脱可能に出し入れされ、外郭冷却ステージに熱的に接触可能であり且つ極低温に維持される冷却ステージをもつ冷凍部とを具備する極低温冷凍機において、
極低温冷凍機は、
冷却ステージ及び外郭冷却ステージの接触度が増加するように、冷却ステージ及び外郭冷却ステージのうちの一方を他方に対して押し付ける押し付け力を、真空槽の外部からの操作で実行する外部操作手段を具備することを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る極低温冷凍機によれば、真空槽の外部から外部操作手段を操作することにより、冷却ステージ及び外郭冷却ステージのうちの一方を他方に対して押し付ける押し付け力を発生させ、冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性が高められる。これにより冷却ステージにより外郭冷却ステージを効率よく冷却でき、ひいては被冷却体を効率よく冷却できる。
【0016】
なお、冷却ステージは寒冷発生部であり、冷凍部により極低温に維持されるものである。外郭冷却ステージは冷凍部の冷却ステージの相手材であり、冷却ステージに熱的に接触して冷却ステージによって冷却されるものであれば、何でも良い。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る極低温冷凍機によれば、冷凍部は、例えば、スターリング冷凍機、ギフォード・マクマホン冷凍機、パルス管冷凍機等の冷凍部とすることができる。この場合、ジュールトムソン冷凍機と組み合わせても良い。
【0018】
第1真空断熱室及び第2真空断熱室は、極低温冷凍機の運転時において高真空状態に維持されるものである。第1真空断熱室及び第2真空断熱室は、真空度が同一であっても良いし、異なっていても良い。
【0019】
本発明に係る極低温冷凍機によれば、外部操作手段は、冷却ステージと外郭冷却ステージとを締結する締結部材と、締結部材を操作させて冷却ステージ及び外郭冷却ステージの熱的接触性を高める治具を真空槽の外部から挿通する治具挿通孔とを有する形態を例示できる。締結部材としては螺子部材を例示できるが、冷却ステージ及び外郭冷却ステージを連結して両者の熱的接触性を高め得るものであれば、何でも良い。治具挿通孔を気密的に覆う機能をもつ蓋部材が設けられていることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る極低温冷凍機の他の形態によれば、外部操作手段は、冷却ステージ及び外郭冷却ステージのうちの少なくとも一方に設けられ冷却ステージ及び外郭冷却ステージに接触可能な締結部材と、真空槽の外部から操作され操作に伴い締結部材を冷却ステージの半径方向に変位させて冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性を高める治具とを有する形態を例示できる。
【0021】
また、本発明に係る極低温冷凍機の他の形態によれば、外部操作手段は、冷却ステージ及び外郭冷却ステージのうちの少なくとも一方に設けられ冷却ステージ及び外郭冷却ステージに接触可能な締結部材と、真空槽の外部から操作され操作に伴い締結部材を前記冷却ステージの半径方向に変位させて冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性を高める治具を真空槽の外部から挿通する治具挿通孔とを有する形態を例示できる。治具挿通孔を気密的に覆う機能をもつ蓋部材が設けられていることが好ましい。
【0022】
また、本発明に係る極低温冷凍機の他の形態によれば、外部操作手段は、冷却ステージを第2真空断熱室に進入させつつ冷凍部を設置する設置部と、冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性を高める方向に設置部を真空槽に対して変位可能に保持する締結部材とを有する形態を例示できる。冷凍部設置用の設置部の位置を真空槽に対して変位させれば、冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性を調整することができる。従って冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性を高めることができる。
【0023】
本発明に係る極低温冷凍機によれば、冷却ステージは、第1冷却ステージと、第1冷却ステージの先方に設けられた第2冷却ステージとを有しており、外郭冷却ステージは、第1冷却ステージに熱的に接触可能な第1外郭冷却ステージと、第2冷却ステージに熱的に接触可能な第2外郭冷却ステージとを有している形態を例示できる。この場合、第1外郭冷却ステージ及び第2冷却ステージのうちの少なくとも一方は、第2冷却ステージを第2真空断熱室内に進入させたとき、第2冷却ステージと第1外郭冷却ステージとの干渉を抑える逃げ開口を有する形態を例示できる。逃げ開口により、第2冷却ステージと第1外郭冷却ステージとの干渉を抑えることができ、第2冷却ステージを第2真空断熱室内に進入させることができる。
【0024】
本発明に係る極低温冷凍機によれば、第1真空断熱室及び第2真空断熱室を連通する第1形態と、第1真空断熱室及び第2真空断熱室を非連通とする第2形態とに切り替える切替弁が設けられている形態を例示できる。第2真空断熱室に配置されている冷凍部の冷却ステージを外すため第2真空断熱室の少なくとも一部が大気に露出するときには、切替弁により、第1真空断熱室及び第2真空断熱室を非連通とさせれば、第1真空断熱室の高真空状態、極低温状態を維持するのに有利である。
【0025】
【実施例】
(第1実施例)
本発明の第1実施例について図1を参照して説明する。極低温冷凍機の寒冷発生部である冷凍部5は、真空断熱機能を有する容器としての真空槽1に着脱可能に取り付けられている。真空槽1は、被冷却体300を収容する第1真空断熱室10と、第1真空断熱室10内に配設された第2真空断熱室11と、第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11を非連通状態に仕切る隔壁部12とをもつ。第1真空断熱室10は第2真空断熱室11よりも容積が大きく、第1真空断熱室10は第2真空断熱室11を包含する。
【0026】
図1に示すように、第1真空断熱室10は、螺子16aにより取り付けられた第1取付フランジ16をもつ槽本体15と、槽本体15の第1取付フランジ16の開口16bに第1シール部材17を介して固定部材18により気密的に固定された第2取付フランジ19とにより形成されている。第2取付フランジ19は差し込み口20を有する。
【0027】
隔壁部12は筒形状をなしており、第2取付フランジ19に差し込み口20の軸芯P1を包囲するように一体的に保持されている。隔壁部12の下端部である先端部12xは、第1真空断熱室10に延設されている。隔壁部12の先端部12xには、外郭冷却ステージ3が溶接やろー付け等の結合手段で固定されている。外郭冷却ステージ3は、第2真空断熱室11の他端開口を気密的に閉鎖する蓋部材として機能する。外郭冷却ステージ3は熱伝導性が良好な材料で形成されており、隔壁部12の先端部12xの外周面に気密的に嵌合するリング状の嵌合筒部33と、被取付部として機能する雌螺子孔で形成された締結孔35とを有する。図示はしないものの、外郭冷却ステージ3には、極低温に維持される被冷却体300が螺子止めされており、外郭冷却ステージ3と被冷却体300との熱的接触性は確保されている。
【0028】
図1に示すように、冷凍部5は、第2真空断熱室11内に着脱可能に出し入れされるものである。冷凍部5は、冷凍方式は特に限定されず、例えば、スターリング冷凍機、ギフォード・マクマホン冷凍機、パルス管冷凍機等の冷凍部で形成することができる。冷凍部5は、真空槽1の第2取付フランジ19に螺子部材23により着脱される着脱部50と、着脱部50に宛われる蓋部材としての固定蓋51と、着脱部50に繋がる連設部52と、連設部52の先端に繋がる冷却ステージ6とをもつ。着脱部50は、冷媒(ヘリウム等)を圧縮する圧縮機ユニット5tに繋がる複数の配管54,55を有する。着脱部50と第2取付フランジ19とは第2シール部材24により気密的にシールされている。連設部52は、圧縮機ユニット5tなどで圧縮された冷媒が冷却ステージ6の側に流れる冷媒通路(図示せず)を有する。冷却ステージ6は、連設部52内の冷媒通路を流れる冷媒により極低温(例えば10〜100K)に維持されるものであり、外郭冷却ステージ3に熱的に接触しており、被冷却体300を冷却する。
【0029】
本実施例によれば、外部操作手段7が真空槽1側に設けられている。この外部操作手段7は、冷却ステージ6及び外郭冷却ステージ3の接触度が増加するように、冷却ステージ6を外郭冷却ステージ3に対して矢印Y2方向に押し付ける押し付け力を真空槽1の外部からの操作で実行するものである。
【0030】
この外部操作手段7は、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3とを一体的に締結する締結部材70と、締結部材70を回転操作させて冷却ステージ6及び外郭冷却ステージ3の熱的接触性を高める治具100(ドライバー工具等)を真空槽1の外部から挿通する治具挿通孔73とを有する。
【0031】
治具挿通孔73は着脱部50にこれを貫通するように形成されており、大気側と第2真空断熱室11とを連通する。着脱部50に固定蓋51が被着されているときには、治具挿通孔73は、第3シール部材25を介して気密的に固定蓋51で閉鎖されている。第3シール部材25のシール作用により、治具挿通孔73からの大気進入は防止される。
【0032】
治具挿通孔73としては、冷却ステージ6の締結部材70に対面するように設けることができ、また、冷却ステージ6の締結部材70の数と同数個設けることができる。
【0033】
この締結部材70は螺子部材とされており、外郭冷却ステージ3の締結孔35に着脱可能に螺合されている。この締結部材70の締結作用により冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3とは一体的に締結されており、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3とは熱的に接触している。なお、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との間に、熱的接触性を更に高めるためにインジウム等の熱伝導性が良い軟金属を介在させておくことが好ましい。
【0034】
第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11を排気する排気系8が設けられている。排気系8は、第1真空断熱室10に連通するように第1取付フランジ16に形成された第1連通孔81と、第1連通孔81に繋がる第1通路82と、第1通路82を開閉する第1仕切弁83と、第2真空断熱室11に連通するように第2取付フランジ19に形成された第2連通孔84と、第2連通孔84に繋がる第2通路85と、第2通路85を開閉する第2仕切弁86と、第1仕切弁83及び第2仕切弁86に繋がる減圧手段としての真空ポンプ87とを有する。第1仕切弁83及び第2仕切弁86とが本発明の切替弁を構成する。
【0035】
図1から理解できるように第1仕切弁83を閉じれば、第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11の連通を遮断できる。また第1仕切弁83を開放すれば、第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11を連通できる。このように第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11の連通は弁の操作により切替可能である。ここで、第1仕切弁83及び第2仕切弁86を開放させた状態で、真空ポンプ87を作動すれば、第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11内を排気し、第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11内を高真空断熱状態に維持することができる。
【0036】
図1に示す状態において、メンテナンス等のため冷凍部5を真空槽1から取り外すときについて説明する。この場合、冷凍機の運転を停止させる。次に、沸点が十分に低くその冷凍部5の温度では凝縮しない非凝縮性気体(ヘリウム等)を送給できる気体源27に第2通路85を接続する。そして第1仕切弁83を閉鎖した状態で、第2仕切弁86を開放し、当該非凝縮性気体を気体源27から第2真空断熱室11に送給する。送給が完了したときは、第2真空断熱室11は大気とほぼ同程度の圧力とされる。
【0037】
このように当該非凝縮性気体を第2真空断熱室11に送給する理由としては、第2真空断熱室11に大気が進入することを防止するためである。第2真空断熱室11に大気が進入すると、大気に含まれている水分が凝縮し、冷凍運転時において第2真空断熱室11の高真空状態を維持するのに悪影響を与える。
【0038】
上記したように当該非凝縮性気体を第2真空断熱室11に送給した後、螺子部材23を外して固定蓋51を着脱部50から取り外す。これにより着脱部50の治具挿通孔73が露出するが、第2真空断熱室11には非凝縮性気体が大気圧とほぼ同程度の圧力で装填されているため、治具挿通孔73から大気が第2真空断熱室11に進入することが抑えられる。この場合にも第1仕切弁83は閉鎖されて第1真空断熱室10は第2真空断熱室11に非連通とされており、この結果、第1真空断熱室10は第2真空断熱室11及び大気に対して遮断されており、大気は第1真空断熱室10に進入しない。
【0039】
この状態で、真空槽1の外部から着脱部50の治具挿通孔73にドライバー工具等の長細い治具100を、第2真空断熱室11内に挿入する。治具100は、治具挿通孔73の先端開口73mから締結部材70まで到達する長さを少なくとも有する。そして、ドライバー工具等の治具100の先端を締結部材70に係合させ、真空槽1の外部から治具100を回転操作することにより締結部材70の締結を外す。これにより冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3とが離脱可能となる。その後、冷凍部5を連設部52の長さ方向に沿って矢印Y1方向に向けて移動させ、冷凍部5を第2真空断熱室11から速やかに離脱させる。従って冷却ステージ6、連設部52、着脱部50は第2真空断熱室11から離脱される。
【0040】
そして予め用意しておいた別の冷凍部5を第2取付フランジ19の差し込み口20から連設部52の長さ方向に沿って矢印Y2方向に向けて速やかに差し込む。これにより冷凍部5の先端側の冷却ステージ6を外郭冷却ステージ3に接触させると共に、締結部材70を外郭冷却ステージ3の締結孔35に螺合させて締結する。この場合においても、真空槽1の外部から着脱部50の治具挿通孔73を介して第2真空断熱室11内に挿通させた治具100を用い、その治具100を回転操作させることにより、雄螺子部材である締結部材70を外郭冷却ステージ3の締結孔35に螺合させて締結する。
【0041】
このように締結が進めば、冷却ステージ6の挿入方向(矢印Y2方向)に沿って冷却ステージ6を外郭冷却ステージ3に押し付けることができ、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性を高めることができる。これにより冷却ステージ6により外郭冷却ステージ3を効率よく冷却させることができる。なお、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性は、締結部材70による締結度合により調整できる。
【0042】
上記したように別の冷凍部5を真空槽1の第2取付フランジ19に取り付けたら、螺子部材23により固定蓋51を着脱部50に固定して治具挿通孔73を気密的に閉鎖する。その状態で、第2仕切弁86を開放させて真空ポンプ87で第2真空断熱室11を高真空状態にする。そして第1仕切弁83を開放させれば、第2真空断熱室11及び第1真空断熱室10が連通する。
【0043】
また、別の冷凍部5を事情により真空槽1の第2取付フランジ19に直ちに取り付けないときには、固定蓋51(あるいは別の蓋)を第2取付フランジ19に当てて、螺子部材23で固定蓋51(あるいは別の蓋)を第2取付フランジ19に固定しておく。この場合、固定蓋51(あるいは別の蓋)が第2取付フランジ19の差し込み口20を覆い、且つ、第2シール部材24のシール作用により差し込み口20から第2真空断熱室11への大気の進入を抑えることができる。
【0044】
以上説明したように本実施例によれば、真空槽1の外部からドライバー工具等の長細い治具100を冷凍部5の着脱部50の治具挿通孔73に第2真空断熱室11内に挿入し、その治具100により締結部材70の締結を解除したり、締結部材70の締結を行ったりすることができる。これにより第1真空断熱室10の真空断熱状態を良好に維持しつつ、冷凍部5を真空槽1から取り外すことができる。このように冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との締結及び締結解除を、真空槽1の外部からの操作で行うことができるため、作業性が良好であり、冷凍部5の冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性を良好に確保することができ、ひいては被冷却体300を極低温状態に維持することができる。
【0045】
更に、寒冷に伴う熱収縮により冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性が緩んだときであっても、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との締結を、真空槽1の外部からの上記操作で熱的接触性の緩みを必要に応じて容易に矯正でき、冷凍部5の冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性を良好に確保することができる。
【0046】
更に本実施例によれば、弁手段としての第1仕切弁83を開放すれば、第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11を連通できる。また第1仕切弁83を閉じれば、第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11の連通を遮断できる。故に、冷凍部5を第2真空断熱室11から取り外すときに、前述したように第1仕切弁83を閉じて第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11の連通を遮断すれば、第2真空断熱室11が治具挿通孔73を介して大気に露出される場合であっても、第1真空断熱室10への大気の進入を防止できると共に、第1真空断熱室10の高真空断熱状態を良好に維持することができ、ひいては被冷却体300を極低温状態に維持することができる。換言すれば、冷凍部5を真空槽1から取り外すときに、第1真空断熱室10を室温まで昇温させずとも良く、また、その第1真空断熱室10の真空を破らずとも良い。
【0047】
(第2実施例)
本発明の第2実施例について図2,図3を参照して説明する。第2実施例は第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。共通する部位には共通の符号を付する。図2に示すように、極低温冷凍機は、真空断熱機能を有する真空槽1と、真空槽1に着脱可能に取り付けられる冷凍部5とを備えている。真空槽1は、被冷却体300を収容する第1真空断熱室10と、第1真空断熱室10内に配設された第2真空断熱室11と、第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11を仕切る隔壁部12とをもつ。第1真空断熱室10は第2真空断熱室11よりも容積が大きく、第2真空断熱室11を包含する。
【0048】
図2に示すように、第1真空断熱室10は、第1取付フランジ16をもつ槽本体15と、槽本体15の第1取付フランジ16の開口に第1シール部材17を介して固定部材18により気密的に固定された第2取付フランジ19とにより形成されている。第2取付フランジ19はこれを貫通する差し込み口20を有する。図2に示すように、第2真空断熱室11は、第1第2真空断熱室11Aと、第1第2真空断熱室11Aに連通すると共に第1第2真空断熱室11Aよりも低温とされる第2第2真空断熱室11Bとで形成されている。
【0049】
隔壁部12は筒形状をなしており、第2取付フランジ19の差し込み口20の軸芯P1を包囲するように一体的に保持されている。隔壁部12の下端部である先端部12xは、第1真空断熱室10に向けて延設されている。隔壁部12は、第1隔壁部12Aと、第1隔壁部12Aと同軸的な第2隔壁部12Bと、第1隔壁部12A及び第2隔壁部12Bの境界に溶接やろー付け等の結合手段で固定された第1外郭冷却ステージ3Aと、第2隔壁部12Bの先端部に溶接やろー付け等の結合手段で固定された第2外郭冷却ステージ3Bとを有する。図2に示すように、輻射熱を遮断する容器状の断熱シールド部材26が第1真空断熱室10内に配置されている。断熱シールド部材26は第1外郭冷却ステージ3Aに接合されている。
【0050】
冷凍機の冷凍部5は、第2真空断熱室11内に着脱可能に出し入れされるものである。図2に示すように、冷凍部5は、真空槽1の第2取付フランジ19に螺子部材23により着脱される着脱部50と、着脱部50に着脱可能に宛われる固定蓋51と、着脱部50に繋がる第1連設部52Aと、第1連設部52Aの先端に繋がる第1冷却ステージ6Aと、第1連設部52に繋がる第2連設部52Bと、第2連設部52Bの先端に繋がる第2冷却ステージ6Bとをもつ。
【0051】
図2に示すように、着脱部50は、冷媒(ヘリウム等)を圧縮する圧縮機ユニット5tなどに繋がる複数の配管54,55を有する。着脱部50と第2取付フランジ19とはシール手段としての第2シール部材24により気密的にシールされている。第1冷却ステージ6Aは、第1連設部52A内の冷媒通路を流れる冷媒により極低温の高温側に維持されるものであり、熱伝導性が良好な材料で形成されている。第1冷却ステージ6Aは、螺子部材である複数の第1締結部材70Aを第1外郭冷却ステージ3Aの第1締結孔35Aに螺合することにより第1外郭冷却ステージ3Aに締結され、締結により第1外郭冷却ステージ3Aに熱的に接触している。
【0052】
図2に示すように、第2冷却ステージ6Bは、第2連設部52B内の冷媒通路を流れる冷媒により極低温の低温側に維持されるものであり、熱伝導性が良好な材料で形成されている。第2冷却ステージ6Bは、雄螺子部材である第2締結部材70Bを第2外郭冷却ステージ3Bの第2締結孔35Bに螺合することにより第2外郭冷却ステージ3Bに締結され、締結により第2外郭冷却ステージ3Bに熱的に接触している。
【0053】
なお、通常の使用状態では、第1冷却ステージ6Aでは50K〜70Kレベル、第2冷却ステージ6Bでは4K〜20Kレベルの温度で用いられる。
【0054】
図3(A)に示すように、第1冷却ステージ6Aは円盤状をなしており、複数の第1透孔61Aを仮想線α1,α2上に有する。また図3(B)に示すように、第1外郭冷却ステージ3Aは熱伝導性が良好な材料で形成された円盤状をなしており、雌螺子で形成された複数の第1締結孔35Aを仮想線α1,α2上に有する。図3(A),図3(B)に示すように、第1透孔61A及び第2締結孔35Aは共に仮想線α1、α2上に形成されており、周方向の位相は同じとされている。このため第1透孔61A及び第2締結孔35Aは互いに対面する。第1締結孔35A及び第1透孔61Aには第1締結部材70Aが取り付けられるからである。
【0055】
更に、図3(C)に示すように、第2冷却ステージ6Bは、円盤部63と、円盤部63から半径方向外方に延設された複数の鍔部64と、鍔部64に形成された複数の第2透孔65Bとを仮想線β1,β2上に有する。図3(D)に示すように、第2外郭冷却ステージ3Bは熱伝導性が良好な材料で形成された円盤状をなしており、雌螺子孔で形成された複数の第2締結孔35Bを仮想線β1,β2上に有する。このように第2透孔65B及び第2締結孔35Bは仮想線β1、β2上に形成されており、周方向の位相は同じとされている。このため第2透孔65B及び第2締結孔35Bは互いに対面する。第2透孔65B及び第2締結孔35Bには第2締結部材70Bが取り付けられるからである。なお、仮想線β1,β2は仮想線α1,α2に対して周方向に角度θ分ずれた位置に配置されている。
【0056】
ところで、第1冷却ステージ6Aと第1外郭冷却ステージ3Aとの伝熱面積を増加させるためには、第1冷却ステージ6Aを半径方向に大きくしてその表出面積を増加させることが好ましい。同様に、第2冷却ステージ6Bと第2外郭冷却ステージ3Bとの伝熱面積を増加させるためには、第2冷却ステージ6Bを半径方向に大きくしてその表出面積を増加させることが好ましい。しかしこのように第2冷却ステージ6Bを半径方向に大きくした場合には、第2冷却ステージ6Bを第2真空断熱室11B内に差し込むときに、挿入途中に位置する第1外郭冷却ステージ3Aに第2冷却ステージ6Bが当接して干渉するおそれがある。
【0057】
そこで本実施例によれば、図3(B)に示すように、第1外郭冷却ステージ3Aに逃げ開口36を形成している。逃げ開口36は第2冷却ステージ6Bの挿通を許容するものである。具体的には、逃げ開口36は、図3(B)(C)に示すように、第2冷却ステージ6Bの円盤部63を嵌合する円形状のメイン開口36aと、メイン開口36aに連通すると共に第2冷却ステージ6Bの鍔部64が嵌合する複数のサブ開口36bとを有する。逃げ開口36のサブ開口36bは、第2冷却ステージ6Bの鍔部64に対して周方向において同位相に形成されていると共に、鍔部64の形状よりもやや大きめの相似形状である。逃げ開口36と第2冷却ステージ6Bの鍔部64との挿通を許容するためである。
【0058】
すなわち、図3(B)(C)から理解できるように、第1外郭冷却ステージ3Aの逃げ開口36は、第2冷却ステージ6Aの外観形状を打ち抜いた形状に相似している。このように逃げ開口36を第1外郭冷却ステージ3Aに形成しているため、第2冷却ステージ6Bを第2第2真空断熱室11B内に差し込むとき、第2冷却ステージ6Bが第1外郭冷却ステージ3Aに当接して干渉するおそれがなくなる。故に、図2に示すように第2冷却ステージ6Bを第2第2真空断熱室11Bの奥方に配置することができ、ひいては、第2冷却ステージ6Bを第2外郭冷却ステージ3Bに熱的に良好に接触させることができる。
【0059】
本実施例においても、図2,図3に示すように外部操作手段7Uが設けられている。この外部操作手段7Uは、第1冷却ステージ6A及び第1外郭冷却ステージ3Aが互いに熱的に接触すると共に、第2冷却ステージ6B及び第2外郭冷却ステージ3Bが互いに熱的に接触するように維持するものである。
【0060】
すなわち、外部操作手段7Uは、第1冷却ステージ6Aを第1外郭冷却ステージ3Aに対して矢印Y2方向に押し付ける押し付け力と、第2冷却ステージ6Bを第2外郭冷却ステージ3Bに対して矢印Y2方向に押し付ける押し付け力とを、真空槽1の外部からの操作で実行するものである。
【0061】
図2に示すように、この外部操作手段7Uは、第1冷却ステージ6Aと第1外郭冷却ステージ3Aとを一体的に締結する第1締結部材70Aと、第2冷却ステージ6Bと第2外郭冷却ステージ3Bとを一体的に締結する第2締結部材70Bと、第1締結部材70Aを外す治具100A(ドライバー工具等)を真空槽1の外部から挿通するように着脱部50にこれを貫通するように形成された第1治具挿通孔73Aと、第2締結部材70Bを外す治具100B(ドライバー工具等)を真空槽1の外部から挿通するように着脱部50にこれを貫通するように形成された第2治具挿通孔73Bとを有する。
【0062】
なお、説明の便宜上、治具100A,治具100Bは別体のものとしたが、第1締結部材70Aの締結と第2締結部材70Bの締結とで必要とされる長さは異なるものの、共通するものを用いても良い。
【0063】
さて、図2に示す状態において、メンテナンス等のため冷凍部5を真空槽1から取り外すときについて説明する。この場合、第1実施例と同様に、冷凍機の運転を停止させると共に、第1仕切弁83を閉鎖すると共に第2仕切弁86を開放し、非凝縮性気体を気体源27から第2真空断熱室11に送給する。この場合、前述同様に、第2真空断熱室11は大気とほぼ同程度の圧力とされる。
【0064】
上記したように非凝縮性気体を第2真空断熱室11に送給した後、第1実施例と同様に、螺子部材23を外して固定蓋51を着脱部50から取り外す。これにより着脱部50の第1治具挿通孔73A,第2治具挿通孔73Bが大気に露出するが、第2真空断熱室11には非凝縮性気体が大気圧とほぼ同程度の圧力で装填されているため、第1治具挿通孔73A,第2治具挿通孔73Bから大気が第2真空断熱室11に進入することが抑えられる。この場合にも第1仕切弁83は閉鎖されているため、第1真空断熱室10は大気から遮断されており、大気は第1真空断熱室10に進入しない。
【0065】
この状態で、真空槽1の外部からドライバー工具等の長細い治具100Aの先端を冷凍部5の着脱部50の第1治具挿通孔73Aに挿入させると共に、第2真空断熱室11の第1第2真空断熱室11A内に挿入させる。治具100Aは、第1治具挿通孔73Aの先端開口73mから第1締結部材70Aまで到達する長さを少なくとも有する。そして、ドライバー工具等の治具100Aの先端を第1締結部材70Aに係合させ、治具100Aを回転操作することにより第1締結部材70Aの締結を外す。これにより第1冷却ステージ6Aと第1外郭冷却ステージ3Aとが離脱可能となる。
【0066】
同様に、真空槽1の外部からドライバー工具等の長細い治具100Bの先端を冷凍部5の着脱部50の第2治具挿通孔73Bに挿入させると共に、第2真空断熱室11の第2真空断熱室11B内に挿入させる。この治具100Bは、第2治具挿通孔73Bの先端開口から第2締結部材70Bまで到達する長さを少なくとも有する。そして、ドライバー工具等の治具100Bの先端を第2締結部材70Bに係合させ、治具100Bを回転操作することにより第2締結部材70Bの締結を外す。これにより第2冷却ステージ6Bと第2外郭冷却ステージ3Bとが離脱可能となる。
【0067】
その後、冷凍部5を矢印Y1方向に移動させて着脱部50を第2取付フランジ19から離脱させる。従って冷凍部5は第2真空断熱室11から離脱される。即ち、第1冷却ステージ6A、第2冷却ステージ6B、第1連設部52A、第2連設部52B、着脱部50は、第2真空断熱室11から離脱される。
【0068】
そして予め用意しておいた別の冷凍部5を第2取付フランジ19の差し込み口20から第2真空室11内に矢印Y2方向に向けて差し込み、その冷凍部5の第2冷却ステージ6Bを第2外郭冷却ステージ3Bに接触させると共に、第2締結部材70Bを第2外郭冷却ステージ3Bの第2締結孔35Bに螺合させて締結する。この場合、着脱部50の第2治具挿通孔73Bから第2第2真空断熱室11B内に挿通した治具100Bをこれの周方向に回転操作させることにより、第2締結部材70Bを第2外郭冷却ステージ3Bの第2締結孔35Bに螺合させて締結する。
【0069】
また、冷凍部5の第1冷却ステージ6Aを第1外郭冷却ステージ3Aに接触させると共に、第1締結部材70Aを第1外郭冷却ステージ3Aの第1締結孔35Aに螺合させて締結する。この場合においても、着脱部50の第1治具挿通孔73Aから第1第2真空断熱室11A内に挿通した治具100Aをこれの周方向に回転操作させることにより、第1締結部材70Aを第1外郭冷却ステージ3Aの第1締結孔35Aに螺合させて締結する。
【0070】
上記したように締結を行えば、第2冷却ステージ6Bを第2外郭冷却ステージ3Bに押し付けることができ、第2冷却ステージ6Bと第2外郭冷却ステージ3Bとの熱的接触性を高めることができる。これにより第2冷却ステージ6Bにより第2外郭冷却ステージ3Bを効率よく冷却させることができる。
【0071】
また、第1冷却ステージ6Aを第1外郭冷却ステージ3Aに押し付けることができ、第1冷却ステージ6Aと第1外郭冷却ステージ3Aとの熱的接触性を高めることができる。これにより第1冷却ステージ6Aにより第1外郭冷却ステージ3Aを効率よく冷却させることができる。
【0072】
上記したように別の冷凍部5を真空槽1に取り付けたら、螺子部材23により固定蓋51を着脱部50に固定して第1治具挿通孔73A,第2治具挿通孔73Bを閉鎖する。その後、第2仕切弁86を開放させて真空ポンプ87で第2真空断熱室11を真空状態にする。なお、第1仕切弁83を開放させれば、第2真空断熱室11及び第1真空断熱室10が連通する。
【0073】
また、別の冷凍部5を真空槽1の第2取付フランジ19部に取り付けないときには、固定蓋51(あるいは別の蓋)を第2取付フランジ19に当てて、螺子部材23で固定蓋51を第2取付フランジ19に固定しておく。この場合、固定蓋51(あるいは別の蓋)が第2取付フランジ19の差し込み口20を覆い、且つ、第2シール部材24のシール作用により差し込み口20から第2真空断熱室11への大気の進入を抑えることができると共に、第1治具挿通孔73A及び第2治具挿通孔73Bを固定蓋51(あるいは別の蓋)で気密的に覆う。
【0074】
ところで本実施例によれば、第2締結部材70Bを外す治具100Bを第2第2真空断熱室11Bに挿入させるときに、途中にある第1冷却ステージ6A及び第1外郭冷却ステージ3Aに治具100Bが干渉しないようにする必要がある。そこで本実施例によれば、図3(A)に示すように、第1冷却ステージ6Aに治具挿通孔73Dが形成されている。更に図3(B)に示すように、第1外郭冷却ステージ3Aにサブ開口36bが治具挿通孔73Dに対面するように形成されているため、治具挿通孔73D及びサブ開口36bに治具100Bを挿通させ、その治具100Bにより第2締結部材70Bの締結、締結解除を行うことができる。治具挿通孔73Dは仮想線β1上に形成されており、治具挿通孔73Dの周方向の位相がサブ開口36b,第2締結孔35Bと同一とされている。
【0075】
更に本実施例によれば、第1実施例と同様に、冷凍部5を第2真空断熱室11から取り外すときに、前述したように第1仕切弁83を閉じて第1真空断熱室10及び第2真空断熱室11の連通を遮断すれば、第1真空断熱室10への大気の進入を防止できると共に、第1真空断熱室10の高真空断熱状態を良好に維持することができ、ひいては被冷却体300を極低温状態に維持することができる。なお、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との間に、熱的接触性を更に高めるためにインジウム等の熱伝導性が良い軟金属を介在させておくことが好ましい。
【0076】
なお本実施例は図2に示すように冷凍部5は第1冷却ステージ6A及び第2冷却ステージ6Bをもつ2ステージタイプであるが、3ステージタイプとすることもできる。
【0077】
(第3実施例)
本発明の第3実施例について図4〜図6を参照して説明する。第3実施例は第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。共通する部位には共通の符号を付する。図4に示すように、極低温冷凍機は、真空断熱機能を有する真空槽1と、真空槽1に着脱可能に取り付けられる冷凍部5とを備えている。
【0078】
冷凍部5は、第2真空断熱室11内に着脱可能に出し入れされるものである。図4に示すように、冷凍部5は、着脱部50と、着脱部50に繋がる連設部52と、連設部52の先端に繋がる冷却ステージ6とをもつ。この外部操作手段7Wは、外郭冷却ステージ3に設けられ半径方向に移動可能な締結部材70と、真空槽1の外部から操作され操作に伴い締結部材70を冷却ステージ6の半径方向(矢印D1,D2方向)に変位させる治具100とを有する。
【0079】
図6及び図5に模式的に示すように、締結部材70は、周方向に分散して配置され外周側に第1傾斜面76を有すると共に締結部材70の半径方向(矢印D1,D2方向)に沿って変位可能な複数の爪部75と、爪部75の第1傾斜面76に係合する第2傾斜面77を内周側に有する係合体78と、係合体78を押圧する押圧部材79とをもつ。係合体78は爪部75を包囲するように配設されている。周方向に隣設する爪部75間には、バネ部材74(図5参照)が配置されている。爪部75は、熱伝導性の良好な金属で形成されており、外郭冷却ステージ3及び冷却ステージ6に熱的接触する。
【0080】
治具100の先端には回転体130が設けられている。回転体130の外周部には雄螺子130wが形成されており、外郭冷却ステージ3の雌螺子孔3wに螺進退可能に螺合している。図4に示すように、治具100は着脱部50の治具挿通孔73に気密的に挿通されており、着脱部50の外方に露出する操作部100xを有する。固定蓋51は着脱部50に固定されている。固定蓋51により、治具挿通孔73は第3シール部材25を介して気密的に閉鎖されている。
【0081】
さて、真空室1の外部に露出している操作部100xを一方向に回転操作して治具100をこれの軸芯回りで回転操作すれば、回転体130が回転しつつ矢印Y2方向に移動する。この結果、押圧板79が矢印Y2方向に移動し、係合体78が矢印Y2方向に変位する。この結果、係合体78の第2傾斜面77が爪部75の第1傾斜面76を押圧する。これにより締結部材70の爪部75がバネ部材74に抗して縮径する。即ち、複数の爪部75が径内方向つまり矢印D1方向に移動し、爪部75の内面75iで冷却ステージ6の外周面を締結することができる。この結果、冷却ステージ6の外周面と爪部75の内周面との熱的接触性を高めることができる。
【0082】
また、メンテナンス等のため冷凍部5を真空槽1から取り外すときには、前述のように冷凍機の運転を停止させると共に、図4において第1仕切弁83を閉鎖した状態で、第2仕切弁86を開放し、非凝縮性気体を気体源27から第2真空断熱室11に送給する。この場合、第2真空断熱室11は大気とほぼ同程度の圧力とされる。上記したように非凝縮性気体を第2真空断熱室11に送給した後、操作部100xを逆方向に回転操作して治具100をこれの軸芯回りで逆方向に回転操作すれば、回転体130が回転しつつ矢印Y1方向に移動する。するとバネ部材74により複数の爪部75が拡径方向つまり矢印D2方向に自動的に移動し、爪部75の第1傾斜面76が係合体78の第2傾斜面77を矢印D2方向に押圧する。この結果、爪部75が冷却ステージ6の外周面から離脱し、爪部75による締結が解除される。その後、螺子部材23を外すことにより、着脱部50を第2取付フランジ19から取り外し、冷凍部5を第2真空断熱室11から離脱させる。従って冷凍部5を構成する冷却ステージ6、連設部52、着脱部50は、第2真空断熱室11から離脱される。
【0083】
そして予め用意しておいた別の冷凍部5を第2取付フランジ19の差し込み口20から第2真空断熱室11内に矢印Y2方向に差し込み、その冷凍部5の冷却ステージ6を外郭冷却ステージ3に接近させると共に、螺子部材23により着脱部50を第2取付フランジ19に着脱可能に保持する。
【0084】
更に治具100の操作部100xを操作すれば、前述同様に、係合体78が矢印Y2方向に変位し、係合体78の第2傾斜面77と爪部75の第1傾斜面76との係合により、複数の爪部75が径内方向つまり矢印D1方向に移動し、爪部75の内側で冷却ステージ6の外周面を締結することができる。この結果、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性を高めることができる。
【0085】
なお本実施例では、操作部100xを一方向に回転操作して治具100をこれの軸芯回りで回転操作することにしているが、これに限らず、直動タイプの別の治具を設け、治具の操作部を矢印Y1,Y2方向に直動操作させて治具をこれの軸芯に沿って直動させることにしても良い。また本実施例では、図4に示すように冷凍部5は冷却ステージ6をもつ1ステージタイプであるが、2ステージタイプ、3ステージタイプとすることもできる。
【0086】
(第4実施例)
本発明の第4実施例について図7を参照して説明する。第4実施例は第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。共通する部位には共通の符号を付する。図7に示すように、極低温冷凍機は、真空断熱機能を有する真空槽1と、真空槽1に着脱可能に取り付けられる冷凍部5とを備えている。
【0087】
冷凍部5は、第2真空断熱室11内に着脱可能に出し入れされるものである。冷凍部5は、着脱部50と、着脱部50に繋がる連設部52と、連設部52の先端に繋がる冷却ステージ6とをもつ。
【0088】
本実施例に係る外部操作手段7Xは、図7に示すように、冷却ステージ6を第2真空断熱室11に進入させつつ冷凍部5の着脱部50を螺子部材23により着脱可能に設置するプレート状の設置部90と、設置部90の貫通孔90mに挿通された締結部材70とを有する。締結部材70は、第2取付フランジ19の雌螺子孔状の取付孔19mに螺進退可能に螺合された雄螺子部材で形成されている。
【0089】
図7に示すように、真空槽1側の取付部としての第2取付フランジ19と設置部90との間には、伸縮可能な伸縮部材として機能できるベローズ91が配設されている。締結部材70の締結及び締結解除に伴って設置部90が矢印Y1,Y2方向に変位したときでも、ベローズ91は伸縮できるため、第2真空断熱室11の真空状態を確保する。
【0090】
図7に示す状態において、真空槽1の外部から締結部材70の頭部70mを回転操作して第2取付フランジ19の取付孔19mに螺進退させれば、ベローズ91を伸縮させつつ、設置部90を真空槽1に対して矢印Y1,Y2方向に変位可能とすることができる。この場合、締結部材70を一方向に回転操作して設置部90を真空槽1に対して矢印Y2方向に変位させれば、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性を高めることができる。また締結部材70を他方向に回転操作して設置部90を真空槽1に対して矢印Y1方向に変位させれば、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性を緩めることができる。
【0091】
図7に示す状態において、メンテナンス等のため冷凍部5を真空槽1から取り外すときについて説明を加える。この場合、前述のように冷凍機の運転を停止させると共に、第1仕切弁83を閉鎖した状態で第2仕切弁86を開放し、非凝縮性気体を気体源27から第2真空断熱室11に送給する。この場合、第2真空断熱室11は大気とほぼ同程度の圧力とされる。
【0092】
上記したように非凝縮性気体を第2真空断熱室11に送給した後、螺子部材23を外すことにより、冷凍部5の着脱部50を設置部90から離脱させる。従って冷凍部5を構成する冷却ステージ6、連設部52、着脱部50は、第2真空断熱室11から離脱される。
【0093】
そして予め用意しておいた別の冷凍部5を第2取付フランジ19の差し込み口20から第2真空室11内に矢印Y2方向に差し込み、その冷凍部5の冷却ステージ6を外郭冷却ステージ3に接触させると共に、螺子部材23により着脱部50を設置部90に着脱可能に保持する。
【0094】
更に真空槽1の外部から締結部材70の頭部70mを回転操作して締結部材70を螺進させれば、設置部90が矢印Y2方向に変位して設置部90が真空槽1内の外郭冷却ステージ3に相対的に近づくため、冷凍部5の冷却ステージ6を第2真空断熱室11の奥方に向けて変位させ、これにより冷却ステージ6を外郭冷却ステージ3に押し付けることができる。故に、冷却ステージ6と外郭冷却ステージ3との熱的接触性を高めることができる。この結果、冷却ステージ6により外郭冷却ステージ3を効率よく冷却させることができる。なお本実施例は図7に示すように冷凍部5は冷却ステージ6をもつ1ステージタイプであるが、2ステージタイプ、3ステージタイプとすることもできる。
【0095】
(その他)
その他、本発明は上記した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
[付記項1]第1真空断熱室と、第2真空断熱室と、前記第1真空断熱室及び前記第2真空断熱室を仕切ると共に外郭冷却ステージをもつ隔壁部とを有する真空槽と、
前記第2真空断熱室内に着脱可能に出し入れされ、前記外郭冷却ステージに熱的に接触可能であり且つ極低温に維持される冷却ステージをもつ冷凍部とを具備する極低温冷凍機において、第1真空断熱室及び第2真空断熱室を連通する第1形態と、第1真空断熱室及び第2真空断熱室を非連通とする第2形態とに切り替える切替弁が設けられていることを特徴とする極低温冷凍機。この場合、冷凍部の冷却ステージを第2真空断熱室から外すため、第2真空断熱室が大気に露出するときには、切替弁により、第1真空断熱室及び第2真空断熱室を非連通とさせれば、第1真空断熱室の高真空状態、極低温状態を維持するのに有利である。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る極低温冷凍機によれば、真空槽の外部から外部操作手段を操作することにより、冷却ステージ及び外郭冷却ステージのうちの一方を他方に対して押し付ける押し付け力を発生させ、冷却ステージと外郭冷却ステージとの熱的接触性が高められる。これにより冷却ステージにより外郭冷却ステージを効率よく冷却でき、ひいては被冷却体を効率よく冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係り、極低温冷凍機を模式的に示す構成図である。
【図2】第2実施例に係り、極低温冷凍機を模式的に示す構成図である。
【図3】(A)は第1冷却ステージの平面図であり、(B)は第1外郭冷却ステージの平面図であり、(C)は第2冷却ステージの平面図であり、(D)は第2外郭冷却ステージの平面図である。
【図4】第3実施例に係り、極低温冷凍機を模式的に示す構成図である。
【図5】第3実施例に係り、締結部材を示す構成図である。
【図6】第3実施例に係り、締結部材を示す断面図である。
【図7】第4実施例に係り、極低温冷凍機を模式的に示す構成図である。
【図8】従来技術に係り、極低温冷凍機を模式的に示す構成図である。
【符号の説明】
図中、1は真空槽、10は第1真空断熱室、11は第2真空断熱室、12は隔壁部、3は外郭冷却ステージ、36は逃げ開口、5は冷凍部、50は着脱部、51は固定蓋、52は連設部、6は冷却ステージ、7は外部操作手段、70は締結部材、73は治具挿通孔、75は爪部、8は排気系、82は第1通路、85は第2通路、83は第1仕切弁(切替弁)、86は第2仕切弁(切替弁)、90は設置部、91はベローズ、100は治具を示す。
Claims (8)
- 第1真空断熱室と、第2真空断熱室と、前記第1真空断熱室及び前記第2真空断熱室を仕切ると共に外郭冷却ステージをもつ隔壁部とを有する真空槽と、
前記第2真空断熱室内に着脱可能に出し入れされ、前記外郭冷却ステージに熱的に接触可能であり且つ極低温に維持される冷却ステージをもつ冷凍部とを具備する極低温冷凍機において、
前記極低温冷凍機は、
前記冷却ステージ及び前記外郭冷却ステージの接触度が増加するように、前記冷却ステージ及び前記外郭冷却ステージのうちの一方を他方に対して押し付ける押し付け力を、前記真空槽の外部からの操作で実行する外部操作手段を具備することを特徴とする極低温冷凍機。 - 請求項1において、前記外部操作手段は、前記冷却ステージと前記外郭冷却ステージとを締結する締結部材と、前記締結部材を操作させて前記冷却ステージ及び前記外郭冷却ステージの熱的接触性を高める治具を前記真空槽の外部から挿通する治具挿通孔とを有することを特徴とする極低温冷凍機。
- 請求項2において、前記締結部材は螺子部材であることを特徴とする極低温冷凍機。
- 請求項1において、前記外部操作手段は、前記冷却ステージ及び前記外郭冷却ステージのうちの少なくとも一方に設けられ前記冷却ステージ及び前記外郭冷却ステージに接触可能な締結部材と、前記真空槽の外部から操作され、操作に伴い前記締結部材を前記冷却ステージの半径方向に変位させて前記冷却ステージと前記外郭冷却ステージとの熱的接触性を高める治具とを有することを特徴とする極低温冷凍機。
- 請求項1において、前記外部操作手段は、前記冷却ステージ及び前記外郭冷却ステージのうちの少なくとも一方に設けられ前記冷却ステージ及び前記外郭冷却ステージに接触可能な締結部材と、前記真空槽の外部から操作され操作に伴い前記締結部材を前記冷却ステージの半径方向に変位させて前記冷却ステージと前記外郭冷却ステージとの熱的接触性を高める治具を前記真空槽の外部から挿通する治具挿通孔とを有することを特徴とする極低温冷凍機。
- 請求項1において、前記外部操作手段は、前記冷却ステージを前記第2真空断熱室に進入させつつ前記冷凍部を設置する設置部と、前記冷却ステージと前記外郭冷却ステージとの熱的接触性を高める方向に前記設置部を前記真空槽に対して変位可能に保持する締結部材とを有することを特徴とする極低温冷凍機。
- 請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項において、前記冷却ステージは、第1冷却ステージと、前記第1冷却ステージの先方に設けられた第2冷却ステージとを有しており、
前記外郭冷却ステージは、前記第1冷却ステージに熱的に接触可能な第1外郭冷却ステージと、前記第2冷却ステージに熱的に接触可能な第2外郭冷却ステージとを有しており、
前記第1外郭冷却ステージ及び前記第2冷却ステージのうちの少なくとも一方は、前記第2冷却ステージを前記第2真空断熱室内に進入させるとき、前記第2冷却ステージと前記第1外郭冷却ステージとの干渉を抑える逃げ開口を有することを特徴とする極低温冷凍機。 - 請求項1〜請求項7のうちのいずれか一項において、前記第1真空断熱室及び前記第2真空断熱室を連通する第1形態と、前記第1真空断熱室及び前記第2真空断熱室を非連通とする第2形態とに切り替える切替弁が設けられていることを特徴とする極低温冷凍機。
Priority Applications (1)
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