JP2004293684A - スラスト軸受 - Google Patents

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JP2004293684A JP2003087734A JP2003087734A JP2004293684A JP 2004293684 A JP2004293684 A JP 2004293684A JP 2003087734 A JP2003087734 A JP 2003087734A JP 2003087734 A JP2003087734 A JP 2003087734A JP 2004293684 A JP2004293684 A JP 2004293684A
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Katsumi Sekine
勝美 関根
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Abstract

【課題】スラスト軸受の低フリクション化を一層促進するスラスト軸受を提供する。
【解決手段】摺動面2に円周方向所定間隔で複数の潤滑溝3を形成してなるスラスト軸受において、相手摺動部材4の相対回転方向Sに対し潤滑溝3前方の溝肩に溝側始点32aの深さをdとするとともに摺動面2に滑らかに連なる曲面32を形成し、曲面32の始点32aの角部に溝側端部35aの深さをdとするとともにもう一つの曲面36よりなる潤滑油の入口部35を形成し、潤滑溝3の深さ寸法をdとしてd>d>dを充足し、かつ動圧発生用曲面32の始点32aおよび終点32bを結んだ線mと摺動面2とがなす角度をθ、入口部35の溝側端部35aおよび動圧発生用曲面32の終点32bを結んだ線nと摺動面2とがなす角度をθとしてθ<θ<45°を充足するスラスト軸受。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転部分におけるスラスト方向の荷重を支持するスラスト軸受に関し、特に、例えばオートマチックトランスミッションにおけるトルクコンバータのステータ等のように、一方向にのみ回転する回転機器のスラスト軸受として有用なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、スラスト軸受の低フリクション化を実現すべく、図9に示すように平板状の円形摺動面52に円周方向所定間隔で複数の潤滑溝53を形成し、更にこの潤滑溝53に連なるようにテーパ面54およびランド面55を形成したもので、潤滑溝53から潤滑油を供給するとこれが相手摺動部材56の回転に伴いテーパ面54に引き込まれてランド面55と相手摺動部材56端面との間隙δにクサビ状潤滑油膜を発生させるため、この潤滑油膜の圧力で相手摺動部材56のスラスト荷重が支えられるテーパランドスラスト軸受51が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながらこの従来技術には、以下の問題がある。
▲1▼動圧を発生させるべく、テーパ面54と相手摺動部材56端面との間隙δを微小にするために、テーパ面54を微小な角度をもったテーパ面にしなければならず、よってテーパ面54の周方向長さlが長くなるために、ランド面55の周方向長さlが短くなってしまう。したがって、発生した動圧を作用させるのに十分な長さのランド面55を確保することができない。
▲2▼使用条件の厳しい箇所で使用する際には、摺動発熱により摺動部の温度が非常に高くなることから冷却効果を確保すべく潤滑溝53の形成数を増やす必要があるが、上記したようにテーパ面54を微小な角度をもったテーパ面にしなければならないために、テーパ面54の周方向長さlが長くなり、潤滑溝53の形成数を増やすことができない。
▲3▼テーパ面54が磨耗した場合、潤滑溝53の効果が失われてしまう。
▲4▼動圧効果を高くするには、上記したようにテーパ面54と相手摺動部材56端面との間隙δを更に小さくしなければならず、より微小な角度をもったテーパを付ける必要があるが、これは金型製作上困難となる。
【0004】
そこで、本願発明者らは上記問題を解決するため、先に図10に示すスラスト軸受1を提案しており、このスラスト軸受1は、以下のように構成されている(特許文献2参照)。
【0005】
すなわち、このスラスト軸受1は、その軸方向一端面が相手摺動部材との摺動面2となっており、この摺動面2には、径方向へ延びる多数の潤滑溝3が円周方向所定間隔で形成されている。
【0006】
潤滑溝3はそれぞれ、その溝幅Wが例えば1.4mm程度とされており、その両側の溝肩には、大きさが互いに異なる曲面31,32が形成されている。すなわち、潤滑溝3の両側の溝肩のうち、摺動面2と対向する相手摺動部材の相対的回転方向Sに対して潤滑溝3の後方となる側の溝肩には、相対的に小さな潤滑油誘導用の曲面(以下、後方側曲面と称する)31が形成されており、その曲率半径Rは例えば0.5mm以下とされている。また、相手摺動部材4の相対的回転方向Sに対して潤滑溝3の前方となる側の溝肩には、相対的に大きな動圧発生用の曲面(以下、前方側曲面と称する)32が形成されており、その曲率半径Rは後方側曲面31の曲率半径Rよりも十分に大きく、例えば2.0mm程度とされている。
【0007】
潤滑溝3の溝底33の深さdは、前方側曲面32における溝底33側の始点32aよりも深く形成されており、前記始点32aの摺動面2に対する深さdが例えば0.7mm程度であるのに対して、溝底33の深さdはそれよりも深く、例えば1.95mm程度とされている。
【0008】
このスラスト軸受1によれば、前方側曲面32が上記図9のテーパ面54における断面が直線状の微小な角度をもったテーパ面に代えて、滑らかに湾曲する前方側曲面32が摺動面2に接して形成されているために、その動圧発生作用により動圧効果を高めることができる。また当該スラスト軸受1では、上記したように前方側曲面32の始点32aの深さdが0.7mm程度、前方側曲面32の曲率半径Rが2.0mm程度とされているが、前方側曲面32の始点32aの深さdを小さくし(例えば0.25mm程度)、前方側曲面32の曲率半径Rを大きくすることで(例えば5.0mm程度)、摺動面2の周方向長さL(特許文献1のランド面55の周方向長さlに相当)の長さを維持したまま、より動圧効果を高めることができる。
【0009】
また、更なる低フリクション化を実現するため、今回新たに流体潤滑状態下での数値解析を行なったので、その結果を図11のグラフ図に示す。この図11のグラフ図は、上記特許文献2に記載された図10のスラスト軸受1において、潤滑溝3一区間について、潤滑溝3一区間の周方向長さLを一定とし、摺動面2の周方向長さLおよび前方側曲面32の曲率半径Rについて変化させた(曲率半径Rの始点32aの深さdも曲率半径Rの大きさに合わせて変化する)ときの、摺動面2の潤滑油膜厚さと軸受負荷容量(軸受圧力によって相手摺動部材端面を押し上げる力の大きさ)の関係を表わしている。
【0010】
このとき用いたスラスト軸受1は、潤滑溝3の各部寸法について、溝幅Wは1.4mm、後方側曲面31の曲率半径Rは0.3mm、溝底33の深さdは1.5mm、径方向中央部での潤滑溝3一区間の周方向長さLは8.1mmとされている。また、例えば径方向中央部での摺動面2の周方向長さLが5.2mmの場合には、前方側曲面32の曲率半径Rは2.0mm、前方側曲面32の始点32aの深さdは0.7mmとされている。
【0011】
図11の数値解析においては、前方側曲面32の曲率半径R=2.0mmのときの摺動面2の周方向長さLを基準に、摺動面2の周方向長さLを一定にして曲率半径Rを変化させると、前方側曲面32の曲率半径Rを大きくした場合は前方側曲面32の始点32aの深さdを小さく、更に、摺動面2の周方向長さLも変化させると、前方側曲面32の曲率半径Rを小さくした場合(前方側曲面32の曲率半径R<1.5mmの場合)は摺動面2の周方向長さLを大きく設定される。この数値解析の結果によると、前方側曲面32の曲率半径Rが大きいほど軸受負荷容量が大きくなることが判明した。これは、前方側曲面32の曲率半径Rを大きくすることで前方側曲面32の曲率が大きくなり、前方側曲面32と相手摺動部材4端面との間隙δが縮小することによる潤滑油のクサビ効果が大きくなるため、より大きな軸受負荷容量を発生するためと考えられる。以上の検討結果からして、前方側曲面32の曲率半径Rを大きくすることで、更なる低フリクション化を実現される。
【0012】
また、前方側曲面32の始点32aの深さdを一定にして、前方側曲面32の曲率半径Rを変化させた場合には、前方側曲面32の曲率半径Rを大きくしても、それに伴い摺動面2の周方向長さLが小さくなるので(図12には、例えば前方側曲面32の曲率半径Rが2.0mmの場合と10mmの場合において、それぞれの場合の摺動面2の周方向長さLを図示している。ここで、前方側曲面32の曲率半径Rが2.0mmの時の摺動面2の周方向長さLをLR=2、曲率半径Rが10mmの時の摺動面2の周方向長さLをLR=10とすると、
R=2>LR=10
となっている)、軸受面積が小さくなり、結果として曲率半径Rを大きくした効果はあまり出ない。
【0013】
しかしながら、上記解析結果を受け、前方側曲面32の曲率半径Rを5mm程度、前方側曲面32の始点32aの深さdを0.25mm程度(但し、潤滑溝3の他の寸法は上記数値解析の際に用いた潤滑溝の寸法と同じ)として実際に試験を行なうと、前方側曲面32の始点32aの深さdが小さ過ぎるために、潤滑油が前方側曲面32と相手摺動部材4端面との間隙δに介入しにくく、結果的に摺動面2の磨耗を引き起こすこととなり、上記解析で得られた結果に対する効果が直接現われてこない。
【0014】
【特許文献1】
特開昭55−12415号公報
【特許文献2】
国際公開02/077473号パンフレット
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、上記先行技術に対してスラスト軸受の低フリクション化を一層促進することができるスラスト軸受を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1によるスラスト軸受は、摺動面に円周方向所定間隔で複数の潤滑溝を形成してなるスラスト軸受において、相手摺動部材の相対回転方向に対して前記潤滑溝の前方となる側の溝肩に、溝側の始点の深さ寸法をdとするとともに前記摺動面に滑らかに連なる動圧発生用の曲面を形成し、前記動圧発生用の曲面の始点の角部に、溝側端部の深さ寸法をdとするとともにもう一つの曲面、または面取り部を含む滑らかな曲面よりなる潤滑油の入口部を形成し、前記潤滑溝の深さ寸法をdとして、
d>d>d
の関係を充足し、かつ前記動圧発生用の曲面の始点および終点を結んだ線と前記摺動面とがなす角度をθ、前記入口部の溝側端部および前記動圧発生用の曲面の終点を結んだ線と前記摺動面とがなす角度をθとして、
θ<θ<45°
の関係を充足することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項2によるスラスト軸受は、摺動面に円周方向所定間隔で複数の潤滑溝を形成してなるスラスト軸受において、相手摺動部材の相対回転方向に対して前記潤滑溝の前方となる側の溝肩に、前記摺動面に滑らかに連なるとともに比較的大きな曲率半径を備えた動圧発生用の曲面を形成し、前記動圧発生用の曲面の始点の角部に、前記動圧発生用の曲面に滑らかに連なるとともに比較的小さな曲率半径を備えた曲面を有する潤滑油の入口部を形成したことを特徴とするものである。
【0018】
【作用】
上記構成を備えた本発明の請求項1または2によるスラスト軸受によれば、潤滑油が摺動面と相手摺動部材との間隙に介入し易くなることから、摺動面間の潤滑状態が良くなり、軸受圧力が大きくなる(すなわち、軸受負荷容量が大きくなる)ために、更なる低フリクション化を実現することが可能となる。また、動圧発生用の曲面の曲率半径を大きくすることで動圧発生用の曲面の曲率が大きくなり、動圧発生用の曲面と相手摺動部材端面との間隙が縮小することによる潤滑油のクサビ効果が大きくなるために、より大きな軸受圧力を発生させることが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
尚、本件出願には、以下の技術的事項が含まれる。
【0020】
本発明では、潤滑油が摺動面と相手摺動部材との間隙に容易に介入し、上記解析結果の効果が十分得られるように、摺動面の周方向長さ(特許文献1のランド面55の周方向長さlに相当)の長さを確保しつつ、動圧発生用の曲面を深さのポイントを始点として摺動面に接する曲面によって構成し、その始点の角部にもう一つの曲面、または面取り部を含む滑らかな曲面よりなる潤滑油の入口部を形成することにより、潤滑油の入口幅(深さ)を実質拡大することにした。
【0021】
すなわち、上記目的を達成するため、本件出願が提案するスラスト軸受は、以下の構成を備えている。
【0022】
(1) 摺動面に円周方向所定間隔で複数の潤滑溝を形成してなるスラスト軸受において、相対回転方向に対して潤滑溝の前方となる側の溝肩の曲面は、溝側の始点の深さdを始点とした摺動面に接する曲面で構成され、その曲面の曲率半径の大きさは2mm以上で、更に、その始点の角部にもう一つ曲面または面取り部を含む滑らかな曲面で構成し、潤滑油の入口幅dを、
d>d>d(但し、dは潤滑溝の深さ寸法)
の関係、前方側曲面の曲率半径の始点と摺動面との接点のなす角度をθ、および潤滑油の入口幅と前方側曲面の曲率半径の摺動面との接点のなす角度θは、
θ<θ<45°
としたことを特徴とするスラスト軸受。
【0023】
(2) 上記(1)に記載したスラスト軸受において、摺動面裏面に潤滑油を通過させるための溝を有することを特徴とするスラスト軸受。
この(2)の溝は、摺動面の溝断面積でスラスト軸受を通過する潤滑油全体の流量が確保できない場合、裏面に潤滑油が通過するのに必要な断面積を有する溝を形成することにより補うものである。
【0024】
【実施例】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0025】
図1は、当該実施例に係るスラスト軸受1の正面図を示している。
当該実施例に係るスラスト軸受1は、その軸方向一端面が図示はしていないが相手摺動部材4との摺動面2となっており、この摺動面2に径方向へ延びる多数の潤滑溝3が円周方向所定間隔で形成されている。また、当該スラスト軸受1は所定の材質によって環状に成形されるが、その材質は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属に限らず、使用条件により適宜選択される。
【0026】
[第一実施例]
図2は、図1のA−A線拡大断面図を示している。図3は、図2の一部拡大図を示している。
当該第一実施例は、相手摺動部材4の相対的回転方向Sに対して潤滑溝3の前方となる側の溝肩に形成された曲面(以下、第二曲面と称する)32の始点32aの角部に追加したもう一つの曲面(以下、第三曲面と称する)36を、第二曲面32と溝側面34との間に形成し、かつ両者に接するように設定したものである。
【0027】
(1)潤滑溝幅W
潤滑溝3はそれぞれ、その断面形状を基本的に矩形状とされている。本形態においては、その溝幅Wは、例えば0.8mm程度に形成されている。
【0028】
(2)第一曲面
潤滑溝3の両側の溝肩には、大きさを互いに異にする曲面31,32,36が形成されている。すなわち、潤滑溝3の両側の溝肩のうち、摺動面2と対向する相手摺動部材4の相対的回転方向Sに対して潤滑溝3の後方となる側の溝肩には動圧発生用の第二曲面32に対して比較的小さな潤滑油誘導用の第一曲面(特許文献2の後方側曲面31に相当)31が形成されている。本形態においては、第一曲面31の曲率半径Rは、例えば0.3mm程度に形成されている。
【0029】
(3)第二曲面
相手摺動部材4の相対的な回転方向Sに対して潤滑溝3の前方となる側の溝肩には、潤滑油誘導用の第一曲面31に対して比較的大きな動圧発生用の第二曲面(特許文献2の前方側曲面32に相当)32が形成されている。また、第一曲面31の曲率半径Rと第二曲面32の曲率半径Rとの関係は、
<<R
とされている。この第二曲面32は摺動面2に滑らかに連なるように形成されている。第二曲面32の曲率半径Rは、上記図11で説明したように2mm以上とするのが好適であって、より大きい方がより大きな軸受圧力を発生する。本形態においては、第二曲面32の曲率半径Rは、例えば10mm程度に形成されている。
【0030】
(4)第三曲面
第二曲面32における溝側の始点32aの角部に、第二曲面32に対して比較的小さな第三曲面36よりなる潤滑溝3の入口部35が形成されている。この第三曲面36よりなる潤滑油の入口部35は、断面が滑らかな曲線よりなるアールによって形成されており、その溝側の端部35aは溝側面34に滑らかに連なり、また反対側の端部35bは第二曲面32に滑らかに連なるように形成されている。また、第一曲面31の曲率半径R、第二曲面32の曲率半径R、第三曲面36の曲率半径Rの関係は、
<R<R
とされている。本形態においては、第三曲面36の曲率半径Rは、例えば0.5mm程度に形成されている。
【0031】
(5)溝深さd
潤滑油の入口部35の溝側端部35aの深さ寸法dは、潤滑溝3の深さ寸法をd、第二曲面32の溝側の始点32aの深さ寸法をdとして、
d>d>d
の関係を充足するように形成されている。尚、第一曲面31の溝側の始点31aの深さ寸法dと第二曲面32の溝側の始点32aの深さ寸法dとの関係は、そのときの設定により変わる。本形態においては、潤滑溝3の深さdは例えば1.0mm、第二曲面32の始点32aの深さ寸法dは例えば0.2mm、潤滑油の入口部35の溝側端部35aの深さ寸法dは例えば0.6mm程度に形成されている。
【0032】
また、この潤滑油の入口部35の溝側端部35aと第二曲面32の終点32bを結んだ線nと摺動面2とがなす角度θは、第二曲面32の始点32aと終点32bを結んだ線mと摺動面2とがなす角度をθとして、
θ<θ<45°
の関係を充足するように形成されている。これにより第二曲面32の周方向長さLに対する潤滑油の入口部35の適切な大きさや深さ、すなわち、第三曲面の曲率半径Rや潤滑油の入口部35の溝側端部35aの深さd等が確保されている。
【0033】
(6)溝底部
潤滑溝3の溝底33の隅には、断面四半円形状のアール部37が形成されている。本形態においては、例えば、アール部37の曲率半径は0.3mmとされている。
【0034】
(7)摺動面
摺動面2の周方向長さLと潤滑溝3一区間の周方向長さLとの関係は、
L/L=0.5〜0.85
近傍であることが望ましい。本形態においては、例えば、摺動面2の周方向長さLは径方向中央部で5.5mm、潤滑溝3一区間の周方向長さLは径方向中央部で9.0mmとされている。
【0035】
上記構成のスラスト軸受1によれば、第一曲面31の曲率半径Rに対して比較的大きな曲率半径Rを備えた第二曲面32の始点32a位置に、第二曲面32の曲率半径Rに対して比較的小さな曲率半径Rを備えた第三曲面36よりなる潤滑油の入口部35が潤滑溝3に対して開口するように形成されているために、潤滑溝3から動圧発生用の第二曲面32への潤滑油の入口幅(深さ)が実質拡大されている。したがって、潤滑油が摺動面2と相手摺動部材4との間隙δに介入し易くなることから、摺動面間の潤滑状態が良くなり、発生する軸受圧力が大きくなるために、上記特許文献2に記載された図10のスラスト軸受に対して更なる低フリクション化を実現することができる。
【0036】
潤滑油の入口部35の形状は、例えば以下のものであっても良い。
【0037】
[第二実施例]
図4は、図1のA−A線拡大断面図を示している。図5は、図4の一部拡大図を示している。
当該第二実施例は、先に説明した第一実施例と基本的には同様の構成を備えているが、相手摺動部材4の相対的回転方向Sに対して潤滑溝3の前方となる側の溝肩に形成された曲面(以下、第二曲面と称する)32の始点32aの角部に追加したもう一つの曲面(以下、第三曲面と称する)38を面取り部39と曲面40とを含む曲面とし、この第三曲面38は第二曲面32と溝側面34との間に形成され、かつ第二曲面32の一方に接するように設定した点で第一実施例とは相違するものである。
【0038】
すなわち、この第二実施例では、図4および図5に示すように、潤滑油の入口部35の断面形状は面取り部39を含む滑らかな曲線によって形成されており、この曲線、すなわち第三曲面38は、溝側の面取り部39と反対側の曲面40との組み合わせによって構成されている。
【0039】
(1)第三曲面
面取り部39は、その断面が直線状に形成されており、本形態においては、例えば、周方向長さ寸法L’は0.5mm、直線の傾斜角度は溝底33に対して45°とされている。
【0040】
曲面40は、面取り部39と第二曲面32との間に形成されており、この曲面40は、その溝側の始点40aにおいて面取り部39に滑らかに連なり、反対側の終点40bにおいて第二曲面32に滑らかに連なるように形成されている。本形態においては、例えば、曲面40の曲率半径Rは1mmとされている。
【0041】
この第二実施例の他の構成は、上記第一実施例と同じである。
【0042】
この第二実施例に係るスラスト軸受1によれば、第一曲面31の曲率半径Rに対して比較的大きな曲率半径Rを備えた第二曲面32の始点32a位置に、面取り部39を含む滑らかな曲面38よりなる潤滑油の入口部35が潤滑溝3に対して開口するよう形成されているために、やはり潤滑溝3から動圧発生用の第二曲面32への潤滑油の入口幅(深さ)が実質拡大されている。したがって、潤滑油が摺動面2と相手摺動部材4との間隙δに介入し易くなることから、摺動面間の潤滑状態が良くなり、発生する軸受圧力が大きくなるために、上記特許文献2に記載された図10のスラスト軸受に対して更なる低フリクション化を実現することができる。
【0043】
尚、潤滑油の入口部35の形状は、上記第一、第二実施例に限定されるものではない。すなわち、第二曲面32の始点32aの角部に、潤滑油の入口部35の溝側端部35aの深さdを確保することを前提に、断面形状が第二曲面32と滑らかに接する曲線であれば、同様な効果が得られる。
【0044】
また、本発明における潤滑溝3の形状は、上記第一、第二実施例で示した放射状の溝に限定されるものではなく、例えばヘリングボーン溝やスパイラル溝などどのような溝であっても効果を発揮する。
【0045】
尚、潤滑溝3の他の形状因子についての解析結果を参考までに示すと、以下のとおりである。
▲1▼第一曲面31の曲率半径Rの影響(図6参照)
第一曲面31の曲率半径Rが小さいほど、軸受負荷容量が大きくなっている(但し、曲率半径Rの大きさのみ変化させ、他の溝形状因子は一定とした)。
▲2▼溝幅Wの影響(図7参照)
摺動面2の周方向長さLとのバランスにもよるが、溝幅Wが大きくなるに連れ、軸受負荷容量が小さくなっている(但し、溝幅Wの大きさのみ変化させ、潤滑溝3一区間の周方向長さLおよび他の溝形状因子は一定とした)。
▲3▼潤滑溝3等配数の影響(図8参照)
潤滑溝3の本数と摺動面2の周方向長さLとのバランスにもよるが、12〜24等配の範囲が好ましい(但し、溝等配数のみ変化させ、他の溝形状因子は一定とした)。
【0046】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0047】
すなわち、上記構成を備えた本発明の請求項1または2によるスラスト軸受においては、上記構成により、動圧発生用の曲面の始点の角部にこの始点の深さよりも深さの深い位置に潤滑油の入口部が形成されているために、潤滑溝から動圧発生用の曲面への潤滑油の入口幅(深さ)が実質拡大されている。したがって、潤滑油が摺動面と相手摺動部材との間隙に介入し易くなることから、摺動面間の潤滑状態が良くなり、発生する軸受圧力が大きくなるために、上記特許文献2に記載されたスラスト軸受に対して更なる低フリクション化を実現することができる。
【0048】
また、動圧発生用の曲面の曲率半径を大きくすると摺動面と相手摺動部材との間隙が縮小することによる潤滑油のクサビ効果が大きくなるために、より大きな軸受圧力が発生するが、従来は、動圧発生用の曲面の曲率半径を大きくすると潤滑溝から動圧発生用の曲面へと供給される潤滑油の供給量が減少する問題があった。これに対して本発明では、動圧発生用の曲面の始点の角部に潤滑油の入口部を形成したために、潤滑油の供給量を増大することができ、よって潤滑油の供給不足を生じることなく動圧発生用の曲面の曲率半径を大きくして大きな軸受圧力を発生させることができる。したがって、更なる低フリクション化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例に係るスラスト軸受の正面図
【図2】図1におけるA−A線拡大断面図
【図3】図2の一部拡大図
【図4】本発明の第二実施例に係るスラスト軸受の要部断面図
【図5】図4の一部拡大図
【図6】同試験における後方側曲面の曲率半径Rの影響による油膜厚さと軸受負荷容量の関係を示すグラフ図
【図7】同試験における溝幅Wの影響による油膜厚さと軸受負荷容量の関係を示すグラフ図
【図8】同試験における溝等配数の影響による油膜厚さと軸受負荷容量の関係を示すグラフ図
【図9】(A)は従来例に係るスラスト軸受の正面図、(B)は同図(A)におけるB−B線拡大断面図
【図10】(A)は他の従来例に係るスラスト軸受の正面図、(B)は同図(A)におけるC−C線拡大断面図
【図11】解析試験における前方側曲面の曲率半径Rの影響による油膜厚さと軸受負荷容量の関係を示すグラフ図
【図12】同試験における試料の説明図
【符号の説明】
1 スラスト軸受
2 摺動面
3 潤滑溝
4 相手摺動部材
31 曲面(後方側曲面、第一曲面)
32 曲面(前方側曲面、第二曲面)
32a,40a 始点
32b,40b 終点
33 溝底部
34 溝側面
35 入口部
35a 溝側端部
35b 反対側端部
36 曲面(第三曲面)
37 アール部
38 曲面(第三曲面)
39 面取り部
40 曲面

Claims (2)

  1. 摺動面(2)に円周方向所定間隔で複数の潤滑溝(3)を形成してなるスラスト軸受(1)において、
    相手摺動部材(4)の相対回転方向(S)に対して前記潤滑溝(3)の前方となる側の溝肩に、溝側の始点(32a)の深さ寸法をdとするとともに前記摺動面(2)に滑らかに連なる動圧発生用の曲面(32)を形成し、前記動圧発生用の曲面(32)の始点(32a)の角部に、溝側端部(35a)の深さ寸法をdとするとともにもう一つの曲面(36)、または面取り部(39)を含む滑らかな曲面(38)よりなる潤滑油の入口部(35)を形成し、前記潤滑溝(3)の深さ寸法をdとして、
    d>d>d
    の関係を充足し、かつ前記動圧発生用の曲面(32)の始点(32a)および終点(32b)を結んだ線(m)と前記摺動面(2)とがなす角度をθ、前記入口部(35)の溝側端部(35a)および前記動圧発生用の曲面(32)の終点(32b)を結んだ線(n)と前記摺動面(2)とがなす角度をθとして、
    θ<θ<45°
    の関係を充足することを特徴とするスラスト軸受。
  2. 摺動面(2)に円周方向所定間隔で複数の潤滑溝(3)を形成してなるスラスト軸受(1)において、
    相手摺動部材(4)の相対回転方向(S)に対して前記潤滑溝(3)の前方となる側の溝肩に、前記摺動面(2)に滑らかに連なるとともに比較的大きな曲率半径(R)を備えた動圧発生用の曲面(32)を形成し、
    前記動圧発生用の曲面(32)の始点(32a)の角部に、前記動圧発生用の曲面(32)に滑らかに連なるとともに比較的小さな曲率半径(R)(R)を備えた曲面(36)(40)を有する潤滑油の入口部(35)を形成したことを特徴とするスラスト軸受。
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