JP2004293658A - 円筒部材の取付構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軸方向に沿う切り割り部13を有する円筒状のゴム弾性体3を円筒部材1に被着し、円筒部材1をゴム弾性体3の上から二つ割り構造の一対のブラケット4,5で抱持し、その抱持部6,8を間に挟む両ブラケット4,5の二つの接合面10,11をボルト20,21によって結合し、その両ブラケット20,21を支持部材2に取り付ける。このような取付構造において、両ブラケット20,21の抱持部内周側に凹部12を形成すると共に、ゴム弾性体3の外周面に前記凹部12に係合可能な凸部15を設ける。ゴム弾性体3の凸部15から切り割り部13までの距離が、ブラケット4の凹部12から両ブラケット20,21の一方の接合面10までの距離と等しくなるように設定する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、車両のステアリングギヤボックス等の円筒部材をゴム弾性体とブラケットを介して支持部材に取り付ける取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
円筒部材の取付構造として次のようなものが知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
この取付構造は、円筒部材をゴム弾性体とブラケットを介して支持部材に取り付けるものであり、ゴム弾性体は軸方向に沿う切り割り部を有し、ブラケットは二つ割り構造のものが採用されている。具体的には、円弧状の抱持部を有する一対のブラケットが用いられ、ゴム弾性体を切り割り部から押し開いて円筒部材に被着した後、両ブラケットがゴム弾性体の上から円筒部材の外周面に被せられ、両ブラケットの抱持部で円筒部材を挟み込むようにしてブラケット相互がボルト結合されている。両ブラケットは抱持部を間に挟む二つの接合面でボルト結合されているが、一方の接合部はブラケット相互の結合と併せて支持部材に共締め固定されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−171530号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来の取付構造の場合、ブラケット間に円筒部材を挟み込むときにブラケットとゴム弾性体を円周方向に正確に位置合わせすることができないため、両ブラケットを相互にボルト締結するときにゴム弾性体の切り割り位置がブラケットの接合面から大きくずれる可能性がある。そして、このように切り割り位置と接合面が大きくずれると、締結荷重がゴム弾性体の切り割り部を押し開くように作用し、それによってゴム弾性体の一部に必要以上の負荷がかかってゴム弾性体の耐久性が低下したり、ゴム弾性体のばね特性が変化する等の不具合を招く。
【0006】
そこでこの出願の発明は、ブラケット間に円筒部材を挟み込むときにブラケットとゴム弾性体を円周方向に正確に位置合わせできるようにして、ブラケットの締結によるゴム弾性体の局部的な変形や潰れを防止することのできる円筒部材の取付構造を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するための手段として、この出願の発明は、両ブラケットの少なくとも一方の抱持部内周面に凹部を形成すると共に、ゴム弾性体の外周面に前記凹部に係合可能な凸部を設け、ゴム弾性体の前記凸部から切り割り部までの距離が、前記ブラケットの凹部から両ブラケットの一方の接合面までの距離と等しくなるように設定するようにした。
【0008】
この発明の場合、ブラケット間に円筒部材を挟み込むときにゴム弾性体の凸部をブラケットの凹部に係合させると、ゴム弾性体の切り割り部の位置が両ブラケットの一方の接合面の位置と合致することとなる。したがって、この状態でブラケット相互を締結しても、その締結荷重によってゴム弾性体の切り割り部が押し開かれることはなくなる。よって、この発明によれば、ブラケット相互の締結時にゴム弾性体が局部的に押し潰されて、ゴム弾性体の耐久性が低下したり、ばね特性が変化する不具合を無くすことができる。
【0009】
前記凹部は両ブラケットの他方の接合面に臨ませて形成することが望ましい。この場合、ブラケットの抱持部の内周面の端を、その円弧が拡大するように形成するだけで凹部を容易に造形することができる。また、このようにして凹部を形成した場合には、抱持部の内周面と接合面の成す角度が拡がるため、ブラケットの製造が容易になる。また、ブラケットを鋳造によって作る場合には、抱持部の内周面と接合部の交差部分に欠けが生じにくくなり、耐久面でも有利となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、この出願の発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、円筒部材1である車両のステアリングギヤボックスを支持部材2である車体のサスペンションメンバに取り付けた状態を示すものであり、円筒部材1はゴム弾性体3を介して一対のブラケット4,5に抱持され、そのブラケット4,5の一端が支持部材2に結合されている。
【0012】
一方のブラケット4は鋳造によって比較的厚肉のブロック状に形成され、90°強の円弧状の挟持部6の両端にフランジ部7a,7bが径方向外側に張り出して形成されている。
【0013】
また、他方のブラケット5はプレス成形によって比較的に薄肉に形成され、270°弱の円弧状の抱持部8の両端にやはりフランジ部9a,9bが同様に径方向外側に張り出して形成されている。両ブラケット4,5は両者の抱持部6,8が円形を成すように対応するフランジ部相互が突き合わされ、夫々ボルト20,21によって結合されるが、一端側のフランジ部7a,9aの対は相互間の結合と併せて支持部材2に共締め固定されるようになっている。
【0014】
図1,図4示すように、両ブラケット4,5の抱持部6,8の端部は、一端側のフランジ部7a,9aの接合面10に臨む側では、両者の内側の円弧面が連続するように形成され、他方側のフランジ部7b,9bの接合面11に臨む側では、両者の内側面がほぼ接線方向に沿って平面状に延出し、その平面相互がほぼ直角を成すように突き合わされている。したがって、両ブラケット4,5の抱持部6,8の内周面は全体で見ればほぼ円形状を成し、他方側のフランジ部7b,9bに連続する部分にのみほぼ直角状に窪む凹部12が設けられている。
【0015】
一方、ゴム弾性体3は、図2,図3に示すように全体が円筒部材1の外周面にほぼ合致する円筒形状に形成されると共に、その周壁には軸方向に沿う切り割り部13が設けられている。ゴム弾性体3を円筒部材1の外周に被着する際にはゴム弾性体3がこの切り割り部13から押し開かれる。また、ゴム弾性体3の外周面には前記両ブラケット4,5の抱持部6,8が嵌合される幅広の溝14が形成されており、抱持部6,8の軸方向端面がその溝14の側壁に当接することにより、ゴム弾性体3がブラケット4,5に対して軸方向に抜け止めされるようになっている。
【0016】
そして、ゴム弾性体3の外周面のうちの前記切り割り部13から円周方向に設定距離離間した位置には、径方向外側に向かって突出する断面三角形状の凸部15が軸方向に沿って形成されている。この凸部15から切り割り部13までの距離は、前記ブラケット4の凹部12から一方の接合面10までの距離と等しくなるように設定されている。また、凸部15は、前記凹部12の形状に対応して頂部角がほぼ直角を成すように形成されている。
【0017】
実際に円筒部材1を支持部材2に取付ける場合には、まず、ゴム弾性体3を切り割り部13から押し開いて円筒部材1の外周面に被着し、その状態で一方のブラケット4の抱持部6にゴム弾性体3部分を載せ、ゴム弾性体3の凸部15を抱持部6の他端の平面部分に当接させるようにして、ゴム弾性体3の溝14(図3参照。)をブラケット4の抱持部6に嵌合させる。
【0018】
次に、この状態から図4中の矢印で示す方向から他方のブラケット5を被せ、そのブラケット5の抱持部8をゴム弾性体3の溝14に嵌合させる。このとき、ゴム弾性体3の凸部15にはブラケット5側の抱持部6の他端側の平面部分が当接し、凸部15は両ブラケット4,5間に形成された凹部12に対して係合されることとなる。そして、この状態から両ブラケット4,5の他端側のフランジ部7b,9bをボルト21によって締結し、それによって円筒部材1を両ブラケット4,5に固定する。
【0019】
この後、両ブラケット4,5の一端側のフランジ部7a,9aにボルト20を通し、このボルト20によってフランジ部7a,9aを支持部材2に共締め固定する。
【0020】
ところで、両ブラケット4,5をボルト締結する際には、前述のようにゴム弾性体3の凸部15がブラケット4,5の凹部12に係合されるが、凸部15が凹部12に係合した状態では、ゴム弾性体3の切り割り部13がブラケット4,5の一方側の接合面10の位置と合致することとなるため、この状態でボルト締結が行われても、ゴム弾性体3の切り割り部13は押し開き方向に潰されることはない。
【0021】
したがって、この取付構造においては、以上のようにブラケット4,5の締結時にゴム弾性体3の切り割り部13が局部的に押し潰されることがないため、局部的な荷重の集中によってゴム弾性体3の耐久性が低下したり、ばね特性が変化する不具合は生じない。
【0022】
また、ブラケット4,5に形成する凹部12は抱持部6,8の端部以外に形成することも可能であるが、この実施形態のように両ブラケット4,5の他方の接合面11に臨む位置に形成する場合には、ブラケット4,5に対する凹部12の造形が容易になるという利点がある。つまり、この場合、両ブラケット4,5の抱持部6,8の内周面の端を、円弧が拡大するように接線方向に延ばして形成するだけで良いため、ブラケット4,5を鋳造とプレス成形のいずれで形成するにしても凹部12の造形は容易となる。そして、抱持部6,8の内面と接合面11の交差部分のエッジ角が小さくなることから、ブラケットを鋳造で形成する場合にはエッジ部分が欠けにくくなり、プレス成形する場合には曲げが容易になる。
【0023】
尚、この発明の実施形態は以上で説明したものに限るものでなく、例えば、円筒部材はステアリングギヤ以外の部品であっても良い。また、二つのブラケットは両者とも鋳造によって形成するようにしても良い。
【0024】
次に、上記の実施形態から把握し得る請求項に記載以外の発明について以下に記載する。
【0025】
(イ) 前記一方のブラケットを鋳造によって形成し、他方のブラケットをプレス成形によって形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の円筒部材の取付構造。
【0026】
この場合、プレス成形によって形成されたブラケットを取付時に弾性的に押し開くことができるため、ゴム弾性体の周長を延ばすことなく円筒部材を確実に挟持固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の一実施形態を示す断面図。
【図2】同実施形態を示す図3のA−A線に沿う断面図。
【図3】同実施形態を示す図2のB−B線に沿う断面図。
【図4】同実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
1…円筒部材
2…支持部材
3…ゴム弾性体
4,5…ブラケット
6,8…抱持部
10,11…接合面
12…凹部
13…切り割り部
15…凸部
Claims (2)
- 軸方向に沿う切り割り部を有する円筒状のゴム弾性体を円筒部材に被着し、前記円筒部材をゴム弾性体の上から二つ割り構造の一対のブラケットで抱持し、その抱持部を間に挟む両ブラケットの二つの接合面をボルトによって結合して、その両ブラケットを支持部材に取り付ける円筒部材の取付構造において、
前記両ブラケットの少なくとも一方の抱持部内周面に凹部を形成すると共に、前記ゴム弾性体の外周面に前記凹部に係合可能な凸部を設け、ゴム弾性体の前記凸部から切り割り部までの距離が、前記ブラケットの凹部から両ブラケットの一方の接合面までの距離と等しくなるように設定したことを特徴とする円筒部材の取付構造。 - 前記凹部を両ブラケットの他方の接合面に臨ませて形成したことを特徴とする請求項1に記載の円筒部材の取付構造。
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