JP2004292825A - 樹脂組成物、プリプレグ及び積層板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 無機粉体を含有するPPE系の樹脂組成物であって、ハロゲン系溶媒を樹脂組成物に含有することや、樹脂組成物を加熱保持してプリプレグを製造することを必須条件とすることなしに、誘電率、誘電正接、はんだ耐熱性及び接着強度が優れた積層板、及びこの積層板が得られる樹脂組成物、プリプレグを提供する。
【解決手段】 樹脂組成物に、数平均分子量が10000〜30000のポリフェニレンエーテル樹脂とフェノール性化合物を反応開始剤の存在下で再分配反応させて、数平均分子量が用いたポリフェニレンエーテル樹脂の数平均分子量の5〜70%になるように反応させた変成フェノール生成物、架橋性樹脂、架橋助剤、反応開始剤及び無機粉体を含有する。
【選択図】なし
【解決手段】 樹脂組成物に、数平均分子量が10000〜30000のポリフェニレンエーテル樹脂とフェノール性化合物を反応開始剤の存在下で再分配反応させて、数平均分子量が用いたポリフェニレンエーテル樹脂の数平均分子量の5〜70%になるように反応させた変成フェノール生成物、架橋性樹脂、架橋助剤、反応開始剤及び無機粉体を含有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、たとえば高周波領域で使用されるプリント配線板に用いられる積層板、この積層板の製造に用いられるプリプレグ、及びこのプリプレグの製造に用いられる樹脂組成物に関するものである。
衛星通信などに用いられるXバンド(8〜12GHz)領域、いわゆる超高周波領域で使用するプリント配線板の製造に用いられる積層板には、広い高周波範囲、温度範囲及び湿度範囲で、誘電率及び誘電正接がいずれも一定で、かつ、好ましくは誘電正接が小さいことが望まれており、このような用途には、ポリフェニレンエーテル樹脂(以下、PPEと記す)と、ポリブタジエン等の架橋性樹脂と、トリアリルシアヌレート等の架橋助剤等を含有するPPE系樹脂組成物を用いた積層板が使用されている。そして近年、回路の短小化のために、誘電率が大きく、かつ、誘電正接が小さい材料が要求されるようになり、誘電率を調整するために無機粉体を上記PPE系樹脂組成物に含有させた樹脂組成物を用いた、PPE系積層板が使用されるようになってきている。
従来、このようなPPE系樹脂組成物に無機粉体を含有させた樹脂組成物を用いた積層板の製造方法としては、PPE等の樹脂成分をトリクロルエチレン等の溶媒に溶解した透明な樹脂液を調整した後、この透明な樹脂液に無機粉体を分散させた樹脂組成物を作成し、次いで、この樹脂組成物を基材に含浸させた後、加熱乾燥してプリプレグを製造し、このプリプレグを加熱・加圧して成形することにより、積層板を製造する方法
が一般的であった。
しかし、透明な樹脂液とするための溶媒については、PPE等の樹脂成分の溶解性の点で選択の幅が大幅に限定され、具体的には環境問題の点で好ましくないとされているトリクロルエチレン等のハロゲン系溶媒が使用されており、ハロゲン系溶媒を用いずに誘電特性等の優れた積層板を製造する方法が求められている。
そこで、例えば特公昭63−39404号に記載されているような、樹脂組成物を加熱保持してプリプレグを製造する方法が、非ハロゲン系溶媒を使用可能にする方法の一つとして検討されている。しかし、この方法の場合、樹脂組成物を加熱保持するために複雑な設備が必要であるという問題や、加熱保持された樹脂組成物は、粘度の経時変化が大きいという問題や、樹脂成分の基材への密着状態や積層板の電気特性が変動しやすく、性能の安定した積層板の製造が困難であるという問題があった。
そのため、ハロゲン系溶媒を樹脂組成物に含有することや、樹脂組成物を加熱保持してプリプレグを製造することを必須条件とせずに、高周波領域で使用する積層板に要求される特性である、誘電率、誘電正接、はんだ耐熱性及び接着強度が優れた積層板、及びその積層板が得られる樹脂組成物やプリプレグが求められている。
特公昭63−39404号公報
従来、このようなPPE系樹脂組成物に無機粉体を含有させた樹脂組成物を用いた積層板の製造方法としては、PPE等の樹脂成分をトリクロルエチレン等の溶媒に溶解した透明な樹脂液を調整した後、この透明な樹脂液に無機粉体を分散させた樹脂組成物を作成し、次いで、この樹脂組成物を基材に含浸させた後、加熱乾燥してプリプレグを製造し、このプリプレグを加熱・加圧して成形することにより、積層板を製造する方法
が一般的であった。
しかし、透明な樹脂液とするための溶媒については、PPE等の樹脂成分の溶解性の点で選択の幅が大幅に限定され、具体的には環境問題の点で好ましくないとされているトリクロルエチレン等のハロゲン系溶媒が使用されており、ハロゲン系溶媒を用いずに誘電特性等の優れた積層板を製造する方法が求められている。
そこで、例えば特公昭63−39404号に記載されているような、樹脂組成物を加熱保持してプリプレグを製造する方法が、非ハロゲン系溶媒を使用可能にする方法の一つとして検討されている。しかし、この方法の場合、樹脂組成物を加熱保持するために複雑な設備が必要であるという問題や、加熱保持された樹脂組成物は、粘度の経時変化が大きいという問題や、樹脂成分の基材への密着状態や積層板の電気特性が変動しやすく、性能の安定した積層板の製造が困難であるという問題があった。
そのため、ハロゲン系溶媒を樹脂組成物に含有することや、樹脂組成物を加熱保持してプリプレグを製造することを必須条件とせずに、高周波領域で使用する積層板に要求される特性である、誘電率、誘電正接、はんだ耐熱性及び接着強度が優れた積層板、及びその積層板が得られる樹脂組成物やプリプレグが求められている。
本発明は、上記問題点を改善するために成されたもので、その目的とするところは、無機粉体を含有するPPE系の樹脂組成物であって、ハロゲン系溶媒を樹脂組成物に含有することや、樹脂組成物を加熱保持してプリプレグを製造することを必須条件とすることなしに、誘電率、誘電正接、はんだ耐熱性及び接着強度が優れた積層板が得られる樹脂組成物を提供することにある。
また、誘電率、誘電正接、はんだ耐熱性及び接着強度が優れた積層板が得られるプリプレグを提供することにある。また、誘電率、誘電正接、はんだ耐熱性及び接着強度が優れた積層板を提供することにある。
また、誘電率、誘電正接、はんだ耐熱性及び接着強度が優れた積層板が得られるプリプレグを提供することにある。また、誘電率、誘電正接、はんだ耐熱性及び接着強度が優れた積層板を提供することにある。
本発明の請求項1に係る樹脂組成物は、数平均分子量が10000〜30000のPPEとフェノール性化合物を反応開始剤の存在下で再分配反応させて、数平均分子量が用いたPPEの数平均分子量の5〜70%になるように反応させた変成フェノール生成物、下記(A)の架橋性樹脂、下記(B)の架橋助剤、反応開始剤及び無機粉体を含有することを特徴とする。
(A)1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、スチレンブタジエン、マレイン変性1,2−ポリブタジエン、アクリル変性1,2−ポリブタジエン、エポキシ変性1,2−ポリブタジエン及びゴム類からなる群の中から選ばれた少なくとも1種。
(B)エステルアクリレート類、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、エーテルアクリレート類、メラミンアクリレート類、アルキドアクリレート類、シリコンアクリレート類、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、スチレン、ポリパラメチルスチレン及び多官能エポキシ類からなる群の中から選ばれた少なくとも1種。
本発明の請求項2に係る樹脂組成物は、請求項1記載の樹脂組成物において、変成フェノール生成物の数平均分子量が、1000〜3000であることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る樹脂組成物は、請求項1又は請求項2記載の樹脂組成物において、再分配反応に用いる反応開始剤が、過酸化ベンゾイルであることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る樹脂組成物は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の樹脂組成物において、無機粉体が、二酸化チタン系セラミック、チタン酸バリウム系セラミック、チタン酸鉛系セラミック、チタン酸ストロンチウム系セラミック、チタン酸カルシウム系セラミック、チタン酸ビスマス系セラミック、チタン酸マグネシウム系セラミック、及びジルコン酸鉛系セラミックからなる群の中から選ばれた少なくとも1種の
セラミックであることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る樹脂組成物は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の樹脂組成物において、フェノール性化合物が、分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール性化合物であることを特徴とする。
本発明の請求項6に係る樹脂組成物は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の樹脂組成物において、変成フェノール生成物、前記(A)の架橋性樹脂、及び前記(B)の架橋助剤の合計100重量部に対し、無機粉体を1〜300重量部含むことを特徴とする。
本発明の請求項7に係る樹脂組成物は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の樹脂組成物において、ベンゼン、トルエン、キシレン、ケトン類及びアルコール類からなる群の中から選ばれた少なくとも1種の溶媒をも含有することを特徴とする。
本発明の請求項8に係るプリプレグは、請求項1から請求項7のいずれかに記載の樹脂組成物を、基材に含浸・乾燥してなる。
本発明の請求項9に係る積層板は、請求項8記載のプリプレグに金属箔を重ね、加熱・加圧してなる。
(A)1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、スチレンブタジエン、マレイン変性1,2−ポリブタジエン、アクリル変性1,2−ポリブタジエン、エポキシ変性1,2−ポリブタジエン及びゴム類からなる群の中から選ばれた少なくとも1種。
(B)エステルアクリレート類、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、エーテルアクリレート類、メラミンアクリレート類、アルキドアクリレート類、シリコンアクリレート類、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、スチレン、ポリパラメチルスチレン及び多官能エポキシ類からなる群の中から選ばれた少なくとも1種。
本発明の請求項2に係る樹脂組成物は、請求項1記載の樹脂組成物において、変成フェノール生成物の数平均分子量が、1000〜3000であることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る樹脂組成物は、請求項1又は請求項2記載の樹脂組成物において、再分配反応に用いる反応開始剤が、過酸化ベンゾイルであることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る樹脂組成物は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の樹脂組成物において、無機粉体が、二酸化チタン系セラミック、チタン酸バリウム系セラミック、チタン酸鉛系セラミック、チタン酸ストロンチウム系セラミック、チタン酸カルシウム系セラミック、チタン酸ビスマス系セラミック、チタン酸マグネシウム系セラミック、及びジルコン酸鉛系セラミックからなる群の中から選ばれた少なくとも1種の
セラミックであることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る樹脂組成物は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の樹脂組成物において、フェノール性化合物が、分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール性化合物であることを特徴とする。
本発明の請求項6に係る樹脂組成物は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の樹脂組成物において、変成フェノール生成物、前記(A)の架橋性樹脂、及び前記(B)の架橋助剤の合計100重量部に対し、無機粉体を1〜300重量部含むことを特徴とする。
本発明の請求項7に係る樹脂組成物は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の樹脂組成物において、ベンゼン、トルエン、キシレン、ケトン類及びアルコール類からなる群の中から選ばれた少なくとも1種の溶媒をも含有することを特徴とする。
本発明の請求項8に係るプリプレグは、請求項1から請求項7のいずれかに記載の樹脂組成物を、基材に含浸・乾燥してなる。
本発明の請求項9に係る積層板は、請求項8記載のプリプレグに金属箔を重ね、加熱・加圧してなる。
本発明によると、上記変成フェノール生成物と、上記(A)の架橋性樹脂と、上記(B)の架橋助剤が架橋して、変成フェノール生成物の製造に用いたPPEの構造が架橋構造に取り込まれるため、誘電率、誘電正接、はんだ耐熱性及び接着強度が優れた積層板が得られる。また、上記変成フェノール生成物と、上記(A)の架橋性樹脂と、上記(B)の架橋助剤を含有する樹脂組成物に、無機粉体を混合した樹脂組成物は、無機粉体がほぼ均一に分散した状態の樹脂組成物となるため、ハロゲン系溶媒を樹脂組成物に含有することや、樹脂組成物を加熱保持してプリプレグを製造することを必須条件とせずに、樹脂付着量のほぼ均一なプリプレグを得ることができ、誘電率、誘電正接、はんだ耐熱性及び接着強度が優れた積層板を安定して得ることが可能となる。
本発明の請求項1から請求項7に係る樹脂組成物は、数平均分子量が10000〜30000のPPEとフェノール性化合物を反応開始剤の存在下で再分配反応させて、数平均分子量が用いたPPEの数平均分子量の5〜70%になるように反応させた変成フェノール生成物、上記(A)の架橋性樹脂、上記(B)の架橋助剤、反応開始剤及び無機粉体を、少なくとも含有する。
変成フェノール生成物の製造に用いられるPPEは、別名ポリフェニレンオキサイド樹脂とも呼ばれる樹脂であり、その一例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)が挙げられる。このようなPPEは、例えば、USP4059568号明細書に開示されている方法で合成することができる。
変成フェノール生成物の製造に用いられるフェノール性化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノ−ルノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。なお、フェノール性水酸基を分子内に2個以上有するフェノール類を用いると好ましい。このフェノール類のフェノール性水酸基数の上限は特に限定するものではないが、分子内に30個以下のものが一般に用いられる。なお、フェノール性化合物の量は、PPE100重量部に対して1〜20重量部が適量であり、反応開始剤と同程度の量が一般的である。
この再分配反応に用いられる反応開始剤としては、過酸化ベンゾイル、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシへキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンなどの過酸化物があげられる。また過酸化物ではないが、市販の反応開始剤である日本油脂株式会社製の商品名「ビスクミル」(1分半減温度330℃)を使用することもできる。なお、過酸化ベンゾイルを用いると、反応性が優れ好ましい。なお、反応開始剤の量は、PPE100重量部に対して1〜20重量部が適量である。
そして変成フェノール生成物を製造する場合には、非ハロゲン系有機溶媒中で、上記のPPEとフェノール性化合物を反応開始剤の存在下で再分配反応させて、用いたPPEの数平均分子量より低分子量の変成フェノール生成物を製造する。再分配反応の条件としては、例えば、上記のPPEとフェノール性化合物と反応開始剤を撹拌しながら、80〜120℃で10〜100分程度加熱して行う。なお、用いる非ハロゲン系有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。
反応開始剤の存在下で数平均分子量が10000〜30000のPPEとフェノール性化合物を反応させると、先ずPPEがラジカル化されると考えられ、直鎖が切断される再分配反応が進行してPPEが低分子量化し、この低分子量化したPPEでフェノール性化合物が変成される。そして得られる変成フェノール生成物の構造は、低分子化したPPEの一方又は両方の末端部にフェノール性化合物が結合して、PPEの一方又は両末端にフェノール性水酸基を有する構造となると考えられる。
なお、再分配反応して得られる変成フェノール生成物の数平均分子量は、用いたPPEの数平均分子量の5〜70%の数平均分子量であることが重要である。70%を越える場合、樹脂組成物の粘度が高くなって、基材に含浸するときの含浸性が低下したり、プリプレグの取り扱い時に樹脂が剥がれて樹脂付着量がばらつき、得られる積層板の電気特性のばらつきが発生しやすいという問題や、樹脂組成物の保存性が低下して粘度が
短期間で高くなりやすく、樹脂組成物の使用可能な時間が短くなって、生産に支障を来しやすいという問題が発生しやすくなる。また、5%未満の場合、得られる積層板の機械的強度や耐熱性が低下する場合がある。
なお、変成フェノール生成物の数平均分子量が、用いたPPEの数平均分子量の5〜70%の数平均分子量であり、かつ、1000〜3000の範囲内であると、得られる樹脂組成物を基材に含浸するときの含浸性が特に優れるため、誘電率、誘電正接、はんだ耐熱性及び接着強度が優れた積層板を特に安定して得られ好ましい。
なお、用いたPPEが複数の数平均分子量のPPEの混合物の場合には、その混合物の平均値に対して、5〜70%の数平均分子量となるように反応させる。また、得ようとする変成フェノール生成物の数平均分子量の調整は、反応開始剤の量を増やすと数平均分子量が低下する傾向があるため、反応開始剤の量で調整すると調整しやすく好ましい。
樹脂組成物に含有する架橋性樹脂は、変成フェノール生成物に対して架橋性を有する化合物であり、上記(A)のものが使用される。また、架橋助剤は、上記架橋性樹脂と同時に用いて変成フェノール生成物に対して架橋性を有する化合物であり、上記(B)のものが使用される。なお、架橋助剤としては、上記(B)中のトリアリルシアヌレート又はトリアリルイソシアヌレートが、変成フェノール生成物と相溶性が良く、架橋性、耐熱性及び誘電特性の面で好ましい。
以上の原料の配合割合は、特に限定されるものではないが、変成フェノール生成物20〜90重量%、架橋性樹脂5〜60重量%、架橋助剤1〜50重量%の割合とすることが好ましい。
なお、樹脂組成物に含有する反応開始剤としては、再分配反応に用いることが可能な反応開始剤と同じものが挙げられる。この反応開始剤は、再分配反応に用る反応開始剤と同じ化合物でも良く、異なった化合物を用いても良い。
本発明で使用する無機粉体としては、二酸化チタン系セラミック、チタン酸バリウム系セラミック、チタン酸鉛系セラミック、チタン酸ストロンチウム系セラミック、チタン酸カルシウム系セラミック、チタン酸ビスマス系セラミック、チタン酸マグネシウム系セラミック、及びジルコン酸鉛系セラミック等が挙げられる。これらは1種に限定されるものではなく、2種以上組み合わせても良い。無機粉体の粒径は、0.1〜50μmであることが望ましく、この範囲を外れると無機粉体の分散が悪くなり、基材への含浸性が低下する場合がある。
無機粉体の配合割合は、変成フェノール生成物、架橋性樹脂及び架橋助剤の合計100重量部に対し、無機粉体を1〜300重量部含有するように配合すると、誘電率を制御する効果が十分に達成され、かつ、外観の良好なプリプレグを製造するには望ましい。
なお、無機粉体と樹脂、樹脂と金属箔の密着性を向上させるため、樹脂組成物中にカップリング剤を添加しても良い。
樹脂組成物には、粘度を低下させて含浸性を向上させるために、非ハロゲン系溶媒を含有することが現実的である。この非ハロゲン系溶媒としては、加熱等の手段により除去できる溶媒であり、特に限定するものではないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、ケトン類、アルコール類等が挙げられる。
得られた樹脂組成物を、基材に含浸・乾燥してプリプレグを製造する。樹脂組成物を、基材に含浸・乾燥する方法としては特に限定するものではなく、例えば樹脂組成物中に基材を浸漬して含浸させた後、加熱して溶媒の除去や、樹脂組成物を半硬化させてプリプレグを製造する。基材に含浸する樹脂量は特に限定しないが、乾燥後の樹脂含有量が、プリプレグの重量に対して30〜70重量%となるように含浸すると、特に電気特
性が優れた積層板が得られ好ましい。
なお、含浸時に樹脂組成物を25〜35℃に保つと、基材への含浸性を安定させることができ、積層板の特性を良好にすることができる。また、樹脂組成物を含浸後、乾燥するに当たっては、80〜180℃の温度が好ましい。この乾燥が不十分であると、プリプレグ表面部分のみの乾燥に止まり、溶媒が内部に残留する為にプリプレグの表面と内部との間で樹脂の濃度差に起因する歪が生じ、プリプレグ表面に微細なクラックが発生する場合がある。また、過度の乾燥を行うと、プリプレグ表面では乾燥過程で急激な粘度変化が起こるためにプリプレグ表面に筋むらや樹脂垂れが発生し、金属箔とプリプレグとの密着性にばらつきが生じ、その結果金属箔の引き剥がし強さや誘電特性等にばらつきが発生する場合がある。
なお、樹脂組成物を含浸する基材としては、ガラスクロス、アラミドクロス、ポリエステルクロス、ガラス不織布、アラミド不織布、ポリエステル不織布、パルプ紙、リンター紙等が挙げられる。なお、ガラスクロスを用いると、機械強度が優れた積層板が得られ好ましい。なお、基材の厚みとしては0.04〜0.3mmのものが一般的に使用される。
得られたプリプレグの所定枚数と金属箔を重ねて被圧体とし、この被圧体を加熱・加圧して積層板を製造する。金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔等が使用され、厚みとしては、0.012〜0.070mmのものが一般的に使用される。なお、銅箔を用いると、電気特性が優れた積層板が得られ好ましい。
被圧体を加熱・加圧する条件としては、樹脂組成物が硬化する条件で適宜調整して加熱・加圧すればよいが、一般には、温度150〜300℃、圧力1〜6MPa、時間10〜120分程度の条件で加熱・加圧する。
このようにして得られた積層板は、誘電特性等の高周波特性や、はんだ耐熱性や、接着強度が優れると共に、スルホール等の加工性や、エッチング性に起因する回路形成の信頼性等も優れた積層板となる。
なお、本発明の樹脂組成物の使用形態は、基材に含浸・乾燥してプリプレグを製造する形態に限るものではなく、たとえばキャスティング法により基材を含まないシートを作成し、このシートをプリプレグに代用することもできる。このキャステング法による方法は、例えばポリエステルフィルム、ポリイミドフィルムなどの、樹脂組成物に対して不溶のシートに、樹脂組成物を5〜700μmの厚みに塗布し、乾燥した後、シートを剥離して製造する。なお、樹脂組成物を塗布するシートは、離型剤で表面処理したシートを用いると、剥離が容易になるため生産性が優れ好ましい。
変成フェノール生成物の製造に用いられるPPEは、別名ポリフェニレンオキサイド樹脂とも呼ばれる樹脂であり、その一例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)が挙げられる。このようなPPEは、例えば、USP4059568号明細書に開示されている方法で合成することができる。
変成フェノール生成物の製造に用いられるフェノール性化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノ−ルノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。なお、フェノール性水酸基を分子内に2個以上有するフェノール類を用いると好ましい。このフェノール類のフェノール性水酸基数の上限は特に限定するものではないが、分子内に30個以下のものが一般に用いられる。なお、フェノール性化合物の量は、PPE100重量部に対して1〜20重量部が適量であり、反応開始剤と同程度の量が一般的である。
この再分配反応に用いられる反応開始剤としては、過酸化ベンゾイル、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシへキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンなどの過酸化物があげられる。また過酸化物ではないが、市販の反応開始剤である日本油脂株式会社製の商品名「ビスクミル」(1分半減温度330℃)を使用することもできる。なお、過酸化ベンゾイルを用いると、反応性が優れ好ましい。なお、反応開始剤の量は、PPE100重量部に対して1〜20重量部が適量である。
そして変成フェノール生成物を製造する場合には、非ハロゲン系有機溶媒中で、上記のPPEとフェノール性化合物を反応開始剤の存在下で再分配反応させて、用いたPPEの数平均分子量より低分子量の変成フェノール生成物を製造する。再分配反応の条件としては、例えば、上記のPPEとフェノール性化合物と反応開始剤を撹拌しながら、80〜120℃で10〜100分程度加熱して行う。なお、用いる非ハロゲン系有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。
反応開始剤の存在下で数平均分子量が10000〜30000のPPEとフェノール性化合物を反応させると、先ずPPEがラジカル化されると考えられ、直鎖が切断される再分配反応が進行してPPEが低分子量化し、この低分子量化したPPEでフェノール性化合物が変成される。そして得られる変成フェノール生成物の構造は、低分子化したPPEの一方又は両方の末端部にフェノール性化合物が結合して、PPEの一方又は両末端にフェノール性水酸基を有する構造となると考えられる。
なお、再分配反応して得られる変成フェノール生成物の数平均分子量は、用いたPPEの数平均分子量の5〜70%の数平均分子量であることが重要である。70%を越える場合、樹脂組成物の粘度が高くなって、基材に含浸するときの含浸性が低下したり、プリプレグの取り扱い時に樹脂が剥がれて樹脂付着量がばらつき、得られる積層板の電気特性のばらつきが発生しやすいという問題や、樹脂組成物の保存性が低下して粘度が
短期間で高くなりやすく、樹脂組成物の使用可能な時間が短くなって、生産に支障を来しやすいという問題が発生しやすくなる。また、5%未満の場合、得られる積層板の機械的強度や耐熱性が低下する場合がある。
なお、変成フェノール生成物の数平均分子量が、用いたPPEの数平均分子量の5〜70%の数平均分子量であり、かつ、1000〜3000の範囲内であると、得られる樹脂組成物を基材に含浸するときの含浸性が特に優れるため、誘電率、誘電正接、はんだ耐熱性及び接着強度が優れた積層板を特に安定して得られ好ましい。
なお、用いたPPEが複数の数平均分子量のPPEの混合物の場合には、その混合物の平均値に対して、5〜70%の数平均分子量となるように反応させる。また、得ようとする変成フェノール生成物の数平均分子量の調整は、反応開始剤の量を増やすと数平均分子量が低下する傾向があるため、反応開始剤の量で調整すると調整しやすく好ましい。
樹脂組成物に含有する架橋性樹脂は、変成フェノール生成物に対して架橋性を有する化合物であり、上記(A)のものが使用される。また、架橋助剤は、上記架橋性樹脂と同時に用いて変成フェノール生成物に対して架橋性を有する化合物であり、上記(B)のものが使用される。なお、架橋助剤としては、上記(B)中のトリアリルシアヌレート又はトリアリルイソシアヌレートが、変成フェノール生成物と相溶性が良く、架橋性、耐熱性及び誘電特性の面で好ましい。
以上の原料の配合割合は、特に限定されるものではないが、変成フェノール生成物20〜90重量%、架橋性樹脂5〜60重量%、架橋助剤1〜50重量%の割合とすることが好ましい。
なお、樹脂組成物に含有する反応開始剤としては、再分配反応に用いることが可能な反応開始剤と同じものが挙げられる。この反応開始剤は、再分配反応に用る反応開始剤と同じ化合物でも良く、異なった化合物を用いても良い。
本発明で使用する無機粉体としては、二酸化チタン系セラミック、チタン酸バリウム系セラミック、チタン酸鉛系セラミック、チタン酸ストロンチウム系セラミック、チタン酸カルシウム系セラミック、チタン酸ビスマス系セラミック、チタン酸マグネシウム系セラミック、及びジルコン酸鉛系セラミック等が挙げられる。これらは1種に限定されるものではなく、2種以上組み合わせても良い。無機粉体の粒径は、0.1〜50μmであることが望ましく、この範囲を外れると無機粉体の分散が悪くなり、基材への含浸性が低下する場合がある。
無機粉体の配合割合は、変成フェノール生成物、架橋性樹脂及び架橋助剤の合計100重量部に対し、無機粉体を1〜300重量部含有するように配合すると、誘電率を制御する効果が十分に達成され、かつ、外観の良好なプリプレグを製造するには望ましい。
なお、無機粉体と樹脂、樹脂と金属箔の密着性を向上させるため、樹脂組成物中にカップリング剤を添加しても良い。
樹脂組成物には、粘度を低下させて含浸性を向上させるために、非ハロゲン系溶媒を含有することが現実的である。この非ハロゲン系溶媒としては、加熱等の手段により除去できる溶媒であり、特に限定するものではないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、ケトン類、アルコール類等が挙げられる。
得られた樹脂組成物を、基材に含浸・乾燥してプリプレグを製造する。樹脂組成物を、基材に含浸・乾燥する方法としては特に限定するものではなく、例えば樹脂組成物中に基材を浸漬して含浸させた後、加熱して溶媒の除去や、樹脂組成物を半硬化させてプリプレグを製造する。基材に含浸する樹脂量は特に限定しないが、乾燥後の樹脂含有量が、プリプレグの重量に対して30〜70重量%となるように含浸すると、特に電気特
性が優れた積層板が得られ好ましい。
なお、含浸時に樹脂組成物を25〜35℃に保つと、基材への含浸性を安定させることができ、積層板の特性を良好にすることができる。また、樹脂組成物を含浸後、乾燥するに当たっては、80〜180℃の温度が好ましい。この乾燥が不十分であると、プリプレグ表面部分のみの乾燥に止まり、溶媒が内部に残留する為にプリプレグの表面と内部との間で樹脂の濃度差に起因する歪が生じ、プリプレグ表面に微細なクラックが発生する場合がある。また、過度の乾燥を行うと、プリプレグ表面では乾燥過程で急激な粘度変化が起こるためにプリプレグ表面に筋むらや樹脂垂れが発生し、金属箔とプリプレグとの密着性にばらつきが生じ、その結果金属箔の引き剥がし強さや誘電特性等にばらつきが発生する場合がある。
なお、樹脂組成物を含浸する基材としては、ガラスクロス、アラミドクロス、ポリエステルクロス、ガラス不織布、アラミド不織布、ポリエステル不織布、パルプ紙、リンター紙等が挙げられる。なお、ガラスクロスを用いると、機械強度が優れた積層板が得られ好ましい。なお、基材の厚みとしては0.04〜0.3mmのものが一般的に使用される。
得られたプリプレグの所定枚数と金属箔を重ねて被圧体とし、この被圧体を加熱・加圧して積層板を製造する。金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔等が使用され、厚みとしては、0.012〜0.070mmのものが一般的に使用される。なお、銅箔を用いると、電気特性が優れた積層板が得られ好ましい。
被圧体を加熱・加圧する条件としては、樹脂組成物が硬化する条件で適宜調整して加熱・加圧すればよいが、一般には、温度150〜300℃、圧力1〜6MPa、時間10〜120分程度の条件で加熱・加圧する。
このようにして得られた積層板は、誘電特性等の高周波特性や、はんだ耐熱性や、接着強度が優れると共に、スルホール等の加工性や、エッチング性に起因する回路形成の信頼性等も優れた積層板となる。
なお、本発明の樹脂組成物の使用形態は、基材に含浸・乾燥してプリプレグを製造する形態に限るものではなく、たとえばキャスティング法により基材を含まないシートを作成し、このシートをプリプレグに代用することもできる。このキャステング法による方法は、例えばポリエステルフィルム、ポリイミドフィルムなどの、樹脂組成物に対して不溶のシートに、樹脂組成物を5〜700μmの厚みに塗布し、乾燥した後、シートを剥離して製造する。なお、樹脂組成物を塗布するシートは、離型剤で表面処理したシートを用いると、剥離が容易になるため生産性が優れ好ましい。
(変成フェノール生成物の調整)数平均分子量20000のPPE[日本G.E.プラスチック株式会社製、品番640−111]、フェノール性化合物としてビスフェノ−ルA、反応開始剤として過酸化ベンゾイル、及び、溶媒としてトルエンを表1に示す割合(単位:重量部)で配合し、90℃で60分間攪拌しながら再分配反応させて、液状の変成フェノール生成物(A)〜(G)を得た。この変成フェノール生成物(A)〜(G)をゲル浸透クロマトグラフ[カラム構成:東ソー株式会社製、SuperHM−M(1本)+SuperHM−H(1本)]にて分子量分布を測定し、数平均分子量を求めた。その結果を表1に示す。なお、表1中、分子量比率は、用いたPPEの数平均分子量に対する、得られた
変成フェノール生成物の数平均分子量の比率を表す。
変成フェノール生成物の数平均分子量の比率を表す。
(実施例1〜10、比較例1〜2)上記変成フェノール生成物(A)〜(G)と、架橋性樹脂としてスチレンブタジエンコポリマー(SBS)と、架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレート(TAIC)と、反応開始剤としてジクミルパーオキサイド(DCP)と、無機粉体として平均粒径0.3μmの二酸化チタンと、非ハロゲン系の溶媒としてトルエンを、樹脂組成物の原料として使用した。なお、SBSは旭化成工業(株)製のアサプレンを、TAICは日本化成(株)製のものを、DCPは日本油脂(株)製のものを、二酸化チタンは富士チタン工業(株)製の品番TR−840を、トルエンは特級試薬を用いた。
そして、上記原料のうち、無機粉体を除く原料を、表2に示す割合(単位:重量部)でセパラブルフラスコに配合し、撹拌しながらオイルバスで80℃まで加温した。80℃で2時間加温した後、空冷して、25℃の不透明な樹脂分散液を得た。次いで、この樹脂分散液に無機粉体を表2に示す割合で添加した後、ディスパーで5分と、バスケットミルで1時間撹拌して、均一な分散状態の樹脂組成物を得た。なお表2中、変成フェノール生成物の配合重量は、固形分としての重量を表し、無機粉体比率は、変成フェノール生成物、架橋性樹脂及び架橋助剤の合計100重量部に対する無機粉体の重量部を表す。
そして、上記原料のうち、無機粉体を除く原料を、表2に示す割合(単位:重量部)でセパラブルフラスコに配合し、撹拌しながらオイルバスで80℃まで加温した。80℃で2時間加温した後、空冷して、25℃の不透明な樹脂分散液を得た。次いで、この樹脂分散液に無機粉体を表2に示す割合で添加した後、ディスパーで5分と、バスケットミルで1時間撹拌して、均一な分散状態の樹脂組成物を得た。なお表2中、変成フェノール生成物の配合重量は、固形分としての重量を表し、無機粉体比率は、変成フェノール生成物、架橋性樹脂及び架橋助剤の合計100重量部に対する無機粉体の重量部を表す。
次いで、得られた樹脂組成物を室温で24時間保管した後、厚み0.1mmのガラスクロス[旭シュエーベル株式会社製、商品名216L]に含浸し、140℃で4分間乾燥して樹脂含有率65重量%のプリプレグを得た。
次いで、得られたプリプレグの両面に18μmの銅箔[日鉱グールドフォイル株式会社製、商品名JTC]を配置して被圧体とし、温度190℃、圧力2MPaの条件で100分加熱・加圧して両面に銅箔が接着された積層板を得た。
(比較例3)変成フェノール生成物に代えて、数平均分子量20000のPPE[日本G.E.プラスチック株式会社製、品番640−111]を配合したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物、プリプレグ及び積層板を得た。
(評価、結果)得られた樹脂組成物の、初期粘度及び保存性を評価した。初期粘度の測定は、B型粘度計を用いて25℃で測定し、500cps以下の場合を○(良好)とし、500〜1000cpsの場合を△とし、1000cpsを越える場合を×(不良)とした。また、保存性の測定は、25℃で24時間保存した後、初期粘度と同様にして測定及び判定を行った。
その結果は表2に示したように、各実施例及び比較例2で得られた樹脂組成物は、初期粘度も小さく、析出現象もなく保存性に優れていたが、数平均分子量17000の変成フェノール生成物(F)を用いた比較例1や、PPEをそのまま用いた比較例3は、初期粘度、保存性とも劣ることが確認された。
また、得られたプリプレグの、外観、取り扱い性及び含浸性を評価した。外観は、スジ状や垂れた形状の外観不具合部の有無を目視で観察し、無しの場合を○(良好)、有りの場合を×(不良)とした。また、取り扱い性は、プリプレグを180度折り曲げ、樹脂の脱離の有無を目視で観察し、無しの場合を○(良好)、有りの場合を×(不良)とした。また、含浸性は、切断面を1000倍でSEM観察し、内部に気泡が無い場合を○(良好)、わずかに有る場合を△、多数有る場合を×(不良)とした。
その結果は表2に示したように、各実施例及び比較例2で得られたプリプレグは、数平均分子量17000の変成フェノール生成物(F)を用いた比較例1や、PPEをそのまま用いた比較例3と比べて、外観、取り扱い性及び含浸性が優れることが確認された。また、変成フェノール生成物の数平均分子量が、1000〜3000の範囲内である実施例1〜8は、実施例9,10と比べて、含浸性が特に優れることが確認された。
また、得られた積層板の、はんだ耐熱性、銅箔の引きはがし強さ、誘電率、及び、誘電正接を測定した。はんだ耐熱性及び引きはがし強さは、JIS規格C6481に基づき測定し、誘電率及び誘電正接は、MIL規格に基づき測定した。なおこれらは、得られた積層板の3カ所から試料をサンプリングして測定し、その平均値を求めた。
その結果は表2に示したように、各実施例で得られた積層板は、変成フェノール生成物の数平均分子量が用いたPPEの数平均分子量の5〜70%の範囲外である比較例1,2や、PPEをそのまま用いた比較例3と比べて、はんだ耐熱性が優れることが確認された。また、各実施例で得られた積層板は、比較例1,3と比べて、引きはがし強さが優れていることが確認された。また、各実施例で得られた積層板は、誘電率及び誘電正接も優れていることが確認された。
以上の評価結果より、各実施例は、樹脂組成物特性、プリプレグ特性、積層板特性の全てが良好であるが、各比較例は、これらの特性のうち少なくとも1つの特性が劣ることが確認された。
次いで、得られたプリプレグの両面に18μmの銅箔[日鉱グールドフォイル株式会社製、商品名JTC]を配置して被圧体とし、温度190℃、圧力2MPaの条件で100分加熱・加圧して両面に銅箔が接着された積層板を得た。
(比較例3)変成フェノール生成物に代えて、数平均分子量20000のPPE[日本G.E.プラスチック株式会社製、品番640−111]を配合したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物、プリプレグ及び積層板を得た。
(評価、結果)得られた樹脂組成物の、初期粘度及び保存性を評価した。初期粘度の測定は、B型粘度計を用いて25℃で測定し、500cps以下の場合を○(良好)とし、500〜1000cpsの場合を△とし、1000cpsを越える場合を×(不良)とした。また、保存性の測定は、25℃で24時間保存した後、初期粘度と同様にして測定及び判定を行った。
その結果は表2に示したように、各実施例及び比較例2で得られた樹脂組成物は、初期粘度も小さく、析出現象もなく保存性に優れていたが、数平均分子量17000の変成フェノール生成物(F)を用いた比較例1や、PPEをそのまま用いた比較例3は、初期粘度、保存性とも劣ることが確認された。
また、得られたプリプレグの、外観、取り扱い性及び含浸性を評価した。外観は、スジ状や垂れた形状の外観不具合部の有無を目視で観察し、無しの場合を○(良好)、有りの場合を×(不良)とした。また、取り扱い性は、プリプレグを180度折り曲げ、樹脂の脱離の有無を目視で観察し、無しの場合を○(良好)、有りの場合を×(不良)とした。また、含浸性は、切断面を1000倍でSEM観察し、内部に気泡が無い場合を○(良好)、わずかに有る場合を△、多数有る場合を×(不良)とした。
その結果は表2に示したように、各実施例及び比較例2で得られたプリプレグは、数平均分子量17000の変成フェノール生成物(F)を用いた比較例1や、PPEをそのまま用いた比較例3と比べて、外観、取り扱い性及び含浸性が優れることが確認された。また、変成フェノール生成物の数平均分子量が、1000〜3000の範囲内である実施例1〜8は、実施例9,10と比べて、含浸性が特に優れることが確認された。
また、得られた積層板の、はんだ耐熱性、銅箔の引きはがし強さ、誘電率、及び、誘電正接を測定した。はんだ耐熱性及び引きはがし強さは、JIS規格C6481に基づき測定し、誘電率及び誘電正接は、MIL規格に基づき測定した。なおこれらは、得られた積層板の3カ所から試料をサンプリングして測定し、その平均値を求めた。
その結果は表2に示したように、各実施例で得られた積層板は、変成フェノール生成物の数平均分子量が用いたPPEの数平均分子量の5〜70%の範囲外である比較例1,2や、PPEをそのまま用いた比較例3と比べて、はんだ耐熱性が優れることが確認された。また、各実施例で得られた積層板は、比較例1,3と比べて、引きはがし強さが優れていることが確認された。また、各実施例で得られた積層板は、誘電率及び誘電正接も優れていることが確認された。
以上の評価結果より、各実施例は、樹脂組成物特性、プリプレグ特性、積層板特性の全てが良好であるが、各比較例は、これらの特性のうち少なくとも1つの特性が劣ることが確認された。
Claims (9)
- 数平均分子量が10000〜30000のポリフェニレンエーテル樹脂とフェノール性化合物を反応開始剤の存在下で再分配反応させて、数平均分子量が用いたポリフェニレンエーテル樹脂の数平均分子量の5〜70%になるように反応させた変成フェノール生成物、下記(A)の架橋性樹脂、下記(B)の架橋助剤、反応開始剤及び無機粉体を含有することを特徴とする樹脂組成物。
(A)1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、スチレンブタジエン、マレイン変性1,2−ポリブタジエン、アクリル変性1,2−ポリブタジエン、エポキシ変性1,2−ポリブタジエン及びゴム類からなる群の中から選ばれた少なくとも1種。
(B)エステルアクリレート類、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、エーテルアクリレート類、メラミンアクリレート類、アルキドアクリレート類、シリコンアクリレート類、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、スチレン、ポリパラメチルスチレン及び多官能エポキシ類からなる群の中から選ばれた少なくとも1種。 - 変成フェノール生成物の数平均分子量が、1000〜3000であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
- 再分配反応に用いる反応開始剤が、過酸化ベンゾイルであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の樹脂組成物。
- 無機粉体が、二酸化チタン系セラミック、チタン酸バリウム系セラミック、チタン酸鉛系セラミック、チタン酸ストロンチウム系セラミック、チタン酸カルシウム系セラミック、チタン酸ビスマス系セラミック、チタン酸マグネシウム系セラミック、及びジルコン酸鉛系セラミックからなる群の中から選ばれた少なくとも1種のセラミックであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- フェノール性化合物が、分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール性化合物であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 変成フェノール生成物、前記(A)の架橋性樹脂、及び前記(B)の架橋助剤の合計100重量部に対し、無機粉体を1〜300重量部含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の樹脂組成物。
- ベンゼン、トルエン、キシレン、ケトン類及びアルコール類からなる群の中から選ばれた少なくとも1種の溶媒をも含有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1から請求項7のいずれかに記載の樹脂組成物を、基材に含浸・乾燥してなるプリプレグ。
- 請求項8記載のプリプレグに金属箔を重ね、加熱・加圧してなる積層板。
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