JP2004292659A - 樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】容易に製造でき、ポリオレフィン樹脂の特徴である成形性、機械的性質を維持したまま、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等のビニル系樹脂の持つ染色性、塗装性等を併せ持った樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン樹脂(a)を、不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(b)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)とを含有する樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリオレフィン樹脂(a)を、不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(b)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)とを含有する樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン樹脂とアクリル系樹脂の特徴を併せ持つ、主に成形用の樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン樹脂は、低コストであり、成形加工が容易であることから、自動車のバンパー、コンソールパネルなど多種の用途に幅広く利用されている。また、近年、環境問題などの点からリサイクル性のある材料が重要視されるようになり、熱可塑性であってリサイクル性が高いポリオレフィン樹脂の需要は増えている。
【0003】
しかしながら、ポリオレフィン樹脂は低極性であるため、塗装性、印刷性、着色時の発色性などが低い。その結果、成形加工時や加工後の後処理時に施される色や模様などの選択の幅が狭く、自由に選べないという問題があった。また、ポリオレフィン樹脂は、柔軟性を有している反面、耐擦傷性、剛性が低いという問題もあった。
【0004】
そこで、上述の欠点を改善する方法として、スチレン系樹脂やアクリル系樹脂のような極性を有するビニル系樹脂をポリオレフィン樹脂にブレンドすることが考えられる。しかしながら、これらを単純にブレンドしても、ポリオレフィン樹脂と、スチレン系樹脂やアクリル系樹脂との相溶性が十分でないために、ブレンド樹脂を成形した成形品は層状剥離を生じて、その機械的特性が大幅に低下するという問題があった。
【0005】
また、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸により変性された酸変性ポリオレフィン樹脂をポリオレフィン樹脂へブレンドする方法が考えられる。しかしながら、このブレンド樹脂は、使用環境によっては吸水により染色性、塗装性などが低下してしまう問題点を有していた。
【0006】
また、ポリオレフィン樹脂に(メタ)アクリレート単量体をグラフト重合させることにより、ポリオレフィン樹脂を改質する方法が提案されている。例えば、ポリオレフィン樹脂をエチルアクリレート、メチルメタクリレートで変性した変性ポリオレフィン樹脂が開示されている(特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、この変性ポリオレフィン樹脂は、吸水などの使用環境の影響を受けにくいものの、副生物である(メタ)アクリレート単独重合体のポリオレフィン樹脂への相溶性が不十分であり、成形品の機械特性が低下する場合があった。
【0008】
また、有機金属触媒を用いて合成したオレフィン/アクリルブロック重合体を相溶化剤として用い、ポリプロピレンと(メタ)アクリル樹脂とをブレンドした樹脂組成物が提案されている。このような樹脂組成物の具体例としては、バナジウム触媒により合成したプロピレン/メチルメタクリレートのブロック重合体を、ポリプロピレンとポリメチルメタクリレートの相溶化剤として配合したものが挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。
【0009】
オレフィン/アクリルブロック重合体を相溶化剤とした場合には、層状剥離がない成形品が得られる。しかしながら、オレフィン/アクリルブロック重合体を製造する過程においては、−60℃程度の低温が必要であること、水、酸素の混入によりリビング性が大きく低下するなどの問題点があり、オレフィン/アクリルブロック重合体の工業的な製造は困難であった。
【0010】
【特許文献1】
特開平2−22316号公報
【非特許文献1】
ポリマージャーナル(Polymer Journal) 、23巻、1991年、277−284ページ
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記事情を鑑みてなされたものであり、容易に製造でき、ポリオレフィン樹脂の特徴である成形性、機械的性質を維持したまま、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等のビニル系樹脂の持つ染色性、塗装性等を併せ持った樹脂組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(a)を、不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(b)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)とを含有することを特徴とするものである。
【0013】
また、前記変性ポリオレフィン樹脂(A)は、ポリオレフィン樹脂(a)を、ビニル系単量体(b)の総量100質量%に対して、アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上、かつアルキル基の炭素数が8以上であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上含むビニル系単量体(b)でグラフト変性したものであることが望ましい。
また、前記ポリオレフィン樹脂(a)は、DSC法で定義される低結晶性であることが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
<ポリオレフィン樹脂(a)>
本発明におけるポリオレフィン樹脂(a)とは、オレフィン系単量体のラジカル重合、イオン重合等で得られるオレフィン系単独重合体または共重合体;優位量のオレフィン系単量体と劣化量のビニル系単量体との共重合体;オレフィン系単量体とジエン系単量体との共重合体等を主成分とするものであり、かつ、不飽和カルボン酸単位および不飽和カルボン酸無水物単位を含有しないものである。
【0015】
ポリオレフィン樹脂(a)の具体例としては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超々低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレンと炭素数5〜12のα−オレフィンとからなる共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等を挙げることができる。これらは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0016】
ポリオレフィン樹脂(a)としては、ビニル系単量体(b)のグラフト効果を高めるために、非晶部分の割合が高いものが好ましく、低結晶性ポリオレフィン樹脂が好ましい。ここで、低結晶性とは、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製、DSC200C)を用いて、ポリオレフィン樹脂(a)を200℃から0℃に10℃/分の速度で冷却した場合に観察される結晶化エネルギー(△H)が50mJ/mg以下であることと定義される。
【0017】
低結晶性もしくは非晶性ポリオレフィンの具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体が挙げられる。
【0018】
<ビニル系単量体(b)>
本発明におけるビニル系単量体(b)は、不飽和カルボン酸およびその無水物以外のもの、すなわちカルボン酸を含まないものであれば特に限定されない。このようなビニル系単量体(b)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;N−フェニルマレイミド,N−シクロヘキシルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド等のマレイミド誘導体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の窒素含有物;アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体などが挙げられる。これらは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
ここで、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味し、(メタ)アクリロニトリルは、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを意味する。
【0020】
<変性ポリオレフィン樹脂(A)>
本発明における変性ポリオレフィン樹脂(A)は、ポリオレフィン樹脂(a)を、不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(b)でグラフト変性したものである。
ここで、「グラフト変性」とは、変性対象樹脂(本発明におけるポリオレフィン樹脂(a))の存在下で、ビニル系単量体(b)をラジカル重合してグラフト共重合体を生成させることをいう。ポリオレフィン樹脂(a)をビニル系単量体(b)でグラフト変性して得られる変性ポリオレフィン樹脂には、通常、グラフト共重合体とともに、未変性のポリオレフィン樹脂(a)、およびビニル系単量体(b)の単独重合体またはランダム共重合体が含まれるが、本発明においては、発明の趣旨を損なわない限り、これらを含めて変性ポリオレフィン樹脂(A)という。
【0021】
また、「不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(b)」とは、ビニル系単量体(b)に不飽和カルボン酸およびその無水物が実質的に含まれていないことを意味し、本発明においては、不純物などとしてビニル系単量体(b)に不飽和カルボン酸およびその無水物が本発明の効果を損なわない量、具体的には0.1質量%以下含まれていても構わないものとする。
【0022】
本発明の変性ポリオレフィン樹脂(A)は、ポリオレフィン樹脂(a)を、ビニル系単量体(b)の総量100質量%に対して、アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上、かつアルキル基の炭素数が8以上であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上含むビニル系単量体(b)で変性したものであることが好ましい。
【0023】
アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキル(メタ)アクリレートが少なすぎると、塗装性、着色性の改質効果が十分でない場合がある。また、アルキル基の炭素数が8以上のアルキル(メタ)アクリレートが少なすぎると、変性ポリオレフィン樹脂に含有されているビニル系単量体(b)の単独重合体またはランダム共重合体が、未変性のポリオレフィン樹脂(A)、ポリオレフィン樹脂(A)とビニル系単量体(b)とのグラフト共重合体、およびポリオレフィン樹脂(B)に対して相分離してしまい、機械強度が低下する場合がある。
【0024】
変性ポリオレフィン樹脂(A)の重量平均分子量は、10000〜300000が好ましく、20000〜200000がより好ましい。ここで、重量平均分子量は、クロロホルムを溶媒として用い、35℃の条件下ででゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される。
【0025】
変性ポリオレフィン樹脂(A)は、例えば、ポリオレフィン樹脂(a)をキシレン等の芳香族炭化水素溶媒中に高温下で溶解させ、これにビニル系単量体(b)を加えてグラフト重合させる溶液法;ポリオレフィン樹脂(a)とビニル系単量体(b)とを過酸化物存在下で、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機などを用いて溶融混練する混練法;ポリオレフィン樹脂(a)とビニル系単量体(b)との混合物に放射線を照射する放射線法;ポリオレフィン樹脂(a)にビニル系単量体(b)を含浸せしめた後、過酸化物でビニル系単量体(b)をラジカル重合させる含浸重合法など、公知の方法により製造することができる。
グラフト変性は、ポリオレフィン樹脂(a)とビニル系単量体(b)との質量比(a/b)が50/50〜95/5の範囲で行われることが好ましい。
【0026】
ビニル系単量体(b)は、ポリオレフィン樹脂(a)の存在下、ラジカル重合開始剤を用いて加熱重合される。ラジカル重合開始剤としては、通常、有機化酸化物あるいはアゾ化合物が使用される。有機過酸化物の具体例としては、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。他方、アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)等が挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂(A)にグラフト点を発生させるために、有機過酸化物を使用するのが好ましい。これらラジカル重合開始剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
ラジカル重合開始剤は、ビニル系単量体(b)100質量部に対し、通常、0.001〜20質量部の範囲で使用され、0.01〜10質量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。
ビニル系単量体(b)を重合させる温度は、使用したラジカル重合開始剤が分解する範囲であれば特に制限ないが、通常50〜150℃である。
本発明においては、グラフト変性の際、必要に応じて連鎖移動剤を添加することができる。連鎖移動剤としては、通常ラジカル重合に用いられるものの中から選択して用いればよく、好ましくは、炭素数2〜20のアルキルメルカプタン、メルカプト酸類、チオフェノールあるいはそれらの混合物などのメルカプタン系連鎖移動剤が用いられる。
【0028】
<ポリオレフィン樹脂(B)>
本発明におけるポリオレフィン樹脂(B)としては、結晶性プロピレン系重合体が好ましく、プロピレンのホモ重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂(B)は、単独で、または2種以上を混合して用いることもできる。
【0029】
ポリオレフィン樹脂(B)がランダム共重合体あるいはブロック共重合体である場合、これら共重合体は、プロピレン以外のα−オレフィンから誘導される繰り返し単位、あるいはジエン化合物から誘導される繰り返し単位を含むことができる。例としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンのようなα−オレフィンから誘導される繰り返し単位;1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンのような鎖状非共役ジエンから誘導される繰り返し単位;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンのような環状非共役ジエンから誘導される繰り返し単位;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等のα−オレフィン化合物あるいはジエン化合物から誘導される繰り返し単位を挙げることができる。
【0030】
このようなα−オレフィンから誘導される繰り返し単位あるいはジエン化合物から誘導される繰り返し単位の含有量は、樹脂組成物の機械強度に優れることから、ランダム共重合体あるいはブロック共重合体中に通常は1〜20モル%、好ましくは2〜15モル%である。
【0031】
ポリオレフィン樹脂(B)の、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートは、通常は0.05〜150g/10分であり、成形性に優れることから好ましくは0.1〜100g/10分である。
また、ポリオレフィン樹脂(B)の、X線回折法により測定した結晶化度は、通常は30〜90%の範囲であり、樹脂組成物の機械強度に優れることから好ましくは50〜80%の範囲である。
【0032】
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、上記の変性ポリオレフィン樹脂(A)を、ポリオレフィン樹脂(B)100質量部に対して、5〜100質量部の量で含有していることが好ましい。このような量で変性ポリオレフィン樹脂(A)を含有することにより、得られる成形品に層状剥離がなく、成形品の剛性、染色性などの特性が向上する。
【0033】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じ、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス等を適宜量配合することができる。
さらに、本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維等の無機フィラーを配合してもよい。
【0034】
本発明の樹脂組成物は、変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリオレフィン樹脂(B)と、所望により添加される他の成分とを混合することによって製造される。このときの混合方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、押出機、ニーダー等で機械的にブレンドする方法(機械的ブレンド法)が挙げられる。また、別の混合方法として、各成分を適当な良溶媒、例えばヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒に同時に溶解し、あるいはそれぞれ別々に溶解した後混合し、溶媒を除去する方法(溶媒法)、さらには上記の2つの方法を組み合わせて行う方法等を挙げることもできる。これらの中でも機械的ブレンド法が好ましく、機械的ブレンド法の中でも、変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリオレフィン樹脂(B)と、所望により添加される他の成分とを混合して、少なくとも変性ポリオレフィン樹脂(A)およびポリオレフィン樹脂(B)が溶融する温度以上に加熱しながら混練する方法が好ましい。混練する方法では、混練温度が100℃から280℃の範囲であることが好ましい。
【0035】
以上説明したような樹脂組成物にあっては、組成物中に、ポリオレフィン樹脂(a)をビニル系単量体(b)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂(A)を含有しているので、変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリオレフィン樹脂(B)との相溶性が良好である。よって、得られる成形品に層状剥離が起こらず、ポリオレフィン樹脂の特徴である機械的性質を維持できる。また、変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリオレフィン樹脂(B)とをブレンドしているので、ポリオレフィン樹脂(B)のみに比べ剛性が向上している。また、変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリオレフィン樹脂(B)とのブレンド樹脂であるので、ポリオレフィン樹脂の特徴である成形性を維持できる。
【0036】
また、以上説明したような樹脂組成物にあっては、組成物中に、ポリオレフィン樹脂(a)をビニル系単量体(b)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂(A)を含有しているので、ビニル系樹脂の持つ染色性、塗装性等を併せ持つ。また、ビニル系単量体(b)には、不飽和カルボン酸およびその酸無水物が含まれていないので、吸水により染色性、塗装性が低下することがない。
また、変性ポリオレフィン樹脂(A)は、従来のオレフィン/アクリルブロック重合体のように、その製造に特殊な条件が必要ではなく、容易に得ることができる。よって、樹脂組成物を容易に製造できる。
【0037】
このような樹脂組成物からは、耐熱性、耐衝撃性、剛性、強度、成形性、耐傷付性、耐光性、耐溶剤性、耐薬品性のバランスに優れた成形品を製造することができる。そして、このような樹脂組成物は、これらの特性が要求される自動車部品、機械ハウジング、機械部品を形成するための材料として好適に使用することができる。また、この樹脂組成物は、特殊な条件下にせずに容易に製造できるので、工業的な生産に適用できる。
【0038】
【実施例】
以下、参考例、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。なお、以下の記載において、「質量部」は「部」と、「質量%」は「%」と略記する。
実施例、比較例においては、以下の(1)〜(3)のような各種評価を行った。
【0039】
(1)引張り試験
ASTM D638に準じて行った。
(2)層状剥離
得られた樹脂組成物から成形されたシート状試験片を、手で折り曲げて破断させ、試験片の表皮(スキン層)が層状に剥離したかどうかを目視で観察して判断した。その評価では、層状に剥離しなかった場合を○、層状に剥離した場合を×とした。
【0040】
(3)染色性
得られた樹脂組成物から成形されたシート状の試験片を、エンマルゲン909の0.1%水溶液中で80℃、1時間保持し、その表面を洗浄した後、テラシーブルー(サンプルに対して1%)水溶液によりオートクレーブ中100℃、4時間で染色した。その後、水洗し色調変化を目視で観察して評価した。その評価では、青色に着色した場合を○、変化しなかった場合を×とした。
【0041】
また、ポリオレフィン樹脂(a)の結晶化エネルギー(△H)を、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製、DSC200C)を用いて、ポリオレフィン樹脂(a)を200℃から0℃に10℃/分の速度で冷却して測定し、ポリオレフィン樹脂(a)の低結晶性を確認した。
【0042】
(参考例1)
冷却管、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を備えたフラスコに、トルエン1400部と、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体(宇部興産(株)製、ウベタックUT2780、結晶化エネルギー(△H)<1mJ/mg)70部を加え、内温85℃にてプロピレン−1−ブテンランダム共重合体を溶解させた。次いで、メチルメタクリレート21部とラウリルメタクリレート9部とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3部の混合液を20分にわたって滴下した後、内温85℃にて7時間保持して重合反応させた。反応物を、室温に冷却した後、大量のメタノール中に投入して精製し、重量平均分子量が77000の変性プロピレン−1−ブテン樹脂を得た。
【0043】
(参考例2)
メチルメタクリレート21部とラウリルメタクリレート9部とt−ブチルパーオキシベンゼート0.3部の混合物を、メチルメタクリレート15部とトリデシルメタクリレート15部とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3部の混合物に変更した以外は、実施例1と全く同様に操作して重量平均分子量が75000の変性プロピレン−1−ブテン樹脂を得た。
【0044】
(参考例3)
冷却管付フラスコに、メチルメタクリレート840部とラウリルメタクリレート360部とt−ブチルパーオキシベンゼート6部と、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体(宇部興産(株)製、ウベタックUT2780)100部を加え、40℃にて60分撹拌した後、ろ過によりプロピレン−1−ブテンランダム共重合体を回収した。プロピレン−1−ブテンランダム共重合体100部に対し、メチルメタクリレートとラウリルメタクリレートとt−ブチルパーオキシベンゼートの混合物が35部含浸されていた。
【0045】
冷却管付きフラスコに、上記で回収されたプロピレン−1−ブテンランダム共重合体100部と、イオン交換水1000部と、リン酸三カルシウム6.7部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部を仕込んだ後、昇温を行い、内温85℃にて6時間保持し、重合反応させた。室温に冷却した後、ろ過により回収、次いで水洗、乾燥させ、重量平均分子量が120000の変性プロピレン−1−ブテン樹脂を得た。
【0046】
(参考例4)
プロピレン−1−ブテンランダム共重合体を、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体(デグサ・ヒュルスジャパン製、VESTOPLAST708、結晶化エネルギー(△H)20mJ/mg)に変更した以外は、実施例1と全く同様に操作して重量平均分子量が72000の変性プロピレン−エチレン−1−ブテン樹脂を得た。
【0047】
(実施例1〜4)
変性ポリオレフィン樹脂(A)として参考例1〜4のように合成した変性ポリオレフィン樹脂と、ポリオレフィン樹脂(B)としてポリプロピレン(日本ポリケム(株)製ノバテックFA3DA、(ホモポリプロピレン、メルトフローレート 7g/10分)とを表1に記載の割合で配合し、230℃に設定した二軸押出機に供給、溶融混練し、さらに成形して熱可塑性樹脂組成物からなる厚さ2mmのシートを得た。得られたシートの物性評価結果について表1に示す。
【0048】
(比較例1)
ポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製アクリペットVH)とポリプロピレン(日本ポリケム(株)製ノバテックFA3DA)を表1に記載の割合で配合し、230℃に設定した二軸押出機に供給、溶融混練し、さらに成形した熱可塑性樹脂からなる厚さ2mmのシートを得た。得られたシートの物性評価結果について表1に示す。
【0049】
(比較例2)
ポリプロピレン(日本ポリケム(株)製ノバテックFA3DA)単独のシート状成形品(厚さ2mm)物性の評価結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(a)を、不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(b)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)とを含有するものであるので、ポリオレフィン樹脂の特徴である成形性、機械的性質を維持したまま、ビニル系樹脂の持つ染色性、塗装性等を併せ持つことができる。また、容易に製造でき、工業的である。
【0052】
また、前記変性ポリオレフィン樹脂(A)が、ポリオレフィン樹脂(a)を、ビニル系単量体(b)の総量100質量%に対して、アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上、かつアルキル基の炭素数が8以上であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上含むビニル系単量体(b)でグラフト変性したものであれば、塗装性、着色性、および機械強度がさらに向上する。
また、前記ポリオレフィン樹脂(a)が、DSC法で定義される低結晶性のものであれば、ビニル系単量体(b)のグラフト効果が高くなり、塗装性、着色性、および機械強度がさらに向上する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン樹脂とアクリル系樹脂の特徴を併せ持つ、主に成形用の樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン樹脂は、低コストであり、成形加工が容易であることから、自動車のバンパー、コンソールパネルなど多種の用途に幅広く利用されている。また、近年、環境問題などの点からリサイクル性のある材料が重要視されるようになり、熱可塑性であってリサイクル性が高いポリオレフィン樹脂の需要は増えている。
【0003】
しかしながら、ポリオレフィン樹脂は低極性であるため、塗装性、印刷性、着色時の発色性などが低い。その結果、成形加工時や加工後の後処理時に施される色や模様などの選択の幅が狭く、自由に選べないという問題があった。また、ポリオレフィン樹脂は、柔軟性を有している反面、耐擦傷性、剛性が低いという問題もあった。
【0004】
そこで、上述の欠点を改善する方法として、スチレン系樹脂やアクリル系樹脂のような極性を有するビニル系樹脂をポリオレフィン樹脂にブレンドすることが考えられる。しかしながら、これらを単純にブレンドしても、ポリオレフィン樹脂と、スチレン系樹脂やアクリル系樹脂との相溶性が十分でないために、ブレンド樹脂を成形した成形品は層状剥離を生じて、その機械的特性が大幅に低下するという問題があった。
【0005】
また、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸により変性された酸変性ポリオレフィン樹脂をポリオレフィン樹脂へブレンドする方法が考えられる。しかしながら、このブレンド樹脂は、使用環境によっては吸水により染色性、塗装性などが低下してしまう問題点を有していた。
【0006】
また、ポリオレフィン樹脂に(メタ)アクリレート単量体をグラフト重合させることにより、ポリオレフィン樹脂を改質する方法が提案されている。例えば、ポリオレフィン樹脂をエチルアクリレート、メチルメタクリレートで変性した変性ポリオレフィン樹脂が開示されている(特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、この変性ポリオレフィン樹脂は、吸水などの使用環境の影響を受けにくいものの、副生物である(メタ)アクリレート単独重合体のポリオレフィン樹脂への相溶性が不十分であり、成形品の機械特性が低下する場合があった。
【0008】
また、有機金属触媒を用いて合成したオレフィン/アクリルブロック重合体を相溶化剤として用い、ポリプロピレンと(メタ)アクリル樹脂とをブレンドした樹脂組成物が提案されている。このような樹脂組成物の具体例としては、バナジウム触媒により合成したプロピレン/メチルメタクリレートのブロック重合体を、ポリプロピレンとポリメチルメタクリレートの相溶化剤として配合したものが挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。
【0009】
オレフィン/アクリルブロック重合体を相溶化剤とした場合には、層状剥離がない成形品が得られる。しかしながら、オレフィン/アクリルブロック重合体を製造する過程においては、−60℃程度の低温が必要であること、水、酸素の混入によりリビング性が大きく低下するなどの問題点があり、オレフィン/アクリルブロック重合体の工業的な製造は困難であった。
【0010】
【特許文献1】
特開平2−22316号公報
【非特許文献1】
ポリマージャーナル(Polymer Journal) 、23巻、1991年、277−284ページ
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記事情を鑑みてなされたものであり、容易に製造でき、ポリオレフィン樹脂の特徴である成形性、機械的性質を維持したまま、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等のビニル系樹脂の持つ染色性、塗装性等を併せ持った樹脂組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(a)を、不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(b)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)とを含有することを特徴とするものである。
【0013】
また、前記変性ポリオレフィン樹脂(A)は、ポリオレフィン樹脂(a)を、ビニル系単量体(b)の総量100質量%に対して、アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上、かつアルキル基の炭素数が8以上であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上含むビニル系単量体(b)でグラフト変性したものであることが望ましい。
また、前記ポリオレフィン樹脂(a)は、DSC法で定義される低結晶性であることが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
<ポリオレフィン樹脂(a)>
本発明におけるポリオレフィン樹脂(a)とは、オレフィン系単量体のラジカル重合、イオン重合等で得られるオレフィン系単独重合体または共重合体;優位量のオレフィン系単量体と劣化量のビニル系単量体との共重合体;オレフィン系単量体とジエン系単量体との共重合体等を主成分とするものであり、かつ、不飽和カルボン酸単位および不飽和カルボン酸無水物単位を含有しないものである。
【0015】
ポリオレフィン樹脂(a)の具体例としては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超々低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレンと炭素数5〜12のα−オレフィンとからなる共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等を挙げることができる。これらは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0016】
ポリオレフィン樹脂(a)としては、ビニル系単量体(b)のグラフト効果を高めるために、非晶部分の割合が高いものが好ましく、低結晶性ポリオレフィン樹脂が好ましい。ここで、低結晶性とは、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製、DSC200C)を用いて、ポリオレフィン樹脂(a)を200℃から0℃に10℃/分の速度で冷却した場合に観察される結晶化エネルギー(△H)が50mJ/mg以下であることと定義される。
【0017】
低結晶性もしくは非晶性ポリオレフィンの具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体が挙げられる。
【0018】
<ビニル系単量体(b)>
本発明におけるビニル系単量体(b)は、不飽和カルボン酸およびその無水物以外のもの、すなわちカルボン酸を含まないものであれば特に限定されない。このようなビニル系単量体(b)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;N−フェニルマレイミド,N−シクロヘキシルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド等のマレイミド誘導体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の窒素含有物;アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体などが挙げられる。これらは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
ここで、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味し、(メタ)アクリロニトリルは、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを意味する。
【0020】
<変性ポリオレフィン樹脂(A)>
本発明における変性ポリオレフィン樹脂(A)は、ポリオレフィン樹脂(a)を、不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(b)でグラフト変性したものである。
ここで、「グラフト変性」とは、変性対象樹脂(本発明におけるポリオレフィン樹脂(a))の存在下で、ビニル系単量体(b)をラジカル重合してグラフト共重合体を生成させることをいう。ポリオレフィン樹脂(a)をビニル系単量体(b)でグラフト変性して得られる変性ポリオレフィン樹脂には、通常、グラフト共重合体とともに、未変性のポリオレフィン樹脂(a)、およびビニル系単量体(b)の単独重合体またはランダム共重合体が含まれるが、本発明においては、発明の趣旨を損なわない限り、これらを含めて変性ポリオレフィン樹脂(A)という。
【0021】
また、「不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(b)」とは、ビニル系単量体(b)に不飽和カルボン酸およびその無水物が実質的に含まれていないことを意味し、本発明においては、不純物などとしてビニル系単量体(b)に不飽和カルボン酸およびその無水物が本発明の効果を損なわない量、具体的には0.1質量%以下含まれていても構わないものとする。
【0022】
本発明の変性ポリオレフィン樹脂(A)は、ポリオレフィン樹脂(a)を、ビニル系単量体(b)の総量100質量%に対して、アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上、かつアルキル基の炭素数が8以上であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上含むビニル系単量体(b)で変性したものであることが好ましい。
【0023】
アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキル(メタ)アクリレートが少なすぎると、塗装性、着色性の改質効果が十分でない場合がある。また、アルキル基の炭素数が8以上のアルキル(メタ)アクリレートが少なすぎると、変性ポリオレフィン樹脂に含有されているビニル系単量体(b)の単独重合体またはランダム共重合体が、未変性のポリオレフィン樹脂(A)、ポリオレフィン樹脂(A)とビニル系単量体(b)とのグラフト共重合体、およびポリオレフィン樹脂(B)に対して相分離してしまい、機械強度が低下する場合がある。
【0024】
変性ポリオレフィン樹脂(A)の重量平均分子量は、10000〜300000が好ましく、20000〜200000がより好ましい。ここで、重量平均分子量は、クロロホルムを溶媒として用い、35℃の条件下ででゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される。
【0025】
変性ポリオレフィン樹脂(A)は、例えば、ポリオレフィン樹脂(a)をキシレン等の芳香族炭化水素溶媒中に高温下で溶解させ、これにビニル系単量体(b)を加えてグラフト重合させる溶液法;ポリオレフィン樹脂(a)とビニル系単量体(b)とを過酸化物存在下で、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機などを用いて溶融混練する混練法;ポリオレフィン樹脂(a)とビニル系単量体(b)との混合物に放射線を照射する放射線法;ポリオレフィン樹脂(a)にビニル系単量体(b)を含浸せしめた後、過酸化物でビニル系単量体(b)をラジカル重合させる含浸重合法など、公知の方法により製造することができる。
グラフト変性は、ポリオレフィン樹脂(a)とビニル系単量体(b)との質量比(a/b)が50/50〜95/5の範囲で行われることが好ましい。
【0026】
ビニル系単量体(b)は、ポリオレフィン樹脂(a)の存在下、ラジカル重合開始剤を用いて加熱重合される。ラジカル重合開始剤としては、通常、有機化酸化物あるいはアゾ化合物が使用される。有機過酸化物の具体例としては、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。他方、アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)等が挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂(A)にグラフト点を発生させるために、有機過酸化物を使用するのが好ましい。これらラジカル重合開始剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
ラジカル重合開始剤は、ビニル系単量体(b)100質量部に対し、通常、0.001〜20質量部の範囲で使用され、0.01〜10質量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。
ビニル系単量体(b)を重合させる温度は、使用したラジカル重合開始剤が分解する範囲であれば特に制限ないが、通常50〜150℃である。
本発明においては、グラフト変性の際、必要に応じて連鎖移動剤を添加することができる。連鎖移動剤としては、通常ラジカル重合に用いられるものの中から選択して用いればよく、好ましくは、炭素数2〜20のアルキルメルカプタン、メルカプト酸類、チオフェノールあるいはそれらの混合物などのメルカプタン系連鎖移動剤が用いられる。
【0028】
<ポリオレフィン樹脂(B)>
本発明におけるポリオレフィン樹脂(B)としては、結晶性プロピレン系重合体が好ましく、プロピレンのホモ重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂(B)は、単独で、または2種以上を混合して用いることもできる。
【0029】
ポリオレフィン樹脂(B)がランダム共重合体あるいはブロック共重合体である場合、これら共重合体は、プロピレン以外のα−オレフィンから誘導される繰り返し単位、あるいはジエン化合物から誘導される繰り返し単位を含むことができる。例としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンのようなα−オレフィンから誘導される繰り返し単位;1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンのような鎖状非共役ジエンから誘導される繰り返し単位;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンのような環状非共役ジエンから誘導される繰り返し単位;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等のα−オレフィン化合物あるいはジエン化合物から誘導される繰り返し単位を挙げることができる。
【0030】
このようなα−オレフィンから誘導される繰り返し単位あるいはジエン化合物から誘導される繰り返し単位の含有量は、樹脂組成物の機械強度に優れることから、ランダム共重合体あるいはブロック共重合体中に通常は1〜20モル%、好ましくは2〜15モル%である。
【0031】
ポリオレフィン樹脂(B)の、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートは、通常は0.05〜150g/10分であり、成形性に優れることから好ましくは0.1〜100g/10分である。
また、ポリオレフィン樹脂(B)の、X線回折法により測定した結晶化度は、通常は30〜90%の範囲であり、樹脂組成物の機械強度に優れることから好ましくは50〜80%の範囲である。
【0032】
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、上記の変性ポリオレフィン樹脂(A)を、ポリオレフィン樹脂(B)100質量部に対して、5〜100質量部の量で含有していることが好ましい。このような量で変性ポリオレフィン樹脂(A)を含有することにより、得られる成形品に層状剥離がなく、成形品の剛性、染色性などの特性が向上する。
【0033】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じ、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス等を適宜量配合することができる。
さらに、本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維等の無機フィラーを配合してもよい。
【0034】
本発明の樹脂組成物は、変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリオレフィン樹脂(B)と、所望により添加される他の成分とを混合することによって製造される。このときの混合方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、押出機、ニーダー等で機械的にブレンドする方法(機械的ブレンド法)が挙げられる。また、別の混合方法として、各成分を適当な良溶媒、例えばヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒に同時に溶解し、あるいはそれぞれ別々に溶解した後混合し、溶媒を除去する方法(溶媒法)、さらには上記の2つの方法を組み合わせて行う方法等を挙げることもできる。これらの中でも機械的ブレンド法が好ましく、機械的ブレンド法の中でも、変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリオレフィン樹脂(B)と、所望により添加される他の成分とを混合して、少なくとも変性ポリオレフィン樹脂(A)およびポリオレフィン樹脂(B)が溶融する温度以上に加熱しながら混練する方法が好ましい。混練する方法では、混練温度が100℃から280℃の範囲であることが好ましい。
【0035】
以上説明したような樹脂組成物にあっては、組成物中に、ポリオレフィン樹脂(a)をビニル系単量体(b)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂(A)を含有しているので、変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリオレフィン樹脂(B)との相溶性が良好である。よって、得られる成形品に層状剥離が起こらず、ポリオレフィン樹脂の特徴である機械的性質を維持できる。また、変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリオレフィン樹脂(B)とをブレンドしているので、ポリオレフィン樹脂(B)のみに比べ剛性が向上している。また、変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリオレフィン樹脂(B)とのブレンド樹脂であるので、ポリオレフィン樹脂の特徴である成形性を維持できる。
【0036】
また、以上説明したような樹脂組成物にあっては、組成物中に、ポリオレフィン樹脂(a)をビニル系単量体(b)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂(A)を含有しているので、ビニル系樹脂の持つ染色性、塗装性等を併せ持つ。また、ビニル系単量体(b)には、不飽和カルボン酸およびその酸無水物が含まれていないので、吸水により染色性、塗装性が低下することがない。
また、変性ポリオレフィン樹脂(A)は、従来のオレフィン/アクリルブロック重合体のように、その製造に特殊な条件が必要ではなく、容易に得ることができる。よって、樹脂組成物を容易に製造できる。
【0037】
このような樹脂組成物からは、耐熱性、耐衝撃性、剛性、強度、成形性、耐傷付性、耐光性、耐溶剤性、耐薬品性のバランスに優れた成形品を製造することができる。そして、このような樹脂組成物は、これらの特性が要求される自動車部品、機械ハウジング、機械部品を形成するための材料として好適に使用することができる。また、この樹脂組成物は、特殊な条件下にせずに容易に製造できるので、工業的な生産に適用できる。
【0038】
【実施例】
以下、参考例、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。なお、以下の記載において、「質量部」は「部」と、「質量%」は「%」と略記する。
実施例、比較例においては、以下の(1)〜(3)のような各種評価を行った。
【0039】
(1)引張り試験
ASTM D638に準じて行った。
(2)層状剥離
得られた樹脂組成物から成形されたシート状試験片を、手で折り曲げて破断させ、試験片の表皮(スキン層)が層状に剥離したかどうかを目視で観察して判断した。その評価では、層状に剥離しなかった場合を○、層状に剥離した場合を×とした。
【0040】
(3)染色性
得られた樹脂組成物から成形されたシート状の試験片を、エンマルゲン909の0.1%水溶液中で80℃、1時間保持し、その表面を洗浄した後、テラシーブルー(サンプルに対して1%)水溶液によりオートクレーブ中100℃、4時間で染色した。その後、水洗し色調変化を目視で観察して評価した。その評価では、青色に着色した場合を○、変化しなかった場合を×とした。
【0041】
また、ポリオレフィン樹脂(a)の結晶化エネルギー(△H)を、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製、DSC200C)を用いて、ポリオレフィン樹脂(a)を200℃から0℃に10℃/分の速度で冷却して測定し、ポリオレフィン樹脂(a)の低結晶性を確認した。
【0042】
(参考例1)
冷却管、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を備えたフラスコに、トルエン1400部と、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体(宇部興産(株)製、ウベタックUT2780、結晶化エネルギー(△H)<1mJ/mg)70部を加え、内温85℃にてプロピレン−1−ブテンランダム共重合体を溶解させた。次いで、メチルメタクリレート21部とラウリルメタクリレート9部とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3部の混合液を20分にわたって滴下した後、内温85℃にて7時間保持して重合反応させた。反応物を、室温に冷却した後、大量のメタノール中に投入して精製し、重量平均分子量が77000の変性プロピレン−1−ブテン樹脂を得た。
【0043】
(参考例2)
メチルメタクリレート21部とラウリルメタクリレート9部とt−ブチルパーオキシベンゼート0.3部の混合物を、メチルメタクリレート15部とトリデシルメタクリレート15部とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3部の混合物に変更した以外は、実施例1と全く同様に操作して重量平均分子量が75000の変性プロピレン−1−ブテン樹脂を得た。
【0044】
(参考例3)
冷却管付フラスコに、メチルメタクリレート840部とラウリルメタクリレート360部とt−ブチルパーオキシベンゼート6部と、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体(宇部興産(株)製、ウベタックUT2780)100部を加え、40℃にて60分撹拌した後、ろ過によりプロピレン−1−ブテンランダム共重合体を回収した。プロピレン−1−ブテンランダム共重合体100部に対し、メチルメタクリレートとラウリルメタクリレートとt−ブチルパーオキシベンゼートの混合物が35部含浸されていた。
【0045】
冷却管付きフラスコに、上記で回収されたプロピレン−1−ブテンランダム共重合体100部と、イオン交換水1000部と、リン酸三カルシウム6.7部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部を仕込んだ後、昇温を行い、内温85℃にて6時間保持し、重合反応させた。室温に冷却した後、ろ過により回収、次いで水洗、乾燥させ、重量平均分子量が120000の変性プロピレン−1−ブテン樹脂を得た。
【0046】
(参考例4)
プロピレン−1−ブテンランダム共重合体を、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体(デグサ・ヒュルスジャパン製、VESTOPLAST708、結晶化エネルギー(△H)20mJ/mg)に変更した以外は、実施例1と全く同様に操作して重量平均分子量が72000の変性プロピレン−エチレン−1−ブテン樹脂を得た。
【0047】
(実施例1〜4)
変性ポリオレフィン樹脂(A)として参考例1〜4のように合成した変性ポリオレフィン樹脂と、ポリオレフィン樹脂(B)としてポリプロピレン(日本ポリケム(株)製ノバテックFA3DA、(ホモポリプロピレン、メルトフローレート 7g/10分)とを表1に記載の割合で配合し、230℃に設定した二軸押出機に供給、溶融混練し、さらに成形して熱可塑性樹脂組成物からなる厚さ2mmのシートを得た。得られたシートの物性評価結果について表1に示す。
【0048】
(比較例1)
ポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製アクリペットVH)とポリプロピレン(日本ポリケム(株)製ノバテックFA3DA)を表1に記載の割合で配合し、230℃に設定した二軸押出機に供給、溶融混練し、さらに成形した熱可塑性樹脂からなる厚さ2mmのシートを得た。得られたシートの物性評価結果について表1に示す。
【0049】
(比較例2)
ポリプロピレン(日本ポリケム(株)製ノバテックFA3DA)単独のシート状成形品(厚さ2mm)物性の評価結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(a)を、不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(b)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)とを含有するものであるので、ポリオレフィン樹脂の特徴である成形性、機械的性質を維持したまま、ビニル系樹脂の持つ染色性、塗装性等を併せ持つことができる。また、容易に製造でき、工業的である。
【0052】
また、前記変性ポリオレフィン樹脂(A)が、ポリオレフィン樹脂(a)を、ビニル系単量体(b)の総量100質量%に対して、アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上、かつアルキル基の炭素数が8以上であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上含むビニル系単量体(b)でグラフト変性したものであれば、塗装性、着色性、および機械強度がさらに向上する。
また、前記ポリオレフィン樹脂(a)が、DSC法で定義される低結晶性のものであれば、ビニル系単量体(b)のグラフト効果が高くなり、塗装性、着色性、および機械強度がさらに向上する。
Claims (3)
- ポリオレフィン樹脂(a)を、不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(b)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂(A)と、
ポリオレフィン樹脂(B)とを含有する樹脂組成物。 - 前記変性ポリオレフィン樹脂(A)が、ポリオレフィン樹脂(a)を、ビニル系単量体(b)の総量100質量%に対して、アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上、かつアルキル基の炭素数が8以上であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上含むビニル系単量体(b)でグラフト変性したものである請求項1記載の樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィン樹脂(a)が、DSC法で定義される低結晶性である請求項1または請求項2記載の樹脂組成物。
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