JP2004292639A - 多孔質膜形成用組成物、多孔質膜の製造方法、多孔質膜、層間絶縁膜、及び半導体装置 - Google Patents

多孔質膜形成用組成物、多孔質膜の製造方法、多孔質膜、層間絶縁膜、及び半導体装置 Download PDF

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Yoshitaka Hamada
吉隆 濱田
Fujio Yagihashi
不二夫 八木橋
Hideo Nakagawa
秀夫 中川
Masaru Sasako
勝 笹子
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Abstract

【解決手段】(A)数平均分子量が100以上の硬化性シリコーン樹脂100重量部、
(B)数平均分子量が10,000以下、350℃以下で熱分解する熱分解性物質又は沸点が常圧で150℃以上、250℃/10mmHg以下の有機化合物10〜200重量部、
(C)熱分解により酸を発生する化合物 0.01〜10重量部
を必須成分としてなることを特徴とする多孔質膜形成用組成物。
【効果】本発明の組成物は、保存安定性に優れ、これを用いることによって、多孔質で低誘電率でありながら、平坦で均一であり、しかも機械的な強度も大きく、半導体装置製造に用いるとき層間絶縁膜として最適な膜を形成することが可能になる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電特性、密着性、塗膜の均一性、機械強度に優れ、吸湿性を低減化した多孔質膜を形成し得る膜形成用組成物、多孔質膜の製造方法、形成された多孔質膜、層間絶縁膜、並びに多孔質膜を内蔵する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路の高集積化の進展に伴い、金属配線間の寄生容量である配線間容量の増加に起因する配線遅延時間の増大が半導体集積回路の高性能化の妨げになっている。配線遅延時間は金属配線の抵抗と配線間容量の積に比例するいわゆるRC遅延と呼ばれるものである。
【0003】
従って、配線遅延時間を小さくするためには、金属配線の抵抗を小さくするか又は配線間容量を小さくすることが必要である。
【0004】
配線間容量を低下させることで半導体装置はより高集積化しても配線遅延を引き起こさないため、高速化が可能になり、更に消費電力も小さく抑えることが可能になる。
【0005】
配線間容量を小さくする方法としては、金属配線同士の間に形成される層間絶縁膜の比誘電率を低くすることが考えられ、比誘電率の低い絶縁膜としては、従来のシリコン酸化膜に代えて多孔質膜が検討されている。比誘電率2.0以下を達成可能な膜で実用的なものとしては多孔質膜がほとんど唯一の膜といえ、そこで種々の多孔質膜の形成方法が提案されている。
【0006】
第一の多孔質膜の形成方法としては、熱的に不安定な有機成分を含むシロキサンポリマーの前駆体を合成した後、その前駆体溶液を基板上に塗布して塗布膜を形成し、その後熱処理を行って有機成分を分解、揮発させることによって、揮発した成分の後に多数の細孔を形成させるという方法がある。
【0007】
第二の多孔質膜の形成方法としては、シリカゾル溶液の基板上に塗布するかCVD法を行うことによってウェットゲルを形成した後、このウェットゲルからの溶媒の蒸発速度を制御することにより、体積収縮を抑制しながらシリカゾルの縮合反応を行わせ、多孔質を形成する方法が知られている。
【0008】
第三の多孔質膜の形成方法としては、シリカ微粒子の溶液を基板上に塗布して塗布膜を形成した後、塗布膜を焼き固めることによって、シリカ微粒子同士の間に多数の細孔を形成する方法が知られている。
【0009】
更に第四の多孔質膜の形成方法として、特開2000−44875号公報(特許文献1)には、(A)R’Si(OR’’)4−n(R’は1価の有機基、R’’は1価炭化水素基で、nは0〜2の整数)で表される成分、(B)金属キレート化合物、及び(C)ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物を含有することを特徴とする多孔質膜形成用組成物に関する提案がなされている。
【0010】
しかしながら、これらの方法にはそれぞれ大きな欠点がある。
即ち、第一の多孔質膜の形成方法は、シロキサンポリマーの前駆体溶液を合成する必要があるのでコストが高くなるという問題があると共に、前駆体溶液を塗布して塗布膜を形成するため、塗布膜中に残留するシラノール基の量が多くなるので、後に行われる熱処理工程において水分などが蒸発する脱ガス現象及び多孔質膜の吸湿に起因する膜質の劣化などの問題がある。
【0011】
また、第二の多孔質膜の形成方法は、ウェットゲルからの溶媒の蒸発速度を制御するために特殊な塗布装置が必要になるので、コストが高くなるという問題があると共に、細孔の表面に多数のシラノールが残留し、そのままでは吸湿性が高く膜質の著しい劣化が生じることから、表面のシラノールをシリル化する必要があるため、工程が複雑になるという問題もある。なお、ウェットゲルをCVD法により形成する場合には、半導体プロセスで通常用いられているプラズマCVD装置とは異なる特殊なCVD装置が必要になるので、やはりコストが高くなる。
【0012】
第三の多孔質膜の形成方法は、シリカ微粒子同士の間に形成される細孔の径が、幾何学的に堆積されるシリカ微粒子の堆積構造により決定されるため、細孔の径が非常に大きくなってしまうので、多孔質膜の比誘電率を2.0以下にすることが困難であるという問題がある。
【0013】
第四の多孔質膜の形成方法の場合、(A)、(B)、(C)の三成分中(B)成分の金属キレート化合物は、(A)、(C)成分の相溶性を向上させ、硬化後の塗膜の厚さを均一にするために必要な成分であるが、成分を複雑化し、製造プロセスを複雑化し、コストも上昇させる要因となり好ましくない。即ち、キレートの成分無しで均一な溶液が形成でき、その硬化後の塗膜も平坦であるような材料の開発が望まれている。
【0014】
また、上記いずれの方法においても、形成された多孔質膜自体の力学的強度の低下が問題となっている。この場合、実用レベルの強度を保つには、微細で均一な細孔径を持つ孔を膜内に均一に分散させることが有効であるとされている。
【0015】
以上のように、従来の材料では熱処理工程において膜質の劣化が生じたり、コストが高くなるという問題を有していた。また、多孔質膜を形成する際に空孔径が大きくなってしまうために低誘電率化が困難であるという問題を有していた。更に、従来の多孔質膜を半導体装置の多層配線に絶縁膜として組み込む場合に、半導体装置製造に必要な機械強度が得られないという問題を有していた。
【0016】
このように半導体装置の多層配線に絶縁膜として使用する多孔質膜の比誘電率が大きいと半導体装置の多層配線におけるRC遅延の増大をもたらし、半導体装置の性能(高速、低消費電力)の向上が図れないという大きな問題があった。また、その多孔質膜の機械強度が弱いと半導体装置の信頼性が低下するという問題があった。
【0017】
【特許文献1】
特開2000−44875号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の諸問題を一挙に解決し、簡単な工程かつ低コストで、比誘電率が2.0以下であり、かつ実用的な力学的強度を有する多孔質膜を形成できる膜形成用組成物、多孔質膜の製造方法及びそれにより形成された多孔質膜、層間絶縁膜を提供することを目的とする。また、本発明はこの多孔質膜を内蔵する高性能かつ高信頼性を備えた半導体装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来の検討から、シリカ系の多孔質膜はシリカ前駆体とポロジェンと呼ばれる熱分解性化合物との均一で非常に細かく分散した組成物より、シリカ骨格を残しながら熱分解性化合物が除去されることにより形成されるが、この際、シリカ前駆体からのシリカ骨格形成の工程が、熱分解性化合物を分解除去する工程より先に完了することにより強固で均一な空孔の導入が図られるという知見を得ていた。近年の半導体プロセスの検討により、高温での長時間の焼成は、導電を担う銅の結晶化を促し、回路の欠陥につながることから、より低温でのプロセスが求められている。つまり、(B)成分のポロジェンの分解揮発がより低温で完了することが求められており、従ってシリカ骨格の形成もより低温で行われる必要が求められてきている。一方、シリカ成分は通常、Si−OHの他にSi−OR(Rは1価炭化水素基)の成分を含み、下記式(i)、(ii)のような加水分解と脱水縮合によりシロキサンネットワークを構築する。通常、この縮合反応は無触媒では250℃以上の高温を必要とするが、酸又は塩基性触媒共存下ではより低温で効果的に縮合反応が進行し、硬度の高い膜を形成し得る。しかし、通常の酸や塩基性触媒を組成物に添加すると室温以下でもこれらの縮合反応が進行するために、組成物の保存安定性を著しく損ねることが問題となっていた。この問題は熱分解により酸を発生する様な成分を組成物に添加すること、具体的には、下記式(i)、(ii)に示すようなオルガノオキシシランの加水分解やシラノールの縮合反応が熱分解により発生する酸により加速され、ポロジェンの分解温度以下でシリカ骨格の形成を完了させることができること、及びこれら熱分解により酸を発生させる化合物は熱分解前は中性な化合物であるので、シリカ前駆体を含む組成物の保存安定性には悪影響を及ぼさないことを見出し、本発明をなすに至った。
【0020】
【化5】
Figure 2004292639
(式中、Rは置換又は非置換の1価炭化水素基を示す。)
【0021】
従って、本発明は、
(A)数平均分子量が100以上の硬化性シリコーン樹脂 100重量部、
(B)数平均分子量が10,000以下であって、350℃以下で熱分解する熱分解性物質又は沸点が常圧で150℃以上250℃/10mmHg以下の有機化合物 10〜200重量部、
(C)熱分解により酸を発生する化合物 0.01〜10重量部
を必須成分としてなる多孔質膜形成用組成物を提供する。また、本発明は、上記組成物を基板に塗布し、形成された膜を(B)成分の分解温度以下又は沸点以下でかつ(C)成分の分解温度以上で第1段の加熱処理を行った後、(B)成分の分解温度以上又は沸点以上で第2段の加熱処理を行うことを特徴とする多孔質膜の製造方法及びこれにより得られた多孔質膜、層間絶縁膜を提供する。
【0022】
また、本発明は、
(A)数平均分子量が100以上の硬化性シリコーン樹脂 100重量部、
(B)数平均分子量が10,000以下であって、350℃以下で熱分解する熱分解性物質又は沸点が常圧で150℃以上250℃/10mmHg以下の有機化合物 10〜200重量部、
(C)熱分解により酸を発生する化合物 0.01〜10重量部
を必須成分としてなる多孔質膜形成用組成物を用いて形成された多孔質膜を内部に備えてた半導体装置を提供する。具体的には、半導体装置の多層配線の絶縁膜として前記多孔質膜が使用されていることが好ましい。
【0023】
このようにすると、半導体装置の機械強度を確保した上で多孔質膜の吸湿性が低減されるため低誘電率の絶縁膜を内蔵した半導体装置が実現される。絶縁膜の低誘電率化により、多層配線の周囲の寄生容量は低減され、半導体装置の高速動作及び低消費電力動作が達成される。
【0024】
また、本発明の半導体装置において、多層配線の同一層の金属配線間絶縁膜、又は、上下金属配線層の層間絶縁膜に、多孔質膜が存在することが好ましい。このようにすると、高性能かつ高信頼性を備えた半導体装置が実現される。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の多孔質膜形成用組成物の(A)成分は、好ましくは下記一般式(1)〜(4)
SiZ (1)
SiZ (2)
RSiZ (3)
SiZ (4)
(式中、Rは互いに同一又は異種の置換又は非置換の1価炭化水素基を示し、Zは互いに同一又は異種の加水分解性基を示す。)
で示される有機ケイ素化合物の1種又は2種以上の混合物を加水分解、縮合することによって得られる、数平均分子量が100以上、好ましくは200〜10万、特に好ましくは400〜2万の硬化性シリコーン樹脂である。
【0026】
ここで、Rの1価炭化水素基としては、炭素数1〜12のものが好ましく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基等や、これらの水素原子の一部又は全部がフッ素原子等のハロゲン原子、グリシジル基やグリシジルオキシ基等のエポキシ含有基で置換された基を挙げることができる。具体的にアルキル基、アリール基、グリシジル基、置換アルキル基などを挙げることができる。ここでアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが例示され、好ましくは炭素数1〜5であり、これらのアルキル基は鎖状でも分岐していてもよく、更に水素原子がフッ素原子などで置換されてもよい。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。これらの中でメチル基、フェニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0027】
また、Zの加水分解性基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基、ビニロキシ基、2−プロペノキシ基等のアルケノキシ基、フェノキシ基、アセトキシ基等のアシロキシ基、ブタノキシム基等のオキシム基、アミノ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。これらの中でアルコキシ基が好ましく、特に加水分解・縮合時の制御のし易さから、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基を用いるのが好ましい。
【0028】
具体的には、式(3)の3官能性シランとしては、メチルトリクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリプロペノキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリクロルシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリクロルシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリクロルシラン、へキシルトリメトキシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなど、式(4)の4官能性シランとしては、テトラクロルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシランなど、式(2)の2官能性シランとしては、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジメチルジイソプロペノキシシラン、プロピルメチルジクロルシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ヘキシルメチルジクロルシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジメトキシシランなど、及び式(1)の1官能性シランとしては、トリメチルクロルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルイソプロペノキシシラン、ジメチルフェニルクロルシランなど、及び有機官能基を有するいわゆるシランカップリング剤、例えばビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、5−ヘキセニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、4−ビニルフェニルトリメトキシシラン、3−(4−ビニルフェニル)プロピルトリメトキシシラン、4−ビニルフェニルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビニルメチルジクロルシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、及びこれらの部分加水分解物などが使用可能なシラン化合物の例として挙げられる。
【0029】
操作性、副生物の留去のし易さから、アルコキシシラン、特にメトキシシラン、エトキシシラン類の使用が好ましい。なお、使用可能な有機ケイ素化合物は上記のものに限定されるものではない。更にこれらのシラン化合物の1種又は2種以上の混合物を使用してもよいが、式(3)、(4)記載の有機ケイ素化合物に由来する構造(T単位、Q単位)が(A)成分全体の50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは80モル%以上となるように選定使用することが好ましい。なお、T単位、Q単位が合計で100モル%に達しない場合、残部は2官能性シラン、1官能性シランに由来する構造(D単位、M単位)である。
【0030】
上記有機ケイ素化合物を加水分解・縮合してシリコーン樹脂を得る方法としては、公知の方法が採用できる。例えば、前述した各種加水分解性有機シラン化合物をpH1〜7の水溶液中で加水分解・縮合する。この場合、加水分解に使用する水の量は、上記の条件を満足する組成に配合したシラン化合物あるいはその混合物100重量部に対して50〜5,000重量部使用するのがよい。
【0031】
加水分解は、水溶液にシラン化合物を加え、撹拌することにより行うことができる。加水分解、特に初期の加水分解を促進させるために、加水分解用触媒を添加してもよい。加水分解用触媒は、シラン化合物を添加する前に水溶液に添加してもよいし、シラン化合物を分散させた後の分散液に添加してもよい。加水分解用触媒としては、従来公知の触媒を使用することができ、添加した水溶液がpH1〜7の酸性を示すものを適用するのがよい。特に、酸性のハロゲン化水素、カルボン酸、スルフォン酸、酸性あるいは弱酸性の無機塩、イオン交換樹脂等の固体酸などが好ましい。具体例としては、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、酢酸、マレイン酸、トリフルオロ酢酸に代表される有機酸、メタンスルフォン酸、パラトルエンスルフォン酸、トリフルオロメタンスルフォン酸などのスルフォン酸類及び表面にスルフォン酸基又はカルボン酸基を有するカチオン交換樹脂等が挙げられる。
【0032】
加水分解用触媒を使用する場合、その添加量はケイ素原子上の加水分解性基1モルに対して0.001〜10モル%の範囲であることが好ましい。pH1未満の強酸性条件下、あるいはpH7を超えるアルカリ性条件下では、シラノール基が極めて不安定になりやすい。より好ましくは、使用する水溶液のpHが2〜6である。水量は加水分解性基の量に対して大過剰であるため、加水分解は完全に進行する。この条件下で室温乃至加熱下撹拌することにより、容易にシラノール基同士の縮合が進行する。
【0033】
次に、この反応混合物を含む溶液から加水分解副生成物を系外に除去することができる。
【0034】
即ち、第一の過程で得られたシラン反応混合物を含有する溶液を、常圧下80℃以下、好ましくは30〜70℃程度の温度条件下で加熱するか、あるいは室温〜80℃、好ましくは室温〜70℃の温度下、20mmHg〜常圧に減圧することにより、アルコール等の加水分解副生成物を留去し、実質的にシラノール基含有シリコーン樹脂と水からなる系に変換する。この過程において、シリコーン樹脂の縮合度は更に進行する。
【0035】
第一段階である程度加水分解縮合したシリコーン樹脂は、縮合の更なる進行に伴い高分子化し、徐々に親水性を失う。同時に、シリコーン樹脂が溶存する外部環境も大部分が水となってくる。
【0036】
加水分解副生成物を、その生成量の30〜100%除去することによりシラノール基含有シリコーン樹脂は溶液中にもはや溶解できなくなり、溶液は徴濁乃至白濁した状態となる。副生成物の50〜100%が除去されると、シリコーン樹脂は水層に不溶となり、静置することにより沈降する。
【0037】
このようにして水層から分離したシリコーン樹脂は、それ自体を取り出すことも可能であるが、水と均一に相溶しない有機溶媒を添加し、溶液として水層から分離することも可能である。このような有機溶媒としてはジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
【0038】
本発明に用いられるシリコーン樹脂はこのようにして製造することが可能であるが、先に定義した範囲であればいかなる製造方法によるものであっても用いることができ、製造法によって限定されるものではない。
【0039】
次に、本発明の(B)成分は、数平均分子量が10,000以下、好ましくは100〜5,000、より好ましくは200〜2,000の、350℃以下で熱分解する熱分解性物質、又は沸点が常圧で150℃以上、好ましくは160℃以上、特に好ましくは180℃以上で250℃/10mmHg以下、好ましくは200℃/10mmHg以下の有機化合物である。
【0040】
本発明では、シリコーン樹脂と熱分解性物質の組成物から焼成により熱分解性物質が選択的に分解除去又は上記有機化合物が蒸発除去されることにより空孔を導入する工程を経ることから、熱分解性物質の分解温度又は有機化合物の沸点が、シリカ骨格形成温度に密接に関連しており、熱分解性物質の分解温度以下又は有機化合物の沸点以下で、強固なシリカ骨格の形成を完了しておくことが望ましい。それにより、熱分解性物質を、分解除去又は有機化合物を蒸発除去したあとに形成される空孔の膨張や収縮を防止し、孔径分布を制御することにつながる。
【0041】
ここで、熱分解性物質としては、分解温度が350℃以下、より好ましくは100〜300℃、更に好ましくは150〜250℃のものがよく、熱分解性物質の例としては、ポリエーテル類、ポリエステル類、ポリカーボネート類などが好ましく、分解温度と融点の関係からポリエーテル類が特に好ましい。ポリエーテル類としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエステル、ポリオキシブチレンなどが挙げられる。
【0042】
また、沸点を常圧で150℃以上250℃/10mmHg以下に持つ有機化合物の例としては、デカヒドロナフタリン、テトラヒドロナフタリンなどの炭化水素類、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、デカメチルシクロペンタンシロキサン、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン、ドデカメチルペンタシロキサンなどの低分子シロキサン類、アセトフェノン、ジブチルケトンなどのケトン類、デカノール、ラウリルアルコール、セチルアルコールなどのアルコール類、セチルジメチルアミン、ラウリルジメチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン類などを挙げることができる。
【0043】
なお、(B)成分としては、後述する(C)成分の熱分解により酸を発生する化合物の熱分解温度がこの(B)成分の熱分解性物質の分解温度又は有機化合物の常圧における沸点より低いように、(B)成分を選定することが好ましい。
【0044】
(B)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対し、10〜200重量部、特に30〜100重量部とするもので、(B)成分が少なすぎると十分な量の空孔が導入されず、多すぎると膜の強度が不十分となる。
【0045】
(C)成分の熱分解による酸を発生する化合物としては、分解温度が150℃以下のものがよく、下記一般式(5)又は(6)で示されるジアゾ化合物であることが好ましい。
【化6】
Figure 2004292639
(式中、R及びRは互いに同一又は異種の置換又は非置換の1価炭化水素基を示す。)
【0046】
、Rの1価炭化水素基として具体的には、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等やその水素原子の一部又は全部がフッ素原子等のハロゲン原子により置換された基などが挙げられる。
【0047】
上記ジアゾ化合物としては、特に下記式(7)又は(8)で示される化合物が好適に用いられる。
【化7】
Figure 2004292639
(式中、Meはメチル基を示す。)
【0048】
上記(C)成分の熱分解により酸を発生する化合物の配合量は、(A)成分のシリコーン樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部である。この化合物の配合量は少なすぎると低温での効果的なシリカ骨格の構築が進まず、空孔の潰れや膨らみを生じ、また多すぎると経済性が悪くなるほか、分解残渣の揮発除去がしにくくなる。
【0049】
本発明の組成物は溶媒に希釈して使用することができるが、その際好ましい溶媒としては、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−へプタン、2,2,2−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンゼン、n−アミルナフタレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチオンなどのケトン系溶媒、エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ジエチルカーボネート、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸−n−プロピル、酢酸−i−プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸−i−ブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−n−ペンチル、酢酸−3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸−2−エチルブチル、酢酸−2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸−n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレン、グリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸−i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸−n−ブチル、乳酸−n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどのエステル系溶媒、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドンなどの含窒素系溶媒、硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトンなどの含硫黄系溶媒などを挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0050】
本発明の多孔質膜形成用組成物を用いて膜を形成するには、まず本発明の組成物を基板に塗布し、塗膜を形成する。ここで、本発明の組成物を塗布することができる基板としては、半導体、ガラス、セラミック、金属などが挙げられ、塗布方法としては通常の半導体装置製造等で用いられる方法であればどんな方法でも用いることができるが、例えばスピンコート、ディッピング、ローラーブレードなどが挙げられる。ここで、形成する塗膜の厚さは、層間絶縁膜の場合で通常0.2〜20mmである。次いで、形成された塗膜を加熱するが、これは通常プリベークと呼ばれる工程で塗布液中の溶媒を蒸発させ、塗布膜の形状を固定化することを目的とする。このときの加熱温度は塗布液中の溶媒を蒸発させるのに十分な温度が用いられる。
【0051】
このようにして形成した膜を、(C)成分が分解して酸を発生し得、かつ(B)成分の分解又は蒸発がほとんど無視できるような温度で第1段の焼成を行い、(A)成分の酸触媒による縮合、シリカ骨格形成をほぼ完結させる。次いで、(B)成分の熱分解性物質が分解又は有機化合物が蒸発するのに十分な温度に加熱することによって、細孔を有する硬化膜を形成することができる。
【0052】
この方法としては、第1段の加熱を100〜250℃、第2段の加熱を200〜350℃とすることが好ましく、これによって本組成物の場合、細孔を有する多孔質膜となる。加熱時間は、第1段は0.1分〜1時間程度であるが、より好ましくは0.5〜5分である。第2段の加熱は1分〜1時間程度、より好ましくは1〜20分であるが、熱分解残渣をより確実に除去するために、更に400〜500℃の焼成を1時間程度加えることが好ましい。加熱温度が低すぎると、(A)成分の硬化と(B)成分の分解蒸発が進行せず、硬化不十分で機械的強度が小さな膜しか形成できず、また高すぎる温度は、(A)成分の過剰な分解をもたらし、やはり膜強度の低下をもたらすと共に、半導体装置製造プロセスに適合しないことがある。
【0053】
この加熱時の雰囲気としては、大気中で行った場合と不活性ガス雰囲気で行った場合、膜の細孔の分布及び機械的強度に差異が生じるが、これを制御することで膜物性の制御が可能であり、どのようなものであっても用いることができ、限定されない。
【0054】
不活性ガスとしては窒素ガス、アルゴンガスなどを挙げることができる。本発明において、不活性ガスは酸素濃度が例えば5ppm以下の値となるように使用することが好ましく、このような不活性ガス中で加熱することにより、酸素の影響を排して、得られる膜の誘電率をより低い値とすることができる。
【0055】
また、本発明の膜の製造方法において、減圧状態で第2段の加熱を行うことにより、(B)成分の分解、蒸発を促進すると共に、酸素の影響を排して、得られる膜の誘電率をより低い値とすることができる。
【0056】
本発明の組成物を本発明の方法によって加熱して得られた膜は、通常100nm以下の細孔を有し、空隙率は5〜70%である。また、膜の誘電率は、通常2.7〜1.2、好ましくは2.5〜1.2である。従って、本発明の膜は絶縁膜として好適であり、特に高集積回路の層間絶縁膜に適している。
【0057】
本発明の多孔質膜は、特に半導体装置における配線の層間絶縁膜として好ましい。半導体装置は、高集積化しても配線遅延を引き起こさなくするには配線容量を小さくすることが必要となる。これを達成するための種々の手段が考えられているが、金属配線同士の間に形成される層間絶縁膜の比誘電率を低くすることもその一つである。
【0058】
本発明の多孔質膜形成用組成物を用いて層間絶縁膜を製造すると、半導体装置の微細化と高速化が可能になり、更に消費電力も小さく抑えることができる。
【0059】
なお、低誘電率化するために膜に空孔を導入し多孔質とした場合、膜を構成する材料の密度が低下するため、膜の機械的な強度が低下してしまうという問題がある。機械的な強度の低下は、半導体装置の強度自体に影響を及ぼすのみならず、製造プロセスにおいて通常用いられる化学的機械研磨のプロセスにおいて充分な強度を有しないために剥離を引き起こすという問題がある。特に本発明に係る多孔質膜を半導体装置の多層配線における層間絶縁膜として用いる場合には、多孔質膜でありながら大きな機械的強度を有するためにこのような剥離を引き起こさず、製造された半導体装置の信頼性が大幅に改善される。
【0060】
本発明の半導体装置の実施形態について説明する。図1は、本発明の半導体装置の概略断面図を示す。
図1において、1は基板を示しており、Si基板、SOI(Si on insulator)基板等のSi半導体基板であるが、SiGeやGaAs等の化合物半導体基板であってもよい。2はコンタクト層の層間絶縁膜である。3、5、7、9、11、13、15及び17は、配線層の層間絶縁膜である。
【0061】
最下層の配線層の層間絶縁膜3から最上層の配線層の層間絶縁膜17までの配線層を順に略称でM1、M2、M3、M4、M5、M6、M7及びM8と呼ぶ。4、6、8、10、12、14及び16はビア層の層間絶縁膜であり、最下層のビア層の層間絶縁膜4から順に上層に向かって、略称でV1、V2、V3、V4、V5、V6及びV7と呼ぶ。18と21〜24は金属配線を示している。同様に同じ模様の部分は金属配線を示している。19は、ビアプラグであり、金属により構成される。通常銅配線の場合には銅が用いられる。図1中、符号が省略されていても、これと同じ模様の部分はビアプラグを示している。20はコンタクトプラグであり、基板1最上面に形成されたトランジスタ(図示外)のゲートあるいは基板へ接続される。このように、配線層とビア層は交互に積み重なった構成となっており、一般に、多層配線とはM1から上層部分のことを指す。通常、M1〜M3をローカル配線、M4、M5を中間配線あるいはセミグローバル配線、M6〜M8をグローバル配線と呼ぶことが多い。
【0062】
本発明の半導体装置は、配線層の層間絶縁膜3、5、7、9、11、13、15、17、もしくは、ビア層の層間絶縁膜4、6、8、10、12、14、16の少なくとも1つ以上の層に、本発明の多孔質膜を用いたものである。例えば、配線層(M1)の層間絶縁膜3に本発明の多孔質膜を用いている場合、金属配線21と金属配線22の間の配線間容量が大きく低減できる。また、ビア層(V1)の層間絶縁膜4に本発明の多孔質膜を用いている場合、金属配線23と金属配線24の間の配線間容量を大きく低減することができる。このように配線層に本発明の低比誘電率を有する多孔質膜を用いると、同一層の金属配線間容量を大きく低減できる。また、ビア層に本発明の低比誘電率を有する多孔質膜を用いると、上下金属配線の層間容量を大きく低減できる。従って、すべての配線層及びビア層に本発明の多孔質膜を用いることにより、配線の寄生容量を大きく低減できる。
【0063】
本発明の多孔質膜を配線の絶縁膜として使用することにより、従来問題となっていた多孔質膜を積層形成して多層配線を形成する際の多孔質膜の吸湿による誘電率の増大も発生しない。その結果、半導体装置の高速動作及び低消費電力動作が実現される。また、本発明の多孔質膜は機械強度が強いため、半導体装置の機械強度が向上し、その結果半導体装置の製造上の歩留まりや半導体装置の信頼性を大きく向上させることができる。
【0064】
【実施例】
以下、製造例と実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0065】
[製造例1〜6]
100mlのフラスコに表1に示す量でテトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランの混合物0.1mol、メチルイソブチルケトン(MIBK)溶媒30ml、及び表1に示すポリエーテル2.5gを仕込み、アルコキシシラン混合物中のメトキシ基のモル数に対して1:1のモル数に相当する量の水(シュウ酸0.5%含有)を加えて1時間混合した。次いで60℃に加熱し、更に2時間攪拌を加え、加水分解反応を完結させた。次いで、加水分解で生成したメタノール及び水を60℃×40torrの条件下で減圧留去し、残留物に適宜MIBKを添加し、NV(不揮発分)20%の溶液を得た。なお、使用した(B)成分の数平均分子量と熱分解温度を表2に示す。
【0066】
【表1】
Figure 2004292639
【0067】
【表2】
Figure 2004292639
【0068】
[実施例1〜12及び比較例1〜6]
表3に示す一連の組成物をシリコンウエハー上にスピン塗布後、風乾し、更に120℃で1分加熱し、溶剤の除去を行った後、170℃で1分加熱し、下記DAMの分解とシリカ骨格の形成を行い、次いで250℃で10分加熱し、ポリエーテルの分解除去を行った。更に窒素気流中で400℃,1時間焼成を行うことにより、ポリエーテル及びDAMの分解残渣の除去と焼成膜の熟成を行った。
【0069】
【化8】
Figure 2004292639
【0070】
【表3】
Figure 2004292639
【0071】
【発明の効果】
本発明の組成物は、保存安定性に優れ、これを用いることによって、多孔質で低誘電率でありながら、平坦で均一であり、しかも機械的な強度も大きく、半導体装置製造に用いるとき層間絶縁膜として最適な膜を形成することが可能になる。また、本発明の組成物から形成される多孔質膜を多層配線の絶縁膜として使用することにより、高性能かつ高信頼性を有する半導体装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 コンタクト層の層間絶縁膜
3 配線層(M1)の層間絶縁膜
4 ビア層(V1)の層間絶縁膜
5 配線層(M2)の層間絶縁膜
6 ビア層(V2)の層間絶縁膜
7 配線層(M3)の層間絶縁膜
8 ビア層(V3)の層間絶縁膜
9 配線層(M4)の層間絶縁膜
10 ビア層(V4)の層間絶縁膜
11 配線層(M5)の層間絶縁膜
12 ビア層(V5)の層間絶縁膜
13 配線層(M6)の層間絶縁膜
14 ビア層(V6)の層間絶縁膜
15 配線層(M7)の層間絶縁膜
16 ビア層(V7)の層間絶縁膜
17 配線層(M8)の層間絶縁膜
18 金属配線
19 ビアプラグ
20 コンタクトプラグ
21 金属配線
22 金属配線
23 金属配線
24 金属配線

Claims (18)

  1. (A)数平均分子量が100以上の硬化性シリコーン樹脂100重量部、
    (B)数平均分子量が10,000以下であって、350℃以下で熱分解する熱分解性物質又は沸点が常圧で150℃以上250℃/10mmHg以下の有機化合物10〜200重量部、
    (C)熱分解により酸を発生する化合物 0.01〜10重量部
    を必須成分としてなることを特徴とする多孔質膜形成用組成物。
  2. (B)成分がポリエーテル類、ポリエステル類及びポリカーボネート類から選ばれるものであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質膜形成用組成物。
  3. (C)成分の熱分解により酸を発生する化合物の熱分解温度が、(B)成分の熱分解性物質の分解温度又は有機化合物の常圧における沸点より低いことを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質膜形成用組成物。
  4. (C)成分の熱分解により酸を発生する化合物の分解温度が150℃以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多孔質膜形成用組成物。
  5. (C)成分の熱分解により酸を発生する化合物が、下記一般式(5)又は(6)で表されるジアゾ化合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多孔質膜形成用組成物。
    Figure 2004292639
    (式中、R及びRは互いに同一又は異種の置換又は非置換の1価炭化水素基を示す。)
  6. ジアゾ化合物が下記式(7)又は(8)で示される化合物であることを特徴とする請求項5に記載の多孔質膜形成用組成物。
    Figure 2004292639
    (式中、Meはメチル基を示す。)
  7. 更に溶剤を含んでなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の多孔質膜形成用組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の組成物を基板に塗布し、形成された膜を(B)成分の分解温度以下又は沸点以下でかつ(C)成分の分解温度以上で第1段の加熱処理を行った後、(B)成分の分解温度以上又は沸点以上で第2段の加熱処理を行うことを特徴とする多孔質膜の製造方法。
  9. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の組成物を用いて得られることを特徴とする多孔質膜。
  10. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の組成物を用いて得られることを特徴とする層間絶縁膜。
  11. (A)数平均分子量が100以上の硬化性シリコーン樹脂100重量部、
    (B)数平均分子量が10,000以下であって、350℃以下で熱分解する熱分解性物質又は沸点が常圧で150℃以上250℃/10mmHg以下の有機化合物10〜200重量部、
    (C)熱分解により酸を発生する化合物 0.01〜10重量部
    を必須成分としてなる多孔質膜形成用組成物を用いて形成された多孔質膜を内部に有することを特徴とする半導体装置。
  12. (B)成分がポリエーテル類、ポリエステル類及びポリカーボネート類から選ばれるものであることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
  13. (C)成分の熱分解により酸を発生する化合物の熱分解温度が、(B)成分の熱分解性物質の分解温度又は有機化合物の常圧における沸点より低いことを特徴とする請求項11又は12に記載の半導体装置。
  14. (C)成分の熱分解により酸を発生する化合物の分解温度が150℃以下であることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の半導体装置。
  15. (C)成分の熱分解により酸を発生する化合物が、下記一般式(5)又は(6)で表されるジアゾ化合物であることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置。
    Figure 2004292639
    (式中、R及びRは互いに同一又は異種の置換又は非置換の1価炭化水素基を示す。)
  16. ジアゾ化合物が下記式(7)又は(8)で示される化合物であることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置。
    Figure 2004292639
    (式中、Meはメチル基を示す。)
  17. 多孔質膜形成用組成物が、更に溶剤を含んでなることを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1項に記載の半導体装置。
  18. 上記多孔質膜が、多層配線の同一層の金属配線間絶縁膜、又は、上下金属配線層の層間絶縁膜に存在することを特徴とする請求項11乃至17のいずれか1項に記載の半導体装置。
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