JP2004292487A - 高発火性石炭の貯蔵方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高発火性石炭を製鉄所のストックヤードなどに自然発火を抑制しつつ比較的低コストで貯蔵することのできる高発火性石炭の貯蔵方法を提供する。
【解決手段】スタッカー11で高発火性石炭12をストックヤード13に山積みして石炭パイル14を形成する。次に、高発火性石炭12からなる石炭パイル14の上から低発火性石炭15をスタッカー11でばら撒き、石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる厚さ10cm以上の被覆層16を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】スタッカー11で高発火性石炭12をストックヤード13に山積みして石炭パイル14を形成する。次に、高発火性石炭12からなる石炭パイル14の上から低発火性石炭15をスタッカー11でばら撒き、石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる厚さ10cm以上の被覆層16を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自然発火性の高い石炭を製鉄所のストックヤードなどに貯蔵する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、揮発分の高い石炭、例えばVM(Volatile Matter)が25%以上の高VM石炭は、空気中の酸素と酸化発熱反応を起こして自然発火し易いことが知られている。特に、近年、高炉への吹き込み量が増加しているPCI(Pulvalized Coal Injection)用石炭は、コークス製造に使用される高級グレードの低VM炭とは異なり、揮発分が高いため、製鉄所のストックヤードに山積みして貯蔵している時に自然発火を起こし易い。したがって、このような自然発火性の高い石炭(以下、「高発火性石炭」と称す)を製鉄所のストックヤードなどに山積みして貯蔵する場合には、高発火性石炭の自然発火防止対策を講じる必要がある。
【0003】
高発火性石炭の自然発火を防止する方法としては、従来、高発火性石炭を湿潤状態で貯蔵して自然発火を防止する方法(特許文献1〜3参照)や、ストックヤードに山積みされた高発火性石炭の石炭パイル中に窒素ガスを吹き込んで自然発火を防止する方法(特許文献4参照)、あるいはストックヤードに山積みされた高発火性石炭の石炭パイル表面に樹脂溶液を散布して自然発火を防止する方法(特許文献5参照)などが提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特公昭52−5747号公報
【特許文献2】
特公昭52−33384号公報
【特許文献3】
特公昭54−18030号公報
【特許文献4】
特公昭54−31481号公報
【特許文献5】
特公平6−62974号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記文献1〜3に開示された方法では、使用時には湿潤状態の石炭を乾燥させる必要があることから、湿潤状態の石炭を乾燥させるためのエネルギー消費量が多大なものとなり、コストを大幅に上昇させるという問題があった。また、特許文献4に開示された方法は石炭パイル中に窒素ガスを吹き込むための設備や多量の窒素ガスを必要とし、特許文献5に開示された方法は多量の樹脂溶液を使用することから、特許文献1〜3に開示された方法と同様に、コストの大幅な上昇を招くという問題があった。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、高発火性石炭を製鉄所のストックヤードなどに自然発火を抑制しつつ比較的低コストで貯蔵することのできる高発火性石炭の貯蔵方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明に係る高発火性石炭の貯蔵方法は、揮発分25%以上の高発火性石炭をストックヤードに山積みして貯蔵する際に、前記高発火性石炭からなる石炭パイルの表面に揮発分20%以下の低発火性石炭からなる被覆層を形成して前記高発火性石炭を貯蔵することを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の発明に係る高発火性石炭の貯蔵方法は、請求項1記載の高発火性石炭の貯蔵方法において、前記被覆層の厚さを10cm以上にして前記高発火性石炭を貯蔵することを特徴とするものである。
請求項3の発明に係る高発火性石炭の貯蔵方法は、請求項1または2記載の高発火性石炭の貯蔵方法において、前記被覆層の表面に表面被覆剤を散布して前記高発火性石炭を貯蔵することを特徴とするものである。
【0008】
請求項1に係る発明では、ストックヤードに山積みされた高発火性石炭が被覆層によって大気と遮断されるため、高発火性石炭の自然発火を抑制できる。したがって、高発火性石炭の自然発火を防止するために、高発火性石炭を湿潤させたり、あるいは高発火性石炭の石炭パイル中に窒素ガスを吹き込んだりする必要がないので、高発火性石炭を製鉄所のストックヤードなどに自然発火を抑制しつつ比較的低コストで貯蔵することができる。
【0009】
請求項2に係る発明では、被覆層の厚さを10cm以上にして高発火性石炭を貯蔵することで、石炭パイルの表面を覆う被覆層に崩れや部分崩壊が生じても高発火性石炭からなる石炭パイルの表面が大気中に部分的に露出するようなことが生じ難くなるので、高発火性石炭の自然発火をより効果的に抑制することができる。
【0010】
請求項3に係る発明では、被覆層の表面に樹脂等の表面被覆剤を散布して高発火性石炭を貯蔵することで、雨水等が被覆層下の石炭パイルに浸透して高発火性石炭が湿潤状態になることを防止できると共に被覆層表面の微粉炭が風に乗って飛散することを防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す図であり、本実施形態に係る高発火性石炭の貯蔵方法では、図1の(a)に示すように、先ず、スタッカー11で高発火性石炭(高VM炭)12をストックヤード13に山積みして石炭パイル14を形成する。次に、図1の(b)に示すように、高発火性石炭12からなる石炭パイル14の上から揮発分(VM)が20%以下の低発火性石炭(低VM炭)15をスタッカー11でばら撒き、石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる厚さ10cm以上の被覆層16を形成する。なお、被覆層16を形成した後は、風雨による水分の浸透や微粉炭の飛散等を防止するために、被覆層16の表面に樹脂溶液等の表面被覆剤を散布することが好ましい。
【0012】
このように、高発火性石炭12をストックヤード13に山積みして貯蔵する際に、高発火性石炭12からなる石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる被覆層16を形成すると、ストックヤード13に山積みされた高発火性石炭12が被覆層16によって大気と遮断される。したがって、前述した従来技術のように、高発火性石炭12の自然発火を防止するために、高発火性石炭を湿潤させたり、あるいは高発火性石炭の石炭パイル中に窒素ガスを吹き込んだりする必要がないので、高発火性石炭12を製鉄所のストックヤードなどに自然発火を抑制しつつ比較的低コストで貯蔵することができる。
【0013】
また、上述した実施形態のように、被覆層16の厚さを10cm以上とすることで、被覆層16に崩れや部分崩壊が生じても高発火性石炭12からなる石炭パイル14の表面が大気中に部分的に露出するようなことが生じ難くなるので、高発火性石炭12の自然発火をより効果的に抑制することができる。
さらに、上述した実施形態のように、石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる被覆層16を形成した後、被覆層16の表面に樹脂溶液等の表面被覆剤を散布することで、雨水等が被覆層16下の石炭パイル14に浸透して高発火性石炭12が湿潤状態になることを防止できると共に被覆層表面の微粉炭が風に乗って飛散することを防止できる。
【0014】
高発火性石炭(高VM炭)12は低品位石炭で酸化発熱反応を簡単に起こすが、特に低品位石炭を示す指標のうち、VMが25%以上の石炭は発熱が早く、VMが20%以下の石炭は発熱が比較的少ないことが観察された。ここで、発明が早い或いは少ないとは石炭の貯蔵期間に対しての比較であり、本発明の例では3ヶ月程度の貯蔵形態における発熱を指す。この3ヶ月程度とは山積みされた石炭を消費し終える期間を例とし、この期間内の発熱を阻止できれば貯蔵中の自然発火を抑制できるためである。3ヶ月を超えるような貯蔵では、本発明で使用する低発火性石炭(低VM炭)は揮発分が15%以下の石炭であることが好ましい。
【0015】
本発明者らは、VM40%の高発火性石炭からなる石炭パイルとVM15%の低発火性石炭からなる石炭パイルを作成し、これら石炭パイルの内部温度を3ヶ月間に亘って測定した。その測定結果を図2に示す。なお、温度の測定は石炭パイル表面から1mの深さ位置で行った。
図2において、■は高発火性石炭(VM40%)からなる石炭パイルの内部温度を示し、◆は低発火性石炭(VM15%)からなる石炭パイルの内部温度を示している。この図から明らかなように、VM15%の低発火性石炭からなる石炭パイルは貯蔵期間が長くなる従って内部温度が上昇し、3ヶ月を経過した時点では90℃以上となることが観察されたが、VM40%の高発火性石炭からなる石炭パイルは貯蔵期間が3ヶ月を経過しても内部温度がほとんど上昇しないことが観察された。
【0016】
このような観察結果に基づき本発明者らは、高発火性石炭からなる石炭パイルの表面を低発火性石炭で覆えば高発火性石炭の自然発火が抑制されると考え、高発火性石炭12からなる石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる被覆層16を形成して高発火性石炭12を貯蔵する方法を考案した。
図3は、VM25%以上の高発火性石炭12からなる石炭パイル14の表面にVM20%以下の低発火性石炭15からなる被覆層16を形成した場合と形成しなかった場合の石炭パイル内部の温度を比較して示す図である。同図において、◆は石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる被覆層16を形成した場合の石炭パイル内部の温度を示し、■は石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる被覆層16を形成しなかった場合の石炭パイル内部の温度を示している。
【0017】
図3から明らかなように、高発火性石炭12からなる石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる被覆層16を形成しなかった場合は、貯蔵期間が長くなるに従って石炭パイル内部の温度が上昇し、高発火性石炭12が空気中の酸素と反応して酸化発熱反応を起こしていることわかる。一方、高発火性石炭12からなる石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる被覆層16を形成した場合は、貯蔵期間が3ヶ月を経過しても石炭パイル内部の温度がほとんど上昇していないことがわかる。
【0018】
したがって、上述した実施形態のように、高発火性石炭12からなる石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる被覆層16を形成することにより、高発火性石炭12の自然発火を防止するために、高発火性石炭を湿潤させたり、あるいは高発火性石炭の石炭パイル中に窒素ガスを吹き込んだりする必要がないので、高発火性石炭12を製鉄所のストックヤードなどに自然発火を抑制しつつ比較的低コストで貯蔵することができる。
【0019】
次に、図4を参照して本発明者らによる実験例について説明する。
本発明者らは、図4に示すように、高発火性石炭としてインドネシア炭17(カルティマプリマ炭、VM40%)を使用し、このインドネシア炭17をストックヤードに700t程度山積みし、その表面を3000t程度の豪州炭18(ジェリンバーイースト炭、VM15%)で被覆した。このときの山積み形状は高さ14m、幅40m程度であり、豪州炭18による被覆厚さを10cm以上とした。インドネシア炭17の石炭パイル表面を豪州炭18で被覆してから3ヶ月が経過しても、自然発火は生じなかった。その後、インドネシア炭17をPCI用の高炉吹き込み用微粉炭として使用を開始し、2000t/日の割合でインドネシア炭17をリクレーマー19(図4参照)で切り出した。5日間で積み山の高炉吹込みを完了した。リクレーマー19による石炭パイル切り出し開始後は、切り出し箇所が大気中に露出し、高VN炭であるインドネシア炭17も大気に晒されることになったが、使用終了までの5日間までの短期間では自然発火の虞はなかった。
【0020】
また、本発明者らは、VM40%のインドネシア炭を700t程度山積みし、その表面を3000t程度の豪州炭(ジェリンバーイースト炭)で被覆した。その後、樹脂被膜による表面コーティングをインドネシア炭と豪州炭とからなる石炭パイルに施した。このときの山積み形状は高さ14m、幅40m程度であり、豪州炭による被覆厚さを10cm以上とした。インドネシア炭の石炭パイル表面を豪州炭で被覆してから3ヶ月が経過しても、自然発火は生じなかった。その後、インドネシア炭をPCI用の高炉吹き込み用微粉炭として使用を開始し、2000t/日の割合でインドネシア炭をリクレーマーで切り出した。5日間で積み山の高炉吹込みを完了した。リクレーマーによる石炭パイル切り出し開始後は、切り出し箇所が大気中に露出し、高VN炭であるインドネシア炭も大気に晒されることになったが、使用終了までの5日間までの短期間では自然発火の虞はなかった。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、ストックヤードに山積みされた高発火性石炭が被覆層によって大気と遮断されるため、高発火性石炭の自然発火を抑制できる。したがって、高発火性石炭の自然発火を防止するために、高発火性石炭を湿潤させたり、あるいは高発火性石炭の石炭パイル中に窒素ガスを吹き込んだりする必要がないので、高発火性石炭を製鉄所のストックヤードなどに自然発火を抑制しつつ比較的低コストで貯蔵することができる。
【0022】
請求項2に係る発明によれば、被覆層に崩れや部分崩壊が生じても高発火性石炭からなる石炭パイルの表面が大気中に部分的に露出するようなことが生じ難くなるので、高発火性石炭をストックヤードに自然発火をより効果的に抑制しながら比較的低コストで貯蔵することができる。
請求項3に係る発明によれば、雨水等が被覆層下の石炭パイルに浸透して高発火性石炭が湿潤状態になることを防止できると共に被覆層表面の微粉炭が風に乗って飛散することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る高発火性石炭の貯蔵方法を示す図である。
【図2】VM40%の高発火性石炭からなる石炭パイルとVM15%の低発火性石炭からなる石炭パイルの内部温度を3ヶ月間に亘って測定した結果を示す図である。
【図3】高発火性石炭からなる石炭パイルの表面に低発火性石炭からなる被覆層を形成した場合と形成しなかった場合の石炭パイル内部の温度を比較して示す図である。
【図4】インドネシア炭からなる石炭パイルの表面を豪州炭で覆った状態を説明するための図である。
【符号の説明】
11 スタッカー
12 高発火性石炭
13 ストックヤード
14 石炭パイル
15 低発火性石炭
16 被覆層
17 インドネシア炭
18 豪州炭
19 リクレーマー
【発明の属する技術分野】
本発明は、自然発火性の高い石炭を製鉄所のストックヤードなどに貯蔵する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、揮発分の高い石炭、例えばVM(Volatile Matter)が25%以上の高VM石炭は、空気中の酸素と酸化発熱反応を起こして自然発火し易いことが知られている。特に、近年、高炉への吹き込み量が増加しているPCI(Pulvalized Coal Injection)用石炭は、コークス製造に使用される高級グレードの低VM炭とは異なり、揮発分が高いため、製鉄所のストックヤードに山積みして貯蔵している時に自然発火を起こし易い。したがって、このような自然発火性の高い石炭(以下、「高発火性石炭」と称す)を製鉄所のストックヤードなどに山積みして貯蔵する場合には、高発火性石炭の自然発火防止対策を講じる必要がある。
【0003】
高発火性石炭の自然発火を防止する方法としては、従来、高発火性石炭を湿潤状態で貯蔵して自然発火を防止する方法(特許文献1〜3参照)や、ストックヤードに山積みされた高発火性石炭の石炭パイル中に窒素ガスを吹き込んで自然発火を防止する方法(特許文献4参照)、あるいはストックヤードに山積みされた高発火性石炭の石炭パイル表面に樹脂溶液を散布して自然発火を防止する方法(特許文献5参照)などが提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特公昭52−5747号公報
【特許文献2】
特公昭52−33384号公報
【特許文献3】
特公昭54−18030号公報
【特許文献4】
特公昭54−31481号公報
【特許文献5】
特公平6−62974号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記文献1〜3に開示された方法では、使用時には湿潤状態の石炭を乾燥させる必要があることから、湿潤状態の石炭を乾燥させるためのエネルギー消費量が多大なものとなり、コストを大幅に上昇させるという問題があった。また、特許文献4に開示された方法は石炭パイル中に窒素ガスを吹き込むための設備や多量の窒素ガスを必要とし、特許文献5に開示された方法は多量の樹脂溶液を使用することから、特許文献1〜3に開示された方法と同様に、コストの大幅な上昇を招くという問題があった。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、高発火性石炭を製鉄所のストックヤードなどに自然発火を抑制しつつ比較的低コストで貯蔵することのできる高発火性石炭の貯蔵方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明に係る高発火性石炭の貯蔵方法は、揮発分25%以上の高発火性石炭をストックヤードに山積みして貯蔵する際に、前記高発火性石炭からなる石炭パイルの表面に揮発分20%以下の低発火性石炭からなる被覆層を形成して前記高発火性石炭を貯蔵することを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の発明に係る高発火性石炭の貯蔵方法は、請求項1記載の高発火性石炭の貯蔵方法において、前記被覆層の厚さを10cm以上にして前記高発火性石炭を貯蔵することを特徴とするものである。
請求項3の発明に係る高発火性石炭の貯蔵方法は、請求項1または2記載の高発火性石炭の貯蔵方法において、前記被覆層の表面に表面被覆剤を散布して前記高発火性石炭を貯蔵することを特徴とするものである。
【0008】
請求項1に係る発明では、ストックヤードに山積みされた高発火性石炭が被覆層によって大気と遮断されるため、高発火性石炭の自然発火を抑制できる。したがって、高発火性石炭の自然発火を防止するために、高発火性石炭を湿潤させたり、あるいは高発火性石炭の石炭パイル中に窒素ガスを吹き込んだりする必要がないので、高発火性石炭を製鉄所のストックヤードなどに自然発火を抑制しつつ比較的低コストで貯蔵することができる。
【0009】
請求項2に係る発明では、被覆層の厚さを10cm以上にして高発火性石炭を貯蔵することで、石炭パイルの表面を覆う被覆層に崩れや部分崩壊が生じても高発火性石炭からなる石炭パイルの表面が大気中に部分的に露出するようなことが生じ難くなるので、高発火性石炭の自然発火をより効果的に抑制することができる。
【0010】
請求項3に係る発明では、被覆層の表面に樹脂等の表面被覆剤を散布して高発火性石炭を貯蔵することで、雨水等が被覆層下の石炭パイルに浸透して高発火性石炭が湿潤状態になることを防止できると共に被覆層表面の微粉炭が風に乗って飛散することを防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す図であり、本実施形態に係る高発火性石炭の貯蔵方法では、図1の(a)に示すように、先ず、スタッカー11で高発火性石炭(高VM炭)12をストックヤード13に山積みして石炭パイル14を形成する。次に、図1の(b)に示すように、高発火性石炭12からなる石炭パイル14の上から揮発分(VM)が20%以下の低発火性石炭(低VM炭)15をスタッカー11でばら撒き、石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる厚さ10cm以上の被覆層16を形成する。なお、被覆層16を形成した後は、風雨による水分の浸透や微粉炭の飛散等を防止するために、被覆層16の表面に樹脂溶液等の表面被覆剤を散布することが好ましい。
【0012】
このように、高発火性石炭12をストックヤード13に山積みして貯蔵する際に、高発火性石炭12からなる石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる被覆層16を形成すると、ストックヤード13に山積みされた高発火性石炭12が被覆層16によって大気と遮断される。したがって、前述した従来技術のように、高発火性石炭12の自然発火を防止するために、高発火性石炭を湿潤させたり、あるいは高発火性石炭の石炭パイル中に窒素ガスを吹き込んだりする必要がないので、高発火性石炭12を製鉄所のストックヤードなどに自然発火を抑制しつつ比較的低コストで貯蔵することができる。
【0013】
また、上述した実施形態のように、被覆層16の厚さを10cm以上とすることで、被覆層16に崩れや部分崩壊が生じても高発火性石炭12からなる石炭パイル14の表面が大気中に部分的に露出するようなことが生じ難くなるので、高発火性石炭12の自然発火をより効果的に抑制することができる。
さらに、上述した実施形態のように、石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる被覆層16を形成した後、被覆層16の表面に樹脂溶液等の表面被覆剤を散布することで、雨水等が被覆層16下の石炭パイル14に浸透して高発火性石炭12が湿潤状態になることを防止できると共に被覆層表面の微粉炭が風に乗って飛散することを防止できる。
【0014】
高発火性石炭(高VM炭)12は低品位石炭で酸化発熱反応を簡単に起こすが、特に低品位石炭を示す指標のうち、VMが25%以上の石炭は発熱が早く、VMが20%以下の石炭は発熱が比較的少ないことが観察された。ここで、発明が早い或いは少ないとは石炭の貯蔵期間に対しての比較であり、本発明の例では3ヶ月程度の貯蔵形態における発熱を指す。この3ヶ月程度とは山積みされた石炭を消費し終える期間を例とし、この期間内の発熱を阻止できれば貯蔵中の自然発火を抑制できるためである。3ヶ月を超えるような貯蔵では、本発明で使用する低発火性石炭(低VM炭)は揮発分が15%以下の石炭であることが好ましい。
【0015】
本発明者らは、VM40%の高発火性石炭からなる石炭パイルとVM15%の低発火性石炭からなる石炭パイルを作成し、これら石炭パイルの内部温度を3ヶ月間に亘って測定した。その測定結果を図2に示す。なお、温度の測定は石炭パイル表面から1mの深さ位置で行った。
図2において、■は高発火性石炭(VM40%)からなる石炭パイルの内部温度を示し、◆は低発火性石炭(VM15%)からなる石炭パイルの内部温度を示している。この図から明らかなように、VM15%の低発火性石炭からなる石炭パイルは貯蔵期間が長くなる従って内部温度が上昇し、3ヶ月を経過した時点では90℃以上となることが観察されたが、VM40%の高発火性石炭からなる石炭パイルは貯蔵期間が3ヶ月を経過しても内部温度がほとんど上昇しないことが観察された。
【0016】
このような観察結果に基づき本発明者らは、高発火性石炭からなる石炭パイルの表面を低発火性石炭で覆えば高発火性石炭の自然発火が抑制されると考え、高発火性石炭12からなる石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる被覆層16を形成して高発火性石炭12を貯蔵する方法を考案した。
図3は、VM25%以上の高発火性石炭12からなる石炭パイル14の表面にVM20%以下の低発火性石炭15からなる被覆層16を形成した場合と形成しなかった場合の石炭パイル内部の温度を比較して示す図である。同図において、◆は石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる被覆層16を形成した場合の石炭パイル内部の温度を示し、■は石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる被覆層16を形成しなかった場合の石炭パイル内部の温度を示している。
【0017】
図3から明らかなように、高発火性石炭12からなる石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる被覆層16を形成しなかった場合は、貯蔵期間が長くなるに従って石炭パイル内部の温度が上昇し、高発火性石炭12が空気中の酸素と反応して酸化発熱反応を起こしていることわかる。一方、高発火性石炭12からなる石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる被覆層16を形成した場合は、貯蔵期間が3ヶ月を経過しても石炭パイル内部の温度がほとんど上昇していないことがわかる。
【0018】
したがって、上述した実施形態のように、高発火性石炭12からなる石炭パイル14の表面に低発火性石炭15からなる被覆層16を形成することにより、高発火性石炭12の自然発火を防止するために、高発火性石炭を湿潤させたり、あるいは高発火性石炭の石炭パイル中に窒素ガスを吹き込んだりする必要がないので、高発火性石炭12を製鉄所のストックヤードなどに自然発火を抑制しつつ比較的低コストで貯蔵することができる。
【0019】
次に、図4を参照して本発明者らによる実験例について説明する。
本発明者らは、図4に示すように、高発火性石炭としてインドネシア炭17(カルティマプリマ炭、VM40%)を使用し、このインドネシア炭17をストックヤードに700t程度山積みし、その表面を3000t程度の豪州炭18(ジェリンバーイースト炭、VM15%)で被覆した。このときの山積み形状は高さ14m、幅40m程度であり、豪州炭18による被覆厚さを10cm以上とした。インドネシア炭17の石炭パイル表面を豪州炭18で被覆してから3ヶ月が経過しても、自然発火は生じなかった。その後、インドネシア炭17をPCI用の高炉吹き込み用微粉炭として使用を開始し、2000t/日の割合でインドネシア炭17をリクレーマー19(図4参照)で切り出した。5日間で積み山の高炉吹込みを完了した。リクレーマー19による石炭パイル切り出し開始後は、切り出し箇所が大気中に露出し、高VN炭であるインドネシア炭17も大気に晒されることになったが、使用終了までの5日間までの短期間では自然発火の虞はなかった。
【0020】
また、本発明者らは、VM40%のインドネシア炭を700t程度山積みし、その表面を3000t程度の豪州炭(ジェリンバーイースト炭)で被覆した。その後、樹脂被膜による表面コーティングをインドネシア炭と豪州炭とからなる石炭パイルに施した。このときの山積み形状は高さ14m、幅40m程度であり、豪州炭による被覆厚さを10cm以上とした。インドネシア炭の石炭パイル表面を豪州炭で被覆してから3ヶ月が経過しても、自然発火は生じなかった。その後、インドネシア炭をPCI用の高炉吹き込み用微粉炭として使用を開始し、2000t/日の割合でインドネシア炭をリクレーマーで切り出した。5日間で積み山の高炉吹込みを完了した。リクレーマーによる石炭パイル切り出し開始後は、切り出し箇所が大気中に露出し、高VN炭であるインドネシア炭も大気に晒されることになったが、使用終了までの5日間までの短期間では自然発火の虞はなかった。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、ストックヤードに山積みされた高発火性石炭が被覆層によって大気と遮断されるため、高発火性石炭の自然発火を抑制できる。したがって、高発火性石炭の自然発火を防止するために、高発火性石炭を湿潤させたり、あるいは高発火性石炭の石炭パイル中に窒素ガスを吹き込んだりする必要がないので、高発火性石炭を製鉄所のストックヤードなどに自然発火を抑制しつつ比較的低コストで貯蔵することができる。
【0022】
請求項2に係る発明によれば、被覆層に崩れや部分崩壊が生じても高発火性石炭からなる石炭パイルの表面が大気中に部分的に露出するようなことが生じ難くなるので、高発火性石炭をストックヤードに自然発火をより効果的に抑制しながら比較的低コストで貯蔵することができる。
請求項3に係る発明によれば、雨水等が被覆層下の石炭パイルに浸透して高発火性石炭が湿潤状態になることを防止できると共に被覆層表面の微粉炭が風に乗って飛散することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る高発火性石炭の貯蔵方法を示す図である。
【図2】VM40%の高発火性石炭からなる石炭パイルとVM15%の低発火性石炭からなる石炭パイルの内部温度を3ヶ月間に亘って測定した結果を示す図である。
【図3】高発火性石炭からなる石炭パイルの表面に低発火性石炭からなる被覆層を形成した場合と形成しなかった場合の石炭パイル内部の温度を比較して示す図である。
【図4】インドネシア炭からなる石炭パイルの表面を豪州炭で覆った状態を説明するための図である。
【符号の説明】
11 スタッカー
12 高発火性石炭
13 ストックヤード
14 石炭パイル
15 低発火性石炭
16 被覆層
17 インドネシア炭
18 豪州炭
19 リクレーマー
Claims (3)
- 揮発分25%以上の高発火性石炭をストックヤードに山積みして貯蔵する際に、前記高発火性石炭からなる石炭パイルの表面に揮発分20%以下の低発火性石炭からなる被覆層を形成して前記高発火性石炭を貯蔵することを特徴とする高発火性石炭の貯蔵方法。
- 前記被覆層の厚さを10cm以上にして前記高発火性石炭を貯蔵することを特徴とする請求項1記載の高発火性石炭の貯蔵方法。
- 前記被覆層の表面に表面被覆剤を散布して前記高発火性石炭を貯蔵することを特徴とする請求項1または2記載の高発火性石炭の貯蔵方法。
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KR101016873B1 (ko) * | 2005-12-15 | 2011-02-22 | 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 | 석탄용 코팅제, 개질 석탄, 석탄용 코팅제의 제조 방법 및개질 석탄의 제조 방법 |
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