JP2000073127A

JP2000073127A - 高炉用原料およびその製造方法

Info

Publication number: JP2000073127A
Application number: JP10254653A
Authority: JP
Inventors: Masanori Nakano; 正則中野
Original assignee: Nippon Steel Corp
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1998-08-26
Filing date: 1998-08-26
Publication date: 2000-03-07

Abstract

(57)【要約】【課題】高炉用原料の耐還元粉化と被還元性を同時に
改善し、高炉の生産性と燃料比を改善する。【解決手段】焼結機で製造した焼結鉱の成品を炭素を
含有する流体に浸漬するか、または、焼結機で製造した
焼結鉱の成品に、炭素を含有する流体を散布して、焼結
鉱１の開気孔２に炭素含有物質３を充填させる。炭素を
含有する流体として、加熱したタール、粉コークススラ
リー、石炭スラリーの１種または２種以上を用いること
により、炭素含有物質３はタール、粉コークス、粉炭の
１種または２種以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、耐還元粉化性が良
く、高温での被還元性の高い高炉用原料とその製造方法
に関する。

【０００２】

【従来の技術】焼結鉱は、日本で、高炉用原料として主
に使用されている。焼結鉱の品質の内で重要なものに、
還元粉化性と被還元性がある。還元粉化性は、焼結鉱が
高炉の上部の５５０℃付近で数％還元を受けた際に粉化
する特徴を表すもので、ＲＤＩとして指数化されてい
る。還元粉化性の改善は高炉上部の通気性を改善し、高
炉操業の安定と生産量の増大に寄与する。また、被還元
性は、焼結鉱の高炉内でのガス還元のし易さを言い、Ｒ
Ｉ指数としてＪＩＳによりその測定が規程されている。
被還元性の改善は、高炉の還元ガスの利用効率を高めて
コークス原単位の改善に寄与する。

【０００３】従来から、焼結鉱の還元粉化性や被還元性
を改善する方法が検討されてきたが、これらは、原料の
調整方法や焼結機での焼成方法に関するものが主体であ
った。これに対し、焼結鉱に何らかの後処理をして品質
を改善する試みは少ないものの、焼結鉱にハロゲン化水
溶液を散布することにより還元粉化性が改善することは
知られており、田口ら（鉄と鋼，７３（１９８７），ｐ
ｐ．１９０９−１９１５）が塩化カルシウム水溶液を用
いてその機構を解明している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、ハロゲン化物
を用いる方法では、高炉操業上好ましくない塩素等の含
有量を増加させる欠点があり、実用化には至っていなか
った。

【０００５】本発明の目的は、上記の問題点を解決しつ
つ、かつ被還元性をも同時に改善することを可能とする
後処理を施した焼結鉱とその製造方法としての後処理方
法を提供することであり、結果として高炉の生産性と燃
料比を改善することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の主旨は、焼結鉱
に内在する開気孔に炭素含有物質を充填させることによ
り、還元粉化温度域では還元ガスの浸入を防止して該焼
結鉱の還元粉化を防止するとともに、高温域では炭素含
有物質が該焼結鉱の還元を促進させるところにある。

【０００７】すなわち、本発明の高炉用原料は、焼結鉱
の開気孔に炭素含有物質を充填したことを特徴とする高
炉用原料であり、炭素含有物質としては、タール、粉コ
ークス、粉炭の１種または２種以上を用いることができ
る。また、本発明の高炉用原料の製造方法は、焼結機で
製造した焼結鉱の成品を炭素を含有する流体に浸漬し
て、焼結鉱の開気孔に炭素含有物質を充填させることを
特徴とする高炉用原料の製造方法、および、焼結機で製
造した焼結鉱の成品に、炭素を含有する流体を散布し
て、焼結鉱の開気孔に炭素含有物質を充填させることを
特徴とする高炉用原料の製造方法である。炭素を含有す
る流体としては、加熱したタール、粉コークススラリ
ー、石炭スラリーの１種または２種以上を用いることが
できる。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の高炉用原料、す
なわち後処理を施した焼結鉱の断面図である。焼結鉱１
の開気孔２の一部ないし全部に炭素含有物質３が充填さ
れている。ここで炭素含有物質とは、焼結鉱の開気孔へ
の充填時に流動性を持ちかつ還元雰囲気下の昇温により
脱水ないし熱分解後も炭素を残留する物質であって、タ
ール、粉コークススラリー、石炭スラリーが適する。

【０００９】本発明の高炉用原料において還元粉化性が
改善する理由は、田口らが塩化カルシウムで検討した場
合と同様である。すなわち、５５０℃付近の温度におい
て還元雰囲気ではクラックの発生を伴うマグネタイトが
生成し、還元粉化が盛んに起こる。焼結鉱の開気孔に炭
素を含有する流体を浸入させた場合、浸入した流体の水
分および低温揮発分は揮発するが、なお残留する炭素を
主体とした物質が気孔内壁に付着して還元ガスの浸入を
阻害して焼結鉱の還元を遅らせるため、マグネタイトの
生成量が減少し、還元粉化が抑制される。また、炭素を
含有させることで塊成鉱の被還元性を改善できること
は、コールドペレットにおける含炭化の例があり、衆知
の現象である。

【００１０】図２は、炭素を含有する流体に焼結鉱を浸
漬して本発明の高炉用原料を製造する例を示す。焼結機
４により焼成された焼結鉱は、炭素を含有する流体５を
満たした容器６に投入される。該流体５に浸漬した焼結
鉱は、掻き出し装置７により容器外に排出された後、高
炉９に輸送される。該流体５が水スラリーの場合には、
高炉９への輸送に先立ち、乾燥装置８で乾燥させる方が
好ましい。また、容器６を密閉・加圧して流体５の浸漬
速度を高めるとなおよい。

【００１１】図３は、炭素を含有する流体を焼結鉱に散
布して本発明の高炉用原料を製造する例を示す。図３
（ａ）はヤードにて散布を実施する例であり、炭素を含
有する流体５の散布には、発塵防止のための既存のヤー
ド散水設備１１の活用やタンク車の使用が可能である。
図３（ｂ）はコンベア上で散布する例であり、貯蔵タン
ク１０から散布ノズル１２を介してコンベア１３上を移
動する焼結鉱の上面に該流体５を散布する。図２と同様
に、該流体５が水スラリーの場合には、散布後、乾燥装
置にて乾燥させる方が好ましい。

【００１２】

【実施例】（実施例１）６０℃に加熱したタール浴中に
１０分間浸漬した焼結鉱は表１の通りであった。浸漬に
より、ＰＡＣ法（笠間ら：鉄と鋼，８３（１９９７），
ｐｐ．１０９−１１４）による気孔率が４１％から１７
％に減少し、２４％（全気孔の約６０％）の体積に相当
するタールが焼結鉱に浸入した。その結果、還元粉化指
数（ＲＤＩ）は３５から１９に大幅に改善するととも
に、９００℃における還元率では差が認められないもの
の、より高温での還元率が改善した。

【００１３】

【表１】

【００１４】（実施例２）ヤードに貯留した焼結鉱に、
６０℃に加熱したタールを焼結鉱１ｔ当り３００ｋｇ散
布した。タールの浸入の程度に焼結鉱間のバラツキは大
きかったが、平均的な焼結鉱の品質は表２の通りであっ
た。タールの散布により、ＰＡＣ法気孔率は４１％から
３６％に減少し、ＲＤＩは３５から２８に改善した。実
施例１と同様に、９００℃における還元率では差が認め
られなかったが、より高温での還元率の改善が認められ
た。これらＲＤＩおよび還元率の改善は、実施例１の浸
漬した場合に比較して小さかったが、そもそも散布は浸
漬に比較してタールの焼結への浸入が少ないことが原因
と考えられる。

【００１５】

【表２】

【００１６】

【発明の効果】本発明により、簡易に、焼結鉱の還元粉
化性を改善し被還元性を向上できる。また、本発明の高
炉用原料を高炉に使用することにより、高炉の生産性と
燃料比を改善できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の高炉用原料の構造を示す断面図であ
る。

【図２】本発明の製造方法の実施態様を示す図である。

【図３】本発明の製造方法の他の実施態様を示す図であ
る。

【符号の説明】

１焼結鉱２開気孔３炭素含有物質４焼結機５炭素を含有する流体６容器７掻き出し装置８乾燥装置９高炉１０貯蔵タンク１１ヤード散水設備１２散布ノズル１３コンベア

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】焼結鉱の開気孔に炭素含有物質を充填し
たことを特徴とする高炉用原料。
【請求項２】炭素含有物質がタール、粉コークス、粉
炭の１種または２種以上であることを特徴とする請求項
１記載の高炉用原料。
【請求項３】焼結機で製造した焼結鉱の成品を炭素を
含有する流体に浸漬して、焼結鉱の開気孔に炭素含有物
質を充填させることを特徴とする高炉用原料の製造方
法。
【請求項４】焼結機で製造した焼結鉱の成品に、炭素
を含有する流体を散布して、焼結鉱の開気孔に炭素含有
物質を充填させることを特徴とする高炉用原料の製造方
法。
【請求項５】炭素を含有する流体が、加熱したター
ル、粉コークススラリー、石炭スラリーの１種または２
種以上であることを特徴とする請求項３または請求項４
記載の高炉用原料の製造方法。