JP4795200B2 - 高炉装入原料の製造方法及び高炉装入原料 - Google Patents

高炉装入原料の製造方法及び高炉装入原料 Download PDF

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Description

本発明は、結晶水を含む鉄鉱石、特に、結晶水を含む塊状の鉄鉱石の強度を向上させる高炉装入原料の製造方法に関する。さらに、本発明は、結晶水を含む鉄鉱石、特に、結晶水を含む塊状の鉄鉱石の被還元性を向上させる高炉装入原料の製造方法に関する。
塊状の鉄鉱石は、高炉装入原料として、10〜20mass%使用されることが多く、結晶水を含む塊状の鉄鉱石も使用されている。このとき、塊状の鉱石は、高炉内での通気を良好に保つために、10mm以上30mm以下の粒径に篩い分けられて使用される。
粉状の鉄鉱石は、焼結鉱又はペレットとして塊成化されて、高炉装入原料として、80〜90mass%使用されることが多い。なかでも、焼結鉱は、高炉装入原料として70〜80mass%使用されることが多い。
焼結鉱の品質改善方法として、ヤードに貯留した焼結鉱に、60℃に加熱したタールを散布して、焼結鉱の気孔にタールを充填して、焼結鉱の還元粉化性と被還元性を改善する方法が、特許文献1に記載されている。
特開2000−73127号公報 稲角忠弘:「焼結鉱」,日本鉄鋼協会,2000
塊状の鉄鉱石に含まれる結晶水は、200℃程度から分解を始めて、鉄鉱石中から除去される。鉄鉱石に含まれる結晶水が分解して除去されるとき、鉄鉱石内部に亀裂が発生し、気孔量が多くなり、強度が低下する。したがって、結晶水を含有する塊状の鉄鉱石が高炉に装入されて昇温され、鉄鉱石に含まれる結晶水が分解して除去されると、高炉内で鉄鉱石の強度が低下する。
その結果、該鉄鉱石が高炉内で粉化し、高炉内のガスの通気性が阻害され、高炉操業が阻害される。
特に、結晶水を4mass%以上含有する塊状の鉄鉱石、例えば、豪州産の褐鉄鉱石は、結晶水が分解して除去された後の強度が大きく低下するので、結晶水を4mass%以上含有する塊状の鉄鉱石の使用量を増やすと、高炉操業が阻害されることが判明した。ここで、結晶水の分析は、カールフィッシャー法(JIS M8211)によるものである。
特許文献1に記載されている焼結鉱の還元粉化性と被還元性を改善する方法を、結晶水を含有する塊状の鉄鉱石に適用し、60℃に加熱したタールを、結晶水を含有する塊状の鉄鉱石に散布しても、200℃よりも低温なので、塊状の鉄鉱石に含まれる結晶水は、ほとんど、熱分解せず、除去されない。
塊状の鉄鉱石に含まれる結晶水が熱分解を始める200℃以上にタールを加熱すると、タールの一部がガス化し、残留する液状タールの粘性が大きくなる。このような液状のタールは、鉄鉱石中の結晶水が熱分解して除去されて生成する亀裂には浸透し難く、鉄鉱石の強度向上には効果が小さいことがわかった。
したがって、特許文献1に記載されている焼結鉱の還元粉化性と被還元性を改善する方法は、結晶水を含有する塊状の鉄鉱石の高炉内での強度低下を抑制する手段とならない。
さらに、タールは工業用原料として使用される高価な製品であり、より安価なものを使用することが、経済的に望ましい。
本発明は、上記課題に鑑み、結晶水を含有する鉄鉱石の高炉装入時の強度を向上させ得る高炉装入原料の製造方法及び高炉装入原料を提供することを目的とする。また、タールのような高価な材料を使用せずに、比較的安価な材料を使用して、結晶水を含有する鉄鉱石の高炉装入時の強度を向上させ得る高炉装入原料の製造方法及び高炉装入原料を提供することを目的とする。また、さらに、高炉装入時の被還元性を向上させ得る高炉装入原料の製造方法及び高炉装入原料を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)結晶水を含む鉄鉱石を溶融状態のプラスチックに浸漬して、前記結晶水を熱分解除去して生じた前記鉄鉱石中の気孔に前記溶融状態のプラスチックを浸透させた後、当該溶融プラスチック浸透後の鉄鉱石を冷却することを特徴とする高炉装入原料の製造方法。
(2)前記鉄鉱石が10mm以上30mm以下の粒径の塊状の鉄鉱石であることを特徴とする(1)記載の高炉装入原料の製造方法。
(3)前記結晶水を含む鉄鉱石中の結晶水の割合が4mass%以上であることを特徴とする(1)又は(2)記載の高炉装入原料の製造方法。
(4)前記溶融状態のプラスチックは、原料となる常温で固体のプラスチックを加熱して得られるものであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の高炉装入原料の製造方法。
(5)前記原料となる常温で固体のプラスチックの加熱温度が200〜500℃であることを特徴とする(4)記載の高炉装入原料の製造方法。
(6)前記原料となる常温で固体のプラスチックとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、若しくは、ポリスチレン、又は、これらを含む混合物を用いることを特徴とする(4)又は(5)に記載の高炉装入原料の製造方法。
(7)前記原料となる常温で固体のプラスチックの一部又は全部として、ポリエチレン、ポリプロピレン、若しくは、ポリスチレン、又は、これらを含む混合物を加熱して熱分解したガスを冷却して得られる、常温で固体又は液体の生成物を用いることを特徴とする(4)〜(6)のいずれかに記載の高炉装入原料の製造方法。
(8)前記熱分解のための加熱温度が500〜700℃であることを特徴とする(7)記載の高炉装入原料の製造方法。
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載の高炉装入原料の製造方法により製造した高炉装入原料を、さらに加熱して、気孔中のプラスチックを炭化することを特徴とする高炉装入原料の製造方法。
(10)前記炭化のための加熱温度が、700〜1100℃であることを特徴とする(9)記載の高炉装入原料の製造方法。
(11)鉱石の内部に存在した結晶水が除去された後の気孔内に、プラスチックが含有されていることを特徴とする高炉装入原料。
本発明の鉄鉱石の強度を向上させる高炉装入原料の製造方法、さらには、被還元性を向上させる高炉装入原料の製造方法によれば、結晶水を含む塊状の鉄鉱石の強度又は強度と被還元性を向上させることが経済的に可能となり、高炉操業の安定化に資することができる。
本発明の鉄鉱石の強度又は強度と被還元性を向上させる高炉装入原料の製造方法は、鉄鉱石中の気孔に、溶融状態のプラスチックを浸透させて冷却することによって、鉄鉱石の強度を向上させることを特徴とする。さらに、鉄鉱石中の気孔に浸透したプラスチックを、気孔内で炭化することにより、高炉内で鉄鉱石が還元されるときの還元速度を大きくすることを特徴とする。
ここで、本発明で言うところの鉄鉱石とは、ペレットや焼結鉱とせずに使用する鉄鉱石のことである。また、塊状の鉄鉱石とは、篩い分けにより10〜30mmの粒径に揃えられて、高炉に装入される鉄鉱石のことである。
鉄鉱石中の結晶水の熱分解は、200℃程度から始まり、300℃付近で活発になる。一方、プラスチックの溶融温度は、その種類に依存するが、150℃程度である。さらにプラスチックを加熱すると、プラスチックのガス化が400℃程度から始まり、600℃付近で活発になる。
したがって、結晶水を含む鉄鉱石とプラスチックを、鉄鉱石中の結晶水が熱分解を始める200℃からプラスチックのガス化がまだ活発化しない500℃までの範囲の温度で加熱すると、鉄鉱石中の結晶水が熱分解し、除去されるとともに、プラスチックが溶融状態で共存する。
例えば、200〜500℃に加熱した溶融状態のプラスチックを、大気が混入しない状態にシールした容器内に滞留させ、この溶融状態のプラスチック内に、結晶水を含む鉄鉱石を装入する。その結果、結晶水が熱分解し、除去されて鉄鉱石中に形成される亀裂や気孔に、溶融状態のプラスチックを浸透させることが可能となる。
ここで、結晶水の割合の増加により、鉄鉱石の粉化が起こり易くなることを、図4に示す。図4は、結晶水含有率と、焼結鉱の還元粉化試験法によりRDI(Reduction Degradation Index)として指数化する方法に準拠して求めた粉率との関係を示した図である。焼結鉱の還元粉化試験法の昇温と還元の温度条件は、次のようである。
2ガス雰囲気下で45分間で550℃に昇温し、550℃に達した後、30分間保持し、その後、直ちに、還元ガス(CO=30vol%、N2=70vol%)に切り替えて30分間保持し、その後、直ちに、N2ガスに切り替えて冷却する。
今回の強度試験方法では、温度を550℃から300℃に変更した。試料は、15〜20mmの大きさのもの500gとし、他の条件はすべて等しくして行い、3mm以下の粉率で評価した。
図4から判るように、特に、結晶水を4mass%以上含む鉄鉱石は高炉内での結晶水の熱分解で生じる強度低下による粉化が、特に大きいので、結晶水を4mass%以上含む鉄鉱石に、前記の加熱処理を施すことによって、高炉内での鉄鉱石の粉化を抑制し、粉化によって生じる操業異常を回避する効果が、特に大きい。
非特許文献1によれば、褐鉄鉱Limoniteの化学式はFe23・nH2O(n=0.5〜4.0)であり、このとき、結晶水の割合は5〜31mass%となるので、鉄鉱石中の結晶水の上限は、理論上、31mass%と考えられる。
プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、又は、これらを含む混合物を用いることが可能で、使用済みの廃プラスチックもこれに含まれる。使用済みの廃プラスチックを使用することは、経済的であり、かつ、資源リサイクルを効率的に行うことが可能となる。
また、プラスチックとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、又は、これらを含む混合物を加熱して熱分解により発生したガスを冷却して得られる固体状又は液体状の生成物を、全量又は一部混合して用いることも可能である。
このようにして得られた固体状又は液体状の生成物は、200℃以上での溶融状態における粘性がきわめて低く、鉄鉱石内の微細な気孔によく浸透する。鉄鉱石内に生成する気孔が微細であるときには、このような熱分解により発生したガスを冷却して得られる固体状又は液体状の生成物を、プラスチックとして、全量又は一部混合して使用することが有効である。
なお、いったん気孔に浸透した液状の生成物は、気孔内に毛細管現象により保持されるので、液体状の生成物が気孔内から粒子外部に流れ出ることはなく、ハンドリングで問題となることはない。
この熱分解によりガスを発生するときの加熱温度は、ガス化が活発に起こる600℃を中心にして、500℃からプラスチックの炭化があまり活発に生じない700℃までの間とし、大気が混入しないようにシールした容器内で熱分解させることが望ましい。
鉄鉱石の気孔に浸透したプラスチックは、種類によっても多少異なるが、700℃程度から炭化し始める。気孔内に炭化物が存在すると、高炉内で1000℃以上に加熱されたとき、気孔内の炭化物が還元剤として機能し、鉄鉱石中の酸化鉄の還元速度が大きくなる。
したがって、700℃から1000℃までの加熱により、気孔内に炭化物を生成させることによる鉄鉱石の被還元性改善効果を得ることができる。さらに、1000℃から1100℃まで加熱すると、気孔内の炭化物の一部により鉄鉱石内の酸化鉄の一部が還元されて、金属鉄が生成するので、高炉の生産効率の向上効果が期待できる。また、残存する炭化物による鉄鉱石中の酸化鉄の還元速度が大きくなる効果も、同様に期待できる。
このような炭化処理は、シャフト炉を使用してシャフト炉内を降下する鉄鉱石とシャフト炉内を上昇する加熱ガスとを熱交換させることによって、実現可能である。加熱ガスは、プラスチック加熱時に発生するプラスチックのガス化ガス、前記シャフト炉の炉頂から回収されるプラスチックのガス化ガス、又は、高炉ガスを予熱又は燃焼させることによって、製造することができる。
しかし、シャフト炉内で鉄鉱石が1100℃以上になると、鉄鉱石の酸化鉄ないし脈石の一部が溶融して気孔を閉塞し、被還元性が低下したり、また、シャフト炉内で鉄鉱石同士が癒着して、大きな塊りとなり、シャフト炉内を降下することができなくなる。
したがって、プラスチックが浸透した鉄鉱石を加熱する温度は、700℃から1100℃であることが望ましい。また、炭化処理後の鉱石は、大気中で再酸化発熱しない温度、300℃を超えない温度まで、常温の前記プラスチックのガス化ガス又は高炉ガスで冷却してから、シャフト炉などの炭化処理炉から排出することが望ましい。
プラスチックの溶融、プラスチックの熱分解ガス化及び炭化に必要な燃料は、プラスチックのガス化ガスを使用してもよいし、高炉ガスを用いてもよい。
本発明の鉄鉱石の強度を向上させる高炉装入原料の製造方法、さらには被還元性を向上させる高炉装入原料の製造方法の実施例を以下に示す。鉄鉱石には、結晶水を8mass%含有した10〜30mm粒径の塊状の鉄鉱石を使用した。結晶水の分析は、カールフィッシャー法(JIS M8211)による。
プラスチックには、ポリエチレン29mass%、ポリプロピレン24mass%、及び、ポリスチレン28%を含む廃プラスチックを使用した。残りの成分は、ポリ塩化ビニル等のその他のプラスチック類と夾雑物である。
(実施例1)
図1に基づき説明する。鉄鉱石中の結晶水の熱分解は、200℃程度から始まるので、200℃より低い加熱温度では、期待する効果が発現しない。一方、プラスチックのガス化は400℃程度から始まり、600℃付近で活発になる。したがって、500℃を超える温度になると、プラスチックのガス化量が増えて、鉱石の改質に利用するプラスチックの利用効率が低下する。
そこで、温度400℃の加熱ガス9を、プラスチック貯留容器3内の溶融状態のプラスチック4内に設置された熱交換器10に送り、溶融状態のプラスチック4の温度を300℃に制御する。プラスチックの熱分解によって発生するガスは、密閉容器6内から排ガス12として回収される。
結晶水を8mass%含有した粒度10〜30mmの塊状の鉄鉱石を、鉄鉱石原料供給ホッパー1から溶融状態のプラスチック4内に装入する。同様に、プラスチックを、プラスチック原料ホッパー2から、溶融状態のプラスチック4内に装入する。溶融状態のプラスチック4内で、鉄鉱石は結晶水を失い、プラスチックは溶融する。そして、結晶水を失って鉄鉱石粒子内に生成した亀裂に、溶融状態のプラスチックが浸透する。
プラスチックが浸透した鉄鉱石は、耐熱コンベア5によって、プラスチック貯留容器3から密閉容器6内に設置されたプラスチック浸透鉄鉱石集合シュート7に排出される。プラスチックが浸透した鉄鉱石は、プラスチック浸透鉄鉱石集合シュート7から、プラスチック浸透鉄鉱石排出ホッパー8を経て系外に排出されて、高炉装入原料として使用される。
なお、本方法により製造したプラスチック浸透鉄鉱石を破砕して、その断面を観察したところ、図5に示すように、鉄鉱石の気孔中にプラスチックが浸透していることがわかった。
本方法により製造したプラスチック浸透鉄鉱石の強度を調査した。塊状鉄鉱石の強度を評価する試験方法は、焼結鉱の還元粉化試験法によりRDI(Reduction Degradation Index)として指数化する方法に準拠した。焼結鉱の還元粉化試験法と異なる条件を、以下に述べる。
焼結鉱の還元粉化試験法の昇温と還元の温度条件は、次のようである。N2ガス雰囲気下で、45分間で550℃に昇温し、550℃に達した後、30分間保持し、その後、直ちに、還元ガス(CO=30vol%、N2=70vol%)に切り替えて30分間保持し、その後、直ちに、N2ガスに切り替えて冷却する。
今回の強度試験方法では、温度を、550℃から300℃に変更した。試料は、15〜20mmの大きさのもの500gとし、他の条件はすべて等しくして行い、3mm以下の粉率で評価した。
その結果、実施例1では、粉率は30mass%であった。
対して、参考例として焼結鉱、及び、比較例として結晶水を8mass%含有した塊状の鉄鉱石を、前記強度試験方法で評価した。その結果、焼結鉱では、粉率は15mass%、結晶水を8mass%含有した塊状の鉄鉱石では、粉率は70mass%であった。すなわち、本発明では、結晶水を有する鉄鉱石であっても、強度を大きく向上することが可能で、焼結鉱の強度レベルに近づけることができることがわかった。
また、結晶水を8mass%含有した塊状の鉄鉱石を鉄鉱石原料の10%装入し、焼結鉱とペレットを鉄鉱石原料の90%装入して操業している高炉の出銑比は、2.10であったのに対し、実施例1で製造した高炉装入原料を用いた場合、すなわち、結晶水を8mass%含有した塊状の鉄鉱石を鉄鉱石原料の5%装入し、実施例1のプラスチック浸透鉄鉱石を鉄鉱石原料の5%装入し、焼結鉱とペレットを鉄鉱石原料の90%装入して操業している高炉の出銑比は、2.21に上昇し、高炉の生産性を向上させることが可能であった。
(実施例2)
図2に基づき説明する。温度700℃の加熱ガス16を、プラスチック熱分解ガス化容器14内の溶融状態のプラスチック15内に設置された熱交換器17に送り、溶融状態のプラスチック15の温度を600℃に制御する。プラスチックをプラスチック原料ホッパー13から、溶融状態のプラスチック15内に装入する。
プラスチックの熱分解によって発生するガスは、熱分解ガス化容器14からプラスチック熱分解ガス配管19を通り、冷却水により間接冷却される構造の熱分解生成物凝縮分離容器20において冷却される。プラスチックの熱分解によって発生するガスに含まれる高沸点成分は、熱分解生成物凝縮分離容器20において凝縮して、固体状又は液体状の熱分解生成物として回収される。
この熱分解生成物は、熱分解生成物凝縮分離容器20から熱分解生成物供給ホッパー22に供給される。低沸点成分は、排ガス21として回収される。
温度400℃の加熱ガス9を、溶融状態のプラスチック貯留容器3内の溶融状態のプラスチック4内に設置された熱交換器10に送り、溶融状態のプラスチック4の温度を300℃に制御する。プラスチックの熱分解によって発生するガスは、密閉容器6内から排ガス12として回収される。
結晶水を8mass%含有した粒度10〜30mmの塊状の鉄鉱石を、鉄鉱石原料供給ホッパー1から溶融状態のプラスチック4内に装入する。同様に、プラスチックを、プラスチック原料ホッパー2から溶融状態のプラスチック4内に装入する。さらに、プラスチック熱分解生成物を、熱分解生成物供給ホッパー17から溶融状態のプラスチック4内に装入する。
溶融状態のプラスチック4内で、鉄鉱石は結晶水を失い、プラスチックは溶融し、プラスチック熱分解生成物は、再溶融する。そして、結晶水を失って鉄鉱石粒子内に生成した亀裂に、溶融状態のプラスチックが浸透する。
プラスチックが浸透した鉄鉱石は、耐熱コンベア5によって、プラスチック貯留容器3から密閉容器6内に設置されたプラスチック浸透鉄鉱石集合シュート7に排出される。プラスチックが浸透した鉄鉱石は、プラスチック浸透鉱石集合シュート7から、プラスチック浸透鉄鉱石排出ホッパー8を経て系外に排出されて、高炉装入原料として使用される。
本方法により製造したプラスチック浸透鉄鉱石の強度を調査した。鉄鉱石の強度を評価する試験方法は、実施例1で示した方法と同様である。
その結果、実施例2では、粉率は20mass%であった。
すなわち、本発明では、結晶水を有する鉄鉱石であっても、強度を大きく向上することが可能で、焼結鉱の強度レベルに近づけることができることがわかった。
さらに、プラスチックの熱分解により生じたガスを冷却することで得られたプラスチックを、鉄鉱石内に浸透させるプラスチックとすることで、より強度を向上できることが確認できた。これは、結晶水が除去されて生じた気孔に、より粘度の低い溶融状態のプラスチックが浸透して、微細な気孔中にもよく浸透したためと考えられる。
(実施例3)
図3に基づき説明する。結晶水を8mass%含有した塊状の鉄鉱石から実施例2で製造したプラスチック浸透鉄鉱石32を、シャフト状の炭化炉36の炉頂に装入する。シャフト状の炭化炉36の高さ方向の中間部分から、高炉ガスを、予熱かつ部分燃焼させた温度800℃の加熱ガス30として吹込み、このガスで、炭化炉内のプラスチック浸透鉄鉱石を加熱して炭化する。
加熱ガス30は、炭化炉36内を上昇しながらプラスチック浸透鉄鉱石と熱交換し、温度が低下して、炭化炉36の上部から、排ガス31として系外に排出される。
炭化炉36に装入されたプラスチック浸透鉄鉱石32は、炭化炉36の内部を降下するとともに加熱されて、加熱ガス30の吹込まれている高温領域にて、鉄鉱石中のプラスチックが炭化される。炭化処理後の高温の鉄鉱石は、炭化炉36内をさらに降下する途中で、冷却入りガス34として用いる常温の高炉ガスにより冷却されて、炭化炉36下部から炭化処理後鉄鉱石33として排出される。
冷却入りガス34は、炭化処理後の鉄鉱石と熱交換し、温度が上昇して、冷却出ガス35として系外に排出される。加熱ガス30と冷却入りガス34の圧力を調整することにより、冷却入りガス34の一部は、加熱ガス30とともにシャフト状の炭化炉36内を上昇するが、大部分は冷却出ガス35として系外に排出される。
本方法により製造した炭化処理後鉄鉱石の強度を調査した。鉄鉱石の強度を評価する試験方法は実施例1で示した方法と同様である。
その結果、実施例3では、粉率は40mass%であった。
すなわち、本発明では、結晶水を有する鉄鉱石であっても、強度を大きく向上することが可能で、焼結鉱の強度レベルに近づけることができることがわかった。
本方法により製造した炭化処理後鉄鉱石の被還元性を調査した。鉄鉱石の被還元性を評価する試験方法は鉄鉱石類の還元試験法(JIS M 8713)に準拠した。鉄鉱石類の還元試験法と異なる条件を、以下に述べる。
鉄鉱石類の還元試験法の昇温と還元の温度条件は次のようである。N2ガス雰囲気下で900℃に昇温し、900℃に達した後、30分間保持し、その後、直ちに、還元ガス(CO=30vol%、N2=70vol%)に切り替えて180分間保持し、その後、直ちに、N2ガスに切り替えて冷却する。今回の被還元性を評価する試験方法では、温度を900℃から1050℃に変更した。他の条件はすべて等しくして行った。
温度が1050℃の条件では、参考例の焼結鉱の還元率は75%、比較例の結晶水を8mass%含有した塊状の鉄鉱石の還元率は55%であったのに対し、結晶水を8mass%含有した塊状の鉄鉱石から本実施例3によって製造した炭化処理後鉄鉱石の還元率は75%で、焼結鉱と同等であり、比較例の結晶水を8mass%含有した塊状の鉄鉱石よりも、被還元性が優れていた。
本発明の実施例1における設備プロセスの一例を示す図である。 本発明の実施例2における設備プロセスの一例を示す図である。 本発明の実施例3における設備プロセスの一例を示す図である。 結晶水含有率の粉率に及ぼす影響を示す図である。 塊状の鉱石中へのプラスチック浸透状況を示す図(写真)である。
符号の説明
1 鉄鉱石原料供給ホッパー
2 プラスチック原料供給ホッパー
3 プラスチック貯留容器
4 溶融状態のプラスチック
5 耐熱コンベア
6 密閉容器
7 プラスチック浸透鉄鉱石集合シュート
8 プラスチック浸透鉄鉱石排出ホッパー
9 加熱用ガス
10 熱交換器
11 熱交換器排ガス
12 排ガス
13 プラスチック原料供給ホッパー
14 プラスチック熱分解ガス化容器
15 溶融状態のプラスチック
16 加熱用ガス
17 熱交換器
18 熱交換器排ガス
19 プラスチック熱分解ガス配管
20 熱分解生成物凝縮分離容器
21 排ガス
22 プラスチック熱分解生成物供給ホッパー
30 加熱ガス
31 排ガス
32 プラスチック浸透鉄鉱石
33 炭化処理後鉄鉱石
34 冷却入りガス
35 冷却出ガス
36 炭化炉
37 鉱石中に浸透したプラスチック

Claims (11)

  1. 結晶水を含む鉄鉱石を溶融状態のプラスチックに浸漬して、前記結晶水を熱分解除去して生じた前記鉄鉱石中の気孔に、前記溶融状態のプラスチックを浸透させた後、当該溶融プラスチック浸透後の鉄鉱石を冷却することを特徴とする高炉装入原料の製造方法。
  2. 前記鉄鉱石が10mm以上30mm以下の粒径の塊状の鉄鉱石であることを特徴とする請求項1記載の高炉装入原料の製造方法。
  3. 前記結晶水を含む鉄鉱石中の結晶水の割合が4mass%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の高炉装入原料の製造方法。
  4. 前記溶融状態のプラスチックは、原料となる常温で固体のプラスチックを加熱して得られるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造方法。
  5. 前記原料となる常温で固体のプラスチックの加熱温度が200〜500℃であることを特徴とする請求項4記載の高炉装入原料の製造方法。
  6. 前記原料となる常温で固体のプラスチックとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、若しくは、ポリスチレン、又は、これらを含む混合物を用いることを特徴とする請求項4又は5に記載の高炉装入原料の製造方法。
  7. 前記原料となる常温で固体のプラスチックの一部又は全部として、ポリエチレン、ポリプロピレン、若しくは、ポリスチレン、又は、これらを含む混合物を加熱して熱分解したガスを冷却して得られる、常温で固体又は液体の生成物を用いることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造方法。
  8. 前記熱分解のための加熱温度が500〜700℃であることを特徴とする請求項7記載の高炉装入原料の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造方法により製造した高炉装入原料を、さらに加熱して、前記気孔中のプラスチックを炭化することを特徴とする高炉装入原料の製造方法。
  10. 前記炭化のための加熱温度が、700〜1100℃であることを特徴とする請求項9記載の高炉装入原料の製造方法。
  11. 鉱石の内部に存在した結晶水が除去された後の気孔内に、プラスチックが含有されていることを特徴とする高炉装入原料。
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