JPS5853037B2 - タイセキセキタンノシゼンハツカボウシホウ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は製鉄所、鉱山等の石炭置場に堆積された石炭
の自然発火防止法に関する。

製鉄所、鉱山等の石炭置場に堆積された石炭は長期間放
置されると空気中の酸素と石炭のカーボン物質あるいは
硫黄分と反応し、発熱反応に依る熱エネルギの蓄熱量が
、時間の経過とともに増大しやがて限界温度に達して、
遂には発火状態となる恐れがある。

したがって石炭置場の保安上および作業上の面から自然
発火を極力防止することが要求される。

この発明は石炭置場の堆積石炭の発熱発火の現象の直接
的原因が酸素によるものであることがら、この酸素の流
入を石炭表面に弾力性を有する皮膜を形成させることに
より遮断して、石炭の発熱発火を未然に防止するもので
ある。

石炭の酸化反応は石炭の外側の表面のみでなく主として
石炭内部の孔の表面で起る。

石炭は多くの隙間と孔によって貫れており、これは導孔
と微細孔とに区分され導孔は粗い隙間で、これから微細
孔が枝分れしている。

大気中の酸素分子は、此の石炭の導孔を通って微細孔に
導かれ導孔では自由拡散運動と微細孔では固定拡散運動
をしながら移動し石炭分子の反応基と反応して酸化熱を
発生させる。

このとき熱の発生量に比べて放散量が少くなると熱量は
蓄積されて自然発火が起る。

石炭表面に皮膜を生成して、自然発火防止するには、石
炭の酸化が石炭粒子の表面による酸化の進行よりも、石
炭粒子内の導孔、微細孔による酸化の進行の方が大きい
と言う事から、石炭粒子内部の導孔、微細孔、表面を活
性化させないように工夫すると共に石炭のヤード全体を
も通気の遮断を計ることである。

その為には、船舶より荷揚し石炭置場に積み上げるまで
の途中で、出来るだけ石炭粒子個々に薬剤を被覆しうる
ように、浸漬又は散水する事が必要である。

また、堆積後も出来るだけ多くの石炭粒子個々を不活性
化させる薬剤の繰り返し散布は個々の条件により異なる
が適宜必要であり、ヤード全体のコーティング処理薬剤
も同様である。

このため石炭置場の堆積石炭の表面だけでなく、石炭粒
子個々の表面および石炭粒子個々の内部に存在する微細
な孔にも薬剤を散布して、被膜を形成させ、酸素を遮断
して堆積石炭の発熱発火を防止しようとするものである
。

本発明は石炭置場に石炭を堆積するに際し、石炭粒子に
皮膜形成剤として、酢酸ビニル重合物、アクリル酸重合
物、アクリルアミド、重合物、これらの共重合物、およ
びこれらと他のビニル化合物との共重合物からなる群か
ら選ばれる高分子化合物の１または数種の水性溶液また
はエマルジョンを散布しながら移送し堆積して個々の石
炭粒子内部の微細な孔に薬剤を浸透させ、堆積石炭の表
面にも皮膜形成剤として、耐水性の皮膜を形成する低水
溶性の高分子物質のエマルジョンを散布して被膜を形成
させることを特徴とする堆積石炭の自然発火防止法であ
る。

石炭置場に石炭を堆積するのには、例えば、鉱山の採掘
現場や、鉱石船等からベルトコンベアなどの移送手段を
使用して石炭置場に石炭を堆積する。

本発明では、第１の皮膜形成剤の水溶液を、石炭置場に
石炭を移送するベルトコンベアなどの移送手段上でスプ
レーノズルのような散布手段を使用して散布する。

このように移送手段上の石炭に薬剤を散布することによ
り、個々の石炭粒子にくまなく薬剤を散布することがで
きる。

個々の石炭粒子上に散布された薬剤は、石炭粒子内部に
存在する微細な孔やクランク中に浸透してこれらの微細
な孔やクラックを不活性化被膜を形成して塞ぎ、酸化反
応を防止することができる。

石炭の移送手段上で散布する第１の皮膜形成剤としては
酢酸ビニル重合物、アクリル酸重合物、アクリルアミド
重合物、これらの共重合物、またはこれらと他のビニル
化合物（例えば、アクリル酸エステル、アクリルニトリ
ル）との共重合物などの高分子化合物が使用でき、これ
らの１または数種の水性溶液またはエマルジョンを使用
するが、これらの薬剤の好ましい使用濃度は１〜２０重
量％である。

また、このような皮膜形成の石炭に対する浸透性をよく
するために、界面活性剤を併用することができる。

このような界面活性剤は、アニオン系でもカチオン系で
も使用できるが、特にノニオン系の界面活性剤が好まし
い。

このようにアクリルアミドとメチルメタアクリレートの
水溶性重合物等が散布され“不活性化′。

された石炭はベルトコンベア等の移送手段により石炭置
場に堆積され、石炭山を形成する。

石炭の堆積が終了した堆積石炭には、レインガンのよう
な散布手段により第２の皮膜生成剤を散布する。

こうした散布により石炭山全体に被膜を形成させ、石炭
山の内部に空気中の酸素が混入するのを防ぎ、石炭の発
熱を防止することができる。

第２の皮膜形成剤としては酢酸ビニル重合物、又はＳＢ
Ｒゴムラテックスなどの耐水性の皮膜を形成する低水溶
性の高分子物質のエマルジョンを使用し、これを水に希
釈して使用するが、これらの薬剤の好ましい使用濃度は
３〜５０重量％である。

また、散布水量は堆積石炭表面に１ｉ当り１〜７１が好
ましい。

第１の皮膜形成剤は石炭粒子の内部に浸透するように浸
透性のものが好ましく、第２の皮膜形成剤は雨などでと
れない耐水性の皮膜を形成するものが好ましい。

このように、石炭置場に石炭を移送する過程で個々の石
炭粒子に皮膜形成剤を散布し、さらに形成されたのちの
石炭山の表面にも皮膜形成剤を散布することにより、長
期間堆積石炭の自然発火を防止することができる。

従来、堆積石炭の表面にのみ薬剤を散布する方法は知ら
れていたが、このような従来法によるかぎり、石炭山の
内部で石炭粒子内部の微細な孔やクランクからはじまる
酸化反応を防止することができず、従って発火現象その
ものも本発明のように長期間にわたって防止することは
できなかった。

本発明では、石炭粒子細々の酸化反応を防止できるので
、すぐれた堆積石炭の自然発火防止効果をうろことがで
きる。

実施例 鉱石船から、ベルトコンベアを使用して、８０００トン
前後の石炭を石炭置場に堆積し、本発明を実施した。

鉱石船からパケットにより、ベルトコンベア上のホッパ
ーに石炭が投入され、このベルトコンベア上のホッパー
から一定量の石炭がベルトコンベア上に供給された。

供給された石炭はベルトコンベアにより石炭置場に堆積
された。

ベルトコンベアの始端から後端のほぼ中間部上方にスプ
レーノズルが設けてあり、このスプレーノズルからベル
トコンベア上の石炭にアクリルアミドとメチルメタアク
リレートの水溶性重合物の０．０００５重量％水溶液が
６．７ｔ／Ｈｒの流速で約１６０を散布された。

こうしてベルトコンベアにより石炭置場に堆積された石
炭山の表面積は約２０００ｍ”であった。

次に、この石炭山のほぼ全面に亘ってＳＢＲゴムラテッ
クスのｌ０％水溶液を石炭山表面積当り４１／ｌｒｉ’
散布した。

然る後熱伝対を堆積石炭の上部および下部に各々３ｍ埋
設させて、熱伝対から導いた補償導線を携帯用指示熱電
温度計に結線して、埋設された熱伝対の各々の温度を毎
日所定の時間に測定し、これらの平均温度を求めた。

尚比較のため、薬剤を全く散布しない場合および堆積石
炭にのみ、本発明と同様な処理を行なった場合（従来例
）も同様にして平均温度を求めた。

結果は下表の通りである。

表−１はこの発明の方法では、堆積石炭にのみ薬剤を散
布していた従来例に比べ、発熱温度がはるかに低いこと
を示している。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 石炭置場に石炭を堆積するに際し、石炭粒子に皮膜
   形成剤として、酢酸ビニル重合物、アクリル酸重合物、
   アクリルアミド重合物、これらの共重合物、およびこれ
   らと他のビニル化合物との共重合物からなる群から選ば
   れる高分子化合物の１マタは数種の水性溶液またはエマ
   ルジョンを散布しながら移送し堆積して個々の石炭粒子
   内部の微細な孔に薬剤を浸透させ、堆積石炭の表面にも
   皮膜形成剤として、耐水性の皮膜を形成する低水溶性の
   高分子物質のエマルジョンを散布して被膜を形成させる
   ことを特徴とする堆積石炭の自然発火防止法。