JP2004291435A - 有機elアレイ露光ヘッドチップ及びそれを用いた有機elアレイ露光ヘッド - Google Patents

有機elアレイ露光ヘッドチップ及びそれを用いた有機elアレイ露光ヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】小型の有機ELアレイ露光ヘッドを構成できるようにすると共に、各有機EL発光部とドライバICとの電気的接続をワイヤボンディングに依らず行うことができるようにする。
【解決手段】ヘッドチップ1は、一番下にドライバIC26があり、その直上にアレイアセンブリ27が設けられ、更にその直上に集光レンズアセンブリ28が設けられた構成であり、このヘッドチップ1は基板34にダイスボンド材32で固定されている。ドライバIC26とアレイアセンブリ27は異方導電性接着剤35により接着され、更にアレイアセンブリ27と集光レンズアセンブリ28は紫外線(UV)硬化樹脂接着剤33により接着される。光導穴19はアレイアセンブリ27に形成される発光部と一対一に対応している。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真式の画像形成装置の露光に用いる露光ヘッドを構成するための露光ヘッドチップであって、主走査方向に複数の有機EL発光部(発光素子)が配置されてなる有機ELアレイ露光ヘッドチップ、及び、その有機ELアレイ露光ヘッドチップを用いた有機ELアレイ露光ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真式の画像形成装置において、感光体を露光するための露光ヘッドとしてはレーザやLEDを用いるものが知られているが、有機ELを用いたものも知られている(この点に関して、例えば、下記の特許文献1、特許文献2参照)。そして、露光光源として有機ELアレイ露光ヘッドを用いるものにおいては、特許文献1に見られるように、有機ELアレイヘッドと、一つ一つの有機ELの発光を制御するためのドライバICとは一つの大型の基板に搭載され、ワイヤボンディングで電気的接続が行われている。
【0003】
即ち、特許文献1では、オンチップボード(COB)基板上に有機ELアレイを有する有機ELアレイ基板と、そのドライバICが複数個配置され、COB基板とドライバICの間の電気的接続と、ドライバICと有機ELアレイ基板の電気的接続はボンディングワイヤによって行われている。
【0004】
また、有機EL発光部の発光光量はLEDと比較すると小さいことが知られているが、そのような発光光量が小さい発光部を用いて露光ヘッドを構成する場合に有効な露光ヘッドとして、1画素を複数の発光部で照射して重ねて露光する多重露光方式の露光ヘッドが開発されている(この点に関しては、例えば、下記の特許文献3参照)。
【0005】
特許文献3には、記録アレイヘッドに感光ドラムの回転方向、即ち副走査方向に対して複数列の発光記録素子を配置し、感光ドラムを移動させると共に当該発光記録素子を列方向にシフトさせて、同一画素に重ねて画像データを形成することが記載されている。この例では、発光出力が低い発光記録素子を用いた場合でも高速に画像形成が行えるという利点がある。
【0006】
【特許文献1】特開平9−226171号公報
【特許文献2】特開平11−198433号公報
【特許文献3】特開昭61−182966号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されているものでは、COB基板上に、平面的に有機ELアレイを有する有機ELアレイ基板と、そのドライバICを複数個配置する必要があるので、実装面積が大きく、COB基板は大型とならざるを得ないという問題がある。
【0008】
また、従来では有機ELアレイ基板とドライバICとの電気的接続をとるためにワイヤボンディングの工程が不可欠である。ワイヤボンディングそれ自体は、ワイヤボンディングを行うための装置に動作をプログラミングすることによって自動的に行うことができるが、有機EL基板における各有機EL発光部と、ワイヤボンディングされる端子との間の配線が面倒なものとなる。このことは、特に、副走査方向に対して複数列の発光部を配置して多重露光を行う場合に顕著である。
【0009】
即ち、例えば、A4サイズの用紙に 600dpiの解像度での画像形成を可能とする場合、主走査方向には約7680個の有機EL発光部を配置する必要があり、多重露光を行う場合には、それを更に副走査方向に複数列配置することになる。そして、その場合において、今、理解を容易にするために、それら多数の有機EL発光部の中央部に配置される有機EL発光部を考えた場合、それら中央部の有機EL発光部と、ドライバICの端子とワイヤボンディングされる端子とを接続するための配線は、有機EL発光部の間の隙間に、しかも他の配線に接触しないように配置しなければならないことになり、非常に面倒なものとなる。
【0010】
そこで、本発明は、実装面積を従来よりも小さくでき、以て小型の有機ELアレイ露光ヘッドを構成できるようにすると共に、各有機EL発光部とドライバICとの電気的接続をワイヤボンディングに依らず行うことができる有機ELアレイ露光ヘッドチップ、及びそれを用いた有機ELアレイ露光ヘッドを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の有機ELアレイ露光ヘッドチップは、有機EL発光部の発光を制御するドライバICの電極パッドの直上に、有機EL発光部が形成されてなることを特徴とする。
請求項2記載の有機ELアレイ露光ヘッドチップは、主走査方向に複数の所定個数の有機EL発光部が形成され、且つそれが副走査方向に複数列形成された有機ELアレイアセンブリと、前記有機EL発光部の発光を制御するドライバICとを少なくとも備え、前記ドライバICの表面には、前記有機ELアレイアセンブリに形成された発光部の配置パターンと同じパターンで電極パッドが形成されてなり、前記有機ELアレイアセンブリは、前記ドライバICの電極パッドが形成された面側に、前記発光部が前記電極パッドの直上に位置するように固定されてなることを特徴とする。
請求項3記載の有機ELアレイ露光ヘッドチップは、請求項2において、前記有機ELアレイアセンブリとドライバICとは導電性フィラーを含有する異方導電性接着剤で固定されてなることを特徴とする。
請求項4記載の有機ELアレイ露光ヘッドチップは、請求項2または3において、前記有機ELアレイアセンブリの直上には、前記発光部で発光した光を略平行光線として出射させる集光レンズアセンブリが形成されてなることを特徴とする。
請求項5記載の有機ELアレイ露光ヘッドチップは、請求項4において、前記集光レンズアセンブリは、遮光部材に、前記有機ELアレイアセンブリに形成された発光部の配置パターンと同じパターンで貫通孔が形成され、各貫通孔にの光の出射端側に球状の集光レンズが圧入された光導穴を有することを特徴とする。
請求項6記載の有機ELアレイ露光ヘッドチップは、請求項4において、前記集光レンズアセンブリは、遮光部材に、前記有機ELアレイアセンブリに形成された発光部の配置パターンと同じパターンで貫通孔が形成され、各貫通孔にの光の出射端側に球状の集光レンズが圧入された光導穴を有し、且つ、前記光導穴の貫通孔の光の出射側の径は、光の入射側の径より大きくなされてなることを特徴とする。
請求項7記載の有機ELアレイ露光ヘッドチップは、請求項5または6において、前記集光レンズアセンブリの光導穴は、その直下にある発光部で発光された光のみを出射させ、隣接する光導穴の直下にある発光部で発光された光は遮光するように配置されてなることを特徴とする。
請求項8記載の有機ELアレイ露光ヘッドは、有機EL発光部の発光を制御するドライバICの電極パッドの直上に、有機EL発光部が形成されてなる有機ELアレイ露光ヘッドチップが、基板上の主走査方向に所定個数配置されてなることを特徴とする。
請求項9記載の有機ELアレイ露光ヘッドは、請求項8において、前記有機ELアレイ露光ヘッドチップは、2列に千鳥状に配置されてなることを特徴とする。
請求項10記載の有機ELアレイ露光ヘッドは、主走査方向に複数の所定個数の有機EL発光部が形成され、且つそれが副走査方向に複数列形成された有機ELアレイアセンブリと、前記有機EL発光部の発光を制御するドライバICとを少なくとも備え、前記ドライバICの表面には、前記有機ELアレイアセンブリに形成された発光部の配置パターンと同じパターンで電極パッドが形成されてなり、前記有機ELアレイアセンブリは、前記ドライバICの電極パッドが形成された面側に、前記発光部が前記電極パッドの直上に位置するように固定されてなる有機ELアレイ露光ヘッドチップが、基板上の主走査方向に所定個数配置されてなることを特徴とする。
請求項11記載の有機ELアレイ露光ヘッドは、請求項10において、前記有機ELアレイアセンブリとドライバICとは導電性フィラーを含有する異方導電性接着剤で固定されてなることを特徴とする。
請求項12記載の有機ELアレイ露光ヘッドは、請求項10または11において、前記有機ELアレイアセンブリの直上には、前記発光部で発光した光を略平行光線として出射させる集光レンズアセンブリが形成されてなることを特徴とする。
請求項13記載の有機ELアレイ露光ヘッドは、請求項12において、前記集光レンズアセンブリは、遮光部材に、前記有機ELアレイアセンブリに形成された発光部の配置パターンと同じパターンで貫通孔が形成され、各貫通孔にの光の出射端側に球状の集光レンズが圧入された光導穴を有することを特徴とする。
請求項14記載の有機ELアレイ露光ヘッドは、請求項12において、前記集光レンズアセンブリは、遮光部材に、前記有機ELアレイアセンブリに形成された発光部の配置パターンと同じパターンで貫通孔が形成され、各貫通孔にの光の出射端側に球状の集光レンズが圧入された光導穴を有し、且つ、前記光導穴の貫通孔の光の出射側の径は、光の入射側の径より大きくなされてなることを特徴とする。
請求項15記載の有機ELアレイ露光ヘッドは、請求項13または14において、前記集光レンズアセンブリの光導穴は、その直下にある発光部で発光された光のみを出射させ、隣接する光導穴の直下にある発光部で発光された光は遮光するように配置されてなることを特徴とする。
請求項16記載の有機ELアレイ露光ヘッドは、請求項10乃至15の何れかにおいて、前記有機ELアレイ露光ヘッドチップは、基板上に2列に千鳥状に配置されてなることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ発明の実施の形態について説明する。なお、以下においては、まず本発明に係る有機ELアレイ露光ヘッド、及び有機ELアレイ露光ヘッドチップの構造、その製造方法を説明し、その後に、本発明に係る有機ELアレイ露光ヘッドを用いて多重露光を行う場合の動作について説明する。
【0013】
[有機ELアレイ露光ヘッドの全体構成]
図1は本発明に係る有機ELアレイ露光ヘッドを上から見た平面図であり、図中、1は有機ELアレイ露光ヘッドチップ(以下、単にヘッドチップと記す)、2は有機ELアレイ露光ヘッド(以下、単に露光ヘッドと記す)、3はプリンタコントローラ(図示せず)からのデータを受信するためのコネクタ、34はコネクタ3及びヘッドチップ1を実装する基板であり、例えば、ガラス布基材エポキシ樹脂積層板を用いることができる。
【0014】
基板34は主走査方向を長軸とする矩形の形状をしており、その主走査方向の一方の端部にはプリンタコントローラからのデータを受信するためのコネクタ3が実装され、その他の部分には、複数個のヘッドチップ1が主走査方向に実装されている。なお、図1には図示していないが、各ヘッドチップ1はコネクタ3と電気的に接続されることは当然である。
【0015】
図1では、複数個のヘッドチップ1は2列千鳥状に配置されている。即ち、ヘッドチップ1は副走査方向に2列に配置され、第1の列には、複数個のヘッドチップ1が、ヘッドチップ1の主走査方向長さより若干狭い間隔をおいて配置され、第2の列では、複数個のヘッドチップ1が、第1の列のヘッドチップ1が配置されていない個所に、第1の列と同じ間隔で配置されている。なお、この間隔については後述する。また、以下、列方向とは副走査方向を意味するものとする。
【0016】
基板34の上に何個のヘッドチップ1を実装するかは、ヘッドチップ1に形成される主走査方向の有機EL発光部(以下、単に発光部と記す)の個数、主走査方向の最大画像形成長さ等に基づいて決定すればよい。例えば、ヘッドチップ1には主走査方向に 192個の発光部を形成するものとすると、A4サイズの用紙に 600dpiの解像度での画像形成を可能とする場合、40個のヘッドチップ1を、基板34に2列千鳥状に配置すればよい。
【0017】
図2は、基板34に実装された状態におけるヘッドチップ1の一つを示す図であり、図2(a)はその平面図であり、図2(b)はその長軸方向での断面図であり、図2において、5はヘッドチップ1側のボンディングパッド、6は基板34側のボンディングパッド、7はボンディングワイヤ、8はヘッドチップ1側の位置決め用パッド、9は基板34側の位置決め用パッド、19は集光レンズアセンブリ28の光導穴、26は有機ELアレイアセンブリ(以下、単にアレイアセンブリと記す)27に形成されている発光部の発光を制御するためのドライバIC、27はアレイアセンブリ、28は集光レンズアセンブリ、30は集光レンズアセンブリ28側の位置決め用パッド、32はダイスボンド材、33は紫外線(UV)硬化樹脂接着剤、35は異方導電性接着剤を示し、図1と同じものについては同一の符号を付している。なお、図2(a)、(b)では中央部については図示を省略している。
【0018】
ヘッドチップ1は、一番下にドライバIC26があり、その直上にアレイアセンブリ27が設けられ、更にその直上に集光レンズアセンブリ28が設けられた構成であり、このヘッドチップ1は基板34にダイスボンド材32で固定されている。このようなヘッドチップ1を基板34に固定する際のヘッドチップ1と基板34の位置決めは、ヘッドチップ1側の位置決め用パッド8と、基板34側の位置決め用パッド9により行う。即ち、図2(a)に示すように、基板34のヘッドチップ1を固定する位置には、2つの位置決め用パッド9が略ヘッドチップ1の主走査方向長さの間隔で形成されており、また、ヘッドチップ1、具体的にはドライバIC26の主走査方向の両端には、基板34側の位置決め用パッド9に対向するように位置決め用パッド8が形成されており、基板34側の位置決め用パッド9に、ヘッドチップ1側の位置決め用パッド8を対向させるようにして固定するのである。
【0019】
ヘッドチップ1は、ドライバIC26の直上にアレイアセンブリ27が異方導電性接着剤35により接着され、更にアレイアセンブリ27の直上に集光レンズアセンブリ28がUV硬化樹脂接着剤33により接着された構造となっている。図2(b)に示すように、アレイアセンブリ27の主走査方向長さ及び副走査方向幅と、集光レンズアセンブリ28の主走査方向長さ及び副走査方向幅はそれぞれ略同じであり、ドライバIC26の主走査方向長さはアレイアセンブリ27及び集光レンズアセンブリ28の主走査方向長さより長くなっている。ドライバIC26の副走査方向幅はアレイアセンブリ27及び集光レンズアセンブリ28の副走査方向幅と略同じである。
【0020】
ドライバIC26、アレイアセンブリ27、そして集光レンズアセンブリ28の接着の順序は後述する通り、先ずドライバIC26に対してアレイアセンブリ27の取付位置決めを行って接着し、次に、そのアレイアセンブリ27の上に、集光レンズアセンブリ28をドライバIC26に対して取付位置決めを行って接着する。
【0021】
ドライバIC26の両端であって、アレイアセンブリ27が接着される部分以外の部分には、所定個数のワイヤボンディングパッド5が形成され、また、基板34にはワイヤボンディングパッド5と同数のワイヤボンディングパッド6が形成されており、ドライバIC26のワイヤボンディングパッド5は、それぞれ、対応する基板34側のワイヤボンディングパッド6とボンディングワイヤ7により電気的に接続される。
【0022】
この基板34側のワイヤボンディングパッド6は、図1に示すコネクタ3からドライバIC26に対する種々の信号の供給、あるいは電源回路(図示せず)からドライバIC26への電源電圧や接地電位の供給等をおこなうために設けられているものである。ワイヤボンディングパッド6と、コネクタ3や電源回路との接続は、例えば、予め基板34にそのための配線パターン(図示せず)を形成しておけばよい。
【0023】
なお、図2では、ワイヤボンディングパッド5、6は20対設けられているが、何対のワイヤボンディングパッドを設けるかは、ドライバIC26に供給する信号の数等に基づいて適宜決定すればよいことは明らかである。
【0024】
さて、集光レンズアセンブリ28には、光導穴19が複数列に形成されている。即ち、光導穴19は主走査方向に所定個数形成され、それが副走査方向に複数列形成されている。ここで、光導穴19は、アレイアセンブリ27に形成される発光部と一対一に対応して形成されている。即ち、図2(a)では、各光導穴19の直下に発光部が形成されているものとする。
【0025】
光導穴19を主走査方向に何個形成するか、即ちアレイアセンブリ27に主走査方向に何個の発光部を形成するかは要求される解像度によって定めればよい。また、図2(a)では、光導穴19は8列に千鳥状に形成されているものとしているが、何列にするかは発光部の発光光量等に基づいて定めれば良く、また、千鳥状ではなく、整列格子状に配置しても良い。
【0026】
更に、図2(a)に示すように発光部及び光導穴19を千鳥状に形成した場合、要求される解像度によっては、形成する画像の1ラインの露光を1列の光導穴19の列だけで行うようにすることもできる。しかし、解像度の観点からは、1列目と2列目の発光部及び光導穴19によって画像の一つのラインの露光を行い、3列目と4列目の発光部及び光導穴19によって隣のラインの露光を行うというように、2列千鳥状に配置された発光部及び光導穴19によって、画像の1ラインの露光を行うようにするのが望ましいものである。図2(a)に示す場合、前者によれば画像の8ラインの露光を行うことができ、後者によれば画像の4ラインの露光を行うことができる。
【0027】
ところで、図1に示すようにヘッドチップ1を2列千鳥状に配置する場合における各列毎のヘッドチップ1の間隔について、図3を参照して説明すると次のようである。図3において、4aは図1の第1の列の一つのヘッドチップ1の1列目の発光部を示し、4bは当該ヘッドチップ1の最右端の発光部を示し、当該ヘッドチップ1と千鳥的に配置される第2の列のヘッドチップ1の1列目の発光部を示すものとすると、発光部4bと発光部4cとは、主走査方向に、各列における発光部の間隔と同じ間隔だけ離して配置する。このような配置により、ヘッドチップ1を千鳥的に配置した個所においても、主走査方向の画素の間隔は一定なものとなる。
【0028】
また、図3に示すように、発光部4aと発光部4cとは、副走査方向には、発光部の列の16列分だけ離して配置する。この16列分のズレは、例えば、印刷画像データをプリンタコントローラで生成し、当該露光ヘッド2に出力する適当な過程において、画像データの出力順序の処理を行うことにより解決することができることは周知である。
【0029】
ヘッドチップ1は、以上のような配置となるように、2列千鳥状に基板34に固定していくのである。
【0030】
[基板34について]
以上が露光ヘッド2の全体的な構造の説明であるが、以下、各部について説明する。まず、基板34については、上述した通り、絶縁性の材料、例えばガラス布基材エポキシ樹脂積層板で構成することができ、所定の箇所に、ヘッドチップ1を固定する際の位置決めを行うための位置決め用パッド9、ワイヤボンディングパッド6が形成されており、その端部にはコネクタ3が設けられている。
【0031】
[ドライバIC26について]
次に、ドライバIC26について、図4を参照して説明する。図4(a)はドライバIC26の上面、即ちアレイアセンブリ27が接着される面を上から見た平面図、図4(b)は、図4(a)のA−A線における拡大断面図である。
【0032】
ドライバIC26は、パッケージされていないベアチップであり、その上面には、位置決め用パッド8、所定個数のワイヤボンディングパッド5、及び電極パッド29、43が露出している。なお、図4(a)において、位置決め用パッド8、ワイヤボンディングパッド5、及び電極パッド29、43以外の部分は絶縁層18が形成されている。なお、絶縁層18は、例えば窒化ケイ素を用いて形成することができる。
【0033】
図4(b)の断面図に示すように、ドライバIC26は、下から、シリコンベース10、制御回路部11、アレイアセンブリ27に形成される各発光部を駆動するための駆動部12、及び電極パッド29と絶縁層18からなる層からなっている。駆動部12には、アレイアセンブリ27に形成された発光部であって、各電極パッド29と対応する発光部をアクティブマトリクス駆動するための駆動回路が形成されている。この駆動回路については後述する。
【0034】
また、制御回路部11には、プリンタコントローラから受けた画像データ及び制御信号等に基づいて所定の処理を行い、それを駆動部12の各発光部に対応する駆動回路に供給するための回路が形成されている。
【0035】
ドライバIC26の上面に露出している2種類の電極パッドのうち、43で示す電極パッドは、駆動部12と、後述するアレイアセンブリ27に形成される発光部の一方の電極となる透明電極とを電気的に接続するために設けられているものであり、ドライバIC26の、アレイアセンブリ27が接着される領域の端部に設けられる。図4(a)ではこの電極パッド43は一つしか示していないが、主走査方向に複数個設けてもよいものである。即ち、後述するように、当該電極パッド43と電気的に接続される透明電極は、アレイアセンブリ27が形成されるガラス基板の全面に渡って形成されるので、当該透明電極とドライバIC26の駆動部12との導通は原理的には一箇所でとればよいのであるが、電極パッド43を複数個設けてもよいことは当然である。この電極パッド43はアルミニウムで形成すればよい。
【0036】
これに対して、ドライバIC26の上面に露出している多数の電極パッド29は、駆動部12の駆動回路と、アレイアセンブリ27に形成される各発光部の上記透明電極側とは反対のもう一つの電極と導通をとるためのものであり、従って、電極パッド29は発光部と同じ数だけ設けられ、それらの電極パッド29が発光部と同じ配置となされている。つまり、電極パッド29は、アレイアセンブリ27に形成する各発光部の位置に対応する位置に、一対一に形成されているのである。図2に示したように、発光部及び光導穴19を8列に千鳥状に設けるものとした場合には、図4(a)に示すように電極パッド29も8列に千鳥状に設けられるのである。この電極パッド29もアルミニウムで形成すればよい。
【0037】
ドライバIC26の駆動部12に形成される、一つの発光部に対する駆動回路の一例を図5に示す。図5は、発光部をアクティブマトリクスで駆動させるための回路図である。図5において、発光部として有機EL(OEL)を使用しており、Kはそのカソード端子、Aはそのアノード端子である。アノード端子Aは図示を省略している電源に接続されている。60aは走査線であり、スイッチング用トランジスタ(Tr1)のゲートGaに接続される。また、61aは信号線であり、スイッチング用トランジスタTr1のドレインDaに接続される。62は電源線、Caはストレージキャパシタである。
【0038】
有機ELのドライビング用トランジスタ(Tr2)のソースSbは接地(GND)され、ドレインDbは有機ELのカソード端子Kに接続される。さらに、ドライビング用トランジスタTr2のゲートGbは、スイッチング用のトランジスタTr1のドレインDaに接続されている。
【0039】
次に、図5の回路図の動作について説明する。スイッチング用トランジスタのソースに信号線61aの電圧が印加されている状態で走査線60aに通電すると、スイッチング用トランジスタがオンになる。このため、ドライビング用トランジスタのゲート電圧が上がり、電源線62の電圧がドライビング用トランジスタTr2のドレインDbから供給されてドライビング用トランジスタが導通する。この結果、有機ELが動作して所定の光量で発光する。また、ストレージキャパシタCaは信号線61aの電圧で充電される。
【0040】
スイッチング用トランジスタをオフにした場合にも、ストレージキャパシタCaに充電された電荷に基づいてドライビング用トランジスタは導通状態となっており、有機ELは発光状態を維持する。したがって、アクテブマトリックスをアレイアセンブリ27に形成される各発光部の駆動回路に適用した場合には、画像データをシフトレジスタで転送するためにスイッチング用トランジスタをオフにしたときでも、有機ELの動作が継続して発光を維持し、高輝度で画素の露光を行うことができる。
【0041】
ドライバIC26の駆動部12に形成される駆動回路は以上のようであるので、電極パッド29は、例えば、駆動部12の駆動回路と図5の有機ELのカソード端子Kとを電気的に接続するために用いればよく、また、電極パッド43は、駆動部12の駆動回路と、アレイアセンブリ27に形成され、発光部のもう一方の電極であるアノード端子Aとを電気的に接続するために用いればよい。
【0042】
なお、以上のようなドライバIC26は周知の半導体製造技術を用いて構成できるので、製造方法の詳細な説明は省略する。
【0043】
[アレイアセンブリ27について]
次に、アレイアセンブリ27の構造及び製造方法の例について説明する。先ず、出来上がった状態を図6に示す。図6は完成したアレイアセンブリ27の、ドライバIC26と接着される側の面を示す図であり、アルミ膜39及び電極パッド44が露出しており、これ以外は発光層22である。
【0044】
アルミ膜39は、後述するように、当該アレイアセンブル27に形成される発光部の一方の電極となるものであり、ドライバIC26との接着の際には、ドライバIC26の電極パッド29と一対一で正対するように位置決めされる。従って、アルミ膜39の配置パターンは、図4に示すドライバIC26の電極パッド29の配置のパターンとは互いに鏡像関係にある。
【0045】
また、電極パッド44は、アレイアセンブリ27の発光部のもう一方の電極となる透明電極とドライバIC26とを電気的に接続するためのものである。従って、この電極パッド44は、ドライバIC26と接着したときに、ドライバIC26の電極パッド43と正対する位置に形成される。なお、電極パッド44と、透明電極との導通をとるための構造、その製造工程については後述する。
【0046】
図6では電極パッド44は一つしか示していないが、これは図6に示すアレイアセンブリ27が図4(a)に示すドライバIC26に対応するものを想定しているからであり、ドライバIC26に電極パッド43が複数個設けられている場合は、アレイアセンブリ27にも電極パッド44をそれと同数設ける必要があることは当然である。
【0047】
次に、アレイアセンブリ27の製造工程について、図7を参照して説明する。ここでは、図6のB−B線における断面について説明する。
まず、図7(a)に示すように、ガラス基板14の全面にスパッタリングにより透明導電膜25を形成する。この透明導電膜25が上述した透明電極となる。即ち、透明導電膜25は、当該アレイアセンブリ27に形成される発光部の、アルミ膜39とは別のもう一方の電極となるのである。ここで、透明導電膜25を形成する材料としてはITO(indium tin oxide)を用いればよい。また、透明導電膜25の膜厚は 120nm程度でよい。
【0048】
次に、フォトレジストの工程により、図7(b)に示すように、電極パッド44を形成する部分のみにレジスト膜70を形成する。これは、発光層22の上全面にレジスト70を塗布し、所定のパターンを有する第1のレジスト用遮光マスクを介して紫外線(UV)を照射し、その後に余分なレジスト、即ち、電極パッド44が形成される部分以外の部分のレジストを除去すればよい。
【0049】
次に、その上にスピンコートにより、約50nm厚に正孔輸送層23を形成し、更に、正孔輸送層23の上にスピンコートにより、約70nm厚に発光層22を形成する。これにより、図7(c)に示す構造となる。そして、次に、レジスト除去工程により残っているレジスト膜70を除去する。これにより、図7(d)に示す構造となる。
【0050】
なお、発光層22に用いる材料、正孔輸送層23に用いる材料については、公知の種々のものを利用することが可能である。例えば、発光層22に用いる材料としては、ポリフェニレンビニレン(poly phenylene vinylene:PPV)を用いることができ、正孔輸送層23に用いる材料としては、ポリチオフェン(poly ethylene dioxy thiophene:PEDOT)を用いることができる。
【0051】
次に、その上全面に、図7(e)に示すように、フォトレジストの工程でレジスト36を塗布し、所定のパターンを有する第2のレジスト用遮光マスク37を介して紫外線(UV)を照射する。そして、次に余分なレジストを除去するのであるが、ここではアレイアセンブリ27に形成する発光部の位置にあるレジスト、及び電極パッド44が形成される部分にあるレジストを除去するようにする。レジスト36の種類、レジスト用遮光マスク37としては、そのようにできるものを用いるのである。従って、このフォトレジストの工程により、レジスト36は図7(f)に示すようになる。図7(f)において、レジスト36が除去されている部分は、発光部及び電極パッド44が形成される部分である。
【0052】
次に、真空蒸着の工程により、全面に約 100nm厚にアルミ膜39を形成し、最後にレジスト36を除去する。これにより、レジスト36の上に形成されたアルミ膜39はレジスト36と共に除去されるので、図7(g)に示すように、発光層22の上の発光部が形成される位置、及び電極パッド44が形成される部分にアルミ膜39が形成される。このアルミ膜39のうち、図7(g)の最も左側のアルミ膜39は電極パッド44となるので、図では44の符号で示している。これにより、図7(g)から明らかなように、電極パッド44と透明導電膜25との導通がとられる。
【0053】
電極パッド44以外のアルミ膜39は発光部の透明導電膜25とは別の、もう一方の電極として用いられる。従って、発光部の一方の電極である透明導電膜25と、もう一方の電極であるアルミ膜39で挟まれる発光層22と正孔輸送層23からなる有機層の部分が発光部となる。
【0054】
そして、後述するように、アルミ膜39側の面がドライバIC26に接着される。また、発光部で発光した光は、透明導電膜25及びガラス基板14を透過して出射する。
【0055】
以上のようにしてアレイアセンブリ27が構成される。このように、アレイアセンブリ27は、ガラス基板14上に様々なプロセスを利用して、発光部の電極および発光層22を積み重ねて行くことにより作成するのである。
【0056】
[集光レンズアセンブリ28について]
次に、集光レンズアセンブリ28の構造例について図8の断面図を参照して説明する。図8(a)では、集光レンズアセンブリ28は、遮光部材15に、アレイアセンブリ27に形成される発光部の配置パターンと同じパターンで貫通孔を設け、その貫通孔の光の出射端部に球状の集光レンズ16を圧入した構成となっており、集光レンズ16が圧入された貫通孔が、発光部で発光された光を外部に導く光導穴19となる。また、図8には図示しないが、遮光部材15の光の出射側の端部の所定の位置には位置決め用パッド30を形成する。この位置決め用パッド30の形成は適宜な方法により行うことができることは当業者に明らかである。
【0057】
従って、この集光レンズアセンブリ28を光の出射側から見ると、図2(a)に示すようである。なお、遮光部材15としては、集光レンズ16の熱膨張とほぼ同じ特性を有するガラス布基材エポキシ樹脂黒色積層板(FRP)を使用すればよい。また、光導穴19の集光レンズ16が圧入される側の径は、集光レンズ16を保持できる程度に、集光レンズ16の径よりもわずかに小さい径にする。
【0058】
また、光導穴19は、その直下にある発光部からの光のみを集光レンズアセンブリ28から出射させ、隣接する発光部からの光は遮光して通過できないように設計する。これは、遮光部材15に明けられた光導穴19の筒の長さと、アレイアセンブリ27のガラス基板14の厚さ等に基づいて定めることができる。
【0059】
以上の構成の集光レンズアセンブリ28によれば、図8(b)に示すように、アレイアセンブリ27に形成された発光部4aからの出射光は、破線で示すように、その直上にある光導穴19aを通り、集光レンズ16aで平行光線に近い光線となされて集光レンズアセンブリ28から出射し、感光体(図示せず)の上に1画素の光を投射する。また、ある発光部4aから出射した光が隣接した発光部4bの直上にある光導穴19bに入射したとしても、図の一点鎖線で示すように遮光部材15で遮光されるので、当該光導穴19bからは出射しない。
【0060】
なお、図8(b)は、アレイアセンブリ27と集光レンズアセンブリ28を接着した状態の断面を示しており、ドライバIC26は図示を省略している。また、図8(b)では、アレイアセンブリ27は詳細を省略し、2つの隣接する発光部4a、4bのみを示している。発光部4a、4bは何れもアレイアセンブリ27の発光層22と正孔輸送層23とで形成される有機層の発光部の一部であることは上述した通りである。
【0061】
以上、集光レンズアセンブリ28の一構造例を説明したが、集光レンズアセンブリ28のもう一つの構造例を図9に示す。図9は集光レンズアセンブリ28の一部の断面を示しており、図8と同様に、遮光部材15にアレイアセンブリ27に形成される発光部の配置パターンと同じパターンで貫通孔を設け、その貫通孔の光の出射端部に球状の集光レンズ16を圧入して光導穴19を形成した構成であるが、貫通孔の径は、図の下側のアレイアセンブリ27と接着される側、即ち、アレイアセンブリ27の発光部から発光された光の入射側と、図の上側の光の出射側となる集光レンズ16が圧入される側とで異なっている。即ち、貫通孔の、光の出射側の径は、アレイアセンブリ27と接着される側の径より大きくなされている。この貫通孔の上側と下側が同心である。
【0062】
そして、上側の貫通孔には集光レンズ16が圧入されている。その他については図8に関して説明したと同様である。即ち、上述したと同様に、遮光部材15としては、集光レンズ16の熱膨張とほぼ同じ特性を有するガラス布基材エポキシ樹脂黒色積層板(FRP)を使用すればよく、また、光導穴19の集光レンズ16が圧入される側の貫通孔の径は、集光レンズ16を保持できる程度に、集光レンズ16の径よりもわずかに小さい径にする。更に、光導穴19は、その直下にある発光部からの光のみを集光レンズアセンブリ28から出射させ、隣接する発光部からの光は遮光して通過できないように設計することも上述した通りである。
【0063】
なお、図9では集光レンズ16は球状のものとしているが、ドラム形状のレンズを用いることも可能である。
【0064】
この構成の集光レンズアセンブリ28によれば、図8に示す構成に比較して、集光レンズ16の径を大きくすることができるので、発光部で発光された光をより集光することができ、出射する光量を大きくすることができる。また、集光レンズ16の径を大きくすると、当該レンズの球面収差を抑えることができるので、この点でも有利である。更に、集光レンズ16としてドラム形状のレンズを用いた場合には、より球面収差を抑えることができる。
【0065】
[ヘッドチップ1の製造プロセスについて]
次に、ヘッドチップ1の製造プロセスの例について説明する。まず、ドライバIC26、アレイアセンブリ27、及び集光レンズアセンブリ28を、それぞれ上述したように作成して用意しておく。
【0066】
まず、スクリーン印刷により、ドライバIC26の電極パッド29が形成されている側の表面全面に、粒径が数ミクロン程度の導電性フィラーが含有された異方導電性接着剤を塗布する。次に、ドライバIC26の異方導電性接着剤が塗布された面に、アレイアセンブリ27の電極パッド29が形成された側の面を正確に位置合わせして熱圧着し、ドライバIC26とアレイアセンブリ27とを固定する。
【0067】
この、ドライバIC26とアレイアセンブリ27とを熱圧着により固定する工程において、異方導電性接着剤は、図10の符号20で示すように、ドライバIC26とアレイアセンブリ27との間から周辺の外部にはみ出すが、これはアレイアセンブリ27とドライバIC26との間の隙間を封止する封止バンクとしての機能を果たす。また、この封止バンク20は湿度対策ともなるものである。なお、図10はドライバIC26とアレイアセンブリ27の異方導電性接着剤による接着部分の端部における拡大断面図であり、図中、35は異方導電性接着剤、20は封止バンクを示している。また、図10においてはドライバIC26とアレイアセンブリ27の構造の詳細は省略している。
【0068】
また、図11に、ドライバIC26とアレイアセンブリ27の接着部分の断面の一部を拡大して示す。図中、38a、38bは異方導電性接着剤35に含有された導電性フィラーを示す。また、図11では、ドライバIC26については電極パッド29と絶縁層18のみを示している。
【0069】
ドライバIC26の電極パッド29と、アレイアセンブリ27のアルミ膜39との間に挟まれた導電性フィラー38aは、接着の際の圧着により押し潰された状態となり、この導電性フィラー38aにより、ドライバIC26の電極パッド29とアレイアセンブリ27のアルミ膜39との導通がとられる。また、ドライバIC26の電極パッド29とアレイアセンブリ27のアルミ膜39の間に挟まれた導電性フィラー38aは、押し潰された状態となることで、電極パッド29とアルミ膜39の接触抵抗を押さえる機能をも果たす。これに対して、ドライバIC26の絶縁層18と、アレイアセンブリ22の発光層22との間の導電性フィラー38bは殆ど押し潰されていない状態となっている。
【0070】
なお、導電性フィラー38により、ドライバIC26の隣接する電極パッド29同士が短絡したり、アレイアセンブリ27の隣接するアルミ膜39同士が短絡することは避けなければならないことは当然であり、そのために異方導電性接着剤35に含有する導電性フィラー38の濃度は、電極パッド29とアルミ膜39との導通が確実に得られ、且つ、隣接する電極パッド29同士、及び隣接するアルミ膜39同士が短絡しない濃度に調整する。このような導電性フィラーの濃度の調整は広く行われている事項である。
【0071】
図11には示していないが、図4(a)に示すドライバIC26の電極パッド43と、図6に示すアレイアセンブリ27の電極パッド44との導通も上述した構造により導通がとられることは明らかである。
【0072】
以上のようにしてドライバIC26とアレイアセンブリ27を固定する一方、集光レンズアセンブリ28については、アレイアセンブリ27のガラス基板14と接着する面にタンポ印刷によりUV硬化樹脂接着剤を塗布する。そして、ドライバIC26に固定されたアレイアセンブリ27と、集光レンズアセンブリ28の双方を正確に位置決めし、その接合部にUVを照射して固定する。
【0073】
以上のプロセスによりヘッドチップ1が完成する。そして、ヘッドチップ1を基板34に正確に位置決めしてダイスボンド材32で固定する。これにより図1に示す露光ヘッド2が完成する。
【0074】
そして、画像形成を1色だけで行う場合には、図1に示す露光ヘッド2を一つだけ用いればよい。また、露光ヘッド2を4個用いれば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色で画像形成を行う、いわゆるタンデム方式の画像形成装置を構成することができる。
【0075】
[発光の制御について]
次に、上述したように、発光部4を主走査方向に複数配列すると共に、副走査方向に複数列に千鳥状に配列されたヘッドチップ1を用いた露光ヘッド2において、ある一色のトナーにより画像形成を行う場合の露光に際しての一つのヘッドチップ1の発光部4の発光の制御の例について概略説明する。発光部4の発光をどのように制御するかは種々考えられ、どのような発光の制御の態様とするかに応じて適宜に定めることができることは当然である。
【0076】
ここでは図12を参照して概略説明する。なお、図12は多重露光のための発光制御の動作を主眼として説明するための図であり、あくまでも発光制御の一例の説明に過ぎないものである。
【0077】
ここでは、アレイアセンブリ27に形成された発光部4は、図12の符号128で示すように、主走査方向Yに複数個配列され、且つ副走査方向Xには10列に千鳥状に配列されているものとする。
【0078】
図12において、データ処理手段123は形成すべき画像データに基づいて、色分解、階調処理、画像データのビットマップへの展開、色ずれ調整などの処理を行う。データ処理手段123は、1ラインづつの画像データを記憶手段124に出力する。このデータ処理手段123は、プリンタコントローラ(図12には図示せず)に設けてもよく、ドライバIC26の制御回路部11に構成しても良い。
【0079】
記憶手段124には、シフトレジスタ124f〜124zが設けられている。これらのシフトレジスタは、第1グループ124f〜124nと、第2グループ124p〜124zに区分されている。第1グループのシフトレジスタにおいて、124f、124h、124j、124lは画像データの保持、発光部への出力、次段のシフトレジスタへの転送を行う。また、シフトレジスタ124nは画像データの保持、発光部への出力を行う。
【0080】
これに対して、第1グループのシフトレジスタ124g、124i、124k、124mは、画像データの保持と、次段のシフトレジスタへの転送のみを行い、発光部への画像データの出力は行わない。
【0081】
第2グループのシフトレジスタにおいて、シフトレジスタ124p、124r、124t、124vは画像データの保持、発光部への出力、次段のシフトレジスタへの転送を行う。また、シフトレジスタ124zは画像データの保持、発光部への出力を行う。なお、124q、124s、124u、124wは、画像データの保持と、次段のシフトレジスタへの転送のみを行い、発光部への画像データの出力は行わない。
【0082】
図12において、発光部のラインは、第1グループ128f、128h、128j、128l、128nと、第2グループ128p、128r、128t、128v、128zとに区分される。
【0083】
なお、図12では図示を省略しているが、記憶手段124には、1ライン分の画像データを、それぞれ対応する発光部に供給するためのものとして、画像データを主走査方向Yに転送するためのシフトレジスタ群をも備えていることは当然である。しかし、ここでは多重露光の説明を主眼としており、多重露光を行う場合の発光制御では、副走査方向の各ラインに、どの画像データをどのようなタイミングで供給するかが重要であるので、画像データを主走査方向に転送するシフトレジスタ群については図示を省略している。
【0084】
さて、図12に示したブロック図の動作について説明すると、データ処理手段123からは、制御線132から第1グループのシフトレジスタに画像データが出力される。また、制御線133から第2グループのシフトレジスタに画像データが出力される。
【0085】
シフトレジスタ124fから画像データが第1グループの発光部の先頭ライン128fに出力され、感光体(図示せず)上のスポット位置で第1の画素ラインの露光を行う。また、シフトレジスタ124pから画像データが第2グループの発光部の先頭ライン128pに出力され、感光体上のスポット位置で第1の画素ラインに隣接する第2の画素ラインの露光を行う。
【0086】
次に、感光体が副走査方向に画素ピッチだけ移動するタイミングで、画像データは第1グループのシフトレジスタ124fからシフトレジスタ124gに転送される。また、画像データを第2グループのシフトレジスタ124pからシフトレジスタ124qに転送する。このときには、シフトレジスタ124g、シフトレジスタ124qから発光部へは画像データは出力されず、画素の露光は行われない。
【0087】
更に、像担持体が副走査方向に画素ピッチ分だけ移動すると、画像データはシフトレジスタ124gからシフトレジスタ124hに転送される。また、シフトレジスタ124qからシフトレジスタ124rに転送される。
【0088】
そして、シフトレジスタ124hとシフトレジスタ124rから、それぞれ発光部ライン128hと128rに画像データが出力される。この際に、スポット位置の前記第1の画素ラインと第2の画素ラインで同一画素の露光を行う。
【0089】
以下、同様にして、像担持体の移動と画像データの各シフトレジスタへの転送、発光部への画像データの出力を行い、同一画素に対して多重露光を行う。
【0090】
このように、発光部を千鳥状に配列して、発光部が像担持体上に形成するスポット位置の副走査方向の間隔を、副走査方向の画素密度の整数倍としたときにおいても、画像データの転送のみを行い発光部への画像データの出力は行わないシフトレジスタを配置することにより、1画素を多重露光することができる。
【0091】
即ち、発光部を千鳥状に配列した場合においても、各画素列の記憶手段と発光部列とは一対一で対応可能となる。このため、シフトレジスタに記憶された画像データを次段のシフトレジスタに転送するタイミングと、シフトレジスタに記憶された画素列の画像データに基づいて、発光部ラインを発光させるタイミングとを合わせることにより、回路構成を簡素化し、動作の高速化を図ることができる。
【0092】
以上の動作を行う記憶手段124を、ドライバIC26の制御回路部11として構成すればよい。
【0093】
そして、以上の動作を行う露光ヘッド2を4個用いれば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色で画像形成を行う、いわゆるタンデム方式の画像形成装置を構成することができることは明らかであろう。
【0094】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るヘッドチップは、ドライバICと、アレイアセンブリと、集光レンズアセンブリをそれぞれ独立したプロセスで作製し、ドライバICの直上にアレイアセンブリを固定し、更にそのアレイアセンブリの直上に集光レンズアセンブリを固定することにより高密度に結合し、一体化したものであるので、従来のようにドライバICとアレイアセンブリとの電気的接続のためにワイヤボンディングを行う必要は無い。
【0095】
また、本発明に係る露光ヘッドは、ヘッドチップを基板に所定の態様で配列すればよいので、従来のレーザビーム方式で用いられている露光ユニットよりも小型なものとすることができる。
【0096】
また、本発明に係る露光ヘッドは、従来の露光方式一つであるLEDを用いた露光ヘッドに比較すると、体積は10分の1に押さえることができる。これは、LEDを用いた露光ヘッドは、LEDアレイ、ドライバIC、セルフォックレンズがそれぞれ別部品として存在し、それらを平面的に個々に配置して露光ヘッドを構成しているのに対して、本発明に係る露光ヘッドは、ドライバICと、アレイアセンブリと、集光レンズアセンブリとを一体化して従来の露光ヘッドと同等の性能を発揮できるためである。
【0097】
更に、本発明に係る露光ヘッドは、わずか5mm角の棒状の構成とすることができるので、感光体周辺にできる隙間を利用して配置する程度で良く、従来の場合のように露光ヘッドを配置するための特別な設置スペースを確保する必要は無いものである。以上により、電子写真方式の画像形成装置に本発明に係る露光ヘッドを用いることにより、画像形成装置自体の体積を大幅に削減できるため、小型、軽量、低消費電力の画像形成装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る有機ELアレイ露光ヘッドを上から見た平面図である。
【図2】図1に示すように基板34に実装された状態におけるヘッドチップ1の一つを示す図であり、図2(a)はその平面図であり、図2(b)はその長軸方向での断面図である。
【図3】図1に示すようにヘッドチップ1を2列千鳥状に配置する場合における各列毎のヘッドチップ1の間隔を説明するための図である。
【図4】ドライバIC26を説明する図である。
【図5】ドライバIC26の駆動部12に形成される駆動回路の例を示す図である。
【図6】アレイアセンブリ27の完成の状態を示す図である。
【図7】アレイアセンブリ27の製造工程を説明する図である。
【図8】集光レンズアセンブリ28の構造例を示す断面図である。
【図9】集光レンズアセンブリ28の他の構造例を示す断面図である。
【図10】ドライバIC26とアレイアセンブリ27の異方導電性接着剤による接着部分の端部における拡大断面図である。
【図11】ドライバIC26とアレイアセンブリ27の接着部分の断面の一部を拡大して示す図である。
【図12】発光部4を主走査方向に複数配列すると共に、副走査方向に複数列に千鳥状に配列されたヘッドチップ1を用いた露光ヘッド2において、ある一色のトナーにより画像形成を行う場合の露光に際しての一つのヘッドチップ1の発光部4の発光の制御の例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…有機ELアレイ露光ヘッドチップ、2…有機ELアレイ露光ヘッド、3…コネクタ、4a、4b、4c…発光部、5、6…ワイヤボンディングパッド、7…ボンディングワイヤ、8、9…位置決め用パッド、10…シリコンベース、11…制御回路部、12…駆動部、14…ガラス基板、15…遮光部材、16…集光レンズ、18…絶縁層、19…光導穴、20…封止バンク、22…発光層、23…正孔輸送層、25…透明導電膜、26…ドライバIC、27…有機ELアレイアセンブリ、28…集光レンズアセンブリ、29…電極パッド、30…位置決め用パッド、32…ダイスボンド材、33…紫外線(UV)硬化樹脂接着剤、34…基板、35…異方導電性接着剤、36…レジスト、37…レジスト用遮光マスク、38…導電性フィラー、39…アルミ膜、43、44…電極パッド、60a…走査線、61a…信号線、62…電源線、70…レジスト膜。

Claims (16)

  1. 有機EL発光部の発光を制御するドライバICの電極パッドの直上に、有機EL発光部が形成されてなることを特徴とする有機ELアレイ露光ヘッドチップ。
  2. 主走査方向に複数の所定個数の有機EL発光部が形成され、且つそれが副走査方向に複数列形成された有機ELアレイアセンブリと、
    前記有機EL発光部の発光を制御するドライバICと
    を少なくとも備え、
    前記ドライバICの表面には、前記有機ELアレイアセンブリに形成された発光部の配置パターンと同じパターンで電極パッドが形成されてなり、
    前記有機ELアレイアセンブリは、前記ドライバICの電極パッドが形成された面側に、前記発光部が前記電極パッドの直上に位置するように固定されてなることを特徴とする有機ELアレイ露光ヘッドチップ。
  3. 前記有機ELアレイアセンブリとドライバICとは導電性フィラーを含有する異方導電性接着剤で固定されてなることを特徴とする請求項2記載の有機ELアレイ露光ヘッドチップ。
  4. 前記有機ELアレイアセンブリの直上には、前記発光部で発光した光を略平行光線として出射させる集光レンズアセンブリが形成されてなることを特徴とする請求項2または3記載の有機ELアレイ露光ヘッドチップ。
  5. 前記集光レンズアセンブリは、遮光部材に、前記有機ELアレイアセンブリに形成された発光部の配置パターンと同じパターンで貫通孔が形成され、各貫通孔にの光の出射端側に球状の集光レンズが圧入された光導穴を有することを特徴とする請求項4記載の有機ELアレイ露光ヘッドチップ。
  6. 前記集光レンズアセンブリは、遮光部材に、前記有機ELアレイアセンブリに形成された発光部の配置パターンと同じパターンで貫通孔が形成され、各貫通孔にの光の出射端側に球状の集光レンズが圧入された光導穴を有し、且つ、前記光導穴の貫通孔の光の出射側の径は、光の入射側の径より大きくなされてなることを特徴とする請求項4記載の有機ELアレイ露光ヘッドチップ。
  7. 前記集光レンズアセンブリの光導穴は、その直下にある発光部で発光された光のみを出射させ、隣接する光導穴の直下にある発光部で発光された光は遮光するように配置されてなることを特徴とする請求項5または6記載の有機ELアレイ露光ヘッドチップ。
  8. 有機EL発光部の発光を制御するドライバICの電極パッドの直上に、有機EL発光部が形成されてなる有機ELアレイ露光ヘッドチップが、基板上の主走査方向に所定個数配置されてなることを特徴とする有機ELアレイ露光ヘッド。
  9. 前記有機ELアレイ露光ヘッドチップは、2列に千鳥状に配置されてなることを特徴とする請求項8記載の有機ELアレイ露光ヘッド。
  10. 主走査方向に複数の所定個数の有機EL発光部が形成され、且つそれが副走査方向に複数列形成された有機ELアレイアセンブリと、
    前記有機EL発光部の発光を制御するドライバICと
    を少なくとも備え、
    前記ドライバICの表面には、前記有機ELアレイアセンブリに形成された発光部の配置パターンと同じパターンで電極パッドが形成されてなり、
    前記有機ELアレイアセンブリは、前記ドライバICの電極パッドが形成された面側に、前記発光部が前記電極パッドの直上に位置するように固定されてなる有機ELアレイ露光ヘッドチップが、基板上の主走査方向に所定個数配置されてなることを特徴とする有機ELアレイ露光ヘッド。
  11. 前記有機ELアレイアセンブリとドライバICとは導電性フィラーを含有する異方導電性接着剤で固定されてなることを特徴とする請求項10記載の有機ELアレイ露光ヘッド。
  12. 前記有機ELアレイアセンブリの直上には、前記発光部で発光した光を略平行光線として出射させる集光レンズアセンブリが形成されてなることを特徴とする請求項10または11記載の有機ELアレイ露光ヘッド。
  13. 前記集光レンズアセンブリは、遮光部材に、前記有機ELアレイアセンブリに形成された発光部の配置パターンと同じパターンで貫通孔が形成され、各貫通孔にの光の出射端側に球状の集光レンズが圧入された光導穴を有することを特徴とする請求項12記載の有機ELアレイ露光ヘッド。
  14. 前記集光レンズアセンブリは、遮光部材に、前記有機ELアレイアセンブリに形成された発光部の配置パターンと同じパターンで貫通孔が形成され、各貫通孔にの光の出射端側に球状の集光レンズが圧入された光導穴を有し、且つ、前記光導穴の貫通孔の光の出射側の径は、光の入射側の径より大きくなされてなることを特徴とする請求項12記載の有機ELアレイ露光ヘッド。
  15. 前記集光レンズアセンブリの光導穴は、その直下にある発光部で発光された光のみを出射させ、隣接する光導穴の直下にある発光部で発光された光は遮光するように配置されてなることを特徴とする請求項13または14記載の有機ELアレイ露光ヘッド。
  16. 前記有機ELアレイ露光ヘッドチップは、基板上に2列に千鳥状に配置されてなることを特徴とする請求項10乃至15の何れかに記載の有機ELアレイ露光ヘッド。
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