JP2004291165A - 軟質材加工用工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材10の表面11に、切刃稜線14を有する複数の凸部12と、平坦な上面17を有して切刃稜線14よりも低い高さの副凸部16を形成する。副凸部16を、凸部12の回転方向T前方側に配置する。副凸部1個当たりの上面17の面積Sを、0.01〜20mm2の範囲に設定する。切刃稜線14の高さhを、0.1〜2.0mmの範囲に設定する。凸部12と副凸部16との間の最短距離dを、0.5〜5.0mmの範囲に設定する。基材10全体を、セラミックスで構成する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔性の樹脂、ゴム、ポリウレタンラバーなどからなるパッド、例えば、半導体ウエハなどの研磨用パッドの表面を加工、調整するための工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体産業の進展とともに、金属、半導体、セラミックなどの表面を高精度に仕上げる加工方法の必要性は高まっている。とくに、半導体ウエハは、集積度の向上とともにナノメーター(1/1000ミクロン)オーダーの表面仕上げが要求されてきており、このため、多孔性のパッド(研磨布)を用いた、CMP研磨(メカノケミカル研磨)が一般的となっている。
【0003】
このような半導体ウエハなどの研磨に用いられるパッドは、研磨時間が経過していくにつれ、目詰まりや圧縮変形を生じ、その表面状態が次第に変化していく。すると、研磨速度の低下などの好ましくない現象が生じるので、パッドの表面を定期的に加工、調整して荒すことにより、パッドの表面状態を一定に保って、良好な研磨状態を維持する工夫が行われている。
【0004】
ところで、このパッドを加工、調整するために用いられるパッドコンディショナーの一例として、例えば、特許文献1に開示されているように、基材の表面に、ダイヤモンド砥粒を金属結合相で固着した砥粒層を形成したものや、特許文献2に開示されているように、基材の表面に対して機械加工を施すことにより、上方に突出する略正四角柱状などの対称形の凸部を複数形成したものがある。
これらのパッドコンディショナーは、その基材の表面を、軸線回りに回転させられているパッドの表面に対して一定の荷重で押し当てることにより、この基材がパッドの回転運動に伴って回転運動を行い、パッドの表面に食い込んでいるダイヤモンド砥粒あるいは凸部によってパッドの表面を加工、調整していくものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−193269号公報
【特許文献2】
国際公開第01/26862号パンフレット
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、基材の表面に、ダイヤモンド砥粒を固着した砥粒層を形成したパッドコンディショナーにおいては、このダイヤモンド砥粒が、微視的には高さにばらつきを有するものであるため、効率的な研削が行うことができないだけでなく、ダイヤモンド砥粒同士の間に切屑が詰まって目詰まりを生じやすいものであり、さらには、その切り込み深さ、すなわち、ダイヤモンド砥粒のパッド表面への食い込みの状態を制御することが非常に難しいという問題があった。
【0007】
また、基材の表面に、複数の凸部を形成したパッドコンディショナーにおいては、切刃をなす凸部の高さにばらつきが生じたり、目詰まりが生じたりすることはないものの、加工のしやすさ等の観点から、この凸部を対称形にせざるを得ないため、凸部における回転方向前方側を向く壁面の傾斜角度と、凸部における回転方向後方側を向く壁面の傾斜角度とをそれぞれ独立して設定することはできないものであった。
すると、凸部のパッド表面への食い付きの状態に影響して、加工速度を調整する壁面の傾斜角度、すなわち、凸部における回転方向前方側を向く壁面の傾斜角度と、凸部がパッド表面へ押しつけられたときの食い込み深さの状態に影響して、切り込み深さを調整する壁面の傾斜角度、すなわち、凸部における回転方向前方側及び後方側を向く壁面の傾斜角度とを個別に設定することができず、これにより、加工速度と切り込み深さとをそれぞれ個別に調整することは困難であった。
【0008】
ここで、切り込み深さを個別に調整しようとして、凸部における基材の表面からの高さを低く設定し、パッド表面に一定の荷重で押しつけられたときに、基材の表面をパッド表面へ接触させることで、凸部の高さ以上の食い込みを抑制して切り込み深さを調整することも考えられるが、このような場合には、凸部にて生じる切屑を排出するための空間が非常に小さくなって、切屑排出性を損ねて加工効率の低下を招いてしまうことになるので、効果的な解決手段とはなり得なかった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、切屑排出性を良好に維持しつつも、切り込み深さの調整を個別に可能とする、パッド表面の加工、調整用の工具を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、基材の表面に、切刃稜線を有する凸部が上方に突出して形成されているとともに、平坦面の存在した上面を有する副凸部が前記切刃稜線よりも低い高さとなるように上方に突出して形成されており、さらに、少なくとも前記凸部における切刃稜線部分が、セラミックスで構成されていることを特徴とする。
このような構成とすると、基材の表面が、被削材としてのパッドの表面に一定の荷重で押しつけられたときに、副凸部の上面における平坦面がパッドの表面に接触するまで、凸部の切刃稜線がパッドの表面に食い込むことになる。それゆえ、副凸部の上面の平坦面と凸部の切刃稜線とにおける基材の表面からの高さの差が、切刃稜線のパッド表面への切り込み深さとなり、この高さの差を調整することによって、所望の切り込み深さを個別に設定することが可能となる。
しかも、この切り込み深さは、副凸部の上面の平坦面と凸部の切刃稜線とにおける基材の表面からの高さの差に依存して決定されるため、切刃稜線における基材の表面からの高さは従来のままでよいので、切屑を排出するための空間を減少させることがなく、切屑排出性を良好に維持できる。
さらに、少なくとも凸部における切刃稜線部分が、セラミックスで構成されていることから、この切刃稜線に耐摩耗性を与えることができるので、長期間に亘って、切れ味を劣化させることなく安定したパッドの調整作用を呈することが可能となる。
【0011】
また、前記副凸部が、少なくとも前記凸部の被削材切削方向前方側に配置されている構成とすると、凸部の切刃稜線によって切削される直前のパッド表面が、副凸部の上面の平坦面に接触して押しつけられた状態となっているので、正確な切り込み深さの調整が可能となる。
【0012】
また、前記副凸部1個当たりの上面における平坦面の面積Sが、0.01〜20mm2の範囲に設定されていることが好ましく、面積Sが、0.01mm2より小さくなると、副凸部の上面における平坦面とパッド表面との接触量を十分に確保できないで、正確な切り込み深さの調整が困難となるおそれがあり、一方、面積Sが、20mm2より大きくなったとしても、パッド表面と接触する副凸部の上面における平坦面が大きくなりすぎて、切削抵抗の増大につながってしまうおそれがある。
【0013】
また、前記切刃稜線の前記基材の表面からの高さhが、0.1〜2.0mmの範囲に設定されていることが好ましく、この高さhが、0.1mmより小さくなると、切屑を排出するための空間を十分に確保できなくなるおそれがあり、一方、高さhが、2.0mmより大きくなると、切刃稜線が形成される凸部の強度を損ねてしまうおそれが生じてしまう。
【0014】
また、前記凸部と前記副凸部との間の最短距離が、0.5〜5.0mmの範囲に設定されていることが好ましく、この最短距離が、0.5mmより小さくなると、切屑を排出するための空間を十分に確保できなくなるおそれがあり、一方、最短距離が、5.0mmより大きくなると、パッドが弾性変形をする材料であるために、副凸部の上面の平坦面によるパッド表面への接触で切り込み深さを調整することが困難となってしまうおそれがある。
【0015】
また、前記切刃稜線の前記基材の表面からの高さhと前記副凸部の上面における平坦面の前記基材の表面からの高さHとの差h−Hが、0.05〜0.3mmの範囲に設定されていることが好ましく、この差h−Hが、0.05mmより小さくなると、切り込み深さが小さくなりすぎて、パッド表面への十分な調整作用を呈することができなくなるおそれがあり、一方、差h−Hが、0.3mmより大きくなると、切り込み深さが大きくなりすぎて、加工効率の低下につながってしまうおそれがある。
【0016】
また、前記凸部は、その上面に平坦面が存在させられていることが好ましく、このような構成とすると、この平坦面の存在によって、基材の表面がパッドの表面に対して一定の荷重で押しつけられたときに、切刃稜線がパッドの表面に食い込みすぎることを防止して、上述した副凸部による切り込み深さの調整効果とも相俟って、より正確な切り込み深さの調整を行うことができる。
このとき、前記凸部1個当たりの上面における平坦面の面積sと、前記副凸部1個当たりの上面における平坦面の面積Sとの比s/Sが、0.05〜0.3の範囲に設定されていることが好ましく、比s/Sが0.05より小さくなってしまうと、副凸部の上面における平坦面の面積に対して、凸部の上面における平坦面の面積が小さくなりすぎ、切削抵抗の増大を招いてしまうおそれがあり、一方、比s/Sが0.3より大きくなっても、副凸部の上面における平坦面の面積に対して、凸部の上面における平坦面の面積が大きくなりすぎ、副凸部の上面における平坦面のパッド表面への接触によって切り込み深さを調整することが困難となってしまうおそれがある。
【0017】
また、上記のセラミックスは、凸部における切刃稜線部分だけを構成しているのでもよいが、凸部を含むように基材における少なくとも表面の全面を構成していることが好ましく、このような場合には、基材の溶出による汚染を防止することができ、しかも、凸部の強度をより向上させることが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明に用いた図面においては、説明上分かりやすくするために誇張して記載してあり、詳細な数値等の規定に関しては、後述する通りである。
【0019】
まず、本発明の第1実施形態を説明する。図1は本第1実施形態による軟質材加工用工具の平面図、図2は図1におけるX−X線断面図である。
【0020】
本第1実施形態による軟質材加工用工具の基材10は、軸線Oを中心として軸線O回りに回転(回転方向T=被削材切削方向)される略円板状をなすものであり、その表面11における中央領域を除いた周辺領域には、上方に向けて突出する凸部12が複数、例えば4つ形成されている。
これら複数の凸部12は、それぞれ同一形状の略直方体状を呈しており、基材10の表面11において、周方向で略等間隔に配置され、かつ、これら凸部12の長手方向が、軸線Oから外周側へ向かう方向(径方向)と一致するように配置されている。
【0021】
また、凸部12の長方形状をなす上面13は、その全面が基材10の表面11と略平行な平坦面とされるとともに、基材10の表面11からの高さhが、0.1〜2.0mmの範囲に設定されており、この上面13(平坦面)における一方の長辺(回転方向T前方側(略円板状をなす基材10の軸線Oから径方向外周側へ向かって延びる直線よりも前方側)の長辺)が、切刃稜線14とされている。ここで、凸部12が上記のように配置されていることにより、この凸部12に形成された切刃稜線14も、基材10の表面11において、周方向で略等間隔に配置され、かつ、軸線Oから外周側へ向かう方向、すなわち、軸線Oを中心とした放射方向(被削材切削方向に対して略直交する方向)に延びるように配置されている。
【0022】
また、凸部12には、この凸部12を複数、例えば2つに等分して分断するような空隙15が、長手方向の略中央部に、長手方向と略直交する方向(回転方向T)に沿って所定幅で形成されており、空隙15の底面は、基材10の表面11と面一となっている。
この空隙15の存在により、凸部12に形成された切刃稜線14も、径方向に複数、例えば2つに等分されて分断されることになる。
すなわち、一つの凸部12は、空隙15によって等分されて分断された2つの凸部から構成されているのである。
【0023】
さらに、基材10の表面11には、凸部12の切刃稜線14よりも低い高さとなるように、上方に向けて突出する副凸部16が複数、例えば4つ形成されていて、これら複数の副凸部16は、それぞれ同一形状の略直方体状を呈するとともに、上記の凸部12の回転方向T(被削材切削方向)のすぐ前方側に、副凸部16の長手方向が径方向と一致するようにして、配置されている。ここで、副凸部16は、凸部12との間の最短距離d(基材10の表面11上における距離を示す)が、0.5〜5.0mmの範囲となるように配置されている。
【0024】
また、副凸部16の長方形状をなす上面17は、その全面が基材10の表面11と略平行な平坦面とされるとともに、基材10の表面11からの高さHが、凸部12の切刃稜線14における基材10の表面11からの高さhとの差h−Hが0.05〜0.3mmの範囲を満たすように設定されている。
さらに、凸部1個当たりの上面13(平坦面)の面積sと、副凸部1個当たりの上面17(平坦面)の面積Sとの比s/Sが、0.05〜0.3の範囲に設定されるとともに、この副凸部1個当たりの上面17の面積Sが、0.01〜20mm2の範囲に設定されている。
【0025】
このような複数の凸部12及び副凸部16が配置された基材10は、例えば、略円板状をなす基材の平坦な表面に対して切削加工等を施すことによって製造される。すなわち、加工を施していない部分が、基材10の表面11と一体となった凸部12及び副凸部16となるのである。
【0026】
そして、上述したような基材10において、その表面11と一体に形成された凸部12における少なくとも切刃稜線14部分が、セラミックス(ビッカース硬さ13GPa以上の硬さを有する耐摩耗性材料)で構成されているのであり、本実施形態においては、複数の凸部12及び副凸部16が形成された基材10の表面11の全面を含んだ基材10全体が、セラミックスで構成されている。
ここで、基材10を構成する材料であるセラミックスに関しては、凸部12及び副凸部16の形成しやすさ、及び、実用に耐えるための機械的特性等の観点から、例えば、SiC、Si3N4やアルミナなどが上げられる。
【0027】
上記のような構成とされた軟質材加工用工具は、基材10の裏面にSUSや樹脂等からなる板材が貼り付けられたり、基材10がSUS等の板材に形成された凹みに焼き嵌めされたりして組み付けられてから、実際の加工に用いられることになる。
そして、組み付けられた状態の軟質材加工用工具は、その基材10の表面11を、軸線回りに回転させられている多孔性の樹脂、ゴム、(独立気泡を有する)ポリウレタンラバーなどからなるパッドの表面に対して一定の荷重で押し当てることにより、基材10がパッドの回転運動に伴って回転運動(回転方向T=被削材切削方向)を行い、パッド表面に食い込んでいる複数の凸部12に形成された切刃稜線14で、被削材としてのパッドの表面を切削するとともに、この切刃稜線14にて生成される切屑が、凸部12とその回転方向T前方側に位置する副凸部16との間の隙間や、切刃稜線14を径方向で複数に分断している空隙15などを介して排出されていく。
【0028】
このような軟質材加工用工具では、基材10の表面11が、パッドの表面に一定の荷重で押しつけられたときに、凸部12の切刃稜線14がパッドの表面に食い込んでいる状態となるとともに、副凸部16の上面17がその全面に亘ってパッドの表面に面接触した状態となっている。
【0029】
すなわち、凸部12の切刃稜線14は、副凸部16の上面17(平坦面)がパッド表面に面接触した状態となるまで、パッド表面に食い込んでいくのであり、その食い込み深さは、この凸部12の切刃稜線14の高さhと副凸部16の上面17の高さHとの差h−Hとなるのである。
それゆえ、この凸部12の切刃稜線14と副凸部16の上面17の高さの差h−Hを調整することによって、切刃稜線14のパッド表面への切り込み深さを個別に調整することが可能となっているのであり、これに対し、切刃稜線14を有する凸部12の形状を適宜設定することによって加工効率を調整することで、切り込み深さ及び加工効率をそれぞれ個別に調整することができる。
【0030】
しかも、この切り込み深さは、凸部12の切刃稜線14における基材10の表面11からの高さhと、副凸部16の上面17における基材10の表面11からの高さHとの差h−Hに依存して決定されることになるため、切刃稜線14における基材10の表面11からの高さを変化させることはなく、凸部12と副凸部16との間に設けられる切屑を排出するための空間を確保できて、切屑排出性を良好に維持できる。
【0031】
このとき、切刃稜線14の基材10の表面11からの高さhが、0.1〜2.0mmの範囲に設定されていることにより、切屑を排出するための適切な空間を確保できているのであり、この切刃稜線14の高さhが、0.1mmより小さくなると、切屑を排出するための空間を十分に確保できなくなるおそれがあり、一方、高さhが、2.0mmより大きくなると、切刃稜線14が形成される凸部12の強度を損ねてしまうおそれがある。
なお、上述したような効果をより確実なものとするためには、切刃稜線14の高さhは、0.2〜1.0mmの範囲に設定されていることが好ましい。
【0032】
また、複数の副凸部16が、それぞれ切刃稜線14が形成された凸部12の回転方向Tのすぐ前方側に配置されていることによって、この切刃稜線14で切削される直前のパッド表面が、副凸部16の上面17に接触して押しつけられた状態となっているので、正確な切り込み深さの調整ができる。
【0033】
また、副凸部1個当たりの上面17(平坦面)の面積Sが、0.01〜20mm2の範囲に設定されていることによって、パッド表面との適当な接触量を維持できており、この面積Sが、0.01mm2より小さくなると、副凸部16の上面17とパッド表面との接触量を十分に確保できないで、正確な切り込み深さの調整が困難となるおそれがあり、一方、面積Sが、20mm2より大きくなったとしても、パッド表面と接触する副凸部16の上面17が大きくなりすぎて、切削抵抗の増大につながってしまうおそれがある。
なお、上述したような効果をより確実なものとするためには、副凸部1個当たりの上面17(平坦面)の面積Sは、0.04〜10mm2の範囲に設定されていることが好ましい。
【0034】
また、凸部12と副凸部16との間の最短距離dが、0.5〜5.0mmの範囲に設定されていることによって、切屑を排出するための適切な空間を確保できており、この最短距離dが、0.5mmより小さくなると、切屑を排出するための空間を十分に確保できなくなるおそれがあり、一方、最短距離が、5.0mmより大きくなると、パッドが弾性変形をする材料であるために、副凸部16の上面17のパッド表面への面接触により、切刃稜線14の切り込み深さを調整することが困難となってしまうおそれがある。
なお、上述したような効果をより確実なものとするためには、凸部12と副凸部16との間の最短距離dは、1.0〜4.0mmの範囲に設定されていることが好ましい。
【0035】
また、切刃稜線14の基材10の表面11からの高さhと副凸部16の上面17(平坦面)の基材10の表面からの高さHとの差h−Hが、0.05mm〜0.3mmの範囲に設定されていることにより、適当な切り込み深さを設定でき、この差h−Hが、0.05mmより小さくなると、切り込み深さが小さくなりすぎて、パッド表面への十分な調整作用を呈することができなくなるおそれがあり、一方、差h−Hが、0.3mmより大きくなると、切り込み深さが大きくなりすぎて、加工効率の低下につながってしまうおそれがある。
なお、上述したような効果をより確実なものとするためには、この高さの差h−Hは、0.1〜0.25mmの範囲に設定されていることが好ましい。
【0036】
また、凸部12の上面13が、基材10の表面11と平行な平坦面とされ、かつ、凸部1個当たりの上面13(平坦面)の面積sと、前記副凸部1個当たりの上面17(平坦面)の面積Sとの比s/Sが、0.05〜0.3と適度な範囲に設定されているため、基材10の表面11がパッドの表面に対して一定の荷重で押しつけられたときに、切刃稜線14がパッドの表面に食い込みすぎることを防止して、上述した副凸部16による切り込み深さの調整効果とも相俟って、より正確な切り込み深さの調整を行うことができる。
ここで、比s/Sが0.05より小さくなってしまうと、副凸部16の上面17の面積Sに対して、凸部12の上面13の面積sが小さくなりすぎ、切削抵抗の増大を招いてしまうおそれがあり、一方、比s/Sが0.3より大きくなっても、副凸部16の上面17の面積Sに対して、凸部12の上面13の面積sが大きくなりすぎ、副凸部16の上面17によって切り込み深さを調整することが困難となってしまうおそれがある。
なお、上述したような効果をより確実なものとするためには、この比s/Sは、0.1〜0.25の範囲に設定することが好ましい。
【0037】
さらには、凸部12における切刃稜線14部分を含んで、基材10全体が、セラミックスで構成されていることから、この切刃稜線14に対して、十分な耐摩耗性を与えることができ、長期間に亘って、切れ味を劣化させることなく安定したパッドの調整作用を維持していくことが可能となり、かつ、凸部12の強度をより向上させることができる。
【0038】
次に、本発明の第2実施形態を説明するが、上述した第1実施形態と同様の部分には同一の符号を用いてその説明を省略する。図3は本第2実施形態による軟質材加工用工具の平面図である。
【0039】
本第2実施形態による軟質材加工用工具は、基材10の表面11における周辺領域において、周方向で略等間隔に、複数の凸部12が配置されるとともに、径方向にも複数、例えば3つずつの凸部12が略等間隔を介して配置されており、さらに、これら複数の凸部12のそれぞれに対応するようにして、回転方向Tのすぐ前方側に副凸部16が配置されているものである。
【0040】
この第2実施形態による軟質材加工用工具においても、上述の第1実施形態と同様の数値範囲が適用されており、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
なお、各実施形態においては、副凸部16の上面17及び凸部12の上面13の全面が平坦面とされているが、これに限定されることはなく、副凸部16の上面17や凸部12の上面13には平坦面が存在してさえいればよい。例えば、副凸部16の上面17や凸部12の上面13が、基材10の表面11側へ凹まされてなる凹部を備えた平坦面を有するものであってもよいし、あるいは、その稜線部に面取りが施されてなる平坦面を有するものであってもよい(凸部12については、その上面13に存在する平坦面の一辺だけが切刃として作用するのではなく、面取りによって形成された面同士の交差稜線なども切刃として作用することがある)。
また、各実施形態においては、副凸部16の上面17や凸部12の上面13に存在する平坦面が、基材10の表面11と略平行なものとなっているが、これに限定されることはなく、副凸部16の上面17や凸部12の上面13に存在する平坦面は、基材10の表面11に対して多少の傾斜を有するようなものであってもよい。
【0042】
さらに、各実施形態においては、凸部12の上面13が平坦とされるとともに、その片側稜線が切刃稜線14とされているのであるが、これに限定されることなく、図4に示すように、基材10の表面11から屹立して回転方向T前方側を向く平坦な壁面12Aと、同じく基材10の表面11から屹立して回転方向T後方側を向く平坦な壁面12Bとが交差する稜線が切刃稜線14とされた断面三角形状の凸部12であっても構わない。
【0043】
加えて、各実施形態においては、略円板状をなす基材10を用いているが、これに限定されることなく、他の形状の基材、例えば、平坦な表面を有する略直方体状の基材を用いたり、あるいは、凸状に湾曲した表面を有する基材(断面円弧状の外周面(表面)を有する略円柱状の基材)を用いて、パッド表面の加工・調整を行ったとしても、何の遜色もなく、上述したような効果を奏することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基材の表面に、切刃稜線を有する凸部とは別に、この切刃稜線よりも低い高さとされた副凸部が形成されていることから、基材の表面が、パッドの表面に一定の荷重で押しつけられたときに、副凸部の上面における平坦面がパッドの表面に接触するまで、凸部の切刃稜線がパッドの表面に食い込むことになる。それゆえ、副凸部の上面の平坦面と凸部の切刃稜線とにおける基材の表面からの高さの差が、切刃稜線のパッド表面への切り込み深さとなり、この高さの差を調整することによって、所望の切り込み深さを個別に設定でき、また、凸部の形状によって加工効率を個別に設定できるので、これら切り込み深さ及び加工効率をそれぞれ個別に調整することが可能となる。
また、切り込み深さは、副凸部の上面の平坦面と凸部の切刃稜線とにおける基材の表面からの高さの差に依存しているので、切刃稜線における基材の表面からの高さを変更する必要はなく、切屑を排出するための空間を減少させずに、切屑排出性を良好に維持できる。
さらに、少なくとも凸部における切刃稜線部分が、セラミックスで構成されていることから、この切刃稜線に耐摩耗性を与えることができるので、長期間に亘って、切れ味を劣化させることなく安定したパッドの調整作用を呈することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による軟質材加工用工具の平面図である。
【図2】図1におけるX−X線断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態による軟質材加工用工具の平面図である。
【図4】本発明の凸部の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 基材
11 表面
12 凸部
13 上面(平坦面)
14 切刃稜線
15 空隙
16 副凸部
17 上面(平坦面)
d 凸部と副凸部との間の最短距離
h 凸部の切刃稜線における基材の表面からの高さ
H 副凸部の上面における基材の表面からの高さ
s 凸部1個当たりの上面の面積
S 副凸部1個当たりの上面の面積
T 回転方向
t 層厚
Claims (9)
- 基材の表面に、切刃稜線を有する凸部が上方に突出して形成されているとともに、平坦面の存在した上面を有する副凸部が前記切刃稜線よりも低い高さとなるように上方に突出して形成されており、
さらに、少なくとも前記凸部における切刃稜線部分が、セラミックスで構成されていることを特徴とする軟質材加工用工具。 - 請求項1に記載の軟質材加工用工具において、
前記副凸部が、少なくとも前記凸部の被削材切削方向前方側に配置されていることを特徴とする軟質材加工用工具。 - 請求項1または請求項2に記載の軟質材加工用工具において、
前記副凸部1個当たりの上面における平坦面の面積Sが、0.01〜20mm2の範囲に設定されていることを特徴とする軟質材加工用工具。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の軟質材加工用工具において、
前記切刃稜線の前記基材の表面からの高さhが、0.1〜2.0mmの範囲に設定されていることを特徴とする軟質材加工用工具。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の軟質材加工用工具において、
前記凸部と前記副凸部との間の最短距離が、0.5〜5.0mmの範囲に設定されていることを特徴とする軟質材加工用工具。 - 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の軟質材加工用工具において、
前記切刃稜線の前記基材の表面からの高さhと前記副凸部の上面における平坦面の前記基材の表面からの高さHとの差h−Hが、0.05〜0.3mmの範囲に設定されていることを特徴とする軟質材加工用工具。 - 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の軟質材加工用工具において、
前記凸部は、その上面に平坦面が存在させられていることを特徴とする軟質材加工用工具。 - 請求項7に記載の軟質材加工用工具において、
前記凸部1個当たりの上面における平坦面の面積sと、前記副凸部1個当たりの上面における平坦面の面積Sとの比s/Sが、0.05〜0.3の範囲に設定されていることを特徴とする軟質材加工用工具。 - 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の軟質材加工用工具において、
前記基材における少なくとも表面の全面が、前記セラミックスで構成されていることを特徴とする軟質材加工用工具。
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2003
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