JP2004290872A - 凹凸膜および該凹凸膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複雑な製造工程を経ることなく低温で、かつ低コストで凹凸膜を形成することができると共に、耐候性及び耐熱性に優れ、金属膜に対する密着性及び膜強度に優れた凹凸膜の製造方法を提供する。
【解決手段】金属化合物と、この金属化合物を溶解する溶媒Aと、この溶媒Aと相溶しない溶媒Bと、前記溶媒A及び前記溶媒Bと相溶する溶媒Cとを含む塗布液を基体上に塗布して塗布層を形成し、塗布層から前記溶媒Cを蒸発又は揮発させることにより除去して、前記溶媒Aと前記溶媒Bを相分離すると共に前記金属化合物をゲル化することを特徴とする凹凸膜の製造方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】金属化合物と、この金属化合物を溶解する溶媒Aと、この溶媒Aと相溶しない溶媒Bと、前記溶媒A及び前記溶媒Bと相溶する溶媒Cとを含む塗布液を基体上に塗布して塗布層を形成し、塗布層から前記溶媒Cを蒸発又は揮発させることにより除去して、前記溶媒Aと前記溶媒Bを相分離すると共に前記金属化合物をゲル化することを特徴とする凹凸膜の製造方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、凹凸膜の製造方法に関し、特に光学部品等に好適に用いられる凹凸膜の製造方法及び該製造方法により形成される凹凸膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属化合物からなる微細な凹凸膜は、光の散乱膜、低反射膜等の光学的な機能膜として利用できることが知られている。また、これらの凹凸膜を基体表面に形成させて、光学部品に応用することが知られている。
【0003】
前記凹凸膜の製造方法としては、フォトリソ法、鋳型形成法、エッチング法、CVD法、ゾルゲル法等が知られている。この中でもゾルゲル法は、容易に入手可能な金属アルコキシドなどの金属化合物を用いる方法であり、大掛かりな製造装置を必要としないなどの利点がある。このため、ゾルゲル法を用いたいくつかの凹凸膜の製造方法が知られている。以下に、これらのゾルゲル法を用いた凹凸膜の製造方法について、従来の技術を説明する。
【0004】
まず、第一の従来技術として、アルコキシシラン化合物、水及びアルコールを含有する塗布液をガラス板上へ塗布し、相対湿度が50〜100%の雰囲気中で所定時間保持することにより、基体上に凹凸面を有する被膜を形成させることが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、第二の従来技術として、金属アルコラート、アルコール溶剤及び加水分解制御剤として酸(無機酸又は有機酸)を混合し、この塗布液を攪拌することにより部分的にゲル化させ、固形分を析出させた塗布液をガラス基板上に塗布し、加熱、乾燥及び焼成を行うことにより、基板上に高さ0.1〜2μmの多数の微細な凹凸を有する透明無機被膜を形成させることが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また、第三の従来技術として、4官能を有する金属アルコキシドを加水分解及び脱水縮合したゾル溶液Aと、4官能を有する金属アルコキシドを加水分解及び脱水縮合した後、ゾルの末端の官能基をターミネートして不活性化したゾルBとを、溶剤と共に混合してコーティング溶液とし、基体上へ被覆することにより、マイクロピット状表層、凹凸状表層、凸状表層又は鱗片の継ぎ合い状表層からなる薄膜を形成できることが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特許文献1に記載される製造方法では、塗布液をガラス基板上へ塗布した後に、乾燥及び焼成する工程に加えて、所定雰囲気下で保持する工程が必要である。この工程が備えるべき設備は一般に大型で高価であり、また、工程数が増加しまうことから、製造コストが高くなるという問題が生じる。
【0008】
また、上記特許文献2に記載される製造方法では、塗布液の塗布後に乾燥及び焼成する工程に加えて、凹凸形成可能な固形分を塗布液中に予め析出させる工程が必要であることから、この製造方法においても、製造コストが高くなるという問題点を有している。
【0009】
さらに、上記特許文献3に記載される製造方法では、高価な原材料を用いるため、製造コストが高くなるという問題点があった。また、製造される凹凸膜の中心線平均粗さ(Ra)の大きい凹凸膜や、凸状部及び/又は凹状部の径が200nmを超えるような大きな凹凸部を有する凹凸膜を作製することができないという問題点を有している。
【0010】
これらの問題に対して本発明者等は、有機修飾金属アルコキシドと末端に水酸基を有する化合物の溶媒を用い、該溶媒と前記有機修飾金属アルコキシドとの相分離後の重合反応を利用して、凸状膜を製造する方法を提案した(特許文献4参照。)。
【0011】
この特許文献4に記載される製造方法は、凸状膜の凸部形状を制御できるとともに、凸状部の径が200nmを越えるような大きな凸部を有する凸状膜を形成することが可能である。
【0012】
しかしながら、材料として高価な有機修飾シランを必要するため、製造コストが高くなるという問題点がある。また、この製造方法によって形成される凸状膜の骨格をなす化合物は、その構造の側鎖に有機基を有している。このために、凸状膜の耐熱性や耐候性が劣るという問題点を有している。
【0013】
さらに上記のようにその構造の側鎖に有機基を有している凹凸膜の上に金属薄膜などを形成する場合、当該金属薄膜などの密着性が悪いという問題を有している。
【0014】
【特許文献1】
特開昭62−3046号公報
【特許文献2】
特開昭61−68530号公報
【特許文献3】
特開平6−298545号公報
【特許文献4】
特願2001−170817号明細書
【0015】
本発明は、かかる従来技術の問題点に注目してなされたものである。その目的は、複雑な製造工程を経ることなく低温で、かつ低コストで凹凸膜を製造する方法を提供するとともに、該製造方法により、耐候性及び耐熱性に優れ、金属膜に対する密着性及び膜強度に優れた凹凸膜を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、凹凸膜の製造方法において、金属化合物と、該金属化合物を溶解する溶媒Aと、該溶媒Aと相溶し難い溶媒Bと、前記溶媒A及び前記溶媒Bと相溶する溶媒Cとを有する塗布液を基体上に塗布して塗布層を形成し、該塗布層から前記溶媒Cを蒸発又は揮発させることにより除去して、前記溶媒Aと前記溶媒Bを相分離すると共に前記金属化合物をゲル化することを要旨としている。
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、溶媒A、溶媒B及び溶媒C並びに金属化合物を有する塗布液を用いて、塗布及び乾燥工程により凹凸膜を製造できる。このため、少ない工程数で効率的に凹凸膜を形成することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の凹凸膜の製造方法において、前記金属化合物は、金属アルコキシドを加水分解させたゾルであることを要旨としている。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、金属化合物は金属アルコキシドを加水分解させたゾルであるので、原材料の入手が容易である。このため、製造コストを下げることができる。また、加水分解反応を100℃以下の温度で進行させることができ、容易に凹凸膜を製造することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記金属化合物は、ケイ素アルコキシド又はケイ素アルコキシド誘導体を加水分解させたゾルであることを要旨としている。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、金属化合物は、容易に入手可能なケイ素アルコキシド又はケイ素アルコキシド誘導体を原材料として用い、これらを加水分解させたゾルであるので、請求項2に記載の発明の効果に加えて、安価に原材料を入手することができる。このため、凹凸膜の製造コストを更に下げることができる。また、凹凸膜の凸状部及び/又は凹状部の形状を決定する一つのパラメータであるゾルの重合度をコントロールすることが容易になる。このため、効率的に凹凸膜を形成することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記金属化合物は、4官能ケイ素アルコキシドを加水分解させたゾルであることを要旨としている。
【0023】
請求項に4に記載の発明によれば、金属化合物は、4官能ケイ素アルコキシドを加水分解させたゾルであるので、より一層安価で入手が可能である。このため請求項1乃至3に記載の発明の効果に加えて、より一層凹凸膜の製造コストを下げることができる。
【0024】
また、構造中に有機側鎖を含まないゾルを使用するので、凹凸膜を構成する化合物中に有機側鎖を有しない凹凸膜を形成することができる。この凹凸膜を構成する化合物には、3次元方向に渡ってシロキサン結合のネットワークが形成されているため、強度や耐候性に優れるという効果を奏する。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Aは、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ホルムアミド、メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド及び水よりなる群から選択された単溶媒または混合溶媒であることを要旨としている。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、溶媒Aが親水性の高い単溶媒又は混合溶媒であるので、効率的に相分離を行うことができる。また、溶媒Aの種類を換えることによって、製造される凹凸膜の表面粗さを容易に制御することができる。
【0027】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Aの溶解度パラメータ値と前記溶媒Bの溶解度パラメータ値との差が(cal/cm)(1/2)の単位で表して1以上であることを要旨としている。
【0028】
請求項6に記載の発明によれば、溶媒Aの溶解度パラメータ値と溶媒Bの溶解度パラメータ値との差が1以上であるので、溶媒Aと溶媒Bは互いにほとんど混ざり合わない。このため、凹凸膜の形成を効率的に行うことができる。
【0029】
請求項7に記載の発明は、請求項1又は6のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Aは親水性溶媒であり、前記溶媒Bは疎水性溶媒であることを要旨としている。
【0030】
請求項7に記載の発明によれば、溶媒Aが親水性溶媒であると共に溶媒Bが疎水性溶媒であるため、溶媒Aと溶媒Bとは相分離しやすい。このため、凹凸膜形成を効率的に行うことができる。
【0031】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Cの揮発性は、前記溶媒Aの揮発性及び前記溶媒Bの揮発性より高いことを要旨としている。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、溶媒Cの揮発性は、溶媒Aの揮発性及び溶媒Bの揮発性より高いので、塗布液から優先して、選択的に揮発又は蒸発して塗布液から除去される。このため、溶媒Aと溶媒Bとの相分離が促進されるので、より一層効率的に凹凸膜を形成することができる。
【0033】
請求項9に記載の発明は、請求項1又は8のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Cの沸点は、前記溶媒Aの沸点及び前記溶媒Bの沸点より低いことを要旨としている。
【0034】
請求項9に記載の発明によれば、溶媒Cの沸点は、溶媒Aの沸点及び溶媒Bの沸点より低いので、塗布液から優先して、選択的に沸騰又は蒸発又は揮発して、塗布液から除去される。このため、溶媒Aと溶媒Bとの相分離が促進されるので、より一層効率的に凹凸膜を形成することができる。
【0035】
請求項10に記載の発明は、請求項1、8又は9のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Cは、金属アルコキシドの加水分解により生じたアルコール類であることを要旨としている。
【0036】
請求項10に記載の発明によれば、溶媒Cは、金属アルコキシドの加水分解時に生じるアルコール類であるため、別個に溶媒Cを準備する必要がない。このため、少ない工程数で効率的に凹凸膜を形成することができる。
【0037】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記塗布液に、第二の金属化合物を添加することを要旨としている。
【0038】
請求項11に記載の発明によれば、前記塗布液に、第二の金属化合物を添加するため、ゾルの重合速度を変化させることができる。このため、形成される凹凸膜の凹凸形状を制御することができる。
【0039】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の凹凸膜の製造方法において、前記第二の金属化合物は金属アルコキシド又は金属キレート錯体であることを要旨としている。
【0040】
請求項12に記載の発明によれば、前記塗布液に金属アルコキシド又は金属キレート錯体を添加するため、ゾルの重合速度を容易に変化させることができる。このため、形成される凹凸膜の凹凸形状を容易に制御することができる。
【0041】
請求項13に記載の発明は、請求項11又は12のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記第二の金属化合物に含まれる金属は、Ti、Zr又はAlであることを要旨としている。
【0042】
請求項13に記載の発明によれば、前記第二の金属化合物に含まれる金属はTi、Zr又はAlであるので、原材料の入手が容易である。このため、請求項11に記載の発明の効果に加えて製造コストを下げることができる。
【0043】
請求項14に記載の発明は、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記相分離する際に、前記塗布液を冷却することを要旨としている。
【0044】
請求項14に記載の発明によれば、塗布液を冷却するので、溶媒A及びB並びに溶媒Cの互いの溶解性が変化し、この変化に応じて相分離が生ずるので、より低温での凹凸膜形成が可能となる。
【0045】
請求項15に記載の発明は、請求項3又は4のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記相分離は、シラノールの重合に基づくゾルの溶解度の変化により生ずることを要旨としている。
【0046】
請求項15に記載の発明によれば、相分離は、シラノールの重合反応の進行に基づくゾルの溶解度の変化によっても生ずるので、相分離を促進することができる。
【0047】
請求項16に記載の発明は、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記相分離は、前記溶媒Cの分解により生ずることを要旨としている。
【0048】
請求項16に記載の発明によれば、相分離は溶媒Cの分解により生ずるので、塗布層から溶媒Cを容易に除去することができる。このため、溶媒Aと溶媒Bの相分離が促進されるので、効率的に凹凸膜を形成することができる。
【0049】
請求項17に記載の発明は、請求項1乃至16に記載のいずれか1項に記載の製造方法により形成される凸状部及び/又は凹状部を有する凹凸膜であることを要旨としている。
【0050】
請求項17に記載の発明によれば、凹凸膜は、金属化合物と、該金属化合物を溶解する溶媒Aと、該溶媒Aと相溶し難い溶媒Bと、前記溶媒A及び前記溶媒Bと相溶する溶媒Cとを有する塗布液を基体上に塗布して塗布層を形成し、該塗布層から前記溶媒Cを蒸発又は揮発させることにより除去して、前記溶媒Aと前記溶媒Bを相分離すると共に前記金属化合物をゲル化することによって形成される。すなわち、少ない工程数で効率的に形成される。また、前記溶媒Aと前記溶媒Bを相分離すると共に前記金属化合物をゲル化することによって形成される。このため、低コストで製造することができる。
【0051】
請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の凸状部及び/又は凹状部を有する凹凸膜において、前記凸状部及び/又は凹状部の形状が半球状であることを要旨としている。
【0052】
請求項18に記載の発明によれば、凹凸膜は、該凹凸膜の凸状部及び/又は凹状部の形状が、半球状であるので、膜に対して垂直に入射された可視光線の反射光線の散乱角度分布が大きくなる。このため、光学部品に好適に用いることができる。
【0053】
請求項19に記載の発明によれば、請求項1に記載の凹凸膜の製造方法において、前記基体は、ガラス基板であることを前記基体は、ガラス基板であることを要旨としている。
【0054】
請求項19に記載の発明によれば、前記基体は、ガラス基板であるので、透明な基板を用いることができる。このため、たとえば光散乱板などの光学部品に好適に用いることができる。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る凹凸膜の製造方法について説明する。
【0056】
[塗布液の調製]
まず、金属化合物として、金属アルコキシドであるテトラエトキシシラン31.2グラム(150mmol)をエチルセロソルブ45グラムに混合し、4当量の1規定塩酸水溶液(1N HCl水溶液)10.8グラム(600mmol)を加え、室温(20℃)で24時間攪拌して加水分解することによって、シリカゾルを作製する。
【0057】
前記テトラエトキシシランは、入手が容易であると共に安価である。また、化学的に安定であるため、取扱いが容易な原材料である。さらに、作製される前記シリカゾルは、親水性ゾルになる。
【0058】
テトラエトキシシランは、ゲル化重合する際に有機基がゲル中に含まれない原材料である。
【0059】
続いて、溶媒Aとしてのグリセリン2.1グラム、溶媒Bとしてのフタル酸ジメチル15グラム及び溶媒Cとしてのエチルセロソルブ20グラムを混合して、混合溶媒を作製する。
【0060】
前記グリセリン(溶媒A)は親水性の溶媒であり、前記シリカゲルを溶解する。また、前記グリセリンの溶解度パラメータ値は16(cal/cm)(1/2)である。一方、前記フタル酸ジメチル(溶媒B)は疎水性の溶媒であり、前記グリセンリンとは互いにほとんど混ざり合わない。
【0061】
また、前記フタル酸ジメチルの溶解度パラメータ値は10.8(cal/cm)(1/2)で、12未満の値である。従って、前記グリセリンの溶解度パラメータ値と前記フタル酸ジメチルの溶解度パラメータ値との差が5.2(cal/cm)(1/2)ある。このため、前記グリセリンと前記フタル酸ジメチルとは相分離しやすくなる。
【0062】
次に、第二の金属化合物として、別の容器中にで、チタンテトライソプロポキシド28.4グラム(0.1mol)をとり、これにアセチルアセトン20グラム(0.2mol)を加えて攪拌し、金属キレート錯体としてのチタンキレート錯体を作製する。
【0063】
前記チタンテトライソプロポキシドは、入手が容易な原材料である。
【0064】
次に、前記上記シリカゾル溶液30グラムと前記チタンキレート錯体4グラムを、前記混合溶媒37.1グラムに溶解させて撹拌し、均一な塗布液を作製する。
【0065】
したがって、本実施形態では溶媒Aとしてのグリセリンの含有量は3重量パーセントである。該溶媒Aの含有量を変化させると、形成される凹凸膜の凸状部または凹状部の大きさや形状が変化する。しかしながら、該溶媒Aの含有量が20重量パーセントを超えると、相分離が進行する際に、凹凸膜の凸状部または凹状部の骨格をなす液滴状の相分離が生じず、形成される膜が平坦になってしまう。
【0066】
一方、溶媒Aの含有量が0.5重量パーセント未満であると、相分離が進行しにくくなり、溶媒B中に親水性ゾルが存在したままゲル化が進行し、凹凸が形成されない。
【0067】
また、相分離が進行した場合でも親水性ゾルが溶媒A中に溶け込むことができないために、ゾルが微小な粒子となって析出する。このため、強固な凹凸膜が形成されない。したがって、前記溶媒Aの含有量は、0.5乃至20重量パーセントであることが好ましい。
【0068】
また、本実施形態では、溶媒Bとしてのフタル酸ジメチルの含有量は21重量パーセントである。この溶媒Bの含有率は、0.5乃至50重量パーセントが好ましい。溶媒Bの含有量が50重量パーセントを超えると、溶媒Aと溶媒Bとの相分離が強くなり過ぎるために溶媒Cとの相溶性が失われる。このため、均一な塗布液を調製することができない。一方、溶媒Bの含有量が0.5重量パーセント未満であると、相分離溶媒としての役割を果たさなくなり、凹凸膜を形成することができなくなってしまう。
【0069】
また、本実施形態では、金属化合物としてのシリカゾルと第二の金属化合物としてのチタンキレート錯体の濃度(以下組成濃度という。)は、シリカゾルおよびチタンキレート錯体が全てSiO2及びTiO2になったと換算パーセントて計算している。本実施例では、シリカゾルの濃度は、4.2重量パーセントであり、チタンキレート錯体の組成濃度は、0.93重量パーセントである。
【0070】
前記金属化合物及び前記第二の金属化合物の組成濃度は、当該金属化合物及び第二の金属化合物が、酸化物になったと換算して15重量パーセント以下であることが好ましい。この組成濃度が高すぎるとゾルの重合反応を制御することが困難となり、形成される凹凸膜が脆くなってしまう。
【0071】
本実施形態では、前記チタンキレート錯体の溶解量の、前記シリカゾルの溶解量に対する割合は31重量パーセントである。この割合を変化させると、ゲル化速度が変化する。このため、形成される凹凸膜の凹凸形状を変化させることができる。
【0072】
例えば、本実施例で形成される凹凸膜の主骨格となる酸化ケイ素ゾルに対して、チタンキレート錯体を1乃至100重量パーセントの間で、添加量を増加させると、形成される凹凸膜は細かい凹凸形状となっていく。このようにして、凹凸膜の形状を制御することができる。
【0073】
[塗布工程]
次に、このようにして調製した前記塗布液の約1グラムを、スピンコート法により基体としてのガラス基板上に塗布する。本実施形態では、該ガラス基板として、大きさ縦100mm、横100mm、厚さ0.5mmのソーダライムガラス基板を使用している。
【0074】
また、本実施形態では、スピン回転数2000rpmで10秒間コーティングを行っている。
【0075】
[乾燥工程]
次に、ガラス基板へ塗布液が塗布され、塗布層が形成されたガラス基板を塗布した後遠赤外線炉に入れ、300℃にて10分間の乾燥を行う。
【0076】
本実施形態では、溶剤Cとしてのエチルセロソルブの沸点は135℃である。一方、溶媒Aとしてのグリセリンの沸点は290℃であり、溶媒Bとしてのフタル酸ジメチルの沸点は282℃である。また、前記エチルセロソルブは、前記グリセリンと前記フタル酸ジメチルのいずれの溶媒よりも揮発性が高い。
【0077】
このため、塗布層の乾燥を行うと、溶媒Cとしてのエチルセロソルブは、揮発、蒸発又は沸騰等により、塗布層から徐々に除去され、残る溶媒A(親水性溶媒)としてのグリセリンと溶媒B(疎水性溶媒)としてのフタル酸ジエチルとの相分離が生じる。
【0078】
そして、更に塗布層の乾燥を行うと、塗布層からグリセリン及びフタル酸ジエチルが徐々に除去される。このとき、グリセリン中に含まれる金属化合物としてのシリカゾルと第二の金属化合物としてのチタンキレート錯体は、次第にゲル化し、凸状部および凹状部の骨格となる構造物が形成されるとともに、前記塗布層の流動性が徐々に失われる。
【0079】
このようにして流動性が失われた塗布層は、ガラス基板上に付着し、固定されて、凸状部および凹状部を有する凹凸膜が形成される。
【0080】
形成された凹凸膜を光学顕微鏡で観察した所、凸状部および凹状部の形状は直径5μ乃至10μmの半球状であった。
【0081】
触針式の粗さ計(TENCOR INSTRUMENTS社製、ALPHA−STEP500SURFACE PROFILER)を用いて、形成された凹凸膜の表面を速度50μm/秒で、長さ500μmについて測定したところ、最大表面粗さ(Rmax)は98nmであり、中心線平均粗さ(Ra)は53nmであった。
【0082】
さらに当該凹凸膜のヘイズ率は24パーセントであり、散乱特性を示す。
【0083】
また、形成された凹凸膜の耐熱性を測定するために、500℃にて30分間焼成して凹凸膜の変化を調べたところ、凹凸膜の基板からの剥離や凹凸膜のクラック発生は見られなかった。
【0084】
さらに、凹凸膜の表面硬度を測定するために、鉛筆硬度試験を行ったところ、9Hよりも高い硬度を示した。
【0085】
(比較例1)
比較例として、本実施形態における混合溶媒を構成する組成成分のうち、溶媒Aとしてのグリセリンを取り除いて調製した混合溶媒を用いた。すなわち、金属化合物としてのシリカゾル溶液30グラムと第二の金属化合物としてのチタンキレート錯体4グラムを、溶媒Bとしてのフタル酸メチル15グラムと溶媒Cとしてのエチルセロソルブ22グラムとの混合溶媒に溶解させた。この塗布液を使用して、前記実施形態と同じ塗布工程および乾燥工程にて凹凸膜を作製した。
【0086】
得られた凹凸膜の鉛筆硬度試験を行ったところ、6Bの鉛筆を用いた場合にも傷が観察された。このことは、得られた凹凸膜がきわめて脆弱な膜であることを示すものである。これは、溶媒Aが用いられていないために、シリカゾルが溶解することができず、脆弱な膜が形成されたためである。
【0087】
(比較例2)
また、別の比較例として、前記第1実施形態における混合溶媒を構成する組成成分のうち、溶媒Bとしてのフタル酸ジメチルを取り除いて調製した混合溶媒を用いた。すなわち、金属化合物としてのシリカゾル溶液30グラムと第二の金属化合物としてのチタンキレート錯体4グラムを、溶媒Aとしてのグリセリン2.1グラムと溶媒Cとしてのエチルセロソルブ35グラムとの混合溶媒に溶解させた。この塗布液を使用して、第1実施形態と同じ塗布工程および乾燥工程にて凹凸膜を作製した。
【0088】
得られた凹凸膜は、凸状部や凹状部を有しておらず、平坦であった。また、当該凹凸膜の表面形状を第1実施形態と同じ方法で測定したところ、表面粗さ(Ra)は10nm以下であった。これは、溶媒Bが用いられていないために、相分離が進行しなかったためである。
【0089】
表1には、第1実施形態および比較例1,2で作製した各々の凹凸膜の、膜形状、中心線平均粗さ(Ra)、凹凸高さ及び鉛筆ひっかき硬度をまとめて示す。
【0090】
【表1】
【0091】
表1に示すように、本発明の凹凸膜の製造方法を用いることにより、凹凸膜は、光学部品に好適な、例えばその径が200nm(0.2μm)を越える大きさの表面粗さおよび、好適な凹凸高さ、例えば表面粗さ(Ra)の大きな凸状部を有することがわかる。
【0092】
また、本発明の凹凸膜の製造方法を用いることによって作製される凹凸膜は、充分な鉛筆引っかき硬度を有していることがわかる。
[変形例]
[金属化合物]
・前記実施形態では、金属化合物として、テトラエトキシシランの塩酸水溶液による加水分解により作成したシリカゾルを用いたが本発明はこれに限定されない。すなわち、金属化合物は、親水性溶媒に溶解させることができればよい。
【0093】
従って、前記金属化合物は、金属アルコキシドを塩酸水溶液などで加水分解して作製した親水性ゾルを好適に用いることができる。また、前記金属アルコキシドに含まれる金属としてはSi,Ti、Al、Zrなどを好適に用いることができる。これらの金属アルコキシドは安価な原材料であり、入手が容易であるため、製造コストを下げることができる。
【0094】
さらに、前記金属アルコキシドとして、たとえばアミノメチルトリメトキシシラン、エポキシトリメトキシシランなどように、親水性有機基が金属に結合した3官能ケイ素アルコキシドや2官能ケイ素アルコキシドなどを用いることができる。
【0095】
さらにまた、前記金属アルコキシドは、化合物中の金属原子のすべての結合手に対してアルコキシド基が結合している金属アルコキシドであることが好ましい。たとえばテトラエトキシシランや、チタンテトライソプロポキシド及びジルコニウムテトラブトキシなどを好適に用いることができる。これらの金属アルコキシドは、ゲル化重合した際に有機基がゲル中に含まれていないため、耐熱性や耐候性に優れた凹凸膜を作製することができる。また、得られる凹凸膜の上に金属薄膜などを形成する場合、良好な密着性を示す。
【0096】
さらにまた、前記金属アルコキシドはケイ素アルコキシドであって、化合物中の4個のアルコキシド基がケイ素に結合している4官能ケイ素アルコキシドであることが好ましい。たとえば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン、テトラキス(エトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシエトキシエトキシ)シラン及びテトラキス(メトキシエトキシ)シラン等を好適に用いることができる。これらのケイ素アルコキシドは、加水分解やゲル化重合の反応の制御が容易な原材料であるとともに、安価でかつ入手し易い原材料である。
【0097】
・本実施形態では、金属化合物として、1分子体のケイ素アルコキシドを加水分解するとともにゾル化したシリカゾルを用いているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、オリゴマー体として市販されているケイ素アルコキシドを加水分解するとともにゾル化したシリカゾルを用いることができる。例えば、コルコート社製のエチルシリケート40(商品名)等を加水分解させるとともにゾル化したシリカゾルを用いることができる。
【0098】
[溶媒A]
・前記実施形態では、溶媒Aとしてグリセリンを用いたが、本発明はこれに限定されない。溶媒Aは、金属化合物を溶解することができる親水性溶媒であればよく、たとえば、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ホルムアミド、メチルホルムアミド及びジメチルホルムアミド等を用いることができる。
【0099】
[溶媒B]
・前記実施形態では、溶媒Bとしてフタル酸ジメチルを用いたが、本発明はこれに限定されない。溶媒Bは、疎水性溶媒であって、前記溶媒Aと相分離可能な溶媒であればよい。つまり溶媒Bの溶解度パラメータ値は(cal/cm)(1/2)の単位で表して12未満であることが好ましく、特に溶媒Aの溶解度パラメータ値との差は、1以上であることが好ましい。
【0100】
したがって、疎水性を示す芳香族系溶媒や、アルキル系溶媒等を用いることができる。たとえば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、酢酸ベンジル及び安息香酸ベンジル等を好適に用いることができる。これらの溶媒は、入手しやすく、安価な溶媒である。
【0101】
[溶媒C]
・前記実施形態では、溶媒Cとしてエチルセロソルブを用いたが、本発明はこれに限定されない。溶媒Cは溶媒A及び溶媒Bと相溶する溶媒であればよく、たとえば、アルコール類、エステル類、二トリル類及びアミド類等を用いることができる。
【0102】
また、溶媒Cは、溶媒A及び溶媒Bと比較して揮発性が高いか又は/及び沸点が低い溶媒であることが好ましく、室温下で化学的に安定な溶媒であることがより好ましい。従って、たとえば、エチルセロソルブ,ブチルセロソルブ,セロソルブアセテート,ジエチレングリコールモノエチルエーテル,ヘキシレングリコール,ジエチレングリコール,トリプロピレングリコール,ジアセトンアルコール及びテトラヒドロフルフリルアルコール等を用いることができる。これらの溶媒Cは、化学的に安定で、取り扱いが容易である。
【0103】
また、これらの溶媒Cは、凹凸膜を製造する工程中の乾燥工程において、溶媒A及び溶媒Bよりも先に揮発又は/及び蒸発する。このため、溶媒Aと溶媒Bとの相分離を効率的に進行させることができる。
【0104】
さらに、溶媒Cは、金属アルコキシドの加水分解によって生じるアルコール類であってもよく、たとえば、テトラエトキシシランの加水分解によって生じるエタノールを用いることができる。このとき、別個に溶媒Cとしてのエタノールを準備しなくてもよい。従って、凹凸膜は少ない工程数で効率的に形成することができる。
【0105】
また、相分離は、溶媒Cの揮発または蒸発によって生じるだけでなく、上記塗布液を基体に塗布した後、冷却することによっても引き起こすことが可能である。これは、温度の低下に伴って溶媒Aと溶媒Bとの相溶性が低下するためである。このように塗布した基体を冷却することによって相分離を生じさせることにより、たとえば室温などの低温の条件下で凹凸膜を製造することができる。
【0106】
また、溶媒Cは、熱によって分解可能な溶媒であっても良い。溶媒Cが分解によって塗布液から取り除かれることによって、溶媒Aと溶媒Bとの相溶性が低下し、相分離が進行する。このため、凹凸膜を容易に製造することができる。
【0107】
[第二の金属化合物]
・本実施形態では、第二の金属化合物はチタンキレート錯体を用いているが、本発明はこれに限定されない。アルミニウムキレート錯体又はジルコニウムキレート錯体を用いることができる。すなわち、第二の金属化合物に含まれる金属は、Ti、Zr又はAlであることが好ましい。
【0108】
また、第二の金属化合物としてのチタンキレート錯体を構成するキレート配位子として、アセチルアセトンを用いているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、前記キレート配位子は、キレート錯体を形成することができるキレート配位子であればよい。従って、たとえば、オキソブタン酸エチル、エタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等を用いることができる。
【0109】
[塗布工程]
・前記実施形態では、スピンコート法を用いて塗布液を塗布したが、本発明はこれに限定されない。スピンコート法に代えて、ディップコート法、グラビアコート法,フレキソ印刷法,ロールコート法、フローコーティング等を用いることができる。
【0110】
[乾燥工程]
・前記実施形態では、遠赤外炉を用いて塗布層を乾燥したが、本発明はこれに限定されない。遠赤外炉に代えて、オーブン、遠赤外線炉、熱風乾燥炉などの乾燥炉を好適に用いることができる。
【0111】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、複雑な製造工程を経ることなく低温で、かつ低コストで凹凸膜を製造することができる。また、該製造方法により、耐候性及び耐熱性に優れ、金属膜に対する密着性及び膜強度に優れた凹凸膜を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、凹凸膜の製造方法に関し、特に光学部品等に好適に用いられる凹凸膜の製造方法及び該製造方法により形成される凹凸膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属化合物からなる微細な凹凸膜は、光の散乱膜、低反射膜等の光学的な機能膜として利用できることが知られている。また、これらの凹凸膜を基体表面に形成させて、光学部品に応用することが知られている。
【0003】
前記凹凸膜の製造方法としては、フォトリソ法、鋳型形成法、エッチング法、CVD法、ゾルゲル法等が知られている。この中でもゾルゲル法は、容易に入手可能な金属アルコキシドなどの金属化合物を用いる方法であり、大掛かりな製造装置を必要としないなどの利点がある。このため、ゾルゲル法を用いたいくつかの凹凸膜の製造方法が知られている。以下に、これらのゾルゲル法を用いた凹凸膜の製造方法について、従来の技術を説明する。
【0004】
まず、第一の従来技術として、アルコキシシラン化合物、水及びアルコールを含有する塗布液をガラス板上へ塗布し、相対湿度が50〜100%の雰囲気中で所定時間保持することにより、基体上に凹凸面を有する被膜を形成させることが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、第二の従来技術として、金属アルコラート、アルコール溶剤及び加水分解制御剤として酸(無機酸又は有機酸)を混合し、この塗布液を攪拌することにより部分的にゲル化させ、固形分を析出させた塗布液をガラス基板上に塗布し、加熱、乾燥及び焼成を行うことにより、基板上に高さ0.1〜2μmの多数の微細な凹凸を有する透明無機被膜を形成させることが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また、第三の従来技術として、4官能を有する金属アルコキシドを加水分解及び脱水縮合したゾル溶液Aと、4官能を有する金属アルコキシドを加水分解及び脱水縮合した後、ゾルの末端の官能基をターミネートして不活性化したゾルBとを、溶剤と共に混合してコーティング溶液とし、基体上へ被覆することにより、マイクロピット状表層、凹凸状表層、凸状表層又は鱗片の継ぎ合い状表層からなる薄膜を形成できることが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特許文献1に記載される製造方法では、塗布液をガラス基板上へ塗布した後に、乾燥及び焼成する工程に加えて、所定雰囲気下で保持する工程が必要である。この工程が備えるべき設備は一般に大型で高価であり、また、工程数が増加しまうことから、製造コストが高くなるという問題が生じる。
【0008】
また、上記特許文献2に記載される製造方法では、塗布液の塗布後に乾燥及び焼成する工程に加えて、凹凸形成可能な固形分を塗布液中に予め析出させる工程が必要であることから、この製造方法においても、製造コストが高くなるという問題点を有している。
【0009】
さらに、上記特許文献3に記載される製造方法では、高価な原材料を用いるため、製造コストが高くなるという問題点があった。また、製造される凹凸膜の中心線平均粗さ(Ra)の大きい凹凸膜や、凸状部及び/又は凹状部の径が200nmを超えるような大きな凹凸部を有する凹凸膜を作製することができないという問題点を有している。
【0010】
これらの問題に対して本発明者等は、有機修飾金属アルコキシドと末端に水酸基を有する化合物の溶媒を用い、該溶媒と前記有機修飾金属アルコキシドとの相分離後の重合反応を利用して、凸状膜を製造する方法を提案した(特許文献4参照。)。
【0011】
この特許文献4に記載される製造方法は、凸状膜の凸部形状を制御できるとともに、凸状部の径が200nmを越えるような大きな凸部を有する凸状膜を形成することが可能である。
【0012】
しかしながら、材料として高価な有機修飾シランを必要するため、製造コストが高くなるという問題点がある。また、この製造方法によって形成される凸状膜の骨格をなす化合物は、その構造の側鎖に有機基を有している。このために、凸状膜の耐熱性や耐候性が劣るという問題点を有している。
【0013】
さらに上記のようにその構造の側鎖に有機基を有している凹凸膜の上に金属薄膜などを形成する場合、当該金属薄膜などの密着性が悪いという問題を有している。
【0014】
【特許文献1】
特開昭62−3046号公報
【特許文献2】
特開昭61−68530号公報
【特許文献3】
特開平6−298545号公報
【特許文献4】
特願2001−170817号明細書
【0015】
本発明は、かかる従来技術の問題点に注目してなされたものである。その目的は、複雑な製造工程を経ることなく低温で、かつ低コストで凹凸膜を製造する方法を提供するとともに、該製造方法により、耐候性及び耐熱性に優れ、金属膜に対する密着性及び膜強度に優れた凹凸膜を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、凹凸膜の製造方法において、金属化合物と、該金属化合物を溶解する溶媒Aと、該溶媒Aと相溶し難い溶媒Bと、前記溶媒A及び前記溶媒Bと相溶する溶媒Cとを有する塗布液を基体上に塗布して塗布層を形成し、該塗布層から前記溶媒Cを蒸発又は揮発させることにより除去して、前記溶媒Aと前記溶媒Bを相分離すると共に前記金属化合物をゲル化することを要旨としている。
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、溶媒A、溶媒B及び溶媒C並びに金属化合物を有する塗布液を用いて、塗布及び乾燥工程により凹凸膜を製造できる。このため、少ない工程数で効率的に凹凸膜を形成することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の凹凸膜の製造方法において、前記金属化合物は、金属アルコキシドを加水分解させたゾルであることを要旨としている。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、金属化合物は金属アルコキシドを加水分解させたゾルであるので、原材料の入手が容易である。このため、製造コストを下げることができる。また、加水分解反応を100℃以下の温度で進行させることができ、容易に凹凸膜を製造することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記金属化合物は、ケイ素アルコキシド又はケイ素アルコキシド誘導体を加水分解させたゾルであることを要旨としている。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、金属化合物は、容易に入手可能なケイ素アルコキシド又はケイ素アルコキシド誘導体を原材料として用い、これらを加水分解させたゾルであるので、請求項2に記載の発明の効果に加えて、安価に原材料を入手することができる。このため、凹凸膜の製造コストを更に下げることができる。また、凹凸膜の凸状部及び/又は凹状部の形状を決定する一つのパラメータであるゾルの重合度をコントロールすることが容易になる。このため、効率的に凹凸膜を形成することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記金属化合物は、4官能ケイ素アルコキシドを加水分解させたゾルであることを要旨としている。
【0023】
請求項に4に記載の発明によれば、金属化合物は、4官能ケイ素アルコキシドを加水分解させたゾルであるので、より一層安価で入手が可能である。このため請求項1乃至3に記載の発明の効果に加えて、より一層凹凸膜の製造コストを下げることができる。
【0024】
また、構造中に有機側鎖を含まないゾルを使用するので、凹凸膜を構成する化合物中に有機側鎖を有しない凹凸膜を形成することができる。この凹凸膜を構成する化合物には、3次元方向に渡ってシロキサン結合のネットワークが形成されているため、強度や耐候性に優れるという効果を奏する。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Aは、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ホルムアミド、メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド及び水よりなる群から選択された単溶媒または混合溶媒であることを要旨としている。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、溶媒Aが親水性の高い単溶媒又は混合溶媒であるので、効率的に相分離を行うことができる。また、溶媒Aの種類を換えることによって、製造される凹凸膜の表面粗さを容易に制御することができる。
【0027】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Aの溶解度パラメータ値と前記溶媒Bの溶解度パラメータ値との差が(cal/cm)(1/2)の単位で表して1以上であることを要旨としている。
【0028】
請求項6に記載の発明によれば、溶媒Aの溶解度パラメータ値と溶媒Bの溶解度パラメータ値との差が1以上であるので、溶媒Aと溶媒Bは互いにほとんど混ざり合わない。このため、凹凸膜の形成を効率的に行うことができる。
【0029】
請求項7に記載の発明は、請求項1又は6のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Aは親水性溶媒であり、前記溶媒Bは疎水性溶媒であることを要旨としている。
【0030】
請求項7に記載の発明によれば、溶媒Aが親水性溶媒であると共に溶媒Bが疎水性溶媒であるため、溶媒Aと溶媒Bとは相分離しやすい。このため、凹凸膜形成を効率的に行うことができる。
【0031】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Cの揮発性は、前記溶媒Aの揮発性及び前記溶媒Bの揮発性より高いことを要旨としている。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、溶媒Cの揮発性は、溶媒Aの揮発性及び溶媒Bの揮発性より高いので、塗布液から優先して、選択的に揮発又は蒸発して塗布液から除去される。このため、溶媒Aと溶媒Bとの相分離が促進されるので、より一層効率的に凹凸膜を形成することができる。
【0033】
請求項9に記載の発明は、請求項1又は8のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Cの沸点は、前記溶媒Aの沸点及び前記溶媒Bの沸点より低いことを要旨としている。
【0034】
請求項9に記載の発明によれば、溶媒Cの沸点は、溶媒Aの沸点及び溶媒Bの沸点より低いので、塗布液から優先して、選択的に沸騰又は蒸発又は揮発して、塗布液から除去される。このため、溶媒Aと溶媒Bとの相分離が促進されるので、より一層効率的に凹凸膜を形成することができる。
【0035】
請求項10に記載の発明は、請求項1、8又は9のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Cは、金属アルコキシドの加水分解により生じたアルコール類であることを要旨としている。
【0036】
請求項10に記載の発明によれば、溶媒Cは、金属アルコキシドの加水分解時に生じるアルコール類であるため、別個に溶媒Cを準備する必要がない。このため、少ない工程数で効率的に凹凸膜を形成することができる。
【0037】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記塗布液に、第二の金属化合物を添加することを要旨としている。
【0038】
請求項11に記載の発明によれば、前記塗布液に、第二の金属化合物を添加するため、ゾルの重合速度を変化させることができる。このため、形成される凹凸膜の凹凸形状を制御することができる。
【0039】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の凹凸膜の製造方法において、前記第二の金属化合物は金属アルコキシド又は金属キレート錯体であることを要旨としている。
【0040】
請求項12に記載の発明によれば、前記塗布液に金属アルコキシド又は金属キレート錯体を添加するため、ゾルの重合速度を容易に変化させることができる。このため、形成される凹凸膜の凹凸形状を容易に制御することができる。
【0041】
請求項13に記載の発明は、請求項11又は12のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記第二の金属化合物に含まれる金属は、Ti、Zr又はAlであることを要旨としている。
【0042】
請求項13に記載の発明によれば、前記第二の金属化合物に含まれる金属はTi、Zr又はAlであるので、原材料の入手が容易である。このため、請求項11に記載の発明の効果に加えて製造コストを下げることができる。
【0043】
請求項14に記載の発明は、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記相分離する際に、前記塗布液を冷却することを要旨としている。
【0044】
請求項14に記載の発明によれば、塗布液を冷却するので、溶媒A及びB並びに溶媒Cの互いの溶解性が変化し、この変化に応じて相分離が生ずるので、より低温での凹凸膜形成が可能となる。
【0045】
請求項15に記載の発明は、請求項3又は4のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記相分離は、シラノールの重合に基づくゾルの溶解度の変化により生ずることを要旨としている。
【0046】
請求項15に記載の発明によれば、相分離は、シラノールの重合反応の進行に基づくゾルの溶解度の変化によっても生ずるので、相分離を促進することができる。
【0047】
請求項16に記載の発明は、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記相分離は、前記溶媒Cの分解により生ずることを要旨としている。
【0048】
請求項16に記載の発明によれば、相分離は溶媒Cの分解により生ずるので、塗布層から溶媒Cを容易に除去することができる。このため、溶媒Aと溶媒Bの相分離が促進されるので、効率的に凹凸膜を形成することができる。
【0049】
請求項17に記載の発明は、請求項1乃至16に記載のいずれか1項に記載の製造方法により形成される凸状部及び/又は凹状部を有する凹凸膜であることを要旨としている。
【0050】
請求項17に記載の発明によれば、凹凸膜は、金属化合物と、該金属化合物を溶解する溶媒Aと、該溶媒Aと相溶し難い溶媒Bと、前記溶媒A及び前記溶媒Bと相溶する溶媒Cとを有する塗布液を基体上に塗布して塗布層を形成し、該塗布層から前記溶媒Cを蒸発又は揮発させることにより除去して、前記溶媒Aと前記溶媒Bを相分離すると共に前記金属化合物をゲル化することによって形成される。すなわち、少ない工程数で効率的に形成される。また、前記溶媒Aと前記溶媒Bを相分離すると共に前記金属化合物をゲル化することによって形成される。このため、低コストで製造することができる。
【0051】
請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の凸状部及び/又は凹状部を有する凹凸膜において、前記凸状部及び/又は凹状部の形状が半球状であることを要旨としている。
【0052】
請求項18に記載の発明によれば、凹凸膜は、該凹凸膜の凸状部及び/又は凹状部の形状が、半球状であるので、膜に対して垂直に入射された可視光線の反射光線の散乱角度分布が大きくなる。このため、光学部品に好適に用いることができる。
【0053】
請求項19に記載の発明によれば、請求項1に記載の凹凸膜の製造方法において、前記基体は、ガラス基板であることを前記基体は、ガラス基板であることを要旨としている。
【0054】
請求項19に記載の発明によれば、前記基体は、ガラス基板であるので、透明な基板を用いることができる。このため、たとえば光散乱板などの光学部品に好適に用いることができる。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る凹凸膜の製造方法について説明する。
【0056】
[塗布液の調製]
まず、金属化合物として、金属アルコキシドであるテトラエトキシシラン31.2グラム(150mmol)をエチルセロソルブ45グラムに混合し、4当量の1規定塩酸水溶液(1N HCl水溶液)10.8グラム(600mmol)を加え、室温(20℃)で24時間攪拌して加水分解することによって、シリカゾルを作製する。
【0057】
前記テトラエトキシシランは、入手が容易であると共に安価である。また、化学的に安定であるため、取扱いが容易な原材料である。さらに、作製される前記シリカゾルは、親水性ゾルになる。
【0058】
テトラエトキシシランは、ゲル化重合する際に有機基がゲル中に含まれない原材料である。
【0059】
続いて、溶媒Aとしてのグリセリン2.1グラム、溶媒Bとしてのフタル酸ジメチル15グラム及び溶媒Cとしてのエチルセロソルブ20グラムを混合して、混合溶媒を作製する。
【0060】
前記グリセリン(溶媒A)は親水性の溶媒であり、前記シリカゲルを溶解する。また、前記グリセリンの溶解度パラメータ値は16(cal/cm)(1/2)である。一方、前記フタル酸ジメチル(溶媒B)は疎水性の溶媒であり、前記グリセンリンとは互いにほとんど混ざり合わない。
【0061】
また、前記フタル酸ジメチルの溶解度パラメータ値は10.8(cal/cm)(1/2)で、12未満の値である。従って、前記グリセリンの溶解度パラメータ値と前記フタル酸ジメチルの溶解度パラメータ値との差が5.2(cal/cm)(1/2)ある。このため、前記グリセリンと前記フタル酸ジメチルとは相分離しやすくなる。
【0062】
次に、第二の金属化合物として、別の容器中にで、チタンテトライソプロポキシド28.4グラム(0.1mol)をとり、これにアセチルアセトン20グラム(0.2mol)を加えて攪拌し、金属キレート錯体としてのチタンキレート錯体を作製する。
【0063】
前記チタンテトライソプロポキシドは、入手が容易な原材料である。
【0064】
次に、前記上記シリカゾル溶液30グラムと前記チタンキレート錯体4グラムを、前記混合溶媒37.1グラムに溶解させて撹拌し、均一な塗布液を作製する。
【0065】
したがって、本実施形態では溶媒Aとしてのグリセリンの含有量は3重量パーセントである。該溶媒Aの含有量を変化させると、形成される凹凸膜の凸状部または凹状部の大きさや形状が変化する。しかしながら、該溶媒Aの含有量が20重量パーセントを超えると、相分離が進行する際に、凹凸膜の凸状部または凹状部の骨格をなす液滴状の相分離が生じず、形成される膜が平坦になってしまう。
【0066】
一方、溶媒Aの含有量が0.5重量パーセント未満であると、相分離が進行しにくくなり、溶媒B中に親水性ゾルが存在したままゲル化が進行し、凹凸が形成されない。
【0067】
また、相分離が進行した場合でも親水性ゾルが溶媒A中に溶け込むことができないために、ゾルが微小な粒子となって析出する。このため、強固な凹凸膜が形成されない。したがって、前記溶媒Aの含有量は、0.5乃至20重量パーセントであることが好ましい。
【0068】
また、本実施形態では、溶媒Bとしてのフタル酸ジメチルの含有量は21重量パーセントである。この溶媒Bの含有率は、0.5乃至50重量パーセントが好ましい。溶媒Bの含有量が50重量パーセントを超えると、溶媒Aと溶媒Bとの相分離が強くなり過ぎるために溶媒Cとの相溶性が失われる。このため、均一な塗布液を調製することができない。一方、溶媒Bの含有量が0.5重量パーセント未満であると、相分離溶媒としての役割を果たさなくなり、凹凸膜を形成することができなくなってしまう。
【0069】
また、本実施形態では、金属化合物としてのシリカゾルと第二の金属化合物としてのチタンキレート錯体の濃度(以下組成濃度という。)は、シリカゾルおよびチタンキレート錯体が全てSiO2及びTiO2になったと換算パーセントて計算している。本実施例では、シリカゾルの濃度は、4.2重量パーセントであり、チタンキレート錯体の組成濃度は、0.93重量パーセントである。
【0070】
前記金属化合物及び前記第二の金属化合物の組成濃度は、当該金属化合物及び第二の金属化合物が、酸化物になったと換算して15重量パーセント以下であることが好ましい。この組成濃度が高すぎるとゾルの重合反応を制御することが困難となり、形成される凹凸膜が脆くなってしまう。
【0071】
本実施形態では、前記チタンキレート錯体の溶解量の、前記シリカゾルの溶解量に対する割合は31重量パーセントである。この割合を変化させると、ゲル化速度が変化する。このため、形成される凹凸膜の凹凸形状を変化させることができる。
【0072】
例えば、本実施例で形成される凹凸膜の主骨格となる酸化ケイ素ゾルに対して、チタンキレート錯体を1乃至100重量パーセントの間で、添加量を増加させると、形成される凹凸膜は細かい凹凸形状となっていく。このようにして、凹凸膜の形状を制御することができる。
【0073】
[塗布工程]
次に、このようにして調製した前記塗布液の約1グラムを、スピンコート法により基体としてのガラス基板上に塗布する。本実施形態では、該ガラス基板として、大きさ縦100mm、横100mm、厚さ0.5mmのソーダライムガラス基板を使用している。
【0074】
また、本実施形態では、スピン回転数2000rpmで10秒間コーティングを行っている。
【0075】
[乾燥工程]
次に、ガラス基板へ塗布液が塗布され、塗布層が形成されたガラス基板を塗布した後遠赤外線炉に入れ、300℃にて10分間の乾燥を行う。
【0076】
本実施形態では、溶剤Cとしてのエチルセロソルブの沸点は135℃である。一方、溶媒Aとしてのグリセリンの沸点は290℃であり、溶媒Bとしてのフタル酸ジメチルの沸点は282℃である。また、前記エチルセロソルブは、前記グリセリンと前記フタル酸ジメチルのいずれの溶媒よりも揮発性が高い。
【0077】
このため、塗布層の乾燥を行うと、溶媒Cとしてのエチルセロソルブは、揮発、蒸発又は沸騰等により、塗布層から徐々に除去され、残る溶媒A(親水性溶媒)としてのグリセリンと溶媒B(疎水性溶媒)としてのフタル酸ジエチルとの相分離が生じる。
【0078】
そして、更に塗布層の乾燥を行うと、塗布層からグリセリン及びフタル酸ジエチルが徐々に除去される。このとき、グリセリン中に含まれる金属化合物としてのシリカゾルと第二の金属化合物としてのチタンキレート錯体は、次第にゲル化し、凸状部および凹状部の骨格となる構造物が形成されるとともに、前記塗布層の流動性が徐々に失われる。
【0079】
このようにして流動性が失われた塗布層は、ガラス基板上に付着し、固定されて、凸状部および凹状部を有する凹凸膜が形成される。
【0080】
形成された凹凸膜を光学顕微鏡で観察した所、凸状部および凹状部の形状は直径5μ乃至10μmの半球状であった。
【0081】
触針式の粗さ計(TENCOR INSTRUMENTS社製、ALPHA−STEP500SURFACE PROFILER)を用いて、形成された凹凸膜の表面を速度50μm/秒で、長さ500μmについて測定したところ、最大表面粗さ(Rmax)は98nmであり、中心線平均粗さ(Ra)は53nmであった。
【0082】
さらに当該凹凸膜のヘイズ率は24パーセントであり、散乱特性を示す。
【0083】
また、形成された凹凸膜の耐熱性を測定するために、500℃にて30分間焼成して凹凸膜の変化を調べたところ、凹凸膜の基板からの剥離や凹凸膜のクラック発生は見られなかった。
【0084】
さらに、凹凸膜の表面硬度を測定するために、鉛筆硬度試験を行ったところ、9Hよりも高い硬度を示した。
【0085】
(比較例1)
比較例として、本実施形態における混合溶媒を構成する組成成分のうち、溶媒Aとしてのグリセリンを取り除いて調製した混合溶媒を用いた。すなわち、金属化合物としてのシリカゾル溶液30グラムと第二の金属化合物としてのチタンキレート錯体4グラムを、溶媒Bとしてのフタル酸メチル15グラムと溶媒Cとしてのエチルセロソルブ22グラムとの混合溶媒に溶解させた。この塗布液を使用して、前記実施形態と同じ塗布工程および乾燥工程にて凹凸膜を作製した。
【0086】
得られた凹凸膜の鉛筆硬度試験を行ったところ、6Bの鉛筆を用いた場合にも傷が観察された。このことは、得られた凹凸膜がきわめて脆弱な膜であることを示すものである。これは、溶媒Aが用いられていないために、シリカゾルが溶解することができず、脆弱な膜が形成されたためである。
【0087】
(比較例2)
また、別の比較例として、前記第1実施形態における混合溶媒を構成する組成成分のうち、溶媒Bとしてのフタル酸ジメチルを取り除いて調製した混合溶媒を用いた。すなわち、金属化合物としてのシリカゾル溶液30グラムと第二の金属化合物としてのチタンキレート錯体4グラムを、溶媒Aとしてのグリセリン2.1グラムと溶媒Cとしてのエチルセロソルブ35グラムとの混合溶媒に溶解させた。この塗布液を使用して、第1実施形態と同じ塗布工程および乾燥工程にて凹凸膜を作製した。
【0088】
得られた凹凸膜は、凸状部や凹状部を有しておらず、平坦であった。また、当該凹凸膜の表面形状を第1実施形態と同じ方法で測定したところ、表面粗さ(Ra)は10nm以下であった。これは、溶媒Bが用いられていないために、相分離が進行しなかったためである。
【0089】
表1には、第1実施形態および比較例1,2で作製した各々の凹凸膜の、膜形状、中心線平均粗さ(Ra)、凹凸高さ及び鉛筆ひっかき硬度をまとめて示す。
【0090】
【表1】
【0091】
表1に示すように、本発明の凹凸膜の製造方法を用いることにより、凹凸膜は、光学部品に好適な、例えばその径が200nm(0.2μm)を越える大きさの表面粗さおよび、好適な凹凸高さ、例えば表面粗さ(Ra)の大きな凸状部を有することがわかる。
【0092】
また、本発明の凹凸膜の製造方法を用いることによって作製される凹凸膜は、充分な鉛筆引っかき硬度を有していることがわかる。
[変形例]
[金属化合物]
・前記実施形態では、金属化合物として、テトラエトキシシランの塩酸水溶液による加水分解により作成したシリカゾルを用いたが本発明はこれに限定されない。すなわち、金属化合物は、親水性溶媒に溶解させることができればよい。
【0093】
従って、前記金属化合物は、金属アルコキシドを塩酸水溶液などで加水分解して作製した親水性ゾルを好適に用いることができる。また、前記金属アルコキシドに含まれる金属としてはSi,Ti、Al、Zrなどを好適に用いることができる。これらの金属アルコキシドは安価な原材料であり、入手が容易であるため、製造コストを下げることができる。
【0094】
さらに、前記金属アルコキシドとして、たとえばアミノメチルトリメトキシシラン、エポキシトリメトキシシランなどように、親水性有機基が金属に結合した3官能ケイ素アルコキシドや2官能ケイ素アルコキシドなどを用いることができる。
【0095】
さらにまた、前記金属アルコキシドは、化合物中の金属原子のすべての結合手に対してアルコキシド基が結合している金属アルコキシドであることが好ましい。たとえばテトラエトキシシランや、チタンテトライソプロポキシド及びジルコニウムテトラブトキシなどを好適に用いることができる。これらの金属アルコキシドは、ゲル化重合した際に有機基がゲル中に含まれていないため、耐熱性や耐候性に優れた凹凸膜を作製することができる。また、得られる凹凸膜の上に金属薄膜などを形成する場合、良好な密着性を示す。
【0096】
さらにまた、前記金属アルコキシドはケイ素アルコキシドであって、化合物中の4個のアルコキシド基がケイ素に結合している4官能ケイ素アルコキシドであることが好ましい。たとえば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン、テトラキス(エトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシエトキシエトキシ)シラン及びテトラキス(メトキシエトキシ)シラン等を好適に用いることができる。これらのケイ素アルコキシドは、加水分解やゲル化重合の反応の制御が容易な原材料であるとともに、安価でかつ入手し易い原材料である。
【0097】
・本実施形態では、金属化合物として、1分子体のケイ素アルコキシドを加水分解するとともにゾル化したシリカゾルを用いているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、オリゴマー体として市販されているケイ素アルコキシドを加水分解するとともにゾル化したシリカゾルを用いることができる。例えば、コルコート社製のエチルシリケート40(商品名)等を加水分解させるとともにゾル化したシリカゾルを用いることができる。
【0098】
[溶媒A]
・前記実施形態では、溶媒Aとしてグリセリンを用いたが、本発明はこれに限定されない。溶媒Aは、金属化合物を溶解することができる親水性溶媒であればよく、たとえば、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ホルムアミド、メチルホルムアミド及びジメチルホルムアミド等を用いることができる。
【0099】
[溶媒B]
・前記実施形態では、溶媒Bとしてフタル酸ジメチルを用いたが、本発明はこれに限定されない。溶媒Bは、疎水性溶媒であって、前記溶媒Aと相分離可能な溶媒であればよい。つまり溶媒Bの溶解度パラメータ値は(cal/cm)(1/2)の単位で表して12未満であることが好ましく、特に溶媒Aの溶解度パラメータ値との差は、1以上であることが好ましい。
【0100】
したがって、疎水性を示す芳香族系溶媒や、アルキル系溶媒等を用いることができる。たとえば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、酢酸ベンジル及び安息香酸ベンジル等を好適に用いることができる。これらの溶媒は、入手しやすく、安価な溶媒である。
【0101】
[溶媒C]
・前記実施形態では、溶媒Cとしてエチルセロソルブを用いたが、本発明はこれに限定されない。溶媒Cは溶媒A及び溶媒Bと相溶する溶媒であればよく、たとえば、アルコール類、エステル類、二トリル類及びアミド類等を用いることができる。
【0102】
また、溶媒Cは、溶媒A及び溶媒Bと比較して揮発性が高いか又は/及び沸点が低い溶媒であることが好ましく、室温下で化学的に安定な溶媒であることがより好ましい。従って、たとえば、エチルセロソルブ,ブチルセロソルブ,セロソルブアセテート,ジエチレングリコールモノエチルエーテル,ヘキシレングリコール,ジエチレングリコール,トリプロピレングリコール,ジアセトンアルコール及びテトラヒドロフルフリルアルコール等を用いることができる。これらの溶媒Cは、化学的に安定で、取り扱いが容易である。
【0103】
また、これらの溶媒Cは、凹凸膜を製造する工程中の乾燥工程において、溶媒A及び溶媒Bよりも先に揮発又は/及び蒸発する。このため、溶媒Aと溶媒Bとの相分離を効率的に進行させることができる。
【0104】
さらに、溶媒Cは、金属アルコキシドの加水分解によって生じるアルコール類であってもよく、たとえば、テトラエトキシシランの加水分解によって生じるエタノールを用いることができる。このとき、別個に溶媒Cとしてのエタノールを準備しなくてもよい。従って、凹凸膜は少ない工程数で効率的に形成することができる。
【0105】
また、相分離は、溶媒Cの揮発または蒸発によって生じるだけでなく、上記塗布液を基体に塗布した後、冷却することによっても引き起こすことが可能である。これは、温度の低下に伴って溶媒Aと溶媒Bとの相溶性が低下するためである。このように塗布した基体を冷却することによって相分離を生じさせることにより、たとえば室温などの低温の条件下で凹凸膜を製造することができる。
【0106】
また、溶媒Cは、熱によって分解可能な溶媒であっても良い。溶媒Cが分解によって塗布液から取り除かれることによって、溶媒Aと溶媒Bとの相溶性が低下し、相分離が進行する。このため、凹凸膜を容易に製造することができる。
【0107】
[第二の金属化合物]
・本実施形態では、第二の金属化合物はチタンキレート錯体を用いているが、本発明はこれに限定されない。アルミニウムキレート錯体又はジルコニウムキレート錯体を用いることができる。すなわち、第二の金属化合物に含まれる金属は、Ti、Zr又はAlであることが好ましい。
【0108】
また、第二の金属化合物としてのチタンキレート錯体を構成するキレート配位子として、アセチルアセトンを用いているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、前記キレート配位子は、キレート錯体を形成することができるキレート配位子であればよい。従って、たとえば、オキソブタン酸エチル、エタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等を用いることができる。
【0109】
[塗布工程]
・前記実施形態では、スピンコート法を用いて塗布液を塗布したが、本発明はこれに限定されない。スピンコート法に代えて、ディップコート法、グラビアコート法,フレキソ印刷法,ロールコート法、フローコーティング等を用いることができる。
【0110】
[乾燥工程]
・前記実施形態では、遠赤外炉を用いて塗布層を乾燥したが、本発明はこれに限定されない。遠赤外炉に代えて、オーブン、遠赤外線炉、熱風乾燥炉などの乾燥炉を好適に用いることができる。
【0111】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、複雑な製造工程を経ることなく低温で、かつ低コストで凹凸膜を製造することができる。また、該製造方法により、耐候性及び耐熱性に優れ、金属膜に対する密着性及び膜強度に優れた凹凸膜を提供することができる。
Claims (19)
- 金属化合物と、該金属化合物を溶解する溶媒Aと、該溶媒Aと相溶し難い溶媒Bと、前記溶媒A及び前記溶媒Bと相溶する溶媒Cとを有する塗布液を基体上に塗布して塗布層を形成し、該塗布層から前記溶媒Cを蒸発又は揮発させることにより除去して、前記溶媒Aと前記溶媒Bを相分離するとともに前記金属化合物をゲル化することを特徴とする凹凸膜の製造方法。
- 請求項1に記載の凹凸膜の製造方法において、前記金属化合物は、金属アルコキシドを加水分解させたゾルであることを特徴とする凹凸膜の製造方法。
- 請求項1又は2のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記金属化合物は、ケイ素アルコキシド又はケイ素アルコキシド誘導体を加水分解させたゾルであることを特徴とする凹凸膜の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記金属化合物は、4官能ケイ素アルコキシドを加水分解させたゾルであることを特徴とする凹凸膜の製造方法。
- 請求項1に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Aは、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ホルムアミド、メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド及び水よりなる群から選択された単溶媒または混合溶媒であることを特徴とする凹凸膜の製造方法。
- 請求項1に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Aの溶解度パラメータ値と前記溶媒Bの溶解度パラメータ値の差が(cal/cm)(1/2)の単位で表して1以上であることを特徴とする凹凸膜の製造方法。
- 請求項1又は6のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Aは親水性溶媒であり、前記溶媒Bは疎水性溶媒であることを特徴とする凹凸膜の製造方法。
- 請求項1に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Cの揮発性は、前記溶媒Aの揮発性及び前記溶媒Bの揮発性より高いことを特徴とする凹凸膜の製造方法。
- 請求項1又は8のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Cの沸点は、前記溶媒Aの沸点及び前記溶媒Bの沸点より低いことを特徴とする凹凸膜の製造方法。
- 請求項1、8又は9のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記溶媒Cは、金属アルコキシドの加水分解により生じたアルコール類であることを特徴とする凹凸膜の製造方法。
- 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記塗布液に、第二の金属化合物を添加することを特徴とする凹凸膜の製造方法。
- 請求項11に記載の凹凸膜の製造方法において、前記第二の金属化合物は金属アルコキシド又は前記金属キレート錯体であることを特徴とする凹凸膜の製造方法。
- 請求項11又は12のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記第二の金属化合物に含まれる金属は、Ti、Zr又はAlであることを特徴とする凹凸膜の製造方法。
- 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記相分離する際に、前記塗布液を冷却することを特徴とする凹凸膜の製造方法。
- 請求項3又は4のいずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記相分離は、シラノールの重合に基づくゾルの溶解度の変化により生ずることを特徴とする凹凸膜の製造方法。
- 請求項1乃至15いずれか1項に記載の凹凸膜の製造方法において、前記相分離は、前記溶媒Cの分解により生ずることを特徴とする凹凸膜の製造方法。
- 請求項1乃至16に記載のいずれか1項に記載の製造方法により形成されることを特徴とする凸状部及び/又は凹状部を有する凹凸膜。
- 請求項17に記載の凸状部及び/又は凹状部を有する凹凸膜において、前記凸状部及び/又は凹状部の形状が半球状であることを特徴とする凸状部及び/又は凹状部を有する凹凸膜。
- 請求項1に記載の凹凸膜の製造方法において、前記基体は、ガラス基板であることを特徴とする凹凸膜の製造方法。
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JP2003088317A JP2004290872A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 凹凸膜および該凹凸膜の製造方法 |
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JP2019030852A (ja) * | 2017-08-09 | 2019-02-28 | アイシン精機株式会社 | 凹凸膜の製造方法及び凹凸膜 |
-
2003
- 2003-03-27 JP JP2003088317A patent/JP2004290872A/ja not_active Withdrawn
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