JP2004290441A - バンド及びこのバンドを備えた時計 - Google Patents
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Abstract
【課題】駒を連結して構成しても、伸縮量を大にすることができ、かつ、装着感が良いバンド及びこのバンドを備えた時計を提供する。
【解決手段】バンド20は、駒21Bの一方の連結部である凸部23の貫通孔25を、連結ピン30の外径よりもバンド20の長さ方向(矢印Y方向)に長くし、かつ、この貫通孔25のバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)の孔径を、この凸部23に連結される他の駒21A側ほど大きくし、駒21Aと駒21Bとがバンドの長さ方向に離れた場合に、駒21Aと駒21Bとがバンドの厚さ方向にねじれるようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】バンド20は、駒21Bの一方の連結部である凸部23の貫通孔25を、連結ピン30の外径よりもバンド20の長さ方向(矢印Y方向)に長くし、かつ、この貫通孔25のバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)の孔径を、この凸部23に連結される他の駒21A側ほど大きくし、駒21Aと駒21Bとがバンドの長さ方向に離れた場合に、駒21Aと駒21Bとがバンドの厚さ方向にねじれるようにした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バンド及びバンドを備えた時計に関する。
【0002】
【従来の技術】
腕時計の金属製バンドは、厚みのある多数の駒を連結ピン等を用いて連結することにより構成されている。この駒は、連結ピンを中心として回転する、という自由度しか持っていないのが一般的である。
また、この種の金属製バンドにあっては、バンドを伸縮可能にしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この金属製バンドにあっては、隣接する駒の一方の駒のバンド短手方向に貫通孔を設け、この貫通孔をバンドの長さ方向に延長する長孔に形成し、この貫通孔に連結ピンを挿通し、この貫通孔の間隙に弾性部材を配設することによって、バンドに引張力が作用すると、上記弾性部材が圧縮して、駒と駒との連結部がバンドの長さ方向に離れてバンドが伸びるように構成されている。また、連結ピンの外周に環状の弾性部材を設けることによって、隣接する駒と駒との連結部がバンドの引張力に応じて離れ、バンドが伸縮するように構成されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−4914号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した伸縮可能な金属製バンドにあっては、連結用の貫通孔を長孔にしたものの場合、隣接する駒と駒との連結部の離間方向が、この長孔の延長方向(バンドの長さ方向)に制限される。このため、金属製バンドをバンド面に対して略垂直方向に曲げようとする力が加わると、例えば、腕時計が手の甲近くに装着されている場合に手首が上方向(甲の方向)に曲げられると、腕時計が手の甲に食い込み、良好な装着感が得られないばかりか、手の甲の損傷を引き起こすおそれがある。
【0005】
また、連結ピンの外周に環状の弾性部材を設けたものの場合には、この弾性部材の圧縮量が駒と駒との離間距離となるため、バンドの伸縮量を多くとることができない。このため、例えば、腕時計が手の甲近くにある場合に手首が大きく上方向(甲の方向)に曲げられると、バンドの伸縮量が足りず、バンドが手の甲に食い込み、良好な装着感が得られないばかりか、手の甲の損傷を引き起こすおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、駒を連結して構成しても、伸縮量を大にすることができ、かつ、装着感が良いバンド及びこのバンドを備えた時計を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述課題を解決するため、請求項1記載の発明は、連結部を有する複数の駒を、その連結部同士を連結ピンで連結したバンドにおいて、各駒の連結部には、前記連結ピンが挿通されるピン孔が設けられ、一方の連結部のピン孔を、前記連結ピンの外径よりもバンド長さ方向に長くすると共に、このピン孔のバンド厚さ方向の孔径を、この連結部に連結される他の駒側ほど大きくすることにより、連結された駒がバンド長さ方向に離れた場合に、この連結された駒がバンド厚さ方向にねじれるようにし、又は、バンド厚さ方向にずれるようにしたことを特徴とする。
この構成によれば、連結ピンが挿通されるピン孔によって、連結された駒がバンド長さ方向に離れた場合に、この連結された駒がバンド厚さ方向にねじれるようにし、又は、バンド厚さ方向にずれるようにしているので、駒のバンド長さ方向の伸縮量やバンド厚さ方向のねじれ量を多くとることができる。これにより、このバンドの装着部位の大きな動きに合わせてバンドが柔軟に変形することが可能となる。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項に記載の構成において、前記一方の連結部のピン孔のバンド厚さ方向の孔径を、この連結部に連結される他の駒と反対側の端部において、前記連結ピンの外径と略同径にすることにより、連結された駒がバンド長さ方向に近接した場合に、連結された駒の各連結部のバンド厚さ方向の位置が揃うようにしたことを特徴とする。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、前記一方の連結部のピン孔は、この連結部に連結される他方の駒側に行くに従ってバンド厚さ方向の孔径が大きくなる略三角形形状であることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成において、前記一方の連結部に連結される他の駒における前記連結部と連結される連結部のピン孔は、前記連結ピンの外径と略同径の真円形状に形成されたことを特徴とする。
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の構成において、前記駒の連結部同士を引き寄せるための付勢手段を有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項6記載の発明は、時刻表示を行う時計本体と、この時計本体に連結されるバンドと、このバンドを留める留め具とを備える時計において、
前記バンドは、連結部を有する複数の駒を、その連結部同士を連結ピンで連結した構成を有し、各駒の連結部には、前記連結ピンが挿通されるピン孔が設けられ、一方の連結部のピン孔を、前記連結ピンの外径よりもバンド長さ方向に長くすると共に、このピン孔のバンド厚さ方向の孔径を、この連結部に連結される他の駒側ほど大きくすることにより、連結された駒がバンド長さ方向に離れた場合に、この連結された駒がバンド厚さ方向にねじれるようにし、又は、バンド厚さ方向にずれるようにしたことを特徴とする。
この構成によれば、連結ピンが挿通されるピン孔によって、連結された駒がバンド長さ方向に離れた場合に、この連結された駒がバンド厚さ方向にねじれるようにし、又は、バンド厚さ方向にずれるようにしているので、駒のバンド長さ方向の伸縮量やバンド厚さ方向のねじれ量を多くとることができる。これにより、この時計は、装着部位の大きな動きに合わせてバンドが柔軟に変形することが可能となる。
【0011】
また、請求項7記載の発明は、請求項6に記載の構成において、前記バンドは、前記一方の連結部のピン孔のバンド厚さ方向の孔径を、この連結部に連結される他の駒と反対側の端部において、前記連結ピンの外径と略同径にすることにより、連結された駒がバンド長さ方向に近接した場合に、連結された駒の各連結部のバンド厚さ方向の位置が揃うようにしたことを特徴とする。
また、請求項8記載の発明は、請求項6又は7に記載の構成において、前記バンドは、前記一方の連結部のピン孔を、この連結部に連結される他方の駒側に行くに従ってバンド厚さ方向の孔径が大きくなる略三角形形状にしたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項9記載の発明は、請求項6乃至8のいずれかに記載の構成において、前記バンドは、前記一方の連結部に連結される他の駒における前記連結部と連結される連結部のピン孔を、前記連結ピンの外径と略同径の真円形状に形成したことを特徴とする。
また、請求項10記載の発明は、請求項6乃至9のいずれかに記載の構成において、前記バンドは、前記駒の連結部同士を引き寄せるための付勢手段を有することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る腕時計の外観構成を示す図である。この腕時計1は、時刻表示を行う時計本体10と、この時計本体10に連結されたバンド20とから構成されている。時計本体10は、ステンレス、チタン等で形成された金属ケース11内に、時計表示部12が内蔵されて構成される。なお、本実施形態では、時刻をアナログ表示する腕時計を例示したが、時刻をデジタル表示する腕時計であってもよい。
【0015】
バンド20は、ステンレス、チタン等の金属材料で形成された駒21を多数連結して構成され、時計本体10の金属ケース11に連結ピン(図示略)を介して連結される。なお、図示は省略するが、このバンド20には、このバンド20を、この腕時計1の装着部位(装着者の手首)に合わせた長さで留めるための留め具(二ツ折方式、三ツ折方式、両開き方式など)が設けられている。
【0016】
図2は、このバンド20の駒21を分離した状態を示す斜視図である。以下、説明の便宜上、隣接する駒21を区別する必要があるときは、一方の駒21を駒21Aと表記し、他方の駒21を駒21Bと表記する(図2参照)。同図に示すように、駒21は、バンド20の長さ方向(矢印Y方向)の一端に凹部22が形成され、他端に凸部23が形成される。すなわち、駒21のバンド20の長さ方向の両端は、係合可能な形状に形成される。
【0017】
また、これら凹部22と凸部23には、バンド20の幅方向(矢印X方向)に延びる貫通孔(ピン孔)24、25が形成される。すなわち、一方の駒21Aの凹部22に他方の駒21Bの凸部23を係合すると、これら駒21A、21Bの凹部22と凸部23の貫通孔24、25が連通し、この連通した貫通孔24、25に連結ピン30を挿通することによって、これら駒21Aと駒21Bとが連結されるように構成されている。これにより、これら凹部22及び凸部23は、駒21Aと駒21Bとを連結する連結部として機能するようになっている。
【0018】
ここで、駒21の凹部22に形成された貫通孔24は、この貫通孔24に挿通される連結ピン30の外径と略同径の真円形状を有し、これによって、この貫通孔24に挿通された連結ピン30がこの凹部22にほぼ隙間のない状態で配置されるようになっている。
一方、駒21Bの凸部23に形成された貫通孔25は、連結ピン30の外径よりもバンド20の長さ方向(矢印Y方向)に長く、かつ、このバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)の孔径が、この凸部23に連結される他の駒21A側に行くに従って大きくなる孔が適用される。より具体的には、凸部23の貫通孔25は、連結ピン30の外径に比して大きい略三角形形状の孔であって、その一辺が、この凸部23に連結される他の駒21A側に向けられ、その辺に対向する頂点が、当該駒21Aの凹部22側に向けられた孔に形成される。ここで、この貫通孔25の他方の駒21Aと反対側の端部においては、バンド20の厚さ方向の孔径が連結ピン30の外径と略同径に形成されるようになっている。
これにより、連結ピン30によって互いに連結された駒21A及び21Bは、連結ピン30を中心としてそれぞれが回転可能になるだけでなく、一方の駒21Aの凹部22に固定された連結ピン30が、他方の駒21Bの凸部23の貫通孔25の範囲内で移動可能となるため、駒21Aと駒21Bとを離すことが可能となる。
【0019】
詳述すると、凸部23の貫通孔25を、連結ピン30の外径よりもバンド20の長さ方向(矢印Y方向)に長くしているので、駒21Aと駒21Bとを連結ピン30で連結した状態で、駒21Aと駒21Bとをバンド20の長さ方向(矢印Y方向)に離すことが可能となる。
さらに、凸部23の貫通孔25のバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)の孔径を、この凸部23に連結される他の駒21A側ほど大きく形成しているので、駒21Aと駒21Bとをバンド20の長さ方向(矢印Y方向)に離した場合は、連結ピン30がこの貫通孔25のバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)の孔径が大きい位置にあるため、連結ピン30がバンド20の厚さ方向に移動可能となり、駒21Aと駒21Bとをバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)にずらすことが可能となる。
【0020】
一方、凸部23の貫通孔25のバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)の孔径を、他の駒21Aと反対側の端部において、連結ピン30の外径と略同径に形成しているので、駒21Aと駒21Bとをバンド20の長さ方向(矢印Y方向)に近接させた場合は、連結ピン30が貫通孔25の上記端部に位置するので、駒21Aの凹部22と駒21Bの凸部23のバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)の位置が揃うようになっている。
【0021】
また、前掲図2に示すように、駒21の凸部23には、このバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)に貫通する空隙26が設けられており、凸部23に挿通された連結ピン30の中央部分30Aが露出するように構成されている。また、駒21には、連結ピン30の露出した中央部分30Aを当該駒21の凹部22側に付勢する付勢機構(付勢手段)40が設けられている。
【0022】
詳述すると、付勢機構40は、駒21の上記空隙26を含む空間を埋める形状に形成された付勢部材41と、この付勢部材41を、駒21に対してバンド20の長さ方向(矢印Y方向)に移動可能に支持するためのねじピン42、43と、ねじピン42に挿通されることによって付勢部材41を、当該駒21の凹部22側に付勢するためのばね44とから構成されている。ここで、図3(A)に駒21の断面図を示すように、連結ピン30は、付勢部材41と駒21の付勢機構支持部27との間に配置されるようになっている。なお、前掲図2に示すように、連結ピン30は、露出する中央部分30Aが細く形成され、この中央部分30Aに付勢部材41が引っ掛かるので、連結ピン30の抜けを確実に防止できるようになっている。
【0023】
このように、付勢機構40は、ばね44によって付勢部材41を凹部22側に付勢することにより、図3(A)に示すように、駒21に何ら力がかかっていない場合は、連結ピン30を凸部23の貫通孔25の内面に沿って凹部22側(図中右側)端部に移動させて、連結された駒21を引き寄せる。この場合、上記したように、連結ピン30は、貫通孔25によりバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)への移動が規制される位置に案内されるため、連結された駒21の連結部同士の矢印Z方向の位置が位置決めされる。すなわち、連結された駒21が引き寄せられると、これら駒21は隙間や段差がない状態に自動的に位置決めされるようになっている。
【0024】
一方、図3(B)に示すように、連結された駒21を離す力が働くと、ばね44が縮んで付勢部材41が凸部23側に移動し、連結ピン30が、貫通孔25の凸部23側(図中左側)端部に移動する。この場合、上記したように、連結ピン30は、バンド20の厚さ方向(矢印Z方向)に移動可能なため、連結された駒21の連結部をバンド20の厚さ方向にずらすことが可能となる。
これにより、このバンド20は、図4(A)に示すように、連結された駒21をバンド20の長さ方向に離したり、図4(B)に示すように、連結された駒21をバンド20の厚さ方向にねじることが可能となるのである。
【0025】
このように、このバンド20は、連結された駒21がバンド20の長さ方向やバンド20の厚さ方向に柔軟に動くことができるので、このバンド20(腕時計1)が手の甲近くに装着されている場合に、手首が手の甲側に大きく曲げられ、バンド20をバンド面に対して略垂直方向に曲げる力がかかると、その力に応じて駒21がバンド20の長さ方向に延び、かつ、バンド20の厚さ方向にねじれるので、バンド20が手首の動きに合わせて柔軟に変形し、手の甲に食い込むことがなく、また、良好な装着感を付与することができる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態の腕時計1によれば、バンド20において、駒21の一方の連結部である凸部23の貫通孔25を、連結ピン30の外径よりもバンド20の長さ方向に長くし、かつ、この貫通孔25のバンド20の厚さ方向の孔径を、この凸部23に連結される他の駒21側ほど大きくしたことにより、連結された駒21がバンド20の長さ方向に離れた場合に、この駒21をバンド20の厚さ方向に柔軟に動かすことができ、また、連結された駒21が近接した場合には、駒21の連結部の位置が揃うようにすることができる。
【0027】
また、このように、貫通孔25によって駒21の移動範囲を決めているので、連結ピンの外周に環状の弾性部材を設けた従来のバンドに比して、駒21の移動量(バンド長さ方向の伸縮量、バンド厚さ方向のねじれ量やずれ量)を多くとることができ、移動範囲の調整(設計)を簡易にすることができる。
さらに、付勢機構40によって駒21を常時引き寄せる方向に付勢しているので、装着感を良好にでき、かつ、駒21に何ら力が加わっていない場合は、各駒21の連結部の位置が自動的に揃って隙間や段差をなくした状態に戻ることが可能となる。
【0028】
なお、連結ピン30は、ピンに限らず、ばね棒、ねじ等でもよく、また、ばね44は、コイルばねに限らず、板ばねでもよく、ゴム等の他の弾性部材を用いてもよい。
【0029】
<変形例>
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形が可能である。そこで、以下に変形例について例示する。
【0030】
(1) 上述した実施形態の付勢機構40は、付勢部材41のバンド20の長さ方向の両端側からねじピン42、43を挿通する場合について述べたが、付勢機構40は上記構成に限らない。例えば、図5に示ように、付勢部材41Aにバンド20の長さ方向に沿った長孔41Bを形成し、この長孔41Bにねじピン42Aを挿通して付勢部材41を移動可能に支持するようにしてもよい。この場合、ねじピン42Aがバンド20の外観に露出するため、組立又は分解作業が容易となる。
【0031】
(2) 上述した実施形態では、連結された駒21がバンド20の長さ方向に離すと、これら駒21が、バンド20の厚さ方向に離れたり、ねじれるようにする場合について述べたが、手首が手の甲側に曲げられた場合の手の甲の損傷を防止する観点からは、連結する駒21がバンド20の厚さ方向にねじれるようにすればよく、この動きのみ行う構成にしてもよい。
この場合、例えば、図6に示すように、駒21の凸部23にバンド20の長さ方向に延びる円柱形状の孔50を形成し、この孔50に嵌め込まれる円柱部材51に、凸部23の貫通孔25に挿通された連結ピン30を嵌める溝51Aを設ける。これにより、連結ピン30は、バンド20の厚さ方向については、円柱部材51の回転中心を中心として回転する動きしかできなくなるので、連結された駒21が、バンド20の厚さ方向にずれる場合が回避され、ねじれる動きだけが可能となる。また、この構成の場合に、円柱部材51の溝51Aを、連結ピン30の中央部分30Aの外径よりも大きく形成し、バンドの厚さ方向に平行移動する自由度を与えてもよい。このように自由度を上げることで、装着部位(手首など)の動きに合わせて変形し、装着感を向上させることができる。
【0032】
また、駒21の凸部23の端面側には、板状部材52が配置され、この板状部材52と円柱部材51との間にばね53を配置することにより、円柱部材51を駒21の凹部22側に付勢する付勢機構が構成されている。これにより、連結ピン30を、貫通孔25における連結ピン30と略同径の孔径側に付勢し、連結された駒21を引き寄せる方向に付勢することができる。従って、この構成によれば、連結された駒21をバンド20の長さ方向に離すことが可能で、かつ、該方向に離した場合は、この駒21をバンド20の厚さ方向にねじれる動きだけが可能となる。また、この構成の場合は、付勢機構を駒21に内蔵することができ、駒の外観をシンプルにできる、という効果を奏する。
【0033】
さらに、この構成において、図6に示した板状部材53に代えて、図7に示すように、ねじ60を用いるようにしてもよい。すなわち、駒21の凸部23にねじ孔61を形成し、このねじ孔61にねじ60を止め、円柱部材51をばね53により付勢するようにしてもよい。このようにすれば、図5の構成に比して、凸部23周辺の加工作業、付勢機構の組立又は分解作業をより簡単にすることが可能となる。
【0034】
(3) 上述した実施形態では、貫通孔25によって駒21が最も離れる位置が決まる場合について述べたが、付勢機構40の付勢部材41のばね44が挿入される側の端部に、ばね44側に屈曲する屈曲部を設け、連結された駒21の一方を引っ張ったときに、この屈曲部が上記付勢機構支持部27(図2参照)に当接して駒21が離れた時の位置を決めるようにしてもよい。この場合、ばねがある程度以上は縮まらないため、ばねの破壊を防ぐことも可能である。また、このようにして、付勢部材41によって駒21が離れた時の位置を決める場合は、略三角形形状の貫通孔25の端部(図2に示す駒21Bの貫通孔25の駒21A側端部)は孔として閉じていなくてもよく、図8に示すように、凸部23の貫通孔25の端部(図8中斜線部分)を切り欠いてもよい。
【0035】
(4) 上述した実施形態では、腕時計のバンドに本発明を適用する場合について述べたが、腕時計以外の時計のバンドや、時計バンド以外のバンドに広く適用が可能である。
【0036】
(5) また、上述した実施の形態では、金属製バンドを例に説明したが、要は、複数の駒を連結した構成のバンドであればよく、駒の材質は樹脂又はゴム等でもよく、金属材料に限定されない。
【0037】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、駒を連結して構成しても、伸縮量を大にすることができ、かつ、装着感が良いバンド及びこのバンドを備えた時計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る腕時計の外観構成を示す図である。
【図2】同腕時計のバンドの駒を分解した状態を示す斜視図である。
【図3】図3(A)は、同駒が近接している場合の駒の断面図であり、図3(B)は、駒が離れている場合の駒の断面図である。
【図4】図4(A)は、同駒をバンドの長さ方向に離した状態を示す斜視図であり、図4(B)は、同駒をバンドの厚さ方向にねじった状態を示す斜視図である。
【図5】変形例に係るバンドの駒を分解した状態を示す斜視図である。
【図6】変形例に係るバンドの駒を分解した状態を示す斜視図である。
【図7】変形例に係るバンドの駒を分解した状態を示す斜視図である。
【図8】変形例に係るバンドの駒を分解した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…腕時計、10…時計本体、20…バンド、21、21A、21B…駒、22…凹部、23…凸部、24、25…貫通孔、30…連結ピン、40…付勢機構
【発明の属する技術分野】
本発明は、バンド及びバンドを備えた時計に関する。
【0002】
【従来の技術】
腕時計の金属製バンドは、厚みのある多数の駒を連結ピン等を用いて連結することにより構成されている。この駒は、連結ピンを中心として回転する、という自由度しか持っていないのが一般的である。
また、この種の金属製バンドにあっては、バンドを伸縮可能にしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この金属製バンドにあっては、隣接する駒の一方の駒のバンド短手方向に貫通孔を設け、この貫通孔をバンドの長さ方向に延長する長孔に形成し、この貫通孔に連結ピンを挿通し、この貫通孔の間隙に弾性部材を配設することによって、バンドに引張力が作用すると、上記弾性部材が圧縮して、駒と駒との連結部がバンドの長さ方向に離れてバンドが伸びるように構成されている。また、連結ピンの外周に環状の弾性部材を設けることによって、隣接する駒と駒との連結部がバンドの引張力に応じて離れ、バンドが伸縮するように構成されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−4914号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した伸縮可能な金属製バンドにあっては、連結用の貫通孔を長孔にしたものの場合、隣接する駒と駒との連結部の離間方向が、この長孔の延長方向(バンドの長さ方向)に制限される。このため、金属製バンドをバンド面に対して略垂直方向に曲げようとする力が加わると、例えば、腕時計が手の甲近くに装着されている場合に手首が上方向(甲の方向)に曲げられると、腕時計が手の甲に食い込み、良好な装着感が得られないばかりか、手の甲の損傷を引き起こすおそれがある。
【0005】
また、連結ピンの外周に環状の弾性部材を設けたものの場合には、この弾性部材の圧縮量が駒と駒との離間距離となるため、バンドの伸縮量を多くとることができない。このため、例えば、腕時計が手の甲近くにある場合に手首が大きく上方向(甲の方向)に曲げられると、バンドの伸縮量が足りず、バンドが手の甲に食い込み、良好な装着感が得られないばかりか、手の甲の損傷を引き起こすおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、駒を連結して構成しても、伸縮量を大にすることができ、かつ、装着感が良いバンド及びこのバンドを備えた時計を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述課題を解決するため、請求項1記載の発明は、連結部を有する複数の駒を、その連結部同士を連結ピンで連結したバンドにおいて、各駒の連結部には、前記連結ピンが挿通されるピン孔が設けられ、一方の連結部のピン孔を、前記連結ピンの外径よりもバンド長さ方向に長くすると共に、このピン孔のバンド厚さ方向の孔径を、この連結部に連結される他の駒側ほど大きくすることにより、連結された駒がバンド長さ方向に離れた場合に、この連結された駒がバンド厚さ方向にねじれるようにし、又は、バンド厚さ方向にずれるようにしたことを特徴とする。
この構成によれば、連結ピンが挿通されるピン孔によって、連結された駒がバンド長さ方向に離れた場合に、この連結された駒がバンド厚さ方向にねじれるようにし、又は、バンド厚さ方向にずれるようにしているので、駒のバンド長さ方向の伸縮量やバンド厚さ方向のねじれ量を多くとることができる。これにより、このバンドの装着部位の大きな動きに合わせてバンドが柔軟に変形することが可能となる。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項に記載の構成において、前記一方の連結部のピン孔のバンド厚さ方向の孔径を、この連結部に連結される他の駒と反対側の端部において、前記連結ピンの外径と略同径にすることにより、連結された駒がバンド長さ方向に近接した場合に、連結された駒の各連結部のバンド厚さ方向の位置が揃うようにしたことを特徴とする。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、前記一方の連結部のピン孔は、この連結部に連結される他方の駒側に行くに従ってバンド厚さ方向の孔径が大きくなる略三角形形状であることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成において、前記一方の連結部に連結される他の駒における前記連結部と連結される連結部のピン孔は、前記連結ピンの外径と略同径の真円形状に形成されたことを特徴とする。
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の構成において、前記駒の連結部同士を引き寄せるための付勢手段を有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項6記載の発明は、時刻表示を行う時計本体と、この時計本体に連結されるバンドと、このバンドを留める留め具とを備える時計において、
前記バンドは、連結部を有する複数の駒を、その連結部同士を連結ピンで連結した構成を有し、各駒の連結部には、前記連結ピンが挿通されるピン孔が設けられ、一方の連結部のピン孔を、前記連結ピンの外径よりもバンド長さ方向に長くすると共に、このピン孔のバンド厚さ方向の孔径を、この連結部に連結される他の駒側ほど大きくすることにより、連結された駒がバンド長さ方向に離れた場合に、この連結された駒がバンド厚さ方向にねじれるようにし、又は、バンド厚さ方向にずれるようにしたことを特徴とする。
この構成によれば、連結ピンが挿通されるピン孔によって、連結された駒がバンド長さ方向に離れた場合に、この連結された駒がバンド厚さ方向にねじれるようにし、又は、バンド厚さ方向にずれるようにしているので、駒のバンド長さ方向の伸縮量やバンド厚さ方向のねじれ量を多くとることができる。これにより、この時計は、装着部位の大きな動きに合わせてバンドが柔軟に変形することが可能となる。
【0011】
また、請求項7記載の発明は、請求項6に記載の構成において、前記バンドは、前記一方の連結部のピン孔のバンド厚さ方向の孔径を、この連結部に連結される他の駒と反対側の端部において、前記連結ピンの外径と略同径にすることにより、連結された駒がバンド長さ方向に近接した場合に、連結された駒の各連結部のバンド厚さ方向の位置が揃うようにしたことを特徴とする。
また、請求項8記載の発明は、請求項6又は7に記載の構成において、前記バンドは、前記一方の連結部のピン孔を、この連結部に連結される他方の駒側に行くに従ってバンド厚さ方向の孔径が大きくなる略三角形形状にしたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項9記載の発明は、請求項6乃至8のいずれかに記載の構成において、前記バンドは、前記一方の連結部に連結される他の駒における前記連結部と連結される連結部のピン孔を、前記連結ピンの外径と略同径の真円形状に形成したことを特徴とする。
また、請求項10記載の発明は、請求項6乃至9のいずれかに記載の構成において、前記バンドは、前記駒の連結部同士を引き寄せるための付勢手段を有することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る腕時計の外観構成を示す図である。この腕時計1は、時刻表示を行う時計本体10と、この時計本体10に連結されたバンド20とから構成されている。時計本体10は、ステンレス、チタン等で形成された金属ケース11内に、時計表示部12が内蔵されて構成される。なお、本実施形態では、時刻をアナログ表示する腕時計を例示したが、時刻をデジタル表示する腕時計であってもよい。
【0015】
バンド20は、ステンレス、チタン等の金属材料で形成された駒21を多数連結して構成され、時計本体10の金属ケース11に連結ピン(図示略)を介して連結される。なお、図示は省略するが、このバンド20には、このバンド20を、この腕時計1の装着部位(装着者の手首)に合わせた長さで留めるための留め具(二ツ折方式、三ツ折方式、両開き方式など)が設けられている。
【0016】
図2は、このバンド20の駒21を分離した状態を示す斜視図である。以下、説明の便宜上、隣接する駒21を区別する必要があるときは、一方の駒21を駒21Aと表記し、他方の駒21を駒21Bと表記する(図2参照)。同図に示すように、駒21は、バンド20の長さ方向(矢印Y方向)の一端に凹部22が形成され、他端に凸部23が形成される。すなわち、駒21のバンド20の長さ方向の両端は、係合可能な形状に形成される。
【0017】
また、これら凹部22と凸部23には、バンド20の幅方向(矢印X方向)に延びる貫通孔(ピン孔)24、25が形成される。すなわち、一方の駒21Aの凹部22に他方の駒21Bの凸部23を係合すると、これら駒21A、21Bの凹部22と凸部23の貫通孔24、25が連通し、この連通した貫通孔24、25に連結ピン30を挿通することによって、これら駒21Aと駒21Bとが連結されるように構成されている。これにより、これら凹部22及び凸部23は、駒21Aと駒21Bとを連結する連結部として機能するようになっている。
【0018】
ここで、駒21の凹部22に形成された貫通孔24は、この貫通孔24に挿通される連結ピン30の外径と略同径の真円形状を有し、これによって、この貫通孔24に挿通された連結ピン30がこの凹部22にほぼ隙間のない状態で配置されるようになっている。
一方、駒21Bの凸部23に形成された貫通孔25は、連結ピン30の外径よりもバンド20の長さ方向(矢印Y方向)に長く、かつ、このバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)の孔径が、この凸部23に連結される他の駒21A側に行くに従って大きくなる孔が適用される。より具体的には、凸部23の貫通孔25は、連結ピン30の外径に比して大きい略三角形形状の孔であって、その一辺が、この凸部23に連結される他の駒21A側に向けられ、その辺に対向する頂点が、当該駒21Aの凹部22側に向けられた孔に形成される。ここで、この貫通孔25の他方の駒21Aと反対側の端部においては、バンド20の厚さ方向の孔径が連結ピン30の外径と略同径に形成されるようになっている。
これにより、連結ピン30によって互いに連結された駒21A及び21Bは、連結ピン30を中心としてそれぞれが回転可能になるだけでなく、一方の駒21Aの凹部22に固定された連結ピン30が、他方の駒21Bの凸部23の貫通孔25の範囲内で移動可能となるため、駒21Aと駒21Bとを離すことが可能となる。
【0019】
詳述すると、凸部23の貫通孔25を、連結ピン30の外径よりもバンド20の長さ方向(矢印Y方向)に長くしているので、駒21Aと駒21Bとを連結ピン30で連結した状態で、駒21Aと駒21Bとをバンド20の長さ方向(矢印Y方向)に離すことが可能となる。
さらに、凸部23の貫通孔25のバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)の孔径を、この凸部23に連結される他の駒21A側ほど大きく形成しているので、駒21Aと駒21Bとをバンド20の長さ方向(矢印Y方向)に離した場合は、連結ピン30がこの貫通孔25のバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)の孔径が大きい位置にあるため、連結ピン30がバンド20の厚さ方向に移動可能となり、駒21Aと駒21Bとをバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)にずらすことが可能となる。
【0020】
一方、凸部23の貫通孔25のバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)の孔径を、他の駒21Aと反対側の端部において、連結ピン30の外径と略同径に形成しているので、駒21Aと駒21Bとをバンド20の長さ方向(矢印Y方向)に近接させた場合は、連結ピン30が貫通孔25の上記端部に位置するので、駒21Aの凹部22と駒21Bの凸部23のバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)の位置が揃うようになっている。
【0021】
また、前掲図2に示すように、駒21の凸部23には、このバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)に貫通する空隙26が設けられており、凸部23に挿通された連結ピン30の中央部分30Aが露出するように構成されている。また、駒21には、連結ピン30の露出した中央部分30Aを当該駒21の凹部22側に付勢する付勢機構(付勢手段)40が設けられている。
【0022】
詳述すると、付勢機構40は、駒21の上記空隙26を含む空間を埋める形状に形成された付勢部材41と、この付勢部材41を、駒21に対してバンド20の長さ方向(矢印Y方向)に移動可能に支持するためのねじピン42、43と、ねじピン42に挿通されることによって付勢部材41を、当該駒21の凹部22側に付勢するためのばね44とから構成されている。ここで、図3(A)に駒21の断面図を示すように、連結ピン30は、付勢部材41と駒21の付勢機構支持部27との間に配置されるようになっている。なお、前掲図2に示すように、連結ピン30は、露出する中央部分30Aが細く形成され、この中央部分30Aに付勢部材41が引っ掛かるので、連結ピン30の抜けを確実に防止できるようになっている。
【0023】
このように、付勢機構40は、ばね44によって付勢部材41を凹部22側に付勢することにより、図3(A)に示すように、駒21に何ら力がかかっていない場合は、連結ピン30を凸部23の貫通孔25の内面に沿って凹部22側(図中右側)端部に移動させて、連結された駒21を引き寄せる。この場合、上記したように、連結ピン30は、貫通孔25によりバンド20の厚さ方向(矢印Z方向)への移動が規制される位置に案内されるため、連結された駒21の連結部同士の矢印Z方向の位置が位置決めされる。すなわち、連結された駒21が引き寄せられると、これら駒21は隙間や段差がない状態に自動的に位置決めされるようになっている。
【0024】
一方、図3(B)に示すように、連結された駒21を離す力が働くと、ばね44が縮んで付勢部材41が凸部23側に移動し、連結ピン30が、貫通孔25の凸部23側(図中左側)端部に移動する。この場合、上記したように、連結ピン30は、バンド20の厚さ方向(矢印Z方向)に移動可能なため、連結された駒21の連結部をバンド20の厚さ方向にずらすことが可能となる。
これにより、このバンド20は、図4(A)に示すように、連結された駒21をバンド20の長さ方向に離したり、図4(B)に示すように、連結された駒21をバンド20の厚さ方向にねじることが可能となるのである。
【0025】
このように、このバンド20は、連結された駒21がバンド20の長さ方向やバンド20の厚さ方向に柔軟に動くことができるので、このバンド20(腕時計1)が手の甲近くに装着されている場合に、手首が手の甲側に大きく曲げられ、バンド20をバンド面に対して略垂直方向に曲げる力がかかると、その力に応じて駒21がバンド20の長さ方向に延び、かつ、バンド20の厚さ方向にねじれるので、バンド20が手首の動きに合わせて柔軟に変形し、手の甲に食い込むことがなく、また、良好な装着感を付与することができる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態の腕時計1によれば、バンド20において、駒21の一方の連結部である凸部23の貫通孔25を、連結ピン30の外径よりもバンド20の長さ方向に長くし、かつ、この貫通孔25のバンド20の厚さ方向の孔径を、この凸部23に連結される他の駒21側ほど大きくしたことにより、連結された駒21がバンド20の長さ方向に離れた場合に、この駒21をバンド20の厚さ方向に柔軟に動かすことができ、また、連結された駒21が近接した場合には、駒21の連結部の位置が揃うようにすることができる。
【0027】
また、このように、貫通孔25によって駒21の移動範囲を決めているので、連結ピンの外周に環状の弾性部材を設けた従来のバンドに比して、駒21の移動量(バンド長さ方向の伸縮量、バンド厚さ方向のねじれ量やずれ量)を多くとることができ、移動範囲の調整(設計)を簡易にすることができる。
さらに、付勢機構40によって駒21を常時引き寄せる方向に付勢しているので、装着感を良好にでき、かつ、駒21に何ら力が加わっていない場合は、各駒21の連結部の位置が自動的に揃って隙間や段差をなくした状態に戻ることが可能となる。
【0028】
なお、連結ピン30は、ピンに限らず、ばね棒、ねじ等でもよく、また、ばね44は、コイルばねに限らず、板ばねでもよく、ゴム等の他の弾性部材を用いてもよい。
【0029】
<変形例>
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形が可能である。そこで、以下に変形例について例示する。
【0030】
(1) 上述した実施形態の付勢機構40は、付勢部材41のバンド20の長さ方向の両端側からねじピン42、43を挿通する場合について述べたが、付勢機構40は上記構成に限らない。例えば、図5に示ように、付勢部材41Aにバンド20の長さ方向に沿った長孔41Bを形成し、この長孔41Bにねじピン42Aを挿通して付勢部材41を移動可能に支持するようにしてもよい。この場合、ねじピン42Aがバンド20の外観に露出するため、組立又は分解作業が容易となる。
【0031】
(2) 上述した実施形態では、連結された駒21がバンド20の長さ方向に離すと、これら駒21が、バンド20の厚さ方向に離れたり、ねじれるようにする場合について述べたが、手首が手の甲側に曲げられた場合の手の甲の損傷を防止する観点からは、連結する駒21がバンド20の厚さ方向にねじれるようにすればよく、この動きのみ行う構成にしてもよい。
この場合、例えば、図6に示すように、駒21の凸部23にバンド20の長さ方向に延びる円柱形状の孔50を形成し、この孔50に嵌め込まれる円柱部材51に、凸部23の貫通孔25に挿通された連結ピン30を嵌める溝51Aを設ける。これにより、連結ピン30は、バンド20の厚さ方向については、円柱部材51の回転中心を中心として回転する動きしかできなくなるので、連結された駒21が、バンド20の厚さ方向にずれる場合が回避され、ねじれる動きだけが可能となる。また、この構成の場合に、円柱部材51の溝51Aを、連結ピン30の中央部分30Aの外径よりも大きく形成し、バンドの厚さ方向に平行移動する自由度を与えてもよい。このように自由度を上げることで、装着部位(手首など)の動きに合わせて変形し、装着感を向上させることができる。
【0032】
また、駒21の凸部23の端面側には、板状部材52が配置され、この板状部材52と円柱部材51との間にばね53を配置することにより、円柱部材51を駒21の凹部22側に付勢する付勢機構が構成されている。これにより、連結ピン30を、貫通孔25における連結ピン30と略同径の孔径側に付勢し、連結された駒21を引き寄せる方向に付勢することができる。従って、この構成によれば、連結された駒21をバンド20の長さ方向に離すことが可能で、かつ、該方向に離した場合は、この駒21をバンド20の厚さ方向にねじれる動きだけが可能となる。また、この構成の場合は、付勢機構を駒21に内蔵することができ、駒の外観をシンプルにできる、という効果を奏する。
【0033】
さらに、この構成において、図6に示した板状部材53に代えて、図7に示すように、ねじ60を用いるようにしてもよい。すなわち、駒21の凸部23にねじ孔61を形成し、このねじ孔61にねじ60を止め、円柱部材51をばね53により付勢するようにしてもよい。このようにすれば、図5の構成に比して、凸部23周辺の加工作業、付勢機構の組立又は分解作業をより簡単にすることが可能となる。
【0034】
(3) 上述した実施形態では、貫通孔25によって駒21が最も離れる位置が決まる場合について述べたが、付勢機構40の付勢部材41のばね44が挿入される側の端部に、ばね44側に屈曲する屈曲部を設け、連結された駒21の一方を引っ張ったときに、この屈曲部が上記付勢機構支持部27(図2参照)に当接して駒21が離れた時の位置を決めるようにしてもよい。この場合、ばねがある程度以上は縮まらないため、ばねの破壊を防ぐことも可能である。また、このようにして、付勢部材41によって駒21が離れた時の位置を決める場合は、略三角形形状の貫通孔25の端部(図2に示す駒21Bの貫通孔25の駒21A側端部)は孔として閉じていなくてもよく、図8に示すように、凸部23の貫通孔25の端部(図8中斜線部分)を切り欠いてもよい。
【0035】
(4) 上述した実施形態では、腕時計のバンドに本発明を適用する場合について述べたが、腕時計以外の時計のバンドや、時計バンド以外のバンドに広く適用が可能である。
【0036】
(5) また、上述した実施の形態では、金属製バンドを例に説明したが、要は、複数の駒を連結した構成のバンドであればよく、駒の材質は樹脂又はゴム等でもよく、金属材料に限定されない。
【0037】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、駒を連結して構成しても、伸縮量を大にすることができ、かつ、装着感が良いバンド及びこのバンドを備えた時計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る腕時計の外観構成を示す図である。
【図2】同腕時計のバンドの駒を分解した状態を示す斜視図である。
【図3】図3(A)は、同駒が近接している場合の駒の断面図であり、図3(B)は、駒が離れている場合の駒の断面図である。
【図4】図4(A)は、同駒をバンドの長さ方向に離した状態を示す斜視図であり、図4(B)は、同駒をバンドの厚さ方向にねじった状態を示す斜視図である。
【図5】変形例に係るバンドの駒を分解した状態を示す斜視図である。
【図6】変形例に係るバンドの駒を分解した状態を示す斜視図である。
【図7】変形例に係るバンドの駒を分解した状態を示す斜視図である。
【図8】変形例に係るバンドの駒を分解した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…腕時計、10…時計本体、20…バンド、21、21A、21B…駒、22…凹部、23…凸部、24、25…貫通孔、30…連結ピン、40…付勢機構
Claims (10)
- 連結部を有する複数の駒を、その連結部同士を連結ピンで連結したバンドにおいて、
各駒の連結部には、前記連結ピンが挿通されるピン孔が設けられ、
一方の連結部のピン孔を、前記連結ピンの外径よりもバンド長さ方向に長くすると共に、このピン孔のバンド厚さ方向の孔径を、この連結部に連結される他の駒側ほど大きくすることにより、連結された駒がバンド長さ方向に離れた場合に、この連結された駒がバンド厚さ方向にねじれるようにし、又は、バンド厚さ方向にずれるようにしたことを特徴とするバンド。 - 前記一方の連結部のピン孔のバンド厚さ方向の孔径を、この連結部に連結される他の駒と反対側の端部において、前記連結ピンの外径と略同径にすることにより、連結された駒がバンド長さ方向に近接した場合に、連結された駒の各連結部のバンド厚さ方向の位置が揃うようにしたことを特徴とする請求項1に記載のバンド。
- 前記一方の連結部のピン孔は、この連結部に連結される他方の駒側に行くに従ってバンド厚さ方向の孔径が大きくなる略三角形形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバンド。
- 前記一方の連結部に連結される他の駒における前記連結部と連結される連結部のピン孔は、前記連結ピンの外径と略同径の真円形状に形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のバンド。
- 前記駒の連結部同士を引き寄せるための付勢手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のバンド。
- 時刻表示を行う時計本体と、この時計本体に連結されるバンドと、このバンドを留める留め具とを備える時計において、
前記バンドは、連結部を有する複数の駒を、その連結部同士を連結ピンで連結した構成を有し、
各駒の連結部には、前記連結ピンが挿通されるピン孔が設けられ、
一方の連結部のピン孔を、前記連結ピンの外径よりもバンド長さ方向に長くすると共に、このピン孔のバンド厚さ方向の孔径を、この連結部に連結される他の駒側ほど大きくすることにより、連結された駒がバンド長さ方向に離れた場合に、この連結された駒がバンド厚さ方向にねじれるようにし、又は、バンド厚さ方向にずれるようにしたことを特徴とする時計。 - 前記バンドは、前記一方の連結部のピン孔のバンド厚さ方向の孔径を、この連結部に連結される他の駒と反対側の端部において、前記連結ピンの外径と略同径にすることにより、連結された駒がバンド長さ方向に近接した場合に、連結された駒の各連結部のバンド厚さ方向の位置が揃うようにしたことを特徴とする請求項6に記載の時計。
- 前記バンドは、前記一方の連結部のピン孔を、この連結部に連結される他方の駒側に行くに従ってバンド厚さ方向の孔径が大きくなる略三角形形状にしたことを特徴とする請求項6又は7に記載の時計。
- 前記バンドは、前記一方の連結部に連結される他の駒における前記連結部と連結される連結部のピン孔を、前記連結ピンの外径と略同径の真円形状に形成したことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の時計。
- 前記バンドは、前記駒の連結部同士を引き寄せるための付勢手段を有することを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の時計。
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Cited By (2)
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EP2280519A1 (en) | 2003-11-26 | 2011-02-02 | Panasonic Corporation | Transmitting apparatus applying hierarchical modulation scheme and corresponding receiving apparatus |
JP2017074360A (ja) * | 2015-10-14 | 2017-04-20 | ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド | ブレスレットのための調節可能リンク |
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2003
- 2003-03-27 JP JP2003087487A patent/JP2004290441A/ja active Pending
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