JP2004289468A - 遅延制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基準クロックを逓倍した逓倍後基準クロックを出力する周波数逓倍手段10Aと、該周波数逓倍手段が出力した逓倍後基準クロックを入力する第1の遅延素子手段21と、入力データを取り込むストローブ信号が入力する第2の遅延素子手段30と、前記逓倍後基準クロックの1周期分の遅延値を捉え、該遅延値を前記第2の遅延素子手段30に設定し、該第2の遅延素子手段30から補正後ストローブ信号を出力させる遅延素子制御手段22とを備えた。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遅延制御装置に関し、特に、データ取り込み用のストローブ信号に、DLL回路を用いて遅延時間を与えることにより、補正されたストローブ信号を生成する場合に、微調整が不要であり、精度の良い補正されたストローブ信号を生成することが可能な遅延制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、DDR−SDRAM(ディディアール・エスディラム)のように高速な信号線とインターフェースをするためには、電圧および温度の変動に拘わらず一定のタイミングで信号線を制御することが必要になってきた。かかる制御を実現するための一つの手段としてDLL(ディレイ・ロックド・ループ)回路が使用されることがある。
なお、DLL回路を使用する例としては、LSI(大規模集積回路)間の高速インターフェース、信号間のタイミング規定が厳しいもののタイミング補正等がある。
【0003】
ここで、DLL回路を使用した従来技術の具体例について説明する。
高速なデータのインターフェースをLSIで実現する場合、133MHzのSDRAMの場合だと、PLL(位相同期ループ)で位相同期させたクロックを使用することでLSIの設計も可能であった。
【0004】
ところがDDR−SDRAMのように、例えば266MHzのデータレートを持つインターフェースの場合、有効なデータ幅とそのデータを取り込むためのストローブ信号の関係を補正し、LSI内部のFF(フリップ・フロップ)のデータとクロックの関係が正しくデータを取り込めるタイミングにしなければならない。
【0005】
図7は、データDの有効なデータ幅と、データDを取り込むためのストローブ信号S2のタイミング波形例を示す図である。
図7において、ストローブ信号S2をクロック周期(基準クロックS1)から一定の割合、例えばクロック周期の25%の遅延をつけた信号が、補正されたストローブ信号S3である。このようにすれば、データ幅のほぼ中央のタイミングでデータDを取り込むことが可能となる。
【0006】
ところが、ボード上のスキュー,クロックのジッタ等により、有効なデータウィンドが狭くなっている場合がある。かかる場合には、温度,電圧の振れによる前記遅延のズレを極力抑える必要がある。この補正されたストローブ信号を生成する技術にDLLを使用する構成が知られている(非特許文献1)。
【0007】
図8は、DLLを使用した遅延ズレを抑制する回路例のブロック図である。
図8に示すように、DLL100において、入力された基準クロックS1の1周期分の遅延を第1の遅延素子110に対して設定できる値を算出し、遅延設定値算出回路300で例えばクロック周期の25%分の遅延を与える遅延設定値を設定する。
【0008】
そして、この遅延設定値を、ストローブ信号S2が入力される第2の遅延素子200に与える。120は位相比較器、130は遅延制御回路である。
このようにすれば、前記図7において説明したように、データ幅のほぼ中央のタイミングでデータDを取り込むことが可能となる。
【0009】
前記第1の遅延素子110の例を図9に示す。ここで問題なのは、第1の遅延素子110の単位遅延(バッファで示した個々の素子による遅延)が全く同じ遅延値(一定)だとしても、選択回路111による遅延が、微細化されたLSIのプロセスでは影響が大きくなることである。
非特許文献1では、この影響を解決するために、図10に示すように、粗い遅延単位で構成される第3の遅延素子112と微細な遅延単位で構成される第4の遅延素子113を組み合わせた遅延素子110Aを使用した例を示している。
【0010】
【非特許文献1】Micron Design Line “DDR SDRAM Functionality and Controller Read Data Capture”
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、非特許文献1の例では、DLL100における基準クロックS1の周期測定(周期の把握)の精度は出るが、実際にストローブ信号S2を補正するための第2の遅延素子200に設定する値を算出する遅延設定算出回路300において、前記精度が生かされない場合が生じる。
【0012】
極端な例を挙げると、粗い第3の遅延素子112の遅延単位が「3単位」であり、微細な第4の遅延素子113の遅延単位が「12単位」の場合を考える。この場合、50%の遅延を設定するには粗い第3の遅延素子112の遅延単位が割り切れないため、微細な第4の遅延素子113において、如何にして正確に50%の遅延値を得るかが問題となる。
【0013】
また、図8の構成において、補正されたストローブ信号S3を出力する第2の遅延素子200の遅延設定精度が良い場合であっても、LSI内部では補正されたストローブ信号S3がFF(フリップフロップ)までに到達する時間、データがLSIに入力されてからFFまで到達する時間の差により、第2の遅延素子200における遅延値の微調整が必要となる。
【0014】
そこで本発明の課題は、データ取り込み用のストローブ信号に、DLL回路を用いて遅延時間を与えて補正されたストローブ信号を生成する場合に、微調整が不要であり、精度の良い補正されたストローブ信号を生成することが可能な遅延制御装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために請求項1の発明は、基準クロックを逓倍した逓倍した逓倍後基準クロックを出力する周波数逓倍手段(図1の10A)と、
該周波数逓倍手段が出力した逓倍後基準クロックを入力する第1の遅延素子手段21と、
入力データを取り込むストローブ信号が入力する第2の遅延素子手段30と、
前記逓倍後基準クロックの1周期分の遅延値を捉え、該遅延値を前記第2の遅延素子手段30に設定し、該第2の遅延素子手段30から補正後ストローブ信号を出力させる遅延素子制御手段22とを備えた構成としてある。
【0016】
以上の構成において、例えば補正されたストローブ信号S3に基準クロックS1の20%の遅延を与えたい場合、逓倍後基準クロックS4は基準クロックS1の例えば5倍の周波数になる(図2(a),(b)参照)。遅延素子制御手段20Aを構成する遅延制御回路22は、逓倍後基準クロックS4の1周期分の遅延値を捉え、この遅延値を第2の遅延素子30に設定する。
【0017】
このようにすれば、基準クロックS1の20%の遅延をストローブ信号S2に与えることが可能となる。
従って、第2の遅延素子30においては微調整が不要となり、精度の良い補正されたストローブ信号S3を生成することが可能となる。
【0018】
また、請求項2では、請求項1記載の遅延制御装置において、
前記周波数逓倍手段10Aは、
PLL12と、
前記基準クロックS1を1/m分周して前記PLL12に入力する1/m分周手段11と、
前記PLL12の比較クロック入力としてPLL出力を1/n分周する1/n分周手段13とを備えてなる構成としてある。
【0019】
以上の構成において、例えば図3に示すように、遅延値は、1/m分周回路11と1/n分周回路12のm,nの組み合わせにより設定する。そして、補正されたストローブ信号S3に例えば基準クロックS1の20%の遅延を与えたい場合、m=1、n=5の設定をすれば、逓倍後基準クロックS4は基準クロックS1の5倍の周波数になる。
【0020】
この場合、PLL12を用いているので、安定した周波数の逓倍後基準クロックS4を実現できる。従って、第2の遅延素子30においては微調整が不要となり、精度の良い補正されたストローブ信号S3を生成することが可能なる。
【0021】
また、請求項3では、請求項1記載の遅延制御装置において、
前記遅延素子制御手段20A(図1)は、遅延値を選択可能な第1の遅延素子(図4の21)と、該遅延値を選択する遅延制御手段(遅延制御回路22)と、位相比較器23とを備えてなり、
前記位相比較器23は、前記逓倍後基準クロックS4または該逓倍後基準クロックS4から発生する非通過パルス信号S5と、前記逓倍後基準クロックS4または非通過パルス信号S5が前記第1の遅延素子手段21を通過して出力した通過パルス信号S6とを比較し、
前記遅延制御手段22は、前記位相比較器23の比較結果に基き第2の遅延素子手段30の遅延値を制御する遅延値選択信号S7を発生する構成としてある。
【0022】
以上の構成において、図2(a)〜(f),図4に示すように、位相比較器23において、第1の遅延素子21を通過しないパルス信号(非通過パルス信号)S5と通過したパルス信号(通過パルス信号)S6とを比較する。
【0023】
比較の結果、非通過パルス信号S5の1周期分がH(アクティブ)になる場合に(図2(c))、通過パルス信号S6のHが来れば(図2(d))、第1の遅延素子21の遅延値は、逓倍後基準クロックS4の1周期分に至っていないことが分かる。
また、非通過パルス信号S5がLになったときに通過パルス信号S6のHが来れば(例えば、図2(f))、第1の遅延素子21の遅延値は、逓倍後基準クロックS4の1周期以上の遅延があることが分かる。
【0024】
そして、遅延制御回路22は、第1の遅延素子21の遅延値が逓倍後基準クロックS4の1周期に満たない遅延であると、現在の遅延単位から1単位だけ増やした設定を第1の遅延素子21に与える。
ここに、遅延単位の概念は、例えば図9に示した個々のバッファをいい、バッファの1個が遅延の1単位である。
【0025】
逆に、遅延制御回路22は、前記1周期を超える遅延であることを示すと、遅延単位を1単位減らす。
安定した状態において、1単位の増減が順に続けば(単位がn,n+1,n,n+1,…)、それ(遅延単位が、nまたはn+1)が、逓倍後基準クロックS4の1周期を実現する遅延設定値となる。
【0026】
即ち、図2の下方に示したAの時点において、遅延単位の設定値=nの場合に非通過パルス信号S5の1周期分が「H」であれば、遅延単位の設定値を「+1」にし、遅延単位の設定値=n+1の場合に非通過パルス信号S5の1周期分が「L」であれば、遅延単位の設定値を「−1」にする。
【0027】
このようにすれば、基準クロックS1の20%の遅延をストローブ信号S2に与えることが可能となる。従って、第2の遅延素子30においては微調整が不要となり、精度の良い補正されたストローブ信号S3を生成することが可能となる。
【0028】
また、請求項4では、請求項3記載の遅延制御装置において、
前記遅延値選択信号S7を、前記第1の遅延素子手段21にも供給する構成としてある。
【0029】
このようにすれば、例えば図5に示すように、遅延値選択信号S7を第2の遅延素子手段30と第1の遅延素子手段21の双方に供給しているので、第1の遅延素子21の遅延値が逓倍後基準クロックS4の1周期の遅延の設定値であるならば、第2の遅延素子30の遅延値も逓倍後基準クロックS4の1周期分の遅延とすることができる。
【0030】
また、請求項5では、請求項4記載の遅延制御装置において、
前記遅延値選択信号S7を加減算した後に、前記第2の遅延素子手段30に入力する構成としてある。
【0031】
このようにすれば、例えば図6に示すように、粗い遅延の設定値信号S8を第2の遅延素子30Aの第1のselA端子に供給し、加減した微細な遅延の設定値信号S10を第2のselB端子に供給している。
【0032】
ここに、第1の遅延素子21Aの入力端子をselA端子とselB端子とに分けているのは、非特許文献1に示すように、粗い遅延と微細な遅延を、素子を組み合わせた遅延素子を示唆しているのではなく、遅延設定値が例えば10ビットあれば、上位を粗い設定、下位を細かな設定という意味で使用している。
このようにすれば、微細な遅延の設定(下位ビットの値)を変更することにより、遅延値の微調整が可能となる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の遅延制御装置を図示の実施の形態に基づいて説明する。
(1) 第1の実施形態
図1は本実施形態の遅延制御装置DC1のブロック図である。
【0034】
図1に示すように、遅延制御装置DC1は、周波数逓倍部10Aと遅延素子制御部20Aと第2の遅延素子30とを備えてなる。
周波数逓倍部10Aは、基準クロックS1を逓倍し(図2では5倍)、逓倍後基準クロックS4を出力する。
【0035】
遅延素子制御部20Aは、第1の遅延素子21と遅延制御回路22を含む。第1の遅延素子21と第2の遅延素子30は、それぞれ前記第1の遅延素子110と第2の遅延素子200(図8参照)と同一の遅延素子である。
【0036】
以上の構成において、図2(a),(b)に示すように、周波数逓倍部10Aで基準クロックS1を逓倍して逓倍後基準クロックS4を生成し、この逓倍後基準クロックS4を第1の遅延素子21に供給する。遅延素子制御手段(遅延制御回路22)は逓倍後基準クロックS4の1周期分の遅延値を出力し、該遅延値を第2の遅延素子30に設定する。
【0037】
このようにすれば、補正されたストローブ信号S3に基準クロックS1の20%の遅延を与えたい場合、逓倍後基準クロックS4は基準クロックS1の5倍の周波数になる。この第1の遅延素子21に与える設定をそのまま、第2の遅延素子30に与えることにより、基準クロックS1の20%の遅延をストローブ信号S2に与えることが可能となる。
従って、第2の遅延素子30においては微調整が不要となり、精度の良い補正されたストローブ信号S3を生成することが可能となる。
【0038】
(2) 第2の実施形態
図3は本実施形態の遅延制御装置DC2のブロック図である。
本実施形態と第1の実施形態(図1)との相違点は、周波数逓倍部10Bの構成を具体的に示した点だけである。
即ち、周波数逓倍部10Bは、1/m分周回路11と、PLL12と、1/n分周回路13とを備えてなる。
【0039】
1/m分周回路11には基準クロックS1が入力し、該基準クロックS1を1/m分周する。
PLL12のrck端子には、基準クロックS1を1/m分周した信号が入力する。
1/n分周回路13には、PLL12の出力信号(逓倍後基準クロックS4)が入力し、1/n分周後、PLL12のvck端子に入力する。
【0040】
以上の構成において、遅延値は、1/m分周回路11と1/n分周回路12のm,nの組み合わせにより設定する。そして、補正されたストローブ信号S3に基準クロックS1の20%の遅延を与えたい場合、m=1、n=5の設定をすれば、逓倍後基準クロックS4は基準クロックS1の5倍の周波数になる。
【0041】
この場合、PLL12を用いているので、安定した周波数の逓倍後基準クロックS4を実現できる。従って、第2の遅延素子30においては微調整が不要となり、精度の良い補正されたストローブ信号S3を生成することが可能なる。
【0042】
ここに、図3において、PLLに入力する周波数の間には、次の関係がある。
rck=(1/m)×基準クロックS1
vck=(1/n)×逓倍後基準クロックS4
PLLにより rck=vck となる。
よって、逓倍後基準クロックS4と基準クロックS1との間には、次の関係が成立する。
逓倍後基準クロックS4=(n/m)×基準クロックS1
【0043】
(3)第3の実施形態
図4は本実施形態の遅延制御装置DC3のブロック図である。
本実施形態と第2の実施形態(図3)との相違点は、遅延素子制御部20Bの内部構成だけである。
即ち、遅延素子制御部20Bは、第1の遅延素子21と、遅延制御回路22と、位相比較器23と、パルス発生回路24とを備える。
【0044】
遅延制御回路22は、位相比較器23の比較結果をもとに、第1の遅延素子21に設定する設定値を加減算する。
位相比較器23は、パルス発生回路24の出力信号(非通過パルス信号S5)と第1の遅延素子21の出力信号(通過パルス信号S6)との位相比較を行う。
パルス発生回路24は、逓倍後基準クロックS4からその1周期分だけアクティブになる信号(非通過パルス信号S5)を発生する。
【0045】
以上の構成において、位相比較器23において、第1の遅延素子21を通さない非通過パルス信号S5と通過した通過パルス信号S6とを比較する。比較の結果、第1の遅延素子21の遅延値が、遅延を通さない非通過パルス信号S5の1周期分Hになる場合には、第1の遅延素子21を通過した通過パルス信号S6のHが来れば、第1の遅延素子21の遅延は1周期分ないことが分かる。
【0046】
また、遅延を通さないパルスがLになったときに第1の遅延素子21を通過したパルスのHが来れば、第1の遅延素子21の遅延は1周期以上の遅延があることが分かる。
【0047】
そして、遅延制御回路22は、位相比較器23が第1の遅延素子21の遅延値が、逓倍後基準クロックS4の1周期に満たない遅延であることを示すと、現在の遅延単位から1単位だけ増やした設定を第1の遅延素子21に与える。
次に、位相比較器23が1周期に満たない遅延であることを示すと、さらに1単位増やす。逆に、1周期を超える遅延であることを示すと、1単位減らす。
【0048】
安定した状態において、1単位を増減が順に続けば(単位がn,n+1,n,n+1,…)、それ(遅延単位が、nまたはn+1)が、逓倍後基準クロックS4の1周期を実現する遅延設定値となる。
【0049】
(4) 第4の実施形態
図5は本実施形態の遅延制御装置DC4のブロック図である。
本実施形態と第3の実施形態(図4)との相違点は、遅延素子制御回路22からの遅延値選択信号S7を第1の遅延素子21にも加えた点だけである。
【0050】
本実施形態は、非特許文献1の例では、図8に示したDLL100の基準クロックS1の周期測定は精度が出るが、実際にストローブ信号S2を補正するための第1の遅延素子110に設定する値を算出する遅延設定値算出回路300でその精度が生かされない場合が生じる。この不都合を解決するための実施形態である。
【0051】
次に本実施形態の動作を説明する。
図5において、例えば補正されたストローブ信号S3に基準クロックS1の20%の遅延を与えたい場合、m=1、n=5の設定をすれば、逓倍後基準クロックS4は基準クロックS1の5倍の周波数になり、基準クロックS1に対し5倍の周波数の周期を第1の遅延素子21で実現できる。この第1の遅延素子21に与える設定をそのまま、第2の遅延素子30に与えることにより、基準クロックS1の20%の遅延をストローブ信号S2に与えることが可能となる。
【0052】
ここに、第1の遅延素子21の遅延値が逓倍後基準クロックS4の1周期の遅延の設定値であるならば、第2の遅延素子30の遅延値も逓倍後基準クロックS4の1周期分の遅延とすることができる。
【0053】
(5) 第5の実施形態
図6は本実施形態の遅延制御装置DC5のブロック図である。
本実施形態と第4の実施形態(図5)との相違点は、第1の遅延素子21Aおよび加算器40を加えた点である。
【0054】
非特許文献1の例では、図8の構成にて、補正されたストローブ信号S3を出力する第2の遅延素子200の遅延設定精度が良い場合であっても、LSI内部では補正されたストローブ信号S3がFFまでに到達する時間、データがLSIに入力されてからFFまで到達する時間の差により、第2の遅延素子200の遅延値の微調整が必要となる。本実施形態はこの遅延値の微調整を不要とした場合である。
【0055】
図6においては、第1の遅延素子21Aの構成が、図10に示した粗い遅延単位の第3の遅延素子112と、微細な遅延単位の第4の遅延素子113により構成されている。
【0056】
粗い遅延の設定値は、第3の遅延素子112と信号補正用の第4の遅延素子113に与えられ、信号補正用の第4の遅延素子113に与える微細な遅延の設定値は、加算器15を通し第1の遅延素子21Aに与える。加算器15には外部から与えられる信号adjustが接続され、この信号値を加減することによりストローブ信号S2の遅延値をさらに微調整することが可能である。
【0057】
このようにすれば、粗い遅延の設定値信号S8を第2の遅延素子30Aの第1のselA端子に供給し、加減した微細な遅延の設定値信号S10を第2のselB端子に供給している。
ここに、selAとselBとに分けているのは、非特許文献1に示すように、粗い遅延と微細な遅延を、素子を組み合わせた遅延素子を示唆しているのではなく、遅延設定値が例えば10ビットあれば上位を粗い設定、下位を細かな設定という意味で使用している。
【0058】
非特許文献1に示されているような遅延素子の粗い遅延素子と、微細な遅延素子の設定の設定値と考えても良いが、ここでは第1の遅延素子21Aの細かな構成には触れていないので、上位ビット、下位ビットの意味でよいと、考える。
「微細な遅延の設定(下位ビットの値)を変更することにより、遅延値の微調整が可能となる。」
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、以下の効果を発揮することができる。
【0060】
請求項1記載の発明によれば、逓倍後基準クロックS4を基準クロックS1の例えば5倍の周波数にすると、遅延素子制御手段は、逓倍後基準クロックS4の1周期分の遅延値を捉え、この遅延値を第2の遅延素子に設定するので、基準クロックS1の20%の遅延をストローブ信号S2に与えることが可能となる。従って、第2の遅延素子においては微調整が不要となり、精度の良い補正されたストローブ信号S3を生成することが可能となる。
【0061】
請求項2記載の発明によれば、遅延値は、1/m分周回路と1/n分周回路のm,nの組み合わせにより設定することができる。また、PLLを用いているので、安定した周波数の逓倍後基準クロックS4を実現できる。
【0062】
請求項3記載の発明によれば、位相比較器において、非通過パルス信号S5と通過パルス信号S6とを比較し、比較の結果に応じて遅延制御手段は第2の遅延素子手段の遅延値を制御するので、第2の遅延素子手段においては微調整が不要となり、精度の良い補正されたストローブ信号S3を生成することが可能となる。
【0063】
請求項4記載の発明によれば、遅延値選択信号S7を第2の遅延素子手段と第1の遅延素子手段の双方に供給しているので、第1の遅延素子の遅延値が逓倍後基準クロックS4の1周期の遅延の設定値であるならば、第2の遅延素子の遅延値も逓倍後基準クロックS4の1周期分の遅延とすることができる。
【0064】
請求項5記載の発明によれば、微細な遅延の設定(下位ビットの値)を変更することにより、遅延値の微調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のブロック図である。
【図2】同第1の実施形態における、基準クロックと逓倍後基準クロックとの関係を示すタイムチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態のブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施形態のブロック図である。
【図5】本発明の第4の実施形態のブロック図である。
【図6】本発明の第5の実施形態のブロック図である。
【図7】有効なデータ幅と該データを取り込むためのストローブ信号のタイミング波形例を示す図である。
【図8】DLLを使用した遅延ズレを抑制する回路例のブロック図である。
【図9】図8における第1の遅延素子の例のブロック図である。
【図10】図8における第2の遅延素子の例のブロック図である。
【符号の説明】
D…データ
DC1〜DC5…遅延制御装置
S1…基準クロック
S2…ストローブ信号
S3…補正されたストローブ信号
S4…逓倍後基準クロック
S5…非通過パルス信号
S6…通過パルス信号
S7…遅延値選択信号
S8…粗い遅延の設定値信号
S9…微細な遅延の設定値信号
S10…加減した微細な遅延の設定値信号
10A,10B…周波数逓倍部
11…1/m分周回路
12…PLL
13…1/n分周回路
15…加算器
20A〜20D…遅延素子制御部
21,21A…第1の遅延素子
22…遅延制御回路
23…位相比較器
24…パルス発生回路
30,30A…第2の遅延素子
40…加算器
100…DLL
110…第1の遅延素子
111…選択回路
112…第3の遅延素子
113…第4の遅延素子
120…位相比較器
130…遅延制御回路
200…第2の遅延素子
300…遅延設定値算出回路
Claims (5)
- 基準クロックを逓倍した逓倍後基準クロックを出力する周波数逓倍装置と、
該周波数逓倍手段が出力した逓倍後基準クロックを入力する第1の遅延素子手段と、
入力データを取り込むストローブ信号が入力する第2の遅延素子手段と、
前記逓倍後基準クロックの1周期分の遅延値を捉え、該遅延値を前記第2の遅延素子手段の設定し、該第2の遅延素子手段から補正後ストローブ信号を出力させる遅延素子制御手段と
を備えたことを特徴とする遅延制御装置。 - 請求項1記載の遅延制御装置において、
前記周波数逓倍手段は、
PLLと、
前記基準クロックを1/m分周して前記PLLに入力する1/m分周手段と、
前記PLLの比較クロック入力としてPLL出力を1/n分周する1/n分周手段と
を備えてなることを特徴とする遅延制御装置。 - 請求項1記載の遅延制御装置において、
前記遅延素子制御手段は、遅延値を選択可能な第1の遅延素子と、該遅延値を選択する遅延制御手段と、位相比較器とを備えてなり、
前記位相比較器は、前記逓倍後基準クロックまたは該逓倍後基準クロックから発生するパルス信号と、前記逓倍後基準クロックまたはパルス信号が前記第1の遅延素子手段を通過して出力した通過パルス信号とを比較し、
前記遅延制御手段は、前記位相比較器の比較結果に基き第2の遅延素子手段の遅延値を制御する遅延値選択信号を発生することを特徴とする遅延制御装置。 - 請求項3記載の遅延制御装置において、
前記遅延値選択信号を、前記第1の遅延素子手段にも供給することを特徴とする遅延制御装置。 - 請求項4記載の遅延制御装置において、
前記遅延値選択信号を加減算した後に、前記第2の遅延素子手段に入力すること特徴とする遅延制御装置。
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