JP2004289195A - ハイパスフィルタ内蔵配線基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の誘電体層1〜6が積層されて成る基体と、この基体の上面に形成された弾性表面波フィルタ素子を収容するキャビティ7と、基体の内部に内蔵された、弾性表面波フィルタ素子の送信入力側に電気的に接続されるハイパスフィルタとを具備するハイパスフィルタ内蔵配線基板である。弾性表面波フィルタ素子の通過帯域より低周波帯域の特定の周波数で十分な減衰量が得られ、通過帯域よりも低周波帯域の不要な信号を減衰させることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルタを有する弾性表面波フィルタ素子を収納する多層配線基板であって、特に、弾性表面波フィルタ素子の通過帯域より低い周波数の電気信号を減衰するハイパスフィルタを有するハイパスフィルタ内蔵配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話や移動体通信に用いられる電子機器等の小型化・高密度化・低価格化に対する要求が高まる中、フィルタを基板に内蔵することで部品点数を減少させ、小型化・高密度化を現実する配線基板がある。
【0003】
このような配線基板として、例えば特開2002−111317号公報には、複数の誘電体が積層された積層体ブロックと、電子部品を搭載するために誘電体ブロックの主面側の一部から誘電体層の積層方向に積層されたキャビティとを有する多層配線基板において、キャビティを形成しない誘電体層の層間であってキャビティの下部誘電体層間に、相対的に長いストリップラインと、一方の電極がその長いストリップラインに接続され他方の電極が下部誘電体層間を介してアース電位に接続された容量成分とを含むローパスフィルタを形成し、キャビティを形成する誘電体層の層間であってキャビティに隣接する隣接誘電体層間の箇所に、相対的に短いストリップラインと、一方の電極がその短いストリップラインに接続され他方の電極が隣接誘電体層間を介して入力回路に接続された容量成分とを含むハイパスフィルタを形成したことを特徴とする多層配線基板が開示されている。
【0004】
これによれば、比較的広い面積を確保できるキャビティ下部に長いストリップラインと所定の容量成分を必要するローパスフィルタを形成するとともに、面積の狭いキャビティ隣接箇所に短いストリップラインと所定の容量電極で構成できるハイパスフィルタを形成することにより、キャビティを形成するために存在するデットスペースであるキャビティ下部およびキャビティ隣接箇所を有効利用して、基板の大きさを必要以上に大きくすることをせずしてフィルタを内蔵することができるというものである。
【0005】
また、キャビティの底面を含む面のうち、平面視でローパスフィルタとハイパスフィルタとが重なる領域のほぼ全域に接地導体を形成した場合は、上下のフィルタを分離して相互干渉を無くするシールド構造を兼ねることができるというものである。
【0006】
また、誘電体層の層間であって平面視で2種のローパスフィルタとハイパスフィルタのいずれとも重ならない位置に、積層型誘電体フィルタとなる複数のストリップラインを形成した場合は、分波器に接続される各周波数帯のフィルタと分波器との接続間距離が短くなり、伝送損失を著しく減少させることができるというものである。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−111317号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2002−111317号公報に開示された多層配線基板では、キャビティを形成しない誘電体層の層間であってキャビティの下部誘電体層間に、相対的に長いストリップラインと、一方の電極がその長いストリップラインに接続され他方の電極が下部誘電体層間を介してアース電位に接続された容量成分とを含むローパスフィルタを形成し、キャビティを形成する誘電体層の層間でキャビティに隣接する隣接誘電体層間の箇所に、相対的に短いストリップラインと、一方の電極がその短いストリップラインに接続され他方の電極が隣接誘電体層間を介して入力回路に接続された容量成分とを含むハイパスフィルタを形成しているため、デットスペースを有効利用することができるが、キャビティ内に弾性表面波フィルタを搭載して電気的に接続した場合は、ハイパスフィルタにおいて、ストリップラインが短いため、弾性表面波フィルタ素子の通過帯域より低周波域の特定の周波数で十分な減衰量をとるハイパスフィルタが作製できず、例えばミキサから発生する弾性表面波フィルタの通過帯域よりも低周波帯域の不要な信号を減衰させるといった用途には不向きであるという問題点があった。
【0009】
また、このハイパスフィルタはキャビティを形成するために存在するデッドスペースを有効利用するものであるが、必要とされるストリップラインは短いとは限らないため、長いストリップラインを形成する必要がある場合においては、逆に大きな面積が必要となり、基板の大きさを大きくする必要があるという問題点もあった。
【0010】
本発明は上記のような従来の技術の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、ハイパスフィルタを基体の内部に構成し、弾性表面波フィルタ素子の送信入力側にこのハイパスフィルタを接続することにより、弾性表面波フィルタ素子の通過帯域より低周波域の特定の周波数で十分な減衰量が得られるとともに、内蔵するハイパスフィルタとして小型で損失の少ないハイパスフィルタを実現することができるハイパスフィルタ内蔵配線基板を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板は、複数の誘電体層が積層されて成る基体と、この基体の上面に形成された弾性表面波フィルタ素子を収容するキャビティと、前記基体の内部に内蔵された、前記弾性表面波フィルタ素子の送信入力側に電気的に接続されるハイパスフィルタとを具備することを特徴とするものである。
【0012】
本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板によれば、このような構成としたことにより、ハイパスフィルタの特定の周波数の減衰量が大きいという特長を利用して、弾性表面波フィルタ素子の通過帯域より低周波帯域の特定の周波数で十分な減衰量を得ることができる。
【0013】
また、本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板は、上記構成において、前記ハイパスフィルタは、ストリップラインと、容量を形成する容量電極とを有しており、前記ストリップラインおよび前記容量電極は前記キャビティの下方部以外の部位に配置されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板によれば、このような構成としたときには、基体の下方に配置される接地電極と、これらストリップラインおよび容量電極との距離を十分に大きくとって離すことができるため、ストリップラインおよび容量電極の浮遊容量を減らせるので、小型で低損失なハイパスフィルタとすることができる。
【0015】
また、本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板は、上記構成において、ストリップラインは、前記キャビティの底面より上面側に、前記キャビティの周囲に沿って回るように配置されていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板によれば、このような構成としたときには、通常はデッドスペースとなるキャビティの外周部分を、その長さによって比較的大きな面積を必要とするストリップラインの設置場所として有効に利用することができるため、基体の大きさを不必要に大きくする必要がない。
【0017】
また、本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板は、上記各構成において、前記基体の内部に内蔵された、前記弾性表面波フィルタ素子に電気的に接続される位相調整用ストリップラインを具備することを特徴とするものである。
【0018】
本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板によれば、このような構成としたときには、信号の位相を調整する移相器となる位相調整用ストリップラインにより、弾性表面波フィルタ素子の送信出力側の位相を適切に調整できるものとなる。
【0019】
また、本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板は、上記構成において、前記ストリップラインと前記位相調整用ストリップラインとが前記基体の前記キャビティを挟んで対向する部位にそれぞれ配置されていることを特徴とするものである。
【0020】
本発明のハイパスフィルタ内蔵基板によれば、このような構成にしたときには、ストリップラインと位相調整用ストリップラインとの距離が十分に離れて、ハイパスフィルタと移相器との間のアイソレーションを向上させることができるため、より低損失なハイパスフィルタを構成することができるものとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板について図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1は本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板の実施の形態の一例を示す分解斜視図である。図1において、1は第1の誘電体層、2は第2の誘電体層、3は第3の誘電体層、4は第4の誘電体層、5は第5の誘電体層、6は第6の誘電体層、7はキャビティ、8は第1の接地電極、9は第2の接地電極、10は位相調整用ストリップライン、11は第1の容量電極、12は第2の容量電極、13は第3の容量電極、14はストリップライン、15は第1の貫通導体、16は第2の貫通導体、17は弾性表面波フィルタ素子の送信入力側に電気的に接続される出力端子、18は弾性表面波フィルタ素子の送信出力側に電気的に接続される入力端子、19は接地容量電極である。
【0023】
図1に示す例においては、第1の誘電体層1および第2の誘電体層2の間に形成された第1の容量電極11と、第2の誘電体層2および第3の誘電体層3の間に形成された第2の容量電極12との間に生じる容量をC1とし、第2の誘電体層2および第3の誘電体層3の間に形成された第2の容量電極12と、第3の誘電体層3および第4の誘電体層4の間に形成された第3の容量電極13との間に生じる容量をC2とし、第5の誘電体層5および第6の誘電体層6の間に形成された接地容量電極19と、第6の誘電体層6の下面に形成された第1の接地電極8との間に生じる接地容量をC3とし、第2の誘電体層2および第3の誘電体層3の間に形成されたストリップライン14により生じるインダクタンスをL1としたとき、ストリップライン14が一方端を第1の貫通導体15を介して接地電極19に電気的に接続されるとともに、他方端が第2の容量電極12と接続されることにより、L1・C1・C2からなるT型のハイパスフィルタを構成し、さらにL1・C3からなる直列共振回路を構成している。
【0024】
また、第5の誘電体層5および第6の誘電体層6の間に、第6の誘電体層6の下面に形成された第1の接地電極8と、第4の誘電体層4および第5の誘電体層5の間に形成された第2の接地電極9とに挟まれた、位相調整用ストリップライン10にて移相器Sを形成している。そして、出力端子17はハイパスフィルタの送信出力側すなわちC1と、また入力端子18は位相調整用ストリップライン10に第2の貫通導体16を介してそれぞれ電気的に接続されている。
【0025】
このような図1に示す本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板の例によれば、その等価回路図は図2に示すようなものとなる。なお、図2において、破線で囲んだ部分が図1に示す本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板の例の等価回路に相当する部分である。
【0026】
そして、第1〜第6の誘電体層1〜6の厚みおよび誘電率、ならびに第1〜第3の容量電極11〜13の大きさによって容量C1・C2を調整し、また接地容量電極19の大きさによって接地容量C3を調整し、また、ストリップライン14の長さまたは幅によってインダクタンスL1を調整することにより、所望のハイパス特性を有するハイパスフィルタを内蔵した配線基板を得ることができる。
【0027】
また、本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板によれば、弾性表面波フィルタ素子の送信入力側に電気的に接続される出力端子17に電気的に接続されたハイパスフィルタを内蔵した配線基板とし、弾性表面波フィルタ素子の通過帯域より遮断周波数の低い、直列共振回路を有するハイパスフィルタを弾性表面波フィルタ素子の送信入力側に電気的に接続することにより、弾性表面波フィルタ素子の通過帯域より低周波域で直列共振の共振周波数を目的の周波数帯域に合わせることで、直列共振回路の特定の周波数帯域を減衰させる特長を利用して、特定の周波数帯域で十分な減衰量が得られるハイパスフィルタが作製できないという従来の多層配線基板における問題点を補い、低周波帯域で十分に高い減衰量を得ることができるものとなり、例えばミキサから発生する弾性表面波フィルタの通過帯域よりも低周波帯域の不要な信号を十分に減衰させることができるものとなる。また、上記のようなハイパスフィルタを基体の内部に内蔵したことにより、部品点数の減少を図ることができる。
【0028】
また、ハイパスフィルタの容量C1・C2を形成する第1〜第3の容量電極11〜13およびインダクタンスL1を形成するストリップライン14を基体のキャビティ7の下方部以外の部位に配置したときには、接地電極8と第1〜第3の容量電極11〜13との距離を十分に大きくとって離すことができ、さらに接地電極8とストリップライン14との距離も同様に離すことができ、第1〜第3の容量電極11〜13およびストリップライン14の第1の接地電極8からの浮遊容量を減らすことができるため、低損失なハイパスフィルタを構成することができる。
【0029】
また、ストリップライン14をキャビティ7の底面より上面側に、キャビティ7の周囲に沿って回るように配置したときには、通常はデッドスペースとなるキャビティの外周部分を、その長さによって比較的大きな面積を必要とするストリップライン14の設置場所として利用することにより、基体を不必要に大きくする必要がなく、しかも、長いストリップライン14の形成が可能となるとともに、キャビティ7を形成するには第1〜第3の誘電体層1〜3にある程度の厚みが必要なために、この部分に形成されるストリップライン14と接地電極8との距離をさらに離すことができ、より第1の接地電極8からの浮遊容量の少ない、Q値の高いインダクタを形成することが可能になり、より低損失なハイパスフィルタを構成することができる。
【0030】
また、弾性表面波フィルタ素子の送信出力側に電気的に接続される、信号の位相を調整する移相器Sとして機能する位相調整用ストリップライン10を内蔵したときには、この位相調整用ストリップライン10により弾性表面波フィルタ素子の送信出力側の位相を適切に調整できるものとなる。また、位相調整用ストリップライン10をキャビティ7の底面より基体の下面側に配置すると、十分な長さの位相調整用ストリップライン10を基体を不必要に大きくすることなく内蔵できるようになる。
【0031】
図3は、図1に示す本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板の例におけるハイパスフィルタの周波数特性を示す線図である。図3において、横軸は周波数(単位:GHz)を、縦軸は送信側の信号通過量S(2,1)(単位:dB)を表わし、実線の特性曲線は本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板に弾性表面波フィルタ素子を実装したときの周波数特性を、破線の特性曲線は従来のハイパスフィルタ内蔵配線基板に弾性表面波フィルタ素子を実装したときの周波数特性を示している。
【0032】
図3に示す結果より、本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板によれば、内蔵された直列共振回路を有するハイパスフィルタの低周波数における特定の周波数の信号に対する減衰効果によって、弾性表面波フィルタ素子の通過帯域(1.85GHzから1.99GHz)の低周波側において従来のハイパスフィルタ内蔵配線基板に弾性表面波フィルタ素子を実装したときの周波数特性に比べ、ミキサの不必要な信号の周波数帯域(0.8GHzから0.9GHz)で大きな減衰量が得られていることが分かる。
【0033】
なお、本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板におけるハイパスフィルタは、例えば誘電体層がセラミックスから成る場合であれば、焼成後に各誘電体層となる誘電体セラミックグリーンシートに所定の孔開け加工を施すとともに各電極のパターン形状および貫通導体となる貫通孔やグリーンシートの側面等に導体ペーストを塗布し、これらを積層して焼成することによって製作される。あるいは、誘電体層がフッ素樹脂やガラスエポキシ樹脂・ポリイミド樹脂のような樹脂から成る場合であれば、樹脂基板を用い、その表面に被着させた銅箔をエッチングして各電極パターンの形成を行ない、層間接続用ビア導体を形成して積層プレスすることによって製作される。
【0034】
また、第1〜第6の誘電体層1〜6を始めとする誘電体層には、アルミナセラミックス・ムライトセラミックス等のセラミックス材料やガラスセラミックス等の無機系材料、あるいは四フッ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン;PTFE)・四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合樹脂;ETFE)・四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂;PFA)等のフッ素樹脂やガラスエポキシ樹脂・ポリイミド等の樹脂系材料等が用いられる。また、第1および第2の接地電極8・9、第1〜第3の容量電極11〜13、ストリップライン14および位相調整用ストリップライン10、出力端子17、入力端子18には、高周波信号伝送用の金属材料の導体層、例えばCu層・Mo−Mnのメタライズ層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの・Wのメタライズ層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの・Cr−Cu合金層・Cr−Cu合金層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの・Ta2N層上にNi−Cr合金層およびAuメッキ層を被着させたもの・Ti層上にPt層およびAuメッキ層を被着させたもの・またはNi−Cr合金層上にPt層およびAuメッキ層を被着させたもの等が用いられ、厚膜印刷法あるいは各種の薄膜形成方法やメッキ法等により形成される。その厚みや幅は、伝送される高周波信号の周波数や用途等に応じて設定される。
【0035】
次に、図4に本発明のハイパスフィルタ内蔵多層基板の実施の形態の他の例を、図1と同様の分解斜視図で示す。図4において、1aは第1の誘電体層、2aは第2の誘電体層、3aは第3の誘電体層、4aは第4の誘電体層、5aは第5の誘電体層、6aは第6の誘電体層、7aはキャビティ、8aは第1の接地電極、9aは第2の接地電極、10aは位相調整用ストリップライン、11aは第1の容量電極、12aは第2の容量電極、13aは第3の容量電極、14aはストリップライン、15aは第1の貫通導体、16aは第2の貫通導体、17aは弾性表面波フィルタ素子の送信入力側に電気的に接続される送信側出力端子、18aは弾性表面波フィルタ素子の受信入力側に電気的に接続される受信側出力端子、19aは接地容量電極である。
【0036】
図4に示す例においては、第2の誘電体層2aおよび第3の誘電体層3aの間に形成された第1の容量電極11aと、第3の誘電体層3aおよび第4の誘電体層4aの間に形成された第2の容量電極12aとの間に生じる容量をC1aとし、第3の誘電体層3aおよび第4の誘電体層4aの間に形成された第2の容量電極12aと、第4の誘電体層4aおよび第5の誘電体層5aの間に形成された第3の容量電極13aとの間に生じる容量をC2aとし、第5の誘電体層5aおよび第6の誘電体層6aの間に形成された接地容量電極19aと、第6の誘電体層6aの下面に形成された第1の接地電極8aとの間に生じる接地容量をC3aとし、第3の誘電体層3および第4の誘電体層4の間に形成されたストリップライン14aにより生じるインダクタンスをL1aとしたとき、ストリップライン14aの一方端が第1の貫通導体15aを介して接地電極19aに電気的に接続されるとともに、他方端が第2の容量電極12aと接続されることにより、L1a・C1a・C2aからなるT型のハイパスフィルタを構成し、さらにL1a・C3aからなる直列共振回路を構成している。
【0037】
また、第2の誘電体層2aから第6の誘電体層6aの間に、第6の誘電体層6aの下面に形成された第1の接地電極8aと、第1の誘電体層1aおよび第2の誘電体層2aの間に形成された第2の接地電極9aとに挟まれた、位相調整用ストリップライン10aにて移相器Saを形成している。そして、送信側出力端子17aはハイパスフィルタの送信出力側すなわちC1aと、また受信側出力端子18aは位相調整用ストリップライン10aに第2の貫通導体16aを介してそれぞれ電気的に接続されている。
【0038】
この図4に示す例は、図1に示す例に比べて移相器Saを受信側に設けることによって、受信側の位相を適切に調整しようというものである。
【0039】
このような図4に示す本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板の例によれば、その等価回路図は図5に示すようなものとなる。なお、図5において、破線で囲んだ部分が図4に示す本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板の例の等価回路に相当する部分である。
【0040】
そして、図4に示すようにストリップライン14aと位相調整用ストリップライン10aとを基体のキャビティ7aを挟んで対向する部位にそれぞれ配置することにより、両ストリップライン14a・10a間の距離を離すとともに、両ストリップライン14a・10aの間にキャビティ7aを介在させることで、ハイパスフィルタと位相器Saとの間のアイソレーションが向上するので、より損失の少ないハイパスフィルタを内蔵した配線基板を得ることができる。
【0041】
図6は、図4に示す本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板の例におけるハイパスフィルタの周波数特性を示す線図である。図6において、横軸は周波数(単位:GHz)を、縦軸は送信側の信号通過量S(2,1)(単位:dB)を表わし、細い実線の特性曲線がストリップライン14aと位相調整用ストリップライン10aとの距離が近いハイパスフィルタを弾性表面波フィルタ素子に電気的に接続したときの特性を、また太い実線の特性曲線がストリップライン14aと位相調整用ストリップライン10aとを基体のキャビティ7aを挟んで対向する部位に配置したハイパスフィルタを電気的に接続したときの特性を、そして破線の特性曲線は従来のハイパスフィルタ内蔵配線基板に弾性表面波フィルタ素子を実装したときの周波数特性を示している。
【0042】
図6に示す結果より、本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板によれば、内蔵された直列共振回路を有するハイパスフィルタの低周波数における特定の周波数の信号に対する減衰効果によって、弾性表面波フィルタ素子の通過帯域(1.85GHzから1.99GHz)の低周波側において従来のハイパスフィルタ内蔵配線基板に弾性表面波フィルタ素子を実装したときの周波数特性に比べ、ミキサの不必要な信号の周波数帯域(0.8GHzから0.9GHz)で大きな減衰量が得られていることが分かる。また、ストリップライン14aと位相調整用ストリップライン10aとの距離が近いと、送信側の信号が受信側に流れるため、送信側の信号通過量S(2,1)の減少が見られるが、ストリップライン14aと位相調整用ストリップライン10aとを基体のキャビティ7aを挟んで対向する部位に配置することで送信側の信号の減衰が見られないことが分かる。
【0043】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。例えば、本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板によれば、第1〜第6の誘電体層1〜6および1a〜6aの厚みを薄くしたり、これらに高誘電率材料を用いたり、第2および第3の誘電体層2・3および3a・4aに磁性体を混ぜたりすることにより、さらなる特性の改善や小型化が可能となる。
【0044】
また、第1の誘電体層1・1aの上面にシールド電極を設けたり、第1および第2の貫通導体15・15aおよび16・16aの代わりに、誘電体層の側面に各電極の接続用導体を形成して各電極間を電気的に接続してもよい。
【0045】
また、搭載される弾性表面波フィルタ素子は送信側だけのもののみだけでなく、受信側の弾性表面波フィルタ素子を同じキャビティ7・7aの内部に搭載したり、送信側と受信側が一体化された弾性表面波フィルタ素子を搭載してもよい。
【0046】
また、位相調整用ストリップライン10・10aは、キャビティ7・7aの底面より上面側に配置するもののみに限られるものではなく、ストリップライン14・14aに対してキャビティ7・7aを挟んで対向するように、キャビティ7・7aの底面より下面側に配置してもハイパスフィルタと移相器S・Saとの間のアイソレーションを向上させることができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板によれば、複数の誘電体層が積層されて成る基体と、この基体の上面に形成された弾性表面波フィルタ素子を収容するキャビティと、基体の内部に内蔵された、前記弾性表面波フィルタ素子の送信入力側に電気的に接続されるハイパスフィルタとを具備することにより、弾性表面波フィルタ素子の通過帯域より低周波帯域の特定の周波数で十分な減衰量が得られないという従来の多層配線基板における問題点を補い、低周波帯域の特定の周波数で十分に高い減衰量を得ることができ、例えばミキサから発生する通過帯域よりも低周波帯域の不要な信号を減衰させることができる。
【0048】
また、本発明のハイパスフィルタ内蔵配線基板によれば、ハイパスフィルタは、ストリップラインと、容量を形成する容量電極とを有しており、ストリップラインおよび容量電極はキャビティの下方部以外の部位に配置されているものとしたときには、容量電極およびストリップラインの浮遊容量を減らすことができるため、低損失なハイパスフィルタを構成することができる。
【0049】
また、このストリップラインをキャビティの底面より上面側に、キャビティの外周に沿って回るように配置されているものとしたときには、基体を不必要に大きくする必要がなく、その上、キャビティを形成する上ではその外周となる誘電体層にはある程度の厚みが必要なために、この外周部分に配置されたストリップラインと接地電極との距離を十分に離すことができ、接地容量に対して浮遊容量のより少ない、Q値の高いインダクタを形成することが可能になり、より低損失なハイパスフィルタを構成することができる
また、弾性表面波フィルタ素子の送信出力側に電気的に接続される、信号の位相を調整する移相器として機能する位相調整用ストリップラインを内蔵するものとしたときには、この位相調整用ストリップラインにより弾性表面波フィルタ素子の送信出力側の位相を適切に調整できるものとなる。
【0050】
また、この位相調整用ストリップラインをキャビティの底面より基体の下面側に配置すると、比較的長い位相調整用ストリップラインを基体を不必要に大きくすることなく内蔵できるようになる。
【0051】
また、ストリップラインと位相調整用ストリップラインとを基体のキャビティを挟んで対向する部位にそれぞれ配置したときには、ストリップラインと位相調整用ストリップラインとの距離が十分に離れて、ハイパスフィルタと移相器との間のアイソレーションを向上させることができるため、より低損失なハイパスフィルタを構成することができる。
【0052】
以上により、本発明によれば、ハイパスフィルタを基体の内部に構成し、弾性表面波フィルタの送信入力側にこのハイパスフィルタを接続することにより、弾性表面波フィルタ素子の通過帯域より低周波域の特定の周波数で十分に高い減衰量を得ることができ、例えばミキサから発生する通過帯域よりも低周波帯域の不要な信号を減衰させることができるとともに、基体の内部に内蔵するハイパスフィルタとして損失の少ない小型のハイパスフィルタを実現することができるハイパスフィルタ内蔵配線基板を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハイパスフィルタ内蔵多層基板の実施の形態の一例を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示すハイパスフィルタ内蔵多層基板の例の等価回路図である。
【図3】図1に示すハイパスフィルタ内蔵多層基板の例におけるハイパスフィルタの周波数特性を示す線図である。
【図4】本発明のハイパスフィルタ内蔵多層基板の実施の形態の他の例を示す分解斜視図である。
【図5】図4に示すハイパスフィルタ内蔵多層基板の例の等価回路図である。
【図6】図4に示すハイパスフィルタ内蔵多層基板の例におけるハイパスフィルタの周波数特性を示す線図である。
【符号の説明】
1、1a・・・・・第1の誘電体層
2、2a・・・・・第2の誘電体層
3、3a・・・・・第3の誘電体層
4、4a・・・・・第4の誘電体層
5、5a・・・・・第5の誘電体層
6、6a・・・・・第6の誘電体層
7、7a・・・・・キャビティ
8、8a・・・・・第1の接地電極
9、9a・・・・・第2の接地電極
10、10a・・・・・位相調整用ストリップライン
11、11a・・・・・第1の容量電極
12、12a・・・・・第2の容量電極
13、13a・・・・・第3の容量電極
14、14a・・・・・ストリップライン
15、15a・・・・・第1の貫通導体
16、16a・・・・・第2の貫通導体
17・・・・・弾性表面波フィルタ素子の送信入力側に電気的に接続される出力端子
17a・・・・・弾性表面波フィルタ素子の送信入力側に電気的に接続される送信側出力端子
18・・・・・弾性表面波フィルタ素子の送信出力側に電気的に接続される入力端子
18a・・・・・弾性表面波フィルタ素子の受信入力側に電気的に接続される受信側出力端子
19、19a・・・・・接地容量電極
Claims (5)
- 複数の誘電体層が積層されて成る基体と、該基体の上面に形成された弾性表面波フィルタ素子を収容するキャビティと、前記基体の内部に内蔵された、前記弾性表面波フィルタ素子の送信入力側に電気的に接続されるハイパスフィルタとを具備するハイパスフィルタ内蔵配線基板。
- 前記ハイパスフィルタは、ストリップラインと、容量を形成する容量電極とを有しており、前記ストリップラインおよび前記容量電極は前記キャビティの下方部以外の部位に配置されていることを特徴とする請求項1記載のハイパスフィルタ内蔵配線基板。
- 前記ストリップラインは、前記キャビティの底面より上面側に、前記キャビティの外周に沿って回るように配置されていることを特徴とする請求項2記載のハイパスフィルタ内蔵配線基板。
- 前記基体の内部に内蔵された、前記弾性表面波フィルタ素子に電気的に接続される位相調整用ストリップラインを具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のハイパスフィルタ内蔵配線基板。
- 前記ストリップラインと前記位相調整用ストリップラインとが前記基体の前記キャビティを挟んで対向する部位にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項4記載のハイパスフィルタ内蔵配線基板。
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