JP2004287354A - 光変調素子および当該光変調素子を有するシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】光変調素子の信号入力端子部での、変調信号の反射による変調電極への入力レベルの低下を抑制する。
【解決手段】マイクロストリップ伝送線路からなる光変調素子の入力線路を、光変調素子の基板誘電率より低い誘電体基板からなるマイクロストリップ伝送線路と接続して変調信号を入力することで、入力端子部での変調信号の反射を低減でき、光変調素子の変調電極に効率良く変調信号を供給できる。
【選択図】 図5
【解決手段】マイクロストリップ伝送線路からなる光変調素子の入力線路を、光変調素子の基板誘電率より低い誘電体基板からなるマイクロストリップ伝送線路と接続して変調信号を入力することで、入力端子部での変調信号の反射を低減でき、光変調素子の変調電極に効率良く変調信号を供給できる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムや光信号処理システムを初めとした、光信号を扱う装置に用いられる光変調素子に関する。特に、光ファイバを用いた光情報通信のための光変調素子や、ファイバ無線システムなどの超高周波の変調信号で光変調を行うシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
光信号を用いて通信や情報処理を行うシステムでは、電気信号(例えばマイクロ波やミリ波のような高周波信号)で光の位相や強度を変調することが必要である。このような光の変調方法には、直接変調と外部変調がある。
【0003】
直接変調は、図1(a)に示すように、半導体レーザなどの光源を駆動する電流を直接変調することにより、光源から出力される光そのものの強度を変調する方式である。直接変調は、光源の外部に変調器を設ける必要がないため、システムの小型化に適しているが、数GHz以上の高周波になると、半導体レーザの持つチャーピングにより、伝送速度が制限される。
【0004】
これに対し、外部変調は、図1(b)に示すように、半導体レーザなどの光源から出力された光(出力の安定した光)を光変調素子に入力し、光変調素子によって光の位相や強度を変調する。光の変調は、電気光学効果、音響光学効果、磁気光学効果、光線形光学効果などを用いて行うことが可能である。
【0005】
上述のように、半導体レーザを直接的に変調する方法によっては、超高速光変調を達成することが困難であるため、高速動作の可能な外部変調型の素子開発が急がれている。外部変調型の素子の中でも、ポッケルス効果を有する誘電体結晶を用いた電気光学光変調素子は、超高速での動作が可能であり、また、変調に伴う位相の乱れも少ないという利点を有している。このため、この電気光学光変調素子は、高速情報伝送や長距離光ファイバ通信などに非常に有効である。また、電気光学光変調素子を用いて光導波路構造を作製すれば、素子の小型化と効率化とを一挙に実現できる可能性がある。
【0006】
一般に、電気光学光変調素子は、電気光学結晶上に変調電極(信号電極)として変調信号を伝搬させる伝送線路と、この伝送線路の近傍に形成された光導波路とによって構成されている。そして、変調電極の周辺に誘起される電界によって光導波路部分の屈折率を変化させ、それによって光導波路中を伝搬する光波の位相を変化させる。
【0007】
電気光学光変調素子に用いられる通常の結晶では、電気光学係数が比較的小さい。電気光学係数は、光変調の基本となるパラメータである。従って、電気光学光変調素子では、電界を光導波路に効率良く印加することが重要となる。
【0008】
図2は、電気光学光変調素子の基本構造を示す断面図である。電気光学効果を有する結晶(電気光学結晶)の基板表面領域に光導波路が形成されており、光導波路の上には変調用電極が形成されている。
【0009】
電気光学結晶は光学的異方性を有しており、印加される電界の大きさに略比例して屈折率が変化する(ポッケルス効果)。このため、変調電極に与える電位Vを調節することにより、光導波路の屈折率nを変化させることができる。光導波路の屈折率変化量Δnは、光導波路に印加される電位Eに比例する。光導波路の屈折率がΔnだけ変化すると、図2に示すように、出力光の位相がΔφだけ変化する。位相の変化量Δφは、一般に、電界強度Eと光導波路の長さLの積に比例する。
【0010】
光導波路に電界を形成するための変調信号は、光変調素子の外部から入力線路を介して光変調素子の電極に与えられるため、変調信号の入力を効率良く行うことが重要となる。
【0011】
次に、図3(a)から(c)を参照しながら、従来の光変調素子を更に詳しく説明する。図3(a)は、従来の光変調素子の平面図であり、図3(b)は、そのA−A’断面図、図3(c)は、そのB−B’断面図である。図3の光変調素子は、非特許文献1に開示されている。
【0012】
図示されている光変調素子は、電気光学効果を有する基板1と、基板1に形成された光導波路2とを有しており、光導波路2の両側には、変調電極3と接地電極4とから構成される変調電極が形成されている。変調電極3および接地電極4によって構成される変調電極は、基板1の片面上に形成された進行波型のコプレーナ伝送線路である。
【0013】
接地電極4は、筐体接地5に接続されている。変調電極3の一端は、終端抵抗6を介して筐体接地5に接続され、変調電極3の他端は、RFコネクタ7に接続されている。図示されているRFコネクタ7は、中心に位置する信号線8と、信号線8aを被覆する絶縁誘電体9とを有している。
【0014】
RFコネクタ7を介して変調電極3と接地電極4の間に変調信号を入力すれば、変調電極3を変調信号波が伝播し、これによって変調電極3と接地電極4の間に電界が生じる。このため、電気光学効果を有する光導波路2の屈折率が変化し、所望の光変調を実現することができる。
【0015】
2本に分かれた光導波路2には、図3(c)に示すように、互いに上下逆方向の電界が印加されるため、2本の光導波路2を伝播する光波には互いに逆の位相変化が与えられる。この結果、2本の光導波路2を伝播してきた光波が分岐部分10a、10bを経て重なり合うと、位相差により干渉する。
【0016】
ミリ波やマイクロ波などの周波数の高い変調信号を伝送するのに適した線路には、コブレーナ伝送線路、マイクロストリップ線路、および同軸伝送線路などがある。
【0017】
コプレーナ伝送線路は、図4(a)に示すように、基板1の片面上に形成された変調電極3および接地電極4によって構成される。変調電極3と接地電極4との間に生じる電界は、接地電極4を含む面に対してほぼ対称に分布する。
【0018】
一方、マイクロストリップ伝送線路は、図4(b)に示すように、基板1の片面に形成された変調電極3、および基板1の裏面に形成された接地電極4によって構成されている。このため、変調電極3と接地電極4との間に生じる電界の大部分は基板1の内部に分布する。
【0019】
同軸伝送線路(同軸ケーブル)は、図4(c)に示すように、中心に位置する電極3と、電極3を被覆すする絶縁性誘電体と、この誘電体の外周に設けられた接地電極4とによって構成される。同軸伝送線路内に形成される電界17は、電極3から接地電極4へ放射状に分布する。
【0020】
このように各種の伝送線路が存在するが、光変調素子の基板では、コプレーナ伝送線路やマイクロストリップ伝送線路が設けられる。これに対して、変調信号の伝搬には、同軸伝送線路を用いることが便利である。ただし、同軸伝送線路を介して基板1上の変調電極3に変調信号を入力するには、図3に示すようなRFコネクタ7の信号線8と基板1上の変調電極3とを接続する必要がある。
【0021】
【特許文献1】
特開平6−110023号公報
【非特許文献1】
IEEE JOURNAL OF SELECTED TOPICS IN QUANTUM ELECTRONICS 6巻 1号の69〜82頁
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
図3に示す従来の光変調素子では、RFコネクタ7および伝送線路の各々の特性インピーダンスが、例えば50Ωに一致するように構成される。このようにして特性インピーダンスを整合させることにより、変調信号の入力条件を良好なものとすることができる。
【0023】
しかし、RFコネクタ7の絶縁誘電体9は、一般にガラスまたはテフロン(登録商標)から形成されており、その誘電率は約5以下であるため、電気光学効果を有する基板1の誘電率(典型的には40程度)に比べて著しく小さいという問題がある。このように伝送線路における誘電体部分の誘電率に大きな差が生じていると、各伝送線路の特性インピーダンスが等しく設定されていても、伝送線路の接合部で変調信号の反射が発生してしまう。このような変調信号の反射が生じると、変調電極への入力レベルが低下し、変調電極による電界の強度が低下するため、光の変調効率が低下してしまう。
【0024】
特に、図4(b)に示すようなマイクロストリップ伝送線路を変調電極として用いる場合は、電極間に形成される電界の大部分が基板1の内部に分布しており、しかも、基板1は誘電率の高い材料から形成されることが多い。このような場合、誘電率差が大きくなりやすく、RFコネクタ7の信号線8と基板1の変調電極3との間の接続部において変調信号の反射が顕著に生じるため、光の変調効率が大きく低下してしまう。
【0025】
また、基板1の厚さを薄くすることにより、基本的なモード以外のモード(基板モード)で電界が基板内に発生しないようにすることが好ましい。しかし、この目的のため、基板1を薄くすると、基板1における電気光学結晶の機械的強度が低下するため、RFコネクタ7の信号線8と基板1の端部が接触して基板1の結晶にワレ・カケなどの損傷が発生しやすい。
【0026】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光変調素子の信号入力端子部における変調信号の反射を抑制し、光変調を高い効率で実現できる光変調素子を提供することにある。
【0027】
また、本発明の他の目的は、基板1を薄くしても、RFコネクタの信号線との接触によって損傷しにくい光変調素子を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明の光変調素子は、第1基板と、前記第1基板に支持された光導波路と、前記光導波路の少なくとも一部に変調電界を印加する変調電極と、前記第1基板の表面に形成され、前記変調電極に電気的に接続された第1入力線路と、前記第1基板に形成された第1接地電極とを備え、前記変調電極、前記第1入力線路、および前記第1接地電極が第1伝送線路を形成している光変調素子であって、前記第1基板の誘電率よりも低い誘電率を有する第2基板と、前記2基板に形成され、前記第1伝送線路に接続された第2伝送線路とを更に備えている。
【0029】
好ましい実施形態において、前記第2基板の誘電率は、前記変調電極に与える変調信号を伝搬する伝送線路のコネクタにおける絶縁誘電体の誘電率よりも高い。
【0030】
好ましい実施形態において、前記変調電極は、前記光導波路に沿って配列された複数の変調電極によって構成され、かつ、前記第1入力線路は、前記複数の変調電極の各々に接続される複数の第1入力線路によって構成され、前記第2入力線路は、前記変調信号を受け取る線路部分と、前記線路部分から延びて前記複数の第1入力線路にそれぞれ接続される複数の線路部分とを有している。
【0031】
好ましい実施形態において、前記第2入力線路を介して前記複数の変調電極部分に到達する変調信号の間には相互に位相差が発生する。
【0032】
好ましい実施形態において、前記位相差は、前記変調信号を伝搬する伝送線路のコネクタと、前記第2入力線路において前記変調信号を受け取る線路部分との接続位置によって調節されている。
【0033】
好ましい実施形態において、前記接地電極は前記第1基板の裏面に形成されており、前記第1伝送線路は、前記第1入力線路と前記接地電極とによって構成された第1マイクロストリップ伝送線路であり、前記第2伝送線路は、前記第2基板の表面に形成された第2入力線路と前記第2基板の裏面に形成された第2接地電極とによって構成されている第2マイクロストリップ伝送線路である。
【0034】
好ましい実施形態において、前記第1基板の厚さは、100μm以上400μm以下の範囲にある。
【0035】
好ましい実施形態において、前記第1基板と前記第2基板とは、略等しい厚さを有している。
【0036】
好ましい実施形態において、前記光導波路の少なくとも一部は、電気光学効果を有する材料から形成されている。
【0037】
好ましい実施形態において、前記第1基板の少なくとも一部は、電気光学効果を有する材料から形成されており、前記光導波路は前記第1基板の一部から構成されている。
【0038】
好ましい実施形態において、前記光導波路は、分岐された少なくとも2つの分枝導波路と、前記2つの分枝導波路を結合する光入力部と、前記2つの分枝導波路を結合する光出力部とを有しており、前記光導波路のうち、前記変調電界が印加される部分は、前記2つの分枝導波路に分かれており、前記変調電極は、前記光導波路の2つの分枝導波路の各々に対して極性の異なる電界を及ぼすように配置されている。
【0039】
好ましい実施形態において、前記変調電極は、第1導体線路と第2導体線路とを有する共振型電極である。
【0040】
好ましい実施形態において、前記第1および第2導体線路は、両端部が短絡された平行結合線路である。
【0041】
本発明のシステムは、上記いずれかの光変調素子と、前記光変調素子に光を入力する入力部と、前記光変調素子における前記変調信号を供給する供給部とを備えている。
【0042】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
まず、図5(a)から(c)を参照しながら、本発明による光変調素子の実施形態を説明する。図5(a)は、本実施形態の光変調素子の主要部を示す平面図、図5(b)は、図5(a)のA−A’線断面図、図5(c)は、後に詳しく説明する平行結合線路13の間隙部16における電界強度分布を示す図である。
【0043】
本実施形態における光変調素子の基板1は、タンタル酸リチウム(LiTaO3)単結晶やニオブ酸リチウム(LiNbO3)単結晶などの電気光学効果を有する材料(電気光学結晶)から形成されている。基板1の主面には、マッハツェンダ干渉計型の光導波路2が形成されている。光導波路2は、基板1の所定領域に対して例えば安息香酸を用いたプロトン交換処理を行うことによって作製される。なお、光導波路2は、電気光学効果を有しない基板上に堆積された電気光学効果を有する膜から形成されていても良い。本明細書では、基板1の一部が光導波路として機能する場合や基板上に光導波路が形成されている場合のように、基板と光導波路との配置関係が固定されているとき、「光導波路が基板に支持されている」状態にあるものとする。
【0044】
本実施形態における光導波路2は、図5(a)に示すように、分岐部分10a、10bにおいて分離した2つの分枝導波路2aおよび2bを有している。所定の長さを有する分枝導波路2aおよび分枝導波路2bの主要部は、基板1の表面において略平行に延びている。分岐した2つの分枝導波路2aおよび2bの屈折率をそれぞれ変化させることにより、分枝導波路2aおよび2bを伝搬する光に位相差を形成し、干渉を生じさせることができる。
【0045】
本実施形態では、光導波路2の分枝導波路2aおよび2bの屈折率を変化させるための変調電極(信号電極)として、図5(a)に示すように、共振型構造を有する平行結合線路13を基板1の光導波路2上に設けている。平行結合線路13は、2つの線路13a、13bと、線路13a、13bの両端を結合する接続線路部15とを有している。2つの線路13a、13bは、図5(b)に示すように2つの分枝導波路2aおよび2bの上に配置されている。
【0046】
平行結合線路13の一部には、平行結合線路13に共振を起こさせるための変調信号を印加する入力線路14が接続されている。入力線路14は、基板1の上面に形成されている。一方、基板1の裏面には、接地電極4が形成されている。平行結合線路13、接続線部15、および入力線路14は、誘電体の基板1を挟んで接地電極4に対向しており、第1マイクロストリップ伝送線路を構成している。
【0047】
平行結合線路13や入力線路14などは、好ましくは、アルミニウムや金などの金属薄膜から形成される。この金属薄膜は、真空蒸着法やスパッタ法などの薄膜加工技術によって基板1の表面に堆積され、フォトリソグラフィおよびエッチングなどの公知の加工技術によって所定形状にパターニングされる。接地電極4は、クロム、ニッケル、パラジウム、アルミニウムなどの単層または複数層の膜から形成されている。接地電極4は、蒸着法やメッキ法によって基板1の裏面全体に形成されることが好ましい。
【0048】
平行結合線路3に共振を起こさせるための信号(変調信号)は、平行結合線路3の一部に接続された上記の入力線路14に入力される。この変調信号は、RFコネクタ7を介して外部から入力線路14に供給されるが、RFコネクタ7は入力線路14と直接的に接続されていない。本実施形態では、基板(「第1基板」と称する。)1の誘電率よりも小さな誘電率を有する基板(「第2基板」と称する。)18を用いて形成した第2マイクストリップ線路を介して、RFコネクタ7の信号線8を入力線路(「第1入力線路」と称する。)14に接続する。第2マイクストリップ線路は、第2基板18の表面に形成された入力線路(「第2入力線路」と称する。)19と、第2基板18の裏面に形成された接地電極(「第2接地電位」と称する。)20とによって構成されており、第2入力線路19は、接続部21において、第1基板1の入力線路(「第1入力線路」と称する。)14に接続されている。第2入力線路19と第1入力線路5との接続は、例えば、直接接触、はんだ付け、金属リボン、金属ワイヤーなどによって行われて得る。一方、第2入力線路19の他端は、RFコネクタ7の信号線8と接続されている。この接続も、直接接触、はんだ付け、金属リボン、金属ワイヤーなどによって接続されている。
【0049】
第2基板18の接地電極20は、第1基板の接地電極(「第1接地電位」と称する。)4と同様の材料から同様の方法で形成され得るし、また、第2基板18の第2入力線路19も、第1入力線路14と同様の材料から同様の方法で形成され得る。
【0050】
第2基板18に形成された第2マイクロストリップ伝送線路は、第2入力線路19および接地電極20によって構成されており、第2入力線路19の幅は、その特性インピーダンスが50Ωとなるように決定されている。
【0051】
RFコネクタ7は、同軸ケーブル、矩形導波管、円形導波管などの信号伝送路を伝播してきた変調信号を、所望の伝送線路へ接続する機能を有する。RFコネクタ7は、例えばガラスやテフロン(登録商標)などの絶縁誘電体9と、絶縁誘電体9内に内に固定され、ベリリウム銅などからなる信号線8で構成されている。絶縁誘電体9の誘電率は約5以下である。
【0052】
第1基板1がタンタル酸リチウムから形成されている場合、その誘電率は、結晶の光学軸に垂直な方向で41、結晶の光学軸に平行な方向で43である。また、第1基板1がニオブ酸リチウムから形成されている場合は、その誘電率は、結晶の光学軸に垂直な方向で43、平行な方向で28である。
【0053】
本実施形態では、第2基板18の誘電率がRFコネクタ7の絶縁誘電体9の誘電率よりも高く、第1基板1の誘電率よりも低い。このような第2基板18は、例えば誘電率が10程度のアルミナセラミックスなどの誘電体から形成されるが、第2基板18の誘電率やRFコネクタ7の絶縁誘電体9の誘電率に応じて適宜最適な誘電率を有する材料が選択される。
【0054】
本実施形態によれば、基板1の入力線路14をRFコネクタ7の信号線8と直接接続する場合に比べ、入力信号の各接続部における変調信号の反射を低減できる。その結果、変調信号を高い効率で変調電極へ入力できるため、光変調効率を向上させることが可能となる。具体的には、第2基板を用いない場合に比べて、変調信号の総反射率を2dB(デシベル)程度低下させることができ、それによって変調効率を2.5倍程度に上昇させることが可能である。
【0055】
また、第1基板1の接地電極4および第2基板18の接地電極20を、パッケージなどの金属面に対して、はんだ付けや導電性接着剤などよって接着することにより、良好な接地電位を容易に得ることができ、特性を向上することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、第1基板1および第2基板18にマイクロストリップ伝送線路を形成しているが、マイクロストリップ伝送線路に代えて図3(a)に示すようなコプレナー型伝送線路を形成しても良い。
【0057】
以下、上記構成を有する光変調素子の動作を説明する。
【0058】
変調対象となる光(入力光11)は、光導波路2の一方の端から入力され、第1分岐部で2つの分枝導波路2a、2bに分かれる。分枝導波路2aおよび2bを伝搬した光は、第2分岐部分で1つに重畳され、光導波路2の他の端から出力光12として出力される。入力光11は、例えば直線偏光を有する半導体レーザ光などの光源から放射されたあと、偏光保持光ファイバなどを伝播してきた光であり、レンズ結合法や光ファイバ端面での直接結合法などによって光導波路2に結合される。出力光12は、同様な手法によって例えばシングルモード光ファイバなどに結合される。
【0059】
変調信号によって平行結合線路13に共振が生じると、間隙部16に電界が生じ、電気光学効果を有する光導波路2の屈折率が変化する。より詳細には、入力線路14に与えられた変調信号は、線路13a、13bと接地電極4との間に電界を形成しながら伝搬する。このとき、線路13a、13bで共振が生じると、線路13aと線路13bとの間に位置する間隙部16には、周期的に振動する電界(共振電界)が発生する。このような共振が生じると、線路13aと線路13bとの間に位置する間隙部16に形成される電界の向きは周期的に反転し、電界強度の振幅は正弦波状に変化する。本実施形態では、線路13a、13bの下方に分枝導波路2a、2bが存在しているため、各分枝導波路2a、2bには、上下逆方向の共振電界が形成される。このため、基板1が例えばzカットのタンタル酸リチウム結晶から形成されている場合、分枝導波路2a、2bを通る光には互いに逆の位相変化が与えられる。適切なモードで共振が生じると、分枝導波路2a、2bを伝搬してきた光は、分岐部分10bで干渉し、出力光12の強度が変化する。
【0060】
線路13a、13bの間隙部16に共振電界を形成しているとき、分枝導波路2a、2bを伝搬してきた2つの光の位相が完全に相互反転させると、2つの光は打ち消しあうため、出力光の強度は略ゼロとなる。一方、線路13a、13bの間隙部16に共振電界を形成しないとき、長さの等しい分枝導波路2a、2bを伝搬してきた2つの光の位相は略一致するため、出力光の強度は入力光の強度から少し減衰したレベルを示す。以上のように、共振電界を形成するか否かにより、入力光11の強度を変調することができる。また、共振電界の形成は、入力線路14に与える電気信号によって制御される。
【0061】
なお、平行結合線路13には、通常、偶対称モードと奇対称モードの2種類の伝搬モードが存在する。奇対称モードでは、平行結合線路を構成する2本の線路13a、13bの電位が互いに反転することとなるため、間隙部16に大きな電界が誘起される。そのため、平行結合線路13に奇対称モードを励振させることによって高い効率の光変調が可能となる。
【0062】
本実施形態では、平行結合線路13の両端が接続線路15によって接続されているので、線路13aと13bの間に生じる電圧は、図5(c)に示すように、平行結合線路13の両端で0、中央で最大となる三角関数の電圧分布を示し、線路13aと線路13bの間の電圧符号はどの分でも同一である。したがって、入力光11が平行結合線路13の下の光導波路2a、2bを伝播している間、常に位相変化が足し合わされ続けるので、高い変調効率が得られる。
【0063】
実際の動作には、変調信号によって平行結合線路13に奇対称モードによる共振を効率良く起こさせる必要がある。そのため、入力インピーダンス整合が行える位置に入力線路14を接続することにより、容易に実現できる。具体的には、入力線路14の特性インピーダンスが例えば50Ωとなるようにその幅を決定し、平行結合線路13が変調信号の周波数で奇対称モード共振し、かつ、その周波数で入力線路に入力した信号の反射が最小になるように設計する。
【0064】
なお、上記各実施形態では、電気光学効果を有する基板中に光導波路を形成しているが、本発明は、このような構成に限定されない。基板の表面領域に周囲よりも屈性率の高いコア部を形成し、コア部の上にクラッド部として電気光学効果を有する材料からなる膜を形成する構成を採用してもよい。この場合、コア部を伝搬する光の一部がクラッド部にしみ出すため、クラッド部の屈性率を変化させることにより、コア部を伝播する光の位相を変調することができる。コア部は電気光学効果を有する材料から形成されている必要は無い。
【0065】
また、上記実施形態における光導波路は、分岐された少なくとも2つの分枝導波路と、2つの分枝導波路を結合する光入力部と、2つの分枝導波路を結合する光出力部とを有するマッハツェンダ干渉計型の構成を有しているが、本発明の光変調素子は、このような構成を有する光強度変調素子に限定されない。本発明による光変調素子の光導波路が単一の導波路を有する場合であっても、伝搬する光の位相を効率的に変調することができる。この意味では、本発明の光変調素子は、光の位相を変調する点に本質的な機能を有しており、位相の変調された光を干渉させることによって光強度も変調させることが可能である。
【0066】
以上説明してきたように、本実施形態によれば、光導波路が形成され樽基板(第1基板)とは別に誘電率の相対的に低い第2基板を用いているため、変調信号の反射を抑制できる効果が得られる。また、このような効果とは別に、RFコネクタ7の信号線8が第1基板1とは直接に接触しないため、第1基板の材料として脆い結晶を用いたり、第1基板を例えば0.4mm以下に薄くして機械的強度が低下した場合でも、基板1の損傷を防止することが可能である。更に、第2基板上にアンテナ、フィルタ、アンプなどの各種の電気回路素子を設けることにより、高機能な素子が一体的に集積化された光変調素子を実現することも可能である。
【0067】
(実施形態2)
次に、図6を参照しながら、本発明による光変調素子の第2の実施形態を説明する。
【0068】
本実施形態の光変調素子は、図6示されるように、第1基板1の分岐光導波路2a、2b上に形成された2つの変調電極(共振型電極22a、22b)を備えている点で、第1実施形態の光変調素子と異なっている。以下、本実施形態に特徴的な点を詳細に説明する。
【0069】
図6に示す光変調素子は、上述のように、2つの共振型電極22a、22bを備えており、各共振型電極22a、22bは、第1実施形態の光変調素子の変調電極と同一の構成を有し、同一の機能を発揮する。
【0070】
本実施形態の第1基板1の上には、共振型電極22a、22bの各々に変調信号を与えるための2つの第1入力線路(入力線路14a、14b)が形成されており、それぞれ、共振型電極22a、22bに接続されている。
【0071】
第2基板18には、高周波コネクタ7から第1基板1の入力線路14a、14bに変調信号を伝搬するための入力線路(第2入力線路)19が形成されている。入力線路19は、図7(a)に示すように、高周波コネクタ7の信号線8に接続される線路部分19aと、その線路部分19aの両端から第1基板上1の入力線路14に向かって延びる線路部分19b、19cとを有している。また、図6に示すように、入力線路19と入力線路14aとは接続部21aで接続されており、入力線路19と入力線路14bとは接続部21bで接続されている。
【0072】
本実施形態では、高周波コネクタ7の信号線8から、第2基板18上の入力線路19、接続部21a、21b、第1基板1上の入力線路14a、14bを介して共振型電極22a、22bの各々に与えられる変調信号により、共振型電極22a、22bの各々で共振が生じる。このような共振が生じると、共振型電極22a、22bの各々における平行結合線路間に位置する間隙部に、周期的に振動する電界が発生する。
【0073】
本実施形態の光変調素子では、2つの共振型電極22a、22bにより、光導波路2を伝搬する光の位相を変調するが、単に2つの共振型電極22a、22bを設けただけではなく、第1の共振型電極22aによる位相変調と第2の共振型電極22bによる位相変調との間で位相整合をとることにより、変調の効率を向上させている。
【0074】
以下、上記の位相整合を行うための手法を説明する。
【0075】
まず、以下のように各種のパラメータを設定する。
【0076】
(1) 入力光が第1の共振型電極22aの左端下方を通過し、第2の共振型電極22bの左端下方に到達するまでに要する時間:T0
(2) 入力された電気信号が第1の共振型電極22aに到達する時間:T1
(3) 入力された信号が第2の共振型電極22bに到達するまでの時間:T2
【0077】
本実施形態では、T2−T1=T0の関係が略満足されるように光変調素子を構成する。上記の関係が満たされるとき、光導波路2を伝搬する入力光の感じる共振型電極22aによる電界の位相と、共振型電極22bによる電界の位相が同期するため、入射光はこれら共振型電極22a、22bを伝播した際、最大の屈折率変化を感じることになる。
【0078】
本実施形態では、上記の時間T2−T1と時間T0とを等しく設定するため、高周波コネクタ7の信号線8から各共振型電極22a、22bまでの伝播距離に差を持たせている。時間T0は、第1の共振型電極22aと第2の共振型電極22bとの配置関係によって規定される。これらのパラメータを調節することにより、位相の同期を行い、変調効率を高めることができる。
【0079】
なお、本実施形態における各共振型電極22aおよび22bの各々に供給される変調電力は、共振型電極が1つの場合における変調電力の半分になる。しかし、各共振型電極に供給される変調電圧は1/√2倍になるだけであり、1/2倍に減少するわけではない。また、入力光に作用する共振型電極の長さが2倍になるため、変調器全体の変調効率は、共振型電極が1つの場合と比較して、√2倍に向上する。
【0080】
ここで、高周波コネクタ7の特性インピーダンスをZ1、第1入力線路14a、14b、第2入力線路19の特性インピーダンスをZ2とすると、1/Z1=2/Z2の関係が成立するとき、入力インピーダンスが整合し、不要な反射を抑えることができる。
【0081】
このような関係を満足する例としては、2Z1=Z2の関係が成立する場合がある。一般に、各種高周波機器が利用している特性インピーダンスは50Ωであるため、Z1を50Ωに設定する。この場合、Z2は100Ωに等しい。このような特性インピーダンスが得られるように第1入力線路14a、14b、ならびに第2入力線路19の線幅を決定する。特性インピーダンスは、このように入力線路の線幅に依存するが、信号の周波数には依存しない。このため、広い周波数帯域でインピーダンス整合が実現される。
【0082】
本実施形態の光変調素子では、前述したように、第2基板18上の入力線路19が、高周波コネクタ7の信号線8と接続される側の端部において、導波路2の延長方向に沿って延びる線路部分19aを備えている。このため、高周波コネクタ7の信号線8と第2基板18上の入力線路19とを接続する位置を、導波路2の延長方向に沿って変化させることが容易である。図7(b)を参照しながら、この点を詳細に説明する。図7(b)に示す「L1」は、信号線8と線路部分19aとが接続する点(接続点X)から線路部分19aの左端までの長さを示し、「L2」は、この接続点Xから線路部分19aの右端までの長さを示している。L1+L2は、線路部分19aの長さLに等しい。本実施形態では、L1およびL2が適切な関係を有するように、接続点Xの位置を選択する。接続点Xの位置の最大可変範囲は、線路部分19aの長さLによって規定される。
【0083】
このような接続点Xの位置を、導波路2の延長方向に沿って変化させることにより、信号線8の先端から共振型電極22aまでの入力信号線路長と、信号線8の先端から共振型電極22bまでの入力信号線路長との差異(L2−L1)を調節し、前述したT2−T1=T0の関係を略満足する素子を作製することが容易になる。
【0084】
なお、前述した方法で第1基板1に光導波路を作製する際、熱処理を行うことが必要であるため、光導波路を伝播する入射光の速度、すなわち光導波路内での入射光の感じる屈折率を再現良く形成することは困難である。しかし、本実施形態によれば、第1基板1に光導波路を形成した後、その光導波路がもつ屈折率に応じて最適な入力信号線路長差(L2−L1)を形成するように信号線8と入力線路19との接続位置を可変に設定することができる。
【0085】
もし、このようにして入力信号線路長を実効的に調節することが出来ない場合は、各共振型電極に与えるべき変調信号を各々独立に入力し、かつ、各変調信号の間に適切な位相差を与えることが必要になる。そのような変調信号を生成するためには、特別な外部電気回路を設けることが必要になり、調整や運用が煩雑なものとなり、安定した光変調を得ることが困難になる可能性がある。
【0086】
なお、本実施形態の光変調素子は、2つの共振型電極を有しているが、本発明は、このような構成に限定されず、3つ以上の共振型電極を備えていてもよい。
【0087】
(実施形態3)
次に、図8を参照しながら、本発明によるファイバ無線システムの実施形態を説明する。
【0088】
本実施形態のファイバ無線システム50は、上記の実施形態に係る光変調素子を内蔵した光変復調器51を有している。アンテナ53により、例えばミリ波の搬送波を用いて、インターネットなどのデータ通信網や携帯端末との通信、あるいはCATVからの信号の受信などを行うことができる。
【0089】
光変複長器51は、本発明による光変調素子とともに、不図示の光復調素子を有している。この光復調素子は、受信した変調光を電気信号に復調する変換器であり、例えばフォトダイオードから形成されている。
【0090】
ミリ波などの周波数の高い無線信号は長距離の伝送には向いていないため、データ通信網61、CATV62、携帯電話システム63との通信は、無線装置60を介して行ってもよい。この場合は、ファイバ無線通信システム50と光ファイバ70を介して接続される光変復調器55と、光変復調器55に接続されたアンテナ54とにより、無線装置60のアンテナ64との間で信号の送受信を行うことができる。光変復調55は、光ファイバ70を介してファイバ無線システム50に接続されているため、光変復調55は、ファイバ無線システム50から離れた位置に置かれていても問題ない。
【0091】
本実施形態によれば、光変復調器51、55が本発明の光変調素子を備えているため、変調信号の入力を効果的に行うことができ、効率的な光変調を達成することができる。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、光導波路を支持する第1基板の誘電率よりも低い誘電率を有する第2基板を用いて形成した第2伝送線路を第1基板に形成された第1伝送線路と接続することにより、入力端子部における変調信号の反射を低減し、変調信号を光変調素子の変調電極に効率良く供給することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、光の直接変調を説明するための図であり、(b)は光の外部変調を説明するための図である。
【図2】電気光学効果を利用した光の外部変調動作原理を示す断面図である。
【図3】(a)は、従来の光変調素子の平面図であり、(b)は、そのA−A’断面図、(c)は、そのB−B’断面図である。
【図4】(a)は、コプレーナ伝送線路の断面図、(b)は、マイクロストリップ伝送線路の断面図、(c)は、同軸伝送線路の断面図である。
【図5】(a)は、本発明の光変調素子の第1実施形態の平面図、(b)は、そのA−A’断面図、(c)は、第1実施形態における間隙部16の電界分布を模式的に示す図である。
【図6】本発明の光変調素子の第2実施形態を示す平面図である。
【図7】(a)および(b)は、第2実施形態における第2入力線路の構成を詳細に示す平面図である。
【図8】本発明によるシステムの実施形態の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 第1基板
2a、2b 分枝導波路
3 平行結合線路、変調電極
3a、3b 線路
4 接地電極
5 筐体接地
6 終端抵抗
7 RFコネクタ
8 信号線
9 絶縁誘電体
10a、10b 光導波路の分岐部分
11 入力光
12 出力光
13 平行結合線路
14、14a、14b 入力線路
15 接続線路部
16 間隙部
17 電界の方向
18 第2基板
19 第2入力線路
20 第2接地電極
21、21a、21b 接続部
22a、22b 共振型電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムや光信号処理システムを初めとした、光信号を扱う装置に用いられる光変調素子に関する。特に、光ファイバを用いた光情報通信のための光変調素子や、ファイバ無線システムなどの超高周波の変調信号で光変調を行うシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
光信号を用いて通信や情報処理を行うシステムでは、電気信号(例えばマイクロ波やミリ波のような高周波信号)で光の位相や強度を変調することが必要である。このような光の変調方法には、直接変調と外部変調がある。
【0003】
直接変調は、図1(a)に示すように、半導体レーザなどの光源を駆動する電流を直接変調することにより、光源から出力される光そのものの強度を変調する方式である。直接変調は、光源の外部に変調器を設ける必要がないため、システムの小型化に適しているが、数GHz以上の高周波になると、半導体レーザの持つチャーピングにより、伝送速度が制限される。
【0004】
これに対し、外部変調は、図1(b)に示すように、半導体レーザなどの光源から出力された光(出力の安定した光)を光変調素子に入力し、光変調素子によって光の位相や強度を変調する。光の変調は、電気光学効果、音響光学効果、磁気光学効果、光線形光学効果などを用いて行うことが可能である。
【0005】
上述のように、半導体レーザを直接的に変調する方法によっては、超高速光変調を達成することが困難であるため、高速動作の可能な外部変調型の素子開発が急がれている。外部変調型の素子の中でも、ポッケルス効果を有する誘電体結晶を用いた電気光学光変調素子は、超高速での動作が可能であり、また、変調に伴う位相の乱れも少ないという利点を有している。このため、この電気光学光変調素子は、高速情報伝送や長距離光ファイバ通信などに非常に有効である。また、電気光学光変調素子を用いて光導波路構造を作製すれば、素子の小型化と効率化とを一挙に実現できる可能性がある。
【0006】
一般に、電気光学光変調素子は、電気光学結晶上に変調電極(信号電極)として変調信号を伝搬させる伝送線路と、この伝送線路の近傍に形成された光導波路とによって構成されている。そして、変調電極の周辺に誘起される電界によって光導波路部分の屈折率を変化させ、それによって光導波路中を伝搬する光波の位相を変化させる。
【0007】
電気光学光変調素子に用いられる通常の結晶では、電気光学係数が比較的小さい。電気光学係数は、光変調の基本となるパラメータである。従って、電気光学光変調素子では、電界を光導波路に効率良く印加することが重要となる。
【0008】
図2は、電気光学光変調素子の基本構造を示す断面図である。電気光学効果を有する結晶(電気光学結晶)の基板表面領域に光導波路が形成されており、光導波路の上には変調用電極が形成されている。
【0009】
電気光学結晶は光学的異方性を有しており、印加される電界の大きさに略比例して屈折率が変化する(ポッケルス効果)。このため、変調電極に与える電位Vを調節することにより、光導波路の屈折率nを変化させることができる。光導波路の屈折率変化量Δnは、光導波路に印加される電位Eに比例する。光導波路の屈折率がΔnだけ変化すると、図2に示すように、出力光の位相がΔφだけ変化する。位相の変化量Δφは、一般に、電界強度Eと光導波路の長さLの積に比例する。
【0010】
光導波路に電界を形成するための変調信号は、光変調素子の外部から入力線路を介して光変調素子の電極に与えられるため、変調信号の入力を効率良く行うことが重要となる。
【0011】
次に、図3(a)から(c)を参照しながら、従来の光変調素子を更に詳しく説明する。図3(a)は、従来の光変調素子の平面図であり、図3(b)は、そのA−A’断面図、図3(c)は、そのB−B’断面図である。図3の光変調素子は、非特許文献1に開示されている。
【0012】
図示されている光変調素子は、電気光学効果を有する基板1と、基板1に形成された光導波路2とを有しており、光導波路2の両側には、変調電極3と接地電極4とから構成される変調電極が形成されている。変調電極3および接地電極4によって構成される変調電極は、基板1の片面上に形成された進行波型のコプレーナ伝送線路である。
【0013】
接地電極4は、筐体接地5に接続されている。変調電極3の一端は、終端抵抗6を介して筐体接地5に接続され、変調電極3の他端は、RFコネクタ7に接続されている。図示されているRFコネクタ7は、中心に位置する信号線8と、信号線8aを被覆する絶縁誘電体9とを有している。
【0014】
RFコネクタ7を介して変調電極3と接地電極4の間に変調信号を入力すれば、変調電極3を変調信号波が伝播し、これによって変調電極3と接地電極4の間に電界が生じる。このため、電気光学効果を有する光導波路2の屈折率が変化し、所望の光変調を実現することができる。
【0015】
2本に分かれた光導波路2には、図3(c)に示すように、互いに上下逆方向の電界が印加されるため、2本の光導波路2を伝播する光波には互いに逆の位相変化が与えられる。この結果、2本の光導波路2を伝播してきた光波が分岐部分10a、10bを経て重なり合うと、位相差により干渉する。
【0016】
ミリ波やマイクロ波などの周波数の高い変調信号を伝送するのに適した線路には、コブレーナ伝送線路、マイクロストリップ線路、および同軸伝送線路などがある。
【0017】
コプレーナ伝送線路は、図4(a)に示すように、基板1の片面上に形成された変調電極3および接地電極4によって構成される。変調電極3と接地電極4との間に生じる電界は、接地電極4を含む面に対してほぼ対称に分布する。
【0018】
一方、マイクロストリップ伝送線路は、図4(b)に示すように、基板1の片面に形成された変調電極3、および基板1の裏面に形成された接地電極4によって構成されている。このため、変調電極3と接地電極4との間に生じる電界の大部分は基板1の内部に分布する。
【0019】
同軸伝送線路(同軸ケーブル)は、図4(c)に示すように、中心に位置する電極3と、電極3を被覆すする絶縁性誘電体と、この誘電体の外周に設けられた接地電極4とによって構成される。同軸伝送線路内に形成される電界17は、電極3から接地電極4へ放射状に分布する。
【0020】
このように各種の伝送線路が存在するが、光変調素子の基板では、コプレーナ伝送線路やマイクロストリップ伝送線路が設けられる。これに対して、変調信号の伝搬には、同軸伝送線路を用いることが便利である。ただし、同軸伝送線路を介して基板1上の変調電極3に変調信号を入力するには、図3に示すようなRFコネクタ7の信号線8と基板1上の変調電極3とを接続する必要がある。
【0021】
【特許文献1】
特開平6−110023号公報
【非特許文献1】
IEEE JOURNAL OF SELECTED TOPICS IN QUANTUM ELECTRONICS 6巻 1号の69〜82頁
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
図3に示す従来の光変調素子では、RFコネクタ7および伝送線路の各々の特性インピーダンスが、例えば50Ωに一致するように構成される。このようにして特性インピーダンスを整合させることにより、変調信号の入力条件を良好なものとすることができる。
【0023】
しかし、RFコネクタ7の絶縁誘電体9は、一般にガラスまたはテフロン(登録商標)から形成されており、その誘電率は約5以下であるため、電気光学効果を有する基板1の誘電率(典型的には40程度)に比べて著しく小さいという問題がある。このように伝送線路における誘電体部分の誘電率に大きな差が生じていると、各伝送線路の特性インピーダンスが等しく設定されていても、伝送線路の接合部で変調信号の反射が発生してしまう。このような変調信号の反射が生じると、変調電極への入力レベルが低下し、変調電極による電界の強度が低下するため、光の変調効率が低下してしまう。
【0024】
特に、図4(b)に示すようなマイクロストリップ伝送線路を変調電極として用いる場合は、電極間に形成される電界の大部分が基板1の内部に分布しており、しかも、基板1は誘電率の高い材料から形成されることが多い。このような場合、誘電率差が大きくなりやすく、RFコネクタ7の信号線8と基板1の変調電極3との間の接続部において変調信号の反射が顕著に生じるため、光の変調効率が大きく低下してしまう。
【0025】
また、基板1の厚さを薄くすることにより、基本的なモード以外のモード(基板モード)で電界が基板内に発生しないようにすることが好ましい。しかし、この目的のため、基板1を薄くすると、基板1における電気光学結晶の機械的強度が低下するため、RFコネクタ7の信号線8と基板1の端部が接触して基板1の結晶にワレ・カケなどの損傷が発生しやすい。
【0026】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光変調素子の信号入力端子部における変調信号の反射を抑制し、光変調を高い効率で実現できる光変調素子を提供することにある。
【0027】
また、本発明の他の目的は、基板1を薄くしても、RFコネクタの信号線との接触によって損傷しにくい光変調素子を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明の光変調素子は、第1基板と、前記第1基板に支持された光導波路と、前記光導波路の少なくとも一部に変調電界を印加する変調電極と、前記第1基板の表面に形成され、前記変調電極に電気的に接続された第1入力線路と、前記第1基板に形成された第1接地電極とを備え、前記変調電極、前記第1入力線路、および前記第1接地電極が第1伝送線路を形成している光変調素子であって、前記第1基板の誘電率よりも低い誘電率を有する第2基板と、前記2基板に形成され、前記第1伝送線路に接続された第2伝送線路とを更に備えている。
【0029】
好ましい実施形態において、前記第2基板の誘電率は、前記変調電極に与える変調信号を伝搬する伝送線路のコネクタにおける絶縁誘電体の誘電率よりも高い。
【0030】
好ましい実施形態において、前記変調電極は、前記光導波路に沿って配列された複数の変調電極によって構成され、かつ、前記第1入力線路は、前記複数の変調電極の各々に接続される複数の第1入力線路によって構成され、前記第2入力線路は、前記変調信号を受け取る線路部分と、前記線路部分から延びて前記複数の第1入力線路にそれぞれ接続される複数の線路部分とを有している。
【0031】
好ましい実施形態において、前記第2入力線路を介して前記複数の変調電極部分に到達する変調信号の間には相互に位相差が発生する。
【0032】
好ましい実施形態において、前記位相差は、前記変調信号を伝搬する伝送線路のコネクタと、前記第2入力線路において前記変調信号を受け取る線路部分との接続位置によって調節されている。
【0033】
好ましい実施形態において、前記接地電極は前記第1基板の裏面に形成されており、前記第1伝送線路は、前記第1入力線路と前記接地電極とによって構成された第1マイクロストリップ伝送線路であり、前記第2伝送線路は、前記第2基板の表面に形成された第2入力線路と前記第2基板の裏面に形成された第2接地電極とによって構成されている第2マイクロストリップ伝送線路である。
【0034】
好ましい実施形態において、前記第1基板の厚さは、100μm以上400μm以下の範囲にある。
【0035】
好ましい実施形態において、前記第1基板と前記第2基板とは、略等しい厚さを有している。
【0036】
好ましい実施形態において、前記光導波路の少なくとも一部は、電気光学効果を有する材料から形成されている。
【0037】
好ましい実施形態において、前記第1基板の少なくとも一部は、電気光学効果を有する材料から形成されており、前記光導波路は前記第1基板の一部から構成されている。
【0038】
好ましい実施形態において、前記光導波路は、分岐された少なくとも2つの分枝導波路と、前記2つの分枝導波路を結合する光入力部と、前記2つの分枝導波路を結合する光出力部とを有しており、前記光導波路のうち、前記変調電界が印加される部分は、前記2つの分枝導波路に分かれており、前記変調電極は、前記光導波路の2つの分枝導波路の各々に対して極性の異なる電界を及ぼすように配置されている。
【0039】
好ましい実施形態において、前記変調電極は、第1導体線路と第2導体線路とを有する共振型電極である。
【0040】
好ましい実施形態において、前記第1および第2導体線路は、両端部が短絡された平行結合線路である。
【0041】
本発明のシステムは、上記いずれかの光変調素子と、前記光変調素子に光を入力する入力部と、前記光変調素子における前記変調信号を供給する供給部とを備えている。
【0042】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
まず、図5(a)から(c)を参照しながら、本発明による光変調素子の実施形態を説明する。図5(a)は、本実施形態の光変調素子の主要部を示す平面図、図5(b)は、図5(a)のA−A’線断面図、図5(c)は、後に詳しく説明する平行結合線路13の間隙部16における電界強度分布を示す図である。
【0043】
本実施形態における光変調素子の基板1は、タンタル酸リチウム(LiTaO3)単結晶やニオブ酸リチウム(LiNbO3)単結晶などの電気光学効果を有する材料(電気光学結晶)から形成されている。基板1の主面には、マッハツェンダ干渉計型の光導波路2が形成されている。光導波路2は、基板1の所定領域に対して例えば安息香酸を用いたプロトン交換処理を行うことによって作製される。なお、光導波路2は、電気光学効果を有しない基板上に堆積された電気光学効果を有する膜から形成されていても良い。本明細書では、基板1の一部が光導波路として機能する場合や基板上に光導波路が形成されている場合のように、基板と光導波路との配置関係が固定されているとき、「光導波路が基板に支持されている」状態にあるものとする。
【0044】
本実施形態における光導波路2は、図5(a)に示すように、分岐部分10a、10bにおいて分離した2つの分枝導波路2aおよび2bを有している。所定の長さを有する分枝導波路2aおよび分枝導波路2bの主要部は、基板1の表面において略平行に延びている。分岐した2つの分枝導波路2aおよび2bの屈折率をそれぞれ変化させることにより、分枝導波路2aおよび2bを伝搬する光に位相差を形成し、干渉を生じさせることができる。
【0045】
本実施形態では、光導波路2の分枝導波路2aおよび2bの屈折率を変化させるための変調電極(信号電極)として、図5(a)に示すように、共振型構造を有する平行結合線路13を基板1の光導波路2上に設けている。平行結合線路13は、2つの線路13a、13bと、線路13a、13bの両端を結合する接続線路部15とを有している。2つの線路13a、13bは、図5(b)に示すように2つの分枝導波路2aおよび2bの上に配置されている。
【0046】
平行結合線路13の一部には、平行結合線路13に共振を起こさせるための変調信号を印加する入力線路14が接続されている。入力線路14は、基板1の上面に形成されている。一方、基板1の裏面には、接地電極4が形成されている。平行結合線路13、接続線部15、および入力線路14は、誘電体の基板1を挟んで接地電極4に対向しており、第1マイクロストリップ伝送線路を構成している。
【0047】
平行結合線路13や入力線路14などは、好ましくは、アルミニウムや金などの金属薄膜から形成される。この金属薄膜は、真空蒸着法やスパッタ法などの薄膜加工技術によって基板1の表面に堆積され、フォトリソグラフィおよびエッチングなどの公知の加工技術によって所定形状にパターニングされる。接地電極4は、クロム、ニッケル、パラジウム、アルミニウムなどの単層または複数層の膜から形成されている。接地電極4は、蒸着法やメッキ法によって基板1の裏面全体に形成されることが好ましい。
【0048】
平行結合線路3に共振を起こさせるための信号(変調信号)は、平行結合線路3の一部に接続された上記の入力線路14に入力される。この変調信号は、RFコネクタ7を介して外部から入力線路14に供給されるが、RFコネクタ7は入力線路14と直接的に接続されていない。本実施形態では、基板(「第1基板」と称する。)1の誘電率よりも小さな誘電率を有する基板(「第2基板」と称する。)18を用いて形成した第2マイクストリップ線路を介して、RFコネクタ7の信号線8を入力線路(「第1入力線路」と称する。)14に接続する。第2マイクストリップ線路は、第2基板18の表面に形成された入力線路(「第2入力線路」と称する。)19と、第2基板18の裏面に形成された接地電極(「第2接地電位」と称する。)20とによって構成されており、第2入力線路19は、接続部21において、第1基板1の入力線路(「第1入力線路」と称する。)14に接続されている。第2入力線路19と第1入力線路5との接続は、例えば、直接接触、はんだ付け、金属リボン、金属ワイヤーなどによって行われて得る。一方、第2入力線路19の他端は、RFコネクタ7の信号線8と接続されている。この接続も、直接接触、はんだ付け、金属リボン、金属ワイヤーなどによって接続されている。
【0049】
第2基板18の接地電極20は、第1基板の接地電極(「第1接地電位」と称する。)4と同様の材料から同様の方法で形成され得るし、また、第2基板18の第2入力線路19も、第1入力線路14と同様の材料から同様の方法で形成され得る。
【0050】
第2基板18に形成された第2マイクロストリップ伝送線路は、第2入力線路19および接地電極20によって構成されており、第2入力線路19の幅は、その特性インピーダンスが50Ωとなるように決定されている。
【0051】
RFコネクタ7は、同軸ケーブル、矩形導波管、円形導波管などの信号伝送路を伝播してきた変調信号を、所望の伝送線路へ接続する機能を有する。RFコネクタ7は、例えばガラスやテフロン(登録商標)などの絶縁誘電体9と、絶縁誘電体9内に内に固定され、ベリリウム銅などからなる信号線8で構成されている。絶縁誘電体9の誘電率は約5以下である。
【0052】
第1基板1がタンタル酸リチウムから形成されている場合、その誘電率は、結晶の光学軸に垂直な方向で41、結晶の光学軸に平行な方向で43である。また、第1基板1がニオブ酸リチウムから形成されている場合は、その誘電率は、結晶の光学軸に垂直な方向で43、平行な方向で28である。
【0053】
本実施形態では、第2基板18の誘電率がRFコネクタ7の絶縁誘電体9の誘電率よりも高く、第1基板1の誘電率よりも低い。このような第2基板18は、例えば誘電率が10程度のアルミナセラミックスなどの誘電体から形成されるが、第2基板18の誘電率やRFコネクタ7の絶縁誘電体9の誘電率に応じて適宜最適な誘電率を有する材料が選択される。
【0054】
本実施形態によれば、基板1の入力線路14をRFコネクタ7の信号線8と直接接続する場合に比べ、入力信号の各接続部における変調信号の反射を低減できる。その結果、変調信号を高い効率で変調電極へ入力できるため、光変調効率を向上させることが可能となる。具体的には、第2基板を用いない場合に比べて、変調信号の総反射率を2dB(デシベル)程度低下させることができ、それによって変調効率を2.5倍程度に上昇させることが可能である。
【0055】
また、第1基板1の接地電極4および第2基板18の接地電極20を、パッケージなどの金属面に対して、はんだ付けや導電性接着剤などよって接着することにより、良好な接地電位を容易に得ることができ、特性を向上することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、第1基板1および第2基板18にマイクロストリップ伝送線路を形成しているが、マイクロストリップ伝送線路に代えて図3(a)に示すようなコプレナー型伝送線路を形成しても良い。
【0057】
以下、上記構成を有する光変調素子の動作を説明する。
【0058】
変調対象となる光(入力光11)は、光導波路2の一方の端から入力され、第1分岐部で2つの分枝導波路2a、2bに分かれる。分枝導波路2aおよび2bを伝搬した光は、第2分岐部分で1つに重畳され、光導波路2の他の端から出力光12として出力される。入力光11は、例えば直線偏光を有する半導体レーザ光などの光源から放射されたあと、偏光保持光ファイバなどを伝播してきた光であり、レンズ結合法や光ファイバ端面での直接結合法などによって光導波路2に結合される。出力光12は、同様な手法によって例えばシングルモード光ファイバなどに結合される。
【0059】
変調信号によって平行結合線路13に共振が生じると、間隙部16に電界が生じ、電気光学効果を有する光導波路2の屈折率が変化する。より詳細には、入力線路14に与えられた変調信号は、線路13a、13bと接地電極4との間に電界を形成しながら伝搬する。このとき、線路13a、13bで共振が生じると、線路13aと線路13bとの間に位置する間隙部16には、周期的に振動する電界(共振電界)が発生する。このような共振が生じると、線路13aと線路13bとの間に位置する間隙部16に形成される電界の向きは周期的に反転し、電界強度の振幅は正弦波状に変化する。本実施形態では、線路13a、13bの下方に分枝導波路2a、2bが存在しているため、各分枝導波路2a、2bには、上下逆方向の共振電界が形成される。このため、基板1が例えばzカットのタンタル酸リチウム結晶から形成されている場合、分枝導波路2a、2bを通る光には互いに逆の位相変化が与えられる。適切なモードで共振が生じると、分枝導波路2a、2bを伝搬してきた光は、分岐部分10bで干渉し、出力光12の強度が変化する。
【0060】
線路13a、13bの間隙部16に共振電界を形成しているとき、分枝導波路2a、2bを伝搬してきた2つの光の位相が完全に相互反転させると、2つの光は打ち消しあうため、出力光の強度は略ゼロとなる。一方、線路13a、13bの間隙部16に共振電界を形成しないとき、長さの等しい分枝導波路2a、2bを伝搬してきた2つの光の位相は略一致するため、出力光の強度は入力光の強度から少し減衰したレベルを示す。以上のように、共振電界を形成するか否かにより、入力光11の強度を変調することができる。また、共振電界の形成は、入力線路14に与える電気信号によって制御される。
【0061】
なお、平行結合線路13には、通常、偶対称モードと奇対称モードの2種類の伝搬モードが存在する。奇対称モードでは、平行結合線路を構成する2本の線路13a、13bの電位が互いに反転することとなるため、間隙部16に大きな電界が誘起される。そのため、平行結合線路13に奇対称モードを励振させることによって高い効率の光変調が可能となる。
【0062】
本実施形態では、平行結合線路13の両端が接続線路15によって接続されているので、線路13aと13bの間に生じる電圧は、図5(c)に示すように、平行結合線路13の両端で0、中央で最大となる三角関数の電圧分布を示し、線路13aと線路13bの間の電圧符号はどの分でも同一である。したがって、入力光11が平行結合線路13の下の光導波路2a、2bを伝播している間、常に位相変化が足し合わされ続けるので、高い変調効率が得られる。
【0063】
実際の動作には、変調信号によって平行結合線路13に奇対称モードによる共振を効率良く起こさせる必要がある。そのため、入力インピーダンス整合が行える位置に入力線路14を接続することにより、容易に実現できる。具体的には、入力線路14の特性インピーダンスが例えば50Ωとなるようにその幅を決定し、平行結合線路13が変調信号の周波数で奇対称モード共振し、かつ、その周波数で入力線路に入力した信号の反射が最小になるように設計する。
【0064】
なお、上記各実施形態では、電気光学効果を有する基板中に光導波路を形成しているが、本発明は、このような構成に限定されない。基板の表面領域に周囲よりも屈性率の高いコア部を形成し、コア部の上にクラッド部として電気光学効果を有する材料からなる膜を形成する構成を採用してもよい。この場合、コア部を伝搬する光の一部がクラッド部にしみ出すため、クラッド部の屈性率を変化させることにより、コア部を伝播する光の位相を変調することができる。コア部は電気光学効果を有する材料から形成されている必要は無い。
【0065】
また、上記実施形態における光導波路は、分岐された少なくとも2つの分枝導波路と、2つの分枝導波路を結合する光入力部と、2つの分枝導波路を結合する光出力部とを有するマッハツェンダ干渉計型の構成を有しているが、本発明の光変調素子は、このような構成を有する光強度変調素子に限定されない。本発明による光変調素子の光導波路が単一の導波路を有する場合であっても、伝搬する光の位相を効率的に変調することができる。この意味では、本発明の光変調素子は、光の位相を変調する点に本質的な機能を有しており、位相の変調された光を干渉させることによって光強度も変調させることが可能である。
【0066】
以上説明してきたように、本実施形態によれば、光導波路が形成され樽基板(第1基板)とは別に誘電率の相対的に低い第2基板を用いているため、変調信号の反射を抑制できる効果が得られる。また、このような効果とは別に、RFコネクタ7の信号線8が第1基板1とは直接に接触しないため、第1基板の材料として脆い結晶を用いたり、第1基板を例えば0.4mm以下に薄くして機械的強度が低下した場合でも、基板1の損傷を防止することが可能である。更に、第2基板上にアンテナ、フィルタ、アンプなどの各種の電気回路素子を設けることにより、高機能な素子が一体的に集積化された光変調素子を実現することも可能である。
【0067】
(実施形態2)
次に、図6を参照しながら、本発明による光変調素子の第2の実施形態を説明する。
【0068】
本実施形態の光変調素子は、図6示されるように、第1基板1の分岐光導波路2a、2b上に形成された2つの変調電極(共振型電極22a、22b)を備えている点で、第1実施形態の光変調素子と異なっている。以下、本実施形態に特徴的な点を詳細に説明する。
【0069】
図6に示す光変調素子は、上述のように、2つの共振型電極22a、22bを備えており、各共振型電極22a、22bは、第1実施形態の光変調素子の変調電極と同一の構成を有し、同一の機能を発揮する。
【0070】
本実施形態の第1基板1の上には、共振型電極22a、22bの各々に変調信号を与えるための2つの第1入力線路(入力線路14a、14b)が形成されており、それぞれ、共振型電極22a、22bに接続されている。
【0071】
第2基板18には、高周波コネクタ7から第1基板1の入力線路14a、14bに変調信号を伝搬するための入力線路(第2入力線路)19が形成されている。入力線路19は、図7(a)に示すように、高周波コネクタ7の信号線8に接続される線路部分19aと、その線路部分19aの両端から第1基板上1の入力線路14に向かって延びる線路部分19b、19cとを有している。また、図6に示すように、入力線路19と入力線路14aとは接続部21aで接続されており、入力線路19と入力線路14bとは接続部21bで接続されている。
【0072】
本実施形態では、高周波コネクタ7の信号線8から、第2基板18上の入力線路19、接続部21a、21b、第1基板1上の入力線路14a、14bを介して共振型電極22a、22bの各々に与えられる変調信号により、共振型電極22a、22bの各々で共振が生じる。このような共振が生じると、共振型電極22a、22bの各々における平行結合線路間に位置する間隙部に、周期的に振動する電界が発生する。
【0073】
本実施形態の光変調素子では、2つの共振型電極22a、22bにより、光導波路2を伝搬する光の位相を変調するが、単に2つの共振型電極22a、22bを設けただけではなく、第1の共振型電極22aによる位相変調と第2の共振型電極22bによる位相変調との間で位相整合をとることにより、変調の効率を向上させている。
【0074】
以下、上記の位相整合を行うための手法を説明する。
【0075】
まず、以下のように各種のパラメータを設定する。
【0076】
(1) 入力光が第1の共振型電極22aの左端下方を通過し、第2の共振型電極22bの左端下方に到達するまでに要する時間:T0
(2) 入力された電気信号が第1の共振型電極22aに到達する時間:T1
(3) 入力された信号が第2の共振型電極22bに到達するまでの時間:T2
【0077】
本実施形態では、T2−T1=T0の関係が略満足されるように光変調素子を構成する。上記の関係が満たされるとき、光導波路2を伝搬する入力光の感じる共振型電極22aによる電界の位相と、共振型電極22bによる電界の位相が同期するため、入射光はこれら共振型電極22a、22bを伝播した際、最大の屈折率変化を感じることになる。
【0078】
本実施形態では、上記の時間T2−T1と時間T0とを等しく設定するため、高周波コネクタ7の信号線8から各共振型電極22a、22bまでの伝播距離に差を持たせている。時間T0は、第1の共振型電極22aと第2の共振型電極22bとの配置関係によって規定される。これらのパラメータを調節することにより、位相の同期を行い、変調効率を高めることができる。
【0079】
なお、本実施形態における各共振型電極22aおよび22bの各々に供給される変調電力は、共振型電極が1つの場合における変調電力の半分になる。しかし、各共振型電極に供給される変調電圧は1/√2倍になるだけであり、1/2倍に減少するわけではない。また、入力光に作用する共振型電極の長さが2倍になるため、変調器全体の変調効率は、共振型電極が1つの場合と比較して、√2倍に向上する。
【0080】
ここで、高周波コネクタ7の特性インピーダンスをZ1、第1入力線路14a、14b、第2入力線路19の特性インピーダンスをZ2とすると、1/Z1=2/Z2の関係が成立するとき、入力インピーダンスが整合し、不要な反射を抑えることができる。
【0081】
このような関係を満足する例としては、2Z1=Z2の関係が成立する場合がある。一般に、各種高周波機器が利用している特性インピーダンスは50Ωであるため、Z1を50Ωに設定する。この場合、Z2は100Ωに等しい。このような特性インピーダンスが得られるように第1入力線路14a、14b、ならびに第2入力線路19の線幅を決定する。特性インピーダンスは、このように入力線路の線幅に依存するが、信号の周波数には依存しない。このため、広い周波数帯域でインピーダンス整合が実現される。
【0082】
本実施形態の光変調素子では、前述したように、第2基板18上の入力線路19が、高周波コネクタ7の信号線8と接続される側の端部において、導波路2の延長方向に沿って延びる線路部分19aを備えている。このため、高周波コネクタ7の信号線8と第2基板18上の入力線路19とを接続する位置を、導波路2の延長方向に沿って変化させることが容易である。図7(b)を参照しながら、この点を詳細に説明する。図7(b)に示す「L1」は、信号線8と線路部分19aとが接続する点(接続点X)から線路部分19aの左端までの長さを示し、「L2」は、この接続点Xから線路部分19aの右端までの長さを示している。L1+L2は、線路部分19aの長さLに等しい。本実施形態では、L1およびL2が適切な関係を有するように、接続点Xの位置を選択する。接続点Xの位置の最大可変範囲は、線路部分19aの長さLによって規定される。
【0083】
このような接続点Xの位置を、導波路2の延長方向に沿って変化させることにより、信号線8の先端から共振型電極22aまでの入力信号線路長と、信号線8の先端から共振型電極22bまでの入力信号線路長との差異(L2−L1)を調節し、前述したT2−T1=T0の関係を略満足する素子を作製することが容易になる。
【0084】
なお、前述した方法で第1基板1に光導波路を作製する際、熱処理を行うことが必要であるため、光導波路を伝播する入射光の速度、すなわち光導波路内での入射光の感じる屈折率を再現良く形成することは困難である。しかし、本実施形態によれば、第1基板1に光導波路を形成した後、その光導波路がもつ屈折率に応じて最適な入力信号線路長差(L2−L1)を形成するように信号線8と入力線路19との接続位置を可変に設定することができる。
【0085】
もし、このようにして入力信号線路長を実効的に調節することが出来ない場合は、各共振型電極に与えるべき変調信号を各々独立に入力し、かつ、各変調信号の間に適切な位相差を与えることが必要になる。そのような変調信号を生成するためには、特別な外部電気回路を設けることが必要になり、調整や運用が煩雑なものとなり、安定した光変調を得ることが困難になる可能性がある。
【0086】
なお、本実施形態の光変調素子は、2つの共振型電極を有しているが、本発明は、このような構成に限定されず、3つ以上の共振型電極を備えていてもよい。
【0087】
(実施形態3)
次に、図8を参照しながら、本発明によるファイバ無線システムの実施形態を説明する。
【0088】
本実施形態のファイバ無線システム50は、上記の実施形態に係る光変調素子を内蔵した光変復調器51を有している。アンテナ53により、例えばミリ波の搬送波を用いて、インターネットなどのデータ通信網や携帯端末との通信、あるいはCATVからの信号の受信などを行うことができる。
【0089】
光変複長器51は、本発明による光変調素子とともに、不図示の光復調素子を有している。この光復調素子は、受信した変調光を電気信号に復調する変換器であり、例えばフォトダイオードから形成されている。
【0090】
ミリ波などの周波数の高い無線信号は長距離の伝送には向いていないため、データ通信網61、CATV62、携帯電話システム63との通信は、無線装置60を介して行ってもよい。この場合は、ファイバ無線通信システム50と光ファイバ70を介して接続される光変復調器55と、光変復調器55に接続されたアンテナ54とにより、無線装置60のアンテナ64との間で信号の送受信を行うことができる。光変復調55は、光ファイバ70を介してファイバ無線システム50に接続されているため、光変復調55は、ファイバ無線システム50から離れた位置に置かれていても問題ない。
【0091】
本実施形態によれば、光変復調器51、55が本発明の光変調素子を備えているため、変調信号の入力を効果的に行うことができ、効率的な光変調を達成することができる。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、光導波路を支持する第1基板の誘電率よりも低い誘電率を有する第2基板を用いて形成した第2伝送線路を第1基板に形成された第1伝送線路と接続することにより、入力端子部における変調信号の反射を低減し、変調信号を光変調素子の変調電極に効率良く供給することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、光の直接変調を説明するための図であり、(b)は光の外部変調を説明するための図である。
【図2】電気光学効果を利用した光の外部変調動作原理を示す断面図である。
【図3】(a)は、従来の光変調素子の平面図であり、(b)は、そのA−A’断面図、(c)は、そのB−B’断面図である。
【図4】(a)は、コプレーナ伝送線路の断面図、(b)は、マイクロストリップ伝送線路の断面図、(c)は、同軸伝送線路の断面図である。
【図5】(a)は、本発明の光変調素子の第1実施形態の平面図、(b)は、そのA−A’断面図、(c)は、第1実施形態における間隙部16の電界分布を模式的に示す図である。
【図6】本発明の光変調素子の第2実施形態を示す平面図である。
【図7】(a)および(b)は、第2実施形態における第2入力線路の構成を詳細に示す平面図である。
【図8】本発明によるシステムの実施形態の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 第1基板
2a、2b 分枝導波路
3 平行結合線路、変調電極
3a、3b 線路
4 接地電極
5 筐体接地
6 終端抵抗
7 RFコネクタ
8 信号線
9 絶縁誘電体
10a、10b 光導波路の分岐部分
11 入力光
12 出力光
13 平行結合線路
14、14a、14b 入力線路
15 接続線路部
16 間隙部
17 電界の方向
18 第2基板
19 第2入力線路
20 第2接地電極
21、21a、21b 接続部
22a、22b 共振型電極
Claims (14)
- 第1基板と、
前記第1基板に支持された光導波路と、
前記光導波路の少なくとも一部に変調電界を印加する変調電極と、
前記第1基板の表面に形成され、前記変調電極に電気的に接続された第1入力線路と、
前記第1基板に形成された第1接地電極と、を備え、前記変調電極、前記第1入力線路、および前記第1接地電極が第1伝送線路を形成している光変調素子であって、
前記第1基板の誘電率よりも低い誘電率を有する第2基板と、
前記2基板に形成され、前記第1伝送線路に接続された第2伝送線路と、を更に備えている光変調素子。 - 前記第2基板の誘電率は、前記変調電極に与える変調信号を伝搬する伝送線路のコネクタにおける絶縁誘電体の誘電率よりも高い請求項1に記載の光変調素子。
- 前記接地電極は前記第1基板の裏面に形成されており、前記第1伝送線路は、前記第1入力線路と前記接地電極とによって構成された第1マイクロストリップ伝送線路であり、
前記第2伝送線路は、前記第2基板の表面に形成された第2入力線路と前記第2基板の裏面に形成された第2接地電極とによって構成されている第2マイクロストリップ伝送線路である請求項1または2に記載の光変調素子。 - 前記変調電極は、前記光導波路に沿って配列された複数の変調電極によって構成され、かつ、前記第1入力線路は、前記複数の変調電極の各々に接続される複数の第1入力線路によって構成され、
前記第2入力線路は、前記変調信号を受け取る線路部分と、前記線路部分から延びて前記複数の第1入力線路にそれぞれ接続される複数の線路部分とを有している、請求項3に記載の光変調素子。 - 前記第2入力線路を介して前記複数の変調電極部分に到達する変調信号の間には相互に位相差が発生する請求項4記載の光変調素子。
- 前記位相差は、前記変調信号を伝搬する伝送線路のコネクタと、前記第2入力線路において前記変調信号を受け取る線路部分との接続位置によって調節されている請求項4に記載の光変調素子。
- 前記第1基板の厚さは、100μm以上400μm以下の範囲にある請求項1から6のいずれかに記載の光変調素子。
- 前記第1基板と前記第2基板とは、略等しい厚さを有している請求項1から7のいずれかに記載の光変調素子。
- 前記光導波路の少なくとも一部は、電気光学効果を有する材料から形成されている、請求項1から8のいずれかに記載の光変調素子。
- 前記第1基板の少なくとも一部は、電気光学効果を有する材料から形成されており、前記光導波路は前記第1基板の一部から構成されている請求項9に記載の光変調素子。
- 前記光導波路は、分岐された少なくとも2つの分枝導波路と、前記2つの分枝導波路を結合する光入力部と、前記2つの分枝導波路を結合する光出力部とを有しており、
前記光導波路のうち、前記変調電界が印加される部分は、前記2つの分枝導波路に分かれており、
前記変調電極は、前記光導波路の2つの分枝導波路の各々に対して極性の異なる電界を及ぼすように配置されている請求項1から10のいずれかに記載の光変調素子。 - 前記変調電極は、第1導体線路と第2導体線路とを有する共振型電極である請求項1から11のいずれかに記載の光変調素子。
- 前記第1および第2導体線路は、両端部が短絡された平行結合線路である請求項12に記載の光変調素子。
- 請求項1から13のいずれかに記載された光変調素子と、
前記光変調素子に光を入力する入力部と、
前記光変調素子における前記変調信号を供給する供給部と、
を備えたシステム。
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- 2003-04-15 JP JP2003110750A patent/JP2004287354A/ja active Pending
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CN102918448A (zh) * | 2010-05-31 | 2013-02-06 | 住友大阪水泥股份有限公司 | 光控制元件 |
US9057893B2 (en) | 2010-05-31 | 2015-06-16 | Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. | Light control element |
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