JP2004287327A - マルチビーム走査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】走査幅の狭い光学系を用いて広い走査幅を走査できるマルチビーム走査装置であって、構成を簡略化でき、さらに、装置のコストダウンを実現可能とする。
【解決手段】少なくとも2本の光ビームを偏向する単一の回転偏向器と、この回転偏向器に偏向された少なくとも2本の光ビームの全てが入射する第1の結像光学系と、この第1の結像光学系を通過した少なくとも2本の光ビームの各々の光路を偏向する光路偏向手段と、この光路偏向手段に偏向された少なくとも2本の光ビームの各々が入射する第2の結像光学系とを備え、光路偏向手段は、少なくとも2本の光ビームの各々を、被走査面のそれぞれ異なった軸方向位置でかつ同一の周方向位置にそれぞれ偏向する。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも2本の光ビームを偏向する単一の回転偏向器と、この回転偏向器に偏向された少なくとも2本の光ビームの全てが入射する第1の結像光学系と、この第1の結像光学系を通過した少なくとも2本の光ビームの各々の光路を偏向する光路偏向手段と、この光路偏向手段に偏向された少なくとも2本の光ビームの各々が入射する第2の結像光学系とを備え、光路偏向手段は、少なくとも2本の光ビームの各々を、被走査面のそれぞれ異なった軸方向位置でかつ同一の周方向位置にそれぞれ偏向する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の発光素子から射出される複数の光ビームを、偏向器を用いて偏向させて前記複数の光ビームの各々の光路上に配置された複数の結像光学系の各々を介して同一の被走査面上のそれぞれ異なった軸方向位置でかつ同一の周方向位置で同時に走査させるマルチビーム走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、発光素子や、偏向器、fθレンズなどから構成されている光ビーム走査装置を被走査面の軸方向(走査方向)に複数組配置して、それぞれの光ビーム走査装置を同期させて駆動することにより、走査幅の狭い光ビーム走査装置で広い走査幅を得ることを可能とする、いわゆるカスケード方式のマルチビーム走査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなカスケード方式のマルチビーム走査装置では、複数の光ビーム走査装置から同一の被走査面上のそれぞれ異なった軸方向位置でかつ同一の周方向位置に向かって光ビームが射出されて同時に走査されている。そのため、狭い走査幅、例えばA4サイズレベルの走査幅を得る光ビーム走査装置しか備えていなくても、広い走査幅、例えばA2やA3サイズレベルの走査幅を得ることが可能となる。従って、高価な光学素子である大型のfθレンズなどを備える必要がないため、コストメリットがある。また、同一線上の異なった走査方向位置に複数の光ビームを同時に走査させているため、走査させる光ビームの本数に伴って走査速度を速くすることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−190985号公報(第3、4頁、第1、2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのようなカスケード方式のマルチビーム走査装置は光ビーム走査装置を複数組備えているため、大幅なコストメリット及び装置の小型化を達成することはできない。すなわちこのカスケード方式のマルチビーム走査装置では、従来利用されていた光ビーム走査装置に必要な種々の部品のほとんどを複数組備えなければならないため、部品点数が増加し、組立作業が複雑化している。その結果、部品一つ一つは安価であっても、装置全体の部品に掛かるコストはそれほど安価でなくなり、また、組立工程が増えて組立作業に掛かるコストは増大してしまう。
【0006】
さらに、このような装置では、被走査面上における複数の光ビームの各々の走査範囲の境界線上で走査ラインのずれが発生しないように、それぞれの光ビーム走査装置を同期させて駆動している。ところが、このように装置を同期させて駆動するような制御を行うためには、同期駆動用の特別な回路が必要であり、装置の構成をさらに複雑化させる要因となっていた。
【0007】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、走査幅の狭い光学系を用いて広い走査幅を走査できるマルチビーム走査装置であって、構成を簡略化でき、さらに、装置のコストダウンを実現可能とするマルチビーム走査装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係るマルチビーム走査装置は、少なくとも2本の光ビームを射出する光源部と、それらの光ビームを偏向する単一の回転偏向器と、この回転偏向器に偏向された少なくとも2本の光ビームの全てが入射する第1の結像光学系と、この第1の結像光学系を通過した少なくとも2本の光ビームの各々の光路を偏向する光路偏向手段と、この光路偏向手段に偏向された少なくとも2本の光ビームの各々が入射する少なくとも2つの第2の結像光学系とを備え、少なくとも2本の光ビームの各々を同一の被走査面上で同時に走査させるものである。このマルチビーム走査装置に備えられている光路偏向手段は、回転偏向器に偏向された少なくとも2本の光ビームの各々を、被走査面のそれぞれ異なった軸方向位置でかつ同一の周方向位置にそれぞれ偏向する。このとき、第1の結像光学系は例えばfθレンズであったり、第2の結像光学系は例えば光ビームを副走査方向に収束させるパワーを有する光学系であったりする。このようにマルチビーム走査装置を構成すると、単一の回転偏向器で、被走査面のそれぞれ異なった軸方向位置でかつ同一の周方向位置に少なくとも2本の光ビームの各々を同時に走査させることができる。従って、複数の回転偏向器の同期駆動制御用の回路が必要なくなる。また、本発明の構成を用いることにより、単一の回転偏向器でかつ所定の走査幅までしか走査できないような小型の光学素子を備えているものであっても、所定の走査幅より広い走査幅を走査することが可能となる。その結果、装置の小型化、部品点数の削減、及びそれらに伴った装置の簡略化、コストダウンを図ることが可能となる。
【0009】
また、上記マルチビーム走査装置において、光路偏向手段は少なくとも2本の光ビームの各々の光路上に配置されている複数枚のミラーを有している。
【0010】
また、上記マルチビーム走査装置において、光路偏向手段は、回転偏向器に偏向された被走査面の軸方向位置に一致し周方向位置にそれぞれ異なっている少なくとも2本の光ビームの各々を、被走査面の軸方向位置にそれぞれ異なり周方向位置に一致するよう偏向する。すなわち、同一の軸方向位置を有している少なくとも2本の光ビームの各々を光路偏向手段によりそれぞれ異なった軸方向位置でかつ周方向位置に一致するよう偏向すると、これらの光ビームを、同一の被走査面上のそれぞれ異なった軸方向位置でかつ同一の周方向位置で同時に走査させることができる。
【0011】
また、上記マルチビーム走査装置において、光路偏向手段は、回転偏向器に偏向された少なくとも2本の光ビームをそれぞれ異なった被走査面の軸方向位置に偏向するそれぞれの光路上に配置された第1の偏向ミラーと、この第1の偏向ミラーの各々に偏向された少なくとも2本の光ビームの各々を被走査面の周方向位置に一致するよう偏向するそれぞれの光路上に配置された第2の偏向ミラーとを有している。これらの光路偏向手段は、安価なミラーのみで構成できる。また、第2の偏向ミラーの各々は、少なくとも2本の光ビームの各々の被走査面上における走査ラインの傾きを調整する機能を兼ね備えている。
【0012】
また、上記マルチビーム走査装置において、少なくとも2本の光ビームは2本であって、第1の結像光学系を、第1の結像光学系の光軸を含む平面を対称にそれぞれ異なった位置で進行し、またこのとき、少なくとも2つの第2の結像光学系は2つであって、それぞれ異なった軸方向位置でかつ平面を対称に配置されている。すなわち本発明の構成によれば、第1の結像光学系を単一で構成するだけでなく、2つの第2の結像光学系の各々を共通部品で構成することができる。従って、コストダウンを図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態のマルチビーム走査装置100の概略構成を示す図である。このマルチビーム走査装置100は、レーザプリンタや、複写機、ファクシミリなどに備えられている走査装置であって、走査幅の狭い光ビーム走査装置によって広い走査幅を得ることを可能とする、いわゆるカスケード方式のマルチビーム走査装置である。
【0014】
本発明の実施形態のマルチビーム走査装置100を備えた画像形成機器は、A0、A1、A2サイズなどの印字幅の広い用紙に文字や画像を形成できるものである。図1は、このマルチビーム走査装置100の構成を分かり易くするため、この装置の外枠であるハウジング部分を省略し、その内部に備えられている光学系のみを示した上面図である。また、図2は、本発明の実施形態のマルチビーム走査装置100の概略構成を示す側面図である。以下に、図1及び図2を用いて、このマルチビーム走査装置100の構成と作用を説明する。
【0015】
このマルチビーム走査装置100は、被走査面である感光ドラム180上で走査される光ビームを複数本射出する光源部を備えている。この光源部は、発光素子である2つのレーザダイオード110a、110bを有している。
【0016】
これら発光素子であるレーザダイオード110a、110bは全て同一の波長を発振するものであって、その光軸方向と直交する断面が楕円形状を有している光ビームLa、Lbをそれぞれ射出する。また、これらのレーザダイオード110a、110bは、これらのレーザダイオードの点灯・消灯駆動を行う図示しない制御回路を備えた基板上に実装されており、入力される文字・画像情報に基づいて駆動制御される。
【0017】
これらのレーザダイオード110a、110bは、発振した光ビームLa、Lbが、後述するポリゴンミラーの反射面上の所定位置にそれぞれ異なった角度で入射するよう配置されている。説明を加えると、これらのレーザダイオード110a、110bは、互いに、主走査方向では一致し副走査方向では主走査平面Oを対称にしてそれぞれ異なった角度で配置されており、詳しくは、レーザダイオード110bは主走査平面Oより上側に、レーザダイオード110aは主走査平面Oより下側に配置されている。なお、本明細書では、感光ドラム180上において光ビームLa、Lbのそれぞれが走査される方向を主走査方向(言い換えると、感光ドラム180の軸方向)とし、その主走査方向に直交する方向を副走査方向(言い換えると、感光ドラム180の周方向)とする。また、ここでいう主走査平面Oとは、感光ドラム180上における光ビームLa、Lbの走査ライン、後述する第1レンズ群140の光軸、及びポリゴンミラー130の反射面上の点Pを含む平面である。
【0018】
レーザダイオード110a、110bから発振した光ビームLa、Lbは、それぞれコリメータレンズ112a、112bに入射して平行光に変換されて射出される。平行光に変換された光ビームLa、Lbは、シリンドリカルレンズ120a、120bにそれぞれ導かれる。なお、このとき、光ビームLa、Lbは上述したように光軸方向と直交する断面が楕円形状を有している光束であって、図1の紙面と水平な方向が長軸側となっており、図1の紙面と略垂直な方向が短軸側となっている。
【0019】
シリンドリカルレンズ120a、120bは、ポリゴンミラー130の反射面近傍において、入射してきた光ビームLa、Lbが副走査方向においてのみ収束するようなパワーを有している。従って、これらの光ビームの各々は、長軸側の倍率を変更されることなく短軸側の倍率のみを変更されてポリゴンミラー130の反射面近傍において収束する。またその際、これらの光ビームLa、Lbは主走査平面Oに徐々に接近するように進行していき、ポリゴンミラー130の反射面の略同一点上(点P)に収束する。説明を加えると、光ビームLbはハウジングの上側から下側に向かって主走査平面Oに徐々に接近するように進行していき、光ビームLaはハウジングの下側から上側に向かって主走査平面Oに徐々に接近するように進行していく。すなわち、これらの光ビームLa、Lbは、ポリゴンミラー130の反射面上の点Pに、それぞれ異なった角度から入射して収束している。
【0020】
ポリゴンミラー130は、ポリゴンミラー130を回転駆動させる図示しないモータにより軸132中心に矢印A方向に一定速度で回転することができる。このポリゴンミラー130の反射面上の点Pに収束した光ビームLa、Lbは、第1レンズ群140に向かって偏向される。なお、これらの光ビームLa、Lbはそれぞれ異なった角度でポリゴンミラー130の反射面上の点Pに入射しているため、これらの光ビームは点Pで交差して、偏向後、主走査方向には一致したままで副走査方向には角度を有し主走査平面Oから徐々に離れるように進行していく。説明を加えると、光ビームLbは主走査平面Oからハウジングの上側に向かって主走査平面Oから徐々に離れるように進行していき、光ビームLaは主走査平面Oからハウジングの下側に向かって主走査平面Oから徐々に離れるように進行していく。また、このときの光ビームLa、Lbそれぞれの光路は、主走査平面Oを挟んで対称となっている。
【0021】
図3は、本発明の実施形態のマルチビーム走査装置100の側面図を展開した展開図である。以下に、図1及び図2に加えてこの図3を用いて、このマルチビーム走査装置100の構成と作用を説明する。
【0022】
ポリゴンミラー130の反射面上の点Pに一旦収束して偏向した光ビームLa、Lbのそれぞれは、第1レンズ群140と、それぞれの光路上に配置されている偏向ミラー150a、150bと、同じく光ビームLa、Lbそれぞれの光路上に配置されている調整ミラー160a、160bと、第2レンズ群170a、170bから構成されている結像光学系を介して、感光ドラム180上に収束して矢印B方向に等速度で走査される。
【0023】
第1レンズ群140は、例えばfθ特性を有しているfθレンズであったり、第2レンズ群170a、170bは、例えば副走査方向に光ビームを収束させるパワーを有するシリンドリカルレンズであったりする。なお、ポリゴンミラー130の反射面上の点Pにおける光ビームLa、Lbの収束位置と、感光ドラム180上におけるこれらの光ビームの収束位置とは共役関係にあるため、ポリゴンミラー130における面倒れが補正されている。従って、これらの光ビームの各々はポリゴンミラー130のいずれの面で反射しても、感光ドラム180上において主走査方向に同一直線上に走査される。
【0024】
また、感光ドラム180上における光ビームLa、Lbそれぞれの全走査範囲のうち、実際の描画に用いられる走査範囲の外側に位置する未描画領域において、走査方向を遡る側の領域の端部周辺に達したそれぞれの光ビームを反射する反射ミラー190a、190bが備えられており、調整ミラー160a、160bから射出してこの反射ミラー190a、190bに入射した光ビームLa、Lbは、センサ部192a、192bにそれぞれ導かれる。
【0025】
センサ部192a、192bは受光素子を備えている。この受光素子は、図示しないハウジングに形成されている支持部材により支持されており、反射ミラー190a、190bを介して、感光ドラム180と光学的に等価な位置に配置されている。また、受光素子の受光面上には、遮光板が設けられており、それぞれの光ビームが走査範囲の外側の所定位置に達してから出力信号が得られるよう構成されている。この受光素子の出力信号の立ち上がりを検出することによりそれぞれの光ビームが走査範囲の外側の所定位置に達したことが検出される。
【0026】
上述したように、ポリゴンミラー130に偏向された光ビームLa、Lbは、先ず、第1レンズ群140に入射する。このとき光ビームLa、Lbの各々は、第1レンズ群140をそれぞれ異なった位置で入射し、かつ進行している。説明を加えると、光ビームLa、Lbの各々は、第1レンズ群140に、主走査方向に関しては互いに一致しつつポリゴンミラー130での偏向状態により移動しながら入射し、副走査方向に関してはその光軸、言い換えると主走査平面Oとそれぞれ異なった角度で入射しており、いずれの光ビームもその主走査平面O以外を通過して、主走査平面Oから徐々に離れる方向に進行している。従って、第1レンズ群に斜めに入射した光ビームLa、Lbの各々はそれぞれ異なった走査湾曲誤差を有しつつ第1レンズ群140から射出する。なお、光ビームLa、Lbの各々の第1レンズ群140での入射位置は、主走査平面Oを挟んで対称となっている。そのため、光ビームLa、Lbの各々は、同じ発生量でかつ逆方向の特性を有する走査湾曲誤差を持って第1レンズ群140から射出する。
【0027】
第1レンズ群140から射出した光ビームLa、Lbの各々は、それぞれの光路上に配置されている偏向ミラー150a、150bに向かって進行する。これらの光ビームのうち、先ず光ビームLaについて説明する。
【0028】
第1レンズ群140から射出した光ビームLaは、偏向ミラー150aに入射する。この偏向ミラー150aは、その反射面中心部が、第1レンズ群140の光軸と、主走査方向には略一致して、副走査方向には第1レンズ群140の光軸よりもハウジング上面側に位置するように配置されている。また、この偏向ミラー150aは、主走査方向及び副走査方向のいずれに対しても傾いて配置されている。従って、偏向ミラー150aに入射した光ビームLaは、主走査方向及び副走査方向のいずれに対しても折り曲げられて進行していく。さらに詳しく説明すると、偏向ミラー150aに折り曲げられた光ビームLaは、主走査方向に関しては光ビームLaの走査開始位置に近づくように進行して、副走査方向に関してはハウジングの上側から下側に向かって主走査平面Oに徐々に接近するように進行していく。この偏向ミラー150aに折り曲げられた光ビームLaは、次に、調整ミラー160aに入射する。
【0029】
調整ミラー160aは、その反射面中心部が、第1レンズ群140の光軸と、主走査方向には光ビームLaの走査開始位置に近づく位置に、副走査方向には主走査平面Oと略一致する位置に配置されている。また、この調整ミラー160aも、主走査方向及び副走査方向のいずれに対しても傾いて配置されている。従って、調整ミラー160aに入射した光ビームLaは、主走査方向及び副走査方向のいずれに対しても折り曲げられて進行していく。さらに詳しく説明すると、調整ミラー160aに折り曲げられた光ビームLaは、主走査平面O上を進行するように折り曲げられる。この調整ミラー160aに折り曲げられた光ビームLaは、次に、第2レンズ群170aに入射する。
【0030】
第2レンズ群170aは、上述したように副走査方向に光ビームを収束させるパワーを有しており、さらに主走査方向の像面湾曲やfθ特性誤差などの収差を補正する機能を有している。ここで、第2レンズ群170aは、光ビームLaが、第1レンズ群140の光軸外をその光軸と異なった角度で第1レンズ群140を進行しているために発生している走査湾曲誤差を、その基準軸を主走査平面Oからハウジング下側に副走査方向へ所定量平行にシフトして配置させることにより補正している。説明を加えると、このとき光ビームLaは、図3に示すように、第2レンズ群170aに、その基準軸からハウジング上側に副走査方向へ所定量平行にシフトした位置で入射している。
【0031】
また、調整ミラー160aは感光ドラム180における光ビームLaによる走査ラインの傾きを補正する機能を有している。具体的には、この調整ミラー160aが図2に示されている矢印C方向に回動すると、感光ドラム180上における光ビームLaによる走査ラインの傾きが変化する。従って、この調整ミラー160aを適度に回動させることにより光ビームLaの走査ラインの傾きを補正することができる。以上のように補正が行われた光ビームLaは、感光ドラム180上の走査領域180aで走査される。
【0032】
また、第1レンズ群140から射出した光ビームLbは、偏向ミラー150bに反射され、さらに調整ミラー160bに反射され、第2レンズ群170bに入射する。これら偏向ミラー150b、調整ミラー160b、及び第2レンズ群170bは、偏向ミラー150a、調整ミラー160a、及び第2レンズ群170aと第1レンズ群140の光軸を挟んで対称となる位置に配置されている。
【0033】
この偏向ミラー150bは、主走査平面Oから徐々に離れる方向に進行していた光ビームLbを、主走査平面Oに徐々に接近する方向に偏向する。そして偏向ミラー150bに偏向された光ビームLbは、さらに調整ミラー160bによって、その進行方向が主走査平面Oと略一致するように偏向されて、第2レンズ群170bに入射する。ここで、第2レンズ群170bは、光ビームLbが第1レンズ群140をその光軸と異なった角度で進行しているために発生している走査湾曲誤差を、その基準軸を第1レンズ群140の光軸からハウジング上側に副走査方向へ所定量平行にシフトして配置されることにより補正している。説明を加えると、このとき光ビームLbは、図3に示すように、第2レンズ群170bに、その基準軸からハウジング下側に副走査方向へ所定量平行にシフトした位置で入射している。また、調整ミラー160bは、感光ドラム180上における光ビームLbによる走査ラインの傾きを、矢印B方向に回動されることにより補正することができる。以上のように補正が行われた光ビームLbは、感光ドラム180上の走査領域180bで走査される。
【0034】
上述したように、光ビームLaと光ビームLbの光路上に配置されている光学素子のそれぞれは、第1レンズ群140の光軸、主走査平面Oなどを挟んで対称に、それぞれの光路長が等しくなるように配置されている。従って、光ビームLaと光ビームLbは、感光ドラム180上の対応する走査領域をそれぞれ同時に、副走査方向に一致した状態で走査する。言い方を換えると、光ビームLa、Lbは、主走査方向に関してはそれぞれ異なった位置で、副走査方向に関しては一致した位置で走査される。すなわち、光ビームLa、Lbは、同一線上に走査ラインを形成する。
【0035】
さらに光学素子の配置について詳しく説明すると、上述したように、第1レンズ群140を射出した光ビームLa及びLbは、同じ発生量でかつ逆方向の特性を有する走査湾曲誤差を有しているため、第2レンズ群170aと第2レンズ群170bとは、同じ量の走査湾曲をそれぞれ逆方向に発生させて第1レンズ群140での走査湾曲誤差を補正する機能を有している。別の言い方をすると、第2レンズ群170aと第2レンズ群170bとは、同一部品であり、主走査平面Oを対称に上下が逆となるように配置されている。先も述べたように、第2レンズ群170a及び第2レンズ群170bは、その基準軸がそれぞれの光ビームの入射位置から偏芯するよう配置されているため、主走査平面Oを対称に上下が逆となるように配置することにより、同じ量の走査湾曲をそれぞれ逆方向に発生させることができる。
【0036】
また、このマルチビーム走査装置100は図示しない演算回路を備えており、この演算回路は、走査領域180aと走査領域180bとの境界線上での走査ラインのずれを防止し、光ビームLaと光ビームLaとが同一線上の走査ラインとなるように、それぞれの光ビームの走査位置を制御する機能を有している。
【0037】
以上が本発明の実施形態である。本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上のように本発明のマルチビーム走査装置は、単一の回転偏向器で、被走査面のそれぞれ異なった軸方向位置でかつ同一の周方向位置に少なくとも2本の光ビームの各々を同時に走査させるものである。従って、従来のタンデム方式のマルチビーム走査装置で備えられていた複数の回転偏向器の同期駆動制御用の回路が必要なくなる。また、本発明の構成を用いることにより、単一の回転偏向器でかつ所定の走査幅までしか走査できないような小型の光学素子を備えているものであっても、所定の走査幅より広い走査幅を走査することが可能となる。その結果、装置の小型化、部品点数の削減、及びそれらに伴った装置の簡略化、コストダウンを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のマルチビーム走査装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態のマルチビーム走査装置の概略構成を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態のマルチビーム走査装置の側面図を展開した図である。
【符号の説明】
100 マルチビーム走査装置
140 第1のレンズ群
150a、150b 偏向ミラー
160a、160b 調整ミラー
170a、170b 第2レンズ群
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の発光素子から射出される複数の光ビームを、偏向器を用いて偏向させて前記複数の光ビームの各々の光路上に配置された複数の結像光学系の各々を介して同一の被走査面上のそれぞれ異なった軸方向位置でかつ同一の周方向位置で同時に走査させるマルチビーム走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、発光素子や、偏向器、fθレンズなどから構成されている光ビーム走査装置を被走査面の軸方向(走査方向)に複数組配置して、それぞれの光ビーム走査装置を同期させて駆動することにより、走査幅の狭い光ビーム走査装置で広い走査幅を得ることを可能とする、いわゆるカスケード方式のマルチビーム走査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなカスケード方式のマルチビーム走査装置では、複数の光ビーム走査装置から同一の被走査面上のそれぞれ異なった軸方向位置でかつ同一の周方向位置に向かって光ビームが射出されて同時に走査されている。そのため、狭い走査幅、例えばA4サイズレベルの走査幅を得る光ビーム走査装置しか備えていなくても、広い走査幅、例えばA2やA3サイズレベルの走査幅を得ることが可能となる。従って、高価な光学素子である大型のfθレンズなどを備える必要がないため、コストメリットがある。また、同一線上の異なった走査方向位置に複数の光ビームを同時に走査させているため、走査させる光ビームの本数に伴って走査速度を速くすることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−190985号公報(第3、4頁、第1、2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのようなカスケード方式のマルチビーム走査装置は光ビーム走査装置を複数組備えているため、大幅なコストメリット及び装置の小型化を達成することはできない。すなわちこのカスケード方式のマルチビーム走査装置では、従来利用されていた光ビーム走査装置に必要な種々の部品のほとんどを複数組備えなければならないため、部品点数が増加し、組立作業が複雑化している。その結果、部品一つ一つは安価であっても、装置全体の部品に掛かるコストはそれほど安価でなくなり、また、組立工程が増えて組立作業に掛かるコストは増大してしまう。
【0006】
さらに、このような装置では、被走査面上における複数の光ビームの各々の走査範囲の境界線上で走査ラインのずれが発生しないように、それぞれの光ビーム走査装置を同期させて駆動している。ところが、このように装置を同期させて駆動するような制御を行うためには、同期駆動用の特別な回路が必要であり、装置の構成をさらに複雑化させる要因となっていた。
【0007】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、走査幅の狭い光学系を用いて広い走査幅を走査できるマルチビーム走査装置であって、構成を簡略化でき、さらに、装置のコストダウンを実現可能とするマルチビーム走査装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係るマルチビーム走査装置は、少なくとも2本の光ビームを射出する光源部と、それらの光ビームを偏向する単一の回転偏向器と、この回転偏向器に偏向された少なくとも2本の光ビームの全てが入射する第1の結像光学系と、この第1の結像光学系を通過した少なくとも2本の光ビームの各々の光路を偏向する光路偏向手段と、この光路偏向手段に偏向された少なくとも2本の光ビームの各々が入射する少なくとも2つの第2の結像光学系とを備え、少なくとも2本の光ビームの各々を同一の被走査面上で同時に走査させるものである。このマルチビーム走査装置に備えられている光路偏向手段は、回転偏向器に偏向された少なくとも2本の光ビームの各々を、被走査面のそれぞれ異なった軸方向位置でかつ同一の周方向位置にそれぞれ偏向する。このとき、第1の結像光学系は例えばfθレンズであったり、第2の結像光学系は例えば光ビームを副走査方向に収束させるパワーを有する光学系であったりする。このようにマルチビーム走査装置を構成すると、単一の回転偏向器で、被走査面のそれぞれ異なった軸方向位置でかつ同一の周方向位置に少なくとも2本の光ビームの各々を同時に走査させることができる。従って、複数の回転偏向器の同期駆動制御用の回路が必要なくなる。また、本発明の構成を用いることにより、単一の回転偏向器でかつ所定の走査幅までしか走査できないような小型の光学素子を備えているものであっても、所定の走査幅より広い走査幅を走査することが可能となる。その結果、装置の小型化、部品点数の削減、及びそれらに伴った装置の簡略化、コストダウンを図ることが可能となる。
【0009】
また、上記マルチビーム走査装置において、光路偏向手段は少なくとも2本の光ビームの各々の光路上に配置されている複数枚のミラーを有している。
【0010】
また、上記マルチビーム走査装置において、光路偏向手段は、回転偏向器に偏向された被走査面の軸方向位置に一致し周方向位置にそれぞれ異なっている少なくとも2本の光ビームの各々を、被走査面の軸方向位置にそれぞれ異なり周方向位置に一致するよう偏向する。すなわち、同一の軸方向位置を有している少なくとも2本の光ビームの各々を光路偏向手段によりそれぞれ異なった軸方向位置でかつ周方向位置に一致するよう偏向すると、これらの光ビームを、同一の被走査面上のそれぞれ異なった軸方向位置でかつ同一の周方向位置で同時に走査させることができる。
【0011】
また、上記マルチビーム走査装置において、光路偏向手段は、回転偏向器に偏向された少なくとも2本の光ビームをそれぞれ異なった被走査面の軸方向位置に偏向するそれぞれの光路上に配置された第1の偏向ミラーと、この第1の偏向ミラーの各々に偏向された少なくとも2本の光ビームの各々を被走査面の周方向位置に一致するよう偏向するそれぞれの光路上に配置された第2の偏向ミラーとを有している。これらの光路偏向手段は、安価なミラーのみで構成できる。また、第2の偏向ミラーの各々は、少なくとも2本の光ビームの各々の被走査面上における走査ラインの傾きを調整する機能を兼ね備えている。
【0012】
また、上記マルチビーム走査装置において、少なくとも2本の光ビームは2本であって、第1の結像光学系を、第1の結像光学系の光軸を含む平面を対称にそれぞれ異なった位置で進行し、またこのとき、少なくとも2つの第2の結像光学系は2つであって、それぞれ異なった軸方向位置でかつ平面を対称に配置されている。すなわち本発明の構成によれば、第1の結像光学系を単一で構成するだけでなく、2つの第2の結像光学系の各々を共通部品で構成することができる。従って、コストダウンを図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態のマルチビーム走査装置100の概略構成を示す図である。このマルチビーム走査装置100は、レーザプリンタや、複写機、ファクシミリなどに備えられている走査装置であって、走査幅の狭い光ビーム走査装置によって広い走査幅を得ることを可能とする、いわゆるカスケード方式のマルチビーム走査装置である。
【0014】
本発明の実施形態のマルチビーム走査装置100を備えた画像形成機器は、A0、A1、A2サイズなどの印字幅の広い用紙に文字や画像を形成できるものである。図1は、このマルチビーム走査装置100の構成を分かり易くするため、この装置の外枠であるハウジング部分を省略し、その内部に備えられている光学系のみを示した上面図である。また、図2は、本発明の実施形態のマルチビーム走査装置100の概略構成を示す側面図である。以下に、図1及び図2を用いて、このマルチビーム走査装置100の構成と作用を説明する。
【0015】
このマルチビーム走査装置100は、被走査面である感光ドラム180上で走査される光ビームを複数本射出する光源部を備えている。この光源部は、発光素子である2つのレーザダイオード110a、110bを有している。
【0016】
これら発光素子であるレーザダイオード110a、110bは全て同一の波長を発振するものであって、その光軸方向と直交する断面が楕円形状を有している光ビームLa、Lbをそれぞれ射出する。また、これらのレーザダイオード110a、110bは、これらのレーザダイオードの点灯・消灯駆動を行う図示しない制御回路を備えた基板上に実装されており、入力される文字・画像情報に基づいて駆動制御される。
【0017】
これらのレーザダイオード110a、110bは、発振した光ビームLa、Lbが、後述するポリゴンミラーの反射面上の所定位置にそれぞれ異なった角度で入射するよう配置されている。説明を加えると、これらのレーザダイオード110a、110bは、互いに、主走査方向では一致し副走査方向では主走査平面Oを対称にしてそれぞれ異なった角度で配置されており、詳しくは、レーザダイオード110bは主走査平面Oより上側に、レーザダイオード110aは主走査平面Oより下側に配置されている。なお、本明細書では、感光ドラム180上において光ビームLa、Lbのそれぞれが走査される方向を主走査方向(言い換えると、感光ドラム180の軸方向)とし、その主走査方向に直交する方向を副走査方向(言い換えると、感光ドラム180の周方向)とする。また、ここでいう主走査平面Oとは、感光ドラム180上における光ビームLa、Lbの走査ライン、後述する第1レンズ群140の光軸、及びポリゴンミラー130の反射面上の点Pを含む平面である。
【0018】
レーザダイオード110a、110bから発振した光ビームLa、Lbは、それぞれコリメータレンズ112a、112bに入射して平行光に変換されて射出される。平行光に変換された光ビームLa、Lbは、シリンドリカルレンズ120a、120bにそれぞれ導かれる。なお、このとき、光ビームLa、Lbは上述したように光軸方向と直交する断面が楕円形状を有している光束であって、図1の紙面と水平な方向が長軸側となっており、図1の紙面と略垂直な方向が短軸側となっている。
【0019】
シリンドリカルレンズ120a、120bは、ポリゴンミラー130の反射面近傍において、入射してきた光ビームLa、Lbが副走査方向においてのみ収束するようなパワーを有している。従って、これらの光ビームの各々は、長軸側の倍率を変更されることなく短軸側の倍率のみを変更されてポリゴンミラー130の反射面近傍において収束する。またその際、これらの光ビームLa、Lbは主走査平面Oに徐々に接近するように進行していき、ポリゴンミラー130の反射面の略同一点上(点P)に収束する。説明を加えると、光ビームLbはハウジングの上側から下側に向かって主走査平面Oに徐々に接近するように進行していき、光ビームLaはハウジングの下側から上側に向かって主走査平面Oに徐々に接近するように進行していく。すなわち、これらの光ビームLa、Lbは、ポリゴンミラー130の反射面上の点Pに、それぞれ異なった角度から入射して収束している。
【0020】
ポリゴンミラー130は、ポリゴンミラー130を回転駆動させる図示しないモータにより軸132中心に矢印A方向に一定速度で回転することができる。このポリゴンミラー130の反射面上の点Pに収束した光ビームLa、Lbは、第1レンズ群140に向かって偏向される。なお、これらの光ビームLa、Lbはそれぞれ異なった角度でポリゴンミラー130の反射面上の点Pに入射しているため、これらの光ビームは点Pで交差して、偏向後、主走査方向には一致したままで副走査方向には角度を有し主走査平面Oから徐々に離れるように進行していく。説明を加えると、光ビームLbは主走査平面Oからハウジングの上側に向かって主走査平面Oから徐々に離れるように進行していき、光ビームLaは主走査平面Oからハウジングの下側に向かって主走査平面Oから徐々に離れるように進行していく。また、このときの光ビームLa、Lbそれぞれの光路は、主走査平面Oを挟んで対称となっている。
【0021】
図3は、本発明の実施形態のマルチビーム走査装置100の側面図を展開した展開図である。以下に、図1及び図2に加えてこの図3を用いて、このマルチビーム走査装置100の構成と作用を説明する。
【0022】
ポリゴンミラー130の反射面上の点Pに一旦収束して偏向した光ビームLa、Lbのそれぞれは、第1レンズ群140と、それぞれの光路上に配置されている偏向ミラー150a、150bと、同じく光ビームLa、Lbそれぞれの光路上に配置されている調整ミラー160a、160bと、第2レンズ群170a、170bから構成されている結像光学系を介して、感光ドラム180上に収束して矢印B方向に等速度で走査される。
【0023】
第1レンズ群140は、例えばfθ特性を有しているfθレンズであったり、第2レンズ群170a、170bは、例えば副走査方向に光ビームを収束させるパワーを有するシリンドリカルレンズであったりする。なお、ポリゴンミラー130の反射面上の点Pにおける光ビームLa、Lbの収束位置と、感光ドラム180上におけるこれらの光ビームの収束位置とは共役関係にあるため、ポリゴンミラー130における面倒れが補正されている。従って、これらの光ビームの各々はポリゴンミラー130のいずれの面で反射しても、感光ドラム180上において主走査方向に同一直線上に走査される。
【0024】
また、感光ドラム180上における光ビームLa、Lbそれぞれの全走査範囲のうち、実際の描画に用いられる走査範囲の外側に位置する未描画領域において、走査方向を遡る側の領域の端部周辺に達したそれぞれの光ビームを反射する反射ミラー190a、190bが備えられており、調整ミラー160a、160bから射出してこの反射ミラー190a、190bに入射した光ビームLa、Lbは、センサ部192a、192bにそれぞれ導かれる。
【0025】
センサ部192a、192bは受光素子を備えている。この受光素子は、図示しないハウジングに形成されている支持部材により支持されており、反射ミラー190a、190bを介して、感光ドラム180と光学的に等価な位置に配置されている。また、受光素子の受光面上には、遮光板が設けられており、それぞれの光ビームが走査範囲の外側の所定位置に達してから出力信号が得られるよう構成されている。この受光素子の出力信号の立ち上がりを検出することによりそれぞれの光ビームが走査範囲の外側の所定位置に達したことが検出される。
【0026】
上述したように、ポリゴンミラー130に偏向された光ビームLa、Lbは、先ず、第1レンズ群140に入射する。このとき光ビームLa、Lbの各々は、第1レンズ群140をそれぞれ異なった位置で入射し、かつ進行している。説明を加えると、光ビームLa、Lbの各々は、第1レンズ群140に、主走査方向に関しては互いに一致しつつポリゴンミラー130での偏向状態により移動しながら入射し、副走査方向に関してはその光軸、言い換えると主走査平面Oとそれぞれ異なった角度で入射しており、いずれの光ビームもその主走査平面O以外を通過して、主走査平面Oから徐々に離れる方向に進行している。従って、第1レンズ群に斜めに入射した光ビームLa、Lbの各々はそれぞれ異なった走査湾曲誤差を有しつつ第1レンズ群140から射出する。なお、光ビームLa、Lbの各々の第1レンズ群140での入射位置は、主走査平面Oを挟んで対称となっている。そのため、光ビームLa、Lbの各々は、同じ発生量でかつ逆方向の特性を有する走査湾曲誤差を持って第1レンズ群140から射出する。
【0027】
第1レンズ群140から射出した光ビームLa、Lbの各々は、それぞれの光路上に配置されている偏向ミラー150a、150bに向かって進行する。これらの光ビームのうち、先ず光ビームLaについて説明する。
【0028】
第1レンズ群140から射出した光ビームLaは、偏向ミラー150aに入射する。この偏向ミラー150aは、その反射面中心部が、第1レンズ群140の光軸と、主走査方向には略一致して、副走査方向には第1レンズ群140の光軸よりもハウジング上面側に位置するように配置されている。また、この偏向ミラー150aは、主走査方向及び副走査方向のいずれに対しても傾いて配置されている。従って、偏向ミラー150aに入射した光ビームLaは、主走査方向及び副走査方向のいずれに対しても折り曲げられて進行していく。さらに詳しく説明すると、偏向ミラー150aに折り曲げられた光ビームLaは、主走査方向に関しては光ビームLaの走査開始位置に近づくように進行して、副走査方向に関してはハウジングの上側から下側に向かって主走査平面Oに徐々に接近するように進行していく。この偏向ミラー150aに折り曲げられた光ビームLaは、次に、調整ミラー160aに入射する。
【0029】
調整ミラー160aは、その反射面中心部が、第1レンズ群140の光軸と、主走査方向には光ビームLaの走査開始位置に近づく位置に、副走査方向には主走査平面Oと略一致する位置に配置されている。また、この調整ミラー160aも、主走査方向及び副走査方向のいずれに対しても傾いて配置されている。従って、調整ミラー160aに入射した光ビームLaは、主走査方向及び副走査方向のいずれに対しても折り曲げられて進行していく。さらに詳しく説明すると、調整ミラー160aに折り曲げられた光ビームLaは、主走査平面O上を進行するように折り曲げられる。この調整ミラー160aに折り曲げられた光ビームLaは、次に、第2レンズ群170aに入射する。
【0030】
第2レンズ群170aは、上述したように副走査方向に光ビームを収束させるパワーを有しており、さらに主走査方向の像面湾曲やfθ特性誤差などの収差を補正する機能を有している。ここで、第2レンズ群170aは、光ビームLaが、第1レンズ群140の光軸外をその光軸と異なった角度で第1レンズ群140を進行しているために発生している走査湾曲誤差を、その基準軸を主走査平面Oからハウジング下側に副走査方向へ所定量平行にシフトして配置させることにより補正している。説明を加えると、このとき光ビームLaは、図3に示すように、第2レンズ群170aに、その基準軸からハウジング上側に副走査方向へ所定量平行にシフトした位置で入射している。
【0031】
また、調整ミラー160aは感光ドラム180における光ビームLaによる走査ラインの傾きを補正する機能を有している。具体的には、この調整ミラー160aが図2に示されている矢印C方向に回動すると、感光ドラム180上における光ビームLaによる走査ラインの傾きが変化する。従って、この調整ミラー160aを適度に回動させることにより光ビームLaの走査ラインの傾きを補正することができる。以上のように補正が行われた光ビームLaは、感光ドラム180上の走査領域180aで走査される。
【0032】
また、第1レンズ群140から射出した光ビームLbは、偏向ミラー150bに反射され、さらに調整ミラー160bに反射され、第2レンズ群170bに入射する。これら偏向ミラー150b、調整ミラー160b、及び第2レンズ群170bは、偏向ミラー150a、調整ミラー160a、及び第2レンズ群170aと第1レンズ群140の光軸を挟んで対称となる位置に配置されている。
【0033】
この偏向ミラー150bは、主走査平面Oから徐々に離れる方向に進行していた光ビームLbを、主走査平面Oに徐々に接近する方向に偏向する。そして偏向ミラー150bに偏向された光ビームLbは、さらに調整ミラー160bによって、その進行方向が主走査平面Oと略一致するように偏向されて、第2レンズ群170bに入射する。ここで、第2レンズ群170bは、光ビームLbが第1レンズ群140をその光軸と異なった角度で進行しているために発生している走査湾曲誤差を、その基準軸を第1レンズ群140の光軸からハウジング上側に副走査方向へ所定量平行にシフトして配置されることにより補正している。説明を加えると、このとき光ビームLbは、図3に示すように、第2レンズ群170bに、その基準軸からハウジング下側に副走査方向へ所定量平行にシフトした位置で入射している。また、調整ミラー160bは、感光ドラム180上における光ビームLbによる走査ラインの傾きを、矢印B方向に回動されることにより補正することができる。以上のように補正が行われた光ビームLbは、感光ドラム180上の走査領域180bで走査される。
【0034】
上述したように、光ビームLaと光ビームLbの光路上に配置されている光学素子のそれぞれは、第1レンズ群140の光軸、主走査平面Oなどを挟んで対称に、それぞれの光路長が等しくなるように配置されている。従って、光ビームLaと光ビームLbは、感光ドラム180上の対応する走査領域をそれぞれ同時に、副走査方向に一致した状態で走査する。言い方を換えると、光ビームLa、Lbは、主走査方向に関してはそれぞれ異なった位置で、副走査方向に関しては一致した位置で走査される。すなわち、光ビームLa、Lbは、同一線上に走査ラインを形成する。
【0035】
さらに光学素子の配置について詳しく説明すると、上述したように、第1レンズ群140を射出した光ビームLa及びLbは、同じ発生量でかつ逆方向の特性を有する走査湾曲誤差を有しているため、第2レンズ群170aと第2レンズ群170bとは、同じ量の走査湾曲をそれぞれ逆方向に発生させて第1レンズ群140での走査湾曲誤差を補正する機能を有している。別の言い方をすると、第2レンズ群170aと第2レンズ群170bとは、同一部品であり、主走査平面Oを対称に上下が逆となるように配置されている。先も述べたように、第2レンズ群170a及び第2レンズ群170bは、その基準軸がそれぞれの光ビームの入射位置から偏芯するよう配置されているため、主走査平面Oを対称に上下が逆となるように配置することにより、同じ量の走査湾曲をそれぞれ逆方向に発生させることができる。
【0036】
また、このマルチビーム走査装置100は図示しない演算回路を備えており、この演算回路は、走査領域180aと走査領域180bとの境界線上での走査ラインのずれを防止し、光ビームLaと光ビームLaとが同一線上の走査ラインとなるように、それぞれの光ビームの走査位置を制御する機能を有している。
【0037】
以上が本発明の実施形態である。本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上のように本発明のマルチビーム走査装置は、単一の回転偏向器で、被走査面のそれぞれ異なった軸方向位置でかつ同一の周方向位置に少なくとも2本の光ビームの各々を同時に走査させるものである。従って、従来のタンデム方式のマルチビーム走査装置で備えられていた複数の回転偏向器の同期駆動制御用の回路が必要なくなる。また、本発明の構成を用いることにより、単一の回転偏向器でかつ所定の走査幅までしか走査できないような小型の光学素子を備えているものであっても、所定の走査幅より広い走査幅を走査することが可能となる。その結果、装置の小型化、部品点数の削減、及びそれらに伴った装置の簡略化、コストダウンを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のマルチビーム走査装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態のマルチビーム走査装置の概略構成を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態のマルチビーム走査装置の側面図を展開した図である。
【符号の説明】
100 マルチビーム走査装置
140 第1のレンズ群
150a、150b 偏向ミラー
160a、160b 調整ミラー
170a、170b 第2レンズ群
Claims (8)
- 少なくとも2本の光ビームを射出する光源部と、
前記少なくとも2本の光ビームを偏向する単一の回転偏向器と、
前記回転偏向器に偏向された前記少なくとも2本の光ビームの全てが入射する第1の結像光学系と、
前記第1の結像光学系を通過した前記少なくとも2本の光ビームの各々の光路を偏向する光路偏向手段と、
前記光路偏向手段に偏向された前記少なくとも2本の光ビームの各々が入射する少なくとも2つの第2の結像光学系と、を備え、前記少なくとも2本の光ビームの各々を同一の前記被走査面上で同時に走査させるマルチビーム走査装置であって、
前記光路偏向手段は、前記回転偏向器に偏向された前記少なくとも2本の光ビームの各々を、前記被走査面のそれぞれ異なった軸方向位置でかつ同一の周方向位置にそれぞれ偏向すること、を特徴とするマルチビーム走査装置。 - 前記光路偏向手段は、前記少なくとも2本の光ビームの各々の光路上に配置されている複数枚のミラーを有していること、を特徴とする請求項1に記載のマルチビーム走査装置。
- 前記光路偏向手段は、前記回転偏向器に偏向された前記軸方向位置に一致し前記周方向位置にそれぞれ異なっている前記少なくとも2本の光ビームの各々を、前記軸方向位置にそれぞれ異なり前記周方向位置に一致するよう偏向すること、を特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のマルチビーム走査装置。
- 前記光路偏向手段は、前記回転偏向器に偏向された前記少なくとも2本の光ビームをそれぞれ異なった前記軸方向位置に偏向するそれぞれの光路上に配置された第1の偏向ミラーと、
前記第1の偏向ミラーの各々に偏向された前記少なくとも2本の光ビームの各々を前記周方向位置に一致するよう偏向するそれぞれの光路上に配置された第2の偏向ミラーと、を有していること、を特徴とする請求項3に記載のマルチビーム走査装置。 - 前記第2の偏向ミラーの各々は、前記少なくとも2本の光ビームの各々の前記被走査面上における走査ラインの傾きを調整する機能を兼ね備えていること、を特徴とする請求項4に記載のマルチビーム走査装置。
- 前記第1の結像光学系はfθレンズであること、を特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のマルチビーム走査装置。
- 前記少なくとも2つの第2の結像光学系は、前記光ビームを副走査方向に収束させるパワーを有する光学系であること、を特徴とする請求項6に記載のマルチビーム走査装置。
- 前記少なくとも2本の光ビームは2本であって、前記第1の結像光学系を、前記第1の結像光学系の光軸を含む平面を対称にそれぞれ異なった位置で進行し、
前記少なくとも2つの第2の結像光学系は2つであって、それぞれ異なった前記軸方向位置でかつ前記平面を対称に配置されていること、を特徴とする請求項7に記載のマルチビーム走査装置。
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