JP2004286938A - 光偏向装置および画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液晶層8を狭持する一対の基板5の少なくとも一方に、平行に配列された複数のライン電極10を設け、各ライン電極10の一端側を抵抗体3に接続し、この抵抗体3に対してライン電極10の配列方向に電圧を印加することで、抵抗体3においてライン電極10の配列方向に沿って一方向に勾配を有する電位勾配を発生させる。これにより、各ライン電極10の電位を電位勾配に応じてそれぞれ異ならせ、隣り合うライン電極10間に電圧を印加することができ、液晶層8の面方向に平行な方向に作用する電界を広範囲に亘って発生させることができる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光偏向装置および画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液晶材料を用いて、入射光を偏向させて出射するようにした各種光偏向装置が提案されている。光偏向装置は、例えば、プロジェクションディスプレイ等の電子ディスプレイ装置に適用される。
【0003】
例えば、所定間隔を開けて対向配置した一対の基板間にスメクチックA相の強誘電性液晶を封入し、互いの基板に対向する面に垂直配向処理を施すことで液晶分子を基板に対して垂直配向させ、スメクチック層と平行な方向に対向配置した電極対に交流電界を印加することで、スメクチックA相の強誘電性液晶に作用する電傾効果によって液晶分子を傾斜させ、入射光を偏向させて出射するようにした光偏向装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、例えば、ライン形状有する複数の透明な導電電極をこの導電電極よりも高い抵抗値を有する接続用ストイプ電極で束ねて一方の基板に設け、他方の基板に導電電極に対向する共通電極を設け、この接続用ストライプ電極に電圧を印加する事により広範囲に亘って電界をかけるようにした光偏向装置がある(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−133904号公報
【特許文献2】
特開2000−214429公報
【特許文献3】
特開平10−221703号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、基板の面方向に対して平行に電界を発生させることができるが、広い範囲においては十分な電界をかけきれないという問題がある。このため、入射光を十分に利用することができず、光損失が発生する。
【0007】
一方、特許文献2,3に記載された技術では、広範囲に亘って電界をかけることが可能となるが、電界方向が基板の対向方向であり、基板間に封入されることで層状態となっている液晶の層方向に電界をかけることができない。このため、液晶層全域に亘って、均一な電界をかけることが困難である。また、特許文献2,3に記載された技術では、配線数が多くなりがちで構造が複雑化するため、光偏向装置の小型化や製造コストの低減を図ることが困難である。
【0008】
本発明の目的は、光偏向装置において、液晶層の面方向に平行な方向に作用する電界を広範囲に亘って発生させ、光損失を低減するとともに、装置の小型化や装置コストの低減を図ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の光偏向装置は、平行に配列された複数のライン電極が少なくとも一方に設けられた一対の基板と、前記各ライン電極の一端側が電気的に接続された抵抗体と、前記一対の基板間に設けられた液晶層と、前記抵抗体に対して前記ライン電極の配列方向に電圧を印加する電圧印加手段と、を具備する。
【0010】
したがって、抵抗体に電圧を印加することで、抵抗体においてライン電極の配列方向に沿って一方向に勾配を有する電位勾配を発生させ、抵抗体と各ライン電極との接続位置における電位すなわち各ライン電極の電位を電位勾配に応じてそれぞれ異ならせることで、隣り合うライン電極間に電圧を印加することができる。これによって、対をなす基板の両方にライン電極を設けたり、各ライン電極にそれぞれ電圧を印加したりすることなく、広範囲に亘り液晶層の面方向に平行な方向に作用する電界を発生させることができる。
【0011】
請求項2記載の発明の光偏向装置は、平行に配列された複数のライン電極が設けられた一対の基板と、単一の前記基板に設けられた前記各ライン電極の一端側がそれぞれ電気的に接続された一対の抵抗体と、前記一対の基板間に設けられた液晶層と、前記各抵抗体に対して前記ライン電極の配列方向に電圧を印加する電圧印加手段と、を具備する。
【0012】
したがって、各抵抗体に電圧を印加することで、各抵抗体においてライン電極の配列方向に沿って一方向に勾配を有する電位勾配をそれぞれ発生させ、各抵抗体において各ライン電極との接続位置における電位すなわち各ライン電極の電位を電位勾配に応じてそれぞれ異ならせることで、隣り合うライン電極間に電圧を印加することができる。これによって、対をなす基板の両方にライン電極を設けたり、各ライン電極にそれぞれ電圧を印加したりすることなく、広範囲に亘り液晶層の面方向に平行な方向に作用する電界を発生させることができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の光偏向装置において、前記抵抗体は、この抵抗体に接続された前記ライン電極が設けられている前記基板に設けられている。
【0014】
したがって、互いに接続される抵抗体とライン電極とを同一基板上に設けることで、光偏向装置の小型化を図ることができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1、2または3記載の光偏向装置において、前記ライン電極は、前記抵抗体と前記各ライン電極との接続位置間における抵抗値が等しくなるように前記抵抗体に接続されている。
【0016】
したがって、各ライン電極間に等しい電圧を印加することができ、液晶層における面内均一性を向上させることができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の光偏向装置において、前記ライン電極は、前記ライン電極を前記基板の対向方向に投影することによって得られる仮想電極列において、一方の前記基板に設けられた前記ライン電極と他方の前記基板に設けられた前記ライン電極とが前記ライン電極の配列方向において交互に位置するように設けられている。
【0018】
したがって、液晶層全体に亘って電界方向が一様な電界を発生させることができる。これによって、液晶層における面内均一性をより向上させることができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の光偏向装置において、前記電圧印加手段は、前記各抵抗体に対して、前記ライン電極を前記基板の対向方向に投影することによって得られる仮想電極列において、各ライン電極の電位を単調に増加または減少させる電圧を印加する。
【0020】
したがって、液晶層全体に亘って発生させる電界方向を確実に一様に揃えることができる。これによって、液晶層における面内均一性をより向上させることができる。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項3、4、5または6記載の光偏向装置において、前記抵抗体と前記各ライン電極との接続位置間における抵抗値をRとし、前記抵抗体の一端側に接続された前記ライン電極と前記抵抗体の一端との間における抵抗値をR’とし、前記抵抗体の他端側に接続された前記ライン電極と前記抵抗体の他端との間における抵抗値をR”とした場合に、前記各ライン電極は、前記抵抗体に対して、抵抗値R、R’およびR”がR>R’>R”≧0を満足するように接続されている。
【0022】
したがって、液晶層全体に亘って電界を発生させ、液晶層における面内均一性を確保することができる。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の光偏向装置において、前記各ライン電極は、前記抵抗体に対して、抵抗値R’およびR”が、R’=(1/2)R、R”=0を満足するように接続されている。
【0024】
したがって、印加される電圧を有効に活用しながら、液晶層全体に亘って電界を発生させることができる。
【0025】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置において、前記抵抗体は、前記ライン電極の抵抗値よりも高い抵抗値を有する。
【0026】
したがって、ライン電極に対して、段階的な電位勾配を発生させることができる。
【0027】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置において、前記電圧印加手段は、前記抵抗体に対して、前記ライン電極間における距離1mmあたり10〜104Vに設定された電圧を印加する。
【0028】
したがって、絶縁破壊を起こさない範囲内で、液晶層の面方向に平行な方向に作用する電圧を印加し、液晶層を配向制御することができる。
【0029】
請求項11記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置において、前記各抵抗体は、消費電力が1W以下に設定されている。
【0030】
したがって、抵抗体が発熱することにより発生する光偏向装置の動作不良や光偏向装置の破壊を防止することができる。
【0031】
請求項12記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置において、前記抵抗体は、比抵抗が10−2〜1×105Ω・cmに設定されている。
【0032】
したがって、電流の流れを安定化するとともに液晶や基板への電流のリーク等の発生を防止することができる。
【0033】
請求項13記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置において、前記抵抗体は、Cr−SiO材料を成膜することによって形成されている。
【0034】
ここで、Cr−SiO材料は、環境温度変化に対する抵抗値の依存性が少ない。
【0035】
したがって、目的とする比抵抗を得ることができ、抵抗体の抵抗値が温度に依存して変動することを低減し、動作の安定性を向上させることができる。
【0036】
請求項14記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置において、前記抵抗体は、SnO2にSbをドープした材料を成膜することによって形成されている。
【0037】
ここで、SnO2にSbをドープした材料は、光の透過率が高い。
【0038】
したがって、目的とする比抵抗を得ることができ、抵抗体を配置することによる光利用効率の低減や、抵抗体の配置上の制限をなくすことができる。
【0039】
請求項15記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置において、前記抵抗体は、SnO2にPをドープした材料を成膜することによって形成されている。
【0040】
ここで、SnO2にPをドープした材料は、光透過率が高いことが知られている。
【0041】
したがって、所定の比抵抗を有し光透過率の高い抵抗体を設けることにより抵抗体の配置に関わる制限を減らすことができる。
【0042】
請求項16記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置において、前記抵抗体は、SiC材料を成膜することによって形成されている。
【0043】
ここで、SiC材料は、耐熱性に優れている。
【0044】
したがって、所望の比抵抗を有し、耐熱性に優れた抵抗体を得ることができる。
【0045】
請求項17記載の発明の画像表示装置は、画像情報にしたがって光を制御可能な複数の画素が2次元的に配列される画像表示素子と、前記画像表示素子を照明する照明手段と、前記画像表示素子が表示する画像パターンを観察するための光学装置と、画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールド単位で前記画像表示素子を駆動する表示駆動手段と、前記画像表示素子の各画素からの出射光の光路を前記サブフィールド毎に偏向する請求項1ないし16のいずれか一に記載の光偏向装置と、を具備する。
【0046】
したがって、請求項1ないし16のいずれか一に記載の発明の作用を奏する画像表示装置を得ることができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0048】
図1は本発明の第1の実施の形態の光偏向装置を概略的に示す側面図であり、図2はその正面図である。本実施の形態の光偏向装置1は、光偏向素子2と、光偏向素子2に設けられた抵抗体としての抵抗部材3に対して電圧を印加する電源4とを備えている。
【0049】
光偏向素子2は、対向配置される一対の基板5,6を備えている。基板5,6は、光学的に透明である。基板5,6としては、ガラス、石英、プラスチックなどを用いることができ、複屈折性の無い透明材料が好ましい。基板5,6の比抵抗は109〜1012Ω・cmオーダーに設定されている。
【0050】
光偏向素子2における一対の基板5,6間には、基板5,6間の間隔を規定するスペーサ7が設けられている。スペーサ7は、光偏向素子2における光偏向領域外に設けられている。
【0051】
一対の基板5,6とスペーサ7とによって囲まれる領域内には、液晶が充填されており、ここに液晶層8が形成されている。液晶層8を形成する液晶としては、スメクチックC相を形成可能な液晶が挙げられる。
【0052】
各基板5,6には、互いに対向する側の面(内側面)に、液晶層8における液晶分子を基板5,6表面に対して所定方向に配向させる配向膜9がそれぞれ設けられている。配向膜9は、基板5,6の面方向(図1中紙面左右方向)に対して液晶分子を所定方向に配向させるものであれば、特に限定されるものではない。
【0053】
光偏向素子2は、光偏向素子2に対して、図1中紙面上下方向であって図2中紙面表裏方向となる方向に入射される光を偏向して出射させる。
【0054】
一方の基板5には、ライン形状を有する複数のライン電極10が設けられている。各ライン電極10は、各々が平行となるように設けられている。各ライン電極10の抵抗値は、略均一に設定されている。ライン電極10は、各ライン電極10間の距離が略均等となるように設けられている。
【0055】
ライン電極10は、例えば、ITO(indium−tin oxide)等の透明材料によって形成されていることが好ましい。このような透明材料によってライン電極10を形成することにより、光利用効率を向上させることができる。
【0056】
各ライン電極10の一端側には、抵抗部材3が接続されている。本実施の形態の抵抗部材3は、複数の単位抵抗部材3aを直列に接続することにより構成されている。各単位抵抗部材3aは、図2に示すように、隣り合うライン電極10間にそれぞれ一つずつ配置されている。これにより、複数のライン電極10が、抵抗部材3によって電気的に束ねられた状態となっている。抵抗部材3の比抵抗の最大値は、105Ω・cmまでの範囲内に設定されている。
【0057】
このような比抵抗を満たす物質としては、例えば、CrSiO(Cr−SiO材料)、SnO2にSbをドープした材料、SnO2にPをドープした材料、SiC等が挙げられる。CrSiOを用いて生成した抵抗部材3は、温度変化に起因する抵抗値の変化が少なく、極めて安定した特性を有している。SnO2にSbをドープした材料やSnO2にPをドープした材料を用いて生成した抵抗部材3は、光の透過率が高く、抵抗体の配置の制限を減らすことができるという特性を有している。またSiCを用いて生成した抵抗部材3は、耐熱性に優れているという特性を有している。
【0058】
ここで、図3は、抵抗部材3とライン電極10との接続について例示する平面図である。図3に示すように、本実施の形態の抵抗部材3は、ライン電極10の配列方向を長手方向とする膜状の抵抗材料によって形成されており、ライン電極10とともに基板5上に設けられている。複数のライン電極10は、抵抗部材3とともに基板5上で櫛形形状を形成するように、抵抗部材3に接続されている。抵抗部材3の抵抗値は、ライン電極10の抵抗値よりも高く設定されている。抵抗部材3の両端には、電源4によって電圧が印加される入力端が設けられている。
【0059】
電源4は、交流電源である。電源4としては、正負の所定電圧を交互に矩形的に発生する交流電源が好ましい。電源4が抵抗部材3に対して印加する電圧は、液晶層8における液晶分子の配向が可能であってかつ絶縁破壊を起こさない範囲に設定されている。本実施の形態の電源4は、抵抗部材3に対して、長さ1mm当たり10〜104Vの電圧を印加する。電源4が抵抗部材3に対して印加する電圧は、抵抗部材3で消費される消費電力を1W以下とする範囲内で設定する。
【0060】
電源4は、図示しない制御系によって駆動制御されて、目的とする光の偏向方向に対応して電界方向が切り換わるように、印加方向が周期的に切り換わる矩形波形状を有する交流電圧を印加する。ここに、電源4によって電圧印加手段が実現されている。
【0061】
このような構成において、抵抗値3の両端に設けられた入力端に対し、電源4によって電圧を印加すると、抵抗部材3においてはライン電極10の配列方向に沿って一方向に勾配を有する電位勾配が生じる。
【0062】
抵抗部材3には複数のライン電極10の一端側が接続されているため、各ライン電極10は、抵抗部材3に対する接続位置に応じて、それぞれ異なる電位を有することとなる。これにより、隣り合うライン電極10間において異なる電圧が印加される。
【0063】
このように、本実施の形態の光偏向装置1によれば、抵抗部材3に電圧を印加することで、抵抗部材3においてライン電極10の配列方向に沿って一方向に勾配を有する電位勾配を発生させ、抵抗部材3と各ライン電極10との接続位置における電位すなわち各ライン電極10の電位を電位勾配に応じてそれぞれ異ならせることで、隣り合うライン電極10間に電圧を印加することができるので、対をなす基板5,6の両方にライン電極を設けたり、各ライン電極にそれぞれ電圧を印加したりすることなく、一対の入力端に電圧を印加するだけで広範囲に亘り液晶層8の面方向に平行な方向に作用する電界を発生させることができる。このとき、抵抗部材3に対しては一方向のみに電圧が印加されるため、電界方向を確実に一方向とすることができ、逆電界の発生を防止することができる。
【0064】
これによって、光偏向装置において光損失を低減するとともに、配線数の増加や製造の複雑化を伴うことがなく、装置の小型化や装置コストの低減を図ることができる。
【0065】
また、抵抗部材3とライン電極とを基板5上に設けることにより、光偏向装置の小型化を図ることができる。
【0066】
さらに、ライン電極10は、抵抗部材3と各ライン電極10との接続位置間における抵抗値が等しくなるように、抵抗部材3に対して等間隔で接続されているため、各ライン電極10間に等しい電圧を印加することができる。
【0067】
これによって、液晶層8にはっせいする電解強度を液晶層8全体に亘って均一化し、液晶層8における面内均一性を向上させることができる。
【0068】
ところで、抵抗部材3に印加される電圧が高い程、液晶層8における液晶分子の反応速度は速くなるが、抵抗部材3の発熱も顕著になる。抵抗部材3の過剰な発熱は、光偏向素子2の破壊の原因となることがある。
【0069】
これ対し、本実施の形態の光偏向装置1では、抵抗部材3に対して長さ1mm当たり10〜104Vの電圧を印加して、抵抗部材3で消費される消費電力を1W以下としているため、抵抗部材3の発熱による光偏向素子2の破壊を防ぐことができる。
【0070】
なお、抵抗部材3で消費される消費電力値は、0.5W以下であることが望ましく、80μA以上に設定されていることがより望ましい。
【0071】
また、抵抗部材3の長さを10〜50mmとし、幅を0.5〜5mmとし、膜厚を0.1〜0.5μmとして計算した場合、この抵抗部材3における比抵抗の最小値は10−2Ω・cmとなり、最大値は107Ω・cm強となる。本実施の形態では、基板5,6の比抵抗109〜1012Ω・cmオーダーに対して、抵抗部材3の比抵抗の最大値を105Ω・cmまでの範囲内に設定することにより、電流の流れを安定化するとともに液晶や基板への電流のリーク等の発生を防止して、基板5,6や液晶層8に対する電気的な悪影響の発生を防止することができる。
【0072】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は本発明の第2の実施の形態の光偏向装置を概略的に示す側面図であり、図5はその正面図である。なお、第1の実施の形態と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。以下、同様とする。
【0073】
本実施の形態の光偏向装置20における光偏向素子21は、第1の実施の形態と同様に、ライン形状を有する複数のライン電極10とこのライン電極10を電気的に束ねる抵抗部材3とが設けられた一対の基板5,6を備えている。ライン電極10は、各々が平行となるように設けられており、各ライン電極10の抵抗値は略均一に設定されており、各ライン電極10間の距離は略均等となるように設けられている。
【0074】
本実施の形態においても、ライン電極10は、例えば、ITO(indium−tin oxide)等の透明材料によって形成されていることが好ましい。
【0075】
ライン電極10は、ライン電極10を基板5,6の対向方向に投影することによって得られる仮想電極列において、一方の基板5(または6)に設けられたライン電極10と他方の基板6(または5)に設けられたライン電極10とが、各基板5,6におけるライン電極10の配列方向(図5中左右方向)に沿って重複するように設けられている。ここで、仮想電極列とは、ライン電極10をそれぞれ基板5,6の対向方向に投影し、この投影像を基板5,6に平行な平面上で観察した場合に得られる電極の投影画像の配列を意味する。
【0076】
本実施の形態の光偏向装置20によれば、各抵抗部材3に電圧を印加することで、各抵抗部材3においてライン電極10の配列方向に沿って一方向に勾配を有する電位勾配をそれぞれ発生させ、各抵抗部材3において各ライン電極との接続位置における電位、すなわち、各ライン電極10の電位を電位勾配に応じてそれぞれ異ならせることで、隣り合うライン電極間に電圧を印加することができるので、対をなす基板5,6の両方にライン電極を設けたり、各ライン電極にそれぞれ電圧を印加したりすることなく、広範囲に亘り液晶層の面方向に平行な方向に作用する電界を発生させることがでる。このとき、抵抗体に対しては一方向のみに電圧が印加されるため、電界方向を確実に一方向とすることができ、逆電界の発生を防止することができる。
【0077】
これによって、光損失を低減するとともに液晶層における面内均一性を向上させ、装置の小型化や装置コストの低減を図ることができる。
【0078】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図6は本発明の第3の実施の形態の光偏向装置を概略的に示す側面図であり、図7はその正面図である。光は上面図では上下方向、正面図では正背面方向に通過する。
【0079】
本実施の形態の光偏向装置30における光偏向素子31は、基板5に設けられたライン電極10と基板6に設けられたライン電極10との電界発生方向における配列位置の関係が第2の実施の形態と異なる。
【0080】
本実施の形態では、ライン電極10を基板5,6の対向方向に沿って投影した仮想投影面上において、基板5に設けられたライン電極10と基板6に設けられたライン電極10とが交互に位置するように配置されている。
【0081】
抵抗部材3の一端には、図8に示すように、抵抗部材33が直列に接続されている。抵抗部材33は、基板5,6を対向させた場合に、互いに反対方向となるように設けられている。本実施の形態では、抵抗部材3および抵抗部材33によって抵抗体が実現されている。
【0082】
基板5,6上の各ライン電極10間の単位抵抗部材3aの抵抗値をRとすると、抵抗部材33は単位抵抗部材3aの抵抗に対して1/2の抵抗値を有している。なお、抵抗部材33の抵抗値は、単位抵抗部材3aの抵抗値R未満であればよく、単位抵抗部材3aの抵抗値Rの1/2の抵抗値であることが好ましい。
【0083】
また、抵抗部材33の抵抗値をR’とし、抵抗部材3に対して抵抗部材33とは反対側に接続されたライン電極10と抵抗部材3の他端との間における抵抗値をR”とした場合、各ライン電極10は、抵抗値R’や抵抗値R”に対して、抵抗値Rが以下に示す(1)式の範囲を満たすように接続されている。
R>R’>R”≧0 …(1)
特に、各ライン電極10は、抵抗値R’や抵抗値R”に対して、抵抗値R’およびR”が、以下に示す(2)式、および(3)式の範囲を満たすように接続されていることが好ましい。
R’=(1/2)R …(2)
R”=0 …(3)
【0084】
なお、本実施の形態では、抵抗部材33の抵抗値がR’に設定されており、抵抗値R”は0に設定されているものとする。
【0085】
電源4は、この抵抗部材33と抵抗部材33とは反対側における抵抗部材3の端部との間に電圧を印加する。
【0086】
このような構成において、電源4によって抵抗部材3に電圧を印加すると、抵抗部材3において直線状の電位勾配が発生する。このとき、基板5に設けられたライン電極10と基板6に設けられたライン電極10とが、基板5,6の対向方向に沿って投影した仮想投影面上において交互に位置づけられるように配置され、また、ライン電極10が、各抵抗部材3の一端に接続された抵抗部材33の抵抗値R’と単位抵抗部材3aとの関係が上述した(1)式、(2)式、(3)式を満たすように接続されているため、液晶層8に対して、一方の基板5(または6)に設けられたライン電極10において最低電位となるライン電極10よりも外側においても電界を発生させることができる。
【0087】
これにより、液晶層8全体に亘って電界を発生させることができるので、液晶層8全体で光偏向効果を得ることができる。
【0088】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図9は本発明の第4の実施の形態の光偏向装置を概略的に示す側面図であり、図10はその正面図である。
【0089】
本実施の形態の光偏向装置40が有する光偏向素子41は、図9に示すように、基板5,6には、ライン形状をした複数のライン電極10を抵抗部材3で電気的に束ねた複合電極が形成された基板5,6を備えている。各基板5,6に形成されたライン電極10は、基板5,6の対向方向に沿ってライン電極10を投影することにより得られる仮想電極面において基板5に設けられたライン電極10と基板6に設けられたライン電極10とが交互に位置するように配置されている。ライン電極10は、図11に示すように、基板5,6に対して櫛型を形成するように接続されている。本実施の形態では、抵抗部材3の一方側に接続されるライン電極10は、抵抗部材3の末端部ではなく、余裕をもってやや内側に接続されている。以降、この余裕分を抵抗部材43として説明する。
【0090】
抵抗部材43は、ライン電極10間の単位抵抗部材3aの抵抗値をRとした場合に、抵抗値をRに対して1/2の抵抗値を有する。
【0091】
ここで、抵抗部材3と各ライン電極10との接続位置間における抵抗部材3aの抵抗値をRとし、抵抗部材3の一端側に接続されたライン電極10aと抵抗部材3の一端との間における抵抗値をR’とし、抵抗部材3の他端側に接続されたライン電極10bと抵抗部材3の他端との間における抵抗値をR”とした場合に、各ライン電極10は、抵抗部材3に対して、抵抗値Rが、抵抗値R’および抵抗値R”に対して、上述した(1)式、(2)式および(3)式を満たすように接続されている。
【0092】
特に、本実施の形態では、抵抗部材43の抵抗値がR’に設定されており、抵抗値R”は0に設定されている。
【0093】
このような構成において、電源4によって抵抗部材3に電圧を印加すると、抵抗部材3において直線状の電位勾配が発生する。このとき、基板5に設けられたライン電極10と基板6に設けられたライン電極10とが、基板5,6の対向方向に沿って投影した仮想投影面上において交互に位置づけられるように配置され、また、ライン電極10が、各抵抗部材3の一端に接続された抵抗部材33の抵抗値R’と単位抵抗部材3aとの関係が上述した(1)式、(2)式、(2)式を満たすように接続されているため、液晶層8に対して、一方の基板5(または6)に設けられたライン電極10において最低電位となるライン電極10よりも外側においても電界を発生させることができる。
【0094】
これにより、液晶層8全体に亘って電界を発生させることができるので、液晶層8全体で光偏向効果を得ることができる。
【0095】
特に、本実施の形態では、図11に示すように、抵抗部材3およびライン電極10を、基板5,6上に設け、さらに抵抗部材3に対して抵抗部材43を形成するようにライン電極10を接続することにより、例えば、図8に示すように別途抵抗部材33を接続する必要がなく、また、単一の基板5,6上に設けることができるので、少ない配線数で液晶層8全体に亘って電界を発生させることができ、また、このような効果を奏する光偏向装置40の小型化を図ることができる。
【0096】
次に、本発明の第5の実施の形態について図12を参照して説明する。本実施の形態は、画像表示装置への適用例を示す。図12は、本発明の第5の実施の形態の画像表示装置を示す概略図である。本実施の形態の画像表示装置80は、図12に示すように、光を照射する照明手段としての光源81を備えている。本実施の形態の光源81は、LEDランプを2次元アレイ状に配列した構成を有している。光源は、直線偏光を照射する。
【0097】
この光源81からスクリーン82に向けて発せられる光の光路上には、光の進行方向に沿って順に配設された拡散板83、コンデンサレンズ84、画像表示素子85、画像パターンを観察するための光学装置としての投射レンズ86が設けられている。
【0098】
光源81から出射する光のON/OFFは、光源ドライブ部88によって駆動制御される。本実施の形態の画像表示素子85は、表示駆動手段としてのドライブ部89によって駆動制御され、光源81から出射する光を画像情報にしたがって制御可能な複数の画素が2次元的に配列された透過型液晶パネルによって実現されている。本実施の形態の画像表示素子85は光源81からの照明光を空間光変調し、ドライブ部89は画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールド単位で画像表示素子85を駆動する。
【0099】
画像表示素子85と投射レンズ86との間の光路上には、光偏向装置90が介在されている。光偏向装置90としては、上述したいずれの実施の形態の光偏向装置10,20,30または40を用いてもよい。光偏向装置90における光偏向素子は上述の光偏向素子2,21,31,41のいずれであってもよい。
【0100】
光偏向装置90は、偏向ドライブ部91に接続されており、偏向ドライブ部91からの駆動信号に基づいて光偏向素子を駆動制御する。
【0101】
なお、光偏向素子への入射光の偏光度を確実にするために、光偏向素子の入射面側に直線偏光板等を設けてもよい。
【0102】
偏向ドライブ部91は、画像表示素子85を介して出射される画像光路をサブフィールド毎に偏向するように光偏向装置90を駆動制御する。本実施の形態の光偏向装置90による光路偏向量は、画像表示素子85における画素ピッチの1/2に設定されている。
【0103】
このような構成において、光源ドライブ部88で制御されて光源81から放出された照明光は、拡散板83により均一化された照明光となり、コンデンサレンズ84を介して画像表示素子85をクリティカル照明する。画像表示素子85は、ドライブ部89によって駆動制御されて、光源81からの照明光をサブフィールド単位で空間光変調する。
【0104】
画像表示素子85で空間光変調された照明光は、画像光として光偏向装置90に入射する。光偏向装置90は、偏向ドライブ部91によって駆動制御されて、スクリーン82に投射される画像光が画素の配列方向に任意の距離だけ光路偏向されるように、画像光を偏向させる。偏向された画像光は、投射レンズ86で拡大されスクリーン82上に投射される。
【0105】
このように本実施の形態の画像表示装置90によれば、画像表示素子85によるサブフィールド単位での空間光変調タイミングと、照明領域が照明領域を順次移動して回転するように光路偏向させるタイミングとを同期させることで、画像表示素子85の実際の画素数を像倍することなく、スクリーン82上に表示される表示画像の画素数を見掛け上増倍することができるので、スクリーン82上に高精細な画像を表示することができる。
【0106】
ここで、本実施の形態では、光偏向装置90を用いることにより、隣り合うライン電極10間に電圧を印加することができるので、対をなす基板5,6の両方にライン電極10を設けたり、各ライン電極10にそれぞれ電圧を印加したりすることなく、広範囲に亘り液晶層の面方向に平行な方向に作用する電界を発生させることができる。
【0107】
これによって、光損失を低減してスクリーン82上に高精細な画像を表示するとともに、光偏向装置90の小型化を図ることで画像表示装置80全体での小型化や装置コストの低減を図ることができる。
【0108】
なお、本実施の形態では、単一の光偏向素子を有する光偏向装置90としたが、これに限るものではなく、光方向が互いに直交するように配置された2つの光偏向素子を有する光偏向装置としてもよい。このような光偏向装置を用いることにより、スクリーン82上に表示される表示画像の画素数を2方向においてそれぞれ増倍することができるので、スクリーン82上に表示される画像を見掛け上4倍に増倍することができる。これによって、スクリーン82上により一層高精細な画像を表示することができる。
【0109】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の光偏向装置によれば、平行に配列された複数のライン電極が少なくとも一方に設けられた一対の基板と、前記各ライン電極の一端側が電気的に接続された抵抗体と、前記一対の基板間に設けられた液晶層と、前記抵抗体に対して前記ライン電極の配列方向に電圧を印加する電圧印加手段と、を具備するため、抵抗体に電圧を印加することで、抵抗体においてライン電極の配列方向に沿って一方向に勾配を有する電位勾配を発生させ、抵抗体と各ライン電極との接続位置における電位すなわち各ライン電極の電位を電位勾配に応じてそれぞれ異ならせることで、隣り合うライン電極間に電圧を印加することができるので、対をなす基板の両方にライン電極を設けたり、各ライン電極にそれぞれ電圧を印加したりすることなく、広範囲に亘り液晶層の面方向に平行な方向に作用する電界を発生させることができ、光損失を低減するとともに、装置の小型化や装置コストの低減を図ることができる。また、抵抗体に対しては一方向のみに電圧が印加されるため、電界方向を確実に一方向とすることができ、逆電界の発生を防止することができる。
【0110】
請求項2記載の発明の光偏向装置によれば、平行に配列された複数のライン電極が設けられた一対の基板と、単一の前記基板に設けられた前記各ライン電極の一端側がそれぞれ電気的に接続された一対の抵抗体と、前記一対の基板間に設けられた液晶層と、前記各抵抗体に対して前記ライン電極の配列方向に電圧を印加する電圧印加手段と、を具備するため、各抵抗体に電圧を印加することで、各抵抗体においてライン電極の配列方向に沿って一方向に勾配を有する電位勾配をそれぞれ発生させ、各抵抗体において各ライン電極との接続位置における電位すなわち各ライン電極の電位を電位勾配に応じてそれぞれ異ならせることで、隣り合うライン電極間に電圧を印加することができるので、対をなす基板の両方にライン電極を設けたり、各ライン電極にそれぞれ電圧を印加したりすることなく、広範囲に亘り液晶層の面方向に平行な方向に作用する電界を発生させることができ、光損失を低減するとともに液晶層における面内均一性を向上させ、装置の小型化や装置コストの低減を図ることができる。また、抵抗体に対しては一方向のみに電圧が印加されるため、電界方向を確実に一方向とすることができ、逆電界の発生を防止することができる。
【0111】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の光偏向装置において、前記抵抗体は、この抵抗体に接続された前記ライン電極が設けられている前記基板に設けられているため、互いに接続される抵抗体とライン電極とを同一基板上に設けることで、光偏向装置の小型化を図ることができる。
【0112】
請求項4記載の発明によれば、請求項1、2または3記載の光偏向装置において、前記ライン電極は、前記抵抗体と前記各ライン電極との接続位置間における抵抗値が等しくなるように前記抵抗体に接続されているため、各ライン電極間に等しい電圧を印加することができ、液晶層における面内均一性を向上させることができる。
【0113】
請求項5記載の発明によれば、請求項2記載の光偏向装置において、前記ライン電極は、前記ライン電極を前記基板の対向方向に投影することによって得られる仮想電極列において、一方の前記基板に設けられた前記ライン電極と他方の前記基板に設けられた前記ライン電極とが前記ライン電極の配列方向において交互に位置するように設けられているため、液晶層全体に亘って電界方向が一様な電界を発生させることができるので、液晶層における面内均一性をより向上させることができる。
【0114】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の光偏向装置において、前記電圧印加手段は、前記各抵抗体に対して、前記ライン電極を前記基板の対向方向に投影することによって得られる仮想電極列において、各ライン電極の電位を単調に増加または減少させる電圧を印加するため、液晶層全体に亘って発生させる電界方向を確実に一様に揃えることができるので、液晶層における面内均一性をより向上させることができる。
【0115】
請求項7記載の発明によれば、請求項3、4、5または6記載の光偏向装置において、前記抵抗体と前記各ライン電極との接続位置間における抵抗値をRとし、前記抵抗体の一端側に接続された前記ライン電極と前記抵抗体の一端との間における抵抗値をR’とし、前記抵抗体の他端側に接続された前記ライン電極と前記抵抗体の他端との間における抵抗値をR”とした場合に、前記各ライン電極は、前記抵抗体に対して、抵抗値R、R’およびR”がR>R’>R”≧0を満足するように接続されているため、液晶層全体に亘って電界を発生させることができ、液晶層における面内均一性をより向上させることができる。また、抵抗体に印加する電圧方向を反転させ、いずれの方向に電圧を印加する場合にも、液晶層全体に亘って電界を発生させることができ、電圧の増加/減少を切り替えることができ、液晶層に作用する電界方向を容易に反転させることができる。特に、基板の両方に設けられたライン電極が仮想電極列において交互に位置するように配列されている光偏向装置では、抵抗体に印加する電圧方向を反転させ、いずれの方向に電圧を印加する場合にも、液晶層全体に亘って電界良好に発生させ、面内均一性をより向上させることができる。
【0116】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の光偏向装置において、前記各ライン電極は、前記抵抗体に対して、抵抗値R’およびR”が、R’=(1/2)R、R”=0を満足するように接続されているため、印加される電圧を有効に活用しながら、液晶層全体に亘って電界を発生させることができるので、印加電圧の利用効率を向上させ、液晶層における面内均一性をより向上させることができる。
【0117】
請求項9記載の発明によれば、請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置において、前記抵抗体は、前記ライン電極の抵抗値よりも高い抵抗値を有するため、ライン電極に対して、段階的な電位勾配を発生させることができる。
【0118】
請求項10記載の発明によれば、請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置において、前記電圧印加手段は、前記抵抗体に対して、前記ライン電極間における距離1mmあたり10〜104Vに設定された電圧を印加するため、絶縁破壊を起こさない範囲内で、液晶層の面方向に平行な方向に作用する電圧を印加し、液晶層を配向制御することができる。
【0119】
請求項11記載の発明によれば、請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置において、前記各抵抗体は、消費電力が1W以下に設定されているため、抵抗体が発熱することにより発生する光偏向装置の動作不良や光偏向装置の破壊を防止することができる。
【0120】
請求項12記載の発明によれば、請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置において、前記抵抗体は、比抵抗が10−2〜1×105Ω・cmに設定されているため、電流の流れを安定化するとともに液晶や基板への電流のリーク等の発生を防止して、基板や液晶層に対する電気的な悪影響の発生を防止することができる。
【0121】
請求項13記載の発明によれば、請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置において、前記抵抗体は、Cr−SiO材料を成膜することによって形成されているため、環境温度変化に対する抵抗値の依存性が少ないCr−SiO材料を用いることによって、目的とする比抵抗を得ることができ、抵抗体の抵抗値が温度に依存して変動することを低減し、動作の安定性を向上させることができる。
【0122】
請求項14記載の発明によれば、請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置において、前記抵抗体は、SnO2にSbをドープした材料を成膜することによって形成されているため、光の透過率が高いSnO2にSbをドープした材料を用いることによって、目的とする比抵抗を得ることができ、抵抗体を配置することによる光利用効率の低減や、抵抗体の配置上の制限をなくすことができる。
【0123】
請求項15記載の発明によれば、請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置において、前記抵抗体は、SnO2にPをドープした材料を成膜することによって形成されているため、光透過率が高いSnO2にPをドープした材料を用いることによって、所定の比抵抗を有し光透過率の高い抵抗体を設けることにより抵抗体の配置に関わる制限を減らすことができる。
【0124】
請求項16記載の発明によれば、請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置において、前記抵抗体は、SiC材料を成膜することによって形成されているため、耐熱性に優れているSiC材料を用いることにより、所望の比抵抗を有し、耐熱性に優れた抵抗体を得ることができる。
【0125】
請求項17記載の発明の画像表示装置によれは、画像情報にしたがって光を制御可能な複数の画素が2次元的に配列される画像表示素子と、前記画像表示素子を照明する照明手段と、前記画像表示素子が表示する画像パターンを観察するための光学装置と、画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールド単位で前記画像表示素子を駆動する表示駆動手段と、前記画像表示素子の各画素からの出射光の光路を前記サブフィールド毎に偏向する請求項1ないし16のいずれか一に記載の光偏向装置と、を具備するため、請求項1ないし16のいずれか一に記載の発明の作用を奏する画像表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の光偏向装置を概略的に示す側面図である。
【図2】その正面図である。
【図3】抵抗体とライン電極との接続について例示する平面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の光偏向装置を概略的に示す側面図である。
【図5】その正面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の光偏向装置を概略的に示す側面図である。
【図7】その正面図である。
【図8】抵抗体とライン電極との接続について例示する平面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態の光偏向装置を概略的に示す側面図である。
【図10】その正面図である。
【図11】抵抗体とライン電極との接続について例示する平面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態の画像表示装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 光偏向装置
3 抵抗体
4 電圧印加手段
5,6 基板
10 ライン電極
20 光偏向装置
30 光偏向装置
40 光偏向装置
Claims (17)
- 平行に配列された複数のライン電極が少なくとも一方に設けられた一対の基板と、
前記各ライン電極の一端側が電気的に接続された抵抗体と、
前記一対の基板間に設けられた液晶層と、
前記抵抗体に対して前記ライン電極の配列方向に電圧を印加する電圧印加手段と、
を具備する光偏向装置。 - 平行に配列された複数のライン電極が設けられた一対の基板と、
単一の前記基板に設けられた前記各ライン電極の一端側がそれぞれ電気的に接続された一対の抵抗体と、
前記一対の基板間に設けられた液晶層と、
前記各抵抗体に対して前記ライン電極の配列方向に電圧を印加する電圧印加手段と、
を具備する光偏向装置。 - 前記抵抗体は、この抵抗体に接続された前記ライン電極が設けられている前記基板に設けられている請求項1または2記載の光偏向装置。
- 前記ライン電極は、前記抵抗体と前記各ライン電極との接続位置間における抵抗値が等しくなるように前記抵抗体に接続されている請求項1、2または3記載の光偏向装置。
- 前記ライン電極は、前記ライン電極を前記基板の対向方向に投影することによって得られる仮想電極列において、一方の前記基板に設けられた前記ライン電極と他方の前記基板に設けられた前記ライン電極とが前記ライン電極の配列方向において交互に位置するように設けられている請求項2記載の光偏向装置。
- 前記電圧印加手段は、前記各抵抗体に対して、前記ライン電極を前記基板の対向方向に投影することによって得られる仮想電極列において、各ライン電極の電位を単調に増加または減少させる電圧を印加する請求項5記載の光偏向装置。
- 前記抵抗体と前記各ライン電極との接続位置間における抵抗値をRとし、前記抵抗体の一端側に接続された前記ライン電極と前記抵抗体の一端との間における抵抗値をR’とし、前記抵抗体の他端側に接続された前記ライン電極と前記抵抗体の他端との間における抵抗値をR”とした場合に、前記各ライン電極は、前記抵抗体に対して、抵抗値R、R’およびR”がR>R’>R”≧0を満足するように接続されている請求項3、4、5または6記載の光偏向装置。
- 前記各ライン電極は、前記抵抗体に対して、抵抗値R’およびR”が、R’=(1/2)R、R”=0を満足するように接続されている請求項7記載の光偏向装置。
- 前記抵抗体は、前記ライン電極の抵抗値よりも高い抵抗値を有する請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置。
- 前記電圧印加手段は、前記抵抗体に対して、前記ライン電極間における距離1mmあたり10〜104Vに設定された電圧を印加する請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置。
- 前記各抵抗体は、消費電力が1W以下に設定されている請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置。
- 前記抵抗体は、比抵抗が10−2〜1×105Ω・cmに設定されている請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置。
- 前記抵抗体は、Cr−SiO材料を成膜することによって形成されている請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置。
- 前記抵抗体は、SnO2にSbをドープした材料を成膜することによって形成されている請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置。
- 前記抵抗体は、SnO2にPをドープした材料を成膜することによって形成されている請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置。
- 前記抵抗体は、SiC材料を成膜することによって形成されている請求項1ないし8のいずれか一に記載の光偏向装置。
- 画像情報にしたがって光を制御可能な複数の画素が2次元的に配列される画像表示素子と、
前記画像表示素子を照明する照明手段と、
前記画像表示素子が表示する画像パターンを観察するための光学装置と、
画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールド単位で前記画像表示素子を駆動する表示駆動手段と、
前記画像表示素子の各画素からの出射光の光路を前記サブフィールド毎に偏向する請求項1ないし16のいずれか一に記載の光偏向装置と、
を具備する画像表示装置。
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