JP2004286101A - 作業用走行車 - Google Patents

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Abstract

【課題】主変速レバー戻し機構などのメカ部分を高精度に微調整しなくても、ブレーキペダルの踏込み操作に応じて、斜板を中立角度に正確に戻し、走行機体を確実に停止させる。
【解決手段】斜板の角度に応じて走行動力を変速する油圧式無段変速装置(HSTポンプ部18及び走行モータ部19)と、前記斜板の角度を操作する主変速レバー35と、踏込み操作によって駐車ブレーキ27を動作させるブレーキペダル41とを備える走行機体1であって、該走行機体1に、ブレーキペダル41の踏込み操作に応じて、主変速レバー35を低速側へ戻す主変速レバー戻し機構49と、ブレーキペダル41の踏込み操作に応じて、斜板操作油路24を短絡させることにより、斜板を中立角度に戻すバイパスバルブ22とを設ける。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧式無段変速装置によって走行動力を変速するクローラトラクタなどの作業用走行車に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧式無段変速装置(HST)によって走行動力を変速するクローラトラクタなどの作業用走行車が知られている。一般に、この種の作業用走行車は、油圧式無段変速装置の斜板に主変速レバーを連繋し、該主変速レバーの操作に基づいて、走行機体の車速操作及び停止操作を行うが、緊急停止用としてブレーキペダルを備えるものが多い。
【0003】
しかしながら、ブレーキペダルの踏込み操作で機体走行を停止させる際には、走行機体に油圧式無段変速装置の推進力が作用しているため、ブレーキペダル操作時に大きなショックを受けるだけでなく、機体停止後にブレーキペダルから足を離すと、走行機体が再び動き出す可能性がある。そのため、近年においては、ブレーキペダルの踏込み操作に応じて、主変速レバーや油圧式無段変速機構(斜板)を自動的に低速側へ戻す機構を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−99565号公報(第3頁、第2図)
【特許文献2】
特開2002−302062号公報(第5頁、第11図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1、2に示されるものでは、ブレーキペダルの踏込み操作に応じて、主変速レバーや油圧式無段変速機構を低速側に戻しても、斜板が中立位置に正確に戻される保証がないため、走行機体が確実に停止しない可能性がある。そのため、特許文献1、2に示されるものでは、ブレーキペダル操作時に斜板を中立位置に戻すために、主変速レバー戻し機構などのメカ部分を極めて精度良く微調整する必要があり、メンテナンスに手間がかかるという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、斜板の角度に応じて走行動力を変速する油圧式無段変速装置と、前記斜板の角度を操作する主変速レバーと、踏込み操作によって走行ブレーキ機構を動作させるブレーキペダルとを備える作業用走行車であって、該作業用走行車に、前記ブレーキペダルの踏込み操作に応じて、前記主変速レバーを低速側へ戻す主変速レバー戻し機構と、前記ブレーキペダルの踏込み操作に応じて、斜板操作油路を短絡させることにより、前記斜板を中立角度に戻すバイパスバルブとを設けたことを特徴とする。つまり、ブレーキペダルの踏込み操作に応じて、バイパスバルブが斜板操作油路を短絡させるため、主変速レバー戻し機構などのメカ部分を高精度に微調整しなくても、斜板を中立角度に正確に戻し、走行機体を確実に停止させることが可能になる。
また、前記ブレーキペダルが踏込み操作されたとき、前記主変速レバー戻し機構又は前記バイパスバルブによって前記斜板を中立位置へ戻した後、前記走行ブレーキ機構を動作させることを特徴とする。このようにすれば、走行機体に油圧式無段変速装置の駆動力が作用した状態でブレーキが働くことを回避できるため、ブレーキによるショックの発生を抑制できるだけでなく、走行ブレーキ機構の負担を軽減し、走行ブレーキ機構の小型化を図ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1はクローラトラクタの走行機体であって、該走行機体1は、機体前部に搭載されるエンジン2、エンジン動力を入力するトランスミッション3、クローラ式の走行部4、キャビン5で覆われる操作部6、作業機(図示せず)が連結される作業機連結部7などを備えて構成されている。作業機連結部7は、リフトアームシリンダ8及びリフトロッドシリンダ9を備えており、リフトアームシリンダ8によって作業機を昇降させると共に、リフトロッドシリンダ9によって作業機を左右傾斜させるように構成されている。
【0008】
図2に示すように、走行機体1は、作業機連結部7を油圧動作させる作業系油圧回路10と、走行部4を油圧動作させる走行系油圧回路11とを備えている。作業系油圧回路10は、トランスミッション3の出力で駆動される油圧ポンプ12と、アタッチメントなどに油圧供給を行うための油圧取り出しバルブ13と、油圧ポンプ12からの供給油を分流させるプライオリティバルブ14と、リフトアームシリンダ8を動作させるポジションコントロールバルブ15と、作業機の下降速度を調節するフローコントロールバルブ16と、リフトロッドシリンダ9を動作させるリフトロッドバルブ17とにより構成されている。
【0009】
走行系油圧回路11は、トランスミッション3の出力で駆動されるHSTポンプ部18と、HSTポンプ部18からの供給油で動作される左右の走行モータ部19と、走行モータ部19の高低速切り換えを行う副変速切換バルブ(電磁バルブ)20と、走行モータ部19をブレーキ動作させる駐車ブレーキバルブ(電磁バルブ)21と、HSTポンプ部18の斜板制御油路を短絡させるバイパスバルブ22とにより構成されている。尚、本明細書では、HSTポンプ部18と走行モータ部19とによって構成される油圧式の無段変速システムを油圧式無段変速装置と称する。
【0010】
HSTポンプ部18は、斜板の角度制御にもとづいて吐出油量を無段階に調節可能な一対の斜板式可変容量ポンプ23を備える。各斜板式可変容量ポンプ23の斜板操作ポートには、一対の斜板操作油路24を介して吐出油量制御バルブ25が接続されており、この吐出油量制御バルブ25によって斜板式可変容量ポンプ23の斜板角が制御される。前述したバイパスバルブ22は、一対の斜板操作油路24に接続され、これらを短絡させることにより、斜板式可変容量ポンプ23の斜板を中立角度に戻すものである。
【0011】
走行モータ部19は、前記斜板式可変容量ポンプ23からの供給油によって動作し、走行部4の駆動輪4aを回転駆動させる斜板式可変容量モータ26と、駆動輪4aの回転をメカ的に制動する駐車ブレーキ(走行ブレーキ機構)27と、斜板式可変容量モータ26の斜板角制御にもとづいて走行速度を高低2段階に切換える高低速切換バルブ28と、閉ループ回路の圧力調整を行うリリーフバルブ29、シャトルバルブ30とを備える。前述した副変速切換バルブ20は、高低速切換バルブ28をパイロット操作するものであり、また、駐車ブレーキバルブ21は、駐車ブレーキ27の動作を切換えるものである。
【0012】
図3に示すように、運転席31の下方には、油圧系を収納する油圧ボックス32が設けられる。油圧ボックス32の前部には、前記バイパスバルブ22が設けられ、また、油圧ボックス32の一側面には、前記吐出油量制御バルブ25に連繋される一対の斜板操作アーム33が設けられている。これらの斜板操作アーム33は、ステアリングホイール34や主変速レバー35に連繋されており、ステアリングホイール34の切り角に応じて背反方向に回動される一方、主変速レバー35の操作に応じて同方向に回動される。これにより、ステアリングホイール34による走行部4の旋回操作が可能になると共に、主変速レバー35による無段階状の走行変速操作が可能になる。尚、ステアリングホイール34と斜板操作アーム33の連繋構造は、本発明の要部ではないため、図示及び説明を省略する。
【0013】
主変速レバー35は、運転席31の一側方に前後回動自在に設けられている。主変速レバー35の基端部は、ロッド36、ベルクランク37及びロッド38を介して、運転席前方の連結アーム39に連結されており、更に、連結アーム39は、一対のワイヤ40などを介して前記斜板操作アーム33に連結されている。これにより、主変速レバー35の操作に応じて、斜板操作アーム33が回動し、走行動力が無段変速されることになるが、逆に、連結アーム39を前後に回動させることにより、主変速レバー35の回動位置を変更することが可能になる。
【0014】
運転席31の前方足元部には、ブレーキペダル41が設けられている。ブレーキペダル41は、ペダル支軸42によって上下回動自在に支持されると共に、バネ43によって上方へ付勢されており、通常時は、上限ストッパ44によって回動規制されている。一方、ブレーキペダル41を踏込み操作した場合は、下限ストッパ45によって踏込み量が規定される。この下限ストッパ45は、ブラケット46に螺着されたボルトで構成されており、その螺込み位置変更によってブレーキペダル41の下限位置が調節される。尚、図面において、47はブレーキペダル41の上限復帰を検知する上限検知スイッチであり、この上限検知スイッチ47がOFFのとき、ブレーキランプ(図示せず)が点灯される。
【0015】
ブレーキペダル41の基端部近傍には、ブレーキペダル41の踏込み操作を検知する踏込み検知スイッチ48が設けられている。この踏込み検知スイッチ48は、ブレーキペダル41が下限に到達したとき、又は、その直前位置に到達したときに検知動作するように取り付け位置が調節されている。前述した駐車ブレーキバルブ21は、踏込み検知スイッチ48に電気的に接続され、該スイッチ48のONに応じて、駐車ブレーキ27を動作させる。これにより、ブレーキペダル41の踏込み操作によって駐車ブレーキ27を動作させることが可能になる。
【0016】
更に、ブレーキペダル41には、その踏込み操作に応じて、主変速レバー35を低速側(中立位置)へ戻す主変速レバー戻し機構49と、バイパスバルブ22を動作させるバイパスバルブ連動機構50とが連繋されている。主変速レバー戻し機構49は、ブレーキペダル41の基端部に突設されるアーム41aと、前述の連結アーム39とを連結させるリンク機構であって、2本のアーム51a、51bが突設される軸部材51と、一方のアーム51aをブレーキペダル41のアーム41aに連結させる連結プレート52と、他方のアーム51bを連結アーム39に連結されるロッド53とを備えて構成されている。そして、主変速レバー戻し機構49は、ブレーキペダル41の踏込み量に応じて、主変速レバー35を中立側へ戻すと共に、ブレーキペダル41が下限に達したとき、主変速レバー35を中立復帰させるように寸法調整されている。また、アーム51aと連結プレート52は、ピン51c及び長孔52aからなる融通機構を介して連結され、長孔52aの長さ寸法は、主変速レバー35を全域操作した場合におけるピン51cの移動量よりも大きく設定されている。これにより、通常時は、ブレーキペダル41との連動が解除された状態で主変速レバー35を操作することが可能になる。
【0017】
バイパスバルブ連動機構50は、ブレーキペダル41が踏込み操作されたとき、ブレーキペダル41が下限に到達する手前(駐車ブレーキ27が動作する前)でバイパスバルブ22を切り換えるもので、前記軸部材51に回動自在に支持されるアーム54と、該アーム54からブレーキペダル41側へ延出する押し込みロッド55と、アーム54をバイパスバルブ22に連結されるワイヤ56とを備えて構成されている。押込みロッド55は、前述した下限ストッパ45のブラケット46を出没自在に貫通しており、その先端が、下限ストッパ45のペダル接当位置よりも僅かにペダル寄りになるように位置設定される。つまり、押込みロッド55は、ブレーキペダル41が踏込み操作されたとき、ブレーキペダル41が下限に到達する手前で押し込まれ、アーム54及びワイヤ56を介してバイパスバルブ22を切り換える。これにより、駐車ブレーキ27が動作する前に、HSTポンプ部18の斜板を中立角度に戻し、機体を確実に停止させることが可能になるだけでなく、駐車ブレーキ27の制動負荷を軽減することが可能になる。
【0018】
叙述の如く構成されたものにおいて、斜板の角度に応じて走行動力を変速する油圧式無段変速装置(HSTポンプ部18及び走行モータ部19)と、前記斜板の角度を操作する主変速レバー35と、踏込み操作によって駐車ブレーキ27を動作させるブレーキペダル41とを備える走行機体1であって、該走行機体1は、ブレーキペダル41の踏込み操作に応じて、主変速レバー35を低速側へ戻す主変速レバー戻し機構49と、ブレーキペダル41の踏込み操作に応じて、斜板操作油路24を短絡させることにより、斜板を中立角度に戻すバイパスバルブ22とを備えるため、主変速レバー戻し機構49などのメカ部分を高精度に微調整しなくても、斜板を中立角度に正確に戻し、走行機体1を確実に停止させることが可能になる。
【0019】
また、ブレーキペダル41が踏込み操作されたとき、主変速レバー戻し機構49又はバイパスバルブ22によって斜板を中立位置へ戻した後、駐車ブレーキ27を動作させるため、走行機体1に走行モータ部19の駆動力が作用した状態で駐車ブレーキ27が働くことを回避でき、その結果、ブレーキによるショックの発生を抑制できるだけでなく、駐車ブレーキ27の制動負荷を軽減し、駐車ブレーキ27の小型化を図ることができる。
【0020】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されないことは勿論であって、例えば、前記実施形態では、主変速レバー、ブレーキペダル、斜板操作アーム、バイパスバルブなどを機械的に連結させているが、油圧的な連結構造や電気的な連結構造を採用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】クローラトラクタの側面図である。
【図2】クローラトラクタの油圧系を示す油圧回路である。
【図3】クローラトラクタの操作部を示す側面図である。
【図4】同上要部拡大図である。
【符号の説明】
1 走行機体
4 走行部
6 操作部
11 走行系油圧回路
18 HSTポンプ部
19 走行モータ部
21 駐車ブレーキバルブ
22 バイパスバルブ
23 斜板式可変容量ポンプ
24 斜板操作油路
25 吐出油量制御バルブ
26 斜板式可変容量モータ
27 駐車ブレーキ
33 斜板操作アーム
35 主変速レバー
41 ブレーキペダル
48 踏込み検知スイッチ
49 主変速レバー戻し機構
50 バイパスバルブ連動機構

Claims (2)

  1. 斜板の角度に応じて走行動力を変速する油圧式無段変速装置と、前記斜板の角度を操作する主変速レバーと、踏込み操作によって走行ブレーキ機構を動作させるブレーキペダルとを備える作業用走行車であって、該作業用走行車に、前記ブレーキペダルの踏込み操作に応じて、前記主変速レバーを低速側へ戻す主変速レバー戻し機構と、前記ブレーキペダルの踏込み操作に応じて、斜板操作油路を短絡させることにより、前記斜板を中立角度に戻すバイパスバルブとを設けたことを特徴とする作業用走行車。
  2. 請求項1記載の作業用走行車において、前記ブレーキペダルが踏込み操作されたとき、前記主変速レバー戻し機構又は前記バイパスバルブによって前記斜板を中立位置へ戻した後、前記走行ブレーキ機構を動作させることを特徴とする作業用走行車。
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