JP2004285415A - 酸化亜鉛膜の形成方法、それを用いた光起電力素子の製造方法 - Google Patents

酸化亜鉛膜の形成方法、それを用いた光起電力素子の製造方法 Download PDF

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隆治 近藤
Masumitsu Iwata
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Abstract

【課題】酸化亜鉛膜形成用の水溶液中の各成分を、長時間の生産工程にわたって一定の好ましい範囲に維持し、均質な特性の酸化亜鉛膜を安定して作成する方法を提供する。
【解決手段】導電性基体103と対向電極104とを少なくとも硝酸イオンと亜鉛イオンと少なくとも1種類以上の添加剤を含有する水溶液102に浸漬してこれらの電極間に通電することにより該導電性基体上に酸化亜鉛膜を形成する酸化亜鉛膜の形成方法において、該硝酸イオンと亜鉛イオンを電気伝導度が特定の範囲になるように補充する工程と、該少なくとも1種類の添加剤を、あらかじめ求めておいた該水溶液の使用状態と形成される酸化亜鉛膜の物性値の関係に基づいて補充する工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は酸化亜鉛薄膜の形成方法及びそれを用いた光起電力素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化亜鉛薄膜を堆積する方法として、水溶液の電気化学的反応を利用して堆積する方法が、例えば、特許文献1に開示されている。この方法によれば、抵抗加熱や電子ビームによる真空蒸着法、スッパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などの真空プロセスによって酸化亜鉛薄膜を堆積するのに比べ、安価に酸化亜鉛薄膜を堆積することが可能である。
【0003】
一方、水溶液の電気化学的反応を利用して酸化亜鉛薄膜を堆積する方法に用いる水溶液の組成として、例えば、特許文献2に開示されているものがある。その水溶液の組成は、亜鉛イオン0.001mol/l〜0.5mol/l、及び硝酸イオン0.001mol/l〜0.5mol/lを含有する水溶液である。
【0004】
更に、特許文献3には、少なくとも硝酸イオンと亜鉛イオンとを含有する水溶液に、sp2混成軌道を有する複数の炭素にカルボキシル基が結合した多価カルボン酸又はそのエステルを含有させることによって光閉じ込め効果の高いテクスチャー構造を実現し、球状や樹枝状などの形状の異常成長を防ぎ、酸化亜鉛結晶粒の大きさのばらつきを防ぎ、大面積にわたって均一な酸化亜鉛膜を得る技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−140373号公報
【特許文献2】
特許第3273294号公報
【特許文献3】
特開2002−167695号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これらの公報に開示された技術により、特性の優れた酸化亜鉛膜を形成することが可能になった。一方、長時間の生産工程にわたって、均一な特性の酸化亜鉛膜を安定して形成するためには解決すべき課題が残存しているのが現状である。
【0007】
例えば帯状基板のような長尺の基板に酸化亜鉛膜を長時間形成すると、形成される酸化亜鉛膜を構成する酸化亜鉛の結晶形状及び結晶粒径が徐々に変化するという問題がある。酸化亜鉛膜を構成する酸化亜鉛の結晶形状及び結晶粒径が適正な状態でなくなると、酸化亜鉛膜の光学特性が変化する。そのような酸化亜鉛膜を用いて光起電力素子とすると、特性均一性が低下する場合がある。さらには変換効率や、劣化率、等の電気特性、或いは膜剥がれや、クラックの発生といった機械的特性にも悪影響を与える場合がある。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、酸化亜鉛膜形成用の水溶液中の前述の各成分の濃度を、長時間の生産工程にわたって一定の好ましい範囲に維持することによって、均質な特性の酸化亜鉛膜を安定して作成する方法を提供することを主たる目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、酸化亜鉛膜形成用の水溶液中の各成分を、長時間の生産工程にわたって一定の好ましい範囲に維持し、均質な特性の酸化亜鉛膜を安定して作成する方法について鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
【0010】
本発明者らは、前述の酸化亜鉛膜の成膜を長期間行った場合に発生する問題の主な原因は、前記水溶液中の酸化亜鉛膜の形成に影響を与える成分の含有量が、反応が進む過程で、それぞれの構成成分が異なった濃度変化をするためではないかと考えた。
【0011】
電界析出法により形成される酸化亜鉛膜の成長及び光学特性を常に良好に維持するには、水溶液中の亜鉛イオン濃度と硝酸イオン濃度を最適な濃度範囲に管理する必要がある。これらの濃度が高すぎる場合には、結晶の異常成長が発生する場合がある。異常成長が発生した酸化亜鉛膜を光起電力素子の基板として用いた場合には、電気的特性が著しく低下する。一方、低すぎる場合には、後述する傾斜角θが小さくなり、酸化亜鉛膜の拡散反射成分が小さくなる。このような酸化亜鉛膜を光起電力素子の基板として用いた場合には、光閉じ込め効果が不十分となり電気的特性が低下する。
【0012】
また形成される酸化亜鉛の結晶形状に大きく影響を与える要因である添加剤(具体的にはsp2混成軌道を有する複数の炭素にカルボキシル基が結合した多価カルボン酸又はそのエステル、好適にはフタル酸)の濃度を最適な濃度範囲に管理する必要がある。これらの濃度が高すぎる場合には、結晶の異常成長が発生しやすくなる。一方、低すぎる場合には、後述する傾斜角θが小さくなり、酸化亜鉛膜の拡散反射成分が小さくなる。
【0013】
これらの亜鉛イオン、硝酸イオン及び添加剤の最適濃度範囲は狭い範囲であり、さらに添加剤の最適濃度範囲は、亜鉛イオン及び硝酸イオンの最適濃度範囲とは異なっている。
【0014】
また、上記亜鉛イオン、硝酸イオン及び添加剤の濃度は、電界析出法により酸化亜鉛膜を析出する工程で経時的に変化していくが、その変化の割合およびメカニズムが異なっていると思われる。
【0015】
例えば水溶液中の上記各物質の濃度が変化(例えば減少)するメカニズムとしては、
▲1▼酸化亜鉛膜として消費される。
▲2▼蒸発する。
▲3▼基板等に付着して浴から持ち出される。
▲4▼分解する、或いは化学反応によって他の物質に変化する。
等が考えられる。
【0016】
亜鉛イオン及び硝酸イオンについては主に上記▲1▼の理由により消費されるものと考えられるが、添加剤については▲3▼及び▲4▼の影響も無視できないものと考えられる。
【0017】
従って長期間酸化亜鉛膜を形成すると、亜鉛イオン、硝酸イオン及び添加剤の濃度の最適バランスが崩れることになり、結果として形成される酸化亜鉛膜の特性に悪影響を与えることとなる。また、亜鉛イオン及び硝酸イオンと添加剤とでは濃度の測定方法も異なり、特に添加剤は濃度を直接的に管理するよりも形成される酸化亜鉛の結晶形状と関連付けて管理する必要がある。これは酸化亜鉛の結晶形状に影響を与える因子が単に添加剤の濃度だけでなく亜鉛イオン及び硝酸イオンの濃度と添加剤の濃度のバランスが影響を与えているためであると推測される。
【0018】
一方、水溶液中の各成分が、それぞれ異なった濃度変化をすることの対応策としては、定期的に水溶液を全て新液と交換することが考えられるが、コストの点からは得策ではない。
【0019】
そこで本発明者らは、濃度変化のメカニズムが異なる各物質の変化量を個別に管理し、各々を最適なタイミングで補充することにより濃度バランスを最適に維持することができることを見出した。それにより、長時間の生産工程にわたって、均一な特性の酸化亜鉛膜を安定して形成できることが可能となった。更に、作成された酸化亜鉛膜を用いた光起電力素子の特性を均一で安定して形成できることが可能となった。
【0020】
本発明は上記知見に基づき成されたものであり、その骨子とするところは、
導電性基体と対向電極とを少なくとも硝酸イオンと亜鉛イオンと少なくとも1種類以上の添加剤を含有する水溶液に浸漬し、該導電性基体と対向電極との間に通電することにより該導電性基体上に酸化亜鉛膜を形成する酸化亜鉛膜の形成方法において、該硝酸イオンと亜鉛イオンを電気伝導度が特定の範囲になるように補充する工程と、該少なくとも1種類の添加剤を、あらかじめ求めておいた該水溶液の使用状態と形成される酸化亜鉛膜の物性値の関係に基づいて補充する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0021】
これにより、亜鉛イオン、硝酸イオンの濃度を酸化亜鉛膜の成膜中にモニターし、最適な濃度に補充することが可能となる。更に、成膜中にモニターが困難な極低濃度の添加剤の補充も容易に可能となる。
【0022】
本発明においては、前記酸化亜鉛薄膜の物性値が該酸化亜鉛膜表面の傾斜角であることが好ましく、これにより、酸化亜鉛薄膜を光起電力素子の基板として用いる際に最も重要な物性値により添加剤の濃度を管理できる。
【0023】
また前記水溶液の電気伝導度の変化の範囲が、成膜開始時の電導度σ±10mS/cmであることが好ましく、これにより、亜鉛イオン、硝酸イオンの濃度を酸化亜鉛薄膜の堆積に最適な濃度に管理できる。
【0024】
また補充する硝酸イオン及び亜鉛イオンの濃度が0.01乃至10mol/lの水溶液で行なうことが好ましく、これにより、電析液中への硝酸亜鉛の拡散が速やかに行なわれ、酸化亜鉛薄膜の物性上の変化を抑えることが可能である。
【0025】
また前記添加剤がsp2混成軌道を有する複数の炭素にカルボキシル基が結合した多価カルボン酸又はそのエステルであることが好ましく、これにより、酸化亜鉛薄膜に光閉じ込め効果のあるテクスチャー構造を実現し、球状や樹枝状などの形状の異常成長を防ぎ、酸化亜鉛結晶粒の大きさのばらつきを防ぎ均一化できる。
【0026】
また前記添加剤の補充を添加剤の濃度が0.001乃至100mmol/lの水溶液で行なうことが好ましく、これにより、電析液中への添加剤の拡散が速やかに行なわれ、酸化亜鉛薄膜の物性上の変化を抑えることが可能である。
【0027】
また、例えば電析液中の亜鉛イオン、硝酸イオン及び添加剤の各々の濃度が、全て適正濃度の下限値に近い状態である場合に、同時に全ての成分を補充して急激に適正濃度の上限値まで濃度を高めると、規格内ではあっても、ロット間の特性のバラツキが大きくなる場合がある。
【0028】
そこで、ロット毎の特性のバラツキをさらに小さくするには、亜鉛イオンと硝酸イオン及び前記添加剤の補充を同時には行なわない、即ち補充時期を所定の時間ずらすことで、電析液中の各成分の濃度が急激に変化することを避けることができるため好ましい。
【0029】
或いは、補充期間を短くして亜鉛イオン、硝酸イオン及び添加剤の濃度が適正濃度の下限値になる前に、前記各成分を微量ずつ、同時、又は補充時期を所定の時間ずらして補充することも可能である。
【0030】
また、本発明は、以上の方法を用いて酸化亜鉛膜を形成した後にシリコン系半導体層を形成する工程を有することを特徴とする光起電力素子の製造方法を包含する。
【0031】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態例を添付図面に基づいて説明する。
【0032】
[電解析出による酸化亜鉛膜の形成方法]
図1は、酸化亜鉛膜を形成するため電解析出を行なう製造装置の構成図である。図中、101は反応槽、102は水溶液、103は導電性基体、104は対向電極、105は電源、106は負荷抵抗、107は溶液射出口、108は溶液吸入口、109は吸入溶液パイプ、110は射出溶液パイプ、111は溶液循環ポンプ、112は補助槽、113はヒーターである。
【0033】
(水溶液102)
水溶液102の組成は、少なくとも硝酸亜鉛と添加剤からなる。硝酸亜鉛は水溶液中で少なくとも硝酸イオンと亜鉛イオンとなり、この硝酸イオン、亜鉛イオン濃度は好ましくは、0.002mol/l〜3.0mol/l、より好ましくは0.01mol/l〜1.5mol/l、さらに好ましくは0.05mol/l〜0.7mol/lである。
【0034】
添加剤としては、例えば、sp2混成軌道を有する複数の炭素にカルボキシル基が結合した多価カルボン酸又はそのエステルが挙げられる。これらは、−C=C−基を有しこれらの炭素それぞれにカルボキシル基又はエステル基が結合したものや、芳香環(ベンゼン環や複素芳香環など)中の複数の炭素にカルボキシル基が結合したものが好ましい。より具体的には、フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、ナフタル酸あるいはこれらのエステルなどが挙げられる。これらの多価カルボン酸の濃度は、0.5μmol/l〜500μmol/lとすることが好ましく、50μmol/l〜500μmol/lとすることがより好ましく、150μmol/l〜500μmol/lとすることがさらに好ましい。多価カルボン酸の濃度をこのように制御することにより、光閉じ込め効果に適したテクスチャー構造の酸化亜鉛膜を効率よく形成できる。
【0035】
また、サッカロースまたはデキストリンを水溶液102に含有させると、これら添加剤が電解析出反応を適正化するように働いて酸化亜鉛膜の異常成長を抑制することができ、成膜面の均一性及び密着性を良好にできる。このようにすることで、光閉じ込め効果の高い、テクスチャー構造の酸化亜鉛膜を、歩留りよく形成することができる。また、水溶液102内にサッカロースまたはデキストリンを含ませる場合は、サッカロースの濃度は好ましくは、1g/l〜500g/l、さらに好ましくは3g/l〜100g/lに設定し、デキストリン濃度は好ましくは0.01g/l〜10g/l、さらに好ましくは0.025g/l〜1g/lに設定する。
【0036】
(補充方法)
続いて亜鉛イオン、硝酸イオン、添加剤の補充の方法について説明する。
【0037】
(亜鉛イオン、硝酸イオンの補充)
亜鉛イオン、硝酸イオンの補充は、亜鉛塩、硝酸塩を補充することでも可能であるが、硝酸亜鉛を補充することが好ましい。亜鉛塩、硝酸塩を補充した場合には、酸化亜鉛膜の反応系に不必要なイオンを加えることとなり、酸化亜鉛膜の堆積に悪影響を及ぼす場合がある。
【0038】
亜鉛イオン、硝酸イオンを補充する形態としては、固形物を直接補充することも可能であるが、亜鉛イオン、硝酸イオンが水に溶けた水溶液の状態であることが好ましい。水に溶けた状態であることにより、補充した亜鉛イオン、硝酸イオンが電析液中にすばやく拡散する。また、補充を自動化する場合にも、液体であるほうが制御を容易にできる。水に溶かし補充する場合の亜鉛イオン、硝酸イオンの濃度は、水溶液の急激な濃度変化を引き起こさないために、濃すぎないことが好ましい。その濃度は、0.01乃至10mol/lであることが好ましいが、補充を必要とする水溶液の硝酸イオン及び亜鉛イオンの濃度よりも高くなければならない。
【0039】
本発明において亜鉛イオン、硝酸イオンの補充は電気伝導度の変化により行なう。所望の電気伝導度σに対して電気伝導度の低下が起こった場合に亜鉛イオン、硝酸イオンを補充する。長期にわたり堆積される酸化亜鉛膜のテクスチャー構造を安定化させるためには、電気伝導度の低下は10mS/cm以内に抑えることが好ましく、より好ましくは、5mS/cmである。これらの電気伝導度は、反応槽の温度での電気伝導度であり、一般的な25℃での電気伝導度ではない。例えば、温度が80℃で0.2mol/l程度の硝酸亜鉛の水溶液である場合、5mS/cmの伝導度の変化で亜鉛イオン、硝酸イオン濃度は10%程度の変動がある。亜鉛イオン、硝酸イオンの補充の根拠を電気伝導度とするのは、電気伝導度は測定が簡単であり、リアルタイムで測定可能であり、精度が高いためである。また、80℃程度の高温下での測定も可能であり、本発明の酸化亜鉛膜堆積の温度でも測定可能である。
【0040】
(添加剤の補充)
添加剤の補充は、亜鉛イオン、硝酸イオンと同様に添加剤の電離成分の塩を補充することができるが、直接添加剤を補充することが好ましい。添加剤の補充も亜鉛イオン、硝酸イオンと同様に固形物を直接補充することも可能であるが、添加剤を水に溶かした状態で補充することが好ましい。水に溶かした状態であることにより、補充した添加剤が電析液中にすばやく拡散する。また、補充の自動化を行なう際にも、液体であるほうが制御しやすい。その濃度は、0.001乃至100mmol/lであることが好ましいが、補充を必要とする水溶液の添加剤の濃度よりも高くなければならない。
【0041】
本発明において添加剤の補充の目安は酸化亜鉛膜の表面形状の物性値である。添加剤は、亜鉛イオン、硝酸イオンに比べ数万分の一程度の極少量しか含まれておらず、電気伝導度に及ぼす影響は小さい。添加剤の濃度を、紫外線吸収を用いた方法等で測定することも可能であるが、亜鉛イオン、硝酸イオンとの分離を行なわなければ正確な濃度測定ができず、正確な濃度測定は、非常に煩雑な測定となる。また、測定に時間を要するためすぐにその測定値を知ることができない。そのために、他の方法による補充が必要である。本発明では作成される酸化亜鉛薄膜の表面形状の物性値を補充の目安とする。
【0042】
本発明によって形成される酸化亜鉛膜の表面形状は、以下の測定項目によって評価することができる。具体的には傾斜角θ、表面粗さRa、粒径である。本発明においては、それらの物性値の中で傾斜角θに特に注目する。傾斜角θは、酸化亜鉛膜の拡散反射に大きな影響をもち、その酸化亜鉛膜を光起電力素子の基板として用いる際には、光閉じ込め効果の指標となる。以下に酸化亜鉛膜の表面形状の物性値について説明する。
【0043】
(傾斜角θ)
傾斜角θは、酸化亜鉛の表面と基板(基体)の主面とのなす角の平均値である。ここで、主面とは基板表面にもともと存在する凸凹を取り除いた仮想の平面である。よって乱反射率と正の相関があり、その値が大きい程(90°以下で)太陽電池の効率向上に寄与する。すなわち光閉じ込め効果に有効なテクスチャー構造となる。傾斜角θは具体的には、arctan(df/dx)(但しdxはサンプルリング長、dfは酸化亜鉛層の表面と基板の主面との距離の変化量)により求められる。
【0044】
(表面粗さRa)
太陽電池特性に対しては、表面粗さRaが増加しすぎるとシリーズ抵抗Rsの増加、FFの低下が起こる。現時点ではRaが10nm〜120nmの範囲で本発明による、テクスチャー構造の光閉じ込めによる太陽電池特性の効果が確認されている。
【0045】
(粒形)
粒形は、酸化亜鉛の表面ピーク間(バレー間)距離の平均値である。太陽電池の特性に対しては、現時点では10nm〜150nmで本発明による、テクスチャー構造の光閉じ込めによる太陽電池特性の効果が確認されている。
【0046】
以上の酸化亜鉛膜の表面形状の物性値は、水溶液の組成が大きく影響する。特に傾斜角θは、他の物性値に比べ水溶液の組成の影響を大きく受ける。また、傾斜角θは、亜鉛イオン、硝酸イオンの濃度よりもsp2混成軌道を有する複数の炭素にカルボキシル基が結合した多価カルボン酸又はそのエステルの濃度の影響を受けやすい。そのために、添加剤の濃度管理に傾斜角θを用いることが最適である。
【0047】
水溶液中の組成物は、そのメカニズムの詳細は不明であるが、加熱や、通電等の水溶液の使用状態により消費される。そのため、水溶液作成直後に堆積した酸化亜鉛膜と、長時間にわたり使用された水溶液により堆積された酸化亜鉛膜では、その表面形状に違いを生じる。特に傾斜角θは、大きく変化する。本発明では、傾斜角θと水溶液の使用の状態(液作成からの経時、加熱時間、通電時間など)との関係をあらかじめ明らかにして、sp2混成軌道を有する複数の炭素にカルボキシル基が結合した多価カルボン酸又はそのエステルの補充量を決定する。
【0048】
酸化亜鉛膜の物性値は、リアルタイムで測定できない場合が多い。その場合には、あらかじめ水溶液の使用状態と物性値の関係を明らかにしておく。それらのデータから補充すべき量を決め補充を行なう。
【0049】
本発明において、硝酸亜鉛の補充及び添加剤の補充は、同時に行なわないことが好ましい。同時に行なった場合には液の状態が急激に変化して、堆積される酸化亜鉛薄膜のテクスチャー構造が大きく変化する可能性があるからである。
【0050】
本発明において電解析出反応を行なう反応槽101に加え、補助槽112を設けることが好ましい。補助槽があることにより、反応による液の変化が急激に起こることを防ぐことが可能である。
【0051】
本発明において、亜鉛イオン、硝酸イオンや添加剤の補充は、直接反応槽に行なっても良いが、補助槽に行なうことが好ましい。補助槽に補充を行なうことにより、反応槽の亜鉛イオン、硝酸イオン、添加剤の急激な濃度変化を防ぐことが可能となり、堆積される酸化亜鉛膜のテクスチャー構造の急激な変化を抑えることが可能である。
【0052】
以上の組成の水溶液に各成分の補充を行ないながら酸化亜鉛膜の電解析出を行なう。これらの浴中のpHは3以上、電気伝導度は10mS/cm以上、溶液温度は60℃以上とすることで、異常成長の少ない均一な酸化亜鉛膜を効率よく形成できる。溶液全体を撹拌するために、図1の装置では、溶液吸入口108、溶液射出口107、溶液循環ポンプ111、吸入溶液パイプ109、射出溶液パイプ110とからなる溶液循環系を用いている。
【0053】
導電性基体103、対向電極104は、負荷抵抗106を経て電源105に接続されている。導電性基体103と対向電極104との間に流す電流値としては、好ましくは0.1mA/cm〜100mA/cm、さらに好ましくは1mA/cm〜30mA/cm、最適には4mA/cm〜20mA/cmである。
【0054】
[光起電力素子]
図2は、本発明にかかる光起電力素子の積層構成を示す断面図である。図中に示す素子は太陽電池であり、図中201は基板(支持体)、202は金属層(裏面反射層)、203は六方晶系多結晶からなる酸化亜鉛層(透明導電層)、204は半導体層、205は透明電極層、206は集電電極である。なお、透明基板側から光が入射する構成の場合、基板を除いて各層が逆の順番で形成される。
【0055】
次に本発明のその他の構成要素について説明する。
【0056】
(基板)
基板201としては、金属または導電性材料をコーティングした樹脂、ガラス、セラミックス等が用いられる。その表面には微細なテクスチャーを有してもよい。透明基板を用いて基板側から光が入射する構成としてもよい。また、ステンレス、ポリイミド等可撓性を有する基板を用いることで、長尺な形状とすることができ、連続成膜に対応させることができる。
【0057】
(金属層)
金属層202は電極としての役割と、基板201にまで到達した光を反射して半導体層で再利用させる反射層としての役割がある。Al、Cu、Ag、Auなどを蒸着、スパッタ、電解析出、印刷等の方法で形成する。その表面にテクスチャーを有することにより反射光の半導体層内での光路長を延ばし、短絡電流を増大させる作用がある。
【0058】
(酸化亜鉛層)
酸化亜鉛層(透明導電層)203は、入射光及び反射光の乱反射を増大し、半導体層内での光路長を延ばす。また、金属層202の元素が半導体層204への拡散あるいはマイグレーションをおこし、光起電力素子がシャントすることを防止する。さらに、適度な抵抗を持つことにより、半導体層のピンホール等の欠陥によるショートを防止する。さらに、金属層202と同様にその表面に光閉じ込め効果に有効なテクスチャーを有していることが好ましい。
【0059】
酸化亜鉛層(透明導電層)203は本発明の電解析出法により作成する。尚、あらかじめスパッタ等により金属層202上に酸化亜鉛膜を設け、その上に本発明の電解析出法により酸化亜鉛膜を堆積することがより好ましい。それにより、金属層202と酸化亜鉛層(透明導電層)203の密着性を向上させる効果がある。
【0060】
(半導体層)
半導体層204の材料としては、アモルファスあるいは微結晶のSi、C、Ge、またはこれらの合金が用いられる。同時に、水素および/またはハロゲン原子が含有される。その好ましい含有量は0.1から40原子%である。さらに酸素、窒素などを含有してもよい。これらの不純物濃度は5×1019cm−3以下が望ましい。さらにp型半導体とするにはIII属元素、n型半導体とするにはV属元素を含有する。
【0061】
スタックセルの場合、光入射側に近いpin接合のi型半導体層はバンドギャップが広く、遠いpin接合になるに従いバンドギャップが狭くなるのが好ましい。また、i層の内部ではその膜厚の中央よりもp層寄りにバンドギャップの極小値があるのが好ましい。
【0062】
光入射側のドープ層は光吸収の少ない結晶性の半導体か、またはバンドギャップの広い半導体が適している。
【0063】
半導体層を形成するには、マイクロ波(MW)プラズマCVD法または高周波(RF)CVD法が適している。
【0064】
この半導体堆積技術としては「i層はGraded SiGeでGe組成20〜70atm%」(特開平4−119843号公報)などを用いることができる。
【0065】
(透明電極層)
透明電極層205はその膜厚を適当に設定することにより反射防止膜の役割を兼ねることが出来る。透明電極層はITO、ZnO、In等の材料を、蒸着、CVD、スプレー、スピンオン、浸漬などの方法を用いて形成される。これらの化合物に導電率を変化させる物質を含有してもよい。
【0066】
(集電電極)
集電電極206は集電効率を向上させるために設けられる。その形成方法として、マスクを用いてスパッタによって集電パターンの金属を形成する方法や、導電性ぺーストあるいは半田ぺーストを印刷する方法、金属線を導電性ぺーストで固着する方法などがある。
【0067】
なお、必要に応じて光起電力素子の両面に保護層を形成することがある。同時に鋼板等の補強材を併用してもよい。
【0068】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0069】
(実施例1)
図2に示したような光起電力素子の酸化亜鉛層(透明導電層)203を、図3に示すロール・ツー・ロール装置を用いて形成した。
【0070】
本実施例では、ロール状のSUS4302Dからなる支持体201に、予め、ロール対応のDCマグネトロンスパッタ装置により銀200nm堆積し、その上に同様のロール対応のDCマグネトロンスパッタ装置により100nmの酸化亜鉛薄膜(基板温度150℃、成膜速度5nm/sec)を堆積して金属層(裏面反射層)202を形成した。
【0071】
この支持体201/金属層202の上に図3に示すロール・ツー・ロール装置を用いて酸化亜鉛層203を形成した。図3中、301は送り出しローラー、302は巻き取りローラー、303は支持体ロール、304は搬送ローラー、305は酸化亜鉛形成槽、306は酸化亜鉛形成浴、307は対向電極、308は電源、309は水洗槽、310は水洗浴、311は水洗シャワー、312は乾燥炉、313は赤外線ヒーターである。
【0072】
支持体ロール303は搬送ローラ304を経て、酸化亜鉛層形成槽305に搬送される。酸化亜鉛層形成槽305には、補助槽がついている(図示せず)。酸化亜鉛形成浴306は、水1リットル中に硝酸亜鉛・6水塩60g(0.20mol/l)が添加された後、0.05mmol/lのフタル酸水素カリウム(分子量204.22)となるようフタル酸水素カリウムが添加され、デキストリン0.3gを含んでなり、浴中を撹拌するために液循環処理がなされている。酸化亜鉛形成浴の総量は1000lである。液温は80℃の温度に保たれており、pHは4.0〜5.0に保持される。電気伝導度は65mS/cmであった。対向電極307は表面をブラスト処理した亜鉛板が用いられており、ロール状の基板303(前記の支持体201/金属層202)を負側の電極とした。正側の対向電極307と負側の基板303との間でそれぞれ12mA/cm(1.2A/dm)として電解析出をおこなった。なお、酸化亜鉛の成膜を行なった長さは500mであった。
【0073】
電気伝導度が63mS/cmになった時に硝酸亜鉛の水溶液(0.85mol/l)を加え、電気伝導度を65mS/cmにした。成膜中に4回ほど補充を行なった。フタル酸水素カリウムは、成膜長30mあたりに1回3mmol/lの水溶液を500ml補充した。このフタル酸水素カリウム補充量は、成膜1mあたりに0.05mmol補充するものであり、この補充量により、形成される酸化亜鉛薄膜の物性は、成膜開始直後から成膜終了までの間、大きな変化無く維持される。硝酸亜鉛の補充とフタル酸水素カリウムの補充は、重ならなかった。基板の搬送速度は2000mm/分であり、膜厚1.8μmの酸化亜鉛薄膜が形成された。
【0074】
得られた酸化亜鉛薄膜が形成された基板の成膜開始の部分と終了間際の部分の一部を切り取り、セイコー電子工業製ナノピクスを用いて表面のテクスチャー構造を測定した。評価は、成膜開始の部分の傾斜角θ、表面粗さRa、粒径を1として、添加剤補充直前、直後、成膜終了間際の部分の傾斜角θ、表面粗さRa、粒径を相対値で表1に示す。
【0075】
この後、半導体層204としてCVD法により、ボトムセルのn型微結晶シリコン(μc−Si)を10nm、ノンドープ微結晶シリコン(μc−Si)を2000nm、p型微結晶シリコン(μc−Si)を30nmとして、トップセルのn型非晶質シリコン(a−Si)を10nm、ノンドープ非晶質シリコン(a−Si)を500nm、p型非晶質シリコン(a−Si)を30nmを順に堆積した。さらにスパッタ装置を用いてITOを65nm堆積して、反射防止効果のある上部電極としての透明導電層205とした。この上に銀によるグリッドを加熱蒸着により堆積して上部取り出し電極206とし、光起電力素子とした。
【0076】
この光起電力素子を擬似太陽光の下で測定し、短絡電流密度、変換効率を測定した。評価は、成膜開始の部分の短絡電流密度、変換効率を1として添加剤補充直前、直後、成膜終了間際の部分の短絡電流密度、変換効率を相対値で表1に示す。
【0077】
(実施例2)
フタル酸水素カリウムは、成膜長1mあたりに1回0.1mmol/lの水溶液を500ml補充した以外は実施例1と同様に酸化亜鉛薄膜を形成した。更に実施例1と同様に光起電力素子を作成した。評価は、実施例1に従った。
【0078】
(実施例3)
フタル酸水素カリウムは、成膜長90mあたりに1回90mmol/lの水溶液を50ml補充した以外は実施例1と同様に酸化亜鉛薄膜を形成した。更に実施例1と同様に光起電力素子を作成した。評価は、実施例1に従った。
【0079】
(比較例1)
フタル酸水素カリウムは、成膜長250mあたりに1回2500mmol/lの水溶液を5ml補充した以外は実施例1と同様に酸化亜鉛薄膜を形成した。更に実施例1と同様に光起電力素子を作成した。評価は、実施例1に従った。
【0080】
(実施例4)
補充する硝酸亜鉛水溶液の濃度を8mol/lとした以外は実施例1と同様に酸化亜鉛薄膜を形成した。評価は、成膜開始の部分の傾斜角θ、表面粗さRa、粒径を1として、硝酸亜鉛補充直前、直後、成膜終了間際の部分の傾斜角θ、表面粗さRa、粒径を相対値で表1に示す。更に実施例1と同様に光起電力素子を作成し、この光起電力素子を擬似太陽光の下で測定し、短絡電流密度、変換効率を測定した。評価は、成膜開始の部分の短絡電流密度、変換効率を1として硝酸亜鉛補充直前、直後、成膜終了間際の部分の短絡電流密度、変換効率を相対値で表1に示す。
【0081】
(比較例2)
補充する硝酸亜鉛水溶液の濃度を20mol/lとした以外は実施例4と同様に酸化亜鉛薄膜を形成した。更に実施例4と同様に光起電力素子を作成した。更に実施例4と同様に光起電力素子を作成した。評価は、実施例4に従った。
【0082】
(実施例5)
電気伝導度が55mS/cmになった時に硝酸亜鉛の水溶液(0.85mol/l)を加え電気伝導度を65mS/cmにした以外は実施例1と同様に酸化亜鉛薄膜を形成した。更に実施例1と同様に光起電力素子を作成した。更に実施例1と同様に光起電力素子を作成した。評価は、実施例1に従った。
【0083】
(比較例3)
電気伝導度が50mS/cmになった時に硝酸亜鉛の水溶液(0.85mol/l)を加え電気伝導度を65mS/cmにした以外は実施例1と同様に酸化亜鉛薄膜を形成した。更に実施例1と同様に光起電力素子を作成した。更に実施例1と同様に光起電力素子を作成した。評価は、実施例1に従った。
【0084】
(実施例6)
フタル酸水素カリウムは、成膜長20mあたりに1回2mmol/lの水溶液を500ml補充した以外は実施例1と同様に酸化亜鉛薄膜を形成した。このとき硝酸亜鉛の補充とフタル酸水素カリウムの補充は、重った。評価は実施例1と同様に行なった。その後実施例1と同様な方法で光起電力素子とした。評価は実施例1と同様な方法で行なった。
【0085】
(比較例4)
酸化亜鉛形成浴306に硝酸亜鉛、フタル酸水素カリウムの補充を行なわない以外は実施例1と同様に形成し、光起電力素子とした。評価は実施例1と同様に行なった。
【0086】
【表1】
Figure 2004285415
【0087】
実施例1から酸化亜鉛の成膜長の全域に渡って、テクスチャー構造が安定した酸化亜鉛膜が形成できていることがわかる。実施例2では補充するフタル酸水素カリウムの濃度が低く、頻度が高いため、特性の低下は低いが特性の回復度合いが小さめである。実施例3では補充するフタル酸水素カリウムの濃度が高く、頻度が低いため、特性の低下が実施例1に比べ大きいが、特性の回復度合いは大きい。比較例1では補充するフタル酸水素カリウムの濃度が実施例3に比べ更に高く、頻度が低いため、特性の低下が実施例1に比べ非常に大きい。以上のことから、添加剤の補充を0.01乃至100mmol/lの水溶液ですることで成膜長の全域に渡って、テクスチャー構造が安定していることがわかる。
【0088】
実施例4から酸化亜鉛の成膜長の全域に渡って、テクスチャー構造が安定した酸化亜鉛膜が形成できていることがわかる。比較例2では補充する硝酸亜鉛の濃度が高いため、特性の回復度合いは実施例4と同等であるが、ごく一部に異常成長が見られた。以上のことから、亜鉛イオン、硝酸イオンの補充を0.1乃至10mol/lの水溶液ですることで成膜長の全域に渡って、テクスチャー構造が安定していることがわかる。
【0089】
実施例5から酸化亜鉛の成膜長の全域に渡って、テクスチャー構造が安定した酸化亜鉛膜が形成できていることがわかる。比較例3では硝酸亜鉛を補充する際の電気伝導度の変化が大きいため、特性の低下が大きい。以上のことから、亜鉛イオン、硝酸イオンの補充を電気伝導度σの変化が±10mS/cmで行なうことでテクスチャー構造が安定していることがわかる。
【0090】
実施例6から特性の回復度合いは大きい。補充が重なった場合には、若干のテクスチャー構造の乱れが生じるが、比較例4に比べその乱れが小さいことがわかる。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば導電性基体と対向電極とを少なくとも硝酸イオンと亜鉛イオンとを含有する水溶液に浸漬してこれらの電極間に通電することにより該導電性基体上に酸化亜鉛膜を形成する酸化亜鉛膜の形成方法において、水溶液中の各成分の好ましい範囲を、長時間の生産工程にわたって一定の範囲に維持し、均質な特性の酸化亜鉛膜を安定して作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な水溶液からの酸化亜鉛析出のための装置の一例を示す模式図である。
【図2】本発明による光起電力素子の一例を模式的に示す部分断面図である。
【図3】本発明が適用可能な水溶液からの酸化亜鉛析出のための連続電解析出装置の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
101 反応槽(耐腐食容器)
102 水溶液
103 導電性基体
104 対向電極
105 電源
106 負荷抵抗
107 溶液射出口
108 溶液吸入口
109 吸入溶液パイプ
110 射出溶液パイプ
111 溶液循環ポンプ
112 補助槽
113 ヒーター
201 支持体
202 金属層(裏面反射層)
203 酸化亜鉛層(透明導電層)
204 半導体層
205 透明電極層
206 集電電極
301 送り出しローラー
302 巻き取りローラー
303 支持体ロール
304 搬送ローラー
305 酸化亜鉛形成槽
306 酸化亜鉛形成浴
307 対向電極
308 電源
309 水洗槽
310 水洗浴
311 水洗シャワー
312 乾燥炉
313 赤外線ヒーター

Claims (8)

  1. 導電性基体と対向電極とを少なくとも硝酸イオンと亜鉛イオンと少なくとも1種類以上の添加剤を含有する水溶液に浸漬し、該導電性基体と対向電極との間に通電することにより該導電性基体上に酸化亜鉛膜を形成する酸化亜鉛膜の形成方法において、該硝酸イオンと亜鉛イオンを電気伝導度が特定の範囲になるように補充する工程と、該少なくとも1種類の添加剤を、あらかじめ求めておいた該水溶液の使用状態と形成される酸化亜鉛膜の物性値の関係に基づいて補充する工程と、を有することを特徴とする酸化亜鉛膜の形成方法。
  2. 前記酸化亜鉛膜の物性値が該酸化亜鉛膜の表面の傾斜角であることを特徴とする請求項1に記載の酸化亜鉛膜の形成方法。
  3. 前記水溶液の電気伝導度の範囲が酸化亜鉛膜の成膜開始時の電導度σ±10mS/cmであることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化亜鉛膜の形成方法。
  4. 前記補充する硝酸イオン及び亜鉛イオンの濃度が0.01乃至10mol/lであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の酸化亜鉛膜の形成方法。
  5. 前記添加剤がsp2混成軌道を有する複数の炭素にカルボキシル基が結合した多価カルボン酸又はそのエステルであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の酸化亜鉛膜の形成方法。
  6. 前記添加剤の補充は、該添加剤の濃度を0.001乃至100mmol/lに調整した水溶液を加えることによって行なうことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の酸化亜鉛膜の形成方法。
  7. 前記硝酸イオン及び亜鉛イオンと前記添加剤の補充を同時には行なわないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の酸化亜鉛膜の形成方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法を用いて酸化亜鉛膜を形成した後にシリコン系半導体層を形成する工程を有することを特徴とする光起電力素子の製造方法。
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