JP2004285246A - ポリオレフィン系樹脂組成物、包装用フィルムおよびストレッチ包装用フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】各種フィルム物性を維持しつつ、防曇剤を用いた場合でも、フィルムが白化することのないフィルムを与えることができるポリオレフィン系樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)高水素化石油樹脂、高水素化テルペン樹脂および高水素化ピュアモノマー樹脂から選ばれる少なくとも一種、(B)石油樹脂、テルペン樹脂、ピュアモノマー樹脂、オリゴスチレン樹脂およびこれらの低水素化物ならびに極性基含有石油樹脂、クマロン−インデン樹脂およびこれらの水素化物、ロジン系樹脂から選ばれる少なくとも一種、(C)防曇剤および(D)ポリオレフィン系樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂組成物を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)高水素化石油樹脂、高水素化テルペン樹脂および高水素化ピュアモノマー樹脂から選ばれる少なくとも一種、(B)石油樹脂、テルペン樹脂、ピュアモノマー樹脂、オリゴスチレン樹脂およびこれらの低水素化物ならびに極性基含有石油樹脂、クマロン−インデン樹脂およびこれらの水素化物、ロジン系樹脂から選ばれる少なくとも一種、(C)防曇剤および(D)ポリオレフィン系樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂組成物を用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂組成物ならびに当該樹脂組成物を用いた包装用フィルムおよびストレッチ包装用フィルムに関する。当該包装用フィルムおよびストレッチ包装用フィルムは、塩素を含有しない材料からなり、食品包装用等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
従来から青果物、精肉、惣菜などを軽量トレーに載せてフィルムでオーバーラップする、いわゆるプリパッケージ用のストレッチフィルムとしては、その包装適性、弾性回復力、シール性等が良好という理由から主にポリ塩化ビニル系樹脂が使用されてきた。
【0003】
しかし、近年、ポリ塩化ビニル系樹脂から溶出する可塑剤やポリ塩化ビニル系樹脂を焼却する際に発生する塩化水素ガスなどが問題視されるようになってきた。このためポリ塩化ビニル系フィルムに代わる材料が種々検討されているが、機械的強度、耐水・耐油性、衛生面などに優れ、また使用後の処理やフィルム成形が容易なため、特にポリオレフィン系樹脂を用いた各種構成のストレッチフィルムが提案されている。これらのストレッチフィルムは、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、EVA/ポリブテン−1/EVA、EVA/直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体/EVAなどから構成される。
【0004】
しかしながら、これらポリオレフィン系樹脂から得られるストレッチフィルムでは、塩化ビニル系樹脂より得られる諸特性(ストレッチフィルムの有する包装作業性、包装仕上がり、弾性回復力、底シール性など)を同時に満足することは難しい。なお、変形に対する弾性回復性を向上させるという目的で、スチレン−ブタジエンブロック共重合体水素添加物から構成される層の両面にEVAを積層した非塩ビ系ストレッチフィルムも提案されているが(特許文献1参照)、このものは、包装作業性、包装仕上がり、底シール性などの点で未だ十分とはいえなかった。
【0005】
そこで、オリゴマー樹脂を添加したポリオレフィン系樹脂を用い、ストレッチフィルムを作製することでこれらの特性の向上を図るという試みが行われている。
【0006】
具体的には、オリゴマー樹脂として石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体などを添加することが提案されている(特許文献2および3参照)が、これらのオリゴマー樹脂を用いた場合には、ポリオレフィン系樹脂との相溶性が良好であるものの、ストレッチフィルム作製時に添加される極性化合物である防曇剤との相溶性が悪く、長期の保存中にフィルムの白化現象を引き起こすという問題があった。なお、防曇剤と水素添加誘導体との相溶性を向上させるために、水素添加誘導体を極性樹脂や低分子量樹脂に置換することも考えられるが、その場合にはポリオレフィンとの相溶性が不良となり、フィルム物性が低下するという問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特公平5−59822号公報
【特許文献2】
特開平9−165491号公報
【特許文献3】
特開2000−248150号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの問題、すなわち、各種フィルム物性を維持しつつ、防曇剤を用いた場合でも、フィルムが白化することのないフィルムを与えることができるポリオレフィン系樹脂組成物、当該樹脂組成物からなる包装用フィルム、およびストレッチ包装用フィルムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、白化現象を伴わずかつ包装適性に優れたオレフィンフィルムを得るべく鋭意研究を重ねた結果、特定の樹脂をポリオレフィン系樹脂に添加してフィルム化した場合には、フィルムの包装適性を損なうことなく経時白化を抑制した包装用フィルムができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち本発明は、(A)高水素化石油樹脂、高水素化テルペン樹脂および高水素化ピュアモノマー樹脂から選ばれる少なくとも一種、(B)石油樹脂、テルペン樹脂、ピュアモノマー樹脂、オリゴスチレン樹脂およびこれらの低水素化物ならびに極性基含有石油樹脂、クマロン−インデン樹脂およびこれらの水素化物、ロジン系樹脂から選ばれる少なくとも一種、(C)防曇剤ならびに(D)ポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂組成物;当該樹脂組成物を成形して得られる包装用フィルム;当該樹脂組成物を成形して得られるストレッチ包装用フィルムに係る。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、(A)高水素化石油樹脂、高水素化テルペン樹脂および高水素化ピュアモノマー樹脂から選ばれる少なくとも一種(以後、(A)成分という)と、(B)石油樹脂、極性基含有石油樹脂、テルペン樹脂、ピュアモノマー樹脂、クマロン−インデン樹脂、オリゴスチレン樹脂、ロジン系樹脂およびそれらの低水素化物から選ばれる少なくとも一種(以後、(B)成分という)ならびに(C)防曇剤(以後、(C)成分という)ならびに(D)ポリオレフィン系樹脂(以後、(D)成分という)を含有することを特徴とする。
【0012】
本発明に用いられる(A)成分としては、脂肪族系、脂環族系及び芳香族系の石油樹脂の高水素化物、テルペン系樹脂の高水素化物、スチレン、イソプロペニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の純モノマーを単独または共重合させたピュアモノマー樹脂の高水素化物などが挙げられる。なお、本発明において、高水素化物とは、原料樹脂の不飽和結合の90%以上水素化したものという意味である。本発明でいう水素化率は原料樹脂および得られた水素化樹脂から1H−NMRの5〜6ppm付近に現れるオレフィン性二重結合の1H−スペクトルの面積と6〜8ppm付近に現れる芳香環の1H−スペクトルの面積から、水素化率={1−(水素化樹脂のスペクトル面積/原料樹脂のスペクトル面積)×100(%)の式に基づき算出した。
【0013】
(A)成分の数平均分子量は特に制限されないが、通常500程度以上であることが好ましい。分子量が500未満の場合には、フィルム成型時の発煙、臭気が大きくなる場合がある。また、(A)成分の数平均分子量が小さい場合には、フィルム表面へブリードアウトし易くなるため、得られるフィルムがブロッキングする傾向がある。
【0014】
(A)成分の軟化点は、特に制限されないが、通常100℃程度以上が好ましい。また、ガラス転移点は、50℃以上とすることが好ましい。これは、通常ガラス転移点がマイナスであるポリオレフィン系樹脂は、それ単独では常温で柔らかすぎ(貯蔵弾性率E’が小さい)、フィルムをストレッチする際、フィルムが瞬間的に収縮してしまうために貼り付けが困難になる(正接損失tanδが小さい)などの問題点を有するため、軟化点が100℃程度以上および/またはガラス転移点が50℃程度以上の樹脂をポリオレフィン系樹脂に添加することで、系全体のガラス転移点を高め、柔軟性、張りなどを良好にできるためである。なお、軟化点が100℃以上およびガラス転移点が50℃以上のものがこれらの効果が顕著に現れるため特に好ましい。
【0015】
本発明に用いられる(B)成分としては、石油樹脂、テルペン樹脂、スチレン変性テルペン樹脂、ピュアモノマー樹脂、オリゴスチレン樹脂およびこれらの低水素化物、極性基含有石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、テルペン−フェノール樹脂およびこれらの水素化物、ロジン系樹脂等が挙げられる。(B)成分は、低極性の(A)成分と高極性の(C)成分との相溶性を改良するために添加されるものであるため、(B)成分は極性を有する必要がある。なお、本発明において、極性とは、カルボン酸、カルボニル基、エステル構造、エーテル基、水酸基(アルコール性およびフェノール性)、アミド基、アミノ基、カルボキシル基およびその金属塩等の酸素や窒素原子を有する官能基(高極性官能基)の他、芳香族環、オレフィン性二重結合等の炭素−炭素不飽和二重結合等を含有していることを意味する。本発明においては少なくとも一方の構造を有していれば良い。
【0016】
具体的には、前記(A)成分の原料樹脂として用いられる石油樹脂、テルペン樹脂、スチレン変性テルペン樹脂、ピュアモノマー樹脂の他、オリゴスチレン樹脂、クマロン−インデン樹脂、極性基含有石油樹脂として、フェノール変性C9石油樹脂、アルコール変性ジシクロペンタジエン樹脂、酢ビ変性ジシクロペンタジエン樹脂、マレイン酸変性C9系石油樹脂などが、ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等のロジン、ロジンを不均化させた不均化ロジン、ロジンを重合させた重合ロジン、ロジンを水素化させた水素化ロジン(以下、ロジン、不均化ロジン、重合ロジンおよび水素化ロジンをロジン類という)、ロジン類をフェノールと反応させたロジンフェノール、ロジン類の金属塩、さらにロジン類、ロジンフェノールまたはロジン類の金属塩とグリセリンやペンタエリスリトールなどのアルコール類で変性したロジンエステル類などが挙げられる。なお、石油樹脂、テルペン樹脂、ピュアモノマー樹脂、オリゴスチレン樹脂等の水酸基やカルボキシル基等の高極性官能基を有しない樹脂の水素化物を用いる場合には、フィルムとした際の透明性確保の観点から芳香族極性やオレフィン極性を保持しておく必要があり、二重結合水素化率を90%未満、好ましくは、85%以下としておく必要がある。なお、分子中に極性基を有する樹脂であれば、フィルムの色調、臭気という観点から水素化率は高い(90%以上)方が好ましい。
【0017】
なお、(B)成分が高極性官能基を有する場合には、極性基価(酸価、水酸基価など)は特に限定されるものではないが、通常、10〜250程度の範囲とすることが好ましい。10未満であるとフィルムの白化を抑制するのに大量に添加する必要がありブリードアウト、包装適性といった点で劣る場合がある。また、250を超える場合には、(A)成分との相溶性が劣る場合がある。これらのことから、前記樹脂の中では、石油樹脂の低水素化物、スチレン変性テルペン樹脂及びその低水素化物、ロジンエステル類、ロジン類、ロジン類の金属塩を用いることが好ましく、石油樹脂の低水素化物、スチレン変性テルペン樹脂の水素化物、ロジンエステル類、ロジン類の金属塩を用いることが特に好ましい。
【0018】
本発明に用いられる(C)成分としては、フィルムに防曇性を付与するものであれば特に限定はされないが、モノグリセリンオレエート、ポリグリセリンオレエート、グリセリントリリシノレート、グリセリンアセチルリシノレート、メチルアセチルリシノレート、エチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、ソルビタンオレエート、ソルビタンラウレート、ポリエチレングリコールソルビタンオレエート、ポリエチレングリコールソルビタンラウレート等の脂肪族アルコール系脂肪酸エステルやポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが例示できる。
【0019】
本発明に用いられる、(D)成分としてはオレフィン系樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えば、プロピレン系重合体、エチレン系重合体、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体などを例示できる。α−オレフィンとしては、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1などを使用することができる。
【0020】
(A)〜(D)成分の使用量は、(D)成分100重量部に対して、(A)成分5〜50重量部、(B)成分0.2〜20重量部、(C)成分0.1〜10重量部である。(A)成分が5重量部未満または50重量部を超える場合には、フィルムの包装適性が劣る傾向がある。(B)成分が0.2重量%未満である場合にはフィルム白化抑制が不十分であり、20重量部を超える場合にはブリードアウトによるブロッキング、得られるフィルムの臭気、フィルムの加熱着色などが問題となる傾向がある。(C)成分が0.1重量部未満であった場合には、フィルムの防曇性が不十分で食品包装時の見栄えが悪くなる傾向があり、10重量部を超える場合にはポリオレフィンとの相溶性、さらには防曇剤のブリードアウトの問題が生じる傾向がある。
【0021】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、上記以外の添加剤を添加することもできる。例えば、滑り剤などの界面活性剤、帯電防止剤、フィルムに柔軟性を付与するためのエラストマー(例えば、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加誘導体)等を挙げることができる。
【0022】
本発明の包装用フィルムは、押出成形機にて前記ポリオレフィン系樹脂組成物を溶融押出し、インフレーション成形またはTダイ成形によりフィルム状に成形することにより得られる。積層フィルムとする場合には多層ダイにより共押出するのが有利である。実用的には、環状ダイから材料樹脂を溶融押出してインフレーション成形するのが好ましく、その際のブローアップ比(バブル径/ダイ径)は4程度以上が好ましく、特に5〜7の範囲が良好である。なお、本発明のストレッチフィルムは所望により他の非塩ビ系材料と積層させてもよい。他の非塩ビ系材料としては、ポリオレフィン系重合体や柔軟なスチレン−ブタジエンエラストマーなどが挙げられ、これらと積層することにより、フィルムの製膜の安定性や耐ブロッキング性、粘着性、滑り性などを付与することができる。積層の際に用いられるポリオレフィン系重合体としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン(エチレンとα−オレフィンとの共重合体)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アルキルアクリレート共重合体、エチレン−アクリルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、低密度ポリエチレンなどのアイオノマー、プロピレン系エラストマー材料などが挙げられ、特に、EVAを用いることが、得られるフィルムの性能面から好ましい。EVAとしては、酢酸ビニル含有量が5〜25重量%程度、好ましくは10〜20重量%、メルトフローレイトが0.2〜2g/10分(190℃、2.16kg荷重)のものが強度、柔軟性、フィルム成形加工性などの面で好適である。なお、一般に本発明フィルムの厚さは、通常のストレッチ包装用フィルムとして用いられる範囲、すなわち8〜30μm程度、代表的には10〜20μm程度の範囲にある。
【0023】
なお、フィルムの動的粘弾性の値は、特に限定されるものではないが、例えば周波数10Hz、温度20℃における測定において、貯蔵弾性率E’の範囲が5.0×107〜5.0×108N/m2、正接損失tanδの値が0.2〜0.8の範囲程度を例示できる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、フィルムの包装適性を向上させ、かつ経時的な白化を抑制した包装用フィルムおよびストレッチ包装用フィルムを提供することができる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明の効果を説明するが、本発明はこれら各例に制限されるものではない。
【0026】
実施例1
(A):C9系石油樹脂の水素添加誘導体(商品名:アルコンP−125、荒川化学工業(株)製、水素化率95%、軟化点125℃、数平均分子量750):17重量部
(B):C9系石油樹脂の水素添加誘導体(商品名:アルコンM−100、荒川化学工業(株)製、水素化率75%、軟化点100℃):3重量部
(C):ジグリセリンモノオレート(防曇剤):2重量部
(D):低密度ポリエチレン(商品名:ノバテックLD ZE41、日本ポリケム(株)製):100重量部
をL/D=25の押出し成形機を用いて混練し、環状ダイスに供給しブロー比4倍でインフレーション成形した。得られたフィルムは厚み15μmで外観良好なものであった。
【0027】
実施例2
実施例1で用いた(B)成分を、C9系石油樹脂の水素添加誘導体(商品名:UレジンU−100、荒川化学工業(株)製、水素化率10%、軟化点100℃)に変更した以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0028】
実施例3
実施例1で用いた(B)成分を、水添ロジンエステル(商品名:パインクリスタルKE−311、荒川化学工業(株)製、軟化点95℃、酸価5)に変更した以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0029】
実施例4
実施例1で用いた(B)成分を、中国産ガムロジン(軟化点77℃、酸価170)に変更した以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0030】
実施例5
実施例1で用いた(B)成分を、アルコール変性ジシクロペンタジエンの水素化物(商品名:KR−1840、荒川化学工業(株)製、オレフィン性二重結合水素化率100%、軟化点90℃、水酸基価150)に変更した以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0031】
実施例6
実施例1で用いた(B)成分を、ピュアモノマー樹脂(商品名:FTR−6100、三井化学(株)製、軟化点100℃)に変更した以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0032】
実施例7
実施例1で用いた(B)成分を、不均化ロジン金属塩(商品名:KR−50M、荒川化学工業(株)製、軟化点150℃)に変更した以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0033】
実施例8
実施例1で用いた(B)成分を、不均化ロジン金属塩(商品名:KM−1300、荒川化学工業(株)製、軟化点115℃)に変更した以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0034】
比較例1
実施例1で用いた(B)成分を使用しなかった以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0035】
比較例2
実施例1で用いた(A)成分をテルペン樹脂の水素添加誘導体(商品名:クリアロンP−125、ヤスハラケミカル(株)製、水素化率100%、軟化点125℃、数平均分子量600)に変更し、(B)成分を添加しなかった以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0036】
比較例3
比較例1で用いた(A)成分をC9系石油樹脂の水素添加誘導体(商品名アルコンP−90、荒川化学工業(株)製、芳香環水素化率95%、軟化点90℃、数平均分子量570)に変更し、(B)成分を添加しなかった以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0037】
比較例4
比較例1で用いた(A)成分をC9系石油樹脂(商品名:ペトロジン120、三井化学(株)製、軟化点120℃、数平均分子量700)に変更し、(B)成分を添加しなかった以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0038】
比較例5
実施例1において、(B)成分および(C)成分を使用しなかった以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0039】
実施例9
(A):C9系石油樹脂の水素添加誘導体(商品名:アルコンP−125、荒川化学工業(株)製、水素化率95%、軟化点125℃、数平均分子量750):17重量部
(B):C9系石油樹脂の水素添加誘導体(商品名:アルコンM−100、荒川化学工業(株)製、水素化率75%、軟化点100℃):3重量部
(C):ジグリセリンモノオレート(防曇剤):2重量部
(D):ポリプロピレン系樹脂(商品名:ノバテックPP EA9 日本ポリケム(株)製)100重量部
をL/D=25の押出し成形機を用いて混練し、環状ダイスに供給しブロー比4倍でインフレーション成形した。得られたフィルムは厚み15μmで外観良好なものであった。
【0040】
実施例10
実施例9で使用した(B)成分の樹脂を、水添ロジンエステル(商品名:パインクリスタルKE−311、荒川化学工業(株)製、軟化点95℃、酸価5)に変更した以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0041】
比較例6
実施例9で使用した(B)成分を使用しなかった以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
表4に配合内容を示す。
【0042】
上記実施例および比較例で得られたフィルムを用い、以下の試験を実施した。結果を表1および表2に示す。
【0043】
(1)フィルム透明性(ヘイズ)
ヘイズメーター(商品名:HM−150、(株)村上色彩技術研究所製)を用い、成形直後と成形1週間後のフィルムのヘイズをJIS K7136に従い測定した。
評価基準:
◎:成形直後のヘイズが10未満かつ(成形1週間後のヘイズ−成形直後のヘイズ)が5未満
○:成形直後のヘイズが10未満かつ(成形1週間後のヘイズ−成形直後のヘイズ)が5〜10
△:成形直後のヘイズが10未満かつ(成形1週間後のヘイズ−成形直後のヘイズ)が10〜20
×:上記の範囲以外
【0044】
(2)ブリードアウト
成形直後のフィルムをアルミで挟み1週間常温で静置した。その後、アルミに付着した成分を溶剤で洗浄、回収し、重量を測定した。
評価基準:
◎:アルミへの付着量がフィルム全体の質量の0.5%未満
○:アルミへの付着量がフィルム全体の質量の0.5%以上1.0%未満
△:アルミへの付着量がフィルム全体の質量の1.0%以上2.0%未満
×:アルミへの付着量がフィルム全体の質量の2.0%以上
【0045】
(3)包装適性
幅350mmのストレッチ包装用フィルムを用い、成形直後のフィルムを手包装機により、発泡ポリスチレントレーを包装し以下の試験を行った。
▲1▼シワ:トレーコーナー部のシワの発生について目視観察して判断。◎:シワがない、○:シワがあるが目立たない、△:少しシワがあり少し目立つ、大きなシワがある。
▲2▼底シール性:包装後のシール状態を目視観察して判断。◎:剥れない、○:わずかに剥れが生じる、△剥れが生じる、×:剥れ易い。
▲3▼復元性:パック品の中央部を指で押した後のフィルムの状態を目視観察にて判断。◎:押跡が残らない、○:わずかに押跡が残るがほとんど目立たない、△:押跡がやや残る、×:押跡が残り著しく目立つ。
▲4▼張り:パック品の上面を手で押さえた時の反発性を目視観察にて評価。◎:張りが良く反発性が良好、○:やや張りが弱い、△:張りは弱いがたるみは生じない、×:張りが弱くたるみが生じる。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂組成物ならびに当該樹脂組成物を用いた包装用フィルムおよびストレッチ包装用フィルムに関する。当該包装用フィルムおよびストレッチ包装用フィルムは、塩素を含有しない材料からなり、食品包装用等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
従来から青果物、精肉、惣菜などを軽量トレーに載せてフィルムでオーバーラップする、いわゆるプリパッケージ用のストレッチフィルムとしては、その包装適性、弾性回復力、シール性等が良好という理由から主にポリ塩化ビニル系樹脂が使用されてきた。
【0003】
しかし、近年、ポリ塩化ビニル系樹脂から溶出する可塑剤やポリ塩化ビニル系樹脂を焼却する際に発生する塩化水素ガスなどが問題視されるようになってきた。このためポリ塩化ビニル系フィルムに代わる材料が種々検討されているが、機械的強度、耐水・耐油性、衛生面などに優れ、また使用後の処理やフィルム成形が容易なため、特にポリオレフィン系樹脂を用いた各種構成のストレッチフィルムが提案されている。これらのストレッチフィルムは、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、EVA/ポリブテン−1/EVA、EVA/直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体/EVAなどから構成される。
【0004】
しかしながら、これらポリオレフィン系樹脂から得られるストレッチフィルムでは、塩化ビニル系樹脂より得られる諸特性(ストレッチフィルムの有する包装作業性、包装仕上がり、弾性回復力、底シール性など)を同時に満足することは難しい。なお、変形に対する弾性回復性を向上させるという目的で、スチレン−ブタジエンブロック共重合体水素添加物から構成される層の両面にEVAを積層した非塩ビ系ストレッチフィルムも提案されているが(特許文献1参照)、このものは、包装作業性、包装仕上がり、底シール性などの点で未だ十分とはいえなかった。
【0005】
そこで、オリゴマー樹脂を添加したポリオレフィン系樹脂を用い、ストレッチフィルムを作製することでこれらの特性の向上を図るという試みが行われている。
【0006】
具体的には、オリゴマー樹脂として石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体などを添加することが提案されている(特許文献2および3参照)が、これらのオリゴマー樹脂を用いた場合には、ポリオレフィン系樹脂との相溶性が良好であるものの、ストレッチフィルム作製時に添加される極性化合物である防曇剤との相溶性が悪く、長期の保存中にフィルムの白化現象を引き起こすという問題があった。なお、防曇剤と水素添加誘導体との相溶性を向上させるために、水素添加誘導体を極性樹脂や低分子量樹脂に置換することも考えられるが、その場合にはポリオレフィンとの相溶性が不良となり、フィルム物性が低下するという問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特公平5−59822号公報
【特許文献2】
特開平9−165491号公報
【特許文献3】
特開2000−248150号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの問題、すなわち、各種フィルム物性を維持しつつ、防曇剤を用いた場合でも、フィルムが白化することのないフィルムを与えることができるポリオレフィン系樹脂組成物、当該樹脂組成物からなる包装用フィルム、およびストレッチ包装用フィルムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、白化現象を伴わずかつ包装適性に優れたオレフィンフィルムを得るべく鋭意研究を重ねた結果、特定の樹脂をポリオレフィン系樹脂に添加してフィルム化した場合には、フィルムの包装適性を損なうことなく経時白化を抑制した包装用フィルムができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち本発明は、(A)高水素化石油樹脂、高水素化テルペン樹脂および高水素化ピュアモノマー樹脂から選ばれる少なくとも一種、(B)石油樹脂、テルペン樹脂、ピュアモノマー樹脂、オリゴスチレン樹脂およびこれらの低水素化物ならびに極性基含有石油樹脂、クマロン−インデン樹脂およびこれらの水素化物、ロジン系樹脂から選ばれる少なくとも一種、(C)防曇剤ならびに(D)ポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂組成物;当該樹脂組成物を成形して得られる包装用フィルム;当該樹脂組成物を成形して得られるストレッチ包装用フィルムに係る。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、(A)高水素化石油樹脂、高水素化テルペン樹脂および高水素化ピュアモノマー樹脂から選ばれる少なくとも一種(以後、(A)成分という)と、(B)石油樹脂、極性基含有石油樹脂、テルペン樹脂、ピュアモノマー樹脂、クマロン−インデン樹脂、オリゴスチレン樹脂、ロジン系樹脂およびそれらの低水素化物から選ばれる少なくとも一種(以後、(B)成分という)ならびに(C)防曇剤(以後、(C)成分という)ならびに(D)ポリオレフィン系樹脂(以後、(D)成分という)を含有することを特徴とする。
【0012】
本発明に用いられる(A)成分としては、脂肪族系、脂環族系及び芳香族系の石油樹脂の高水素化物、テルペン系樹脂の高水素化物、スチレン、イソプロペニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の純モノマーを単独または共重合させたピュアモノマー樹脂の高水素化物などが挙げられる。なお、本発明において、高水素化物とは、原料樹脂の不飽和結合の90%以上水素化したものという意味である。本発明でいう水素化率は原料樹脂および得られた水素化樹脂から1H−NMRの5〜6ppm付近に現れるオレフィン性二重結合の1H−スペクトルの面積と6〜8ppm付近に現れる芳香環の1H−スペクトルの面積から、水素化率={1−(水素化樹脂のスペクトル面積/原料樹脂のスペクトル面積)×100(%)の式に基づき算出した。
【0013】
(A)成分の数平均分子量は特に制限されないが、通常500程度以上であることが好ましい。分子量が500未満の場合には、フィルム成型時の発煙、臭気が大きくなる場合がある。また、(A)成分の数平均分子量が小さい場合には、フィルム表面へブリードアウトし易くなるため、得られるフィルムがブロッキングする傾向がある。
【0014】
(A)成分の軟化点は、特に制限されないが、通常100℃程度以上が好ましい。また、ガラス転移点は、50℃以上とすることが好ましい。これは、通常ガラス転移点がマイナスであるポリオレフィン系樹脂は、それ単独では常温で柔らかすぎ(貯蔵弾性率E’が小さい)、フィルムをストレッチする際、フィルムが瞬間的に収縮してしまうために貼り付けが困難になる(正接損失tanδが小さい)などの問題点を有するため、軟化点が100℃程度以上および/またはガラス転移点が50℃程度以上の樹脂をポリオレフィン系樹脂に添加することで、系全体のガラス転移点を高め、柔軟性、張りなどを良好にできるためである。なお、軟化点が100℃以上およびガラス転移点が50℃以上のものがこれらの効果が顕著に現れるため特に好ましい。
【0015】
本発明に用いられる(B)成分としては、石油樹脂、テルペン樹脂、スチレン変性テルペン樹脂、ピュアモノマー樹脂、オリゴスチレン樹脂およびこれらの低水素化物、極性基含有石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、テルペン−フェノール樹脂およびこれらの水素化物、ロジン系樹脂等が挙げられる。(B)成分は、低極性の(A)成分と高極性の(C)成分との相溶性を改良するために添加されるものであるため、(B)成分は極性を有する必要がある。なお、本発明において、極性とは、カルボン酸、カルボニル基、エステル構造、エーテル基、水酸基(アルコール性およびフェノール性)、アミド基、アミノ基、カルボキシル基およびその金属塩等の酸素や窒素原子を有する官能基(高極性官能基)の他、芳香族環、オレフィン性二重結合等の炭素−炭素不飽和二重結合等を含有していることを意味する。本発明においては少なくとも一方の構造を有していれば良い。
【0016】
具体的には、前記(A)成分の原料樹脂として用いられる石油樹脂、テルペン樹脂、スチレン変性テルペン樹脂、ピュアモノマー樹脂の他、オリゴスチレン樹脂、クマロン−インデン樹脂、極性基含有石油樹脂として、フェノール変性C9石油樹脂、アルコール変性ジシクロペンタジエン樹脂、酢ビ変性ジシクロペンタジエン樹脂、マレイン酸変性C9系石油樹脂などが、ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等のロジン、ロジンを不均化させた不均化ロジン、ロジンを重合させた重合ロジン、ロジンを水素化させた水素化ロジン(以下、ロジン、不均化ロジン、重合ロジンおよび水素化ロジンをロジン類という)、ロジン類をフェノールと反応させたロジンフェノール、ロジン類の金属塩、さらにロジン類、ロジンフェノールまたはロジン類の金属塩とグリセリンやペンタエリスリトールなどのアルコール類で変性したロジンエステル類などが挙げられる。なお、石油樹脂、テルペン樹脂、ピュアモノマー樹脂、オリゴスチレン樹脂等の水酸基やカルボキシル基等の高極性官能基を有しない樹脂の水素化物を用いる場合には、フィルムとした際の透明性確保の観点から芳香族極性やオレフィン極性を保持しておく必要があり、二重結合水素化率を90%未満、好ましくは、85%以下としておく必要がある。なお、分子中に極性基を有する樹脂であれば、フィルムの色調、臭気という観点から水素化率は高い(90%以上)方が好ましい。
【0017】
なお、(B)成分が高極性官能基を有する場合には、極性基価(酸価、水酸基価など)は特に限定されるものではないが、通常、10〜250程度の範囲とすることが好ましい。10未満であるとフィルムの白化を抑制するのに大量に添加する必要がありブリードアウト、包装適性といった点で劣る場合がある。また、250を超える場合には、(A)成分との相溶性が劣る場合がある。これらのことから、前記樹脂の中では、石油樹脂の低水素化物、スチレン変性テルペン樹脂及びその低水素化物、ロジンエステル類、ロジン類、ロジン類の金属塩を用いることが好ましく、石油樹脂の低水素化物、スチレン変性テルペン樹脂の水素化物、ロジンエステル類、ロジン類の金属塩を用いることが特に好ましい。
【0018】
本発明に用いられる(C)成分としては、フィルムに防曇性を付与するものであれば特に限定はされないが、モノグリセリンオレエート、ポリグリセリンオレエート、グリセリントリリシノレート、グリセリンアセチルリシノレート、メチルアセチルリシノレート、エチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、ソルビタンオレエート、ソルビタンラウレート、ポリエチレングリコールソルビタンオレエート、ポリエチレングリコールソルビタンラウレート等の脂肪族アルコール系脂肪酸エステルやポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが例示できる。
【0019】
本発明に用いられる、(D)成分としてはオレフィン系樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えば、プロピレン系重合体、エチレン系重合体、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体などを例示できる。α−オレフィンとしては、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1などを使用することができる。
【0020】
(A)〜(D)成分の使用量は、(D)成分100重量部に対して、(A)成分5〜50重量部、(B)成分0.2〜20重量部、(C)成分0.1〜10重量部である。(A)成分が5重量部未満または50重量部を超える場合には、フィルムの包装適性が劣る傾向がある。(B)成分が0.2重量%未満である場合にはフィルム白化抑制が不十分であり、20重量部を超える場合にはブリードアウトによるブロッキング、得られるフィルムの臭気、フィルムの加熱着色などが問題となる傾向がある。(C)成分が0.1重量部未満であった場合には、フィルムの防曇性が不十分で食品包装時の見栄えが悪くなる傾向があり、10重量部を超える場合にはポリオレフィンとの相溶性、さらには防曇剤のブリードアウトの問題が生じる傾向がある。
【0021】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、上記以外の添加剤を添加することもできる。例えば、滑り剤などの界面活性剤、帯電防止剤、フィルムに柔軟性を付与するためのエラストマー(例えば、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加誘導体)等を挙げることができる。
【0022】
本発明の包装用フィルムは、押出成形機にて前記ポリオレフィン系樹脂組成物を溶融押出し、インフレーション成形またはTダイ成形によりフィルム状に成形することにより得られる。積層フィルムとする場合には多層ダイにより共押出するのが有利である。実用的には、環状ダイから材料樹脂を溶融押出してインフレーション成形するのが好ましく、その際のブローアップ比(バブル径/ダイ径)は4程度以上が好ましく、特に5〜7の範囲が良好である。なお、本発明のストレッチフィルムは所望により他の非塩ビ系材料と積層させてもよい。他の非塩ビ系材料としては、ポリオレフィン系重合体や柔軟なスチレン−ブタジエンエラストマーなどが挙げられ、これらと積層することにより、フィルムの製膜の安定性や耐ブロッキング性、粘着性、滑り性などを付与することができる。積層の際に用いられるポリオレフィン系重合体としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン(エチレンとα−オレフィンとの共重合体)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アルキルアクリレート共重合体、エチレン−アクリルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、低密度ポリエチレンなどのアイオノマー、プロピレン系エラストマー材料などが挙げられ、特に、EVAを用いることが、得られるフィルムの性能面から好ましい。EVAとしては、酢酸ビニル含有量が5〜25重量%程度、好ましくは10〜20重量%、メルトフローレイトが0.2〜2g/10分(190℃、2.16kg荷重)のものが強度、柔軟性、フィルム成形加工性などの面で好適である。なお、一般に本発明フィルムの厚さは、通常のストレッチ包装用フィルムとして用いられる範囲、すなわち8〜30μm程度、代表的には10〜20μm程度の範囲にある。
【0023】
なお、フィルムの動的粘弾性の値は、特に限定されるものではないが、例えば周波数10Hz、温度20℃における測定において、貯蔵弾性率E’の範囲が5.0×107〜5.0×108N/m2、正接損失tanδの値が0.2〜0.8の範囲程度を例示できる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、フィルムの包装適性を向上させ、かつ経時的な白化を抑制した包装用フィルムおよびストレッチ包装用フィルムを提供することができる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明の効果を説明するが、本発明はこれら各例に制限されるものではない。
【0026】
実施例1
(A):C9系石油樹脂の水素添加誘導体(商品名:アルコンP−125、荒川化学工業(株)製、水素化率95%、軟化点125℃、数平均分子量750):17重量部
(B):C9系石油樹脂の水素添加誘導体(商品名:アルコンM−100、荒川化学工業(株)製、水素化率75%、軟化点100℃):3重量部
(C):ジグリセリンモノオレート(防曇剤):2重量部
(D):低密度ポリエチレン(商品名:ノバテックLD ZE41、日本ポリケム(株)製):100重量部
をL/D=25の押出し成形機を用いて混練し、環状ダイスに供給しブロー比4倍でインフレーション成形した。得られたフィルムは厚み15μmで外観良好なものであった。
【0027】
実施例2
実施例1で用いた(B)成分を、C9系石油樹脂の水素添加誘導体(商品名:UレジンU−100、荒川化学工業(株)製、水素化率10%、軟化点100℃)に変更した以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0028】
実施例3
実施例1で用いた(B)成分を、水添ロジンエステル(商品名:パインクリスタルKE−311、荒川化学工業(株)製、軟化点95℃、酸価5)に変更した以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0029】
実施例4
実施例1で用いた(B)成分を、中国産ガムロジン(軟化点77℃、酸価170)に変更した以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0030】
実施例5
実施例1で用いた(B)成分を、アルコール変性ジシクロペンタジエンの水素化物(商品名:KR−1840、荒川化学工業(株)製、オレフィン性二重結合水素化率100%、軟化点90℃、水酸基価150)に変更した以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0031】
実施例6
実施例1で用いた(B)成分を、ピュアモノマー樹脂(商品名:FTR−6100、三井化学(株)製、軟化点100℃)に変更した以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0032】
実施例7
実施例1で用いた(B)成分を、不均化ロジン金属塩(商品名:KR−50M、荒川化学工業(株)製、軟化点150℃)に変更した以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0033】
実施例8
実施例1で用いた(B)成分を、不均化ロジン金属塩(商品名:KM−1300、荒川化学工業(株)製、軟化点115℃)に変更した以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0034】
比較例1
実施例1で用いた(B)成分を使用しなかった以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0035】
比較例2
実施例1で用いた(A)成分をテルペン樹脂の水素添加誘導体(商品名:クリアロンP−125、ヤスハラケミカル(株)製、水素化率100%、軟化点125℃、数平均分子量600)に変更し、(B)成分を添加しなかった以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0036】
比較例3
比較例1で用いた(A)成分をC9系石油樹脂の水素添加誘導体(商品名アルコンP−90、荒川化学工業(株)製、芳香環水素化率95%、軟化点90℃、数平均分子量570)に変更し、(B)成分を添加しなかった以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0037】
比較例4
比較例1で用いた(A)成分をC9系石油樹脂(商品名:ペトロジン120、三井化学(株)製、軟化点120℃、数平均分子量700)に変更し、(B)成分を添加しなかった以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0038】
比較例5
実施例1において、(B)成分および(C)成分を使用しなかった以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0039】
実施例9
(A):C9系石油樹脂の水素添加誘導体(商品名:アルコンP−125、荒川化学工業(株)製、水素化率95%、軟化点125℃、数平均分子量750):17重量部
(B):C9系石油樹脂の水素添加誘導体(商品名:アルコンM−100、荒川化学工業(株)製、水素化率75%、軟化点100℃):3重量部
(C):ジグリセリンモノオレート(防曇剤):2重量部
(D):ポリプロピレン系樹脂(商品名:ノバテックPP EA9 日本ポリケム(株)製)100重量部
をL/D=25の押出し成形機を用いて混練し、環状ダイスに供給しブロー比4倍でインフレーション成形した。得られたフィルムは厚み15μmで外観良好なものであった。
【0040】
実施例10
実施例9で使用した(B)成分の樹脂を、水添ロジンエステル(商品名:パインクリスタルKE−311、荒川化学工業(株)製、軟化点95℃、酸価5)に変更した以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
【0041】
比較例6
実施例9で使用した(B)成分を使用しなかった以外は実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
表4に配合内容を示す。
【0042】
上記実施例および比較例で得られたフィルムを用い、以下の試験を実施した。結果を表1および表2に示す。
【0043】
(1)フィルム透明性(ヘイズ)
ヘイズメーター(商品名:HM−150、(株)村上色彩技術研究所製)を用い、成形直後と成形1週間後のフィルムのヘイズをJIS K7136に従い測定した。
評価基準:
◎:成形直後のヘイズが10未満かつ(成形1週間後のヘイズ−成形直後のヘイズ)が5未満
○:成形直後のヘイズが10未満かつ(成形1週間後のヘイズ−成形直後のヘイズ)が5〜10
△:成形直後のヘイズが10未満かつ(成形1週間後のヘイズ−成形直後のヘイズ)が10〜20
×:上記の範囲以外
【0044】
(2)ブリードアウト
成形直後のフィルムをアルミで挟み1週間常温で静置した。その後、アルミに付着した成分を溶剤で洗浄、回収し、重量を測定した。
評価基準:
◎:アルミへの付着量がフィルム全体の質量の0.5%未満
○:アルミへの付着量がフィルム全体の質量の0.5%以上1.0%未満
△:アルミへの付着量がフィルム全体の質量の1.0%以上2.0%未満
×:アルミへの付着量がフィルム全体の質量の2.0%以上
【0045】
(3)包装適性
幅350mmのストレッチ包装用フィルムを用い、成形直後のフィルムを手包装機により、発泡ポリスチレントレーを包装し以下の試験を行った。
▲1▼シワ:トレーコーナー部のシワの発生について目視観察して判断。◎:シワがない、○:シワがあるが目立たない、△:少しシワがあり少し目立つ、大きなシワがある。
▲2▼底シール性:包装後のシール状態を目視観察して判断。◎:剥れない、○:わずかに剥れが生じる、△剥れが生じる、×:剥れ易い。
▲3▼復元性:パック品の中央部を指で押した後のフィルムの状態を目視観察にて判断。◎:押跡が残らない、○:わずかに押跡が残るがほとんど目立たない、△:押跡がやや残る、×:押跡が残り著しく目立つ。
▲4▼張り:パック品の上面を手で押さえた時の反発性を目視観察にて評価。◎:張りが良く反発性が良好、○:やや張りが弱い、△:張りは弱いがたるみは生じない、×:張りが弱くたるみが生じる。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
Claims (6)
- 下記(A)〜(D)成分を含有するポリオレフィン系樹脂組成物。
(A)高水素化石油樹脂、高水素化テルペン樹脂および高水素化ピュアモノマー樹脂から選ばれる少なくとも一種
(B)石油樹脂、テルペン樹脂、ピュアモノマー樹脂、オリゴスチレン樹脂およびこれらの低水素化物ならびに極性基含有石油樹脂、クマロン−インデン樹脂およびこれらの水素化物、ロジン系樹脂から選ばれる少なくとも一種
(C)防曇剤
(D)ポリオレフィン系樹脂 - ポリオレフィン系樹脂(D)100重量部に対して、(A)成分の添加量が5〜50重量部、(B)成分の添加量が0.2〜20重量部、(C)成分の添加量が0.1〜10重量部である請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- (A)成分の軟化点が100℃以上である請求項1または2記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- (A)成分の数平均分子量が500以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- 請求項1〜4に記載のポリオレフィン系樹脂組成物を成形して得られる包装用フィルム。
- 請求項1〜4に記載のポリオレフィン系樹脂組成物を成形して得られるストレッチ包装用フィルム。
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JP2005146184A (ja) * | 2003-11-18 | 2005-06-09 | Mitsui Kagaku Platech Co Ltd | ポリオレフィン樹脂組成物及びポリオレフィン樹脂フィルム |
JP2015007179A (ja) * | 2013-06-25 | 2015-01-15 | 三井化学株式会社 | 4−メチル−1−ペンテン系共重合体組成物 |
JP2016017180A (ja) * | 2014-07-08 | 2016-02-01 | ボスティク エス.アー. | 感覚刺激性が改良された再密封包装用の押出可能なホットメルト感圧接着剤 |
-
2003
- 2003-03-24 JP JP2003080071A patent/JP2004285246A/ja active Pending
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