JP2004285196A - ジエン系ゴム・無機化合物複合体及びその製造方法 - Google Patents

ジエン系ゴム・無機化合物複合体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ジエン系ゴム中への無機化合物の分散性が高く、比較的大きな複合体とすることによって、ゴム製品の製造時の作業性を向上させることのできるジエン系ゴム・無機化合物複合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本製造方法は、上記無機化合物及び/又は該無機化合物を形成可能な物質と、アニオン性化合物と、上記ジエン系ゴムの水系分散液とを混合する工程を備え、ジエン系ゴムと一般式wM・xSiO・zHOで表される無機化合物とを含む複合体を製造することを特徴とする。アニオン性化合物としては、カルボキシル基を有する化合物(ロジン酸塩等)が好ましく、ジエン系ゴムの分散液としては、乳化重合によって得られたラテックスが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジエン系ゴム・無機化合物複合体及びその製造方法、更に詳しくは、ジエン系ゴム中への無機化合物の分散性が高く、凝固時のクラム径を比較的大きな複合体とすることによって、ジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造時の作業性を向上させることのできる製造方法に関する。本発明により得られるジエン系ゴム・無機化合物複合体は、タイヤトレッド等のタイヤ用ゴムの他、ベルト、ゴムロール、ホース等の各種ゴム製品の原料ゴムとして利用され、耐摩耗性に優れる。
【0002】
【従来の技術】
タイヤ用等のゴム組成物を構成する補強剤として、シリカ等の無機充填剤が、カーボンブラック等と組み合わせてよく用いられている。このような補強剤は、ゴム原料等とともに乾式混練され、得られるゴム組成物を用いてタイヤ等のゴム製品が製造される。
近年、ジエン系ゴム中に無機化合物が均一に分散されるようなジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法(特許文献1参照)が開示されているが、この方法では、得られる複合体のクラム径の大きさが50μm以下と小さく、ジエン系ゴム・無機化合物複合体を得るための製造工程において、取り扱いに手間を要し、作業性が悪いという問題がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−241507号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決するものであり、ジエン系ゴム中への無機化合物の分散性が高く、比較的大きなクラム径とすることによって、ジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造時の作業性を向上させることのできる製造方法、並びに、耐摩耗性に一段と優れるゴム製品を与えるジエン系ゴム・無機化合物複合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下に示される。
1.ジエン系ゴムと下記一般式(I)で表される無機化合物とを含む複合体の製造方法であって、上記無機化合物及び/又はこの無機化合物を形成可能な物質と、アニオン性化合物と、上記ジエン系ゴムの水系分散液とを混合する工程を備えることを特徴とするジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
wM・xSiO・zHO (I)
(式中、Mは、Al、Mg、Ti及びCaから選ばれる少なくとも1種の金属元素、金属酸化物又は金属水酸化物であり、w、x、y及びzはそれぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。)
2.上記無機化合物を形成可能な物質は、金属塩、金属のオキソ酸塩及び有機金属化合物から選ばれる少なくとも1種である上記1に記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
3.上記アニオン性化合物が、カルボキシル基を有する化合物である上記1又は2に記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
4.上記カルボキシル基を有する化合物が、ロジン酸塩及び脂肪酸塩から選ばれる少なくとも1種である上記3に記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
5.上記ジエン系ゴムの水系分散液は、乳化重合によって合成されたジエン系ゴムラテックスである上記1乃至4のいずれかに記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
6.上記により得られる混合液より、金属塩を含む電解液を用いて、ジエン系ゴムと上記無機化合物とを共凝固させ、その後これをろ別し、次いで乾燥する工程を備える上記1乃至5のいずれかに記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
7.上記ジエン系ゴムは、ヘテロ原子を含有する極性基を有するジエン系ゴムである上記1乃至6のいずれかに記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
8.上記極性基は、ヒドロキシル基、オキシ基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、イミノ基、アミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、及びジアゾ基から選ばれる少なくとも1種である上記7に記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
9.上記一般式(I)で表される無機化合物が、下記一般式(II)で表される無機化合物である上記1乃至8のいずれかに記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
Al・mSiO・nHO (II)
(式中、mは0〜4の整数であり、nは0〜4の整数である。)
10.上記金属塩、金属のオキソ酸塩又は有機金属化合物を構成する金属は、アルミニウムである上記2乃至10のいずれかに記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
11.上記により得られる混合液に、更に、ジエン系ゴムの水系分散液を混合する工程を備える上記1乃至10のいずれかに記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
12. 上記1乃至11のいずれかに記載の方法により得られたことを特徴とするジエン系ゴム・無機化合物複合体。
【0006】
【発明の効果】
本発明によれば、無機化合物の分散性の高いジエン系ゴム・無機化合物複合体を高い生産性をもって製造することができる。凝固工程によって得られる複合体のクラム径の大きさが5mm以上と大きいため、ジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造時の作業性が一層向上する。また、本製造方法により得られたジエン系ゴム・無機化合物複合体を用いることによって、耐摩耗性等ゴム特性に優れたゴム製品を与えるゴム組成物を提供することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明に係わる「ジエン系ゴム」は、ゴムを構成する単量体単位として共役ジエン系単量体単位を有しているものであり、特に限定はされないが、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ブタジエン・イソプレン共重合ゴム、ブタジエン・スチレン・イソプレン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ジエン系ゴムとしては、共役ジエン系単量体を単独で、あるいは、共役ジエン系単量体と、芳香族ビニル単量体及びオレフィン性不飽和ニトリル単量体から選ばれる単量体とを乳化重合させて得られたものが好ましく、例えば、乳化重合ブタジエンゴム、乳化重合スチレン・ブタジエン共重合ゴム、乳化重合アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、乳化重合アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合ゴム等が挙げられる。
また、上記ジエン系ゴムは油展ゴムであってもよいし、非油展ゴムであってもよい。更には、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0008】
本発明の製造方法において用いられる「ジエン系ゴムの水系分散液」は、上記例示したジエン系ゴムが、好ましくは水系媒体に分散されたものであり、特に限定されるものではない。また、上記例示したジエン系ゴムの分散方法についても同様である。分散媒は通常、水であるが、水にアルコール等が溶解する水系媒体であってもよい。上記分散液としては、乳化重合により得られるジエン系ゴムラテックスが好ましい。その形態としては、天然ゴムラテックス、ジエン系合成ゴムを再乳化させたエマルジョン、水系媒体中で重合することにより生成するジエン系合成ゴムエマルジョン及びジエン系合成ゴム分散液等が挙げられる。これらは、それぞれ1種単独で、あるいはジエン系ゴムの種類若しくは水系分散液の種類を問わず、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0009】
上記共役ジエン系単量体(以下、「共役ジエン」ともいう。)としては、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン等が挙げられる。これらのうち、1,3−ブタジエン、イソプレン等が好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。また、上記共役ジエンは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0010】
上記芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン等が挙げられる。これらのうち、スチレンが好ましい。また、上記芳香族ビニル単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
上記オレフィン性不飽和ニトリル単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。これらの単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
本発明の製造方法において用いられるジエン系ゴムとしては、上記単量体から形成される単量体単位からなるジエン系ゴムのみならず、ヘテロ原子を含有する極性基を有するジエン系ゴムを用いることができる。この場合には、得られる複合体に含まれる無機化合物の分散性及び得られるゴム製品の補強特性がともに向上する。
【0013】
上記ヘテロ原子としては、周期律表の第2周期ないし第4周期で、且つ第5B族又は第6B族に属する原子、具体的には、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子等が挙げられる。これらのうち、窒素原子、酸素原子等が好ましい。このようなヘテロ原子を含有する極性基としては、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、イミノ基、アミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、更には、含酸素複素環基、含窒素複素環基、含硫黄複素環基等が挙げられる。これらのうち、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、スルフィド基、スルホニル基、アミノ基、含窒素複素環基、アルコキシシリル基等が好ましく、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、含窒素複素環基、アルコキシシリル基等が更に好ましく、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、含窒素複素環基、アルコキシシリル基等がより更に好ましく、特にヒドロキシル基又はアミノ基が最も好ましい。
【0014】
上記極性基を有するジエン系ゴムとするためには、通常、共役ジエン等の単量体と、上記極性基を有するビニル系単量体とを重合することによって得ることができる。
この極性基を有するビニル系単量体は、分子内に少なくとも1つの極性基を有する重合性単量体であれば特に制限はされない。その例としては、ヒドロキシル基を有するビニル系単量体、アミノ基を有するビニル系単量体、ニトリル基を有するビニル系単量体、カルボキシル基を有するビニル系単量体、アルコキシシリル基を有するビニル系単量体等が挙げられる。これらのうち、カルボキシル基を有するビニル系単量体、アルコキシシリル基を有するビニル系単量体、アミノ基を有するビニル系単量体が好ましい。また、上記ビニル系単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
上記ヒドロキシル基を有するビニル系単量体としては、1分子中に少なくとも1個の第1級、第2級又は第3級ヒドロキシル基を有する重合性単量体が挙げられる。このようなヒドロキシル基を有するビニル系単量体としては、それぞれヒドロキシル基を有する不飽和カルボン酸系単量体、ビニルエーテル系単量体、ビニルケトン系単量体等が挙げられる。これらのうち、ヒドロキシル基を有する不飽和カルボン酸系単量体が好ましい。
このヒドロキシル基を有する不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のエステル、アミド、無水物等の誘導体が挙げられる。これらのうち、アクリル酸、メタアクリル酸等のエステル化合物が好ましい。
【0016】
上記ヒドロキシル基を有するビニル系単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数は、例えば、2〜23)のモノ(メタ)アクリレート類、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基を有する不飽和アミド類、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、m−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルアルコール等のヒドロキシル基を有するビニル芳香族化合物、(メタ)アリルアルコール等が挙げられる。これらのうち、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシル基を有するビニル芳香族化合物が好ましい。これらのヒドロキシル基を有するビニル系単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
上記ニトリル基を有するビニル系単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられ、これらのニトリル基を有する単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
上記アミノ基を有するビニル系単量体としては、1分子中に第1級、第2級及び第3級アミノ基から選ばれる少なくとも1つのアミノ基を有する重合性単量体が挙げられる。これらのうち、第3級アミノ基を有するビニル系単量体(ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、第3級アミノ基を有するビニル芳香族化合物等)が特に好ましい。また、上記アミノ基を有するビニル系単量体は、それぞれ1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
第1級アミノ基を有するビニル系単量体としては、アクリルアミド、メタアクリルアミド、p−アミノスチレン、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
第2級アミノ基を有するビニル系単量体としては、(1)アニリノスチレン類、例えば、アニリノスチレン、β−フェニル−p−アニリノスチレン、β−シアノ−p−アニリノスチレン、β−シアノ−β−メチル−p−アニリノスチレン、β−クロロ−p−アニリノスチレン、β−メチル−β−メトキシカルボニル−p−アニリノスチレン、β−カルボキシ−p−アニリノスチレン、β−メトキシカルボニル−p−アニリノスチレン、β−(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニル−p−アニリノスチレン、β−ホルミル−p−アニリノスチレン、β−ホルミル−β−メチル−p−アニリノスチレン、α−カルボキシ−β−カルボキシ−β−フェニル−p−アニリノスチレン等、(2)アニリノフェニルブタジエン類、例えば、アニリノフェニルブタジエン及びその誘導体としては、1−アニリノフェニル−1.3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−3−メチル−1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−3−クロロ−1,3−ブタジエン、3−アニリノフェニル−2−メチル−1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−アニリノフェニル−1,3ブタジエン、2−アニリノフェニル−3−メチル−1,3−ブタジエン、2−アニリノフェニル−3−クロロ−1,3−ブタジエン等、(3)N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタアクリルアミド等N−モノ置換(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
【0020】
第3級アミノ基を有するビニル系単量体としては、N,N−ジ置換アミノアルキルアクリレート、N,N−ジ置換アミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物及びピリジル基を有するビニル化合物等が挙げられる。
上記のN,N−ジ置換アミノアクリレートとしては、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等のアクリル酸又はメタアクリル酸のエステル等が挙げられる。これらのうち、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0021】
上記N,N−ジ置換アミノアルキルアクリルアミドとしては、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド化合物又はメタアクリルアミド化合物等が挙げられる。これらのうち、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が好ましい。
【0022】
上記のN,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物としては、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、N,N−ジエチルアミノエチルスチレン、N,N−ジプロピルアミノエチルスチレン、N,N−ジオクチルアミノエチルスチレン等のスチレン誘導体が挙げられる。
【0023】
また、アミノ基の代わりに含窒素複素環基であってもよく、この含窒素複素環としては、ピロール、ヒスチジン、イミダゾール、トリアゾリジン、トリアゾール、トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、プリン、フェナジン、プテリジン、メラミン等が挙げられる。これらの含窒素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい。
含窒素複素環基のうち、ピリジル基を有するビニル化合物としては、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等が挙げられる。これらのうち、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が好ましい。また、これらのピリジル基を有するビニル系単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
上記エポキシ基を有するビニル系単量体としては、(メタ)アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−オキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのエポキシ基を有するビニル系単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
上記カルボキシル基を有するビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラコン酸、けい皮酸等の不飽和カルボン酸類、フタル酸、コハク酸、アジピン酸等の非重合性多価カルボン酸と、(メタ)アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有する不飽和化合物とのモノエステル等の遊離カルボキシル基を有するエステル類及びその塩等が挙げられる。これらのうち、不飽和カルボン酸類が好ましい。これらのカルボキシル基を有するビニル系単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
上記アルコキシシリル基を有するビニル系単量体としては、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジベジロキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルベジロキシシランや、特開平7−188356号公報等で開示されるトリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、6−トリメトキシシリル−1,2−ヘキセン、p−トリメトキシシリルスチレン等が挙げられる。これらのアルコキシシリル基を有するビニル系単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
上記ジエン系ゴムを構成する各単量体単位の含有量は、要求される特性に応じて適宜選択され、単量体単位の全量を100質量%とした場合、共役ジエン単量体単位量が、通常、40〜100質量%、好ましくは50〜90質量%、より好ましくは60〜85質量%の範囲であり、芳香族ビニル単量体単位量が、通常、0〜60質量%、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは15〜40質量%の範囲である。そして、ヘテロ原子を含有する極性基を有するジエン系ゴムの場合には、その極性基を有する単量体の極性の大きさに応じて適宜選択されるが、その単量体からなる単量体単位の含有量は、通常、0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%である。この単量体単位の含有量が0.01質量%未満であると、たとえ大きな極性を有する単量体を用いた場合であっても、複合体を構成することとなる無機化合物との相互作用が小さくなることがあり、それによって、本発明の効果を十分に得られないことがある。一方、20質量%を超えて含有する場合には、無機化合物と強く凝集し加工が困難となる傾向にある。尚、この各単量体単位の含有量を有するジエン系ゴムを用いた場合には、その中に無機化合物が均一に分散した複合体、更には、耐摩耗性に一段と優れるゴム製品を与えるゴム組成物を得ることができる。
【0028】
上記ジエン系ゴムの重合方法は特に限定されず、ラジカル重合法、アニオン重合法等が挙げられる。ラジカル重合法としては、塊状重合、懸濁重合、乳化重合等があるが、本発明においてはジエン系ゴムの水系分散液を用いるため、重合終了時に安定な乳化分散液が得られる乳化重合が特に好ましい。この乳化重合は、公知の方法を適用でき、所定の単量体を乳化剤の存在下に水系媒体中で乳化させ、ラジカル重合開始剤により重合を開始し、所定の重合転化率に達した後、重合停止剤にて重合を停止する等によってジエン系ゴムを得ることができる。
【0029】
上記乳化剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性界面活性剤等が挙げられる。これらの乳化剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。安定な乳化分散液が得るためには、通常、アニオン系界面活性剤が多用され、例えば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩、ロジン酸塩等が用いられる。具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸のカリウム塩及びナトリウム塩等が挙げられる。また、ふっ素系の界面活性剤を使用することもできる。
【0030】
上記ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、パラメンタンヒドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド及びジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物を使用することができる。また、アゾビスイソブチロニトリルにより代表されるジアゾ化合物、過硫酸カリウムにより代表される無機過酸化物、及びこれら過酸化物と硫酸第一鉄との組み合せにより代表されるレドックス系触媒等を用いることもできる。これらのラジカル重合開始剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
ジエン系ゴムの分子量を調節するために連鎖移動剤を使用することもできる。この連鎖移動剤としては、tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、四塩化炭素、チオグリコール類、ジテルペン、タ−ピノーレン、γ−テルピネン類及びα−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
【0032】
乳化重合によるジエン系ゴムの重合において、各々の単量体、乳化剤、ラジカル重合開始剤及び連鎖移動剤等は、反応容器に全量を一括して投入して重合を開始してもよいし、反応継続時に各成分を連続的あるいは間欠的に追加し、添加してもよい。本発明に係わるジエン系ゴムの重合は、酸素を除去した反応器を用いて、通常、0〜100℃の温度で、好ましくは0〜80℃で行うことができる。反応途中で温度あるいは攪拌等の操作条件等を適宜に変更することもできる。重合方式は連続式でもよいし、回分式であってもよい。
【0033】
また、重合転化率が大きくなるとゲル化することがあり、重合転化率は80%以下に抑えることが好ましく、特に、重合転化率30〜70%の範囲で重合を停止することが好ましい。重合の停止は所定の重合転化率に達した時点で、重合停止剤を添加することによって行われる。重合停止剤としては、ヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノン等のキノン化合物等が挙げられる。重合停止後、反応系から必要に応じて水蒸気蒸留等の方法により未反応単量体を除去し、ジエン系ゴムが分散するラテックスとすることができる。
【0034】
本発明において、上記ジエン系ゴムの水系分散液としては、上記ラテックスをそのまま用いてもよいし、ゴム用伸展油が添加された油展ゴムとして分散しているものを用いてもよい。このゴム用伸展油としては特に限定されず、例えば、ナフテン系、パラフィン系、芳香族系のプロセスオイル等を用いることができる。油展ゴムとするためのゴム用伸展油の使用量は、ラテックスに含まれるジエン系ゴムを100質量部とした場合、好ましくは5〜100質量部、特に好ましくは10〜60質量部である。
【0035】
上記ジエン系ゴムの水系分散液に含有されるジエン系ゴムあるいは油展ゴムのムーニー粘度[ML1+4(100℃)]は、好ましくは10〜200であり、より好ましくは30〜150である。このムーニー粘度が10未満であると、耐摩耗性をはじめとする物性が十分でなく、200を超える場合には、作業性が悪く、混練することが困難となる。
【0036】
次に、本発明に係わる「一般式(I)で表される無機化合物」は、通常、微粒子状であり、上記ジエン系ゴム中に、均一に分散して、複合体を形成しているものである。
wM・xSiO・zHO (I)
(式中、Mは、Al、Mg、Ti及びCaから選ばれる少なくとも1種の金属元素、金属酸化物又は金属水酸化物であり、w、x、y及びzはそれぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。)
尚、上記無機化合物には、金属自体は含まれない。
【0037】
上記無機化合物としては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al・HO)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム(Al(OH))、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al)、ルチル、アナターゼ等のチタン白(TiO)、チタン黒(TiO2n−1)、焼成クレー(Al・2SiO)、カオリン(Al・2SiO・HO)、パイロフィライト(Al・4SiO・HO)、ベントナイト(Al・4SiO・2HO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO・9HO)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO)、ケイ酸アルミニウム(AlSi(OH)、Al・2SiO・2HO等)、ケイ酸マグネシウム(MgSiO)、ケイ酸カルシウム(CaO・SiO・yHO)、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が挙げられる。これらの無機化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
上記無機化合物のうち、下記一般式(II)で表される無機化合物であることが好ましい。
Al・mSiO・nHO (II)
(式中、mは0〜4の整数であり、nは0〜4の整数である。)
この無機化合物としては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム、焼成クレー、カオリン、パイロフィライト、ベントナイト等が挙げられる。これらの無機化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
上記無機化合物は、その好ましい粒径は10μm以下であり、更に好ましくは3μm以下である。この無機化合物の粒径が大きすぎると、ゴム製品の耐破壊特性、耐摩耗性が悪化することがある。
【0040】
上記無機化合物の使用量は、上記ジエン系ゴムの水系分散液に含有されるジエン系ゴム100質量部に対し、好ましくは5〜200質量部、より好ましくは5〜67質量部、更に好ましくは7〜60質量部である。この使用量が少なすぎると、タイヤ製品とした場合に、濡れた路面でのグリップ性能の向上が得られにくい。一方、使用量が多すぎると、複合体の製造が困難となることがあり、製造できたとしても、ジエン系ゴム中への無機化合物の分散性が悪化する、複合体が著しく固くなる等の問題が生じるので、好ましくない
【0041】
上記無機化合物を用いて、ジエン系ゴム・無機化合物複合体を製造するためには、上記無機化合物は、他の材料と予め混合する等の目的のためにそのまま用いてもよいし、水等の水性媒体中に溶解あるいは分散させたものを用いてもよい。後者の場合、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー、ダイノーミル、ボールミル、チューブミル、スーパーミキサー等を用いることができる。
【0042】
本発明においては、複合体を構成する無機化合物を上記一般式(I)で表される無機化合物とするために、上記無機化合物を形成可能な物質(以下、「無機化合物形成物質」ともいう。)を製造原料として用いることもできる。
【0043】
上記無機化合物形成物質としては、無機物質、有機系物質のいずれでもよい。この無機物質としては、金属塩、金属のオキソ酸塩等が挙げられ、(1)塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等のアルミニウム塩等、(2)亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム(六水和物)、硝酸マグネシウム(六水和物)、硫酸マグネシウム、三塩化チタン、四塩化チタン等、(3)アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸塩(アルミニウムのオキソ酸塩)等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの化合物は、水、酸、アルカリ等に溶解又は分散した形で用いることができる。
また、これらの化合物に、ケイ素塩(塩化ケイ素等)及び/又はケイ素のオキソ酸塩(ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩)を加えることもできる。その際、ケイ酸塩とアルミニウム塩もしくはアルミン酸塩は、同一の水溶液として用いてもよいし、それぞれ別の水溶液を調製して用いてもよい。
【0044】
上記有機系物質としては、有機金属化合物が挙げられ、各金属のアルコキシドが好ましい。例えば、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、又はそれらの少なくとも1つが塩素等の加水分解可能なハロゲン等が置換された化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの有機金属化合物は、通常、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等の水溶性アルコールに例示される有機溶媒に溶解した状態で用いられる。従って、この有機金属化合物の溶解液に水を加えることにより、有機金属化合物を加水分解させ、次いで、その加水分解物を縮合することにより、無機化合物形成物質を含む溶液が得られる。有機金属化合物と水との反応においては、縮合反応を促進するために、必要に応じて酸性物質又はアルカリ性物質を添加してもよい。これらは、酸又はアルカリの水溶液として添加することもできる。
上記のようにして得られた有機系物質、あるいはこの有機系物質を含む溶液又は分散液は、上記無機物質を含む溶液又は分散液と混合して用いることもできる。使用時には、必要に応じてpH等の調整を行ってもよい。
更に、上記無機化合物形成物質は、上記無機化合物と組み合わせて用いることもできる。
【0045】
尚、上記無機化合物として、上記一般式(II)で表される無機化合物とするためには、無機酸塩及び/又は有機酸塩のアルミニウム塩、有機アルミニウム塩等が水、酸、アルカリ等に溶解あるいは分散したアルミニウム含有溶液を用いることができる。尚、これらの化合物のほとんどは、上記無機化合物形成物質に相当するものである。
【0046】
上記無機酸塩及び有機酸塩としては、アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、次亜硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、次亜硝酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、臭素酸塩、亜臭素酸塩、次亜臭素酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、フタル酸塩、ヘキサン酸塩等のオキソ酸塩や、塩酸塩(塩化物、ポリ塩化物)等の水素酸塩、アルミノケイ酸塩等が挙げられる。また、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
上記化合物のうち、水、酸、アルカリ等の媒体に溶解しないものは、これらの媒体中で分散させた状態で用いることができる。その際には、上記で例示したコロイドミル、ホモジナイザー等を用いることができる。
【0048】
また、上記化合物の分散液としては、以下のような方法で調製したもの等を用いることもできる。
(1)塩基性アルミニウム塩を加熱ゲル化し、これを塩基で中和したもの。
(2)塩化アルミニウム等のアルミニウム塩とアルミン酸塩とを加えて中和して得られるようなアルミナゲル。
(3)アルミン酸塩を鉱酸類と反応させるか、硫酸アルミニウム等のアルミニウム塩を水酸化ナトリウム等のアルカリと反応させることにより生成する水酸化アルミニウムの沈殿を、同様に水等の水性媒体中にせん断攪拌により微細に分散させたもの。
(4)特公昭40−8409公報等に開示されているような、アルミン酸ナトリウムや硫酸アルミニウム等から調製したアルミナゲルを解膠して調製したアルミナゾル。
【0049】
また、上記有機アルミニウム塩としては、上記で例示したアルミニウムアルコキシドが好ましく、例えば、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等が挙げられる。また、これら化合物を構成するアルコキシル基が塩素等のハロゲン原子によって置換されたものであってもよい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
上記のようにして得られたアルミニウム含有溶液は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記アルミニウム塩を用いて調製されたものと、上記有機アルミニウム塩を用いて調製されたものとを組み合わせ(例えば、アルミン酸塩を用いて調製された溶液と、有機アルミニウム塩を用いて調製された溶液とを任意の割合で混合したもの)て用いてもよい。
【0051】
また、上記無機化合物形成物質としては、上記一般式(I)を構成する金属元素の単体金属(Al、Mg、Ti又はCa)をアルカリ処理して得られたものであってもよい。
【0052】
上記無機化合物形成物質の使用量は、上記ジエン系ゴムの水系分散液に含有されるジエン系ゴム100質量部に対し、形成される一般式(I)あるいは(II)の無機化合物の生成量が好ましくは5〜200質量部、より好ましくは5〜67質量部、更に好ましくは7〜60質量部となるように選択される。上記無機化合物形成物質を用いて上記無機化合物を含有する複合体とする場合には、副生成物を含有することがあるため、それを考慮して使用量を選択すればよい。また、この無機化合物形成物質と、上記無機化合物と、を併用する場合も同様の手法で両者の使用量を選択すればよい。
【0053】
本発明のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法の特徴は、上記ジエン系ゴムの水系分散液と、上記無機化合物及び/又は上記無機化合物形成物質と、更にアニオン性化合物と、を混合する工程を備えることである。
上記アニオン性化合物としては、負の電荷を有するものであれば特に限定されないが、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を有するアニオン性界面活性剤等が挙げられる。本発明においては、カルボキシル基を有する化合物が特に好ましい。ここで、「カルボキシル基」とは、−COOH及び−COOを示す。また、このカルボキシル基が、この化合物1分子中に有する数も、特に限定されない。この化合物としては、上記ジエン系ゴムの説明において、アニオン系界面活性剤(乳化剤)として例示したロジン酸塩や、脂肪酸塩、ナフテン酸塩、エーテルカルボン酸塩、アルケニルコハク酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩等を用いることができる。これらは、それぞれ1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
上記ロジン酸塩としては、ロジン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。アルカリ金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。本発明で使用するロジン酸塩としては、カリウム塩が好ましい。
上記脂肪酸塩としては、炭素数10〜20の脂肪酸のカリウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩及び低級アミン塩等が挙げられる。これらのうち、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩が好ましい。
【0055】
上記アニオン性化合物は、そのままの状態(固形等)で用いてもよいし、上記ジエン系ゴムの水系分散液、上記無機化合物の分散液あるいは溶解液、又は、上記無機化合物形成物質の分散液あるいは溶解液を構成する水系媒体に溶解あるいは分散させた状態で用いてもよい。
【0056】
上記アニオン性化合物の使用量は、上記ジエン系ゴムの水系分散液に含有されるジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは0.5〜10質量部であり、より好ましくは1〜6質量部である。このアニオン性化合物の使用量が少なすぎると、得られるジエン系ゴム・無機化合物複合体が小さくなりすぎることがある。
尚、このアニオン性化合物は、上記のように、ジエン系ゴムの水系分散液の製造のためにも用いられるため、ジエン系ゴムの製造時に過剰のアニオン性化合物を使用する方法でもよい。
【0057】
本発明の製造方法における、「上記無機化合物及び/又は上記無機化合物形成物質と、上記アニオン性化合物と、上記ジエン系ゴムの水系分散液とを混合する工程」では、その混合方法は特に限定されない。即ち、各成分を一括して混合してもよいし、分割混合したものを最後に一括して混合してもよい。好ましい混合方法は、(1)上記無機化合物及び/又は上記無機化合物形成物質と、上記アニオン性化合物との混合の後、上記ジエン系ゴムの水系分散液と混合する方法、(2)上記無機化合物及び/又は上記無機化合物形成物質と、上記ジエン系ゴムの水系分散液の一部との混合の後、この混合物と上記アニオン性化合物とを混合し、更に、残りのジエン系ゴムの水系分散液と混合する方法、(3)上記ジエン系ゴムの水系分散液と上記アニオン性化合物とを混合の後、上記無機化合物及び/又は上記無機化合物形成物質を更に混合する方法等が挙げられる。
【0058】
次いで、上記混合物から、ジエン系ゴム・無機化合物複合体を取り出すには、ラテックスからゴム成分を凝固させる一般的な方法を適用して凝固物として取り出すことができ、また、加熱、減圧等の方法により水系媒体を除去して取り出してもよい。より均一なジエン系ゴム・無機化合物複合体とするためには前者の方法が好ましい。ジエン系ゴムの水系分散液に予めゴム用伸展油が配合されている場合には、この凝固によって、油展ゴム・無機化合物複合体として取り出すことができる。
【0059】
凝固方法は、例えば、電解液構成成分である(1)塩化ナトリウム、塩化カリウム、(2)カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム等の多価金属の塩、例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸亜鉛、硝酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム等の水溶液、及び/又は(3)必要に応じ塩酸、硝酸、硫酸等を添加するものであり、これによって、ジエン系ゴム・無機化合物複合体をクラムとして凝固させることができる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。この際に、微細の無機化合物を高分子凝集剤(アニオン系、ノニオン系及びカチオン系のうち特にアニオン系、ノニオン系)等を用いて凝固させることもできる。この共凝固の際の温度、pH等は特に限定されないが、製造されるジエン系ゴム・無機化合物複合体に残留する無機塩を低減するためには、温度を10℃以上、好ましくは10〜80℃、より好ましくは10〜50℃とし、pH値を2〜14(好ましくはpH4〜11)の範囲内に制御することが好ましい。10℃未満では、工業的に適さない傾向にあり、一方、温度が高すぎると、大きなクラムが得られないことがある。上記好ましい温度範囲のうち、より低い温度範囲内で共凝固することにより、大きな複合体を得ることができる。
【0060】
ジエン系ゴム及び無機化合物を共凝固させた後、通常、凝固物を水洗する等により、乳化剤、電解質等を除去し、次いで、熱風乾燥、真空乾燥等により水分を除去して乾燥を行う。以上より、ジエン系ゴム中に無機化合物が均一に分散した複合体が得られる。
【0061】
本発明によって製造されたジエン系ゴム・無機化合物複合体の数平均粒子径は、通常、1〜50mmであり、好ましくは3〜20mmである。このジエン系ゴム・無機化合物複合体の粒径が上記範囲であれば、製造時の作業性を向上させるクラムを得ることができる。
【0062】
本発明によって製造されたジエン系ゴム・無機化合物複合体を、添加剤等とともに用いてゴム組成物を調製することができる。添加剤としては、加硫剤を含む架橋剤、補強用充填剤、他の充填剤、カップリング剤、加硫促進剤、脂肪酸類等が配合される。更に、必要に応じて、他のゴム成分、他のジエン系ゴム・無機化合物複合体を配合することができる。
【0063】
上記架橋剤には、硫黄、含硫黄化合物等の加硫剤、又は過酸化物等の非硫黄系架橋剤が含まれ、前者の加硫剤、そのうち特に硫黄が好ましい。この加硫剤の配合量は、ゴム成分の全量を100質量部とした場合、通常、0.5〜10質量部であり、特に好ましくは1〜6質量部である。
【0064】
上記補強用充填剤としては、カーボンブラック、シリカ等が挙げられる。
カーボンブラックとしては、製造方法によりチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック及びサーマルブラック等があるが、いずれのものも使用することができる。また、このカーボンブラックは窒素吸着比表面積(ASTM D3037−88に準拠して測定したBET値)が70m/g以上であり、且つジブチルフタレート吸油量(JIS K6221−1982(A法)に準拠して測定したDBP値)が90ミリリットル/100g以上のものが好適である。
上記BET値が70m/g未満では十分な耐摩耗性が発現しにくく、BET値が大きすぎるとタイヤとした場合に低燃費性が悪化する原因となる。耐摩耗性及び低燃費性を考慮すると、このBET値のより好ましい範囲は、90〜180m/gである。
また、上記DBP値が90ミリリットル/100g未満では十分な耐摩耗性が得られにくく、DBP値が大きすぎるとゴム製品の破断時の伸びが悪化する原因となる。耐摩耗性及び低燃費性を考慮すると、このDBP値のより好ましい範囲は、100〜180ミリリットル/100gである。
【0065】
シリカとしては、従来からゴム補強用として使用されているもの、例えば、乾式法シリカ、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等を用いることができるが、湿式法シリカが好適である。このシリカは、耐摩耗性及び低燃費性等を考慮すると、窒素吸着比表面積(BET値)が100〜300m/gの範囲にあるものが好適である。尚、このBET値は、300℃で1時間乾燥後、ASTM D4820−93に準拠して測定した値である。
【0066】
上記補強用充填剤としては、カーボンブラックのみを用いてもよいし、シリカのみを用いてもよい。更には、カーボンブラックとシリカを併用してもよい。また、上記補強用充填剤の配合量は、耐摩耗性、ウェット性能及び低燃費性のバランス等の面から、ゴム成分の全量を100質量部とした場合、好ましくは5〜100質量部、より好ましくは30〜85質量部である。
【0067】
上記他の充填剤としては、クレー、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0068】
上記カップリング剤としては特に限定されないが、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、 N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのカップリング剤を配合すると、耐摩耗性あるいはtanδがより向上する。
上記カップリング剤の配合量は、ゴム組成物に含有される無機化合物の全量を、又は補強用充填剤等の無機充填剤が追加して配合される場合にはこれとの合計量を100質量部とした場合に、好ましくは20質量部以下、特に好ましくは15質量部以下(通常、1質量部以上)である。
【0069】
上記加硫促進剤としては、アルデヒドアンモニア系、グアニジン系、チオウレア系、チアゾール系、ジチオカルバミン酸系の各化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記加硫促進剤の配合量は、ゴム成分の全量を100質量部とした場合、好ましくは0.5〜15質量部、特に好ましくは1〜10質量部である。
【0070】
上記脂肪酸類としては、脂肪酸、そのエステル化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
脂肪酸としては高級脂肪酸が好ましく、通常、炭素数が10以上(好ましくは12以上、通常20以下)のモノカルボン酸であり、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよいが、耐候性の点で飽和脂肪酸が好ましい。この脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
また、脂肪酸のエステル化合物としては、上記高級脂肪酸のアルコール化合物とのエステルが好ましい。このアルコール化合物の炭素数は、1〜10程度のものが好ましい。また、低級脂肪酸(炭素数が1〜10程度)の高級アルコール(炭素数が10以上程度、20以下程度)のエステルを用いることもできる。
【0071】
上記「他のゴム成分」とは、複合体でない他のゴムを意味し、公知の方法で得られるスチレン・ブタジエン共重合ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエン・イソプレン共重合ゴム、ブタジエン・スチレン・イソプレン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム等を使用することができる。上記ゴム成分は、ヘテロ原子を含有する極性基を有するものであってもよい。
更に、このゴム成分は、ゴム用伸展油によって油展ゴムとなったものであってもよい。
上記添加剤に加え、ゴム用伸展油、亜鉛華、加硫助剤、老化防止剤及び加工助剤等を適量配合することもできる。
【0072】
本発明によって製造されたジエン系ゴム・無機化合物複合体を用い、以下の要領でゴム製品を製造することができる。即ち、先ず、上記複合体、必要に応じて他のゴム成分、シリカ、カーボンブラック、カーボン−シリカデュアル・フェイズフィラー等の補強剤、ゴム用伸展油、その他の配合剤等をバンバリーミキサ等の混練機を使用して70〜180℃の温度で混練する。その後、混練物を冷却し、硫黄等の加硫剤及び加硫促進剤等を、バンバリーミキサあるいはミキシングロール等を用いて配合してゴム組成物とした後、所定の形状に成形する。次いで、140〜180℃の温度で加硫し、所要の加硫ゴム、即ち、ゴム製品を得る。
上記ゴム組成物は良好な加工性を有し、得られる加硫ゴムは、優れた引張強度、耐摩耗性、耐ウェットスキッド性及び反発弾性等を有しており、特に、タイヤトレッドとして好適である。
【0073】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、実施例及び比較例において、部及び%は特に断らない限り質量基準である。
【0074】
1.ジエン系ゴム(油展ジエン系ゴム及び非油展ジエン系ゴム)の調製
1−1.油展ジエン系ゴム
窒素置換した重合容器に、水200部、ロジン酸石鹸4.5部、ブタジエン及び表1に示す他の単量体の所定量(単量体の合計量は100部)、及びt−ドデシルメルカプタン0.3部を仕込んだ。その後、重合容器の温度を5℃に設定し、重合開始剤としてのp−メンタンハイドロパーオキサイド0.1部、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム0.07部、硫酸第1鉄7水和物0.05部、及びソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.15部を添加して重合を開始した。重合転化率が60%に達した時点でジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を停止した。次いで、スチームストリッピングにより未反応単量体を回収して、固形分濃度21%程度のジエン系ゴムを含有する水系分散液を得た。
その後、表1に示す単量体を用いて得られたジエン系ゴムの水系分散液については、含有されるジエン系ゴムの固形分100部に対して37.5部のアロマオイル(富士興産社製、商品名「フッコール・アロマックス#3」)を配合して乳化物とし、これを、硫酸及び塩化ナトリウムにより凝固させてクラムを得た。次いで、このクラムを水洗後、熱風乾燥機で乾燥させ、油展ジエン系ゴム(表1のa〜j)を得た。
【0075】
上記のようにして得られた油展ジエン系ゴムを構成する単量体単位の含有量及びムーニー粘度を、以下に示す方法により測定し、その結果を表1に併記した。
(a)結合スチレン量(質量%);赤外吸収スペクトル法により検量線を作成して求めた。
(b)カルボキシル基を有する単量体結合量(質量%);ゴムをトルエンに溶解し、メタノ−ルで再沈殿させる操作を2回行って精製し、真空乾燥した後、ゴムをクロロホルムに溶解し、中和滴定により求めた。
(c)アミノ基及びニトリル基を有する単量体結合量(質量%);ゴムをトルエンに溶解し、メタノールにより再沈殿させる操作を2回行って精製し、真空乾燥した後、元素分析を行い、窒素含有量から算出した。
(d)ヒドロキシル基を有する単量体結合量(質量%);ゴムをトルエンに溶解し、メタノールで再沈殿させる操作を2回行って精製し、真空乾燥した後、270MHz H−NMRで測定した。
(e)ブチルアクリレート結合量(質量%);ゴムをトルエンに溶解し、メタノールで再沈殿させる操作を2回行って精製し、真空乾燥した後、270MHz 13C−NMRで測定した。
(f)アルコキシシリル基を有する単量体結合量(質量%);ゴムをトルエンに溶解し、メタノールで再沈殿させる操作を2回行って精製し、真空乾燥した後、270MHz H−NMRで測定した。
(g)ムーニー粘度[ML1+4(100℃)];JIS K6300−1994に準拠し、測定温度100℃、予熱1分、測定4分の条件で測定した。
【0076】
【表1】
Figure 2004285196
【0077】
1−2.非油展ジエン系ゴム
窒素置換した重合容器に、水200部、ロジン酸石鹸4.5部、ブタジエン及び表2に示す他の単量体の所定量(単量体の合計量は100部)、及びt−ドデシルメルカプタン0.3部(スチレン使用の場合)又は0.7部(スチレン不使用の場合)を仕込んだ。その後、重合容器の温度を5℃に設定し、重合開始剤としてのp−メンタンハイドロパーオキサイド0.1部、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム0.07部、硫酸第1鉄7水和物0.05部、及びソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.15部を添加して重合を開始した。重合転化率が60%に達した時点でジエチルヒドロキシルアミンを添加して重合を停止した。次いで、スチームストリッピングにより未反応単量体を回収して、固形分濃度21%のジエン系ゴムを含有する水系分散液を得た。
その後、この水系分散液を、硫酸及び塩化ナトリウムにより凝固させてクラムを得た。次いで、このクラムを水洗後、熱風乾燥機で乾燥させ、ジエン系ゴム(表2のk〜t)を得た。そして、上記油展ジエン系ゴムと同様にして、ジエン系ゴムの単量体単位量及びムーニー粘度を測定し、その結果を表2に併記した。
【0078】
【表2】
Figure 2004285196
【0079】
2.ジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造
上記で得られた油展ジエン系ゴムと、非油展ジエン系ゴムと、天然ゴムラテックス「NR」(フェルダーラバー社製、商品名「HA」、固形分62%)と、をそれぞれゴム成分の合計量を100部となるように用い、表3に示す5種類の複合体構成(i)〜(v)とするために、ゴム成分と、含有される各無機化合物との含有割合が表3に示す値になるように、ジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造を行った。例えば、表3の(i)の場合、ジエン系ゴム100部を含む油展ジエン系ゴム137.5部に対し、無機化合物30部を含有する複合体が製造されるように適宜調整した。
尚、無機化合物としては、以下に示すものを用いた。
(1)水酸化アルミニウム(ギブサイト);昭和電工社製、商品名「ハイジライトH−43M」、平均粒子径0.6μm、
(2)アルミナ一水和物(ベーマイト);コンデアジャパン社製、商品名「PURAL200」、平均粒子径0.14μm、
(3)γ−アルミナ;Baikowski社製、商品名「Baikalox CR125」、平均粒子径0.3μm、
(4)焼成クレー;J.M.HUBER社製、商品名「ポリフィル40」、平均粒子径1.2μm、
(5)カオリン;J.M.HUBER社製、商品名「ポリフィルDL」、平均粒子径1.0μm、
(6)水酸化マグネシウム;協和化学工業社製、商品名「キスマ5A」、平均粒子径0.8μm、
(7)酸化チタン(アナターゼ);石原産業社製、商品名「タイペークA−100」、平均粒子径0.15μm。
【0080】
【表3】
Figure 2004285196
【0081】
2−1.ホモミキサーによる方法
実施例1
表3に示した複合体構成(i)とするために、上記で得られた油展ジエン系ゴム137.5部(うち、ジエン系ゴム100部)を含む乳化物539部と、無機化合物として上記水酸化アルミニウム(ギブサイト)30部を水200部にホモミキサーを用いて分散させた分散液と、ロジン酸カリウム2部とを、25℃で攪拌混合した。
その後、得られた混合物に硫酸を加えて、混合分散液をpH4〜5に調整しながら、塩化ナトリウムにより凝固させクラムを形成させた。このクラムの大きさは、8mm以上であり、通常の乳化重合により製造されるスチレン・ブタジエンゴムからなるクラムの大きさと同等であった。
次いで、得られたクラムを水洗後、熱風乾燥機で乾燥させ、油展ジエン系ゴム・無機化合物複合体を得た(表5参照)。得られた複合体を、電気炉を用い、640℃で8時間加熱し灰化させ、灰分から算出される無機化合物の含有量は、ジエン系ゴム100部に対して無機化合物換算で30部であった。
尚、表5における「凝固クラム粒径」は、数平均粒子径が5mm以上である場合、「○」で示した。以下も同様である。
【0082】
実施例2〜40
表3に示した複合体構成(i)とするために、油展ジエン系ゴム及び無機化合物の種類を変え、上記実施例1と同様にして、油展ジエン系ゴム・無機化合物複合体を製造した。得られたクラムの大きさは、いずれも5mm以上であった。
【0083】
実施例136〜155
表3に示した複合体構成(iv)とするために、油展ジエン系ゴム及び無機化合物の種類を変え、上記実施例1と同様にして、油展ジエン系ゴム・無機化合物複合体を製造した。得られたクラムの大きさは、いずれも5mm以上であった。
【0084】
表3に示した複合体構成(i)において、水酸化アルミニウムを用いた実施例(1〜10)は、表5に、アルミナ一水和物を用いた実施例(11〜15)は、表6に、γ−アルミナを用いた実施例(16〜20)は、表7に、焼成クレーを用いた実施例(21〜25)は、表8に、カオリンを用いた実施例(26〜30)は、表9に、水酸化マグネシウムを用いた実施例(31〜35)は、表10に、酸化チタンを用いた実施例(36〜40)は、表11に示した。
また、表3に示した複合体構成(iv)において、水酸化アルミニウムを用いた実施例(136〜140)は、表24に、アルミナ一水和物を用いた実施例(141〜145)は、表25に、γ−アルミナを用いた実施例(146〜150)は、表26に、焼成クレーを用いた実施例(151〜155)は、表27に示した。
【0085】
比較例1
上記実施例1において、ロジン酸カリウムを未添加とした以外は同様にして油展ジエン系ゴム・無機化合物複合体を製造し、光散乱式粒径分布測定装置(堀場製作所社製)によりクラムの大きさを測定したところ、700μmであった。
【0086】
実施例71〜105、実施例116〜125、及び実施例166〜175
表3に示した複合体構成(ii)又は(iii)とするために、上記で得られた非油展ジエン系ゴム100部を含む水系分散液476部と、上記各無機化合物20部又は50部を水200部にホモミキサーを用いて分散させた分散液と、ロジン酸カリウム3部とを、25℃で攪拌混合した。
その後、得られた混合物に硫酸を加えて、混合分散液をpH4〜5に調整しながら、塩化ナトリウムにより凝固させクラムを形成させた。このクラムの平均粒子径は、5mm以上であり、通常の乳化重合により製造されるスチレン・ブタジエンゴムからなるクラムの大きさと同等であった。以下の操作は、上記実施例と同様にして行い、非油展ジエン系ゴム・無機化合物複合体を得た。得られた複合体を、電気炉を用い、640℃で8時間加熱し灰化させ、灰分から算出される無機化合物の含有量は、いずれもジエン系ゴム100部に対して無機化合物換算で20部又は50部であった。
表3に示した複合体構成(ii)において、水酸化アルミニウムを用いた実施例(71〜75)は、表13に、アルミナ一水和物を用いた実施例(76〜80)は、表14に、γ−アルミナを用いた実施例(81〜85)は、表15に、焼成クレーを用いた実施例(86〜90)は、表16に、カオリンを用いた実施例(91〜95)は、表17に、水酸化マグネシウムを用いた実施例(96〜100)は、表18に、酸化チタンを用いた実施例(101〜105)は、表19に示した。
表3に示した複合体構成(iii)において、水酸化アルミニウムを用いた実施例(116〜120)は、表21に、アルミナ一水和物を用いた実施例(121〜125)は、表22に示した。
また、表3に示した複合体構成(v)において、水酸化アルミニウムを用いた実施例(166〜170)は、表29に、アルミナ一水和物を用いた実施例(171〜175)は、表30に示した。
【0087】
2−2.in−situ (I)による方法
実施例41
表3に示した複合体構成(i)とするために、2.4%のアルミン酸ナトリウム水溶液(Al換算では0.9%)2570部に10%の硫酸380部を添加し、pH7に調整して水酸化アルミニウムを主成分とするアルミニウム含有スラリー溶液を得た。その後、ロジン酸カリウム3部を添加し、25℃で十分に攪拌した。次いで、この混合液と、ジエン系ゴム100部及びアロマオイル37.5部を含有する固形分濃度21%の乳化物と、を攪拌しながら混合し、クラムスラリーを生成させた。このクラムの大きさは、10mmであった。
得られたクラムを水洗後、熱風乾燥機で乾燥させ、油展ジエン系ゴム・無機化合物複合体を得た。得られた複合体の灰分から算出される無機化合物の導入量は、水酸化アルミニウム(Al(OH))換算において30部であった。
【0088】
実施例42〜50、実施例106〜110、実施例126〜130、実施例156〜160、及び実施例176〜180
表3に示した5種類の複合体構成(i)〜(v)とするために、油展ジエン系ゴム乳化液又は非油展ジエン系ゴムの水系分散液(それぞれジエン系ゴム100部を含むもの)を用い、上記実施例41と同様にして油展ジエン系ゴム・無機化合物複合体又は非油展ジエン系ゴム・無機化合物複合体を得た。
【0089】
表3に示した複合体構成(i)における実施例(41〜50)は、表12に、複合体構成(ii)における実施例(106〜110)は、表20に、複合体構成(iii)における実施例(126〜130)は、表23に、複合体構成(iv)における実施例(156〜160)は、表28に、複合体構成(v)における実施例(176〜180)は、表31に示した。
【0090】
比較例2
上記実施例41において、ロジン酸カリウムを未添加とした以外は同様にして油展ジエン系ゴム・無機化合物複合体を製造し、上記粒径分布測定装置によりクラムの大きさを測定したところ、320μmであった。
【0091】
2−3.in−situ (II)による方法
実施例51
表3に示した複合体構成(i)とするために、2.4%のアルミン酸ナトリウム水溶液(Al換算では0.9%)2570部に10%の硫酸380部を添加し、pH7に調整して水酸化アルミニウムを主成分とするアルミニウム含有スラリー溶液を得た。その後、ジエン系ゴム100部及びアロマオイル37.5部を含有する固形分濃度21%の乳化物の所定量の30%を、25℃で攪拌しながら、上記アルミニウム含有スラリー溶液と混合し、ジエン系ゴム・無機化合物複合体スラリーを生成させた。次いで、ロジン酸カリウム3部、及び、先の残りの70%を添加、更に混合してクラムを生成させた。このクラムの大きさは9mmであった。得られたクラムを上記実施例と同様に処理し、油展ジエン系ゴム・無機化合物複合体を得た(表12参照)。
【0092】
実施例52〜60
表1に示す油展ジエン系b〜jを含有する乳化液(ジエン系ゴム100部を含むもの)を用い、上記実施例51と同様にして油展ジエン系ゴム・無機化合物複合体を得た(表12参照)。
【0093】
比較例3
上記実施例51において、ロジン酸カリウムを未添加とした以外は同様にして油展ジエン系ゴム・無機化合物複合体を製造し、上記粒径分布測定装置によりクラムの大きさを測定したところ、280μmであった。
【0094】
2−4.in−situ (III)による方法
実施例61
表3に示した複合体構成(i)とするために、3.4%の硫酸アルミニウム水溶液(Al換算では0.9%)2660部に水酸化ナトリウム95部を添加してpH14に調整した水溶液に、10%硫酸500部を添加し、pH7に調整して水酸化アルミニウムを主成分とするアルミニウム含有スラリー溶液を得た。その後、ロジン酸カリウム3部を添加し、25℃で十分に攪拌した。次いで、この混合液と、ジエン系ゴム100部及びアロマオイル37.5部を含有する固形分濃度21%の乳化物と、を攪拌しながら混合し、クラムスラリーを生成させた。このクラムの大きさは、8mmであった。得られたクラムを上記実施例と同様に処理し、油展ジエン系ゴム・無機化合物複合体を得た(表12参照)。
【0095】
実施例62〜70、実施例111〜115、実施例131〜135、実施例161〜165、及び実施例181〜185
表3に示した5種類の複合体構成(i)〜(v)とするために、油展ジエン系ゴム乳化液又は非油展ジエン系ゴムの水系分散液(それぞれジエン系ゴム100部を含むもの)を用い、上記実施例61と同様にして油展ジエン系ゴム・無機化合物複合体又は非油展ジエン系ゴム・無機化合物複合体を得た。
【0096】
表3に示した複合体構成(i)における実施例(61〜70)は、表12に、複合体構成(ii)における実施例(111〜115)は、表20に、複合体構成(iii)における実施例(131〜135)は、表23に、複合体構成(iv)における実施例(161〜165)は、表28に、複合体構成(v)における実施例(181〜185)は、表31に示した。
【0097】
比較例4
上記実施例61において、ロジン酸カリウムを未添加とした以外は同様にして油展ジエン系ゴム・無機化合物複合体を製造し、上記粒径分布測定装置によりクラムの大きさを測定したところ、250μmであった。
【0098】
3.ゴム組成物の調製
上記実施例1〜185において製造された複合体と、以下に示す配合剤とを用い、表4の配合処方A〜E、及び以下に説明する2段階の混練工程に従ってゴム組成物を得た。尚、表4における「無機化合物」は、複合体に含有される各種無機化合物を意味する。
(1)「N339」;東海カーボン社製カーボンブラック、商品名「シーストKH」、
(2)「シリカ」;日本シリカ工業社製シリカ、商品名「ニプシルAQ」、
(3)「アロマオイル」;富士興産社製、商品名「フッコール.アロマックス#3」、
(4)「ステアリン酸」;花王社製、商品名「ルナックS−30」、
(5)「6C」;N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製老化防止剤、商品名「ノクラック6C」、
(6)「Si69」;ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、デグサ社製シランカップリング剤、商品名「Si69」、
(7)「DPG」;ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製加硫促進剤、商品名「ノクセラーD」、
(8)「DM」;ジベンゾチアジルスルフィド、大内新興化学工業社製加硫促進剤、商品名「ノクセラーDM」、
(9)「NS」;N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製加硫促進剤、商品名「ノクセラーNS−F」。
【0099】
(第1段階の混練方法)
表4に示す配合処方により、1段目の配合剤を混練装置(東洋精機社製、商品名「ラボプラストミル」)により、最高温度160℃で混練した。
(第2段階の混練方法)
上記で得られた混練物に、2段目の配合剤を添加し、上記装置により混練した。但し、混練時の最高温度を100℃とした。
【0100】
また、比較例5〜119として、油展ジエン系ゴムa〜j又は非油展ジエン系ゴムk〜tと、市販の水酸化アルミニウム粉末(昭和電工社製、商品名「ハイジライトH−43M」、平均粒径0.6μm)とを用いて表6の配合処方に従い、ドライブレンドにより調製したゴム組成物を得た。
【0101】
【表4】
Figure 2004285196
【0102】
4.性能評価
上記で得られたゴム組成物を160℃で15分間熱処理を行い、加硫物を得た。この加硫物を測定試料として、以下の性能評価を行った。
(1)T;JIS K6251−1993に準拠し、3号型試験片を用い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張強度を測定した。単位はMPaである。
(2)耐摩耗性;ランボーン型摩耗試験機を使用し、スリップ率が25%での摩耗量を算出した。測定温度は25℃、摩耗量の逆数を、同系列の比較例を100として指数表示をした。指数が大きいほど耐摩耗性は良好である。
【0103】
以上の結果を表5〜表31に示す。
表4の配合処方Aにおいて、無機化合物として、水酸化アルミニウムを用いた実施例(1〜10及び41〜70)は、表5及び表12に、アルミナ一水和物を用いた実施例(11〜15)は、表6に、γ−アルミナを用いた実施例(16〜20)は、表7に、焼成クレーを用いた実施例(21〜25)は、表8に、カオリンを用いた実施例(26〜30)は、表9に、水酸化マグネシウムを用いた実施例(31〜35)は、表10に、酸化チタンを用いた実施例(36〜40)は、表11に示した。
表4の配合処方Bにおいて、無機化合物として、水酸化アルミニウムを用いた実施例(71〜75及び106〜115)は、表13及び表20に、アルミナ一水和物を用いた実施例(76〜80)は、表14に、γ−アルミナを用いた実施例(81〜85)は、表15に、焼成クレーを用いた実施例(86〜90)は、表16に、カオリンを用いた実施例(91〜95)は、表17に、水酸化マグネシウムを用いた実施例(96〜100)は、表18に、酸化チタンを用いた実施例(101〜105)は、表19に示した。
表4の配合処方Cにおいて、無機化合物として、水酸化アルミニウムを用いた実施例(116〜120及び126〜135)は、表21及び表23に、アルミナ一水和物を用いた実施例(121〜125)は、表22に示した。
表4の配合処方Dにおいて、無機化合物として、水酸化アルミニウムを用いた実施例(136〜140及び156〜165)は、表24及び表28に、アルミナ一水和物を用いた実施例(141〜145)は、表25に、γ−アルミナを用いた実施例(146〜150)は、表26に、焼成クレーを用いた実施例(151〜155)は、表27に示した。
また、表4の配合処方Eにおいて、水酸化アルミニウムを用いた実施例(166〜170及び176〜185)は、表29及び表31に、アルミナ一水和物を用いた実施例(171〜175)は、表30に示した。
【0104】
【表5】
Figure 2004285196
【0105】
【表6】
Figure 2004285196
【0106】
【表7】
Figure 2004285196
【0107】
【表8】
Figure 2004285196
【0108】
【表9】
Figure 2004285196
【0109】
【表10】
Figure 2004285196
【0110】
【表11】
Figure 2004285196
【0111】
【表12】
Figure 2004285196
【0112】
【表13】
Figure 2004285196
【0113】
【表14】
Figure 2004285196
【0114】
【表15】
Figure 2004285196
【0115】
【表16】
Figure 2004285196
【0116】
【表17】
Figure 2004285196
【0117】
【表18】
Figure 2004285196
【0118】
【表19】
Figure 2004285196
【0119】
【表20】
Figure 2004285196
【0120】
【表21】
Figure 2004285196
【0121】
【表22】
Figure 2004285196
【0122】
【表23】
Figure 2004285196
【0123】
【表24】
Figure 2004285196
【0124】
【表25】
Figure 2004285196
【0125】
【表26】
Figure 2004285196
【0126】
【表27】
Figure 2004285196
【0127】
【表28】
Figure 2004285196
【0128】
【表29】
Figure 2004285196
【0129】
【表30】
Figure 2004285196
【0130】
【表31】
Figure 2004285196
【0131】
4.実施例の効果
4−1.ジエン系ゴム・無機化合物複合体の大きさについて
表5〜表31より、ホモミキサーを用いた製造方法によっても、in−situ (I)、(II)及び(III)による方法によっても、各種無機化合物の分散性が高く、平均粒子径が5mm以上のクラムを得ることができた。
【0132】
4−2.加硫ゴムの性能評価について
表5〜表31に示した評価結果をまとめたものを表32〜34に示した。これらの表より、対応する比較例と比べて、本実施例の場合は、いずれも、無機化合物の分散性の高い複合体を用いているために、T値(引張強度)が高く、耐摩耗性に優れることが分かる。
【0133】
【表32】
Figure 2004285196
【0134】
【表33】
Figure 2004285196
【0135】
【表34】
Figure 2004285196

Claims (12)

  1. ジエン系ゴムと下記一般式(I)で表される無機化合物とを含む複合体の製造方法であって、
    上記無機化合物及び/又は該無機化合物を形成可能な物質と、アニオン性化合物と、上記ジエン系ゴムの水系分散液とを混合する工程を備えることを特徴とするジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
    wM・xSiO・zHO (I)
    (式中、Mは、Al、Mg、Ti及びCaから選ばれる少なくとも1種の金属元素、金属酸化物又は金属水酸化物であり、w、x、y及びzはそれぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。)
  2. 上記無機化合物を形成可能な物質は、金属塩、金属のオキソ酸塩及び有機金属化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
  3. 上記アニオン性化合物が、カルボキシル基を有する化合物である請求項1又は2に記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
  4. 上記カルボキシル基を有する化合物が、ロジン酸塩及び脂肪酸塩から選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
  5. 上記ジエン系ゴムの水系分散液は、乳化重合によって合成されたジエン系ゴムラテックスである上記1乃至4のいずれかに記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
  6. 上記により得られる混合液より、金属塩を含む電解液を用いて、ジエン系ゴムと上記無機化合物とを共凝固させ、その後これをろ別し、次いで乾燥する工程を備える請求項1乃至5のいずれかに記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
  7. 上記ジエン系ゴムは、ヘテロ原子を含有する極性基を有するジエン系ゴムである請求項1乃至6のいずれかに記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
  8. 上記極性基は、ヒドロキシル基、オキシ基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、イミノ基、アミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、及びジアゾ基から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
  9. 上記一般式(I)で表される無機化合物が、下記一般式(II)で表される無機化合物である請求項1乃至8のいずれかに記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
    Al・mSiO・nHO (II)
    (式中、mは0〜4の整数であり、nは0〜4の整数である。)
  10. 上記金属塩、金属のオキソ酸塩又は有機金属化合物を構成する金属は、アルミニウムである請求項2乃至10のいずれかに記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
  11. 上記により得られる混合液に、更に、ジエン系ゴムの水系分散液を混合する工程を備える請求項1乃至10のいずれかに記載のジエン系ゴム・無機化合物複合体の製造方法。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とするジエン系ゴム・無機化合物複合体。
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