JP2004285179A - 制振材料用樹脂組成物及び制振材料 - Google Patents

制振材料用樹脂組成物及び制振材料 Download PDF

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Hideki Inoue
秀樹 井上
Yoshinobu Suenaga
義伸 末永
Takeo Morikawa
岳生 森川
Masanori Shimada
昌紀 島田
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】本発明は、高い制振性を有し、透明性、耐候性に優れた制振材料用樹脂組成物及び制振材料を提供する。
【解決手段】20〜70重量%の塩素基を側鎖に有し、重量平均分子量が40万以上である熱可塑性樹脂100重量部と、塩素化パラフィン200〜1000重量部とからなり、該塩素化パラフィンは、塩素含有量が30〜75重量%であり、平均炭素数が20〜50である塩素化パラフィン(A)50〜990重量部と、塩素含有量が30〜75重量%であり、平均炭素数が12〜19である塩素化パラフィン(B)10〜950重量部とからなることを特徴とする制振材料用樹脂組成物及びそれから製造された制振材料。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅、マンション、オフィスビル等の住宅建造物、高速道路、高架橋、鉄道軌道等の各種構造物や、自動車、鉄道車両、船舶等の各種車両、更には家庭電気機器、OA機器等において発生する振動や騒音を低減するために好適に使用される制振材料用樹脂組成物及び制振材料に関し、特に透明性、耐候性が要求される材料、例えば窓ガラスや防音壁等に適用される制振材料用樹脂組成物及び制振材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、制振性の指標として、材料の貯蔵弾性係数(E’)で損失弾性係数(E”)を除した損失正接(tanδ=E”/E’)が使用されており、損失正接が大きいほど材料は振動吸収性に優れているといえる。一般に、この損失正接(tanδ)の値が1を越えると優れた制振材料とされるが、更なる制振性の向上が望まれており、損失正接(tanδ)の高い材料が望まれている。
【0003】
上記制振材料としては種々な材料が提案されており、例えば、塩素化ポリエチレン、ニトリルブタジエンゴム等の極性側鎖を有するベースポリマー材料に、塩素化パラフィン、スルフェンアミド系誘電体物質、液状ゴム等を配合してなる高減衰材料組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかし、上記高減衰材料組成物から製造された減衰材料の損失正接(tanδ)は、1.3〜2.8であり、必ずしも充分な制振性を発揮できるものではなかった。
【0005】
又、損失正接(tanδ)を向上するために、塩素化パラフィン、スルフェンアミド系誘電体物質、液状ゴム等の配合量を増加すると、得られた制振材料の機械的強度が不充分となり、例えば、シート状制振材料としての形状を自己保持することが困難となることがあった。
【0006】
又、塩素系高分子材料と塩素化パラフィンとロジン系化合物よりなる制振シートの両面に透明硬質部材を積層した透明防音体が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
しかし、上記透明防音体は損失正接(tanδ)及び初期透明性は優れているが、屋外用途で長期に使用すると透明性が悪化してしまうという問題点があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−80562号公報
【特許文献2】
特開2002−234095号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の制振材料の問題点に鑑み、高い制振性を有し、透明性、耐候性に優れた制振材料用樹脂組成物及び制振材料を提供することにあり、具体的には、損失正接の値が2.5を越えるレベルの制振性を有し、透明性が優れ、耐候劣化による透明性の低下の少ない制振材料用樹脂組成物及び制振材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の制振材料用樹脂組成物は、20〜70重量%の塩素基を側鎖に有し、重量平均分子量が40万以上である熱可塑性樹脂100重量部と、塩素含有量が30〜75重量%であり、平均炭素数が20〜50である塩素化パラフィン200〜1000重量部とからなることを特徴とする。
【0011】
上記熱可塑性樹脂は、20〜70重量%の塩素基を側鎖に有し、重量平均分子量が40万以上である熱可塑性樹脂である。
【0012】
上記熱可塑性樹脂が側鎖に有する塩素基の含有量は、20重量%未満になると、熱可塑性樹脂が結晶化し易くなるため、貯蔵弾性係数(E’)が大きくなり、損失正接(tanδ)が小さくなって制振性が低下なる。又、塩素基の含有量が70重量%を越えると、分子間力が強くなりすぎて、貯蔵弾性係数(E’)が大きくなり、損失正接(tanδ)が小さくなって制振性が低下するので、20〜70重量%であり、好ましくは、30〜50重量%である。
【0013】
上記熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、40万未満であると、シート状、フィルム状等の制振材料として成形した際に、その形状を自己保持することが困難にななるので40万以上である。又、重量平均分子量の上限は、特には認められないが、1000万を越えると成形性が低下し制振材料の作成が困難になるので1000万以下が好ましい。
【0014】
上記熱可塑性樹脂は、塩素基の他に、塩素基以外の置換基が置換されていてもよい。塩素基以外の置換基としては、例えば、シアノ基、水酸基、アセチル基、メチル基、エチル基、臭素基、フッ素基等が挙げられる。尚、これら塩素基以外の置換基の含有量は、多すぎると制振性が不充分になることがあるので5重量%以下であることが好ましい。
【0015】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、塩素化エチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩素含有熱可塑性樹脂が挙げられ、塩素化エチレン樹脂が好適に使用される。
【0016】
上記塩素化パラフィンは、塩素含有量が30〜75重量%であり、平均炭素数が20〜50である塩素化パラフィンである。
【0017】
上記塩素化パラフィンの塩素含有量は、少なくなりすぎても多くなりすぎても前記熱可塑性樹脂との相溶性が悪くなり制振性が低下するので30〜75重量%である。
【0018】
上記塩素化パラフィンの平均炭素数は、20未満になると、屋外で使用すると紫外線等により塩素化パラフィンのブリードや凝集が発生しやすくなり、耐候劣化後の透明性が低下し、平均炭素数が50を越えると粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難になるので、20〜50であり、好ましくは25〜35である。
【0019】
上記塩素化パラフィンは、単独で用いられてもよく、又、上記の範囲内で塩素含有量又は炭素数が異なる2種以上の塩素化パラフィンが併用されてもよい。
【0020】
上記制振材料用樹脂組成物は、塩素化パラフィンの添加量が200重量部未満であると、損失正接(tanδ)の高い、優れた制振性が得られず、又、1000重量部を越えると、シート状、フィルム状等の制振材料として成形した際に、その形状を自己保持することが難しくなるので、塩素化パラフィンの添加量は熱可塑性樹脂100重量部に対し、200〜1000重量部であり、好ましくは400〜800重量部である。
【0021】
請求項2記載の制振材料用樹脂組成物は、20〜70重量%の塩素基を側鎖に有し、重量平均分子量が40万以上である熱可塑性樹脂100重量部と、塩素化パラフィン200〜1000重量部とからなり、該塩素化パラフィンは、塩素含有量が30〜75重量%であり、平均炭素数が20〜50である塩素化パラフィン(A)50〜990重量部と、塩素含有量が30〜75重量%であり、平均炭素数が12〜19である塩素化パラフィン(B)10〜950重量部とからなることを特徴とする。
【0022】
上記熱可塑性樹脂及び塩素化パラフィン(A)は、前述の熱可塑性樹脂及び塩素化パラフィンと同一である。
【0023】
塩素化パラフィン(A)の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し50重量部未満であると、屋外で使用すると紫外線等によるブリードや可塑剤の凝集を防止する効果が小さくなり、又、990重量部を越えると、シート状、フィルム状等の制振材料として成形した際に、その形状を自己保持することが難しくなるので、50〜990重量部であり、好ましくは100〜950重量部、より好ましくは150〜900重量部である。
【0024】
上記塩素化パラフィン(B)は、塩素含有量が30〜75重量%であり、平均炭素数が12〜19である塩素化パラフィンである。
【0025】
上記塩素化パラフィン(B)の塩素含有量は、少なくなりすぎても多くなりすぎても前記熱可塑性樹脂との相溶性が悪くなり制振性が低下するので30〜75重量%である。
【0026】
上記塩素化パラフィン(B)の平均炭素数は、12未満になると、ブリードしやすく経時的に制振性能が低下し、屋外で使用すると紫外線等によりブリードや可塑剤の凝集が発生しやすく耐候劣化後の透明性が低下しやくなり、又、塩素化パラフィン(A)と併用してもこれらの欠点を解消できなくなるので12〜19である。
【0027】
上記塩素化パラフィン(B)は、単独で用いられてもよく、又、上記の範囲内で塩素含有量又は平均炭素数が異なる2種以上の塩素化パラフィンが併用されてもよい。
【0028】
又、塩素化パラフィン(B)の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し10重量部未満になると、制振材料用樹脂組成物の粘度を低下し混練加工をしやすくする効果がなくなり、950重量部を越えると、屋外で使用すると紫外線等によりブリードや可塑剤の凝集が発生しやすく耐候劣化後の透明性が低下しやくなるので、10〜950重量部であり、好ましくは20〜700重量部であり、より好ましくは30〜650重量部ある。
【0029】
そして、塩素化パラフィン(A)と塩素化パラフィン(B)の合計添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、200重量部未満であると、損失正接(tanδ)の高い、優れた制振性が得られず、又、1000重量部を越えると、シート状、フィルム状等の制振材料として成形した際に、その形状を自己保持することが難しくなるので、200〜1000重量部であり、好ましくは400〜800重量部である。
【0030】
又、上記請求項1及び請求項2記載の制振材料用樹脂組成物において、上記熱可塑性樹脂の有する塩素基の含有量と塩素化パラフィンの塩素含有量との差が大きくなると熱可塑性樹脂と塩素化パラフィンとの相溶性が低下するので、熱可塑性樹脂の有する塩素基の含有量と塩素化パラフィンの塩素含有量との差の絶対値[|(熱可塑性樹脂の塩素基の含有量)−(塩素化パラフィンの塩素含有量)|]は20重量%以下であることが好ましく、より好ましくは15重量%以下である。
【0031】
請求項3記載の制振材料用樹脂組成物は、請求項1又は2記載の制振材料用樹脂組成物に、更に、上記熱可塑性樹脂100重量部に対し、(a)有機錫系安定剤0.10〜100重量部、(b)フェノール系酸化防止剤0.01〜30重量部又は(c)ヒンダードアミン系光安定剤0.01〜30重量部の、いずれか一つ以上が添加されていることを特徴とする制振材料用樹脂組成物である。
【0032】
上記有機錫系安定剤(a)は、熱可塑性樹脂の成形の際の熱安定剤として一般に使用されている有機錫系安定剤であれば、特に限定されず、例えば、ジアルキル錫マレート、ジアルキル錫ビス(モノアルキルマレート)、ジブチル錫マレートポリマー、ジアルキル錫ラウレート、ジアルキル錫メルカプト、ジアルキル錫ビス(メルカプト脂肪酸エステル)、ジアルキル錫サルファイド、ジオクチル錫マレートポリマー等が挙げられ、耐候性があまり優れていない錫メルカプト系安定剤以外の安定剤が好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0033】
上記有機錫安定剤の添加量は、0.1重量部未満であると耐候劣化防止の機能が充分に発現せず、100重量部より多いと有機錫安定剤のブリードや安定剤成分自身による着色により透明性が低下するので、上記熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.1〜100重量部であり、好ましくは0.5〜30重量部である。
【0034】
上記フェノール系酸化防止剤(b)は、熱可塑性樹脂の成形の際に一般に使用されているフェノール系酸化防止剤であれば、特に限定されず、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル) プロピオネート]等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0035】
上記フェノール系酸化防止剤の添加量は、0.01重量部未満であると耐候劣化防止の機能が充分に発現せず、30重量部より多いとフェノール系酸化防止剤自身により透明性が低下するため、上記熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.01〜30重量部であり、好ましくは0.05〜15重量部である。
【0036】
上記ヒンダードアミン系光安定剤(c)は、熱可塑性樹脂の成形の際に一般に使用されているヒンダードアミン系光安定剤であれば、特に限定されなず、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、デカン二酸(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル) エステルと1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0037】
上記ヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、0.01重量部未満であると耐候劣化防止の機能が充分に発現せず、30重量部より多いとヒンダードアミン系光安定剤自身により透明性が低下するので、上記熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.01〜30重量部であり、好ましくは0.05〜15重量部である。
【0038】
上記有機錫系安定剤(a)、フェノール系酸化防止剤(b)及びヒンダードアミン系光安定剤(c)はそれぞれ単独で添加されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0039】
上記請求項1、請求項2及び請求項3記載の制振材料用樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、成形性、安定性、制振性などを向上させる目的で、例えば、金属石鹸等熱安定剤、ベンゾフェノン系、トリアゾール系等の紫外線吸収剤等が添加されてもよい。
【0040】
請求項4記載の制振材料は、請求項1、請求項2又は請求項3記載の制振材料用樹脂組成物から製造されてなることを特徴とする。
【0041】
上記制振材料用樹脂組成物から制振材料を製造する方法は従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば押出成形法、プレス成型法、ロール成型法、射出成型法等があげられる。
【0042】
又、制振材料の形状は特に限定されず、住宅、マンション、オフィスビル等の住宅建造物、高速道路、高架橋、鉄道軌道等の各種構造物、自動車、鉄道車両、船舶等の各種車両、家庭電気機器、OA機器等において一般に使用されている形状であればよく、例えば、シート状、テープ状、フィルム状、棒状等の形状があげられる。
【0043】
又、これらの制振材料は単層のみならず複層構成、若しくは本発明の効果を損なわない限り部分的に用いられた構成であってもよい。更に、ポリカーボネート板、塩化ビニル樹脂板、アクリル板、ガラス板等に積層されてもよい。
【0044】
【作用】
請求項1記載の制振材料用樹脂組成物は、20〜70重量%の塩素基を側鎖に有し、重量平均分子量が40万以上である熱可塑性樹脂100重量部と、塩素含有量が30〜75重量%であり、平均炭素数が20〜50である塩素化パラフィン200〜1000重量部とからなることを特徴とするので、この制振材料用樹脂組成物から製造された制振材料は、制振材料としての形状を保持しながら、且つ熱可塑性樹脂の内部回転により振動エネルギーを熱エネルギーに効率よく変換することができ高い制振性を有している。又、透明性が優れており且つ屋外で使用しても紫外線等により塩素化パラフィンのブリードや凝集が発生しにくく透明性が低下しにくい。
【0045】
又、請求項2記載の制振材料用樹脂組成物は、20〜70重量%の塩素基を側鎖に有し、重量平均分子量が40万以上である熱可塑性樹脂100重量部と、塩素化パラフィン200〜1000重量部とからなり、該塩素化パラフィンは、塩素含有量が30〜75重量%であり、平均炭素数が20〜50である塩素化パラフィン(A)50〜990重量部と、塩素含有量が30〜75重量%であり、平均炭素数が12〜19である塩素化パラフィン(B)10〜950重量部とからなることを特徴とするので、この制振材料用樹脂組成物から製造された制振材料は、高い制振性を有しており、透明性が優れており且つ平均炭素数が20〜50である塩素化パラフィン(A)の効果で、屋外で使用しても紫外線等により塩素化パラフィンのブリードや凝集が発生しにくく、透明性が低下しにくく、平均炭素数が12〜19である塩素化パラフィン(B)の効果で加工性等も良好である。
【0046】
又、請求項3記載の制振材料用樹脂組成物は、請求項1又は2記載の制振材料用樹脂組成物に、更に、上記熱可塑性樹脂100重量部に対し、(a)有機錫系安定剤0.10〜100重量部、(b)フェノール系酸化防止剤0.01〜30重量部、(c)ヒンダードアミン系光安定剤0.01〜30重量部の、いずれか一つ以上が添加されていることを特徴とするので、この制振材料用樹脂組成物から製造された制振材料は、請求項1又は請求項2記載の制振材料用樹脂組成物から製造された制振材料の性能に加えて、さらに優れた透明性、耐候性を有している。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例および比較例を示すことにより、本発明を具体的に説明する。尚、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
【0048】
実施例で使用した塩素化エチレン樹脂は下記の通りである。
(1)塩素化エチレン樹脂a 高密度エチレン樹脂を水懸濁法にて後塩素化して作製した塩素化エチレン樹脂、重量平均分子量50万、塩素基の含有量45重量%
【0049】
(2)塩素化エチレン樹脂b 高密度エチレン樹脂を水懸濁法にて後塩素化して作製した塩素化エチレン樹脂、重量平均分子量50万、塩素基の含有量40重量%
【0050】
又、実施例で使用した塩素化パラフィンは下記の通りである。
(1)塩素化パラフィンa 塩素含有量50重量%、平均炭素数=26、味の素ファインケミカル社製、商品名「エンパラ50」
【0051】
(2)塩素化パラフィンb 塩素含有量50重量%、平均炭素数=14(炭素数12〜50のものを99重量%以上含む)、味の素ファインケミカル社製、商品名「エンパラK50」
【0052】
(3)塩素化パラフィンc 塩素含有量70重量%、平均炭素数=26(炭素数12〜50のものを99重量%以上含む)、味の素ファインケミカル社製、商品名「エンパラ70」
【0053】
又、実施例で使用した有機錫系安定剤はジアルキル錫マレート(三共有機社製、商品名「STANN−RC−680B」)であり、フェノール系酸化防止剤はペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティケニカルズ社製、商品名「IRUGANOX1010」)であり、ヒンダードアミン系光安定剤はデカン二酸(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル) エステルと1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物(チバ・スペシャルティケニカルズ社製、商品名「TINUVIN123」)である。
【0054】
(実施例1)
塩素化エチレン樹脂a100重量部と塩素化パラフィンa400重量部よりなる樹脂組成物をロール練り機に供給し、100℃で混練し、得られた制振材料用樹脂組成物を120℃でプレス成形して、厚さ1000μmと3000μmのシート状制振材料を作成た。
【0055】
得られた厚さ3000μmのシート状制振材料を2枚のポリカーボネート板(帝人化成社製、商品名「PC−1111」厚さ2mm) の間に挟み、90℃でプレスして厚さ5mmの三層板を作成した。(ポリカーボネート板層2mm、制振材料層1mm、ポリカーボネート板層2mm)
【0056】
(実施例2)
塩素化エチレン樹脂b100重量部、塩素化パラフィンb200重量部及び塩素化パラフィンc300重量部よりなる樹脂組成物をロール練り機に供給し、100℃で混練し、得られた制振材料用樹脂組成物を120℃でプレス成形して、厚さ1000μmと3000μmのシート状制振材料を作成した。
【0057】
得られた厚さ3000μmのシート状制振材料を2枚のポリカーボネート板(帝人化成社製、商品名「PC−1111」厚さ2mm) の間に挟み、90℃でプレスして厚さ5mmの三層板を作成した。
【0058】
(実施例3)
塩素化エチレン樹脂a100重量部、塩素化パラフィンb200重量部及び塩素化パラフィンc100重量部よりなる樹脂組成物をロール練り機に供給し、100℃で混練し、得られた制振材料用樹脂組成物を120℃でプレス成形して、厚さ1000μmと3000μmのシート状制振材料を作成した。
【0059】
得られた厚さ3000μmのシート状制振材料を2枚のポリカーボネート板(帝人化成社製、商品名「PC−1111」厚さ2mm) の間に挟み、90℃でプレスして厚さ5mmの三層板を作成した。
【0060】
(実施例4)
塩素化エチレン樹脂a100重量部、塩素化パラフィンa400重量部及び有機錫安定剤15重量部よりなる樹脂組成物を用い実施例1で行ったと同様にしてシート状制振材料を作成し、厚さ5mmの三層板を作成した。
【0061】
(実施例5)
塩素化エチレン樹脂a100重量部、塩素化パラフィンa400重量部、有機錫安定剤15重量部及びフェノール系酸化防止剤5重量部よりなる樹脂組成物を用い実施例1で行ったと同様にしてシート状制振材料を作成し、厚さ5mmの三層板を作成した。
【0062】
(実施例6)
塩素化エチレン樹脂a100重量部、塩素化パラフィンa400重量部、有機錫安定剤15重量部、フェノール系酸化防止剤5重量部及びヒンダードアミン系光安定剤5重量部よりなる樹脂組成物を用い実施例1で行ったと同様にしてシート状制振材料を作成し、厚さ5mmの三層板を作成した。
【0063】
(比較例1)
塩素化パラフィンaに変えて塩素化パラフィンbを使用した以外は実施例1で行ったと同様にしてシート状制振材料を作成し、厚さ5mmの三層板を作成した。
【0064】
(比較例2)
塩素化パラフィンbの添加量を300重量部とし、塩素化パラフィンcを添加しない以外は実施例2で行ったと同様にしてシート状制振材料を作成し、厚さ5mmの三層板を作成した。
【0065】
(比較例3)
塩素化パラフィンbの添加量を400重量部とし、塩素化パラフィンcの添加量を5重量部とした以外は実施例2で行ったと同様にしてシート状制振材料を作成し、厚さ5mmの三層板を作成した。
【0066】
上記実施例及び比較例で得られたシート状制振材料及び三層板を用いて、透明耐候性及び損失正接(tanδ)のピーク値を以下の方法で評価した。評価結果は表1に示した。
【0067】
(1)透明耐候性
得られた三層板を、メタルウェザー耐候性評価試験器(ダイプラウィンテス社製)に供給して、BP温度50℃、照射強度48mW/cm 、シャワー無し、150時間連続照射後取り出しの条件で耐候劣化促進試験を行った。
【0068】
照射前と照射後の三層板のヘイズ(%)及び全光線透過率(%)をヘイズメーターNDH2000(日本電色工業社製)で測定し、ヘイズの変化と全光線透過率の変化を評価した。又、照射前と照射後の三層板の黄色度をハンディ色差計NR−3000(日本電色工業社製)で測定し、黄色度の変化を評価した。
【0069】
尚、ヘイズの変化、全光線透過率及び黄色度の変化は下記式で求めた。
・ヘイズの変化(%)=照射後のヘイズ(%)−照射前のヘイズ(%)
・全光線透過率の変化(%)=照射前の全光線透過率(%)−照射後の全光線透過率(%)
・黄色度の変化(ΔYi)=照射後の黄色度−照射前の黄色度
【0070】
(2)損失正接
得られた厚さ1000μmのシート状制振材料を、粘弾性スペクトロメータ(岩本製作所社製)に供給し、測定周波数50Hz、試料長15mm、歪み量20μmの条件で、測定温度−50〜50℃の範囲で昇温速度3℃/分にて測定を行った。得られた損失引張弾性率(E”)を貯蔵引張弾性率(E’)で除することによって損失正接(tanδ)を算出し、そのピーク値を求めた。
【0071】
【表1】
Figure 2004285179
【0072】
表1から明らかなように、本発明の実施例においては、耐候劣化後も透明性を保持すると共に、損失正接(tanδ)が2.5以上の高い値を示すことが判る。これに対し、比較例では、耐候劣化後の透明性が著しく低下している事が判る。
【0073】
【発明の効果】
請求項1記載の制振材料用樹脂組成物は、20〜70重量%の塩素基を側鎖に有し、重量平均分子量が40万以上である熱可塑性樹脂100重量部と、塩素含有量が30〜75重量%であり、平均炭素数が20〜50である塩素化パラフィン200〜1000重量部とからなることを特徴とするので、この制振材料用樹脂組成物から製造された制振材料は、高い制振性を有しており、透明性が優れており且つ屋外で使用しても紫外線等によりブリードや可塑剤の凝集が発生しにくく透明性が低下しにくい。
【0074】
又、請求項2記載の制振材料用樹脂組成物は、20〜70重量%の塩素基を側鎖に有し、重量平均分子量が40万以上である熱可塑性樹脂100重量部と、塩素化パラフィン200〜1000重量部とからなり、該塩素化パラフィンは、塩素含有量が30〜75重量%であり、平均炭素数が20〜50である塩素化パラフィン(A)50〜990重量部と、塩素含有量が30〜75重量%であり、平均炭素数が12〜19である塩素化パラフィン(B)10〜950重量部とからなることを特徴とするので、この制振材料用樹脂組成物から製造された制振材料は、高い制振性を有しており、透明性が優れており且つ平均炭素数が20〜50である塩素化パラフィン(A)の効果で屋外で使用しても紫外線等によりブリードや可塑剤の凝集が発生しにくく透明性が低下しにくく、平均炭素数が12〜19である塩素化パラフィン(B)の効果で加工性等も良好である。
【0075】
又、請求項3記載の制振材料用樹脂組成物は、請求項1又は2記載の制振材料用樹脂組成物に、更に、上記熱可塑性樹脂100重量部に対し、(a)有機錫系安定剤0.10〜100重量部、(b)フェノール系酸化防止剤0.01〜30重量部、(c)ヒンダードアミン系光安定剤0.01〜30重量部の、いずれか一つ以上が添加されていることを特徴とするので、この制振材料用樹脂組成物から製造された制振材料は、請求項1又は請求項2記載の制振材料用樹脂組成物から製造された制振材料の性能に加えて、さらに優れた透明性、耐候性を有している。
【0076】
請求項4記載の制振材料は、請求項1、請求項2又は請求項3記載の制振材料用樹脂組成物から製造されてなることを特徴とするから、損失正接の値が2.5を越えるレベルの高い制振性を有しており、透明性及び屋外で使用しても紫外線等によりブリードや可塑剤の凝集が発生しにくく透明耐候性が優れており、住宅、マンション、オフィスビル等の住宅建造物、高速道路、高架橋、鉄道軌道等の各種構造物や、自動車、鉄道車両、船舶等の各種車両、更には家庭電気機器、OA機器等において発生する振動や騒音を低減するために好適に使用できる。

Claims (4)

  1. 20〜70重量%の塩素基を側鎖に有し、重量平均分子量が40万以上である熱可塑性樹脂100重量部と、塩素含有量が30〜75重量%であり、平均炭素数が20〜50である塩素化パラフィン200〜1000重量部とからなることを特徴とする制振材料用樹脂組成物。
  2. 20〜70重量%の塩素基を側鎖に有し、重量平均分子量が40万以上である熱可塑性樹脂100重量部と、塩素化パラフィン200〜1000重量部とからなり、
    該塩素化パラフィンは、塩素含有量が30〜75重量%であり、平均炭素数が20〜50である塩素化パラフィン(A)50〜990重量部と、塩素含有量が30〜75重量%であり、平均炭素数が12〜19である塩素化パラフィン(B)10〜950重量部とからなることを特徴とする制振材料用樹脂組成物。
  3. 更に、(a)有機錫系安定剤0.10〜100重量部、(b)フェノール系酸化防止剤0.01〜30重量部又は(c)ヒンダードアミン系光安定剤0.01〜30重量部の、いずれか一つ以上が添加されていることを特徴とする請求項1又は2記載の制振材料用樹脂組成物。
  4. 請求項1、2又は3記載の制振材料用樹脂組成物から製造されてなることを特徴とする制振材料。
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