JP2004285076A - M−csfの結晶化 - Google Patents

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Abstract

【課題】 マクロファージコロニー刺激因子の結晶および結晶化方法を提供すること。
【解決手段】 結晶化マクロファージコロニー刺激因子α(M−CSFα)であって、該M−CSFαは2つのM−CSFαポリペプチドモノマーのダイマーであり、該モノマーは同一または異なり、かつ成熟M−CSFαポリペプチドと同一のアミノ酸配列を有し、そして該モノマーが異なる場合、該モノマーが少なくとも1つの、しかし5つより少ないアミノ酸残基によって他方と異なる、結晶化M−CSFα。
【選択図】 なし

Description

本明細書中に記載される研究は、政府の援助により資金供与された。本研究より生まれる発明に関する確定した権利は、政府が所有する。
本願は、1992年6月9日に出願された米国特許出願第07/896,512号の一部継続出願である。
本発明は、一般に、マクロファージコロニー刺激因子「M−CSF」の結晶の組成に関するものであり、特に、アゴニストおよびアンタゴニスト作成、ならびにこれらの検出アッセイのための結晶M−CSFの構造上の情報(X線回折パターンを含む)の使用方法に関する。
単球−マクロファージコロニー刺激因子は、マクロファージ、内皮細胞、および線維芽細胞を包含する種々の細胞により産生される(本明細書中に参考として援用されている、非特許文献1を参照せよ)。M−CSFは、二つの「モノマー」ポリペプチドからなり、生物学的に活性な二量体のM−CSFタンパク質を形成する(以下、「M−CSFダイマー」という)。M−CSFは血液細胞の産生を増進する生物学的アゴニストのグループに属する。特に、M−CSFは、単核食細胞系の骨髄前駆細胞についての成長および分化因子として機能する。さらにM−CSFは、応答細胞の特異なレセプターを介する成熟したマクロファージの増殖および機能を刺激する。臨床試験においてM−CSFは、癌の化学療法または放射線療法の副作用として生じる血液細胞の欠乏の矯正における薬剤として有望であり、骨髄移植に関連した真菌感染の治療に有益であり得る。M−CSFはまた、妊娠、ブドウ膜炎、およびアテローム性動脈硬化症において、生物学的に重要な役割を演じている。M−CSFアゴニストまたはアンタゴニストの開発は、上記健康状態に伴う生物学的事象の緩和において価値を見いだし得る。
M−CSFは、少なくとも3種の成熟形態が存在する:短形(M−CSFα)、中間形(M−CSFγ)、および長形(M−CSFβ)。成熟M−CSFは、アミノ末端からプロセッシングによりリーダー配列が除去され、カルボキシル末端からプロセッシングにより推定膜貫通領域を含むドメインが除去された分泌M−CSF中に含まれるポリペプチド配列を含有することで定義される。上記3種の成熟形態の変動は選択されるmRNAスプライシングによる(非特許文献2を参照せよ)。上記3種の形態のM−CSFは、アミノ末端の32アミノ酸からなるシグナル配列およびカルボキシル末端近傍のおよそ23アミノ酸からなる推定膜貫通領域を含む、256〜554のアミノ酸からなるポリペプチドモノマーをコードする、異なるmRNA前駆体から翻訳される。前駆体ペプチドは次いでアミノ末端およびカルボキシル末端の加水分解開裂によりプロセスされ、成熟M−CSFが遊離される。M−CSFの3種の成熟形態のいずれもが有するアミノ酸残基1〜149番目は同定され、M−CSFの生物学的活性に重要な配列を含んでいると考えられている。インビボではM−CSFモノマーは、ジスルフィド結合を介してダイマー化され、グリコシル化されている。M−CSFのいくつかの形態(全てではなくても)は、膜に結合した形態で回収され得る。このような膜結合M−CSFは開裂され得、分泌M−CSFが放出され得る。膜に結合したM−CSFは、そうでないM−CSFと同様の生物学的活性を有すると考えられるが、細胞同士の結合または活性化を包含する他の機能を有し得る。
ポリペプチド(上記M−CSFも含めて)は、アミノ酸一次配列およびそのポリペプチドをとりまく環境によって決定される三次元構造を有する。この三次元構造は、ポリペプチドの活性、安定性、結合親和性、結合特異性、およびその他の生物学的属性を確立する。従って、あるタンパク質の三次元構造の情報は、可溶または膜結合形態におけるそのタンパク質の生物学的活性を模倣し、阻害し、または向上させる薬剤の設計に多くの指標を提供し得る。
ポリペプチドの三次元構造は、多くの方法により決定し得る。非常に精密な方法の多くは、X線結晶学を用いる(一般的な総説として、参考として本明細書中に援用されている、非特許文献3を参照せよ)。この技法は、X線または他の型の放射線を回折する結晶格子の能力に依存する。巨大分子の三次元構造決定に適した回折実験には、高品質の結晶体が必要である。残念ながら、このような結晶は、M−CSFおよび他の重要なタンパク質に関して入手不可能であった。従って、高品質な、M−CSFの回折結晶は、その三次元構造の決定を助力する。
結晶化タンパク質およびポリペプチドを調製する種々の方法は、当該分野で周知である(例えば、非特許文献4〜5および特許文献1〜2;これらは、全ての目的のために本明細書中に参考として援用されている)。ポリペプチドを結晶化する多くのアプローチがあるにも関わらず、特にX線回折試験に適する必要がある結晶体の場合に、道理にかなう成功が予想されるような単一セットの条件は提供されていない。従って、重要な研究であるにも関わらず、多くのタンパク質が結晶化されないままである。
構造上の情報の提供に加えて、結晶化ポリペプチドは、その他の利益も提供する。例えば、結晶化のプロセスは、それ自体、ポリペプチドをさらに精製し、そして均質性に関する古典的基準の一つを満足する。実際に結晶化は、しばしば並ぶもののないほどの高純度を提供し、HPLC、透析、一般的なカラムクロマトグラフィーなどのような他の精製方法では除去されない不純物を除去する。さらに、結晶化ポリペプチドは、通常、室温で安定であり、プロテアーゼの夾雑物がなく、溶液保存に関連した他の分解もない。結晶化ポリペプチドはまた、製薬上の調製物として有用であり得る。結局、結晶化技法は一般的に、他の安定化方法(例えば、凍結乾燥)に関連した変性のような問題がない。従って、結晶化形態のM−CSFの組成を調製すること、およびそれらの三次元構造を決定することは、非常に重要である。本発明は、上記のおよびその他の要求を充足する。いったん結晶化が達成されれば、結晶学上のデータは、有益な構造上の情報を提供し、アゴニストまたはアンタゴニストとして作用し得るペプチドの設計を補助し得る。さらに、結晶構造は、アンタゴニストまたはアゴニストとして作用し得る小さい非ペプチド分子により模倣され得るような、レセプター結合ドメインを位置づけるのに有用な情報を提供する。
米国特許第4,672,108号 米国特許第4,833,233号 Ralphら、「ヒトおよびハツカネズミのCSF−1ファミリーの分子生物学的特性」、Molecular Basis of Lymphokine Action、Humana Press, Inc.刊、(1987) Cerrettiら、Molecular Immunology、25:761(1988) Van Holde、Physical Biochemistry、Prentice−Hall、N.J.、221〜239頁(1971) McPhersonら、「タンパク質の結晶の調製および解析」、A. McPherson、Robert E. Krieger Publishing Company、Malabar、Florida(1989) Weber、Advances in Protein Chemistry、41:1−36(1991)
(発明の要旨)
本発明は、M−CSFダイマーの結晶化形態を提供する。好ましくは、ダイマーは成熟M−CSFのN−末端からあるいはその近く(例えばglu glu val...)からの146から162の間のアミノ酸残基を有するポリペプチドから形成される。特定の実施態様においては、ポリペプチドは成熟M−CSFαポリペプチドの残基4から158を含み、好ましくは、非グリコシル化の形態である。
他の面では、本発明はM−CSFの結晶化方法を提供する。本発明によれば、好ましい結晶化方法は、以下の工程を包含する:予め選択した、実質的に純粋なM−CSFダイマーと沈澱剤とを混合してM−CSF混合物を形成する工程;該混合物から結晶化M−CSFを沈澱させる工程;および、M−CSFを結晶化形態で単離する工程。ある特定の実施態様においては、この沈澱剤はポリエチレングリコールを含む。他の成分、例えば、硫酸アンモニウムおよび/または他のイオン性化合物を、その溶液に加え得る。X線結晶学においては、本発明の方法で生産されたM−CSFは、例えば、P2の空間群に結晶化され得る。
種々の結晶化方法がまた、提供され得る。例えば、M−CSF混合物から結晶を沈澱させる工程は、M−CSF混合物を第二の混合物と平衡化する工程を含み得る。第二の混合物は、典型的には、第一のM−CSF混合物よりも高い濃度の沈澱剤からなる溶液である。平衡化させる工程は、好ましくはM−CSF混合物を第二の沈澱剤表面に添加し、該添加したM−CSF混合物を前記第二の混合物槽で平衡になるようにする工程からなる。他の実施態様では、M−CSF結晶を沈澱させる工程は、M−CSF混合物に、種結晶を添加するか、あるいはM−CSF混合物の温度を変化させて開始する。他の面では、本発明は、種々の程度でM−CSFの三次元構造のレセプター結合領域に類似し、多くの場合M−CSFのアゴニストあるいはアンタゴニストとして機能し得る構造を有する化合物を同定する工程を含む。M−CSFのレセプター結合領域と相互作用をする化合物は、アンタゴニストであり得る。短縮形のM−CSFダイマーの三次元のα炭素座標は、添付書類1に示されている。本発明の1つの実施態様においては、M−CSFの三次元構造は、まず、M−CSFダイマー(M−CSFレセプター結合残基)を結晶化して少なくとも1つのM−CSF結晶を形成することによって得られる。次に照射源を用いてM−CSF結晶を照射し、M−CSF結晶の回折パターンを得る。最後に、M−CSFの三次元構造が、回折パターンから得られる。ほとんどの実施態様では、三次元構造はM−CSFレセプター結合領域を含む。
本発明は、また、構造上の情報に基づいて、タンパク質中でのアミノ酸置換の候補を選択する方法に関し、さらに詳しくは、M−CSFにおいて、本発明の方法によって、M−CSFの三次元構造を決定する工程;タンパク質中の溶剤に接近可能なアミノ酸残基を決定した後で、どの残基がダイマーの形成に関与していないかを決定する工程を包含する。これらの基準を適用して、溶剤が接近可能で、ダイマー形成に関与しないM−CSF中のアミノ酸は、非保存性のアミノ酸と置換するために選択される。M−CSFβはチェーン間で157および/または159位のシステインが関与するジスルフィド結合を有しているので、M−CSFのC末端領域は、我々が解明した構造の「後ろ」から広がり、M−CSFの膜結合形態への可変長の「つなぎ」を提供する。従って、「前面」すなわちM−CSFのレセプター結合領域は、その分子の反対側にあり、ヘリックスA、C、およびD中のあるいはその近くの、溶剤が接近可能な残基からなる。ヘリックスA、C、およびDは、天然型のM−CSFのそれぞれ約6から26、71から90、および110から130由来の残基を含んでいる。置換のための好適なアミノ酸および好適な置換するアミノ酸は、以下のものを含むが、これらに限定されない:H15→AあるいはL;Q79→AあるいはD;R86→EあるいはD;E115→A;E41→KあるいはR;K93→AあるいはE;D99→KあるいはR;L55→QあるいはN;S18→AあるいはK;Q20→AあるいはD;I75→KあるいはE;V78→KあるいはR;L85→EあるいはN;D69→KあるいはR;N70→AあるいはE;H9→AあるいはD;N63→KあるいはR;およびT34→QあるいはK。最も好適なこれらの置換から、新規なM−CSFアゴニストあるいはM−CSFアンタゴニストが生じる。さらに、本発明は、M−CSFモノマーあたり少なくとも1つ、好ましくは5よりも少ない、溶剤に接近可能な残基を置換することにより、アゴニストおよびアンタゴニストを生産する方法に関する。
本発明はまた、このヘテロダイマーは1つのサブユニットのみが、シグナル伝達に関与する、溶剤に接近可能な置換されたアミノ酸を有するヘテロダイマーのM−CSFに関し、さらに、それぞれのサブユニットが、シグナル伝達に関与する、異なる置換された溶剤に接近可能なアミノ酸を有するヘテロダイマーに関する。本発明はまた、M−CSFレセプターへの結合を損なわないアミノ酸置換を有するM−CSFに関する。アゴニストおよびアンタゴニストのスクリーニングは、次いで、以下の実施例に記載される方法を含めて、当業者に周知の方法を用いるバイオアッセイおよびレセプター結合アッセイを用いて達成される。
さらに、本発明は、単離され、精製され、可溶性の機能的なM−CSFレセプターに関する。本発明はまた、可溶性のM−CSFレセプターを用いるM−CSFアゴニストおよびM−CSFアンタゴニストをスクリーニングする方法に関する。
(好適な実施形態)
本願明細書において「M−CSFポリペプチド」とは、以下の文献に記載された成熟M−CSFα、M−CSFβ、またはM−CSFγポリペプチドと実質的に同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す:Kawasakiら、Science 230:291(1985)、Cerrettiら、Molecular Immunology、25:761(1988)、またはLadnerら、EMBO Journal 6:2693(1987)。これらの文献はいずれも、本願において参照として援用される。このような用語は、上述のように、3つの成熟M−CSFが異なるアミノ酸配列を有するという理解を反映する。
M−CSFの一次配列のある種の修飾は、周知の組み換えDNA技術に従って、所望の構造(例えば、M−CSFのレセプター結合能)を損ねることなく、DNA配列にコードされたアミノ酸の欠失、付加、または変更によってなし得る。さらに、当業者は、個々のアミノ酸を酸化、還元、または他の誘導化によって置換または修飾し得ること、および、ポリペプチドを切断して活性な結合部位および構造的情報を保持した断片を入手し得ることを理解するだろう。このような置換および変更は「成熟M−CSFα、M−CSFβ、またはM−CSFγポリペプチドと実質的に同一のアミノ酸配列を有する」ポリペプチドの定義内に入るアミノ酸配列を有するポリペプチドを与える。
結晶化のために、M−CSFα、β、またはγモノマーの好ましい長さは、(成熟アミノ末端から数えて)約145および180アミノ酸の間であり、より好ましくは約145および162アミノ酸長の間である。結晶化可能なダイマー中に存在し得る特定のモノマーはM−CSFαであり、N’3M−CSFαC’158(アミノ末端から3アミノ酸が欠失し、全長が155アミノ酸)である。あらゆる長さが含まれる。本願明細書において、用語「M−CSFα(4−158)」は、プロセッシングされた成熟M−CSFαポリペプチドの4位から158位のアミノ酸残基を有するM−CSFを意味する。天然型M−CSFのC−末端およびN−末端での短縮についての他の命名法は、米国特許第4,929,700号に記載される。この米国特許は、本願において参照として援用される。
M−CSFポリペプチドの結晶化可能なグリコシル化変異体は、本願発明の範囲に含まれる。これらの変異体には、全くグリコシル化されていないポリペプチド、および成熟型よりも少なくとも1つ少ないグリコシル化部位を有する変異体、ならびにグリコシル化のパターンが天然型とは異なる変異体が含まれる。また、脱グリコシル化および非グリコシル化アミノ酸配列変異体、ならびに、成熟アミノ酸配列を有する、脱グリコシル化および非グリコシル化M−CSFサブユニットも含まれる(米国特許第5,032,626号を参照)。
「M−CSF」ダイマーとは、ダイマー化した2つのM−CSFポリペプチドモノマーを指す。M−CSFダイマーは、2つの同一のポリペプチドモノマーを含み得(ホモダイマー)、または2つの異なるポリペプチドモノマーを含み得る(ヘテロダイマー、例えば、M−CSFα−M−CSFβダイマー、M−CSF長クローンおよび短クローンダイマー)。M−CSFモノマーは、米国特許第4,929,700号に記載されたようにして、インビトロでM−CSFダイマーに変換し得る。この米国特許は、本願において参照として援用される。組み換えにより発現されるM−CSFはまた、インビボで存在する場合のように種々にグリコシル化され、または部分的にグリコシル化され、または全くグリコシル化されないもの(非グリコシル化)であり得る。グリコシル化M−CSFは、インビボで炭化水素鎖を伴って生産され得、その後インビトロで酵素的に脱グリコシル化され得る。
生物学的に活性なM−CSFは、当該分野で理解された活性スペクトルを示す。例えば、M−CSFは、応答細胞の特定のレセプターを通じて、成熟マクロファージの増殖および機能を刺激する。さらに、M−CSFは、単核食細胞前駆体の成長因子として作用する。Metcalf、J. Cell Physiol. 76:89(1970) (これは本願において参照として援用される)の標準的なインビトロでのコロニー刺激アッセイにおいて、M−CSFを幹細胞に与えたとき、主としてマクロファージコロニーの形成がもたらされる。他の生物学的アッセイは、NFS−60細胞系のようなM−CSF依存性の細胞の、M−CSFにより誘発される増殖に基づく。本願明細書において「生物学的活性を有するM−CSF」とは、生物学的システムについて当該分野で認識されている活性スペクトルを示すM−CSF(本願明細書に記載のように、M−CSFの断片および配列変異体を含む)を指す。このような生物学的活性を有するM−CSFは、典型的には、レセプター結合部位の三次構造など、成熟M−CSF型と共通する特定の構造的特性を有する。
アゴニストは、天然型のリガンドと比べてそれ自体が大きい活性を示す物質であり、一方、アンタゴニストは、天然型のリガンドの生物学的活性を抑制、阻害、または干渉する物質である。アゴニストおよびアンタゴニストは、疾病の治療に使用するために、本願発明の方法により生産され得る。対象となる疾病は、M−CSFが潜在的な治療剤として(例えば、骨髄移植等と関連する真菌の感染を治療する化学療法の副作用として生じる血液細胞欠乏症の治療のために)、またはM−CSFが当該疾病の病因において役割を有するとして(例えば、卵巣癌、ブドウ膜炎、アテローム性動脈硬化症)のいずれかに関連づけられてきたものである。
本願発明によるM−CSF種の結晶化は、4つの一般的工程を含む:発現、精製、結晶化、および単離である。
(組み換えM−CSFの発現)
M−CSFの結晶化は、比較的均一な型で単離され得るM−CSFの豊富なソースを必要とする。様々な発現系および宿主がM−CSFの発現に適切であり、それらは当業者には明らかである。ある種の真核宿主で生産されるM−CSFは様々なグリコシル化および翻訳後の修飾を受けているため、E.coliでの発現が、結晶化に関して有利な性質をM−CSFに与え得る。典型的なインビトロでのM−CSF発現系は、例えば、米国特許第4,929,700号に記載される。
本願発明に用いるために、様々なM−CSFポリペプチドをまた、当業者に周知の組み換えDNA技術を利用して、容易に設計し製造し得る。例えば、M−CSFアミノ酸配列は、アミノ酸の置換、挿入、欠失などにより、一次構造レベルで天然に存在する配列とは異なったものであり得る。これらの修飾を多くの組み合わせで用いて、最終的な修飾ポリペプチド鎖を生産し得る。本願発明は、このようなポリペプチドおよびそのダイマーの結晶化に有用である。
一般的に、M−CSFポリペプチドをコードする遺伝子の修飾は、周知の様々な技術によって容易になし得る。そのような技術の例として、部位特異的突然変異がある(GillmanおよびSmith、Gene 8:81−97(1979)、およびRoberts,S.ら、Nature 328:731−734(1987)、および米国特許第5,032,676号を参照。これらはすべて本願において参照として援用される。)。大抵の修飾物は、所望の特徴を有するかどうかについて、適切なアッセイでのスクリーニングによって評価される。例えば、ポリペプチドのM−CSFレセプター結合特性の変化は、適当なリファレンスポリペプチドとの競合アッセイによって、または米国特許第4,847,201号(これは、本願において参照として援用される。)に記載のバイオアッセイによって検出され得る。
本願発明の挿入変異体は、M−CSFの特定の部位に1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が導入されたものである。例えば、挿入変異体は、サブユニットのアミノまたはカルボキシル末端への異種タンパク質またはポリペプチドの融合物であり得る。置換変異体は、少なくとも1つの残基が除去され、代わりに異なる残基が挿入されたものである。非天然アミノ酸(すなわち、通常は天然型タンパク質中に見い出されないアミノ酸)ならびに等立体(isosteric)アナログ(アミノ酸またはそれ以外のもの)もまた本願発明への使用に適切である。適切な置換の例は当該分野で周知であり、例えば、Glu→Asp、Ser→Cys、Cys→Ser、His→アラニンなどである。他のクラスの変異体は欠失変異体であり、M−CSFから1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が除去されていることを特徴とする。
本願発明の他の変異体は、天然型タンパク質のアミノ酸を化学的に修飾すること(例えば、ヒスチジン残基を修飾するジエチルピロカルボネート処理)によって生産し得る。好ましい化学的修飾は、ある種のアミノ酸側鎖に対して特異的なものである。特異性はまた、保護されるべき側鎖に対する抗体で他の側鎖をブロックすることによっても達成し得る。化学的修飾は、酸化、還元、アミド化、脱アミド化、または多糖もしくはポリエチレングリコールのようなかさ高い基の置換などの反応を含む(例えば、米国特許第4,179,337号および国際公開WO91/21029を参照。これらは本願において参照として援用される。)。
修飾の例として、コハク酸または他のカルボン酸の無水物との反応による、リジン残基およびアミノ末端残基の修飾が含まれる。これらの試薬での修飾は、リジン残基の電荷を逆転させる効果がある。アミノ含有残基を修飾するための他の適切な試薬に含まれるものとして、メチルピコリンイミデートなどのイミドエステル;ピリドキサールリン酸;ピリドキサールクロロボロヒドリド;トリニトロベンゼンスルホン酸;O−メチルイソ尿素,2,4−ペンタンジオン;およびグリオキシレートとのトランスアミナーゼ触媒による反応、およびポリエチレングリコールまたは他のかさ高い置換基のN−ヒドロキシコハク酸アミドエステルがある。
アルギニン残基(arginyl residue)は、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、およびニンヒドリンを含む多数の試薬との反応によって修飾し得る。アルギニン残基の修飾においては、グアニジン官能基のpKaが高いため、反応をアルカリ性条件で行うことが必要とされる。さらに、これらの 試薬はリジン基ならびにアルギニンのイプシロン−アミノ基と反応し得る。
チロシン残基もまた修飾し得る。特にチロシン残基にスペクトルラベルを導入することに興味が持たれる。芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応を用いて、それぞれO−アセチルチロシン種および3−ニトロ誘導体が形成される。チロシン残基はまた、125Iまたは131Iを用いてヨード化して、ラジオイムノアッセイに用いるためのラベルしたタンパク質を調製し得る。
カルボキシル側鎖基(アスパラギン酸またはグルタミン酸)は、カルボジイミド(R−N=C=N−R)との反応によって選択的に修飾され得る。ここで、RおよびRは異なるアルキル基である。例として、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドがある。さらに、アスパラギン酸およびグルタミン酸の残基は、アンモニウムイオンとの反応によってアスパラギンおよびグルタミンの残基に変換される。
逆に、アスパラギンおよびグルタミンの残基は、穏やかな酸性条件下で、それぞれ対応するアスパラギン酸およびグルタミン酸の残基へと脱アミド化し得る。これらの残基のいずれの型も本願発明の範囲に入る。
他の修飾に含まれるものとして、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリンまたはトレオニンの残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、およびヒスチジン側鎖のαアミノ基のメチル化(T.E.Creighton、Proteins: Structure and Molecular Properties、W.H.Freeman & Co.、サンフランシスコ、pp.79−86[1983])、N−末端アミンのアセチル化、および任意のC−末端カルボキシル基のアミド化がある。
M−CSFをコードするDNA配列が入手できることは、所望のポリペプチドを生産するための種々の発現系の使用を可能にする。発現ベクターの構築および適当なDNA配列からの組み換え生産は、当該分野で周知の方法によってなされる。これらの技術および種々の他の技術は、一般に以下の文献に従ってなされる:Sambrookら、Molecular Cloning − A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(1989)、およびKriegler,M.、Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual、Stockton Press、ニューヨーク(1990)。これらは両方とも本願において参照として援用される。
(M−CSFの精製)
結晶化の前に、相対的に均一な状態でM−CSFが単離されることを確実にするような精製工程が援用される。一般に、より高度な精製溶液は次の結晶化工程の成功の可能性を増大する。代表的な精製法は、遠心分離、塩または有機化合物を用いる部分分画、透析、従来のカラムクロマトグラフィー(イオン交換、分子サイジングクロマトグラフィーなど)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、およびゲル電気泳動法(例えば、Deutcher,Methods in Enzymology(1990)、Academic Press、Berkely、CA、中の「タンパク質精製のための指針」を参照、この文献は本明細書中に、全ての目的に参考として援用される)の使用を含む。通常、均一なM−CSF分子(species)を生成する好適な精製条件、およびこれら分子の精製は、例えば、本明細書に参考として援用される米国特許第4,929,700号に開示されている。他の精製方法は公知でありそして当業者に明らかであり得る。
(M−CSFの結晶化)
多くの同一の物理学原理が、ポリペプチド(M−CSFダイマーを含む)および小分子の結晶化を支配するけれども、実際の結晶化機構は顕著に異なる。例えば、小分子結晶の格子は溶媒を除外するが、ポリペプチド結晶の格子は溶媒分子を実質的な数で含む。それ故、代表的には、ポリペプチドを結晶化するには特別の技術が適用されなければならない。
溶液中のポリペプチド結晶化は、ポリペプチド濃度が、その最大溶解度を超えた時点で起こる(即ち、ポリペプチド溶液は過飽和である)。このような「熱動力学的に準安定な」溶液は、ポリペプチド濃度を減少することにより、好適にはポリペフチド結晶の沈澱を経て、平衡へ回復され得る。しばしばポリペプチドは、ポリペプチドの表面荷電を変え、またはポリペプチドとバルク水との間の相互作用を乱し、結晶化に導く会合を促進する薬剤を添加することにより過飽和溶液から結晶化することが引き起こされ得る。
「沈澱剤」として知られる化合物がしばしば使用され、濃縮溶液中のポリペプチドの溶解度を減少させる。沈澱剤は、ポリペプチド分子の周囲にエネルギー的に不都合な沈澱剤による枯渇層を形成することにより結晶化を誘導する。この枯渇層の相対量を最小化するため、ポリペプチドは、先に本明細書に参考として援用された、Weber、Advances in Protein Chemistry 41:1−36 (1991)中で説明されるように、会合そして最後には結晶を形成する。沈澱剤に加えて、他の物質がしばしばポリペプチド結晶化溶液に添加される。これらは、溶液のpH(そしてそれ故ペプチドの表面荷電)を調整するための緩衝液、およびポリペプチドの溶解度を減少する塩類を含む。種々の沈澱剤が、当該技術で公知であり、そして以下を含む:エタノール、3−エチル−2,4ペンタンジオール;およびポリエチレングリコールなどの多くのポリグリコール。M−CSF結晶化のための適切な沈澱剤は、塩類および他の有機沈澱剤のいくつかの特性を組み合わせたポリエチレングリコール(PEG)である(例えば、すべての目的に、本明細書に参考として援用される、Wardら、J. Mol. Biol. 98:161[1975]、および、先に参考として援用された、McPherson、J. Biol. Chem. 251:6300[1976]を参照)。
一般に使用されるポリペプチドの結晶化法は以下の技術を含む:回分法、滴下法(hanging drop)、種(seed)開始法、および透析。これら方法のそれぞれにおいて、核化の後に、過飽和溶液を維持することにより継続する結晶化を促進することが重要である。回分法では、ポリペプチドは沈澱剤と混合され過飽和を達成し、容器をシールして結晶が現れるまで静置する。透析法では、ポリペプチドは、沈澱剤を含む溶液中に置かれたシールされた透析膜中に保持される。膜を越えた平衡は、ポリペプチドおよび沈澱剤濃度を増加させ、それによって、ポリペプチドが過飽和レベルに到達する。
滴下技術では、初期のポリペプチド混合物を、沈澱剤を濃ポリペプチド溶液に添加することにより作成する。ポリペプチドおよび沈澱剤の濃度は、この初期形態ではポリペプチドが結晶化しない濃度である。この混合物の小滴をスライドグラス上に置き、逆にし(inverted)、そして第2の溶液のリザーバー中に浮遊させる。この系を次いでシールする。代表的には、第2の溶液は、より高濃度の沈澱剤または他の脱水剤を含む。沈澱剤の濃度差により、タンパク質溶液が溶液より高い蒸気圧を有する。2つの溶液を含むこの系は、シールされ、平衡化され、そしてポリペプチド混合物からの水は第2の溶液に移る。この平衡は、ポリペプチド溶液中のポリペプチドおよび沈澱剤濃度を増加させる。ポリペプチドおよび沈澱剤の臨界濃度で、ポリペプチドの結晶が形成される。滴下法は当該技術で周知である(先に、本明細書に参考として援用された、McPherson J. Biol. Chem. 251:6300 [1976]を参照)。
別の結晶化方法は、濃縮ポリペプチド質溶液中に核化部位を導入する。一般に、濃縮ポリペプチド溶液が調製され、そしてポリペプチドの種結晶がこの溶液中に導入される。ポリペプチドおよび任意の沈澱剤の濃度が正しければ、種結晶は、その周りにより大きい結晶を形成する核化部位を提供する。 好適な実施態様では、本発明の結晶は、M−CSFポリペプチドのダイマーから形成され得る。好適な結晶は、代表的には、少なくとも約0.2 x 0.2 x 0.05 mm、より好適には、0.4 x 0.4 x 0.4 mmより大きく、そして最も好適には、0.5 x 0.5 x 0.5 mmより大きい。結晶化の後、タンパク質は、標準技術により結晶化混合物から分離され得る。
このように生成された結晶は広範な用途を有する。例えば、高品質結晶は、X線または中性子回折分析に適し、M−CSFの3次元構造、そして特に、そのレセプター結合部位の同定を助ける。M−CSFレセプターとの接触に有効な、結合部位領域および溶媒接近可能残基の知識は、M−CSFに対するアゴニストおよびアンタゴニストの合理的な設計および構築を許容する。改変されたレセプター結合能力または生物活性を有する、M−CSFの変異タンパク質の結晶化および構造決定は、そのような変化が一般的な構造変形により、または置換部位での側鎖改変により生じるか否かの評価を可能とする。
さらに、結晶化自体が精製法として使用され得る。いくつかの例では、ポリペプチドまたはタンパク質が、不均一な混合物から結晶に結晶化され得る。そのような結晶の、濾過、遠心分離などによる単離に続いてポリペプチドを再溶解し、回折研究に必要な高品質結晶成長の使用に適した精製溶液が得られる。これらの高品質結晶はまた、水中に溶解され得、次いで調製されて、薬学的目的を含む当該技術で公知の種々の使用法に用いられる水性M−CSF溶液を提供する。
勿論、M−CSFのアミノ酸配列変異体も結晶化され得、そして使用され得る。これらの変異体の使用目的は種々あるが、その中で、M−CSFレセプターに対する結合親和性の修飾に関して有用な構造上の情報を得るのに使用され得る。天然に存在する形態については、修飾されたM−CSF形態は、本発明の治療での使用において、骨髄増殖の刺激、化学療法により誘導される免疫抑制および真菌症の克服、治療効率の改善、および副作用の程度または発生の低減のための薬学的薬剤として有用であり得る。さらに、修飾M−CSFは、可溶性または膜結合M−CSFが、疾病状態を起こすまたは悪化する疾病の治療に有用であり得る。
(M−CSFの特徴付け)
精製、結晶化および単離の後、本発明の結晶は、当該技術で公知の技術により分析され得る。代表的な分析は、ペプチドについて構造上、物理的、および機構上の情報を生じる。上記のように、X線結晶学は、詳細な構造上の情報を提供し、その情報は、広く入手可能な分子モデリングプログラムと組み合わせて使用され得、ペプチド中の原子3次元配列に到達する。例示のモデリングプログラムは、Biosym (San Diego、California)の「Homology」、BioDesignの「Biograf」、Oxford Molecularの「Nemesis」、Tripos Associatesの「SYBYL」および「Composer」、Polygen (Waltham、Massachusetts)の「CHARM」、California大学、San Franciscoの「AMBER」、およびMolecular Design, Ltd.の「MM2」および「MMP2」を含む。 ペプチドモデリングは、目的ペプチドの活性を修飾し得る種々の薬剤を設計するために使用され得る。例えば、活性部位の3次元構造を用いて、相補的構造を有するアゴニストおよびアンタゴニストが、M−CSF処理の治療上の有用性を高めるために、またはM−CSFの生物学的活性をブロックするために設計され得る。さらに、M−CSFの構造上の情報は、M−CSFリガンドおよびそのレセプター間の接触残基の知見に基づき、タンパク質性または非タンパク質性のM−CSFアゴニストおよびアンタゴニストの設計に関して有用である。このような残基は、M−CSF結晶構造により、溶媒接近可能である残基として同定され、ダイマー界面安定化に含まれないカルボキシ末端膜係留領域に対して遠位にあり、そしておそらくヒトおよびマウスM−CSF(ヒトM−CSFレセプターを認識しない)間で保存されていない残基を含む。
(実施例1)
滴下法を用いて、M−CSFの系統的な結晶化を行った。顕微鏡カバーグラスの下側から母液(mother liquor)の小滴(5μl)を浮遊し、カバーグラスを、1mlの沈殿溶液を含有するウェルの上に置いた。pH、温度、対イオン、および沈殿剤を変えて、60〜70回の初期試験を行った。これらの試験から、より注意深い検査のために、有望な微結晶を与える試験をピックアップした。
10mg/ml タンパク質、100mM MgCl、50mM トリスCl(pH 8.5)、および12% PEG 4000を含有する20μlの液滴から、好適な結晶が生長し得ることを発見した。この液滴は、24% PEG 4000を含有するリザーバーで平衡化した。2〜3日で、小さな針状の結晶が現れ、これを10μlの水に再溶解し、そして室温で再結晶化した。7〜9日で、0.3×0.3×0.3mm〜0.5×0.5×1.0mmの範囲の大きさの良質のずんぐりした結晶が現れた。
プレセッション写真は、空間群が、a=33.53オングストローム、b=65.11オングストローム、c=159.77オングストロームの単位セルディメンジョンを有するP2であることを示した。これは、349084.5立法オングストロームの単位セル体積を与え、それは、結晶学的に非対称単位であるダイマーと一致し、そして単位セル体積の52%が、溶媒で占められている。結晶を、50kVおよび60mAで操作されたRigaku rotating anodo X−ray generator(Danvers, Massachusetts)上で3オングストロームの解像度まで、およびシンクロトロン放射で2.6オングストロームの解像度まで回折した。
重金属塩類の溶液中に結晶を浸漬することにより、重原子誘導体のスクリーニングを行った。浸漬物のゼロレベル歳差図(precession picture)を用いて、可能な誘導体を同定した。約30の異なる浸漬条件を試験し、4つの可能性のある誘導体を同定した。不幸なことに、浸漬により結晶が非−同形性(non−isomorphism)を示すものがあった(すなわち、重原子の浸漬でセルディメンジョンに変化を誘発し、位相計算にそれらを使用できなくした)。
National Synchrotron Light Source, BrookhavenのX線ビーム回線上の振動カメラを用いて、3次元の強度のデータをフィルム上に集めた。天然型(非誘導化M−CSF)および可能性のある誘導体の結晶のいくつかの他のデータ群を、Rigaku X線発生機上に集めた。以下のデータ群を集めた。
(実施例2)
米国特許第4,929,700号に記載のように、組み換えM−CSFポリペプチドをE.coliから精製し、そして復元してジスルフィド結合ダイマータンパク質を形成した。得られた非グリコシル化M−CSFαタンパク質(ホモダイマー型中の4位〜158位のアミノ酸)の結晶化を、滴下法により行った。ガラスの顕微鏡プレートを、使用前にオルガノシラン化合物Prosil−28(PCR Incorporated, Gainesville, Florida, 32602)の1%(容積:容積)溶液中へ浸漬することによりシリコン化し、処理したガラスプレートを水で洗浄し、そして180度でベーキングした。
精製ヒト組み換えM−CSFの2mg/mlの水溶液を、10kDの分子量カットの透析チューブを用いて、50mMトリスHCl(pH 8.5)で透析し、濃縮した。ポリペプチド(10mg/ml)の最終濃度を、280nmで紫外線分光測光法により測定した。
約7μlの濃縮溶液を、スポットプレートのそれぞれのウェル中で、20%(v/v) PEG 4000、0.2M MgCl、0.1M トリスHCl(pH 8.5)の7μlと混合した。次いで、スポットプレートを、20mlの23% PEG 4000、0.2M MgCl、0.1M トリスHCl(pH 8.5)を含有する透明なプラスチックサンドウィッチボックスの中に置いた。そして、ボックスを直ちにシールして、室温で保存した。異なる緩衝液条件など、この手順における狭い範囲の改変は、本発明の範囲内にある。例えば、本発明の好ましい実施態様では、緩衝液条件は、150mM MgCl、および24% PEG 4000を含有するように変えた。
3〜5日後、0.1×0.1×0.05mmの大きさを有する微結晶が、それぞれのウェル中に現れた。これらの微結晶を単離し、25μlの50mM トリスHClに再溶解し、そして室温に放置した。精製M−CSFは、溶液から0.3×0.3×0.3mm〜1mm×2mm×0.5mmの大きさの範囲の大きな六角プリズム型の結晶へと結晶化した。これらの結晶は、少なくとも3ヶ月間室温で安定であった。いくつかの場合、23% PEG 4000、および150mM MgClを用いて人工母液を調製し、次いで、結晶をこの母液に添加した。これらの場合、分析の直前に結晶を母液から取り出した。
還元、および非還元SDS−PAGE分析を用いて、結晶中のM−CSFが、生物学的に活性な出発物質と分子量が一致することが示された。従って、結晶から得られたM−CSF構造は、生物学的に活性なM−CSFの構造と本質的に同一のようである。
(実施例3)
ガラス顕微鏡スライドを、実施例2に記載のように調製した。7μlの同じ濃縮されたM−CSFαタンパク質溶液を、スポットプレートのそれぞれのウェル中で、7μlの30%(v/v) PEG 4000、0.2M 酢酸アンモニウム、0.1M 酢酸緩衝液(pH 7.5)と混合した。次いで、スポットプレートを、20mlの30% PEG 4000、0.2M 酢酸アンモニウム、0.1M 酢酸緩衝液(pH 7.5)を含有する透明なプラスチックサンドウィッチボックス中に置き、そしてボックスを直ちにシールし、そして室温で保存した。3〜5日後、約0.3×0.3×0.05mmの大きさを有する、薄くて板状のもろい結晶が現れた。
(実施例4:予備X線解析)
プレセッション写真を用いるX線結晶解析は、実施例2で生成した結晶が、セルディメンジョンがa=33.54、b=65.26、c=159.63、d=90.0、c=90.0、およびf=90.0オングストロームであるP2空間群に、斜方結晶格子を有し、そしてシンクロトロン放射を用いて、2.6オングストロームの見かけの解像度まで回折することを示した。これらのデータより、348084.5立方オングストロームの単位セル体積が提供され、それは、単位セル体積の52%が溶媒により占められている結晶学的に非対称単位であるダイマーと一致した。図1は、M−CSF結晶のOklゾーンセクションの12度のプレセッション写真である。50kVおよび50mAで操作されたRigaku RU−200 X線発生機に据え付られた、Enraf−Nonius Company(Delft, Holland)により製造されたプレセッションカメラを用いて写真を撮った。
(実施例5:可溶性M−CSFレセプターを用いるM−CSFレセプター結合能力の試験)
インビボでM−CSFの生物学的機能における必須の工程は、M−CSFレセプターへの結合であり、M−CSFレセプターは、c−fms遺伝子産物とも呼ばれる。20位−511位のアミノ酸を表す組換えヒト可溶性M−CSFレセプター(rhsM−CSFR)(Coussens, Lら、Nature, 320:277 (1986))をインビトロアッセイ試薬として用いて、M−CSFタンパク質のレセプター結合能力を試験した。可溶性型のトランスメンブレンレセプターを生成するために、ヒトM−CSFレセプターの細胞外ドメインだけを、バキュロウイルス/昆虫細胞組換え発現系で発現させた。三次および四次構造に逆に作用することなく可溶性レセプターを精製するために、以下に記載のように、非変性クロマトグラフィー法を選択した。組換えレセプターの精製のためには、他の選択もある。レセプターに対する適切な抗体、またはリガンドのどちらかが利用可能であれば、アフィニティークロマトグラフィーを使用し得る。あるいは、アフィニティークロマトグラフィーで用いるために、「tag」を組換えレセプター(すなわち、KT3抗体組換え配列)のC末端に加え、そして抗tag抗体(すなわち、KT3)カラムにより精製する。発現系では、rhsM−CSFRをグリコシル化し、レクチンクロマトグラフィーを用いて、特異的にグリコタンパク質を濃縮し得る。
rhsM−CSFRを用いて、リガンド/レセプター相互作用、およびリガンド−誘発レセプターダイマー化を研究し得る。サイズ排除HPLCを用いて行ったリガンド/レセプター結合を検出するために用いたアッセイは、本質的には、欧州特許出願WO92/21029、C. Cunninghamら、に記載の通りであるが、以下のように改変してある:用いたカラムは、Superose 6(Pharmacia LKB Biotechnology, Inc.)であり、そして移動相は、0.5ml/分のPBSであり、そしてrhsM−CSFRに対するM−CSFの比は1:2であった。この比では、M−CSF/rhsM−CSFR複合体を、M−CSF(rhsM−CSFR)複合体に対して予想される分子量である、19,000分子量の見かけの流体力学範囲でクロマトグラフされた。リガンド/レセプター結合、あるいはレセプターダイマー化を測定するために、化学的架橋およびSDS−PAGE、または、免疫沈降およびSDS−PAGEなどの、他のアッセイが用いられ得る。レセプターダイマー化を阻害するがリガンド結合は阻害しない分子は、M−CSF作用を拮抗する他の方法を提供する。
rhsM−CSFRをコードするDNAを、以下の一般的な戦略を用いて昆虫細胞中で発現させるためにクローニングした。1位〜511位のアミノ酸に相当するc−fms遺伝子部分を、上流プライマー:
を用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、ヒトマクロファージcDNAから増幅した。下線を引いた配列は、pAcC5ベクター中にPCR生成物をサブクローニングするために用いたNcoIおよびBamHI制限部位である(Luckovら、Bio/Technology 6:47−55)。前述したように、バキュロウイルスヘルパーベクターを用いて、pAcC5:hsM−CSFRベクターを、SF9昆虫細胞中で発現させた(Summersら、A Manual of Methods for Baculovirus Vectors and Insect Cell Culture Procedures(1987))。
約2リットルの無血清72時間調整培地を、上記のpAcC5:hsM−CSFR構築物で感染したSF9細胞から遠心分離および濾過により収集した。この物質をDEAE緩衝液A[以下のプロテアーゼ阻害剤を含有する(これは、精製中は全ての緩衝液に添加される)10mM トリス(pH 8.8):1mM EDTA、2μg/ml ロイペプチン、および100μM PMSF]で濾過(diafiltered)し、そして20、000分子量カットオフPyrostat Ultrafiltration Membrane(Sartorius)で20倍に濃縮した。保持物質を、100mlのベッド体積を有し、DEAE緩衝液Aで平衡化した、DEAE Sepharose column(Pharmacia LKB Biotechnology, Inc., Piscataway, New Jersey)にかけた。溶出は、5ml/分で、500mlのDEAE緩衝液A中の0−0.8M NaClの濃度勾配で行った。rhsM−CSFRが濃縮された画分を、抗−c−fmsモノクローナル抗体を用いて、Western Analysis[Burnett, R., Anal. Biochem., 112:195(1981)]、および順次希釈画分のドットブロット分析で検出した。精製の間ドットブロットアッセイを用いて、rhsM−CSF含有画分を同定した。濃縮画分をプールし、硫酸アンモニウム 0.8Mとし、pH 7.0に調整し、そしてPhenyl TSK−5−PW HPLCカラム(7.5×75mm)(BioRad)にかけた。カラムを、1ml/分の45分にわたる硫酸アンモニウムの減少濃度勾配で溶出し、ピーク画分をプールし、そしてYM30 membrane(Amicon)を用いる撹拌細胞濃縮器で10倍に濃縮した。3ml/分のリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を移動相に用いて、保持物質を、FG3000XLサイズ排除カラム(DU PONT, Wilmington, Delaware)でクロマトグラフィーを行った。精製レセプターをプールし、上記のように1mg/mlまで濃縮し、4℃で保存した。この手順により、650μgのrhsM−CSFRが回収され、200倍に精製された。調製物は、クーマジーブルーで染色したSDS−PAGEによりアッセイされるように約95%の純度であった。
(実施例6:M−CSF/可溶性M−CSFレセプター複合体の結晶化)
M−CSF/rhsM−CSFR複合体を結晶化させるために、実施例2に記載されるようにガラスマイクロスコープスライドを調製する。用いられるM−CSF組成物を、膜内外領域の前の残基で切り出された、精製した可溶性形態のM−CSFレセプターと共にインキュベートし、M−CSF/レセプター複合体を形成する。いくつかの場合においては、大きさ排除の段階の前に、製造業者の指示に従って、N−グリカナーゼ(Genzyme, Cambridge Massachusetts)とのインキュベートによりrhsM−CSFRを脱グリコシル化する。少量のM−CSF/レセプター溶液を、ほぼ同量の滴下溶液(例えば、約20%(v/v)のPEG 4000、0.2M MgCl、0.1M Tris−HCl(pH 8.5))と、スポットプレートの各ウェル中で混合する。次いで、スポットプレートを、少量の沈殿剤溶液(例えば、約23%のPEG 4000、0.2M MgCl、0.1M Tris−HCl(pH 8.5))を含む透明なプラスチックサンドイッチボックス中に配置する。ボックスをすぐにシールし、そして室温で保存する。
数日後、M−CSF−レセプター複合体の結晶を単離し、約50mM Tris−HClを含む溶液に再び溶解させ、そして室温で放置する。精製したM−CSF−レセプター複合体は、溶液から結晶化し、X線構造解析用の結晶を形成する。このような複合体の結晶構造の溶液化(solution)を促進するために、M−CSF結合能力を保持する、短縮された非グリコシル化形態のrhsM−CSFR(上記)が、M−CSF−レセプター複合体の結晶を生じるために用いられ得る。
(実施例7)
実施例2および3で用いた非グリコシル化の短縮された配列の生物学的活性は、ヒトの尿から精製した成熟タンパク質の活性と等しいことが示された(Halenbeck, R.ら、Bio/Technology, 7:710〜715(1989))。示したように、得られた結晶は、P2空間群の斜方晶結晶格子を有し、セルのディメンジョンは、a=33.54、b=65.26、およびc=159.63Åであった。Photon Factory(つくば、日本)で、高分子結晶学用に改造したWeissenbergカメラにマウントした画像プレートを用い、強度データを収集した。2.0Åのみかけの解像力に対する固有データを収集し、そして1.0Åの照射を用いて水銀および白金誘導体のデータを収集した。固有データを収集するために、2つの結晶設定値を用いた(全ての測定を用いて、合計(Rmerge)(I)=7.0%、I>0.0で行う)。
リザーバー溶液中に溶解させた重原子化合物中に結晶を浸すことにより、M−CSF結晶の重原子誘導体を調製した。同形かつ異常な差パターソン図形は、水銀に対して1つのサイトおよび白金誘導体に対して2つのサイトを明瞭に示した。異常および同形位相情報は、PROTEINプログラムパッケージによる初期位相の精密化(refinement)に用いられた。重要な最終値(final figure of merit)は0.62であった(8.0〜3.0Å、6960 反射)。溶媒のフラットニング(flattening)(B.C.Wang, Methods Enzymol, 115:90(1985))の後、近似2回軸(approximate two−fold axis)と関連した4つのαヘリックスの2つの束を、電子密度分布図に見ることができた。この非結晶学的な軸の回転および並進のパラメーターを、密度相関方法により精密化した(J.M. Cox, J. Mol. Biol. 28:151(1967))。次いで、4つのヘリックスの束中の全ての原子の周りに5Åの球を当てて求めた包絡線を用い、分子アベレージング(molecular averaging)および溶媒フラットニング(G.Bricogne, Acta Cryst., 32:832(1976))により位相を繰り返し精密化した。プログラムFRODOを用い、チェイントレーシング(chain tracing)およびモデル構築(model building)を得られた図形に行い(T.A.Jones, Methods Enzymol, 115:157(1985))、このときオリジナルのMIR分布図をリファレンスとした。
精密化のための最初の部分モデルは、2つの束をつくる8つのヘリックスに対して、ポリアラニンの骨格のみを含んでいた。プログラムXPLOR, A.T.Brunger, J. Mol. Biol. 203:803(1985)を用いた位置精密化により、0.49〜3.0ÅのR因子が得られた。精密化したMIR位相との位相の組み合わせにより、充分な質を有する図形が得られ、4つのヘリックスの束を横切る2本の長いループおよび2つのヘリックスを結合する1本の短いループをトレースすることが可能になった。密度の濃い2つのピーク(1つは第一のヘリックスの頂上にあり、そして2つめは、分子の2回軸に直接載っている)を、ジスルフィド結合したシステインとして特定した。これらの2つのピークの間にある残基の数により、配列中のこれらのシステインの位置が唯一つに同定され、従って、介在している残基の配列が同定された。この最初の記録は、配列中の芳香族側鎖に対応する、密度の濃い多くの領域の存在により確かめられた。追加のループおよび目に見える上記の側鎖を用いて部分モデル位相を組み合わせることにより、残基が記録され、従って分子全体のトポロジーが決定された。ダイマー中の7つのジスルフィド結合の存在は、トレースを正確にするための重要な「限界点(tether points)」として機能した。
図2に示すように、M−CSFのこの形態の全体のトポロジーは、逆平行の4つのα−ヘリックスからなるの束のトポロジーである。ここで、ヘリックスは上向−上向−下向−下向であり、より一般に観察される4つのヘリックスの束の上向−下向−上向−下向の連接とは異なる。長い連結部は、ヘリックスAとヘリックスBとをつなぎ、そして類似の連結部がヘリックスCとDの間に見い出される。
他のサイトカインと他の4つのヘリックスからなる束構造との驚くべき差違は、短縮したM−CSFαがジスルフィドで結合したダイマーを形成することである。ここで、この束は、エンド−エンドでつながれ、図3および4に示すように、極端に平坦な伸長構造(およその長さは、85×35×25Å)を形成する。各モノマーには3つの分子内ジスルフィド結合があり(Cys7−Cys90、Cys48−Cys139、Cys102−Cys146)、これらの全ては分子の遠位端に存在する。図3および4に示すように、1つの鎖間ジスルフィド結合(Cys31−Cys31)はダイマーの界面に位置し、非結晶学的2回対称軸がそこを横切っている。突然変異実験は、M−CSFのこの形態での全てのシステイン残基が、完全な生物学的活性に必要であり得ることを示している。本明細書中に記載される構造は、システイン残基の役割がレセプターの認識に関連しているのではなく、主に構造的であることを示唆している。
添付書類1は、配列中のアミノ酸残基のα炭素の位置により同定されるように、短縮した組換えM−CSFαダイマーの三次元構造を提供する。これは、各ダイマーのポリペプチドのカルボキシ末端の5つのアミノ酸は含まれなかった。当業者に理解されるように、添付書類1の情報は、Brookheaven Protein Data Bankで使用されるフォーマットで提供される。
示すように、分子は、M−CSFレセプターの結合に関してM−CSFの重要な領域を同定する通常でないトポロジーを有する。ヘリックスA、C、およびD中の特異的な残基は、相互作用の特異性にかかわっていると考えられる。側鎖とレセプターとの相互作用を増大または低下させるために、部位特異的突然変異によってこれらの領域の溶媒受容性な残基を変更することは、M−CSFアゴニストまたはアンタゴニストを発生させるのに有用であり得る。例えば、1つまたはそれ以上のヒスチジンを同様の大きさの非水素供与性アミノ酸に変更することで、レセプターとの結合能力の変化したM−CSFを産生し得る。
(実施例8:M−CSFヘテロダイマーの調製)
(M−CSFモノマーの精製)
米国特許第4,929,700号に記載のNΔ3CΔ158M−CSFαに対するpL−M−CSFベクターまたはNΔ3CΔ221 M−CSFβ C157S、C159S(Kawasakiら、in Colony−Stimulating Factors, Dexter, T., Garland, J.およびTesta, N.編[1990])を含むE.coliを、グルコースおよび適切な抗生物質を含有する1リットルの最少塩培地中で培養した。2%のカザミノ酸を添加後、温度をシフトし39℃、4時間、M−CSFの発現を誘発した。細胞を遠心分離により採取し、50mM トリス(pH 8.5)、10mM EDTA中で超音波処理して溶解し、細胞残査を遠心分離で回収し、10mM EDTAを含有する30%スクロースで洗浄し、そして、屈折体ペーストの一部を還元条件下で8Mの尿素に溶解した。37℃で30分インキュベートした後、溶解したM−CSFを遠心分離により清澄にし、濾過した。次いで、8M尿素を含む10mM トリス (pH 8.5)、5mM DTT、0.5mM EDTA中で平衡化したBio−Gel TSK−DEAE−5−PWカラム(7.5×75mm)(BioRad Laboratories, Richmond, California)にロードした。モノマー性のM−CSFは、45分の0〜0.6M NaCl勾配で溶離した。M−CSFのピーク画分をプールし、そしてCentricon 10マイクロコンセントレーター(Amicon)で10mg/mlまで濃縮した。
(活性なM−CSFヘテロダイマーの形成および分析)
M−CSFホモダイマーは、予め冷却した50mM Tris(pH8.5)、5mM EDTA、2mMの還元型グルタチオン、および1mMの酸化型グルタチオンを含む溶液に、0.5mg/mlのタンパク質濃度に希釈することにより再生し、次いで4℃でインキュベートした。ヘテロダイマーは、同緩衝液中で158モノマーおよび221Fモノマーのプールを1mg/mlに希釈することにより再生した。再生をモニターするために、PBS(pH6.8)で平衡化したG3000SW Ultropack(Pharmacia LKB Biotechnology, Inc., Piscataway, New Jersey)サイズ排除カラム(7.5×600mm)に、直ちに反応サンプルを注入することにより、サイズ排除高圧液体クロマトグラフィー(SE−HPLC)分析を行った。
分画した生成物を、Laemmli、Nature(Canada)227:(680−685(1970)の方法に従って、還元SDS−PAGEで分析し、クマシー染色した。生物学的活性を、M−CSF依存性NFS−60バイオアッセイ(下記の実施例10参照のこと)を用いて測定した。抗体中和実験は、バイオアッセイの前に、約5,000ユニットのM−CSFダイマーを種々の希釈の中和M−CSF 5H410 Mab(再生されたE.coli CΔ 150 M−CSFαダイマーに対して作製された)とプレインキュベートしてから行った(Halenbeckら、Bio/Technology 7:710(1989))。
ヘテロダイマーのM−CSF生成物を、短クローンの1本の鎖(4位のアミノ酸から158位のアミノ酸)および長クローンの1本の鎖(4位のアミノ酸から221位のアミノ酸)からなるように設計した。長クローン鎖(211F)はまた、高次オリゴマーの形成の可能性を減少させるために、2つの必須ではないシステイン(157位および159位)のセリンへの置換を含んでいる。
M−CSF158および221Fの溶解された屈折体(refractile bodies)は、8M尿素中でDEAE−HPLCにより別個にクロマトグラフ分析された。単一のタンパク質のピークが各場合で溶出され、非還元のSDS−PAGEおよびクマシー染色(データは示さない)による純度の分析に基づいてピーク画分を集めた。得られたモノマーは、各場合で90%を超える純度であった。モノマーは、それぞれ10mg/mlまで濃縮され、再生緩衝液で希釈され、そして4℃で再生された。
短クローンM−CSFおよび長クローンM−CSFのダイマー化の割合を比較するために、20μlの、0時間、2時間、18時間、および72時間の各再生反応物をSE−HPLCカラムに注入した。形成されたダイマーM−CSFの量を、ダイマーと予測された分子量でのピーク領域から測定した。両方の再生反応において、M−CSFは、0時間においてモノマーとほとんど等しく、2時間までに約40%ダイマーになり、18時間までに75%近くがダイマーになった。再生された158および221Fの間のモノマーに対するダイマーの割合が良く似ていることから、ダイマー形成の割合は長クローンM−CSFおよび短クローンM−CSFで同じであることが示唆された。従って、再生反応において等モルの158および221Fが存在する場合、158ホモダイマーと221Fホモダイマーと158/221Fヘテロダイマーの最終相対的割合は、1:1:2と予測される(類似の分布が、インビボで乳酸脱水酵素のアイソザイムについて観察されている)。
(再生したホモダイマーおよびヘテロダイマーの生物学的活性)
上記の再生したホモダイマーおよびヘテロダイマーの生物学的活性をインビトロのM−CSF−依存性NFS−60バイオアッセイを用いて試験した(下記の実施例10を参照のこと)。図5A−Cにこれらの結果を示す。72時間再生後に分析したこれらのSE−HPLCおよび生物学的活性の特性(profile)で、ヘテロダイマー(図5C)が2つのホモダイマーの活性と類似した活性を示すことが示された(図5AおよびB)。ホモダイマーからのヘテロダイマーの分離はほぼ完全であるとすれば、ヘテロダイマーはインビトロで生物学的に充分活性であると考えられ得る。
これらのカラムで、予測されたヘテロダイマーの位置(2つのホモダイマーの間)に溶出されるM−CSFタンパク質が、実際には等モルの短クローンおよび長クローンのモノマーから構成されることを確認するために、158/221Fヘテロダイマーの予備精製の分析を行った。フェニルHPLCを上記のように行い、図6Aに示すように158ホモダイマーおよび221Fホモダイマーからヘテロダイマーが完全に分離されることが示された。
(M−CSFヘテロダイマーの予備精製)
再生したM−CSFを1NのHClでpH7.0に調整し、硫酸アンモニウムを加えて1.2Mにした。タンパク質を、1.2Mの硫酸アンモニウム、100mM リン酸(pH7.0)で平衡化したBio−Gel TSK−フェニル−5−PWカラム(7.5×75mm)(BioRad, Richmond, California)に添付した。M−CSFを、硫酸アンモニウムの濃度勾配を40%から80%に減少させた緩衝液B(10mM リン酸、pH7.0)で24分で溶出した。
還元および非還元SDS−PAGE(図6BおよびC)で、内部対照(158のダイマーおよび221Fのダイマー)が、このカラムにより約95%の均質性にまで精製され、そして各々が単一の予期されたモノマーバンドからなっていることが示された。ゲル分析でも、ヘテロダイマーが約95%の均質性まで精製されたこと、および等量の158モノマーおよび221Fモノマーからなることが示された。屈折体ペーストから精製された158/221Fヘテロダイマーの最終生成物収量は、15%より多かった。
ダイマーM−CSF種の生物活性を測定し、図6AのA280特性と比較した場合に、ヘテロダイマーが完全に活性であるという所見を確認する。ピーク画分を用いて計算した158/221Fヘテロダイマーの比活性は、それぞれ、158ホモダイマーおよび221Fホモダイマーの9.0×10ユニット/mgおよび6.8×10ユニット/mgに対して8.0×10ユニット/mgであった。
3つ全てのダイマー種の生物学的活性を、NFS−60バイオアッセイにおいて、5H410 M−CSF Mabを用いる系列希釈の中和実験と同程度まで中和した。この抗体はまた、同様に「天然型に再生された」チャイニーズハムズター卵巣細胞(CHO)で発現したM−CSFを中和する。さらにこの結果は、新規のM−CSFヘテロダイマーの再生した立体配座が、少なくともインビトロ活性に応答可能な最初の150アミノ酸内の領域に関しては、本質的に天然型様であることを示唆した。
(実施例9:結晶学的データに基づくM−CSFのアミノ酸置換の選択)
上記のX線結晶学的データは、M−CSFレセプター結合および生物学的活性を決定づけると考えられる、タンパク質中のアミノ酸の限定されたサブセットを同定し得る、M−CSFに関する十分な構造情報を提供し、従って、生物学的活性が変化したM−CSF変異タンパク質(すなわち、アゴニストまたはアンタゴニスト)を与えるという最終目的を有する突然変異誘発の候補体を示した。この情報に基づいて、いくつかの基準を用いて、置換の可能な標的アミノ酸のリストを作成した。
第一の基準は、溶媒にさらされること、または溶媒に接近可能なことであった。これはタンパク質の表面にあるアミノ酸残基に関連する。約0.25より大きい、そして好ましくは約0.4より大きい、溶媒が接近可能な表面領域を有する残基は、トリペプチドgly−x−glyにあるときに接近可能なアミノ酸の表面領域の正規化に基づき、好ましい(Kabsch, W.ら、Biopolymers 22:2577(1983))。モノマーの相対的配向を維持し、そしてタンパク質折り畳みのプロセスの妨害を避けるために、ダイマー界面のような、タンパク質の他の部分と相互作用しない残基が選択された。候補アミノ酸物質の選択において、ある場合に用いたさらに別の基準は、これらの残基とマウスM−CSFの対応する残基との関係である。別の重要な選択基準は、M−CSFレセプター残基との可能な水素結合または疎水的相互作用を妨害しようとするように、置換が非保存的であることであった。
表1は、アミノ酸残基および置換の例を示す。上記の置換のための候補を選択する基準を用いて、当業者は置換の可能な他の候補を容易に確かめ得る。
表に挙げたすべての置換候補が、M−CSFのアゴニストまたはアンタゴニストを生成することは期待されない(以下の実施例12を参照のこと)。むしろ、上記の選択基準に基づくと、それらは、アゴニストまたはアンタゴニストを生成すると思われる候補の唯一のリストではないことを示す。たとえ、天然型M−CSFと比較したときに変異体がアゴニストまたはアンタゴニストとして作用しなくても、その変異体はリガンドの従来の使用(リガンドと同様の活性を保持する場合)、または例えば診断試薬として有用であることはまた、注目されるべきことである。
(実施例10:H9A、H15A M−CSF変異タンパク質の調製)
M−CSF成熟N末端およびヘリックスA、C、およびDの領域由来の溶媒に接近可能な残基が変化している種々のM−CSF突然変異体は、当該分野で公知の技術を用いて構築された。例えば、N末端/Aヘリックス領域の2つのヒスチジンを、M−CSFαの短縮型(pLCSF158Aによりコードされている)の部位特異的突然変異誘発によりアラニンに置換した。3つのM−CSFヒスチジン残基のうち1つがM−CSFレセプター相互作用に関わっていることは、(Meth. in Enzymol. 47:431 (1977)に記載のように)1:100のDEPC:ヒスチジン比でのM−CSFにおけるヒスチジンのジエチルピロカーボネート(DEPC)修飾が生物活性を顕著に低下させたという本発明者らの観察結果により示された。
プラスミドDNA pLCSF158Aを、プラスミドpLCSF158Aを保持するE.coli HW22株から調製した(米国特許第4,929,700号、実施例6、「asp59SCSF/NΔ3CΔ158遺伝子を含むpJN653で形質転換したE.coliHW22株」)。この株を、50μg/mlのアンピシリンを含む350mlのR2培地(1%塩化ナトリウムを含み、グルコースを含まない2X Lブロス、J. Bact., 74:461 (1957))で、一晩振盪させて生育させた。プラスミドDNAを、製造者の指示に従ってQiagenチップ100カラムを用いて細胞から調製した。
20μgのpLCSF158A DNAを、200μlの1X New Endland Biolabs NEバッファー 2(New England Biolabs, Beverly, Massachusetts)中で、66単位のHindIIIおよび66単位のStuIで、37℃で3時間20分消化した。DNAをフェノールおよびクロロホルムで抽出し、次いでエタノール沈殿を行った。このDNAを、Boehringer Mannheim(Indianapolis, Indiana)により供給された、100μlの1X脱ホスホリル化緩衝液中の1単位の仔ウシ腸アルカリホスファターゼで、37℃で30分間処理した。仔ウシ腸アルカリホスファターゼをこの反応にさらに1単位加え、そして50℃で1時間インキュベーションを続けた。
得られたDNAを、次いで、1%FMC Bioproducts(Rockland, Maine)Sea KEM GTGアガロースゲル上に流した。5.7kbのpLCSF158Aフラグメントをゲルから切り取り、製造者の指示に従ってQiagen(Chatsworth, California) Qiaexビーズ上で精製した。
次いで、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、9位および15位のヒスチジン(成熟N末端から数えた)がアラニンに置換されているような突然変異M−CSF配列を含むPCR産物を作製した(H9A、H15A PCRフラグメントを作製)。M−CSF遺伝子の5’部分を、プライマーLF73およびLF74を用いるPCR反応で、プラスミドpLCSF158Aから増幅した。PCRの詳細は、Mullis, K.ら、米国特許第4,683,202号;Ehrlich, H.、米国特許第4,582,788号;Saikiら、米国特許第4,683,195号;Mullis, K.B., Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 51:263−273(1986);Saikiら, Bio/Technology 3:1008−10012(1985);およびMullis, K.B.ら, Meth. Enzymol 155:335−350(1987)に提供されており、これらのすべては、本明細書中に参考として援用されている。これらのプライマーの配列を以下に示す:
PCR期待産物は、クローニングのために、産物の各末端にHindIII部位およびStuI部位が位置しており、そして、His9およびHis15のヒスチジンコドンCACがアラニンのコドンGCCに突然変異している337bpのpLCSF158A配列を含むように設計した。
この産物を、4つの独立したPCR反応で増幅した。反応は、それぞれ100ngのpLCSF158A DNA、50pmoleのLF73、50pmoleのLF74、37.5μMのdNTPS、5%グリセロール、1X Perkin Elmer Cetus PCRバッファー、および2.5単位のPerkin Elmer Cetus AmpliTaq DNAポリメラーゼを100μl容量で含む。増幅は、Perkin Elmer Cetus DNA熱サイクラーで行った。AmpliTaqを加える前に、反応物を95℃にした。増幅は、変性温度95℃に1秒で移行して、95℃で1分間変性させ、アニーリング温度68℃に1秒で移行して、68℃で1分間アニールし、伸長温度72℃に30秒で移行して72℃で1分30秒間伸長させることを1サイクルとして25サイクルで行った。最後の伸長は、72℃で10分間行った。
各反応物5μlを、3%アガロースゲル上に流した(トリスホウ酸緩衝液中1.5% FMC Bioproducts SeaKem GTGアガロース、1.5% FMC Bioproducts NuSeive GTGアガロース)(FMC Bioproducts, Rockland, Maine)。次いでゲルをエチジウムブロミドで染色した。各反応について、約337bpで主要なバンドが可視化された。
4つの反応物をプールし、フェノールおよびクロロホルムで抽出し、エタノールで沈殿させ、再懸濁して、最終容量500μlの1X NEバッファー 2中の250単位のStuIで37℃で2時間消化し、500単位のHindIIIを反応物に加え、容量を1X NEバッファー 2で1mlにまで増加して、消化を37℃でさらに2.5時間続けた。DNAを3%アガロースゲル上で電気泳動した。300bp消化産物をゲルから切り取り、製造者の指示に従ってQiagen Qiaexビーズ上で精製した。
次いで、約68ngのHindIII/StuI消化PCR産物を、約28ngの5.7kb HindIII/StuI消化pLCSF158AベクターDNAに、約5:1の挿入断片:ベクター比で連結した。連結は、製造者により供給された、1X 連結緩衝液中1単位のBoehringer Mannheim T4 DNAリガーゼで、20μl容量で16℃で一晩行った。コントロールとして、28ngの5.7bpのHindIII/StuI消化pLCSF158AベクターDNAを、挿入断片のない同じ条件下で、それ自身に連結した。
各連結混合物の半分を用いて、コンピテントE.coli DG116(ATCC番号53606)細胞を、Molecular Cloning a Laboratory Manual Maniatisら, Cold Spring Harbor Labiratory(1982)に記載の塩化カルシウム法に類似のプロトコルを用いて形質転換した。形質転換細胞を、50μg/mlのアンピシリンを含むR2−4(1リットル中10gトリプトン、5g酵母抽出物、5gNaCl、2滴の消泡剤A、4mlの50%グルコース、および15g寒天)プレート上に塗沫し、30℃で90分間選択なしで発現させた。このプレートを室温で72時間インキュベートした。各形質転換体の4分の1をプレート塗沫した。挿入断片を含む連結物について、66のアンピシリン耐性コロニーがプレート上でみられた。挿入断片を含まない連結物については、コロニーはみられなかった。
これらのコロニーの1つ(TAF172−2株と称する)を採取し、50μg/mlのアンピシリンを有する350mlのR2ブロス中で30℃で一晩振盪しながら培養した。40%グリセロール中の凍結保存株を、この培養物から作製し、−70℃で貯蔵した。DNAは、上記のように、Qiagenチップ100カラムを用いて培養物から単離した。
精製DNA、pTAF172−2をジデオキシ法を用いて配列決定し、His9およびHis15がアラニンをコードするように突然変異した、M−CSF NΔ3CΔ158をコードするpLCSF158Aの配列を含むことを示した。
pTAF172−2によりコードされるM−CSF変異タンパク質NΔ3CΔ158 H9A、H15Aを、本質的に米国特許第4,929,700号の実施例5の記載に従って、変性剤として8M尿素を用いて、そしてDEAE精製段階において、発現させ、精製し、再生してダイマータンパク質を形成し、そしてアッセイを行った。
精製変異タンパク質のN末端配列を、標準の自動化エドマン分解法を用いて20サイクルで決定し、そしてHis9およびHis15がAlaに置換されたことを除いて、親のNΔ3CΔ158 M−CSFαリファレンスタンパク質の配列と同一であることを示した。タンパク質濃度は、A280および吸光係数0.68を用いて測定した。
精製変異タンパク質ダイマーを、NFS−60細胞を用いるバイオアッセイにかけた。この細胞は、活性M−CSFの存在下でコロニーを形成するM−CSF依存細胞系である。標準および精製変異タンパク質試料を、96ウエルマイクロタイタープレートの中で50μl容量のRPMI培地(10%ウシ胎児血清)で1:2に連続希釈した。4000U/mlのM−CSF中に維持し、2回洗浄し、そして1×10個/mlの細胞濃度に希釈した50μlのNFS−60細胞(ATCC番号CRL 1838)を、各試料ウェルに加えた。プレートを37℃、5%COで44時間インキュベートした。5mg/mlのMTT染料を各試料に加え、インキュベーションを4時間続けた。20% SDSを各試料に加えた。このプレートをホイルに包み、一晩静置した。各試料の吸光度を570nmで読み取り、既知のM−CSF濃度の標準と比較した。H9A、H15A変異タンパク質は、7.6×10U/mgの比活性を示した。対して、同じアッセイで親のM−CSF NΔ3CΔ158リファレンスは6.9×10U/mgの比活性であった。このことは、変異タンパク質は、生物学的活性がほとんど10,000倍低下していることを示す。同じM−CSF変異タンパク質調製物が、実施例9に記載のNSF−60レセプター競合アッセイを用いて、かなり低いM−CSFレセプター結合能力を有することが示された。H9A、H15A M−CSF変異タンパク質は、結晶化可能度および空間群を含めて、親M−CSFαとあまり異ならなかったので(実施例12参照)、生物学的活性の低下は、構造の大きな変形によるものではなく、重要なM−CSFレセプター接触の変化を示したものである。
本質的に同じ方法を用いて、9位および15位のそれぞれ置換したヒスチジンと接触する2つのM−CSF変異タンパク質を生成した(例えば、H9AおよびH15A)。H9A構築物は、PCRプライマーとして、以下のLF80、およびLF73(実施例9に記載)を用いた:
H15A構築物は、PCRプライマーとして、以下のLF81、およびLF73(実施例9に記載)を用いた:
上記の再生工程のすぐ後に行った精製変異タンパク質の生物学的アッセイは、ほぼ以下のような生物学的比活性を示した:H9Aは4×10U/mg、H15Aは3×10U/mg未満、あるアッセイでは、親M−CSF構築物は8×10U/mgを示した。この情報は、上記と組み合わせて、H15Aおよび可能なH9Aは、M−CSFレセプター結合に重要な構築物を代表することを示唆する。すぐ近くの溶媒に接近可能な残基(例えばY6およびS13)(表1参照)は、M−CSFレセプター接触残基を代表もし得る。H9、H15の側鎖のタンパク質様でない模擬物、およびすぐ近くの溶媒に接近可能な側鎖は、M−CSFアゴニストまたはアンタゴニストを代表し得る。このような残基は、十分なM−CSFレセプター結合を保持するがM−CSFアンタゴニスト特性を有するように設計されたM−CSF変異タンパク質構築物では置換されずにおかれるべきである。なぜなら、これらは顕著なM−CSF生物活性を有さないからである。十分なレセプター結合能力を保持し、そして顕著に低下した生物活性を示す変異タンパク質のホモダイマーは、M−CSFアンタゴニストを代表する。M−CSF生物活性およびレセプター結合能力の両方が、かなり低下したM−CSF変異タンパク質(例えばH15A)は、一般的にM−CSF免疫アッセイ適用において有用であり得、M−CSFに対する自己抗体を有する患者のための有用な治療薬を代表し得る。
(実施例11:Q20A、V78K M−CSF変異タンパク質)
実施例10に記載した方法と、本質的に同一の方法を用いて、M−CSFの二重変異体(Q20A、V78K)を構築し、AおよびCヘリックスの中央部にある、溶媒が接近可能な残基の重要性を試験した。以下のPCRプライマーを用いた。
得られた変異タンパク質を、実施例8に記載のように発現し、再生し、精製し、そしてアッセイした。特異的生物学的活性は1.4×10U/mgであり、元のM−CSFαの参照スタンダードより約8から10倍低かった。この変異タンパク質のレセプター結合活性もまた低下した。
この結果もまた、重要なM−CSFレセプター接触残基はAおよび/またはCおよび/またはDヘリックス中の溶媒が接近可能な残基中に存在すると結論づけられた、短縮されたM−CSFαを用いた結晶学的研究による予測を裏付ける。
これら変異体の相当数は、本発明者が示したように、より低い生物学的活性およびより低いM−CSFレセプター結合能を有する。これらのいくつかはレセプター結合能の減少を伴わない、より低い生物学的活性を有し得る。これらのいくつかは、増大した生物学的活性およびレセプター結合能を有し得る。また、これらのいくつかは、上記いずれの活性についても影響され得ない。
以下の2つの例はQ17A、R21A(PCRプライマーLF72を用いて生成)である:
これら構築物はいずれも、問題の領域内にある、溶媒が接近可能なアミノ酸の側鎖の性質を変更しているが、元の関連分子と比べて、生物学的活性には影響していなかった。これらの結果は、M−CSFアゴニストおよびアンタゴニスト活性を有するように設計された変異タンパク質において、残基Q17、R21、E115、およびN119を変更する必要はないことを示している。実際、M−CSFベースのタンパク質性薬剤を潜在的に投与された場合に、抗体が形成される可能性を少なくするためには、溶媒が接近可能な元のM−CSF内の残基(天然型分子に類似の)をできる限る保持することが好ましい。
Q17、R21、E115、およびN119の変更を含む変異タンパク質の残存活性は、近傍の残基(例えばH15)が寄与する、活性への大きな影響を妨げない。実際、我々が変更した領域はレセプター結合および/またはシグナリングのために重要であることが、その結晶構造から予測される。アンタゴニストとしてのM−CSF変異タンパク質は変異タンパク質1個あたり複数の残基の変更を用いること、または各ポリペプチド鎖に1つまたはそれ以上の変異を含むヘテロダイマー分子を用いることを必要とし得る。なぜなら、レセプターシグナリングに重要なM−CSF残基は、M−CSF中の不連続領域を構成していると考えられているからである。
(実施例12:減少したレセプター結合能および/または減少した生物学的特異的活性を有するM−CSFヘテロダイマーの形成)
実施例8に示したように、M−CSFはインビトロで折りたたまれ得、完全に活性なヘテロダイマーを生成し得る。M−CSFシグナル能が変更されたM−CSF変異タンパク質を取り込んだM−CSFヘテロダイマーを作成することで、M−CSF介在疾病の患者の治療のために有用なM−CSFアンタゴニストを生成することが可能である。M−CSFαN’3/C’158、H9A/H15Aのうちの1つのサブユニットおよびM−CSFβN’3/C’221、C157S/C159Sのうちの1つのサブユニットを有するヘテロダイマーを生成するために、各変異タンパク質をE.Coli中で発現させ、そして、実施例8に記載の変性および還元条件下のDEAEセファロースでそれぞれ精製した。この2つの変異サブユニットを、再生の前に混合し、 変異タンパク質を最終モル比1:1で含有する溶液を生成し、次いで、この溶液を実施例8に記載の再生緩衝液で0.2mg/mlに希釈した。再生の後に、実施例8に記載のように、フェニルTSK−5−PW HPLCカラムによる2つの連続した経路で上記ヘテロダイマー分子をホモダイマーから分離した。精製したヘテロダイマー調製物を非還元SDS−PAGEまたはBioSil SEC250カラム(BioRad製)を用いるサイズ排除HPLCで試験したとき、夾雑物は検出されなかった。
精製したヘテロダイマーを、実施例8に記載のNFS60細胞ベースのバイオアッセイに付した。特異的活性の計算値は2.9×10U/mgであり、これは実施例10に記載の、元のM−CSFヘテロダイマーの活性と比べると35倍の減少に当たる。細胞表面のM−CSFレセプターへの相対結合親和性を放射性リガンド置換によって測定した。ここでM−CSF変異タンパク質によるM−CSFレセプターから125I−M−CSFへの置換は、当業者に周知の方法によって測定される。簡単にいえば、96ウェル細胞培養プレートの各ウェルに、最終容量が100μlとなるように、以下を添加した:125Iで(製造者であるPierce、Rockford、ILの記載のように、Iodobeadsを用いて)ラベルした精製組換えヒトM−CSFを約80,000cpm相当分、洗浄された300,000個のNFS−60細胞。次いで、正常維持レベルのM−CSFを除いた増殖培地中で18時間培養し、同じ培地で連続希釈された、ラベルされていないM−CSFを加えた。このプレートを4℃で20時間インキュベートし、細胞をグラスファイバーフィルター上に採取した。最大結合は、ラベルされていないM−CSFが存在しない条件下で測定し、そして非特異的結合は(ラベルしたM−CSFと比較して)、1000倍高濃度のラベルされていないM−CSFの存在下で測定した。ラベルされたM−CSFの細胞への結合を50%阻害するために必要とされるM−CSFの濃度(IC50)を、親和性の違いを測定するために利用した。結果は、変異タンパク質濃度に対する、放射活性M−CSFの置換パーセントで表した(図7)。ヘテロダイマーのIC50(図7の黒四角)は、M−CSFαN’3/C”158(158)(図7の黒四角)についてのIC50が約17pMであるのに比べて30倍減少して約500pMであった。ヘテロダイマーの特異的活性およびレセプター親和性における減少の間の類似は、生物活性の減少がレセプター結合能の低下に依存していることを示している。同様に、Q20A/V78KF(図7の白丸)およびH9A/H15A(白四角)変異タンパク質の結合親和性もまた、この放射性リガンド置換アッセイで測定した。Q20A/V78K変異タンパク質は約100pMのIC50を有し、そしてH9A/H15A変異タンパク質は約1μMのIC50を有し、これらはそれぞれ、結合親和性の5倍の低下および50,000倍の低下に対応する。各変異タンパク質について、レセプター親和性の減少は特異的活性の減少と同様であり、やはり、生物活性の減少がレセプター結合能に依存していることを示している。
(実施例13:M−CSF H9A、H15A変異タンパク質の結晶化および定性)
実施例9に記載のH98、H15A変異タンパク質を、実施例1および2に記載の滴下法を用い、以下の緩衝液条件を用いて結晶化した:30%ポリエチレングリコール4000;100mM LiSO;およびpH8.5の100mMトリス。この条件下で生成した結晶は0.7mm×0.2mm×0.2mmの寸法の菱面体プリズムであった。プレセッション写真を用いたX線結晶学的分析は、a=33.99、b=65.37、c=159.90、d=90、e=90、およびf=90オングストロームのセルディメンジョンを有するP2,2,2空間群の結晶を示し、見かけの解像力で3オングストロームまで回折した。これら物理特性は元のNΔ3CΔ158M−CSFα分子で観測される物理特性と本質的に同じであり、そしてH9A、H15Aの変更の生物学的効果はM−CSF構造の全体の変更の総和の結果ではなく、むしろM−CSFレセプターとの相互作用に重要な側鎖の変更の結果であることを示唆している。これらのヒスチジン側鎖の変更は、レセプター結合またはコンフォメーション上の変化を安定化し、または促進するのに影響する原子を変えることにより、レセプター結合に影響し得る。H15Aのような変化は、M−CSFの側鎖近傍(もっともありそうなのはAおよび/またはCヘリックス領域)の位置を変更することにより、その機能に影響を与え得る。
上記実施例は例示のために提示され、添付の請求項に記載の本発明の範囲を限定することを意図しない。
本発明は、図面および特定の実施態様における議論を参照して、さらによく理解され得る。
図1は、本発明に従って調製されたM−CSFα結晶体の回折パターンの一部分である。 図2は、短縮型ダイマーM−CSFのジスルフィド結合を示す幾何学的ダイアグラムである。 図3は、10残基毎にラベルした残基番号および点線によって示した非結晶対称軸を伴う、C−アルファ骨格のステレオダイアグラムである。 図4および4aは、M−CSFの二次構造上のエレメントを強調したリボンダイアグラムの二つの視野を示す。システイン残基は、ボールおよびスティックモデルで表記し、非結晶対称軸は、点線で表記している。 図5A〜Cは、NΔ3CΔ158 M−CSF短形クローンホモダイマー(158)(A)、NΔ3CΔ221 C157S、C159S 長形クローンホモダイマー(221F)(B)、および上記短形クローン/長形クローンのヘテロダイマー(158/221F)(C)についてのサイズ排除HPLC解析およびそれらに対応する生物学的活性を示す。 図6Aは、サイズ排除HPLCを示す。 図6Bは、分取精製M−CSFの非還元のSDS−PAGE(6解析物)を示す。 図6Cは、分取精製M−CSFの還元下のSDS−PAGE(6解析物)を示す。 図7は、M−CSFおよびM−CSF変異タンパク質のNFS60細胞M−CSFレセプターへの結合を示す。

Claims (1)

  1. 結晶化マクロファージコロニー刺激因子α(M−CSFα)であって、該M−CSFαは2つのM−CSFαポリペプチドモノマーのダイマーであり、該モノマーは同一または異なり、かつ成熟M−CSFαポリペプチドと同一のアミノ酸配列を有し、そして該モノマーが異なる場合、該モノマーが少なくとも1つの、しかし5つより少ないアミノ酸残基によって他方と異なる、結晶化M−CSFα。
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