JP4623342B2 - Il−1エータのdna及びポリペプチド - Google Patents

Il−1エータのdna及びポリペプチド Download PDF

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Description

【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、新規の精製及び単離されたIL−1エータ(η)ポリペプチドとそのフラグメント、そのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、そのようなポリペプチドの組換え型の産生方法、これらポリペプチドに対して産生された抗体、これらポリペプチドから誘導される断片化ペプチド、及びそれらの使用に関する。
【0002】
先行技術の記載
インターロイキン−1(IL−1)は、大きなサイトカイン群のメンバーであり、その主要機能は免疫及び炎症性の反応を仲介することである。いくつかの既知のIL−1ファミリーメンバーがあるが、それにはIL−1アルファ(IL−1α)、IL−1ベータ(IL−1β)、IL−1受容体アンタゴニスト(IL−1ra)、IL−1デルタ(IL−1δ)、IL−1イプシロン(IL−1ε)、IL−1ゼータ(IL−1ζ)及びIL−18(かつてはIGIFとして知られ、IL−1ガンマとも知られている)が含まれる。マクロファージにより分泌されるIL−1は、実際は大部分のIL−1βといくらかのIL−1αの混合物である(Abbas et al., 1994)。IL−1αとIL−1βは、はじめはシグナル配列を欠く33kDの前駆体として産生され、タンパク分解の開裂によりさらにプロセシングを受けて、それぞれ約17kDの分泌される活性形態を産生する。さらに、IL−1αの33kD前駆体も活性である。このIL−1の両形態は第2染色体上に位置する2つの異なる遺伝子の産物である。この2つの形態は互いに30%未満相同でしかないが、それらは同一の受容体に結合し、類似の活性を有する。
【0003】
IL−1の生物学的に不活性な形態である、IL−1raは、構造的にはIL−1に相同であり、同一の受容体に結合する。さらに、IL−1raは、細胞外領域への効率的な分泌を可能にするシグナル配列とともに産生され、その領域でIL−1と競争的に競合する(Abbas et al., 1994)。
【0004】
IL−1ファミリーのリガンドは、Igスーパーファミリーのメンバーである、2種のIL−1受容体のファミリーに結合する。IL−1受容体には80kDaのI型受容体(IL−1RI)と68kDaのII型受容体(IL−1RII)が含まれる。IL−1リガンドはまた、IL−1RIIの可溶性タンパク分解フラグメント(sIL−1RII)にも結合し得る(Colotta et al., 1993)。
【0005】
IL−1の主たる起源は活性化マクロファージ又は単核食細胞である。IL−1を産生する他の細胞には、上皮及び内皮の細胞が含まれる(Abbas et al., 1994)。マクロファージからのIL−1分泌が起こるのは、マクロファージがグラム陰性細菌に遭遇して捕食した後である。そのような細菌は、内毒素としても知られるリポ多糖類(LPS)分子を細菌の細胞壁に含有する。LPS分子は、腫瘍壊死因子(TNF)及びIL−1を産生するようにマクロファージを刺激する活性成分である。この場合、IL−1はLPSとTNF産生に反応して産生される。低濃度では、LPSはマクロファージを刺激し、そして、細菌感染を排除するのに必要とされるB細胞と他の宿主の応答を活性化するが、高濃度では、LPSは重篤な組織障害、ショック、さらには死まで引き起こし得る。
【0006】
IL−1の生物学的機能には、血管内皮細胞及び白血球の活性化、局所性の組織破壊、及び発熱が含まれる(Janeway et al., 1996)。低レベルでは、IL−1はマクロファージ及び血管内皮細胞を刺激し、IL−6を産生させ、血管内皮細胞の表面上の分子をアップレギュレートして白血球吸着を増加させ、単核食細胞と他の細胞を刺激することによって炎症性白血球を間接的に活性化して、そして、炎症性白血球を活性化するある種のサイトカインを産生する。さらに、IL−1はプロスタグランジン、酸化窒素シンテターゼ、及びメタロプロテイナーゼの誘導のような他の炎症反応にも関わる。これらのIL−1の機能は低レベルの微生物感染時にはきわめて重要である。しかしながら、微生物感染が急上昇すると、IL−1は、発熱を誘発し、単核食細胞を刺激してIL−1及びIL−6を産生させ、肝細胞からの血清タンパク質の産生を高め、そして凝固系を活性化することによって全身的に作用する。さらに、IL−1は出血性の腫瘍壊死を引き起こさず、骨髄幹細胞の分裂を抑制しない。そしてIL−1は、高濃度ではヒトに対して致死的である。
【0007】
EP 0879889A2は、IL−1ファミリーの代表メンバーの多数の使用について論じる。この刊行物では、IL−1デルタのポリペプチドが、慢性及び急性の炎症、関節炎、敗血症、自己免疫疾患、移植拒絶、移植片対宿主病、感染症、卒中、虚血、急性呼吸疾患症候群、再狭窄、脳損傷、AIDS、骨疾患、癌、動脈硬化症及びアルツハイマー病を含む、様々な疾患の治療に使用し得ることが開示されている。IL−1ファミリーメンバーが治療に使用され得る他の疾患は、炎症性腸疾患、多発性骨髄腫、多発性硬化症、喘息、アレルギー、骨粗鬆症、膵炎、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、心筋梗塞及び鬱血性心不全を含む心臓病、ライム病、歯周病、腐敗症、熱射病、糸球体腎炎、変形性関節症、肉芽腫形成、早期分娩、及びブドウ膜炎である。
【0008】
IL−1の重要な機能を前提とすれば、IL−1リガンド及びIL−1受容体ファミリーの追加メンバーについて当技術分野ではニーズが存在する。さらに、タンパク質の研究と免疫系に対する継続した関心に照らし、(本発明のヒトIL−1イータのような)新規タンパク質及びその阻害剤の発見、同定及び役割は現代の分子生物学及び生化学の最先端にある。知識が増大しているにもかかわらず、細胞及び免疫の応答に関わるタンパク質の同一性及び機能については当技術分野で依然としてニーズが存在する。
【0009】
発明の概要
本発明は、「IL−1エータ」と呼ばれる新規なIL−1ファミリーリガンドについての単離ポリヌクレオチドとそのポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを提供することによって、上記の当技術分野の様々なニーズを充足することに役立つ。このように、1つの側面では、本発明は、SEQ ID NO:1のDNA配列を含んでなる、単離された新規のIL−1エータのポリヌクレオチド分子と、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列をコードする単離されたポリヌクレオチド分子、並びにこれらの配列に相補的なポリヌクレオチド分子に関する。
【0010】
一本鎖と二本鎖の両方のRNA及びDNAポリヌクレオチド分子、並びにSEQ ID NO:1の全部又は一部を含んでなる変性した、二本鎖DNA及び/又はSEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列をコードするDNAにハイブリダイズするポリヌクレオチド分子が本発明に含まれる。さらに含まれるのは、SEQ ID NO:1の配列を含んでなるポリヌクレオチド分子の in vitro 突然変異誘発により誘導される、SEQ ID NO:1の配列を含んでなるポリヌクレオチド分子から縮重している、並びに本発明のDNAの対立遺伝子(allelic)変異体である、単離ポリヌクレオチド分子である。本発明はまた、上記ポリヌクレオチド分子の発現を指令する組換えベクターとこれらベクターにより形質転換されたか又はトランスフェクトされた宿主細胞を含む。
【0011】
さらに、本発明は、上記のポリヌクレオチドを使用して、IL−1ファミリーのリガンド及び受容体に関連した活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを同定する方法を含む。このように、IL−1イータのポリヌクレオチドは、IL−1エータタンパク質をコードすることによりIL−1エータ受容体を同定するために使用され得る。
【0012】
さらに、上記のポリヌクレオチドは、このポリヌクレオチドが関連しているヒト染色体を同定するために使用し得る。このように、IL−1エータのポリヌクレオチドは、ヒトの第2染色体を同定するために使用し得る。従って、上記のポリヌクレオチドはまた、ヒトの第2染色体上の遺伝子地図を作成すること;ある種の疾患、症候群、又はヒト第2染色体に関連した他のヒトの病態に関連した遺伝子を同定すること;及び細胞のシグナル伝達と免疫系を研究することにも使用し得る。
【0013】
本発明はまた、本発明の遺伝子によりコードされるそれぞれのポリヌクレオチドの発現を阻害するために、SEQ ID NO:1のポリヌクレオチドに由来するセンス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用することを含む。
【0014】
本発明はまた、SEQ ID NO:2の可溶性ポリペプチド分子を含む、上記ポリヌクレオチド分子によりコードされるIL−1エータの単離されたポリペプチド又はフラグメントを含む。さらに本発明は、上記ポリペプチドの産生についての方法であって、発現を促進する条件の下で宿主細胞を培養し、そして、培養培地からこのポリペプチドを回収することを含む、前記方法を含む。特に、細菌、酵母、植物、昆虫及び動物細胞における上記ポリペプチドの発現が本発明には含まれる。
【0015】
一般に、本発明のポリペプチドは、免疫調節、細胞増殖、細胞死、細胞移動(cell migration)、細胞−細胞相互作用、及び炎症反応のような細胞プロセスを研究するために使用し得る。さらに、上記のポリペプチドは、IL−1エータのリガンドに結合するタンパク質を同定するために使用し得る。
【0016】
さらに、本発明には、上記ポリペプチドを利用してポリペプチドの反対構造分子(counter−structure−molecules)に関連した活性のある潜在的な阻害剤をスクリーニングするアッセイ、及びポリペプチドの反対構造分子が媒介する疾患の治療のための治療剤として上記ポリペプチドを使用する方法が含まれる。さらに、その阻害剤(例えば、阻害剤として作用する設計された受容体)の設計において上記ポリペプチドを使用する方法も本発明の一側面である。
【0017】
さらに本発明に含まれるのは、サンプルのポリヌクレオチド及び/又はタンパク質の同定に役立つ電子データベースの検索における使用のための、IL−1エータのポリヌクレオチド配列、そのポリペプチド又はそのフラグメントの予測されるアミノ酸配列、又はそのポリペプチド及びそのフラグメントの予測されるアミノ酸配列の組み合わせの使用である。
【0018】
上記ポリペプチドに結合する単離されたポリクローナル又はモノクローナルの抗体、さらに本発明のポリペプチドを精製するのに役立つ上記抗体の使用も本発明に含まれる。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明に含まれるポリヌクレオチド分子には、以下のヌクレオチド配列が含まれる:
名称:IL−1エータ
【0020】
【化1】
Figure 0004623342
【0021】
本発明のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列には以下が含まれる:
名称:IL−1エータ(ポリペプチド)
【0022】
【化2】
Figure 0004623342
【0023】
本発明のIL−1エータポリヌクレオチドの発見は、各ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含んでなる発現ベクター、並びにこの発現ベクターでトランスフェクトされるか又は形質転換される宿主細胞の構築を可能にする。本発明はまた、生物学的に活性なIL−1エータポリペプチドとそのフラグメントの単離及び精製を可能にする。さらにもう1つの態様では、本発明のポリペプチド又はそのオリゴヌクレオチドは、関連した活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを同定するためのプローブとして使用され得る。このように、IL−1エータは、IL−1エータファミリーリガンドに関連した活性を同定するために使用し得る。さらにIL−1エータのポリヌクレオチド又はそのオリゴヌクレオチドはヒトの第2染色体を同定するために使用し得る。同様に、上記のポリヌクレオチド又はそのオリゴヌクレオチドはヒト第2染色体上の遺伝子地図を作成すること、及びある種の疾患、症候群、又はヒト第2染色体に関連した他のヒトの病態に関連した遺伝子を同定することに使用し得る。このように、IL−1エータのポリヌクレオチド又はそのオリゴヌクレオチドは、緑内障、外胚葉性異形成、インスリン依存型糖尿病、皺肌皮膚症候群、T細胞白血病/リンパ腫、及び脛骨筋ジストロフィーを同定するために使用し得る。最後に、上記ポリヌクレオチドに由来する一本鎖のセンス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドは、IL−1エータによりコードされるポリヌクレオチドの発現を阻害するために使用され得る。
【0024】
IL−1エータとその可溶性フラグメントは、血管内皮細胞及びリンパ球の活性化を活性化する及び/又は阻害する、局所性の組織破壊と発熱の誘発(Janeway etal.,1996)を誘導する及び/又は阻害すること、IL−6を産生するマクロファージ及び血管内皮細胞を阻害する及び/又は刺激すること、プロスタグランジン、酸化窒素シンテターゼ及びメタロプロテイナーゼの誘導を誘発する及び/又は阻害すること、及び血管内皮細胞の表面にある分子のアップレギュレーションをアップレギュレートする及び/又は阻害することのために使用され得る。さらに、上記のポリペプチドとその断片化ペプチドはまた、転写因子のNF−κB及びAP−1、MAPキナーゼのJNK及びp38、COX−2、iNOSのような炎症メディエーターの誘導とこれらの分子により刺激されるあらゆる活性を誘発する及び/又は阻害するためにも使用され得る。
【0025】
さらに、上記のポリペプチドとその断片化ペプチドは、分子量マーカーとして、及びペプチド断片化の対照として使用し得て、本発明には、これらの試薬を含んでなるキットが含まれる。最後に、上記のポリペプチドとそのフラグメントは抗体を産生するために使用し得て、本発明には、IL−1エータポリペプチドを精製するための上記抗体の使用が含まれる。
【0026】
ポリヌクレオチド分子
特定の態様では、本発明は、混在する内因性物質がないある種の単離されたヌクレオチド配列に関する。「ヌクレオチド配列」は、分離したフラグメントの形態であるか又はより大きなポリヌクレオチド構築体の成分としてのポリヌクレオチド分子を意味する。ポリヌクレオチド分子は、少なくとも1回は実質的に純粋な形態で、及び(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989) に概説されるような)標準的な生化学方法によりその成分ヌクレオチド配列の同定、操作及び回収を可能にする量又は濃度において単離されたDNA又はRNAから誘導された。そのような配列は、好ましくは、典型的には真核生物の遺伝子に存在する内部の非翻訳配列、又はイントロンにより中断されていないオープンリーディングフレームの形態で提供及び/又は構築される。非翻訳DNAの配列は、オープンリーディングフレームから5’又は3’にも存在し得るが、ここではそれはコーディング領域の操作又は発現に干渉しない。好ましくは、本発明のDNAはSEQ ID NO:1のヌクレオチド112〜585を含む。
【0027】
本発明のポリヌクレオチドには、一本鎖と二本鎖の両方の形態であるDNA、並びにそのRNA相補体が含まれる。DNAには、例えば、cDNA、ゲノムDNA、化学合成したDNA、PCRにより増幅されたDNA、及びそれらの組み合わせが含まれる。ゲノムDNAは、慣用技術、例えばSEQ ID NO:1のcDNA、又はその好適なフラグメントをプローブとして使用することによって単離され得る。
【0028】
本発明のDNA分子には、完全長の遺伝子、並びにそのポリヌクレオチド及びフラグメントが含まれる。完全長の遺伝子はN末端のシグナルペプチドを包含し得る。他の態様には、可溶性の形態をコードする(例えばタンパク質の細胞外ドメインをシグナルペプチドと一緒か又は一緒でなくコードする)DNAが含まれる。
【0029】
本発明のポリヌクレオチドは、選好的には、ヒトの供給源から導かれるが、本発明には非ヒト種から導かれるものも含まれる。
本発明に含まれるのは、実施例1において記載されるような単離されたSEQ ID NO:1のヌクレオチド配列を有するcDNAクローンである。SEQ ID NO:1のヌクレオチド112〜585によりコードされるポリペプチドをSEQ ID NO:2に示す。この配列は、SEQ ID NO:2のIL−1エータをIL−1ファミリーのメンバーとして同定する。
【0030】
1つより多くのコドンが同一のアミノ酸をコードする、既知の遺伝暗号の縮重性により、DNAはSEQ ID NO:1に示すものから変化し得て、それでもSEQ ID NO:2のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードし得る。そのような変異DNAは、(例えばPCR増幅の間に起こる)サイレント突然変異から生じ得るか、又は天然(native)配列の意図的な突然変異誘発の産物であり得る。
【0031】
このように、本発明は、
(a)SEQ ID NO:1のヌクレオチド配列を含んでなるDNA;
(b)SEQ ID NO:1のヌクレオチド112〜585を含んでなるDNA;
(c)SEQ ID NO:2のポリペプチドをコードするDNA;
(d)(a)〜(c)のDNAに中程度のストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズし得て、本発明のポリペプチドをコードするDNA;(e)(a)〜(d)のDNAに高度のストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズし得る相補体であり、本発明のポリペプチドをコードするDNA;及び(f)(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)に定義されるDNAに遺伝暗号の結果として縮重であり、本発明のポリペプチドをコードするDNA:から選択される単離DNAを提供する。生物学的に活性である、例えばIL−1受容体に結合する、SEQ ID NO:2のポリペプチドフラグメントをコードするDNAも本発明に含まれる。当然ながら、そのようなDNA配列によりコードされるポリペプチドも本発明に含まれる。
【0032】
本明細書で使用されるように、中程度のストリンジェンシーの条件は、例えばDNAの長さに基づいて、当業者により容易に決定され得る。基本的な条件は Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Vol. 1, pp. I. 101-104, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989)に説明されていて、5X SSC,0.5% SDS,1.0mM EDTA(pH8.0)のニトロセルロースフィルター前洗浄溶液、約50%ホルムアミド、6X SSC、約42℃のハイブリダイゼーション条件(又はスターク溶液のような他の同様なハイブリダイゼーション溶液/約50%ホルムアミド、約42℃)、及び約60℃,0.5X SSC,0.1% SDSの洗浄条件の使用を包含する。高度のストリンジェンシーの条件も、例えばDNAの長さに基づいて、当業者により容易に決定され得る。一般に、そのような条件は上記のようなハイブリダイゼーション条件として定義され、約68℃,0.2X SSC,0.1% SDSでの洗浄である。当業者は、この温度と洗浄溶液の塩濃度がプローブの長さのような要因により必要に応じて調整し得ることを理解されよう。
【0033】
また本発明に含まれるのは、ポリペプチドフラグメントをコードするDNAと、以下に説明するような、不活性化N−グリコシル化部位、不活性化プロテアーゼプロセシング部位、又は保存的なアミノ酸置換を含んでなるポリペプチドをコードするDNAである。
【0034】
もう1つの態様では、本発明のポリヌクレオチド分子にはまた、天然DNAに少なくとも80%同一であるポリヌクレオチドが含まれる。さらに考慮されるのは、ポリヌクレオチドが天然ポリヌクレオチドに少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも98%同一、少なくとも99%同一、又は少なくとも99.9%同一である分子を包含する態様である。
【0035】
同一性比率は、視察と数学的計算により決定し得る。あるいは、2種のポリヌクレオチド配列の同一性比率は、Devereux et al. (Nucl. Acids Res. 12: 387, 1984)に記載され、ウィスコンシン大学遺伝学コンピュータグループ(UWGCG)から入手可能なGAPコンピュータプログラム、バージョン6.0を使用して配列情報を比較することによって決定し得る。GAPプログラムの好ましいデフォルト変数には以下が含まれる:(1)ヌクレオチドについての単一比較マトリックス(同一について1、非同一について0の値を含有する)と、Schwartz and Dayhoff, eds., Atlas of Protein Sequence and Structure, National Biomedical Research Foundation, pp. 353-358, 1979 に記載のような Gribskov and Burgess, Nucl. Acids Res. 14: 6745, 1986 の加重比較マトリックス;(2)各ギャップにつき3.0のペナルティと各ギャップの各記号につきさらに0.10のペナルティ;及び(3)末端ギャップについてはペナルティなし。配列比較のために当業者に使用される他のプログラムも使用し得る。
【0036】
本発明はポリペプチドの産生に有用な単離されたポリヌクレオチドを提供する。そのようなポリペプチドは、数多くの慣用技術のいずれかによって製造し得る。本発明のポリペプチドをコードするDNA、又はその所望されるフラグメントは、そのポリペプチド又はフラグメントの製造のために発現ベクターへサブクローン化され得る。このDNAは、有利には、適切なリーダー又はシグナルペプチドをコードするDNAに融合される。あるいは、所望されるフラグメントが既知の技術を使用して、化学的に合成され得る。DNAフラグメントはまた、完全長のクローン化DNAの制限エンドヌクレアーゼ消化により産生され、アガロースゲル上の電気泳動により単離され得る。必要ならば、5’又は3’末端を所望されるように再構築するオリゴヌクレオチドが、制限酵素消化により産生されるDNAフラグメントへ連結され得る。そのようなオリゴヌクレオチドは、所望のコーディング配列の上流に制限エンドヌクレアーゼ開裂部位をさらに含有し、開始コドン(ATG)をコーディング配列のN末端に位置づける場合もある。
【0037】
周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法も、所望のタンパク質フラグメントをコードするDNAを単離して増幅するために適用し得る。DNAフラグメントの所望される末端を規定するオリゴヌクレオチドが5’及び3’のプライマーとして利用される。さらに、オリゴヌクレオチドは、増幅されたDNAフラグメントの発現ベクターへの挿入を促進するために、制限エンドヌクレアーゼの認識部位を含有し得る。PCR技術は Saiki et al., Science 239: 487 (1988); Recombinant DNA Methodology, Wu et al., eds., Academic Press, Inc., San Diego (1989), pp. 189-196;及び PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Innis et al., eds., Academic Press, Inc. (1990) に説明される。
【0038】
ポリペプチドとそのフラグメント
本発明はポリペプチドとそのフラグメントを様々な形態で含むが、それには、天然に存在するものか又は組換えDNA技術が関わる方法のような様々な技術により産生されるものが含まれる。そのような形態には、限定しないが、誘導体、変異体、及びオリゴマー、並びに融合タンパク質又はそれらのフラグメントが含まれる。
【0039】
本発明のポリペプチドには、上記に示されるポリヌクレオチド配列によりコードされる完全長のタンパク質が含まれる。IL−1エータの特に好ましいポリペプチドはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含む。
【0040】
本発明のポリペプチドは分泌され得て、従って、可溶性であり得る。可溶性ポリペプチドは、それが発現される細胞から分泌され得る。一般に、可溶性ポリペプチドは、所望のポリペプチドを発現する無傷の(intact)細胞を培地から、例えば遠心分離により分離し、所望のポリペプチドの存在について培地(上澄液)をアッセイすることによって同定され(非可溶性の膜結合型の対合物から区別され)得る。ポリペプチドの培地における存在は、このポリペプチドが細胞から分泌され、従って、このタンパク質の可溶形態であることを示す。
【0041】
1つの態様では、可溶性のポリペプチドとそのフラグメントは、細胞外ドメインの全部又は一部を含むが、細胞膜上にポリペプチドの保持を引き起こし得る膜貫通領域を欠く。可溶性ポリペプチドは、ポリペプチドが産生される細胞から分泌される限り、細胞質ドメイン、又はその一部を包含し得る。
【0042】
一般に、可溶形態の使用はある種の応用にとって有利である。可溶性ポリペプチドは細胞から分泌されるので、組換え宿主細胞からのポリペプチドの精製が促進される。さらに、一般に、可溶性ポリペプチドは、静脈内投与により適している。
【0043】
本発明はまた、所望の生物学的活性を保持する細胞外ドメインのポリペプチド及びフラグメントを提供する。特定の態様は、天然のコグネイト、基質、又は対構造(「結合パートナー」)に結合する能力を保持するSEQ ID NO:2のポリペプチドフラグメントに関する。そのようなフラグメントは、上記のように、可溶性ポリペプチドであり得る。もう1つの態様では、ポリペプチド及びフラグメントには、有利にも、上記のようなIL−1リガンド及びIL−1受容体ファミリーに保存された領域が含まれる。
【0044】
さらに本明細書に提供されるのは、SEQ ID NO:2の配列の少なくとも20個、又は少なくとも30個の連続したアミノ酸を含んでなるポリペプチドフラグメントである。ポリペプチドフラグメントはまた抗体を産生するときの免疫原として利用され得る。
【0045】
天然に存在する変異体、並びにポリペプチド及びフラグメントの誘導される変異体も本明細書に提供される。
変異体は、少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を示し得る。さらに考慮されるのは、ポリペプチド又はフラグメントが好ましいポリペプチド又はそのフラグメントに対して少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも98%同一、少なくとも99%同一、又は少なくとも99.9%同一であるアミノ酸配列を含む態様である。同一性比率は、視察と数学的計算により決定し得る。あるいは、2種のタンパク質配列の同一性比率は、Needleman and Wunsch (J. Mol. Bio. 48: 443, 1973)のアルゴリズムに基づき、ウィスコンシン大学遺伝学コンピュータグループ(UWGCG)から入手可能なGAPコンピュータプログラムを使用して配列情報を比較することによって決定し得る。GAPプログラムの好ましいデフォルト変数には以下が含まれる:(1)Henikoff and Henikoff (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915, 1992) により記載されるスコアリング・マトリックス、blosum62;(2)12のギャップウェート;(3)4のギャップ長ウェート及び(3)末端ギャップについてはペナルティなし。配列比較のために当業者に使用される他のプログラムも使用し得る。
【0046】
本発明の変異体には、例えば、選択的mRNAスプライシング反応か又はタンパク分解的な開裂から生じるものが含まれる。選択的なmRNAのスプライシングは、例えば、天然に存在するタンパク質の可溶形態のような、先端が切れているが生物学的には活性なタンパク質を産出する。タンパク分解に帰せられる変異には、タンパク質から1つ又はそれより多くの末端アミノ酸(一般には1〜5個の末端アミノ酸)がタンパク分解的に除去されることにより、様々な宿主細胞の型において発現時にN又はC末端が異なることが含まれる。アミノ酸配列における違いが遺伝的多型性(タンパク質を産生する個体間の対立遺伝変異)に帰せられるタンパク質も本明細書で考慮される。
【0047】
本発明の範囲内にある追加の変異体には、グリコシル基、脂質、リン酸、アセチル基、等のような他の化学的成分と共有性又は集合性のコンジュゲートを形成することによってその誘導体を創出するように修飾され得るポリペプチドも含まれる。共有性の誘導体は、ポリペプチドのアミノ酸側鎖上の官能基かN末端又はC末端に化学的成分を連結することによって製造され得る。それに結合した診断用(検出し得る)又は治療用の薬剤を含んでなるコンジュゲートも、以下に詳しく論じるように、本明細書で考慮される。
【0048】
他の誘導体には、N末端又はC末端融合のような組換え培地における合成による、ポリペプチドの他のタンパク質又はポリペプチドとの共有又は集合性のコンジュゲートが含まれる。融合タンパク質の例はオリゴマーとともに以下に論じる。さらに、融合タンパク質は精製及び同定を促進するために加えられるペプチドを含む。そのようなペプチドには、例えば、ポリ−His、又は米国特許第5,011,912号及び Hopp et al., Bio/Technology 6: 1204, 1988 に記載の抗原性同定ペプチドが含まれる。そのようなペプチドの1つはFLAG(登録商標)ペプチド、Asp−Tyr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−Lysである。これはきわめて抗原性であり、特定のモノクローナル抗体により可逆的に結合されるエピトープを提供し、発現される組換えタンパク質の迅速アッセイと簡略な精製を可能にする。4E11と称されるマウスのハイブリドーマは、参照により本明細書に援用される米国特許第5,011,912号に記載のようなある種の2価金属カチオンの存在下でFLAG(登録商標)ペプチドと結合する。4E11ハイブリドーマ細胞系は、受け入れ番号HB 9259の下でアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに保管されている。FLAG(登録商標)ペプチドに結合するモノクローナル抗体はイーストマン・コダック社、科学造影システム部門、ニューヘーヴン、コネティカットから入手可能である。
【0049】
本明細書で提供される変異ポリペプチドのなかには、天然の生物学的活性を保持する天然のポリペプチドの変異体、又はそれらの実質的な均等物がある。1つの例は、天然の形態と本質的に同じ結合親和性で結合する変異体である。結合親和性は、例えば米国特許第5,512,457号と以下に示されるような慣用法によって測定され得る。
【0050】
変異体には、天然の形態と実質的に相同であるが、1つ又はそれより多くの欠失、挿入又は置換のために天然の形態のものとは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。特定の態様には、限定しないが、天然配列と比較して、アミノ酸残基の1〜10個の欠失、挿入又は置換を含むポリペプチドが含まれる。
【0051】
あるアミノ酸は、例えば、類似の物理化学的特徴を有する残基により置換され得る。そのような保守的な置換の例には、Ile、Val、Leu又はAlaを互いに置換するように、ある脂肪族残基を他の脂肪族残基に置換すること;LysとArg、GluとAsp、又はGlnとAsnの間のように、ある極性基を他の極性基に置換すること;あるいは、Phe、Trp又はTyrを互いに置換するように、ある芳香族残基を他の芳香族残基に置換することが含まれる。他の保守的な置換(例えば類似した疎水性の特徴を有する残基全体を置換すること)もよく知られている。
【0052】
同様に、本発明のDNAには、1つ又はそれ以上の欠失、挿入又は置換のために天然のDNAとは異なるが、生物学的に活性なポリペプチドをコードする変異体が含まれる。
【0053】
さらに本発明には、会合した天然パターンのグリコシル化を有するか又は有さない本発明のポリペプチドが含まれる。酵母又は哺乳動物の発現系(例、COS−1又はCOS−7細胞)において発現されるポリペプチドは、発現系の選択により、分子量及びグリコシル化パターンにおいて、天然のポリペプチドに類似しているか又はそれとは有意に異なることがあり得る。大腸菌(E. coli)のような細菌発現系における本発明のポリペプチドの発現は非グリコシル化の分子を提供する。さらに、ある調製物では、多数の異なるグリコシル化をしたタンパク質の種が含まれる場合がある。グリコシル基は、慣用方法、特にグリコペプチダーゼを利用する方法により除去し得る。一般に、本発明のグリコシル化ポリペプチドはモル過剰量のグリコペプチダーゼ(ベーリンガーマンハイム)とともにインキュベートされ得る。
【0054】
対応して、アミノ酸残基又は配列の様々な付加若しくは置換、又は、末端若しくは内部の残基又は配列の欠失をコードする同様のDNA構築体も本発明に含まれる。例えば、ポリペプチドの細胞外ドメインにあるN−グリコシル化部位は、グリコシル化を妨げ、哺乳動物及び酵母の発現系において炭水化物が減少した類似体の発現を可能にするように、修飾され得る。真核生物のポリペプチドにおけるN−グリコシル化部位はAsn−X−Yなるアミノ酸の三つ組によって特徴づけられ、ここでXはPro以外の任意のアミノ酸であり、YはSer又はThrである。この三つ組をコードするヌクレオチド配列に対する適切な置換、付加又は欠失は、Asn側鎖における炭水化物残基の結合の防止をもたらす。例えば、Asnを別のアミノ酸に置換するように選択した単一ヌクレオチドの変更は、N−グリコシル化部位を不活性化するのに十分である。あるいは、Ser又はThrをAlaのような別のアミノ酸に置換し得る。タンパク質内のN−グリコシル化部位を不活性化するための既知の方法には、参照により本明細書に援用される、米国特許第5,071,972号及びEP276,846号に記載のものが含まれる。
【0055】
変異体のもう1つの例では、生物学的活性に必須ではないCys残基をコードするヌクレオチドを、Cys残基を欠失させるか又は他のアミノ酸で置換させるように変化させ、折りたたみ又は再生のときに不正確な分子内ジスルフィド架橋の形成を防止することが可能である。
【0056】
他の変異体は、KEX2プロテアーゼ活性が存在する酵母の系における発現を高めるために、隣接する二塩基性アミノ酸残基を修飾することによって製造される。EP212,914号は、タンパク質内のKEX2プロテアーゼプロセシング部位を不活性化するための部位特異的突然変異誘発の使用を開示する。KEX2プロテアーゼのプロセシング部位は、Arg−Arg、Arg−Lys、及びLys−Arg対を、これらの隣接塩基性残基の出現を消去するように変化させる残基の欠失、付加又は置換により不活性化される。Lys−Lys対はKEX2開裂に対してほとんど影響されないので、Arg−Lys又はLys−ArgのLys−Lysへの変換は、保守的で、KEX2部位を不活性化するのに好ましいアプローチを代表する。
【0057】
本発明に含まれるのは、IL−1エータポリペプチドを含有するオリゴマー又は融合タンパク質である。そのようなオリゴマーは、二量体、三量体、又はより高次のオリゴマーを含む、共有結合しているか又は非共有結合している多量体の形態であり得る。上記のように、好ましいポリペプチドは可溶性であり、従って、これらのオリゴマーは可溶性ポリペプチドを含む場合がある。本発明の1つの側面では、オリゴマーはポリペプチド成分の結合能力を維持し、それに対し2価、3価等の結合部位を提供する。
【0058】
本発明の1つの態様は、ポリペプチドに融合したペプチド成分間の共有又は非共有の相互作用により連結した多数のポリペプチドを含んでなるオリゴマーに関する。そのようなペプチドはペプチドリンカー(スペーサー)、又はオリゴマー化を促進する特性を有するペプチドであり得る。以下により詳しく説明するように、ポリペプチドに付いてそのオリゴマー化を促進し得るペプチドには、ロイシンジッパーと、抗体から由来したある種のペプチドがある。
【0059】
1つの選択肢として、オリゴマーは、免疫グロブリンに由来するポリペプチドを使用して製造される。抗体由来ポリペプチドの様々な部分(Fcドメインを含む)に融合したある異種ポリペプチドを含んでなる融合タンパク質の調製は、例えば Ashkenazi et al. (PNAS USA 88: 10535, 1991);Byrn et al. (Nature 344: 677, 1990); 及び Hollenbaugh and Aruffo ("Construction of Immunoglobulin Fusion Proteins", in Current Protocols in Immunology, Suppl. 4, pages 10. 19. 1-10. 19. 11, 1992) により説明される。
【0060】
本発明の1つの態様は、本発明のポリペプチドを抗体由来のFcポリペプチドに融合することによって創出した2種の融合タンパク質を含んでなるダイマーに関する。本発明のポリペプチド/Fc融合タンパク質をコードする遺伝子融合物を好適な発現ベクターへ挿入する。組換え発現ベクターで形質転換された宿主細胞において、ポリペプチド/Fc融合タンパク質が発現され、そして抗体分子のように会合し、このとき鎖間のジスルフィド結合がFc部分間で形成され、2価の分子を産生する。
【0061】
「Fcポリペプチド」という用語には、本明細書で使用するように、Fc領域のCHドメインのいずれか又は全部を含んでなる、抗体のFc領域を構成するポリペプチドの天然及びムテインの形態が含まれる。二量体化を促進するヒンジ領域を含有するそのようなポリペプチドの短縮型(truncated form)も含まれる。好ましいポリペプチドはヒトIgG1抗体から誘導されるFcポリペプチドを含む。
【0062】
参照により本明細書に援用される、PCT出願WO93/10151号に記載の1つの好適なFcポリペプチドは、ヒトIgG1抗体のN末端ヒンジ部からFc領域の天然のC末端までわたる単鎖ポリペプチドである。もう1つの有用なFcポリペプチドは、参照により本明細書に援用される米国特許第5,457,035号及び Baum et al., (EMBO J. 13: 3992-4001, 1994) に記載されたFcムテインである。このムテインのアミノ酸配列は、アミノ酸19がLeuからAlaへ変化し、アミノ酸20がLeuからGluへ変化し、アミノ酸22がGlyからAlaへ変化していることを除くと、WO93/10151号に示される天然のFc配列のそれと同一である。ムテインはFc受容体に対して減少した親和性を示す。
【0063】
Fc部分を含んでなる上記の融合タンパク質(及びそれから形成されるオリゴマー)は、プロテインA又はプロテインGのカラムでのアフィニティークロマトグラフィーによる精製を容易にする利点を提供する。
【0064】
他の態様では、本発明のポリペプチドは、抗体重鎖又は軽鎖の可変部について置換され得る。融合タンパク質が抗体の重鎖と軽鎖の両方でつくられる場合、4つまでものポリペプチド細胞外領域と同数のオリゴマーを形成することが可能である。
【0065】
あるいは、オリゴマーは、ペプチドリンカー(スペーサーペプチド)を有するか又は有さない,多数のポリペプチドを含んでなる融合タンパク質である。好適なペプチドリンカーには、参照により本明細書に援用される、米国特許第4,751,180号及び4,935,233号に記載のものがある。所望のペプチドリンカーをコードするDNA配列が、好適な慣用法を使用して、本発明のDNA配列の間に、同一の読み枠で挿入され得る。例えば、リンカーをコードする化学合成されたオリゴヌクレオチドが、上記の配列の間に連結され得る。特定の態様では、融合タンパク質は、ペプチドリンカーにより分離された、2〜4個の本発明の可溶性ポリペプチドを含む。
【0066】
本発明のオリゴマーを製造するもう1つの方法は、ロイシンジッパーの使用に関わる。ロイシンジッパードメインはそれが見出されるタンパク質のオリゴマー化を促進するペプチドである。ロイシンジッパーは、いくつかのDNA結合タンパク質において最初に同定され(Landschulz et al., Science 240: 1759, 1988)、以来、多種多様なタンパク質に見出されてきた。既知のロイシンジッパーのなかには天然に存在するペプチドと、二量体化又は三量体化するその誘導体がある。
【0067】
ジッパードメイン(本明細書ではオリゴマー化、又はオリゴマー形成ドメインとも言われる)は、反復する7個のリピートを含み、それにはしばしば、他のアミノ酸に分断された4又は5個のロイシン残基がある。ジッパードメインの例は酵母転写因子のGCN4とラット肝臓に見出される熱安定性のDNA結合タンパク質に見出されるものである(C/EBP; Landschulz et al., Science 243: 1681, 1989)。2種の核内形質転換タンパク質である、fos及びjunも、マウスの癌原遺伝子、c−mycの遺伝子産物と同じように、ジッパードメインを示す(Landschulz et al., Science 240: 1759, 1988)。核内癌遺伝子、fos及びjunの産物は、ヘテロ二量体を選好的に形成するジッパードメインを含む(O'Shea et al., Science 245: 646, 1989; Turner and Tjian, Science 243: 1689, 1989)。ジッパードメインはこれらタンパク質の生物学的活性(DNAとの結合)に必要である。
【0068】
パラミクソウイルス、コロナウイルス、麻疹ウイルス、及び多くのレトロウイルスを含む、いくつかの異なるウイルスの融合原性(fusogenic)タンパク質もジッパードメインを保有する(Buckland and Wild, Nature 338: 547, 1989; Britton, Nature 353: 394, 1991; Delwart and Mosialos, AIDS Research and Human Retroviruses 6: 703, 1990)。この融合原性ウイルスタンパク質のジッパードメインはこのタンパク質の膜貫通領域の近くにあり、ジッパードメインが融合原性タンパク質のオリゴマー構造に貢献し得ると示唆されている。融合原性ウイルスタンパク質のオリゴマー化は、融合孔の形成に関与する(Spruce et al, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 88: 3523, 1991)。ジッパードメインはまた、熱ショック転写因子のオリゴマー化にもある役割を担うと最近報告されている(Rabindran et al., Science 259: 230, 1993)。
【0069】
ジッパードメインは、短く平行に巻いたコイルのように折りたたまれる(O'Shea et al., Science 254: 539; 1991)。この平行巻きコイルの全体構成は十分特徴づけられていて、Crick (Acta Crystallogr. 6: 689, 1953) により提唱されるように、「ノブから穴へ」(knobs-into-holes)パッキングである。ジッパードメインにより形成される二量体は、McLachlan and Stewart (J. Mol. Biol. 98: 293; 1975) の命名によれば、(abcdefg)nと表記される7個のリピートにより安定化される。ここで、残基a及びdは一般に疎水性の残基(dはロイシンである)であり、これらはヘリックスの同一面に整列する。gとeの位置には通常反対電荷の残基が現れる。このように、2つのらせんジッパードメインから形成される平行巻きコイルにおいては、第一ヘリックスの疎水性側鎖により形成される「ノブ」が、第二ヘリックスの側鎖間に形成される「穴」へパックされる。
【0070】
位置d(しばしばロイシン)にある残基は大きな疎水性の安定化エネルギーに貢献し、オリゴマー形成にとって重要である(Krystek et al., Int. J. Peptide Res. 38: 229, 1991)。Lovejoy et al. (Science 259: 1288, 1993) は、らせんが上下行する三本鎖αヘリックスの束構造の合成を最近報告した。彼らの研究から、疎水性の安定化エネルギーがらせんモノマーからの巻きコイル形成の主たる推進力を提供することが確かめられた。上記の研究は、巻きコイルの化学量論と幾何学に静電的な相互作用が貢献することも示している。ロイシンジッパーの構造に関するさらなる議論については Harbury et al. (Science 262: 1401, 26 November 1993) に見出される。
【0071】
可溶性オリゴマータンパク質に適したロイシンジッパードメインの例はPCT出願WO94/10308号に記載され、肺界面活性タンパク質D(SPD)から誘導されるロイシンジッパーについては、参照により本明細書に援用される Hoppe et al. (FEBS Letters 344: 191, 1994) に記載されている。異種タンパク質の安定な三量体化を可能にする、それが融合する修飾されたロイシンジッパーの使用が Fanslow et al. (Semin. Immunol. 6: 267-278, 1994) に説明されている。ロイシンジッパーペプチドが融合した可溶性ポリペプチドを含んでなる組換え融合タンパク質が好適な宿主細胞で発現され、形成される可溶性オリゴマーが培養上澄液から回収される。
【0072】
ある種のロイシンジッパー部分は選好的に三量体を形成する。1つの例は、そのまま参照により本明細書に援用される、Hoppe et al. (FEBS Letters 344: 191, 1994) と米国特許第5,716,805号に記載のような肺界面活性タンパク質D(PSD)から誘導されるロイシンジッパーである。この肺SPD誘導化ロイシンジッパーペプチドは、アミノ酸配列、Pro Asp Val Ala Ser Leu Arg Gln Gln Val Glu Ala Leu Gln Gly Gln Val Gln His Leu Gln Ala Ala Phe Ser Gln Tyrを含む。
【0073】
三量体化を促進するもう1つのロイシンジッパーの例は、米国特許第5,716,805号に記載のようなアミノ酸配列、Arg Met Lys Gln Ile Glu Asp Lys Ile Glu Glu Ile Leu Ser Lys Ile Tyr His Ile Glu Asn Glu Ile Ala Arg Ile Lys Lys Leu Ile Gly Glu Argを含んでなるペプチドである。1つの別の態様では、N末端にAsp残基が加えられ、もう1つの態様では、ペプチドはN末端のArg残基を欠く。
【0074】
オリゴマー化を促進する特性を保持する、前記ジッパーペプチドのフラグメントも利用し得る。そのようなフラグメントの例には、限定しないが、上記のアミノ酸配列に表されるN末端又はC末端の残基の1又は2個を欠くペプチドが含まれる。ロイシンジッパーは、天然に存在するロイシンジッパーペプチドから、例えば天然のアミノ酸配列における保守的な置換により誘導され得るが、ここでオリゴマー化を促進するペプチドの活性は保持される。
【0075】
天然に存在する三量体タンパク質から誘導される他のペプチドも三量体オリゴマーの製造に利用され得る。あるいは、オリゴマー化を促進する合成ペプチドが利用される場合がある。特定の態様では、ロイシンジッパー部分にあるロイシン残基がイソロイシン残基に置換される。イソロイシンを含んでなるそのようなペプチドはイソロイシンジッパーと言われる場合があるが、本明細書で利用されるように、「ロイシンジッパー」の用語に含まれる。
【0076】
ポリペプチドとそのフラグメントの産生
本発明のポリペプチドとそのフラグメントの発現、単離及び精製は、限定しないが以下を含む、好適な技術により達成され得る:
本発明はまた、DNAを含有する組換えクローニング及び発現ベクター、並びにこの組換えベクターを含有する宿主細胞を提供する。DNAを含んでなる発現ベクターは、このDNAによりコードされる本発明のポリペプチド及びフラグメントを製造するために使用され得る。ポリペプチドを製造する方法は、ポリペプチドをコードする組換え発現ベクターで形質転換された細胞を、ポリペプチドの発現を促進する条件下で培養し、次いで発現されたポリペプチドをこの培養物から回収することを含む。当業者には、発現されたポリペプチドを精製する方法が利用される宿主細胞の型のような要因により、及びこのポリペプチドが膜結合性であるか、又は宿主細胞から分泌される可溶形態であるかにより変わり得ることがわかるだろう。
【0077】
任意の好適な発現系を利用し得る。ベクターには、本発明のポリペプチド又はフラグメントをコードするDNA、それと機能可能的に連結した(operably linked)、哺乳動物、細菌、ウイルス又は昆虫の遺伝子に由来するような、好適な転写又は翻訳の調節ヌクレオチド配列が含まれる。調節配列の例には、転写プロモーター、オペレーター、又はエンハンサー、mRNAリボソーム結合部位、及び転写及び翻訳の開始及び終了を制御する適切な配列が含まれる。ヌクレオチド配列は、調節配列が機能的にこのDNA配列に関わるとき、機能可能的に連結する。このように、プロモーターヌクレオチド配列は、プロモーターヌクレオチド配列がDNA配列の転写を制御する場合、DNAに機能可能的にDNAに連結する。一般に、所望の宿主細胞において複製する能力を与える複製起点、及び形質転換体が同定される選択遺伝子が、発現ベクターへ取り込まれる。
【0078】
さらに、適切な(天然又は異種の)シグナルペプチドをコードする配列が発現ベクターへ取り込まれ得る。シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNA配列は、このDNAがはじめに転写され、mRNAがシグナルペプチドを含んでなる融合タンパク質へ翻訳されるように、本発明のポリヌクレオチド配列に対してインフレームで融合され得る。意図される宿主細胞において機能的であるシグナルペプチドは、ポリペプチドの細胞外分泌を促進する。シグナルペプチドは、その細胞からのポリペプチドの分泌時に、ポリペプチドから開裂される。
【0079】
当業者は、シグナルペプチドの開裂される位置がコンピュータプログラムにより予測されるものとは異なる場合があり、組換えポリペプチドを発現することに利用される宿主細胞の型のような要因により変化し得ることも理解されよう。タンパク調製物には、1つより多くの部位でのシグナルペプチドの開裂から生じる、異なるN末端アミノ酸を有するタンパク質分子の混合物が含まれ得る。
【0080】
ポリペプチドの発現に適した宿主細胞には、原核生物、酵母又は高等な真核細胞が含まれる。宿主細胞としての使用に概して好ましいのは哺乳動物又は昆虫の細胞である。細菌、真菌、酵母、及び哺乳動物細胞の宿主との使用に適したクローニング及び発現のベクターは、例えば、Pouwels et al. Cloning Vectors: A Laboratory Manual, Elsevier, New York, (1985) に記載されている。無細胞翻訳系も、本明細書に開示されるDNA構築体から誘導されるRNAを使用してポリペプチドを産生するために利用され得る。
【0081】
原核生物には、グラム陰性又はグラム陽性の生物が含まれる。形質転換に適した原核性の宿主には、例えば、大腸菌(E. coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)及びシュードモナス(Pseudomonas)、ストレプトマイセス(Streptomyces)及びスタフィロコッカス(Staphylococcus)属内の様々な他の種が含まれる。大腸菌 のような原核性の宿主細胞では、原核宿主細胞における組換えポリペプチドの発現を促進するためにN末端メチオニン残基をポリペプチドが含む場合がある。このN末端Metは、発現される組換えポリペプチドから開裂され得る。
【0082】
原核宿主細胞において使用される発現ベクターは、概して1つ又はそれより多くの表現型の選択マーカー遺伝子を含む。表現型の選択マーカー遺伝子は、例えば、抗生物質耐性を与えるか又は自己栄養要求性を供給するタンパク質をコードする遺伝子である。原核宿主細胞に有用な発現ベクターの例には、クローニングベクターpBR322(ATCC 37017)のような市販のプラスミドから誘導されるものが含まれる。pBR322はアンピシリン及びテトラサイクリン耐性の遺伝子を含有し、従って、形質転換された細胞を同定するための簡便な手段を提供する。好適なプロモーターとDNA配列がpBR322ベクターへ挿入される。他の市販ベクターには、例えば、pKK223−3(ファルマシアファインケミカルズ、ウプサラ、スウェーデン)及びpGEM1(プロメガバイオテク、マジソン、WI,USA)が含まれる。
【0083】
組換え原核宿主細胞の発現ベクターに通常使用されるプロモーター配列には、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースプロモーター系(Chang et al., Nature 275: 615, 1978;及び Goeddel et al., Nature 281: 544, 1979)、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel et al., Nucl. Acids Res. 8: 4057, 1980;及びEP−A−36776)及びtacプロモーター(Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, p. 412, 1982)が含まれる。特に有用な原核宿主細胞の発現系は、ファージλPLプロモーターとcI857ts易熱性リプレッサー配列を利用する。λPLプロモーターの誘導体を取り込むアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから入手可能なプラスミドベクターには、プラスミドpHUB2(大腸菌株のJMB9,ATCC 37092に存在)及びpPLc28(大腸菌RR1,ATCC 53082に存在)が含まれる。
【0084】
あるいは、ポリペプチドは、好ましくは Saccharomyces 属(例えば、S. cerevisiae)からの酵母宿主細胞において発現され得る。Pichia 又は Kluyveromyces のような他の酵母の属も利用され得る。酵母ベクターは、2μ酵母プラスミド由来の複製起点配列、自律複製配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニル化の配列、転写終止の配列、及び選択マーカー遺伝子をしばしば含有する。酵母ベクターに適したプロモーター配列には、とりわけ、メタロチオネイン、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzeman et al., J. Biol. Chem. 255: 2073, 1980)、あるいはエノラーゼ、グリセロアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼのような他の解糖系酵素(Hess et al., J. Adv. Enzyme Reg. 7: 149, 1968;及び Holland et al., Biochem. 17: 4900, 1978)のプロモーターが含まれる。酵母での発現の使用に適した他のベクター及びプロモーターは、Hitzeman, EPA−73,657にさらに記載される。もう1つの選択肢は、Russel et al. (J. Biol. Chem. 258: 2674, 1982) 及び Beier et al. (Nature 300: 724, 1982) により記載された、グルコースで抑制されるADH2プロモーターである。酵母と大腸菌の両方で複製し得るシャトルベクターは、大腸菌における選択及び複製のためのpBR322由来DNA配列(Ampr遺伝子及び複製起点)を上記の酵母ベクターへ挿入することによって構築され得る。
【0085】
酵母α因子のリーダー配列はポリペプチドの分泌を指令するために利用し得る。α因子リーダー配列は、しばしばプロモーター配列と構造遺伝子配列の間に挿入される。例えば、Kurjan et al., Cell 30: 933, 1982 及び Bitter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 5330, 1984 を参照のこと。酵母宿主からの組換えポリペプチドの分泌を促進するのに適した他のリーダー配列は当業者に知られている。リーダー配列は、1つ又はそれより多くの制限部位を含有するようにその3’末端の近くで修飾され得る。このことにより、リーダー配列の構造遺伝子への融合が促進される。
【0086】
酵母の形質転換プロトコールは当業者に知られている。そのようなプロトコールの1つは Hinnen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75: 1929, 1978 に記載されている。Hinnen et al. のプロトコールは選択培地においてTrp+形質転換体について選択するが、ここで選択培地は0.67%酵母窒素塩基、0.5%カサミノ酸、2%グルコース、アデニン10mg/ml及びウラシル20mg/mlを含む。
【0087】
ADH2プロモーター配列を含有するベクターにより形質転換された酵母宿主細胞は、「リッチ」培地において発現を誘導するために増殖され得る。リッチ培地の例は、1%酵母抽出物、2%ペプトン及び、アデニン80mg/ml及びウラシル80mg/mlで補充した1%グルコースを含むものである。グルコースが培地から消費され尽くすと、ADH2プロモーターの脱抑制が起こる。
【0088】
哺乳動物又は昆虫の宿主細胞培養系も組換えポリペプチドを発現するために利用され得る。昆虫細胞における異種タンパクの産生用のバキュロウイルス系については Luckow and Summers, Bio/Technology 6:47 (1988) により概説されている。確立された哺乳動物起源の細胞系も利用し得る。好適な哺乳動物宿主細胞系の例には、COS−7サル腎臓細胞系(ATCC CRL 1651)(Gluzman et al., Cell 23: 175, 1981)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、及びBHK(ATCC CRL 10)細胞系、さらに McMahan et al. (EMBO J. 10: 28121, 1991) により記載されたアフリカミドリザル腎臓細胞系CV1(ATCC CCL 70)から誘導されるCV1/EBNAが含まれる。
【0089】
DNAを哺乳動物細胞へ導入するための確立された方法は Kaufman, R. J., Large Scale Mammalian Cell Culture, 1990, pp. 15-69 に記載されている。リポフェクタミン(Lipofectamine)脂質試薬(ギブコ/BRL)又はリポフェクタミン−プラス(Lipofectamine-Plus)脂質試薬のような市販の試薬を使用するさらなるプロトコールを使用して、細胞をトランスフェクトすることができる(Felgner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 7413-7417, 1987)。さらに、Sambrook et al. (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd. ed. Vol. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989) に記載のような慣用法を使用して哺乳動物細胞をトランスフェクトするためにエレクトロポレーションを使用し得る。安定な形質転換体の選択は、例えば、細胞毒性薬に対する耐性のような当技術分野で知られている方法を使用して実施し得る。Kaufman et al., Meth. in Enzymology 185: 487-511, 1990 は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)耐性のような、いくつかの選択スキームを説明する。DHFR選択に適した宿主株はCHO株のDX−B11であり得るが、これはDHFRを欠いている(Urlaub and Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 4216-4220, 1980)。DHFRのcDNAを発現するプラスミドをDX−B11株へ導入することが可能であり、このプラスミドを含有する細胞だけが適切な選択培地において増殖し得る。発現ベクターへ取り込み得る他の選択マーカーの例には、G418やハイグロマイシンBのような抗生物質への耐性を与えるcDNAが含まれる。このベクターを宿す細胞がこれらの化合物に対する耐性に基づいて選択され得る。
【0090】
哺乳動物宿主細胞の発現ベクターについての転写及び翻訳の制御配列はウイルスゲノムから切り出し得る。通常使用されるプロモーター配列及びエンハンサー配列は、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、シミアンウイルス40(SV40)、及びヒトサイトメガロウイルスから誘導される。SV40ウイルスゲノムから誘導されるDNA配列、例えば、SV40起点、初期及び後期プロモーター、エンハンサー、スプライス、及びポリアデニル化の部位が、哺乳動物宿主細胞における構造遺伝子配列の発現についての他の遺伝子要素を提供するために利用され得る。ウイルスの初期及び後期プロモーターが特に有用であるのは、ウイルス複製起点を含有するフラグメントとして、いずれもウイルスゲノムから容易に得られるからである(Fiers et al., Nature 273: 113, 1978; Kaufman, Meth. in Enzymology, 1990)。より小さいか又はより大きいSV40フラグメントも、SV40ウイルス複製起点部位中に位置づけられるHindIII部位からBglI部位へ広がる約250bpの配列が含まれる限り、使用され得る。
【0091】
哺乳動物発現ベクター由来の異種遺伝子の発現を向上することが示されているさらなる制御配列には、CHO細胞に由来する発現増強配列要素(EASE)(Morris et al., Animal Cell Technology, 1997, pp. 529-534 及びPCT出願WO97/25420号)、及び3裂リーダー(TPL)、及びアデノウイルス2由来のVA遺伝子RNA(Gingeras et al., J. Biol. Chem. 257: 13475-13491, 1982)のような配列が含まれる。ウイルス起源の内部リボソームエントリー部位(IRES)配列は、ジシストロン性(dicistronic)mRNAが効率的に翻訳されることを可能にする(Oh and Sarnow, Current Opinion in Genetics and Development 3: 295-300, 1993; Ramesh et al., Polynucleotides Research 24: 2697-2700, 1996)。選択マーカーの遺伝子(例、DHFR)が後続するジシストロンmRNAの一部としての異種cDNAの発現は、宿主のトランスフェクション効率と異種cDNAの発現を向上させることが示されている(Kaufman, Meth. in Enzymology, 1990)。ジシストロンmRNAを利用する代表的な発現ベクターは、Mosser et al., Biotechniques 22: 150-161, 1997 に記載のpTR−DC/GFPと Morris et al., Animal Cell Technology, 1997, pp. 529-534 に記載のp2A5Iである。
【0092】
有用な高発現ベクターである、pCAVNOTが、Mosley et al., Cell 59: 335-348, 1989 に記載されている。哺乳動物宿主細胞における使用についての他の発現ベクターは、Okayama and Berg(Mol. Cell. Biol. 3: 280, 1983)により開示されるように構築され得る。C127マウス乳房上皮細胞における哺乳動物cDNAの安定な高レベル発現に有用な系は、実質的に Cosman et al. (Mol. Immunol. 23: 935, 1986) に記載のように構築され得る。Cosman et al., Nature 312: 768, 1984 に記載の有用な高発現ベクターである、PMLSV N1/N4は、ATCC 39890として保管されている。さらなる有用な哺乳動物発現ベクターが、参照により本明細書に援用される、EP−A−0367566及びWO91/18982号に記載されている。さらにもう1つの選択肢では、ベクターはレトロウイルスから誘導され得る。
【0093】
もう1つの有用な発現ベクターである、pFLAG(登録商標)も使用し得る。pFLAG(登録商標)技術は低分子量(1kD)で、親水性のpFLAG(登録商標)マーカーペプチドを、pFLAG(登録商標)発現ベクターにより発現される組換えウイルスのN末端に融合させることに集中している。
【0094】
利用され得るシグナルペプチドに関して述べると、天然のシグナルペプチドは、所望されるならば、異種のシグナルペプチド又はリーダー配列により置換され得る。シグナルペプチド又はリーダーの選択は、組換えポリペプチドが産生される宿主細胞の型のような要因に依存する場合がある。例示すると、哺乳動物宿主細胞において機能的である異種シグナルペプチドの例には、米国特許第4,965,195号に記載のインターロイキン−7(IL−7)のシグナル配列;Cosman et al., Nature 312: 768, 1984 に記載のインターロイキン−2受容体のシグナルペプチド;EP367,566に記載のインターロイキン−4受容体シグナルペプチド;米国特許第4,968,607号に記載のI型インターロイキン−1受容体シグナルペプチド;及びEP460,846に記載のII型インターロイキン−1受容体シグナルペプチドが含まれる。
【0095】
本発明には、ポリペプチドとそのフラグメントを単離して精製する方法が含まれる。
本発明に含まれる「単離された」ポリペプチド又はそのフラグメントは、それ(ら)が天然において見出され得る環境と同一な環境には存在しないペプチド又はフラグメントである。本発明に含まれる「精製された」ポリペプチド又はフラグメントは、例えば、上記のもののような組換え発現系の精製産物又は天然に存在する細胞及び/又は組織のような非組換え源からの精製産物のように、他のタンパク質又はポリペプチドと本質的に会合していない。
【0096】
1つの好ましい態様では、組換えポリペプチド又はフラグメントの精製は、本発明のポリペプチド又はフラグメントの精製に役立つ、他のポリペプチドへの本発明のポリペプチド又はフラグメントの融合を使用して達成し得る。そのような融合パートナーにはポリ−His又は上記の他の抗原同定ペプチド、並びにすでに記載したFc部分が含まれ得る。
【0097】
宿主細胞の型に関しては、当業者に知られているように、組換えポリペプチド又はフラグメントを精製する方法は、利用される宿主細胞の型や、組換えポリペプチド又はフラグメントが培地へ分泌されるか否かといった要因により変化し得る。
【0098】
一般に、組換えポリペプチド又はフラグメントは、分泌されなければ宿主細胞から、又は可溶性で分泌されれば培地又は上清から単離され得て、1回又はそれより多くの濃縮、塩析、イオン交換、疎水相互作用、アフィニティー精製、又はサイズ排除クロマトグラフィーの工程が続く。上記の工程を達成する特定の方法に関しては、市販のタンパク濃縮膜、例えば、アミコン又はミリポアペリコンの超濾過ユニットを使用して、最初に培地を濃縮してもよい。濃縮工程に続き、濃縮物がゲル濾過媒体のような精製マトリックスへ適用され得る。あるいは、アニオン交換樹脂、例えば、ペンダントなジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するマトリックス又は基質を利用し得る。マトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース、又はタンパク精製に通常利用される他のタイプのものであり得る。あるいは、カチオン交換工程を利用し得る。好適なカチオン交換物には、スルホプロピル又はカルボキシメチル基を含有する様々な不溶性マトリックスが含まれる。さらに、クロマト濃縮工程を利用し得る。あるいは、疎水性相互作用のクロマトグラフィー工程を利用し得る。好適なマトリックスは樹脂に結合したフェニル又はオクチル部分である。さらに、組換えタンパク質と選択的に結合するマトリックスを用いたアフィニティークロマトグラフィーを利用し得る。そのように利用される樹脂の例は、レクチンカラム、色素カラム、及び金属キレートカラムである。最後に、疎水性RP−HPLC媒体(例えば、ペンダントなメチル、オクチル、オクチルデシル又はその他の脂肪族の基を有するシリカゲル又はポリマー樹脂)を利用する1回又はそれより多くの逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)工程を利用して、さらにポリペプチドを精製することが可能である。様々に組み合わされる、上記精製工程の一部又は全部はよく知られていて、単離されて精製される組換えタンパク質を提供するために利用され得る。
【0099】
また、本発明のポリペプチドに対して産生されるモノクローナル抗体のような、本発明のポリペプチド結合タンパク質を含んでなるアフィニティーカラムを利用して、発現されるポリペプチドをアフィニティー精製することも可能である。これらのポリペプチドは、慣用技術、例えば、高い塩濃度の緩衝液で溶出した後に使用のために低塩濃度の緩衝液へ透析すること、又はpHや利用されるアフィニティーマトリックスに応じて他の成分を変えることを使用してアフィニティーカラムから取り出し得るか、又は本発明から導かれるポリペプチドのような、天然に存在するアフィニティー部分の基質を使用して競合的に取り出し得る。
【0100】
本発明のこの側面では、本発明のポリペプチドと相互作用し得る本発明の抗ポリペプチド抗体、又は他のタンパク質のようなポリペプチド結合タンパク質は、カラムクロマトグラフィーマトリックス、又は本発明のポリペプチドをその表面上に発現する細胞を同定、単離、又は精製するのに適した類似の基質のような固相支持体へ結合し得る。本発明のポリペプチド結合タンパク質の固相接触表面への吸着は、任意の手段により達成し得る。例えば、磁気マイクロスフェアをこのポリペプチド結合タンパク質でコートして、インキュベーション容器において磁場を介して固定し得る。細胞混合物の懸濁液を、そのようなポリペプチド結合タンパク質をその上に有する固相と接触させる。本発明のポリペプチドをその表面に有する細胞は固定されたポリペプチド結合タンパク質に結合し、結合しない細胞は洗浄除去される。このアフィニティー結合法は、そのようなポリペプチド発現細胞を溶液から精製、スクリーニング、又は分離するのに有用である。ポジティブ選択された細胞を固相から遊離させる方法は当技術分野で知られていて、例えば、酵素の使用が含まれる。そのような酵素は、好ましくは、細胞に対して無毒で非障害性であり、好ましくは細胞表面結合パートナーを開裂することに向けられる。
【0101】
あるいは、本発明のポリペプチド発現細胞を含有すると思われる細胞の混合物を、先ず本発明のビオチニル化ポリペプチド結合タンパク質とともにインキュベートしてもよい。インキュベーション時間は、典型的には、本発明のポリペプチドへの十分な結合を確保するために少なくとも1時間の間である。次いで、生成した混合物を、アビジン被覆ビーズで詰めたカラムへ通し、それによりアビジンに対するビオチンの高親和性によりポリペプチド結合細胞のビーズに対する結合が提供される。アビジン被覆ビーズの使用が当技術分野で知られている。Berenson et al. J. Cell Biochem., 10D: 239 (1986) を参照のこと。結合しない物質の洗浄と結合した細胞の遊離は、慣用法を使用して実施される。
【0102】
所望される純度の程度は、タンパク質の意図される使用に依存する。ポリペプチドが例えば in vivo 投与される場合は、比較的高い程度の純度が所望される。そのような場合、ポリペプチドは、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)による分析時に他のタンパク質に対応するタンパク質のバンドが検出されないように精製される。関連分野の当業者により認識されるように、グリコシル化の違い、翻訳後プロセシングの違い、等により、そのポリペプチドに対応する多数のバンドがSDS−PAGEで視覚化される場合がある。最も好ましくは、本発明のポリペプチドは、SDS−PAGEによる分析で単一タンパク質のバンドにより示されるように、実質的な均一性にまで精製される。タンパク質のバンドは、銀染色、クマッシーブルー染色、又は(タンパク質が放射標識されれば)オートラジオグラフィーにより視覚化され得る。
【0103】
本発明の精製されたポリペプチド(タンパク質、ポリペプチド、フラグメント、変異体、オリゴマー、及び他の形態を含む)は、従来の結合アッセイのような適切なアッセイにおいて、結合パートナーへ結合する能力について試験され得る。例示すると、ポリペプチドは検出試薬(例、放射核種、発色素、発色又は蛍光反応を触媒する酵素、等)で標識され得る。標識されたポリペプチドを、結合パートナーを発現する細胞に接触させる。次いで、細胞を洗浄して非結合性の標識ポリペプチドを除去し、細胞に結合した標識の存在を、標識の性質により選択された、好適な技術により決定する。
【0104】
結合アッセイ法の1例は以下のようなものである。結合パートナーのcDNAを含有する組換え発現ベクターが、当技術分野でよく知られた方法を使用して構築される。この組換え発現ベクターでCV1−EBNA−1細胞/10cm2ディッシュをトランスフェクトする。CV−1/EBNA−1細胞(ATCC CRL 10478)は、CMVの極初期エンハンサー/プロモーターから推進されて、EBV核抗原−1を構成的に発現する。CV1−EBNA−1は McMahan et al. (EMBO J. 10: 2821, 1991) に記載のように、アフリカミドリザル腎臓細胞系CV−1(ATCC CCL 70)から誘導された。
【0105】
トランスフェクトされた細胞を24時間培養し、次いで各ディッシュの細胞を24穴プレートへ分割する。さらに48時間培養した後で、トランスフェクトした細胞(約4x104細胞/ウェル)をBM−NFDMで洗浄する。これは、脱脂乾燥乳50mg/mlが加えられた結合培地(25mg/mlのウシ血清アルブミン、2mg/mlのアジ化ナトリウム、20mM Hepes,pH7.2を含有するRPMI 1640)である。次いで、例えば上記のようにつくった様々な濃度の可溶性ポリペプチド/Fc融合タンパク質とともに、細胞を37℃で1時間インキュベートする。次いで細胞を洗浄し、一定飽和濃度の125I−マウス抗ヒトIgGとともに、37℃で1時間ゆっくり振盪させながら、結合培地においてインキュベートする。しっかり洗浄した後で、トリプシン処理により細胞を遊離させる。
【0106】
上記に利用されるマウス抗ヒトIgGはヒトIgGのFc領域に抗して向けられ、ジャクソン・イムノリサーチ・ラボラトリーズ社、ウェストグローブ、PAから入手可能である。標準的なクロラミンT法を使用して抗体を放射ヨード化する。この抗体は、細胞に結合したポリペプチド/Fcタンパク質のFc部分へ結合する。すべてのアッセイにおいて、非特異的な125I−抗体の結合をFc融合タンパク質/Fcの不在下、並びにFc融合タンパク質と200倍モル過剰の非標識マウス抗−ヒトIgG抗体の存在下でアッセイする。
【0107】
細胞に結合した125I−抗体をパッカード・オートガンマカウンターにて定量する。アフィニティー計算結果(Scatchard, Ann. N. Y. Acad. Sci. 51: 660, 1949)を、Microvaxコンピュータで実行されるRS/1(BBNソフトウェア、ボストン、MA)で算出する。
【0108】
もう1つの好適な結合アッセイの形式は競合結合アッセイである。例示すると、変異体の生物学的活性は、結合パートナーへ結合することについて天然のタンパク質と競合する変異体の能力についてアッセイすることによって決定され得る。
【0109】
競合結合アッセイは慣用された方法によって実施され得る。競合結合アッセイに利用され得る試薬には本発明の放射標識ポリペプチドと結合パートナー(内因性又は組換え)を発現する無傷の細胞が含まれる。例えば、細胞表面IL−1エータ受容体への結合について、可溶性のIL−1エータ変異体と競合させるために、放射標識した可溶性IL−1エータフラグメントを使用し得る。無傷の細胞の代わりに、(固相表面での)プロテインA又はプロテインGの相互作用を介して固相に結合した可溶性の結合パートナー/Fc融合タンパク質をFc部分に置換することが可能である。プロテインA又はプロテインGを含有するクロマトグラフィーカラムにはファルマシア・バイオテク社、ピスカタウェイ、NJから入手可能なものが含まれる。
【0110】
もう1つの競合結合アッセイの形式は、可溶性IL−1エータ受容体/Fc融合タンパク質のような放射標識可溶性結合パートナーと、結合パートナーを発現する無傷の細胞を利用する。競合的オートラジオグラフィープレート結合アッセイにより定性的な結果を得ることが可能であるのに対し、スキャッチャードプロット(Scatchard, Ann. N. Y. Acad. Sci. 51: 660, 1949)は、定量的な結果を産生するのに利用され得る。
【0111】
本発明のIL−1エータポリペプチドはまた、本発明のIL−1エータポリペプチドの活性化を阻害する化合物及び小分子(アンタゴニスト)についてのスクリーニングアッセイとしても利用され得る.このように、本発明のポリペプチドは、例えば、細胞、無細胞調製物、化学ライブラリー、及び天然産物の混合物からアンタゴニストを同定するために使用され得る。アンタゴニストは、天然であるか又は修飾されたIL−1エータポリペプチドの基質、リガンド、酵素、受容体、等であり得るか、又はIL−1エータポリペプチドの構造又は機能上の模擬体であり得る。アンタゴニストは、さらに、小分子、ペプチド、抗体、及びアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。
【0112】
IL−1エータポリペプチドに拮抗する(antagonic)化合物を同定する方法の1つの態様は、IL−1エータポリペプチドに反応する細胞に候補化合物を接触させ、結合、又は機能性の反応の促進又は阻害を観察することである。次いで、候補化合物と接触した細胞の活性を接触しなかった同一の細胞とIL−1エータポリペプチド活性について比較し得て、IL−1エータポリペプチドのアゴニスト及びアンタゴニストが同定され得る。本発明のなおさらなる態様は、IL−1エータポリペプチドを発現する細胞と候補化合物を接触させ、IL−1エータ産生を測定することによって、IL−1エータの合成又は分泌を阻害する化合物を同定する方法を提供する。IL−1エータ産生の測定は、存在するタンパク質(例、ELISA)又はタンパク質の活性の量を測定することのような数多くのよく知られた方法により達成され得る。
【0113】
IL−1エータポリペプチド又はオリゴヌクレオチドの使用
本発明のポリヌクレオチドの使用には、ポリヌクレオチドフラグメント又はオリゴヌクレオチドのプローブ又はプライマーとしての使用がある。そのようなフラグメントは、少なくとも約17個の連続したDNA配列のヌクレオチドを含む。他の態様では、DNAフラグメントは、少なくとも30個、又は少なくとも60個の連続したDNA配列のヌクレオチドを含む。
【0114】
他の哺乳動物種由来のSEQ ID NO:1の相同体が本明細書で考慮されるので、SEQ ID NO.1のヒトDNA配列に基づいたプローブは、慣用された種間ハイブリダイゼーション技術を使用して、他の哺乳動物種から誘導されるcDNAライブラリーをスクリーニングするために使用され得る。
【0115】
上記に示したアミノ酸配列と組み合わせた遺伝暗号に関する知識を使用して、縮重したオリゴヌクレオチドのセットが製造され得る。そのようなオリゴヌクレオチドは、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)においてプライマー使用され、それによりDNAフラグメントが単離されて増幅される。
【0116】
オリゴヌクレオチドを含む、SEQ ID NO:1のIL−1エータのポリヌクレオチドの全部又は一部が、ヒト第2染色体、並びにIL−1リガンドファミリーメンバーのDNAを含有する、その特定の座を同定するために周知の技術を使用して、当業者により使用され得る。有用な技術には、限定しないが、放射線ハイブリッドマッピング(高解像能)、染色体スプレッドへの in situ ハイブリダイゼーション(中解像能)、及び個々の染色体を含有するハイブリッド細胞系へのサザンブロットハイブリダイゼーション(低解像能)のような様々な周知の技術におけるプローブとして、オリゴヌクレオチドを含む配列又は部分を使用することが含まれる。
【0117】
例えば、染色体は放射線ハイブリダイゼーションによりマップされ得るが、これにはPCRと、ホワイトヘッド研究所/ゲノム研究MITセンターのGenebridge4パネルの93放射線ハイブリッド(http://www-genome.wi.mit.edu/ftp/distribution/human#STS#releases/july97/rhmap/genebridge4.html)を使用することが含まれる。PCRプライマーは所期の遺伝子のなかに存在し、ヒトゲノムDNA由来の産物を増幅するが、ハムスターのゲノムDNAは増幅しない。PCRの結果は、インターネット(http://www-seq.wi.mit.edu)上のホワイトヘッド/MIT放射線マッピング部位へ提示されるデータベクターへ変換される。このデータが記録され、放射線ハイブリッドマップ上の既知の配列タグ部位(STS)マーカーに対して染色体の帰属及び配置が提供される。以下のウェブサイトは放射線ハイブリッドマッピングについての追加情報を提供する:http://www-genome.wi.mit.edu/ftp/distribution/human#STS#releases/july97/07-97.INTRO.html。
【0118】
DNAのSEQ ID NO:1は、ヒト第2染色体の2q11−12領域に対する放射線ハイブリダイゼーションによりマップされた。ヒト第2染色体は、限定しないが、緑内障、外胚葉性異形成、インスリン依存型糖尿病、皺肌皮膚症候群、T細胞白血病/リンパ腫、及び脛骨筋ジストロフィーを含む特定の疾患に関連している。このように、SEQ ID NO:1のポリヌクレオチド又はそのフラグメントは、第2染色体への遺伝子マッピングに関連した異常を分析する既知の技術を使用して、当業者により使用され得る。このことにより、このマーカーが再配置されるか又は欠失している病態を区別することを可能にする。さらに、SEQ ID NO:1のヌクレオチド又はそのフラグメントは、位置不明の他の遺伝子をマップするために位置マーカーとして使用され得る。
【0119】
このDNAは、本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子の欠陥、又は不十分な量により(直接又は間接的に)仲介される障害への治療を開発することにおいて使用され得る。天然の(native)ヌクレオチド配列の本明細書における開示は、欠陥遺伝子の検出、及び正常遺伝子でのその置換を可能にする。欠陥遺伝子は、in vitro 診断アッセイにおいて、及び本明細書に開示される天然ヌクレオチドを、この遺伝子における欠陥を収容することが疑われる個人から導かれる遺伝子のそれと比較することにより検出され得る。
【0120】
他の有用なポリヌクレオチドのフラグメントには、ターゲットmRNA(センス)又はDNA(アンチセンス)配列に結合し得る一本鎖ポリヌクレオチド配列(RNA又はDNAのいずれか)を含んでなる、アンチセンス又はセンスのオリゴヌクレオチドが含まれる。本発明によるアンチセンス又はセンスのオリゴヌクレオチドは、DNA(SEQ ID NO:1)のフラグメントを含む。そのようなフラグメントは、概して少なくとも約14個のヌクレオチド、好ましくは約14〜約30個のヌクレオチドを含む。あるタンパク質をコードするcDNA配列に基づいて、アンチセンス又はセンスのオリゴヌクレオチドを誘導する能力は、例えば、Stein and Cohen (Cancer Res. 48: 2659, 1988) 及び van der Krol et al. (BioTechniques 6: 958, 1988) に記載されている。
【0121】
アンチセンス又はセンスのオリゴヌクレオチドがターゲットのポリヌクレオチド配列へ結合すると、様々な手段の1つによりタンパク質の発現を阻止するか又は阻害する二重鎖の形成をもたらすが、その手段には、RNアーゼHによるmRNAの分解増強、スプライシングの阻害、転写又は翻訳の早期終止、又は他の手段が含まれる。このように、アンチセンスオリゴヌクレオチドはタンパク質の発現を阻止するために使用され得る。アンチセンス又はセンスのオリゴヌクレオチドは、修飾された糖−ホスホジエステル骨格(又は、WO91/06629号に記載されるような他の糖連結)を有するオリゴヌクレオチドをさらに含み、ここでそのような糖連結は内因性ヌクレアーゼに対して耐性である。そのような耐性のある糖連結を有するオリゴヌクレオチドは in vivo で安定である(即ち、酵素分解に抵抗し得る)が、ターゲットのヌクレオチド配列に結合し得る配列特異性を保持する。
【0122】
センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドの他の例には、WO90/10448号に記載されるような有機成分、及びポリ−(L−リジン)のような、ターゲットポリヌクレオチド配列に対するオリゴヌクレオチドの親和性を高める他の成分に共有的に連結するオリゴヌクレオチドが含まれる。なおさらに、エリプチシンのようなインターカレート剤、及びアルキル化剤又は金属複合体もセンス又はアンチセンスのオリゴヌクレオチドに付着し得て、ターゲットヌクレオチド配列に対するアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドの結合特異性を変化させる。
【0123】
アンチセンス又はセンスのオリゴヌクレオチドは、例えば、リポフェクション、CaPO4仲介性DNAトランスフェクション、エレクトロポレーション、又はエプシュタイン−バーウイルスのような遺伝子導入ベクターを使用することを含む任意の遺伝子導入法により、ターゲットポリヌクレオチド配列を含有する細胞へ導入し得る。
【0124】
センス又はアンチセンスのオリゴヌクレオチドはまた、ターゲットヌクレオチド配列を含有する細胞へ、WO91/04753号に記載のようなリガンド結合分子とのコンジュゲートの形成によっても導入され得る。好適なリガンド結合分子には、限定しないが、細胞表面受容体、増殖因子、他のサイトカイン、又は細胞表面受容体に結合する他のリガンドが含まれる。好ましくは、リガンド結合分子のコンジュゲーションは、その対応する分子又は受容体へ結合するか、又はセンス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートしたバージョンの細胞へのエントリーを阻止する、リガンド結合分子の能力に実質的には干渉しない。
【0125】
あるいは、センス又はアンチセンスのオリゴヌクレオチドは、WO90/10448号に記載のように、オリゴヌクレオチド−脂質複合体の形成によりターゲットポリヌクレオチド配列を含有する細胞へ導入され得る。このセンス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド−脂質複合体は、好ましくは、内因性リパーゼにより細胞内部で解離される。
【0126】
IL−1エータポリヌクレオチド及び断片化ポリペプチドの使用
本発明のポリペプチドのそれぞれは、タンパク精製試薬としての使用を見出す。このポリペプチドは固形支持材料へ結合され、アフィニティークロマトグラフィーにより結合パートナータンパク質を精製するために使用され得る。特定の態様では、(結合パートナータンパク質に結合し得る、本明細書に記載の任意の形態における)ポリペプチドは、慣用法により固形支持体へ結合される。1例として、タンパク質のアミノ酸側鎖上で官能基と反応する、官能基を含有するクロマトグラフィーカラムを利用し得る(ファルマシアバイオテク社、ピスカタウェイ、NJ)。1つの選択肢では、(上記のような)ポリペプチド/Fcタンパク質が、プロテインA−又はプロテインG−含有クロマトグラフィーカラムへFc部分との相互作用を介して結合される。
【0127】
本発明のポリペプチドはまた、細胞表面で結合パートナーを発現する細胞を精製するか又は同定することにおいて使用を見出す。ポリペプチドは、カラムクロマトグラフィーマトリックス又は同様の好適な基質のような固相へ結合される。例えば、磁気マイクロスフェアをこのポリペプチドでコートして、インキュベーション容器において磁場を介して固定し得る。結合パートナー発現細胞を含有する細胞混合物の懸濁液を、ポリペプチドをその上に有する固相と接触させる。結合パートナーをその細胞表面で発現する細胞は固定されたポリペプチドに結合し、結合しない細胞は洗浄除去される。
【0128】
あるいは、ポリペプチドは検出可能な成分にコンジュゲートされ、次いで細胞とインキュベートして、結合パートナーの発現について試験され得る。インキュベーションの後で、非結合の標識物質を除去し、検出可能な成分の細胞上での存在又は不在を決定する。
【0129】
さらなる選択肢では、結合パートナーを発現する細胞を含有することが疑われる細胞の混合物をビオチニル化ポリペプチドとともにインキュベートする。インキュベーション時間は、典型的には、十分な結合を確保するために少なくとも1時間の間である。次いで、得られた混合物を、アビジン被覆ビーズで詰めたカラムへ通し、それによりアビジンに対するビオチンの高親和性により所望の細胞のビーズへの結合が提供される。アビジン被覆ビーズを使用する方法が知られている(Berenson et al. J. Cell. Biochem., 10D: 239, 1986 を参照のこと)。結合しない材料を除去するための洗浄と、結合した細胞の遊離は、慣用法を使用して実施される。
【0130】
ポリペプチドはまた、結合パートナータンパク質の結合活性をその結合親和性に関して測定することにおいて使用を見出す。このように、ポリペプチドは、例えば、様々な条件下でタンパク質の貯蔵寿命及び安定性をモニターするために、「品質保証」試験を実施する人々により利用され得る。例えば、ポリペプチドは、様々な温度で保管されたか又は様々な細胞型で産生された結合パートナータンパク質の生物学的活性を測定する結合親和性試験において利用され得る。このタンパク質はまた、結合パートナータンパク質の修飾(例、化学修飾、短縮(truncation)、突然変異、等)の後で生物学的活性が保持されているかどうかを判定するためにも使用され得る。修飾された結合パートナータンパク質の結合親和性を非修飾結合パートナータンパク質のそれと比較して、結合パートナーの生物学的活性に対するこの修飾の有害な影響を検出する。このように、結合パートナータンパク質の生物学的活性は、例えばそれが研究試験において使用される前に確かめることができる。
【0131】
ポリペプチドは、結合パートナーを担う細胞へそれに結合した剤を運搬するための担体としても使用を見出す。このように、ポリペプチドは、診断用又は治療用の剤をin vitro 又は in vivo の方法においてそのような細胞(又は結合パートナーを細胞表面に発現することが判明している他の細胞型)へ運搬するために使用され得る。
【0132】
ポリペプチドへ結合しうる検出可能な(診断用)及び治療用の剤には、限定しないが、毒素、他の細胞毒性剤、薬物、放射性核種、発色素、発色又は蛍光反応を触媒する酵素、等が含まれ、特定の剤が意図される適用に応じて選択される。毒素には、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、緑膿菌の外毒素A、リボソーム不活性化タンパク質、トリコテセンのようなマイコトキシン、及びそれらの誘導体及びフラグメント(例、一本鎖)がある。診断使用に適した放射性核種には、限定しないが、123I、131I、99mTc、111In、及び76Brが含まれる。治療使用に適した放射性核種の例は、131I、211At、77Br、186Re、212Pb、212Bi、109Pd、64Cu、及び67Cuである。
【0133】
そのような剤は、好適な任意の慣用法によりポリペプチドへ付けることができる。ポリペプチドは、所望の剤上の官能基と反応して例えば共有結合を形成し得る官能基をアミノ酸側鎖上に含む。あるいは、このタンパク質又は剤は、所望される反応性の官能基を産生するか又は結合させるように誘導化し得る。誘導化は、様々な分子をタンパク質へ結合させることに利用される二機能性カップリング試薬(ピアスケミカル社、ロックフォード、イリノイ)のうちの1つの結合を含みうる。タンパク質を放射標識するための数多くの技術が知られている。例えば、好適な二機能性キレート剤を使用することによって、放射性核種金属をポリペプチドへ付け得る。
【0134】
以上のように、ポリペプチドと好適な診断又は治療薬を含んでなる(好ましくは共有結合した)コンジュゲートが調製される。コンジュゲートは、特定の応用に適した量において投与されるか、又は他のやり方で利用される。
【0135】
本発明のポリペプチドは、このポリペプチドの欠損、又は不十分な量により(直接的又は間接的に)仲介される障害についての治療薬を開発することに使用され得る。さらに、本発明のポリペプチドは、このポリペプチドの過剰から(直接的又は間接的に)生じる障害についての治療を開発することに使用され得る。本発明のポリペプチドはそのような障害に罹患した哺乳動物へ投与され得る。
【0136】
本発明のポリペプチドはまた、in vitro 又は in vivo の方法において、結合パートナーの生物学的活性を阻害することにおいても利用され得る。例えば、内因性IL−1エータのその細胞表面受容体への結合を阻害するために、精製されたIL−1エータポリペプチドが使用され得る。
【0137】
本発明のポリペプチドは結合パートナー仲介性の障害を治療するために哺乳動物へ投与され得る。そのような結合パートナー仲介性の障害には、結合パートナーにより(直接的又は観察的に)引き起こされるか又は増悪される病態が含まれる。
【0138】
本発明の組成物は、天然タンパク質、変異体、誘導体、オリゴマー、及び生物学的に活性なフラグメントのような、本明細書に記載の任意の形態でポリペプチドを含有し得る。特定の態様では、組成物は本発明の可溶性ポリペプチド、又は可溶性ポリペプチドを含んでなるオリゴマーを含む。
【0139】
本発明のポリペプチドの有効量を、生理学的に許容される希釈剤、担体、又は賦形剤のような他の成分と組み合わせて含んでなる組成物が本明細書に提供される。ポリペプチドは、薬剤的に有用な組成物を製造するために使用される既知の方法により製剤化され得る。それらは、単一の有効成分としてか、又はある適応症に適した他の既知の有効成分とともにのいずれかで、薬剤的に許容される希釈剤(例、生理食塩水、Tris−HCl、酢酸塩、リン酸塩緩衝化溶液)、保存剤(例、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、乳化剤、可溶化剤、アジュバント及び/又は担体との混合物において結合され得る。薬剤組成物に適した製剤には、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th ed. 1980, Mack Publishing Company, Easton, PA に記載のものが含まれる。
【0140】
さらに、そのような組成物はポリエチレングリコール(PEG)、金属イオンと複合し得るか、又はポリ酢酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲル、デキストラン等のポリマー化合物へ取り込まれ得るか、又はリポソーム、ミクロエマルジョン、ミセル、単層又は多層の小胞、赤血球ゴースト、又はスフェロプラストへ取込まれ得る。そのような組成物は、物理状態、溶解性、安定性、in vivo 放出速度、及び in vivo クリアランスに影響を及ぼすので、意図される応用により選択される。
【0141】
本発明の組成物は、適切なやり方、例えば、局所的、非経口的、又は吸入により投与され得る。「非経口」という用語には、注射(例えば、皮下、静脈内、又は筋肉内経路による)、さらに局在化した投与(例、疾患又は損傷の部位で)が含まれる。インプラントからの持続放出も考慮される。当業者は、適切な投与量が、治療される障害の性質、患者の体重、年齢及び一般状態、さらに投与経路のような要因に依存して変化することを認識されよう。初回投与は動物試験により決定され得て、ヒトへ投与する投与量のスケーリングは当技術分野で受け入れられた方法によりなされる。
【0142】
生理学的に許容される製剤においてポリヌクレオチドを含んでなる組成物も考慮される。例えば、DNAは注射用に製剤化され得る。
本発明のポリペプチドのもう1つの使用は、IL−1エータのその結合パートナーとの相互作用からか、又はこれらの相互作用を阻害することから生じる、様々な細胞型に対する生物学的影響を研究するための研究ツールとしての使用である。ポリペプチドはまた、IL−1エータ、結合パートナー、又はそれらの相互作用を検出するための in vitro アッセイにおいても利用され得る。
【0143】
本発明のもう1つの態様は、細胞シグナル伝達を研究するために本発明のポリペプチドを使用することに関する。IL−1ファミリーリガンドは、細胞のシグナル伝達、血管内皮細胞及びリンパ球の活性化、炎症性サイトカイン、急性期タンパク質、造血、発熱、骨再吸収、プロスタグランジン、メタロプロテイナーゼ、及び吸着分子の誘導を包含する、感染防御と免疫炎症反応において中心的な役割を担う。既知のIL−1ファミリーメンバーの数が増加するにつれて、好適な分類法は、ポリペプチドの構造並びに機能(活性化と調節の特性)を比較することに基づいたものになる。このように、IL−1エータは、他のIL−1ファミリーリガンド(IL−1α、IL−1β、及びIL−18)と同じように、上記の機能の多くに関わり、炎症反応を促進し、従って、おそらくは、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、及び乾癬のような免疫及び/又は自己免疫性の疾患の発症及び維持に関わる可能性がある。そうであれば、本発明のポリペプチドの発現及び/又は活性化における変化は、限定しないが、細胞特異的な反応及び増殖の活性化又は阻害を含む、多数の細胞プロセスに甚大な影響を及ぼす可能性がある。クローン化したIL−1エータ、又はその機能的に不活性な突然変異体の発現は、特定のシグナル伝達反応を仲介することにおいて特定のタンパク質が果たしている役割を同定するために使用され得る。
【0144】
IL−1仲介性の細胞シグナル伝達には、しばしば分子の活性化カスケードが関わり、その間は、標的基質をリン酸化する細胞内キナーゼを特異的に活性化することによって、受容体がリガンド−受容体仲介性シグナルを伝達する。これらの基質はそれ自身がリン酸化の後に活性化されるキナーゼであり得る。あるいは、それらは、リン酸化に続くタンパク質−タンパク質相互作用により下流のシグナル伝達を促進するアダプター分子であり得る。基質分子の性質にかかわらず、発現される機能的に活性なIL−1エータのバージョンとその結合パートナーは、どんな基質が本発明のポリペプチドにより認識されて活性化され得るのかを同定するために使用され得る。そうであれば、これらの新規ポリペプチドは、シグナル伝達経路に関わる新規な分子を同定するための試薬として使用され得る。
【0145】
抗体
本発明のポリペプチドと免疫応答する抗体も本明細書に提供される。そのような抗体は、(非特異的な結合とは反対に)抗体の抗原結合部位を介してポリペプチドと特異的に結合する。このように、上記に示したようなポリペプチド、フラグメント、変異体、融合タンパク質等は、それらと免疫応答する抗体を産生することにおける「免疫原」として利用され得る。より具体的には、このポリペプチド、フラグメント、変異体、融合タンパク質等は、抗体の形成を誘発する抗原決定基又はエピトープを含有する。
【0146】
これらの抗原決定基又はエピトープは、直線状か配座性(断続性)のいずれかでもよい。直線状のエピトープがポリペプチドのアミノ酸の単一部分からなるのに対し、配座又は断続性のエピトープはポリペプチド鎖の異なる領域からのアミノ酸部分からなり、これがタンパク質のフォールディング時にごく近傍に集められる(C. A. Janeway, Jr. and P. Travers, Immuno Biology 3: 9 (Garland Publishing Inc., 2nd ed. 1996))。折り畳まれたタンパク質は複雑な表面を有するので、利用されるエピトープの数はきわめて多いものの、タンパク質のコンホメーションと立体障害により、エピトープへ実際に結合する抗体の数は利用可能なエピトープの数よりも少ない(C. A. Janeway, Jr. and P. Travers, Immuno Biology 2: 14 (Garland Publishing Inc., 2nd ed. 1996))。エピトープは、当技術分野で知られている方法のいずれでも同定され得る。
【0147】
このように、本発明の1つの側面は、本発明の抗原エピトープに関する。そのようなエピトープは、以下により詳しく説明されるように、抗体、特にモノクローナル抗体を産生するのに有用である。さらに、本発明のポリペプチドに由来するエピトープは、アッセイにおける研究試薬として、及び培養ハイブリドーマ由来のポリクローナル血清又は上澄液のような物質から特異結合抗体を精製するために使用され得る。そのようなエピトープ又はその変異体は、固相合成、ポリペプチドの化学的又は酵素的開裂のような当技術分野で周知の技術を使用して、又は組換えDNA技術を使用して、産生され得る。
【0148】
本発明のポリペプチドのエピトープにより誘発され得る抗体に関して言えば、エピトープが単離されているか、又はポリペプチドの一部のままであるにせよ、ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の両方が慣用技術により製造され得る。例えば、Monoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses, Kennet et al. (eds.), Plenum Press, New York (1980);及び Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow and Land (eds.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, (1988) を参照のこと。
【0149】
本発明のポリペプチドについて特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系も本明細書で企図される。そのようなハイブリドーマは慣用技術により産生され、同定され得る。そのようなハイブリドーマ細胞系を産生する1つの方法は、動物をポリペプチドで免疫し;免疫化した動物から脾臓細胞を採取し;前記脾臓細胞を骨髄腫細胞系へ融合させ、それによりハイブリドーマ細胞を産生し;そしてこのポリペプチドに結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系を同定することを含む。モノクローナル抗体は慣用技術により回収され得る。
【0150】
本発明のモノクローナル抗体にはキメラ抗体、例えば、マウスモノクローナル抗体のヒト化バージョンが含まれる。そのようなヒト化抗体は既知の技術により調製され、抗体がヒトへ投与されるときに低下した免疫原性の利点を提供し得る。1つの態様では、ヒト化モノクローナル抗体は、マウス抗体の可変部(又はその抗原結合部位そのもの)と、ヒト抗体由来の定常部を含む。あるいは、ヒト化抗体フラグメントは、マウスモノクローナル抗体の抗原結合部位とヒト抗体由来の(抗原結合部位を欠く)可変部フラグメントを含み得る。キメラ抗体とさらに工学処理されたモノクローナル抗体の産生方法には、Riechmann et al. (Nature 332: 323, 1988); Liu et al. (PNAS 84: 3439, 1987); Larrick et al. (Bio/Technology 7: 934, 1989) 及び Winter and Harris (TIPS 14: 139, May, 1993) に記載のものが含まれる。トランスジェニックに抗体を作成する方法は、GB2,272,440号、米国特許第5,569,825号及び5,545,806号とそれらからの優先権を主張する関連特許に見出し得るが、これらはいずれも参照により本明細書に援用される。
【0151】
慣用技術により製造され得る、抗体の抗原結合フラグメントも本発明に含まれる。そのようなフラグメントの例には、限定しないが、Fab及びF(ab’)2フラグメントが含まれる。遺伝子工学技術により産生される抗体のフラグメント及び誘導体も提供される。
【0152】
1つの態様では、抗体は本発明のポリペプチドに特異的であり、他のタンパク質と交叉反応しない。そのような抗体を同定しうるスクリーニング法はよく知られていて、例えば、免疫アフィニティークロマトグラフィーを含み得る。
【0153】
本発明の抗体は、in vitro 又は in vivo のいずれかで、本発明のポリペプチド又はフラグメントの存在を検出するアッセイにおいて使用され得る。この抗体はまた、免疫アフィニティークロマトグラフィーにより本発明のポリペプチド又はフラグメントを精製することにおいても利用され得る。
【0154】
本発明のポリペプチドの結合パートナーへの結合をさらに阻止し得る抗体は、そのような結合から生じる生物学的活性を阻害するために使用され得る。そのような阻止抗体は、IL−1エータ受容体を発現するある細胞へのIL−1エータの結合を阻害する能力について抗体を試験するような、適切なアッセイ法を使用して同定され得る。あるいは、阻止抗体は、本発明のポリペプチドがその結合パートナー、ターゲット細胞へ結合することから生じる生物学的効果を阻害する能力についてのアッセイにおいて同定され得る。抗体は、例えば、IL−1エータ仲介性、又は結合パートナー仲介性の細胞溶解を阻害する能力についてアッセイされ得る。
【0155】
そのような抗体は、抗体を産生する物質(entity)により仲介される生物学的活性を阻害するために in vitro の方法で利用され得るか、又は in vivo で投与され得る。本発明のポリペプチドの結合パートナーとの相互作用により(直接的又は間接的に)引き起こされるか又は増悪される障害が、このようにして治療され得る。治療法は、結合パートナー仲介性の生物学的活性を阻害することにおいて有効な量の阻止抗体を哺乳動物へ in vivo 投与することを含む。そのような治療法における使用にはモノクローナル抗体が概して好ましい。1つの態様では、抗原結合性の抗体フラグメントが利用される。
【0156】
抗体は、作動性の(agonistic)(即ち、リガンド模倣性の)機能についてスクリーニングされ得る。そのような抗体は、細胞表面受容体に結合すると、IL−1が細胞表面IL−1受容体に結合するときに誘発される生物学的効果に類似した生物学的効果(例えば、生物学的シグナルの伝達)を誘発する。作動性の抗体は、血管内皮細胞及びリンパ球を活性化し、局所の組織破壊及び発熱を誘発し(Janeway et al., 1996)、マクロファージ及び血管内皮細胞を刺激してIL−6を産生させ、及び血管内皮細胞の表面上の分子をアップレギュレートするために使用され得る。
【0157】
本発明のポリペプチドに対して向けられる抗体、及び生理学的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体を含んでなる組成物が本明細書に提供される。そのような組成物の好適な成分は本発明のポリペプチドを含有する組成物について上記に説明した通りである。
【0158】
さらに本明細書に提供されるのは、抗体に結合した検出可能な(例えば、診断用)又は治療用の剤を含んでなるコンジュゲートである。そのような剤の例は上記に示されている。このコンジュゲートは in vitro 又は in vivo の方法において使用を見出す。
【0159】
以下の実施例は説明のために提供されるものであり、制限するためのものではない。当業者は、これらの実施例において具体化される本発明のバリエーションが、特に本明細書に引用される様々な参考文献(その開示内容はそのまま参照により本明細書に援用される)の教示に照らしてなされ得ることを認識されよう。
【0160】
実施例1:IL−1エータ(η)ポリヌクレオチドの単離
EP 0879889A2に開示されるcDNAの上流部分を含有するヒトゲノムDNAをクローン化し、3’方向に伸長した。このゲノムDNAの配列を決定し、IL−1ファミリーメンバーのC末端部分に対する潜在的な相同性について検査した。IL−1ファミリーメンバーのC末端部分と相同にコードする可能性のある領域を位置づけ、SEQ ID NO:1のポリヌクレオチド375〜585として開示する。3’又は逆プライマーに終止コドンを、及び5’又はセンスプライマーにIL−1エータ cDNA(EP 0879889A2のSEQ ID NO:1)の開始ATGを含有する、PCRプライマーを合成した。これらのプライマーを使用して、ヒト扁桃mRNAからつくった第一鎖cDNAからIL−1エータ cDNAを増幅した。標準プロトコールを使用してPCRを実施した。
【0161】
実施例2:精製したIL−1エータポリペプチドの使用
IL−1エータ含有サンプル(50mM NaHCO3,NaOHでpH9へ)の希釈系列液で、Linbro/Titertek96穴平底E.I.A.マイクロ滴定プレート(ICN バイオメディカル社、オローラ、OH)上を100:1/ウェルでコートする。4℃、16時間のインキュベーションの後に、0.05% Tween−20含有200:1PBS(PBS−Tween)でウェルを6回洗浄する。次いで、このウェルを、5%ウシ胎仔血清(FCS)含有PBS−Tween 1ml中のFLAG(登録商標)−結合パートナー1mgとともに90分インキュベーション(各ウェルにつき100:1)した後に、上記のように洗浄する。次いで、各ウェルを、5%FCS含有PBS−Tween 1ml中の抗FLAG(登録商標)−モノクローナル抗体M2 1mgとともに90分インキュベーション(各ウェルにつき100:1)した後に、上記のように洗浄する。続いて、ウェルをポリクローナルヤギ抗mIgG1特異的西洋ワサビペルオキシダーゼ共役抗体(5%FCS含有PBS−Tween中の市販ストックの5000倍希釈液)とともに90分インキュベーション(各ウェルにつき100:1)する。このHRPコンジュゲート抗体はサザン・バイオテクノロジー・アソシエーツ社、バーミンガム、アラバマから得られる。次いで、ウェルを上記のように6回洗浄する。
【0162】
ELISAの顕色のために、基質混合物[TMBペルオキシダーゼ基質とペルオキシダーゼ溶液B(Kirkegaard Perry Laboratories, ゲイサースブルグ、メリーランド)の1:1前混合物、100:1/ウェル]をウェルへ加える。十分な発色反応の後で、2N H2SO4(50:1/ウェル)を加えてこの酵素反応を止める。発色強度(リガンドと受容体の結合を示す)を、V Maxプレートリーダー(モレキュラーデバイス、サニーヴェイル、CA)で450nmにおける吸光度を測定することによって決定する。
【0163】
実施例3:アミノ酸配列
IL−1エータのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1の全ヌクレオチド配列の翻訳により決定した。
【0164】
実施例4:DNA及びアミノ酸の配列
単離されたIL−1エータのヌクレオチド配列とそれによりコードされるアミノ酸の配列を、SEQ ID NO:1及び2に示す。PCRにより単離されたIL−1エータDNAフラグメントの配列はSEQ ID NO:1のヌクレオチド1〜585に対応するが、これはSEQ ID NO:2のアミノ酸1〜157をコードする。
【0165】
SEQ ID NO:2のアミノ酸配列は、他の既知のIL−1リガンドファミリーメンバーに対して有意な相同性を有する。
【0166】
実施例5:本発明のポリペプチドに結合するモノクローナル抗体
本実施例は、IL−1エータに結合するモノクローナル抗体を調製する方法を説明する。そのような抗体を作成するのに利用され得る好適な免疫原には、限定しないが、精製されたIL−1エータポリペプチド、又は細胞外ドメインのようなその免疫原性フラグメント、又はIL−1エータを含有する融合タンパク質(例えば、可溶性のIL−1エータ/Fc融合タンパク質)が含まれる。
【0167】
精製されたIL−1エータは、米国特許第4,411,993号に記載のような慣用技術を使用して、それと免疫応答性のモノクローナル抗体を作成するために使用され得る。簡潔に言うと、完全フロイントアジュバントに乳化したIL−1エータ免疫原でマウスを免疫し、10〜100gの範囲の量を皮下又は腹腔内に注射する。10〜12日後、免疫した動物を、不完全フロイントアジュバントに乳化したさらなるIL−1エータで追加免疫する。その後、1週〜2週間の免疫スケジュールに基づいて、マウスを周期的に追加免疫する。後眼窩出血又は尾先端切除により血清サンプルを周期的に採取し、ドットブロットアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着検定)又はIL−1エータ受容体結合阻害により、IL−1エータ抗体について検査する。
【0168】
適切な抗体力価の検出に続き、陽性の動物に対し、IL−1エータの生理食塩水溶液を最後に1回静脈内注射する。3〜4日後、動物を屠殺し、脾臓細胞を採取し、脾臓細胞をマウス骨髄細胞系、例えばNSIか、好ましくはP3x63Ag8.653(ATCC CRL 1580)に融合させる。融合によりハイブリドーマ細胞が作成されるが、非融合細胞、骨髄腫ハイブリッド、及び脾臓細胞ハイブリッドの増殖を阻害するために、これをHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン)選択培地において多数のマイクロタイタープレートにおいて培養する。
【0169】
このハイブリドーマ細胞を、Engvall et al., (Immunochem. 8: 871, 1971) 及び米国特許第4,703,004号に開示された技術の適用により、精製したIL−1エータに対する反応性につきELISAでスクリーニングする。好ましいスクリーニング技術は、Beckmann et al., (J. Immunol. 144: 4212, 1900) に記載の抗体捕捉技術である。陽性のハイブリドーマ細胞を、同系のBALB/cマウスへ腹腔内注射して、高濃度の抗IL−1エータモノクローナル抗体を含有する腹水を産生させることができる。あるいは、ハイブリドーマ細胞を、フラスコ又はローラーボトルにおいて様々な技術により in vitro で増殖させ得る。マウス腹水において産生されたモノクローナル抗体は、硫酸アンモニウム沈澱に次いで、ゲル排除クロマトグラフィーにより精製され得る。あるいは、IL−1エータへの結合に基づいたアフィニティー・クロマトグラフィーが使用され得るように、プロテインA又はプロテインGに対する抗体の結合に基づいたアフィニティー・クロマトグラフィーも使用し得る。
【0170】
実施例6:ノーザンブロット分析
IL−1エータの組織分布を、以下のように、ノーザンブロット分析により研究する。放射標識リボプローブのアリコートを、2種の異なるヒト多組織ノーザンブロット(クローンテク、パロアルト、CA;バイオチェイン、パロアルト、CA)へ加える。このブロットを、10XDenhardts、50mM Tris(pH7.5),900mM NaCl,0.1% ピロリン酸Na,1% SDS,サケ精子DNA200μg/mLにおいてハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションは、さきに記載された(March et al., Nature 315: 641-647, 1985)のように、50%ホルムアミドにおいて63℃で一晩実施する。次いで、このブロットを68℃で30分、2X SSC,0.1% SDSとともに洗浄する。β−アクチン特異的プローブとの対照プロービングに比較して、最高レベルのIL−1エータ・mRNAを有する細胞及び組織を決定する。
【0171】
実施例7:結合アッセイ
完全長のIL−1エータを発現させ、IL−1エータ受容体に結合する能力につき試験することができる。この結合アッセイは以下のように実施し得る。
【0172】
可溶性IL−1エータポリペプチドのN末端に融合したロイシンジッパーペプチドを含んでなる融合タンパク質がこのアッセイに利用される。FLAG(登録商標)ペプチドをコードするDNAを、三量体化を可能にする修飾されたロイシンジッパー部分をコードする配列に置き換えたこと以外は、FLAG(登録商標)(IL−1エータ)発現構築体の製造についての Wiley et al. (Immunity, 3: 673-682, 1995; 参照により本明細書に援用される)の記載と本質的に同じようにして、発現構築体を調製する。この構築体は、発現ベクターのpDC409において、ヒトサイトメガロウイルス由来のリーダー配列と、それに後続する可溶性エタポリペプチドのN末端に融合したロイシンジッパー部分をコードする。LZ−IL−1エータはCHO細胞で発現され、培養上清から精製される。
【0173】
pDC409と称される発現ベクターは、McMahan et al. (EMBO J. 10: 2821-2832, 1991; 参照により本明細書に援用される)に記載のpDC406ベクターから誘導される哺乳動物の発現ベクターである。(pDC406に比較して)pDC409へ加えられる特徴には、多重クローニング部位(mcs)における追加の独特な制限部位;mcsの下流に位置づけられる3つの終止コドン(各リーディングフレームに1つ);及びmcsの下流にある、mcsへ挿入されるDNAの配列決定を促進するT7ポリメラーゼプロモーターが含まれる。
【0174】
完全長のヒトIL−1エータタンパク質の発現については、コーディング領域全体(即ち、SEQ ID NO:1に表されるDNA配列)をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅する。PCRに利用される鋳型は、実施例1に記載のような、扁桃から単離したcDNAクローンからの第一鎖cDNAである。単離されて増幅されたDNAを発現ベクターのpDC409へ挿入し、pDC409−IL−1エータと称される構築体を産生する。
【0175】
IL−1エータポリペプチドを利用して、上記のように、組換え又は内因性のIL−1エータ受容体を発現する宿主細胞に結合する能力について試験する。IL−1エータ受容体を発現する細胞を、10%ウシ胎仔血清、ペニシリン、ストレプトマイシン及びグルタミンで補充したDMEMにおいて培養する。LZ−IL−1エータ(5mg/ml)とともに細胞を約1時間インキュベートする。インキュベーションの後で、細胞を洗浄して非結合のLZ−IL−1エータを除去し、ビオチニル化抗LZ−モノクローナル抗体(5mg/ml)、及びフィコエリスリンコンジュゲートストレプタビジン(1:400)とともにインキュベーションした後で、蛍光活性化細胞スキャニング(FACS)により分析する。このサイトメトリー分析は、FACスキャン(ベクトン・ディキンソン、サンホセ、CA)に基づいて実施した。
【0176】
IL−1エータ受容体を発現する細胞は、IL−1エータ受容体を発現しない対照細胞に比較して、LZ−IL−1エータの有意に増強された結合を示した。
【0177】
実施例8:発現分析
クローンテク(パロアルト、CA)ヒト多組織cDNAパネルI(カタログ番号:K1420−1)及びII(カタログ番号:K1421−1)とヒト免疫パネル(カタログ番号:K1426−1)に存在する第一鎖cDNAを、センス及びアンチセンスプライマーを使用するPCR増幅によりスクリーニングした。ゲノムDNA及びcDNAから生じる産物が識別され得るように、イントロンを含むようにプライマーを設計した。ある事例では、ネステッドプライマーを第二のPCR反応において使用した。遺伝子/組織の各組み合わせについての増幅産物の存在を、臭化エチジウムで染色したアガロースゲルの分析により判定した。
【0178】
あるいは、ヒト末梢血由来の個々の細胞型を単離し、様々な刺激を実施した(Kubin et al., Blood 83 (7): 1847-55 (1994); Kubin et al., J Exp Med 180 (1): 211-22 (1994))。NK細胞は、2時間又は4時間の間、IL−12(R&Dバイオシステムズ;1ng/ml)とともにインキュベートした。T細胞は、30分又は4時間の間、抗CD3(OKT−3抗体、5ng/mlでプラスチック上に固定化)、又は抗CD3及び抗CD28(抗CD28抗体は、腹水液の500倍希釈液として可溶形態で使用されたCD248であった)の組み合わせで、刺激するか又は刺激しなかった。単球は、2又は3時間の間、LPS(シグマ;1μg/ml)で刺激するか又は刺激しなかった。B細胞は、3.5又は4時間、0.05% SAC及びCD40L三量体(Immunex)500ng/ml及びIL−4(Immunex)5ng/mlの組み合わせで刺激しないか、又は刺激した。樹状細胞は、単球と同じように、2又は4時間の間、LPSで刺激した。RNAの単離と第一鎖cDNAの合成の後で、PCR増幅とゲル分析を実施した。
【0179】
表1は、クローンテクからの第一鎖cDNAのパネルのPCR分析により導かれた、IL−1エータ発現のデータを要約する。この表において、「−」は、mRNAを捜したが見出せなかったことを示す。ポジティブな発現結果は「A」により示される。
【0180】
【表1】
表1
ヒト組織源 IL−1エータの発現
脾臓 −
リンパ節 −
胸腺 −
扁桃 A
骨髄 A
胎児肝臓 −
白血球 −
心臓 A
脳 −
胎盤 A
肺 A
肝臓 −
骨格筋 −
腎臓 −
膵臓 −
前立腺 −
精巣 A
卵巣 −
小腸 −
結腸 A
【配列表】
Figure 0004623342
Figure 0004623342

Claims (10)

  1. (a)SEQ ID NO:1のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含むDNA;
    (b)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むDNA;
    (c)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、IL−1受容体ファミリーメンバーに結合し、かつ、IL−6産生を誘導する、前記ポリペプチド、をコードするポリヌクレオチドを含むDNA;及び
    (d)(a)−(c)に定義されたDNAに、遺伝子暗号の結果、縮重しているDNAであって、IL−1受容体ファミリーメンバーに結合し、かつ、IL−6産生を誘導するポリペプチドをコードする前記DNA
    からなる群から選択されるDNA。
  2. SEQ ID NO:1のヌクレオチド残基112〜585のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含むDNA。
  3. SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むDNA。
  4. (a)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むポリペプチド;及び
    (b)SEQ ID NO.2のアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、IL−1受容体ファミリーメンバーに結合し、かつ、IL−6産生を誘導する、前記ポリペプチド
    からなる群から選択されるポリペプチド。
  5. SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むポリペプチド。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のDNAによりコードされるポリペプチドを含む、ポリペプチド。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のDNAを含んでなる発現ベクター。
  8. 請求項7に記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
  9. ポリペプチドを産生する方法であって、請求項8に記載の宿主細胞をポリペプチドの発現を引き起こす条件下で培養することを含んでなる前記方法。
  10. 請求項4〜6のいずれか1項に記載のポリペプチドと免疫反応する抗体。
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