JP2004284411A - 減速比可変式動力舵取り装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ステアリングギヤ比を変更する遊星歯車機構のキャリアをハンドルの非操舵時において簡単な機構により回転不能にロックする。
【解決手段】遊星歯車機構のプラネタリギヤを支持するキャリアを回転制御してステアリングギヤ比を変更可能とした減速比可変式動力舵取り装置において、前記キャリアを回動する機構50をウォーム機構52にて構成し、ウォーム軸48の一端を揺動可能かつ回転は一体にモータ出力軸51aに連結機構53により連結し、ウォーム軸48の他端をスプリング55と油圧ピストン56で挟持し、非操舵時はスプリング55によりウォーム44をウォームホイール43に押し付けるロック位置で回転不能に固定し、操舵時は油圧ピストン56によりウォーム軸48Lをロック位置から回転伝達位置へ押し戻して回転可能とする。
【選択図】 図3
【解決手段】遊星歯車機構のプラネタリギヤを支持するキャリアを回転制御してステアリングギヤ比を変更可能とした減速比可変式動力舵取り装置において、前記キャリアを回動する機構50をウォーム機構52にて構成し、ウォーム軸48の一端を揺動可能かつ回転は一体にモータ出力軸51aに連結機構53により連結し、ウォーム軸48の他端をスプリング55と油圧ピストン56で挟持し、非操舵時はスプリング55によりウォーム44をウォームホイール43に押し付けるロック位置で回転不能に固定し、操舵時は油圧ピストン56によりウォーム軸48Lをロック位置から回転伝達位置へ押し戻して回転可能とする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンドルの回転をステアリングギヤにより減速し、且つハンドルに作用する操舵入力を油圧サーボ装置により増幅して操向車輪に伝達する動力舵取り装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハンドルの切り角が小さいときはステアリングギヤの減速比を小さくしてハンドルの切れをよくし、切り角が大きくなると操作が楽なように減速比を大きくすることがある。また、ハンドルの切り角と減速比の関係を上述の関係と逆にしてハンドルの切り角が小さいときにステアリングギヤの減速比を大きくしてハンドルの中立安定性をよくすることがある。さらに、車庫入れ等では減速比をかなり小さくしてハンドルの回し角度を少なくすることが望まれている。これらに対応するために、ハンドルの回転をステアリングギヤにより減速し、且つハンドルに作用する操舵入力を油圧サーボ装置により増幅して操向車輪に伝達する動力舵取り装置において、ハンドルに連結されたハンドル側シャフトとサーボ弁装置の入力軸との回転比を可変にした減速比可変式動力舵取り装置が特開昭60−209362号公報に記載されている。この従来装置では、遊星歯車機構が操舵入力軸と操舵出力軸との間に介装され、この遊星歯車機構の遊星ギヤを支持するキャリアをウォーム機構を介してモータにより回転し、ステアリングギヤ比を変更できるようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭60−209362号公報(第2,3頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ハンドルの非操舵時においては、前記ウォーム機構のウォームホイール及びこれと一体回転する遊星歯車機構のキャリアの回転が拘束されていないので、キャリアの回転方向におけるフラツキを生じ、ハンドルの非操舵時におけるステアリングギア比を所期の値に維持できず、運転者に違和感を与えると云った問題を生じる。また、ウォーム機構を構成するウォームとウォームホイールとの噛み合い部には回転伝達を円滑にするためバックラッシュが設けられており、このバックラッシュの存在によりハンドルの非操舵時においてガタつき振動が生じ、運転者に不快な振動や音が伝達されると言った問題も生じる。
【0005】
本発明は、係る従来の不具合を解消するためになされたもので、ハンドルの非操舵時にはウォーム機構のウォームとウォームホイールとの噛み合いをロックし、遊星歯車機構のキャリアを回転不能とするようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、ハンドルの回転をステアリングギヤにより減速し、且つハンドルに作用する操舵力を油圧サーボ装置により増幅して操向車輪に伝達する動力舵取り装置にして、前記ハンドルに連結されたハンドル側シャフトと、前記ステアリングギヤに連結されたギヤ側シャフトとをハウジングに中心軸線上で回転可能に軸承し、該両シャフトに歯数が僅かに異なる第1および第2サンギヤを設け、該第1および第2サンギヤに夫々噛合して一体回転する第1および第2プラネタリギヤを支承するキャリアを前記中心軸線回りに回転可能に支承して遊星歯車機構を構成し、該キャリアをモータにより回転駆動するキャリア回動機構を設け、前記キャリアの回転速度を変更して減速比を変える減速比可変式動力舵取り装置において、前記キャリア回動機構は、キャリアと一体回転するウォームホイールと、このウォームホイールと噛み合って駆動するウォームを備えたウォーム軸と、このウォーム軸をウォームホイールの径方向に移動可能にかつ回転を一体的に前記モータの出力軸に結合する連結機構と、前記ウォームを前記ウォームホイールに押し付けてこのウォームホイールをロックするロック位置と前記ウォームを前記ウォームホイールとの適正な噛み合いに戻す回転伝達位置との間で前記ウォーム軸を移動する移動操作手段とを設けたことである。
【0007】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記ウォーム軸の前記一端を支点にしてウォーム軸を揺動可能かつ回転を一体的に前記モータの出力軸に連結するように前記連結機構を構成し、前記ウォーム軸を前記一端を支点として前記ロック位置と前記回転伝達位置との間で揺動させる揺動操作機構により前記移動操作手段を構成したことである。
【0008】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項2において、前記連結機構をモータ出力軸と前記ウォーム軸の前記一端との間に設けられた自在六角軸継手により構成したことである。
【0009】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項2において、前記連結機構をモータ出力軸と前記ウォーム軸の前記一端との間に設けられたオルダム継手により構成したことである。
【0010】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項2において、前記連結機構を、モータ出力軸の内孔に形成された内歯スプラインと、前記ウォーム軸の前記一端に歯筋方向にクラウニングが施され前記内歯スプラインと噛合される外歯スプラインとにより構成したことである。
【0011】
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項2乃至5のいずれかにおいて、前記揺動操作機構を、前記ウォーム軸の他端を回転支持する軸受と、前記ウォーム軸を前記ロック位置へ付勢するように前記軸受を押圧するスプリングと、このスプリングに抗して前記ウォーム軸を前記ロック位置から前記回転伝達位置へ押し戻すピストンを含む油圧シリンダと、前記ハンドルが操作された時に前記油圧シリンダに圧力を導入して前記ピストンを動作する圧力導入手段とにより構成したことである。
【0012】
請求項7に係る発明の構成上の特徴は、請求項6において、前記圧力導入手段を、前記油圧サーボ装置の入力ポートへポンプから作動油を供給する供給路から分岐して前記油圧シリンダに接続された分岐路により構成したことである。
【0013】
【発明の作用・効果】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、移動操作手段がハンドルの非操舵時においてウォーム軸をロック位置へ移動してウォームがウォームホイールをロックし、ハンドルの操舵時においてウォーム軸を逆方向に移動してロック位置から回転伝達位置へ戻すように動作する。これにより、ハンドルの非操舵時においてはウォームホイールと一体回転する遊星歯車機構のキャリアが回転不能に固定され、非操舵時におけるステアリングギヤ比を当所の値に維持できる。特に、キャリアを回転駆動するウォーム機構中に非操舵時におけるキャリアの固定手段を組み込んだので、構成を複雑にすることがなく、信頼性も向上する。
【0014】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、移動操作機構は揺動操作機構で構成され、この揺動操作機構がウォーム軸をそのモータ側の一端を支点として揺動させ、この揺動を許容するように連結機構がウォーム軸のモータ側の一端を揺動支点としてモータ出力軸に連結する。ウォーム軸を揺動させるようにしたので、このウォーム軸をロック位置と回転伝達位置との間で移動させる機構が単純化され、確実な操作が実現される。
【0015】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、ウォーム軸が揺動される時、自在六角軸継手がウォーム軸の揺動動作を許容する。これにより、回転伝達位置とロック位置との間で揺動されるウォーム軸或いはこれに結合されるモータ出力軸に無理な力を作用させずにモータ動力をウォーム軸に円滑に伝達することができる。
【0016】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、ウォーム軸が揺動される時、オルダム継手がウォーム軸の揺動動作を許容する。このオルダム継手により、ウォーム軸或いはモータ出力軸に無理な力を作用させずにモータ動力をウォーム軸に円滑に伝達することができる。
【0017】
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、ウォーム軸が揺動される時、歯筋方向にクラウニング成形したウォーム軸の外歯スプラインがモータ出力軸の内歯スプラインとの噛合を維持しながらモータ出力軸内で揺動する。これにより、ウォーム軸或いはモータ出力軸に無理な力を作用させずにモータ動力をウォーム軸に円滑に伝達することができる。また、モータ出力軸側のウォーム軸の端部をこのモータ出力軸により支持するようにしたので、モータ出力軸側のウォーム軸の端部を支持する軸受を不要にでき、構成を単純化しコスト低減を図ることができる。
【0018】
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、非操舵時においてスプリングがそのバネ力によりウォーム軸をロック位置へ保持し、操舵時において油圧シリンダ室の圧力が上昇し、ピストンが前記スプリングに抗してウォーム軸をロック位置から解除して回転伝達位置へ押し戻す。ウォーム軸のロックはスプリングのバネ力を利用し、操舵時におけるロック解除は動力舵取装置の油圧回路上の圧力上昇を利用するので、特別な駆動手段を必要とせず、構成を簡単にでき、コストの低減を図ることができる。
【0019】
上記のように構成した請求項7に係る発明においては、ポンプから作動油を油圧サーボ装置の入力ポートへ導く供給路は、操舵時に圧力上昇し、この上昇圧力が分岐路を経て前記操作機構のシリンダ室に導かれる。これにより、シリンダ室内の油圧ピストンがスプリングに抗してウォーム軸をロック位置から回転伝達位置へ押し戻すように動作する。ウォーム軸を操作するシリンダ装置が操舵時における供給路の圧力上昇を利用するようにしたので、このシリンダ装置を駆動するための特別な油圧供給源を不要にでき、構成の簡素化とコストの低減を図ることができる。
【0020】
【実施の形態】
以下本発明の第1の実施形態に係る減速比可変式動力舵取り装置を図面に基づいて説明する。図1,2において、減速比可変式動力舵取り装置1は、油圧サーボ装置2のサーボ弁装置3の入力軸4にハンドル5の回転が伝達され、サーボ弁装置3の出力軸の回転が遊星歯車機構6により変速されてラックピニオン機構7のピニオン軸13に伝達される。これにより、ハンドル5の回転がステアリングギヤであるラックピニオン機構7により減速され、且つハンドルに作用する操舵力が油圧サーボ装置2により増幅されて操向車輪8に伝達される。
【0021】
アッパーハウジング9とロアーハウジング10はボルトにより結合されてハウジングを構成している。アッパーハウジング9には弁収納孔9aが形成され、該弁収納孔9aにサーボ弁装置3が収納され、サーボ弁装置3の出力軸であるハンドル側シャフト11がアッパーハウジング9の弁収納孔9aのロアーハウジング10側開口端部に一箇所で軸受12により中心軸線O回りに回転可能に軸承されている。ロアーハウジング10にはギア室10aが形成され、該ギヤ室10aにステアリングギヤであるラックピニオン機構7が収納されている。ラックピニオン機構7のピニオン軸であるギヤ側シャフト13は、中心軸線O方向に離間した二個所で軸受14,15によりロアーハウジング10に中心軸線O回りに回転可能に軸承されている。
【0022】
サーボ弁装置3の入力軸4にはロータリ弁18が形成されている。アッパーハウジング9に形成された弁収納孔9aには、ハンドル側シャフト11に回転連結されたスリーブ20が中心軸線O回りに回転可能に嵌合され、スリーブ20に形成された弁孔21にロータリ弁18が中心軸線O回りに回転可能に嵌合されている。ロータリ弁18、スリーブ20等によりサーボ弁装置3が構成され、ロータリ弁18とスリーブ20との相対回転に応じてシリンダ装置30の左右室に夫々連通されたポートA,Bが、油圧ポンプ22およびタンク23に夫々接続されたポートP,Tに接続されるようになっている。入力軸4およびハンドル側シャフト11はトーションバー24の両端部に夫々結合され、ハンドル5に操舵入力が作用されずに入力軸4が自由状態のとき、ポートP,Tが連通されてポートA,Bに油圧が生じない中立位置にロータリ弁18がスリーブ20に対して相対的に回転位置決めされる。ポートTは弁収納孔9aの上端部に開口され、入力軸4にはトーションバー24が隙間を持って挿通する貫通穴4aが軸線上に穿設されるとともに、貫通穴4aに開口する連通穴4b,4cが軸線方向に離間して半径方向に穿設されている。これによりポートTは弁収納孔9aの上端部、連通穴4b、貫通穴4aおよび連通穴4cを通ってロータリ弁18に連通されている。
【0023】
ロアーハウジング10のアッパーハウジング9側には、サーボ弁装置3が収納された弁収納孔9aと隣接して遊星歯車機構6が収納される遊星歯車室10bが形成されている。弁収納孔9aと遊星歯車室10bとの間が従来のようにシール部材によりシールされていないので、遊星歯車室10bは弁収納室9aのロアーハウジング10側開口部、入力軸4の軸線穴4a、連通穴4b、弁収納孔9aの上端部を介してポートTに連通される。これにより、遊星歯車室10bにサーボ弁装置3から低圧の作動油が流入し遊星歯車機構6を油漬けにする。遊星歯車室10bに流入した作動油がギヤ室10aに流入するのを防止するために、遊星歯車室10bとギヤ室10aとの間はシール部材17により液密的にシールされている。また、弁収納孔9aと遊星歯車室10bとの間に従来設けられていたシール部材が削除されるので、装置の長手寸法は短縮している。
【0024】
ハンドル側シャフト11は遊星歯車室10bに延在し、軸端に小径部11aが突出されている。ギヤ側シャフト13のハンドル側シャフト11と対抗する軸端には軸受穴13aが穿設され、この軸受穴13aに小径部11aがニードル軸受16により回転可能に支承されている。このように、ハンドル側シャフト11およびギヤ側シャフト13の対向する軸端部は半径方向荷重を支承する軸受を介在して中心軸線O回りに高い同心性を確保して高剛性で相対回転可能に嵌合されている。
【0025】
ギヤ側シャフト13の軸端部には摺動穴13bが軸受穴13aに連続して穿設され、摺動穴13bに摩擦体45が摺動可能に嵌合され、この摩擦体45が圧縮スプリング46のばね力によりハンドル側シャフト11の小径部11aの端面に押圧されている。このように、ハンドル側シャフト11とギヤ側シャフト13との間に相対回転に対して抵抗となる摩擦体45が介在される。
【0026】
ロアーハウジング10の遊星歯車室10bには、遊星歯車機構6およびモータ51により回転駆動される回転体33が並んで収納されている。ハンドル側シャフト11およびギヤ側シャフト13の対向する軸端部には、遊星歯車機構6の歯数が僅かに異なる第1および第2サンギヤ34,35が夫々一体に設けられている。ギヤ側シャフト13およびハンドル側シャフト11にプレート36a,36bが遊嵌され、プレート36a,36bには円周上略等角度間隔に配置された複数個(例えば3個)の遊星体37が、プレート36a,36bに両端を支持された支承軸38によりブッシュ39を介して夫々回転可能に支承されている。各遊星体37には第1および第2サンギヤ34,35に夫々噛合して一体回転する第1および第2プラネタリギヤ40,41が同軸線上に一体に形成されている。プレート36a,36b、支承軸38等により第1および第2プラネタリギヤ40,41を支承するキャリア36が構成されている。第1および第2サンギヤ34,35、第1および第2プラネタリギヤ40,41の歯数は、一例として、20,21,21,20とした。遊星歯車室10bの底部には、回転体33がキャリア36と並んでギヤ側シャフト13に軸受42により中心軸線O回りに回転可能に支承されている。回転体33の遊星歯車室10b側端部の内周面およびプレート36aの内周面にはスプラインが刻設され、両スプラインが環状連結体47の外周面に刻設されたスプラインと噛合して回転体33の回転がプレート36aに伝達される。
【0027】
図3は前記キャリア36をモータ51により回転駆動するキャリア回動機構50を示し、同機構50はウォーム機構52と、連結機構53及び揺動操作機構54とにより構成される。前記ウォーム機構52を構成するウォームホイール43は、回転体33の外周に刻設され、ウォーム軸48に設けられたウォーム44と遊星歯車室10b内で噛合している。ウォーム軸48は、両端を軸受49a,49bによりロアーハウジング10に中心軸線Oと直角な軸線回りに回転可能に軸承され、連結機構53によりモータ51の出力軸51aに回転連結されている。この連結機構53の具体的構成は、自在六角軸継手60を介してモータ出力軸51aとウォーム軸48とは回転を一体的にするが、モータ出力軸51aに対してウォーム軸48を概ねウォームホイール43の直径方向に進退するように揺動可能な構成となっている。つまり、モータ出力軸51aの内孔に自在六角軸継手60の一端を挿入して両者をスプライン係合し、同継手60の他端に形成した自在六角軸をウォーム軸48の内孔に挿入し、自在六角軸がウォーム軸48に対し回転は伝達するがウォーム軸48がこの端部を支点として揺動することを許容する結合としている。一方、ウォーム軸48の他端は、揺動操作機構54により揺動操作されるように支持され、この揺動操作機構54は軸受49bをウォーム軸48とウォームホイール43の各軸心を結ぶ線と平行な軸受49bの径方向の両側に配置したスプリング55と油圧ピストン56とにより挟持している。よって、軸受49bはスプリング55により油圧ピストン56側へ常時付勢され、油圧ピストン56によりスプリング55のばね力に抗して移動されるようになっている。従って通常は、ウォーム軸48のウォーム44がスプリング55のばね力によりウォームホイール43の歯溝に強く押付けられ、これによりウォームホイール43の回転を拘束して遊星歯車機構6をロックしている。油圧ピストン56は、ロアーハウジング10に形成されたシリンダ室57内で摺動可能に収納され、このシリンダ室57は、作動油をポンプ22から入力ポートPへ供給する供給路から分岐する分岐配管58から圧油が導入されるように接続されている。ウォーム軸48のモータ51側の端部近辺には、大径部48aが設けられ、この大径部48aとロアーハウジング10との間にシール部材59が配置され、遊星歯車室10bとモータ51との間を液密的にシールしている。
【0028】
ギヤ側シャフト13には軸受14,15間でピニオン25が形成され、ピニオン25に噛合するラック26が刻設されたラック軸27がロアーハウジング10に摺動可能に装架されている。図2に示すように、ロアーハウジング10にはシリンダチューブ28が固定され、シリンダチューブ28にラック軸27に固定されたピストン29が嵌合してシリンダ装置30が構成されている。ラック軸27の両突出端にタイロッドを介してナックルアームがボールジョイントにより連結され、ラック軸27の軸動により操向車輪8が偏向される。
【0029】
次に、上記第1の実施形態の作動について説明する。ハンドル5が回されると、ロータリ弁18とスリーブ20がトーションバー24を捩って相対回転され、油圧ポンプ22から供給された圧油がハンドル5の回転方向に応じてポートAまたはBからシリンダ装置30のシリンダ左室28bまたは右室28aに供給され、ラック軸27が軸動されて操向車輪8が偏向される。このとき、ハンドル側シャフト11が回転されると、ギヤ側シャフト13はキャリア36の回転に応じて遊星歯車機構6により変速されて回転される。キャリア36がハンドル5と同方向に回転されると、その回転数に応じてギヤ側シャフト13とハンドル側シャフト11との回転比が増大され、ステアリングギヤの減速比を減少する方向に作用し、動力舵取り装置全体としての減速比が小さくなる。キャリア36がハンドル5と逆方向に回転されると、動力舵取り装置全体としての減速比が大きくなる。
【0030】
そして、ハンドル5が切られると、図略の電子制御装置は動力舵取り装置全体としての減速比が車両の走行状態に最適な減速比となるように、モータ51の回転方向、回転数を演算してモータ51を回転駆動する。
【0031】
また、ハンドル5の操舵によりロータリ弁18とスリーブ20がトーションバー24を捩って相対回転されるとき、ポンプ22と入力ポートPとを結ぶ供給路の油圧が上昇する。この供給路の上昇圧力は、分岐配管58を介してシリンダ室57に導入され、スプリング55のバネ力に抗してピストン56が移動される。これにより、ウォーム軸48は、ウォームホイール43をロックするロック位置からウォーム44を開放する回転伝達位置に揺動され、ウォーム44とウォームホイール43との噛み合いに適正なバックラッシュを与え、ウォーム44によるウォームホイール43の円滑な回転を可能にする。このウォーム軸48が揺動する時、自在六角軸継手60はウォーム軸48の揺動を許容しつつモータ出力軸51aの回転を自在六角軸を介してウォーム軸48に伝達する。従って、モータ51の回転は、自在六角軸継手60を介してウォーム軸48に伝達され、ウォーム44がウォームホイール43を円滑に回転する。ウォームホイール43は、回転体33、環状連結体47及び遊星歯車機構6のキャリア36を一体回転させ、このキャリア36の回転速度をモータ51により制御することにより、ステアリングギヤの減速比を車両の走行状態に最適な減速比に制御する。
【0032】
ハンドルの操舵がなくなるとき、ロータリ弁18とスリーブ20は中立位置関係に戻り、ポンプ22と入力ポートPを結ぶ供給路の圧力が低下し、これによりシリンダ室57に圧力低下がもたらされ、スプリング55がピストン56を押し戻すように軸受49bを移動してウォーム軸48を回転伝達位置からウォーム44がウォームホイール43をロックするロック位置へ揺動する。このロック位置では、ウォーム44とウォームホイール43との間のバックラッシュをなくして両者の相対摩擦抵抗を大きくし、ウォームホイール43と一体回転するキャリア36が回転しないようにする。キャリア36が固定されるとき、入力側の第1サンギヤ34又は出力側の第2サンギヤ35が回転しても、第1および第2プラネタリギヤ40,41は自転のみし、このため、操舵減速比は所定の値に維持される。
【0033】
ギヤ側シャフト13が遊星歯車機構6を介してハンドル側シャフト11により回転されるとき、摩擦体45が圧縮スプリング46のばね力により小径部11aに押圧されているので、ハンドル側シャフト11とギヤ側シャフト13との相対回転に対して抵抗となり、ギヤのバックラッシによる遊びを軽減し、操舵感を向上し、且つハンドル中立時の剛性を上げる。
【0034】
このとき、サーボ弁装置3のロータリ弁8から、入力軸4の連通穴4c、軸線穴4a、連通穴4bおよびポートTを経由してタンクに戻る低圧の作動油の一部が軸線穴4aを通って弁収納孔9aの開口端部から遊星歯車室10b内に流入し、遊星歯車機構6を油漬けにする。これにより、遊星歯車機構6のギヤ歯面、ギヤ軸受部の潤滑が確実に行われ、摩擦、磨耗が低減して耐久性が向上する。さらに、遊星歯車機構6が油漬けにされるので、歯車の噛み合い騒音が低減する。遊星歯車室10bとギア室10aとの間はシール部材17によりシールされているので、作動油がギヤ室10a内に流入することはない。
【0035】
次に、本発明による第2の実施形態について図4を参照して説明する。この第2の実施形態は、キャリア回動機構50におけるウォーム軸48とモータ出力軸51aとの連結機構53が第1の実施形態と異なり、その他の点については第1の実施形態と同様である。つまり、この第2の実施形態においては、ウォーム軸48とモータ出力軸51aとの間にオルダム継手61を設けたものである。このオルダム継手61は、上述した自在六角軸継手60と同様に、ウォーム軸48がモータ51側の端部を支点として揺動することを許容し、かつモータ51の出力軸51aの回転をウォーム軸48に伝達する。これにより、ハンドル5の操舵時においては、ピストン56がスプリング55に抗して移動し、ウォームホイール43をロックするロック位置からウォーム44を開放して両者間に適正なバックラッシュを持たせる回転伝達位置へウォーム軸48を揺動復帰させ、ウォーム44からウォームホイール43への円滑な回転伝達を可能する。一方、ハンドル5の非操舵時においては、スプリング55が圧力低下するシリンダ室57内のピストン56を押し戻し、ウォームホイール43をロックするロック位置へウォーム44を移動し、両者間にバックラッシュをなくしてウォームホイール43及びこれと一体連結された遊星歯車機構6のキャリア36が回転できないように拘束する。
【0036】
次に、本発明による第3の実施形態について図5を参照して説明する。この実施形態は、キャリア回動機構50における連結機構53が上述した第1及び第2の実施形態と異なり、その他はこれら実施形態と同一である。この第3の実施形態においては、ウォーム軸48のモータ51側端部がモータ出力軸51a内にスプライン係合されてモータ出力軸51aによりラジアル方向に支持されると共に、モータ出力軸51aの内孔底面に設けたボール62に当接してスラスト方向に支持されている。モータ出力軸51aの内孔には内歯スプライン63aが形成され、この内歯スプライン63aをウォーム軸48の端部に形成されかつ歯筋方向にクラウニング成形した外歯スプライン63bと係合させている。これにより、ウォーム軸48がウォーム44をウォームホイール43の直径方向に揺動する状態においてもモータ出力軸51aの回転をウォーム軸48に無理なく伝達できるようにしている。また、ウォーム軸48の他端を支持する軸受50は、キャップ状の軸受ホルダー64に嵌挿され、この軸受ホルダー64を揺動操作機構54のスプリング55と油圧ピストン56とで挟持し、油圧ピストン56の移動によりウォーム軸48をモータ51側の端部を支点として揺動するように構成している。
【0037】
従って、この第3の実施形態におけるキャリア回動機構50においては、モータ51側でウォーム軸48を支持する軸受を省略でき、構造を簡単できる。
【0038】
なお、図5において、符号65は、軸受ホルダー64に当接して前記ボール62と協働してウォーム軸48のスラスト位置を調整する調整ネジで、シールワッシャを介してナット66によりロアーハウジング10に固定されている。
【0039】
図6は、キャリア回動機構50における連結機構53についての上記第3の実施形態の変形例を示すものであり、この変形例においては、オイルシール59をモータ出力軸51aとロアーハウジング10の内孔との間に設け、遊星歯車室10b内の作動油がウォーム軸48の外歯スプライン63bとモータ出力軸51aの内歯スプライン63aとの係合部に潤滑油として到達できるようにしている。
【0040】
上記した実施形態では、第1および第2サンギヤ34,35に遊嵌されたプレート36a,36bに複数(例えば、3個)の遊星体37を支承軸38により円周上略等角度間隔に支承してキャリア36を構成し、各遊星体37に形成した第1および第2プラネタリギヤ40,41を第1および第2サンギヤ34,35に夫々噛合してキャリア36を回転可能に支承しているが、キャリア36をハウジング10に軸受により回転可能に支承し、該キャリア36に1個または複数個の遊星体37を支承するようにしてもよい。
【0041】
上述した各実施形態のキャリア回動機構50のウォーム機構52においては、ウォーム軸48の両端部或いは揺動操作機構54側の端部を支持する軸受49a、49bは、ボールベアリングを用いているが、この機構における軸受の機能はウォーム軸48の回転機能と揺動許容機能の両機能を備えるものであればよく、この両機能を備えるその他の軸受けもボールベアリングに代えて採用できる。
【0042】
また、上記した実施形態においては、揺動操作機構54によりウォーム軸48を揺動させるようにしているが、このような揺動運動に代えてウォーム軸48をウォームホイール43の径方向に直線移動させる移動操作機構として構成してもよい。
【0043】
また、揺動操作機構54は、スプリング55と油圧ピストン56により構成しているが、例えば電磁アクチエータ等のような電動手段を使用でき、その場合、ハンドル5の操舵信号に応答してこのような電動手段を動作し、ウォーム軸48を上述したように揺動させるようにしてもよい。
【0044】
さらに、上述した実施の形態においては、ポンプ22と入力ポートPを連結する供給路上の圧力上昇により油圧ピストン56を動作しているが、この供給路以外のハンドル操作により圧力上昇する部位からシリンダ室57へ圧油を導入するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る減速比可変式動力舵取り装置の縦断面図。
【図2】図1のA−A線に沿って切断した断面図。
【図3】遊星歯車機構の遊星ギヤを支持するキャリアを回動するためのキャリア回動機構の断面図。
【図4】第2の実施形態におけるキャリア回動機構の断面図。
【図5】第3の実施形態におけるキャリア回動機構の断面図。
【図6】第3の実施形態におけるキャリア回動機構の変形例の断面図。
【符号の説明】
1…減速比可変式動力舵取り装置、2…油圧サーボ装置、3…サーボ弁装置、4,60…入力軸、5…ハンドル、6…遊星歯車機構、7…ラックピニオン機構(ステアリングギヤ)、8…操向車輪、9…アッパーハウジング、10…ロアーハウジング、10a…ギヤ室、10b…遊星歯車室、11…ハンドル側シャフト、13…ギヤ側シャフト、18…ロータリ弁、22…油圧ポンプ、24…トーションバー、27…ラック軸、30…シリンダ装置、33…回転体、34、35…第1および第2サンギヤ、36…キャリア、37…遊星体、38…支承軸、40,41…第1および第2プラネタリギヤ、43…ウォームホイール、44…ウォーム、48…ウォーム軸、51…モータ、50・・・キャリア回動機構、52・・・ウォーム機構、53・・・連結機構、54・・・揺動操作機構、55・・・スプリング、56・・・油圧ピストン、57・・・シリンダ室、58・・・分岐管路(分岐路)、60・・・自在六角軸継手、61・・・オルダム継手、63a・・・内歯スプライン、63b・・・外歯スプライン、62・・・ボール、64・・・軸受ホルダー、59・・・オイルシール、A,B,P,T…ポート。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンドルの回転をステアリングギヤにより減速し、且つハンドルに作用する操舵入力を油圧サーボ装置により増幅して操向車輪に伝達する動力舵取り装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハンドルの切り角が小さいときはステアリングギヤの減速比を小さくしてハンドルの切れをよくし、切り角が大きくなると操作が楽なように減速比を大きくすることがある。また、ハンドルの切り角と減速比の関係を上述の関係と逆にしてハンドルの切り角が小さいときにステアリングギヤの減速比を大きくしてハンドルの中立安定性をよくすることがある。さらに、車庫入れ等では減速比をかなり小さくしてハンドルの回し角度を少なくすることが望まれている。これらに対応するために、ハンドルの回転をステアリングギヤにより減速し、且つハンドルに作用する操舵入力を油圧サーボ装置により増幅して操向車輪に伝達する動力舵取り装置において、ハンドルに連結されたハンドル側シャフトとサーボ弁装置の入力軸との回転比を可変にした減速比可変式動力舵取り装置が特開昭60−209362号公報に記載されている。この従来装置では、遊星歯車機構が操舵入力軸と操舵出力軸との間に介装され、この遊星歯車機構の遊星ギヤを支持するキャリアをウォーム機構を介してモータにより回転し、ステアリングギヤ比を変更できるようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭60−209362号公報(第2,3頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ハンドルの非操舵時においては、前記ウォーム機構のウォームホイール及びこれと一体回転する遊星歯車機構のキャリアの回転が拘束されていないので、キャリアの回転方向におけるフラツキを生じ、ハンドルの非操舵時におけるステアリングギア比を所期の値に維持できず、運転者に違和感を与えると云った問題を生じる。また、ウォーム機構を構成するウォームとウォームホイールとの噛み合い部には回転伝達を円滑にするためバックラッシュが設けられており、このバックラッシュの存在によりハンドルの非操舵時においてガタつき振動が生じ、運転者に不快な振動や音が伝達されると言った問題も生じる。
【0005】
本発明は、係る従来の不具合を解消するためになされたもので、ハンドルの非操舵時にはウォーム機構のウォームとウォームホイールとの噛み合いをロックし、遊星歯車機構のキャリアを回転不能とするようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、ハンドルの回転をステアリングギヤにより減速し、且つハンドルに作用する操舵力を油圧サーボ装置により増幅して操向車輪に伝達する動力舵取り装置にして、前記ハンドルに連結されたハンドル側シャフトと、前記ステアリングギヤに連結されたギヤ側シャフトとをハウジングに中心軸線上で回転可能に軸承し、該両シャフトに歯数が僅かに異なる第1および第2サンギヤを設け、該第1および第2サンギヤに夫々噛合して一体回転する第1および第2プラネタリギヤを支承するキャリアを前記中心軸線回りに回転可能に支承して遊星歯車機構を構成し、該キャリアをモータにより回転駆動するキャリア回動機構を設け、前記キャリアの回転速度を変更して減速比を変える減速比可変式動力舵取り装置において、前記キャリア回動機構は、キャリアと一体回転するウォームホイールと、このウォームホイールと噛み合って駆動するウォームを備えたウォーム軸と、このウォーム軸をウォームホイールの径方向に移動可能にかつ回転を一体的に前記モータの出力軸に結合する連結機構と、前記ウォームを前記ウォームホイールに押し付けてこのウォームホイールをロックするロック位置と前記ウォームを前記ウォームホイールとの適正な噛み合いに戻す回転伝達位置との間で前記ウォーム軸を移動する移動操作手段とを設けたことである。
【0007】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記ウォーム軸の前記一端を支点にしてウォーム軸を揺動可能かつ回転を一体的に前記モータの出力軸に連結するように前記連結機構を構成し、前記ウォーム軸を前記一端を支点として前記ロック位置と前記回転伝達位置との間で揺動させる揺動操作機構により前記移動操作手段を構成したことである。
【0008】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項2において、前記連結機構をモータ出力軸と前記ウォーム軸の前記一端との間に設けられた自在六角軸継手により構成したことである。
【0009】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項2において、前記連結機構をモータ出力軸と前記ウォーム軸の前記一端との間に設けられたオルダム継手により構成したことである。
【0010】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項2において、前記連結機構を、モータ出力軸の内孔に形成された内歯スプラインと、前記ウォーム軸の前記一端に歯筋方向にクラウニングが施され前記内歯スプラインと噛合される外歯スプラインとにより構成したことである。
【0011】
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項2乃至5のいずれかにおいて、前記揺動操作機構を、前記ウォーム軸の他端を回転支持する軸受と、前記ウォーム軸を前記ロック位置へ付勢するように前記軸受を押圧するスプリングと、このスプリングに抗して前記ウォーム軸を前記ロック位置から前記回転伝達位置へ押し戻すピストンを含む油圧シリンダと、前記ハンドルが操作された時に前記油圧シリンダに圧力を導入して前記ピストンを動作する圧力導入手段とにより構成したことである。
【0012】
請求項7に係る発明の構成上の特徴は、請求項6において、前記圧力導入手段を、前記油圧サーボ装置の入力ポートへポンプから作動油を供給する供給路から分岐して前記油圧シリンダに接続された分岐路により構成したことである。
【0013】
【発明の作用・効果】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、移動操作手段がハンドルの非操舵時においてウォーム軸をロック位置へ移動してウォームがウォームホイールをロックし、ハンドルの操舵時においてウォーム軸を逆方向に移動してロック位置から回転伝達位置へ戻すように動作する。これにより、ハンドルの非操舵時においてはウォームホイールと一体回転する遊星歯車機構のキャリアが回転不能に固定され、非操舵時におけるステアリングギヤ比を当所の値に維持できる。特に、キャリアを回転駆動するウォーム機構中に非操舵時におけるキャリアの固定手段を組み込んだので、構成を複雑にすることがなく、信頼性も向上する。
【0014】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、移動操作機構は揺動操作機構で構成され、この揺動操作機構がウォーム軸をそのモータ側の一端を支点として揺動させ、この揺動を許容するように連結機構がウォーム軸のモータ側の一端を揺動支点としてモータ出力軸に連結する。ウォーム軸を揺動させるようにしたので、このウォーム軸をロック位置と回転伝達位置との間で移動させる機構が単純化され、確実な操作が実現される。
【0015】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、ウォーム軸が揺動される時、自在六角軸継手がウォーム軸の揺動動作を許容する。これにより、回転伝達位置とロック位置との間で揺動されるウォーム軸或いはこれに結合されるモータ出力軸に無理な力を作用させずにモータ動力をウォーム軸に円滑に伝達することができる。
【0016】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、ウォーム軸が揺動される時、オルダム継手がウォーム軸の揺動動作を許容する。このオルダム継手により、ウォーム軸或いはモータ出力軸に無理な力を作用させずにモータ動力をウォーム軸に円滑に伝達することができる。
【0017】
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、ウォーム軸が揺動される時、歯筋方向にクラウニング成形したウォーム軸の外歯スプラインがモータ出力軸の内歯スプラインとの噛合を維持しながらモータ出力軸内で揺動する。これにより、ウォーム軸或いはモータ出力軸に無理な力を作用させずにモータ動力をウォーム軸に円滑に伝達することができる。また、モータ出力軸側のウォーム軸の端部をこのモータ出力軸により支持するようにしたので、モータ出力軸側のウォーム軸の端部を支持する軸受を不要にでき、構成を単純化しコスト低減を図ることができる。
【0018】
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、非操舵時においてスプリングがそのバネ力によりウォーム軸をロック位置へ保持し、操舵時において油圧シリンダ室の圧力が上昇し、ピストンが前記スプリングに抗してウォーム軸をロック位置から解除して回転伝達位置へ押し戻す。ウォーム軸のロックはスプリングのバネ力を利用し、操舵時におけるロック解除は動力舵取装置の油圧回路上の圧力上昇を利用するので、特別な駆動手段を必要とせず、構成を簡単にでき、コストの低減を図ることができる。
【0019】
上記のように構成した請求項7に係る発明においては、ポンプから作動油を油圧サーボ装置の入力ポートへ導く供給路は、操舵時に圧力上昇し、この上昇圧力が分岐路を経て前記操作機構のシリンダ室に導かれる。これにより、シリンダ室内の油圧ピストンがスプリングに抗してウォーム軸をロック位置から回転伝達位置へ押し戻すように動作する。ウォーム軸を操作するシリンダ装置が操舵時における供給路の圧力上昇を利用するようにしたので、このシリンダ装置を駆動するための特別な油圧供給源を不要にでき、構成の簡素化とコストの低減を図ることができる。
【0020】
【実施の形態】
以下本発明の第1の実施形態に係る減速比可変式動力舵取り装置を図面に基づいて説明する。図1,2において、減速比可変式動力舵取り装置1は、油圧サーボ装置2のサーボ弁装置3の入力軸4にハンドル5の回転が伝達され、サーボ弁装置3の出力軸の回転が遊星歯車機構6により変速されてラックピニオン機構7のピニオン軸13に伝達される。これにより、ハンドル5の回転がステアリングギヤであるラックピニオン機構7により減速され、且つハンドルに作用する操舵力が油圧サーボ装置2により増幅されて操向車輪8に伝達される。
【0021】
アッパーハウジング9とロアーハウジング10はボルトにより結合されてハウジングを構成している。アッパーハウジング9には弁収納孔9aが形成され、該弁収納孔9aにサーボ弁装置3が収納され、サーボ弁装置3の出力軸であるハンドル側シャフト11がアッパーハウジング9の弁収納孔9aのロアーハウジング10側開口端部に一箇所で軸受12により中心軸線O回りに回転可能に軸承されている。ロアーハウジング10にはギア室10aが形成され、該ギヤ室10aにステアリングギヤであるラックピニオン機構7が収納されている。ラックピニオン機構7のピニオン軸であるギヤ側シャフト13は、中心軸線O方向に離間した二個所で軸受14,15によりロアーハウジング10に中心軸線O回りに回転可能に軸承されている。
【0022】
サーボ弁装置3の入力軸4にはロータリ弁18が形成されている。アッパーハウジング9に形成された弁収納孔9aには、ハンドル側シャフト11に回転連結されたスリーブ20が中心軸線O回りに回転可能に嵌合され、スリーブ20に形成された弁孔21にロータリ弁18が中心軸線O回りに回転可能に嵌合されている。ロータリ弁18、スリーブ20等によりサーボ弁装置3が構成され、ロータリ弁18とスリーブ20との相対回転に応じてシリンダ装置30の左右室に夫々連通されたポートA,Bが、油圧ポンプ22およびタンク23に夫々接続されたポートP,Tに接続されるようになっている。入力軸4およびハンドル側シャフト11はトーションバー24の両端部に夫々結合され、ハンドル5に操舵入力が作用されずに入力軸4が自由状態のとき、ポートP,Tが連通されてポートA,Bに油圧が生じない中立位置にロータリ弁18がスリーブ20に対して相対的に回転位置決めされる。ポートTは弁収納孔9aの上端部に開口され、入力軸4にはトーションバー24が隙間を持って挿通する貫通穴4aが軸線上に穿設されるとともに、貫通穴4aに開口する連通穴4b,4cが軸線方向に離間して半径方向に穿設されている。これによりポートTは弁収納孔9aの上端部、連通穴4b、貫通穴4aおよび連通穴4cを通ってロータリ弁18に連通されている。
【0023】
ロアーハウジング10のアッパーハウジング9側には、サーボ弁装置3が収納された弁収納孔9aと隣接して遊星歯車機構6が収納される遊星歯車室10bが形成されている。弁収納孔9aと遊星歯車室10bとの間が従来のようにシール部材によりシールされていないので、遊星歯車室10bは弁収納室9aのロアーハウジング10側開口部、入力軸4の軸線穴4a、連通穴4b、弁収納孔9aの上端部を介してポートTに連通される。これにより、遊星歯車室10bにサーボ弁装置3から低圧の作動油が流入し遊星歯車機構6を油漬けにする。遊星歯車室10bに流入した作動油がギヤ室10aに流入するのを防止するために、遊星歯車室10bとギヤ室10aとの間はシール部材17により液密的にシールされている。また、弁収納孔9aと遊星歯車室10bとの間に従来設けられていたシール部材が削除されるので、装置の長手寸法は短縮している。
【0024】
ハンドル側シャフト11は遊星歯車室10bに延在し、軸端に小径部11aが突出されている。ギヤ側シャフト13のハンドル側シャフト11と対抗する軸端には軸受穴13aが穿設され、この軸受穴13aに小径部11aがニードル軸受16により回転可能に支承されている。このように、ハンドル側シャフト11およびギヤ側シャフト13の対向する軸端部は半径方向荷重を支承する軸受を介在して中心軸線O回りに高い同心性を確保して高剛性で相対回転可能に嵌合されている。
【0025】
ギヤ側シャフト13の軸端部には摺動穴13bが軸受穴13aに連続して穿設され、摺動穴13bに摩擦体45が摺動可能に嵌合され、この摩擦体45が圧縮スプリング46のばね力によりハンドル側シャフト11の小径部11aの端面に押圧されている。このように、ハンドル側シャフト11とギヤ側シャフト13との間に相対回転に対して抵抗となる摩擦体45が介在される。
【0026】
ロアーハウジング10の遊星歯車室10bには、遊星歯車機構6およびモータ51により回転駆動される回転体33が並んで収納されている。ハンドル側シャフト11およびギヤ側シャフト13の対向する軸端部には、遊星歯車機構6の歯数が僅かに異なる第1および第2サンギヤ34,35が夫々一体に設けられている。ギヤ側シャフト13およびハンドル側シャフト11にプレート36a,36bが遊嵌され、プレート36a,36bには円周上略等角度間隔に配置された複数個(例えば3個)の遊星体37が、プレート36a,36bに両端を支持された支承軸38によりブッシュ39を介して夫々回転可能に支承されている。各遊星体37には第1および第2サンギヤ34,35に夫々噛合して一体回転する第1および第2プラネタリギヤ40,41が同軸線上に一体に形成されている。プレート36a,36b、支承軸38等により第1および第2プラネタリギヤ40,41を支承するキャリア36が構成されている。第1および第2サンギヤ34,35、第1および第2プラネタリギヤ40,41の歯数は、一例として、20,21,21,20とした。遊星歯車室10bの底部には、回転体33がキャリア36と並んでギヤ側シャフト13に軸受42により中心軸線O回りに回転可能に支承されている。回転体33の遊星歯車室10b側端部の内周面およびプレート36aの内周面にはスプラインが刻設され、両スプラインが環状連結体47の外周面に刻設されたスプラインと噛合して回転体33の回転がプレート36aに伝達される。
【0027】
図3は前記キャリア36をモータ51により回転駆動するキャリア回動機構50を示し、同機構50はウォーム機構52と、連結機構53及び揺動操作機構54とにより構成される。前記ウォーム機構52を構成するウォームホイール43は、回転体33の外周に刻設され、ウォーム軸48に設けられたウォーム44と遊星歯車室10b内で噛合している。ウォーム軸48は、両端を軸受49a,49bによりロアーハウジング10に中心軸線Oと直角な軸線回りに回転可能に軸承され、連結機構53によりモータ51の出力軸51aに回転連結されている。この連結機構53の具体的構成は、自在六角軸継手60を介してモータ出力軸51aとウォーム軸48とは回転を一体的にするが、モータ出力軸51aに対してウォーム軸48を概ねウォームホイール43の直径方向に進退するように揺動可能な構成となっている。つまり、モータ出力軸51aの内孔に自在六角軸継手60の一端を挿入して両者をスプライン係合し、同継手60の他端に形成した自在六角軸をウォーム軸48の内孔に挿入し、自在六角軸がウォーム軸48に対し回転は伝達するがウォーム軸48がこの端部を支点として揺動することを許容する結合としている。一方、ウォーム軸48の他端は、揺動操作機構54により揺動操作されるように支持され、この揺動操作機構54は軸受49bをウォーム軸48とウォームホイール43の各軸心を結ぶ線と平行な軸受49bの径方向の両側に配置したスプリング55と油圧ピストン56とにより挟持している。よって、軸受49bはスプリング55により油圧ピストン56側へ常時付勢され、油圧ピストン56によりスプリング55のばね力に抗して移動されるようになっている。従って通常は、ウォーム軸48のウォーム44がスプリング55のばね力によりウォームホイール43の歯溝に強く押付けられ、これによりウォームホイール43の回転を拘束して遊星歯車機構6をロックしている。油圧ピストン56は、ロアーハウジング10に形成されたシリンダ室57内で摺動可能に収納され、このシリンダ室57は、作動油をポンプ22から入力ポートPへ供給する供給路から分岐する分岐配管58から圧油が導入されるように接続されている。ウォーム軸48のモータ51側の端部近辺には、大径部48aが設けられ、この大径部48aとロアーハウジング10との間にシール部材59が配置され、遊星歯車室10bとモータ51との間を液密的にシールしている。
【0028】
ギヤ側シャフト13には軸受14,15間でピニオン25が形成され、ピニオン25に噛合するラック26が刻設されたラック軸27がロアーハウジング10に摺動可能に装架されている。図2に示すように、ロアーハウジング10にはシリンダチューブ28が固定され、シリンダチューブ28にラック軸27に固定されたピストン29が嵌合してシリンダ装置30が構成されている。ラック軸27の両突出端にタイロッドを介してナックルアームがボールジョイントにより連結され、ラック軸27の軸動により操向車輪8が偏向される。
【0029】
次に、上記第1の実施形態の作動について説明する。ハンドル5が回されると、ロータリ弁18とスリーブ20がトーションバー24を捩って相対回転され、油圧ポンプ22から供給された圧油がハンドル5の回転方向に応じてポートAまたはBからシリンダ装置30のシリンダ左室28bまたは右室28aに供給され、ラック軸27が軸動されて操向車輪8が偏向される。このとき、ハンドル側シャフト11が回転されると、ギヤ側シャフト13はキャリア36の回転に応じて遊星歯車機構6により変速されて回転される。キャリア36がハンドル5と同方向に回転されると、その回転数に応じてギヤ側シャフト13とハンドル側シャフト11との回転比が増大され、ステアリングギヤの減速比を減少する方向に作用し、動力舵取り装置全体としての減速比が小さくなる。キャリア36がハンドル5と逆方向に回転されると、動力舵取り装置全体としての減速比が大きくなる。
【0030】
そして、ハンドル5が切られると、図略の電子制御装置は動力舵取り装置全体としての減速比が車両の走行状態に最適な減速比となるように、モータ51の回転方向、回転数を演算してモータ51を回転駆動する。
【0031】
また、ハンドル5の操舵によりロータリ弁18とスリーブ20がトーションバー24を捩って相対回転されるとき、ポンプ22と入力ポートPとを結ぶ供給路の油圧が上昇する。この供給路の上昇圧力は、分岐配管58を介してシリンダ室57に導入され、スプリング55のバネ力に抗してピストン56が移動される。これにより、ウォーム軸48は、ウォームホイール43をロックするロック位置からウォーム44を開放する回転伝達位置に揺動され、ウォーム44とウォームホイール43との噛み合いに適正なバックラッシュを与え、ウォーム44によるウォームホイール43の円滑な回転を可能にする。このウォーム軸48が揺動する時、自在六角軸継手60はウォーム軸48の揺動を許容しつつモータ出力軸51aの回転を自在六角軸を介してウォーム軸48に伝達する。従って、モータ51の回転は、自在六角軸継手60を介してウォーム軸48に伝達され、ウォーム44がウォームホイール43を円滑に回転する。ウォームホイール43は、回転体33、環状連結体47及び遊星歯車機構6のキャリア36を一体回転させ、このキャリア36の回転速度をモータ51により制御することにより、ステアリングギヤの減速比を車両の走行状態に最適な減速比に制御する。
【0032】
ハンドルの操舵がなくなるとき、ロータリ弁18とスリーブ20は中立位置関係に戻り、ポンプ22と入力ポートPを結ぶ供給路の圧力が低下し、これによりシリンダ室57に圧力低下がもたらされ、スプリング55がピストン56を押し戻すように軸受49bを移動してウォーム軸48を回転伝達位置からウォーム44がウォームホイール43をロックするロック位置へ揺動する。このロック位置では、ウォーム44とウォームホイール43との間のバックラッシュをなくして両者の相対摩擦抵抗を大きくし、ウォームホイール43と一体回転するキャリア36が回転しないようにする。キャリア36が固定されるとき、入力側の第1サンギヤ34又は出力側の第2サンギヤ35が回転しても、第1および第2プラネタリギヤ40,41は自転のみし、このため、操舵減速比は所定の値に維持される。
【0033】
ギヤ側シャフト13が遊星歯車機構6を介してハンドル側シャフト11により回転されるとき、摩擦体45が圧縮スプリング46のばね力により小径部11aに押圧されているので、ハンドル側シャフト11とギヤ側シャフト13との相対回転に対して抵抗となり、ギヤのバックラッシによる遊びを軽減し、操舵感を向上し、且つハンドル中立時の剛性を上げる。
【0034】
このとき、サーボ弁装置3のロータリ弁8から、入力軸4の連通穴4c、軸線穴4a、連通穴4bおよびポートTを経由してタンクに戻る低圧の作動油の一部が軸線穴4aを通って弁収納孔9aの開口端部から遊星歯車室10b内に流入し、遊星歯車機構6を油漬けにする。これにより、遊星歯車機構6のギヤ歯面、ギヤ軸受部の潤滑が確実に行われ、摩擦、磨耗が低減して耐久性が向上する。さらに、遊星歯車機構6が油漬けにされるので、歯車の噛み合い騒音が低減する。遊星歯車室10bとギア室10aとの間はシール部材17によりシールされているので、作動油がギヤ室10a内に流入することはない。
【0035】
次に、本発明による第2の実施形態について図4を参照して説明する。この第2の実施形態は、キャリア回動機構50におけるウォーム軸48とモータ出力軸51aとの連結機構53が第1の実施形態と異なり、その他の点については第1の実施形態と同様である。つまり、この第2の実施形態においては、ウォーム軸48とモータ出力軸51aとの間にオルダム継手61を設けたものである。このオルダム継手61は、上述した自在六角軸継手60と同様に、ウォーム軸48がモータ51側の端部を支点として揺動することを許容し、かつモータ51の出力軸51aの回転をウォーム軸48に伝達する。これにより、ハンドル5の操舵時においては、ピストン56がスプリング55に抗して移動し、ウォームホイール43をロックするロック位置からウォーム44を開放して両者間に適正なバックラッシュを持たせる回転伝達位置へウォーム軸48を揺動復帰させ、ウォーム44からウォームホイール43への円滑な回転伝達を可能する。一方、ハンドル5の非操舵時においては、スプリング55が圧力低下するシリンダ室57内のピストン56を押し戻し、ウォームホイール43をロックするロック位置へウォーム44を移動し、両者間にバックラッシュをなくしてウォームホイール43及びこれと一体連結された遊星歯車機構6のキャリア36が回転できないように拘束する。
【0036】
次に、本発明による第3の実施形態について図5を参照して説明する。この実施形態は、キャリア回動機構50における連結機構53が上述した第1及び第2の実施形態と異なり、その他はこれら実施形態と同一である。この第3の実施形態においては、ウォーム軸48のモータ51側端部がモータ出力軸51a内にスプライン係合されてモータ出力軸51aによりラジアル方向に支持されると共に、モータ出力軸51aの内孔底面に設けたボール62に当接してスラスト方向に支持されている。モータ出力軸51aの内孔には内歯スプライン63aが形成され、この内歯スプライン63aをウォーム軸48の端部に形成されかつ歯筋方向にクラウニング成形した外歯スプライン63bと係合させている。これにより、ウォーム軸48がウォーム44をウォームホイール43の直径方向に揺動する状態においてもモータ出力軸51aの回転をウォーム軸48に無理なく伝達できるようにしている。また、ウォーム軸48の他端を支持する軸受50は、キャップ状の軸受ホルダー64に嵌挿され、この軸受ホルダー64を揺動操作機構54のスプリング55と油圧ピストン56とで挟持し、油圧ピストン56の移動によりウォーム軸48をモータ51側の端部を支点として揺動するように構成している。
【0037】
従って、この第3の実施形態におけるキャリア回動機構50においては、モータ51側でウォーム軸48を支持する軸受を省略でき、構造を簡単できる。
【0038】
なお、図5において、符号65は、軸受ホルダー64に当接して前記ボール62と協働してウォーム軸48のスラスト位置を調整する調整ネジで、シールワッシャを介してナット66によりロアーハウジング10に固定されている。
【0039】
図6は、キャリア回動機構50における連結機構53についての上記第3の実施形態の変形例を示すものであり、この変形例においては、オイルシール59をモータ出力軸51aとロアーハウジング10の内孔との間に設け、遊星歯車室10b内の作動油がウォーム軸48の外歯スプライン63bとモータ出力軸51aの内歯スプライン63aとの係合部に潤滑油として到達できるようにしている。
【0040】
上記した実施形態では、第1および第2サンギヤ34,35に遊嵌されたプレート36a,36bに複数(例えば、3個)の遊星体37を支承軸38により円周上略等角度間隔に支承してキャリア36を構成し、各遊星体37に形成した第1および第2プラネタリギヤ40,41を第1および第2サンギヤ34,35に夫々噛合してキャリア36を回転可能に支承しているが、キャリア36をハウジング10に軸受により回転可能に支承し、該キャリア36に1個または複数個の遊星体37を支承するようにしてもよい。
【0041】
上述した各実施形態のキャリア回動機構50のウォーム機構52においては、ウォーム軸48の両端部或いは揺動操作機構54側の端部を支持する軸受49a、49bは、ボールベアリングを用いているが、この機構における軸受の機能はウォーム軸48の回転機能と揺動許容機能の両機能を備えるものであればよく、この両機能を備えるその他の軸受けもボールベアリングに代えて採用できる。
【0042】
また、上記した実施形態においては、揺動操作機構54によりウォーム軸48を揺動させるようにしているが、このような揺動運動に代えてウォーム軸48をウォームホイール43の径方向に直線移動させる移動操作機構として構成してもよい。
【0043】
また、揺動操作機構54は、スプリング55と油圧ピストン56により構成しているが、例えば電磁アクチエータ等のような電動手段を使用でき、その場合、ハンドル5の操舵信号に応答してこのような電動手段を動作し、ウォーム軸48を上述したように揺動させるようにしてもよい。
【0044】
さらに、上述した実施の形態においては、ポンプ22と入力ポートPを連結する供給路上の圧力上昇により油圧ピストン56を動作しているが、この供給路以外のハンドル操作により圧力上昇する部位からシリンダ室57へ圧油を導入するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る減速比可変式動力舵取り装置の縦断面図。
【図2】図1のA−A線に沿って切断した断面図。
【図3】遊星歯車機構の遊星ギヤを支持するキャリアを回動するためのキャリア回動機構の断面図。
【図4】第2の実施形態におけるキャリア回動機構の断面図。
【図5】第3の実施形態におけるキャリア回動機構の断面図。
【図6】第3の実施形態におけるキャリア回動機構の変形例の断面図。
【符号の説明】
1…減速比可変式動力舵取り装置、2…油圧サーボ装置、3…サーボ弁装置、4,60…入力軸、5…ハンドル、6…遊星歯車機構、7…ラックピニオン機構(ステアリングギヤ)、8…操向車輪、9…アッパーハウジング、10…ロアーハウジング、10a…ギヤ室、10b…遊星歯車室、11…ハンドル側シャフト、13…ギヤ側シャフト、18…ロータリ弁、22…油圧ポンプ、24…トーションバー、27…ラック軸、30…シリンダ装置、33…回転体、34、35…第1および第2サンギヤ、36…キャリア、37…遊星体、38…支承軸、40,41…第1および第2プラネタリギヤ、43…ウォームホイール、44…ウォーム、48…ウォーム軸、51…モータ、50・・・キャリア回動機構、52・・・ウォーム機構、53・・・連結機構、54・・・揺動操作機構、55・・・スプリング、56・・・油圧ピストン、57・・・シリンダ室、58・・・分岐管路(分岐路)、60・・・自在六角軸継手、61・・・オルダム継手、63a・・・内歯スプライン、63b・・・外歯スプライン、62・・・ボール、64・・・軸受ホルダー、59・・・オイルシール、A,B,P,T…ポート。
Claims (7)
- ハンドルの回転をステアリングギヤにより減速し、かつハンドルに作用する操舵力を油圧サーボ装置により増幅して操向車輪に伝達する動力舵取り装置にして、前記ハンドルに連結されたハンドル側シャフトと、前記ステアリングギヤに連結されたギヤ側シャフトとをハウジングに中心軸線上で回転可能に軸承し、該両シャフトに歯数が僅かに異なる第1および第2サンギヤを設け、該第1および第2サンギヤに夫々噛合して一体回転する第1および第2プラネタリギヤを支承するキャリアを前記中心軸線回りに回転可能に支承して遊星歯車機構を構成し、該キャリアをモータにより回転駆動するキャリア回動機構を設け、前記キャリアの回転速度を変更して減速比を変える減速比可変式動力舵取り装置において、前記キャリア回動機構は、前記キャリアと一体回転するウォームホイールと、このウォームホイールと噛み合って駆動するウォームを備えたウォーム軸と、このウォーム軸を前記ウォームホイールの径方向に移動可能にかつ回転を一体的に前記モータの出力軸に結合する連結機構と、前記ウォームを前記ウォームホイールに押し付けてこのウォームホイールをロックするロック位置と前記ウォームを前記ウォームホイールとの適正な噛み合いに戻す回転伝達位置との間で前記ウォーム軸を移動する移動操作手段とからなることを特徴とする減速比可変式動力舵取り装置。
- 請求項1において、前記連結機構は前記ウォーム軸の一端を支点にしてウォーム軸を揺動可能かつ回転を一体的に前記モータの出力軸に連結するように構成され、前記移動操作手段は前記ウォーム軸を前記一端を支点として揺動して前記ロック位置と前記回転伝達位置との間で揺動させる揺動操作機構により構成されることを特徴とする減速比可変式動力舵取り装置。
- 請求項2において、前記連結機構は、モータ出力軸と前記ウォーム軸の前記一端との間に設けられた自在六角軸継手により構成されることを特徴とする減速比可変式動力舵取り装置。
- 請求項2において、前記連結機構は、モータ出力軸と前記ウォーム軸の前記一端との間に設けられたオルダム継手により構成されることを特徴とする減速比可変式動力舵取り装置。
- 請求項2において、前記連結機構は、モータ出力軸の内孔に形成された内歯スプラインと、前記ウォーム軸の前記一端に歯筋方向にクラウニングが施されて形成され前記内歯スプラインと噛合される外歯スプラインとからなることを特徴とする減速比可変式動力舵取り装置。
- 請求項2乃至5のいずれかにおいて、前記揺動操作機構は、前記ウォーム軸の他端を回転支持する軸受と、前記ウォーム軸を前記ロック位置へ付勢するように前記軸受を押圧するスプリングと、このスプリングに抗して前記ウォーム軸を前記ロック位置から前記回転伝達位置へ押し戻すピストンを含む油圧シリンダと、前記ハンドルが操作された時に前記油圧シリンダに圧力を導入して前記ピストンを動作させる圧力導入手段とからなることを特徴とする減速比可変式動力舵取り装置。
- 請求項6において、前記圧力導入手段は、前記油圧サーボ装置の入力ポートへポンプから作動油を供給する供給路から分岐して前記油圧シリンダに接続された分岐路であることを特徴とする減速比可変式動力舵取り装置。
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JP2003076286A JP2004284411A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | 減速比可変式動力舵取り装置 |
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KR100723732B1 (ko) * | 2005-11-02 | 2007-05-30 | 주식회사 만도 | 웜 기어 유격 보상 장치를 구비한 전동식 동력 보조조향장치 |
JP2013203148A (ja) * | 2012-03-27 | 2013-10-07 | Jtekt Corp | 電動パワーステアリング装置 |
JP2016120729A (ja) * | 2014-12-24 | 2016-07-07 | 日本精工株式会社 | 電動アシスト装置及びその製造方法 |
CN116652992A (zh) * | 2023-07-28 | 2023-08-29 | 哈尔滨工业大学 | 一种机械拇指对掌关节、机械拇指及机械手 |
-
2003
- 2003-03-19 JP JP2003076286A patent/JP2004284411A/ja active Pending
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