JP2004283746A - 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および装置 - Google Patents
水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004283746A JP2004283746A JP2003080004A JP2003080004A JP2004283746A JP 2004283746 A JP2004283746 A JP 2004283746A JP 2003080004 A JP2003080004 A JP 2003080004A JP 2003080004 A JP2003080004 A JP 2003080004A JP 2004283746 A JP2004283746 A JP 2004283746A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water
- soluble resin
- resin component
- component
- cation exchange
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Treatment Of Water By Ion Exchange (AREA)
Abstract
【課題】水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液からイオン交換により、水溶性樹脂成分の析出なしに容易にアルカリ成分を除去することができ、これにより塩類濃度を低下させてpH調整することができ、塩類および水溶性樹脂成分の析出なしに効率よく水溶性樹脂成分処理を行うことができる水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液処理方法および装置を提案する。
【解決手段】水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を脱アルカリ槽1に導入し、樹脂槽4からH形カチオン交換樹脂を導入して混合し、懸濁状態で反応させてアルカリ成分を除去し、pH調整する。混合液を分離再生槽2に導入して分離し、分離した脱アルカリ液は樹脂成分処理装置3に送って水溶性樹脂成分処理を行い、カチオン交換樹脂は、再生剤槽6から再生剤(酸)を送って再生し、再生済みの樹脂を樹脂槽4に送る。
【選択図】 図1
【解決手段】水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を脱アルカリ槽1に導入し、樹脂槽4からH形カチオン交換樹脂を導入して混合し、懸濁状態で反応させてアルカリ成分を除去し、pH調整する。混合液を分離再生槽2に導入して分離し、分離した脱アルカリ液は樹脂成分処理装置3に送って水溶性樹脂成分処理を行い、カチオン交換樹脂は、再生剤槽6から再生剤(酸)を送って再生し、再生済みの樹脂を樹脂槽4に送る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を無害化するための処理方法および装置に関し、さらに詳細にはpHが低下すると析出する水溶性樹脂成分とアルカリ成分とを含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液、特に半導体や電子部品の製造工程で発生するレジスト含有廃液等の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理を安定して、かつ高度に行うための処理方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体や電子部品の製造工程から排出される廃液の一つに、ドライフィルムレジストを使用した製造工程から排出される水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液がある。この廃液はドライフィルムレジストを貼り付けた基板に回路パターンを露光してレジストを硬化させた後、露光せず硬化していないレジストをアルカリ水溶液で洗浄して除去する際、レジスト中の樹脂成分が水溶性となってアルカリ水溶液に溶解し、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液が発生する。この種の廃液中の水溶性樹脂成分には、アルカリ性の状態では水溶性であるが、pHが低下し、酸性になると不溶化して不溶性樹脂成分が析出するものがある。
【0003】
このような水溶性樹脂成分は、生物難分解性物質を主成分とするため、活性汚泥処理等の生物処理ができない。このため焼却、超臨界または亜臨界水熱処理などの加熱を伴う処理の対象になるが、これらの処理に先立って、濃縮による減容化が行われる。このような廃液の減容化のために、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を蒸発濃縮等により濃縮する場合、アルカリ性の状態では装置に悪影響が及ぶので、通常は酸により中和して濃縮、減容化が行われる。
【0004】
しかし単純に中和剤として酸を添加して中和すると塩が生成し、中和剤分の無機イオンが増加するため、濃縮により塩濃度が高くなりすぎる場合がある。このため濃縮装置や超臨界水酸化処理装置において塩類が析出して閉塞を招くことがある。またpHが低下したり、塩濃度が高くなることなどにより、水溶性樹脂成分などの溶解している成分が不溶化する場合があり、蒸発濃縮装置に析出成分が蓄積したり、粘着性を有する析出物が配管等を閉塞してしまうことがある。このようなことは蒸発濃縮の場合だけではなく、透過膜による濃縮の場合にも、程度の差はあるが、同様のことが起こり得る。
【0005】
このような問題は、廃液に中和剤を添加して中和するのではなく、廃液中のアルカリ成分を除去することによりpHを調整することができれば、回避することができる。廃液中のアルカリ成分は、ナトリウムイオン、カルシウムイオン等のカチオンであり、これらを除去するためには、イオン交換技術が考えられる。イオン交換は水中のイオンのうち、特定のイオンを除去できる代表的な技術であり、用水分野では最も一般的な技術のひとつになっている。しかし、廃液中の無機イオン除去という観点で使用されている例はほとんどない。これは、廃液中の種々の成分が樹脂に吸着するなどして樹脂の劣化が速いことや、特定イオン除去過程の水質変化で溶解成分が析出するなどして、樹脂塔内で閉塞してしまうなどの問題が生じるからである。
【0006】
この種のイオン交換技術では、イオン交換樹脂を樹脂塔に充填して通水し、イオンを交換除去するカラム通水方式が一般的である。しかし、H形カチオン交換樹脂を充填した樹脂塔に水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を通水すると、溶解していた水溶性樹脂成分が不溶化して大量に析出し、樹脂塔内の特定の部分に付着して樹脂塔内の流れが不均一化し、イオン交換処理ができなくなる。このような流れの不均一化を防止するために、流速を高めてイオン交換樹脂が流動化している状態で処理しても、同様に析出した樹脂成分が樹脂塔上部に付着・堆積し、処理ができなくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液からイオン交換により、水溶性樹脂成分の析出なしに容易にアルカリ成分を除去することができ、これにより塩類濃度を低下させてpH調整することができ、塩類および水溶性樹脂成分の析出なしに効率よく水溶性樹脂成分処理を行うことができる水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液処理方法および装置を提案することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液処理方法および装置である。
(1) 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合し、懸濁させてアルカリ成分を交換吸着させる脱アルカリ工程と、
脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離工程と、
分離液の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理工程と
を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
(2) 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液は、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分とアルカリ成分とを含む上記(1)記載の方法。
(3) 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液がレジスト含有廃液である上記(1)または(2)記載の方法。
(4) 分離工程で分離したカチオン交換樹脂を、再生して脱アルカリ工程に供給する再生工程を含む上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 水溶性樹脂成分処理工程が濃縮工程を含む上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合し、懸濁させてアルカリ成分を交換吸着させる脱アルカリ装置と、
脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離装置と、
分離液の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理装置と
を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置。
(7) 分離工程で分離したカチオン交換樹脂を、再生して脱アルカリ工程に供給する再生装置を含む上記(5)記載の装置。
(8) 水溶性樹脂成分処理装置が濃縮装置を含む上記(6)または(7)記載の装置。
【0009】
本発明において処理の対象となる被処理水は、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液、すなわち水溶性樹脂成分を含有するアルカリ性の廃液である。このような廃液としては、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分およびアルカリ成分を含む廃液が挙げられ、特に半導体や電子部品の製造工程で発生するレジスト含有廃液などが処理対象として好適である。pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分としては、例えばカルボキシル基を有する樹脂成分のように、アルカリ性では水溶性であるが、pHが例えば6未満に低下すると析出する樹脂成分が挙げられる。
【0010】
本発明において樹脂成分とは、高分子有機重合体である樹脂そのものの他に、このような樹脂を製造するための単量体その他の原料、および/または樹脂の分解物を含む。レジスト、塗料、インキに含まれる樹脂成分は、単量体その他の樹脂原料を含む組成物で、樹脂組成物と称されており、本発明の樹脂成分に含まれる。またポジ形レジストに含まれる樹脂が受光により分解して生成する水溶性の分解生成物も樹脂組成物を構成するものであり、本発明の樹脂成分に含まれる。
【0011】
レジスト、塗料、インキ等の水溶性樹脂成分を含有する廃液は、重合体の他に、未反応の単量体や分解生成物を含む樹脂成分を含有している。本発明において処理の対象となる樹脂成分は、アルカリ性の状態では水溶性であり、pHが低下すると析出する樹脂成分である。このような樹脂成分を含有するアルカリ廃液には、単量体や分解生成物など、一部の水溶性成分が水に溶け、重合体等の他の不溶性成分が水に溶解ないし分散して、溶液状態となっており、pH低下により全体が不溶化するものがある。このような水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液としては、レジスト廃液、塗料廃液、インキ廃液が挙げられる。
【0012】
前述のように、このような水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を濃縮すると、アルカリ性の状態では装置に悪影響が及ぶので、中性付近にpH調節する必要があるが、酸で中和すると塩が生成して塩濃度が高くなり、またイオン交換樹脂塔に通水してNaイオンを除去すると水溶性樹脂成分が析出する。イオン交換において水溶性樹脂成分が析出する原因を調べたところ、H形カチオン交換樹脂を充填した樹脂塔に水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を通水すると、通水初期の処理水はNaイオン等のアルカリ成分が大量に除去されて、pHが3〜4まで低下して酸性になり、溶解していた水溶性樹脂成分が不溶化して大量に析出するためであり、カラム通水方式による結果であることがわかった。
【0013】
このため本発明では、脱アルカリ工程において、被処理液の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合して懸濁させ、被処理液の入れ替えを行うことなくバッチ式に、イオン交換反応によりアルカリ成分を交換吸着させることにより、過度にpHを低下させることなく、アルカリ成分を除去することができ、これにより水溶性樹脂成分を析出させることなく、容易に塩類濃度を低下させてpH調整することができる。脱アルカリ工程に用いるH形カチオン交換樹脂の量は、被処理液に含まれるアルカリの種類および量により変化するが、上記のイオン交換反応により被処理液のpHが6〜9、好ましくは6.5〜8になる程度の量とする。
【0014】
カラム通水による連続式のイオン交換の場合は、被処理液が順次新しいカチオン交換樹脂に接触するため、連続的に平衡がずれて酸性になるが、被処理液とカチオン交換樹脂を混合し懸濁させ反応させるバッチ式のイオン交換の場合は、平衡に達するとイオン交換反応は止まり、酸性になることはない。このため水溶性樹脂成分を析出させることなく、アルカリ成分を除去してpH調整することができ、塩類濃度を低下させることもできる。
【0015】
脱アルカリ工程において用いる脱アルカリ装置は、バッチ式のイオン交換装置であり、被処理液とカチオン交換樹脂を混合して懸濁させイオン交換反応させる容器、および攪拌手段を含むものが用いられる。カチオン交換樹脂は、強酸性カチオン交換樹脂でも、弱強酸性カチオン交換樹脂でもよい。このカチオン交換樹脂は酸によりH形に再生したものを用いる。攪拌手段は、水流による攪拌手段でも、機械的攪拌手段でもよい。
【0016】
分離工程は、脱アルカリ反応をおこなった脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する工程である。分離装置としては、沈降分離、ろ過分離などを採用することができる。分離工程により、アルカリ成分が除去されpH調整された脱アルカリ液と、アルカリ成分を吸着したカチオン交換樹脂が分離する。
【0017】
水溶性樹脂成分処理工程は、分離工程で分離した分離液に含まれる水溶性樹脂成分につき、濃縮、分解、その他の処理を行う工程である。濃縮としては、蒸発濃縮、透過膜による濃縮などが採用できる。分解としては、超臨界または亜臨界水熱処理、焼却などの加熱を伴う処理による分解などが採用できる。これらの処理は、それぞれ単独で行ってもよく、また組み合わせて行ってもよいが、分解等には通常濃縮工程が含まれる。これらの処理に用いる処理装置は、従来より用いられている装置が採用できる。
【0018】
再生工程は、分離工程で分離したカチオン交換樹脂を再生して脱アルカリ工程に供給するものであり、再生剤として酸を用いる再生が行われる。酸としては、塩酸、硫酸等が使用でき、通常のカチオン交換樹脂の再生と同様の条件、装置で再生することができる。再生はバッチ式でなくてもよく、分離装置を再生装置として、再生剤を通液して再生することができる。
【0019】
本発明では、脱アルカリ工程において、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合して懸濁状態で反応させ、Naイオン等のアルカリ成分をカチオン交換樹脂に交換吸着させ、分離工程において脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離し、分離液を水溶性樹脂成分処理工程に送って水溶性樹脂成分処理を行う。分離工程で分離したカチオン交換樹脂は、再生工程において再生して脱アルカリ工程に供給することができる。
【0020】
本発明の方法および装置では、被処理液にH形カチオン交換樹脂を混合し、懸濁状態で反応させることにより、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液からイオン交換により、水溶性樹脂成分の析出なしに容易にアルカリ成分を除去することができ、これにより塩類濃度を低下させて、被処理液のpH調整することができる。これにより水溶性樹脂成分の不溶化が防止され、加熱、濃縮を行う場合でも、塩類および水溶性樹脂成分の析出なしに効率よく、濃縮、水熱反応等の水溶性樹脂成分処理を行うことができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合し、懸濁状態で反応させて脱アルカリを行い、脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離し、分離液を水溶性樹脂成分処理するようにしたので、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液からイオン交換により、水溶性樹脂成分の析出なしに容易にアルカリ成分を除去することができ、これにより塩類濃度を低下させてpH調整することができ、塩類および水溶性樹脂成分の析出なしに効率よく水溶性樹脂成分処理を行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
図1は本発明の実施形態の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液処理装置のフロー図である。
図1において、1は脱アルカリ槽、2は分離再生槽、3は樹脂成分処理装置、4は樹脂槽、5は計量槽、6は再生剤槽である。
【0023】
水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液処理方法は、弁V1、V2を開き、ラインL1から所定量の被処理液を脱アルカリ槽1に導入し、攪拌器7で攪拌する。弁V3を開き、樹脂槽4からラインL2を通して計量槽5にH形カチオン交換樹脂を導入して計量し、弁V4、V5を開き、ラインL3から被処理液を供給して計量された樹脂を脱アルカリ槽1に導入して混合する。こうして被処理液をH形カチオン交換樹脂と混合し、懸濁状態で反応させることにより、被処理液からイオン交換により容易にアルカリ成分が除去される。これにより水溶性樹脂成分の析出なしに塩類濃度を低下させて、被処理液をpH調整することができる。
【0024】
しばらく撹拌して廃液のpHが安定した段階で、弁V6、V7を開き、ラインL4から混合液を分離再生槽2に導入し、分離を行う。分離再生槽2ではストレーナ8で濾過することにより、目的のpHとなった脱アルカリ液と樹脂を分離する。分離した脱アルカリ液はラインL5から樹脂成分処理装置3に送る。
【0025】
樹脂成分処理装置3としては、濃縮装置、水熱反応装置等が用いられ、分離液に対し濃縮、水熱反応等の水溶性樹脂成分処理を行う。分離液は脱アルカリされているため水溶性樹脂成分の不溶化が防止され、加熱、濃縮を行う場合でも、塩類および水溶性樹脂成分の析出なしに効率よく、濃縮、水熱反応等の水溶性樹脂成分処理を行うことができる。
【0026】
分離再生槽2で分離したカチオン交換樹脂は、そのまま再生工程において再生する。再生は弁V8〜V11を開き、ラインL6から水を送り、再生剤槽6からラインL7を通して再生剤(酸)を送り、希釈して分離再生槽2に導入し、カチオン交換樹脂槽9を通過させて再生を行う。再生廃液はラインL8から排出する。その後弁V9を閉じ、水のみを送って、押出し、洗浄を行う。再生終了後、弁V8、V10、V7、V12、V13を開いて分離再生槽2に水を送り、再生済みの樹脂をラインL9から樹脂槽4に送る。
【0027】
このように被処理液内に樹脂を添加する方法を採用することにより、水溶性樹脂成分の析出による流れの不均一化や析出樹脂成分の閉塞などの問題がなくなる。また樹脂成分が析出しなくなることにより、イオン交換樹脂の洗浄・再生作業が容易になるとともに、同工程で使用する水や薬品の使用量が大幅に削減できる。処理水のpHを測定することで樹脂の添加量を調整するなどの微調整が容易となり、処理水性状が大幅に安定する。
【0028】
【実施例】
実施例1
ポリメタクリル酸系の水溶性樹脂成分を含むアルカリ廃液50Lを、脱アルカリ槽に入れ、H形弱酸性カチオン交換樹脂(レバチットCNP80WS)を5L分添加し、30分間撹拌した。30分後、撹拌を停止し、脱アルカリ槽内の液を樹脂再生槽に抜き出し、処理液を濾過したところ、濾過した処理液の外観は処理前からほとんど変化していなかった。処理前後の廃液の水質を表1に示す。表1より、Naだけが除去され、有機物(TOCが指標)はほとんど減少していないことがわかる。
【0029】
【表1】
表1
【0030】
比較例1
縦筒型の樹脂塔(直径500mm、高さ1300mm)にH形弱酸性カチオン交換樹脂(レバチットCNP80WS)を200L充填し、上向流式で実施例1の廃液を樹脂塔に通液したところ、初期の処理液は無色透明で、pHは3〜4に低下していた。通液を継続するに従い、樹脂塔内のカチオン交換樹脂に廃液中の樹脂成分が付着し、その量が増えていくのが観察された。廃液を1000L通液した段階で、樹脂層からリークしてきた析出樹脂成分が樹脂塔上部のサランネットに閉塞し、通液不可能となった。通液不可能になるまで処理液はpHが目標値(7)より低く、有機物(TOCが指標)も半減していた。処理前後の廃液の水質を表2に示す。表2より、Naの除去とともに、水溶性樹脂の析出により有機物(TOCが指標)が減少していることがわかる。
【0031】
【表2】
表2
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液処理装置のフロー図である。
【符号の説明】
1 脱アルカリ槽
2 分離再生槽
3 樹脂成分処理装置
4 樹脂槽
5 計量槽
6 再生剤槽
7 攪拌器
8 ストレーナ
9 カチオン交換樹脂槽
【発明の属する技術分野】
この発明は、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を無害化するための処理方法および装置に関し、さらに詳細にはpHが低下すると析出する水溶性樹脂成分とアルカリ成分とを含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液、特に半導体や電子部品の製造工程で発生するレジスト含有廃液等の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理を安定して、かつ高度に行うための処理方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体や電子部品の製造工程から排出される廃液の一つに、ドライフィルムレジストを使用した製造工程から排出される水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液がある。この廃液はドライフィルムレジストを貼り付けた基板に回路パターンを露光してレジストを硬化させた後、露光せず硬化していないレジストをアルカリ水溶液で洗浄して除去する際、レジスト中の樹脂成分が水溶性となってアルカリ水溶液に溶解し、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液が発生する。この種の廃液中の水溶性樹脂成分には、アルカリ性の状態では水溶性であるが、pHが低下し、酸性になると不溶化して不溶性樹脂成分が析出するものがある。
【0003】
このような水溶性樹脂成分は、生物難分解性物質を主成分とするため、活性汚泥処理等の生物処理ができない。このため焼却、超臨界または亜臨界水熱処理などの加熱を伴う処理の対象になるが、これらの処理に先立って、濃縮による減容化が行われる。このような廃液の減容化のために、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を蒸発濃縮等により濃縮する場合、アルカリ性の状態では装置に悪影響が及ぶので、通常は酸により中和して濃縮、減容化が行われる。
【0004】
しかし単純に中和剤として酸を添加して中和すると塩が生成し、中和剤分の無機イオンが増加するため、濃縮により塩濃度が高くなりすぎる場合がある。このため濃縮装置や超臨界水酸化処理装置において塩類が析出して閉塞を招くことがある。またpHが低下したり、塩濃度が高くなることなどにより、水溶性樹脂成分などの溶解している成分が不溶化する場合があり、蒸発濃縮装置に析出成分が蓄積したり、粘着性を有する析出物が配管等を閉塞してしまうことがある。このようなことは蒸発濃縮の場合だけではなく、透過膜による濃縮の場合にも、程度の差はあるが、同様のことが起こり得る。
【0005】
このような問題は、廃液に中和剤を添加して中和するのではなく、廃液中のアルカリ成分を除去することによりpHを調整することができれば、回避することができる。廃液中のアルカリ成分は、ナトリウムイオン、カルシウムイオン等のカチオンであり、これらを除去するためには、イオン交換技術が考えられる。イオン交換は水中のイオンのうち、特定のイオンを除去できる代表的な技術であり、用水分野では最も一般的な技術のひとつになっている。しかし、廃液中の無機イオン除去という観点で使用されている例はほとんどない。これは、廃液中の種々の成分が樹脂に吸着するなどして樹脂の劣化が速いことや、特定イオン除去過程の水質変化で溶解成分が析出するなどして、樹脂塔内で閉塞してしまうなどの問題が生じるからである。
【0006】
この種のイオン交換技術では、イオン交換樹脂を樹脂塔に充填して通水し、イオンを交換除去するカラム通水方式が一般的である。しかし、H形カチオン交換樹脂を充填した樹脂塔に水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を通水すると、溶解していた水溶性樹脂成分が不溶化して大量に析出し、樹脂塔内の特定の部分に付着して樹脂塔内の流れが不均一化し、イオン交換処理ができなくなる。このような流れの不均一化を防止するために、流速を高めてイオン交換樹脂が流動化している状態で処理しても、同様に析出した樹脂成分が樹脂塔上部に付着・堆積し、処理ができなくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液からイオン交換により、水溶性樹脂成分の析出なしに容易にアルカリ成分を除去することができ、これにより塩類濃度を低下させてpH調整することができ、塩類および水溶性樹脂成分の析出なしに効率よく水溶性樹脂成分処理を行うことができる水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液処理方法および装置を提案することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液処理方法および装置である。
(1) 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合し、懸濁させてアルカリ成分を交換吸着させる脱アルカリ工程と、
脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離工程と、
分離液の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理工程と
を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
(2) 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液は、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分とアルカリ成分とを含む上記(1)記載の方法。
(3) 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液がレジスト含有廃液である上記(1)または(2)記載の方法。
(4) 分離工程で分離したカチオン交換樹脂を、再生して脱アルカリ工程に供給する再生工程を含む上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 水溶性樹脂成分処理工程が濃縮工程を含む上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合し、懸濁させてアルカリ成分を交換吸着させる脱アルカリ装置と、
脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離装置と、
分離液の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理装置と
を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置。
(7) 分離工程で分離したカチオン交換樹脂を、再生して脱アルカリ工程に供給する再生装置を含む上記(5)記載の装置。
(8) 水溶性樹脂成分処理装置が濃縮装置を含む上記(6)または(7)記載の装置。
【0009】
本発明において処理の対象となる被処理水は、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液、すなわち水溶性樹脂成分を含有するアルカリ性の廃液である。このような廃液としては、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分およびアルカリ成分を含む廃液が挙げられ、特に半導体や電子部品の製造工程で発生するレジスト含有廃液などが処理対象として好適である。pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分としては、例えばカルボキシル基を有する樹脂成分のように、アルカリ性では水溶性であるが、pHが例えば6未満に低下すると析出する樹脂成分が挙げられる。
【0010】
本発明において樹脂成分とは、高分子有機重合体である樹脂そのものの他に、このような樹脂を製造するための単量体その他の原料、および/または樹脂の分解物を含む。レジスト、塗料、インキに含まれる樹脂成分は、単量体その他の樹脂原料を含む組成物で、樹脂組成物と称されており、本発明の樹脂成分に含まれる。またポジ形レジストに含まれる樹脂が受光により分解して生成する水溶性の分解生成物も樹脂組成物を構成するものであり、本発明の樹脂成分に含まれる。
【0011】
レジスト、塗料、インキ等の水溶性樹脂成分を含有する廃液は、重合体の他に、未反応の単量体や分解生成物を含む樹脂成分を含有している。本発明において処理の対象となる樹脂成分は、アルカリ性の状態では水溶性であり、pHが低下すると析出する樹脂成分である。このような樹脂成分を含有するアルカリ廃液には、単量体や分解生成物など、一部の水溶性成分が水に溶け、重合体等の他の不溶性成分が水に溶解ないし分散して、溶液状態となっており、pH低下により全体が不溶化するものがある。このような水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液としては、レジスト廃液、塗料廃液、インキ廃液が挙げられる。
【0012】
前述のように、このような水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を濃縮すると、アルカリ性の状態では装置に悪影響が及ぶので、中性付近にpH調節する必要があるが、酸で中和すると塩が生成して塩濃度が高くなり、またイオン交換樹脂塔に通水してNaイオンを除去すると水溶性樹脂成分が析出する。イオン交換において水溶性樹脂成分が析出する原因を調べたところ、H形カチオン交換樹脂を充填した樹脂塔に水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を通水すると、通水初期の処理水はNaイオン等のアルカリ成分が大量に除去されて、pHが3〜4まで低下して酸性になり、溶解していた水溶性樹脂成分が不溶化して大量に析出するためであり、カラム通水方式による結果であることがわかった。
【0013】
このため本発明では、脱アルカリ工程において、被処理液の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合して懸濁させ、被処理液の入れ替えを行うことなくバッチ式に、イオン交換反応によりアルカリ成分を交換吸着させることにより、過度にpHを低下させることなく、アルカリ成分を除去することができ、これにより水溶性樹脂成分を析出させることなく、容易に塩類濃度を低下させてpH調整することができる。脱アルカリ工程に用いるH形カチオン交換樹脂の量は、被処理液に含まれるアルカリの種類および量により変化するが、上記のイオン交換反応により被処理液のpHが6〜9、好ましくは6.5〜8になる程度の量とする。
【0014】
カラム通水による連続式のイオン交換の場合は、被処理液が順次新しいカチオン交換樹脂に接触するため、連続的に平衡がずれて酸性になるが、被処理液とカチオン交換樹脂を混合し懸濁させ反応させるバッチ式のイオン交換の場合は、平衡に達するとイオン交換反応は止まり、酸性になることはない。このため水溶性樹脂成分を析出させることなく、アルカリ成分を除去してpH調整することができ、塩類濃度を低下させることもできる。
【0015】
脱アルカリ工程において用いる脱アルカリ装置は、バッチ式のイオン交換装置であり、被処理液とカチオン交換樹脂を混合して懸濁させイオン交換反応させる容器、および攪拌手段を含むものが用いられる。カチオン交換樹脂は、強酸性カチオン交換樹脂でも、弱強酸性カチオン交換樹脂でもよい。このカチオン交換樹脂は酸によりH形に再生したものを用いる。攪拌手段は、水流による攪拌手段でも、機械的攪拌手段でもよい。
【0016】
分離工程は、脱アルカリ反応をおこなった脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する工程である。分離装置としては、沈降分離、ろ過分離などを採用することができる。分離工程により、アルカリ成分が除去されpH調整された脱アルカリ液と、アルカリ成分を吸着したカチオン交換樹脂が分離する。
【0017】
水溶性樹脂成分処理工程は、分離工程で分離した分離液に含まれる水溶性樹脂成分につき、濃縮、分解、その他の処理を行う工程である。濃縮としては、蒸発濃縮、透過膜による濃縮などが採用できる。分解としては、超臨界または亜臨界水熱処理、焼却などの加熱を伴う処理による分解などが採用できる。これらの処理は、それぞれ単独で行ってもよく、また組み合わせて行ってもよいが、分解等には通常濃縮工程が含まれる。これらの処理に用いる処理装置は、従来より用いられている装置が採用できる。
【0018】
再生工程は、分離工程で分離したカチオン交換樹脂を再生して脱アルカリ工程に供給するものであり、再生剤として酸を用いる再生が行われる。酸としては、塩酸、硫酸等が使用でき、通常のカチオン交換樹脂の再生と同様の条件、装置で再生することができる。再生はバッチ式でなくてもよく、分離装置を再生装置として、再生剤を通液して再生することができる。
【0019】
本発明では、脱アルカリ工程において、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合して懸濁状態で反応させ、Naイオン等のアルカリ成分をカチオン交換樹脂に交換吸着させ、分離工程において脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離し、分離液を水溶性樹脂成分処理工程に送って水溶性樹脂成分処理を行う。分離工程で分離したカチオン交換樹脂は、再生工程において再生して脱アルカリ工程に供給することができる。
【0020】
本発明の方法および装置では、被処理液にH形カチオン交換樹脂を混合し、懸濁状態で反応させることにより、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液からイオン交換により、水溶性樹脂成分の析出なしに容易にアルカリ成分を除去することができ、これにより塩類濃度を低下させて、被処理液のpH調整することができる。これにより水溶性樹脂成分の不溶化が防止され、加熱、濃縮を行う場合でも、塩類および水溶性樹脂成分の析出なしに効率よく、濃縮、水熱反応等の水溶性樹脂成分処理を行うことができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合し、懸濁状態で反応させて脱アルカリを行い、脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離し、分離液を水溶性樹脂成分処理するようにしたので、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液からイオン交換により、水溶性樹脂成分の析出なしに容易にアルカリ成分を除去することができ、これにより塩類濃度を低下させてpH調整することができ、塩類および水溶性樹脂成分の析出なしに効率よく水溶性樹脂成分処理を行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
図1は本発明の実施形態の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液処理装置のフロー図である。
図1において、1は脱アルカリ槽、2は分離再生槽、3は樹脂成分処理装置、4は樹脂槽、5は計量槽、6は再生剤槽である。
【0023】
水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液処理方法は、弁V1、V2を開き、ラインL1から所定量の被処理液を脱アルカリ槽1に導入し、攪拌器7で攪拌する。弁V3を開き、樹脂槽4からラインL2を通して計量槽5にH形カチオン交換樹脂を導入して計量し、弁V4、V5を開き、ラインL3から被処理液を供給して計量された樹脂を脱アルカリ槽1に導入して混合する。こうして被処理液をH形カチオン交換樹脂と混合し、懸濁状態で反応させることにより、被処理液からイオン交換により容易にアルカリ成分が除去される。これにより水溶性樹脂成分の析出なしに塩類濃度を低下させて、被処理液をpH調整することができる。
【0024】
しばらく撹拌して廃液のpHが安定した段階で、弁V6、V7を開き、ラインL4から混合液を分離再生槽2に導入し、分離を行う。分離再生槽2ではストレーナ8で濾過することにより、目的のpHとなった脱アルカリ液と樹脂を分離する。分離した脱アルカリ液はラインL5から樹脂成分処理装置3に送る。
【0025】
樹脂成分処理装置3としては、濃縮装置、水熱反応装置等が用いられ、分離液に対し濃縮、水熱反応等の水溶性樹脂成分処理を行う。分離液は脱アルカリされているため水溶性樹脂成分の不溶化が防止され、加熱、濃縮を行う場合でも、塩類および水溶性樹脂成分の析出なしに効率よく、濃縮、水熱反応等の水溶性樹脂成分処理を行うことができる。
【0026】
分離再生槽2で分離したカチオン交換樹脂は、そのまま再生工程において再生する。再生は弁V8〜V11を開き、ラインL6から水を送り、再生剤槽6からラインL7を通して再生剤(酸)を送り、希釈して分離再生槽2に導入し、カチオン交換樹脂槽9を通過させて再生を行う。再生廃液はラインL8から排出する。その後弁V9を閉じ、水のみを送って、押出し、洗浄を行う。再生終了後、弁V8、V10、V7、V12、V13を開いて分離再生槽2に水を送り、再生済みの樹脂をラインL9から樹脂槽4に送る。
【0027】
このように被処理液内に樹脂を添加する方法を採用することにより、水溶性樹脂成分の析出による流れの不均一化や析出樹脂成分の閉塞などの問題がなくなる。また樹脂成分が析出しなくなることにより、イオン交換樹脂の洗浄・再生作業が容易になるとともに、同工程で使用する水や薬品の使用量が大幅に削減できる。処理水のpHを測定することで樹脂の添加量を調整するなどの微調整が容易となり、処理水性状が大幅に安定する。
【0028】
【実施例】
実施例1
ポリメタクリル酸系の水溶性樹脂成分を含むアルカリ廃液50Lを、脱アルカリ槽に入れ、H形弱酸性カチオン交換樹脂(レバチットCNP80WS)を5L分添加し、30分間撹拌した。30分後、撹拌を停止し、脱アルカリ槽内の液を樹脂再生槽に抜き出し、処理液を濾過したところ、濾過した処理液の外観は処理前からほとんど変化していなかった。処理前後の廃液の水質を表1に示す。表1より、Naだけが除去され、有機物(TOCが指標)はほとんど減少していないことがわかる。
【0029】
【表1】
表1
【0030】
比較例1
縦筒型の樹脂塔(直径500mm、高さ1300mm)にH形弱酸性カチオン交換樹脂(レバチットCNP80WS)を200L充填し、上向流式で実施例1の廃液を樹脂塔に通液したところ、初期の処理液は無色透明で、pHは3〜4に低下していた。通液を継続するに従い、樹脂塔内のカチオン交換樹脂に廃液中の樹脂成分が付着し、その量が増えていくのが観察された。廃液を1000L通液した段階で、樹脂層からリークしてきた析出樹脂成分が樹脂塔上部のサランネットに閉塞し、通液不可能となった。通液不可能になるまで処理液はpHが目標値(7)より低く、有機物(TOCが指標)も半減していた。処理前後の廃液の水質を表2に示す。表2より、Naの除去とともに、水溶性樹脂の析出により有機物(TOCが指標)が減少していることがわかる。
【0031】
【表2】
表2
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液処理装置のフロー図である。
【符号の説明】
1 脱アルカリ槽
2 分離再生槽
3 樹脂成分処理装置
4 樹脂槽
5 計量槽
6 再生剤槽
7 攪拌器
8 ストレーナ
9 カチオン交換樹脂槽
Claims (8)
- 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合し、懸濁させてアルカリ成分を交換吸着させる脱アルカリ工程と、
脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離工程と、
分離液の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理工程と
を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。 - 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液は、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分とアルカリ成分とを含む請求項1記載の方法。
- 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液がレジスト含有廃液である請求項1または2記載の方法。
- 分離工程で分離したカチオン交換樹脂を、再生して脱アルカリ工程に供給する再生工程を含む請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- 水溶性樹脂成分処理工程が濃縮工程を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
- 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合し、懸濁させてアルカリ成分を交換吸着させる脱アルカリ装置と、
脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離装置と、
分離液の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理装置と
を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置。 - 分離工程で分離したカチオン交換樹脂を、再生して脱アルカリ工程に供給する再生装置を含む請求項5記載の装置。
- 水溶性樹脂成分処理装置が濃縮装置を含む請求項6または7記載の装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003080004A JP2004283746A (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003080004A JP2004283746A (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004283746A true JP2004283746A (ja) | 2004-10-14 |
Family
ID=33293977
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003080004A Pending JP2004283746A (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004283746A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009279561A (ja) * | 2008-05-26 | 2009-12-03 | Kurita Water Ind Ltd | 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置 |
JP2009285610A (ja) * | 2008-05-30 | 2009-12-10 | Kurita Water Ind Ltd | 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置 |
JP2010037916A (ja) * | 2008-08-08 | 2010-02-18 | Toda Constr Co Ltd | コンクリート構造体の処理方法 |
JP2010036130A (ja) * | 2008-08-06 | 2010-02-18 | Kurita Water Ind Ltd | アミノ基を有する水溶性有機溶媒の回収方法及び装置 |
JP2010125352A (ja) * | 2008-11-25 | 2010-06-10 | Japan Organo Co Ltd | フォトレジスト現像排水の排水処理システム |
-
2003
- 2003-03-24 JP JP2003080004A patent/JP2004283746A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009279561A (ja) * | 2008-05-26 | 2009-12-03 | Kurita Water Ind Ltd | 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置 |
JP2009285610A (ja) * | 2008-05-30 | 2009-12-10 | Kurita Water Ind Ltd | 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置 |
JP2010036130A (ja) * | 2008-08-06 | 2010-02-18 | Kurita Water Ind Ltd | アミノ基を有する水溶性有機溶媒の回収方法及び装置 |
JP2010037916A (ja) * | 2008-08-08 | 2010-02-18 | Toda Constr Co Ltd | コンクリート構造体の処理方法 |
JP2010125352A (ja) * | 2008-11-25 | 2010-06-10 | Japan Organo Co Ltd | フォトレジスト現像排水の排水処理システム |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100851456B1 (ko) | 물 처리 방법 및 장치 | |
TW387863B (en) | Water treating method and apparatus treating waste water by using ion exchange resin | |
JP4880656B2 (ja) | 水処理装置および水処理方法 | |
JPH1080693A (ja) | 排水処理方法および排水処理装置 | |
JP3646900B2 (ja) | 硼素含有水の処理装置及び方法 | |
JPH1043759A (ja) | 廃水の浄化方法及びその装置 | |
US3839199A (en) | Method of softening water to provide easily drained and easily filtered precipitates | |
US9255018B2 (en) | Cost-efficient treatment of fluoride waste | |
JP5298639B2 (ja) | 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置 | |
JP4071364B2 (ja) | 逆浸透膜分離装置の前処理装置 | |
JPS6248539B2 (ja) | ||
JP2004283746A (ja) | 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および装置 | |
JP2001096281A (ja) | フッ素含有廃水から脱塩水を回収する方法 | |
CN216426930U (zh) | 短流程零硬度预处理系统 | |
KR20140101589A (ko) | 불산 폐수 정화 방법 및 이를 이용한 불화수소산 폐수의 처리 시설 | |
JP3968678B2 (ja) | テトラアルキルアンモニウムイオン含有液の処理方法 | |
JP5051004B2 (ja) | 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置 | |
JPH08150400A (ja) | 有機物含有酸性排水処理装置 | |
JP2730610B2 (ja) | 水酸化有機第四アンモニウム含有廃液の処理方法 | |
JP4543478B2 (ja) | ホウ素含有水の処理方法 | |
US9650266B2 (en) | Method of treating suspended solids and heavy metal ions in sewage | |
JP2000024692A (ja) | 硫酸イオン含有排水の処理装置 | |
JP3845758B2 (ja) | 排水の脱リン方法 | |
JPH11221579A (ja) | フッ素含有水の処理方法 | |
JP2015134328A (ja) | フッ素含有溶液からのフッ素化合物除去方法 |