JP2004282511A - 画像処理装置 - Google Patents

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Etsuro Morimoto
悦朗 森本
Kazunari Tonami
一成 戸波
Hiroyuki Shibaki
弘幸 芝木
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Abstract

【課題】エッジの高精度な抽出に有利である信号空間でエッジの抽出を行ない、鮮鋭性制御に有利な信号空間においてノイズの除去および視覚的に自然な強調を実現し、出力画像の向上を図ること。
【解決手段】入力画像信号に対して所定の処理を実行し、出力する画像処理装置において、入力画像信号から画像中のエッジ量を算出するエッジ量算出部121と、このエッジ量にしたがって入力画像信号に対して空間周波数の補正を行なう鮮鋭性制御部122と、を備え、エッジ量算出部121と鮮鋭性制御部122は互いに異なる信号空間で処理を実行する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、電子写真プロセスによるデジタル複写機やファクシミリ装置などの画像形成装置に利用され、より詳細には、入力画像中における文字エッジ部分の検出を行ない、この検出結果にしたがって所定の画像処理を実行する画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ウェーブレット変換方式を用いた画像処理装置として、入力画像信号をウェーブレット変換し複数の周波数帯域の信号に分解し、少なくとも1つの周波数帯域信号に対して所定の画像処理を行なって逆変換する画像処理方法が開示されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、入力画像データを文字領域と非文字領域に分離するものとして、画像データから複数の帯域信号を生成し、少なくとも1つの帯域信号により画像データのエッジ情報を抽出し、エッジ情報の分布により文字領域を抽出する装置が開示されている(たとえば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−274614号公報
【特許文献2】
特開平6−223172号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている従来の画像処理方法にあっては、ウェーブレット変換の可逆特性から、ノイズを強調することなく所望する周波数帯域の画像に対して視覚的に自然な強調を行なうことができるものの、一方で文字画像と網点画像に対して同様な処理を行なっているため、文字画像の鮮鋭性の向上と網点画像のモアレ抑制とを両立することができなかった。
【0006】
また、上記特許文献2に開示されている従来の画像処理装置にあっては、ある閾値よりも大きい値をもつ帯域信号の密度を検出し、文字判定を行なう際に、網点画像中などにおいても大きな値をもつ帯域信号が存在するので、文字判定の精度が比較的低いものであった。また、ダウンサンプリングを行ないながら低い周波数帯域信号を生成するような構成であるため、文字判定の精度が低くなる場合があった。
【0007】
すなわち、入力画像信号における文字特徴量(エッジ量)の判定精度が低いために、出力画像の品質が向上しないという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、エッジの高精度な抽出に有利である信号空間でエッジの抽出を行ない、鮮鋭性制御に有利な信号空間においてノイズの除去および視覚的に自然な強調を実現し、出力画像の向上を図ることを第1の目的とする。
【0009】
また、高精度な判定により誤判定や誤算出によるモアレの発生やディフェクトを伴わずに所望とする周波数帯域の強調を好適に行えるようにし、かつ像域分離で文字領域以外の属性に判定される網点上文字部等の領域においてもモアレの発生やディフェクトを伴わずに好適な鮮鋭性制御を行なうことにより、出力画像の品質向上を図ることを第2の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1にかかる画像処理装置にあっては、入力画像信号に対して所定の処理を実行し、出力する画像処理装置において、前記入力画像信号から画像中のエッジ量を算出するエッジ量算出手段と、前記エッジ量にしたがって前記入力画像信号に対して空間周波数の補正を行なう鮮鋭性制御手段と、を備え、前記エッジ量算出手段と前記鮮鋭性制御手段は互いに異なる信号空間で処理を実行するものである。
【0011】
この発明によれば、エッジ量の算出を実空間上で入力画像信号の分布に基づいて行なうことにより、エッジ抽出の際、注目画素周囲の参照する画素領域の自由度が増すため、所望の特性に近い高精度なエッジの抽出が実現する。また、多重解像度空間に変換してフィルタ処理を行なうことにより、ノイズを強調することなく所望とする周波数帯域の画像に対してノイズの除去および視覚的に自然な強調が実現可能になる。
【0012】
また、請求項2にかかる画像処理装置にあっては、入力画像信号に対して所定の処理を実行し、出力する画像処理装置において、前記入力画像信号から画像の網点度合を算出する網点度合算出手段と、前記網点度合にしたがって前記入力画像信号に対して空間周波数の補正を行なう鮮鋭性制御手段と、を備え、前記網点度合算出手段と前記鮮鋭性制御手段は互いに異なる信号空間で処理を実行するものである。
【0013】
この発明によれば、網点度合の算出を実空間上で入力画像信号の分布に基づいて行なうことにより、網点度合算出の際、参照画素領域の自由度が高くなり、高精度な網点度合の算出が可能となる。したがって、鮮鋭性の制御の際に文字らしきところでは強調を強く行い、網点らしきところでは強調を強くしないような制御が可能となる。
【0014】
また、請求項3にかかる画像処理装置にあっては、入力画像信号に対して所定の処理を実行し、出力する画像処理装置において、前記入力画像信号から画像中のエッジ量を算出するエッジ量算出手段と、前記入力画像信号から画像の網点度合を算出する網点度合算出手段と、前記エッジ量算出手段および前記網点度合算出手段からの出力値から文字エッジ量を算出する文字エッジ量算出手段と、前記文字エッジ量算出手段からの文字エッジ量にしたがって空間周波数の補正を行なう鮮鋭性制御手段と、を備えたものである。
【0015】
この発明によれば、網点度合の算出を入力画像信号の分布に基づいて画像の領域的な特徴の判定を行ない、一方のエッジ量算出では注目画素周囲の狭い範囲の画像特徴の判定を行なうため、両者を組み合わせることにより大局的観点および局所的観点の両側面から文字特徴量の算出が実現し、網点以外の文字エッジの抽出を高精度に行なうことが可能になる。また、これらの網点度合算出およびエッジ量算出を含む文字特徴量の算出を実空間で実施することにより、参照画素領域の自由度が高くなるため、高精度な文字エッジの抽出を行なうことが可能になる。
【0016】
また、請求項4にかかる画像処理装置にあっては、前記エッジ量算出手段または前記網点度合算出手段または前記文字エッジ量算出手段は、実空間の入力信号分布にしたがった算出を実行し、前記鮮鋭性制御手段は、前記入力画像信号を多重解像度空間に変換した係数に対して補正を行なうことで空間周波数の補正を実行するものである。
【0017】
この発明によれば、網点度合の算出を入力画像信号の分布に基づいて画像の領域的な特徴の判定を行ない、一方のエッジ量算出では注目画素周囲の狭い範囲の画像特徴の判定を行なうため、この両判定を組み合わせることにより大局的観点および局所的観点の両側面から文字特徴量の算出が行なえ、網点以外の文字エッジの抽出を高精度に行なうことが可能になる。また、これらの網点度合算出およびエッジ量算出を含む文字特徴量の算出を実空間で実施することにより、参照画素領域の自由度が高くなるため、高精度な文字エッジの抽出を行なうことが可能になる。
【0018】
また、請求項5にかかる画像処理装置にあっては、前記エッジ量または前記網点度合または前記文字エッジ量にしたがって、前記入力画像信号に対する空間周波数の補正を適応的に行なうものである。
【0019】
この発明によれば、請求項3および4に加え、算出された多値的な文字特徴量の大きさに基づいた適応的なフィルタ処理を実施することにより、文字エッジ部と絵柄部の誤判定による画像のディフェクトを抑制し、不均一性のないエッジ強調を行なうことが可能になる。
【0020】
また、請求項6にかかる画像処理装置にあっては、前記多重解像度空間への変換は、2次元ウェーブレット変換を用いて行なうものである。
【0021】
この発明によれば、多重解像度空間に変換してフィルタ処理を行なうことにより、入力画像信号に含まれいるノイズを強調することなく所望とする周波数帯域の画像に対してノイズの除去および視覚的に自然な強調を行なうことが可能になる。
【0022】
また、請求項7にかかる画像処理装置にあっては、前記多重解像度空間への変換は、少なくとも1つの周波数帯域について入力画像の画素を間引かずに実行するものである。
【0023】
この発明によれば、請求項6に加え、ウェーブレット変換で、帯域分割するときに画像を間引かず(サブサンプリングを行なわない)に係数変換することにより、出力に隣接成分との平均をとることになるため、サンプリング位置により周波数特性の補正が著しく異なるといった不具合を解消することが可能になる。
【0024】
また、請求項8にかかる画像処理装置にあっては、前記エッジ量算出手段は、複数の方向別にエッジ量を算出し、前記鮮鋭性制御手段は、この複数の方向別にエッジ量に基づいて複数の周波数帯域それぞれについて空間周波数の補正を行なうものである。
【0025】
この発明によれば、周波数帯域毎または方向毎に文字エッジ検出を行い、方向毎に鮮鋭性の制御を独立に行なうため、必要な方向についてのみの強調が可能となる。
【0026】
また、請求項9にかかる画像処理装置にあっては、前記エッジ量算出手段は、複数の周波数帯域別にエッジ量を算出し、前記鮮鋭性制御手段は、この複数の周波数帯域別にエッジ量に基づいて複数の周波数帯域それぞれについて空間周波数の補正を行なうものである。
【0027】
この発明によれば、複数の周波数帯域毎に文字エッジ検出を行ない、周波数帯域毎に鮮鋭性の制御を独立に行なうため、必要な周波数帯域についてのみの強調が可能となる。
【0028】
また、請求項10にかかる画像処理装置にあっては、前記エッジ量算出手段は、複数の周波数帯域・方向別にエッジ量を算出し、前記鮮鋭性制御手段は、この複数の方向別にエッジ量に基づいて複数の周波数帯域それぞれについて空間周波数の補正を行なうものである。
【0029】
この発明によれば、周波数帯域毎または方向毎、もしくは周波数帯域毎かつ方向毎に文字エッジ検出を行い、周波数帯域毎並びに方向毎に鮮鋭性の制御を独立に行なうことにより、必要な周波数帯域・方向についてのみの強調が可能となる。
【0030】
また、請求項11にかかる画像処理装置にあっては、前記文字エッジ量算出手段は、複数の方向別に文字エッジ量の算出を実行し、前記鮮鋭性制御手段は、前記文字エッジ量算出手段で算出された文字エッジ量に基づいて方向別にそれぞれ空間周波数の補正を実行するものである。
【0031】
この発明によれば、複数の方向毎に文字エッジ検出を行ないい、方向毎に鮮鋭性の制御を独立に行なうことにより、必要な方向についてのみの強調が可能となる。
【0032】
また、請求項12にかかる画像処理装置にあっては、前記文字エッジ量算出手段は、複数の周波数帯域別に文字エッジ量の算出を実行し、前記鮮鋭性制御手段は、前記文字エッジ量算出手段で算出された文字エッジ量に基づいて方向別にそれぞれ空間周波数の補正を実行するものである。
【0033】
この発明によれば、複数の周波数帯域毎に文字エッジ検出を行い、周波数帯域毎に鮮鋭性の制御を独立に行なうことにより、必要な周波数帯域についてのみの強調が可能となる。
【0034】
また、請求項13にかかる画像処理装置にあっては、前記文字エッジ量算出手段は、複数の周波数帯域・方向別に文字エッジ量の算出を実行し、前記鮮鋭性制御手段は、前記文字エッジ量算出手段で算出された文字エッジ量に基づいて方向別にそれぞれ空間周波数の補正を実行するものである。
【0035】
この発明によれば、複数の周波数帯域毎または方向毎に文字エッジ検出を行い、方向毎に鮮鋭性の制御を独立に行なうことにより、必要な周波数帯域・方向についてのみの強調が可能となる。
【0036】
また、請求項14にかかる画像処理装置にあっては、前記鮮鋭性制御手段は、前記複数の周波数帯域または方向の、エッジ量または文字エッジ量を用い、少なくとも周波数帯域および方向の鮮鋭性制御を実行するものである。
【0037】
この発明によれば、複数の周波数帯域毎または方向毎に文字エッジ検出を行い、方向毎に鮮鋭性の制御を独立に行なうことにより、必要な周波数帯域・方向についてのみの強調が可能となる。
【0038】
また、請求項15にかかる画像処理装置にあっては、前記文字エッジ量算出手段は、色補正処理後のシアン、マゼンタ、イエローの少なくとも3色の信号を含む色空間で画像特徴量を算出するものである。
【0039】
この発明によれば、複写(画像再生)の対象であるカラー印刷網点原稿はCMYKプロセスインクで構成されており、カラー網点のいわゆるロゼッタ模様と主に1次色または2次色の文字特徴量との切り分けが難しいのが現状である。そこで、まず色補正により印刷のプロセスインクに近くなるようなCMY3色の色空間に変換した上で文字特徴量の抽出を行なうことにより、カラーロゼッタ模様による低周波成分はエッジとして抽出されにくくなり、一方で色文字はより単色成分に強い応答を得ることが可能となる。
【0040】
また、請求項16にかかる画像処理装置にあっては、前記鮮鋭性制御手段は、前記画像特徴量に基づいた空間周波数の補正を輝度/色差系の色空間で実行するものである。
【0041】
この発明によれば、輝度/色差系の色空間においてフィルタ処理を実施することにより、RGBやCMY色空間において各色毎独立にエッジ強調処理を行なった際に生じる色変わりや色濁りを抑制することが可能になる。
【0042】
また、請求項17にかかる画像処理装置にあっては、前記文字エッジ量算出手段は、輝度信号を用いて画像特徴量を算出するものである。
【0043】
この発明によれば、フィルタ処理を実施するため輝度/色差系の色空間に変換した信号中の輝度信号を用いて画像特徴量の算出を行なうことにより、色補正を複数有することなく文字特徴量の抽出を行なうことが可能になる。
【0044】
また、請求項18にかかる画像処理装置にあっては、入力画像信号に対して所定の処理を実行し、出力する画像処理装置において、前記入力画像信号から注目画素の画像属性判定を行なう画像属性判定手段と、前記入力画像信号から画像中のエッジ量を算出するエッジ量算出手段と、前記エッジ量にしたがって前記入力画像信号に対して空間周波数の補正を行なう鮮鋭性制御手段と、を備え、前記画像属性判定手段と前記エッジ量算出手段は互いに異なる信号空間で処理を実行するものである。
【0045】
この発明によれば、像域分離の大局的観点による画像属性判断とエッジ量算出の局所的観点による判断をそれぞれの判定に適した信号空間によって実施することにより、誤判定や誤算出によるモアレの発生やディフェクトを伴わずに所望とする周波数帯域の強調を好適に行なうことが可能になる。また、像域分離とは別にエッジ量の算出を行ない、このエッジ量に基づいた適応的なフィルタ処理を行なう構成とすることにより、像域分離で文字領域以外の属性に判定される網点上文字部等の領域においてもモアレの発生やディフェクトを伴わずに好適な鮮鋭性制御を行なうことが可能になる。
【0046】
また、請求項19にかかる画像処理装置にあっては、前記画像属性判定手段は、前記入力画像信号の注目画素が網点領域であるかを判定する網点領域判定手段と、前記注目画素近傍が白地領域であるかを判定する白地判定手段と、前記注目画素がエッジであるかを判定するエッジ判定手段と、の少なくと一つを備え、当該注目画素の画像属性を判定するものである。
【0047】
この発明によれば、網点領域判定手段、白地判定手段、エッジ判定手段の少なくとも一つを備え、画像のエッジ、非網点、白地であった場合にその入力画素を文字領域にある画像属性と判定し、これ以外を文字領域外であると判断することにより、誤判定や誤算出によるモアレの発生やディフェクトを伴わずに所望とする周波数帯域の強調を好適に行なうことが可能になる。
【0048】
また、請求項20にかかる画像処理装置にあっては、さらに、前記画像属性判定手段からの画像属性にしたがって前記エッジ量算出手段のエッジ量を補正するエッジ量補正手段を備えたものである。
【0049】
この発明によれば、画像属性判定手段からの画像属性にしたがってエッジ量算出手段のエッジ量を補正することにより、文字領域と判定された領域のエッジ量を最大値として補正することで、白地上の文字および低コントラスト文字について、鮮鋭性や解像性に優れた画像出力が可能になる。
【0050】
また、請求項21にかかる画像処理装置にあっては、前記鮮鋭性制御手段および前記エッジ量算出手段は、同一の信号空間において所定の処理を実行するものである。
【0051】
この発明によれば、エッジ量算出を行なう信号空間をフィルタ処理を行なう信号空間を同一とすることにより、エッジ量算出結果を信号係数変換や位置ずれ調整等の追加処理なしに直接フィルタ処理部に使用することが可能になる。
【0052】
また、請求項22にかかる画像処理装置にあっては、前記画像属性判定手段は、実空間で画像属性を判定し、前記エッジ量算出手段は、多重解像度空間においてエッジ量を算出するものである。
【0053】
この発明によれば、像域分離を実空間において実施することにより、像域分離部内の網点分離部や白地分離部のように注目画素近傍の広い範囲の画素値の参照を必要をする分離機構において、参照可能な領域の自由度が高く、より高精度な網点分離部および白地分離部、ひいてはより高精度な像域分離を行なうことが可能になる。
【0054】
また、請求項23にかかる画像処理装置にあっては、前記エッジ量算出手段は、2次元ウェーブレット変換により多重解像度空間に変換し、エッジ量を算出するものである。
【0055】
この発明によれば、多重解像度空間に変換してフィルタ処理を行なうことにより、ノイズを強調することなく所望とする周波数帯域の画像に対してノイズの除去および視覚的に自然な強調を行なうことが可能になる。
【0056】
また、請求項24にかかる画像処理装置にあっては、前記解像度空間への変換は、少なくとも1つの周波数帯域に対して入力画像の画素を間引かずに実行するものである。
【0057】
この発明によれば、請求項23に加え、ウェーブレット変換で、帯域分割するとき画像を間引かずに係数変換することにより、出力に隣接成分との平均をとることになるため、サンプリング位置により周波数特性の補正が著しく異なるといった不具合を解消することが可能になる。
【0058】
また、請求項25にかかる画像処理装置にあっては、前記エッジ量算出手段は、複数の周波数帯域・方向成分別にエッジ量を算出し、前記鮮鋭性制御手段は、この算出された複数のエッジ量に基づいて複数の周波数帯域・方向成分それぞれについて空間周波数の補正を行なうものである。
【0059】
この発明によれば、周波数帯域毎かつ方向毎にエッジ量算出を行い、周波数帯域毎かつ方向毎に鮮鋭性の制御を独立に行なうため、必要な周波数帯域・方向についてのみの強調が可能となり、結果として再生画像で必要な鮮鋭性は確保しつつ、網点や文字においては余分な高周波成分の強調による強調波歪みが抑制され、網点、文字及び網点上文字のいずれの原稿に対しても良好な出力画像を得ることが可能になる。特に網点上文字においては文字のエッジに沿った方向だけを強調することにより、文字は強調でき、かつ隣接する網点の強調は抑制され、良好な出力画像を得ることが可能になる。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる画像処理装置の好適な実施の形態について添付図面を参照し、詳細に説明する。なお、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
【0061】
[実施の形態1]
(発明の概要)
本発明では、入力画像信号の分布に基づき実空間で複数の特徴量の算出を行い、算出された特徴量の大きさに基づいて適応的なフィルタ処理をウェーブレット空間のような多重解像度空間において実施している。このため、特徴量抽出における制御方法の自由度が増し、より所望の特性に近い高精度な特徴量の抽出を可能としており、また、ウェーブレット空間のような多重解像度空間において周波数帯域・方向成分毎のフィルタ処理を、画素のダウンサンプリングを行わない帯域信号を用いて行なうため、ディフェクトなしに網点を除いた文字画像のみを必要な周波数帯域・方向についての強調を可能としている。特に網点上文字においても、文字に適した周波数帯域のエッジに沿った方向だけを強調することにより、文字は文字らしく鮮明に強調でき、かつ隣接する網点の強調は抑制することが可能となるため、特に網点上の文字と白地上の文字の違いを意識することなく所定の画像処理を行なうことを可能にしている。
【0062】
また、本発明では、入力画像に対して、周波数帯域・方向成分毎の特徴量抽出を行い、その複数の結果に基づいて周波数帯域・方向毎独立に鮮鋭性の制御を行なうことにより、必要な周波数帯域・方向についてのみの強調が可能となり、必要な鮮鋭性は確保しつつ、網点や文字においては余分な高周波成分の強調により高調波歪みが抑制され、従来に比べて網点上文字の鮮鋭性の向上や文字や網点における高調波歪みのない再生が可能な画像処理を行なうものである。
【0063】
また、本発明では、エッジ量の抽出を実空間で実施している。エッジの抽出はウェーブレット係数信号を使用しても実現可能であるが、ウェーブレット係数信号では階層毎に係数信号の解像度が決まっているため、エッジ抽出の際に参照したい解像度信号と一致しない場合がある。したがって、高精度なエッジの抽出を狙うには複数のウェーブレット係数信号を演算により組み合わせて得られる新たな信号を導出し、その導出された信号に基づいてエッジの抽出を行なうことになる。すなわち、実空間信号では特に問題なくそのまま実施できる事を、ウェーブレット係数信号で同様に高精度なエッジ抽出を実施するためには追加演算を行なうためコストアップとなるのである。このように、本発明はコストアップなしに高精度なエッジ量の抽出を行なうものである。
【0064】
さらに、本発明では、エッジ抽出と平行して実空間における網点度合の算出を行い、この結果の非網点度合と前記エッジ量とに基づいて文字特徴量の算出を行い、この文字特徴量に基づいて適応的なフィルタ処理を実施している。この網点度合は画像の単位領域毎にその結果の算出を行なうため、画像の大局的な判定が行われていることになる。一方でエッジ量の算出は注目画素毎に結果を算出するため局所的な判定が行われていると言える。したがって、本発明では大局的観点および局所的観点の両側面の判断基準から文字特徴量の算出をおこない、フィルタによる強調を施したくない網点部と強調を施したいエッジ部とをより明確に区別することを可能にしている。このように網点部を含まない文字特徴量を高精度に算出することにより、網点部でのモアレの発生を伴わずに所望とする周波数帯域の強調を自然に行なうものである。以下、具体的な例を示し、順に説明する。
【0065】
(システム構成)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。この図1において、符号100はスキャナなどの画像入力装置、符号110は後述する画像処理装置、符号120はレーザプリンタなどの画像出力装置である。
【0066】
画像処理装置110は、スキャナγ補正部111と、フィルタ処理部112と、色補正処理部113と、BG/UCR処理部114と、プリンタγ補正部115と、中間処理部116と、を備えている。
【0067】
画像入力装置100によって光学的に読み取られ入力された画像信号rgbは、スキャナγ補正部111により濃度リニアあるいは明度リニアのRGB、8bit(0〜255)の画像データに変換する。スキャナγ補正部111は、通常、LUT(ルックアップテーブル)などにより補正処理を行なうが、これに限らずスルーであってもよい。スキャナγ補正部111からの画像データは、後述するフィルタ処理部112に入力され、所望の空間周波数特性に画像を変換する。フィルタ処理部112から出力された画像データは色補正処理部112でCMY信号に変換される。この色補正の方法としては様々な方法が知られているが、ここでは最も単純な例として以下のような演算式(1)が行なわれるものとする。
【0068】
C=α11×R+α12×G+α13×B+β1
M=α21×R+α22×G+α23×B+β2
Y=α31×R+α32×G+α33×B+β3 ・・・(1)
【0069】
ただし、上記式(1)において、α11〜α33およびβ1〜β3は、あらかじめ定められた色補正係数で、入力RGBおよび出力CMYは8bit(0〜255)の信号とする。
【0070】
続いて、色補正処理部113から出力された画像データはBG/UCR処理部114に入力され、墨成分であるK信号が生成される(BG)と共にCMY信号から下色除去(UCR)が行なわれる。たとえば、K信号の生成およびCMY信号からの下色除去は、下記式(2)にしたがって行なう。
【0071】
K=Min(C,Y,M)×β4
C’=C−K×β5
M’=M−K×β5
Y’=Y−K×β5 ・・・(2)
【0072】
ただし、上記式(2)において、Min(C,Y,M)は、CMY信号のうち最小のものを供給する。β4、β5はあらかじめ定められた係数で8bitの信号とする。
【0073】
続いて、BG/UCR処理部114から出力された画像データは、プリンタγ補正部115に入力され、所望の濃度特性となるように変換され、中間調処理部116において多値または2値画像データに変換される。なお、中間調処理部116は、ディザ処理を用いても誤差拡散のいずれの方法を用いてもよい。中間調処理部116から出力された画像データは、画像出力装置120に転送される。
【0074】
(1−1)実空間で算出したエッジ量に基づきWavelet変換での適応エッジ強調を行なう例
【0075】
まず、フィルタ処理部112の構成および動作について詳述する。図2は、この実施の形態1のフィルタ処理部112の構成例(1)を示すブロック図である。ここでのフィルタ処理部112は、多重解像度変換部120と、エッジ量算出部121と、鮮鋭性制御部122と、逆多重解像度変換部123と、を備えている。
【0076】
図2において、RGB入力画像信号は、まず、各色毎に多重解像度変換部120に入力され、複数の画像帯域信号に分解される。また、一方で、入力信号中のG信号はエッジ量算出部121にも入力され、ここで入力画像信号中のエッジ量の算出が行なわれる。ついで、鮮鋭性制御部122ではエッジ量算出部121での算出結果にしたがって多重解像度空間上で画像の強調処理および平滑処理を行なう。また、この鮮鋭性制御部122は、周波数帯域・方向成分毎に鮮鋭性の制御を行なう。なお、これらエッジ量算出部121および鮮鋭性制御部122の詳細については後述する。そして、鮮鋭性制御部122から出力された画像データは、最後に、多重解像度変換部123によって実空間画像信号に変換され、出力される。
【0077】
図3は、図2のフィルタ処理部112の多重解像度変換部120の構成を示すブロック図である。なお、この例ではウェーブレット(wavelet)変換による構成を示す。図において、符号131は1階層のローパスフィルタG(x)、符号132は1階層のハイパスフィルタH(x)、符号133〜136は1階層のフィルタ群、符号137は2階層のローパスフィルタG(x)、符号138は2階層のハイパスフィルタH(x)、符号139〜142は2階層のフィルタ群である。
【0078】
多重解像度変換部120に入力された画像信号は、ローパスフィルタG(x)131およびハイパスフィルタH(x)132によってx方向にウェーブレット変換される。ここで、ローパスフィルタG(x)は、図4(a)に示すような平均値成分を求めるような低周波成分抽出用フィルタであり、また、ハイパスフィルタH(x)は、図4(b)に示すような差分成分を求めるような高周波成分抽出用フィルタである。なお、この実施の形態では、図4に示す特性のウェーブレット基底関数(Haar)を例にとって説明する。
【0079】
ローパスフィルタG(x)131およびハイパスフィルタH(x)132によって求められた画像信号に対し、フィルタ群133〜136によってy方向のウェーブレット変換が施される。この一連の変換によって求められるのが1階層のウェーブレット係数(1HH,1HL,1LH,1LL)である。
【0080】
すなわち、図3において、1LLは1階層の低周波成分であり、原画像に対して2×2画素の平均値を求めた画像信号となっている。また、1LHは1階層の横方向高周波成分であり、ナイキスト周波数にあたる横方向のエッジ信号を抽出したような画像信号となる。同様に、1HLは1階層の縦方向高周波成分であり、縦方向のエッジ信号を、1HHは1階層の斜め方向のエッジ信号を抽出したような画像信号となる。
【0081】
つまり、図5に示すように、a,b,c,dの2×2画素ブロックに対してウェーブレット変換が平均値および各方向のエッジ成分を抽出する変換であることがわかる。
【0082】
続いて、上述のように求められた1LL信号に対し、ローパスフィルタG(x)137およびハイパスフィルタH(x)138により同様の手順で2階層のウェーブレット変換を行ない、さらにフィルタ群139〜142によって変換された2LL,2LH,2HL,2HHを得る。
【0083】
2LLは4×4画素の平均値を求めた画像信号であり、1階層よりも低周波帯域の画像信号である。また、同様に、2LHは1LHよりも低周波帯域の成分であり、ナイキスト周波数の1/2の周波数帯域の横方向エッジを抽出した画像信号である。同様に、2HLは2階層の縦方向高周波成分であり、より低周波な縦方向のエッジ信号を、2HHは斜め方向のエッジ信号を抽出したような画像信号となる。このようにして2階層までのウェーブレット係数信号W(1LL〜1HH,2LL〜2HH)を取得する。
【0084】
図6は、多重解像度変換部120、エッジ量算出部121および鮮鋭性制御部122の構成を示すブロック図である。図示するように、多重解像度変換部120はRGBの各画像信号毎に上述の処理(図3参照)を行なう多重解像度変換部120R,120G,120Bを有し、この信号およびエッジ量算出部121からの信号D0を鮮鋭性制御部121R,121G,121Bそれぞれに供給する。
【0085】
図7は、エッジ量算出部121の内部構成を示すブロック図である。このエッジ量算出部121は、横方向エッジ量算出部151、縦方向エッジ量算出部152、右斜め方向エッジ量算出部153、左斜め方向エッジ量算出部154、MAX算出部155を備えている。
【0086】
図6において、G信号をエッジ量算出部121に入力し、そこで算出されるエッジ量をエッジ量算出結果D0として出力する。鮮鋭性制御部122では、そのエッジ量算出結果D0をもとに多重解像度変換部120からの各色の多重解像度信号に対する鮮鋭性制御を実行する。
【0087】
つぎに、以上のように構成されたエッジ量算出部121の動作について図8〜図15を参照し、説明する。まず、エッジ量算出部121では、図7に示すように、G信号を入力し、横方向エッジ量算出部151,縦方向エッジ量算出部152,右斜め方向エッジ量算出部153,左斜め方向エッジ量算出部154それぞれによってエッジ量D1,D2,D3,D4を抽出し、これをMAX算出部155に送り、そこでエッジ量D1,D2,D3,D4の最大値を求め、最終的なエッジ量D0として出力する。
【0088】
ここで、横方向エッジ量算出部151,縦方向エッジ量算出部152,右斜め方向エッジ量算出部153,左斜め方向エッジ量算出部154それぞれによるエッジ量の算出例について説明する。
【0089】
横方向エッジ量算出部151では、横方向のエッジ量D1を算出する。注目画素における図8に示すフィルタ結果値を中心として、その左右2画素ずつにおけるフィルタ結果値の合計5画素分のフィルタ結果値を用い、以下に示す条件式にしたがってD1を算出する。この算出の様子を図12に示す。
【0090】
if(連続する5つのフィルタ結果値がすべて同符号)
then(D1=5つのフィルタ結果値の絶対値の最小値)
else
(D1=0)
【0091】
縦方向エッジ量算出部152では、縦方向のエッジ量D2を算出する。上述と同様に、注目画素における図9に示すフィルタ結果値を中心として、その上下2画素ずつにおけるフィルタ結果値の合計5画素分のフィルタ結果値を用い、以下に示す条件式にしたがってD2を算出する。この算出の様子を図13に示す。
【0092】
if(連続する5つのフィルタ結果値がすべて同符号)
then(D2=5つのフィルタ結果値の絶対値の最小値)
else
(D2=0)
【0093】
右斜め方向エッジ量算出部153では、高周波帯域・右斜め方向のエッジ量D3を算出する。上述と同様に、注目画素における図10に示すフィルタ結果値を中心として、その右斜め上下2画素ずつにおけるフィルタ結果値の合計5画素分のフィルタ結果値を用い、以下に示す条件式にしたがってD3を算出する。この算出の様子を図14に示す。
【0094】
if(連続する5つのフィルタ結果値がすべて同符号)
then(D3=5つのフィルタ結果値の絶対値の最小値)
else
(D3=0)
【0095】
左斜め方向エッジ量算出部154では、高周波帯域・右左斜め方向のエッジ量D4を算出する。上述と同様に、注目画素における図11に示すフィルタ結果値を中心として、その左斜め上下2画素ずつにおけるフィルタ結果値の合計5画素分のフィルタ結果値を用い、以下に示す条件式にしたがってD4を算出する。この算出の様子を図15に示す。
【0096】
if(連続する5つのフィルタ結果値がすべて同符号)
then(D4=5つのフィルタ結果値の絶対値の最小値)
else
(D4=0)
【0097】
これら各エッジ量の算出が終了すると、引き続きMAX算出部155において、エッジ量D1,D2,D3,D4の最大値を算出し、その結果をエッジ量算出部121の最終的なエッジ量D0として出力する。
【0098】
このように、上述の例では、入力画像の文字部や線画部において図8〜図11のフィルタ結果値が大きく、その結果の連続性も大きくなるのに対し、網点部においては図8〜図11のフィルタ結果値は大きくないがその連続性が小さくなるという特性を積極的に使ってエッジ量の算出を行なっている。
【0099】
つぎに、鮮鋭性制御部122の構成および動作について説明する。なお、鮮鋭性制御は各色毎に実行されるので、ここでは単色分を例にとって説明する。図16は、鮮鋭性制御部122における単色分の構成を示すブロック図である。鮮鋭性制御部122は、単色の多重解像度信号を入力し、それぞれ補正する補正部160a〜160fを備えている。
【0100】
図16において、鮮鋭性制御部122は、エッジ量算出部121で算出されたエッジ量の結果を利用し、ウェーブレット係数空間上で周波数帯域・方向成分毎に画像信号の強調処理および平滑化処理を実行する。具体的には、エッジ量算出部121の結果D0に応じて、1階層および2階層ウェーブレット高周波成分1LH,1HL,1HH,2LH,2HL,2HHに対し、補正部160a〜160fによって所定の補正を行なう。
【0101】
図17は、図16の鮮鋭性制御部122における補正部160a(160b〜160f)の内部構成を示すブロック図である。補正部160a(160b〜160f)は、パラメータ設定部161と、演算器162と、を備えている。
【0102】
まず、パラメータ設定部161は、文字エッジ量Dの大きさに基づいて周波数帯域・方向成分毎に所定の強調係数αとノイズ除去閾値Thnを出力し、つぎの演算器162で、図18に示すように、入力された高周波成分係数信号の絶対値がノイズ除去閾値Thnよりも小さい場合には、補正後の係数信号の値を0にし、高周波成分係数信号の絶対値がノイズ除去閾値Thn以上の場合には、入力された係数信号の値に強調係数αを乗じる演算を行ない、その結果を補正後の高周波成分として出力する。
【0103】
このような制御を行なうことによって、ノイズ除去閾値Thnより小さな高周波成分はノイズとして除去されるため、平滑化を施した画像になり、一方、ノイズ除去閾値Thn以上の高周波成分は信号としてα倍(α>1)されるため、差分成分が増大し、強調処理を施した画像が得られる。なお、上述したノイズ除去閾値Thn、強調係数αは異なる周波数帯域(1階層、2階層)、異なる方向成分(HL,LH,HH)ごと個別に設定可能に構成されている。すなわち、それぞれの帯域、方向ごとに除去する高周波成分の大きさと強調度合いを制御することが可能なため、きめこまかなノイズ除去(平滑化)と強調を行なうことができる。
【0104】
さて、パラメータ設定部161では、文字エッジ量Dの大きさに基づいて強調係数αとノイズ除去閾値Thnを算出することは先に述べた通りである。図19に文字エッジ量Dの大きさに対応した強調係数αを算出するテーブルの例を、図20に文字エッジ量Dの大きさに対応したノイズ除去閾値Thnを算出するテーブルの例をそれぞれ示す。
【0105】
図19および図20から、エッジ量算出部121で抽出された文字エッジ量Dが大きい場合には強調係数αは大きな値となるため、文字や線画部において十分な鮮鋭性が得られるように設定され、一方でノイズ除去閾値Thnは小さく設定されるため、比較的微小な濃度変化も強調することができ、文字や線画部の鮮鋭性を満足させることができる。反対に、エッジ量算出部121で抽出された文字エッジ量Dが小さい場合には強調係数αは小さい値となるため、網点画像などの絵柄領域における強調を過度に行なわないように設定され、一方でノイズ除去閾値Thnが大きく設定されるため、十分なノイズ除去が行なわれ、粒状性に優れた画像出力が得られる。
【0106】
さて、鮮鋭性制御部122から出力されたデータは、逆多重解像度変換部123に入力され、実空間画像に逆変換される。つぎに、この逆多重解像度変換部123の動作について詳述する。
【0107】
図21は、図2のフィルタ処理部112における逆多重解像度変換部123の構成を示すブロック図である。この逆多重解像度変換部123は、1階層のx方向の逆変換を行なう逆変換ローパスフィルタ165、逆変換ハイパスフィルタ166と、1階層のy方向の逆変換を行なう逆変換ローパスフィルタ167,168、1階層のy方向の逆変換を行なう逆変換ハイパスフィルタ168,170とを備え、さらに2階層のx方向の逆変換を行なう逆変換ローパスフィルタ171、逆変換ハイパスフィルタ172と、2階層のy方向の逆変換を行なう逆変換ローパスフィルタ173,175、2階層のy方向の逆変換を行なう逆変換ハイパスフィルタ174,176とを備えている。
【0108】
逆多重解像度変換部123では、より高階層のウェーブレット係数信号から処理が行なわれる。鮮鋭性処理部122によって補正された2階層係数信号(2LL’,2HL’,2LH’,2HH’)は、逆変換ローパスフィルタ173,175および逆変換ハイパスフィルタ174,176によってy方向に逆変換され、さらに逆変換ローパスフィルタ171および逆変換ハイパスフィルタ172によってx方向に逆変換される。得られた画像信号は補正後の1階層LL信号(1LL’)であり、1階層の他の補正後係数信号(1HL’,1LH’,1HH’)と共に、同様な復元処理が施される。このようにしてフィルタ処理後の実空間画像信号S’が得られる。
【0109】
ところで、この実施の形態におけるウェーブレット変換は、通常、圧縮処理などが行なわれているサブサンプリング(画素の間引き)を実行しない構成をとっている。サブサンプリングを行なうウェーブレット変換ブロック図は図22に示すように、ハイパスフィルタおよびローパスフィルタによる処理を行なった後、2画素に1画素間引く処理を行ない、係数信号とする。逆変換では、アップサンプリングを行ない、逆変換フィルタによって逆変換を行なう。
【0110】
これに対し、この実施の形態では図23に示すように、順変換の際にダウンサンプリングを行なわない構成としている。図23に図示するように、ここでは、順変換側では、ハイパスフィルタ180とローパスフィルタ181のみの構成とする。逆ウーブレット変換側のフィルタ・バンクでは、even,odd画素群(182〜185)を図示のごとくアップサンプリングする回路186〜189を逆変換フィルタ190〜193の入力側にそれぞれ設け、この出力値を平均する回路194〜197を配置し、さらに各ハイパスフィルタの平均値を加算する加算器198、各ローパスフィルタの平均値を加算する加算器199、この加算器198と加算器199の出力を加算する加算器200を備えている。
【0111】
したがって、図24に示すように、各階層、各方向の係数信号の画像サイズは入力画像Orgと同サイズとなる。逆変換時には、図23に示すように、even,odd画素群毎にそれぞれアップサンプリングを行ない逆変換フィルタを施す。1つの原画像画素に対してeven画素群からの逆変換結果と、odd画素群からの逆変換結果が得られるので、これらを平均して逆変換後の画像データとする。
【0112】
以上のようにサブサンプリングを行なわない処理とすることにより、強調/平滑ムラのない高品位なフィルタ処理を行なうことができる。この様子を図25〜図27を参照し、説明する。図25〜図27はいずれも原画像は同じであり、4画素周期で濃淡を繰り返す信号である。図25と図26はサブサンプリングを行なう場合の例であり、図27はサブサンプリングを行なわない本実施の形態の方式を示すものである。さらに、図25と図26はサブサンプリングを行なう画素が1画素ずれた場合の例を示すものである。
【0113】
図25の場合では、d1とd2の画素対、d3とd4の画素対に対して行なわれたウェーブレット係数信号を間引いた例であり、結果として、d0とd1の画素対、d2とd3の画素対に対する係数信号が残る。たとえば、強調フィルタ処理のために、高周波成分に対して2倍の強調係数を乗じて逆変換すると、d0とd1の高周波成分50が2倍と増幅され、逆変換後のd0’とd1’のデータ差は2倍となり、所望の強調処理が行なわれていることがわかる。
【0114】
これに対して図26に示すように、サブサンプリングが1画素ずれた場合、d1とd2の画素対によって得られる高周波成分は0となり、強調係数を乗じても高周波成分は増幅されず、図示するように原画像と何ら変わらない結果となり、所望の強調処理が行なわれていないことがわかる。このようにサブサンプリングを行なう変換系では、そのサンプリング位置によって正しく周波数特性の補正が行なえない場合がある。そこで、この実施の形態では、サブサンプリングを行なわないウェーブレット変換とし、図27に示すように、図25と図26の結果を平均した結果となり、漏れのない周波数特性の補正が行なわれる。
【0115】
本発明においてはエッジ量の算出を、フィルタ処理が実行される多重解像度空間とは異なる信号空間、実空間において実行している。これは高精度なエッジ量の抽出をフィルタ処理と同じ多重解像度を用いて実行しようとすると、追加演算の発生が不可欠で、コストアップと処理速度の低下が生じるため、自由度の高い実空間で別途算出する方が有利であるためである。たとえば、前述した図8〜図11に示すようなフィルタと等価のフィルタ係数およびマスクサイズをウェーブレット係数から導出しようとした場合にも、多数の演算を要することは明らかである。
【0116】
なお、図8〜図11のフィルタは一例を示すものであり、所望のエッジ特性の抽出が可能な係数に設定されるべきで、この係数やマスクサイズに限定されるものではない。また、連続性による評価を実行しているが、特に高精度のエッジ抽出が必要でない場合には省略することが可能である。
【0117】
また、この実施の形態においてはエッジ量の算出を実空間で、フィルタ処理を多重解像度空間において実行している例について示したが、特にこの組み合わせに限られるものではなく、エッジ量の算出とフィルタ処理それぞれにおいて演算量増加によるコストアップおよび速度低下を伴わず、高精度な処理が実行できるような信号空間を見定め、それらを組み合わせ実現することが好ましい。
【0118】
上記の実現例として、エッジ量の算出をDCT(discrete cosine transform:離散コサイン変換)空間にて行ない、フィルタ処理を多重解像度空間にて行なう構成も考えられる。たとえば、特許第3008499号の画像領域判定方法を用いれば、DCTを行ない、N×Nの係数パターンを求め、その係数パターンをあらかじめ作成した文字画像の性質に適した係数パターンと比較した結果で各ブロックが文字領域か中間調領域にあるかを誤判定がふくない状態で判定することができる。
【0119】
また、この実施の形態では、ウェーブレット基底関数としてHaar型ウェーブレットを例にとって説明したが、他の基底関数(たとえば、QMF、CQS、SSKF)でも同様なことが可能である。また、ウェーブレット変換に限らず、画像を複数の周波数帯域に分割するサブバンド変換、フーリエ変換(Fourier transform)、アダマール変換(Hadamard transform)、ラプラシアンピラミッドなどに対しても同様な処理が可能である。
【0120】
また、本発明は複数の機器から構成されるシステムに適用しても、あるいは、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明はシステムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合に適用できる。
【0121】
(1−2)エッジ量+網点度合の文字特徴量に基づきWavelet空間で適応エッジ強調を行なう例
【0122】
図28は、この実施の形態1のフィルタ処理部112の構成例(2)を示すブロック図である。ここでのフィルタ処理部112は、多重解像度変換部120と、文字エッジ量算出部210と、先鋭性制御部122と、逆多重解像度変換部123と、を備えている。
【0123】
文字エッジ量算出部210は、前述したエッジ量算出部121に加えて網点度合算出部211を配置し、エッジ量算出部121からの出力D0と網点度合算出部211からの網点度合を示す出力A0の積を乗算器212で求め、これを文字エッジ量(文字特徴量)Dとして先鋭性制御部122に出力する。そして、先鋭性制御部122はこの文字エッジ量(文字特徴量)Dに基づいて鮮鋭性制御を行なう。
【0124】
図29は、多重解像度変換部120、文字エッジ量算出部210および鮮鋭性制御部122の構成を示すブロック図である。ここで、エッジ量算出部121は前述した例と同様であるのでここでの説明は省略し、網点度合算出部211の構成および動作について説明する。なお、網点度合算出部211は、たとえば当出願人により提案されている特開平11−8775公報(p4−p5、図4、図5)により実現される。
【0125】
図30は、網点度合算出部211の構成を示すブロック図である。この網点度合算出部211は、網点ドットの中心画素(ピーク画素)を算出するピーク画素算出部213と、たとえば4×4画素単位にブロック化するブロック化部214と、ピーク画素が存在するブロックをカウントし、その注目ブロックとその周囲の8ブロックを参照してアクティブブロックして計数するカウント部215と、網点度合用テーブルにしたがって補正するテーブル変換部216と、を備えている。
【0126】
以上のように構成された網点度合算出部211において、ピーク画素検出部213は、網点ドットの中心画素(ピーク画素)を検出し、注目画素の山の頂点が谷の底にあたる場合の条件式(図30参照)にヒットした場合に注目画素をピーク画素として検出する。ピーク画素の検出後、ブロック化部214によりブロック化を行なう。ブロック単位は4×4画素単位で行ない、ブロック内に一つでもピーク画素が存在すれば、そのブロックをアクティブブロックとする。ブロック化以降はブロック単位の処理とする。そして、さらに注目ブロックとその周囲の8ブロックを参照してアクティブブロックを計数し、それを注目ブロック内画素の網点度とする。
【0127】
最終的にカウント部215におけるアクティブブロック数の結果をテーブル変換部216において値の補正を行なったものを網点度合算出部211の出力A0として出力する。ここでテーブル変換部216での値の補正例を図3に示す。図31に示すように、テーブル変換部216ではカウント部215の出力値が大きい程、出力値A0が小さくなるような変換を行なう。したがって、A0は非網点度合を表しているといえる。このテーブル変換部216からの出力値A0が網点度合算出部211の最終的な出力値A0である。
【0128】
つぎに、上述の網点度合算出部211の出力A0とエッジ量算出部121の出力D0とを乗算器212で乗算する。この乗算結果が文字エッジ量算出部210の最終出力Dとして、鮮鋭性制御部122に供給される。
【0129】
この実施の形態では、網点度合の算出を行なうことにより画像の領域的な特徴の判定を行ない、一方のエッジ量算出では注目画素周囲の狭い範囲の画像特徴の判定を行なうため、両者を組み合わせることにより、大局的観点および局所的観点の両側面から文字特徴量の算出が行なえ、網点以外の文字特徴量の抽出を高精度に行なうことができる。
【0130】
また、これらの網点度合算出およびエッジ量算出を含む文字特徴量の算出を実空間で実行することにより、参照画素領域の自由度が高いため、コストアップや処理速度の低下を招来させることなく、高精度な文字特徴量の抽出を行なうことができる。特に、網点度合算出のような領域での判定を行なう処理については実空間で実施する方が有利である。
【0131】
また、この実施の形態では文字エッジ量算出部210にて文字特徴量Dが比較的大きく算出される画像中の文字や線画の部分から文字特徴量Dが比較的小さく算出される網点などの絵柄部に至るまで、すべての領域において、文字特徴量Dに基づいた連続的な処理を行なっており、文字部/絵柄部のような2値判定に基づく処理の切り換えは行なっていない。すなわち、適応的なフィルタ処理を実行しているため、処理の切り換えや2値判定の誤判定によって生じやすいディフェクトのない良好な出力画像が得られる。
【0132】
なお、この実施の形態では文字特徴量Dの算出に網点度合算出部211を加えているが、これ以外に、網点度合算出方法や簡易的な方法であってもよく、文字特徴量算出に必要な精度に合わせて構成すればよい。
【0133】
また、この実施の形態では、網点度合算出211で非網点度合の算出を行ない、エッジ量の補正を行ない、文字特徴量により適応的な鮮鋭性制御を行なう公正としているが、特にこれに限定されるものではない。たとえば、前述のようにエッジ量により適応的な鮮鋭性制御を実行する構成のほか、図32に示すように、網点度合算出部211の出力値A0により適応処理を行なう構成であってもよい。この場合には網点度合算出部211の出力値A0は非網点度合を示す値であり、文字特徴量に代わりこの非網点度合A0に基づき鮮鋭性の制御を実行すればよい。
【0134】
(1−3)文字特徴量に基づきmulte‐resolution,multi‐directionのウェーブレットフィルタの例
【0135】
この実施の形態は、エッジ量算出部121において高周波帯域、低周波帯域別かつ横方向、縦方向、斜め方向別にエッジ量を算出し、網点度合算出部211の出力値A0との乗算を行ない、高周波帯域、低周波帯域別かつ横方向、縦方向、斜め方向別に文字特徴量を算出し、鮮鋭性制御部122でそれぞれの結果に基づいて独立に鮮鋭性制御を行なうものである。
【0136】
図33は、この実施の形態にかかる文字エッジ量算出部210、鮮鋭性制御部122の構成を示すブロック図である。ここでの文字エッジ量算出部210は、高周波・横方向エッジ量D1を算出する高周波・横方向エッジ量算出部215、高周波・縦方向エッジ量D2を算出する高周波・縦方向エッジ量算出部216、高周波・縦斜め方向エッジ量D3を算出する高周波・斜め方向エッジ量算出部217、低周波・横方向エッジ量D4を算出する低周波・横方向エッジ量算出部218、低周波・縦方向エッジ量D5を算出する低周波・縦方向エッジ量算出部219、低周波・斜め方向エッジ量D6を算出する低周波・斜め方向エッジ量算出部220、これらD1〜D4それぞれと網点度合算出部211の出力と乗算し、補正部160a〜160fそれぞれに出力する乗算器221〜226を備えている。
【0137】
図33に示すエッジ量算出部121において高周波帯域横・縦・斜め方向および低周波帯域横・縦・斜め方向のエッジ量算出結果D1,D2,D3,D4,D5,D6を出力し、網点度合算出部211の出力結果A0との乗算を行なってそれぞれの帯域・方向別の文字特徴量を算出する。そして、その結果に基づいて鮮鋭性制御部122において周波数帯域・方向成分毎に独立に鮮鋭性の制御を行なう。
【0138】
このエッジ量算出部121の動作および詳細構成について図34〜図51を参照し、説明する。なお、ここでも前述した例(図16参照)と同様にエッジ量算出のための入力信号をG信号としている。
【0139】
1つ目の高周波帯域・横方向エッジ量算出部215では、高周波帯域・横方向のエッジ量D1を算出する。注目画素における図34に示すフィルタ結果値を中心としてその左右2画素ずつにおけるフィルタ結果値の合計5画素分のフィルタ結果値を用いて以下の条件式にしたがってD1を算出する。図44に算出の様子を示す。
【0140】
if(連続する5つのフィルタ結果値がすべて同符号)
then(D1=5つのフィルタ結果値の絶対値の最小値)
else
(D1=0)
【0141】
2つ目の高周波帯域・縦方向エッジ量算出部216では、高周波帯域・縦方向のエッジ量D2を算出する。横方向のエッジ量算出方法と同様に、注目画素における図35に示すフィルタ結果値を中心としてその上下2画素ずつにおけるフィルタ結果値の合計5画素分のフィルタ結果値を用いて以下の条件式にしたがってD1を算出する。図45に算出の様子を示す。
【0142】
if(連続する5つのフィルタ結果値がすべて同符号)
then(D2=5つのフィルタ結果値の絶対値の最小値)
else
(D2=0)
【0143】
3つ目の高周波帯域・斜め方向エッジ量算出部217では、横・縦方向のエッジ量算出とは異なり、高周波・斜め方向エッジ量算出部217は、図38に示すように、高周波・右斜方向エッジ量算出部230、高周波・左斜方向エッジ量算出部231、最大値算出部232を備えている。高周波帯域・右斜め方向のエッジ量D3Rと高周波帯域・左斜め方向のエッジ量D3Lを算出し、その最大値を高周波・斜め方向のエッジ量D3として出力する。
【0144】
高周波帯域・右斜め方向のエッジ量D3Rの算出方法について説明する。横・縦方向のエッジ量算出方法と同様に、注目画素における図36に示すフィルタ結果値を中心としてその右斜め方向の隣接2画素ずつの合計5係数を用いて以下の条件式にしたがってD3Rを算出する。図46に算出の様子を示す。
【0145】
if(右斜め方向に連続する5つのフィルタ結果値がすべて同符号)
then(D3R=5つのフィルタ結果値の絶対値の最小値)
else
(D3R=0)
【0146】
続いて、高周波帯域・左斜め方向のエッジ量D3Lの算出方法について説明する。高周波帯域・右斜め方向のエッジ量算出方法と同様に、注目画素における図37に示すフィルタ結果値を中心としてその左斜め方向の隣接2画素ずつの合計5係数を用いて以下の条件式にしたがってD3Lを算出する。図47に算出の様子を示す。
【0147】
if(左斜め方向に連続する5つのフィルタ結果値がすべて同符号)
then(D3L=5つのフィルタ結果値の絶対値の最小値)
else
(D3L=0)
【0148】
以上のように算出された高周波帯域・右斜め方向のエッジ量D3Rと高周波帯域・左斜め方向のエッジ量D3Lの各算出結果の最大値を最大値算出部232を求め、これを高周波帯域・斜め方向のエッジ量D3として出力する。
【0149】
4つ目の低周波帯域・横方向エッジ量算出部218では、低周波帯域・横方向のエッジ量D4を算出する。高周波帯域の場合の算出方法と同様に、注目画素における図39に示すフィルタ結果値を中心としてその左右2画素ずつにおけるフィルタ結果値の合計5画素分のフィルタ結果値を用いて以下の条件式にしたがってD1を算出する。図48に算出の様子を示す。
【0150】
if(連続する5つのフィルタ結果値がすべて同符号)
then(D4=5つのフィルタ結果値の絶対値の最小値)
else
(D4=0)
【0151】
5つ目の低周波帯域・縦方向エッジ量算出部219では、高周波帯域・縦方向のエッジ量D5を算出する。横方向のエッジ量算出方法と同様に、注目画素における図40に示すフィルタ結果値を中心としてその上下2画素ずつにおけるフィルタ結果値の合計5画素分のフィルタ結果値を用いて以下の条件式にしたがってD5を算出する。図49に算出の様子を示す。
【0152】
if(連続する5つのフィルタ結果値がすべて同符号)
then(D5=5つのフィルタ結果値の絶対値の最小値)
else
(D5=0)
【0153】
6つ目の低周波大域・斜め方向エッジ量算出部220では、横・縦方向のエッジ量算出とは異なり、低周波・斜め方向エッジ量算出部220は、図43に示すように、低周波・右斜方向エッジ量算出部233、低周波・左斜方向エッジ量算出部234、最大値算出部235を備えている。低周波帯域・右斜め方向のエッジ量D6Rと低周波帯域・左斜め方向のエッジ量D6Lを算出し、その最大値を低周波・斜め方向のエッジ量D6として出力する。
【0154】
低周波帯域・右斜め方向のエッジ量D6Rの算出方法について説明する。横・縦方向のエッジ量算出方法と同様に、注目画素における図41に示すフィルタ結果値を中心としてその右斜め方向の隣接2画素ずつの合計5係数を用いて以下の条件式にしたがってD6Rを算出する。図50に算出の様子を示す。
【0155】
if(右斜め方向に連続する5つのフィルタ結果値がすべて同符号)
then(D6R=5つのフィルタ結果値の絶対値の最小値)
else
(D6R=0)
【0156】
続いて、低周波帯域・左斜め方向のエッジ量D3Lの算出方法について説明する。低周波帯域・右斜め方向のエッジ量算出方法と同様に、注目画素における図42に示すフィルタ結果値を中心としてその左斜め方向の隣接2画素ずつの合計5係数を用いて以下の条件式にしたがってD6Lを算出する。図51に算出の様子を示す。
【0157】
if(左斜め方向に連続する5つのフィルタ結果値がすべて同符号)
then(D6L=5つのフィルタ結果値の絶対値の最小値)
else
(D6L=0)
【0158】
以上のように算出された低周波帯域・右斜め方向のエッジ量D6Rと低周波帯域・左斜め方向のエッジ量D6Lの各算出結果の最大値を最大値算出部235を求め、これを低周波帯域・斜め方向のエッジ量D6として出力する。
【0159】
単色毎の処理を行なう鮮鋭性制御部122においては、エッジ量算出部121からの帯域・方向別の出力D1,D2,D3,D4,D5,D6にそれぞれ網点度度合算出部211の出力値A0をかけた帯域・方向別の文字特徴量に基づいて各帯域・方向別それぞれに前述の方法と同様の多重解像度空間における鮮鋭性制御を実行する。
【0160】
なお、図33に示すブロック図では、帯域・方向別に算出された文字特徴量は多重解像度信号において対応する帯域・方向の鮮鋭性制御にみの供給する例を示しているが、必ずしもこのような1対1対応でなくてもよい。また、網点度合算出部211についても、この実施の形態以外の方法や簡易的な方法であってもよく、文字特徴量算出に必要な精度に合わせて構成すればよい。
【0161】
さらに、この実施の形態では、各帯域・方向別の文字特徴量に基づいて多重解像度空間における鮮鋭性制御を行なっているが、特にこれに限定されるものではなく、各帯域・方向別のエッジ量に基づいた鮮鋭性の制御を行なってもよい。
【0162】
また、この実施の形態では、各帯域・方向別に文字特徴量を算出し、各帯域・方向別独立に文字特徴量に基づいた鮮鋭性制御を行なっているが、図52に示すように各方向別(横方向エッジ量算出部225、縦方向エッジ量算出部226、斜め方向エッジ量算出部227)のみ独立に構成したり、あるいは図53に示すように各帯域別のみ独立な構成をとってもよい。
【0163】
以上述べたようにこの実施の形態においては、文字エッジ量算出部210で周波数帯域・方向成分毎に算出されたそれぞれの文字特徴量に基づいて、周波数帯域・方向成分毎に独立に画像信号の鮮鋭性制御を行なうため、必要な周波数帯域・方向についてのみ強調が可能になる。たとえば、網点上文字においても文字のエッジに沿った方向だけを強調することにより、文字は強調でき、かつ隣接する網点の強調は抑制することができるため、特に網点上文字の鮮鋭性および再現性を向上させることができる。また、周波数帯域についてのみ強調が可能であることから、再生画像で必要な鮮鋭性は確保しつつ、網点や文字については余分な高周波成分の強調による高調波歪みを抑制することもできる。
【0164】
(1−4)色補正後のCMY色空間で文字特徴量を算出する例
ここでは、文字エッジ量算出部210における文字エッジの算出をCMY色空間で行なう場合について説明する。
【0165】
図54は、色補正機能を備えたフィルタ処理部112の構成を示すブロック図であり、文字エッジ量算出部210の前段に色補正部240を付加した構成となっている。したがって、前述した他の機能要素と同様な部分については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0166】
この実施の形態の狙いとするところは、色補正により、入力信号を印刷のプロセスインクに近くなるようなCMY3色の色空間に変換した上で文字エッジの抽出を行なうことにより、文字エッジ量算出部210においてカラーロゼッタ模様による低周波成分をエッジとしてできる限り抽出せず、一方で色文字エッジ部でより単色成分に近い応答を得ることにより、網点とエッジの分解性能を向上させることである。
【0167】
図54の色補正部240の色補正方法としては様々な方法が知られているが、ここでは最も簡単な前述の式1にしたがった演算式を用いる。ただし、色補正の方法についてはこれ以外にも上述の目的を達成するべくLUT(ルックアップテーブル)を用いるなどにより、高精度な変換を行なう構成であってもよい。
【0168】
文字エッジ量算出部210では、色補正部240の出力信号CMYにしたがって文字特徴量の算出を行なう。図55は、図54における文字エッジ量算出部210の構成を示すブロック図である。この文字エッジ量算出部210は、色補正部240からC(シアン)信号を入力し、シアン色の文字エッジ量を算出するシアン色文字エッジ量算出部241と、色補正部240からM(マゼンタ)信号を入力し、マゼンタ色の文字エッジ量を算出するマゼンタ色文字エッジ量算出部242と、これら両算出部の出力値の最大値を求める最大値算出部243と、を備えている。
【0169】
この文字エッジ量算出部210は、色補正部240の出力信号CMYのうちC信号とM信号を用い、シアン色文字エッジ量算出部241においてC信号に基づく文字特徴量の算出を行ない、マゼンタ色文字エッジ量算出部242においてM信号に基づく文字特徴量の算出とを行ない、両者の最大値を最大値算出部243で求め、これを最終的な文字エッジ量算出部210の出力値とする。なお、ここでC信号、M信号それぞれについての文字特徴量算出の方法は前述と同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0170】
なお、この実施の形態では、C信号とM信号の最大値を最終的な文字特徴量として出力しているが、もちろんC,M,Yすべての信号について実施して最大値を結果とするなど、本実施の形態に限定されるものではない。
【0171】
したがって、以上説明したように、色変換により入力信号を印刷のプロセスインク、すなわち、原稿のインク色に近い色信号のCMYに変換してから文字エッジの抽出を行なうことにより、網点とエッジの分解性能を向上させることができる。
【0172】
また、この実施の形態では色補正後のC信号とM信号それぞれについて文字特徴量の例を行なっている例を示したが、特にこの限りではなく、図58に示すように、エッジ量の算出にのみ色補正後のCおよびM信号を使用し、網点度合算出部211には前述のようにG信号を入力として用いても同様に十分な効果が期待できる。
【0173】
(1−5)輝度/色差信号でフィルタを実施する例
この実施の形態では、先鋭性制御を輝度/色差信号で行なう場合について説明する。
【0174】
図56は、輝度/色差信号によるフィルタ処理部112の構成を示すブロック図である。このフィルタ処理部112は、図54の構成に対し、多重解像度変換部120の直前にRGB信号を輝度/色差系への変換を行なうRGB→LUV変換部241が配置され、さらに逆多重解像度変換部123の直後にRGB信号に戻すLUV→RGB変換部242が配置されている。
【0175】
RGB→LUV変換部241におけるLUV信号への変換は、たとえば下記式(3)によって行なわれる。ただし、式におけるfloor[ ]はフロアー関数を表す。
【0176】
L=floor[(R+2*G+B)/4]
U=R−G
V=B−G ・・・(3)
【0177】
上記式はJPEG(Joint Photographic ExpertsGroup)後継の標準圧縮方式であるJPEG2000に採用されており、ビットシフトと加減算のみで実現可能であり、かつ整数演算にて可逆変換可能な輝度/色差信号への変換式である。この実施の形態においては、上記式のような簡易的な変換式を採用しているが、もちろん正式な変換式を適用してもよい。また、この逆変換であるLUV→RGB変換部242における変換は下記式(4)にしたがって行なう。
【0178】
G=floor[(U+V)/4]
R=U+G
B=V+G ・・・(4)
【0179】
なお、圧縮処理のような可逆変換を実施する場合、上記2つの式(3、4)のように、floor関数を使用すれば可逆な変換が可能であるが、空間フィルタ処理のように入力信号と異なる信号を出力する処理においては誤差分としてとらえれば必ずしもfloor関数を使用する必要はなく、四捨五入や切り捨てなどを行なっても顕著な問題となることはほとんどない。
【0180】
したがって、以上説明したように、鮮鋭性の補正を輝度/色差信号に変換した信号について行なうことにより、RGBやCMY空間においても各色毎にエッジ強調処理を行なった際に生じる色変わりや色濁りといった不具合の発生を抑制することができる。
【0181】
(1−6)文字特徴量の算出を輝度信号で行なう例
この実施の形態では、文字エッジ量算出210において文字特徴量の算出を輝度信号を用いて行なう例について説明する。
【0182】
図57は、輝度信号を用いて文字特徴量の算出を行なうフィルタ処理部112の構成を示すブロック図である。図示するように、文字エッジ量算出部210の入力信号となる輝度信号Lは、RGB→LUV変換部241においてRGB信号から輝度/色差信号に変換された後の信号のうち、輝度信号を用いて文字特徴量の算出を行なう。文字エッジ量算出部210における動作は前述と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0183】
このように鮮鋭性制御を輝度/色差信号で実施する場合には、文字エッジの算出を輝度信号により行なう構成にすると、別途ハードウエアの追加や演算処理なしに行なえるので、コストアップや処理速度の低下を招来させずに、色変わりや色濁りといった画質劣化の発生を抑制することができる。
【0184】
[実施の形態2]
(発明の概要)
本発明では、まず注目画素の属性の判定を行なう像域分離を実空間で行い、ここで文字領域と判定された領域には文字部に適した強いフィルタ処理を行い、一方で文字領域以外の属性と判定された領域についても、フィルタ処理を実施する空間と同じ信号空間、例えば多重解像度空間で別途エッジ量の算出を行い、このエッジ量の大きさに基づいた適応的なフィルタ処理による強調を行なう構成としている。このようなエッジ量の大きさに基づいた適応フィルタ処理を行なうことにより、網点上文字など像域分離で文字(白地上の文字)領域と判定されない領域についても好適な鮮鋭性制御を可能にしている。
【0185】
このとき、像域分離をフィルタ処理を実施する多重解像度空間ではなく、実空間にて実施することにより、注目画素を中心とした比較的広い範囲の近傍画素の参照を必要とする網点分離や白地分離を高精度に実施することが可能となる。したがって実空間は画像属性判定を行なう像域分離を高精度に行なうのに有利な信号空間である。
【0186】
また、本発明では、ウェーブレット空間のような多重解像度空間において周波数帯域・方向成分毎のフィルタ処理を行なうため、必要な周波数帯域・方向についての独立制御による強調を可能としている。このときの周波数帯域・方向別の独立制御は、フィルタ処理と同じ多重解像度空間で算出した周波数帯域・方向成分別のエッジ量に基づいて実施する。
【0187】
これにより例えば網点上文字では、網点上の文字に適した周波数帯域のエッジに沿った方向だけを強調することにより、網点上の文字は強調でき、かつ隣接する網点の強調は抑制することが可能となるため、特に網点上の文字などの像域分離で文字(白地上の文字)領域以外の属性と判定された領域内のエッジ部の好適な強調を可能にしている。一方、同様のことを実空間で実現しようとすると膨大な量のハード量が必要となるため不適である。したがってウェーブレット空間のような多重解像度空間は適応フィルタ等により空間周波数の補正を行なう鮮鋭性制御に有利な信号空間である。
【0188】
このように本発明では、画像属性の判定精度を高精度に行なうため実空間で像域分離を行い、一方でフィルタ処理とエッジ量算出をウェーブレット空間のような多重解像度空間において周波数帯域・方向成分毎のエッジ量算出とフィルタ処理を画素のダウンサンプリングを行わない帯域信号を用いて行なうことにより、像域分離による大局的観点の画像属性判断とエッジ量算出による局所的観点の判断をそれぞれ高精度に行なうものである。
【0189】
また、これら両者の判定結果から、フィルタによる強調を施したくない網点部と強調を施したいエッジ部とをより明確に区別することを可能にしており、網点部でのモアレの発生を伴わずに所望とする周波数帯域の強調を好適に行なうものである。
【0190】
さらに本発明では、ウェーブレット空間のような多重解像度空間において周波数帯域・方向成分毎のフィルタ処理を画素のダウンサンプリングを行わない帯域信号を用いて行なうため、必要な周波数帯域・方向についてのみの強調が可能となり、必要な鮮鋭性は確保しつつ、網点や文字における余分な高周波成分の強調による高調波歪みを抑制でき、従来よりも網点上文字の鮮鋭性が向上し文字や網点における高調波歪みのないフィルタ処理を行なうものである。以下、具体的な例を挙げて説明する。
【0191】
(システム構成)
図59は、本発明の実施の形態2にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。本構成は、前述した実施の形態1の図1の構成に対し、画像属性の判定を行なう像域分離部250を付加し、像域分離部250からの画像属性信号はフィルタ処理部112、BG/UCR処理部114、プリンタγ補正部115、中間調処理部116に参照信号として入力する構成となっている。したがって、図1と同様な機能部分については同一符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0192】
図60は、図59のフィルタ処理部112の構成を示すブロック図である。ここでのフィルタ処理部112は、多重解像度変換部120、エッジ量算出部121、エッジ量補正部251、鮮鋭性制御部122、復元処理部252を備えている。この場合、エッジ量算出部121のエッジ量の算出を行ない、そのエッジ量の補正処理後のエッジ量に基づいた適応的なフィルタ処理を行なう構成となっている。
【0193】
(2−1)画像属性信号を参照したフィルタ処理の例
この実施の形態では、フィルタ処理部112に入力されるRGB信号は各色毎に同様の処理を実施するため、ここでは簡易的に単色分の信号を例にとって説明する。入力される単色信号をSと表す。図60に示すように入力画像信号Sは、まず、多重解像度変換部120に入力され、複数の画像帯域信号(ウェーブレット係数信号)Wに分解される。エッジ量算出部121では、分解された画像帯域信号Wを用いて入力画像中の文字やラインのようなエッジ量の算出を行なう。つぎにエッジ量補正部251は、像域分離部250で判定された画像属性に基づいて、エッジ量算出部121から算出されたエッジ量の補正を実行する。
【0194】
鮮鋭性制御部122では、エッジ量補正部251から出力されるエッジ量に応じて画像の鮮鋭性制御処理を実行する。なお、エッジ量算出部121では複数の周波数帯域・方向成分毎にエッジ量の算出を行ない、そのエッジ量の補正結果をもとに鮮鋭性制御部122で多重解像度信号に対して周波数帯域・方向成分毎に独立に鮮鋭性の制御を行なう。これらエッジ量算出部121、エッジ量補正部251および鮮鋭性制御部122の詳細については後述する。そして最後に復元処理部252によって実空間画像信号に変換し、これを出力する。
【0195】
上記多重解像度変換部120の構成および動作は、前述した実施の形態1(図3、図4、図5)で説明したと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0196】
図61は、この実施の形態2のエッジ量算出部121、エッジ量補正部251、鮮鋭性制御部122の構成を示すブロック図である。ここでは、エッジ量算出部121で複数の周波数帯域・方向成分毎にエッジ量の算出を行ない、エッジ量補正部251で画像属性にしたがってエッジ量の補正を行なった後、それぞれの補正されたエッジ量算出結果をもとに鮮鋭性制御部122で周波数帯域・方向成分毎に独立に鮮鋭性の制御を行なうように構成されてる。
【0197】
すなわち、図示するように、エッジ量算出部121は周波数帯域・方向成分毎のエッジ量を算出するための、1階層・横方向エッジ算出部255、1階層・縦方向エッジ算出部256、1階層・斜方向エッジ算出部257、2階層・横方向エッジ算出部258、2階層・縦方向エッジ算出部259、2階層・斜方向エッジ算出部260を備えている。
【0198】
また、エッジ量補正部251は、1階層・横方向エッジ算出部255のエッジ量D1を画像属性信号にしたがって補正する補正部261、1階層・縦方向エッジ算出部256のエッジ量D2を画像属性信号にしたがって補正する補正部262、1階層・斜方向エッジ算出部257のエッジ量D3を画像属性信号にしたがって補正する補正部263、2階層・横方向エッジ算出部258のエッジ量D4を画像属性信号にしたがって補正する補正部264、2階層・縦方向エッジ算出部259のエッジ量D5を画像属性信号にしたがって補正する補正部265、2階層・斜方向エッジ算出部260のエッジ量D6を画像属性信号にしたがって補正する補正部265を備えている。
【0199】
また、鮮鋭性制御部122は、補正部261から出力される補正後のエッジ量D1’を補正する1LH補正部267、補正部262から出力される補正後のエッジ量D2’を補正する1HL補正部268、補正部263から出力される補正後のエッジ量D3’を補正する1HH補正部269、補正部264から出力される補正後のエッジ量D4’を補正する2LH補正部270、補正部265から出力される補正後のエッジ量D5’を補正する2HL補正部271、補正部266から出力される補正後のエッジ量D6’を補正する2HH補正部269を備えている。
【0200】
つぎに、この図61に示すエッジ量算出部121の動作について図61〜図71を参照し、詳細に説明する。エッジ量算出部121は、多重解像度変換部120から出力されたウェーブレット係数信号Wを入力し、この信号Wから周波数帯域・方向成分別のエッジ量算出部である1階層・横方向エッジ算出部255、1階層・縦方向エッジ算出部256、1階層・斜方向エッジ算出部257、2階層・横方向エッジ算出部258、2階層・縦方向エッジ算出部259、2階層・斜方向エッジ算出部260によって1階層帯域および2階層帯域それぞれについて横方向、縦方向、斜め方向のエッジ量D1,D2,D3,D4、D5,D6の抽出を行ない出力する。
【0201】
ここで、これら周波数帯域・方向成分別エッジ量算出部の動作について説明する。1つ目の1階層・横方向エッジ量算出部255では、1階層帯域・横方向のエッジ量D1を算出する。注目画素位置に対応する1階層LH(1LH)係数と、その左右2係数ずつの合計5係数分を用いて以下の条件式にしたがってD1を算出する。図62に算出の様子を示す。
【0202】
if(連続する5つの1LH係数がすべて同符号)
then(D1=5つの1LH係数中の絶対値の最小値)
else
(D1=0)
【0203】
2つ目の1階層・縦方向エッジ量算出部256では、1階層帯域・縦方向のエッジ量D2を算出する。注目画素位置に対応する1階層HL(1HL)係数と、その上下2係数ずつの合計5係数分を用いて以下の条件式にしたがってD2を算出する。図63に算出の様子を示す。
【0204】
if(連続する5つの1HL係数がすべて同符号)
then(D2=5つの1HL係数中の絶対値の最小値)
else
(D2=0)
【0205】
3つ目の1階層・斜方向エッジ量算出部257では、横・縦方向のエッジ量算出とは異なる。1階層・斜方向エッジ量算出部257は、図64に示すように、1階層・右斜方向エッジ量算出部281と、1階層・左斜方向エッジ量算出部282と、MAX算出部283と、を備えている。1階層・右斜方向エッジ量算出部281による1階層・右斜め方向のエッジ量D3Rと1階層・左斜方向エッジ量算出部282による1階層・左斜め方向のエッジ量D3Lを算出し、その最大値をMAX算出部283で求め、1階層帯域・斜め方向エッジ量D3として出力する。
【0206】
1階層帯域・右斜め方向エッジ量D3Rの算出方法を説明する。横・縦方向のエッジ量算出方法と同様にして、注目画素位置に対応する1階層HH(1HH)係数と、その右斜め方向の隣接2係数ずつの合計5係数分を用いて以下の条件式にしたがってD3Rを算出する。図65に算出の様子を示す。
【0207】
if(右斜め方向に連続する5つの1HH係数がすべて同符号)
then(D3R=5つの1HH係数中の絶対値の最小値)
else
(D3R=0)
【0208】
続いて、1階層帯域・左斜め方向エッジ量D3Lの算出方法を説明する。1階層帯域・右斜め方向エッジ量D3Rの算出方法と同様にして、注目画素位置に対応する1階層HH(1HH)係数と、その左斜め方向の隣接2係数ずつの合計5係数分を用いて以下の条件式にしたがってD3Lを算出する。図66に算出の様子を示す。
【0209】
if(左斜め方向に連続する5つの1HH係数がすべて同符号)
then(D3L=5つの1HH係数中の絶対値の最小値)
else
(D3L=0)
【0210】
以上で算出された1階層帯域・右斜め方向のエッジ量D3Rと1階層帯域・左斜め方向のエッジ量D3Lの算出結果の最大値を1階層帯域・斜め方向エッジ量D3として出力する。
【0211】
4つ目の2階層・横方向エッジ量算出部258では、2階層帯域・横方向のエッジ量D4を算出する。注目画素位置に対応する2階層LH(2LH)係数と、その左右2係数ずつの合計5係数分を用いて以下の条件式にしたがってD4を算出する。図67に算出の様子を示す。
【0212】
if(連続する5つの2LH係数がすべて同符号)
then(D4=5つの2LH係数中の絶対値の最小値)
else
(D4=0)
【0213】
5つ目の2階層・縦方向エッジ量算出部259では、2階層帯域・縦方向のエッジ量D5を算出する。注目画素位置に対応する2階層HL(1HL)係数と、その上下2係数ずつの合計5係数分を用いて以下の条件式にしたがってD5を算出する。図68に算出の様子を示す。
【0214】
if(連続する5つの2HL係数がすべて同符号)
then(D5=5つの2HL係数中の絶対値の最小値)
else
(D5=0)
【0215】
6つ目の2階層・斜方向エッジ量算出部260では、横・縦方向のエッジ量算出とは異なる。2階層・斜方向エッジ量算出部257は、図69に示すように、2階層・右斜方向エッジ量算出部285と、2階層・左斜方向エッジ量算出部286と、MAX算出部287と、を備えている。2階層・右斜方向エッジ量算出部285による2階層・右斜め方向のエッジ量D6Rと2階層・左斜方向エッジ量算出部286による2階層・左斜め方向のエッジ量D6Lを算出し、その最大値をMAX算出部287で求め、2階層帯域・斜め方向エッジ量D6として出力する。
【0216】
2階層帯域・右斜め方向エッジ量D6Rの算出方法を説明する。横・縦方向のエッジ量算出方法と同様にして、注目画素位置に対応する2階層HH(1HH)係数と、その右斜め方向の隣接2係数ずつの合計5係数分を用いて以下の条件式にしたがってD6Rを算出する。図70に算出の様子を示す。
【0217】
if(右斜め方向に連続する5つの2HH係数がすべて同符号)
then(D6R=5つの2HH係数中の絶対値の最小値)
else
(D6R=0)
【0218】
続いて、2階層帯域・左斜め方向エッジ量D6Lの算出方法を説明する。2階層帯域・右斜め方向エッジ量D6Rの算出方法と同様にして、注目画素位置に対応する2階層HH(2HH)係数と、その左斜め方向の隣接2係数ずつの合計5係数分を用いて以下の条件式にしたがってD6Lを算出する。図71に算出の様子を示す。
【0219】
if(左斜め方向に連続する5つの2HH係数がすべて同符号)
then(D6L=5つの2HH係数中の絶対値の最小値)
else
(D6L=0)
【0220】
以上で算出された2階層帯域・右斜め方向のエッジ量D6Rと2階層帯域・左斜め方向のエッジ量D6Lの算出結果の最大値を2階層帯域・斜め方向エッジ量D6として出力する。
【0221】
本発明では、入力画像や文字部や線画においてはウェーブレット係数信号の値が大きく連続性も大きくなるのに対し、網点部においてはウェーブレト係数信号の値は大きいが連続性が小さくなるという特性を積極的に使って網点パターン以外のエッジ量の算出を行なっている。
【0222】
つぎに、図60のエッジ量補正部251の動作について説明する。エッジ量補正部251は図61に示すように、エッジ量算出部121から出力されたエッジ量D1,D2,D3,D4,D5,D6を入力し、像域分離部250から出力される画像属性信号を参照し、それぞれのエッジ量の補正を行ない、補正後のエッジ量D1’,D2’,D3’,D4’,D5’,D6’を出力する。具体的には、図72に示すように、画像属性信号が文字領域と判定された領域についてのエッジ量を最大に補正し、そのほか文字領域以外と判定された領域についてはスルーで出力する。
【0223】
このように像域分離部250により文字領域と判定された領域のエッジ量を最大値にすることで、白地上の文字および低コントラスト文字について、鮮鋭性や解像性のよい出力画像を得ることが可能になる。
【0224】
つぎに、図60の鮮鋭性制御部122の動作について説明する。鮮鋭性制御部122は図61に示すように、エッジ量補正部251で算出された補正後のエッジ量に基づいて、周波数帯域・方向成分毎に独立に画像信号の強調処理および平滑化処理を行なう。具体的には、エッジ量補正部251の補正後のエッジ量D1’,D2’,D3’,D4’,D5’,D6’にしたがって、1階層および2階層ウェーブレット高周波成分係数1LH,1HL,1HH,2LH,2HL,2HHに対し、1LH〜2HHの各補正部(267〜272)において所定の補正を行なうように構成されている。これら1LH〜2HHの各補正部(267〜272)での補正処理については図73を参照し、説明する。なお、1LH〜2HHの各補正部(267〜272)では同処理が実行されるため、ここでは1LH補正部267の動作を例にとって説明する。
【0225】
図73は、鮮鋭性制御部122における1LH制御部267の構成を示すブロック図である。この1LH制御部267は、パラメータ設定部290と、演算器291と、を備えている。1LH制御部267は、まず、パラメータ設定部290において補正後エッジ量の大きさにしたがって、周波数帯域・方向成分毎に所定の強調係数αとノイズ除去閾値Thnを出力し、つぎの演算器291で、前述の図18のように入力された高周波成分係数信号の絶対値がノイズ除去閾値Thnよりも小さい場合には、補正後の係数信号の値を0に、高周波成分係数信号が絶対値の所定の以上の場合には、入力された係数信号の値に強調係数αを乗じる演算を行ない、その結果を補正後の高周波成分として出力する。
【0226】
このような制御を実行することによって、ノイズ除去閾値Thnより小さな高周波成分はノイズとして除去されるため平滑化を施した画像となり、ノイズ除去閾値Thn以上の高周波成分は信号としてα倍(α>1)されるため差分成分が増大し強調処理を施した画像が得られる。なお、上述のThn、αは異なる周波数帯域(1階層、2階層)、異なる方向成分(HL,LH,HH)毎に個別に設定されるように構成する。すなわち、それぞれの帯域、方向毎に除去する高周波成分の大きさと強調度合いを制御できるので、きめこまかなの射ず除去(平滑化)と強調を行なうことができる。
【0227】
ここで、パラメータ設定部290における補正後エッジ量D’の大きさに基づいた強調係数αとノイズ除去閾値Thnの具体例を説明する。図74および図75に補正後エッジ量D’の大きさに対応した強調係数αとノイズ除去閾値Thnを算出するテーブルの例を示す。
【0228】
図74および図75からエッジ補正部251で出力された補正後エッジ量D’が大きい場合には強調係数αは大きな値となるため、文字や線画部において十分な鮮鋭性が得られるように設定され、一方でノイズ除去閾値Thnは小さく設定されるため、比較的微小な濃度変化も強調され、文字や線画部の鮮鋭性を満足させることができる。
【0229】
反対に、エッジ補正部251で出力された補正後エッジ量D’が小さい場合には強調係数αは小さい値となるため、網点部などの絵柄領域における強調を過度に行なわないように設定され、一方でノイズ除去閾値Thnが大きく設定されるため、十分なノイズ除去が行なわれ粒状性のよい画像出力が実現する。
【0230】
特に、この実施の形態においては、エッジ量算出部121で周波数帯域・方向成分毎にエッジ量Dの算出を行ない、それぞれエッジ量補正部251で補正されたそれぞれの補正後エッジ量D’に基づいて、周波数帯域・方向成分毎に独立に画像信号の鮮鋭性制御を行なうため、必要な周波数帯域・方向についてのみの強調が可能になる。
【0231】
たとえば、網点上文字においても文字のエッジに沿った方向だけを強調することにより、文字は強調することができ、かつ隣接する網点の強調は抑制することができるため、特に網点上文字の鮮鋭性および再現性を向上させることができる。また、必要な周波数帯域についてのみの強調が可能なことから、再生画像で必要な鮮鋭性は確保しつつ、網点や文字においては余分な高周波成分の強調による高調波歪みを抑制することもできる。
【0232】
帯域に関しては、2階層の高周波成分に対して最も強調度合いが高くなるように設定している。一般的な原稿では、6本/mmに相当する画像周波数付近での強調を大きくすることで6ポイント明朝体などの小さな文字画像に対して十分な鮮鋭性を得ることができる。これよりも高周波帯域に対して過度な強調を行なってもノイズ成分を強調するおそれがあり好ましくない。この実施の形態では600dpiの解像度を有するスキャナで読み取った画像信号を前提としたもので、6本/mmに相当する高周波成分は2階層の信号(2HL,2LH,2HH)であるため、2階層の強調係数を最も高く設定している。スキャナの解像度に応じて、どの階層の強調係数を最も高くするかを適宜決定すればよい。
【0233】
一方でエッジ量の小さい絵柄領域では、網点画像部におけるモアレの発生を抑制するため、比較的小さな強調係数が適用される。また、特に150線以上の高線数の網点画像に対しては網点構造の除去を行ない粒状性の向上を実現するために、比較的大きなノイズ除去閾値Thnを設定している。このようにパラメータを設定することで、文字領域および絵柄領域(主に網点画像領域)に対して両者の画像品質を両立する鮮鋭性制御を行なうことができる。
【0234】
なお、この実施の形態においては、エッジ量算出部121の出力結果を一旦エッジ量補正部251にて画像属性信号を参照してエッジ量の補正を行ない、その補正後のエッジ量を鮮鋭性制御部122に入力する構成としているが、エッジ量補正部251は必ずしも設置する必要はなく、鮮鋭性制御部122にて同等の内容の処理が実施できるような構成にすれば全く同等の処理結果となるので支障はない。
【0235】
さて、図60に示すように、鮮鋭性制御部122から出力されたデータは復元処理部252に入力され、実空間画像に逆変換される。図76は、図60のフィルタ処理部112における復元処理部252の構成を示すブロック図である。
【0236】
この復元処理部252は、1階層のx方向の逆変換を行なう逆変換ローパスフィルタ301、逆変換ハイパスフィルタ302と、1階層のy方向の逆変換を行なう逆変換ローパスフィルタ303,305、1階層のy方向の逆変換を行なう逆変換ハイパスフィルタ304,306とを備え、さらに2階層のx方向の逆変換を行なう逆変換ローパスフィルタ307、逆変換ハイパスフィルタ308と、2階層のy方向の逆変換を行なう逆変換ローパスフィルタ309,311、2階層のy方向の逆変換を行なう逆変換ハイパスフィルタ310,312とを備えている。
【0237】
復元処理部252では、より高階層のウェーブレット係数信号から処理が行なわれる。鮮鋭性処理部122によって補正された2階層係数信号(2LL’,2HL’,2LH’,2HH’)は、逆変換ローパスフィルタ309,311および逆変換ハイパスフィルタ310,312によってy方向に逆変換され、さらに逆変換ローパスフィルタ307および逆変換ハイパスフィルタ308によってx方向に逆変換される。得られた画像信号は補正後の1階層LL信号(1LL’)であり、1階層の他の補正後係数信号(1HL’,1LH’,1HH’)と共に、同様な復元処理が施される。このようにしてフィルタ処理後の実空間画像信号S’が得られる。
【0238】
ところで、この実施の形態におけるウェーブレット変換は、通常、圧縮処理などが行なわれているサブサンプリング(画素の間引き)を実行しない構成をとっている。前述の実施の形態の図22と同様に、ハイパスフィルタおよびローパスフィルタによる処理を行なった後、2画素に1画素間引く処理を行ない、係数信号とする。逆変換では、アップサンプリングを行ない、逆変換フィルタによって逆変換を行なう。
【0239】
これに対し、この実施の形態では、前述した図23に示すように、順変換の際にダウンサンプリングを行なわない構成としている。図23に図示するように、ここでは、順変換側では、ハイパスフィルタ180とローパスフィルタ181のみの構成とする。逆ウーブレット変換側のフィルタ・バンクでは、even,odd画素群(182〜185)を図示のごとくアップサンプリングする回路186〜189を逆変換フィルタ190〜193の入力側にそれぞれ設け、この出力値を平均する回路194〜197を配置し、さらに各ハイパスフィルタの平均値を加算する加算器198、各ローパスフィルタの平均値を加算する加算器199、この加算器198と加算器199の出力を加算する加算器200を備えている。
【0240】
したがって、図24(実施の形態1参照)に示すように、各階層、各方向の係数信号の画像サイズは入力画像Orgと同サイズとなる。逆変換時には、図23に示すように、even,odd画素群毎にそれぞれアップサンプリングを行ない逆変換フィルタを施す。1つの原画像画素に対してeven画素群からの逆変換結果と、odd画素群からの逆変換結果が得られるので、これらを平均して逆変換後の画像データとする。
【0241】
以上説明したごとく実施の形態1と同様に、サブサンプリングを行なわない処理とすることにより、強調/平滑ムラのない高品位なフィルタ処理を行なうことができる。この様子は図25〜図27に示す通りである。
【0242】
図25の場合では、d1とd2の画素対、d3とd4の画素対に対して行なわれたウェーブレット係数信号を間引いた例であり、結果として、d0とd1の画素対、d2とd3の画素対に対する係数信号が残る。たとえば、強調フィルタ処理のために、高周波成分に対して2倍の強調係数を乗じて逆変換すると、d0とd1の高周波成分50が2倍と増幅され、逆変換後のd0’とd1’のデータ差は2倍となり、所望の強調処理が行なわれていることがわかる。
【0243】
これに対して図26に示すように、サブサンプリングが1画素ずれた場合、d1とd2の画素対によって得られる高周波成分は0となり、強調係数を乗じても高周波成分は増幅されず、図示するように原画像と何ら変わらない結果となり、所望の強調処理が行なわれていないことがわかる。このようにサブサンプリングを行なう変換系では、そのサンプリング位置によって正しく周波数特性の補正が行なえない場合がある。そこで、この実施の形態2においても、サブサンプリングを行なわないウェーブレット変換とし、図27に示すように、図25と図26の結果を平均した結果となり、漏れのない周波数特性の補正が行なわれる。また、強調処理のみならず、画像のエッジを算出する際にもサブサンプリングを行なっていない信号なので高精度なエッジ量算出が行なえる。
【0244】
なお、連続性による評価を実行しているが、特に高精度のエッジ抽出が必要でない場合には省略することが可能である。また、この実施の形態2においても、ウェーブレット基底関数としてHaar型ウェーブレットを例にとって説明したが、他の基底関数(たとえば、QMF、CQS、SSKF)でも同様なことが可能である。また、ウェーブレット変換に限らず、画像を複数の周波数帯域に分割するサブバンド変換、フーリエ変換(Fourier transform)、アダマール変換(Hadamard transform)、ラプラシアンピラミッドなどに対しても同様な処理が可能である。
【0245】
つぎに、この実施の形態2の主用部分の一つである像域分離部250の構成および動作について説明する。像域分離部250では注目画素を含む領域の画像属性の判定を行ない出力する。この出力された画像属性信号は上述のフィルタ処理部112(図60参照)のエッジ量補正部251をはじめ、BG/UCR処理部114、プリンタγ補正部115、中間調処理部116に対して参照信号(画像属性信号)として供給する。
【0246】
図77は、この実施の形態2にかかる像域分離部250の構成を示すブロック図である。この像域分離部250は、エッジ分離部315と、網点分離部316と、白地分離部317と、総合判定部318と、を備えている。
【0247】
エッジ分離部315は、たとえば論文「文字/絵柄(文字、写真)混在画像の像域分離方式」(電子情報通信学会文誌Vol.J75‐D11 No.1 pp39−47 1992.1参照)のp42に記載の技術を用いる。図78は、像域分離部250におけるエッジ分離部315の構成を示すブロック図である。このエッジ分離部315は、3値化回路320と、黒画素連続性検出部321と、白画素連続性検出部322と、AND回路323と、を備えている。
【0248】
図78において、3値化回路320では、入力画像データにエッジ強調を施した後、2種類の固定閾値を用いて3値化する。黒画素連続性検出部321と白画素連続性検出部322は、それぞれ3値化後の黒画素および白画素が連続する領域をパターンマッチングによって検出する。
【0249】
図79は黒画素の連続性を検出するパターンであり、図80は白黒画素の連続性を検出するパターンを示す。これらのパターンにマッチングした白画素の連続した箇所と黒画素の連続した箇所を検出し、AND回路323では、両者が存在するところをエッジ領域として出力する。
【0250】
網点分離部316においても、たとえば上記論文のpp41記載の技術を用いる。図81は、像域分離部250における網点分離部316の構成を示すブロック図である。この網点分離部316は、ピーク画素検出部325と、網点領域検出回路326と、網点領域補正回路327と、を備えている。
【0251】
図81において、ピーク画素検出部325では、図82に示すようになピーク画素330を検出する。ここでピーク画素とは、中心画素の濃度レベルLが周囲のすべての画素のそれよりも高い、あるいは低く、かつLと中心画素を挟んで対角線に存在する対画素の濃度レベルa,bが、4対ともに、|(2×L−a−b)|>TH(固定の閾値)であるとき、中心画素をピーク画素とする。
【0252】
網点領域検出回路326は、4×4画素を1ブロックとし、4ブロックにおいて、ピーク画素を含むブロックが2ブロック以上存在すれば、注目画素を網点領域として判定する。網点領域補正回路327では、図83および図84に示すように、注目ブロックを中心とした9個のブロックにおいて、4ブロック以上の網点候補であれば(すなわち、ある程度の大きさを持って網点領域が存在している)、注目ブロックを網点領域と判定し、そうでなけければ注目ブロックを非網点領域と判定して出力する。
【0253】
図85は、像域分離部250における白地分離部317の構成を示すブロック図である。この白地分離部317は、MTF補正回路331と、2値化解離332と、白画素塊パターンマッチング回路333と、膨張回路334と、を備えている。ここでの白地領域とは、注目画素の近傍に、所定の大きさ(1×5または5×1)の白画素の塊が存在する領域をいう。
【0254】
図85において、入力画像信号をMTF補正回路331で鮮鋭か処理を行なった後、2値化回路332によって画像信号を所定の閾値で白/非白に2値化し、白画素塊パターンマッチング回路333に入力する。図86は、1×5または5×1がすべて白画素である白画素塊のパターンを示す。白画素塊パターンマッチング回路333では、注目画素の近傍にある白画素の塊をパターンマッチングで検出し、図86に示すパターンとマッチングしたときに、注目画素をアクティブ画素とする。膨張回路334は、白画素塊パターンマッチング回路333の出力から、注目画素を中心としたたとえば5×5のブロック内についてアクティブ画素の個数を計数し、ブロック内に1個でもアクティブ画素が存在すれば、ブロック全体を白地領域として判定して出力する。
【0255】
このように、エッジ分離部315、網点分離部316、白地分離部317からの出力結果(BE,BH,BW)を取得する。総合判定部318は、この出力結果を入力し、各画素について下記表1に示すような画像属性の判定を実行する。
【0256】
【表1】
Figure 2004282511
【0257】
すなわち、上記各分離結果が、エッジかつ非網点かつ白地であった場合に、その画素を文字(白地上文字)領域にあると画像属性の判定を行ない、それ以外の領域については文字領域以外であると判定する。
【0258】
なお、この実施の形態では像域分離部250において、エッジ分離部315、網点分離部316、白地分離部317の3つの分離を用いて画像属性を分類しているが、特にこれに限定されるものではない。たとえば、他に色分離や低線数網点分離、高線数網点分離などの分離を用いてより厳密な像域分離の構成にしてもよいし、精度が余り要求されない場合には反対に減らしてもよい。
【0259】
また、画像属性の分類についてもこの実施の形態では白地上の文字領域を文字領域として取り扱っているが、判定については特にこの限りではなく、非網点かつエッジであれば文字領域として取り扱う分離判定にするなど適宜変更することが可能である。この場合、後に画像属性信号を参照する処理構成に応じて適切に調節すればよい。
【0260】
この実施の形態では像域分離を実空間において行なっている。これは網点分離や白分離のような注目画素周辺の広い範囲の画素をブロック単位で参照する処理に適しているからである。同様の処理を多重解像度変換など他の信号空間で実現する場合には、参照可能な画素範囲の自由度が低く、高精度な像域分離が要求される場合には、多量のハードウエアの追加が予想される。したがって、本発明においては像域分離は実空間で行ない、エッジ量を用いた適応フィルタ処理は多重解像度空間にて実行し、帯域別・方向別の強調を可能としており、それぞれの長所を生かしている。
【0261】
また、エッジ量算出を像域分離と同じ実空間にて行なうことも考えられるが、フィルタをウエーブレット空間のような信号で実行する場合には、互いに別の信号空間となるため、算出したエッジ量の位置と実際に強調したいウェーブレット計数信号の位置とにずれが生じる場合があり、位置合わせに別途追加処理が必要となる場合がある。なお、本発明のよううな構成であればこのような問題が生じることがない。
【0262】
なお、この実施の形態においてはエッジ量の算出とフィルタ処理を共通の多重解像度空間において実行する例について説明したが、特に多重解像度空間に限定されるものではなく、エッジ量の算出とフィルタ処理それぞれにおいて演算量増加によるコストアップ・速度低下を伴わずに高精度な処理が実現できるような信号空間を見定め、それらを組み合わせてもよい。
【0263】
また、本発明は複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明はシステムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適用可能である。
【0264】
(2−2)輝度/色差信号による鮮鋭制御を行なう例
つぎに、この実施の形態2において、上述した例とは異なり、鮮鋭性制御を輝度/色差信号で行なう例について説明する。この実施の形態2の他のフィルタ処理部112の構成を図87に示す。このフィルタ処理部112は、図60の構成に対し、多重解像度変換部120の直前にRGB信号を輝度/色差系への変換を行なうRGB→LUV変換部241が配置され、さらに復元処理部252の直後にRGB信号に戻すLUV→RGB変換部242が配置されている。
【0265】
RGB→LUV変換部241におけるLUV信号への変換は、たとえば前述の実施の形態1の式(3)にしたがって行なわれる。また、この実施の形態においては、式(3)のような簡易的な変換式を採用しているが、もちろん正式な変換式を適用してもよい。また、この逆変換であるLUV→RGB変換部242における変換は前述の式(4)にしたがって行なう。
【0266】
なお、圧縮処理のような可逆変換を実施する場合、この2つの式のように、floor関数を使用すれば可逆な変換が可能であるが、空間フィルタ処理のように入力信号と異なる信号を出力する処理においては誤差分としてとらえれば必ずしもfloor関数を使用する必要はなく、四捨五入や切り捨てなどを行なっても顕著な問題となることはほとんどない。
【0267】
したがって、以上説明したように、この実施の形態においても、鮮鋭性の補正を輝度/色差信号に変換した信号について行なうことにより、RGBやCMY空間においても各色毎にエッジ強調処理を行なった際に生じる色変わりや色濁りといった不具合の発生を抑制することができる。
【0268】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる画像処理装置(請求項1)によれば、エッジ量の算出を実空間上で入力画像信号の分布に基づいて実行することにより、エッジ抽出の際に注目画素周囲の参照する画素領域の自由度が増すため、所望の特性に近い高精度なエッジの抽出が行なえる。また、多重解像度空間に変換してフィルタ処理を行なうことにより、ノイズを強調することなく所望とする周波数帯域の画像に対してノイズの除去および視覚的に自然な強調を行なうことが可能になるため、出力画像の品質が向上する。
【0269】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項2)によれば、網点度合の算出を実空間上で入力画像信号の分布に基づいて行なうことにより、網点度合算出の際、参照画素領域の自由度が高くなり、高精度な網点度合の算出が可能となる。したがって、鮮鋭性の制御の際に文字らしきところでは強調を強く行い、網点らしきところでは強調を強くしないような制御が可能となるため、鮮鋭性制御による網点部におけるモアレの発生を抑制することができる。
【0270】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項3)によれば、網点度合の算出を入力画像信号の分布に基づいて行なうことにより画像の領域的な特徴の判定を行ない、一方のエッジ量算出では注目画素周囲の狭い範囲の画像特徴の判定を行なうため、両者を組み合わせることにより大局的観点および局所的観点の両側面から文字特徴量の算出が行え、網点以外の文字エッジの抽出を高精度に行なうことができる。また、これらの網点度合算出およびエッジ量算出を含む文字特徴量の算出を実空間で実施することにより、参照画素領域の自由度が高いため、高精度な文字エッジの抽出を行なうことができる。
【0271】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項4)によれば、網点度合の算出を入力画像信号の分布に基づいて行なうことにより画像の領域的な特徴の判定し、一方のエッジ量算出では注目画素周囲の狭い範囲の画像特徴の判定を行なうため、これら両者を組み合わせることにより大局的観点および局所的観点の両側面から文字特徴量の算出が行え、網点以外の文字エッジの抽出を高精度に行なうことができる。また、これらの網点度合算出およびエッジ量算出を含む文字特徴量の算出を実空間で実施するため、参照画素領域の自由度が高いため、高精度な文字エッジの抽出を行なうことができ、その結果、画質向上を図ることができる。
【0272】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項5)によれば、請求項3および4に加え、算出された多値的な文字特徴量の大きさに基づいた適応的なフィルタ処理を実施するため、文字エッジ部と絵柄部の誤判定による画像のディフェクトを抑制し、不均一性のないエッジ強調を行なうことができる。
【0273】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項6)によれば、多重解像度空間に変換してフィルタ処理を行なうので、入力画像に含まれるノイズを強調することなく所望とする周波数帯域の画像に対してノイズの除去および視覚的に自然な強調を行なうことができる。
【0274】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項7)によれば、請求項6に加え、ウェーブレット変換で、帯域分割するとき画像を間引かずに係数変換することにより、出力に隣接成分との平均をとることになるため、サンプリング位置により周波数特性の補正が著しく異なるといった不具合を解消することができる。また、逆変換の際に注目画素は周辺のより多くの係数から影響をうけることになり、隣接データ値の急激な変動に対してもディフェクトの少ない安定した画像を再生することができる。
【0275】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項8)によれば、周波数帯域毎または方向毎に文字エッジ検出を行い、方向毎に鮮鋭性の制御を独立に実行するため、必要な方向についてのみの強調が可能となるので、結果として再生画像で必要な鮮鋭性は確保しつつ、網点や文字においては余分な高周波成分の強調による高調波歪みを抑制できるため、網点、文字および網点上文字のいずれの原稿に対しても良好な出力画像を得ることができる。特に網点上文字においては文字のエッジに沿った方向だけを強調することにより、文字は強調でき、かつ隣接する網点の強調は抑制することができるため、良好な出力画像を得ることができる。
【0276】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項9)によれば、複数の周波数帯域毎に文字エッジ検出を行ない、周波数帯域毎に鮮鋭性の制御を独立に実行し、必要な周波数帯域についてのみの強調が実現する。その結果、再生画像で必要な鮮鋭性は確保しつつ、網点や文字においては余分な高周波成分の強調による高調波歪みを抑制できるため、網点、文字および網点上文字のいずれの原稿に対しても良好な出力画像を得ることができる。特に網点上文字においては文字のエッジに沿った方向だけを強調することにより、文字は強調でき、かつ隣接する網点の強調は抑制することができるため、良好な出力画像を得ることができる。
【0277】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項10)によれば、周波数帯域毎または方向毎、もしくは周波数帯域毎かつ方向毎に文字エッジ検出を行い、周波数帯域毎並びに方向毎に鮮鋭性の制御を独立に行なうため、必要な周波数帯域・方向についてのみの強調が可能となる。したがって、再生画像で必要な鮮鋭性は確保しつつ、網点や文字においては余分な高周波成分の強調による高調波歪みを抑制できるため、網点、文字および網点上文字のいずれの原稿に対しても良好な出力画像を得ることができる。特に網点上文字においては文字のエッジに沿った方向だけを強調することにより、文字は強調でき、かつ隣接する網点の強調は抑制することができるため、良好な出力画像を得ることができる。
【0278】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項11)によれば、複数の方向毎に文字エッジ検出を行い、方向毎に鮮鋭性の制御を独立に行なうため、必要な方向についてのみの強調が可能となるので、結果として再生画像で必要な鮮鋭性は確保しつつ、網点や文字においては余分な高周波成分の強調による高調波歪みを抑制できるため、網点、文字および網点上文字のいずれの原稿に対しても良好な出力画像を得ることができる。特に網点上文字においては文字のエッジに沿った方向だけを強調することにより、文字は強調でき、かつ隣接する網点の強調は抑制することができるため、良好な出力画像を得ることができる。
【0279】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項12)によれば、複数の周波数帯域毎に文字エッジ検出を行い、周波数帯域毎に鮮鋭性の制御を独立に行なうため、必要な周波数帯域についてのみの強調が可能となるので、結果として再生画像で必要な鮮鋭性は確保しつつ、網点や文字においては余分な高周波成分の強調による高調波歪みを抑制できるため、網点、文字および網点上文字のいずれの原稿に対しても良好な出力画像を得ることができる。特に網点上文字においては文字のエッジに沿った方向だけを強調することにより、文字は強調でき、かつ隣接する網点の強調は抑制することができるため、良好な出力画像を得ることができる。
【0280】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項13)によれば、周波数帯域毎または方向毎に文字エッジ検出を行い、方向毎に鮮鋭性の制御を独立に行なうため、必要な周波数帯域・方向についてのみの強調が可能となるので、結果として再生画像で必要な鮮鋭性は確保しつつ、網点や文字においては余分な高周波成分の強調による高調波歪みを抑制できるため、網点、文字および網点上文字のいずれの原稿に対しても良好な出力画像を得ることができる。特に網点上文字においては文字のエッジに沿った方向だけを強調することにより、文字は強調でき、かつ隣接する網点の強調は抑制することができるため、良好な出力画像を得ることができる。
【0281】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項14)によれば、複数の周波数帯域毎または方向毎に文字エッジ検出を行い、方向毎に鮮鋭性の制御を独立に行なうため、必要な周波数帯域・方向についてのみの強調が可能となるため、結果として再生画像で必要な鮮鋭性は確保しつつ、網点や文字においては余分な高周波成分の強調による高調波歪みを抑制できるため、網点、文字および網点上文字のいずれの原稿に対しても良好な出力画像を得ることができる。特に網点上文字においては文字のエッジに沿った方向だけを強調することにより、文字は強調でき、かつ隣接する網点の強調は抑制することができるため、良好な出力画像を得ることができる。
【0282】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項15)によれば、複写の対象であるカラー印刷網点原稿はCMYKプロセスインクで構成されており、カラー網点の所謂ロゼッタ模様と主に1次色または2次色の文字特徴量との切り分けが難しいのが現状である。そこで、まず色補正により印刷のプロセスインクに近くなるようなCMY3色の色空間に変換した上で文字特徴量の抽出を行なうことにより、カラーロゼッタ模様による低周波成分はエッジとして抽出されにくくなり、一方で色文字はより単色成分に強い応答を得ることが可能となるため、カラー原稿中のカラー網点部と色文字等の文字部との切り分けが容易になり、高精度な文字特徴量の抽出を行なうことができる。
【0283】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項16)によれば、輝度/色差系の色空間においてフィルタ処理を実施するため、RGBやCMY色空間において各色毎独立にエッジ強調処理を行った際に生じる色変わりや色濁りを抑制することができる。
【0284】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項17)によれば、フィルタ処理を実施するため輝度/色差系の色空間に変換した信号中の輝度信号を用いて画像特徴量の算出を行なうので、色補正を複数有することなく文字特徴量の抽出を行なうことができる。
【0285】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項18)によれば、像域分離の大局的観点による画像属性判断とエッジ量算出の局所的観点による判断をそれぞれの判定に適した信号空間によって実施することにより、誤判定や誤算出によるモアレの発生やディフェクトを伴わずに所望とする周波数帯域の強調を好適に行なうことができる。また、像域分離とは別にエッジ量の算出を行ない、このエッジ量に基づいた適応的なフィルタ処理を行なう構成としたので、像域分離で文字領域以外の属性に判定される網点上文字部等の領域においてもモアレの発生やディフェクトを伴わずに好適な鮮鋭性制御を行なうことができる。
【0286】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項19)によれば、網点領域判定手段、白地判定手段、エッジ判定手段の少なくとも一つを備え、画像のエッジ、非網点、白地であった場合にその入力画素を文字領域にある画像属性と判定し、これ以外を文字領域外であると判断するので、誤判定や誤算出によるモアレの発生やディフェクトを伴わずに所望とする周波数帯域の強調を好適に行なうことができる。
【0287】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項20)によれば、画像属性判定手段からの画像属性にしたがってエッジ量算出手段のエッジ量を補正するため、文字領域と判定された領域のエッジ量を最大値として補正することで、白地上の文字および低コントラスト文字について、鮮鋭性や解像性に優れた画像出力を行なうことができる。
【0288】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項21)によれば、エッジ量算出を行なう信号空間をフィルタ処理を行なう信号空間を同一とすることにより、エッジ量算出結果を信号係数変換や位置ずれ調整等の追加処理なしに直接フィルタ処理部に使用することが可能になるため、親和性良くエッジ量に基づいた適応的なフィルタ処理を行なうことができる。
【0289】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項22)によれば、像域分離を実空間において実施することにより、像域分離部内の網点分離部や白地分離部のように注目画素近傍の広い範囲の画素値の参照を必要をする分離機構において、参照可能な領域の自由度が高く、より高精度な網点分離部および白地分離部、ひいてはより高精度な像域分離を行なうことができる。
【0290】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項23)によれば、多重解像度空間に変換してフィルタ処理を行なうので、ノイズを強調することなく所望とする周波数帯域の画像に対してノイズの除去および視覚的に自然な強調を行なうことができる。
【0291】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項24)によれば、請求項23に加え、ウェーブレット変換で、帯域分割するとき画像を間引かずに係数変換するので、出力に隣接成分との平均をとることになるため、サンプリング位置により周波数特性の補正が著しく異なるといった不具合を解消することができる。また、逆変換の際に注目画素は周辺のより多くの係数から影響をうけることになり、隣接データ値の急激な変動に対してもディフェクトの少ない安定した画像を再生することができる。
【0292】
また、本発明にかかる画像処理装置(請求項25)によれば、周波数帯域毎かつ方向毎にエッジ量算出を行い、周波数帯域毎かつ方向毎に鮮鋭性の制御を独立に行なうことにより、必要な周波数帯域・方向についてのみの強調が可能となり、結果として再生画像で必要な鮮鋭性は確保しつつ、網点や文字においては余分な高周波成分の強調による強調波歪みを抑制できるため、網点、文字及び網点上文字のいずれの原稿に対しても良好な出力画像を得ることができる。特に網点上文字においては文字のエッジに沿った方向だけを強調することにより、文字部分については効果的に強調することができ、かつ隣接する網点の強調は抑制することができるため、良好な出力画像を得ることができる。また、ウェーブレット変換で、帯域分割するとき画像を間引かずに係数変換することにより、出力に隣接成分との平均を取ることになるため、サンプリング位置により周波数特性の補正が著しく異なる不具合を解消することができる。また、逆変換の際に注目画素は周辺のより多くの係数から影響をうけることになり、隣接データ値の急激な変動に対してもディフェクトの少ない安定した画像を再生できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1におけるフィルタ処理部の構成例(1)を示すブロック図である。
【図3】図2におけるフィルタ処理部の多重解像度変換部の構成を示すブロック図である。
【図4】この実施の形態にかかるウェーブレット変換におけるローパスフィルタおよびハイパスフィルタの特性を示すグラフである。
【図5】この実施の形態にかかるウェーブレット変換における各方向のエッジ成分の抽出変換例を示す説明図である。
【図6】実施の形態1にかかる多重解像度変換部、エッジ量算出部および鮮鋭性制御部の構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態1にかかる図7のエッジ量算出部の内部構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態1にかかる図7のエッジ量算出部のエッジ算出時の横方向のフィルタ結果を示すマトリックスである。
【図9】実施の形態1にかかる図7のエッジ量算出部のエッジ算出時の縦方向のフィルタ結果を示すマトリックスである。
【図10】実施の形態1にかかる図7のエッジ量算出部のエッジ算出時の右斜め方向のフィルタ結果を示すマトリックスである。
【図11】実施の形態1にかかる図7のエッジ量算出部のエッジ算出時の左斜め方向のフィルタ結果を示すマトリックスである。
【図12】実施の形態1にかかるエッジ量算出部の横方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図13】実施の形態1にかかるエッジ量算出部の縦方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図14】実施の形態1にかかるエッジ量算出部の右斜め方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図15】実施の形態1にかかるエッジ量算出部の左斜め方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図16】実施の形態1にかかる鮮鋭性制御部における単色分の構成を示すブロック図である。
【図17】図16における鮮鋭性制御部の補正部の内部構成を示すブロック図である。
【図18】この実施の形態にかかるノイズ除去閾値、強調係数による補正後データを示すグラフである。
【図19】実施の形態1にかかる文字エッジ量の大きさに対応した強調係数を算出するテーブルの例を示すグラフである。
【図20】実施の形態1にかかる文字エッジ量の大きさに対応したノイズ除去閾値を算出するテーブルの例を示すグラフである。
【図21】図2のフィルタ処理部における逆多重解像度変換部の構成を示すブロック図である。
【図22】サブサンプリングを行なうウェーブレット変換例を示すブロック図である。
【図23】本発明の実施の形態にかかるウェーブレット変換例を示すブロック図である。
【図24】各層、各方向の係数信号の画像サイズの推移を示す説明図である。
【図25】サブサンプリングを行なう処理の例(1)を示す説明図である。
【図26】サブサンプリングを行なう処理の例(2)を示す説明図である。
【図27】本発明の実施の形態にかかるサブサンプリングを行なわない処理の例を示す説明図である。
【図28】実施の形態1にかかるフィルタ処理部の構成例(2)を示すブロック図である。
【図29】図28における多重解像度変換部、文字エッジ量算出部および鮮鋭性制御部の構成を示すブロック図である。
【図30】実施の形態1にかかる網点度合算出部の構成を示すブロック図である。
【図31】実施の形態1にかかる網点度合算出部のカウント部出力値と非網点度合との関係を示すグラフである。
【図32】実施の形態1にかかる鮮鋭性制御部に網点度合算出部の信号を用いるフィルタ処理部の構成を示すブロック図である。
【図33】実施の形態1にかかる文字エッジ量算出部、鮮鋭性制御部の構成(1)を示すブロック図である。
【図34】実施の形態1にかかる図33のエッジ量算出部のエッジ算出時の高周波・横方向のフィルタ結果を示すマトリックスである。
【図35】実施の形態1にかかる図33のエッジ量算出部のエッジ算出時の高周波・縦方向のフィルタ結果を示すマトリックスである。
【図36】実施の形態1にかかる図33のエッジ量算出部のエッジ算出時の高周波・右斜め方向のフィルタ結果を示すマトリックスである。
【図37】実施の形態1にかかる図33のエッジ量算出部のエッジ算出時の高周波・左斜め方向のフィルタ結果を示すマトリックスである。
【図38】図33における高周波・斜め方向エッジ量算出部の構成を示すブロック図である。
【図39】実施の形態1にかかる図33のエッジ量算出部のエッジ算出時の低周波・縦方向のフィルタ結果を示すマトリックスである。
【図40】実施の形態1にかかる図33のエッジ量算出部のエッジ算出時の低周波・横方向のフィルタ結果を示すマトリックスである。
【図41】実施の形態1にかかる図33のエッジ量算出部のエッジ算出時の低周波・右斜め方向のフィルタ結果を示すマトリックスである。
【図42】実施の形態1にかかる図33のエッジ量算出部のエッジ算出時の低周波・左斜め方向のフィルタ結果を示すマトリックスである。
【図43】図33における低周波・斜め方向エッジ量算出部の構成を示すブロック図である。
【図44】実施の形態1にかかるエッジ量算出部の高周波・横方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図45】実施の形態1にかかるエッジ量算出部の高周波・縦方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図46】実施の形態1にかかるエッジ量算出部の高周波・右斜め方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図47】実施の形態1にかかるエッジ量算出部の高周波・左斜め方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図48】実施の形態1にかかるエッジ量算出部の低周波・横方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図49】実施の形態1にかかるエッジ量算出部の低周波・縦方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図50】実施の形態1にかかるエッジ量算出部の低周波・右斜め方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図51】実施の形態1にかかるエッジ量算出部の低周波・左斜め方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図52】実施の形態1にかかる文字エッジ量算出部、鮮鋭性制御部の構成(2)を示すブロック図である。
【図53】実施の形態1にかかる文字エッジ量算出部、鮮鋭性制御部の構成(3)を示すブロック図である。
【図54】実施の形態1にかかる色補正機能を備えたフィルタ処理部の構成を示すブロック図である。
【図55】図54における文字エッジ量算出部の構成を示すブロック図である。
【図56】実施の形態1にかかる輝度/色差信号によるフィルタ処理部の構成を示すブロック図である。
【図57】実施の形態1にかかる輝度信号を用いて文字特徴量の算出を行なうフィルタ処理部の構成を示すブロック図である。
【図58】実施の形態1にかかるエッジ量算出にのみ色補正信号を用いるフィルタ処理部の構成を示すブロック図である。
【図59】本発明の実施の形態2にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図60】図59におけるフィルタ処理部の構成を示すブロック図である。
【図61】実施の形態2におけるエッジ量算出部、エッジ量補正部、鮮鋭性制御部の構成を示すブロック図である。
【図62】図61におけるエッジ量算出部の1階層・横方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図63】図61におけるエッジ量算出部の1階層・縦方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図64】図61におけるエッジ量算出部の1階層・斜め方向エッジ量算出部の構成を示すブロック図である。
【図65】図61におけるエッジ量算出部の1階層・右斜め方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図66】図61におけるエッジ量算出部の1階層・左斜め方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図67】図61におけるエッジ量算出部の2階層・横方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図68】図61におけるエッジ量算出部の2階層・縦方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図69】図61におけるエッジ量算出部の2階層・斜め方向エッジ量算出部の構成を示すブロック図である。
【図70】図61におけるエッジ量算出部の2階層・右斜め方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図71】図61におけるエッジ量算出部の2階層・左斜め方向エッジ量算出の様子を示す説明図である。
【図72】実施の形態2にかかるエッジ量補正部の補正処理例を示すグラフである。
【図73】図60のフィルタ処理部における鮮鋭性制御部の1LH制御部の構成を示すブロック図である。
【図74】実施の形態2にかかる補正後エッジ量の大きさに対応した強調係数とノイズ除去閾値を算出するテーブルの例(1)を示すグラフである。
【図75】実施の形態2にかかる補正後エッジ量’の大きさに対応した強調係数とノイズ除去閾値を算出するテーブルの例(2)を示すグラフである。
【図76】図60のフィルタ処理部における復元処理部の構成を示すブロック図である。
【図77】実施の形態2にかかる像域分離部の構成を示すブロック図である。
【図78】図77の像域分離部におけるエッジ分離部の構成を示すブロック図である。
【図79】エッジ分離に用いられる黒画素の連続性を検出するパターンを示す図である
【図80】エッジ分離に用いられる白黒画素の連続性を検出するパターンを示す図である。
【図81】図77の像域分離部における網点分離部の構成を示すブロック図である。
【図82】図81のピーク画素検出部によるピーク画素検出例を示す説明図である。
【図83】図81の網点領域検出回路による検出パターン(1)を示す説明図である。
【図84】図81の網点領域検出回路による検出パターン(2)を示す説明図である。
【図85】図59の像域分離部における白地分離部の構成を示すブロック図である。
【図86】1×5または5×1がすべて白画素である白画素塊のパターンを示す図である。
【図87】実施の形態2にかかる輝度/色差信号を用いて鮮鋭性制御を行なうフィルタ処理部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
110 画像処理装置
111 スキャナγ補正部
112 フィルタ処理部
113 色補正処理部
114 BG/UCR処理部
115 プリンタγ補正部
116 中間調処理部
120 多重解像度変換部
121 エッジ量算出部
122 鮮鋭性制御部
123 逆多重解像度変換部
151,225 横方向エッジ量算出部
152,226 縦方向エッジ量算出部
153 右斜め方向エッジ量算出部
154 左斜め方向エッジ量算出部
106a〜f 補正部
210 文字エッジ量算出部
211 網点度合算出部
212 乗算器
215 高周波・横方向エッジ量算出部
216 高周波・縦方向エッジ量算出部
217 高周波・斜め方向エッジ量算出部
218 低周波・横方向エッジ量算出部
219 低周波・縦方向エッジ量算出部
220 低集は・斜め方向エッジ量算出部
227 斜め方向エッジ量算出部
240 色補正部
241 RGB→LUV変換部
242 LUV→RGB変換部
250 像域分離部
251 エッジ量補正部
252 復元処理部
255 1階層・横方向エッジ量算出部
256 1階層・縦方向エッジ量算出部
257 1階層・斜め方向エッジ量算出部
258 2階層・横方向エッジ量算出部
259 2階層・縦方向エッジ量算出部
260 2階層・斜め方向エッジ量算出部
261〜266 補正部
315 エッジ分離部
316 網点分離部
317 白地分離部
318 総合判定部

Claims (25)

  1. 入力画像信号に対して所定の処理を実行し、出力する画像処理装置において、
    前記入力画像信号から画像中のエッジ量を算出するエッジ量算出手段と、
    前記エッジ量にしたがって前記入力画像信号に対して空間周波数の補正を行なう鮮鋭性制御手段と、
    を備え、
    前記エッジ量算出手段と前記鮮鋭性制御手段は互いに異なる信号空間で処理を実行することを特徴とする画像処理装置。
  2. 入力画像信号に対して所定の処理を実行し、出力する画像処理装置において、
    前記入力画像信号から画像の網点度合を算出する網点度合算出手段と、
    前記網点度合にしたがって前記入力画像信号に対して空間周波数の補正を行なう鮮鋭性制御手段と、
    を備え、
    前記網点度合算出手段と前記鮮鋭性制御手段は互いに異なる信号空間で処理を実行することを特徴とする画像処理装置。
  3. 入力画像信号に対して所定の処理を実行し、出力する画像処理装置において、
    前記入力画像信号から画像中のエッジ量を算出するエッジ量算出手段と、
    前記入力画像信号から画像の網点度合を算出する網点度合算出手段と、
    前記エッジ量算出手段および前記網点度合算出手段からの出力値から文字エッジ量を算出する文字エッジ量算出手段と、
    前記文字エッジ量算出手段からの文字エッジ量にしたがって空間周波数の補正を行なう鮮鋭性制御手段と、
    を備えたことを特徴とする画像処理装置。
  4. 前記エッジ量算出手段または前記網点度合算出手段または前記文字エッジ量算出手段は、実空間の入力信号分布にしたがった算出を実行し、前記鮮鋭性制御手段は、前記入力画像信号を多重解像度空間に変換した係数に対して補正を行なうことで空間周波数の補正を実行することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記エッジ量または前記網点度合または前記文字エッジ量にしたがって、前記入力画像信号に対する空間周波数の補正を適応的に行なうことを特徴とする請求項3または4に記載の画像処理装置。
  6. 前記多重解像度空間への変換は、2次元ウェーブレット変換を用いて行なうことを特徴とする請求項3、4または5に記載の画像処理装置。
  7. 前記多重解像度空間への変換は、少なくとも1つの周波数帯域について入力画像の画素を間引かずに実行することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
  8. 前記エッジ量算出手段は、複数の方向別にエッジ量を算出し、前記鮮鋭性制御手段は、この複数の方向別にエッジ量に基づいて複数の周波数帯域それぞれについて空間周波数の補正を行なうことを特徴とする請求項5、6または7に記載の画像処理装置。
  9. 前記エッジ量算出手段は、複数の周波数帯域別にエッジ量を算出し、前記鮮鋭性制御手段は、この複数の周波数帯域別にエッジ量に基づいて複数の周波数帯域それぞれについて空間周波数の補正を行なうことを特徴とする請求項5、6または7に記載の画像処理装置。
  10. 前記エッジ量算出手段は、複数の周波数帯域・方向別にエッジ量を算出し、前記鮮鋭性制御手段は、この複数の周波数帯域・方向別にエッジ量に基づいて複数の周波数帯域それぞれについて空間周波数の補正を行なうことを特徴とする請求項5、6または7に記載の画像処理装置。
  11. 前記文字エッジ量算出手段は、複数の方向別に文字エッジ量の算出を実行し、前記鮮鋭性制御手段は、前記文字エッジ量算出手段で算出された文字エッジ量に基づいて方向別にそれぞれ空間周波数の補正を実行することを特徴とする請求項5、6または7に記載の画像処理装置。
  12. 前記文字エッジ量算出手段は、複数の周波数帯域別に文字エッジ量の算出を実行し、前記鮮鋭性制御手段は、前記文字エッジ量算出手段で算出された文字エッジ量に基づいて周波数帯域別にそれぞれ空間周波数の補正を実行することを特徴とする請求項5、6または7に記載の画像処理装置。
  13. 前記文字エッジ量算出手段は、複数の周波数帯域・方向別に文字エッジ量の算出を実行し、前記鮮鋭性制御手段は、前記文字エッジ量算出手段で算出された文字エッジ量に基づいて周波数帯域・方向別にそれぞれ空間周波数の補正を実行することを特徴とする請求項5、6または7に記載の画像処理装置。
  14. 前記鮮鋭性制御手段は、前記複数の周波数帯域または方向の、エッジ量または文字エッジ量を用い、少なくとも周波数帯域および方向の鮮鋭性制御を実行することを特徴とする請求項8〜13の何れか一つに記載の画像処理装置。
  15. 前記文字エッジ量算出手段は、色補正処理後のシアン、マゼンタ、イエローの少なくとも3色の信号を含む色空間で画像特徴量を算出することを特徴とする請求項3〜14の何れか一つに記載の画像処理装置。
  16. 前記鮮鋭性制御手段は、前記画像特徴量に基づいた空間周波数の補正を輝度/色差系の色空間で実行することを特徴とする請求項8〜13の何れか一つに記載の画像処理装置。
  17. 前記文字エッジ量算出手段は、輝度信号を用いて画像特徴量を算出することを特徴とする請求項16に記載の画像処理装置。
  18. 入力画像信号に対して所定の処理を実行し、出力する画像処理装置において、
    前記入力画像信号から注目画素の画像属性判定を行なう画像属性判定手段と、
    前記入力画像信号から画像中のエッジ量を算出するエッジ量算出手段と、
    前記エッジ量にしたがって前記入力画像信号に対して空間周波数の補正を行なう鮮鋭性制御手段と、
    を備え、
    前記画像属性判定手段と前記エッジ量算出手段は互いに異なる信号空間で処理を実行することを特徴とする画像処理装置。
  19. 前記画像属性判定手段は、
    前記入力画像信号の注目画素が網点領域であるかを判定する網点領域判定手段と、
    前記注目画素近傍が白地領域であるかを判定する白地判定手段と、
    前記注目画素がエッジであるかを判定するエッジ判定手段と、
    の少なくと一つを備え、当該注目画素の画像属性を判定することを特徴とする請求項18に記載の画像処理装置。
  20. さらに、前記画像属性判定手段からの画像属性にしたがって前記エッジ量算出手段のエッジ量を補正するエッジ量補正手段を備えたことを特徴とする請求項18または19に記載の画像処理装置。
  21. 前記鮮鋭性制御手段および前記エッジ量算出手段は、同一の信号空間において所定の処理を実行することを特徴とする請求項18、19または20に記載の画像処理装置。
  22. 前記画像属性判定手段は、実空間で画像属性を判定し、前記エッジ量算出手段は、多重解像度空間においてエッジ量を算出することを特徴とする請求項18〜21の何れか一つに記載の画像処理装置。
  23. 前記エッジ量算出手段は、2次元ウェーブレット変換により多重解像度空間に変換し、エッジ量を算出することを特徴とする請求項22に記載の画像処理装置。
  24. 前記解像度空間への変換は、少なくとも1つの周波数帯域に対して入力画像の画素を間引かずに実行することを特徴とする請求項23に記載の画像処理装置。
  25. 前記エッジ量算出手段は、複数の周波数帯域・方向成分別にエッジ量を算出し、前記鮮鋭性制御手段は、この算出された複数のエッジ量に基づいて複数の周波数帯域・方向成分それぞれについて空間周波数の補正を行なうことを特徴とする請求項23または24に記載の画像処理装置。
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