JP2004281771A - 半導体薄膜の結晶成長方法および結晶成長装置ならびに薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

半導体薄膜の結晶成長方法および結晶成長装置ならびに薄膜トランジスタの製造方法 Download PDF

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Kimihiro Taniguchi
仁啓 谷口
Tetsuya Inui
哲也 乾
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Abstract

【課題】半導体薄膜をラテラル成長によって結晶化する際に、得られる大型結晶粒の位置を制御する。
【解決手段】半導体薄膜13を平面的に見て、半導体薄膜13の溶融領域24と非溶融領域34との境界において、非溶融領域34が溶融領域24側に向かって突出するV字状の尖形部16を有するように半導体薄膜13を溶融することにより、尖形部16の先端17を基点に溶融領域24の内側に向かって基材の主表面と略平行方向に大型結晶粒19bをラテラル成長させる。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融結晶化法を用いた半導体薄膜の結晶成長方法および結晶成長装置ならびにこの結晶成長方法を用いた薄膜トランジスタの製造方法に関し、より特定的には、ラテラル成長法を用いた半導体薄膜の結晶成長方法および結晶成長装置ならびにこの結晶成長方法を用いた薄膜トランジスタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータや携帯電話機の表示ディスプレイなどに、液晶や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)を用いた平面型の表示装置が多く用いられている。この液晶や有機ELを利用した表示装置では、画素の表示をスイッチングするために、非晶質または多結晶のシリコンを活性層として用いた薄膜トランジスタが用いられる。具体的には、ガラス基板上にこれら薄膜トランジスタを形成し、さらに液晶デバイスや有機ELデバイスをこのガラス基板上に形成することにより、薄型でかつ軽量の表示装置が製造可能になる。
【0003】
このうち、多結晶シリコン薄膜を用いて形成された薄膜トランジスタは、非晶質シリコンを用いて形成された薄膜トランジスタよりもキャリア(電子)の移動度が高いため、非晶質シリコンを用いて形成された薄膜トランジスタに比べて多くの長所を有している。
【0004】
たとえば、キャリアの移動度が高いため、高性能のトランジスタを製作することが可能となる。このため、画素部分にスイッチング素子を形成するだけでなく、画素の周辺領域に高性能なトランジスタを必要とする駆動回路や画像処理回路を形成することが可能になる。この結果、別途ドライバIC(Integrated Circuit)や回路基板をガラス基板上に実装する必要がなくなり、表示装置を低価格で提供することが可能になる。
【0005】
また、その他の長所として、トランジスタの寸法を微細化することが可能であり、画素部分に形成するスイッチング素子を小さくすることができるため、開口率を高くすることが可能である。この結果、高輝度および高精度の表示装置を提供することが可能になる。
【0006】
多結晶シリコン薄膜を製造する場合には、一般的にガラス基板にCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて非晶質シリコン薄膜を形成した後に、この非晶質シリコン薄膜を多結晶化する方法が用いられる。
【0007】
非晶質シリコン薄膜を多結晶化する方法としては、基材全体を600℃から1000℃以上の高温に保ち、非晶質シリコン薄膜を溶融させて再結晶化するアニール法がある。この場合には、600℃以上の高温に耐え得る基材を使用する必要があり、高価な石英基板を用いざるを得ず、装置の低価格化の阻害要因となっていた。
【0008】
しかしながら、近年では、レーザ光を用いて600℃以下の低温で非晶質シリコンの多結晶化を行う技術が一般化されており、低価格のガラス基板を用いて非晶質シリコン薄膜を多結晶化することが可能となっている。
【0009】
レーザ光を用いた結晶化技術においては、非晶質シリコン薄膜が形成されたガラス基板を温度400℃程度に加熱し、ガラス基板を一定速度で走査しながら長さ200mmから400mm、幅0.2mmから1.0mm程度の線状ビームを非晶質シリコン薄膜に照射する方法が一般的である。この方法によれば、結晶粒径が0.2μm程度から0.5μm程度の結晶粒が得られる。
【0010】
なお、レーザ光を照射した部分の非晶質シリコン薄膜は、薄膜の厚さ方向全域にわたって溶融するのではなく、一部の非晶質領域を残した状態で溶融する。このため、レーザ光の照射領域全域にわたって至るところに結晶核が発生し、シリコン薄膜の最表面に向かって結晶が成長し、ランダムな方位の結晶粒が形成される。
【0011】
しかしながら、この方法によれば、多数の結晶粒がガラス基板上に形成されるため、薄膜中には無数の粒界が存在することになる。このため、この多結晶シリコン薄膜にトランジスタを形成した場合には、キャリアが粒界に散乱されて移動度が低下し、単結晶シリコン基板に比べて数分の一程度の移動度しか得られない。このため、より高性能のトランジスタを得るためには、多結晶シリコン薄膜の結晶粒径を大きくするとともに、結晶方位を制御することが必要となる。このため、近年においては、単結晶シリコンに近いシリコン薄膜を得ることを目的として、数多くの研究開発がなされている。
【0012】
その中に、特表2000−505241号公報(特許文献1)や特開昭58−184720号公報(特許文献2)、特開2000−260709号公報(特許文献3)に開示の結晶成長方法がある。これら公報に開示の技術は、ラテラル成長法に分類されるレーザ結晶成長技術である。
【0013】
ラテラル成長法は、上記特許文献1に開示のいわゆるスーパーラテラル成長法と称される結晶成長方法や、上記特許文献2および3に開示のいわゆるキャッピング法と称される結晶成長方法などに分類される。
【0014】
ラテラル成長法は、半導体薄膜の所定領域を厚さ方向全域にわたって溶融させ、半導体薄膜の主表面と略平行方向に結晶を成長させる技術である。このうち、スーパーラテラル成長法は、微細幅のパルスレーザを半導体薄膜に照射し、照射された部分の半導体薄膜をレーザ照射領域の厚さ方向全域にわたって溶融・凝固させて結晶化を行う結晶成長方法である。これに対し、キャッピング法は、反射防止膜ないしは遮光膜のいずれかを半導体薄膜上に形成し、これらの膜を介して半導体薄膜にレーザ光を照射し、照射された部分の半導体薄膜をレーザ照射領域の厚さ方向全域にわたって溶融・凝固させて結晶化を行う結晶成長方法である。
【0015】
これらスーパーラテラル成長法やキャッピング法においては、いずれも基本的な結晶化の原理は同じであるため、以下においては、スーパーラテラル成長法を例に説明する。
【0016】
図25は、従来のラテラル成長法において、1回のパルス照射で形成される結晶組織の構造を説明する模式平面図である。たとえば、幅が2μm〜3μm程度の微細幅のスリット状ビームを半導体薄膜に向かって照射すると、レーザ照射領域522が厚さ方向全域にわたって溶融し、溶融領域の境界から横方向、すなわち、半導体薄膜の主表面に平行な方向(図中矢印a方向およびb方向)に結晶粒519が成長し、溶融領域の中央部で両側から成長した結晶粒519同士が衝突し、成長が終了する。
【0017】
このラテラル成長法においては、得られる結晶粒の長さは、各種プロセス条件や半導体薄膜の厚さによって異なる。例えば、上記特許文献3には、基板温度を室温とし、波長308nmのエキシマレーザ光を単位面積当り300mJ/cmのエネルギーで厚さ50nmの非晶質シリコン薄膜に照射した場合に得られる結晶粒の長さが、0.8μm〜1.0μm程度であると記載されている。また、他の文献(非特許文献1)には、たとえば、半導体薄膜として非晶質シリコンを用い、基板温度を300℃に保って波長308nmのエキシマレーザ光を照射した場合に、最長で1.2μm程度の長さの結晶粒が得られることが記載されている。
【0018】
高性能の薄膜トランジスタを製作するために、このラテラル成長法によって得られた半導体薄膜を活性層として利用する場合には、キャリアの移動方向に粒界のない部分を使用する必要がある。前述した通り、1回のパルス照射によって成長する結晶粒の長さは最大でも1.2μm程度であり、チャネル長がこの長さを超える薄膜トランジスタを製作する場合には、キャリアの移動方向に結晶粒界が存在することになり、極端に性能が低下する。したがって、得られる結晶粒の長さが大きい程、高性能の薄膜トランジスタを得ることができるようになる。
【0019】
【特許文献1】
特表2000−505241号公報
【0020】
【特許文献2】
特開昭58−184720号公報
【0021】
【特許文献3】
特開2000−260709号公報
【0022】
【非特許文献1】
原明人、佐々木信夫,「ガラス上におけるシリコンの核形成サイトと凝固方向制御」,応用物理学会結晶工学分科会第112回研究会テキスト,応用物理学会結晶工学分科会,平成12年6月20日,p.19−25
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一回のパルス照射によって得られる結晶粒の長さを大型化する課題と並んで重要とされる課題に、大型の結晶粒が形成される位置の制御という課題がある。この大型の結晶粒が形成される位置を制御することは、結晶化工程後のトランジスタ形成工程において非常に重要となる。
【0024】
トランジスタ形成工程においては、半導体薄膜の予め決められた位置にトランジスタが形成される。しかしながら、上述のラテラル成長法による結晶化工程において形成される結晶粒の形成位置は、レーザ光の照射領域内、すなわち半導体薄膜の溶融領域内においてランダムとなる。これは、結晶が成長する基点となる結晶核が溶融領域と非溶融領域との境界のランダムな位置に発生するためである。
【0025】
このため、部分的に大型の結晶粒が形成できたとしても、薄膜トランジスタを製作する際にチャネル領域の位置と大型結晶粒との位置が一致しない場合が多い。このため、高性能の薄膜トランジスタを製作することは非常に困難となっていた。
【0026】
また、結晶粒の長さを大型化するのみでなく、結晶粒の幅方向の大きさを大型化することも重要である。結晶粒の幅方向の大きさを大きくできれば、その分薄膜トランジスタのチャネル領域内に存在する結晶粒界の数も減少することになる。このため、結晶粒の幅方向の大型化を図ることにより、より高性能の薄膜トランジスタを製作することが可能になる。
【0027】
そこで、本発明は、上述の問題点を解決すべくなされたものであり、ラテラル成長によって得られる結晶粒の位置を制御することが可能な半導体薄膜の結晶成長方法および結晶成長装置ならびにこの結晶成長方法を用いた薄膜トランジスタの製造方法を提供することを目的とする。
【0028】
また、ラテラル成長によって得られる結晶粒の幅方向の大きさを大型化することが可能な半導体薄膜の結晶成長方法および結晶成長装置ならびにこの結晶成長方法を用いた薄膜トランジスタの製造方法を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明に基づく半導体薄膜の結晶成長方法は、基材上に形成された半導体薄膜を部分的に溶融し、基材の主表面と略平行方向に半導体薄膜を結晶成長させる半導体薄膜の結晶成長方法であって、半導体薄膜を平面的に見て、半導体薄膜の溶融領域と非溶融領域との境界において、非溶融領域が溶融領域側に向かって突出する尖形部を有するように半導体薄膜を溶融することを特徴とする。
【0030】
これにより、尖形部の先端を基点として結晶成長が起こるため、大型結晶粒の形成される位置を所望の位置に制御することが可能になる。このため、後工程にて行なわれるトランジスタの形成の際に薄膜トランジスタのチャネル領域が形成される位置に、予め大型の結晶粒が位置するように結晶粒の形成位置を制御することが可能になる。この結果、高性能の薄膜トランジスタを簡便に製造することが可能になる。また、尖形部の先端から成長した結晶粒は幅方向にも成長するため、幅方向に大型化した結晶粒を容易に得ることが可能になる。これにより、チャネル領域内に結晶粒界が存在しないかまたは存在したとしても極僅かの薄膜トランジスタを簡便に製造できるようになる。
【0031】
上記本発明に基づく半導体薄膜の結晶成長方法にあっては、たとえば、半導体薄膜を平面的に見て、上記尖形部はV字状であることが好ましい。
【0032】
このように、尖形部をV字状とすることにより、確実に尖形部の先端から結晶が成長するようになる。これにより、大型結晶粒の形成位置を精度よく制御することが可能になる。また、尖形部をV字状とすることにより、幅方向に大型化した結晶粒を再現性よく得ることができるようになる。
【0033】
上記本発明に基づく半導体薄膜の結晶成長方法にあっては、たとえば、半導体薄膜を平面的に見て、上記尖形部の先端の内角が鋭角であることが好ましい。また、さらに好ましくは、上記尖形部の先端の内角は30°以下である。
【0034】
このように、尖形部の先端が少なくとも鋭角となるように構成することにより、確実に尖形部の先端から結晶成長が起こるようになる。さらに、尖形部の先端を30°以下とすれば、さらに再現性よく大型の結晶粒を尖形部の先端から溶融領域の内側に向かって成長させることが可能になる。これにより、大型結晶粒の形成位置を精度よく制御することが可能になる。また、尖形部の先端を上述の角度とすることにより、幅方向に大型化した結晶粒を再現性よく得ることができるようになる。
【0035】
上記本発明に基づく半導体薄膜の結晶成長方法にあっては、たとえば、半導体薄膜を平面的に見て、上記尖形部の先端の曲率半径が1μm以下であることが好ましい。
【0036】
このように、尖形部の先端の曲率半径を1μm以下とすることにより、確実に尖形部の先端から結晶成長が起こるようになる。これにより、大型結晶粒の形成位置を精度よく制御することが可能になる。また、尖形部の先端の曲率半径を1μm以下とすることにより、幅方向に大型化した結晶粒を再現性よく得ることができるようになる。
【0037】
上記本発明に基づく半導体薄膜の結晶成長方法にあっては、たとえば、第1のレーザ光が照射される照射領域と、第1のレーザ光が照射されない非照射領域とに半導体薄膜の主表面を規定する照射領域規定手段を用い、半導体薄膜に部分的に第1のレーザ光を照射することにより、半導体薄膜を部分的に溶融することが好ましい。
【0038】
このように、結晶化予定領域を溶融させる手段としてレーザ光を用いることにより、局所的に半導体薄膜を加熱・溶融することが可能となる。このため、溶融領域と非溶融領域との境界の形状を制御性よくコントロールすることが可能になる。
【0039】
上記本発明に基づく半導体薄膜の結晶成長方法にあっては、たとえば、照射領域規定手段として、マスクを用いることが好ましい。また、半導体薄膜上に形成された反射防止膜を照射領域規定手段として用いることも可能である。さらには、半導体薄膜上に形成された遮光膜を照射領域規定手段として用いることも可能である。
【0040】
このように、照射領域規定手段としては、マスクや反射防止膜、遮光膜を用いることが可能であり、これらを用いれば、簡便に溶融領域と非溶融領域との境界の形状をコントロールすることが可能になる。
【0041】
上記本発明に基づく半導体薄膜の結晶成長方法にあっては、たとえば、第1のレーザ光を半導体薄膜の主表面に対して略垂直に入射させて半導体薄膜を部分的に溶融するとともに、半導体薄膜の溶融部分の凝固が完了する前に、上記第1のレーザ光よりも半導体薄膜を透過し易い第2のレーザ光を基材の主表面に斜入射させて溶融領域を含む領域に対応する位置の基材を部分的に加熱することが好ましい。
【0042】
このように、半導体薄膜の補助加熱手段として第2のレーザ光を用いて基材を加熱することにより、半導体薄膜の結晶化を遅延させることが可能になる。これにより、より大粒の結晶粒を得ることができるようになる。
【0043】
本発明に基づく薄膜トランジスタの製造方法は、上述のいずれかの半導体薄膜の結晶成長方法を用いて形成された大粒径の単結晶領域に、薄膜トランジスタのチャネル領域を形成するものである。
【0044】
このように、上述のいずれかの方法を用いて形成された大型結晶粒にチャネル領域が含まれるように薄膜トランジスタを形成することにより、高性能の薄膜トランジスタとすることが可能になる。また、上述のいずれかの方法を用いて形成された大型結晶粒は、その形成位置を精度よく制御することが可能であるため、薄膜トランジスタのチャネル領域の形成位置にあわせて大型結晶粒を形成することが可能であり、効率よく高性能のトランジスタを製作することが可能になる。さらには、上述のいずれかの方法を用いて形成された大型結晶粒は、その幅方向の大きさも大型化するため、この大型結晶粒に重なるように薄膜トランジスタのチャネル領域を形成することにより、高性能の薄膜トランジスタとすることが可能になる。
【0045】
本発明に基づく半導体薄膜の結晶成長装置は、基材上に形成された半導体薄膜を部分的に溶融し、基材の主表面と略平行方向に半導体薄膜を結晶成長させる半導体薄膜の結晶成長装置であって、半導体薄膜に部分的に第1のレーザ光を照射し、半導体薄膜の結晶化予定領域を溶融する第1照射手段を備える。第1照射手段は、第1のレーザ光を出射する光源と、第1のレーザ光が照射されて所望のマスク像を成形するマスクとを有する。マスクは、第1のレーザ光を遮光する遮光領域と、第1のレーザ光を透過する透光領域とを含む。マスクを平面的に見て、遮光領域は、遮光領域と透光領域との境界において透光領域側に向かって突出する尖形部を有している。
【0046】
上記構成の半導体薄膜の結晶成長装置を用いることにより、半導体薄膜の溶融領域と非溶融領域との境界において非溶融領域が尖形部を有するように、第1のレーザ光による照射領域の形状を制御することができるようになる。このため、簡便に大型結晶粒の形成される位置を制御することが可能になる。これにより、後工程にて行なわれるトランジスタの形成の際に薄膜トランジスタのチャネル領域が形成される位置に、予め大型の結晶粒が位置するように大型結晶粒の形成位置を制御することが可能になるため、高性能の薄膜トランジスタを簡便に製作できるようになる。また同時に、製造効率が飛躍的に向上するため、高性能の薄膜トランジスタを備えた表示装置等を安価に製造することが可能になる。また、尖形部の先端から成長した結晶粒は幅方向にも成長するため、幅方向に大型化した結晶粒を得ることが可能になる。これにより、チャネル領域内に結晶粒界が存在しないかまたは存在したとしても極僅かの薄膜トランジスタを簡便に製作できるようになる。
【0047】
上記本発明に基づく半導体薄膜の結晶成長装置にあっては、たとえば、マスクを平面的に見て、上記尖形部がV字状であることが好ましい。
【0048】
このように、マスクに形成する尖形部の形状をV字状とすることにより、半導体薄膜に結像されるマスク像もV字状の尖形部を有するようになる。このため、半導体薄膜に形成される大型結晶粒の位置を制御することが可能になる。また、幅方向に大型化した結晶粒を再現性よく得ることもできるようになる。
【0049】
上記本発明に基づく半導体薄膜の結晶成長装置にあっては、たとえば、上記尖形部の先端の内角が鋭角であることが好ましい。また、さらに好ましくは、上記尖形部の先端の内角は30°以下である。
【0050】
このように、マスクに形成する尖形部の先端が少なくとも鋭角となるように構成することにより、半導体薄膜に結像されるマスク像も鋭角の尖形部を有するようになる。このため、半導体薄膜に形成される大型結晶粒の位置を制御することが可能になる。さらに、尖形部の先端を30°以下とすれば、さらに精度よく大型の結晶粒が形成される位置を制御することが可能になる。また、マスクに形成する尖形部の内角を上述の角度とすることにより、幅方向に大型化した結晶粒を再現性よく得ることもできるようになる。
【0051】
上記本発明に基づく半導体薄膜の結晶成長装置にあっては、たとえば、基材に選択的に第1のレーザ光よりも半導体薄膜を透過し易い第2のレーザ光を照射し、半導体薄膜の結晶化予定領域を含む領域に対応する位置の基材を加熱する第2照射手段をさらに備えていることが好ましい。
【0052】
このように、半導体薄膜の補助加熱手段として基材に第2のレーザ光を照射する第2照射手段を具備することより、半導体薄膜の結晶化を遅延させることが可能になるため、より大型の結晶粒を得ることが可能になる。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0054】
(実施の形態1)
本実施の形態は、半導体薄膜の結晶化予定領域にレーザ光を照射して結晶化を行なうレーザアニール法を採用した半導体薄膜の結晶成長方法および結晶成長装置ならびにこの結晶成長方法を用いて結晶化され半導体薄膜を用いた薄膜トランジスタの製造方法を示すものであり、中でも、スーパーラテラル成長法と呼ばれる横方向結晶成長法(ラテラル成長法)を採用した場合を示すものである。
【0055】
(半導体薄膜の結晶成長装置)
まず、図1を参照して、本実施の形態における半導体薄膜の結晶成長装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における半導体薄膜の結晶成長装置の構成を示す模式図である。
【0056】
図1に示すように、本実施の形態における結晶成長装置は、第1照射手段100と、第2照射手段200と、制御装置300と、ステージ400とを主に備えている。ステージ400上には、被処理物であるワーク10が載置される。ワーク10は、後述するように、絶縁性基板11と、絶縁性基板11上にバッファ層12を介して成膜された半導体薄膜13とからなる(図3参照)。なお、このうち、半導体薄膜13が処理対象物であり、絶縁性基板11およびバッファ層12が基材に相当する。
【0057】
(第1照射手段)
第1照射手段100は、光源としてのレーザ発振器110と、可変減衰器120と、ビーム整形素子130と、マスク面均一照明素子140と、マスク150と、結像レンズ160と、ミラー180とを主に備えている。
【0058】
レーザ発振器110は、第1のレーザ光1を出射する。この第1のレーザ光1は、半導体薄膜13を溶融させることが可能なパルス状のエネルギービームである。第1のレーザ光1としては、半導体薄膜13を溶融させることが可能なレーザ光であればどのようなレーザ光を用いてもよいが、たとえば、エキシマレーザ光やYAG(イットリウム−アルミニウム−ガーネット)レーザ光に代表される各種固体レーザ光などの紫外域の波長を有するレーザ光が利用されることが望ましい。
【0059】
可変減衰器120は、第1のレーザ光1のビーム強度を補正する手段である。ビーム整形素子130は、第1のレーザ光1のビーム形状を補正する手段である。また、マスク面均一照明素子140は、第1のレーザ光1の光軸と垂直に交わる面における放射照度分布を均一にした上でマスク150のマスク面に第1のレーザ光1を照射する手段である。このマスク面均一照明素子140は、たとえば、シリンドリカルレンズアレイ、コンデンサレンズおよびフィールドレンズを組合わせることによって構成され、光軸と垂直に交わる面においてガウシアン型放射照度分布を有する第1のレーザ光1を一旦分割して再度重ね合わせることにより、マスク面に照射される第1のレーザ光1の放射照度分布の均一化を図る手段である。
【0060】
マスク150は、その主面に第1のレーザ光1を透過する透光領域を有しており、照射された第1のレーザ光1を所望のマスク像に成形する手段である。結像レンズ160は、マスク150によって成形されたマスク像をワーク10の半導体薄膜13上に結像するための手段である。
【0061】
なお、ミラー180は、第1のレーザ光1の照射方向を変更する手段であって、たとえばミラー以外にもレンズやプリズム等によって構成することも可能である。このミラー180は、装置の光学設計や機械設計に応じて適切に配置すればよく、その設置箇所や設置数量は特に制限されるものではない。
【0062】
(第2照射手段)
第2照射手段200は、レーザ発振器210と、外部変調器220と、可変減衰器230と、基材面均一照明素子240と、光センサ270と、ミラー280とを主に備えている。
【0063】
レーザ発振器210は、第2のレーザ光2を出射する。この第2のレーザ光2は、基材を加熱することが可能なパルス状のレーザ光である。第2のレーザ光2としては、たとえば、炭酸ガスレーザ光やYAGレーザ光などが利用可能である。ただし、第1照射手段100によって放射される第1のレーザ光1よりも基材上に成膜された半導体薄膜13を透過し易いレーザ光を採用する必要がある。
【0064】
外部変調器220は、レーザ発振器210から出射された第2のレーザ光2のパルス幅を調整する手段である。可変減衰器230は、第2のレーザ光2のビーム強度を補正する手段である。基材面均一照明素子240は、第2のレーザ光2の光軸と垂直に交わる面における放射照度分布を均一にする手段である。たとえば、シリンドリカルレンズアレイとコンデンサレンズを組合わせて構成され、光軸と垂直に交わる面においてガウシアン型放射照度分布を有する第2のレーザ光2を一旦分割して再度重ね合わせることにより、放射照度分布の均一化を図る手段である。
【0065】
光センサ270は、基材の主表面において反射した第2のレーザ光2の反射光の光量を計測する手段である。ミラー280は、第2のレーザ光2の照射方向を変更する手段であって、たとえばミラー以外にもレンズやプリズム等によって構成することも可能である。このミラー280は、装置の光学設計や機械設計に応じて適切に配置すればよく、その設置箇所や設置数量は特に制限されるものではない。
【0066】
また、第2のレーザ光2による照射領域を規定するために、第2照射手段200にマスク(または、開口絞り板)やレンズなどからなる結像系を追加してもよい。
【0067】
(制御装置)
制御装置300は、上述の第1照射手段100および第2照射手段200を同期制御するための手段である。具体的には、第1のレーザ発振器110および第2のレーザ発振器210の放射時間や出力などを同期的に制御するとともに、光センサ270からの信号に基づいて第2のレーザ発振器210の放射時間や出力などを同期的に制御するものである。
【0068】
(マスク)
図2は、本発明の実施の形態1における半導体薄膜の結晶成長装置において用いられる第1照射手段のマスクの形状を示す模式平面図である。図2に示すように、マスク150は、その主面に透光領域151と遮光領域152とを有している。マスク150を平面的に見て、透光領域151は略矩形形状を成しており、その周囲に遮光領域152が位置している。透光領域151と遮光領域152の境界において、遮光領域152は、透光領域151に向かって突出するV字状の尖形部154を有している。このV字状の尖形部154は、その先端156の内角θが鋭角となるように形成されている。このマスク150によって成形されたマスク像は、所定の倍率で半導体薄膜13に照射される。
【0069】
(半導体薄膜の結晶成長方法)
次に、図3および図4を参照して、本実施の形態における半導体薄膜の結晶成長方法について説明する。図3および図4は、本発明の実施の形態1における半導体薄膜の結晶成長方法を説明するための半導体薄膜の結晶化予定領域を含む模式断面図である。以下に示す半導体薄膜の結晶成長方法は、上述の半導体薄膜の結晶成長装置を用いて行なわれる。
【0070】
図3に示すように、本実施の形態における被処理物であるワーク10は、絶縁性基板11と、バッファ層12と、半導体薄膜13とを有する積層構造体である。
【0071】
絶縁性基板11としては、たとえばガラス基板や石英基板などが利用可能である。このうち、ガラス基板は石英基板に比べて耐熱性に劣るものの比較的安価であり、また大面積基板を容易に製造できる点で優れている。
【0072】
絶縁性基板11の主表面11a上には、バッファ層12が形成されている。このバッファ層12は、レーザ光の照射による結晶化の際に、半導体薄膜13を高温に加熱することによる熱的な影響が絶縁性基板11に及ばないようにするための層であり、また、絶縁性基板11中に含まれる不純物が半導体薄膜13に拡散しないようにするための層でもある。このバッファ層12は、たとえば、CVD法を用いて絶縁性基板11の主表面11a上に形成される。なお、絶縁性基板11としてガラス基板を採用した場合には、バッファ層12としては酸化シリコン膜を採用することが好ましい。
【0073】
バッファ層12の主表面12a上には、半導体薄膜13が形成されている。この半導体薄膜13としては、たとえば非晶質シリコン薄膜や多結晶シリコン薄膜が利用される。半導体薄膜13の形成には、通常CVD法等が用いられる。なお、半導体薄膜13は、その一部に結晶化予定領域20を含んでいる。本実施の形態においては、スーパーラテラル成長法を適用することを前提としているため、半導体薄膜13の結晶化予定領域20の幅は、たとえば2μm程度から10μm程度の微細な幅に調整されている。一方、結晶化予定領域20の長さ方向には特に制限はないが、少なくとも上述の幅よりも大きく調整することが必要である。
【0074】
この絶縁性基板11、バッファ層12および半導体薄膜13からなるワーク10に、上述の第1照射手段100および第2照射手段200を用いて第1のレーザ光1および第2のレーザ光2が照射される。すなわち、半導体薄膜13の主表面13aには、第1照射手段100によって第1のレーザ光1が略垂直に照射され、絶縁性基板11およびバッファ層12からなる基材の主表面12aには、第2照射手段200によって第2のレーザ光2が傾斜して照射される。
【0075】
このとき、第1照射手段100によって照射される半導体薄膜13の照射領域は、結晶化する半導体薄膜13の結晶化予定領域20と一致するように調整される。また、第2照射手段200によって照射される基材の照射領域は、結晶化する半導体薄膜13の結晶化予定領域20を含む領域に対応する位置に調整される。
【0076】
この第1照射手段100による第1のレーザ光1の照射により、半導体薄膜13の結晶化予定領域20が溶融することになる。また、第2の照射手段200による第2のレーザ光2の照射により、基材が部分的に加熱され、その熱が半導体薄膜13の結晶化予定領域20に伝熱することにより、溶解した半導体薄膜13の結晶化が遅延することになる。
【0077】
具体的には、図3に示すように、まず第2照射手段200により、基材を加熱する。このとき、基材に生じる熱によって半導体薄膜13が溶融しない程度に、第2照射手段200による第2のレーザ光2の照射量を調整する。次に、第2照射手段200による基材の加熱を継続したまま、第1照射手段100によって半導体薄膜13の結晶化予定領域20を加熱し溶融させる。半導体薄膜13の結晶化予定領域20の溶融が完了した時点で第1照射手段100による照射を停止する。この後も一定時間、第2照射手段200による基材の加熱を継続する。以上により、半導体薄膜13の結晶化が完了する。
【0078】
なお、第1照射手段100による第1のレーザ光1の照射は、第2照射手段200による第2のレーザ光2の照射が開始されたあとに開始されるが、少なくとも第2のレーザ光2の照射期間は、第1のレーザ光1の照射期間を含みかつより長い時間照射を行うように調整する必要がある。すなわち、第2のレーザ光2の照射時間は、第1のレーザ光1の照射時間よりも長く、かつ第2のレーザ光2の照射期間は、第1のレーザ光1の照射期間と同時に照射される期間を含むように調整する。これにより、半導体薄膜13の結晶化予定領域20が適切に長い間溶融状態を保つようになり、結晶化の進行が遅延するようになる。ただし、第2のレーザ光2を長時間にわたって照射し続けると基材の温度が上昇し過ぎるため、基材に損傷を与えるおそれがある。このため、第2のレーザ光2の照射時間は、基材に損傷を与えない程度に調整する必要がある。
【0079】
このような手順で第1のレーザ光1および第2のレーザ光2を照射することにより、半導体薄膜13に図4に示す如くのスーパーラテラル成長が生じる。スーパーラテラル成長法は、スリット状のパルスレーザ(第1のレーザ光1)によって加熱された領域の半導体薄膜13が溶融し、非溶融領域34との境界から横方向、すなわち基材の主表面12aと略平行方向(図中矢印a方向およびb方向)に結晶粒19が成長し、溶融領域24の中央部で両側から成長した結晶粒19同士が衝突することによって結晶成長が終了する結晶成長方法である。このスーパーラテラル成長法においては、図示の如く半導体薄膜13の厚さ方向全域にわたって溶融・凝固が行われる。なお、本実施の形態では、半導体薄膜13の結晶化予定領域20に対応するように第1のレーザ光1が照射され、これによって溶融した溶融領域24が結晶化する。このため、結晶化予定領域20と溶融領域24とは同一の領域となる。
【0080】
図5は、上述の半導体薄膜の結晶成長装置および結晶成長方法を用いて、結晶化を行なった場合に得られる結晶組織を示す半導体薄膜の模式平面図である。図2に示すマスク150によって成形されたマスク像は、所定の倍率で半導体薄膜13の主表面に照射され、その照射領域において半導体薄膜13が溶融・固化することにより、図5に示す如くの結晶組織が得られる。したがって、半導体薄膜13の溶融領域24は、マスク150の透光領域151の外形と相似形となる。なお、図5においては、非溶融領域34の結晶組織の図示は省略している。
【0081】
上述の如くスーパーラテラル成長法を用いた場合には、溶融領域24と非溶融領域34との境界部分から溶融領域24の内側に向かって結晶粒が成長する。この場合、溶融領域24と非溶融領域34の境界部分においては、結晶核がランダムに発生するため、溶融領域24の内側に向かって成長した結晶粒は、図示の如くの針状結晶粒19aとなる。このとき、尖形部16の先端17には、必ず結晶核が発生する。
【0082】
図6は、尖形部の先端に結晶核が発生するメカニズムを説明するための模式図である。上述の如く、溶融領域24と非溶融領域34との境界には、結晶核が形成される。これは、溶融点以上に加熱された溶融領域24に位置する半導体成分が、溶融点未満の温度に維持された非溶融領域34に位置する半導体成分に対して、その界面から熱を放出するためであり、溶融領域24の外側から内側に向かって冷却が進行するためである。ここで、図中の矢印18は、溶融領域24中に蓄積された熱が非溶融領域34に向かって放出される様子を模式的に示したものである。
【0083】
このとき、非溶融領域34から溶融領域24側に向かって突出するように設けられた内角θの尖形部16の先端17からは必ず結晶粒が成長する。これは、尖形部16の先端17に必ず結晶核が形成されるためである。
【0084】
上述の通り、尖形部16は溶融領域24側に向かって突出した形状に調整されている。このため、尖形部16の先端17に形成された結晶核を基点として成長する結晶粒は、周囲に形成される結晶粒に邪魔されることなく溶融領域24の内側に向かって成長する。このため、図5に示す如く、尖形部16の先端17を基点とする結晶粒は、他の結晶粒に比べてその幅方向(半導体薄膜13の主表面において結晶粒の成長方向と略垂直な方向)の大きさが劇的に大きい大型結晶粒19bとなる。
【0085】
(作用・効果)
以上のように、本実施の形態における半導体薄膜の結晶成長方法および結晶成長装置を用いて半導体薄膜13を結晶化することにより、非溶融領域34の尖形部16の先端17を基点として溶融領域24において結晶成長が起こるため、大型結晶粒19bの形成される位置を所望の位置に制御することが可能になる。これにより、後工程にて行なわれる薄膜トランジスタの製作の際に薄膜トランジスタが形成される位置に、予め大型の結晶粒19bが位置するように結晶粒の形成位置を制御することが可能になる。このため、高性能の薄膜トランジスタを簡便に製作できるようになる。また同時に、製造効率が飛躍的に向上するため、高性能の薄膜トランジスタを備えた表示装置等を安価に製造することが可能になる。
【0086】
(実施例)
以下においては、上述の半導体薄膜の結晶成長方法を用いて実際に結晶化を行なった実施例について説明する。
【0087】
図7は、本実施例において使用したマスクの形状を示す模式平面図である。また、図8は、本実施例における第1のレーザ光と第2のレーザ光の照射領域を示す模式図である。
【0088】
本実施例では、絶縁性基板11として厚さ0.7mmのガラス基板を使用し、バッファ層12として膜厚200nmの酸化シリコン膜を採用し、半導体薄膜13としてCVD法によって形成された厚さ50nmの非晶質シリコン薄膜を用いた。また、第1のレーザ光1として波長308nmのXeClのエキシマレーザ光を採用し、第2のレーザ光2として波長10.6μmの炭酸ガスレーザ光を用いた。
【0089】
また、マスク150としては、図7に示す如くの形状のマスクを用いた。図7に示すように、マスク150は、複数のスリット150aを有する。スリット150aは、マスク面上において、ピッチP、幅Dで配置されており、個々のスリット150aの長さはAで表わされる。図示するマスク150では、この複数のスリット150aが行列状に配置されている。なお、スリット150aは、透光領域151に相当する。
【0090】
個々のスリット150aには、図2に示す如くの尖形部154(図7においては図示せず)がその周縁に1つないしは複数設けられている。ここで、尖形部154は、半導体薄膜13に縮小投影されるマスク像の形状が図5に示す如くの尖形部16となるような形状に調節した。具体的には、尖形部16がV字状になるように、かつ尖形部16の先端17の内角θが30°となるようにマスク150の尖形部154を調整した。また、尖形部16の先端17の曲率半径が1μmとなるように、マスク150の尖形部154を調整した。なお、個々のスリット150aの幅Dおよび長さAは、対応する照射領域の幅および長さが16μm×100μmとなるように調整した。
【0091】
また、第1のレーザ光1および第2のレーザ光2による照射領域は、図8に示す如くとした。第1のレーザ光1による照射領域22は、半導体薄膜13の主表面においてその有効領域(すべてのスリット像を含む領域の寸法)が5mm×5mmとなるように調整した。また、第2のレーザ光2による照射領域26は、上述の第1のレーザ光1の有効領域を含む5.5mm×5.5mmの領域に調整した。
【0092】
以上の条件にて半導体薄膜13の結晶化を行なったところ、最大で長さ8μm、幅3μmの大型結晶粒19bが、尖形部16の先端17を基点として形成された。この大型結晶粒19bの大きさは、従来得られていた結晶粒の幅に比べて飛躍的に大きい幅を有しており、しかもその形成位置を制御することが可能であるため、高性能のトランジスタを得るには好適である。
【0093】
(薄膜トランジスタの製造方法)
次に、図9および図10を参照して、本実施の形態における薄膜トランジスタの製造方法について説明する。図9および図10は、本実施の形態における薄膜トランジスタの製造方法を説明するための模式平面図である。
【0094】
まず、図5に示す半導体薄膜13の全面に絶縁膜を成膜する。つづいて、図9に示すように、上記絶縁膜上に導電体膜を形成し、通常のフォトリソグラフィ法を用いてパターニングを行うことにより、ゲート電極41を形成する。このとき、ゲート電極41が半導体薄膜13に形成された大型結晶粒19bに重なるように調整する。また、このゲート電極41のゲート長方向が大型結晶粒19bの結晶成長方向と交差する方向となるように、ゲート電極41をレイアウトする。
【0095】
次に、図10に示すように、通常のイオン注入法により半導体薄膜13の所定領域に不純物を注入し、活性化処理を行なうことによってソース/ドレイン領域42,43を形成する。このとき、半導体薄膜13の主表面に形成されるチャネル領域44が、大型結晶粒19bに重なるように調整する。
【0096】
この後、通常の薄膜トランジスタの製造工程と同様に、層間絶縁膜を形成し、コンタクトホールを設けて配線接続を行うことにより、薄膜トランジスタの製造が完了する。なお、必要に応じて、トランジスタの特性改善のための水素化処理を行なってもよい。
【0097】
なお、図9および図10においては、理解を容易とするために、半導体薄膜13上に形成される絶縁膜についてはその図示を省略している。
【0098】
(作用・効果)
上述の如くの薄膜トランジスタの製造工程を採用することにより、チャネル領域44に結晶粒界の存在しない薄膜トランジスタを歩留まりよく製造することが可能になる。このため、高性能の薄膜トランジスタを簡便に製造することができるようになる。この結果、高性能の薄膜トランジスタを備えた表示装置等を安価に提供することが可能になる。さらには、本実施の形態の如くのレイアウトとすることにより、薄膜トランジスタのチャネル領域44のみならずソース/ドレイン領域42,43も、大型結晶粒19bの周辺に形成された針状結晶粒19aの位置に重なるようになるため、高性能の薄膜トランジスタとすることが可能である。
【0099】
(薄膜トランジスタの他のレイアウト例)
図11および図12は、本実施の形態における薄膜トランジスタの製造方法の他のレイアウト例を説明するための模式平面図である。
【0100】
本レイアウト例では、図11および図12に示すように、ゲート電極41のゲート長方向が大型結晶粒19bの結晶成長方向と略平行となるように、ゲート電極41が配置されている。その製造方法は、上述のレイアウト例と同様であり、半導体薄膜13上に図11に示す如くのゲート電極を設けた後に、半導体薄膜13に図12示す如くのソース/ドレイン領域42,43を形成することによって製造される。
【0101】
本レイアウトを採用することにより、上述のレイアウト例を採用することによって得られる効果と同様の効果が得られるとともに、より確実にソース/ドレイン領域42,43が大型結晶粒19bの周辺に形成された針状結晶粒の位置に重なるようになるため、より高性能の薄膜トランジスタを得ることができるようになる。
【0102】
(実施の形態2)
本実施の形態は、上述の実施の形態1と同様に、半導体薄膜の結晶化予定領域にレーザ光を照射して結晶化を行なうレーザアニール法を採用した半導体薄膜の結晶成長方法および結晶成長装置ならびにこの結晶成長方法を用いて結晶化され半導体薄膜を用いた薄膜トランジスタの製造方法を示すものであり、中でも、スーパーラテラル成長法と呼ばれる横方向結晶成長法(ラテラル成長法)を採用した場合を示すものである。なお、上述の実施の形態1と異なる点は、半導体薄膜の結晶成長装置において用いられるマスクの形状である。
【0103】
(マスク)
図13は、本発明の実施の形態3における半導体薄膜の結晶成長装置において用いられる第1照射手段のマスクの形状を示す模式平面図である。図13に示すように、本実施の形態におけるマスク150は、その主面に透光領域151と遮光領域152とを有している。マスク150を平面的に見て、透光領域151は略矩形形状をなしており、その周囲および中心部に遮光領域152が位置している。透光領域151の中心部に位置する遮光領域152は、透光領域151との境界において、透光領域151に向かって突出するV字状の尖形部154を有している。このV字状の尖形部154は、その先端156の内角θが鋭角となるように形成されている。このマスク150によって形成されたマスク像は、所定の倍率で半導体薄膜13に照射される。
【0104】
(半導体薄膜の結晶成長方法)
本実施の形態における半導体薄膜の結晶成長方法は、上述の実施の形態1と同様の方法にて行なわれる。その結果、得られる結晶組織の形状を示す半導体薄膜の模式平面図を図14に示す。上述のマスク150によって成形されたマスク像は、所定の倍率で半導体薄膜13の主表面に照射され、図14に示す如くの結晶組織が得られる。したがって、半導体薄膜13の溶融領域24は、マスク150の透光領域151の外形と相似形となる。なお、図14においては、非溶融領域34の結晶組織の図示は省略している。
【0105】
スーパーラテラル成長法を用いた場合には、溶融領域24と非溶融領域34との境界部分から溶融領域24の内側に向かって結晶粒が成長する。この場合、溶融領域24と非溶融領域34との境界部分においては、結晶核がランダムに発生するため、溶融領域24の内側に向かって成長した結晶粒は、図示の如くの針状結晶粒19aとなる。このとき、尖形部16の先端17には、必ず結晶核が発生する。
【0106】
上述の通り、尖形部16は溶融領域24側に向かって突出した形状に調整されている。このため、尖形部16の先端17に形成された結晶核を基点として成長する結晶粒は、周囲に形成される結晶粒に邪魔されることなく溶融領域24の内側に向かって成長する。このため、図5に示す如く、尖形部16の先端17を基点とする結晶粒は、他の結晶粒に比べてその幅方向の大きさが劇的に大きい大型結晶粒19bとなる。なお、大型結晶粒19bの幅方向に隣接する半導体薄膜13の溶融領域24には、微細な粒径の微小結晶粒19cが形成される領域が位置することになる。
【0107】
(作用・効果)
以上のように、本実施の形態における半導体薄膜の結晶成長方法および結晶成長装置を用いて半導体薄膜13を結晶化することにより、尖形部16の先端17を基点として結晶成長が起こるため、大型結晶粒19bの形成される位置を所望の位置に制御することが可能になる。これにより、後工程において行なわれる薄膜トランジスタの形成の際に薄膜トランジスタのチャネル領域が形成される位置に、予め大型の結晶粒19bが位置するように結晶粒の形成位置を制御することが可能になるため、高性能の薄膜トランジスタを簡便に製造できるようになる。また同時に、製造効率が飛躍的に向上するため、高性能の薄膜トランジスタを備えた表示装置等を安価に製造することが可能になる。
【0108】
なお、本実施の形態における半導体薄膜の結晶成長方法および結晶成長装置を用いて結晶化された半導体薄膜13を用いて薄膜トランジスタを形成する場合の製造方法は、上述の実施の形態2と同様である。図15および図16に示すように、大型結晶粒19bに重なるように薄膜トランジスタのゲート電極41を形成し、半導体薄膜13の主表面に形成されるチャネル領域44が大型結晶粒19bに重なるようにソース/ドレイン領域42,43を形成する。以上により、チャネル領域44に結晶粒界が存在しないか、または存在しても極僅かの薄膜トランジスタを簡便に製造することが可能になる。
【0109】
(実施の形態3)
本実施の形態は、半導体薄膜の結晶化予定領域にレーザ光を照射して結晶化を行なうレーザアニール法を採用した半導体薄膜の結晶成長方法および結晶成長装置ならびにこの結晶成長方法を用いて結晶化され半導体薄膜を用いた薄膜トランジスタの製造方法を示すものであり、中でも、キャッピング法と呼ばれる横方向結晶成長法(ラテラル成長法)を採用する場合を示すものである。なお、本実施の形態における半導体薄膜の結晶成長方法においては、上述の実施の形態1および2と同様の構成の半導体薄膜の結晶成長装置が用いられる。ただし、上述の実施の形態1および2とは異なり、第1照射手段に用いられるマスクは、個々の結晶化予定領域を包括して含む領域にマスク像を成形するのみの単純な形状のものが用いられる。
【0110】
(半導体薄膜の結晶成長方法)
図17は、本発明の実施の形態3において、レーザ光が照射される領域を示す模式図である。また、図18は、本実施の形態における半導体薄膜の結晶成長方法を示す模式断面図である。
【0111】
図17に示すように、ワーク10は、上述の実施の形態1および2と同様に、絶縁性基板11と、絶縁性基板11上にバッファ層12を介して成膜された半導体薄膜13とからなる。半導体薄膜13の主表面上の所定の領域には、照射領域規定手段として利用される反射防止膜14が形成されている。反射防止膜14は、半導体薄膜13の主表面において第1のレーザ光1が反射することを防止するための膜である。この反射防止膜14を所定の材質の膜を用いて所定厚で成膜することにより、半導体薄膜13の主表面における反射光を大幅に減少させることが可能になる。なお、この反射防止膜14を形成する位置は、半導体薄膜13の結晶化予定領域20(図18参照)に対応した位置とする。
【0112】
第1のレーザ光1による照射領域22は、すべての結晶化予定領域20を包含する領域とする。すなわち、反射防止膜14が形成された部分をすべて含むように構成する。そして、第2のレーザ光2による照射領域26は、上述の第1のレーザ光1による照射領域22を含む領域に調整する。
【0113】
以上の条件を満たして、半導体薄膜13に第1のレーザ光1および第2のレーザ光2を照射することにより、半導体薄膜13の結晶化予定領域20の結晶化が行なわれる。具体的には、図18に示すように、反射防止膜14が位置する部分に照射された第1のレーザ光1は、その大部分が半導体薄膜13の主表面13aにて反射することなく半導体薄膜13によって吸収され、半導体薄膜13の結晶化予定領域20を溶融する。これに対して、反射防止膜14が形成されていない部分に照射された第1のレーザ光1は、その大部分が半導体薄膜13の主表面13aにて反射されるため、この部分の半導体薄膜の加熱は結晶化予定領域20に比べて大幅に低く抑えられるため溶融することはなく、非溶融領域34となる。これにより、半導体薄膜13が溶融領域24と非溶融領域34とに規定されることになる(図20参照)。
【0114】
図19は、本実施の形態における反射防止膜の形状を示す模式平面図である。図19に示すように、半導体薄膜13を平面的に見て、半導体薄膜13の主表面13a上に形成された反射防止膜14は、略矩形の形状を有している。反射防止膜14の所定の部分には、V字状の切り欠き部14bが設けられている。このV字状の切り欠き部14bの切り欠き部分の形状は、その先端14cの内角θが鋭角となるように形成されている。
【0115】
この反射防止膜14によって規定される照射領域および非照射領域の形状は上述の実施の形態1と同様であり、この結果得られる半導体薄膜の結晶組織は、上述の実施の形態1と同様の図20の如くとなる。すなわち、溶融領域24と非溶融領域34との境界部分からは溶融領域24の内側に向かって針状の結晶粒19aが成長し、非溶融領域34の尖形部16の先端17からは、溶融領域24の内側に向かって大型の結晶粒19bが成長する。なお、図20においては、非溶融領域34の結晶組織の図示は省略している。
【0116】
(作用・効果)
このように、反射防止膜14に切り欠き部14bを設けることにより、半導体薄膜13の溶融領域24と非溶融領域34との境界において、非溶融領域34に尖形部16が形成される。このため、この尖形部16の先端17を基点として溶融領域24において結晶成長が起こり、大型結晶粒19bの形成される位置を所望の位置に制御することが可能になる。これにより、後工程にて行なわれる薄膜トランジスタの製作の際に薄膜トランジスタのチャネル領域が形成される位置に、予め大型の結晶粒19bが位置するように結晶粒の形成位置を制御することが可能になる。このため、高性能の薄膜トランジスタを簡便に製作できるようになる。また同時に、製造効率が飛躍的に向上するため、高性能の薄膜トランジスタを備えた表示装置等を安価に製造することが可能になる。
【0117】
(実施の形態4)
本実施の形態は、半導体薄膜の結晶化予定領域にレーザ光を照射して結晶化を行なうレーザアニール法を採用した半導体薄膜の結晶成長方法および結晶成長装置ならびにこの結晶成長方法を用いて結晶化され半導体薄膜を用いた薄膜トランジスタの製造方法を示すものであり、中でも、キャッピング法と呼ばれる横方向結晶成長法(ラテラル成長法)を採用する場合を示すものである。なお、本実施の形態における半導体薄膜の結晶成長方法においては、上述の実施の形態3と同様の構成の半導体薄膜の結晶成長装置が用いられる。
【0118】
(半導体薄膜の結晶成長方法)
図21は、本発明の実施の形態4において、レーザ光が照射される領域を示す模式図である。また、図22は、本実施の形態における半導体薄膜の結晶成長方法を示す模式断面図である。
【0119】
図21に示すように、ワーク10は、上述の実施の形態1ないし3と同様に、絶縁性基板11と、絶縁性基板11上にバッファ層12を介して成膜された半導体薄膜13とからなる。半導体薄膜13の主表面上の所定の領域には、照射領域規定手段として利用される遮光膜15が形成されている。遮光膜15は、第1のレーザ光1が透過することを防止するための膜である。この遮光膜15を半導体薄膜13上に成膜することにより、遮光膜15が形成された部分の半導体薄膜13には、第1のレーザ光1が照射されないことになる。なお、この遮光膜15を形成する位置は、半導体薄膜13の結晶化予定領域20以外の部分に対応した位置とし、半導体薄膜13の結晶化予定領域20に対応した部分には開口15aを設ける。
【0120】
第1のレーザ光1による照射領域22は、すべての結晶化予定領域20を包含する領域とする。すなわち、遮光膜15に形成された開口15aをすべて含むように構成する。そして、第2のレーザ光2による照射領域26は、上述の第1のレーザ光1による照射領域22を含む領域に調整する。
【0121】
以上の条件を満たして、半導体薄膜13に第1のレーザ光1および第2のレーザ光2を照射することにより、半導体薄膜13の結晶化予定領域20の結晶化が行なわれる。具体的には、図22に示すように、遮光膜15が位置する部分に照射された第1のレーザ光1は遮光膜15によって反射され、半導体薄膜13に到達せず、この部分の半導体薄膜が非溶融領域34となる。これに対して、遮光膜15に形成された開口15aに照射された第1のレーザ光1は、そのまま半導体薄膜13の主表面13aに照射され、半導体薄膜13の結晶化予定領域20を溶融する。これにより、半導体薄膜13が溶融領域24と非溶融領域34とに規定されることになる(図24参照)。
【0122】
図23は、本実施の形態における遮光膜の形状を示す模式平面図である。図23に示すように、半導体薄膜13を平面的に見て、半導体薄膜13の主表面上に形成された遮光膜15は略矩形の開口15aを有しており、その中央部分に島状の遮光膜15dを有している。島状の遮光膜15dの周縁の所定位置には、V字状の尖形部15bが突出して設けられている。このV字状の尖形部15bは、その先端15cの内角θが鋭角となるように形成されている。
【0123】
この遮光膜15によって規定される照射領域および非照射領域の形状は上述の実施の形態2と同様であり、この結果得られる半導体薄膜13の結晶組織は、上述の実施の形態2と同様の図24の如くとなる。すなわち、溶融領域24と非溶融領域34との境界部分からは溶融領域24の内側に向かって針状の結晶粒19aが成長し、非溶融領域34の尖形部16の先端17からは、溶融領域24の内側に向かって大型の結晶粒19bが成長する。また、大型結晶粒19bの幅方向に隣接する半導体薄膜13の溶融領域24には、微細な粒径の微小結晶粒19cが形成される領域が位置することになる。なお、図24においては、非溶融領域34の結晶組織の図示は省略している。
【0124】
(作用・効果)
このように、遮光膜15に尖形部15bを設けることにより、半導体薄膜13の溶融領域24と非溶融領域34との境界において、非溶融領域34に尖形部16が形成される。このため、この尖形部16の先端17を基点として溶融領域24において結晶成長が起こり、大型結晶粒19bの形成される位置を所望の位置に制御することが可能になる。これにより、後工程にて行なわれる薄膜トランジスタの製作の際に薄膜トランジスタのチャネル領域が形成される位置に、予め大型の結晶粒19bが位置するように結晶粒の形成位置を制御することが可能になる。このため、高性能の薄膜トランジスタを簡便に製作できるようになる。また同時に、製造効率が飛躍的に向上するため、高性能の薄膜トランジスタを備えた表示装置等を安価に製造することが可能になる。
【0125】
(他の変形例)
上述の実施の形態1ないし4に示す半導体薄膜の結晶成長方法においては、半導体薄膜を溶融させて結晶化させるための第1のレーザ光の他に、この溶融した部分の半導体薄膜の結晶化を遅延させるための補助手段としての第2のレーザ光を用いた場合を例示して説明を行なったが、第2のレーザ光を必ずしも用いる必要はない。第2のレーザ光を用いることによってより大型の結晶粒を得ることが可能になるが、特に結晶粒を大型化させる必要がなく、第1のレーザ光のみによる結晶化でよい場合には、第2のレーザ光の照射を省略することが可能である。この場合、上述の実施の形態1ないし4に示す半導体薄膜の結晶成長装置においては、第2の照射手段が不要となる。
【0126】
また、上述の実施の形態1ないし4においては、非溶融領域の尖形部がV字状の尖形部となるように構成した場合を例示して説明を行なったが、特にこの形状に限定されるものではない。大型の結晶粒がその先端から結晶成長するように構成した尖形部であればどのような形状のものを用いてもよい。
【0127】
さらには、上述の実施の形態1ないし4においては、レーザ光を用いた溶融結晶化法を採用した場合を例示して説明を行なったが、必ずしもレーザーアニール法に限定されるものではない。本発明は、溶融領域と非溶融領域との境界において非溶融領域が溶融領域側に向かって突出する尖形部を有するように半導体薄膜を溶融するものであり、これが実現される限りにおいては、加熱手段としてホットプレートなどの手段を用いることも可能である。
【0128】
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0129】
【発明の効果】
本発明により、ラテラル成長によって得られる大型結晶粒の位置を制御することが可能になる。これにより、高性能の薄膜トランジスタを製造することが可能になる。また、大型結晶粒の位置を制御することにより、製造効率が飛躍的に向上し、高性能の表示装置等を低価格で提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体薄膜の結晶成長装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1における半導体薄膜の結晶成長装置において用いられる第1照射手段のマスクの形状を示す模式平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における半導体薄膜の結晶成長方法を説明するための半導体薄膜の結晶化予定領域を含む模式断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における半導体薄膜の結晶成長方法を説明するための半導体薄膜の結晶化予定領域を含む模式断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における半導体薄膜の結晶成長方法を用いた場合に得られる結晶組織を示す半導体薄膜の模式平面図である。
【図6】図5において、尖形部の先端に結晶核が発生するメカニズムを説明するための模式図である。
【図7】実施例において用いたマスクの形状を示す模式平面図である。
【図8】実施例におけるレーザ光の照射領域を示す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態1における薄膜トランジスタの製造方法を説明するための模式平面図である。
【図10】本発明の実施の形態1における薄膜トランジスタの製造方法を説明するための模式平面図である。
【図11】本発明の実施の形態1における薄膜トランジスタの製造方法の他のレイアウト例を説明するための模式平面図である。
【図12】本発明の実施の形態1における薄膜トランジスタの製造方法の他のレイアウト例を説明するための模式平面図である。
【図13】本発明の実施の形態2における半導体薄膜の結晶成長装置において用いられる第1照射手段のマスクの形状を示す模式平面図である。
【図14】本発明の実施の形態2における半導体薄膜の結晶成長方法を用いた場合に得られる結晶組織を示す半導体薄膜の模式平面図である。
【図15】本発明の実施の形態2における薄膜トランジスタの製造方法を説明するための模式平面図である。
【図16】本発明の実施の形態2における薄膜トランジスタの製造方法を説明するための模式平面図である。
【図17】本発明の実施の形態3においてレーザ光が照射される領域を示す模式図である。
【図18】本発明の実施の形態3における半導体薄膜の結晶成長方法を示す模式断面図である。
【図19】本発明の実施の形態3における半導体薄膜の結晶成長方法において用いられる反射防止膜の形状を示す模式平面図である。
【図20】本発明の実施の形態3における半導体薄膜の結晶成長方法を用いた場合に得られる結晶組織を示す半導体薄膜の模式平面図である。
【図21】本発明の実施の形態4においてレーザ光が照射される領域を示す模式図である。
【図22】本発明の実施の形態4における半導体薄膜の結晶成長方法を示す模式断面図である。
【図23】本発明の実施の形態4における半導体薄膜の結晶成長方法において用いられる遮光膜の形状を示す模式平面図である。
【図24】本発明の実施の形態4における半導体薄膜の結晶成長方法を用いた場合に得られる結晶組織を示す半導体薄膜の模式平面図である。
【図25】従来のラテラル成長法において、1回のパルス照射で形成される結晶組織の構造を説明する模式平面図である。
【符号の説明】
1 第1のレーザ光、2 第2のレーザ光、10 ワーク、11 絶縁性基板、11a (絶縁性基板の)主表面、12 バッファ層、12a (バッファ層の)主表面、13 半導体薄膜、13a (半導体薄膜の)主表面、14 反射防止膜、14b V字状の切り欠き部、14c 先端、15 遮光膜、15a 開口、15b V字状の尖形部、15c 先端、15d 島状の遮光膜、16 尖形部、17 先端、18 矢印、19 結晶粒、19a 針状結晶粒、19b大型結晶粒、19c 微小結晶粒、20 結晶化予定領域、22 (第1のレーザ光の)照射領域、24 溶融領域、26 (第2のレーザ光の)照射領域、34 非溶融領域、41 ゲート電極、42,43 ソース/ドレイン領域、44 チャネル領域、100 第1照射手段、110 レーザ発振器、120 可変減衰器、130 ビーム整形素子、140 マスク面均一照明素子、150 マスク、150a スリット、151 透光領域、152 遮光領域、154 尖形部、156 先端、160 結像レンズ、180 ミラー、200 第2照射手段、210 レーザ発振器、220 外部変調器、230 可変減衰器、240 基材面均一照明素子、270 光センサ、280 ミラー、300 制御装置、400 ステージ。

Claims (16)

  1. 基材上に形成された半導体薄膜を部分的に溶融し、前記基材の主表面と略平行方向に前記半導体薄膜を結晶成長させる半導体薄膜の結晶成長方法であって、
    前記半導体薄膜を平面的に見て、前記半導体薄膜の溶融領域と非溶融領域との境界において、前記非溶融領域が前記溶融領域側に向かって突出する尖形部を有するように前記半導体薄膜を溶融することを特徴とする、半導体薄膜の結晶成長方法。
  2. 前記半導体薄膜を平面的に見て、前記尖形部がV字状である、請求項1に記載の半導体薄膜の結晶成長方法。
  3. 前記半導体薄膜を平面的に見て、前記尖形部の先端の内角が鋭角である、請求項1または2に記載の半導体薄膜の結晶成長方法。
  4. 前記尖形部の先端の内角が30°以下である、請求項3に記載の半導体薄膜の結晶成長装置。
  5. 前記半導体薄膜を平面的に見て、前記尖形部の先端の曲率半径が1μm以下である、請求項1から4のいずれかに記載の半導体薄膜の結晶成長方法。
  6. 第1のレーザ光が照射される照射領域と、前記第1のレーザ光が照射されない非照射領域とに前記半導体薄膜の主表面を規定する照射領域規定手段を用い、前記半導体薄膜に部分的に前記第1のレーザ光を照射することにより、前記半導体薄膜を部分的に溶融することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の半導体薄膜の結晶成長方法。
  7. 前記照射領域規定手段として、マスクを用いることを特徴とする、請求項6に記載の半導体薄膜の結晶成長方法。
  8. 前記照射領域規定手段として、前記半導体薄膜上に形成された反射防止膜を用いることを特徴とする、請求項6に記載の半導体薄膜の結晶成長方法。
  9. 前記照射領域規定手段として、前記半導体薄膜上に形成された遮光膜を用いることを特徴とする、請求項6に記載の半導体薄膜の結晶成長方法。
  10. 前記第1のレーザ光を前記半導体薄膜の主表面に対して略垂直に入射させて前記半導体薄膜を部分的に溶融するとともに、前記半導体薄膜の溶融部分の凝固が完了する前に、前記第1のレーザ光よりも前記半導体薄膜を透過し易い第2のレーザ光を前記基材の主表面に斜入射させて前記溶融領域を含む領域に対応する位置の基材を部分的に加熱することを特徴とする、請求項6から9のいずれかに記載の半導体薄膜の結晶成長方法。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の半導体薄膜の結晶成長方法を用いることによって形成された大粒径の単結晶領域に、薄膜トランジスタのチャネル領域を形成することを特徴とする、薄膜トランジスタの製造方法。
  12. 基材上に形成された半導体薄膜を部分的に溶融し、前記基材の主表面と略平行方向に前記半導体薄膜を結晶成長させる半導体薄膜の結晶成長装置であって、
    前記半導体薄膜に部分的に第1のレーザ光を照射し、前記半導体薄膜の結晶化予定領域を溶融する第1照射手段を備え、
    前記第1照射手段は、前記第1のレーザ光を出射する光源と、前記第1のレーザ光が照射されて所望のマスク像を成形するマスクとを含み、
    前記マスクは、前記第1のレーザ光を遮光する遮光領域と、前記第1のレーザ光を透過する透光領域とを有し、
    前記マスクを平面的に見て、前記遮光領域と前記透光領域との境界において、前記遮光領域が前記透光領域側に向かって突出する尖形部を有している、半導体薄膜の結晶成長装置。
  13. 前記マスクを平面的に見て、前記尖形部がV字状である、請求項12に記載の半導体薄膜の結晶成長装置。
  14. 前記マスクを平面的に見て、前記尖形部の先端の内角が鋭角である、請求項12または13に記載の半導体薄膜の結晶成長装置。
  15. 前記尖形部の先端の内角が30°以下である、請求項14に記載の半導体薄膜の結晶成長装置。
  16. 前記基材に選択的に前記第1のレーザ光よりも前記半導体薄膜を透過し易い第2のレーザ光を照射し、前記半導体薄膜の前記結晶化予定領域を含む領域に対応する位置の前記基材を加熱する第2照射手段をさらに備える、請求項12から15のいずれかに記載の半導体薄膜の結晶成長装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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