JP2004281204A - 有機電界化学発光素子 - Google Patents

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和弘 榎本
Takao Chiba
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Abstract

【課題】安定な状態で、経時劣化が少なく、かつ高効率で電気化学発光を起こす有機ECL素子を提供することを課題とする。
【解決手段】2つの電極と、これらの電極間に設けられた化学発光材料と該化学発光材料を溶解する有機溶剤からなる電解質および絶縁性支持体を基本構成材料とする発光層からなることを特徴とする有機電界化学発光素子により、上記の課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電界を印加することにより化学反応を誘導し、これにより化学発光する有機電界化学発光素子(有機ECL素子)に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えばディスプレイや照明などに用いられる、化学発光が安定な状態に保持され、かつ発光強度に優れた有機ECL素子に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
昔から自然界において、蛍、烏賊などの特定の種類の発光する生命体が存在することがよく知られている。近年、これらの発光が電界を付加することにより引き起こされることが明らかにされてきた。それと同時に、これらと同様の発光が人工的にビーカー中でも再現できることが見出されてきている。これらの研究の初期段階においては、水を媒体とした発光がその研究の中心であった。しかし、それらの発光強度はあまり強いものではなく、このような発光現象は、従来から一部を除いて、あまり工業的に省みられることはなかった。
【0003】
他方、電界を加えることにより発光する素子として、有機電界発光素子(有機EL素子)が近年さかんに研究、開発されてきている。この有機EL素子は、自発光型の発光素子であり、原理的には発光色を自由に変えることができる。このように有機EL素子は、フルカラー表示が可能であること、消費電力が小さいこと、および大面積での発光が可能であることから、ディスプレイへの応用が期待されている。
【0004】
有機EL素子は、トンネル過程やショットキー過程によって、電極から有機発光層、電荷輸送層に注入された電子とホールが再結合することにより発光する。しかし、これらの注入効率が不十分である、電荷の注入効率を向上させるためには電極材料として仕事関数の小さいリチウム、マグネシウムといった水、酸素などにあまり抵抗性の強くない金属を用いる必要がある、高電圧駆動における電極−有機層界面でのミクロ的な剥離や電極酸化によるダークスポットの形成などによる素子の劣化が進行する、といった問題点を残している。
【0005】
このような電荷注入型の有機EL素子の欠点を解決するものとして、ヒーガーらによって有機ECL素子が考案された。
有機ECL素子は、注入型の有機EL素子の発光層と電荷輸送層の代わりに、発光材料と電解質とを基本構成材料とする発光層を用い、これを一対の電極間にそれらの対向面と接するように配置したものである。有機ECL素子の化学発光を引き起こすためには電極間に適当な電圧を印加する必要がある。これら電圧の印加法としては、交流法と直流法があり、それぞれ一長一短がある。
【0006】
直流法は、一方の電位を常に酸化電位以上、もう一方の電位を常に還元電位以下に設定しておけば、有機ECL素子を定常的に発光させることのできる非常に簡単な方法である。直流法では、発光効率を上げるために両電極をできるだけ接近させることが特に重要である。これは、各電極上で生成する寿命の短いカチオンラジカルとアニオンラジカルの出会う確率を短時間に高める効果がある。このように直流法は電位を変化させる必要がなく、充電電流などの非ファラデー電流が生じないので、交流法に比べて入力電流を効果的に発光に利用できる。
【0007】
このため、両電極間を効果的に接近させる提案が種々なされいる。
代表的な例として、薄膜セル方式がある。これは基本的には、2枚の平行電極を対向させ、スぺーサーで両者を隔てて、内部に有機発光材料と電解材料を適当な溶剤中で拡散し、これを封止するものである。このようにしてシュネッドラーらは、ITOと白金電極に挟まれた薄層セル内にルブレンを封入し、連続500時間以上の発光を観測したと報告している(非特許文献1参照)。しかし、この有機ECL素子の電極間隔は10μmを越えるために、さらなる発光効率の向上は期待できない。
【0008】
このように薄膜セルの電極間隔を狭くすること、発光層を均一な状態に保持することは、有機ECL素子の開発の重要なポイントとなる。このためには電極間の短絡を防止することも必要になってくる。また、薄膜セルの電極間隔を10μm以下にするためには場合によってはもはや支持電解質も必要としなくなる。
【0009】
一方、有機ECL素子の発光効率を低下させる大きな原因の一つに、セル内の水分の存在がある。水分は強力な消光作用を有し、支持電解質、溶剤からの混入は極力避けることが必要である。さらには使用溶剤についても発光材料と安定なエキサイプレックスを形成するような性能を有することが、発光に関してその幅をもたせることになる。
【0010】
特許文献1には、一対の電極と、これら一対の電極の間に設けられ、発光性物質および電解質を含む発光層とを具備し、前記電解質がそれぞれ200以上の分子量の陽イオンおよび陰イオンからなる塩類であることを特徴とする発光素子が開示されている。また、特許文献1には、電解質を固体電解質として用いる場合、金属酸化物、無機ガラスなどの無機マトリックスを含んでもよいことが記載されているが、絶縁性支持体としての具体的な記載は一切ない。
【0011】
また、特許文献2には、電気化学発光物質の溶液と、前記溶液に電位を印加する電極と、前記溶液および前記電極とを収容する容器とを含んでなる電気化学発光セルにおいて、前記容器は透明な材料からなり、前記電極は絶縁性基板上に形成された微小な間隙で隔てられた複数のパターン状の電極であり、前記容器の外側に光共振器を配設することを特徴とする電気化学発光セルが開示されている。
しかしながら、上記の特許文献1および2に記載の技術では、十分な発光効率は得られていない。
【0012】
このように、従来からの電気化学反応に基づく薄膜型の有機ECL素子は、構造が簡単で、しかも材料が比較的安価で低コストで製造できるにもかかわらず、発光効率が低いという問題点があった。
【0013】
【特許文献1】
特開平10−92201号公報
【特許文献2】
特開平10−135540号公報
【非特許文献1】
J. Electrochem. Soc.、1289〜1294頁、129巻、1982年
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、安定な状態で、経時劣化が少なく、かつ高効率で電気化学発光を起こす有機ECL素子を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、電極間に化学発光材料と該化学発光材料を溶解する有機溶剤からなる電解質を基本構成材料とする発光層に絶縁性支持体を均一に配置することにより、素子を薄膜化した際の短絡を防止し、発光層中の溶液を固定化して安定な有機ECL素子を形成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0016】
かくして、本発明によれば、2つの電極と、これらの電極間に設けられた化学発光材料と該化学発光材料を溶解する有機溶剤からなる電解質および絶縁性支持体を基本構成材料とする発光層からなることを特徴とする有機ECL素子が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の有機ECL素子は、2つの電極と、これらの電極間に設けられた化学発光材料と該化学発光材料を溶解する有機溶剤からなる電解質および絶縁性支持体を基本構成材料とする発光層からなることを特徴とする。すなわち、本発明の有機ECL素子は、2つの電極間に、異なるイオンラジカル間のイオン衝突により発光する有機発光材料を特定の有機溶剤に溶解し、この溶液を含浸させた絶縁性支持体を充填した構成を基本とする。
【0018】
本発明の有機ECL素子に用いられる絶縁性支持体は、電解質に用いる有機溶剤に対して不溶で、電極との間で反応を起こさず、かつ発光層に均一に配置できるものであれば特に限定されない。
絶縁性支持体は、短繊維、粒子、短繊維と粒子の混合体または不織布からなるのが好ましい。短繊維(棒状体)の場合、その外径は0.1〜200μm程度であり、かつその長さは100〜1000μm程度である。また、粒子(粉末)の場合、その平均粒径は100〜10000μm程度である。
【0019】
絶縁性支持体は、ガラスまたは電解質の有機溶剤に不溶の高分子材料からなるのが好ましい。
絶縁性支持体は、ガラス繊維、ガラス繊維とガラス粒子(ビーズ)、ガラス繊維と高分子繊維、またはガラス繊維と高分子粒子(粉末)からなるのが好ましい。
【0020】
不織布としては、一般に市販されている、ガラス繊維または高分子繊維からなる不織布、または無機材料、有機材料のそれぞれの特徴を生かしたハイブリッドタイプの不織布が挙げられる。
これらの不織布は、特に新規材料として最初から開発してもよいが、他の用途として開発されたもの、または既に各種用途に用いられているものを用いることができる。これらの中でも、最近各種電池のセパレーターとして用いられている不織布が好適に用いられる。
【0021】
不織布としては、例えば、旭硝子株式会社製のガラス繊維マット(商品名:AGM)が挙げられる。このガラス繊維マットは、高い湿弾性特性と有機溶剤、酸、アルカリに対する優れた耐薬品性を有することはもちろんのこと、特に有機ECL素子の電解質の有機溶剤として好適なアセトニトリルなどに対してその表面が一定の親和性を有し、薄膜において問題となる溶液の不均一化現象を引き起こしにくい点からも好ましい。
【0022】
短繊維としては、上記の不織布を公知の方法により微粉砕したものを用いることができる。この場合、絶縁性支持体は可能な限り小さい方が好ましいが、あまり小さくなると工業的に限界があり、かつ得られた素子の機械的強度が相対的に低下するので好ましくない。一方、絶縁性支持体が大きくなると発光層(「ECL層」ともいう)の薄膜化に悪影響を及ぼし、さらには絶縁性支持体を含む電解質(「ECL溶液」ともいう)の安定保持の観点からも好ましくない。
微粉砕されたガラス繊維の場合、その外径は0.1〜5.0μm程度が好ましく、その長さは10〜1000μm程度が好ましい。
【0023】
また、絶縁性支持体は、大きさの異なる2種以上の粒子の組み合せであるのが好ましい。これにより、ECL溶液の安定保持と機械的強度(湿潤、乾燥)の保持という相矛盾する特性を両立させることができる。これは、大きな粒子がECL層全体を支える作用を有し、小さな粒子がECL溶液の保持を支える作用を有するものと考えられる。
微粉砕されたガラス繊維の場合、その外径はそれぞれ0.1〜1.0μm(小径)と0.5〜5.0μm、好ましくは、0.6〜5.0μm(大径)の2種の組み合わせが特に好ましいことを本発明者らは実験により確認している。また、前記の小径と大径の比率は1:2以上であるのが特に好ましく、それらの重量比は1:1程度が好ましい。
【0024】
また、小径のガラス繊維の代わりにガラス粒子や高分子材料からなる短繊維(高分子繊維)または高分子材料からなる粒子(高分子粒子)を用いてもよい。
ガラス粒子としては、上記の絶縁性支持体の条件を満たすものであれば特に限定されず、その平均粒径は10〜1000μm程度が好ましい。
高分子繊維および高分子粒子としては、上記のガラス繊維の条件に加えて、電解質に用いるアセトニトリルなどの有機溶剤に膨潤しにくいものであれば特に限定されず、架橋した重量平均分子量の大きなもの(例えば、10000〜500000程度)ほど好ましい。また、高分子繊維の場合、その外径は1〜200μm程度であり、かつその長さは10〜5000μm程度であるのが好ましく、高分子粒子の場合、その平均粒径は1〜100μm程度が好ましい。
【0025】
高分子材料としては、一般的に重量平均分子量が大きくかつ多孔質の非環式炭化水素系高分子が挙げられる。これら以外にも、ポリアミド、ポリエステル、アクリル樹脂などの中にも好ましいものがある。特にポリアミドであるナイロン系(例えば、共重合体ナイロン、6,6−ナイロンなど)が好ましい。また、絹などの天然繊維も好ましい高分子材料の一つである。
ここで「非環式炭化水素系」とは、いわゆる直鎖状または分岐状アルカン、アルケンの総称であり、具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンなどが挙げられる。
【0026】
高分子材料としては、特に非環式炭化水素系高分子を構成する主鎖構造(エチレン構造)の水素の一部または全部がエステル、塩素、フッ素、シアン、トリフルオロメチルなどの電子吸引基で置換されたものが好ましい。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレンなどの含フッ素系ポリマーが挙げられる。またこれらの単量体単位(モノマー)と他のモノマー(例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、塩化ビニルなど)との共重合体も高分子繊維の構成材料として好ましい。
高分子繊維は、一般に市販されている、高分子繊維からなる不織布を公知の方法により微粉砕したものを用いることができる。その不織布としては、日東電工株式会社製のPTFE(商品名:ニトフロン)、住友スリーエム株式会社製のPTFE(商品名:ダイオニン)などが挙げられる。
【0027】
絶縁性支持体は、透過性を有し、かつ着色されてなるのが好ましい。
絶縁性支持体への着色は、微量金属、顔料などの着色成分を用いて行うことができ、この着色により有機ECL素子の発光色を変換させて、多色の発光素子を得ることができる。顔料のような発色助剤的な化合物は吸光係数が10の4乗以上のものが好ましい。微量金属としては、金、銀、銅などの金属のナノオーダーの微粉末(微粒子体)が挙げられ、これらは有機ECL素子の発色効率、安定性などの点で優れている。前記の着色成分の添加割合は特に限定されないが、分散性の点で、少ない方が好ましく、通常、1〜10重量%程度である。
【0028】
このように絶縁性支持体の着色成分として複数の発光色素を混合し、有機ECL素子の印加電圧を調整することにより、発光波長を選択することができる。すなわち、フルカラーの有機ECL素子が実現できる。このような、有機ECL素子を表示システムに組み込むことにより、簡単で小型化対応可能な発光表示体を得ることができる。
【0029】
本発明の有機ECL素子において、絶縁性支持体は発光層中に均一に配置される。例えば、微粉砕されたガラス繊維が、2つの電極間に充填されてなる。その電極方向の厚さは、1〜100μm程度が好ましい。発光層中の絶縁性支持体の含有割合は、その構成材料にもよるが、1〜30重量%程度である。
【0030】
本発明の有機ECL素子は、絶縁性支持体を構成する不織布自体が2つの電極に挟持された形態であってもよい。すなわち、不織布をガラス基板上に形成した正および負の電極間に挟み、この中に発光電解液を注入し薄膜アルミシートでシールしてもよい。このような場合、不織布の繊維構造は、サーマルボンド法により電極に対して略垂直に配列された多孔構造であるのが特に好ましい。その膜厚は、かなりの圧力に耐え得る機械的強度を有し、できるだけ薄い方が好ましく、0.1〜10μm程度が好ましい。
【0031】
化学発光材料、すなわち異なるイオンラジカル間のイオン衝突により発光する有機化合物としては、可視光領域から紫外光領域で蛍光を有する化合物であれば特に限定されない。化学発光材料としては、芳香族系共役化合物、芳香族アミン化合物、芳香族エナミン化合物、複素環系共役化合物、オキサゾール化合物などが好ましい化合物として挙げられる。
【0032】
具体的には、9,10−ジフェニルアントラセン、ルブレン(5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン)、モノフェニルトリフェニレン、トリフェニレン(9,10−ベンゾフェナントレン)、2,3−ジフェニルトリフェニレン、2,6,10−トリフェニルトリフェニレン(構造式1)、2,6,10−トリ(p−シアノフェニル)トリフェニレン(構造式4、実施例5参照)、9−(α,α−ジシアノビニル)アントラセン、9−スチリルアントラセン、2,7−ジフェニルフェナントレン、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン、N,N’−ジ(m−トリル)ベンジジン、N,N’−ジ(α−ナフチル)ベンジジン、トリ(ビフェニル−4−イル)アミン、また高分子タイプしては、ポリ(p−フェニレン−エチニレン)、ポリ(p−フェニレン−エチニレン−m−フェニレン−エチニレン)などのアリ−レン:アセチレン結合からなる芳香族系共役系高分子化合物が挙げられる。高分子タイプのものとして特開平6−166743号公報にも種々記載されており、これらを用いることができる。
【0033】
【化1】
Figure 2004281204
【0034】
化学構造的には、2,6,10−トリフェニルトリフェニレンおよびトリ(ビフェニル−4−イル)アミンのように、フェニル基に代表されるアリール基が置換基数として2個以上ついているものが好ましい。アリール基は相対的には多ければ多いほどよいが、合成上および溶解性、溶融性などの点から、4個程度の置換数が適当である。
したがって、化学発光材料は、環状炭化水素化合物または複素環化合物の環形成炭素が少なくとも2個以上の置換もしくは非置換のフェニル基で置換された化合物が、得られる有機ECL素子の発光効率の点で特に好ましい。
【0035】
また、含窒素系複素環化合物を多座配位子とする金属錯体化合物も、本発明の有機ECL素子の化学発光材料として好適に用いることができる。これらの化合物は、最近、有機太陽電池の分光増感色素として注目を浴び、種々の材料が得られるようになってきている(JACS、115、632P(1993)参照)。
【0036】
これらの化合物の化学構造としては、配位子としてビスピリジンならびにビスピリジンの一部および全部が2,10−フェナントロリン(構造式2)および1,8−ナフチリジン(構造式3)のような環状構造になったものとルテニウムなどの三価の金属から構成される金属錯体が好ましい。具体的には、トリス(2,2’−ビピリジイル)ルテニウム、シス−ビス(チオシアナート)−ビス(2,2’−ビピリジイル)ルテニウムなどのビスピリジン系金属錯体化合物が特に好ましい。
【0037】
【化2】
Figure 2004281204
【0038】
有機ECL素子の発光強度は、電解質中の化学発光材料の濃度に略比例するので、化学発光材料に応じた有機溶剤を選択することは勿論のこと、化学発光材料は、有機溶剤に対する溶解性の高い構造のものにする必要がある。
溶解性の向上と化学発光特性(発光強度)の向上との間には、相反するところが多く、化学発光材料の基本構造のみでその優劣を論ずることはできないが、一般に溶解性の向上のためには、化学発光材料の芳香族環、複素環の一部を低級アルキル基や低級アルコキシ基、好ましくは分岐状の低級アルキル基や低級アルコキシ基で置換するのが好ましい。
化学発光材料としてビスピリジン系金属錯体を用いる場合には、上記の置換基を有する配位子を用いる以外に、複数種の置換基を有する配位子、または溶解性に優れた配位子(例えば、アセチルアセトン誘導体)を用いてもよい。
【0039】
化学発光材料を溶解する有機溶剤は、場合によっては得られる有機ELC素子の発光そのものにも影響を与えるので、その選択が重要となる。また、化学発光材料の溶解性、さらには化学発光材料の電離化も重要となる。したがって、有機溶剤の比誘電率は15以上が好ましい。発光層中の有機溶剤の含有割合は、10〜80重量%程度である。
【0040】
有機溶剤としては、電子輸送性溶剤が好ましく、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセチルアセトン、N−メチルピロリドン、イソプロパノール、エチレンカーボネート、酢酸エチル、メチルエチルケトン、スルホラン、ジメチルスルホオキシド、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、四塩化炭素、ジクロロベンゼン、テトラフルオロエタン、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、フルオロベンゼン、アセトニトリル、プロピオノニトリル、n−ブチロニトリル、イソブチロニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリルなどが挙げられ、これらを単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
これらの有機溶剤の中でも、非水性で酸化を受け難く、かつ強い電子吸引基であるニトリル基および/またはハロゲン原子、特にニトリル基で置換された脂肪族炭化水素化合物が好ましい。また、極性の低い溶剤は、発光材料としても利用可能なエキサイプレックスを形成しやすく、発光材料に幅をもたせることができるので好ましい。
したがって、有機溶剤としては、アセトニトリル、プロピオノニトリル、n−ブチロニトリル、イソブチロニトリル、マロノニトリルおよびスクシノニトリルから選択された電子輸送性溶剤、中でもアセトニトリル、プロピオノニトリルが好適に用いられる。
【0042】
発光層の電解質は、電子吸引性基(特に、シアノ基、トリフルオロ基)を有する高分子材料を含んでいてもよい。高分子材料は有機溶剤に溶解させることにより加えられ、得られる有機ECL素子の発光強度を弱めることなしに、発光層の固体化を図ることができる。
高分子材料としては、ポリアクリロニトリルおよびアクリロニトリルと酢酸ビニル、ブタジエン、メタアクリレート、アクリレートとの共重合体、フッ化ビニリデンと酢酸ビニル、ブタジエン、メタアクリレート、アクリレートとの共重合体が挙げられ、ポリアクリロニトリルおよびその共重合体が好ましい。
高分子材料が共重合体の場合には、同じ置換基を有するモノマーの組み合わせからなるのが、有機溶剤に対する溶解性、得られる有機ECL素子の発光性などの点で好ましい。
また、高分子材料の重量平均分子量としては、物理ゲルによる電解質溶液の安定化の点で、1,000〜20,000程度の比較的小さいものが好ましい。
【0043】
得られる有機ECL素子の発光寿命をさらに改善するために、陽イオンおよび陰イオンから構成される塩類からなる電解質を加えてもよい。ただし、これら電解質は有機溶剤に対する溶解性の悪いものが多く、自ずから材料およびその添加量は限定される。このような塩類として、陽イオンとしてはLi、Naなどの1価のアルカリ金属イオン、一方、陰イオンとしてはCl、F、Brなどの1価のハロゲンイオンが代表的なものとして挙げられる。これら以外にも陰イオンとして、4フッ化ホウ素(BF)イオン、炭酸イオン、燐酸イオン、酢酸イオンなども挙げられる。
すなわち、2つの電極が櫛形に配置され、これら各電極双方が互いに曲線状の形状からなるのが好ましい。
【0044】
本発明の有機ECL素子における電極としては、通常、有機ECL素子で用いられるものが挙げられる。電極としては、平行平板電極および櫛形電極の2つのタイプが挙げられる。
平行平板電極は、一対の平行電極の間に発光層を挟持して発光層を平行に配置したものである。この場合には、少なくとも一方の電極は、透明もしくは半透明電極であるのが好ましい。
【0045】
一方、櫛形電極は、一対の櫛形状の電極を交互に対電極の間に入り込むように配置したものである。この場合には、一対の櫛形電極を基板上に配置する必要があり、その電極は透明な基板を用いた方が、基板側から発光を取り出すことができるので好ましい。また、各電極双方は、互いに曲線状の形状からなるのが好ましい。これにより、発光層内に絶縁性支持体をより均一に充填させ、イオンの流れをスムーズにさせることができる。
【0046】
電極材料としては、白金、金、銅、チタン、パラジウム、錫、ニッケル、銀、アルミニウムなどの金属、酸化インジュウム、酸化すず、およびこれらの金属を含む合金、酸化インジュウム、酸化すず、ITOなどの半導体および各種導電性カーボン、グラッシーカーボンなどが挙げられる。
電極は、通常、基板上に公知の方法により形成される。その基板材料としては、石英、ガラス、表面を酸化処理したシリコン、酸化アルミニウムなどの半金属材料などが挙げられる。
また、電極および発光層として電解質は、通常、容器に収容される。その容器材料としては、透明性の高いガラス、石英、テンパックス、プラスチックなどが挙げられる。
【0047】
有機ECL素子は電流駆動型の発光素子であるために、一画素に対して電流制御用トランジスタとそのゲートに電圧を印加するためのトランジスタの二つが必須である。また、十分な電流を供給するために、常圧駆動型のアレイに比べて太い電極線を必要とする。したがって、ガラス基板などの透明基板を用いて透明基板側から発光をを取り出す場合には、二つのトランジスタと電極線により、開口率が低下する。しかし、シリコンなどの半導体基板を用いた場合には、半導体基板上にトランジスタを構築することができ、基板面に対して反対方向から発光を取り出すことができるので、開口率の低下がなく好ましい。
【0048】
本発明の有機ELC素子(実施形態1)の基本構成を示す斜視図を図1に、その断面図を図2に示す。
この有機ECL素子は、絶縁性基板1の上に、微細な櫛型の間隔をもって配置された第一の電極2と第二の電極3とをそれぞれ外部回路に接続して電圧を第一の電極端子4と第二の電極端子5と、化学発光材料を含有する電解質を保持する容器7と、容器7を挟んで配設された光共振器8とから構成されている。容器7は第一の電極2と第二の電極3の各電極面が内部溶液に接するような構造であり、さらに光が取り出せるように、ガラス、プラスチック材料により形成されている。配線部分は、電極反応が起ることのないように、第一の電極端子4、第二の電極端子5および各電極の開口部6を除いて、ポリカーボネートのような絶縁物質で被覆されている。
【0049】
本発明の有機ECL素子は、例えば、次のように製造することができる。
まず、公知の方法により基板上に電極を形成する。なお、対になる櫛型電極をミクロン、サブミクロンの微細間隔に配置するためには、フォトリソグラフィとドライエッチング法、あるいはリフトオフ法、あるいはイオンミリング法などの公知の微細加工技術を組み合わせるのが好ましい。また、ピエゾ素子を利用して微小電極を接近させる方法なども挙げられる。
【0050】
電極形態が櫛型電極、平行電極に関係なく、絶縁性支持体を電極間に均一に充填し、次いで化学発光材料を溶解した溶液を、スピンコート、キャストコート、デイッピング、バーコート、ロールコートなどの公知の塗布方法により電極および基板上に塗布する。特に絶縁性支持体を電極間に均一に充填するには直接機械的な手段で行ってもよいが、好ましくは適当な有機溶剤(イソプロピルアルコール(IPA)など)で絶縁性支持体をペースト状態にしこれを前記の塗布方法により充填し次いで減圧下乾燥してもよい。また、場合によってはペーストを充填したものを超音波などの手段により均一化を促進してもよい。
また、上記の方法以外に、絶縁性支持体として、例えば微粉砕したガラス繊維を予め容器7中に充填しておいてもよい。
【0051】
次に電解質を、キャスティングやデイッピングなどの公知の方法により電極間の容器7中に化学発光材料を含有する電解質を注入して発光層を形成する。この場合においても電解質を均一にするために、低湿下で超音波に付してもよい。
電解質に重合性モノマーを添加しておき、注入後、加熱または光(例えば、紫外光)照射により電解質をゲル状にしてもよい。
【0052】
本発明の有機ELC素子(実施形態2)の基本構成を示す斜視図を図3に、その電極の拡大図を図4に、その断面図を図5に示す。
この有機ECL素子は、基本的に実施形態1のものと同様であるが、櫛形電極(第一の電極32および第二の電極33)の角が角度のある状態から図4に示すような放物状態に形成されている。櫛形電極をこのような形状にすることにより、角部での発光低下による発光の不均一化を防止することができる。
【0053】
発光層が形成された有機ECL素子は、通常、防湿シールで被覆される。この防湿シールとしては、アルミニウム箔、アルミニウムとポリエチレンまたはポリカーボネートとからなる金属ラミネートフイルムなどが挙げられる。また、シール部の表面にはモレキュラーシーブなどの防湿材を含有させてもよい。
さらに、形成した電極と向かい合わせて鏡を配置してもよい。これにより素子からの発光を遠ざかる光まで有効に利用できる。
【0054】
このようにして得られた本発明の有機ECL素子は、通常0.5〜10V程度の直流電圧で駆動され、通常0.1〜1,000mA/cm程度の電流値を示す。また、その輝度は、最大1000cd/m以上を示し、液晶およびブラウン管を越える。
本発明の有機ECL素子に、第一の電極端子4と第二の電極端子5との間で発生する光を光共振器8で増幅して取り出し、これを発光デバイスやレーザーとして適用することができる。
【0055】
輝度をさらに向上させるためには、その発光の中核をなす化学発光材料の開発がまず重要である。次にこれらの材料を特定の有機ECL素子に適合した有機溶剤に高濃度で溶解させることも重要である。また、この状態を常時安定に保つことも重要であり、特に電解質の状態、さらには櫛型電極の場合の電極配置構造、配置間隔も重要である。本発明は後者を中心とした有機ECL素子およびこれらに対応する好ましい各材料に関する。
【0056】
【実施例】
本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
【0057】
実施例1〜4
噛み合った白金製の櫛形電極12、13を有する透明な絶縁性基板である、石英基板11の下面に発光セルを形成した(図1、2参照)。
具体的には、直径3インチの円盤状の石英基板上に、露光装置を用いて、噛み合った櫛形電極12、13、参照電極20、外部電極(対向電極)21、端子部分のレジストパターンを形成し、スパッタ装置でチタン、白金の順に堆積し、メチルエチルケトン(MEK)中に浸漬し超音波洗浄器を用いてリフトオフし、噛み合った櫛形電極12、13、参照電極20、対向電極21、端子部分のパターン以外の金属部分を基板より剥離した。この時の白金電極の膜厚は700Åとした。図2の図番20aは電析部を示す。
【0058】
次に、リード部分を絶縁層で被覆するために、石英基板11に窒化シリコン膜をスパッタ装置で形成し、反応性エッチング法により、噛み合った櫛形電極12、13部分、参照電極20部分、対向電極21部分、端子部分の窒化シリコン膜を除去した後、石英基板11を所定の寸法にダイシングソーで切り出した。
このようにしてギャップ幅2μm、櫛の長さ2mm、櫛の数100対の櫛形電極を作成した。
【0059】
次に、石英基板11の下面に形成された噛み合った櫛形電極12、13に対向するように鏡面研磨した白金電極14を上面に設置したブロック15を厚さ12μmのテフロン(登録商標)製スぺーサー16を介して配置した。このブロック15には電解液を供給、排出する流路的作用のための通路17、18を設け、これら通路は、櫛形電極12、13と白金電極14とテフロン(登録商標)製スペーサ16により構成された、電解液を貯蔵する容器19に連結させた。
【0060】
このようにして作成した容器19に、絶縁性支持体として、微粉砕した外径0.5μmの旭硝子株式会社製のガラス繊維マット(商品名:AGM)0.36gを、表1の組成からなる電解質溶液で注射器を用いて注入した。電解質溶液中の絶縁性支持体の含有割合は、30重量%とした。なお、微粉砕したガラス繊維が長さ20μm〜25μmの範囲の棒状体であることを光学顕微鏡観察により確認した。
次いで、流路17、18をエポキシ樹脂で封止して発光セルを作成し、有機ECL素子を得た。
【0061】
得られた有機ECL素子に、ポテンシオスタットを用いて、参照電極20に対する櫛形電極12、13の一方の電位を1.6V、他方の電極を−1.6Vに設定し、直流電圧を印加したところ、櫛形電極12、13の裏面から発光が観察された。得られた発光の色調、その強さおよび発光持続時間を測定した。
得られた結果を表2に示す。
【0062】
比較例1
絶縁性支持体を注入しないこと以外は、実施例1〜4と同様にして、有機ECL素子を得、それを評価した。
用いた電解質溶液を表1に、得られた結果を表2に示す。
【0063】
【表1】
Figure 2004281204
【0064】
【表2】
Figure 2004281204
【0065】
表1および表2の結果から、絶縁性支持体としてガラス繊維を発光層に充填した本発明の有機ECL素子(実施例1〜4)は、ガラス繊維を充填しない素子(比較例1)よりも、発光時間が長く、かつ安定した青色から黄色の光を発光することがわかる。
【0066】
実施例5〜7
化学発光材料として、2,6,10−トリフェニルトリフェニレンの代わりに、2,6,10−トリ(p−シアノフェニル)トリフェニレン(構造式4、実施例5)、モノフェニルトリフェニレン(実施例6)またはトリフェニレン(9,10−ベンゾフェナントレン、実施例7)を用いること以外は、実施例4と同様にして、有機ECL素子を得、それを評価した。
実施例5では発光強度が30cd/mとより強い青色発光が観察されたが、実施例6、7ではいずれも強い発光は観察されなかった。
【0067】
【化3】
Figure 2004281204
【0068】
上記の結果から、化学構造的に多くのフェニル基が網目状に拡大し、電子吸引基で置換された化学発光材料は、ラジカル発生が起り易く、これにより実施例5では発光強度が増大したものと考えられる。
【0069】
実施例8
有機溶剤として、テトラフルオロジクロロエタンの代わりに、マロノニトリル4に対してプロピオニトリル1の割合で加えた混合溶剤を用いること以外は、実施例5と同様にして、有機ECL素子を得、それを評価した。
得られた有機ECL素子の発光層の電解質は、5〜40度の間においてジェリー状のゲル溶液であり、安定な状態であった。
得られた有機ECL素子は、発光強度が30cd/mとより強い青色発光が観察された。
この結果から、物理ゲルによる電解質溶液の安定化が図れることがわかる。
【0070】
実施例9、10
実施例7の電解質の中に5%重量のポリアクリロニトリル(重量平均分子量:15000、実施例9)またはアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(重量平均分子量:12000、実施例10)を用いること以外は、実施例8と同様にして、有機ECL素子を得、それを評価した。
これらの結果から、ポリアクリロニトリルまたはその共重合体を用いて窒温時ゲルにすることによっても電解質溶液の安定化が図れることがわかる。
【0071】
実施例11
噛み合った櫛形電極12、13のパターンの角部分を直角型から1/4円になるようにレジストパターン化して、2つの櫛形電極をウエーブ状の形状に変えること以外は、実施例5と同様にして、有機ECL素子を得た(図3〜5参照)。ただし、絶縁性支持体として充填した、外径0.5μm、長さ20μm〜2μmのガラス繊維の充填量は、0.36gから0.45gに増大した。また、その充填も容易に行うことができた。なお、ガラス繊維が均一に充填されていることを光学顕微鏡観察により確認した。
この結果から、2つの電極間が櫛形に配置され、これら各電極双方が互いに曲線状の形状からなる方が、本発明の有機ECL素子にとって有利であることがわかる。
【0072】
実施例12
実施例11における外径0.5μm、長さ20μm〜2μmのガラス繊維0.45gに、赤色に染色した外径0.2μm、長さ20μm〜30μmのガラス繊維0.03gをさらに充填すること以外は、実施例11と同様にして、有機ECL素子を得た。2つの相異なるガラス繊維を混合した電解質溶液は外見上赤色であった。
得られた有機ECL素子に、実施例1と同様にして、直流電圧を印加したところ、明るい赤色の発光が観察された。
【0073】
実施例13、14
赤色に染色したガラス繊維の代わりに、緑色(実施例13)または黄色(実施例14)に染色したガラス繊維を用いること以外は、実施例12と同様にして、有機ECL素子を得、それを評価した。
得られた有機ECL素子では、緑色および黄色の発光が観察された。
上記の結果から、染色したガラス繊維を用いることにより、目的とする発色を調節できることがわかる。
【0074】
実施例15〜17
赤色に染色したガラス繊維の代わりに、球形のビーズ状の着色ガラス体(外径10μm)を用いること以外は、実施例12と同様にして、有機ECL素子を得、それを評価した。なお、着色ガラス体としては、Agの金属微粒子体を2%程度ガラスの中に分散した赤色ガラス体(実施例15)、Cuの金属微粒子体を2%程度ガラスの中に分散した緑色ガラス体(実施例16)、Auの金属微粒子体を3%程度ガラスの中に分散した黄色ガラス体(実施例17)を用いた。
得られた有機ECL素子では、赤色、緑色および黄色の発光が観察された。
上記の結果から、着色ガラス体を用いることにより、目的とする発色を調節できることがわかる。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、安定な状態で、経時劣化が少なく、かつ高効率で電気化学発光を起こす有機ECL素子を提供することができる。すなわち、本発明の有機ECL素子は、フルカラー発光(表示)が可能で、液特性、溶解性、経時安定性に優れ、高効率での電界発光を示し、これを適用することにより、表示デバイス、レーザー発振など、多面にわたる発光応用デバイスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機ECL素子(実施形態1)の基本構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の有機ECL素子(実施形態1)の構造を示す断面図である。
【図3】本発明の有機ECL素子(実施形態2)の基本構成を示す斜視図である。
【図4】図3における電極の拡大図である。
【図5】本発明の有機ECL素子(実施形態2)の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基板
2、32 第一の電極
3、33 第二の電極
4 第一の電極端子
5 第二の電極端子
6 開口部
7 容器
8 光共振器
11 石英基板
12、13 櫛形電極
14 白金電極
15 ブロック
16 スぺーサー
17、18 通路
19 容器
20 参照電極
20a 電析部
21 外部電極(対向電極)

Claims (15)

  1. 2つの電極と、これらの電極間に設けられた化学発光材料と該化学発光材料を溶解する有機溶剤からなる電解質および絶縁性支持体を基本構成材料とする発光層からなることを特徴とする有機電界化学発光素子。
  2. 絶縁性支持体が、短繊維、粒子、短繊維と粒子の混合体または不織布からなる請求項1に記載の有機電界化学発光素子。
  3. 絶縁性支持体が、ガラスまたは電解質の有機溶剤に不溶の高分子材料からなる請求項1または2に記載の有機電界化学発光素子。
  4. 絶縁性支持体が、ガラス繊維、ガラス繊維とガラス粒子、ガラス繊維と高分子繊維、またはガラス繊維と高分子粒子からなる請求項1〜3のいずれか1つに記載の有機電界化学発光素子。
  5. 絶縁性支持体が、大きさの異なる2種以上の短繊維および/または粒子の組み合せである請求項1〜4のいずれか1つに記載の有機電界化学発光素子。
  6. 絶縁性支持体が、外径がそれぞれ0.1〜1.0μmと0.5〜5.0μmの2種のガラス繊維である請求項5に記載の有機電界化学発光素子。
  7. 電解質の有機溶剤に不溶の高分子材料が、非環式炭化水素系高分子である請求項3〜6のいずれか1つに記載の有機電界化学発光素子。
  8. 絶縁性支持体が、透過性を有し、かつ着色されてなる請求項1〜7のいずれか1つに記載の有機電界化学発光素子。
  9. 化学発光材料が、環状炭化水素化合物または複素環化合物の環形成炭素が少なくとも2個以上の置換もしくは非置換のフェニル基で置換された化合物である請求項1〜8のいずれか1つに記載の有機電界化学発光素子。
  10. 化学発光材料が、含窒素系複素環化合物を多座配位子とする金属錯体化合物である請求項1〜8のいずれか1つに記載の有機電界化学発光素子。
  11. 有機溶剤が、電子輸送性溶剤である請求項1〜10のいずれか1つに記載の有機電界化学発光素子。
  12. 電子輸送性溶剤が、ニトリル基および/またはハロゲン原子で置換された脂肪族炭化水素化合物である請求項11に記載の有機電界化学発光素子。
  13. 電子輸送性溶剤が、アセトニトリル、プロピオノニトリル、n−ブチロニトリル、イソブチロニトリル、マロノニトリルおよびスクシノニトリルから選択されてなる請求項12に記載の有機電界化学発光素子。
  14. 電解質が、ポリアクリロニトリルまたはその共重合体をさらに含む請求項1〜13いずれか1つに記載の有機電界化学発光素子。
  15. 2つの電極が櫛形に配置され、これら各電極双方が互いに曲線状の形状からなる請求項1〜14のいずれか1つに記載の有機電界化学発光素子。
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