JP2004280876A - 再生信号評価方法、情報記録媒体、情報記録装置、情報記録方法、及び情報再生装置 - Google Patents
再生信号評価方法、情報記録媒体、情報記録装置、情報記録方法、及び情報再生装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】情報記録媒体から再生される最も短い符号の再生信号の最大値をIaH、最小値をIaLとし、前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の次に短い符号の再生信号の最大値をIbH、最小値をIbLとし、前記情報記録媒体から再生される最も長い符号、もしくは最も短い符号に対して3倍以上長い符号の再生信号の振幅がIcであると定義する。この発明の再生信号評価方法は、{(IbH+IbL)/2−(IaH+IaL)/2}}/Ic×100に基づいて前記再生信号を評価する(ST11)。
【選択図】 図30
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク等の情報記録媒体に関する。また本発明はこのような情報記録媒体から再生される再生信号を評価する再生信号評価方法に関する。また本発明はこのような情報記録媒体から情報を再生する情報再生装置及び情報再生方法に関する。また本発明はこのような情報記録媒体に対して情報を記録する情報記録装置及び情報記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、追記又は書き換え型の情報記録媒体として熱記録型の媒体がある。これは、情報記媒体を加熱冷却することで、情報を記録するものである。この代表的なものとして相変化媒体が知られている。これは媒体の相の違い、すなわちアモルファスと結晶の違いによる物理的性質の差、例えば反射率差等を利用して情報を記録するものである。例えば、相変化媒体を利用した光ディスク装置では、あらかじめ、初期化によって媒体を全面に渡り結晶化しておき、そこに強度の強いレーザー光をパルス状に照射することでアモルファスの記録マークを形成する。
【0003】
これは強いレーザー光により媒体が溶融し、その後レーザー光の照射が弱まることで媒体が急冷し、アモルファス化するためである。一方、情報の再生は媒体に一定レベルの弱いレーザー光を照射し、記録マークであるアモルファス部と結晶部による反射率変化を電気信号に変換して読み出している。
【0004】
最近実用化された相変化媒体を用いた光ディスクとしてDVD−RAM(ISO/IEC16824)がある。このDVD−RAMでは照射するレーザー光の出力レベルを切り替えることで情報の記録、消去を行っている。情報は複数の記録マークとして光ディスクの記録トラック上に記録され、各記録マークは複数のレーザーパルスを記録トラックに照射することにより形成される。このレーザーパルスの記録波形は一般にライトストラテジと呼ばれるものである。ライトストラテジは、光ディスクにマークを記録するときのレーザー変調方法あるいは記録波形を示し、記録マークの長さごとに定義されている。
【0005】
DVD−RAMのライトストラテジでは光出力として3段階もしくは4段階のレベルが設けられている。すなわち、媒体を溶融温度以上に加熱し、溶融するためのピークパワーと、媒体を結晶化保持時間だけ結晶化温度に保持するためのバイアスパワー1(消去パワー)、溶融した媒体を急冷してアモルファス化するためのバイアスパワー2及びバイアスパワー3である。DVD−RAMではこれらの光出力レベルを調整することにより、記録するマークの大きさや、形を精度良く調整している。
【0006】
又DVD−RAMの場合、ライトストラテジで定義される光出力レベルはマークやスペースの幅に寄らず一定である。従って、短いスペースに囲まれた記録マークでは、長いスペースに囲まれたマークと異なり、直前、直後のマークを記録するための熱量が伝わり、その熱量により記録マークが再結晶化したり、溶融部分が拡大するといった熱干渉の問題がある。DVD−RAMでは、この問題に対して前後のスペース幅によってパルスの幅を広げたり、狭くしたりして調整することで、変化分を補正し、所望のマーク形状を得ている。
【0007】
一方、記録した信号の評価方法のひとつとして、DVD−RAMではアシンメトリが定義されている。DVD−RAMで定義されているアシンメトリは記録したデータの最密パターンの再生波形中心レベルと、最疎パターンの再生波形中心レベルとのずれを評価するものである。
【0008】
上述のように、DVD−RAMでは、ライトストラテジを調整することにより、熱干渉による記録マーク領域の変化に対処している。実際のユーザーデータを記録する前にテストパターンが記録され、ライトストラテジ(パルス幅)が調整される。この際、テストパターンには使用する変調方式の最密パターン及び最疎パターンが用いられており、これらの再生信号の中心レベルの差を0にするようにパルス幅の調整を行っている(参考文献1)。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−36115号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、DVD−RAMでは再生信号の評価指標として、最密パターンの中心レベルと最疎パターンの中心レベルとの差をアシンメトリとして定義している。このアシンメトリを規格値以下にすることで、情報再生信号のエンベロープに対する最密信号の振幅方向のバランスを保ち、情報記録媒体の再生特性、互換性を高めていた。しかしながら、情報の記録が高密度化した場合には、熱干渉の影響が高まり、最密パターンのみでなく、それ以外のパターンであっても振幅方向のバランスが大きく崩れる場合がある。このような場合には情報の再生が難しくなり、情報記録媒体の互換性も失われる。
【0011】
更に、DVD−RAMではアシンメトリが定義されているものの、このアシンメトリを最適化するためのライトストラテジ調整手順が明らかになっていないという問題がある。
【0012】
又、ライトストラテジ決定のための指標として、最密パターンを含むランダムデータのジッタを利用しているが、情報の記録が高密度化し、再生信号処理方式としてPRMLのようなスライス方式とは異なる識別方式が用いられた場合には、最密パターンを含む信号のジッタの測定が困難になる。従って、このジッタを指標としたライトストラテジの決定が行えないという問題がある。
【0013】
又、上記参考文献1ではアシンメトリを利用したライトストラテジの調整方法として、最密及び最疎符号の組み合わせパターンのテストデータを記録し、該再生信号の中心レベルが揃う様にライトストラテジ、特にパルスの幅を調整する方法が開示されている。しかしながらこの方法においても、上述の高密度化にともなう熱干渉の問題には対処できていない。又、補正の方法も一律にパルス幅を補正するのみであるが、熱干渉の大きい高密度記録においては、この補正のみでは記録マークを精度良く形成しながら、更にアシンメトリを調整するのが難しいという問題がある。
【0014】
従って本発明は、情報記録媒体の再生信号品質を明確に評価することが可能な再生信号評価方法、再生特性が良く互換性の高い情報記録媒体、情報記録媒体から精度良く情報を再生する情報再生装置及び情報再生方法、及びこの情報記録媒体に対して再生特性が良く互換性の高い情報を記録する情報記録方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の再生信号評価方法、情報記録媒体、情報記録装置、情報記録方法、及び情報再生装置は以下のように構成されている。
【0016】
(1)この発明は、長さの異なる複数の符号から構成される情報を記録した情報記録媒体から再生される再生信号を評価する再生信号評価方法であって、前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の再生信号の最大値をIaH、最小値をIaLとし、前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の次に短い符号の再生信号の最大値をIbH、最小値をIbLとし、前記情報記録媒体から再生される最も長い符号、もしくは最も短い符号に対して3倍以上長い符号の再生信号の振幅をIcとするとき、{(IbH+IbL)/2−(IaH+IaL)/2}}/Ic×100に基づいて前記再生信号を評価する。
【0017】
(2)この発明は、長さの異なる複数の符号から構成される情報を記録する情報記録媒体であって、前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の再生信号の最大値をIaH、最小値をIaLとし、前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の次に短い符号の再生信号の最大値をIbH、最小値をIbLとし、前記情報記録媒体から再生される最も長い符号、もしくは最も短い符号に対して3倍以上長い符号の再生信号の振幅をIcとするとき、{(IbH+IbL)/2−(IaH+IaL)/2}}/Ic×100の値が−4以上、4以下を満たす。
【0018】
(3)この発明の情報再生装置は、長さの異なる複数の符号から構成される情報が記録された情報記録媒体から再生される最も短い符号の再生信号の最大値をIaH、最小値をIaLとし、前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の次に短い符号の再生信号の最大値をIbH、最小値をIbLとし、前記情報記録媒体から再生される最も長い符号、もしくは最も短い符号に対して3倍以上長い符号の再生信号の振幅をIcとするとき、{(IbH+IbL)/2−(IaH+IaL)/2}}/Ic×100の値が−4以上、4以下を満たす情報記録媒体から情報を再生する情報再生装置であって、前記情報記録領域に対して照射された光ビームの反射光を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された反射光に基づき、長さの異なる複数の符号から構成される情報を再生する再生手段とを備えている。
【0019】
(4)この発明の情報再生方法は、長さの異なる複数の符号から構成される情報が記録された情報記録媒体から再生される最も短い符号の再生信号の最大値をIaH、最小値をIaLとし、前記情報記録領域から再生される最も短い符号の次に短い符号の再生信号の最大値をIbH、最小値をIbLとし、前記情報記録領域から再生される最も長い符号、もしくは最も短い符号に対して3倍以上長い符号の再生信号の振幅をIcとするとき、{(IbH+IbL)/2−(IaH+IaL)/2}}/Ic×100の値が−4以上、4以下を満たす情報記録媒体から情報を再生する情報再生方法であって、前記情報記録領域に対して照射された光ビームの反射光を検出し、前記検出された反射光に基づき、長さの異なる複数の符号から構成される情報を再生する。
【0020】
(5)この発明は、情報記録媒体に対して情報を記録する情報記録方法であって、長さの異なる複数の符号から構成される情報を前記情報記録媒体に対して記録した結果、前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の再生信号の最大値をIaH、最小値をIaLとし、前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の次に短い符号の再生信号の最大値をIbH、最小値をIbLとし、前記情報記録媒体から再生される最も長い符号、もしくは最も短い符号に対して3倍以上長い符号の再生信号の振幅をIcとするとき、{(IbH+IbL)/2−(IaH+IaL)/2}}/Ic×100の値が−4以上、4以下を満たすように、光ビームを照射して情報を記録する。
【0021】
【発明の実施の形態】
図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下に示す説明はこの発明の実施の形態であって、この発明の方法及び装置を限定するものではない。
【0022】
図1に本実施例の情報記録装置におけるレーザー光の記録波形と情報が記録されたトラックの模式図を示す。記録波形は、大きく記録部分001と消去部分002に分けられる。ここで、記録媒体が相変化媒体であるとすると、記録膜が複数の加熱パルスによって、加熱、急冷され、記録トラック上にアモルファスの記録マーク004が形成される。理想的には記録マーク004の前端位置は加熱パルスの立ち上がり位置により比例して決まる。同様に、記録マーク004の後端位置は加熱パルスの立下り位置により比例して決まる。
【0023】
従って、記録したマークの前端位置を後ろに動かすためには加熱パルスの立ち上がり位置を後ろにずらせばよいことになる。又、記録部分001では複数の加熱パルスが照射されているが、各パルスの幅を変えることによって、記録マーク004の横幅などマークの形状をコントロールすることが可能となる。消去部分002では記録光は一定のレベルに保たれる。これによって、記録媒体は結晶化温度に保持され、結晶化する。この結晶化した記録マーク004と記録マーク004の間の部分003はスペースと呼ばれる。
【0024】
図2に記録波形と記録する信号の対応関係であるライトストラテジの実施例を示す。基準クロックの周期をTとすると、図2(a)は2Tマーク、図2(b)は9Tマークを記録すための記録波形である。消去部分002では記録光のパワーはBp1に保たれる。記録部分001では、記録光のパワーはPpまで上昇し、その後冷却のために消去パワーBp2もしくは消去パワーBp3に降下する。又、記録部分001では各パルスはその機能から先頭パルス005、中間パルス006、最終パルス007に区分される。それぞれのパルスの幅はNRZI信号の立ち上がり、もしくは基準クロックの立ち上がり位置に対する以下に示す遅延時間Tsfp、Tefp、Tsmp、Temp、Tslp、Telp、Tlcの各変数によって定義される。中間パルスの個数は記録する符号の長さによって決まる。
【0025】
Tsfp:NRZI信号の立ち上がりに対する先頭パルス開始時間、
Tefp:NRZI信号の立ち上がりに対する先頭パルス終了時間、
Tsmp:基準クロックに対する中間パルス開始時間、
Temp:中間パルスの各パルス幅、
Tslp:基準クロックに対する最終パルス開始時間、
Telp:基準クロックに対する終端パルス終了時間、
Tlc:最終パルスの後、消去パワーBp2が供給される時間
次に、再生信号の評価方法について説明を行う。
【0026】
図3に上述のライトストラテジを利用して記録したユーザーデータ(ランダムデータ)の再生信号波形すなわちアイパターンを示す。ここで、データの変調に用いられた最も短い符号(マーク又はスペース)は2T、最も長い符号は13Tであるとする。アイパターンにおいて最も振幅の小さい信号が2Tマーク及び2Tスペースの再生信号である。以下、2Tマークと2Tスペースの連続信号を2Tパターンと表現する。更に、この2Tパターンの再生信号の最も高いレベルをI2H、最も低いレベルをI2Lと定義する。次に大きい振幅の信号は3Tマークと3Tスペースの再生信号である。この3Tパターンの再生信号に対しても2Tパターンと同様にI3H、I3Lを定義する。又、3Tパターンの振幅をI3と定義する。一方、最も振幅の大きい信号は13Tマークと13Tスペースの再生信号である。この13Tパターンの再生信号に対しても2Tパターンと同様にI13H、I13Lを定義する。又、13Tパターンの振幅をI13と定義する。
ここで、本実施例における再生信号の評価指標である二つのアシンメトリの定義について説明を行う。一つ目のアシンメトリであるアシンメトリ1:AS2T13Tはランダムデータ全体のエンベロープに対する2Tパターンのアシンメトリで、以下のように定義する。
【0027】
AS2T13T={(I13H+I13L)/2−(I2H+I2L)/2}}/I13×100% ・・・(1)
二つ目のアシンメトリであるアシンメトリ2:AS2T3Tは、特に識別を誤りやすいと考えられる3Tパターンと2Tパターンのアシンメトリで、以下のように定義する。
【0028】
AS2T3T={(I3H+I3L)/2−(I2H+I2L)/2}}/I3×100% ・・・(2)
ここで、(I13H+I13L)/2はI13の中心レベル、(I3H+I3L)/2はI3の中心レベル、(I2H+I2L)/2はI2の中心レベルである。
【0029】
更に、三つ目のアシンメトリであるアシンメトリ3:AS3T13Tは、13Tパターンのエンベロープに対する3Tパターンのアシンメトリで、以下のように定義する。
【0030】
AS3T13T={(I13H+I13L)/2−(I3H+I3L)/2}}/I13×100% ・・・(3)
式(1)で定義されたアシンメトリは、従来から用いられていたものである。これに対し、本実施例では式(2)及び式(3)のアシンメトリを新たに定義している。式(2)で定義されたアシンメトリ2は、変調法則で使用される符号の中で、特に識別誤りを起こしやすい最短符合とその次の長さの符号、ここでは2T符号と3T符号の信号レベルのずれを評価するのに用いることが出来る。ここで変調法則とは、情報を光ディスクに記録する場合に、該情報を図2に示すようなTの整数倍で例えば2T以上の信号幅を有する信号に変調するときに適用される法則である。例えば従来のDVD−ROMでは変調法則として8−16変調が用いられている。
【0031】
アシンメトリ2が0に近いということは、2T符号と3T符号の再生信号が振幅方向に理想的な関係にあることを意味している。従って、このアシンメトリ2が0に近ければ、高密度に記録された光ディスクにおいて、識別誤りが低くなる。特に、PRML(partial response maximum likelihood)識別方式のような振幅方向の複数の識別用閾値を利用した識別方式を用いる光ディスクにおいてはその効果が高い。更に、このアシンメトリ2が0に近い信号が記録された媒体は信号が理想状態に近いため、互換性の高い媒体となる。
【0032】
式(3)で定義されたアシンメトリ3は変調法則で使用される符号の中で最も長い符号と、最も短い符号の次に長い符号、ここでは13T符号と3T符号の信号レベルのズレを評価するのに用いることが出来る。高密度な記録を行う光ディスクにおいては、最密の符号である2T符号の信号は非常に振幅が小さく、測定が難しい場合がある。これに対し3T符号は、13T符号に比べて信号の振幅は十分小さく、2T符号の信号に比べれると振幅が大きい。従って、このアシンメトリ3を信号の評価に用いれば、従来のアシンメトリの定義であるアシンメトリ1とほぼ同じ効果を、比較的簡単に得ることが出来る。尚、アシンメトリ1,2,3の測定に用いる最疎符号は13T符号に限らず、8T以上の符号を用いることができる。
【0033】
続いて上述のように定義したアシンメトリと再生信号のエラーレートとの関係を表す測定の結果について説明を行う。
【0034】
測定に用いる光ディスク装置の一実施例を図4に示す。光ピックアップ46はCPU42の制御の下、サーボ回路49及びアクチュエータドライバ47により、データ再生用の弱いレーザ発光パワーでフォーカシング及びトラッキングを行い、光ディスク40の記録トラック上に光ビームスポットを発生する。
【0035】
本光ディスク装置は信号処理回路52の信号処理にPRML識別方式を用いている。又評価指標測定回路48では、アシンメトリ1、アシンメトリ2、アシンメトリ3に加え、以下で説明する2次高調波、消去比、C/N(carrier / noise)、変調度、エラーレート、推定エラーレート、S1、S2、S3等を測定することが可能である。又、CPU42では測定された評価指標の値から、以下に述べるライトストラテジ決定手順に従って、ライトストラテジを決定し、記録波形生成回路41を設定する機能を有する。又、テストデータ記憶装置43には、後述の図14、図15、図17(a)図19(a)に示されるようなテストデータを記憶させておくことが可能である。このテストデータはCUP42によって切替器45がテストデータ記憶装置43側に切り替えられると、記録波形生成回路41に入力される。記録波形生成回路41は、設定されたライトストラテジに対応する波形の記録信号を出力する。この記録信号はLDドライバ44により増幅され、光ピックアップ46内に設けられたレーザダイオード(図示されず)を駆動し、その結果、光ディスクにマークが記録される。切替器45は通常、ユーザインターフェース53に繋がっており、入力されたユーザーデータが光ディスクに記録される。
【0036】
図5に消去パワーBp1を変化させた場合のアシンメトリ1、アシンメトリ2と再生信号のエラーレート(bER)測定結果を示す。このとき、ライトストラテジにおける消去パワーBp1以外の変数はすべて固定している。従って、消去パワーBp1を変化させることは記録パワーPpと消去パワーBp1の比であるPp/Bp比を変化させることに等しい。測定の結果から消去パワーBp1を上昇させていくとアシンメトリ1及びアシンメトリ2がプラス方向に変化していくのが分かる。又、再生信号のエラーレートはBp1=2.4mWで最良になっていることが分かる。このときのアシンメトリに着目するとアシンメトリ2はほぼ0となっているのに対し、アシンメトリ1は3%程度になっている。従って、アシンメトリ2の方がアシンメトリ1に比べより再生信号のエラーレートに対して敏感な評価指標であるといえる。
【0037】
更に、図6に時間Tsfpを変化させた場合のアシンメトリ1、アシンメトリ2と再生信号のエラーレート測定結果を示す。このとき、ライトストラテジにおけるTsfp以外の変数はすべて固定している。従って、時間Tsfpを増加させることは先頭パルスの幅を短くしていくことに等しい。測定の結果から、時間Tsfpを増加させると、アシンメトリがマイナス方向に変化していくのが分かる。又、再生信号のエラーレートは時間Tsfp=1.15[T]で最良になっていることが分かる。このときのアシンメトリに着目するとアシンメトリ2はほぼ0となっているのに対し、アシンメトリ1は8%程度になっている。従って、この結果からもアシンメトリ2の方がアシンメトリ1に比べより再生信号のエラーレートに対して敏感な評価指標であるといえる。
【0038】
更に、時間Telp、Tlcに対しても同様の実験を行ったところ、これらの結果からもアシンメトリ2の方がアシンメトリ1に比べより記録再生信号のエラーレートに対して敏感な評価指標であるという結論が得られた。
【0039】
これらの結果から、再生信号のエラーレートを規定値以下に押さえ、情報記録媒体の互換性を保つためには、アシンメトリはアシンメトリの規格値(%)に関して以下の条件が必要であるといえる。
【0040】
−規格値A<アシンメトリ1<規格値B ・・・(4)
−規格値C<アシンメトリ2<規格値D ・・・(5)
{規格値B−(−規格値A)}≧{規格値D−(−規格値C)}・・・(6)
すなわち、この条件を満たす情報記録媒体であれば、高い互換性を実現できるといえる。更に、実験的な経験から規格値AおよびBを5〜15%、規格値CおよびDを3〜15%とすると互換性の高い信号が記録できることが分かっている。
【0041】
次に、記録再生信号のもう1つの評価指標である2次高調波について説明を行う。2次高調波はnTマークnTスペース(nは整数)のようなピュアトーンの信号であるnTパターンを記録再生したときに、キャリア周波数の2倍の周波数に出現する信号成分である。この2次高調波が大きいことは、記録した信号が非対称な歪みをもっていたり、デューティーがずれていたりすることを示している。
【0042】
続いて、この2次高調波と記録再生信号のエラーレートとの関係を表す実験の結果について説明を行う。図7に時間Tempを変化させた場合の2次高調波と記録再生信号のエラーレートの測定の結果を示す。時間Tempが0.4[T]の時に記録再生信号のエラーレートは最も小さくなっている。このとき、2次高調波も最小となっており、2次高調波が記録再生信号の評価指標として適当であることが分かる。
【0043】
以上のような実験結果に着目したライトストラテジ決定方法について説明を行う。図8に本発明の第一の実施例に係るライトストラテジ決定方法のフローチャートを示す。
【0044】
第一のステップ(ST001)では記録パワーPp、消去パワーBp1、Bp2、Bp3、時間Tsfp、Tefp、Tsmp、Temp、Tslp、Telp、Tlcのすべてのパラメータに初期値(Pp0、Bp10、Bp20、Bp30、Tsfp0、Tefp0、Tsmp0、Temp0、Tslp0、Telp0、Tlc0)が設定される。更に、消去パワーBp21、Bp31の値もしくはBp21、Bp31の関係式、時間Tefp1、Tslp1もしくはその関係式が決定される。
【0045】
第二ステップ(ST002)では消去パワーBp11の値が決定される。この値は消去比及び、信号の変調度を指標に、両者のマージンが十分確保できるように決定される。ここで変調度とは、媒体上のマークにより構成される情報の再生信号の振幅を、ミラー面を反射した場合に得られる信号強度等、基準となる値によって規格化した値である。又、これと同様の効果を上げる指標として最密符号を含まないパターンを記録再生した場合のジッタ値を用いても良い。
【0046】
第三のステップ(ST003)では記録パワーPp1の値が決定される。この値は信号のアシンメトリを指標として、アシンメトリの値が規格値以下になるように決定される。又、これと同様の効果を上げる指標として信号のエラーレートもしくは、出願人の先願(特願P2002−69138)で提案した推定bERを利用してもよい。
【0047】
第四のステップ(ST004)では時間Tsfp1、Telp1、Tlc1が決定される。この値は信号のアシンメトリを指標として、アシンメトリの値が規格値以下になるように決定される。
【0048】
第五のステップ(ST005)では時間Temp1が決定される。この値は信号の2次高調波を指標として、2次高調波が十分小さくなるように決定される。又、これと同様の効果を上げる指標として信号のエラーレートもしくは、出願人の先願(特願P2002−69138)で提案した推定bER、もしくは5T以上の符号のピュアトーン信号のアシンメトリを利用してもよい。
【0049】
第六のステップ(ST006)では記録する信号のパターンに適応的に対応した時間Tsfp、Telpの補償テーブルが決定される。
【0050】
第七のステップ(ST007)では消去パワーBp12の値が決定される。この値は信号のエラーレートもしくは、推定bERを指標として決定される。
【0051】
第八のステップ(ST008)では記録パワーPp2の値が決定される。この値は信号のエラーレートもしくは、推定bERを指標として決定される。
【0052】
第九のステップ(ST009)では再び記録する信号のパターンに適応的に対応した時間Tsfp、Telpの補償テーブルが更新される。
【0053】
第十のステップでは最終評価指標による再生信号の評価が行われる。ここで、評価結果が規定値以下であれば、この時点の設定値を最終的なライトストラテジとする。又、評価結果が規定値を超えてしまっていれば、ステップをさかのぼって、ライトストラテジの設定を再開する。最終評価指標としては、信号のエラーレートもしくは、推定bERが利用される。
【0054】
続いて、各ステップにおける詳細なライトストラテジ決定方法について説明を行う。
【0055】
第一のステップ(ST001)における各変数の初期値には、媒体の製作者等が熱解析結果等の媒体特性に基づいてあらかじめ指定した値、装置の製作者等が装置の記録再生特性に基づいてあらかじめ指定した値、評価者が過去の経験に基づいて媒体の特性に合わせて指定した値などが用いられる。これらの初期値情報、媒体情報等は例えば図26に示す光ディスクのリードインエリア等に物理フォーマット情報として記録されており、これを再生することによって得られる。
【0056】
更にこのステップでは、次のステップに進むための消去パワーBp2、Bp3の値であるBp21、Bp31、もしくは関係式が初期値に基づいて決定される。決定の方法は2通りある。ひとつは、消去パワーBp2、Bp3を以降のステップにおいて初期値で固定する方法である。この場合、これ以降のステップでは消去パワーBp2、Bp3は初期値から変更されない。もうひとつの方法は、初期値として与えられる消去パワーBp10、Bp20、Bp30から、Bp10/Bp20比、Bp10/Bp30比を算出して、これ以降のステップではこの比を固定する方法である。この場合、以降のステップで消去パワーBp1が変化した場合には消去パワーBp2、Bp3もこれに合わせて変更される。これら二つの方法は媒体の特性等によって選択的に使用される。
【0057】
同様に、時間Tefp1、Tsmp1、Tslp1の値、もしくはTefp1、Tsfp1の関係式が決定される。決定の方法は次の2通りである。一つ目の方法は、すべての値を初期値で固定する方法である。もうひとつの方法は先頭パルスの幅(Tefp0−Tsfp0)及び、最終パルスの幅(Telp0−Tslp0)を初期値から算出し、以降のステップではこの幅を固定する方法である。この場合、時間Tsfp1、Telp1の変更に伴って、Tefp1、Tslp1もそれぞれ変更される。これらの二つの方法は媒体の特性等によって選択的に使用される。
【0058】
第二のステップ(ST002)ではオーバーライト時の消去特性のパワーマージンが最も大きく取ることができ、更に信号の変調度を十分に確保できるように消去パワーBp1が決定される。消去パワーBp1以外の値は第一のステップで決定された値が用いられる。
【0059】
ここで、消去特性の評価指標として消去比を次のように定義する。nTパターンの信号にmTパターンをオーバーライトした場合の、オーバーライト前のnTパターンの振幅からオーバーライト後の振幅への低下の割合をnTオーバーライト(O.W.)mT消去比と定義する。第二のステップにおける消去パワーBp1の決定方法を以下に記述する。
【0060】
図9に第一の消去パワーBp11決定方法のフローチャートを示す。ステップST101では消去パワーBp1の初期値Bp10から消去パワーBp1aが以下の式によって決定される。
【0061】
Bp1a=(Bp10−A/2)+n×(A/N)・・・(7)
ここで、A:Bp1の評価範囲、n:繰り返しステップ数、N:最大繰り返しステップ数
ステップST102ではnTパターンを10回、同一トラックにオーバーライトする。ステップST103では記録、再生されたnTパターンの振幅情報をスペクトルアナライザ等によって測定し、値を記憶する。ステップST104ではステップ102と同一のトラックにmTパターンを1回オーバーライトする。ステップST105では上記トラックに記録された情報を再生し、再生されたnTパターンの振幅情報をスペクトルアナライザ等によって測定し、値を記憶する。ステップST106ではステップST103とステップST105で記憶された二つの振幅情報の比からnTO.W.mT消去比を算出し、記憶する。n≦Nであれば(ステップST107でYesの場合)、フローはステップST101に戻り、消去パワーBp1aをA/Nだけ増加し、ステップST102〜ステップST107を再び実行する。このようにして、ステップST101からステップST106までをn=Nになるまで、消去パワーBp1aをA/Nづつ増加させながら繰り返す。
【0062】
このとき算出、記憶されたnTO.W.mT消去比をプロットすると図10のような曲線となる。ここで、消去特性の評価は低いパワーから順に行われている。ステップST108ではこの曲線から、あらかじめ定められたnTO.W.mT消去比の規格閾値との交点である2つのパワーmTBp1HとmTBp1Lを判断する。更に、以下の式を用いて消去パワーBp11を決定し、これを消去パワーBp1の値として決定する。
【0063】
Bp11=(mTBp1H+mTBp1L)/2 ・・・(8)
ここで、mは変調法則に用いられる最密符号、nは変調法則に用いられる符号のうちn≠m×2×k(k:自然数)を満たす最も長い符号とする。
【0064】
又第二の消去パワーBp11決定方法として図11に示すように、上述のnTO.W.mT消去比に加え、同様の方法を用いてnTO.W.(m+1)T消去比を測定し、消去パワーBp11を決定しても良い。
【0065】
Bp11=((m+1)TBp1H+mTBp1L)/2・・・(9)
第三の消去パワーBp11決定方法として消去比とともに信号の変調度を評価する方法がある。この決定方法においても第一の決定方法と同様に、消去特性のパワーマージンを測定する。更に、同様の順序で消去パワーBp1aを変化させながらnTパターンのオーバーライトを10回行い、信号の変調度、もしくはC/Nを測定する。測定の結果を図12に示す。ここで、図10もしくは図11で算出された消去特性と図12の結果から、変調度の低下が飽和部分から1dB以内の範囲で最も消去率の高くとれる消去パワーBp1aを消去パワーBp11の値として決定する。
【0066】
又、この他の方法として、評価指標にnTO.W.mT消去比以外にジッタ、bERを用いる方法もある。
【0067】
第四の消去パワーBp11決定方法としては、第一の決定方法と同様の順序で、消去パワーBp1aを変化させつつ、kTパターンと、(m+1)Tパターンのピュアトーンジッタの測定を行い、最もジッタのマージンが広くなるように消去パワーBp1を決定し、これを消去パワーBp11の値として決定処理完了とする。ここで、kは変調法則に用いられる最疎符号であるとする。
【0068】
第三のステップ(ST003)では再生信号のアシンメトリが規格値以下になるように記録パワーPpが決定される。本ステップでも、第二のステップと同様、記録パワーPpを低いパワーから高いパワーに順に変化させつつ、テストデータの記録と評価指標の測定を行う。ここで、消去パワーBp1,Bp2,Bp3の値は第二のステップで決定された値が用いられる。パルス幅は第一のステップで決定した値が用いられる。
【0069】
第三のステップにおけるアシンメトリの評価指標としては上述で定義したアシンメトリ1、及びアシンメトリ2、アシンメトリ3を利用することが出来る。又、第四のステップで再び詳細なアシンメトリの補正が行われるので、本ステップでは例えば全体のバランスを整えるアシンメトリ1もしくはアシンメトリ3のみを補正する様にしてもよい。
【0070】
この場合、アシンメトリの測定は、例えばランダムデータの記録を行い、この再生信号波形のA/D変換結果及び復号の結果から、図3に示したI13H、I13L、I2H、I2Lの値を検出し、上述の式(1)で計算を行うことで可能となる。
【0071】
アシンメトリを直接測定することが困難な場合は図13に示す方法を用いることができる。図13に示された信号は信号の中心が自動的にスライスレベルSLになるようにデューティーフィードバックをかけた信号である。この信号のHighレベルA1と、lowレベルA2を測定し、以下の値S1を得る。
【0072】
S1={(A1−SL)+(A2−SL)}/(A1−A2)・・・(10)
この値を0にするように補正することで、アシンメトリ1を0にするのとほぼ同様の効果を得ることが可能となる。又、この方法はスライスレベルSLが0の場合、すなわちDCカットされた信号に対しても適応することが出来る。このとき記録するテストデータとしては、ユーザーデータと同様なランダムデータを用いても良いし、例えば、図14に示すようなアシンメトリを測定する2種類のパターン、hTとkTを組み合わせたデータでも良い。ここで、hは最密符号であり、kは最疎符号である。
【0073】
又図15に示すようなhTパターン及び、kTパターンをそれぞれテストデータとして独立に記録、再生し、hTパターン及びkTパターンの中心電圧をそれぞれ測定した後、この差ΔVを評価指標をして用い、これを0にするように補正しても、アシンメトリ1を0にするのとほぼ同様の効果が得られる。
【0074】
図16(a)に第三のステップで得られる記録パワーPpの設定値と評価指標(アシンメトリ1,S,ΔV)の変化の状態を示す。図16(a)から規格値の上限及び下限と測定値の交点の記録パワーPpの値PpHとPpLを算出し、以下の式に従って、記録パワーPpを決定する。
【0075】
Pp=(PpH+PpL)/2 ・・・(11)
又、図16(b)のようにアシンメトリ1の絶対値をとった値を評価指標としてプロットしても同様の結果が得られる。
【0076】
又、式(11)を利用せず規格値を満たした時点でその値を記録パワーPpとして決定しても良い。
【0077】
第四のステップ(ST004)では再生信号のシンメトリを更に細かく補正するように、時間Tsfp1、Telp1、Tlc1が決定される。本ステップでは、例えば時間Tsfpの値を大きな値から順に小さな値に変化させつつ、テストデータの記録と評価指標の測定を行う。ここで、記録パワーPpの値は第三のステップで、消去パワーBp1,Bp2,Bp3の値は第二のステップで決定された値が用いられる。パルス幅は第一のステップで決定した値が用いられる。
【0078】
第四のステップにおけるアシンメトリの評価指標としては上述で定義したアシンメトリ1、及びアシンメトリ2を利用することが出来る。又、本ステップでは詳細なアシンメトリの補正を行うことが可能なであり、大まかな補正を第三のステップで完了しているので、ここでは例えば評価指標として感度の高いアシンメトリ2のみを補正するようにしてもよい。
【0079】
この場合、アシンメトリの測定は、例えば再生信号波形のA/D変換結果及び、復号の結果から、I3H、I3L、I2H、I2Lの値を検出し、上述の式(2)で計算を行うことで可能となる。
【0080】
一方、このようにアシンメトリを直接測定することが困難な場合は図17に示す方法を用いることができる。この場合、テストデータとして図17(a)に示すようなqTと(q+1)Tのマークとスペースがランダムに出現するパターンを利用する。ただし、qは最密符号であるとする。更に、図17(b)に示される信号は図17(a)の信号を記録して、再生した際の再生信号を中心がスライスレベルSLになるようにデューティーフィードバックをかけた信号である。この信号のHighレベルB1と、lowレベルB2を測定し、以下の値S2を得る。
【0081】
S2={(B1−SL)+(B2−SL)}/(B1−B2)・・・(12)
この値を0にするように補正することで、アシンメトリ2を0にするのとほぼ同様の効果を得ることが可能となる。又、この方法はスライスレベルが0の場合、すなわちDCカットされた信号に対しても適応することが出来る。
【0082】
又qTパターン及び、(q+1)Tパターンをそれぞれテストデータとして独立に記録、再生し、qTパターン及び(q+1)Tパターンの中心電圧をそれぞれ測定した後、この差ΔVを評価指標をして用い、これを0にするように補正しても、アシンメトリ2を0にするのとほぼ同様の効果が得られる。
【0083】
図18(a)に第四のステップで得られる時間Tsfp、Telp、Tlcの設定値と評価指標(アシンメトリ2,S2,ΔV)の変化の状態を示す。図18(a)から例えば規格値の上限及び下限と測定値の交点の時間Tsfpの値TsfpHとTsfpLを算出し、以下の式に従って、時間Tsfpを決定する。
【0084】
Tsfp1=(TsfpH+TsfpL)/2 ・・・(13)
又、式(13)を利用せず規格値を満たした時点で、その値を記録パワーPpとして決定しても良い。
【0085】
この他の評価指標として、信号のエラーレートもしくは、推定bERを利用してもよい。この場合もアシンメトリと同様に時間Tsfpを大きい値から順に小さい値へ変化させつつ信号の評価を行うと図18に示すようなグラフが得られる。ここで、評価指標に関する規格閾値との交点の値をTsfpHとTsfpLとする。Tsfp1は式(13)によって決定される。
【0086】
時間Telp,Tlcも同様な方法で決定される。
【0087】
第五のステップ(ST005)では長いマークの再生波形の歪みが小さくなるように時間Temp1が決定される。第五のステップでは時間Tempを小さい値から大きい値に変化させつつテストデータの試し書きと評価指標の測定を行う。ここで、記録パワーPpの値は第三のステップで、消去パワーBp1,Bp2,Bp3の値は第二のステップで決定された値が用いられる。時間Tefp,Tsmp,Tslpは第一のステップ、時間Tsfp,Telp,Tlcは第四のステップで決定した値が用いられる。
【0088】
第五のステップにおける評価指標としては上記の2次高調波を利用することが出来る。テストデータにはsTパターンを利用する。ここで、sは最疎符号、もしくは比較的長い符号、例えば5T以上の符号である。
【0089】
2次高調波を直接測定することが困難な場合は、図19に示す様にsTパターンを記録再生し以下の式に従ってS3を評価すれば良い。
【0090】
S3={(C1−SL)+(C2−SL)}/(C1−C2)・・・(14)
この値を0にするように補正することで、2次高調波を低減することとほぼ同様の効果を得ることが可能となる。
【0091】
図20に第五のステップで得られる時間Temp1の設定値と評価指標の変化の状態を示す。ここで、図20(a)はS3を評価指標とした場合、図20(b)は2次高調波を評価指標とした場合である。図20(a)及び(b)から評価指標の上限及び下限もしくは閾値と測定値の交点の時間Tempの値TempLとTempHを算出し、以下の式に従って、Tempを決定する。
【0092】
Temp1=(TempH+TempL)/2 ・・・(15)
又、式(15)を利用せず規格値を満たした時点でその値をTemp1として決定しても良い。
【0093】
信号のエラーレートもしくは、推定bERを利用してもよい。この場合も同様に時間Tempを小さい値から順に大きい値へ変化させつつ信号の評価を行うと図20(a)に示すようなグラフが得られる。
【0094】
第六のステップ(ST006)では補償テーブルが決定される。本ステップでは再生信号の非線形性、即ち理想波形との差分を取り除くように、連続するスペースやマーク符号の組み合わせ、あるいはマーク及びスペースの配列に応じて時間Tsfp、Telpが適応的に設定される。図21に示すテーブルは、直前のスペース、もしくは直後のスペースに対応して記録するマークの時間Tsfp、Telpの値を設定するためのものであり、補償テーブルと呼ばれる。
【0095】
第七のステップ(ST007)ではランダム信号を記録し、最終評価指標である再生信号のエラーレートもしくはそれと相関の高い評価指標、例えば推定bERを用いてBp1の微調整を行う。Bp1の値を変化させながら、ランダム信号を10回オーバーライトを行い、そのつど評価指標の評価を行う。又、Bp1の値は小さいほうから順番に上昇させていく。図22に測定の結果を示す。図22の曲線から、規格閾値との交点となるBp12L,Bp12Hを決定し、下記の式からBp12を決定する。
【0096】
Bp12=(Bp12H+Bp12L)/2 ・・・(16)
第八のステップ(ST008)ではランダム信号を記録し、最終評価指標である再生信号のエラーレートもしくはそれと相関の高い評価指標、例えば推定bERを用いて記録パワーPpの微調整を行う。記録パワーPpの値を変化させながら、ランダム信号を10回オーバーライトを行い、そのつど評価指標の評価を行う。又、記録パワーPpの値は小さいほうから順番に上昇させていく。図23に測定の結果を示す。図23の曲線から、規格閾値との交点となるPp2Lを決定し、下記の式からPb2を決定する。
【0097】
Pp2=Pp2L×α ・・・(17)
ここで、αは媒体の特性によって定められた係数であり、リードインエリアの物理フォーマット情報等に記録された値である。
【0098】
第九のステップ(ST009)では時間TsfpとTelpの補償テーブルが再計算される。本ステップでは第六のステップと同様の方法で補償量の決定を行う。
【0099】
第十のステップ(ST010)では最終的に決定されたライトストラテジを使用して記録されたランダム信号のエラーレートと、もしくはそれに相関を持った評価指標の測定を行う。この値が、規格値よりも良好であれば、上記ステップにて決定したライトストラテジをライトストラテジの最終決定値とする。もし、評価された値が規格値よりも悪い場合は以前のステップに戻ってライトストラテジの決定を再開する。又、対象とする光ディスクがランドアンドグルーブ記録方式の光ディスクであれば、同様の工程をランドとグルーブに対して行う。
【0100】
本実施例に係るライトストラテジ決定方法は、いずれの段階でも評価指標として最密符号を含む信号のジッタを使用していない。従って、最密符号の信号振幅が小さく、スライス方式による2値化、ジッタ測定が行えないような高密度記録に対しても適応することが可能である。又、工程の途中で記録パワー及びパルス幅の両方を調整することにより信号のアシンメトリを低減している。この結果、PRML識別方式など振幅方向の情報を利用するような識別方式に対して適応しても高い効果を得ることが出来る。
【0101】
又、本願で定義された最密符号と、その次に密な符号のアシンメトリであるアシンメトリ2を用いることにより、より理想的な信号を記録することが出来る。特に、記録パワーを変化させるよりもパルス幅を変化させる方がより細かな調整が可能であるため、記録パワーをランダム信号全体のバランスをとるためのアシンメトリで評価、決定し、パルス幅をアシンメトリ2で決定することで、どのような媒体に対しても全体のバランスと、最密符号とその次の符号の信号のバランスを両立した調整を行うことが可能である。
【0102】
又、2次高調波、エラーレートの評価によって中間パルスの幅である時間Tempを調整する行程を設けたことで、比較的長い記録マークの前後非対称を取り除くことが可能である。この結果、PRML識別方式など振幅方向の情報を利用するような識別方式に対して適応しても高い効果を得ることが出来る。
【0103】
又、それぞれ様々な長さを有するマーク及びスペースの配列に応じた補償テーブルをステップST006のように決定する前に、アシンメトリや、マークの前後非対称性を取り除いているため、補償テーブルの決定の際に、理想的でない結果に収束してしまうことや、発散してしまうことがなく、正常に補償テーブルを決定することが可能となる。すなわち、より短時間及び簡潔に最適なパルス形状を決定することが可能となる。
【0104】
このようなことから、本ライトストラテジ決定方法を用いることで、高密度に記録を行う光ディスクに対しても、再生特性が良く、互換性の高い情報を記録することが可能となる。
【0105】
次に、ライトストラテジ決定方法の第二の実施例について説明を行う。図24に本実施例のフローチャートを示す。本実施例では、第二及び第三のステップ(ST202、ST203)が第一の実施例における第二及び第三のステップ(ST002、ST003)とは異なっており、他のステップは同様である。
【0106】
第一のステップ(ST201)では、前述のステップST001と同様に、記録パワーPp、消去パワーBp1、Bp2、Bp3、時間Tsfp、Tefp、Tsmp、Temp、Tslp、Telp、Tlcのすべてのパラメータに初期値(Pp0、Bp10、Bp20、Bp30、Tsfp0、Tefp0、Tsmp0、Temp0、Tslp0、Telp0、Tlc0)が設定される。更に、消去パワーBp21、Bp31の値もしくは消去パワーBp21、Bp31の関係式、Tefp1、Tslp1もしくはその関係式が決定される。
【0107】
第二のステップ(ST202)では記録パワーPp1の値が決定される。この値は信号の振幅、C/Nもしくは変調度を基準として決定される。このとき、隣接トラックに信号の記録を行い、クロストーク、クロスイレースを考慮した記録パワーPp1を決定することが出来る。
【0108】
第三ステップ(ST203)では消去パワーBp11の値が決定される。この値は信号のアシンメトリを指標としてアシンメトリの値が規格値以下になるように決定される。又、これと同様の効果を上げる指標として信号のエラーレートもしくは、推定bERを利用してもよい。
【0109】
第四のステップ(ST204)では時間Tsfp1、Telp1、Tlc1が決定される。この値は信号のアシンメトリを指標として、アシンメトリの値が規格値以下になるように決定される。
【0110】
第五のステップ(ST205)では時間Temp1が決定される。この値は信号の2次高調波を指標として、2次高調波が十分小さくなるように決定される。又、これと同様の効果を上げる指標として信号のエラーレートもしくは、推定bER、もしくは5T以上の符号のピュアトーン信号のアシンメトリを利用してもよい。
【0111】
第六のステップ(ST206)では記録する信号のパターンに適応的に対応したTsfp1、Telp1の補償テーブルが決定される。
【0112】
第七のステップ(ST207)では消去パワーBp12の値が決定される。この値は信号のエラーレートもしくは、推定bERを指標として決定される。
【0113】
第八のステップ(ST208)では記録パワーPp2の値が決定される。この値は信号のエラーレートもしくは、推定bERを指標として決定される。
【0114】
第九のステップでは再び記録する信号のパターンに適応的に対応したTsfp1、Telp1の補償テーブルが更新される。
【0115】
第十のステップ(ST210)では最終評価指標による再生信号の評価が行われる。ここで、評価結果が規定値以下であれば、この時点の設定値を最終的なライトストラテジとする。又、評価結果が規定値を超えてしまっていれば、ステップをさかのぼって、ライトストラテジの設定を再開する。最終評価指標としては、信号のエラーレートもしくは、推定bERが利用される。このようにして第二の実施例に係るライトストラテジ決定処理が完了する。
【0116】
前述した第一の実施例では、消去特性を主眼に消去パワーBp1を決定し、アシンメトリを主眼に記録パワーPpを決定しているため、場合によっては信号の変調度(振幅)が理想的でない位置に収束する場合があった。媒体の特性によっては比較的、消去特性のマージンが広く変調度のマージンが狭い媒体も存在する。又、隣接したトラックに記録する信号のクロストーク、クロスイレースの影響から、信号の変調度が規定される場合がある。そのような場合には第二の実施例に示したように、先に記録パワーPpを調整することで信号の変調度を決定し、その後消去パワーBp1を決定する。又、信号のアシンメトリは消去パワーBp1と記録パワーPpの比に大きな影響を受けるので、記録パワーPpを固定し、消去パワーBp1を変化させることで、アシンメトリを的確に低減することが可能となる。
【0117】
次にライトストラテジ決定方法の第三の実施例について説明を行う。図25にライトストラテジ決定方法のフローチャートを示す。本実施例では、第二及び第三のステップ(ST302、ST303)が第一の実施例における第二及び第三のステップ(ST002、ST003)とは異なっており、他のステップは同様である。
【0118】
第一のステップ(ST301)では前述のステップST001のように、記録パワーPp、消去パワーBp1、Bp2、Bp3、時間Tsfp、Tefp、Tsmp、Temp、Tslp、Telp、Tlcのすべてのパラメータに初期値(Pp0、Bp10、Bp20、Bp30、Tsfp0、Tefp0、Tsmp0、Temp0、Tslp0、Telp0、Tlc0)が設定される。更に、消去パワーBp21、Bp31の値もしくは消去パワーBp21、Bp31の関係式、Tefp1、Tslp1もしくはその関係式が決定される。
【0119】
第二ステップ(ST302)ではPp/Bp11の値が決定される。この値は信号のアシンメトリを指標としてアシンメトリの値が規格値以下になるように決定される。
【0120】
第三のステップ(ST303)では記録パワーPp1の値が決定される。同時にPp/Bp11から消去パワーBp11の値が決定される。この値は信号の振幅、C/Nもしくは変調度および消去比を基準として決定される。これと同様の効果を上げる指標として信号のエラーレートもしくは、推定bERを利用してもよい。このとき、隣接トラックに信号の記録を行い、クロストーク、クロスイレースを考慮した記録パワーPp1を決定することが出来る。
【0121】
第四のステップ(ST304)では時間Tsfp1、Telp1、Tlc1が決定される。この値は信号のアシンメトリを指標として、アシンメトリの値が規格値以下になるように決定される。
【0122】
第五のステップ(ST305)では時間Temp1が決定される。この値は信号の2次高調波を指標として、2次高調波が十分小さくなるように決定される。又、これと同様の効果を上げる指標として信号のエラーレートもしくは、推定bER、もしくは5T以上の符号のピュアトーン信号のアシンメトリを利用してもよい。
【0123】
第六のステップ(ST306)では記録する信号のパターンに適応的に対応したTsfp1、Telp1の補償テーブルが決定される。
【0124】
第七のステップ(ST307)では消去パワーBp12の値が決定される。この値は信号のエラーレートもしくは、推定bERを指標として決定される。
【0125】
第八のステップ(ST308)では記録パワーPp2の値が決定される。この値は信号のエラーレートもしくは、推定bERを指標として決定される。
【0126】
第九のステップ(ST309)では再び記録する信号のパターンに適応的に対応したTsfp1、Telp1の補償テーブルが更新される。
【0127】
第十のステップ(ST310)では最終評価指標による再生信号の評価が行われる。ここで、評価結果が規定値以下であれば、この時点の設定値を最終的なライトストラテジとする。又、評価結果が規定値を超えてしまっていれば、ステップをさかのぼって、ライトストラテジの設定を再開する。最終評価指標としては、信号のエラーレートもしくは、推定bERが利用される。このようにして第三の実施例に係るライトストラテジ決定処理が完了する。
【0128】
一般的な媒体では、信号のアシンメトリは消去パワーBp1と記録パワーPpの比に大きな影響を受けるが、消去パワーBp1と記録パワーPpの比が一定に保たれている場合、絶対値が変化してもあまりアシンメトリが変化しないという特徴がある。
【0129】
第一の実施例では、消去特性により消去パワーBp1を決定した後、アシンメトリによって記録パワーPpを決定している。このため、場合によっては記録パワーPpが比較的大きな値になり、記録するマークが大きくなってしまい、先に決定した消去パワーBp1では消去特性が悪くなってしまうという可能性がある。これに対し、第三の実施例では、先に消去パワーBp1と記録パワーPpの比を決定し、その後比を保ったまま絶対値を変化させていくことで、変調度や消去比、クロストーク、クロスイレースの最もバランスの取れたライトストラテジを決定することが出来る。
【0130】
又、信号のアシンメトリは第一のレベルと第二のレベルの比に大きく依存し、又、消去特性は消去パワーに、変調度は記録パワーに、単一周波数信号のジッタは両方のパワーに依存することが分かっている。
【0131】
アシンメトリを最適化するために消去パワーと記録パワーの比を調整し、消去特性、もしくは変調度、もしくは単一周波数信号のジッタを最適化するように、第一のレベルと第二のレベルの絶対値を決定することで、より短時間に精度良く最適なパルスのレベルを決定することが出来る。
【0132】
次に、(1,10)RLL変調を用いて変調されたユーザーデータ(ランダムデータ)再生信号の評価について説明する。RLLはランレングス制限の略で、(1,10)RLL変調とは、チャネルビット”0”もしくは”1”の連続数の上限を11に制限し、連続数の下限を2に制限した変調規則である。即ち、(1,10)RLL変調の条件下で記録された光ディスクには、チャネルビット”0”もしくは”1”が連続して2個〜11個の範囲で出現する。
【0133】
図27は、(1,10)RLL変調を用いて変調されたユーザーデータ(ランダムデータ)再生信号のアイパターンを示す。(1,10)RLL変調では、データの変調に用いられた最も短い符号は2T(チャネルビット”0”もしくは”1”が2個しか連続しないパターン)、最も長い符号は11T(チャネルビット”0”もしくは”1”が11個連続するパターン)は11Tとなる。したがって、アイパターンにおいて最も振幅の小さい信号が2Tパターンの再生信号である。ここで、2Tパターンの再生信号の最も高いレベルをI2H(=IaH)、最も低いレベルをI2L(=IaL)と定義する。また、2Tパターンの振幅をI2(=Ia)と定義する。次に大きい振幅の信号は3Tパターンの再生信号である。この、3Tパターンの再生信号に対しても2Tパターンと同様にI3H(=IbH)、I3L(=IbL)、I3(=Ib)を定義する。一方、最も振幅の大きい信号は11Tパターンの再生信号である。この11Tパターンの再生信号に対しても2Tパターンと同様にI11H(=IcH)、I11L(=IcL)、I11(=Ic)を定義する。
【0134】
ここで、本実施例における再生信号の評価指標である二つのアシンメトリの定義について説明を行う。一つ目のアシンメトリであるアシンメトリ4:AS2T11T’はランダムデータ全体のエンベロープに対する2Tパターンのアシンメトリで、以下のように定義する。
【0135】
AS2T11T’={(I11H+I11L)/2−(I2H+I2L)/2}}/I11×100% ・・・(18)
二つ目のアシンメトリであるアシンメトリ5:AS2T3T’は特に識別を誤りやすいと考えられる3Tパターンと2Tパターンのアシンメトリで、以下のように定義する。
【0136】
AS2T3T’={(I3H+I3L)/2−(I2H+I2L)/2}}/I11×100% ・・・(19)
ここで、(I13H+I13L)/2はI13の中心レベル、(I3H+I3L)/2はI3の中心レベル、(I2H+I2L)/2はI2の中心レベルである。
【0137】
さらに、三つ目のアシンメトリであるアシンメトリ6:AS3T11T’はエンベロープに対する3Tパターンのアシンメトリで、以下のように定義する。
【0138】
AS3T11T’={(I11H+I11L)/2−(I3H+I3L)/2}}/I11×100% ・・・(20)
式(18)で定義されたアシンメトリ4は、上記説明したアシンメトリ1に対応している。これに対し、ここでは式(19)及び式(20)のアシンメトリを新たに定義している。式(18)で定義されたアシンメトリ5は上記説明したアシンメトリ2に対応したものである。ただし、除算の分母を最も長い符号である11Tパターンの振幅I11としたことにより、式(19)は式(20)から式(18)を引き算した形になっている。したがって、式(20)と式(18)の値を求めれば、式(19)の結果を同時に得られることになり利便性が高まる。また、振幅の小さな3Tを基準とするのではなく、最も振幅の大きな11Tを基準とすることで、測定の精度が高まる。式(19)は変調法則で使用される符号の中で、特に識別誤りを起こしやすい最短符合とその次の長さの符号、ここでは2T符号と3T符号の信号レベルのずれを評価するのに用いることが出来る。このアシンメトリ5が0に近いということは、2T符号と3T符号の再生信号が振幅方向に理想的な関係にあることを意味している。したがって、このアシンメトリ5が0に近ければ、高密度に記録された光ディスクにおいて、識別誤りが低くなる。特にPRML識別方式のような振幅方向の情報を利用した識別方式を用いる光ディスクにおいてはその効果が高い。さらに、このアシンメトリ5が0に近い信号が記録された媒体は信号が理想状態に近いため、互換性の高い媒体となる。
【0139】
式(20)で定義されたアシンメトリ6は上記説明したアシンメトリ3に対応しており、変調法則で使用される符号の中で最も長い符号と、最も短い符号の次に長い符号、ここでは11T符号と3T符号の信号レベルのズレを評価するのに用いることが出来る。高密度な記録を行う光ディスクにおいては、最密の符号である2T符号の信号は非常に振幅が小さく、測定が難しい場合がある。これに対し、3T符号の13T符号に比べれば信号の振幅は十分小さいが、2T符号の信号に比べれば比較的振幅が大きい。したがって、このアシンメトリ3を信号の評価に用いれば、アシンメトリ4とほぼ同じ効果を、比較的簡単に得ることが出来る。
【0140】
続いて上述のように定義したアシンメトリと再生信号のエラーレートとの関係を表す測定の結果について説明を行う。測定に用いる光ディスク装置は、図4に示す通りである。光ディスク装置は信号処理にPRML識別方式を用いている。また評価指標測定回路018では、アシンメトリ4、アシンメトリ5、アシンメトリ6及び、エラーレートを測定することが可能である。
【0141】
図28は、アシンメトリ5と再生信号のエラーレートの関係を示す図である。また、図29は、アシンメトリ4及びアシンメトリ6と再生信号のエラーレートの関係を示す図である。アシンメトリの各測定結果としては、実際には正の値だけでなく負の値も取るが、ここでは、正の値のみを図示している。
【0142】
図28と図29の結果から、情報記録媒体の互換性を保つための条件が導かれる。一般に、情報記録媒体の復調誤り率は、実用上問題が発生しない条件として1.0×10−4以下である必要がある。これは、復調誤り率が1.0×10−4を下回っていれば、誤り訂正符号によって誤りを訂正し、正しい情報を読み出すことが可能となるからである。逆に、1.0×10−4を上回っている場合、誤り訂正符号を用いても、訂正不可能な誤りが増加し、ユーザーデータの正確な復調が困難になる。
【0143】
図28と図29を比較すると、アシンメトリ4及びアシンメトリ6に対して、アシンメトリ5は感度が高いため、アシンメトリ5は、アシンメトリ4及び6よりも小さい値であっても、1.0×10−4に達することがわかる。したがって、アシンメトリ5は、アシンメトリ4及びアシンメトリ6よりも常に小さい値に抑える必要がある。
【0144】
このことから、アシンメトリ4とアシンメトリ5、もしくはアシンメトリ6とアシンメトリ5の比較によって再生信号の評価が可能となる。すなわち、アシンメトリ4またはアシンメトリ6に対してアシンメトリ5が十分に小さければ、その再生信号は理想的な状態に近く、反対にアシンメトリ5が大きければ、その再生信号は理想的な状態からかけ離れているということが判断できる。
【0145】
また、図28及び図29から再生信号が理想的な状態に近く、互換性の高い媒体であることを判定するための判定基準を導き出すことができる。本発明の判定基準を式(21)から式(25)に示す。
【0146】
本発明は、次のような判定基準により再生信号を評価する。つまり、アシンメトリ4、アシンメトリ5、アシンメトリ6に範囲を設定し、さらにアシンメトリ4及びアシンメトリ6の範囲に対して、アシンメトリ5の範囲を狭くする。これにより、再生信号の品質の判定がより正確になり、この条件を満たす情報記録媒体であれば、高い互換性を実現できるといえる。
【0147】
また、再生信号のエラーレートを1.0×10−4規定値以下に押さえる為には図29の結果から、規格値E,F,GおよびHを15%以下にする必要があることがわかる。情報記録媒体のアシンメトリ4及び6を15%以下に抑えれば、平均的には、実用上問題の無い再生安定性を得ることができる。また、規格値E,F,GおよびHを15%以下にすれば、平均的には再生信号のエラーレートが1.0×10−4をしたまわり、実用上問題のない情報記録媒体を提供することができる。さらに、規格値E,F,GおよびHを10%以下にすると、ほとんどすべての情報記録媒体で再生信号のエラーレートが1.0×10−4をしたまわる。したがって、情報記録媒体のアシンメトリ4及び6を10%以下に抑えれば、十分にマージンを持って、高い互換性及び再生安定性を確保することができる。また、規格値E,F,GおよびHを10%以下の値に設定すれば、十分にマージンを持った再生安定性と、互換性の高い情報記録媒体を提供することが可能となる。
【0148】
一方、図28の結果から、再生信号のエラーレートを1.0×10−4規定値以下に押さえる為には規格値IおよびJを4%以下にする必要があることがわかる。情報記録媒体のアシンメトリ5を4%以下に抑えれば、平均的には実用上問題の無い再生安定性を得ることができる。また、規格値IおよびJを4%以下にすれば、平均的には再生信号のエラーレートが1.0×10−4をしたまわり、実用上問題のない情報記録媒体を提供することができる。規格値E,F,GおよびHを15%以下にすれば、平均的には再生信号のエラーレートが1.0×10−4をしたまわり、実用上問題のない情報記録媒体を提供することができる。さらに、規格値IおよびJを3%以下にすると、ほとんどすべての情報記録媒体で再生信号のエラーレートが1.0×10−4をしたまわる。したがって、情報記録媒体のアシンメトリ5を3%以下に抑えれば、十分にマージンを持って、高い互換性及び再生安定性を確保することができる。また、規格値IおよびJを3%以下の値に設定すれば、十分にマージンを持った再生安定性と、互換性の高い情報記録媒体を提供することが可能となる。
【0149】
図30及び図31は、上記した評価方法をまとめたフローチャートである。つまり、図30に示すように、例えば、{(I3H+I3L)/2−(I2H+I2L)/2}}/I11×100に基づき品質が評価される(ST11)。このとき、{(I3H+I3L)/2−(I2H+I2L)/2}}/I11×100の値が、−4以上、4以下を満たせば(又は−3以上、3以下を満たせば)(ST12、YES)、品質はOKであると判断される(ST13)。逆に、満たさなければ(ST12、NO)、品質はNGであると判断される(ST14)。
【0150】
或いは、図31に示すように、{(I11H+I11L)/2−(I3H+I3L)/2}}/I11×100に基づき品質が評価される(ST21)。このとき、{(I11H+I11L)/2−(I3H+I3L)/2}}/I11×100の値が、−15以上、15以下を満たせば(又は−10以上、10以下を満たせば)(ST22、YES)、品質はOKであると判断される(ST23)。逆に、満たさなければ(ST22、NO)、品質はNGであると判断される(ST24)。
【0151】
図30及び図31に示す評価方法により品質OKであると判断された光ディスク(図26に示す)に対する情報記録処理を図32に示す。図4に示す光ディスク装置が、光ディスクに対して情報を記録する。つまり、記録波形生成回路41、LDドライバ44、光ピックアップ46が、光ディスクに対して情報を記録する。
図32に示すように、{(I3H+I3L)/2−(I2H+I2L)/2}}/I11×100の値が−4以上、4以下(又は−3以上、3以下)を満たすように、光ビームを照射して情報を記録する(ST31)。或いは、{(I11H+I11L)/2−(I3H+I3L)/2}}/I11×100の値が−15以上、15以下(又は−10以上、10以下)を満たすように光ビームを照射して情報を記録する(ST31)。目的の情報の記録が終了するまで記録処理は継続される(ST32)。
【0152】
図30及び図31に示す評価方法により品質OKであると判断された光ディスク(図26に示す)からの情報再生処理を図33に示す。つまり、図32に示す情報記録処理により情報が記録された光ディスクからの情報再生処理を説明する。図4に示す光ディスク装置が、光ディスクから情報を再生する。つまり、LDドライバ44、光ピックアップ46、フォトディテクタ(PD)50、プリアンプ51、信号処理回路52が光ピックアップからの情報を再生する。図33に示すように、光ディスクに対して光ビームが照射され(ST41)、光ディスクからの反射光が検出され(ST42)、反射光検出信号に基づき光ディスクに記録されていた情報が再生される(ST43)。このときの再生信号の評価指標は、所定の基準値を満たす。つまり、{(I3H+I3L)/2−(I2H+I2L)/2}}/I11×100の値が−4以上、4以下(又は−3以上、3以下)を満たす。或いは、{(I11H+I11L)/2−(I3H+I3L)/2}}/I11×100の値が−15以上、15以下(又は−10以上、10以下)を満たす。よって、高精度再生が可能となる。
【0153】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、情報記録媒体の再生信号品質を明確に評価することが可能な再生信号評価方法、再生特性が良く互換性の高い情報記録媒体、情報記録媒体から精度良く情報を再生する情報再生装置及び情報再生方法、及びこの情報記録媒体に対して再生特性が良く互換性の高い情報を記録する情報記録方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザー光の記録波形及び情報がマークとして記録されたトラックを示す模式図。
【図2】情報を示すNRZI信号波形と記録波形の対応関係を示すライトストラテジを説明するための図。
【図3】ライトストラテジを利用して記録したユーザーデータ(2Tから13Tのパターン)の再生信号波形すなわちアイパターンを示す図。
【図4】本発明に係る光ディスク装置の一実施例を示す図。
【図5】消去パワーBp1を変化させた場合のアシンメトリ1、アシンメトリ2と、再生信号のエラーレート(bER)測定結果を示す図。
【図6】時間Tsfpを変化させた場合のアシンメトリ1、アシンメトリ2と再生信号のエラーレート測定結果を示す図。
【図7】時間Tempを変化させた場合の2次高調波と、記録再生信号のエラーレートの測定の結果を示す図。
【図8】第一の実施例に係るライトストラテジ決定方法を示すフローチャート。
【図9】第一の消去パワーBp11決定方法を示すフローチャート。
【図10】消去パワーBp1とnTO.W.mT消去比を関係を示す図。
【図11】第二の消去パワーBp11決定方法を説明するための図。
【図12】第三の消去パワーBp11決定方法を説明するための図。
【図13】アシンメトリを測定するための他の方法を示す図。
【図14】アシンメトリを測定する他の方法を示す図。
【図15】アシンメトリを測定する他の方法を示す図。
【図16】記録パワーPpの設定値と評価指標(アシンメトリ1,S,ΔV)の変化の状態を示す図。
【図17】アシンメトリを測定する他の方法を示す図。
【図18】時間Tsfp、Telp、Tlcの設定値と評価指標の変化の状態を示す図。
【図19】2次高調波を測定する他の方法を示す図。
【図20】時間Temp1の設定値と評価指標の変化の状態を示す図。
【図21】直前のスペースもしくは直後のスペースに対応して記録するマークの時間Tsfp、Telpの値を設定するための補償テーブルを示す図。
【図22】消去パワーBp1と評価指標(エラーレート、推定bER)の関係を示す図。
【図23】記録パワーPpと評価指標(エラーレート、推定bER)の関係を示す図。
【図24】ライトストラテジ決定方法の第二の実施例を示すフローチャート。
【図25】ライトストラテジ決定方法の第三の実施例を示すフローチャート。
【図26】光ディスクの構成を簡単に示す図。
【図27】ライトストラテジを利用して記録したユーザーデータ(2Tから11Tのパターン)の再生信号波形すなわちアイパターンを示す図。
【図28】アシンメトリ5と再生信号のエラーレートの関係を示す図である。
【図29】アシンメトリ4及びアシンメトリ6と再生信号のエラーレートの関係を示す図である。
【図30】再生信号評価方法の第1例を示すフローチャートである。
【図31】再生信号評価方法の第2例を示すフローチャートである。
【図32】再生信号評価方法により評価されたときに所定の基準値を満たすように、情報を記録する情報記録処理を示すフローチャートである。
【図33】再生信号評価方法により評価されたときに所定の基準値を満たすように情報が記録された情報記録媒体から情報を再生する情報再生処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
40…光ディスク、41…記録波形生成回路、42…CPU、43…テストデータ記憶装置、44…LDドライバ、45…切替器、46…光ピックアップ、47…アクチュエータドライバ、48…評価指標測定回路、49…サーボ回路、50…フォトディテクタ(PD)、51…プリアンプ、52…信号処理回路、53…ユーザインターフェース
Claims (10)
- 長さの異なる複数の符号から構成される情報を記録した情報記録媒体から再生される再生信号を評価する再生信号評価方法であって、
前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の再生信号の最大値をIaH、最小値をIaLとし、
前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の次に短い符号の再生信号の最大値をIbH、最小値をIbLとし、
前記情報記録媒体から再生される最も長い符号、もしくは最も短い符号に対して3倍以上長い符号の再生信号の振幅をIcとするとき、
{(IbH+IbL)/2−(IaH+IaL)/2}}/Ic×100に基づいて前記再生信号を評価することを特徴とする再生信号評価方法。 - 長さの異なる複数の符号から構成される情報を記録した情報記録媒体から再生される再生信号を評価する再生信号評価方法であって、
前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の次に短い符号の再生信号の最大値をIbH、最小値をIbLとし、
前記情報記録媒体から再生される最も長い符号、もしくは最も短い符号に対して3倍以上長い符号の再生信号の振幅をIc、最大値をIcH、最小値をIcLとするとき、
{(IcH+IcL)/2−(IbH+IbL)/2}}/Ic×100に基づいて前記再生信号を評価することを特徴とする再生信号評価方法。 - 長さの異なる複数の符号から構成される情報を記録する情報記録媒体であって、
前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の再生信号の最大値をIaH、最小値をIaLとし、
前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の次に短い符号の再生信号の最大値をIbH、最小値をIbLとし、
前記情報記録媒体から再生される最も長い符号、もしくは最も短い符号に対して3倍以上長い符号の再生信号の振幅をIcとするとき、
{(IbH+IbL)/2−(IaH+IaL)/2}}/Ic×100の値が−4以上、4以下を満たすことを特徴とする情報記録媒体。 - 長さの異なる複数の符号から構成される情報を記録する情報記録媒体であって、
前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の再生信号の最大値をIaH、最小値をIaLとし、
前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の次に短い符号の再生信号の最大値をIbH、最小値をIbLとし、
前記情報記録媒体から再生される最も長い符号、もしくは最も短い符号に対して3倍以上長い符号の再生信号の振幅をIcとするとき、
{(IbH+IbL)/2−(IaH+IaL)/2}}/Ic×100の値が−3以上、3以下を満たすことを特徴とする情報記録媒体。 - 長さの異なる複数の符号から構成される情報を記録する情報記録媒体であって、
前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の次に短い符号の再生信号の最大値をIbH、最小値をIbLとし、
前記情報記録媒体から再生される最も長い符号、もしくは最も短い符号に対して3倍以上長い符号の再生信号の振幅をIc、最大値をIcH、最小値をIcLとするとき、
{(IcH+IcL)/2−(IbH+IbL)/2}}/Ic×100の値が−15以上、15以下を満たすことを特徴とする情報記録媒体。 - 長さの異なる複数の符号から構成される情報を記録する情報記録媒体であって、
前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の次に短い符号の再生信号の最大値をIbH、最小値をIbLとし、
前記情報記録媒体から再生される最も長い符号、もしくは最も短い符号に対して3倍以上長い符号の再生信号の振幅をIc、最大値をIcH、最小値をIcLとするとき、
{(IcH+IcL)/2−(IbH+IbL)/2}}/Ic×100の値が−10以上、10以下を満たすことを特徴とする情報記録媒体。 - 長さの異なる複数の符号から構成される情報を記録する情報記録媒体であって、
前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の再生信号の最大値をIaH、最小値をIaLとし、
前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の次に短い符号の再生信号の最大値をIbH、最小値をIbLとし、
前記情報記録媒体から再生される最も長い符号、もしくは最も短い符号に対して3倍以上長い符号の再生信号の振幅をIc、最大値をIcH、最小値をIcLとするとき、
{(IbH+IbL)/2−(IaH+IaL)/2}}/Ic×100の値の絶対値が{(IcH+IcL)/2−(IbH+IbL)/2}}/Ic×100の値の絶対値よりも小さくなることを特徴とする情報記録媒体。 - 長さの異なる複数の符号から構成される情報が記録された情報記録媒体から再生される最も短い符号の再生信号の最大値をIaH、最小値をIaLとし、前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の次に短い符号の再生信号の最大値をIbH、最小値をIbLとし、前記情報記録媒体から再生される最も長い符号、もしくは最も短い符号に対して3倍以上長い符号の再生信号の振幅をIcとするとき、{(IbH+IbL)/2−(IaH+IaL)/2}}/Ic×100の値が−4以上、4以下を満たし、この情報記録媒体から情報を再生する情報再生装置であって、
前記情報記録領域に対して照射された光ビームの反射光を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された反射光に基づき、長さの異なる複数の符号から構成される情報を再生する再生手段と、
を備えたことを特徴とする情報再生装置。 - 長さの異なる複数の符号から構成される情報が記録された情報記録媒体から再生される最も短い符号の再生信号の最大値をIaH、最小値をIaLとし、前記情報記録領域から再生される最も短い符号の次に短い符号の再生信号の最大値をIbH、最小値をIbLとし、前記情報記録領域から再生される最も長い符号、もしくは最も短い符号に対して3倍以上長い符号の再生信号の振幅をIcとするとき、{(IbH+IbL)/2−(IaH+IaL)/2}}/Ic×100の値が−4以上、4以下を満たし、この情報記録媒体から情報を再生する情報再生方法であって、
前記情報記録領域に対して照射された光ビームの反射光を検出し、
前記検出された反射光に基づき、長さの異なる複数の符号から構成される情報を再生する、
ことを特徴とする情報再生方法。 - 情報記録媒体に対して情報を記録する情報記録方法であって、
長さの異なる複数の符号から構成される情報を前記情報記録媒体に対して記録した結果、前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の再生信号の最大値をIaH、最小値をIaLとし、前記情報記録媒体から再生される最も短い符号の次に短い符号の再生信号の最大値をIbH、最小値をIbLとし、前記情報記録媒体から再生される最も長い符号、もしくは最も短い符号に対して3倍以上長い符号の再生信号の振幅をIcとするとき、{(IbH+IbL)/2−(IaH+IaL)/2}}/Ic×100の値が−4以上、4以下を満たすように、光ビームを照射して情報を記録することを特徴とする情報記録方法。
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