JP2004279429A - 高感度イムノアッセイ法 - Google Patents

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啓 田代
Tasuku Honjo
佑 本庶
Masaya Ikegawa
雅哉 池川
Kazuko Matsumoto
和子 松本
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Abstract

【課題】 より高感度でサイトカインを検出するアッセイ法の提供。
【解決手段】 生体液サンプル中のサイトカインを検出するための時間分解蛍光イムノアッセイ(TR−FIA)法であって:(a)固相に結合した部分と、サイトカインと結合し得る領域とを有する第1の抗体、(b)該サイトカイン、(c)該サイトカインと結合し得る領域と、ビオチンが結合した部分とを有する第2の抗体、(d)ストレプトアビジンまたはアビジンと、ランタノイド金属イオンと錯形成し得る蛍光性構造部分とを有する結合体、および(e)ランタノイド金属イオンが順次結合した複合体を該固相上に形成する工程;および、該ランタノイド金属イオンと錯形成した該蛍光性構造部分の蛍光を測定する工程、を包含する、方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、生体液サンプル中のサイトカインを検出するための時間分解蛍光イムノアッセイ(TR−FIA)法に関し、特に、蛍光性ユウロピウム錯体を利用した、生体液サンプル中のサイトカインを高感度で検出するためのアッセイ法に関する。
正常なヒト血漿などの生体液中に存在する遊離のサイトカインまたはケモカインの濃度は、従来のELISAアッセイの検出限界付近であるか、またはそれ未満である。例えば、検出限界が約6ピコモル(pM)である従来のELISAアッセイによっては、IL−8を、正常なヒト血漿から検出できないことが報告されている(Leonardら(文献1))。生体液サンプル中のケモカイン濃度を正確に測定するためには、測定感度の増大と、生体液サンプル由来の非特異的バックグラウンドの低減とが、主要な課題となる。
近年、ユウロピウム錯体を利用した時間分解蛍光イムノアッセイ法が開発され、臨床への応用が進められている(Kropfら(文献2))。遊離の、錯形成したユウロピウムイオン(Eu3+)の放射波長(615nm)は、励起波長(340nm)にも、ある種のタンパク質による短寿命のバックグラウンド蛍光(350〜600nm)にも影響されないので、好都合である。この原理に基づく分析法の1種が、DELFIA(解離−増強型ランタノイド蛍光イムノアッセイ;Pharmacia)として商業化され、例えば、TNFαおよびIL−6のアッセイに利用されている。しかし、DELFIAによっては、これらサイトカインの血漿中の濃度を正確に測定することには成功していない(Ogataら(文献3))。
松本らのグループは、最近、標識化合物として、4,4’−ビス(1”,1”,1”,2”,2”,3”,3”−ヘプタフルオロ−4”,6”−ヘキサンジオン−6”−イル)−スルホ−o−テルフェニル(BHHCT)−Eu3+錯体を開発した。この錯体は、タンパク質に直接結合させることができ、時間分解型の蛍光測定による高感度の分析を可能にする。(Yuanら(’97)(文献4)およびYuanら(’98)(文献5))。BHHCTはβ−ジケトン構造を有し、Eu3+との結合の安定性定数は1010-1と高い。生じるEu3+錯体の寿命は400マイクロ秒(μs)を超え、吸収および発光波長の極大は330nmおよび615nmと、極めて良好な性質を示す。この錯体は、ヒト血漿中における、腫瘍マーカーであるα−フェトプロテイン(Yuanら(’98)(文献5))、および免疫グロブリンE(IgE)(Yuanら(’97)(文献4))の検出に利用し得ることが示されている。しかし、生体液サンプル中のサイトカインの検出に、上記のようなEu3+錯体が応用された例は未だ知られていない。
ストロマ細胞由来因子−1(SDF−1)は、1993年に骨髄ストロマ細胞系から初めてクローニングされた(Tashiroら(文献6))、ケモカイン・ファミリーに属するサイトカインである。SDF−1はCXCR4レセプターの主要なリガンドであり(Bleulら(文献7)およびOberlinら(文献8))、このレセプターは、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1)のサブグループについて、CD4のコレセプターとして作用することが知られている。さらに、最近の研究によってSDF−1遺伝子の多型が、後天性免疫不全症候群(AIDS)の進行の遅延に関与することが示されている。(例えば、Winklerら(文献9)およびMartinら(文献10))。しかし、その作用機序には複数の説があり、未だ確立されていない。
SDF−1はまた、造血、心臓血管、および神経系の胚形成において必須の役割を果たすことが指摘されている。(例えば、Zouら(文献11)およびTachibanaら(文献12))。他方、成人組織におけるSDF−1の生物学的機能については、未解明の部分が多く残っているのが現状である。
上記のように、生体液サンプル中でSDF−1を正確に定量しモニタリングする手法を開発することは、SDF−1についての理解を深めるうえで極めて重要である。他のケモカインおよびサイトカインについても同様に、生体液サンプル中での正確な測定方法が、学術的および臨床的な貢献をもたし得ることは、いうまでもない。このような観点から、より高感度でサイトカインを検出するアッセイ法が所望されている。
1.生体液サンプル中のサイトカインを検出するための時間分解蛍光イムノアッセイ(TR−FIA)法であって:
(a)固相に結合した部分と、サイトカインと結合し得る領域とを有する第1の抗体、(b)該サイトカイン、(c)該サイトカインと結合し得る領域と、ビオチンが結合した部分とを有する第2の抗体、(d)ストレプトアビジンまたはアビジンと、ランタノイド金属イオンと錯形成し得る蛍光性構造部分とを有する結合体、および(e)ランタノイド金属イオンが順次結合した複合体を該固相上に形成する工程;および、
該ランタノイド金属イオンと錯形成した該蛍光性構造部分の蛍光を測定する工程、を包含し、
ここで、該蛍光性構造部分は、一般式(I)で表される、方法:
Figure 2004279429

(式中、Rはタンパク質と共有結合を形成し得る官能基の残基であり、Arは共役二重結合系を有する炭化水素基であり、nは1以上の整数であり、Xはフッ素原子または一般式(II)
Figure 2004279429

で表される基である)。
2.前記ランタノイド金属イオンがユウロピウムである、項目1に記載の方法。
3.前記蛍光性構造部分が一般式(III):
Figure 2004279429

(式中、R、Ar、およびnは項目1と同義である)
で表される、項目1に記載の方法。
4.前記蛍光性構造部分が4,4’−ビス(1”,1”,1”,2”,2”,3”,3”−ヘプタフルオロ−4”,6”−ヘキサンジオン−6”−イル)−スルホ−o−テルフェニルである、項目3に記載の方法。
5.前記結合体において、ストレプトアビジンまたはアビジン1分子当たり、前記蛍光性構造部分10〜60単位が存在する、項目1に記載の方法。
6.前記蛍光を測定する工程が、前記固相上に形成された複合体を解離させることなく行われる、項目1に記載の方法。
7.前記蛍光を測定する工程が、前記固相上に形成された複合体を解離させた後に行われる、項目1に記載の方法。
8.前記サイトカインがケモカイン・ファミリーに属するサイトカインである、項目1に記載の方法。
9.前記サイトカインがCXCケモカインである、項目8に記載の方法。
10.前記サイトカインがストロマ細胞由来因子−1(SDF−1)である、項目9に記載の方法。
11.前記生体液サンプルが血漿または全血である、項目1に記載の方法。
12.前記複合体を形成する工程に先だって、前記生体液サンプルをサンプル希釈用緩衝液で希釈する工程をさらに包含し、
該サンプル希釈用緩衝液が、0.1〜0.3%のウシ血清アルブミン、0.05〜0.2%のアジ化ナトリウム、および0.5〜1.5%の塩化ナトリウムを含有する、pH7.3〜8.3の0.01〜0.1Mトリス−塩酸である、項目1に記載の方法。
13.前記複合体を形成する工程に先だって、前記生体液サンプルを、前記サイトカインの非変性温度条件下で加熱処理する工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
14.前記蛍光を測定する工程に先だって、前記固相上に形成された複合体を洗浄用緩衝液で洗浄する工程をさらに包含し、
該複合体洗浄用緩衝液が、0.01〜0.1%のポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含有する、pH8.5〜9.5の0.01〜0.1Mトリス−塩酸である、項目1に記載の方法。
15.前記固相が、50〜200ng/cm2のIgG吸着能を有するマイクロタイター・プレートである、項目1に記載の方法。
16.生体液サンプル中のサイトカインを検出するための時間分解蛍光イムノアッセイ(TR−FIA)法のためのキットであって:
固相に結合した部分と、サイトカインと結合し得る領域とを有する第1の抗体;該サイトカインと結合し得る領域と、ビオチンが結合した部分とを有する第2の抗体;ストレプトアビジンまたはアビジンと、ランタノイド金属イオンと錯形成し得る蛍光性構造部分とを有する結合体;および、ランタノイド金属イオンを包含し、
ここで、該蛍光性構造部分は、一般式(I)で表される、キット:
Figure 2004279429

(式中、Rはタンパク質と共有結合を形成し得る官能基の残基であり、Arは共役二重結合系を有する炭化水素基であり、nは1以上の整数であり、Xはフッ素原子または一般式(II)
Figure 2004279429

で表される基である)。
(発明の開示)
本発明は、上記課題の解決を意図するものであって、生体液サンプル中のサイトカインを高感度で、かつ簡便に検出するための方法を提供する。
本発明によれば、生体液サンプル中のサイトカインを検出するための時間分解蛍光イムノアッセイ(TR−FIA)法であって:
(a)固相に結合した部分と、サイトカインと結合し得る領域とを有する第1の抗体、(b)該サイトカイン、(c)該サイトカインと結合し得る領域と、ビオチンが結合した部分とを有する第2の抗体、(d)ストレプトアビジンまたはアビジンと、ランタノイド金属イオンと錯形成し得る蛍光性構造部分とを有する結合体、および(e)ランタノイド金属イオンが順次結合した複合体を該固相上に形成する工程;および、
該ランタノイド金属イオンと錯形成した該蛍光性構造部分の蛍光を測定する工程、を包含し、
ここで、該蛍光性構造部分は、一般式(I)で表される、方法:
Figure 2004279429

(式中、Rはタンパク質と共有結合を形成し得る官能基の残基であり、Arは共役二重結合系を有する炭化水素基であり、nは1以上の整数であり、Xはフッ素原子または一般式(II)
Figure 2004279429

で表される基である)が提供される。
本発明の一実施態様において、上記ランタノイド金属イオンは、ユウロピウムであり得る。
本発明の一実施態様において、上記蛍光性構造部分は一般式(III):
Figure 2004279429

(式中、R、Ar、およびnは上記と同義である)
で表され得る。
本発明の一実施態様において、上記蛍光性構造部分は4,4’−ビス(1”,1”,1”,2”,2”,3”,3”−ヘプタフルオロ−4”,6”−ヘキサンジオン−6”−イル)−スルホ−o−テルフェニルであり得る。
本発明の一実施態様において、上記結合体において、ストレプトアビジンまたはアビジン1分子当たり、上記蛍光性構造部分10〜60単位が存在し得る。
本発明の一実施態様において、上記蛍光を測定する工程は、上記固相上に形成された複合体を解離させることなく行われ得る。
本発明の別の実施態様において、上記蛍光を測定する工程は、上記固相上に形成された複合体を解離させた後に行われ得る。
本発明の一実施態様において、上記サイトカインはケモカイン・ファミリーに属するサイトカインであり得る。
本発明の一実施態様において、上記サイトカインはCXCケモカインであり得る。
本発明の一実施態様において、上記サイトカインはストロマ細胞由来因子−1(SDF−1)であり得る。
あるいは、本発明の一実施態様において、上記サイトカインは、血液循環中に可溶性因子として存在し、微量で生物活性を持つサイトカインであり得る。
あるいは、本発明の一実施態様において、上記サイトカインは、
本発明の一実施態様において、上記サイトカインは、顆粒球−マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)またはインターロイキン2(IL−2)であり得る。
本発明の一実施態様において、上記生体液サンプルは血漿または全血であり得る。
本発明の一実施態様において、上記複合体を形成する工程に先だって、上記生体液サンプルをサンプル希釈用緩衝液で希釈する工程がさらに包含され得、 該サンプル希釈用緩衝液は、0.1〜0.3%のウシ血清アルブミン、0.05〜0.2%のアジ化ナトリウム、および0.5〜1.5%の塩化ナトリウムを含有する、pH7.3〜8.3の0.01〜0.1Mトリス−塩酸であり得る。
本発明の一実施態様において、上記複合体を形成する工程に先だって、上記生体液サンプルを、上記サイトカインの非変性温度条件下で加熱処理する工程がさらに包含され得る。
本発明の一実施態様において、上記蛍光を測定する工程に先だって、上記固相上に形成された複合体を洗浄用緩衝液で洗浄する工程がさらに包含され得、
該複合体洗浄用緩衝液は、0.01〜0.1%のポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含有する、pH8.5〜9.5の0.01〜0.1Mトリス−塩酸であり得る。
本発明の一実施態様において、上記固相は、50〜200ng/cm2のIgG吸着能を有するマイクロタイター・プレートであり得る。
また、本発明によれば、生体液サンプル中のサイトカインを検出するための時間分解蛍光イムノアッセイ(TR−FIA)法のためのキットであって:
固相に結合した部分と、サイトカインと結合し得る領域とを有する第1の抗体;該サイトカインと結合し得る領域と、ビオチンが結合した部分とを有する第2の抗体;ストレプトアビジンまたはアビジンと、ランタノイド金属イオンと錯形成し得る蛍光性構造部分とを有する結合体;および、ランタノイド金属イオンを包含し、
ここで、該蛍光性構造部分は、一般式(I)で表される、キット:
Figure 2004279429

(式中、Rはタンパク質と共有結合を形成し得る官能基の残基であり、Arは共役二重結合系を有する炭化水素基であり、nは1以上の整数であり、Xはフッ素原子または一般式(II)
Figure 2004279429

で表される基である)が提供される。
本発明によって、より高感度でサイトカインを検出するアッセイ法が提供された。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の方法は、時間分解蛍光イムノアッセイ(TR−FIA)法に基づく。「時間分解蛍光イムノアッセイ」とは、本発明におけるランタノイド金属イオン錯体のような長寿命の蛍光を放射し得る蛍光性化合物を用いて、測定対象物を免疫学的反応によって標識し、標識体からの蛍光シグナルを、より短寿命のバックグラウンド蛍光が消失した後に、時間分解型の測定に付するアッセイ法をいう。 本発明の方法は、特に生体液サンプル中のサイトカインを高感度で件検出するために適している。「生体液サンプル」とは、動物、好ましくは哺乳動物、特にヒトの生体から採取される液状物をいい、代表的な例として、血液(すなわち全血)およびその分画物である血漿および血清、ならびに、脳脊髄液、胆汁、羊水、胸水、腹水、気道内分泌液、骨髄液、乳汁、涙液、鼻汁、心内膜液、関節内包液、だ液、精液、尿などが挙げられる。さらに、動物由来の培養細胞の上清液なども、生体液サンプルに含まれ得る。本発明の方法では、全血、血漿、血清、または脳脊髄液を用いるとき、特に、全血または血漿を用いるときに、顕著な効果が奏され得る。なお、生体液サンプルというときは、便宜上、生体液自体と生体液に適切な担体で希釈するなどの処理を施した後の液状サンプルとの両方を含むものとする。
「サイトカイン」とは、生体において細胞間の情報の伝達を担うタンパク性の化学物質をいう。個々のサイトカインについて、標的細胞の表面上に特徴的なレセプターが発現され、このレセプターへの結合によって、細胞増殖、分化などの生理活性が示される。血球の分化と増殖を誘導する「造血因子」と総称されるサイトカインの一群には、顆粒球−マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)を含むコロニー刺激因子(CSF)、幹細胞因子、エリスロポエチン、トロンボポエチンなどが含まれる。リンパ球を制御するインターロイキンには、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−12、IL−13、IL−18などが含まれる。「増殖因子」として総称されるサイトカインの一群には、TGF−βファミリー、EGFファミリー、FGFファミリー、IGFファミリー、NGFファミリー、血小板由来増殖因子(PDGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)などが含まれる。「腫瘍壊死因子」と総称されるサイトカインの一群には、TNF−α、TNF−βなどが含まれる。「インターフェロン」と総称されるサイトカインの一群には、INF−α、INF−β、INF−γなどが含まれる。その他のサイトカインとして、エンドセリン、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)などが知られている。サイトカインの中で、特に、機能的に成熟した血液細胞のいずれかに対して化学走性を与える一群をケモカインという。ケモカインは、そのN−末端領域における保存されたシステインの配置に従って、CC、CXC、C、CXXXCの4つに分類される。
本発明の方法における検出対象は、上記のサイトカインのいずれでもあり得る。さらに、上記のサイトカインの一群に属する新たに発見されるメンバー、あるいは上記のサイトカインの一群に属さない新たに発見されるサイトカインもまた、本発明の方法における検出対象であり得る。特に、本発明の方法は、血液循環中に可溶性因子として存在し、微量で生物活性を持ち、種々の病態に関与するサイトカインに適用される。
本発明の方法における検出対象の例は、上記ケモカイン・ファミリーに属するサイトカインであり得、特にCXCケモカインであり得るが、これらの分類に必ずしも限定はされない。本発明における最も好ましい検出対象の例はSDF−1である。
本発明の方法においては、生体液サンプル中の所望のサイトカインを選択的に捕捉し、標識するために、固相上に当該サイトカイン含む複合体を形成する。具体的には、サイトカイン含有複合体は、適切な固相上において、以下の成分から形成される:
(a)固相に結合した部分と、サイトカインと結合し得る領域とを有する第1の抗体;
(b)サイトカイン;
(c)サイトカインと結合し得る領域と、ビオチンが結合した部分とを有する第2の抗体;
(d)ストレプトアビジンまたはアビジンと、ランタノイド金属イオンと錯形成し得る蛍光性構造部分とを有する結合体;および
(e)ランタノイド金属イオン。
以下、各成分について説明する。
まず、「固相」としては、抗体の結合が可能であり、かつ上記複合体の形成、ならびに後述する蛍光測定を妨げない限り、任意の形状、および材質の固体物質を用い得る。アッセイ法の実施の便宜から、代表的には、マルチウェルタイプのマイクロタイター・プレートが用いられるが、ビーズを充填したカラム(ビーズの材質はセファロース、アガロースなどであり得るが、これらに限定はされない)など他の形状であってもよい。本発明においては、特に中程度のタンパク質吸着能を示す、マイクロタイター・プレートが好適であり得る。ここで「中程度」の吸着能とは、標準タンパク質として免疫グロブリンG(IgG)を吸着させたときに、代表的には約50〜約200ng/cm2、好ましくは約15〜約150ng/cm2、より好ましくは約90〜約120ng/cm2の吸着を示す性質をいう。マイクロタイター・プレートの材質は、好ましくはポリスチレンであり得るが、これに限定はされない。
成分(a)である「第1の抗体」は、上記固相に結合した状態で存在し、かつ所望のサイトカインと抗原−抗体反応により結合し得る抗体である。この意味で、第1の抗体は「捕捉抗体」とも呼ばれる。本明細書において「抗体」とは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fab、(Fab)2、キメラ抗体など、任意のタイプの免疫グロブリン(Ig)および免疫グロブリン由来分子を含んでいう。用語「抗体」は広義に用いられ、免疫グロブリンと同様にサイトカインと結合し得る限り、当該サイトカインをリガンドとするレセプターも含まれる。好ましい抗体の例は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である。種々のサイトカインに対する抗体が市販されており、例えば、R&D System Inc.(ミネソタ州、米国)、Dako Immunoglobulins a/s(デンマーク)、PharMingen(カリフォルニア州、米国)、Southern Biotechnology Associates(アラバマ州、米国)などから入手可能である。あるいは、動物の免疫化、ハイブリドーマ技術などの常法を利用して、所望のサイトカインに対する抗体を作成することができる。
固相への結合は、常法に従って、例えば、マイクロタイター・プレートに第1の抗体を直接コーティングすることにより行われ得る。第1の抗体中の「固相に結合した部分」とは、代表的には、その一部分が固相上に吸着された、抗体のFc領域をいうが、これに限定はされない。例えば、固相および抗体の一部とそれぞれ結合し得る二官能性のリンカー分子を用いることも可能である。
成分(b)、すなわち、生体液サンプル中に存在する所望のサイトカインは、代表的には、上記第1の抗体と結合することにより、固相上に固定化される。サイトカインは必ずしも遊離の状態で第1の抗体と接触する必要はなく、例えば、後述する第2の抗体との結合の後で、第1の抗体と結合してもよい。このように、本発明における複合体の形成は、各成分の結合の順序について限定はされない。
本発明者らは、所望のサイトカインを含有する生体液サンプルを、当該サイトカインと結合し得る抗体にさらす際に、適切な緩衝液で適切な濃度に希釈しておくことが、高感度でのサイトカイン検出のために重要であることを見い出した。生体液サンプルの緩衝液による希釈倍率は、(生体液サンプル:緩衝液)の容量で表したとき、代表的には約1:1〜約1:30、好ましくは約1:2.5〜約1:20、より好ましくは約1:5〜約1:15の範囲にあり得る。希釈倍率の最適値は、生体液サンプルの種類およびサイトカインの種類などによって変動し得、さらにサンプル希釈用緩衝液の組成にも依存し得る。
適切なサンプル希釈用緩衝液は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(「トリス」と略称する)および無機酸から構成される弱アルカリ性の緩衝液であり、代表的にはトリス−塩酸である。そのpHは、代表的には約7.0〜約8.6、好ましくは約7.3〜約8.3であり、より好ましくは約7.5〜約8.1である。濃度は、代表的には約0.005〜約0.2モル(M)、好ましくは約0.01〜約0.1M、より好ましくは約0.025〜約0.075Mである。 サンプル希釈用緩衝液は、さらに適量の血漿タンパク質成分および塩類を含有する。血漿タンパク質成分は、代表的には、血清アルブミンであり、好ましくは、ウシ血清アルブミン(BSA)である。その濃度は、代表的には約0.05〜約0.5%、好ましくは約0.1〜約0.3%、より好ましくは約0.15〜約0.25%であり得る。塩類は、代表的には、アジ化ナトリウム(NaN3)、および塩化ナトリウム(NaCl)である。NaN3の濃度は、代表的には約0.02〜約0.4%、好ましくは約0.05〜約0.2%、より好ましくは約0.05〜約0.15%であり得る。NaClの濃度は、代表的には約0.2〜約3%、好ましくは約0.5〜約1.5%、より好ましくは約0.6〜約0.12%であり得る。
いうまでもなく、サンプル希釈用緩衝液の組成は、上記の条件に限定されることはなく、当業者に容易な種々の改変が許容される。例えば、上記のナトリウム塩の一部または全部を、他のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属の対応する塩で置換することは可能である。サンプル希釈用緩衝液のpHおよび各成分の濃度などの最適値は、検出対象であるサイトカインの種類によって異なる場合があり得、さらに生体液サンプルの希釈倍率にも依存し得る。このような最適化は、当業者による通常の条件設定プロセスの範囲内で行われ得る。
成分(c)である「第2の抗体」は、サイトカインと結合し得る領域を有することにより、第1の抗体と共に、所望のサイトカインをサンドイッチ状に捕捉する。第1の抗体と、第2の抗体とは、互いに干渉することなく、同一のサイトカイン分子の異なる部位(すなわち、異なるエピトープ)を認識する抗ペプチド抗体であることが望ましい。従って、第1の抗体と第2の抗体とが、所望のサイトカインへの結合能に関して、好適な組み合わせをなすことが重要である。例えば、全長のサイトカイン、または複数のエピトープを含むことが知られているかまたは予測される当該サイトカインの断片で適切な動物を免疫して得られる複数のロットのポリクローナル抗体について、好適な組み合わせを選択することができる。あるいは、認識するエピトープが異なる複数のモノクローナル抗体から、好適な組み合わせを選択することができる。このような選択は、例えば、サイトカインの標準溶液を調製して、検討すべき抗体の組み合わせについて常法のELISAを行う予備実験によって、格別の困難なく達成し得る。
第2の抗体はさらに、ビオチンが結合した部分を有することにより、蛍光測定によるサイトカインの検出を可能にする。この意味で、第2の抗体は「検出抗体」とも呼ばれる。ビオチンは、ビタミンHまたは補酵素Rとも呼ばれるビタミンであって、ペプチドなどのアミノ基とアミド結合を形成し得る。第2の抗体は、検出対象であるサイトカインに対する抗体を、常法に従ってビオチン化し精製することによって調製し得る。第2の抗体中の「ビオチンが結合した部分」とは、ビオチン自体と、ビオチンが結合した抗体の一部(代表的には、Fc領域)とを併せていう。必要であれば、ビオチンと抗体の一部とを、それぞれと結合し得る二官能性のリンカー分子を用いて連結させることも可能である。
ここで、「第2の抗体」という表現は、必ずしも単一の分子を意図するものではなく、必要とする機能(すなわち、抗原−抗体反応またはリガンド−レセプター結合によりサイトカインと結合し得る機能、およびビオチンを担持する機能)を果たす限り、任意の構造単位を示し得る。上記の「第1の抗体」についても同様である。例えば、本発明において、所望のサイトカインに対する抗体と、この抗サイトカイン抗体に結合し得るビオチン化された抗IgG抗体との組み合わせを用いることができる。この場合、抗サイトカイン抗体とビオチン化抗IgG抗体との組み合わせは、包括して、「第2の抗体」と称される。ビオチン化抗IgG抗体は、汎用性がある点で便利である。また、所望のサイトカインに対する抗体が、何らかの理由でビオチン化反応に抵抗性である場合に、ビオチン化抗IgG抗体との組み合わせを使用することが有効であり得る。他方、アッセイの手順を簡略化させ、かつサイトカインの検出感度を最大化させる観点からは、第2の抗体として単一の分子を用いることが好ましい。
成分(d)である「結合体」は、ストレプトアビジンまたはアビジンと、ランタノイド金属イオンと錯形成し得る蛍光性構造部分とを有する任意の構造単位であり、代表的には、ストレプトアビジンまたはアビジンと蛍光性構造部分とが直接または間接に共有結合で連結された分子である。ストレプトアビジンは、一般に放線菌のつくる分子量約6万のタンパク質として周知であり、ビオチンと強固に結合する性質を有する。ただし、本発明において「ストレプトアビジン」は、微生物の由来について必ずしも限定されず、ビオチンとの結合能が実質的に維持される限り、他の微生物由来の対応するタンパク質、ならびにそれらの改変物を含み得る。アビジンは、一般に、卵白に含まれる分子量約7万のタンパク質として周知であり、やはりビオチンと強固に結合する性質を有する。本発明において、「アビジン」は、天然の卵白タンパク質に必ずしも限定されず、ビオチンとの結合能が実質的に維持される限り、その改変物を含み得る。
なお、上述の理論から明らかなように、本発明の方法は、成分(c)に代えて、サイトカインと結合し得る領域と、ストレプトアビジンまたはアビジンが結合した部分とを有する抗体を用い、そして成分(d)に代えて、ビオチンと、ランタノイド金属イオンと錯形成し得る蛍光性構造部分とを有する結合体を用いても、達成可能である。
成分(d)の結合体における、ランタノイド金属イオンと錯形成し得る蛍光性構造部分は、対応する蛍光性化合物を、ストレプトアビジンまたはアビジンとの間で直接または間接に共有結合を形成するように反応させて得られる、部分構造をいう。蛍光性構造部分は、以下の一般式(I)で表される:
Figure 2004279429

(式中、Rはタンパク質と共有結合を形成し得る官能基の残基であり、Arは共役二重結合系を有する炭化水素基であり、nは1以上の整数であり、Xはフッ素原子または一般式(II)
Figure 2004279429

で表される基である)。
上記一般式において、残基Rを規定する「タンパク質と共有結合を形成し得る官能基」は、タンパク質中のアミノ酸残基が有する任意の反応性基(代表的には、アミノ基、カルボキシル基、およびヒドロキシル基)と反応して共有結合を形成し得る任意の有機官能基をいう。この官能基の例としては、以下に示す基が挙げられる:
Figure 2004279429

(ただし、Xはハライド原子、−OSO2CH3、−OSO2F、−OSO2CF3、−OSO249、または−OSO2PhCH3-p(Phはフェニル基)から選択され、RAはアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基から選択され、RBはアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、またはアラルキレン基から選択され、pは0〜5であり、qは2〜10である。)
上記一般式において、Arを規定する「共役二重結合系を有する炭化水素基」は、少なくとも3個の共役した二重結合を有する炭化水素基であり、代表的には少なくとも1個のフェニル環を有する2価または3価の芳香族炭化水素基である。炭化水素基の炭素数の上限は特に限定されないが、代表的には約50個以内、好ましくは約30個以内である。ここで、1個以上の炭素がヘテロ原子(例えば、酸素またはイオウ原子)に置換されていてもよい。炭化水素基Arの例としては、以下に示す基が挙げられる:
Figure 2004279429

好ましくは、炭化水素基Arは3価であり、蛍光性構造部分は一般式(III)で表される:
Figure 2004279429

ここで、より好ましいArの例は、4、4’位において2つのβ−ジケトン基と結合するo−テルフェニルである。同様に好ましいArの他の例は、当該o−テルフェニルによるβ−ジケトン基の配置と近似するか、または実質的に同一の空間的距離に、2つのβ−ジケトン基を配置させ得る3価の芳香族炭化水素基である。
上記一般式において、nは1以上の整数であり、代表的には1〜6であり、好ましくは2〜4である。
本発明において、特に好ましい蛍光性構造部分は、4,4’−ビス(1”,1”,1”,2”,2”,3”,3”−ヘプタフルオロ−4”,6”−ヘキサンジオン−6”−イル)−スルホ−o−テルフェニルである。これは、対応する蛍光性化合物である、4,4’−ビス(1”,1”,1”,2”,2”,3”,3”−ヘプタフルオロ−4”,6”−ヘキサンジオン−6”−イル)−クロロスルホ−o−テルフェニル(略して「BHHCT」という)から得られる。BHHCTの構造式を下記に示す:
Figure 2004279429

上記蛍光性構造部分を与える所望の蛍光性化合物は、慣用的な有機合成反応を利用して合成され得る。代表的には、以下の2つの工程からなる手順に従って、合成される:
(第一工程) アセチル化された芳香族化合物と、パーフルオロカルボキシレートエステルとのクライゼン縮合反応を、適切な溶媒中で塩基性触媒(例えば、ナトリウムメチラート)の存在下で行うことによって、アセチル基のCH3−がパーフルオロカルボニル化されたβ−ジケトン化合物を生成する。
(第二工程) β−ジケトン化合物に、タンパク質と共有結合を形成し得る官能基を導入する。例えば、クロロ硫酸を用いるクロロスルホニル化反応によって、芳香環の水素がクロロスルホニル基(ClSO2−)で置換される。各工程後に、必要に応じて、再結晶、沈殿などの精製を行い得る。
得られた蛍光性化合物は、上記第二工程で導入された官能基の種類に応じて、適切な条件下でタンパク質と反応させることで、目的とする蛍光性構造部分を与える。例えば、クロロスルホニル基はタンパク質中のアミノ基と、塩基性の反応条件下で容易にアミドを形成する。
本発明において、成分(d)の結合体は、ストレプトアビジンまたはアビジンを蛍光性化合物で直接標識することによって調製され得る。または、ストレプトアビジンまたはアビジンと他のタンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)とをまず結合させた後、これをさらに標識することによって調製され得る。ストレプトアビジンまたはアビジンと他のタンパク質との結合は、常法に従って、例えばグルタルアルデヒドを用いる架橋反応によって行い得る。
蛍光性化合物によるタンパク質の標識反応は、代表的には、反応に適切なpH(例えば、クロロスルホニル化の場合、pH約9程度)に調節された緩衝液にタンパク質を溶解し、これに、適切な溶媒(例えば、エタノールまたはジメチルホルムアミド)に溶解した蛍光性化合物を、所望のモル比となる量で、添加することによって行い得る。タンパク質に対する蛍光性化合物のモル比、および、蛍光性化合物を含有する溶液の濃度を調節させることによって、タンパク質1分子当たりに結合する蛍光性化合物の比(「結合比」ともいう)を制御することができる。この結合比は、本発明における結合体での、ストレプトアビジンまたはアビジン1分子当たりの蛍光性構造部分の単位数に該当する。結合比は、代表的には5〜100単位、好ましくは10〜60単位であり得る。結合比が小さ過ぎると、十分に高いサイトカイン検出の感度が得られない場合がある。他方、結合比があまり大きくしても、検出感度の向上に役立たない場合がある。
成分(e)であるランタノイド金属イオンが、上記の蛍光性構造部分と錯形成することによって、本発明の方法における、固相上での複合体形成が完成する。ランタノイド金属イオンの例としては、ユウロピウム(Eu)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、およびジスプロシウム(Dy)が挙げられる。ユウロピウム(Eu)が好ましい。ランタノイド金属イオンは、通常、成分(d)の結合体と予め錯形成させた状態で、複合体の形成に利用される。すなわち、通常、上記のストレプトアビジンまたはアビジンとビオチンとの結合が形成される時点で、蛍光性構造部分はすでにEu3+を保持した錯体となっている。もっとも、これとは逆の手順が妨げられるわけではない。
本発明者らは、以上のように固相上に形成された複合体を、蛍光測定を行うに先だって適切な緩衝液で十分に洗浄しておくことが、高感度でのサイトカイン検出のために重要であることを見い出した。ここで、適切な複合体洗浄用緩衝液は、トリスおよび無機酸から構成されるアルカリ性の緩衝液であり、代表的にはトリス−塩酸である。そのpHは、代表的には約8.2〜約9.8、好ましくは約8.5〜約9.5、より好ましくは約8.7〜約9.4である。濃度は、代表的には約0.005〜約0.2M、好ましくは約0.01〜約0.1M、より好ましくは約0.025〜約0.075Mである。
複合体洗浄用緩衝液は、さらに適量の、タンパク質可溶化能を有するノニオン性界面活性剤を含有する。このノニオン性界面活性剤は、代表的には、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートであり、好ましくは「Tween(登録商標)20」の商品名で市販されるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(分子量約1200)である。Tween(登録商標)20と、実質的に同一の性質(例えば、約95〜約115のヒドロキシ価、約35〜約55のケン化価、および約15〜18のHLB(親水性−疎水性バランス))を有する他のノニオン性界面活性剤もまた好ましく使用され得る。ノニオン性界面活性剤の濃度は、代表的には約0.005〜約0.2%、好ましくは約0.01〜約0.1%、より好ましくは約0.025〜約0.075%であり得る。
いうまでもなく、複合体洗浄用緩衝液の組成は、上記の条件に限定されることはなく、当業者に容易な種々の改変が許容される。pHおよび各成分の濃度などの最適値は、検出対象であるサイトカインの種類によって異なる場合があり得る。このような最適化は、当業者による通常の条件設定プロセスの範囲内で行われ得る。
以下に、本発明の方法における、固相上での複合体形成に関する代表的な手順の例を概説する。
1)適切なコーティング用緩衝液で希釈した第1の抗体の溶液を、固相上(例えば96ウェル・マイクロタイタープレートのウェル)に適用し、インキュベートすることによって、第1の抗体を固相に固定化する。コーティング用緩衝液としては、例えば、適量のNaClを含有するリン酸緩衝液を用い得る。インキュベートの条件は、代表的には、約2〜6℃程度にて約20時間以上である。
2)次いで、第1の抗体でコーティングされた固相の表面を、洗浄用緩衝液で数回洗浄する。洗浄用緩衝液としては、例えば、弱アルカリ性のトリス−塩酸を用い得、必要に応じて、適量のタンパク質可溶化能を有するノニオン性界面活性剤を添加させ得る。コーティングされた固相は、洗浄後、アッセイに使用する直前まで、−20℃程度の低温で保存する。
3)上述のように、検出対象であるサイトカインを含む生体液サンプルは、好ましくは、予めサンプル希釈用緩衝液で適切に希釈しておく。この生体液サンプル、および必要に応じて当該サイトカインの標準溶液を、コーティングされた固相に適用してインキュベートする。インキュベートの条件は、代表的には、約35〜39℃程度にて約40分〜約2時間程度である。インキュベート後、上記と同様に、固相の表面を洗浄用緩衝液で数回洗浄する。
4)その後、適切な緩衝液で希釈した第2の抗体の溶液を固相に適用してインキュベートする。ここでは、上記のサンプル希釈用緩衝液と同じものを使用することが好ましい。インキュベートの条件は、生体液サンプルでの上記インキュベートと同程度である。インキュベート後、上記と同様に、固相の表面を洗浄用緩衝液で数回洗浄する。
5)結合体を、ランタノイド金属イオンの塩の溶液と混合して、蛍光性錯体部分を形成させる。錯形成した結合体を適切な溶媒で希釈した後に、固相に適用してインキュベートする。インキュベートの条件は、生体液サンプル、および第2の抗体での上記各インキュベートと同程度である。インキュベート後、上述のように、適切な複合体洗浄用緩衝液で固相上に形成された複合体を洗浄する。
このようにして得られた、ランタノイド錯体含有複合体は、次に、固相または液相での時間分解型蛍光測定に供される。この蛍光測定のための装置は、市販で入手可能である。測定条件は、代表的には、遅延時間約0.2〜約0.3ミリ秒(ms)、ウィンドウ時間約0.2〜約0.6ms、および、フラッシュ速度(flash rate)約0.5〜約1.5ms、ならびに、励起波長337.1nm(窒素レーザの波長)、および測定波長615nmである。
固相蛍光測定の場合は、上記複合体を有する固相を、そのまま蛍光測定条件に供すればよい。液相蛍光測定の場合は、複合体を適切な解離溶液で処理することによって蛍光性錯体部分を含む構造単位を溶液中に遊離させ、この溶液を蛍光測定条件に供する。解離溶液は、代表的には、トリアルキルフォスフィンオキシドとアニオン性界面活性剤とを含有する弱塩基性水溶液である。解離溶液の例として、トリ(n−オクチル)フォスフィンオキシド(TOPO)とドデシル硫酸ナトリウム(SDS)とを含有する炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液を用い得る。このような解離溶液で、上記複合体を有する固相を、例えば約45〜55℃程度にて約40分〜約2時間程度インキュベートすることによって、上記のストレプトアビジンまたはアビジンとビオチンとの結合が切断され、蛍光性錯体部分を含む結合体が溶液中に遊離される。
上記の液相蛍光測定によれば、固相が蛍光測定に関与しないため、固相の種類および材質の選択の範囲が広がる利点がある。他方、液相蛍光測定では、固相蛍光測定に比べて余分な工程を必要とするため、手順が煩雑になる。さらに、液相蛍光測定では、解離溶液での処理工程において不純物の影響などを受けやすいなどの理由から、固相蛍光測定に比べて感度が若干低下する場合がある。しかし、固相および液相それぞれの蛍光測定によって達成され得る最大の感度は、アッセイに関与する様々な条件の組み合わせによって変動し得ることが理解されるべきである。
本発明によれば、さらに、上述した時間分解蛍光イムノアッセイ(TR−FIA)法を実施するためのキットが提供される。このキットは、通常、少なくとも上記の成分(a)、(c)、(d)および(e)を構成物品として含む。すなわち、固相に結合した部分と、サイトカインと結合し得る領域とを有する第1の抗体;サイトカインと結合し得る領域と、ビオチンが結合した部分とを有する第2の抗体;ストレプトアビジンまたはアビジンと、ランタノイド金属イオンと錯形成し得る蛍光性構造部分とを有する結合体;および、ランタノイド金属イオンを、一体として測定者に提供し、生体液サンプル中のサイトカインを検出するためのアッセイの実施を可能にする。必要に応じて、キットはさらに、測定対象であるサイトカインの標準品、上述した各種の緩衝液(特にサンプル希釈用緩衝液および複合体洗浄用緩衝液)などを含み得る。キットの構成物品は、通常、それぞれ適切な形態で容器に収容され、使用のための説明書または指示書とともに、一体として包装され得る。
本発明によって、生体液サンプル中のサイトカイン、特にSDF−1を含むケモカインを正確にかつ高感度で検出し得る新規な手法が利用可能となる。本発明の方法によるサイトカインの検出限界は、下記の実施例2と実質的に同一の条件で求めたとき、代表的には約100pg/ml以下、好ましくは約50pg/ml以下、より好ましくは約30pg/ml以下であり得る。同様に、実施例2と実質的に同一の条件で求めたとき、サイトカイン測定の変動係数(CV)は、代表的には約10%未満、好ましくは約8%未満、より好ましくは約7%未満であり得る。また、血漿サンプルからの当該サイトカインの回収率は、下記の実施例6と実質的に同一の条件で求めたとき、代表的には約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上であり得る。さらに、同一個体由来の血漿サンプル中の当該サイトカインについて、4回以上の異なる日に、同一条件での測定を繰り返したときの測定値の変動は、好ましくは約10〜約20%の範囲にあり得る。
下記の実施例に示すように、本発明に従って、蛍光性化合物BHHCT由来のEu3+錯体を利用することにより、特にSDF−1について、ELISAおよびDELFIAなどの従来の方法と比べたとき、血漿サンプル中での検出感度は2桁から3桁のオーダーで改善された。SDF−1の生体での挙動を正確に把握し、その生理的機能を解明することは、HIV−1感染についての理解を深め、AIDS治療への新しい展望を開くうえで極めて重要である。本発明がサイトカインの分子生物学の発展および応用に、格別の有意義な貢献を果たし得ることは明らかである。
さらに、下記の実施例に示すように、本発明に従って、蛍光性化合物BHHCT由来のEu3+錯体を利用することにより、ケモカイン・ファミリー以外のサイトカイン、例えば、血液循環中に可溶性因子として存在し、微量で生物活性を持ち種々の病態に関与するばかりでなく、すでに治療応用されているサイトカインについても、SDF−1同様の高感度で、かつ再現性良く測定できることが示された。
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。これらの実施例は、本発明を限定するものではない。
以下、本願発明を、実施例によって具体的に説明する。これら実施例は、本願発明を限定するものではない。
実施例で使用した材料、装置および測定条件を以下に挙げる。
抗体:ヒトSDF−1βの残基33〜45(RFFESHIARANVK)を含む多抗原ペプチド(Research Genetics、アラバマ州、米国)でウサギを免疫することにより、抗SDF−1抗血清を惹起した。抗血清をアフィニティーカラムで精製し、そして用いた。ヒトSDF−1βに対するヤギポリクローナル抗体は、R&D System Inc.(ミネソタ州、米国)から購入した。ヒト顆粒球−マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)に対するヒトモノクローナル抗体は、PharMingen(カリフォルニア州、米国)から購入した。ヒトインターロイキン2(IL−2)に対するモノクローナル抗体は、PharMingen(カリフォルニア州、米国)から購入した。
ケモカイン:ヒトランテス(RANTES)、ヒトMIP−1αおよびβ、ヒトMDC、ならびにヒトフラクタルカイン(fractalkine)を、DIACLONE Research(フランス)から購入した。ヒトIL−8を、ENDOGEN(マサチューセッツ州、米国)から購入した。市販のELISAキットを、血漿中に添加したマウスIL−8およびマウスMCP−1の決定のために用いた。マウスIL−8を、Amersham Pharmacia Biotech(スウェーデン)から、マウスMCP−1を、PharMingen(カリフォルニア州、米国)から、それぞれ購入した。マウスSDF−1α、マウスSDF−1β、ヒトSDF−1α、およびヒトSDF−1βは、それぞれ、Genetics Institute(マサチューセッツ州、米国)から贈与されたものである。ヒトGM−CSFは、PharMingen(カリフォルニア州、米国)から購入した。ヒトIL−2は、PharMingen(カリフォルニア州、米国)から購入した。
装置および測定条件:時間分解型蛍光測定のために、Wallac(フィンランド)およびAmersham Pharmacia Biotechからの1420型ARVO多標識カウンターを用いた。測定条件は、次の通り:遅延時間0.20ミリ秒(ms)、ウィンドウ時間0.40ms、およびフラッシュ速度1.00ms。最も鋭敏なTR−FIAアッセイシステムを得るために、Nunc(デンマーク)から購入した5種類のマイクロタイタープレートを調べた。このうち、ポリソープ(polysorp)プレートが、標準ヒトSDF−1βの測定において最も鋭敏な蛍光シグナルを生じた。感度の順序は次の通り:White C96ポリソープ>White C96マキシソープ(maxisorp)>White C8マキシソープ>Black F16マキシソープ。以下の実験では、White C96ポリソープ・マイクロタイタープレートを常用した。
(実施例1;TR−FIAのための予備的検討)
最初に、SDF−1測定のためのELISAに基く免疫アッセイ系に適切な、固相結合捕捉抗体と検出抗体との良好な組合せを見出すことを試みた。この目的のために、ポリクローナルウサギ抗SDF−1抗体およびポリクローナルヤギ抗SDF−1抗体の合計5種類について、種々の組み合わせを検討した。標準SDF−1の特異的検出が、3種の組合せで見出された。しかし、ELISAアッセイでは、SDF−1の検出限界は、約10〜20ng/mlを越えることはなかった。通常、血漿中に存在するSDF−1レベルは、この検出限界よりもはるかに低い。従って、ELISAアッセイでは、血漿サンプル中のSDF−1の検出は事実上不可能であることが確認された。
以上で見出された最も好適なポリクローナル抗体の組合せを用い、通常のTR−FIAの条件に下記のような変更を加えて、SDF−1の検出を行った。
(実施例2:標準SDF−1についてのTR−FIA)
TR−FIAのために、4種類のアッセイ緩衝液を調製した;96ウェル・マイクロタイタープレートをコーティングするための緩衝液1(0.14M NaClを含有する0.15Mリン酸緩衝液(PBS));プレートを洗浄するための緩衝液2(0.05% Tween20を含有する0.05M Tris−HCl、pH7.8);洗浄のための緩衝液3(0.05M Tris−HCl、pH7.8);タンパク質溶液の希釈のための緩衝液4(0.2% BSA、0.1% NaN3、および0.9% NaClを含有する0.05M Tris−HCl、pH7.8)。
BHHCTの合成は、Yuanら(’98)(文献5)に記載の方法に従って、そして、ストレプトアビジン−ウシ血清アルブミン(SA−BSA)結合体の調製、および結合体のBHHCTでの標識は、Yuanら(’97)(文献4)に記載された方法に従って実施した。標識した結合体の溶液を、−20℃で保存し、使用直前に、下記の緩衝液(緩衝液4)を用いて100倍に希釈した。
ウサギポリクローナル抗ヒトSDF−1β抗体またはヤギポリクローナル抗ヒトSDF−1β抗体を捕捉抗体として用いた。これらは各々、類似の結果を生じた。緩衝液1で10μg/mlに希釈した捕捉抗体の溶液(各々60μl)を、96ウェル・マイクロタイタープレートのウェルにおいて、4℃にて24時間インキュベートした。次いで、このウェルを、緩衝液2で2回、そして緩衝液3で1回洗浄した。このようにして抗SDF−1抗体でコーティングされたプレートは、−20℃にて少なくとも1ヶ月間は保存し得る。
SDF−1の標準溶液(50μl)を、コーティングされた上記のプレートにピペッティングし、そして37℃にて1時間インキュベートした。緩衝液2および緩衝液3でプレートを洗浄した後、緩衝液4で1000倍に希釈したビオチン化ヤギポリクローナル抗ヒトSDF−1β抗体(上記R&D Systemのヤギ抗体を常法に従ってビオチン化したもの)の溶液50μlをウェルにおいて、37℃にて1時間インキュベートした。インキュベーションの後、プレートを緩衝液2で2回、そして緩衝液3で1回洗浄し、そして50μlのBHHCT−Eu3+で標識したBSA−SA溶液(50μl)を、ウェル中で37℃にて1時間インキュベートした。0.05% Tween20を含有する0.05M Tris−HCl、pH9.1でプレートを4回洗浄した。このプレートを、1420型ARVO多標識カウンターを用いて、固相蛍光測定に供した。
上記のTR−FIAによって得られた、水性溶液中の標準SDF−1についての較正曲線を、図1aおよび図1bに示す。TR−FIAによるSDF−1の検出限界は、以下の計算式(Kropfら(文献2)による)から算出される:
3x[S0]xsB/(S0−B)
ここで、
[S0]は、標準溶液の最低濃度
B は、ブランクの標準偏差
0 は、最低濃度の標準溶液の蛍光シグナル強度、そして
Bは、ブランクの蛍光シグナル強度、である。
上記式より、TR−FIAの検出限界は30pg/mlと計算された。これは、上記参考例のELISAによる検出限界(約10〜20ng/ml)より3桁低い値である。1ウェル当り溶液50μlを用いるので、TR−FIAにより検出されるSDF−1タンパク質の最小量は1.5pg/ウェルである。
TR−FIAは、測定の再現性という点でも改善されていた。TR−FIAによるSDF−1検出の変動係数(CV)は、標準サンプルについて、0.1ng/ml〜1024ng/mlの濃度範囲で7%未満であった。これは、上記参考例のELISAによるCV値が、10ng/ml〜1000ng/mlの濃度範囲で10%を越え、DELFIA(下記比較例を参照)によるCV値が、0.1ng/ml〜1024ng/mlの濃度範囲でやはり10%を越えたことと対照的である。
なお、上記の固相蛍光測定に加えて、液相での蛍光測定も検討した。すなわち、上記の手順により固相上に形成された蛍光性複合体(ポリクローナル抗SDF−1抗体−SDF−1−ビオチン化ポリクローナル抗SDF−1抗体−BHHCT−Eu3+標識化BSA−SA)を、酸性キレート化界面活性剤溶液(10μMのTOPOと0.05%のSDSとを含有する0.1MのNaHCO3水溶液)で処理することにより、標識されたBSA−SA結合体を固相から遊離させた。溶液中の結合体の蛍光強度を1420型ARVO多標識カウンターを用いて測定した。この場合のSDF−1検出感度は約100pg/mlであり、上記の固相測定ほど高くなかった。
(実施例3:ヒトSDF−1βによるCXCR4のダウンモデュレーション)
実施例2のTR−FIAによるSDF−1の測定値と、標準SDF−1タンパク質の生物活性との相関を確認するために、SDF−1の結合によりEL−4細胞で誘導される、SDF−1レセプター(CXCR4)のインビトロでのダウンモデュレーションを測定した。
EL−4細胞を、ヒトSDF−1β(1、10、20、40、100、および1000ng/ml)の存在下または非存在下で、10%ウシ胎仔血清(FCS)を補充したダルベッコ変法イーグル培地(D’MEM)中で培養した。37℃で6時間のインキュベーションの後、細胞の表面上のCXCR4を、Fc−ヒトSDF−1αキメラタンパク質およびFITC結合ヤギF(ab’)2抗ヒトIgG(Southern Biotechnology Associates、アラバマ州、米国)を用いて染色した。蛍光強度測定を、フルオロサイトメトリー(FACSCalibur,BECTON DICKINSON、カリフォルニア州、米国)により実施した。CXCR4のダウンモデュレーションを、CXCR4染色の平均蛍光強度(MFI)の減少%を計算することにより評価した。結果を図1cに示す。
図1cにより、ヒトSDF−1βと共に培養したEL−4細胞が、用量依存的に、CXCR4の発現についてダウンモデュレーションされることが示される。得られた結果は、SDF−1αおよびβがCXCR4に、それぞれ5〜10nMおよび2.2〜3.6nMのKd値で結合するという、以前の報告(Hesselgesserら(文献13)およびAmaraら(文献14))と良く整合している。
(実施例4:TR−FIAによるSDF−1測定の特異性)
SDF−1についてのTR−FIAの特異性を確認するために、実施例2の記載と同様のTR−FIA測定を、次の各種ケモカインについて行った:CCケモカイン(マウスMCP−1、ヒトMIP−1αおよびβ、ヒトランテス、ヒトMDC)、CXCケモカイン(ヒトIL−8、マウスSDF−1αおよびマウスSDF−1β、ヒトSDF−1αおよびヒトSDF−1β)、ならびにCXXXCケモカイン(ヒトフラクタルカイン)。結果を図1dに示す。蛍光強度の有意な上昇は、SDF−1以外のいずれのケモカインでも認められなかった。従って、上記TR−FIAが、SDF−1を高い特異性で検出し得ることが確認された。ヒトとマウスとのSDF−1αおよびSDF−1β間では交差反応性が示された。
(実施例5:血漿サンプルの調製)
以下の各実施例で使用した血漿サンプルは、18〜30歳の健康なボランティア(日本人)の36個体の血液から、抗凝固剤としてEDTA(1mg/ml血液)を用いて調製した。具体的には、0.1M EDTAでコーティングされたシリンジに、採取血液1ml当たり7μlとなるように、0.5M EDTAを含むPBSを充填した。このシリンジ中に血液を採取し、室温にて5分間インキュベートし、続いて3000rpmにて10分間遠心分離して、血漿を得た。血漿サンプルは、−80℃にて保存し、他に示さない限り、分析直前に、緩衝液4で10倍に希釈した。アッセイの前に、凍結/融解を反復することのないようにした。
(実施例6:血漿サンプルでのTR−FIA)
実施例2に記載のTR−FIAを、SDF−1の標準溶液および上記の血漿サンプル(5個体分)を用いて行った。標準溶液での測定から求めた較正曲線(図2の左側に示す黒丸の線グラフ)との対比により、血漿サンプル中のSDF−1濃度を算出した。さらに、測定の正確さを確認するために、各血漿サンプルに0.4または0.8ng/mlの標準SDF−1を添加して測定し、回収率を算出した。
標準SDF−1添加後の血漿サンプルについて測定された蛍光強度を、図2の右側(「TR−FIA」の欄)に示す。標準SDF−1添加前および添加後の血漿サンプルのSDF−1濃度、および回収率を下記の表1に示す。TR−FIAにより、血漿サンプルからも、標準溶液の場合と同様にSDF−1が検出され得、その回収率は極めて高いことが示された。
(比較例;SDF−1についてのDELFIA)
以下、DELFIAの測定操作は、他に記載のない限り、製造者(Amersham Pharmacia Biotech;以下「APB社」)の指示に従った。洗浄には、全てPBS/0.05% Tween20を用いた。
PBSで10μg/mlまで希釈したウサギ抗ヒトSDF−1β抗体またはヤギ抗ヒトSDF−1β抗体の溶液(各々60μl)を、透明なマキシソープ・プレート(Nunc、デンマーク)に吸着させ、4℃にて24時間インキュベートした後、1回洗浄した。続いて、非特異的結合をブロックするために、180μlのDELFIAアッセイ緩衝液(APB社)を、室温にて少なくとも30分間、適用した。
プレートを3回洗浄した後、DELFIAアッセイ緩衝液で希釈した標準SDF−1、または10倍希釈した血漿サンプルを、ウェルあたり50μlづつ添加し、そして4℃にて、少なくとも6時間インキュベートした。プレートを3回洗浄した後、アッセイ緩衝液中に20ng/mlまで希釈したEu標識ストレプトアビジン(APB社)100μlを添加し、そして室温にて30分間インキュベートした。プレートを6回洗浄した後、DELFIA増感溶液(APB社)を添加して、固相に結合したEu標識抗体からEu3+を解離させた。マイクロプレートをゆっくりと5分間振盪させた後、時間分離型フルオロメーター(ARVO 1420)で蛍光を測定した。
標準溶液での測定から求めた較正曲線を、図2の左側に示す(黒四角の線グラフ)。実施例2に記載の計算式に従って算出した検出限界は、130pg/mlであった。DELFIAにより、標準溶液中のSDF−1は、TR−FIAよりも低感度ながら検出し得た。しかし、血漿サンプル(4個体分)の測定では、いずれも内因性SDF−1を検出できなかった。さらに、各血漿サンプルに1.0ng/mlの標準SDF−1を添加して測定した場合の回収率も、約20%以下と、TR−FIAよりも著しく低かった。
標準SDF−1添加後の血漿サンプルについて測定された蛍光強度を、図2の右側(「DELFIA」の欄)に示す。標準SDF−1添加前および添加後の血漿サンプルのSDF−1濃度、および回収率を表1に示す。(なお、図2および表1のデータに示される血漿サンプルは、何れも、55℃、30分の予備加熱をしたものである。)
Figure 2004279429

(実施例7:抗凝固剤およびプロテアーゼ阻害剤の影響)
抗凝固剤およびプロテアーゼ阻害剤はヒト血漿サンプル中でのサイトカインの測定に影響することが報告されている(Thavasuら(文献15))。TR−FIAによるSDF−1の測定が、これらの要因に影響されるか否かを検討するために、以下の実験を行った。
血漿サンプルに、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(1.0mg/ml)、ヘパリン(30IU/ml)、クエン酸ナトリウム(0.38%)、ならびに、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(1.0mg/ml)およびプロテアーゼ阻害剤であるアプロチニン(1μg/ml)を添加した。各添加サンプルについて、実施例2と同様にしてTR−FIAによりSDF−1を測定した。結果を図3aに示す。抗凝固剤およびプロテアーゼ阻害剤は、TR−FIAによる血漿SDF−1の測定に有意な影響を与えないことが確認された。
(実施例8:血漿サンプルの予備加熱の影響)
TR−FIAによるSDF−1測定の臨床への適用においては、安全性確保のために、血液由来サンプル中に存在し得るHIVウイルスを不活性化することが必要となる。そこで、血漿サンプルの予備加熱がTR−FIAに及ぼす影響を検討した。
まず、SDF−1タンパク質の熱安定性を試験するために、SDF−1の標準溶液を:0℃、30分間;37℃、30分間;55℃、30分間;70℃、30分間;および100℃、1分間でそれぞれ保持した後、アッセイに付した。70℃、30分間、および100℃、1分間の条件では、SDF−1の熱変性によると考えられる検出量の低下が観察された。他方、37℃または55℃、30分間の加熱は、非加熱サンプルとほぼ同一の較正曲線を与え、SDF−1の検出量に影響しなかった。
以上の結果を基に、24個体分の血漿サンプル(実施例5参照)を、アッセイ前に55℃で30分間予めインキュベートするか、または加熱することなく用いて、実施例2と同様にしてTR−FIAによりSDF−1を測定した。(予備加熱は、血漿サンプルを緩衝液4で希釈する前に行った。)結果を図3bに示す。55℃、30分間の予備加熱により、平均約20%の蛍光強度の増大が得られた。 この結果は、血漿サンプル中のSDF−1の少なくとも一部が、多量体として、および/または、熱により解離または分解等される結合因子と結合した形態で存在する可能性を示唆する。このような多量体および/または結合形態において、SDF−1のエピトープへの抗体の結合が阻害されているのかもしれない。
(実施例9:血漿サンプルの希釈の影響)
血漿サンプル中でのIL−8およびMCP−1の測定に関する以前の研究(Thavasuら(文献15)およびKajikawaら(文献16))により、非希釈サンプルでの測定ではケモカインの存在量が過小評価されることが示されている。そこで、TR−FIAによるSDF−1の測定への、血漿サンプルの希釈の影響を検討した。
5個体分の血漿サンプルを、1:1〜1:20までの各種比率で、緩衝液4で希釈したものを用いて、実施例2と同様にしてTR−FIAによりSDF−1を測定した。結果を図3cに示す。希釈倍率を1倍から10倍まで増加させる間、ほぼ一貫して検出感度の向上が認められた。他方、希釈倍率を10倍から20倍にしても、検出感度は向上しなかった。従って、10倍の希釈(すなわち、血漿 サンプル1部に対して緩衝液4を10部)が最も有効な条件であると評価された。
(実施例10:血漿サンプルへの血球の添加の影響)
IL−8およびMCP−1を全血に添加すると、血球によって、これらのケモカインが吸収されることが報告されている(Amaraら(文献14)、Darbonneら(文献17)、およびNeoteら(文献18))。SDF−1について、血球による同様な吸収が観察されるか否かを検討した。
全血250μlをミクロ遠心分離機にかけて、細胞を沈殿させ、125μlの上清画分として血漿を取り出した。この125μlの血漿に、IL−8、MCP−1またはSDF−1を、所定の最終濃度を与えるように添加した。次に、これらのケモカイン添加血漿を、125μl容量の細胞ペレット、または125μlの血漿と混合した後、37℃にて15分間インキュベートした。次いで、細胞ペレットを混合したサンプルでは、遠心分離により細胞を沈殿させ、分離した。サンプル中の可溶性IL−8、およびMCP−1をELISAにより、そしてSDF−1を、TR−FIAにより定量した。結果を図4a〜図4cに示す。
IL−8およびMCP−1は、添加量の大部分が血球に吸収された(図4aおよび図4b)。他方、SDF−1の場合、血球とインキュベーションした後の減少量は10%未満であった(図4c)。さらに、別の実験において、SDF−1を全血に直接添加し、インキュベーション後に血球を分離してからTR−FIAにより定量したところ、SDF−1を血漿に添加したコントロールとの間に有意な差は認められなかった(データは示さず)。以上より、SDF−1は、ほとんど血球に吸収されないことが確認された。
(実施例11:血漿サンプルでのTR−FIA−多数検定)
36個体分の血漿サンプルについて、55℃、30分間の予備加熱(実施例7参照)の後に、実施例2と同様にしてTR−FIAによりSDF−1を測定した。結果を図5cに示す。ヒト血漿中のSDF−1レベルの平均値および標準偏差は、0.85±0.26ng/mlであった。
同一個体(3名)由来の血漿サンプルについて、4回以上の異なる日に、同一条件での測定を繰り返したところ、測定値の変動は10〜20%の範囲にあった。TR−FIAによる血漿SDF−1測定の信頼性が十分に高いことが示された。
(実施例12:血漿サンプルでのSDF−1のIgGとの会合)
IL−8およびMCP−1に関して、血漿サンプルでの免疫アッセイを阻害し得る別の要因として、循環系における自己抗体との結合または会合の可能性が指摘されている(Leonardら(文献1)およびThavasuら(文献15))。SDF−1について、血漿中でのIgGとの会合を、以下のように評価した。
7個体分の血漿サンプルを、非加熱のまま、または加熱処理(55℃、30分間)の後に、プロテインG−セファロースと共に氷上で30分間インキュベートして、IgGを枯渇させた。サンプルを、遠心分離し、そして上清画分を取り出した。この上清中のSDF−1を、TR−FIAにより測定した。プロテインG−セファロース処理前の血漿サンプルでの測定値と比較して、蛍光強度の減少度を求めた。結果を図6に示す。
図6において、斜線棒および黒棒は、それぞれ、非加熱サンプルおよび加熱処理サンプルを示す。非加熱サンプルは、加熱サンプルと比較して、プロテインG−セファロース処理による影響を受けやすいことが分かる。非加熱サンプルについては、IgG枯渇による、TR−FIA測定可能なSDF−1のレベルは23〜37%(平均30%)減少した。他方、加熱処理サンプルの場合は、対応する減少度は6〜22%(平均15%)であった。従って、実施例8において示された予備加熱の効果(図3b)は、血漿サンプル中でSDF−1の一部がIgGと会合して存在し、これが加熱により解離して、TR−FIA測定可能な可溶性形態に変換されるとの仮説により説明され得る。
別の実験において、血漿サンプルに添加した標準SDF−1については、プロテインG−セファロース処理の後で、有意な減少は観察されなかった(データは示さず)。従って、SDF−1自体がプロテインG−セファロースに吸着される可能性、ならびに、血漿サンプル中の抗SDF−1IgG以外の抗体またはタンパク質がプロテインG−セファロースに吸着され、これにSDF−1が吸着される可能性は否定された。
以上の結果から、TR−FIAによる測定される、ヒト血漿中のSDF−1レベルは、血液中に実際に存在する生理的SDF−1レベルに極めて近いことが理解される。
(実施例13:GM−CSFについてのTR−FIA)
捕捉抗体として抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体を用いたこと、およびビオチン化抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体(上記PharMingenヒト抗体を定法に従ってビオチン化したもの)を用いたことを除いて、実施例2と同様にGM−CSFの標準溶液(50μl)を固相蛍光測定に供し、標準GM−CSFについて較正曲線を作成した。結果を図7に示す。さらに、実施例5と同様の方法により健常日本人ボランティアから血漿サンプルを調製し、実施例9に記載のように緩衝液4で希釈して標準溶液と同様にTR−FIAによりGM−CSFを測定した。その結果、GM−CSFについても、高感度の測定が可能であり、再現性において優れた結果が確認された。
(実施例14:IL−2についてのTR−FIA)
捕捉抗体として抗ヒトIL−2モノクローナル抗体を用いたこと、およびビオチン化抗ヒトIL−2モノクローナル抗体(上記PharMingenヒト抗体を定法に従ってビオチン化したもの)を用いたことを除いて、実施例2と同様にIL−2の標準溶液(50μl)を固相蛍光測定に供し、標準IL−2について較正曲線を作成した。結果を図8に示す。さらに、実施例5と同様の方法により健常日本人ボランティアから血漿サンプルを調製し、実施例9に記載のように緩衝液4で希釈して標準溶液と同様にTR−FIAによりIL−2を測定した。その結果、IL−2についても、高感度の測定が可能であり、再現性において優れた結果が確認された。
生体液サンプル中のサイトカイン、特にSDF−1を含むケモカインを極めて高感度で、かつ簡便に検出し得る、時間分解蛍光イムノアッセイ(TR−FIA)法、ならびに、当該方法のためのキットが提供される。この方法およびキットは、血液循環中に可溶性因子として存在し、微量で生物活性を持ち種々の病態に関与するサイトカインに適用される。
図1aは、SDF−1についての較正曲線を示すグラフである。標準SDF−1を、実施例2に記載のTR−FIA法を用いて測定した。データは、3連の測定の平均値を示す。 図1bは、図1aと同様の較正曲線を、特に低濃度範囲での測定について示すグラフである。グラフ中の直線は;Y=1.3X+1.2(×10000a.u.)、r=0.995である。データは、3連の測定の平均値を示す。 図1cは、SDF−1の生物学的活性をモニタリングするために、EL−4細胞表面でのCXCR4発現を、実施例3に記載のプロトコルに従って測定した結果を示すグラフである。平均蛍光強度(MFI)の減少%を、ヒトSDF−1βなしでインキュベートしたコントロールと比較することにより計算した。データは、1連の実験を3回行い、中央値を選択したものである。 図1dは、SDF−1についてのTR−FIAの特異性を評価するために、各種のケモカインを測定した結果を示すグラフである。データは、3連の測定の平均値を示す。 図2は、SDF−1についての、TR−FIAとDELFIAとの比較を示すグラフである。図2の左側に、ヒトSDF−1βの標準溶液を、実施例2で使用したのと同じ組合せの捕捉抗体および検出抗体を用いて、DELFIAおよびTR−FIAシステムで測定した結果を示す。図2の右側に、両システムで血漿サンプル中の内因性SDF−1濃度を求めた結果を示す。なお、図2の右側に示されるサンプルには、標準SDF−1を添加していない。また、図2の右側のデータと表1のデータとは、異なるサンプルについての測定結果を示すものである。データは、3連の測定の平均値を示す。 図3aは、TR−FIAによるSDF−1測定への、抗凝固剤およびプロテアーゼ阻害剤の影響を示すグラフである。血漿サンプルを、EDTA(1mg/ml);ヘパリン(30IU/ml);クエン酸塩(0.38%クエン酸ナトリウム);ならびにアプロチニン(1μg/ml)を有するEDTA(1mg/ml)のいずれかを用いて処理した。黒棒および斜線棒は、異なる2サンプルについての測定結果を示す。データは、3連の測定の平均値を示す。 図3bは、TR−FIAによるSDF−1測定への、血漿サンプルの予備加熱の影響を示すグラフである。血漿サンプルを、アッセイ前に55℃にて30分間予めインキュベートするか、または加熱することなく直接測定に用いた。24個体分のサンプルは、健常な日本人ボランティア由来である。データは、2連の測定の平均値を示す。 図3cは、TR−FIAによるSDF−1測定への、血漿サンプルの希釈の影響を示すグラフである。各サンプルを緩衝液4で希釈した。5個体分のサンプルは、健常な日本人ボランティア由来である。データは、3連の測定の平均値を示す。 図4aは、SDF−1の対照としての、IL−8のELISAでの定量における、血球の影響を示すグラフである。血漿サンプルにIL−8を添加した後、細胞ペレットまたは血漿を混合した。37℃、15分間インキュベートした後、血漿中の可溶性IL−8を定量した。白四角は細胞ペレットまたは血漿と混合していない標準サンプル、黒丸は血漿と混合したサンプル、および、白丸は細胞ペレットと混合したサンプルを表す。データは、4連の測定の平均値を示す。 図4bは、SDF−1の対照としての、MCP−1のELISAでの定量における、血球の影響を示すグラフである。血漿サンプルにMCP−1を添加した後、細胞ペレットまたは血漿を混合した。37℃、15分間インキュベートした後、血漿中の可溶性MCP−1を定量した。記号は図4aと同様。データは、4連の測定の平均値を示す。 図4cは、SDF−1のTR−FIAでの定量における、血球の影響を示すグラフである。血漿サンプルにSDF−1を添加した後、細胞ペレットまたは血漿を混合した。37℃、15分間インキュベートした後、血漿中の可溶性SDF−1を定量した。記号は図4aと同様。データは、4連の測定の平均値を示す。 図5は、36人の健常な日本人ボランティアからのヒト血漿中のSDF−1レベルを示すグラフである。アッセイの前に、全ての血漿サンプルについて55℃にて30分間の熱処理を行った。データは、異なる2回の測定、各々3連の平均値を示す。 図6は、ヒト血漿サンプルにおけるプロテインG−セファロースによるIgG枯渇の影響を示すグラフである。7人の健常日本人ボランティアからの血漿サンプルを、プロテインG−セファロースと共に氷上で30分間インキュベートし、遠心分離し、そして上清中のSDF−1量を測定した。斜線棒および黒棒は、それぞれ、非加熱サンプルおよび加熱(55℃にて30分間)サンプルを示す。 図7は、GM−CSFについての較正曲線を示すグラフである。標準GM−CSFを、TR−FIA法を用いて測定した。データは、3連の測定の平均値を示す。 図8は、IL−2についての較正曲線を示すグラフである。標準IL−2を、TR−FIA法を用いて測定した。データは、3連の測定の平均値を示す。

Claims (2)

  1. 生体液サンプル中のサイトカインを検出するための時間分解蛍光イムノアッセイ(TR−FIA)法であって:
    (a)固相に結合した部分と、サイトカインと結合し得る領域とを有する第1の抗体、(b)該サイトカイン、(c)該サイトカインと結合し得る領域と、ビオチンが結合した部分とを有する第2の抗体、(d)ストレプトアビジンまたはアビジンと、ランタノイド金属イオンと錯形成し得る蛍光性構造部分とを有する結合体、および(e)ランタノイド金属イオンが順次結合した複合体を該固相上に形成する工程;および、
    該ランタノイド金属イオンと錯形成した該蛍光性構造部分の蛍光を測定する工程、を包含し、
    ここで、該蛍光性構造部分は、一般式(I)で表される、方法:
    −R−Ar−C(=O)−CH−C(=O)−C2n−X (I)
    (式中、Rはタンパク質と共有結合を形成し得る官能基の残基であり、Arは共役二重結合系を有する炭化水素基であり、nは1以上の整数であり、Xはフッ素原子または一般式(II)
    −C(=O)−CH−C(=O)−Ar−R− (II)
    で表される基である)。
  2. 生体液サンプル中のサイトカインを検出するための時間分解蛍光イムノアッセイ(TR−FIA)法のためのキットであって:
    固相に結合した部分と、サイトカインと結合し得る領域とを有する第1の抗体;該サイトカインと結合し得る領域と、ビオチンが結合した部分とを有する第2の抗体;ストレプトアビジンまたはアビジンと、ランタノイド金属イオンと錯形成し得る蛍光性構造部分とを有する結合体;および、ランタノイド金属イオンを包含し、
    ここで、該蛍光性構造部分は、一般式(I)で表される、キット:
    −R−Ar−C(=O)−CH−C(=O)−C2n−X (I)
    (式中、Rはタンパク質と共有結合を形成し得る官能基の残基であり、Arは共役二重結合系を有する炭化水素基であり、nは1以上の整数であり、Xはフッ素原子または一般式(II)
    −C(=O)−CH−C(=O)−Ar−R− (II)
    で表される基である)。
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