JP2004279411A - 無線通信装置用比吸収率測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】携帯無線通信装置のSAR分布を簡単にかつ高精度に測定する。
【解決手段】複数の微小ダイポールアンテナ1にてなる基準アンテナである微小ダイポールアレーアンテナ1Aから放射される電波の第1の近傍磁界分布を自由空間において測定し、微小ダイポールアレーアンテナ1Aから放射される電波に係るSAR分布をファントムを用いて測定する。次いで、測定されたSAR分布を測定された第1の近傍磁界の二乗値により除算することにより変換係数αの分布を計算する。さらに、測定対象の無線通信装置10から放射される電波の第2の近傍磁界分布を自由空間において測定し、測定された第2の近傍磁界分布の二乗値に計算された変換係数αの分布を乗算することにより測定対象の無線通信装置から放射される電波に係るSARの分布を推定して計算する。
【選択図】図13
【解決手段】複数の微小ダイポールアンテナ1にてなる基準アンテナである微小ダイポールアレーアンテナ1Aから放射される電波の第1の近傍磁界分布を自由空間において測定し、微小ダイポールアレーアンテナ1Aから放射される電波に係るSAR分布をファントムを用いて測定する。次いで、測定されたSAR分布を測定された第1の近傍磁界の二乗値により除算することにより変換係数αの分布を計算する。さらに、測定対象の無線通信装置10から放射される電波の第2の近傍磁界分布を自由空間において測定し、測定された第2の近傍磁界分布の二乗値に計算された変換係数αの分布を乗算することにより測定対象の無線通信装置から放射される電波に係るSARの分布を推定して計算する。
【選択図】図13
Description
本発明は、携帯電話機、携帯無線通信装置などの無線通信装置の比吸収率(以下、SAR(Specific Absorption Rate)という。)を測定するための無線通信装置用比吸収率測定装置に関する。
近年、携帯電話機などの携帯無線通信装置の普及が非常に進んでいる。それに伴い、携帯無線通信装置から放射される電磁波が人体に与える影響が問題となってきている。この指標を与える一般的なものにSARがある。ここで、SARとは、人間などの生体が電磁界にさらされることによって単位質量に吸収される電力であり、次式で表される。
[数1]
SAR=(σE2)/ρ (1)
SAR=(σE2)/ρ (1)
ここで、E[V/m]は電界強度であり、σ[S/m]は生体組織の導電率であり、p[kg/m3]は当該生体組織の密度である。
日本国総務省の電気通信技術審議会答申の「人体側頭部の側で使用する携帯電話端末等に対する比吸収率の測定方法」に示されている、いわゆる電界検出プローブ法と呼ばれるSARの評価方法では、形状、寸法、頭部組織の電気的特性を人体に模擬させた人体モデルであるいわゆる人体ファントムを使用する。この人体ファントムを使用して、人体内に生ずるであろうSARを実験的に推定している(非特許文献1参照。)。
SARについては、世界的に法規制が進んでおり、このため携帯電話機等の携帯無線通信装置の生産工程においてSAR検査が必要不可欠となる。そこで、この検査を簡便かつ、迅速に行う方法や装置が求められる。従来、簡易的なSAR推定方法として、人体ファントム表面における磁界強度Hより実験的に求める方法が例えば非特許文献2において提案されている。この従来例の方法によれば、人体表面上に発生するSARの分布には、次式の関係が成り立つことが確認されている。
[数2]
SAR∝H2 (2)
SAR∝H2 (2)
従来のSAR推定方法として、アンテナから電磁波を放出したときの人体ファントム表面における入射磁界から電流分布を算出し、SAR分布を求める方法が例えば、特許文献1において開示されている。磁界は移動及び回転機構を備えた磁界検出プローブによって検出され、これよりアンテナの電流分布を推定し、この電流分布からSARを評価する構成となっている。
実際のSARの測定では、人体ファントムの頭部に対する携帯電話機の配置、アンテナの種類やその配置状態など様々な条件で測定を行う必要があり、種々の条件での測定結果のSARの最大値をその携帯電話機のSAR値としている。このためSARの測定には非常に時間を要する。上記の簡易的なSAR測定方法でも人体ファントムに対する携帯無線通信装置の配置法を変更しなければならない。また、実際のSAR測定では、携帯電話機は人体ファントムに密着した状態で計測される。特許文献1において開示された従来例の方法では、人体ファントムの表面上での入射磁界を測定しているため、実際のSAR測定に則した携帯電話機の配置での磁界測定を行うことができない。従って、従来技術のSAR測定の装置や方法を用いて、生産ライン上で携帯電話機のSARの検査を行うことは不可能である。
また、従来技術では、携帯無線通信装置のSARの測定では、人体頭部を密着させて使用されるので、実際の表面磁界を測定することができず、測定されたSARにおいて誤差が発生する。さらに、基準アンテナとして、携帯無線通信装置や通常のダイポールアンテナなどを用いた場合、局所的に磁界強度が小さい箇所が発生して磁界検出精度が悪くなり、これにより、SARの推定誤差が生じる。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、従来技術に比較して、より簡単な方法でかつより簡単な装置構成で高精度に、無線通信装置に係るSAR値を測定することができるSAR測定装置を提供することにある。
第1の発明に係る無線通信装置用比吸収率測定装置は、複数の微小アンテナにより構成される基準アンテナであるアレーアンテナから放射される電波の第1の近傍磁界分布を自由空間において測定する第1の測定手段と、
上記アレーアンテナから放射される電波に係る比吸収率(SAR)分布を所定の測定方法で所定のファントムを用いて測定する第2の測定手段と、
上記測定された比吸収率(SAR)分布を上記測定された第1の近傍磁界の二乗値により除算することにより変換係数αの分布を計算する第1の計算手段と、
測定対象の無線通信装置から放射される電波の第2の近傍磁界分布を自由空間において測定する第3の測定手段と、
上記測定された第2の近傍磁界分布の二乗値に上記計算された変換係数αの分布を乗算することにより上記測定対象の無線通信装置から放射される電波に係る比吸収率(SAR)の分布を推定して計算する第2の計算手段とを備えたことを特徴とする。
上記アレーアンテナから放射される電波に係る比吸収率(SAR)分布を所定の測定方法で所定のファントムを用いて測定する第2の測定手段と、
上記測定された比吸収率(SAR)分布を上記測定された第1の近傍磁界の二乗値により除算することにより変換係数αの分布を計算する第1の計算手段と、
測定対象の無線通信装置から放射される電波の第2の近傍磁界分布を自由空間において測定する第3の測定手段と、
上記測定された第2の近傍磁界分布の二乗値に上記計算された変換係数αの分布を乗算することにより上記測定対象の無線通信装置から放射される電波に係る比吸収率(SAR)の分布を推定して計算する第2の計算手段とを備えたことを特徴とする。
上記無線通信装置用比吸収率測定装置において、上記微小アンテナは微小ダイポールアンテナであることを特徴とする。
また、上記無線通信装置用比吸収率測定装置において、上記アレーアンテナは、複数の微小アンテナを人体頭部側面の形状に沿った線上に1次元アレー状で配置してなることを特徴とする。もしくは、上記無線通信装置用比吸収率測定装置において、上記アレーアンテナは、複数の微小アンテナを人体頭部側面の形状に沿った面上に2次元アレー状で配置してなることを特徴とする。
さらに、上記無線通信装置用比吸収率測定装置において、上記アレーアンテナは、複数の微小アンテナを等しいアンテナ間隔dで配置してなることを特徴とする。ここで、上記アレーアンテナと上記第1の測定手段との間の測定間隔をhとしたときに、上記アレーアンテナは、アンテナ間隔dがd≦1.1hとなるように、複数の微小アンテナを配置したことを特徴とする。もしくは、上記アレーアンテナと上記第1の測定手段との間の測定間隔をhとしたときに、上記アレーアンテナは、アンテナ間隔dがd≦1.3hとなるように、複数の微小アンテナを配置したことを特徴とする。
また、上記無線通信装置用比吸収率測定装置において、上記アレーアンテナは、複数の微小アンテナの主ビームの方向が互いに平行となるように配置してなることを特徴とする。もしくは、上記無線通信装置用比吸収率測定装置において、上記アレーアンテナは、複数の微小アンテナのうち互いに隣接する微小アンテナの主ビームの方向が互いに直交するように配置してなることを特徴とする。
第2の発明に係る無線通信装置用比吸収率測定装置は、基準アンテナである平板形状のダイポールアンテナから放射される電波の第1の近傍磁界分布を自由空間において測定する第1の測定手段と、
上記平板形状のダイポールアンテナから放射される電波に係る比吸収率(SAR)分布を所定の測定方法で所定のファントムを用いて測定する第2の測定手段と、
上記測定された比吸収率(SAR)分布を上記測定された第1の近傍磁界の二乗値により除算することにより変換係数αの分布を計算する第1の計算手段と、
測定対象の無線通信装置から放射される電波の第2の近傍磁界分布を自由空間において測定する第3の測定手段と、
上記測定された第2の近傍磁界分布の二乗値に上記計算された変換係数αの分布を乗算することにより上記測定対象の無線通信装置から放射される電波に係る比吸収率(SAR)の分布を推定して計算する第2の計算手段とを備えたことを特徴とする。
上記平板形状のダイポールアンテナから放射される電波に係る比吸収率(SAR)分布を所定の測定方法で所定のファントムを用いて測定する第2の測定手段と、
上記測定された比吸収率(SAR)分布を上記測定された第1の近傍磁界の二乗値により除算することにより変換係数αの分布を計算する第1の計算手段と、
測定対象の無線通信装置から放射される電波の第2の近傍磁界分布を自由空間において測定する第3の測定手段と、
上記測定された第2の近傍磁界分布の二乗値に上記計算された変換係数αの分布を乗算することにより上記測定対象の無線通信装置から放射される電波に係る比吸収率(SAR)の分布を推定して計算する第2の計算手段とを備えたことを特徴とする。
上記無線装置用比吸収率測定装置において、上記平板形状のダイポールアンテナは、近傍磁界測定の範囲から給電点を除外するように形成された、大きさの異なる2枚の矩形放射導体を備えたことを特徴とする。
また、上記無線通信装置用比吸収率測定装置において、上記平板形状のダイポールアンテナに接続され、給電線路とダイポールアンテナとの間のインピーダンスを整合するインピーダンス整合回路をさらに備えたことを特徴とする。
従って、本発明に係るSAR測定装置及び方法によれば、複数の微小アンテナにてなる微小アンテナアレーアンテナ、もしくは平板形状のダイポールアンテナを基準アンテナとして用いて基準の近傍磁界分布とSAR分布を測定した後、携帯無線通信装置の自由空間における磁界分布を測定することにより、きわめて簡単な方法で、従来技術に比較して高精度でSAR分布の推定を行うことができる。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、同様の構成要素については同一の符号を付している。
第1の実施形態.
図1は本発明の第1の実施形態に係るSAR測定システムのうちの磁界測定装置を示す斜視図及びブロック図である。また、図2は本発明の第1の実施形態に係るSAR測定システムのうちのSAR測定装置を示す斜視図及びブロック図である。さらに、図12は本発明の実施形態に係るSAR測定システムの構成を示す斜視図及びブロック図である。また、図13は図12のSAR計算コントローラ20によって実行されるSAR分布計算処理を示すフローチャートである。本発明に係る実施形態のSAR分布計算方法は、基準アンテナとして、図1の9個の微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−9を含む微小ダイポールアレーアンテナ1Aを用いて、図1、図2及び図12に図示されたSAR測定システムを用いて、図13のSAR分布計算処理を実行することを特徴としている。
図1は本発明の第1の実施形態に係るSAR測定システムのうちの磁界測定装置を示す斜視図及びブロック図である。また、図2は本発明の第1の実施形態に係るSAR測定システムのうちのSAR測定装置を示す斜視図及びブロック図である。さらに、図12は本発明の実施形態に係るSAR測定システムの構成を示す斜視図及びブロック図である。また、図13は図12のSAR計算コントローラ20によって実行されるSAR分布計算処理を示すフローチャートである。本発明に係る実施形態のSAR分布計算方法は、基準アンテナとして、図1の9個の微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−9を含む微小ダイポールアレーアンテナ1Aを用いて、図1、図2及び図12に図示されたSAR測定システムを用いて、図13のSAR分布計算処理を実行することを特徴としている。
まず、本実施形態に係るSAR分布の推定方法の基本原理について以下に説明する。本実施形態では、SARが自由空間における磁界とも高い相関があることに着目して、これを利用してSAR分布を推定する。まず、基準アンテナから放射される電波の磁界強度分布Href(x,y)を自由空間において測定する一方、当該基準アンテナから放射される電波に係るSAR分布SAR(x,y)を所定のファントムを用いて測定する。次いで、測定された磁界強度分布Hrefの2乗値と、上記測定されたSAR分布SARrefとの比で求まる係数を、xy座標の2次元の測定点(x,y)毎に計算し、変換係数αの分布α(x,y)を次式を用いて計算する。
[数3]
α(x,y)={SARref(x,y)}/{Href 2(x,y)} (3)
α(x,y)={SARref(x,y)}/{Href 2(x,y)} (3)
そして、被測定対象である携帯無線通信装置の自由空間における磁界強度分布Hmeasure(x,y)を測定する。被測定対象である携帯無線通信装置のSAR値分布SARcalculate(x,y)は、上記計算した磁界強度分布Hmeasure(x,y)に、先に計算された変換係数αの分布α(x,y)を乗算して、次式を用いて計算することができる。
[数4]
SARcalculate(x,y)=α(x,y)Hmeasure 2(x,y)
(4)
SARcalculate(x,y)=α(x,y)Hmeasure 2(x,y)
(4)
次いで、図1を参照して、基準アンテナである微小ダイポールアレーアンテナ1Aから放射される電波の近傍磁界分布Href(x,y)を測定する方法について説明する。図1において、一様の磁界分布を有する基準アンテナとして、例えば9個の微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−9(以下、総称する場合、符号1を付す。)をxy平面において2次元のアレー状で互いに等間隔で(互いに隣接する各微小ダイポールアンテナの中心間の距離を、図3に示すようにdとする。)配置してなる微小ダイポールアレーアンテナ1Aを用いる。ここで、各微小ダイポールアンテナ1は、好ましくは0.01波長以上でかつ0.2波長以下、より好ましくは0.01波長以上でかつ0.1波長以下、さらに好ましくは0.02波長以上でかつ0.1波長以下の長さを有して構成される。
各微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−9は誘電体基板3上に支持され、各微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−9はそれぞれ、例えば単一の発振器(図示せず。)からの基準無線信号に基づいて例えばPLL回路を用いて同期化された、同一の周波数で同一の位相を有する無線信号を発生する無線信号発生器2−1乃至2−9に接続されている。無線信号発生器2−1乃至2−9により発生される各無線信号はそれぞれ各微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−9に給電され、当該各無線信号に対応する電波がそれぞれ当該各微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−9から放射され、これにより、微小ダイポールアレーアンテナ1Aの近傍では実質的に一様な磁界分布が得られる。このとき、例えば円形ループアンテナを用いた磁界検出プローブ4をx方向及びy方向の2次元で、走査機構4Sにより走査し、かつ磁界検出プローブ4からの検出信号に基づいて公知の方法(磁界検出プローブ4に流れる電流が磁界に比例するという原理を用いる。)を用いて磁界測定器4Aにより自由空間における近傍磁界分布Href(x,y)を測定する。
さらに、図2を参照して、基準アンテナである微小ダイポールアレーアンテナ1Aから放射される電波に係るSAR分布SARref(x,y)を測定する方法について説明する。図2において、SAR分布の測定において、例えばシリコン樹脂を主成分とする材料にてなり人体頭部の形状を有する人体頭部ファントム5に、所定の組成のSAR溶液6を充填したファントムを用いて、電界検出プローブ7を人体頭部ファントム5の内壁面に沿うように、x方向及びy方向の2次元で走査させて、電界検出プローブ7からの検出信号に基づいて公知の方法(磁界検出プローブ4により誘起される電圧が電界に比例し、当該電界の2乗値は式(1)に示すようにSARに比例するという原理を用いる。)を用いて、SAR測定器7AによりSAR分布SARref(x,y)を測定する。なお、SAR溶液6として、例えば、周波数f=900MHzのときは、蔗糖56.5%と、脱イオン水40.92%と、塩化ナトリウム1.48%と、ハイドロキシルセルロース1.0%と、殺菌剤0.1%の組成なる溶液を用いる。また、例えば、周波数f=1900MHzのときは、ブチルカルビトール44.92%と、脱イオン水54.90%と、塩化ナトリウム0.18%の組成なる溶液を用いる。本明細書において、組成比の%は重量%を意味する。
以上の実施形態においては、一例として9個の微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−9を3×3の2次元アレー状に配置しているが、本発明はこれに限らず、複数の微小ダイポールアンテナ1を1次元又は2次元のアレー形状で配置してもよい。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るSAR測定システムにおいて用いる微小ダイポールアレーアンテナの配置を示す平面図である。ここで、一様な磁界分布、実質的に一様な磁界分布、又は一様に近い磁界分布を形成するための、微小ダイポールアンテナ1の配置について以下に考察する。ここでは、図3に示すように、5個の微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−5を、x軸上に等間隔dで配置した場合を考える。これは、隣接する微小ダイポールアンテナ1よりさらに外側に配置した微小ダイポールアンテナ1の影響も考慮するためである。また、磁界分布をより一様にするために、微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−5を等間隔dで配置している。さらに、微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−5はいずれもその長手方向がx方向に平行となるように配置している。
ここで、真中に配置した微小ダイポールアンテナ1−3の座標位置を中心とした間隔dの区間(図3の上部参照。)における磁界強度の最大値と最小値の差(以下、磁界強度差という。)を公知の解析方法を用いて計算し、その結果について以下に説明する。当該解析の目的は、一様に近い磁界分布を形成するための間隔dを決定することにあり、当該解析は、測定間隔h(各微小ダイポールアンテナ1と磁界検出プローブ4との間の測定間隔をいう。)を2[mm]、3[mm]、5[mm]とした場合について行った。使用する電波の周波数は900MHzである。なお、各微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−5から同一の周波数でかつ同一の位相を有する無線信号の電波が放射されている。また、微小ダイポールアンテナ1の長さLを1[mm]とした。
図6は、図3の微小ダイポールアレーアンテナを用いたときの解析結果であって、測定間隔hをパラメータとしたときのアンテナ間隔dに対する、微小ダイポールアンテナ1−3の座標を中心とした測定幅d内における最大値と最小値との磁界強度差を示すグラフである。図6において、縦軸は中央に位置する微小ダイポールアンテナ1−3の座標位置を中心とした測定幅d内における磁界強度の最大値と最小値の磁界強度差であり、当該磁界強度差は区間の測定幅dにおける平均値に対する百分率で示した。すなわち、アンテナ間隔dを測定幅dに等しく設定している。
図6から明らかなように、測定間隔h=2[mm]のとき、測定幅dは2.6[mm]で磁界強度の最大値と最小値の差が約10[%]である。また、測定幅d=2.2[mm]とすると、磁界強度の最大値と最小値との差は5[%]未満であり、解析結果の磁界強度分布は十分に一様であるとみなすことができる。また、測定間隔h=3[mm]のときも測定幅d≦3.3[mm]で磁界強度差は5[%]以内である。さらに、測定間隔h=5[mm]に対しても測定幅d≦5.5[mm]で磁界強度差は5[%]以内である。これより、磁界強度差を5[%]以内にするためには測定幅dを測定距離hに対してd≦1.1hとなるようにすればよいことがわかる。また、磁界強度差を10[%]以内にするためには、測定幅dを測定間隔hの1.3倍以下にすればよいことがわかる。
次いで、測定幅d(=アンテナ間隔d)と、各微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−5からの測定間隔hと、使用する電波の波長λとの関係について以下に考察する。図6の解析結果から明らかなように、測定幅dと測定間隔hとの関係は次式の通りである。
[数5]
d≦1.3h(誤差10%以内) (5)
[数6]
d≦1.1h(誤差5%以内) (6)
d≦1.3h(誤差10%以内) (5)
[数6]
d≦1.1h(誤差5%以内) (6)
ここで、測定幅dと波長λとの関係は、標本化定理における条件より次式が成立する必要がある。
[数7]
d≦λ/2 (7)
d≦λ/2 (7)
上記式(5)又は式(6)及び式(7)から、測定幅dの最大値が決定される。しかしながら、測定間隔hの最大値は決定できず、測定間隔hの最大値はプローブの受信電力により以下のように決定される。
まず、一例として図4の微小正方形ループプローブ4pの場合について考える。図4は図1の磁界検出プローブ4として微小正方形ループプローブ4pを用いるときにおけるループの一辺の長さdと磁界Hの高さHと波長λとの関係を説明するための正面図である。ここで、ループプローブ4pの最大値は磁界検出プローブ4の走査間隔であり、磁界検出プローブ4の大きさは大きくなると感度が良くなりますが、分解能が低下する。そこで、磁界検出プローブ4には少なくとも走査間隔の分解能が必要になる。ここで、電磁界を発生するアンテナ素子である無限長の線路導線Csに電流I=I0・exp(jωt)(ここで、電波の角周波数ω=2πf;fは電波の周波数である。)が流れたときのプローブの中心の磁界Hはアンペールの法則より次式で表される。
[数8]
H=I/(2πh) (8)
H=I/(2πh) (8)
ここで、磁束密度Bは次式で表される。
[数9]
B=μ0・H (9)
B=μ0・H (9)
ここで、μ0は真空中の透磁率である。また、ファラデーの電磁誘導の法則より、起電力である起電圧Vは次式で表される。
[数10]
V=−(dΦ/dt) (10)
V=−(dΦ/dt) (10)
ここで、Φは磁束であり、磁束Φは、面積をS=d×dとすると(測定幅dの中で最大幅)次式で表される。
[数11]
Φ
=B・S
=μ0・H・d2
=μ0・I/(2πh)・d2 (11)
[数11]
Φ
=B・S
=μ0・H・d2
=μ0・I/(2πh)・d2 (11)
従って、起電圧Vは次式で表される。
[数12]
V=−μ0/(2πh)・d2(dI/dt) (12)
V=−μ0/(2πh)・d2(dI/dt) (12)
ここで、
[数13]
(dI/dt)=jωI (13)
なので、次式を得る。
[数13]
(dI/dt)=jωI (13)
なので、次式を得る。
[数14]
V=−jω・μ0・I/(2πh)・d2 (14)
V=−jω・μ0・I/(2πh)・d2 (14)
ここで、プローブの入力インピーダンスをZとすると、受信電力Prは次式で表される。
[数15]
Pr
=V2/Z
=(ω・μ0・I0・d2/(2πh))2/Z (15)
Pr
=V2/Z
=(ω・μ0・I0・d2/(2πh))2/Z (15)
ここで、
[数16]
ω=2π/λ (16)
であるので、次式を得る。
[数16]
ω=2π/λ (16)
であるので、次式を得る。
[数17]
Pr=(μ0・I0・d2/(h・λ))2/Z (17)
Pr=(μ0・I0・d2/(h・λ))2/Z (17)
ここで、受信電力Prが、無線受信機で受信される熱雑音N0(=kB・B・T;ここで、kBはボルツマン定数、Bは無線受信機の帯域幅[Hz]、Tは絶対温度[K]である。)以上であれば、これを検出できる。すなわち、次式により、測定間隔hの最大値を決定できる。
[数18]
Pr>N0 (18)
[数19]
(μ0・I0・d2/(h・λ))2/Z>kB・B・T (19)
Pr>N0 (18)
[数19]
(μ0・I0・d2/(h・λ))2/Z>kB・B・T (19)
従って、次式を得る。
[数20]
h<μ0・I0・d2/(λ・(kB・B・T・Z)1/2) (20)
h<μ0・I0・d2/(λ・(kB・B・T・Z)1/2) (20)
次いで、微小ダイポールプローブ7pの場合も、測定間隔hの最大値は受信電力Prで以下のように決定できる。図5は、図1の磁界検出プローブ4として微小ダイポールプローブ7pを用いるときにおける微小ダイポールの長さdと磁界Hの高さHと波長λとの関係を説明するための正面図である。ここで、微小ダイポールの長さの最大値は磁界検出プローブ4の走査間隔であり、磁界検出プローブ4の大きさは大きくなると感度が良くなりますが、分解能が低下する。そこで、磁界検出プローブ4には少なくとも走査間隔の分解能が必要になる。ここで、電流Iから、測定間隔hだけ離れたところの微小ダイポールプローブでの電界をEとすると、起電力である起電圧Vは次式で表される。
[数21]
V=E・d (21)
V=E・d (21)
ここで、電界Eと磁界Hの比をηとすると、次式で表される。
[数22]
E=η・H (22)
E=η・H (22)
このとき、電界Eは次式で表される。
[数23]
E=η・I/(2πh) (23)
E=η・I/(2πh) (23)
従って、起電圧V及び受信電力Prは次式で表される。
[数24]
V
=E・d
=(η・I・d)/(2πh) (24)
[数25]
Pr
=V2/Z
=((η・I・d)/(2πh))2/Z (25)
V
=E・d
=(η・I・d)/(2πh) (24)
[数25]
Pr
=V2/Z
=((η・I・d)/(2πh))2/Z (25)
当該受信電力Prが無線受信機で受信される熱雑音N0(=kB・B・T)以上であれば検出できる。すなわち、次式を得る。
[数26]
Pr>N0 (26)
[数27]
(η・I0・d/(2πh))2/Z>kB・B・T (27)
Pr>N0 (26)
[数27]
(η・I0・d/(2πh))2/Z>kB・B・T (27)
これにより、測定間隔hの最大値が決定され、次式を得る。
[数28]
h<η・I0・d/(2π・(kB・B・T・Z)1/2) (28)
h<η・I0・d/(2π・(kB・B・T・Z)1/2) (28)
ここでは、無限長の線路導体Csに流れる電流により、近似的に条件を求めた一例を示した。なお、無限長の線路導体Csの特性インピーダンスをZ0とすると、当該線路導体Csへの入力電力Pinは次式で表される。ここで、微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−9に流れる電流の振幅I0を、線路導体Csに流れる電流の振幅I0として等価的に表している。
[数29]
Pin=Z0・I0 2 (29)
Pin=Z0・I0 2 (29)
これより、次式を得る。
[数30]
I0=(Pin/Z0)1/2 (30)
I0=(Pin/Z0)1/2 (30)
この式を上記の条件式(式(5)又は式(6))に代入してもよい。通常、高周波では、電力とインピーダンスが既知である場合が多く、一例として、アンテナへの入力電力が10dBm、インピーダンスが50Ωである。
図7は、図3の微小ダイポールアレーアンテナを用いたときの解析結果であって、アンテナ長Lに対する磁界強度差を示すグラフである。ここで、微小ダイポールアンテナ1のアンテナ間隔d=2[mm]、測定間隔h=2[mm]とし、長さLを0.1乃至1.9[mm]まで変化させた。図7から明らかなように、長さLを変化させても最大値と最小値の磁界強度差はほとんど変化せず、L=0.1[mm]時とL=1.9[mm]時との強度差は0.1[%]未満である。微小ダイポールアンテナのアンテナ長Lは特に制限がなく、隣接するアンテナに接触しない程度の長さでよいことがわかる。
図8は21個の微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−21を備えたアレーアンテナの配置を示す平面図である。上記の条件の確認として、図8に示すように、21個の微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−21を配置し、アンテナ間隔d=5[mm]としたモデルの磁界強度分布の解析を行った。ここで、各微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−21の長さL=1[mm]、測定間隔h=5[mm]とした。
図9は図8のアレーアンテナを用いたときの解析結果であって、x座標に対する、磁界強度の最大値で規格化された規格化磁界強度を示すグラフである。図9から明らかなように、磁界強度の最大値に対する磁界強度差は、5[mm]≦x≦95[mm]の範囲で10[%]以内、10[mm]≦x≦90[mm]の範囲であれば5[%]以内である。これより、より広範囲にわたって一様に近い磁界分布が得られることがわかる。
上述の実施形態においては、上記のアンテナ間隔dで微小ダイポールアンテナ1を平面上に配置することにより、平面的に一様な磁界分布をつくることができ、図1及び図2などの上記の実施形態においては、各微小ダイポールアンテナ1の向きは全て一方向に揃えている。図10は、本発明の第1の変形例に係る4個の微小ダイポールを備えたアレーアンテナの配置を示す平面図であり、各微小ダイポールアンテナ1の長手方向は互いに平行であり、各微小ダイポールの主ビームは互いに平行である。この場合、各微小ダイポールアンテナ1を配置する範囲は、アレーアンテナ端部で磁界強度が減少するため、少なくとも測定に用いる携帯無線通信装置よりも大きめに設定する必要がある。
図11は本発明の第2の変形例に係る4個の微小ダイポールを備えたアレーアンテナの配置を示す平面図である。図10の構成に対して、隣接する微小ダイポールアンテナ1間のアイソレーションを保つために、図11のように、互いに隣接する微小ダイポールアンテナ1で互いに直交するように配置してもよい。この場合、互いに隣接する微小ダイポールの主ビームは互いに直交している。これにより、直交する2つの成分をもつ一様の磁界を発生させることが可能である。
図12は本発明の実施形態に係るSAR測定システムの構成を示す斜視図及びブロック図である。図12において、支持台30上に、x方向で移動可能なxステージ31と、y方向で移動可能なyステージ32とが設けられ、それらのステージ31,32上から垂直方向に延在する矩形柱の支持柱9が形成され、当該支持柱9の上部端部に固定支持部33が設けられる。測定対象である携帯無線通信装置10は固定支持部33により挟込まれ固定支持されており、xステージ31が移動することにより携帯無線通信装置10をx方向に移動させるとともに、yステージ32が移動することにより携帯無線通信装置10をy方向に移動させることができ、これにより、x方向及びy方向の2次元で携帯無線通信装置10を、固体された磁界検出プローブ4に対して相対的に移動できる。ここで、xステージ31及びyステージ32からの座標データはSAR計算コントローラ20に入力され、また、磁界検出プローブ4により検出された磁界強度データはSAR計算コントローラ20に入力される。
次いで、図12のSAR測定システムを用いたSAR分布測定方法について、図13のSAR分布計算処理のフローチャートを参照して以下に説明する。
図13のステップS1において、図1の磁界測定器4Aを用いて、基準アンテナである微小ダイポールアンテナアレー1Aに対して同一の周波数でかつ同一の位相を有する無線信号で励振することにより微小ダイポールアレーアンテナ1Aから放射される電波の近傍の磁界分布Href(x,y)を、自由空間において、微小ダイポールアレーアンテナ1Aから一定距離だけ離隔された磁界検出プローブ4を用いて、それをx方向及びy方向の2次元で走査することにより測定する。次いで、ステップS2において、ステップS1と同様に微小ダイポールアンテナアレー1Aを励振することにより微小ダイポールアンテナアレー1Aから放射される電波に係るSAR分布SARref(x,y)を電界検出プローブ7を用いてこれを、人体頭部ファントム5の内壁面に沿ってx方向及びy方向の2次元で走査することにより測定する。そして、ステップS3において測定された微小ダイポールアンテナアレー1Aの磁界分布Href(x,y)及びSAR分布SARref(x,y)に基づいて、式(3)を用いて変換係数分布α(x.y)を計算する。さらに、ステップS4において測定対象の携帯無線通信装置を励振させ、当該携帯無線通信装置から放射される電波の近傍磁界分布Hmeasure(x,y)を自由空間において磁界検出プローブ4を用いてそれをx方向及びy方向の2次元で走査することにより測定する。最後に、ステップS5において測定された携帯無線通信装置の磁界分布Hmeasure(x,y)と、計算された変換係数α(x.y)に基づいて式(4)を用いて携帯無線通信装置のSAR分布SARmeasure(x,y)を計算し、CRTディスプレイ21に表示する。
式(3)において、磁界分布Href(x,y)の2乗が分母にある。このため、磁界分布Href(x,y)の値が小さい場合に、SAR分布SARref(x,y)の測定誤差が大きくなり、これにより、式(4)で計算されるSAR分布SARcalculate(x,y)に誤差をもたらす可能性がある。しかしながら、一様又は一様に近い磁界分布になるよう配置した微小ダイポールアンテナアレー1Aを用いることによって、従来技術に比較して高精度で、変換係数分布α(x,y)を決定でき、携帯無線通信装置のSAR分布の測定精度を向上させることができる。
また、微小ダイポールアレーアンテナ1Aを配置する範囲を頭部側面を覆う範囲にすると、多種類の携帯無線通信装置に対応することが可能である。例えば、折畳み型の携帯無線通信装置において、アンテナが筐体上面に配置されているものと、折畳みヒンジ部に配置されているものがある。一般に、アンテナ給電部付近が最も磁界強度が強く、そのため給電部付近でSARも高くなる。従って、アンテナ位置が異なると、磁界とSARの強弱も携帯無線通信装置の構成によって大きく異なってくる。この手法を用いると、頭部表面にわたって一様に近い磁界分布もつアンテナ(又はアレーアンテナ)を基準アンテナとしているので、携帯無線通信装置の構成の違いにも対応することができる。
以上の実施形態においては、磁界検出プローブ4及び電界検出プローブ7にそれぞれ走査機構4S,7Sを設けているが、本発明はこれに限らず、誘電体基板3をx方向及びy方向の2次元で移動させる走査移動機構を設けてもよい。
図14は、本発明の第3の変形例に係る、微小ダイポールアレーアンテナを支持して固定する誘電体基板3を傾斜させる傾斜機構42を備えた支持台40を含む装置を示す側面図である。SAR分布の測定は、携帯無線通信装置を人体頭部ファントム5の頬に密着させた状態や、その耳に携帯無線通信装置の音孔部を近づけた場合など条件を変えて測定を行う。このとき、人体頭部ファントム5の側面に対する携帯無線通信装置の傾斜角度(図2におけるxy面に対する傾斜角度)がそれぞれ異なる。そこでこの傾斜角度が設定できるように、上記走査機構4S,7S又は上記走査移動機構に加えて、図14に示す傾斜機構42を設けてもよい。図14では、支持台40上に、所定の回転軸で水平面に対して傾斜可能な傾斜機構42を備えた支持台41が設けられ、当該支持台41上に、微小ダイポールアレーアンテナ1Aが搭載された誘電体基板3が載置される。
図15は、本発明の第4の変形例に係る、微小ダイポールアレーアンテナを支持して固定する誘電体基板3を傾斜させる回転機構43を備えた支持台を含む装置を示す側面図である。SAR分布測定において、携帯無線通信装置は人体頭部ファントム5の耳から口を結ぶ線に沿って置かれる。このため、SAR分布測定時に、測定座標の微調整を行えるように、上記走査機構4S,7S又は上記走査移動機構に加えて、図15に示す回転機構43を設けてもよい。図15において、図示しない支持台上に回転機構43が設けられ、回転機構43は、微小ダイポールアレーアンテナ1Aをz軸を中心として回転させることができる。
図16は、本発明の第5の変形例に係る、無線信号発生器2からの無線信号を分配器14を用いて微小ダイポールアレーアンテナの各微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−9に分配する場合の装置の構成を示す斜視図である。図1及び図2の実施形態においては、各微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−9毎にそれぞれ1個の無線信号発生器2−1乃至2−9が接続されているが、本発明はこれに限らず、図16に示すように、1個の無線信号発生器2により発生される無線信号を分配器14を用いて同相分配し、同相分配後の無線信号をそれぞれ各微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−9に給電してもよい。
図17は本発明の第6の変形例に係る、人体頭部の表面形状に沿った形状を有する誘電体基板15を用いた装置の構成を示す斜視図である。図1及び図2の実施形態においては、微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−9を平行平板の誘電体基板3上に載置しているが、本発明はこれに限らず、微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−Nを、図17に示すように人体頭部表面形状に沿った形状の誘電体基板15上に載置してもよい。図17においては、誘電体基板15は頭部側面の一部分を覆う大きさのものであるが、大きさはこれに限らず、頭部表面全体を覆う大きさでもよい。図17の例では、2次元で微小ダイポールアンテナ1−1乃至1−Nを配置しているが、1次元で配置してもよい。
なお、誘電体基板3,15は樹脂や木材などの誘電体にて形成される。樹脂の場合、ポリテトラフロロエチレン樹脂又はアクリル樹脂で構成してもよい。こうすることで、微小ダイポールアンテナ1により形成される電磁界への影響を小さくし、高精度で磁界及びSARの測定を行うことができる。
第2の実施形態.
図18は本発明の第2の実施形態に係る、平板形状のダイポールアンテナ装置16を示す平面図であり、図19は図18の平板形状のダイポールアンテナ装置16への給電回路を示す回路図である。第2の実施形態では、第1の実施形態に係る微小ダイポールアレーアンテナ1Aに代えて、平板形状のダイポールアンテナ装置16を基準アンテナとして用いてSAR分布を測定することを特徴としている。
図18は本発明の第2の実施形態に係る、平板形状のダイポールアンテナ装置16を示す平面図であり、図19は図18の平板形状のダイポールアンテナ装置16への給電回路を示す回路図である。第2の実施形態では、第1の実施形態に係る微小ダイポールアレーアンテナ1Aに代えて、平板形状のダイポールアンテナ装置16を基準アンテナとして用いてSAR分布を測定することを特徴としている。
ここで、平板形状のダイポールアンテナ装置16は、例えば厚さ0.5mmの銅板により形成され、第1の実施形態の目的と同様に、携帯無線通信装置の測定範囲内で一様又は一様に近い磁界分布ができるような構成となっている。ここで、一様な磁界分布の範囲を広げるために、まず、当該平板形状のダイポールアンテナ装置16の大きさを、一般的な携帯無線通信装置の大きさ(縦約180mm、横約50mm)よりも大きめのサイズ縦200mm×横70mmとしている。また、アンテナ給電部付近で磁界強度が大きく変化することから、アンテナの形状を左右非対称とし、2つの矩形放射導体16A,16Bから構成する。具体的には、平板形状のダイポールアンテナ装置16は、サイズ縦170mm×横70mmの第1の矩形放射導体16Aと、サイズ縦30mm×横70mmの第2の矩形放射導体16Bとから構成され、実際のSAR測定範囲(すなわち、近傍磁界の測定範囲)に給電点(無線信号発生器2からの給電点)が含まれない位置に配置している。
なお、当該アンテナ装置16は平板形状で、アンテナの形状が左右非対称であるので、給電線路とアンテナ装置16との間でインピーダンスの不整合が生じる。このため、図19に示すように、平板形状のダイポールアンテナ装置16の前段に、巻回比1:4のバラン17と、キャパシタ18と、インダクタ19−1,19−2で構成されたインピーダンス整合回路50を挿入している。本発明者らの試作品では、周波数900MHzでインピーダンス整合するように設計した場合、キャパシタ18の容量値は2.5[pF]、インダクタ19−1、19−2のインダクタンス値はともに10[nH]であった。
図20は図18の平板形状のダイポールアンテナ装置16の近傍磁界分布を示すグラフである。図20では、周波数900MHzにおける近傍磁界分布を示しており、磁界強度は0から700[mA/m]の範囲で、等高線を50[mA/m]毎に引いている。近傍磁界分布の測定はアンテナ表面から、測定間隔h=6[mm]の位置で行い、入力電力は20[dBm]である。
図20から明らかなように、−50[mm]≦x≦90[mm]、−25[mm]≦y≦25[mm]の範囲で、50乃至100[mA/m]程度の磁界強度差であり、一様に近い分布となっている。なお、図20の(x,y)=(35,30)における最大値は214.98mA/mであり、(x,y)=(30,−35)における最大値は254.46mA/mであり、(x,y)=(−70,0)における最大値は665mA/mである。一般的な携帯無線通信装置の横幅は50[mm]程で、−25[mm]≦Y≦25[mm]の範囲内に収まる。また、x方向については給電部付近の値が非常に大きくなっているが、ここはSAR測定対象とする範囲から外れているため誤差に影響することはないと考えられる。
本実施形態に係るアンテナ装置16を用いたSAR測定方法は、第1の実施形態と同様に行うことができる。このアンテナ装置16を用いても、磁界強度分布が小さくなる箇所が生じないため高精度でSAR分布の推定を行うことができる。
なお、平板形状のダイポールアンテナ装置16の下部を支持するための支持台を設けてもよい。支持台は樹脂や木材で構成してもよい。樹脂の場合、ポリテトラフロロエチレン樹脂又はアクリル樹脂で構成してもよい。こうすることで、平板形状のダイポールアンテナ装置16が形成する電磁界への影響を小さくし、高精度で磁界分布及びSAR分布の測定を行うことができる。
以上の実施形態においては、微小ダイポールアンテナ1を用いているが、本発明はこれに限らず、微小ループアンテナ、又は微小スロットアンテナなどの微小アンテナを用いてもよい。
以上説明したように、本発明に係るSAR測定装置及び方法によれば、複数の微小アンテナにてなる微小アンテナアレーアンテナ、又は平板形状のダイポールアンテナを基準アンテナとして用いて基準の近傍磁界分布とSAR分布を測定した後、携帯無線通信装置の自由空間における磁界分布を測定することにより、きわめて簡単な方法で、従来技術に比較して高精度でSAR分布の推定を行うことができる。
1,1−1乃至1−21,1−N…微小ダイポールアンテナ、
1A…微小ダイポールアレーアンテナ、
2,2−1乃至2−9…無線信号発生器、
3…誘電体基板、
4…磁界検出プローブ、
4A…磁界測定器、
5…人体頭部ファントム、
6…SAR溶液、
7…電界検出プローブ、
7A…SAR測定器、
7S…走査機構、
9…支持柱、
10…携帯無線通信装置、
14…分配器、
15…誘電体基板、
16…平面形状のダイポールアンテナ装置、
16A,16B…矩形放射導体、
17…バラン、
18…キャパシタ、
19−1,19−2…インダクタ、
20…SAR計算コントローラ、
21…CRTディスプレイ、
30…支持台、
31…x軸ステージ、
32…y軸ステージ
33…固定支持部、
40…支持台、
41…固定支持台、
42…傾斜機構、
43…回転機構、
50…インピーダンス整合回路。
1A…微小ダイポールアレーアンテナ、
2,2−1乃至2−9…無線信号発生器、
3…誘電体基板、
4…磁界検出プローブ、
4A…磁界測定器、
5…人体頭部ファントム、
6…SAR溶液、
7…電界検出プローブ、
7A…SAR測定器、
7S…走査機構、
9…支持柱、
10…携帯無線通信装置、
14…分配器、
15…誘電体基板、
16…平面形状のダイポールアンテナ装置、
16A,16B…矩形放射導体、
17…バラン、
18…キャパシタ、
19−1,19−2…インダクタ、
20…SAR計算コントローラ、
21…CRTディスプレイ、
30…支持台、
31…x軸ステージ、
32…y軸ステージ
33…固定支持部、
40…支持台、
41…固定支持台、
42…傾斜機構、
43…回転機構、
50…インピーダンス整合回路。
Claims (12)
- 複数の微小アンテナにより構成される基準アンテナであるアレーアンテナから放射される電波の第1の近傍磁界分布を自由空間において測定する第1の測定手段と、
上記アレーアンテナから放射される電波に係る比吸収率(SAR)分布を所定の測定方法で所定のファントムを用いて測定する第2の測定手段と、
上記測定された比吸収率(SAR)分布を上記測定された第1の近傍磁界の二乗値により除算することにより変換係数αの分布を計算する第1の計算手段と、
測定対象の無線通信装置から放射される電波の第2の近傍磁界分布を自由空間において測定する第3の測定手段と、
上記測定された第2の近傍磁界分布の二乗値に上記計算された変換係数αの分布を乗算することにより上記測定対象の無線通信装置から放射される電波に係る比吸収率(SAR)の分布を推定して計算する第2の計算手段とを備えたことを特徴とする無線通信装置用比吸収率測定装置。 - 上記微小アンテナは微小ダイポールアンテナであることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置用比吸収率測定装置。
- 上記アレーアンテナは、複数の微小アンテナを人体頭部側面の形状に沿った線上に1次元アレー状で配置してなることを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信装置用比吸収率測定装置。
- 上記アレーアンテナは、複数の微小アンテナを人体頭部側面の形状に沿った面上に2次元アレー状で配置してなることを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信装置用比吸収率測定装置。
- 上記アレーアンテナは、複数の微小アンテナを等しいアンテナ間隔dで配置してなることを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか1つに記載の無線通信装置用比吸収率測定装置。
- 上記アレーアンテナと上記第1の測定手段との間の測定間隔をhとしたときに、上記アレーアンテナは、アンテナ間隔dがd≦1.1hとなるように、複数の微小アンテナを配置したことを特徴とする請求項5記載の無線通信装置用比吸収率測定装置。
- 上記アレーアンテナと上記第1の測定手段との間の測定間隔をhとしたときに、上記アレーアンテナは、アンテナ間隔dがd≦1.3hとなるように、複数の微小アンテナを配置したことを特徴とする請求項5記載の無線通信装置用比吸収率測定装置。
- 上記アレーアンテナは、複数の微小アンテナの主ビームの方向が互いに平行となるように配置してなることを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれか1つに記載の無線通信装置用比吸収率測定装置。
- 上記アレーアンテナは、複数の微小アンテナのうち互いに隣接する微小アンテナの主ビームの方向が互いに直交するように配置してなることを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれか1つに記載の無線通信装置用比吸収率測定装置。
- 基準アンテナである平板形状のダイポールアンテナから放射される電波の第1の近傍磁界分布を自由空間において測定する第1の測定手段と、
上記平板形状のダイポールアンテナから放射される電波に係る比吸収率(SAR)分布を所定の測定方法で所定のファントムを用いて測定する第2の測定手段と、
上記測定された比吸収率(SAR)分布を上記測定された第1の近傍磁界の二乗値により除算することにより変換係数αの分布を計算する第1の計算手段と、
測定対象の無線通信装置から放射される電波の第2の近傍磁界分布を自由空間において測定する第3の測定手段と、
上記測定された第2の近傍磁界分布の二乗値に上記計算された変換係数αの分布を乗算することにより上記測定対象の無線通信装置から放射される電波に係る比吸収率(SAR)の分布を推定して計算する第2の計算手段とを備えたことを特徴とする無線通信装置用比吸収率測定装置。 - 上記平板形状のダイポールアンテナは、近傍磁界測定の範囲から給電点を除外するように形成された、大きさの異なる2枚の矩形放射導体を備えたことを特徴とする請求項10記載の無線通信装置用比吸収率測定装置。
- 上記平板形状のダイポールアンテナに接続され、給電線路とダイポールアンテナとの間のインピーダンスを整合するインピーダンス整合回路をさらに備えたことを特徴とする請求項11記載の無線通信装置用比吸収率測定装置。
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-
2004
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