JP2012083261A - 局所sar測定装置およびそれに用いる平面型軽量ファントム - Google Patents

局所sar測定装置およびそれに用いる平面型軽量ファントム Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な局所SAR測定が可能な平面型軽量ファントムおよびこれを用いる局所SAR測定装置を提供。
【解決手段】局所SAR測定装置10は、固体の電波吸収体で作られた平面型軽量ファントム12を適用し、このファントムの内部に電界プローブ14を埋め込むように配置し、移動部16がプローブ14をファントム12ごと2次元走査して、本装置10に固定配置した無線通信端末18が発する電磁波による平面型軽量ファントム12の内部電界分布を測定し、その測定結果を制御部20が解析して人体に係る局所SARを測定することにより、簡易なSAR測定システムを実現する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波の特性として比吸収率(Specific Absorption Rate:SAR)、とくに局所SARの測定装置、およびその測定に用いる、固体の電波吸収体からなる平面型軽量ファントムに関するものである。
近年では、携帯電話などの無線通信端末が急速に普及されており、その端末から放射される電磁波が人体の健康に影響を与えることが懸念されている。この電磁波が人体に与える影響を評価するために、その電磁波の特性に関して指標が定められており、たとえば、電気通信技術審議会において電波防護指針が策定され、そこでは電磁波特性として比吸収率(Specific Absorption Rate:SAR)の許容値が定められている。
無線通信端末およびそのアンテナ特性の実験、試験および点検において、このような電磁波特性を測定することが要求されており、たとえば、無線通信端末の試験では、人体の代わりに人体を模擬したファントムを使用し、このファントムの側に配置したプローブで端末からの電磁波を受信するので、ファントムは人体と同様の特性を有することが求められる。
従来から、このようなファントムとして、人体の形状を有する型に、人体と同等の特性を有する液体を満たしたものが知られている。たとえば、人体頭部付近で使用される携帯電話の試験では、電磁波の脳に対する影響を評価するために、人体の上半身、とくに頭部および頸部を模擬したファントムが用いられる。
たとえば非特許文献1では、電磁波特性としてSARを測定する場合に、頭部および頸部を含む人体型を正中面で分割し、側頭部を底部にした容器に、人体組織の電気的定数を模擬した液剤を充填して形成されるファントムを使用している。そのSAR測定は、この液体ファントムの側頭部の下方に測定対象の携帯電話を配置し、液体中に挿入した電界プローブを走査して行われる。
平成12年5月22日付け情報通信審議会諮問第118号、「携帯電話端末等に対する比吸収率の測定方法」における「人体側頭部の側で使用する携帯電話端末等に対する比吸収率の測定方法」
しかしながら、従来のSAR測定では、液体ファントム内をプローブで3次元走査するために、大規模で重い測定システムが必要になり、測定に多大な時間を要し、また時間経過による液体の蒸発および沈殿により電気定数が変化するなどの問題が生じている。このような従来のSAR測定システムは、研究室レベルで、または無線通信端末およびそのアンテナの設計段階において利用するには不適当である。
本発明は、このような従来技術の欠点を解消し、軽量かつ時間的特性変化の少ない簡易な局所SAR測定を行うことができる平面型軽量ファントムおよびこれを用いる局所SAR測定装置を提供することを目的とする。
本発明は上述の課題を解決するために、無線通信端末が発する電磁波の比吸収率を測定する比吸収率測定装置は、人体と等価な電気定数を有する低密度かつ低重量の電波吸収体からなり、この無線通信端末の広い表面よりも大きい面積の平らな上面を有するファントムと、このファントムの内部に埋め込まれるように配置されて、このファントムの内部でこの電磁波の電界を測定するためにこの電磁波の特性を検出する検出手段と、このファントムのこの上面に平行な2次元平面においてこの検出手段をこのファントムごと移動させる移動手段とを含み、この装置は、測定対象のこの無線通信端末をこの装置に固定配置して、この移動手段によってこのファントムおよびこの検出手段をこの端末に対して相対的に移動させて、この移動に並行してこの検出手段がこの電磁波の電界を測定することにより、このファントムにおける内部電界分布を走査測定し、この測定結果に基づいて人体に係る内部電界分布を推定し、この推定結果に基づいてこの比吸収率を測定することを特徴とする。
また、無線通信端末が発する電磁波の比吸収率を測定する比吸収率測定装置に適用されるファントムは、人体と等価な電気定数を有する低密度かつ低重量の電波吸収体からなり、この端末の広い表面よりも大きい面積の平らな上面を有し、またこのファントムは、この上面に対向して配されたこの端末から発せられるこの電磁波の一部を吸収し、このファントムの内部においてこの上面から所定のオフセットを得た位置をこの電磁波の電界の検出点とした場合に、この検出点を含んでこの上面に平行な平面に関して検出されるこのファントムにおける内部電界分布が、人体における内部電界分布と所定の関係を有するように形成されることを特徴とする。
本発明の局所SAR測定装置によれば、半永久的に電気定数が変化しない電波吸収体で作られた平面型軽量ファントムを適用し、このファントムの内部に電界プローブを埋め込むように配置し、移動部がプローブをファントムごと2次元走査して、本装置に固定配置した無線通信端末が発する電磁波による平面型軽量ファントムの内部電界分布を測定し、その測定結果を制御部が解析して人体に係る局所SARを測定することができるので、SAR測定システムを小規模かつ軽量にすることができ、また測定時間を高速化することができ、研究室レベルまたは端末およびそのアンテナの設計段階において最適に利用することができる。
本発明に係る局所SAR測定装置の一実施例を示す図である。 図1に示す実施例の測定装置の動作を示すフローチャートである。 図1に示す実施例の測定装置、および液体ファントムを用いた従来の測定装置でそれぞれ得られるx軸上の表面電界分布を示すグラフである。 図1に示す実施例の測定装置、および液体ファントムを用いた従来の測定装置でそれぞれ得られるy軸上の表面電界分布を示すグラフである。
次に添付図面を参照して、本発明による平面型軽量ファントムおよびそれを用いた局所SAR測定装置の実施例を詳細に説明する。たとえば、本実施例の局所SAR測定装置10は、図1に示すように、固体の電波吸収体からなる平面型軽量ファントム12と電界プローブ14とを一体にして構成してその構成物を移動部16に接続し、測定対象の無線通信端末18を本装置10に固定配置して、ファントム12およびプローブ14を移動部16によって端末18に対して相対的に移動させて、端末18が放射する電磁波の電界をプローブ14が走査測定するものである。なお、本発明の理解に直接関係のない部分は、図示を省略し、冗長な説明を避ける。
本実施例において、本装置10は、無線通信端末18が放射する電磁波について、電界プローブ14によって平面型軽量ファントム12の内部電界分布を測定し、その測定結果に基づいてこのファントム12の表面電界分布を推定し、さらにその推定結果に基づいて人体に係る内部電界分布を推定するものである。本装置10は、たとえばパーソナルコンピュータなどの制御部20を含んで制御されてよく、この制御部20によって移動部16による移動を制御し、上述したような測定結果および推定結果を解析してもよい。
平面型軽量ファントム12は、低密度かつ低重量の電波吸収体で形成されるもので、無線通信端末18の広い表面よりも大きい面積の平らな表面を有し、直方体形状に形成されてよい。本実施例では、このファントム12の各面のうち、無線通信端末18の側の面を上面と称し、またその裏側を下面と称し、上述した大きい面積の平らな表面を上面とする。ファントム12の上面および下面は、走査時に無線通信端末18またはそのアンテナ部分を覆う程度の面積を有するとよく、たとえばファントム12に面する端末18の表面積の縦および横の寸法に対して、それぞれ少なくとも2倍の寸法を有するとよい。本実施例では、ファントム12の上面は平らな表面で形成されるが、所定の曲率を有して形成されてもよく、たとえば人の顔を立体的に模した形状、または凹凸または波型を有するその他の形状で形成して、より人体の特性に近づけた構成にすることもでき、本装置10はより正確なSAR測定を実現することができる。
本装置10において、平面型軽量ファントム12は、電界プローブ14と一体となって移動部16に設置され、本実施例では棒状のプローブ14に固定されるが、または図示しない支持部を介して移動部16に設置されてもよい。
また平面型軽量ファントム12は、その内部に電界プローブ14を配置可能にするもので、たとえば図1に示すように、その下面の中心から鉛直上方に向けた穴状の空間を有して、その空間に棒状のプローブ14を嵌め込むように配置させることができる。またファントム12は、たとえば電界プローブ14をすべて内部に埋め込んでプローブ14からの配線を下面から出すように形成されてもよい。本実施例ではとくに、ファントム12は、その上面から奥行き方向に、好ましくは上方から見てその上面の中央からその上面に対して鉛直下向き方向に、所定のオフセットを経た位置に電界プローブ14の一端を配置し、この位置で電磁波の検出を可能とする。
本実施例の平面型軽量ファントム12を構成する電波吸収体は、人体と等価な電気定数を有するもので、たとえば表面インピーダンスの振幅が人体または液体ファントムなどの従来の人体等価な媒体と等しくなるような所望の電気定数をあらかじめ決定し、この所望の電気定数が得られるように電波吸収体を調整し、たとえばその量、密度、濃度および階層などを調整してファントム12を形成するとよい。また電波吸収体の電気定数は、伝送線路理論を用いて決定してもよい。
この電波吸収体は、電気的損失特性を有する材料であり、たとえば、カーボンブラックやカーボン繊維などの炭素系材料や、フェライト粉末などの導電性材料を含むものでよく、または炭素粒子をウレタンフォームに分散して混入したものでもよい。電波吸収体は、混入する炭素系材料または導電性材料の含有率を変えることにより電気定数を調整することができる。
あるいは電波吸収体は、少なくとも1種類以上の固形物の誘電材料のみからなるものでもよく、たとえば、フェライト粉末、ロッシェル塩、酸化チタンまたはチタン酸バリウムなどの誘電材料を固形化したもの、または粒状または粉末状などの固体物の誘電材料を所定の液体で混ぜ合わせて固形化したものでもよい。
本実施例の平面型軽量ファントム12は、均一な電波吸収体からなるものでもよく、またはその上面からの距離に応じて炭素系材料または導電性材料の含有率を変えて形成されてもよい。またファントム12は、端末18が発する電磁波の周波数にほとんど依存することなく本装置10に適用することができるが、周波数の異なる端末18ごとに適したファントム12を準備してもよい。
電界プローブ14は、無線通信端末18が放射する電磁波を受けて、その電磁波の特性を検出する電磁波特性検出機器であり、本実施例では、その電磁波による電界強度を検出する。本実施例では、電界プローブ14として、印加した電界に応じて屈折率が変化する電気光学材料を用いた光学プローブが用いるが、またはその他の種類のプローブが用いられてもよい。
本実施例の電界プローブ14は、その一端に検出部分を備えて構成され、平面型軽量ファントム12の内部に埋め込まれるように配置され、とくにその検出部分がファントムの上面から奥行き方向に所定のオフセットを経て位置するように配置される。
移動部16は、電界プローブ14を平面型軽量ファントム12ごと移動させ、すなわちファントム12とプローブ14とを一体にして移動させるもので、本装置10に固定配置された無線通信端末18に対して相対的にプローブ14を移動させる。移動部16は、たとえば図1に示すように、棒状のプローブ14を立設して接続するものでよい。
本実施例の移動部16は、ファントム12および電界プローブ14を所定のx-y平面で、すなわち2次元で移動させるx-yスキャナでよく、ファントム12の上面を所定のx-y平面と平行にしてファントム12および電界プローブ14を設置することにより、ファントム12の上面を所定のx-y平面と常に平行にして移動させる。
また移動部16は、制御部20によって制御されて所望の走査範囲で電界プローブ14を移動させることができる。たとえば、移動部16から見た走査対象の面は、平面型軽量ファントム12の上面と対向する無線通信端末18の面を含む平面であり、操作者または制御部20がこの走査対象の面から所望の走査範囲を決定し、制御部20がその範囲で移動部16による電界プローブ14の移動を制御することができる。所望の走査範囲は、無線通信端末18がファントム12の上面の範囲から出ない範囲で設定するとよく、この上面の範囲外を含んで走査範囲が設定された場合には、端末18が上面の範囲外にあるときの測定値は使用しない方がよい。
無線通信端末18は、操作者が電磁波特性の測定を所望する端末であり、本装置10において平面型軽量ファントム12の上面に対向して載置され、たとえば被測定器設置用台22に載せられる。無線通信端末18は、走査測定時またはあらかじめ、本装置10に対して固定するとよい。また、被測定器設置用台22は、人体の手を立体的に模した設置部を有してこの設置部に無線通信端末18を配置するように構成されてもよく、本装置10はより正確なSAR測定を実現することができる。この設置部は、端末18を持つときの人体の手の形状で形成されるとよく、またファントム12と同様に、人体と等価な電気定数を有する電波吸収体で形成されるとよい。
制御部20は、移動部16による移動の制御ならびに電界プローブ14による電界測定の制御および測定結果の解析を行うもので、たとえばパーソナルコンピュータでよい。また制御部20は、たとえば各部の制御および測定結果解析を実行するソフトウエアまたはプログラムを搭載するものでよく、それぞれを異なるソフトウエアによって別個に実行してもよい。
本実施例の制御部20は、所望の走査範囲で電界プローブ14が走査移動するように移動部16を制御しつつ、その移動に並行して所定の間隔ごとに電界を測定するように電界プローブ14を制御することにより走査測定を可能にし、その測定結果を解析するために入力することができる。また、制御部20は、入力した測定結果から平面型軽量ファントム12の内部電界分布を得て、その内部電界分布に基づいてファントム12の表面電界分布を推定し、さらにその推定結果に基づいて人体に係る内部電界分布を推定する。制御部20は、このようにして得た人体に係る内部電界分布に基づいて局所SARを測定する。
また、制御部20は、ファントム12の上面に対する無線通信端末18の位置を確認し、端末18がファントム12の上面の範囲から出ないように走査範囲を調整してもよい。
次に、本実施例における局所SAR測定装置10によって、無線通信端末18の局所SARを測定する具体例について図2のフローチャートを参照して説明する。
この例では、図1に示すように、本装置10およびその各部は、移動部16の移動に係る所定のx-y平面が水平方向に延びる平面であるように設置されているが、移動させる平面型軽量ファントム12および電界プローブ14が軽量であるので、所定のx-y平面を鉛直方向に延びる平面にしてもよい。
この平面型軽量ファントム12は、その上面および下面が225 mm×150 mmの平面で、高さが100 mmの直方体であり、その重量は約600 gである。また、ファントム12の上面と電界プローブ14との間のオフセットzは5 mmである。
被測定器設置用台22の上面はファントム12の上面から10 mm上方に設定され、すなわち無線通信端末18はこのファントム12の上面から10 mm上方に載置されている。
図1では、筐体上逆Fアンテナを有する無線通信端末18を用いているが、これは本装置10の評価のために用いたものであり、実際には本装置10は他のいかなるアンテナを有する端末にも適用することができる。
この例において、本装置10ではまず、走査範囲をファントム12の上面の範囲内で設定し、移動部16を制御して無線通信端末18が走査範囲から出ないように電界プローブ14を移動し、所定の間隔で、たとえば5 mm間隔で走査する(S202)。この走査と並行して、ステップS202では、端末18から電磁波を放射し、また電界プローブ14を制御してこの電磁波による電界を測定し、走査と応動して所定の間隔で、たとえば5 mm間隔で測定して測定結果を制御部20に入力する。
次に制御部20では、測定時における端末18の給電点と電界プローブ14との位置関係を把握しておき、各位置関係と測定結果とに基づいて、たとえばモーメント法を用いて、端末18からの電磁波による平面型軽量ファントム12の内部電界分布を測定する(S204)。この内部電界分布は、2次元の3次スプライン補間を用いて1 mm間隔の分布になるように内挿してもよい。本実施例において測定または推定される電界分布は、移動部16によるプローブ14の走査によりxy平面が決まり、この走査においてプローブ14が端末18の給電点の直下にある位置を原点とする。
また、このファントム12の内部電界分布に基づいて、数式アルゴリズムを用いて外挿することにより、ファントム12の上面における表面電界分布を求める(S206)。たとえば、ファントムの内部電界E1は、その表面電界E0と以下の式(1)に示すような関係を有するので、ファントム12の表面電界分布をこの式(1)によって求めることができる。
Figure 2012083261
ここでδは減衰項であり、媒質の減衰定数αおよび媒質による減衰以外の減衰項α’を用いて、1/δ=α+α’なる式で表すことができる。減衰定数αは、ファントムの材質からなる無限長の平板に対して所定の電磁波が垂直入射したときの減衰を示し、以下の式(2)で表すことができる。
Figure 2012083261
また、減衰項α’は、主にエネルギーの拡散による減衰を示し、波源とファントムとの間の距離に依存するが、媒質には依存しないので、液体ファントムなどの従来の人体等価な媒体を用いた場合における減衰項α’を、電波吸収体ファントムを用いた場合のものと等しいと考えて使用することができる。
したがって、平面型軽量ファントム12の電波吸収体の電気定数を用いて求めた減衰定数αを用いて式(2)を適用することにより、平面型軽量ファントム12に係る減衰項δを得ることができる。また、この減衰項δおよびファントム12の内部電界E1を用いて式(1)を適用することにより、平面型軽量ファントム12の表面電界E0を推定することができる。
このようにして推定された電波吸収体ファントム12の表面電界分布は、人体に係る表面電界分布と等しいものと考えることができる。たとえば図3および図4は、それぞれ、ファントム12の上面の原点を通るx軸およびy軸における電界分布を示すもので、電波吸収体ファントム12の表面電界分布を実線で示し、人体に係る表面電界分布を丸印で示すように、両者の分布は実質的に等しい。また図3および図4に示すように、電界強度は給電点直下で最大となっている。
したがって、人体に係る電気定数を用いて減衰定数αを算出し、この減衰定数αを用いて得られる人体に係る減衰項δと、平面型軽量ファントム12の表面電界E0とを用いて式(1)を適用することにより、人体に係る内部電界分布を推定する(S208)。
上記の例では、人体に係る電気定数および減衰項を使用して人体に係る内部電界分布を推定するが、人体と液体ファントムとで内部電界分布が実質的に等しいことを前提として、液体ファントムに係る電気定数および減衰項を使用して液体ファントムの内部電界分布を推定するものとしてもよい。
このように推定した人体または液体ファントムの内部電界分布E(x, y, z)を、以下の式(3)に適用することにより、各位置のSARを求める(S210)。
Figure 2012083261
ここで、電界E(x, y, z)は電界の振幅(実効値)[V/m]でよく、σは生体組織の導電率[S/m]を示し、ρは生体組織の密度[kg/m3]を示す。
また、人体または液体ファントムなどの媒体の密度から、その媒体の所定の質量に相当する立方体の大きさが分かるので、各立方体における平均SAR値を求めることによって局所SARを得ることができる。たとえば、密度ρW=1000 kg/m3の液体ファントムに対して、1 gに相当する立方体は1辺が10 mmで、10 gに相当する立方体は1辺が22 mmである。
この局所SARは、たとえば以下の式(4)のように定義することができる。
Figure 2012083261
ここで、式(4)で使用される定数Mx、MyおよびMzは、人体の所定の質量、たとえば1 gまたは10 gに相当する体積内に含まれる観測点または推定点の数であり、すなわちその体積におけるx方向、y方向およびz方向の計算点数である。
このようにして、本装置10は、推定された人体または液体ファントムの内部電界分布に関して、その分布の総体積から所定の質量ごとに局所SARを求め、さらに最大局所SARを求めて、無線通信端末18を評価することができる。
本発明の局所SAR測定装置は、上述の実施例に限定されることなく、さまざまな大きさの上面を有する複数のファントムを準備して、測定対象の端末に応じた大きさのファントムを選んでもよく、または、さまざまな端末のうち、比較的大きな端末でも測定できるほど広い上面を有したファントムを準備して、測定対象の端末に応じて走査範囲を変えてもよい
10 局所SAR測定装置
12 平面型軽量ファントム
14 電界プローブ
16 移動部
18 無線通信端末
20 制御部
22 被測定器設置用台

Claims (13)

  1. 無線通信端末が発する電磁波の比吸収率を測定する比吸収率測定装置において、
    該装置は、人体と等価な電気定数を有する低密度かつ低重量の電波吸収体からなり、前記無線通信端末の広い表面よりも大きい面積の平らな上面を有するファントムと、
    前記ファントムの内部に埋め込まれるように配置されて、前記ファントムの内部で前記電磁波の電界を測定するために該電磁波の特性を検出する検出手段と、
    前記ファントムの前記上面に平行な2次元平面において前記検出手段を前記ファントムごと移動させる移動手段とを含み、
    該装置は、測定対象の前記無線通信端末を該装置に固定配置して、前記移動手段によって前記ファントムおよび前記検出手段を前記端末に対して相対的に移動させて、この移動に並行して前記検出手段が前記電磁波の電界を測定することにより、前記ファントムにおける内部電界分布を走査測定し、この測定結果に基づいて人体に係る内部電界分布を推定し、この推定結果に基づいて前記比吸収率を測定することを特徴とする比吸収率測定装置。
  2. 請求項1に記載の比吸収率測定装置において、前記ファントムは、表面インピーダンスの振幅が人体と等しくなるような前記電気定数を有する前記電波吸収体で形成されることを特徴とする比吸収率測定装置。
  3. 請求項1に記載の比吸収率測定装置において、前記ファントムは、炭素系材料からなる前記電波吸収体で形成されることを特徴とする比吸収率測定装置。
  4. 請求項1に記載の比吸収率測定装置において、前記ファントムは、炭素粒子をウレタンフォームに分散して混入したものからなる前記電波吸収体で形成されることを特徴とする比吸収率測定装置。
  5. 請求項1に記載の比吸収率測定装置において、前記ファントムは、その上面の縦および横の寸法が、前記無線通信端末の広い表面よりも少なくともそれぞれ2倍の寸法であることを特徴とする比吸収率測定装置。
  6. 請求項1に記載の比吸収率測定装置において、前記検出手段は、その検出部分が前記ファントムの前記上面から奥行き方向に所定のオフセットを経た位置に配置されることを特徴とする比吸収率測定装置。
  7. 請求項1に記載の比吸収率測定装置において、該装置は、走査測定結果の前記ファントムにおける内部電界分布に基づいて、数式アルゴリズムを用いて外挿することにより、前記ファントムにおける表面電界分布を推定し、このように推定した前記ファントムにおける表面電界分布を人体における表面電界分布として使用して、人体における内部電界分布を推定し、このように推定した人体における表面電界分布に基づいて前記比吸収率を測定することを特徴とする比吸収率測定装置。
  8. 請求項1に記載の比吸収率測定装置において、該装置は、前記移動手段による移動の制御、ならびに前記検出手段による電界測定の制御および測定結果の解析を行う制御手段を含むことを特徴とする比吸収率測定装置。
  9. 無線通信端末が発する電磁波の比吸収率を測定する比吸収率測定装置に適用されるファントムにおいて、
    該ファントムは、人体と等価な電気定数を有する低密度かつ低重量の電波吸収体からなり、前記端末の広い表面よりも大きい面積の平らな上面を有し、
    また該ファントムは、前記上面に対向して配された前記端末から発せられる前記電磁波の一部を吸収し、該ファントムの内部において前記上面から所定のオフセットを得た位置を前記電磁波の電界の検出点とした場合に、該検出点を含んで前記上面に平行な平面に関して検出される該ファントムにおける内部電界分布が、人体における内部電界分布と所定の関係を有するように形成されることを特徴とするファントム。
  10. 請求項9に記載のファントムにおいて、該ファントムは、表面インピーダンスの振幅が人体と等しくなるような前記電気定数を有する前記電波吸収体で形成されることを特徴とするファントム。
  11. 請求項9に記載のファントムにおいて、該ファントムは、炭素系材料からなる前記電波吸収体で形成されることを特徴とするファントム。
  12. 請求項9に記載のファントムにおいて、該ファントムは、炭素粒子をウレタンフォームに分散して混入したものからなる前記電波吸収体で形成されることを特徴とするファントム。
  13. 請求項9に記載のファントムにおいて、該ファントムは、その上面の縦および横の寸法が、前記無線通信端末の広い表面よりも少なくともそれぞれ2倍の寸法であることを特徴とするファントム。
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