JP4471583B2 - Sar測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話機、携帯無線装置などの無線装置の比吸収率(以下、SAR(Specific Absorption Rate)という。)を測定するためのSAR測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話機などの携帯無線装置の普及が非常に進んでいる。それに伴い、携帯無線装置から放射される電磁波が人体に与える影響が問題となってきている。この指標を与える一般的なものにSARがある。ここで、SARとは、人間などの生体が電磁界にさらされることによって単位質量に吸収される電力であり、次式で表される。
【0003】
【数1】
SAR=(σE)/ρ
【0004】
ここで、E[V/m]は電界強度であり、σ[S/m]は生体組織の導電率であり、p[kg/m]は当該生体組織の密度である。
【0005】
日本国総務省の電気通信技術審議会答申の「人体側頭部の側で使用する携帯電話端末等に対する比吸収率の測定方法」に示されている、いわゆる電界プローブ法と呼ばれるSARの評価方法では、形状、寸法、頭部組織の電気的特性を人体に模擬させた人体モデルであるいわゆる人体ファントムを使用する。この人体ファントムを使用して、人体内に生ずるであろうSARを実験的に推定している(非特許文献1参照。)。
【0006】
SARについては、世界的に法規制が進んでおり、このため携帯電話機等の携帯無線装置の生産工程においてSAR検査が必要不可欠となる。そこで、この検査を簡便かつ、迅速に行う方法や装置が求められる。従来、簡易的なSAR推定方法として、人体ファントム表面における磁界強度Hより実験的に求める方法が例えば非特許文献2において提案されている。この従来例の方法によれば、人体表面上に発生するSARの分布には、次式の関係が成り立つことが確認されている。
【0007】
【数2】
Figure 0004471583
【0008】
従来のSAR推定方法として、アンテナから電磁波を放出したときの人体ファントム表面における入射磁界から電流分布を算出し、SAR分布を求める方法が例えば、特許文献1において開示されている。磁界は移動及び回転機構を備えた磁界プローブによって検出され、これよりアンテナの電流分布を推定し、この電流分布からSARを評価する構成となっている。
【0009】
【特許文献1】
日本国特許第2790103号公報。
【非特許文献1】
日本国における社団法人電波産業会(Association of Radio Industries and Business in Japan)発行,「携帯型無線端末の比吸収率測定法の標準規格」,ARIB STB-T56 Ver.2.0,2002年1月24日改定。
【非特許文献2】
N. Kuster et al., "Energy Absorption Mechanism by Biological Bodies in the Near Field of Dipole Antennas Above 300 MHz", IEEE Transaction on Vehicular Technology, Vol. 41, No. 1, pp.17-23, February 1992。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
実際のSARの測定では、人体ファントムの頭部に対する携帯電話機の配置、アンテナの種類やその配置状態など様々な条件で測定を行う必要があり、種々の条件での測定結果のSARの最大値をその携帯電話機のSAR値としている。このためSARの測定には非常に時間を要する。上記の簡易的なSAR測定方法でも人体ファントムに対する携帯無線装置の配置法を変更しなければならない。また、実際のSAR測定では、携帯電話機は人体ファントムに密着した状態で計測される。特許文献1において開示された従来例の方法では、人体ファントムの表面上での入射磁界を測定しているため、実際のSAR測定に則した携帯電話機の配置での磁界測定を行うことができない。従って、従来技術のSAR測定の装置や方法を用いて、生産ライン上で携帯電話機のSARの検査を行うことは不可能である。
【0011】
また、製造された携帯電話機におけるSARの良否判定はSAR分布のピーク値ではなく、ピーク値を中心とした立方体内の平均値(以下、平均SARという。)で行われる。判定対象はこの平均SARであり、何らかの手段によって平均SARを算出する必要があるという問題点があった。なお、平均SARは局所SARとも呼ばれる。
【0012】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、従来技術に比較して、より簡単な方法でかつより簡単な装置構成で、高速かつ高精度に、平均SARなどのSAR値を測定することができるSAR測定装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明のもう1つの目的は以上の問題点を解決し、実際のSAR測定に則した携帯電話機の配置においてSAR値を測定することができるSAR測定装置を提供することにある。
【0014】
さらに、本発明の別の目的は以上の問題点を解決し、生産ライン上で携帯電話機のSARを従来技術に比較して容易に測定することができるSAR測定装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る無線装置用比吸収率測定装置は、基準の無線装置又は基準アンテナから放射される電波の第1の近傍磁界を自由空間において測定する第1の測定手段と、
上記基準の無線装置又は上記基準アンテナから放射される電波に係る比吸収率(SAR)を所定の測定方法で所定のファントムを用いて測定する第2の測定手段と、
上記測定された比吸収率(SAR)を上記測定された第1の近傍磁界の二乗値により除算することにより変換係数αを計算する第1の計算手段と、
測定対象の無線装置から放射される電波の第2の近傍磁界を自由空間において測定する第3の測定手段と、
上記測定された第2の近傍磁界の二乗値に上記計算された変換係数αを乗算することにより上記測定対象の無線装置から放射される電波に係る比吸収率(SAR)を推定して計算する第2の計算手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
上記無線装置用比吸収率測定装置において、上記基準の無線装置又は上記基準アンテナを上記第1の測定手段及び上記第2の測定手段に対して相対的に1次元、2次元又は3次元で移動する第1の移動手段と、
上記第2の測定手段を上記測定対象の無線装置及び上記ファントムに対して相対的に1次元、2次元又は3次元で移動する第2の移動手段とをさらに備え、
上記第1の測定手段は、上記第1の移動手段により上記基準の無線装置又は上記基準アンテナを移動させながら、上記基準の無線装置又は上記基準アンテナから放射される電波の第1の近傍磁界の分布を自由空間において測定し、
上記第2の測定手段は、上記第1の移動手段により上記基準の無線装置又は上記基準アンテナを移動させながら、上記基準の無線装置又は上記基準アンテナから放射される電波に係る比吸収率(SAR)の分布を上記測定方法で測定し、
上記第1の計算手段は、上記測定された比吸収率(SAR)の分布を上記測定された第1の近傍磁界の二乗値の分布により除算することにより変換係数αの分布を計算し、
上記第3の測定手段は、上記第2の移動手段により上記測定対象の無線装置を移動させながら、上記測定対象の無線装置から放射される電波の第2の近傍磁界の分布を自由空間において測定し、
上記第2の計算手段は、上記測定された第2の近傍磁界の二乗値の分布に上記計算された変換係数αの分布を乗算することにより上記測定対象の無線装置から放射される電波に係る比吸収率(SAR)の分布を推定して計算することを特徴とする。
【0017】
また、上記無線装置用比吸収率測定装置において、上記第1の測定手段は、上記第1の移動手段により上記基準の無線装置又は上記基準アンテナを、上記基準の無線装置又は上記基準アンテナの表面に対して実質的に垂直な方向を除く1次元又は2次元で移動させながら、上記基準の無線装置又は上記基準アンテナから放射される電波の第1の近傍磁界の分布を自由空間において測定し、
上記第3の測定手段は、上記第2の移動手段により上記測定対象の無線装置を、上記測定対象の無線装置の表面に対して実質的に垂直な方向を除く1次元又は2次元で移動させながら、上記測定対象の無線装置から放射される電波の第2の近傍磁界の分布を自由空間において測定することを特徴とする。
【0018】
さらに、上記無線装置用比吸収率測定装置において、上記第2の計算手段は、上記第3の測定手段に係る比吸収率(SAR)の測定限界ラインを含む測定面において上記推定して計算された比吸収率(SAR)又はその分布と、上記測定対象の無線装置からの距離とに基づいて、比吸収率(SAR)の測定に用いる上記ファントムの表皮深さを含む関係式を用いて、上記測定対象の無線装置の表面に対して実質的に垂直な方向における比吸収率(SAR)又はその分布を推定して計算することを特徴とする。
【0019】
またさらに、上記無線装置用比吸収率測定装置において、上記第2の測定手段は、上記基準の無線装置を支持する互いに異なる所定の複数の支持姿勢毎に上記比吸収率(SAR)又はその分布を測定し、
上記第1の計算手段は、上記複数の支持姿勢毎に上記変換係数又はその分布を計算し、
上記第2の計算手段は、上記複数の支持姿勢毎に上記比吸収率(SAR)又はその分布を計算することを特徴とする。
【0020】
また、上記無線装置用比吸収率測定装置において、上記第2の計算手段は、上記測定対象の無線装置から離隔された所定の体積内の複数の測定点における複数の比吸収率(SAR)に基づいて、当該複数の比吸収率(SAR)の平均値を平均SARとして計算することを特徴とする。
【0021】
さらに、上記無線装置用比吸収率測定装置において、上記第2の計算手段は、上記複数の支持姿勢において計算された各平均SARの最大値を検索し、上記検索された各平均SARの最大値が所定のしきい値以下であるか否かを判断し、上記検索された各平均SARの最大値が所定のしきい値以下であるとき当該無線装置は良品であるとの情報を出力する一方、上記検索された各平均SARの最大値が所定のしきい値を超えるとき当該無線装置は不良品であるとの情報を出力することを特徴とする。
【0022】
また、上記無線装置用比吸収率測定装置において、上記第1の測定手段と上記第3の測定手段はそれぞれ、少なくとも1つの磁界プローブを備えたことを特徴とする。
【0023】
もしくは、上記無線装置用比吸収率測定装置において、上記第1の測定手段と上記第3の測定手段はそれぞれ、所定の間隔で離間するように並置された複数の磁界プローブを備えたことを特徴とする。
【0024】
上記無線装置用比吸収率測定装置において、上記各磁界プローブは、それらの各磁界検出面が45度の角度で交差し、かつ互いに隣り合う1対の磁界プローブの互いの角度が90度となるよう並置されたことを特徴とする。
【0025】
また、上記無線装置用比吸収率測定装置において、上記第1の測定手段と上記第3の測定手段はそれぞれ、互いに隣り合う1対の磁界プローブにより測定された2個の近傍磁界の二乗和の平方根を計算することにより、当該1対の磁界プローブの中間位置における近傍磁界を計算することを特徴とする。
【0026】
さらに、上記無線装置用比吸収率測定装置において、上記複数の磁界プローブのうちの両端に位置する各磁界プローブの外側にそれぞれ、終端抵抗で終端された磁界プローブを配置したことを特徴とする。
【0027】
またさらに、上記無線装置用比吸収率測定装置において、上記第1の測定手段と上記第3の測定手段はそれぞれ、上記各磁界プローブの後段に設けられた、可変増幅器及び可変移相器のうちの少なくとも一方をさらに備えたことを特徴とする。
【0028】
ここで、上記無線装置用比吸収率測定装置において、上記可変増幅器の増幅度と、上記可変移相器の移相量とを、上記第2の測定手段により所定のSAR分布が得られるように制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0029】
また、上記無線装置用比吸収率測定装置において、上記各磁界プローブは、3個の磁界プローブ部を備えて構成され、3個の磁界プローブ部は、それらの検出面の中心がそれぞれ互いに直交する3つの軸を通過するように配置されたことを特徴とする。
【0030】
さらに、上記無線装置用比吸収率測定装置において、上記第1の測定手段と上記第3の測定手段はそれぞれ、上記3個の磁界プローブ部によって検出される3個の磁界の二乗和の平方根を演算することにより当該3個の磁界プローブ部により構成される磁界プローブにより測定される近傍磁界を計算することを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。以下の図面において、同一の構成要素又は同様の構成要素については同一の符号を付してその詳細説明を省略している。
【0032】
<第1の実施形態>
図1は、本発明に係る第1の実施形態である、携帯無線装置10のSARを測定するためのSAR測定装置の構成を示す斜視図及びブロック図である。
【0033】
図1の携帯無線装置10において、その筐体11から上方に延在するようにホイップアンテナ12が装着され、携帯無線装置10の前面の下側にキーボード部13が形成されている。当該携帯無線装置10のキーボード部13の前面に、前面から所定の近接距離だけ離れてかつ当該前面と概略平行となるように、例えば図1に示すごとく4個などの複数個の磁界プローブ1が、等間隔でかつ水平方向の一直線上に並置されている。なお、携帯無線装置10は、上記ホイップアンテナ12に加えて、キーボード部13の前面に対して平行となるように筐体11内に配置される、例えば逆F型アンテナなどの平面アンテナ(図示せず。)が内蔵される。従って、携帯無線装置10からの電波は、ホイップアンテナ12及び/又は内蔵する平面アンテナから放射され、特に、これらのアンテナから電波が放射されるときは、筐体11に筐体電流が流れ、キーボード部13の前面の近傍において磁界が発生することとなる。
【0034】
ここで、各磁界プローブ1は磁界を検出するための円形ループと、それに接続された接続ケーブルとにより構成され、その円形ループの断面が携帯無線装置10の前面に対して垂直となるように配置される。各磁界プローブ1はキーボード部13の前面の近傍磁界を検出し、その近傍磁界に比例する検出電圧を示す検出信号を検出信号ケーブル2を介してSAR計算コントローラ20に出力する。これに応答して、SAR計算コントローラ20は詳細後述するように図2のSAR計算処理を実行することにより、入力される検出信号に基づいて上記携帯無線装置10の前面の近傍磁界の水平方向の分布を計算した後、後述の数3を用いて当該水平方向のSAR分布を計算し、当該計算結果のデータをCRTディスプレイ21に出力して表示する。
【0035】
まず、SAR分布の測定方法の原理について以下に説明する。図1において、複数個の磁界プローブ1の配列方向をx方向とし、複数個の磁界プローブ1から携帯無線装置10に向かう方向(すなわち、携帯無線装置10の前面から後面への方向であって前面に対して垂直な方向をいう。)をy方向とする。また、携帯無線装置10が人体と接する面をキーボード部13などが配置された前面とする。このとき携帯無線装置10はその前面がzx面と平行であり、かつ複数個の磁界プローブ1と近接するように配置されている。複数個の磁界プローブ1は、携帯無線装置10の前面の近傍磁界を検出し、その磁界の強さに比例した検出信号である検出信号を得ることができる。ここで、測定される磁界分布をCRTディスプレイ21で観測しながら、携帯無線装置10又は複数個の磁界プローブ1をz方向に移動させ、観測される磁界分布の最大値が最大となるように、携帯無線装置10と、複数個の磁界プローブ1との位置関係を固定して、図2のSAR計算処理を実行する。
【0036】
次いで、本実施形態に係る測定方法である、自由空間中の磁界強度分布からSAR分布の推定方法について以下に説明する。まず、一例として単純な構造のアンテナである半波長ダイポールアンテナ又は基準の無線装置である携帯無線装置を用いて、近傍磁界強度Hのx方向の分布Href(x)とSARのx方向の分布SARref(x)について予め測定する。前者の近傍磁界強度分布Href(x)は磁界プローブ1を用いて測定することができる一方、SAR分布SARref(x)は非特許文献1において開示された、SAR値が電界に比例する関係式(上記数1)を用いる電界プローブ法(以下、標準測定方法という。)を用いてかつ後述する立方体ファントム54又は人体ファントムの頭部60を用いて測定することができる。SAR値は電力値であるので、SAR分布と近傍磁界二乗値分布とを比較すれば、図11及び図12を参照して後述するように、近傍磁界の二乗値分布H(x)と、SAR分布SAR(x)は非常に似た分布をしていることから、携帯無線装置とファントムとの電磁的相互結合を考慮しなくとも自由空間中の近傍磁界を測定することで、SAR分布の推定を行うことができると考えられる。従って、SAR分布SARestimate(x)は測定された近傍磁界の磁界強度の2乗値分布H measure(x)を用いて次式により求めることができる。
【0037】
【数3】
SARestimate(x)=α(x)・H measure(x)
ここで、
【0038】
【数4】
Figure 0004471583
【0039】
ここで、α(x)は変換係数のx方向の分布であり、本実施形態に係るSAR測定装置ではこの変換係数分布α(x)を用いてSAR分布SARestimate(x)を推定して算出している。この変換係数分布α(x)を計算するために、基準アンテナである例えば半波長ダイポール又は基準の無線装置である携帯無線通信装置を用いて予め近傍磁界Href(x)とSARの測定値SARref(x)とを求めておく必要がある。発明者らの実験では、半波長ダイポールを用いたときの変換係数分布α(x)の最大値は一例として0.35[V・m/A・kg]であった。
【0040】
図2は図1のSAR計算コントローラ20によって実行されるSAR計算処理を示すフローチャートである。図2のステップS1において、まず、基準の無線装置である携帯無線装置を用いて予め測定された近傍磁界Href(x)と、電界プローブ1001と当該携帯無線装置と後述する立方体ファントム54又は人体ファントムの頭部60を用いて予め測定されたSAR分布SARref(x)とに基づいて、数4を用いて変換係数分布α(x)を計算する。前者の近傍磁界Href(x)は磁界プローブ1を用いて測定でき、SAR分布SARref(x)は上述の標準測定方法を用いて測定できる。次いで、ステップS2において、測定対象の携帯無線装置10の前面に設けられた各磁界プローブ1からの検出信号をそれぞれ受信し、当該各検出信号の電圧に基づいて測定対象の携帯無線装置10の前面近傍における磁界二乗値分布H measure(x)を計算する。さらに、ステップS3において、上記数3を用いて、計算された磁界二乗値分布H measure(x)に変換係数分布α(x)を乗算することによりSAR分布SARestimate(x)を計算してCRTディスプレイ21に出力して表示し、当該SAR計算処理を終了する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、基準アンテナ又は基準の無線装置に係る近傍磁界分布Href(x)とSAR分布SARref(x)を予め測定して、数4を用いて変換係数分布α(x)を計算しておくだけで、従来技術に比較してきわめて簡単で高速でしかも自動的に、測定対象である携帯無線装置10のx方向のSAR分布SARestimate(x)を推定して計算できる。
【0042】
以上の実施形態においては、4個の磁界プローブ1を直線状に並置しているが、本発明はこれに限らず、少なくとも1つの磁界プローブ1を1次元配列、2次元配列又は3次元配列で並置してもよい。例えば、2個の磁界プローブ1をz方向に並置してもよい。また、例えば、2個の磁界プローブ1をx方向に並置しかつ2個の磁界プローブ1をz方向に並置してもよく、これにより、z方向に移動させて最大値を検索する必要がないので、SAR測定をより高速で実行できる。
【0043】
以上の実施形態においては、図2のステップS2において携帯無線装置10の前面近傍における磁界二乗値分布H measure(x)を計算し、ステップS3においてSAR分布SARestimate(x)を推定して計算しているが、本発明はこれに限らず、携帯無線装置10の前面近傍における磁界二乗値分布H measure(x)のうちの最大値Hmax を計算し、ステップS3において推定して計算されたSAR分布SARestimate(x)の最大値SARestimatemaxを計算してCRTディスプレイ21に出力して表示してもよい。
【0044】
なお、基準装置の携帯無線装置と、測定対象の携帯無線装置10との各近傍磁界は同一の磁界プローブ1により測定することができる。これについては、以下の実施形態において同様である。
【0045】
<第2の実施形態>
図3は本発明に係る第2の実施形態である、携帯無線装置10のSARを測定するためのSAR測定装置の構成を示す斜視図及びブロック図であり、図4は図3の磁界プローブ1−1乃至1−4の配置を示す断面図である。本実施形態において、一例として900MHz帯を使用する携帯無線装置のSAR測定装置であり、互いに隣接する磁界プローブ1の間隔dを10mm(=0.03λ、ここで、λは携帯無線装置10の使用する送受信周波数の波長である。)とし、磁界プローブ1の先端と携帯無線装置10の前面までの距離を10mmとした。なお、各磁界プローブ1はその先端に導体線円形ループを備えたループ型磁界プローブを用いた。
【0046】
本実施形態においては、各磁界プローブ1はその円形ループの断面の磁界検出面が図4に示すように、当該磁界プローブ1の配列方向に対して平行なx軸(携帯無線装10の前面に平行な軸である。)に対して、45度の角度で交差し、かつ互いに隣り合う1対の磁界プローブ1との角度が90度となるよう並置され、また、上記円形ループの断面が携帯無線装置10の前面に対して垂直となるように配置されており、本実施形態において、各磁界プローブ1は、zx面の磁界を測定する。従って、各磁界プローブ1は磁界のx成分Hx及びz成分Hzを検出する必要がある。そこで、各磁界プローブ1はx軸に対して45度の角度をなすように配置する。さらに、互いに隣り合う磁界プローブ1との結合を弱めるために隣り合う磁界プローブ1のなす角度を90度とした。このSAR測定装置では、携帯無線装置10をz方向に移動させて携帯無線装置10全体におけるSARの最大値を算出する。大量生産される測定対象の複数個の携帯無線装置10は例えば、ベルトコンベアやロボットアームを用いて移動させることにより、生産工程で連続的に測定可能となる。これにより、高速なSAR評価が可能となり、さらには、SAR分布や最大SARの自動計測が可能となる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を有するとともに、各磁界プローブ1との間の結合を第1の実施形態に比較して弱くすることができるので、上記結合に係るSAR測定の誤差を軽減でき、高精度でSAR分布や最大SARを測定することができる。なお、第2の実施形態においても、第1の実施形態で記載した各種の変形例を適用することができる。
【0048】
<第3の実施形態>
図5は、本発明に係る第3の実施形態である、携帯無線装置10のSARを測定するためのSAR測定装置の構成を示す斜視図及びブロック図である。この第3の実施形態に係るSAR測定装置は、図5に示すように、第1の実施形態や第2の実施形態に比較して、4個の磁界プローブ1−1乃至1−4の両端に位置する2つの磁界プローブ1の各外側にそれぞれ磁界プローブ(以下、ダミー磁界プローブという。)1−11及び1−12を一直線上に並置したことを特徴としている。なお、外側の2個のダミー磁界プローブ1−11及び1−12はそれぞれ検出信号ケーブル2を介して、検出信号ケーブル2の特性インピーダンスと同一の抵抗値を有する無反射終端抵抗3−1,3−2で終端されている。ここで、無反射終端抵抗3−1,3−2はそれぞれダミー磁界プローブ1−11,1−12から検出されて出力される検出信号の電圧を吸収する。
【0049】
第1の実施形態や第2の実施形態のごとく、ダミー磁界プローブ1−11,1−12を設けていない場合、内側の磁界プローブ1−2及び1−3は共にそれぞれ両側に磁界プローブ1−1及び1−3,1−2及び1−4があるのに対して、外側の磁界プローブ1−1及び1−4はそれぞれ片側にしか磁界プローブ1−2,1−3しか存在しない。このため、互いに隣接する磁界プローブ1−1乃至1−4間の結合が強い場合に磁界プローブ1−1と1−4が隣のプローブから受ける影響と、磁界プローブ1−2と1−3が受ける影響に大きな差が生じる。このため得られる検出信号にばらつきが生じる。
【0050】
本実施形態では、これを解決するために、磁界プローブ1−1乃至1−4と同様の構成を有するダミー磁界プローブ1−11及び1−12を外側に配置し、磁界プローブ1−1と1−4が隣のプローブから受ける影響と、磁界プローブ1−2と1−3が隣のプローブから受ける影響とを等しくさせる。これにより、磁界プローブ1−1乃至1−4から得られる検出信号のばらつきを小さくすることができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1及び第2の実施形態に係る作用効果を有するとともに、ダミー磁界プローブ1−11及び1−12を磁界プローブ1−1乃至1−4の外側に並置することにより、磁界プローブ1−1乃至1−4から得られる検出信号のばらつきを小さくし、これにより、近傍磁界をより正確に測定することができ、これに基づくSARの測定を高精度で実行することができる。
【0052】
<第4の実施形態>
図6は本発明に係る第4の実施形態である、携帯無線装置10のSARを測定するためのSAR測定装置の構成を示す斜視図及びブロック図である。この第4の実施形態に係るSAR測定装置は、第1の実施形態に比較して、携帯無線装置10を移動機構装置30の移動支持部32により支持され、携帯無線装置10を矢印501のz方向で移動可能に構成したことを特徴としている。
【0053】
図6において、移動機構装置30は、鉛直上方に延在する矩形柱形状の支持柱31を有し、当該支持柱31の長手方向(矢印501の方向)に沿って移動可能に上記携帯無線装置10を支持する移動支持部32を有している。なお、移動機構装置30の各構成要素31,32は例えばアクリル樹脂、テフロン(登録商標)樹脂、ABSなどの樹脂により作製し、測定される磁界分布に影響を及ぼさないようにすることができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、携帯無線装置10をz方向で自動的に移動させることができ、各磁界プローブ1の先端位置を携帯無線装置10に対して相対的に移動させることができる。従って、携帯無線装置10と、各磁界プローブ1の先端位置を自動的に安定に移動させることができ、SAR分布の最大値を容易に検索して出力できる。なお、第2及び第3の実施形態に係る特徴的構成を当該第4の実施形態に適用することもできる。
【0055】
以上の第4の実施形態においては、携帯無線装置10を複数の磁界プローブ1に対して移動させているが、本発明はこれに限らず、複数の磁界プローブ1を携帯無線装置10に対して移動させてもよく、すなわち、互いに相対的に移動できればよい。
【0056】
<第5の実施形態>
図7は本発明に係る第5の実施形態である、携帯無線装置10のSARを測定するためのSAR測定装置の構成を示す斜視図及びブロック図である。この第5の実施形態に係るSAR測定装置は、第1の実施形態に比較して、各磁界プローブ1とSAR計算コントローラ20aとの間の各検出信号ケーブル2において可変増幅器35−1乃至35−4及び可変移相器36−1乃至36−4を挿入したことを特徴としている。
【0057】
図7のSAR測定装置において、各磁界プローブ1の形状や配置及び検出特性が時間経過とともに変化して劣化する可能性がある。そこで、本実施形態では、SARの測定の前に、磁界分布とSAR分布が既知である基準アンテナを用いて磁界分布とSAR分布を調べ、得られたSAR分布が基準アンテナの所定のSAR分布と異なる場合は、SAR計算コントローラ20aは、可変増幅器35−1乃至35−4の増幅度及び可変移相器36−1乃至36−4の移相量を、得られるSAR分布が基準アンテナの所定のSAR分布に実質的に一致するように調整し、この後、測定対象の携帯無線装置10に対して上述のSARの測定処理を実行する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、各磁界プローブ1における磁界検出特性を所定の特性となるように可変増幅器35−1乃至35−4及び可変移相器36−1乃至36−4を調整することができるので、当該測定装置を校正してSAR分布をより高精度で測定することができる。なお、第2乃至第4の実施形態に係る特徴的構成を当該第5の実施形態に適用することもできる。
【0059】
以上の実施形態においては、可変増幅器35−1乃至35−4及び可変移相器36−1乃至36−4を備えているが、本発明はこれに限らず、可変増幅器35−1乃至35−4と、可変移相器36−1乃至36−4とのうちの少なくとも一方を備えてもよい。
【0060】
<第6の実施形態>
図8は本発明に係る第6の実施形態である、携帯無線装置10のSARを測定するためのSAR測定装置の構成を示す斜視図及びブロック図である。この第6の実施形態に係るSAR測定装置は、互いに直交するx方向、y方向及びz方向に、携帯無線装置10を支持しながら移動させる移動機構装置40を備え、1個の磁界プローブ1を用いて携帯無線装置10の近傍磁界を測定してSARを測定することを特徴としている。
【0061】
図8において、移動機構装置40は、支持台41上に、x方向に移動可能なXステージ42と、y方向に移動可能なYステージ43と、支持台41より上方のz方向に延在する支持柱44と、支持柱44の長手方向(z方向)に沿って移動可能であって携帯無線装置10を支持する移動支持部45とを備えて構成される。ここで、携帯無線装置10はそのキーボード部13が上方を向くように移動支持部45により支持されて、互いに直交するx方向、y方向及びz方向で移動される。当該第6の実施形態以降において、x方向は携帯無線装置10の長手方向に平行な方向に設定し、y方向は携帯無線装置10の横方向に平行な方向に設定する。なお、z方向の移動は後述する第8の実施形態以降で用いられる。当該移動機構装置40において、磁界プローブ1に対する携帯無線装置10の磁界検出位置の位置座標(x,y)が予め較正され、移動機構装置40は、上記磁界検出位置の位置座標データ(x,y)を計算してSAR計算コントローラ20bに出力する。
【0062】
また、1個の磁界プローブ1は、その円形ループの断面が携帯無線装置10の前面に対して垂直となるように配置され、各磁界プローブ1は上述のごとく、例えばxy平面上で走査されてキーボード部13の前面の近傍磁界を検出し、その検出電圧を示す検出信号を検出信号ケーブル2を介してSAR計算コントローラ20bに出力する。これに応答して、SAR計算コントローラ20bは、移動機構装置40からの位置座標データを参照して、所定の複数の位置座標(x,y)毎に、詳細後述するように図13のSAR計算処理を実行することにより、入力される検出信号に基づいて上記携帯無線装置10の前面の近傍磁界の二乗値の水平面の2次元分布H(x,y)を計算した後、後述の数6を用いて当該水平方向のSAR分布SAR(x,y)を計算し、当該計算結果のデータをCRTディスプレイ21に出力して表示する。
【0063】
次いで、本実施形態に係る測定原理である、自由空間中の近傍磁界強度分布からSAR分布の推定が可能であることを以下に説明する。一例として単純な構造のアンテナである半波長ダイポールアンテナを基準アンテナとしたときについて、近傍磁界強度Hの分布とSARを測定した。図9は基準アンテナ装置であるダイポールアンテナ50の近傍磁界分布測定における座標系を示す断面図であり、図10は立方体ファントム54を用いたSAR測定における座標系を示す断面図である。
【0064】
図9において、基準アンテナである半波長ダイポールアンテナ51は2つのアンテナ素子50a,50bから構成され、送信信号がバラン(不平衡/平衡変換器)51を介して各アンテナ素子50a,50bに給電される。また、ダイポールアンテナ51は、その給電点からxyz座標系の原点までの距離が18.7mmとなるように配置される。ここで、送信信号の周波数は900MHzである。SAR測定に用いた立方体ファントム54は、図10に示すように、2mm厚のアクリル製の200mm角の立方体容器52に、人体頭部における比誘電率と導電率と同様の比誘電率ε=41.8及び導電率σ=0.84[S/m]を有するSAR溶液53を満たして構成される。ここで、標準測定法によるSARの測定は、SAR溶液53内に、センサ部分1001sを有する電界プローブ1001を挿入して測定される。図10におけるSARの分布は以下のように測定される。立方体ファントム54の表面形状に沿って電界プローブ1001を移動機構装置1002によりx方向及びy方向に移動させながら走査させ、SAR計算コントローラ1003は、電界プローブ1001からの電界強度を示す検出信号に基づいて電界強度を計算し、当該電界強度に基づいて上記数1を用いて計算して出力する。なお、移動機構装置1002による移動は、電界プローブ1001を上記立方体ファントム54及び半波長ダイポールアンテナ50に対して相対的に移動できればよい。すなわち、
立方体ファントム54及び半波長ダイポールアンテナ50を電界プローブ1001に対して移動してもよい。
【0065】
図11は図9のダイポールアンテナ50のy=0(x軸上)における自由空間中のx方向の位置に対する規格化された磁界二乗値H及びSARの分布を示すグラフであり、図12は図9のダイポールアンテナ50のx=0(y軸上)における自由空間中のy方向の位置に対する規格化された磁界二乗値H及びSARの分布を示すグラフである。なお、磁界二乗値Hの分布と、SARの分布はともにそれぞれの最大値で規格化している。
【0066】
図11及び図12から明らかなように、近傍磁界二乗値Hの分布と、SARの分布はともに非常に似た分布をしており、すなわち、図11及び図12から、SAR∝Hの関係があることがわかる。これにより、携帯無線装置10とファントム54との相互結合を考慮しなくとも、携帯無線装置10の前面における自由空間中の近傍磁界を測定することで、SAR分布の推定を行うことができる。
【0067】
本実施形態に係るSAR測定装置による測定は、まず、基準アンテナとなる半波長ダイポール50又は基準の無線装置となる携帯無線装置から放射される磁界を磁界プローブ1によって検出し、これら装置に対する磁界プローブ1に対する位置座標データ(x,y)を移動機構装置40が計算してSAR計算コントローラ20bに出力する。ここで、携帯無線装置10のキーボード部13の前面(すなわち、ディスプレイ面)の法線方向を+z方向とし、携帯無線装置10の長手方向をx方向とし、携帯無線装置10の横方向をy方向とする。携帯無線装置10の近傍磁界は、携帯無線装置10から+z方向に一定間隔だけ離れたxy平面上の測定点について、移動機構装置40の移動支持部45をXステージ43及びYステージ44を用いて移動させることにより、支持台41上で走査して計測される。基準アンテナとなる半波長ダイポール50又は基準の無線装置となる携帯無線装置から放射されるときに予め測定される近傍磁界分布Href(x,y)と、上述の標準測定方法を用いて実際に予め測定されたそのSAR分布SARref(x,y)から、次式を用いて、所定の複数の位置座標(x,y)毎に、変換係数分布α(x,y)を計算する。
【0068】
【数5】
Figure 0004471583
【0069】
ここで、SARref(x,y)は基準の無線装置である携帯無線装置のSAR分布であり、Href(x,y)は基準の無線装置である携帯無線装置の自由空間における近傍磁界分布である。従って、上記変換係数分布α(x,y)を用いて同型の大量生産される携帯無線装置10でのSARを次式を用いて算出することができ、例えば生産ラインなどで順次生産される携帯無線装置10のSAR分布をきわめて容易に測定することができる。
【0070】
【数6】
SARestimate(x,y)=α(x,y)H measure(x,y)
【0071】
ただし、SARestimate(x,y)は測定対象の携帯無線装置10の推定されたSAR分布であり、Hmeasure(x,y)は測定対象の携帯無線装置10の自由空間における近傍磁界分布である。以上の方法によって携帯無線装置10のSAR分布を、自由空間中の近傍磁界から推定して計算できる。
【0072】
図13は図8のSAR計算コントローラ20bによって実行されるSAR計算処理を示すフローチャートである。
【0073】
図13のSAR計算処理において、まず、ステップS11で、基準の無線装置である携帯無線装置を移動機構装置40を用いてx方向及びy方向に移動しながら予め測定された近傍磁界分布Href(x,y)と、電界プローブ1001を当該携帯無線装置及び立方体ファントム54に対してx方向及びy方向に移動しながら予め測定したSAR分布SARref(x,y)とに基づいて、数5を用いて変換係数分布α(x,y)を所定の複数の位置座標(x,y)毎に計算する。ここで、近傍磁界分布Href(x,y)は磁界プローブ1を用いて測定することができ、SAR分布SARref(x,y)は上述の標準測定方法を用いて測定できる。次いで、ステップS12において、測定対象の携帯無線装置10を、移動機構装置40を用いてx方向及びy方向に移動しながら、その表面に設けられ近傍磁界を検出する磁界プローブ1からの検出信号を受信し、当該検出信号の電圧に基づいて測定対象の携帯無線装置10の前面近傍における磁界二乗値分布H measure(x,y)を上記複数の位置座標(x,y)毎に計算する。さらに、ステップS13において、数6を用いて、上記計算された磁界二乗値分布H measure(x,y)に、上記計算された変換係数分布α(x,y)を乗算することによりSAR分布SARestimate(x,y)を推定して計算してCRTディスプレイ21に出力して表示して当該SAR計算処理を終了する。
【0074】
次いで、上記のSAR推定計算方法を用いて実際にSARの算出を行った結果について以下に説明する。人体頭部モデルとしてIEEE SCC(Standards Coordinating Committee)34に準拠した基準の球形状のボールファントム55とその近傍に配置した基準アンテナである半波長ダイポールアンテナ50について、FDTD法を用いてSARの推定解析を行った。なお、本発明に係る各実施形態において用いる上述のSARの標準測定方法に代えて、上記FDTD法を用いてSARとその分布を推定解析して計算してもよい。
【0075】
図14はボールファントム55を用いたダイポールアンテナ50の磁界分布測定における座標系を示す断面図である。図14において、xyz座標系の原点をダイポールアンテナ50の給電点とし、アンテナ長158mmのダイポールアンテナ50をx軸上に沿って配置した。ボールファントム55はz軸上に中心を有し、ボールファントム55の底面とダイポールアンテナ50とのz方向の最接近距離が5[mm]となるように配置した。ボールファントム55は内径200[mm]の球形状であって、比誘電率ε=41.5でかつ導電率σ=0.95[S/m]を有する。ここで、ダイポールアンテナ50からの送信信号の周波数は900MHzである。
【0076】
図15は図14のダイポールアンテナ50のy=0における自由空間中のx方向の位置(x座標)に対する規格化された磁界二乗値H及びSARの分布を示すグラフである。なお、図15の磁界二乗値Hの分布はダイポールアンテナ50から+z方向に5[mm]離れた位置における解析値である。図15の磁界二乗値H及びSARの分布をそれぞれ、H ref(x)、SARref(x)とし、上記数4を用いて変換係数分布α(x)を算出し、この変換係数分布α(x)を図16に示す。図16から明らかなように、y方向の位置に応じて変換係数α(x)が変化し、ダイポールアンテナ50の給電点でほぼ最大値となっていることがわかる。
【0077】
図17は図14におけるボールファントム55に近接したダイポールアンテナ50の位置をx方向に35mmだけ移動させたときのダイポールアンテナ50の近傍磁界分布測定における座標系を示す断面図である。すなわち、図17に示すように、図14の位置のダイポールアンテナ50をx方向に35[mm]だけ移動させたときのy=0[mm]における自由空間中の近傍磁界分布をHmeasure(x)とする。そして、当該近傍磁界分布Hmeasure(x)の2乗値に、図16の変換係数分布α(x)を乗算することにより計算したSARの推定計算値(以下、推定SAR分布という。)と、図17の状態においてFDTD法を用いてSARの推定解析法により解析したSAR分布の解析値を図18に示す。図18か明らかなように、αHの乗算式を用いて求めた推定SAR分布は、FDTD法を用いてSARの推定解析法により解析した解析SAR分布に非常に近い値となった。これにより、x方向の変換係数分布α(x)を自由空間中の近傍磁界の二乗値Hに乗算することにより、近傍の放射磁界における異なる電流分布のSARを推定して計算することができることがわかる。
【0078】
次いで、実際の携帯無線装置10について上述のSAR推定計算を行う。図19は折り畳み式携帯無線装置10aを人体ファントムの頭部60の右側面60aに接触させ、携帯無線装置10aのホイップアンテナ12aを収納したときの人体ファントムの頭部60と折り畳み式携帯無線装置10aとの位置関係を示すzx面での断面図であり、図20は折り畳み式携帯無線装置10aを人体ファントムの頭部60の右側面60aに接触させ、携帯無線装置10aのホイップアンテナ12aを伸長したときの人体ファントムの頭部60と折り畳み式携帯無線装置10aとの位置関係を示すzx面での断面図である。
【0079】
図19及び図20において、折り畳み式携帯無線装置10aは、下部の本体筐体14aと、上部の表示部筐体14bとがヒンジ14cにより連結されて構成され、長さ=200[mm]でかつ幅=50mmを有する。ここで、折り畳み式携帯無線装置10aの本体筐体14aのヒンジ14c近傍において、その本体筐体14aの上部から延在するようにホイップアンテナ12aが設けられ、当該ホイップアンテナ12aを本体筐体14a内に収納部したときは図19に示すようになり、一方、当該ホイップアンテナ12aを本体筐体14aから伸長させたときは図29に示すように本体筐体14aからその長手方向に延在するように伸長される。ここで、折り畳み式携帯無線装置10aは人体ファントムの頭部60に近接して配置され、頭部表面60aが表示部筐体14bに接触し、人体ファントムの頭部60の耳部61がスピーカの音孔部16に近接する一方、人体ファントムの頭部60の口部62がマイクロホン15に近接する。
【0080】
図19に図示した、ホイップアンテナ12aを収納した状態を基準状態とし、磁界プローブ1を用いて近傍磁界Href(x,y)を実際に測定し、一方、上述の標準測定方法を用いて実測SAR分布SARref(x,y)を測定し、上記数5を用いて変換係数分布α(x,y)を計算した。次いで、計算した変換係数分布α(x,y)を用いて、図20に示すようにホイップアンテナ12aを伸長した状態において、上記数6を用いてSAR推定を行う。なお、人体ファントムの頭部60の溶液の特性は、測定周波数925MHzにおいて、比誘電率ε=41.5で導電率σ=1.01[S/m]である。
【0081】
図21は図19の状態でのxy面での実測SARの分布を示すグラフである。図21において、測定間隔はx方向に5[mm]、y方向に5[mm]である。携帯無線装置10aからの送信信号の設定周波数は925MHzであり、0.8[W]の送信電力を有する送信信号を用いた。また、図22は図19の状態でのxy面での測定磁界の分布を示すグラフである。ここで、携帯無線装置10aの送信設定はSAR測定時と同様の条件であり、携帯無線装置10aの表面から磁界プローブ1間の距離を約5[mm]としている。上述の標準測定方法を用いて測定された図21の実測SARの分布SARref(x,y)と、上記測定された近傍磁界の測定磁界強度の分布Href(x,y)とに基づいて、上記数5を用いて携帯無線装置10aの変換係数分布α(x,y)を計算し、その結果を図23に示す。
【0082】
次いで、携帯無線装置10aのホイップアンテナ12aを伸長させた状態(図20の状態)の近傍磁界Hmeasure(x,y)を測定し、その結果を図24に示す。なお、携帯無線装置10aの送信設定は図19のアンテナ収納時と同様の条件である。ここで、携帯無線装置10aの前面からプローブ間の距離を約5[mm]としている。上記実測した近傍磁界Hmeasure(x,y)の二乗値に対して上記計算された変換係数分布α(x,y)を乗算することにより、ホイップアンテナ12aの伸長状態での推定SAR分布を計算し、その推定計算結果を図25に示す。また、上記標準測定方法により実際に測定したホイップアンテナ伸長状態の実測SAR分布を図26に示す。ここで、推定SAR分布のピーク値の位置座標は(x,y)=(40,10)であり、実測SAR分布のピーク値の位置座標は(x,y)=(40,15)であった。
【0083】
さらに、図27は図20の状態においてx=40mmでの実測SAR及び推定SARの分布を示すグラフであり、図28は図20の状態においてy=15mmでの実測SAR及び推定SARの分布を示すグラフである。図25乃至図28のグラフから明らかなように、本実施形態に係る推定測定方法による推定SAR分布は、上記標準測定方法を用いて測定された実測SAR分布に対して極めて近似しており、推定精度が非常に高いことを示している。なお、推定SAR分布の最大値は0.747[mW/g]である一方、実測SAR分布の最大値は0.775[mW/g]で、それらの誤差は4%である。測定範囲内における誤差の最大値も18%程度である。以上説明したように、基準の無線装置である携帯無線装置を用いた場合でも、従来技術に比較して高精度でSARの推定を行うことができ、本発明に係る実施形態の推定測定方法の有効性が示された。
【0084】
なお、基準アンテナ又は基準の無線装置の近傍磁界分布Href(x,y)及びSARref(x,y)は必ずしも、上記標準測定方法により求める必要はなく、所定の公知の電磁界シミュレーションによって算出した近傍磁界分布及びSAR分布を用いて、第6の実施形態に係る方法で変換係数分布α(x,y)を計算してもよい。
【0085】
以上の第6の実施形態においては、携帯無線装置10aを磁界プローブ1に対して移動させているが、本発明はこれに限らず、磁界プローブ1を携帯無線装置10aに対して移動させてもよく、すなわち、互いに相対的に移動できればよい。このことは他の実施形態においても同様である。
【0086】
<第7の実施形態>
図29は本発明に係る第7の実施形態において、人体ファントムの頭部60に対して携帯無線装置10aの第1の支持姿勢の状態を示す正面図であり、図30は本発明に係る第7の実施形態において、人体ファントムの頭部60に対して携帯無線装置10aの第2の支持姿勢の状態を示す正面図である。すなわち、携帯電話機などの携帯無線装置10aの支持姿勢は大きく分けて図29及び図30に示すように2通りの支持姿勢が考えられる。
【0087】
図29に示す第1の支持姿勢は通常の支持姿勢であって、携帯無線装置10aの本体筐体14aの前面が人体ファントムの頭部60の右側頬に密着した状態である。一方、図30に示す第2の支持姿勢は相手側の音声が聞き取りにくいときの支持姿勢で、携帯無線装置10aのスピーカの音孔部16を人体ファントムの頭部60の右側耳部61に密着させた状態である。上記非特許文献1の9頁の図3.1−2において開示された実際のSAR測定では、この2通りの支持姿勢について測定が行われる。そこで、第6の実施形態と同様の測定方法で、基準の無線装置である携帯無線装置を支持する支持姿勢n毎に、次式を用いて変換係数分布α(x,y),(n=1,2)を計算する。
【0088】
【数7】
Figure 0004471583
【0089】
【数8】
Figure 0004471583
【0090】
ここで、SARref1(x,y)は図29の第1の支持姿勢における基準携帯無線装置のSAR分布であり、α(x,y)は図29の第1の支持姿勢における変換係数分布であり、SARref2(x,y)は図30の第2の支持姿勢における基準携帯無線装置のSAR分布であり、α(x,y)は図30の第2の支持姿勢における変換係数分布である。なお、Href(x,y)は基準携帯無線装置の支持姿勢によらず上記第6の実施形態と同様の測定方法で測定する。上記数7及び数8を用いて計算された変換係数分布α(x,y)(n=1,2)を用いて、測定対象の携帯無線装置10aの各支持姿勢でのSAR分布を次式を用いて計算する。
【0091】
【数9】
SARestimate1(x,y)=α(x,y)・H measure(x,y)
【0092】
【数10】
SARestimate2(x,y)=α(x,y)・H measure(x,y)
【0093】
上記数9を用いて図29の第1の支持姿勢におけるSAR分布SARestimate1(x,y)を推定して計算し、上記数10を用いて図30の第2の支持姿勢におけるSAR分布SARestimate2(x,y)を推定して計算することができる。これに加えて、図29及び図30と同様に人体ファントムの頭部60の左側についても同様の測定を実行する。その結果、4つの変換係数分布(右側のα(x,y)及びα(x,y)、並びに左側のα(x,y)及びα(x,y)を含む。以下、α(x,y)(n=1,2,3,4)という。)を計算することにより、基準携帯無線装置の近傍磁界分布Hmeasure(x,y)を一度だけ測定することにより、標準のSAR測定方法に要求される携帯無線装置10aの各配置及び姿勢(合計で4つの支持姿勢)でのSAR値を推定することができる。
【0094】
図31は本発明に係る第7の実施形態であるSAR計算コントローラによって実行されるSAR計算処理を示すフローチャートである。
【0095】
図31のSAR計算処理において、まず、ステップS21で、各支持姿勢n(n=1,2,3,4)毎に、基準の無線装置である携帯無線装置を移動機構装置40を用いてx方向及びy方向に移動しながら予め測定された近傍磁界分布Href(x,y)と、電界プローブ1001を当該携帯無線装置及び人体ファントム60に対してx方向及びy方向に移動しながら予め測定されたSAR分布SARref(x,y)とに基づいて、数7及び数8などを用いて変換係数分布α(x,y)を所定の複数の位置座標(x,y)毎に計算する。ここで、近傍磁界分布Href(x,y)は磁界プローブ1を用いて測定することができ、SAR分布SARref(x,y)は上述の標準測定方法を用いて測定できる。次いで、ステップS22において、測定対象の携帯無線装置10aを移動機構装置40を用いてx方向及びy方向に移動しながら、その表面に設けられ近傍磁界を検出する磁界プローブ1からの検出信号を受信し、当該検出信号の電圧に基づいて測定対象の携帯無線装置10aの前面近傍における磁界二乗値分布H measure(x,y)を上記複数の位置座標(x,y)毎に計算する。そして、ステップS23において、数9及び数10などを用いて、上記計算された磁界二乗値分布H measure(x,y)に、上記計算された各支持姿勢n(n=1,2,3,4)毎の変換係数分布α(x,y)を乗算することにより各支持姿勢n(n=1,2,3,4)毎のSAR分布SARestimaten(x,y)を推定して計算してCRTディスプレイ21に出力して表示する。さらに、ステップS24において、上記計算された各支持姿勢n(n=1,2,3,4)毎のSAR分布SARestimaten(x,y)のうち、最大値を有するある支持姿勢nmaxのSAR分布SARestimatemax(x,y)を検索して、その支持姿勢情報nmaxとSAR分布SARestimatemax(x,y)をCRTディスプレイ21に出力して表示して、当該SAR計算処理を終了する。
【0096】
以上説明したように、図31に示すSAR計算処理を実行することにより、測定対象の携帯無線装置10aに対する近傍磁界の測定は各支持姿勢毎に実行する必要がなく1回の近傍磁界分布の測定で済むので、従来技術の方法に比較して、測定時間を約1/4に短縮でき、SAR測定を高速化できる。
【0097】
図32は本発明に係る第7の実施形態の変形例であって、磁界測定時の状態がSARを測定すべき状態から角度θだけ傾斜したときの状態を示す断面図である。図32に示すように、SAR測定時の携帯無線装置10aの人体ファントムの頭部60に対する設置角度θに依存して、元の測定結果を、基準の無線装置の近傍磁界分布Href(x,y)とSAR分布SARref(x,y)の測定点に対応させる必要がある。例えば、もしSAR測定時の座標系と、磁界測定時の座標系が図32のようにx軸に対して角度θだけ傾斜していた場合、x方向の測定間隔xSARを次式のように補正してSARの測定を実行することが好ましい。
【0098】
【数11】
SAR=x・cosθ
【0099】
<第8の実施形態>
図33は本発明に係る第8の実施形態におけるSARの測定に用いるz方向の複数の階層70−1乃至70−Kを示す斜視図である。携帯無線装置10aの平均SAR値を推定するためには、3次元的にSARの測定を行う必要がある。本実施形態に係る測定装置によるSAR推定方法は、第6の実施形態と同様の測定方法で、図33に示すように、SAR分布SARref(x,y)を、ファントム表面から一定間隔dでz方向に配置された複数K個の階層70−1乃至70−Kで測定するために、各階層70−k(k=1,2,…,K)毎に変換係数分布α(x,yj,)を次式を用いて予め計算する。なお、k=1のときのz座標値をzとし、以下、z,z,…,zとする。
【0100】
【数12】
Figure 0004471583
【0101】
ただし、SARref(x,yj、)は基準携帯無線装置におけるファントム表面からk層目のSAR分布であり、Href(x,y)は基準携帯無線装置におけるk層目の近傍磁界分布である。なお、本実施形態においては、近傍磁界分布については、携帯無線装置の表面から約数mm以内の範囲の任意の距離で近傍磁界を測定し、当該近傍磁界の分布はその範囲で同様に変化するので、z方向の距離を考慮しない。そして、上記数12を用いて計算される変換係数分布α(x,yj,)に基づいて被測定携帯無線装置のk層のSAR分布を次式を用いて計算する。
【0102】
【数13】
SARestimate(x,yj,
=α(x,yj,)H measure(x,y
【0103】
ここで、SARestimate(x,y,z)はファントム表面からk層目の推定SAR分布である。平均SARを求めるには、まず、上記数13を用いて計算される1層目のSARestimate(x,yj,)の最大値と、その座標(x,yj,)を取得する。平均SARは図34に示すように、立方体ファントム54が存在すると仮想したときの立方格子54A内の測定点71のうち、立方格子54Aの底面の中心をSARの最大値を有する位置(以下、最大点という。)72とし、一辺の長さLの立方格子54A内に含まれる測定点71におけるSAR値SARestimate(x,yj,)の平均値として計算することができる。人体ファントムの頭部組織1g中の平均SARである1g平均のSAR値は次式(数14)を用いて計算することができ、人体ファントムの頭部組織10g中の平均SARである10g平均のSAR値は次式(数15)を用いて計算することができる。なお、1g又は10gの組織内で平均したSARを局所SARといい、その中での最大値を局所最大SARという。
【0104】
【数14】
Figure 0004471583
【0105】
【数15】
Figure 0004471583
【0106】
ここで、M、M、M、N、N、Nは以下の通りである。
(a)Mは1g平均のSAR値を計算するために必要なx方向の測定点数である。
(b)Mは1g平均のSAR値を計算するために必要なy方向の測定点数である。
(c)Mは1g平均のSAR値を計算するために必要なz方向の測定点数である。
(d)Nは10g平均のSAR値を計算するために必要なx方向の測定点数である。
(e)Nは10g平均のSAR値を計算するために必要なy方向の測定点数である。
(f)Nは10g平均のSAR値を計算するために必要なz方向の測定点数である。
【0107】
ここで、1g平均のSAR値を計算するためには、L=10[mm]の立方体ファントム54に含まれる測定点において測定されたSAR値SARestimate(x,yj,)に基づいて上記数14を用いて計算される。また、10g平均のSAR値を計算するためには、L=22[mm]の立方格子54Aに含まれる測定点71において測定されたSAR値SARestimate(x,yj,)に基づいて上記数15を用いて計算される。なお、人間の頭部組織の密度を1[g/cm]としている。
【0108】
図35及び図36は本発明に係る第8の実施形態に係るSAR計算コントローラによって実行されるSAR計算処理を示すフローチャートである。
【0109】
図35のSAR計算処理において、まず、ステップS31で、各支持姿勢n(n=1,2,3,4)毎に、基準の無線装置である携帯無線装置を移動機構装置40を用いて、x方向及びy方向に移動しながら予め測定された近傍磁界分布Href(x,y)と、電界プローブ1001を当該携帯無線装置及び立体ファントム54(又は人体ファントム60でもよい。)に対してx方向、y方向及びz方向に移動しながら予め測定されたSAR分布SARref(x,y,z)とに基づいて、数12を用いて変換係数分布α(x,y,z)を所定の複数の位置座標(x,y,z)毎に計算する。なお、電界プローブ1001の移動は、例えば図10に示す移動機構装置1002により互いに直交するx方向、y方向及びz方向に移動させる。ここで、近傍磁界分布Href(x,y)は磁界プローブ1を用いて測定することができ、SAR分布SARref(x,y,z)は上述の標準測定方法を用いて測定できる。次いで、ステップS32において、測定対象の携帯無線装置10aを移動機構装置40を用いてx方向及びy方向に移動しながら、その表面に設けられ近傍磁界を検出する磁界プローブ1からの検出信号を受信し、当該検出信号の電圧に基づいて測定対象の携帯無線装置10aの前面近傍における磁界二乗値分布H measure(x,y)を上記複数の位置座標(x,y)毎に計算する。そして、ステップS33において、数13を用いて、上記計算された磁界二乗値分布H measure(x,y)に、上記計算された各支持姿勢n(n=1,2,3,4)毎の変換係数分布α(x,y,z)を乗算することにより各支持姿勢n(n=1,2,3,4)毎のSAR分布SARestimaten(x,y,z)を推定して計算して、図36のステップS34に進む。
【0110】
図36のステップS34では、各支持姿勢n(n=1,2,3,4)毎に、上記数14又は数15を用いて平均SARを計算し、ステップS35では、計算された各支持姿勢n(n=1,2,3,4)毎の平均SARのうちの最大値を検索し、ステップS36では、検索された最大値は所定の規格値(しきい値)以下であるか否かが判断される。ステップS36でYESのときはステップS37に進む一方、NOのときはステップS38に進む。ステップS38において、当該携帯無線装置10aは良品であると判断してその結果をCRTディスプレイ21に表示して当該SAR計算処理を終了する。一方、ステップS39において、当該携帯無線装置10aは不良品であると判断してその結果をCRTディスプレイ21に表示して当該SAR計算処理を終了する。
【0111】
上記ステップS37及びS38で良品又は不良品の情報をCRTディスプレイ21に表示しているが、本発明はこれに限らず、プリンタにより印刷してもよいし、音声報知手段により合成音声により報知してもよく、その他情報出力手段により当該情報を出力してもよい。
【0112】
また、平均SARを算出する際に、上述のごとく複数層のSAR値を測定するのではなく、1層のSAR分布から次式の関係を用いて平均SARを算出してもよい(以下、この測定方法を第8の実施形態の変形例という。)。
【0113】
【数16】
E(z)=Eexp(−z/δ)
【0114】
ここで、Eはz=0における電界強度であり、δは次式で表されるファントム材料の表皮深さ(スキンデプス)である。
【0115】
【数17】
δ=(πfμσ)−1/2
【0116】
ここで、fは送信信号の使用周波数であり、μはファントム材料の透磁率であり、σはファントム材料の導電率である。ここで、SAR値は次式で表される。
【0117】
【数18】
SAR=σE/ρ
【0118】
従って、上記式から次式を得る。
【0119】
【数19】
SAR∝exp(−2z/δ)
【0120】
従って、ファントム表面からz方向の距離zだけ離れた位置におけるSAR分布SARcalculate(x,yj,z)は次式によって求められる。
【0121】
【数20】
SARcalculate(x,yj,z)
=SARestimate(x,yj,0)exp(−2z/δ)
【0122】
ここで、SARestimate(x,yj,0)はz=z=0(第1の階層70−1)におけるSAR分布である。上記数20の妥当性を検証するため、図37に示す立方体ファントム54に半波長ダイポールアンテナ50を近接させたときのz方向のSAR分布について、上述の標準測定方法での測定値と、上記数20による推定値とを比較する。ここで、立方体ファントム54の立方体容器52には、比誘電率ε=41.5でかつ導電率σ=0.95[S/m]のSAR溶液53が充填されている。立方体容器52は2mmの厚さを有し、その1辺の内寸は200mmである。また、半波長ダイポールアンテナ50のアンテナ長は158mmであり、送信信号の周波数である測定周波数は900MHzである。なお、上記標準測定法によるSARの測定は、SAR溶液53内に、センサ部分1001sを有する電界プローブ1001を挿入して測定され、図37におけるSARの分布は、立方体ファントム54の表面形状に沿って電界プローブ1001を移動機構装置1002によりx方向及びy方向に移動させながら走査させ、SAR計算コントローラ1003は、電界プローブ1001からの電界強度を示す検出信号に基づいて電界強度を計算し、当該電界強度に基づいて上記数1を用いて計算して出力する。なお、移動機構装置1002による移動は、電界プローブ1001を上記立方体ファントム54及び半波長ダイポールアンテナ50に対して相対的に移動できればよい。すなわち、
立方体ファントム54及び半波長ダイポールアンテナ50を電界プローブ1001に対して移動してもよい。
【0123】
図38は図37の状態におけるz方向の位置(z座標)に対するSARの測定値及び推定値を示すグラフである。図38では、上述の標準測定方法によるz軸上のSAR分布の測定値と、上記数20を用いた推定値を示しており、図38から明らかなように、推定値は測定値と良く一致しており、z方向のSAR分布を上記数20を用いて推定できることがわかる。ここで、上記数20を上記数14及び数15に代入することにより、平均SARを算出することもできる。この算出方法に必要なSAR測定面は1面である。このため、変換係数分布αを算出するときに1面のみ測定すれば足り、SAR分布の測定を大幅に簡単化することができる。
【0124】
図39及び図40は本発明に係る第8の実施形態の変形例に係るSAR計算コントローラによって実行されるSAR計算処理を示すフローチャートである。なお、図39及び図40において、図35及び図36と同様の処理については同一のステップ番号を付している。
【0125】
図39のSAR計算処理において、まず、ステップS31Aで、各支持姿勢n(n=1,2,3,4)毎に、基準の無線装置である携帯無線装置を移動機構装置40を用いて、x方向及びy方向に移動しながら予め測定された近傍磁界分布Href(x,y)と、z=zに固定し電界プローブ1001を当該携帯無線装置及び人体ファントム60に対してx方向及びy方向に移動しながら予め測定されたSAR分布SARref(x,y,z)とに基づいて、数12を用いて変換係数分布α(x,y,z)を所定の複数の位置座標(x,y,z)毎に計算する。ここで、近傍磁界分布Href(x,y)は磁界プローブ1を用いて測定することができ、SAR分布SARref(x,y,z)は上述の標準測定方法を用いて測定できる。次いで、ステップS32において、測定対象の携帯無線装置10aを移動機構装置40を用いてx方向及びy方向に移動しながら、その表面に設けられ近傍磁界を検出する磁界プローブ1からの検出信号を受信し、当該検出信号の電圧に基づいて測定対象の携帯無線装置10aの前面近傍における磁界二乗値分布H measure(x,y)を上記複数の位置座標(x,y)毎に計算する。そして、ステップS33Aにおいて、数13を用いて、上記計算された磁界二乗値分布H measure(x,y)に、上記計算された各支持姿勢n(n=1,2,3,4)毎の変換係数分布α(x,y,z)を乗算することにより各支持姿勢n(n=1,2,3,4)毎のSAR分布SARestimaten(x,y,z)を推定して計算して、図40のステップS34に進む。
【0126】
図40のステップS34Aでは、各支持姿勢(n=1,2,3,4)毎に、上記数20及び上記数14又は数15を用いて平均SARを計算した後、以下図36と同様にステップS35乃至S38の処理を実行して、当該SAR計算処理を終了する。
【0127】
図39及び図40に図示した第8の実施形態の変形例に係る平均SAR推定方法によれば、図35及び図36に図示した第8の実施形態に係る平均SAR推定方法に比較して、上記数20を用いてz方向のSARを推定して計算できるので、ステップS31Aにおいて基準携帯無線装置でのz方向のSAR分布の測定、並びにz方向の変換係数分布α(x,y,z)の計算を実行する必要がなく、また、ステップS33Aにおいてz方向のSAR分布の計算をする必要がなく、大幅に計算量を減少させることができる。
【0128】
次いで、第8の実施形態の変形例に係る上記数20及び数14又は数15を用いて、図25に係る平均SARについて計算した結果について以下に説明する。ここで、送信信号の周波数fはf=925MHzであり、透磁率μは真空中の透磁率値μ=4π×10−7[H/m]とし、導電率σはSAR溶液53の導電率値σ=1.01[S/m]とする。このとき、ファントム材料の表皮深さ(スキンデプス)δはδ=1.65×10−2となる。
【0129】
まず、1g平均SARの算出について説明する。1g平均SARは立方格子54Aの底面の一辺が10[mm]である立方格子54内の各座標におけるSARの相加平均として計算することができる。本実施例では、5[mm]間隔でSARを測定し、1g平均のSARを計算する。この計算方法について、図41を参照して説明する。
【0130】
図41において、電界プローブ1001のセンサ部分1001sが人体ファントムの頭部60の表面ライン84に近接した状態を示している。ここで、図41における複数の測定点81のうち、SARの測定最大点82を中心とした測定限界ライン83を含むSAR測定面(xy面)の9点(=3×3;ここで、SAR測定面は10[mm]×10[mm]の面積を有する。)のSAR値について上記数20を用いてz方向のSAR分布を推定する。なお、上述の標準測定方法を用いて測定できるのは、図41に示すように、人体ファントムの頭部60の表面ライン84より3.7[mm]だけ内側の測定限界ライン83を含むSAR測定面である。上記SARの測定最大点82の位置におけるSARをSARestimate(x,y,z)とする。従って、人体ファントムの頭部60の表面ライン84上の推定点85におけるSARは、上記測定最大点82から−z方向に3.7[mm]だけ移動した位置におけるSARであり、上記数20においてz=−3.7[mm]を代入することにより計算できる。そのため、SARの推定を行う3×3×3=27個(10[mm]×10[mm]×10[mm])の測定点81のz方向の座標は、図41に示すように、人体ファントムの頭部60の表面ライン84から5mm間隔のz=−3.7[mm]、1.3[mm]、6.3[mm]となる。以上のように上記数20を用いて推定した27個の推定点81のSAR値の平均値を計算することにより、1g平均のSAR値を計算できる。
【0131】
本発明者の実験結果によれば、上述の標準測定方法によるアンテナ伸長状態の1g平均SAR値は0.637[mW/g]であり、第8の実施形態の変形例に係る上記数20を用いる推定方法による1g平均のSAR値は0.645[mW/g]であった。従って、1g平均のSAR値の誤差は+1%であった。
【0132】
また、本発明者らは、同様にして、10g平均のSAR値の推定を行った。この場合は、一辺が22[mm]の立方体中のSAR値の平均を計算する。上述の標準測定方法によるアンテナ伸長状態の10g平均のSAR値は0.398[mW/g]であり、第8の実施形態の変形例に係る上記数20を用いた10g平均のSAR値は0.423[mW/g]であった。従って、10g平均のSAR値の誤差は−6%であった。
【0133】
以上説明したように、第8の実施形態に係る平均SAR推定方法又は第8の実施形態の変形例に係る平均SAR推定方法を用いることにより、従来技術に比較してきわめて簡単に高精度で平均SARを推定して計算することができる。
【0134】
<各実施形態で用いる実施例>
上記の各実施形態においては、磁界プローブ1を用いたが、本発明はこれに限らず、以下に示す磁界プローブを用いてもよい。
【0135】
図42は本発明に係る実施形態において用いる第1の実施例に係る磁界プローブ1pの構成を示す側面図である。図42において、磁界プローブ1pは、先端にギャップを設けた単一ギャップ型のシールデッドループを備えた磁界プローブであり、磁界を検出するループの円弧の半円部分が、中心導体91及び接地導体92からなる同軸ケーブル90で構成され、他の半円部分が同軸ケーブル90の外径と実質的に同一の外径を有する導体線93で構成される。ここで、導体線93の先端側の一端は同軸ケーブル90の中心導体91と接続され、その他端は同軸ケーブル90の接地導体92と接続されている。
【0136】
図43は本発明に係る実施形態において用いる第2の実施例に係る磁界プローブ1qの構成を示す側面図である。図43において、磁界プローブ1qは、ダブルギャップ型(バランス型)のシールデッドループを備えた磁界プローブであり、2本の同軸ケーブル90a,90bと、半円形状の金属線94とで構成され、ここで、同軸ケーブル90aは中心導体91aと接地導体92aとで構成され、同軸ケーブル90bは中心導体91bと接地導体92bとで構成される。金属線94の一端が同軸ケーブル90aの中心導体91aに接続され、金属線94の他端が同軸ケーブル90bの中心導体91bに接続される。2本の同軸ケーブル90a,90bは、平衡不平衡変換器であるバラン95の平衡型端子に接続され、当該バラン95の不平衡型端子には給電用同軸ケーブル96が接続される。
【0137】
図44は本発明に係る実施形態において用いる第3の実施例に係る磁界プローブ1rの構成を示す斜視図である。図44において、磁界プローブ1rは、多層プリント基板を用いた構造のシールデッドループであり、一例として、単一ギャップ型シールデッドループを備えた磁界プローブを3層基板で構成したものを示す。図44において、誘電体基板101上に、ギャップを有する略円形部と111と、略円形部111の中間位置に接続された直線ストリップ部112とからなる接地導体パターン110を形成し、誘電体基板102上に、ギャップを有する略半円形部と121と、略半円形部121の一端に接続された直線ストリップ部122とからなる伝送導体パターン120を形成し、誘電体基板103上に、ギャップを有する略円形部と131と、略円形部131の中間位置に接続された直線ストリップ部132とからなる接地導体パターン130を形成する。3枚の誘電体基板101,102,103を、伝送導体パターン120を2本の接地導体パターン110,130により挟設するように積層して貼り合わせる。ここで、略円形部111の先端において誘電体基板101を厚さ方向に貫通し、略半円形部121の先端において誘電体基板102を厚さ方向に貫通し、略円形部131の先端において誘電体基板103を厚さ方向に貫通するように、スルーホール140を形成し、形成したスルーホール140の内部にスルーホール導体140cを充填して形成する。これにより、略円形部111の先端と、略半円形部121の先端と、略円形部131の先端とをともに接続するとともに接地する。なお、直線ストリップ部112,122,132の部分を、例えば誘電体基板を用いて、両面型マイクロストリップ線路、コプレナ線路、スロット線路などの給電用平面伝送線路で構成してもよい。
【0138】
図45は本発明に係る実施形態において用いる第4の実施例に係る磁界プローブ1への信号ケーブルの変形例の構成を示すブロック図である。図45において、磁界プローブ1により検出された磁界に比例する検出電圧を示す検出信号は、レーザダイオード等を備えて構成される電光変換器150により電光変換された後、変換後の光信号は光ファイバケーブル151を介して伝搬された後、光電変換器152に入力される。光電変換器152は、入力される光信号を電気信号に光電変換した後、給電用ケーブルを介して出力する。図45の実施例によれば、磁界プローブ1の検出信号を光電変換して伝送するので、検出信号に対する外来ノイズの影響を大幅に低減させることができる。
【0139】
図46は本発明に係る実施形態において用いる第5の実施例に係る磁界プローブ1からの検出信号を処理する装置の変形例の構成を示すブロック図である。図46において、磁界プローブ1からの検出信号は可変増幅器35及び可変移相器36を介して出力される。当該実施例においては、例えば、SAR測定の分解能を上げるために磁界プローブ1のループ径を小さくする一方、可変増幅器35を用いて検出信号の電圧を増幅する。これにより、微小磁界を検出することができる。また、図7の第5の実施形態と同様に、可変増幅器35の増幅度及び可変移相器36の移相量を、測定されるSAR分布が基準アンテナの所定のSAR分布に実質的に一致するように調整し、この後、測定対象の携帯無線装置に対してSARの測定処理を実行することにより、当該SAR測定装置を校正してSAR分布をより高精度で測定することができる。
【0140】
なお、以上の第5の実施例においては、可変増幅器35及び可変移相器36を備えているが、本発明はこれに限らず、可変増幅器35と、可変移相器36とのうちの少なくとも一方を備えるようにしてもよい。
【0141】
図47(a)は本発明に係る実施形態において用いる第6の実施例に係る複数の磁界プローブ1の配置方法を示すzx平面の断面図であり、図47(b)はそのxy平面の断面図である。図47(a)及び(b)に示すように、互いに隣り合う1対の磁界プローブ(1−1と1−2,1−2と1−3,1−3と1−4)が互いに直交するように離間間隔dで1次元アレー配列で並置してもよい。また、図47(a)及び(b)の1次元アレー配列に限らず、2次元アレー配列で並置してもよい。従って、磁界プローブ1−1乃至1−4を互いに直交するように並置することにより各磁界プローブ1−1乃至1−4間のアイソレーションを大きくすることができ、xy成分の磁界を精度良く検出できる。
【0142】
例えば、図47(a)及び(b)における磁界検出点201におけるxy成分の磁界強度は次のように算出する。まず、磁界プローブ1−1のループの中心が、磁界検出点201に来たときの磁界強度Hを検出する。次いで、図48(a)及び(b)に示すように、磁界プローブ1−1乃至1−4を、−x方向に距離dだけ移動させる。このとき、磁界プローブ1−2のループ中心に磁界検出点201が来る。ここで、磁界プローブ1−2によって検出される磁界強度をHとする。磁界検出点201におけるxy成分の磁界強度Htotalは次式に示すように、2つの検出磁界強度H,Hの二乗和によって表される。
【0143】
【数21】
Figure 0004471583
【0144】
また、磁界プローブ1−1で検出した磁界強度Hと、磁界プローブ1−2で検出した磁界強度Hをx方向に移動せず、そのまま上記数21を用いて二乗和によて算出してもよい。このときの磁界強度の検出点201は図49に示すように、2つの磁界プローブ1−1及び1−2のループ中心間距離の中点(中間位置)に位置する。図49(a)及び(b)に図示した磁界測定方法によれば、隣り合う磁界プローブ1−1,1−2の座標を揃える移動を伴わないので、磁界強度を高速で測定することができる。
【0145】
図50は本発明に係る実施形態において用いる第8の実施例に係る3個の磁界プローブ部301,302,303からなる磁界プローブ1mの配置方法を示す斜視図である。図50に示すように、磁界プローブ1mは3個の磁界プローブ部301,302,303から構成され、ここで、これら磁界プローブ部301,302,303は、x軸が磁界プローブ部301のループ中心を、そのループ面と直交して貫通し、y軸が磁界プローブ部302のループ中心を、そのループ面と直交して貫通し、z軸が磁界プローブ部303のループ中心を、そのループ面と直交して貫通するように配置される。以上のように構成することにより、3つの軸の3直交成分の磁界を検出でき、さらに高精度で磁界強度を測定できる。
【0146】
上述の図50の検出点201における磁界強度は、上記図50と同様の配置関係で配置された磁界プローブ1mを、図51(a)、(b)及び(c)に示すように、3つの磁界プローブ部301,302,303のループ中心がxyz座標系の原点に来るようにそれぞれ移動させたときの検出強度を二乗和演算することにより算出することもできる。各磁界プローブ部301,302,303の検出点201における磁界強度をそれぞれH、H、Hとすると、xyz座標系の原点における総磁界強度Htotalは次式で表される。
【0147】
【数22】
Figure 0004471583
【0148】
また、簡易的なxyz成分の磁界検出方法として、図52に示すように、3つの磁界プローブ部301,302,303を移動せず、上記図50と同様の配置関係であって検出点201までの距離が同一の距離dだけ離間して配置された各磁界プローブ部301,302,303によりそれぞれ検出された磁界強度値H、H、Hを上式(数22)を用いて二乗和演算して算出してもよい。この磁界検出方法は3つの磁界プローブ部301,302,303の座標を揃える移動を伴わないので高速で磁界を測定できる。
【0149】
さらに、図52に示す互いに直交する3つの磁界プローブ部301,302,303を1素子の磁界プローブ1mとして形成し、複数個の磁界プローブ1mを1次元アレー配列で並置し、もしくは2次元アレー配列で並置して構成してもよい。これにより、高精度かつ高速な磁界測定が可能となる。
【0150】
また、磁界プローブ1からの検出信号に対する外来ノイズの重畳を低減するために、磁界プローブ1、携帯無線装置10,10a、移動機構装置30,40などを金属板で囲むことが好ましい。このとき、金属板で多重反射が起きないように電波吸収体で金属板の内側を覆うことが好ましい。これにより、精度の高い磁界測定が可能となる。
【0151】
さらに、携帯無線装置10,10aの近傍磁界分布を乱さないために、移動機構装置30,40を金属材料にて形成することが不適当であり、このため、移動機構装置30,40は、例えばポリフッ化エチレンやアクリルなどの樹脂材料又は木材などの誘電体で形成することが好ましい。また、磁界プローブ1や携帯無線装置10,10aの周辺に金属材料にてなる部品などがあることも、携帯無線装置10,10aの近傍磁界を測定する上で好ましくなく、このため、金属材料にてなる部品に電波吸収体を貼ることが好ましい。
【0152】
さらに、変換係数αの分布は携帯無線装置10,10aの送信周波数や製品の機種によって異なる。多機種及び多周波数に対応するために、測定する携帯無線装置10,10aに応じて、SAR算出に用いる変換係数αの分布を切り替える機能を有してもよい。
【0153】
以上の実施形態においては、移動機構装置30,40は移動機構を備え、携帯無線装置10,10aを移動させながら、その近傍磁界分布を測定しているが、本発明はこれに限らず、磁界プローブ1又は磁界プローブ1のアレーに移動機構を設けてもよい。
【0154】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係る無線装置用比吸収率測定装置によれば、基準の無線装置又は基準アンテナから放射される電波の第1の近傍磁界を自由空間において測定する第1の測定手段と、
上記基準の無線装置又は上記基準アンテナから放射される電波に係る比吸収率(SAR)を所定の測定方法で所定のファントムを用いて測定する第2の測定手段と、
上記測定された比吸収率(SAR)を上記測定された第1の近傍磁界の二乗値により除算することにより変換係数αを計算する第1の計算手段と、
測定対象の無線装置から放射される電波の第2の近傍磁界を自由空間において測定する第3の測定手段と、
上記測定された第2の近傍磁界の二乗値に上記計算された変換係数αを乗算することにより上記測定対象の無線装置から放射される電波に係る比吸収率(SAR)を推定して計算する第2の計算手段とを備えたことを特徴とする。
【0155】
ここで、上記無線装置用比吸収率測定装置において、好ましくは、上記基準の無線装置又は上記基準アンテナを上記第1の測定手段及び上記第2の測定手段に対して相対的に1次元、2次元又は3次元で移動する第1の移動手段と、
上記第2の測定手段を上記測定対象の無線装置及び上記ファントムに対して相対的に1次元、2次元又は3次元で移動する第2の移動手段とをさらに備え、
上記第1の測定手段は、上記第1の移動手段により上記基準の無線装置又は上記基準アンテナを移動させながら、上記基準の無線装置又は上記基準アンテナから放射される電波の第1の近傍磁界の分布を自由空間において測定し、
上記第2の測定手段は、上記第1の移動手段により上記基準の無線装置又は上記基準アンテナを移動させながら、上記基準の無線装置又は上記基準アンテナから放射される電波に係る比吸収率(SAR)の分布を上記測定方法で測定し、
上記第1の計算手段は、上記測定された比吸収率(SAR)の分布を上記測定された第1の近傍磁界の二乗値の分布により除算することにより変換係数αの分布を計算し、
上記第3の測定手段は、上記第2の移動手段により上記測定対象の無線装置を移動させながら、上記測定対象の無線装置から放射される電波の第2の近傍磁界の分布を自由空間において測定し、
上記第2の計算手段は、上記測定された第2の近傍磁界の二乗値の分布に上記計算された変換係数αの分布を乗算することにより上記測定対象の無線装置から放射される電波に係る比吸収率(SAR)の分布を推定して計算することを特徴とする。
【0156】
従って、本発明によれば、自由空間中にて携帯電話機などの無線装置から放射される近傍磁界分布を測定し、上記測定した近傍磁界分布に基づいてSAR又はその分布を、簡単な装置構成で、高速かつ高精度に推定して計算することができる。また、本発明によれば、実際のSAR測定に則した携帯電話機などの無線装置の配置においてSAR又はその分布を測定することができる。さらに、本発明によれば、生産ライン上で携帯電話機などの無線装置のSAR又はその分布を従来技術に比較して容易に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1の実施形態である、携帯無線装置10のSARを測定するためのSAR測定装置の構成を示す斜視図及びブロック図である。
【図2】 図1のSAR計算コントローラ20によって実行されるSAR計算処理を示すフローチャートである。
【図3】 本発明に係る第2の実施形態である、携帯無線装置10のSARを測定するためのSAR測定装置の構成を示す斜視図及びブロック図である。
【図4】 図3の磁界プローブ1−1乃至1−4の配置を示す断面図である。
【図5】 本発明に係る第3の実施形態である、携帯無線装置10のSARを測定するためのSAR測定装置の構成を示す斜視図及びブロック図である。
【図6】 本発明に係る第4の実施形態である、携帯無線装置10のSARを測定するためのSAR測定装置の構成を示す斜視図及びブロック図である。
【図7】 本発明に係る第5の実施形態である、携帯無線装置10のSARを測定するためのSAR測定装置の構成を示す斜視図及びブロック図である。
【図8】 本発明に係る第6の実施形態である、携帯無線装置10のSARを測定するためのSAR測定装置の構成を示す斜視図及びブロック図である。
【図9】 基準アンテナ装置であるダイポールアンテナ50の磁界分布測定における座標系を示す断面図である。
【図10】 立方体ファントム54を用いたSAR測定における座標系を示す断面図である。
【図11】 図9のダイポールアンテナ50のy=0における自由空間中のx方向の位置に対する規格化された磁界二乗値H及びSARの分布を示すグラフである。
【図12】 図9のダイポールアンテナ50のx=0における自由空間中のy方向の位置に対する規格化された磁界二乗値H及びSARの分布を示すグラフである。
【図13】 図8のSAR計算コントローラ20bによって実行されるSAR計算処理を示すフローチャートである。
【図14】 ボールファントム55を用いたダイポールアンテナ50の磁界分布測定における座標系を示す断面図である。
【図15】 図14のダイポールアンテナ50のy=0における自由空間中のx方向の位置(x座標)に対する規格化された磁界二乗値H及びSARの分布を示すグラフである。
【図16】 図15のグラフに基づいて推定して計算された、自由空間中のx方向の位置(x座標)に対する変換係数αの分布を示すグラフである。
【図17】 図14におけるボールファントム55に近接したダイポールアンテナ50の位置をx方向に35mmだけ移動させたときのダイポールアンテナ50の磁界分布測定における座標系を示す断面図である。
【図18】 図14及び図17におけるダイポールアンテナ50のx方向の位置(x座標)に対するSAR分布であって、図17の解析値と、図16の推定値を示すグラフである。
【図19】 折り畳み式携帯無線装置10aを人体ファントムの頭部60の右側面60aに接触させ、携帯無線装置10aのホイップアンテナ12aを収納したときの人体ファントムの頭部60と折り畳み式携帯無線装置10aとの位置関係を示すzx面での断面図である。
【図20】 折り畳み式携帯無線装置10aを人体ファントムの頭部60の右側面60aに接触させ、携帯無線装置10aのホイップアンテナ12aを伸長したときの人体ファントムの頭部60と折り畳み式携帯無線装置10aとの位置関係を示すzx面での断面図である。
【図21】 図19の状態でのxy面での実測SARの分布を示すグラフである。
【図22】 図19の状態でのxy面での測定磁界の分布を示すグラフである。
【図23】 図19の状態でのxy面での計算された変換係数αの分布を示すグラフである。
【図24】 図20の状態でのxy面での測定磁界の分布を示すグラフである。
【図25】 図20の状態でのxy面での推定SARの分布を示すグラフである。
【図26】 図20の状態でのxy面での実測SARの分布を示すグラフである。
【図27】 図20の状態においてx=40mmでの実測SAR及び推定SARの分布を示すグラフである。
【図28】 図20の状態においてy=15mmでの実測SAR及び推定SARの分布を示すグラフである。
【図29】 本発明に係る第7の実施形態において、人体ファントムの頭部60に対して携帯無線装置10aの第1の支持姿勢の状態を示す正面図である。
【図30】 本発明に係る第7の実施形態において、人体ファントムの頭部60に対して携帯無線装置10aの第2の支持姿勢の状態を示す正面図である。
【図31】 本発明に係る第7の実施形態であるSAR計算コントローラによって実行されるSAR計算処理を示すフローチャートである。
【図32】 本発明に係る第7の実施形態の変形例であって、磁界測定時の状態がSARを測定すべき状態から角度θだけ傾斜したときの状態を示す断面図である。
【図33】 本発明に係る第8の実施形態におけるSARの測定に用いるz方向の複数の階層70−1乃至70−Kを示す斜視図である。
【図34】 本発明に係る第8の実施形態において平均SARを計算するときの立方体ファントム54の座標を示す斜視図である。
【図35】 本発明に係る第8の実施形態に係るSAR計算コントローラによって実行されるSAR計算処理の第1の部分を示すフローチャートである。
【図36】 本発明に係る第8の実施形態に係るSAR計算コントローラによって実行されるSAR計算処理の第2の部分を示すフローチャートである。
【図37】 本発明に係る第8の実施形態の変形例において別の方法で平均SARを計算するときの立方体ファントム54の座標を示す斜視図である。
【図38】 図37の状態におけるz方向の位置(z座標)に対するSARの測定値及び推定値を示すグラフである。
【図39】 本発明に係る第8の実施形態の変形例に係るSAR計算コントローラによって実行されるSAR計算処理の第1の部分を示すフローチャートである。
【図40】 本発明に係る第8の実施形態の変形例に係るSAR計算コントローラによって実行されるSAR計算処理の第2の部分を示すフローチャートである。
【図41】 本発明に係る第8の実施形態の変形例に係る平均SARを計算する方法を検証するときの、磁界プローブ1とファントム54との近接部分の座標を示す断面図である。
【図42】 本発明に係る実施形態において用いる第1の実施例に係る磁界プローブ1pの構成を示す側面図である。
【図43】 本発明に係る実施形態において用いる第2の実施例に係る磁界プローブ1qの構成を示す側面図である。
【図44】 本発明に係る実施形態において用いる第3の実施例に係る磁界プローブ1rの構成を示す斜視図である。
【図45】 本発明に係る実施形態において用いる第4の実施例に係る磁界プローブ1への信号ケーブルの変形例の構成を示すブロック図である。
【図46】 本発明に係る実施形態において用いる第5の実施例に係る磁界プローブ1からの検出信号を処理する装置の変形例の構成を示すブロック図である。
【図47】 (a)は本発明に係る実施形態において用いる第6の実施例に係る複数の磁界プローブ1の配置方法を示すzx平面の断面図であり、(b)はそのxy平面の断面図である。
【図48】 (a)は図47(a)及び(b)の状態から−x方向に複数の磁界プローブ1を距離dだけ移動させたときのzx平面の断面図であり、(b)はそのxy平面の断面図である。
【図49】 (a)は本発明に係る実施形態において用いる第7の実施例に係る1対の磁界プローブ1の配置方法を示すzx平面の断面図であり、(b)はそのxy平面の断面図である。
【図50】 本発明に係る実施形態において用いる第8の実施例に係る3個の磁界プローブ部301,302,303からなる磁界プローブ1mの配置方法を示す斜視図である。
【図51】 (a)は本発明に係る実施形態において用いる第9の実施例に係る第1のケースにおける3個の磁界プローブ部301,302,303からなる磁界プローブ1mの配置方法を示す斜視図であり、(b)は当該第9の実施例に係る第2のケースにおける3個の磁界プローブ部301,302,303からなる磁界プローブ1mの配置方法を示す斜視図であり、(c)は当該第9の実施例に係る第3のケースにおける3個の磁界プローブ部301,302,303からなる磁界プローブ1mの配置方法を示す斜視図である。
【図52】 本発明に係る実施形態において用いる第10の実施例に係る3個の磁界プローブ部301,302,303からなる磁界プローブ1mの配置方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,1−1乃至1−4,1−11,1−12,1p,1m,1p,1q…磁界プローブ、
1z…元の位置での磁界プローブ、
2…検出信号ケーブル、
3−1,3−2…無反射終端抵抗、
10…携帯無線装置、
10a…折り畳み式携帯無線装置、
11…携帯無線装置筐体、
12,12a…ホイップアンテナ、
13…キーボード部、
14a…本体筐体、
14b…表示部筐体、
14c…ヒンジ部、
15…マイクロホン、
16…スピーカの音孔部、
20,20a,20b…SAR計算コントローラ、
21…CRTディスプレイ、
30…移動機構装置、
31…支持柱、
32…移動支持部、
35−1乃至35−4…可変増幅器、
36−1乃至36−4…可変移相器、
40…移動機構装置、
41…支持台、
42…Xステージ、
43…Yステージ、
44…支持柱、
45…移動支持部、
50…ダイポールアンテナ、
50a,50b…アンテナ素子、
51…バラン、
52…立方体容器、
53…SAR溶液、
54…立方体ファントム、
54A…立方格子、
55…ボールファントム、
60…人体ファントムの頭部、
61…耳部、
62…口部、
70−1乃至70−K…階層、
71…測定点、
72…最大点、
81…測定点、
82…最大点、
83…測定限界ライン、
84…表面ライン、
85…推定点、
90,90a,90b…同軸ケーブル、
91,91a,91b…中心導体、
92,92a,92b…接地導体、
93,94…導体線、
95…バラン、
96…給電用同軸ケーブル、
101,102,103…誘電体基板、
110…接地導体パターン、
111…略円形部、
112…直線ストリップ部、
120…伝送導体パターン、
121…略半円形部、
122…直線ストリップ部、
130…接地導体パターン、
131…略円形部、
132…直線ストリップ部、
140…スルーホール、
140c…スルーホール導体、
150…電光変換器、
151…光ファイバケーブル、
152…光電変換器、
153…給電用ケーブル、
201…磁界検出点、
301,302,303…磁界プローブ部、
1001…電界プローブ、
1002…移動機構装置、
1003…SAR計算コントローラ。

Claims (12)

  1. 測定位置の座標を取得する手段と、
    各座標における磁界強度を検出する手段を有する磁界強度分布測定部と、
    基準となる携帯無線機の磁界強度の自乗値とその局所SARとの比で得られる係数分布に、前記測定した磁界強度分布データの自乗値を乗じることで被測定携帯無線機の局所SAR分布を算出する演算部と
    前記被測定携帯無線機の各支持姿勢における局所SAR分布の最大値の座標を取得する手段と、
    その座標を中心に1g及び10gの平均SAR値算出に必要なxyz座標範囲内のSAR値の平均を取ることにより平均SARを算出する演算部とを備えたことを特徴とするSAR測定装置。
  2. 基準となる携帯無線機の複数の支持姿勢毎に求めた前記係数分布に、被測定携帯無線機の磁界分布の自乗値を乗じて、一度に被測定携帯無線機の各支持姿勢の局所SAR分布を算出する演算部を備えたことを特徴とする請求項1記載のSAR測定装置。
  3. 前記各姿勢の平均SAR値を比較して最大値を算出する機能を備えた請求項記載のSAR測定装置。
  4. 前記磁界強度分布測定部の磁界プローブとしてループ形状のプローブを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のSAR測定装置。
  5. 前記磁界強度分布測定部の磁界プローブとして単一ギャップ型シールデッドループプローブを備えたことを特徴とする請求項記載のSAR測定装置。
  6. 前記磁界強度分布測定部の磁界プローブとしてダブルギャップ型シールデッドループプローブを備えたことを特徴とする請求項記載のSAR測定装置。
  7. 前記磁界強度分布測定部の磁界プローブを列状に配置したことを特徴とする請求項1記載のSAR測定装置。
  8. 前記列状に配置した磁界プローブを隣り合う磁界プローブが互いに直交するよう配置し、前記直交配置した磁界プローブの磁界検出値を合成する演算部を備えたことを特徴とする請求項記載のSAR測定装置。
  9. 前記磁界強度分布測定部の磁界プローブにおいて3つの磁界プローブのループ面を3軸直交するように配置したことを特徴とする請求項1記載のSAR測定装置。
  10. 前記3軸直交した磁界プローブを列状に配置したことを特徴とする請求項記載のSAR測定装置。
  11. 前記算出された測定平面のSAR分布SARestimate(x,y)から測定平面の法線方向にzだけ離れた位置におけるSAR値SARcalculate(x,y)をスキンデプスδを用いて次式によって算出し、
    SARcalculate(x,y)
    =SARestimate(x,y)exp(−2z/δ)
    平均SARを求める演算部を備えたことを特徴とする請求項記載のSAR測定装置。
  12. 前記基準となる携帯無線機の磁界強度の自乗値とその局所SARとの比で得られる係数分布を電磁界解析によって算出する機能を備えたことを特徴とする請求項1記載のSAR測定装置。
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