JP2004279134A - 電子放出特性評価装置および電子放出特性評価方法ならびにそのプログラム、記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】光照射された物体の電子放出特性を費用を抑制して短時間で知ることができる電子放出特性評価装置を提供する。
【解決手段】電子放出特性評価装置1は、入力部52によって、物体の形状を表す図形のデータの入力環境を提供し、メッシュ設定部53によって、メッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境を表示装置を通して提供する。さらに、光源設定部54によって、光源の状態についての光源設定環境を表示装置を通して提供し、材質設定部55によって、物体の材質もしくは表面材質についての材質設定環境を提供する。ユーザがこれらの設定を行うと、評価出力部56によって、物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを、メッシュ単位で構成される基本領域毎の現象を求めることにより求め、図形全体における電子の流れをベクトルで表現して図形に合成し、物体の電子放出特性の評価結果として出力装置で出力する。
【選択図】 図1
【解決手段】電子放出特性評価装置1は、入力部52によって、物体の形状を表す図形のデータの入力環境を提供し、メッシュ設定部53によって、メッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境を表示装置を通して提供する。さらに、光源設定部54によって、光源の状態についての光源設定環境を表示装置を通して提供し、材質設定部55によって、物体の材質もしくは表面材質についての材質設定環境を提供する。ユーザがこれらの設定を行うと、評価出力部56によって、物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを、メッシュ単位で構成される基本領域毎の現象を求めることにより求め、図形全体における電子の流れをベクトルで表現して図形に合成し、物体の電子放出特性の評価結果として出力装置で出力する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物質が光電子を放出するときの電子放出特性の評価に関し、特に、複写機、プリンタおよびファクシミリなどの電子写真装置が備える現像装置の、トナー帯電に用いられる物質の電子放出特性の評価に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機、プリンタおよびファクシミリなどの電子写真装置においては、静電潜像を担持搬送する感光体に対して現像装置にトナーが供給され、感光体の表面上の静電潜像がトナーによって現像(可視化)される。このような現像装置では、トナーは現像ローラ表面に供給ローラにより周方向から順次供給され、現像ローラの回転により感光体へ向けて担持搬送される。
【0003】
また、上記現像ローラ上に形成されるトナー層は、供給ローラよりも現像ローラの回転方向下流側に設けられたブレードによって、現像ローラ上でその層厚が規制される。このとき同時に、トナーは、ブレードとの摩擦により電荷を帯びる(摩擦帯電)。帯電されたトナーは、現像ローラにより、さらに回転方向下流側に位置する感光体との対向部まで担持搬送されて、感光体表面上の静電潜像に対して静電的に供給され、静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。可視化されたトナー像は、転写装置によって記録紙に転写された後、定着装置によって加熱および加圧され、記録紙上に定着される。
【0004】
また、上述した摩擦帯電方式の問題を克服するために、特許文献1、特許文献2、および、特許文献3には、トナーに特殊な波長の光に反応するホトクロミック化合物などを含有させ、現像装置内部でトナーに直接光を照射することによりトナーを帯電させる手法が開示されている。
【0005】
また、ホトクロミック反応を利用した光照射によるトナーの帯電については、特許文献4および特許文献5に開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−281473号公報
(公開日:平成7年(1995)10月27日)
【0007】
【特許文献2】
特開平7−295327号公報
(公開日:平成7年(1995)11月10日)
【0008】
【特許文献3】
特開平9−6132号公報
(公開日:平成9年(1997)1月10日)
【0009】
【特許文献4】
特開平4−220657号公報
(公開日:平成4年(1992)8月11日)
【0010】
【特許文献5】
特開平7−234536号公報
(公開日:平成7年(1995)9月5日)
【0011】
【特許文献6】
特願2001−366786号
(未公開、出願日:平成13年(2001)11月30日)
【0012】
【特許文献7】
特開2001−33502号公報
(公開日:平成13年(2001)2月9日)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の構成では、層厚規制部材であるブレードはトナーの層厚を規制すると同時に、トナーを摩擦帯電させるためにも使用されている。すなわち、上記従来の構成では、トナーをブレードとの摩擦により帯電させているため、トナーにおいて所望の帯電量を得るために、ブレードを現像ローラに対して比較的大きな加圧力(F)をもって圧接させている。このように、ブレードによってトナーに対して大きな加圧力が作用する構成では、この加圧力によってトナーの破壊が生じる恐れがある。
【0014】
また、上記摩擦帯電方式におけるエネルギー収支では、以下のことがいえる。すなわち、現像ローラの駆動エネルギー(Ek)は、ブレードの作用によってトナー層厚規制エネルギー(Es)とトナー帯電エネルギー(Et)とに変換されるが、一部は熱ロスエネルギー(El)として消費される。このときに発生する熱ロスエネルギー(El)によっては、トナーが軟化することでトナーの破壊が促進される、あるいは、軟化したトナーがブレード表面に融着してトナーの摩擦帯電特性が劣化するといった問題が生じる。
【0015】
また、特殊なホトクロミック化合物を含有させたトナーに光を照射させることによりトナーを帯電させるような上記公報に記載された技術を用いると、トナーにホトクロミック材料を含有させる際のトナー成分調整が困難となる。従って、できればこのような成分調整の困難さがないトナーを用いるのが望ましい。
【0016】
特に、近年では、省エネ技術として、トナーの軟化点を低減させて定着エネルギーを削減する、あるいは、トナーの顔料部数を増加させて着色力を高める(トナーの耐破壊性が低下する)といったトナーの改良が進んでいる。しかしながら、上記従来の摩擦帯電方式は、上述の如くトナーに対する加圧力や熱的負荷が大きいため、このようなトナーには適合できていない。
【0017】
そこで本件出願人は、先に出願した未公開の特許文献6に記載しているように、トナーの劣化防止、即ちトナーの破壊やブレードヘの融着防止を可能とし、現像の信頼性を向上させることができる現像装置、特に、定着エネルギーを削減するために軟化点を低減したトナーや、着色力を高めるために顔料部数を増加させたトナーにも適合できる現像装置を実現するために、光照射された貴金属などの物質から光電効果により放出された光電子をトナーに供給して帯電させることが有効であることを見出した。従って、光照射された物体から放出される光電子量はどのくらいであってそれに伴う電子の流れはどのようになるかといった電子放出特性を知ることが重要となる。しかしながら、光電効果により電子を放出する電子放出部には様々な形状や大きさのものが考えられ、考えられた全ての電子放出部を試作し、その電子放出特性を評価するには膨大な費用や時間がかかり、困難である。
【0018】
なお、特許文献7には感光体の表面に対して帯電ローラを接触又は近接させてその感光体を帯電させる帯電装置についてのシミュレーションを行う帯電解析装置が記載されている。
【0019】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、光照射された物体の電子放出特性を費用を抑制して短時間で知ることができる、電子放出特性評価装置、および電子放出特性評価方法、ならびにそのプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子放出特性評価装置は、上記課題を解決するために、物体の形状を表す図形のデータの入力環境を提供する入力手段と、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形を、表示装置で視覚的に確認しながらメッシュに分割することができるように、線密度の設定入力を受け付けてメッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境を提供するメッシュ設定手段と、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体の材質もしくは上記物体の表面材質についての設定を行うための材質設定環境を提供する材質設定手段と、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体に光を照射する光源の上記図形上における状態を、上記表示装置で視覚的に確認しながら設定することができるように、上記光源の状態についての設定を行うための光源設定環境を提供する光源設定手段と、上記入力環境を通して入力された上記図形のデータと、上記メッシュ設定環境を通して設定されたメッシュと、上記材質設定環境を通して設定された上記材質または表面材質と、上記光源設定環境を通して設定された上記光源の状態とに基づいて、上記光源から上記物体に光が照射されたときの上記物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを、上記メッシュ単位で構成される部分毎の現象を求めることにより求め、視覚的に確認することができるように上記図形に合成し、上記物体の電子放出特性の評価結果として上記出力装置で出力する評価出力手段とを備えていることを特徴としている。
【0021】
上記の発明によれば、入力手段によって、物体の形状を表す図形のデータの入力環境が提供されるので、このデータを入力する。入力環境としては、表示装置で物体の形状を認識しながら図形のデータを生成入力する環境や、予め用意した図形データの入力を受け付ける環境などがある。また、メッシュ設定手段によって、線密度の設定入力を受け付けてメッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境が提供されるので、線密度を設定してメッシュ分割を行う。この場合のメッシュ設定環境は、表示装置で視覚的に確認しながら図形をメッシュに分割することができるものである。さらに、材質設定手段によって、物体の材質もしくは物体の表面材質についての材質設定環境が提供されるので、これらの設定を行う。さらに、光源設定手段によって、物体に光を照射する光源が、物体の形状を表す図形上においてどのような形状であってどのような位置にあり、光強度はどのくらいかなどを示す光源の状態についての光源設定環境が提供されるので、これの設定を行う。この場合の光源設定環境は、光源の図形上における状態を表示装置で視覚的に確認しながら設定することができるものである。
【0022】
そして、評価出力手段は、上記のようにして入力や設定が行われた図形のデータと、メッシュと、材質もしくは表面材質と、光源の状態とに基づいて、光源から物体に光が照射されたときの物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを、メッシュ単位で構成される部分毎の現象を求めることにより求める。すなわち、図形をメッシュに分割したことを利用し、光源からどのような強度および角度で物体に光が入射し、どのような量および角度で光電子が放出されるか、光電子が放出されることに伴う電子の流れがどのようになるかを図形上の各場所について求め、これによって図形全体で電子の流れがどのようになるかを求める。さらに評価出力手段は、図形全体における電子の流れを視覚的に確認することができるように図形に合成する。そしてこれを物体の電子放出特性の評価結果として出力装置で出力する。出力装置としては先に挙げた表示装置でもよいし、印刷装置などでもよい。ユーザは評価結果を見て、図形全体で電子の流れがどのようになっているかが分かる。
【0023】
このような構成により、ユーザは条件の入力から評価結果の出力を得るまで、特に図形をメッシュに分割するにも、光源の状態を設定するにも、物体の形状を表す図形全体を意識するだけでよい。ユーザは、自分が考えた構成の電子放出部全体の形状について、光電効果によりどのような電子の流れが期待できるかを早く知りたいので、電子放出特性の評価を行う上で、条件の入力から評価結果の出力を得るまで、図形全体を意識しさえすればよいことは非常に好ましい。
【0024】
従って、光電効果により電子を放出する電子放出部に様々な形状や大きさのものが考えられても、電子放出部を試作することなくその電子放出特性を評価することができ、開発に費用も時間もかからない。この結果、光照射された物体の電子放出特性を費用を抑制して短時間で知ることができる、電子放出特性評価装置を提供することができる。
【0025】
さらに本発明の電子放出特性評価装置は、上記課題を解決するために、上記評価出力手段は、上記電子の流れを、上記部分毎の現象を視覚的に確認することができるように、上記図形に合成することを特徴としている。
【0026】
上記の発明によれば、図形を分割するメッシュ単位で構成される部分毎の現象を視覚的に確認することができるので、小さな領域単位で電子放出特性の評価結果を得ることができる。従って、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが可能となり、最適な電子放出特性を有する電子放出部の形状設計が可能となる。
【0027】
さらに本発明の電子放出特性評価装置は、上記課題を解決するために、上記評価出力手段は、上記図形の特定の位置に到達する電子の総量を求めて出力することを特徴としている。
【0028】
上記の発明によれば、図形の特定の位置に到達する電子の総量を求めて出力することにより、物体から放出された光電子が実際に必要となる特定の位置でどのような量になるかを知ることができる。従って、得られる特定の位置での電子量を、光電効果により電子を放出する製品に反映することが可能となり、開発期間のさらなる短縮が可能となる。
【0029】
さらに本発明の電子放出特性評価装置は、上記課題を解決するために、上記評価出力手段は、上記電子の流れを上記図形上にベクトルで表示したものを、上記物体の電子放出特性の評価結果とすることを特徴としている。
【0030】
上記の発明によれば、求めた電子の流れを図形上にベクトルで表示して、物体の電子放出特性の評価結果を出力するので、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが容易になり、それだけ最適な電子放出部の形状設計が容易になる。
【0031】
また、本発明の電子放出特性評価方法は、上記課題を解決するために、物体の形状を表す図形のデータの入力環境を提供する入力ステップと、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形を、表示装置で視覚的に確認しながらメッシュに分割することができるように、線密度の設定入力を受け付けてメッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境を提供するメッシュ設定ステップと、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体の材質もしくは上記物体の表面材質についての設定を行うための材質設定環境を提供する材質設定ステップと、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体に光を照射する光源の上記図形上における状態を、上記表示装置で視覚的に確認しながら設定することができるように、上記光源の状態についての設定を行うための光源設定環境を提供する光源設定ステップと、上記入力環境を通して入力された上記図形のデータと、上記メッシュ設定環境を通して設定されたメッシュと、上記材質設定環境を通して設定された上記材質または表面材質と、上記光源設定環境を通して設定された上記光源の状態とに基づいて、上記光源から上記物体に光が照射されたときの上記物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを、上記メッシュ単位で構成される部分毎の現象を求めることにより求め、視覚的に確認することができるように上記図形に合成し、上記物体の電子放出特性の評価結果として上記出力装置で出力する評価出力ステップとを備えていることを特徴としている。
【0032】
上記の発明によれば、入力ステップによって、物体の形状を表す図形のデータの入力環境が提供されるので、このデータを入力する。入力環境としては、表示装置で物体の形状を認識しながら図形のデータを生成入力する環境や、予め用意した図形データの入力を受け付ける環境などがある。また、メッシュ設定ステップによって、線密度の設定入力を受け付けてメッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境が提供されるので、線密度を設定してメッシュ分割を行う。この場合のメッシュ設定環境は、表示装置で視覚的に確認しながら図形をメッシュに分割することができるものである。さらに、材質設定ステップによって、物体の材質もしくは物体の表面材質についての材質設定環境が提供されるので、これらの設定を行う。さらに、光源設定ステップによって、物体に光を照射する光源が、物体の形状を表す図形上においてどのような形状であってどのような位置にあり、光強度はどのくらいかなどを示す光源の状態についての光源設定環境が提供されるので、これの設定を行う。この場合の光源設定環境は、光源の図形上における状態を表示装置で視覚的に確認しながら設定することができるものである。
【0033】
そして、評価出力ステップでは、上記のようにして入力や設定が行われた図形のデータと、線密度と、材質もしくは表面材質と、光源の状態とに基づいて、光源から物体に光が照射されたときの物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを、メッシュ単位で構成される部分毎の現象を求めることにより求める。すなわち、図形をメッシュに分割したことを利用し、光源からどのような強度および角度で物体に光が入射し、どのような量および角度で光電子が放出されるか、光電子が放出されることに伴う電子の流れはどのようになるかを図形上の各場所について求め、これによって図形全体で電子の流れがどのようになるかを求める。さらに評価出力ステップでは、図形全体における電子の流れを視覚的に確認することができるように図形に合成する。そしてこれを物体の電子放出特性の評価結果として出力装置で出力する。出力装置としては先に挙げた表示装置でもよいし、印刷装置などでもよい。ユーザは評価結果を見て、図形全体にわたって電子の流れがどのようになっているかが分かる。
【0034】
このような手順により、ユーザは条件の入力から評価結果の出力を得るまで、特に図形をメッシュに分割するにも、光源の状態を設定するにも、物体の形状を表す図形全体を意識するだけでよい。ユーザは、自分が考えた構成の電子放出部全体の形状について、光電効果によりどのような電子の流れが期待できるかを早く知りたいので、電子放出特性の評価を行う上で、条件の入力から評価結果の出力を得るまで、図形全体を意識しさえすればよいことは非常に好ましい。
【0035】
従って、光電効果により電子を放出する電子放出部に様々な形状や大きさのものが考えられても、電子放出部を試作することなくその電子放出特性を評価することができ、開発に費用も時間もかからない。この結果、光照射された物体の電子放出特性を費用を抑制して短時間で知ることができる、電子放出特性評価方法を提供することができる。
【0036】
さらに本発明の電子放出特性評価方法は、上記課題を解決するために、上記評価出力ステップでは、上記電子の流れを、上記部分毎の現象を視覚的に確認することができるように、上記図形に合成することを特徴としている。
【0037】
上記の発明によれば、図形を分割するメッシュ単位で構成される部分毎の現象を視覚的に確認することができるので、最小の領域単位で電子放出特性の評価結果を得ることができる。従って、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが可能となり、最適な電子放出特性を有する電子放出部の形状設計が可能となる。
【0038】
さらに本発明の電子放出特性評価方法は、上記課題を解決するために、上記評価出力ステップでは、上記図形の特定の位置に到達する電子の総量を求めて出力することを特徴としている。
【0039】
上記の発明によれば、図形の特定の位置に到達する電子の総量を求めて出力することにより、物体から放出された光電子が実際に必要となる特定の位置でどのような量になるかを知ることができる。従って、得られる特定の位置での電子量を、光電効果により電子を放出する製品に反映することが可能となり、開発期間のさらなる短縮が可能となる。
【0040】
さらに本発明の電子放出特性評価方法は、上記課題を解決するために、上記評価出力ステップでは、上記電子の流れを上記図形上にベクトルで表示したものを、上記物体の電子放出特性の評価結果とすることを特徴としている。
【0041】
上記の発明によれば、求めた電子の流れを図形上にベクトルで表示して、物体の電子放出特性の評価結果を出力するので、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが容易になり、それだけ最適な電子放出部の形状設計が容易になる。
【0042】
また、本発明のプログラムは、上記課題を解決するために、いずれかの上記電子放出特性評価方法をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0043】
上記の発明によれば、前述した電子放出特性評価方法をコンピュータに実行させるので、該評価方法はコンピュータで実現される汎用性の高いものとなる。
【0044】
また、本発明の記録媒体は、上記課題を解決するために、上記プログラムをコンピュータ読取可能に記録したことを特徴としている。
【0045】
上記の発明によれば、前述した電子放出特性評価方法を実現するプログラムを容易にコンピュータに提供することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1ないし図21に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0047】
本実施の形態では、光が照射された電子放出部から放出された光電子をトナーに導いてトナーを帯電させる現像装置を構成する上で、最適な形状および大きさの電子放出部を設計するための、電子放出部の電子放出特性の評価について説明する。
【0048】
図1に、本実施の形態に係る電子放出特性評価装置51の構成を示す。電子放出特性評価装置51は、コンピュータと、コンピュータに電子放出特性評価方法を実行させるソフトウェアとの組み合わせにより構成されており、入力部52、メッシュ設定部53、光源設定部54、材質設定部55、および評価出力部56を備えている。
【0049】
入力部(入力手段)52は、物体の形状を表す図形のデータの入力環境をユーザに提供する。図2にこの入力環境の一例を示す。同図は、入力環境として提供された画面を示す。この画面は、電子放出部の電極の形状を表す図形のデータを入力する入力画面である。例えば同図では、太線で示した部分が電子放出部61の電極の輪郭を表しており、該電極は、光が照射されると光電効果により光電子を放出する物体として描画されている。また、該電極の輪郭線と、該輪郭線に繋がる細線とで囲まれた領域65が、光電子の放出量および電子の流れを求めたい空間に対応している。この画面は通常のCAD画面と同様の操作により、電子放出部61の形状に関する図形データの生成入力を行うことが可能である。また、この入力画面で生成入力されるデータは、一般的に使用されるCADデータと互換性を有しており、他のCADソフトウェアで作成したCADデータを取り込むことにより、新たなデータ入力を省略することも可能である。
【0050】
同図に示す電子放出部61の電極はドリル孔加工を施したグリッドの断面図であり、特に開口部付近の形状を示している。電子放出部61を現像装置に用いる場合、トナーに供給される電子は電子放出部61から発生する光電子が大半であるので、電子放出部61の開口部の電子放出量を検証することにより、トナーへの電子供給量を把握することができる。
【0051】
この入力部52には、ハードウェアとしてCPU、メモリ、表示装置、キーボード、マウスといった通常のコンピュータハードウェアを用いることができ、特に、入力環境において図形のデータを描画しながら生成する場合には表示装置を入力環境の提供に用いる。
【0052】
メッシュ設定部(メッシュ設定手段)53は、入力部52により提供された入力画面を通してデータが入力された電子放出部61の形状を表す図形を、表示装置で視覚的に確認しながらメッシュに分割することができるように、線密度の設定入力を受け付けてメッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境をユーザに提供する。この線密度は解析の精度を表し、線密度を細かく設定することにより、物体の形状が細かく分割されるので、それだけ正確なデータが得られる。また逆に線密度を粗く設定すると物体形状が粗く分割されるので、処理は高速となる。以下では、所定の設定フォームよりX方向およびY方向の分割数を入力することにより、線密度の設定を行うものとする。
【0053】
また、メッシュ設定部53は、入力された線密度に基づき物体形状を細分化するいわゆるメッシャーを備えている。このメッシャーは、シミュレーションで広く用いられているものである。図3にメッシャーの設定画面を示す。図示されていない設定フォームにより、線密度が指定されると、そのX,Y方向に指定された線密度に基づき電子放出部61の形状を表すものとして入力された図形のうちの領域65が細分化される。シミュレーションにおいては、この細分化された部分毎に光電子の放出量や流れ方向が後述のデータテーブルに基づいて算出されるので、メッシャーにより、分割単位を細かくするほど正確な検証が可能となる。
【0054】
後述するが、シミュレーションを行うときには、メッシュ単位で構成される部分毎の現象、例えばメッシュ1つ毎の現象を求めることにより、図形全体における電子の流れを算出する。上記部分の大きさ(以後、「基本領域」と称する)をメッシュ何個分とするかは適宜設定可能である。電子放出部61の電極表面を含む基本領域では、放出される光電子量とその放出方向が算出される。また、光電子放出の無い基本領域では、その領域を通過する電子量および電子の流れ方向が算出される。このような各基本領域での光電子の放出や電子の流れの状態が、基本領域毎の現象である。
【0055】
メッシュ設定部53には、ハードウェアとしてメッシュ設定環境を提供するための表示装置を用い、その制御や入力操作には、CPU、メモリ、キーボード、マウスといった通常のコンピュータハードウェアを用いることができる。
【0056】
次に、光源設定部(光源設定手段)54は、電子放出部61の電極のような物体に光を照射する光源の状態についての設定を行うための光源設定環境をユーザに提供する。光源の状態は、物体への光照射条件を表す。図4は光源設定環境の一例として、光源に関する情報を、入力部52によって入力された図形上で入力する画面を示している。これによって、光源の図形上における状態を、表示装置で視覚的に確認しながら設定することができるようになっている。光源に関する情報のうち光源の仕様に関する情報として、光源の種類(例えば棒状光源、平面光源、点状光源のいずれであるかなどの光源情報)、および、光源の強度(明るさ)を入力するようになっている。また、光源に関する他の情報として、マウスやキーの操作を行うことにより、物体と光源との位置関係(距離)を入力するようになっている。
【0057】
この光源に関する情報により、光源と、電子放出部61の電極などの物体の各部に照射される光の角度と光量とが明確になるので、基本領域毎にデータテーブルを参照することにより、光電子の放出量および放出方向が算出可能となる。
【0058】
光源設定部54には、ハードウェアとして光源設定環境を提供するための表示装置を用い、その制御や入力操作には、CPU、メモリ、キーボード、マウスといった通常のコンピュータハードウェアを用いることができる。
【0059】
次に、材質設定部(材質設定手段)55は、入力部52によってデータが入力された図形の物体の材質もしくは表面材質、例えば図2の入力データでは電子放出部61の電極の材質、もしくは物体の表面がメッキなどで加工されていればその材質についての設定を行うための材質設定環境をユーザに提供する。この材質設定環境は、入力画面として提供されればよい。予め用意された材質もしくは表面材質の中から選択する方式で入力する。
【0060】
材質設定部55には、ハードウェアとして、CPU、メモリ、表示装置、キーボード、マウスといった通常のコンピュータハードウェアを用いることができる。
【0061】
次に、評価出力部(評価出力手段)56は、光源から電子放出部61の電極のような物体に光が照射されたときの、物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを求め、表示装置や印刷装置などの出力装置で出力する。帯電させたい物体に到達する電子は電子放出部61の電極で発生する光電子の他に、光電子の流れに伴って電離により発生する電子も存在し得るので、光電子の放出に伴う電子の流れには、光電子の流れと、光電子の流れに伴って発生する電子の流れとが含まれる。
【0062】
物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを求めるときには、基本データとなるデータテーブルを参照する。このデータテーブルは、物体の材質もしくは表面材質別に構成され、光源の光量、物体の光電面に対する光の入射角度、光源と光電面との距離といった光入射条件に対応した、物体の光電面からの光電子の放出量および放出角度といった光電子放出状態のデータをテーブル形式で有しており、記憶装置に格納されている。そして、評価出力部56は、入力部52によって入力された図形のデータと、メッシュ設定部53によって設定されたメッシュと、光源設定部54によって設定された光源の状態と、材質設定部55によって設定された上記材質または表面材質とに基づいて上記光入射条件を判定し、データテーブルから上記光電子放出状態を求める。
【0063】
表1に、データテーブルの一例を示す。このデータテーブルは、光源が紫外線を照射するものである場合に、紫外線の照射強度、紫外線が金からなる光電面に入射する角度、および、光源と物体の光電面との距離という光入射条件に対応する光電子放出状態のデータを有するデータテーブルである。光電子放出状態は、光電面からの光電子の放出角度および光電子放出量を示すが、光電子放出量については、光電面にバイアス電圧を印加しない状態での電界強度として求める。
【0064】
【表1】
【0065】
同表において、例えば、
(1)光電面に紫外線を照射する紫外線強度 : 2000μW/cm2
(2)光源から照射された紫外線が光電面に照射される入射角度 : 40°
(3)光源と光電面との距離 : 4mm
という光入射条件に対して、
(4)光電子の放出角度 : 147°
(5)光電子放出量 : 2.6×103 V/mm
という光電子放出状態が対応している。
【0066】
なお、評価出力部56は、データテーブルにない光入射条件に対応する光電子放出状態を、その光入射条件に近い複数の光入射条件に対応する光電子放出状態から算出することができるようになっている。また、実際の実験より求められた実験データも同様の構成で記憶することにより、実際のデータの抽出が容易に行える。この実験データの用い方については後述する。
【0067】
評価出力部56には、ハードウェアとして、CPU、メモリ、表示装置、印刷装置、キーボード、マウスといった通常のコンピュータハードウェアを用いることができる。
【0068】
次に、評価出力部56が、物体を表す図形全体における電子の流れを求める手順について、図5を用いて説明する。
【0069】
図5は、電子放出部61の電極を表す図形の領域65における電子の流れを示すものであり、矢印(ベクトル)の向きが電子の流れ方向(向き)を、矢印(ベクトル)の長さが電子量を示し、矢印が長いほど電子量が多いことを表している。また、同図では、四角a〜gをそれぞれメッシュ4個分からなる基本領域として図示してある。
【0070】
光電面上の各点からの光電子放出状態は、表1の紫外線強度、入射角度、光電面と光源との距離に基づいて算出され、光電面上のA点からK点までのそれぞれの光電子放出量と放出角度とが求められる。
【0071】
最初に光電面のA点、B点から誘起された光電子の流れに対しては、例えば四角aでベクトル和が行われ、その結果、四角aの現象として矢印▲1▼で示す電子の量および流れ方向が求められる。次に、光電面C点、D点、E点から誘起された光電子の流れと四角aで求められた電子の流れとに対しては、四角bで示す領域でベクトル和が行われ、四角bの現象として矢印▲2▼で示す電子の量および流れ方向とが求められる。四角cではF点からの光電子の流れと四角bからの光電子の流れとに基づいて、矢印▲3▼で示す電子の量および流れ方向が、四角cの現象として計算される。こうして、四角d、四角e、…における現象として矢印▲4▼、矢印▲5▼、…を順次求めていく。なお、上記例では便宜上、一部の基本領域だけを取り上げたが、電子の流れを求めたい図形全体の領域について上述のようにベクトル和を行って矢印を求めていく。
【0072】
以上の様に、各基本領域毎に、光電面の各点から誘起された光電子の量および流れ方向に基づいてベクトル和を行うことで、各基本領域における電子の量および流れ方向を算出することができる。ここで、四角a・b・c・…の互いの位置関係については上記例ではほぼ電子の流れの上流側から下流側へ向かう順とされていて、この順にベクトル和を求めることにより、電子の流れが求まる。
【0073】
評価出力部56は、こうして、基本領域毎の現象を求めることにより、領域65といった図形全体の電子の流れを求める。なお、電子の流れを求める図形の全体をどのような範囲とするかについては、ユーザの選択次第である。従って、電子の流れとしては、電子によって帯電させる点への光電子供給状態が分かるようなものだけでもよく、ユーザが知りたいところに合わせた結果が出ればよい。
【0074】
そして、評価出力部56は、このようにして求まった電子の流れを、図5で示すように、電極を表す図形に前記矢印(ベクトル)で表される図を合成し、これを電子放出特性の評価結果として出力装置で出力する。上記合成を出力装置で出力することにより、ユーザは電子放出部61の電極形状および大きさに対する電子の流れを視覚的に確認することができる。
【0075】
なお、上記説明では基本領域として、四角a〜gという複数のメッシュを1グループとする領域を挙げたが、これに限らず、最細分化された領域であるメッシュ1つずつを基本領域としてメッシュ毎に同様のベクトル和を行えば、細かく電子の流れを算出することができる。
【0076】
次に、上記の構成の電子放出特性評価装置51による電子放出特性評価方法の一連の処理を、図6および図7のフローチャートを用いて説明する。
【0077】
図6は、電子放出特性評価方法のうち、シミュレーションを行うための条件設定処理についてのフローチャートである。まずS1で、入力部52が、電子を放出する電子放出部61の断面形状について、CADなどの図面作成ソフトを用いた図形データの入力環境をユーザに提供し、入力を受け付ける。既に電子放出部61の断面形状が入力されている場合には、入力部52はその断面形状のデータを読み込む。次にS2で、メッシュ設定部53が、シミュレーションを行う場合の線密度の大きさを入力するメッシュ設定環境をユーザに提供し、入力を受け付ける。次にS3では、メッシュ設定部53が、S2で入力された線密度に基づき物体形状を細分化(メッシャー)する。
【0078】
次に光源設定部54が光源設定環境をユーザに提供し、S4では光源の種類、および物体と光源との位置関係、S5では光源の強度といったように、S1で入力された物体の形状、および、S3でメッシュに分割された物体の形状の位置に基づいた、ユーザによる上記項目の入力(例えば光源の強度は数値入力)を受け付ける。次にS6では、材質設定部55が材質設定環境をユーザに提供し、ユーザが、S1で入力された物体の材質、および、その材質にメッキなどの表面加工が施されている場合には表面のメッキの材質などを入力すると、これを受け付ける。このS6での入力は、評価出力部56がどのデータテーブルを選択するかの判断基準となるステップである。S1からS6までのステップにより、電子放出部61から光電子の放出に伴う電子の流れのシミュレーションを行うに当たり、必須の条件入力が完了したこととなり、これらの入力条件に基づいてシミュレーションが実行される。
【0079】
次に、図7は、電子放出特性評価方法のうち、評価出力部56により電子の流れを求める処理に対応したフローチャートである。
【0080】
S11では、前述のS5で入力された電子放出部61の材質を判別し、S12で、判別した材質に適合するデータテーブルを決定する。データテーブルの決定は前述のS6の結果により複数の中から選択することによって行うようになっているが、選択方法としては、S6で入力された電子放出部61の材質を入力した時点で自動選別する構成であってもよいし、ユーザによる手動選択の入力環境を提供するようになっていてもよい。次に、決定したデータテーブルを参照してデータを抽出する処理を開始するが、まずS13で、図6の処理で入力された条件に対応する実験データの有無を確認する。実際の実験により得られたデータが存在する場合にはS14で実際の実験データを抽出し、実験データの存在しない場合にはS15でデータテーブルを参照する。そして、前述した図5の処理に移行する。なお、S13〜S15においては、部分的であっても実験データが存在する部分については実際の実験データを用い、実験データが存在しない部分に関してはデータテーブルを用いるようにしてもよく、これにより、さらに現実に近いシミュレーションが可能となる。
【0081】
本実施の形態に係る電子放出特性評価装置51およびその電子放出特性評価方法によれば、ユーザは条件の入力から評価結果の出力を得るまで、特に図形をメッシュに分割するにも、光源の状態を設定するにも、物体の形状を表す図形全体を意識するだけでよい。ユーザは、自分が考えた構成の電子放出部全体の形状について、光電効果によりどのような電子の流れが期待できるかを早く知りたいので、電子放出特性の評価を行う上で、条件の入力から評価結果の出力を得るまで、図形全体を意識しさえすればよいことは非常に好ましい。
【0082】
従って、光電効果により電子を放出する電子放出部に様々な形状や大きさのものが考えられても、電子放出部を試作することなくその電子放出特性を評価することができ、開発に費用も時間もかからない。この結果、光照射された物体の電子放出特性を費用を抑制して短時間で知ることができる。
【0083】
また、電子放出部から放出された電子は外部の電界などの作用により流動する。このような場合、物体形状の一部にでも最適でない部分があれば、電子の流れを阻害することが考えられる。また、適切でない部分では光を受光しているにも係わらず、電子の発生率が著しく良くない場合が考えられる。
【0084】
そこで、電子放出特性評価装置51において、評価出力部56が、求めた電子の流れを、例えば各基本領域に対して求めた矢印(ベクトル)をそのまま図示するといったように、基本領域毎の現象を視覚的に確認することができるように図形に合成するとよい。このようにすると、基本領域毎の現象を視覚的に確認することができるので、小さな領域単位で電子放出特性の評価結果を得ることができる。従って、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが可能となり、最適な電子放出特性を有する電子放出部の形状設計が可能となる。
【0085】
また、評価出力部56が、図形の特定の位置に到達する電子の総量を求めて出力するようにすれば、物体から放出された光電子が実際に必要となる特定の位置でどのような量になるかを知ることができる。従って、得られる特定の位置での電子量を、光電効果により電子を放出する製品に反映することが可能となり、開発期間のさらなる短縮が可能となる。
【0086】
また、評価出力部56は、求めた電子の流れを図形上にベクトルで表示したものを、物体の電子放出特性の評価結果とするので、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが容易になりそれだけ最適な電子放出部の形状設計が容易になる。
【0087】
また、本実施の形態では、以上に述べた電子放出特性評価方法は、コンピュータに実行させるためのプログラムで実現することができる。これによれば、前記の電子放出特性評価方法をコンピュータが実行することができるので、該電子放出特性評価方法をコンピュータで実現される汎用的なものとすることができる。また、このプログラムを記録媒体にコンピュータ読み取り可能に記録することもできる。これによれば、上記プログラムを容易にコンピュータに提供することができる。
【0088】
なお、本実施の形態では、この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理が行われるために図示していないメモリ、例えばROMのようなものそのものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであっても良い。
【0089】
いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であっても良いし、あるいは、いずれの場合もプログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0090】
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically
Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であっても良い。
【0091】
また、本実施の形態においては、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であることから、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であっても良い。なお、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。
【0092】
上記記録媒体がコンピュータシステムに備えられるプログラム読み取り装置により読み取られることで、上述した電子放出特性評価方法が実行される。
【0093】
コンピュータシステムは前述したような構成であるが、さらに、ネットワークを介してサーバーなどに接続するための通信手段としてのモデムなどが備えられていてもよい。
【0094】
次に、以上のようにして電子放出特性を評価した結果に基いて作製した現像装置の実施例を、以下に述べる。
【0095】
〔実施例1〕
実施例1について図8および図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。まず、実施例1に係る現像装置の概略構成を、図8を参照して説明する。
【0096】
現像装置10は、図8に示すように、感光体ドラム2と対向するように配置され、該感光体ドラム2の表面に形成される静電潜像を、現像剤として例えば1成分系の非磁性よりなるトナー(現像剤)を用いて現像する。現像装置10は、トナーを収容する容器状の現像槽11、供給ローラ(現像剤供給手段)12、現像ローラ(現像剤担持体)13、およびトナー規制ブレード(層厚規制ブレード)14を備えた構成となっている。
【0097】
供給ローラ12は、現像装置10内に配置されており、現像ローラ13と互いの外周面同士が対面するように回転可能に連設され、現像槽11内のトナーを現像ローラ13の外周面に供給する。
【0098】
現像ローラ13は、現像装置10内に感光体ドラム(潜像保持体)2と対向する箇所にて回転可能に配置されており、供給ローラ12により供給されたトナーを感光体ドラム2に向けて担持搬送する。
【0099】
トナー規制ブレード14は、現像ローラ13の回転方向に対し、供給ローラ12の下流側、かつ感光体ドラム2の上流側にて現像ローラ13と接触して配置され、現像ローラ13表面に形成されるトナー層を層厚規制する。
【0100】
さらに、現像装置10は、感光体ドラム2に供給されるトナーを所定の電荷量に帯電させるためのトナー帯電手段(現像剤帯電手段)として、トナー規制ブレード14の一部に具備された電子放出部15と、該電子放出部15に対して紫外線を照射する紫外線照射器(光源、光照射手段)16とを備えている。このトナー帯電手段の詳細については後述する。
【0101】
ここで、上記現像装置10を備えた電子写真装置におけるプロセス部を簡単に説明する。
【0102】
上記プロセス部は、図8に示すように、主に感光体ドラム2、帯電ローラ3、露光手段(図示せず)、現像装置10、転写用放電ローラ4、クリーニング手段(図示せず)、除電手段(図示せず)、定着ローラ5からなる。また、図8中において、Pは記録用紙、Lは上記露光手段から照射されて感光体ドラム2表面に静電潜像を書き込む光ビームを示している。
【0103】
感光体ドラム2は、所定方向(図8に示す矢印A方向)に回転しており、まず、その外周表面が帯電ローラ3によって均一帯電される。均一帯電された感光体ドラム2の表面には、露光手段により画像データに応じて制御される光ビームLが照射され、静電潜像が形成される。
【0104】
感光体ドラム2上に形成された上記静電潜像は、感光体ドラム2の回転によって、現像装置10と対向する位置まで移動し、該現像装置10によってトナーを供給されて可視化される(感光体ドラム2上にトナー像が形成される)。このとき、現像装置10の現像ローラ13は、感光体ドラム2に供給するトナーを担持搬送するために所定方向(図8に示す矢印B方向)に回転している。
【0105】
尚、実施例1では、感光体ドラム2は、有機光半導体で構成されており、−700V(帯電ローラ3による帯電量)に帯電して、周速度が50mm/sでA方向に回転している。現像ローラ13は、円筒状の導電性ゴム弾性材料で構成されており、−400Vの現像バイアスが印加されて感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。供給ローラ12は、円筒状の発泡性ゴム弾性材料で構成されており、感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。
【0106】
転写用放電ローラ4は、感光体ドラム2上に現像によって形成されたトナー像を用紙Pに転写する。感光体ドラム2の回転方向における転写用放電ローラ4の下流側には、さらにクリーニング手段および除電手段が配置され、該クリーニング手段は転写後の感光体ドラム2表面の残留トナーを除去し、該除電手段は感光体ドラム2表面を除電する。
【0107】
トナー像が転写された後の用紙Pは定着ローラ5に搬送され、該用紙Pが上下一対の定着ローラ5の間を通過する際に加熱および加圧を受け、トナー像が用紙P上に定着される。
【0108】
次に、現像装置10における現像の詳細過程を説明する。
【0109】
現像装置10では、上述したように、供給ローラ12より現像ローラ13表面にトナーを順次供給して、現像ローラ13がトナーを保持した状態で回転運動する。これにより、現像ローラ13によって搬送されるトナーが現像ローラ13とトナー規制ブレード14の接触領域Wsとの間に案内され、現像ローラ13上のトナーの層厚が規制される。尚、接触領域Wsは、トナー規制ブレード14の先端に設けられている。
【0110】
トナー規制ブレード14によって現像ローラ13上に層厚規制されたトナーは、トナー帯電手段を構成する電子放出部15および紫外線照射器16によって、電荷を与えられ、現像に必要な帯電量まで帯電される。すなわち、トナー規制ブレード14に形成された電子放出部15に対して紫外線照射器16から紫外線を照射することによって、光電効果によって電子放出部15から光電子が誘起される。この光電子は現像ローラ13上のトナーに向けて放出され、トナーが所望の帯電量に帯電する。尚、上記紫外線照射器16の発光は、現像ローラ13の回転と同期させれば、電力消費の増加につながる不必要な発光を抑制でき好ましい。また、図示はしていないが、電子放出部15と紫外線照射器16との間は、トナーが入り込んで光照射の障害とならないようにシールされることが好ましい。
【0111】
上記構成のトナー帯電手段において、電子放出部15は、トナー規制ブレード14上の接触領域Wsとは別の位置に形成されており、電子放出部15は現像ローラ13上のトナーとは非接触となっているため、トナーに対して無負荷の状態で帯電を行うことができる。このため、現像装置10では、トナー規制ブレード14は、現像ローラ13に対して少なくともトナーの層厚規制に必要な程度の力にて圧接されていればよく、トナー規制ブレード14によるトナーへの加圧力および熱的負荷を大幅に低減することができる。
【0112】
また、電子放出部15の形成領域は、現像ローラ13とは完全に非接触であるため、その表面粗さがトナーの層形成に及ぼすことはなく、該電子放出部15の表面粗さが設計上の制約を受けることはない。
【0113】
上記トナー帯電手段によって所定の帯電量まで帯電されたトナーは、さらに現像ローラ13の回転によって感光体ドラム2との対向部まで送られ、感光体ドラム2の表面上の静電潜像に対して、静電的に供給され、該静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。
【0114】
続いて、上記トナー規制ブレード14の具体的構成を、図9(a)および(b)を参照して説明する。
【0115】
トナー規制ブレード14は、例えば、基材としてSUSの金属(すなわち、導電性基材)を使用しており、電子放出部15が形成される領域では、図9(a)および(b)に示すように、エッチング加工等により複数の開口部151が設けられている。さらに、電子放出部15が形成される領域には、光電面152として薄膜のアルミニウムが例えば蒸着によって積層されている。
【0116】
図9(a)の記載では、上記開口部151は、円形状の小径穴が多数形成された構成となっているが、本実施例においては開口部151の形状は特に限定されるものではなく、四角や三角の形状であってもよく、また、スリット形状の開口部であってもよい。
【0117】
また、光電面152を形成する材料は、上述のようなアルミニウムに限定されるものではなく、光の照射を受けたときに光電効果が生じるものであれば、この他にTa等の金属、Mg−Ag等の合金、半導体、導電ポリマーなどであってもよい。また、上記光電面152は、トナー規制ブレード14において、必ずしも図9(b)に示すように両面に形成されている必要はなく、少なくとも紫外線照射器16との対向面側に形成されていればよい。
【0118】
さらに、上記電子放出部15に照射される光は、上述のような紫外線に限定されるものではなく、光電面152を形成する材料に対して光電効果を起こしうる波長を有するものであれば、可視光線やX線等であってもよい。
【0119】
上記構成のトナー規制ブレード14において、電子放出部15の光電面152に紫外線が照射されると、該光電面152にて光電効果による光電子が誘起される。この光電子は、主に、紫外線の照射面側、すなわち、紫外線照射器16との対向面側において発生するものであるが、発生した光電子の一部は、電子放出部15の開口部151を通って現像ローラ13との対向面側からトナーに向けて放射され、トナーの帯電に寄与する。
【0120】
また、電子放出部15において、該電子放出部15が電気的にフロートの状態であれば、電子放出部15の光電面152が光電子を放出しつづけることができないことは容易に理解できる。このような場合、電子放出部15は、光電面152から放出した分の電子を外部から供給可能な構成とすればよい。ここで、上記電子放出部15は、SUSからなるトナー規制ブレード14の基材上に光電面152としてアルミニウム薄膜を蒸着した構成であるため、トナー規制ブレード14の基材を接地することにより上記構成は容易に実現できる。トナー規制ブレード14上の接触領域Wsと現像ローラ13との間にはトナーが介在するので、聾者の間に電圧を印加することができる。
【0121】
このように、実施例1に係る現像装置10は、トナー規制ブレード14の圧接力を従来の摩擦帯電方式を用いた現像装置に比べ大幅に低減することができる。これにより、トナー規制ブレード14によるトナーへの加圧力および熱的負荷が大幅に低減され、トナー破壊やトナー規制ブレード14へのトナー融着といった不具合を回避できる。
【0122】
〔実施例2〕
実施例2について図10ないし図14に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0123】
上記実施例1に係る現像装置10では、光電効果によって光電面152から誘起された光電子は、電子放出部15の開口部151を通って現像ローラ13との対向面側からトナーに向けて放射される。しかしながら、上記構成において、トナー規制ブレード14の光照射面側で発生する光電子は、開口部151を通過するとは限らず、該開口部151を通過しない光電子が存在する場合は、通過しない光電子がトナーの帯電には寄与しないことがある。
【0124】
実施例2では、現像装置においてトナー帯電効率を向上させることのできる好適例を説明する。
【0125】
実施例2に係る現像装置10’は、図10に示すように、現像装置10の構成においてトナー規制ブレード14をトナー規制ブレード14’に代えると共に、該トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加する構成となっている。このため、トナー規制ブレード14’はバイアス印加手段19と接続されている。このバイアス印加手段19は、トナー規制ブレード14’の基材に接続する構成とすることができる。また、現像ローラ13側のバイアス印加手段20は、感光体ドラム2と現像ローラ13との間で現像バイアスを印加するためのバイアス印加手段をそのまま兼用することができる。現像装置10’においてその他の構成は現像装置10と同じである。
【0126】
トナー規制ブレード14’の具体的構成を、図11(a)および(b)を参照して説明する。
【0127】
トナー規制ブレード14’は、トナー規制ブレード14とほぼ同様の構成であるが、図11(b)に示すように、現像ローラ13との接触領域Wsにおいて絶縁層17および金属層18が設けられている点が異なっている。尚、トナー規制ブレード14’上に形成される電子放出部15の構成は、トナー規制ブレード14と同様の構成である。
【0128】
現像装置10’では、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加するため、トナー規制ブレード14の導電性基材と現像ローラ13とが直接接触する構成であれば、トナー規制ブレード14と現像ローラ13との間が導通してしまい上述のような電気的バイアスを印加することができない。
【0129】
すなわち、絶縁層17は、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’の基材との間を絶縁するために設けられるものであり、例えば、上記基材の上に厚さ80μmのフッ素樹脂層として形成される。
【0130】
また、金属層18は、現像ローラ13の表面において均一なトナー層が形成されるように、現像ローラ13との接触面において適切な硬度や表面粗さを提供するものである。金属層18としては、例えば、厚さ20μmのSUSの金属層が積層される。
【0131】
尚、現像ローラとトナー規制ブレードとの間を絶縁する構成としては、上述のようにトナー規制ブレード側に絶縁層を設ける構成に限定されるものではなく、導電性基材からなる現像ローラの外周層に、例えばゴム等の絶縁層を設ける構成であってもよい。
【0132】
上記構成の現像装置10’では、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加することにより、以下の2つの作用によって帯電効果を向上させることができる。
【0133】
まず、第1の作用として、上記電気的バイアスを印加することで、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電界が発生する。このとき、トナー規制ブレード14’の電子放出部15における開口部151付近では図12に示すような電気力線(図中、破線にて示す)が発生する。
【0134】
このため、電子放出部15の光電面152において、開口部151付近で発生した光電子は、上記電気力線に沿って移動し、開口部151を通過して現像ローラ13側に引き寄せられる。すなわち、発生した光電子をトナーの帯電に効率的に使用できる。
【0135】
次に、第2の作用として、現像ローラ13側に引き寄せられた光電子は、上記電界の作用によって加速される。そして加速された電子が、気体分子に衝突すると、該気体分子が電子を放出してイオン化する。このとき、気体分子より放出された電子も同様の作用を生じるため、気体中の電子が急激に増加する、いわゆる電子なだれの現象が発生する。この電子なだれによって生じた電子もトナーの帯電に寄与するため、帯電効率が大幅に向上する。
【0136】
ここで、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’間の電気的バイアスは、電界強度が0.5〜2.5×106(V/m)となる範囲で印加されている。
【0137】
このときの、所望の帯電量(−2.0×10−2 μC/kgとする)が得られるときの電界強度とプロセス速度の関係を図13に示す。図13から明らかなように、上記電気的バイアスの電界強度を上げることによって所望の帯電量が得られるプロセス速度も向上しており、上記範囲の電気的バイアスを印加する場合、プロセス速度50mm/s〜200mm/s相当までトナー帯電が可能となる。
【0138】
実施例2に係る現像装置10’の構成において、トナー規制ブレード14’による加圧力と、トナーの帯電特性との関係を図14に示す。このとき、電子放出部15における開口部151のパターン条件は、開口率が40%、開口部151の穴形がφ200μmとなっている。紫外線照射器16は、波長254nmの紫外光を照射している。尚、上記開口率とは、電子放出部15の形成領域の面積に対する開口部151の面積の比率を示す。さらに、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’間には5×10−6V/mの電気的バイアスが印加されている。
【0139】
図14より、従来の摩擦帯電方式では、トナーの所望の帯電量を得るためには、約196kPaの加圧力が必要であることが分かる。これに対し、本実施例の帯電方式では、従来の摩擦帯電方式に必要な加圧力の1/4、すなわち約49kPaの加圧力で所望の帯電量が得られている。
【0140】
〔実施例3〕
実施例3について図15に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0141】
実施例1および2では、トナー規制ブレード14またはトナー規制ブレード14’の電子放出部15において、開口部151のブレード断面における形状(図9(b)参照)が直方形状となっている。すなわち、実施例1および2における電子放出部15の開口部151では、光照射面側の開口面積と、現像ローラ13との対向面側の開口面積とが等しくなっている。
【0142】
これに対し、実施例3に係るトナー規制ブレードは、電子放出部における開口部の形状を、光照射面側の開口面積を、現像ローラ13との対向面側の開口面積より大きくすることで、電子放出部15における受光領域の面積を拡大し、光電子の発生量の増加を図っている。
【0143】
本実施例3における上記トナー規制ブレードの一例を図15(a)および(b)に示す。
【0144】
図15(a)および(b)に示すトナー規制ブレード21は、例えば、基材としてSUSの金属(すなわち、導電性基材)を使用しており、その一部に電子放出部22が形成されている。電子放出部22では、複数の開口部221が設けられており、さらに、光電面222として薄膜のアルミニウムが例えば蒸着によって積層されている。
【0145】
ここで、上記開口部221は、光照射面側の開口直径φ1と、現像ローラ13との対向面側の開口直径φ2とがφ1>φ2となるようなすり鉢形状となっている。尚、上記形状の開口部221をトナー規制ブレード21に形成することは、例えば片面エッチングによって容易に形成可能である(尚、図9に示すようなストレート穴は両面エッチングを行った場合に得られる)。また、上記光電面222は、電子放出部22において、少なくとも光照射面側と開口部221の内面とに形成されていればよい。
【0146】
電子放出部22をこのような形状とした場合、電子放出部22へ照射された光は、光電面222と開口部221の内面とによって受光される。このため、電子放出部22における受光領域の面積を拡大でき、光電子の発生量を増加させてトナー帯電の安定化を図ることができる。
【0147】
但し、上記開口部221は、(光照射面側の開口面積)>(現像ローラ13との対向面側の開口面積)の関係を満たしていれば、その形状は特に限定されるものではないことは、実施例1および2における電子放出部15の場合と何ら変わりはない。
【0148】
上記トナー規制ブレード21は、実施例1に係る現像装置10のように、トナー規制ブレード21と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加しない構成であってもよい。しかしながら、実施例2に係る現像装置10’のように、現像ローラ13との接触領域Wsに絶縁層を設け、トナー規制ブレード21と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加する構成に対応させることが好適である。
【0149】
〔実施例4〕
実施例4について図16および図17に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0150】
上記実施例1ないし4に係る現像装置は、トナー帯電手段における電子放出部をトナー規制ブレードの一部に設けた構成である。このような構成では、上記電子放出部における光電膜を形成するための部材を新たに設ける必要がなく、現像装置の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0151】
一方で、上記構成の現像装置では、トナー帯電手段によって帯電が施されるトナーは、現像ローラ13上に層厚規制された後のトナーである。このため、現像ローラ13上に層形成されているトナーのうち、外周部側におけるトナーはトナー帯電手段から放出される電子を多く受け取りその帯電量は多くなるが、内周部側のトナーの帯電量は小さくなる。すなわち、最終的なトナー帯電の均一性が低くなる。
【0152】
これに対し、本実施例4に係る現像装置は、トナー帯電手段の位置を実施例1ないし4に係る現像装置と異ならせることにより、トナー帯電の均一性を高める上で好適な構成を示すものである。
【0153】
本実施例4に係る現像装置30は、図16に示すように、感光体ドラム2と対向するように配置され、該感光体ドラム2の表面に形成される静電潜像を、現像剤として例えば1成分系の非磁性よりなるトナーを用いて現像する。現像装置30は、ホッパー31、現像槽32、および帯電槽33を備えている。
【0154】
ホッパー31は、現像装置30の最上流に位置する槽であり、未帯電のトナーを貯蔵している。現像槽32は、感光体ドラム2に供給されるトナーを収容する槽であり、供給ローラ34、現像ローラ35、およびトナー規制ブレード36を備えた構成となっている。
【0155】
供給ローラ34および現像ローラ35は、互いの外周面同士が対面するようにそれぞれ回転可能に連設されている。そして、供給ローラ34は現像槽32内のトナーを現像ローラ35の外周面に供給し、現像ローラ35は供給ローラ34により供給されたトナーを感光体ドラム2に向けて担持搬送する。トナー規制ブレード36は、現像ローラ35の回転方向に対し、供給ローラ34の下流側、かつ感光体ドラム2の上流側にて現像ローラ35と接触して配置され、現像ローラ35表面に形成されるトナー層を層厚規制する。
【0156】
帯電槽33は、ホッパー31の下流、かつ現像槽32の上流に配置されており、ホッパー31から現像槽32に向けて補給されるトナーに対してトナー帯電を施す槽である。すなわち、ホッパー31は、現像槽32においてトナー無しが検出された場合、トナー補給ローラ37を回転させ、現像槽32に向けてトナー補給を行う。このとき、ホッパー31から現像槽32へ補給されるトナーは、必ず帯電槽33を通過し、該帯電槽33にてトナー帯電が行われる。
【0157】
このため、帯電槽33は、光の照射を受けることにより自らの電子を誘起させてその電子を放出するトナー帯電ローラ(帯電部材)38と、該トナー帯電ローラ38に紫外線を照射する冷陰極ガラスランプ39からなるトナー帯電手段をその内部に有している。上記トナー帯電手段の詳細については後述する。
【0158】
ここで、上記現像装置30を備えた電子写真装置におけるプロセス部を簡単に説明する。
【0159】
上記プロセス部は、図16に示すように、主に感光体ドラム2、帯電ローラ3、露光手段(図示せず)、現像装置30、転写用放電ローラ4、クリーニング手段(図示せず)、除電手段(図示せず)、定着ローラ5からなる。また、図16中において、Pは記録用紙、Lは上記露光手段から照射されて感光体ドラム2表面に静電潜像を書き込む光ビームを示している。
【0160】
感光体ドラム2は、所定方向(図16に示す矢印A方向)に回転しており、まず、その外周表面が帯電ローラ3によって均一帯電される。均一帯電された感光体ドラム2の表面には、露光手段により画像データに応じて制御される光ビームLが照射され、静電潜像が形成される。
【0161】
感光体ドラム2上に形成された上記静電潜像は、感光体ドラム2の回転によって、現像装置30と対向する位置まで移動し、該現像装置30によってトナーを供給されて可視化される(感光体ドラム2上にトナー像が形成される)。このとき、現像装置30の現像ローラ35は、感光体ドラム2に供給するトナーを担持搬送するために所定方向(図16に示す矢印B方向)に回転している。
【0162】
尚、本実施例4では、感光体ドラム2は、有機光半導体で構成されており、−700V(帯電ローラ3による帯電量)に帯電して、周速度が50mm/sでA方向に回転している。現像ローラ35は、円筒状の導電性ゴム弾性材料で構成されており、−400Vの現像バイアスが印加されて感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。供給ローラ34は、円筒状の発泡性ゴム弾性材料で構成されており、感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。
【0163】
転写用放電ローラ4は、感光体ドラム2上に現像によって形成されたトナー像を用紙Pに転写する。感光体ドラム2の回転方向における転写用放電ローラ4の下流側には、さらにクリーニング手段および除電手段が配置され、該クリーニング手段は転写後の感光体ドラム2表面の残留トナーを除去し、該除電手段は感光体ドラム2表面を除電する。
【0164】
トナー像が転写された後の用紙Pは定着ローラ5に搬送され、該用紙Pが上下一対の定着ローラ5の間を通過する際に加熱および加圧を受け、トナー像が用紙P上に定着される。
【0165】
次に、現像装置30における現像の詳細過程を説明する。
【0166】
上記現像槽32でトナー無しが検出された場合、ホッパー31内部に設置されているトナー補給ローラ37が回転され、未帯電トナーがホッパー31から帯電槽33内へ送り込まれる。トナー補給ローラ37には、例えば発砲ウレタンローラが用いられる。
【0167】
帯電槽33では、トナー帯電手段を構成するトナー帯電ローラ38および冷陰極ガラスランプ39によって、電荷を与えられ、現像に必要な帯電量まで帯電される。すなわち、トナー帯電ローラ38に形成された電子放出部に対して冷陰極ガラスランプ39から光を照射することによって、光電効果によって上記電子放出部から光電子が誘起される。この光電子は帯電槽33内を通過するトナーに向けて放出され、該トナーが所望の帯電量まで帯電される。尚、上記冷陰極ガラスランプ39の発光は、トナー補給ローラ37の回転と同期させれば、電力消費の増加につながる不必要な発光を抑制でき好ましい。
【0168】
上記構成の帯電槽33において、トナー帯電ローラ38および冷陰極ガラスランプ39からなるトナー帯電手段は、該帯電槽33を通過するトナーに対して光電効果によって発生する光電子を放出して、その光電子をトナーに降り注ぐことによってトナー帯電を行っている。このため、トナー帯電手段に対し非接触の状態で帯電槽33を通過するトナーに対しても帯電を行うことができる。すなわち、トナーに対して無負荷で帯電を行うことができる。
【0169】
また、上記トナー帯電手段は現像ローラ13とは完全に非接触であり、該トナー帯電手段における電子放出部の表面粗さがトナーの層形成に及ぼすことはない。したがって、上記トナー帯電手段は、トナーに対して無負荷で帯電を行うことができると共に、電子放出部の表面粗さが設計上の制約を受けることはない。
【0170】
帯電槽33の上記トナー帯電手段によって所定の帯電量まで帯電されたトナーは、現像槽32へ送られる。現像槽32では、上述したように、供給ローラ34より現像ローラ35表面にトナーを順次供給して、現像ローラ35がトナーを保持した状態で回転運動する。これにより、現像ローラ35によって搬送されるトナーが現像ローラ35とトナー規制ブレード36の接触領域との間に案内され、現像ローラ35上のトナーの層厚が規制される。
【0171】
このとき、現像ローラ35とトナー規制ブレード36の接触領域との間に案内されるトナーは、帯電槽33において既に帯電状態とされているため、トナー規制ブレード36は、現像ローラ35に対して少なくともトナーの層厚規制に必要な程度の力にて圧接されていればよく、トナー規制ブレード35によるトナーへの加圧力および熱的負荷を大幅に低減することができる。
【0172】
現像ローラ35に層形成されたトナーは、さらに現像ローラ35の回転によって感光体ドラム2との対向部まで送られ、感光体ドラム2の表面上の静電潜像に対して、静電的に供給され、該静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。
【0173】
続いて、上記帯電槽33内に備えられるトナー帯電手段の具体的構成を、図17(a)ないし(c)を参照して説明する。
【0174】
上記トナー帯電手段は、図17(a)に示すように、帯電槽33内に備えられており、円筒形状のトナー帯電ローラ38の内部に冷陰極ガラスランプ39を配置した構成となっている。尚、トナー帯電ローラの形状は円筒形状に限定されるものでなく角筒形状などであってもよい。
【0175】
トナー帯電ローラ38は、例えば、基材としてSUSの金属円筒(すなわち、導電性基材)を使用しており、電子放出部が形成される領域では、図17(b)および(c)に示すように、エッチング加工等により複数の開口部381が設けられている。さらに、電子放出部が形成される領域には、光電面382として薄膜のアルミニウムが例えば蒸着によって積層されている。
【0176】
尚、本実施例4では、上記電子放出部は、トナー帯電ローラ38の円筒側面の全面にて形成されているものとして説明を行うが、トナー帯電ローラ38の一部の領域に形成されるものであってもよい。例えば、後述の実施例7で説明するようなバイアス印加手段と組み合わせる場合には、該バイアスの印加領域(電極板との対向領域)にのみ電子放出部を形成する構成であってもよい。
【0177】
また、図17(b)の記載では、上記開口部381は、円形状の小径穴が多数形成された構成となっているが、本実施例においては開口部381の形状は特に限定されるものではなく、四角や三角の形状であってもよく、また、スリット形状の開口部であってもよい。
【0178】
また、光電面382を形成する材料は、上述のようなアルミニウムに限定されるものではなく、光の照射を受けたときに光電効果が生じるものであれば、この他にTa等の金属、Mg−Ag等の合金、半導体、導電ポリマーなどであってもよい。また、上記光電面382は、トナー帯電ローラ38において、必ずしも図17(c)に示すように両面に形成されている必要はなく、少なくとも冷陰極ガラスランプ39との対向面側(すなわち、トナー帯電ローラ38の内周面側)に形成されていればよい。
【0179】
さらに、トナー帯電ローラ38の上記電子放出部に照射される光は、光電面382を形成する材料に対して光電効果を起こしうる波長を有するものであれば、可視光線、紫外線、X線等を使用可能である。
【0180】
上記構成のトナー帯電手段によってトナー帯電を行う場合は、冷陰極ガラスランプ39を発光させることにより、トナー帯電ローラ38に形成された電子放出部に対し、該トナー帯電ローラ38の内面側から光を照射する。これにより、トナー帯電ローラ38の電子放出部において光電効果による光電子が誘起される。こうして発生した光電子の一部は、電子放出部の開口部381を通ってトナー帯電ローラ38の外周面より放射され、トナーの帯電に寄与する。
【0181】
また、電子放出部において、該電子放出部が電気的にフロートの状態であれば、電子放出部の光電面382が光電子を放出しつづけることができないことは容易に理解できる。このため、電子放出部は、光電面382から放出した分の電子を外部から供給可能な構成とする必要がある。ここで、上記電子放出部は、SUSからなるトナー帯電ローラ38の基材上に光電面382としてアルミニウム薄膜を蒸着した構成であるため、トナー帯電ローラ38の基材を接地することにより上記構成は容易に実現できる。
【0182】
本実施例4に係る現像装置30の構成において、トナー規制ブレード36による加圧力と、トナーの帯電特性との関係は、実施例2の図14に示される関係とほぼ同様となる。このとき、電子放出部における開口部381のパターン条件は、開口率が40%、開口部381の穴形がφ200μmとなっている。また、冷陰極ガラスランプ39は、波長254nmの紫外光を照射している。但し、この場合、トナー帯電ローラ38と電極板42(図20参照)との間には、後述の実施例6の構成によって5×10−6V/mの電気的バイアスが印加されているものとする。
【0183】
図14より、従来の摩擦帯電方式では、トナーの所望の帯電量(−2.0×10−2μC/kg)を得るためには、約196kPaの加圧力が必要であることが分かる。これに対し、本実施例の帯電方式では、従来の摩擦帯電方式に必要な加圧力の1/4、すなわち約49kPaの加圧力で所望の帯電量が得られている。
【0184】
このように、本実施例4に係る現像装置30は、トナー規制ブレード36の圧接力を従来の摩擦帯電方式を用いた現像装置に比べ大幅に低減することができる。これにより、トナー規制ブレード36によるトナーへの加圧力および熱的負荷が大幅に低減され、トナー破壊やトナー規制ブレード36へのトナー融着といった不具合を回避できる。
【0185】
尚、現像装置30では、上記トナー帯電手段がホッパー31と現像槽32との間に具備される帯電槽33内に配置されているが、該トナー帯電手段の配置箇所はこれに限定されるものではない。すなわち、上記トナー帯電手段は、現像ローラ35上に層形成される前の状態のトナーに対して帯電を行えるものであれば、その配置箇所は現像装置30内の任意の箇所であってもよい。具体的には、上記トナー帯電手段は、供給ローラ34の上流側に配置されていれば、現像ローラ35上に層形成される前の状態のトナーに対して帯電を行える。
【0186】
このように、上記トナー帯電手段によって帯電されたトナーが現像ローラ35上に層形成される前のものであれば、その後の層形成に至る過程において、トナーに攪拌作用が生じ、現像ローラ35上でのトナー帯電量は均一化される
また、本実施例4に係る現像装置30では、上記トナー帯電手段は、ホッパー31と現像槽32との間に具備される帯電槽33内に配置されている。このような構成では、現像装置内で浮遊落下する状態のトナーに対して帯電を行うこととなる。
【0187】
このような場合、上記トナー帯電手段によって帯電されるトナーは比較的散乱状態にある(凝集度が低い)ため、該トナー帯電手段は、落下するトナーに対し比較的均一に帯電を行うことができ、最終的なトナー帯電量の均一性がより向上する。
【0188】
〔実施例5〕
実施例5について図18および図19に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0189】
本実施例5に係る現像装置は、実施例5で説明したトナー帯電ローラ38に代えて、図18(a)ないし(c)に示すようなトナー帯電ローラ40を用いた構成である。すなわち、上記トナー帯電手段は、図18(a)に示すように、円筒形状のトナー帯電ローラ40の内部に冷陰極ガラスランプ39を配置した構成となっている。
【0190】
トナー帯電ローラ40は、図18(b)に示すように、基材として例えばガラス、石英ガラス、アクリル樹脂等の円筒形状の透明基材401を用いており、該透明基材401における外周面側に電子放出部402としての金属薄膜が形成されている構成である。もちろん、電子放出部402の材質は、光の照射を受けたときに光電効果が生じるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、AlやTa等の金属、Mg−Ag等の合金、半導体、導電ポリマーなどであってもよい。
【0191】
上記トナー帯電手段では、冷陰極ガラスランプ39から照射される光は、トナー帯電ローラ40の内周面側から該トナー帯電ローラ40に対して照射される。この照射光は、トナー帯電ローラ40の透明基材401を透過して電子放出部402に到達する。
【0192】
ここで、電子放出部402は、トナー帯電ローラ38における電子放出部とは異なり、開口部381を有していない。すなわち、電子放出部402は、光電面として作用する金属薄膜のみからなっている。
【0193】
尚、上記構成のトナー帯電ローラ40において、開口部381を有さない電子放出部402から放出される光電子が該トナー帯電ローラ40の外周面側から放出される作用については、先に説明した実施例4における電子放出部24と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。また、上記電子放出部402を形成する金属薄膜(アルミニウム膜)の膜厚は、実施例4にて説明した電子放出部24と同様に、透過率が40〜70%になるように最適化されていることが好ましい。
【0194】
また、トナー帯電手段におけるコストを低廉化するために、図19(a)および(b)に示すような構成も考えられる。この場合のトナー帯電手段は、図19(a)に示すように、冷陰極ガラスランプ39の外周面に、電子放出部41となる金属薄膜が直接形成されている構成である。すなわち、図19(b)に示すように、冷陰極ガラスランプ39のガラス管391の表面に電子放出部41となる金属薄膜が直接形成される。この構成では、トナー帯電ローラ40における透明基材401が必要なく、部材点数を減らしてコストの削減を図ることができる。
【0195】
もちろん、上記電子放出部41は、トナー帯電ローラ40における電子放出部402と同様、その材料はAu,Ta等の金属、Mg−Ag等の合金、半導体、導電ポリマーであってもよく、また、その膜厚は、透過率が40〜70%になるように最適化されていることが好ましい。
【0196】
本実施例5に係る現像装置の構成(図18または図19に示す構成)において、トナー規制ブレード36による加圧力と、トナーの帯電特性との関係は、実施例1の図14に示される関係とほぼ同様となる。このとき、冷陰極ガラスランプ39は、波長254nmの紫外光を照射している。
【0197】
図14より、従来の摩擦帯電方式では、トナーの所望の帯電量(−2.0×10−2μC/kg)を得るためには、約196kPaの加圧力が必要であることが分かる。これに対し、本実施例の帯電方式では、従来の摩擦帯電方式に必要な加圧力の1/4、すなわち約49kPaの加圧力で所望の帯電量が得られている。
【0198】
〔実施例6〕
実施例6について図20および図21に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0199】
本実施例6に係る現像装置30’は、図20に示すように、現像装置30の構成において帯電槽33の内面側壁に電極板42を設け、トナー帯電ローラ38と電極板42とをバイアス印加手段43に接続することによって、トナー帯電ローラ38と電極板42との間に電気的バイアスを印加する構成となっている。現像装置30’においてその他の構成は現像装置30と同じである。
【0200】
上記構成の現像装置30’では、トナー帯電ローラ38と電極板42との間に電気的バイアスを印加することにより、実施例2で説明したのと同様の作用によって上記トナー帯電手段における帯電効果を向上させることができる。すなわち、上記電気的バイアスを印加することによって発生する電界の作用により、電子放出部から放出される光電子の利用率を高める作用と、電子なだれの作用とによって帯電効率を向上させることができる。
【0201】
ここで、トナー帯電ローラ38と電極板42との間の電気的バイアスは、電界強度が0.5〜2.5×106(V/m)となる範囲で印加されている。
【0202】
このときの、所望の帯電量(−2.0×10−2μC/kgとする)が得られるときの電界強度とプロセス速度の関係を図21に示す。図21から明らかなように、上記電気的バイアスの電界強度を上げることによって所望の帯電量が得られるプロセス速度も向上しており、上記範囲の電気的バイアスを印加する場合、プロセス速度50mm/s〜150mm/s相当までトナー帯電が可能となる。
【0203】
尚、上記説明において、現像装置30’は、電極板42およびバイアス印加手段43を図17に示すトナー帯電手段と組み合わせた構成を示すものであるが、図18または図19に示すトナー帯電手段と組み合わせる構成とすることも可能である。ここで、電極板42およびバイアス印加手段43を図17に示すトナー帯電手段と組み合わせる場合は、バイアス印加手段43はトナー帯電ローラ38の基材に接続する構成とすることができる。
【0204】
一方、電極板42およびバイアス印加手段43を図18または図19に示すトナー帯電手段と組み合わせる場合は、バイアス印加手段43はトナー帯電ローラ40の電子放出部402あるいは冷陰極ガラスランプ39表面に形成される電子放出部41と直接接続される、もしくは、電子放出部402または電子放出部41の下層に例えばITO(Indium Tin Oxide)からなる透明導電層を形成し、該透明導電層を介して接続される。
【0205】
尚、上記各実施例の説明において、トナーは非磁性一成分トナーを用いる場合を説明したが、各実施例の現像装置において使用可能なトナーは非磁性一成分トナーに限定されるものでなく、磁性トナーや二成分のトナーであってもよい。但し、各実施例の現像装置は、トナーへの熱的負荷を低減しトナーの破壊やブレードへの融着を防止することを目的としているものであり、特にトナー融着の問題が顕著に発生する非磁性一成分トナーに適用する場合に好適な効果が得られる。
【0206】
また、上記各実施例の説明においては、トナーの帯電は主にトナー帯電手段によって行い、トナー規制ブレードの現像ローラへの圧接力はトナーの層厚規制に必要となる最小限の圧接力に設定されるものとしている。
【0207】
しかしながら、現像装置はこれに限定されるものではなく、トナー帯電手段をトナー帯電に関し補助的に用いるものであってもよい。すなわち、この場合は、トナー規制ブレードの現像ローラへの圧接力がトナーの破壊やブレードへの融着といった問題が生じない範囲での最大の圧接力に設定され、このときの摩擦帯電による帯電量に対して所望の帯電量に不足する分をトナー帯電手段にて付加する構成となる。
【0208】
このように、トナー帯電手段をトナー帯電に関し補助的に用いる構成では、該トナー帯電手段において要求される帯電能力が小さく設定できるため、該トナー帯電手段にかかるコストを削減できる。
【0209】
尚、トナー帯電手段における帯電能力とトナー規制ブレードの現像ローラへの圧接力との関係は、トナー帯電手段によるトナー帯電量とトナー規制ブレードの摩擦帯電によるトナー帯電量との和が最終的に必要な所望の帯電量に到達していればよい。すなわち、トナー帯電手段によるトナー帯電量とトナー規制ブレードの摩擦帯電によるトナー帯電量との比率は、トナーの破壊やブレードへの融着といった問題が生じない範囲で任意に設定可能である。
【0210】
また、光照射手段は、上記各実施例で用いられている紫外線照射器16や冷陰極ガラスランプ39に限定されるものではなく、光電効果を誘起できる光を照射できるものであれば特に限定されない。但し、上記光照射手段は熱量発生の少ない光源が好ましく、紫外線照射器や冷陰極ガラスランプ以外にキセノンランプ等が好適に使用できる。
【0211】
また、上記各実施例における電子放出部は、トナーを帯電するための放出電子を光電効果によって得ているが、電子放出部を加熱して電子を放出させる熱電効果(熱電子放出)を利用することも原理的には可能である。但し、各現像装置は、トナーにかかる熱的負荷を低減することを目的とするものであり、発熱のない光電効果を利用することが好適であるのはいうまでもない。
【0212】
以上、実施例1ないし6について述べた。
【0213】
前述のシミュレーションで得られた電子放出特性を基に、評価結果を実施例1ないし6のような各現像装置に適用すると、装置に最適な電子放出部の開口形状を決定することができる。
【0214】
実機で実験を行ったところ、両面からのエッチング加工(ストレート)で加工されたグリッド電極に光電面から放出される電流密度は、100nA/cm2である。なお、グリッド電極とグランドプレートとの間に、8×106V/mの電界強度を印加している。また、この両面エッチング加工のグリッド電極に対するシミュレーションから得られた値“k”は「−0.8」である。
“k”は次の式で表せことができる。
【0215】
【数1】
【0216】
ここで、
V : グリッド電極に印加する電圧
n : メッシュに分割した個数
Ey : 電界ベクトルの y 成分
である。
【0217】
次に比電荷を変化させた時の “k” を表2に示す。
【0218】
【表2】
【0219】
上記の表から “k”値として、−0.32以下であれば良く、−1.2 < “k” < −0.8 が望ましい。
【0220】
また、電流密度の計算方法(トナーの帯電量を20μC/gとする場合)について以下に説明する。現像スリーブ上に 0.5mg/cm2 のトナーが存在し、このトナーを20μC/gに帯電させるのに必要な電荷量は、10×10−9 C/cm2となる。20PPMの現像スリーブの移動速度を100msec、光電面の幅を1cmとすると、必要な電流密度は100nA/cm2となる。
【0221】
【発明の効果】
本発明の電子放出特性評価装置は、以上のように、物体の形状を表す図形のデータの入力環境を提供する入力手段と、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形を、表示装置で視覚的に確認しながらメッシュに分割することができるように、線密度の設定入力を受け付けてメッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境を提供するメッシュ設定手段と、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体の材質もしくは上記物体の表面材質についての設定を行うための材質設定環境を提供する材質設定手段と、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体に光を照射する光源の上記図形上における状態を、上記表示装置で視覚的に確認しながら設定することができるように、上記光源の状態についての設定を行うための光源設定環境を提供する光源設定手段と、上記入力環境を通して入力された上記図形のデータと、上記メッシュ設定環境を通して設定されたメッシュと、上記材質設定環境を通して設定された上記材質または表面材質と、上記光源設定環境を通して設定された上記光源の状態とに基づいて、上記光源から上記物体に光が照射されたときの上記物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを、上記メッシュ単位で構成される部分毎の現象を求めることにより求め、視覚的に確認することができるように上記図形に合成し、上記物体の電子放出特性の評価結果として上記出力装置で出力する評価出力手段とを備えている構成である。
【0222】
それゆえ、ユーザは条件の入力から評価結果の出力を得るまで、特に図形をメッシュに分割するにも、光源の状態を設定するにも、物体の形状を表す図形全体を意識するだけでよい。ユーザは、自分が考えた構成の電子放出部全体の形状について、光電効果によりどのような電子の流れが期待できるかを早く知りたいので、電子放出特性の評価を行う上で、条件の入力から評価結果の出力を得るまで、図形全体を意識しさえすればよいことは非常に好ましい。
【0223】
従って、光電効果により電子を放出する電子放出部に様々な形状や大きさのものが考えられても、電子放出部を試作することなくその電子放出特性を評価することができ、開発に費用も時間もかからない。この結果、光照射された物体の電子放出特性を費用を抑制して短時間で知ることができる、電子放出特性評価装置を提供することができるという効果を奏する。
【0224】
さらに本発明の電子放出特性評価装置は、以上のように、上記評価出力手段は、上記電子の流れを、上記部分毎の現象を視覚的に確認することができるように、上記図形に合成する構成である。
【0225】
それゆえ、小さな領域単位で電子放出特性の評価結果を得ることができる。従って、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが可能となり、最適な電子放出特性を有する電子放出部の形状設計が可能となるという効果を奏する。
【0226】
さらに本発明の電子放出特性評価装置は、以上のように、上記評価出力手段は、上記図形の特定の位置に到達する電子の総量を求めて出力する構成である。
【0227】
それゆえ、物体から放出された光電子が実際に必要となる特定の位置でどのような量になるかを知ることができる。従って、得られる特定の位置での電子量を、光電効果により電子を放出する製品に反映することが可能となり、開発期間のさらなる短縮が可能となるという効果を奏する。
【0228】
さらに本発明の電子放出特性評価装置は、以上のように、上記評価出力手段は、上記電子の流れを上記図形上にベクトルで表示したものを、上記物体の電子放出特性の評価結果とする構成である。
【0229】
それゆえ、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが容易になり、それだけ最適な電子放出部の形状設計が容易になるという効果を奏する。
【0230】
また、本発明の電子放出特性評価方法は、以上のように、物体の形状を表す図形のデータの入力環境を提供する入力ステップと、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形を、表示装置で視覚的に確認しながらメッシュに分割することができるように、線密度の設定入力を受け付けてメッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境を提供するメッシュ設定ステップと、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体の材質もしくは上記物体の表面材質についての設定を行うための材質設定環境を提供する材質設定ステップと、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体に光を照射する光源の上記図形上における状態を、上記表示装置で視覚的に確認しながら設定することができるように、上記光源の状態についての設定を行うための光源設定環境を提供する光源設定ステップと、上記入力環境を通して入力された上記図形のデータと、上記メッシュ設定環境を通して設定されたメッシュと、上記材質設定環境を通して設定された上記材質または表面材質と、上記光源設定環境を通して設定された上記光源の状態とに基づいて、上記光源から上記物体に光が照射されたときの上記物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを、上記メッシュ単位で構成される部分毎の現象を求めることにより求め、視覚的に確認することができるように上記図形に合成し、上記物体の電子放出特性の評価結果として上記出力装置で出力する評価出力ステップとを備えている構成である。
【0231】
それゆえ、ユーザは条件の入力から評価結果の出力を得るまで、特に図形をメッシュに分割するにも、光源の状態を設定するにも、物体の形状を表す図形全体を意識するだけでよい。ユーザは、自分が考えた構成の電子放出部全体の形状について、光電効果によりどのような電子の流れが期待できるかを早く知りたいので、電子放出特性の評価を行う上で、条件の入力から評価結果の出力を得るまで、図形全体を意識しさえすればよいことは非常に好ましい。
【0232】
従って、光電効果により電子を放出する電子放出部に様々な形状や大きさのものが考えられても、電子放出部を試作することなくその電子放出特性を評価することができ、開発に費用も時間もかからない。この結果、光照射された物体の電子放出特性を費用を抑制して短時間で知ることができる、電子放出特性評価方法を提供することができるという効果を奏する。
【0233】
さらに本発明の電子放出特性評価方法は、以上のように、上記評価出力ステップでは、上記電子の流れを、上記部分毎の現象を視覚的に確認することができるように、上記図形に合成する構成である。
【0234】
それゆえ、最小の領域単位で電子放出特性の評価結果を得ることができる。従って、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが可能となり、最適な電子放出特性を有する電子放出部の形状設計が可能となるという効果を奏する。
【0235】
さらに本発明の電子放出特性評価方法は、以上のように、上記評価出力ステップでは、上記図形の特定の位置に到達する電子の総量を求めて出力する構成である。
【0236】
それゆえ、物体から放出された光電子が実際に必要となる特定の位置でどのような量になるかを知ることができる。従って、得られる特定の位置での電子量を、光電効果により電子を放出する製品に反映することが可能となり、開発期間のさらなる短縮が可能となるという効果を奏する。
【0237】
さらに本発明の電子放出特性評価方法は、以上のように、上記評価出力ステップでは、上記電子の流れを上記図形上にベクトルで表示したものを、上記物体の電子放出特性の評価結果とする構成である。
【0238】
それゆえ、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが容易になり、それだけ最適な電子放出部の形状設計が容易になるという効果を奏する。
【0239】
また、本発明のプログラムは、以上のように、いずれかの上記電子放出特性評価方法をコンピュータに実行させる構成である。
【0240】
それゆえ、前述した電子放出特性評価方法をコンピュータに実行させるので、該評価方法はコンピュータで実現される汎用性の高いものとなるという効果を奏する。
【0241】
また、本発明の記録媒体は、以上のように、上記プログラムをコンピュータ読取可能に記録した構成である。
【0242】
それゆえ、前述した電子放出特性評価方法を実現するプログラムを容易にコンピュータに提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子放出特性評価装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の電子放出特性評価装置が備える入力部が提供する入力環境を示す画面状態図である。
【図3】図1の電子放出特性評価装置が備えるメッシュ設定部によって図形がメッシュ分割された状態を示す画面状態図である。
【図4】図1の電子放出特性評価装置が備える光源設定部部が提供する光源設定環境を示す画面状態図である。
【図5】図1の電子放出特性評価装置が備える評価出力部によって電子の流れが求められる状態を示す画面状態図である。
【図6】図1の電子放出特性評価装置によって行われる電子放出特性評価方法の処理の一部を示すフローチャートである。
【図7】図1の電子放出特性評価装置によって行われる電子放出特性評価方法の処理の他の一部を示すフローチャートである。
【図8】実施例1に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図9】図8の現像装置に使用されるトナー規制ブレードの構成を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるC−C断面図である。
【図10】実施例2に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図11】図10の現像装置に使用されるトナー規制ブレードの構成を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるC−C断面図である。
【図12】トナー規制ブレードと現像ローラとの間に電気的バイアスを印加した時に、トナー規制ブレードの開口部付近に生じる電気力線を説明する図である。
【図13】トナー規制ブレードと現像ローラとの間に印加される電気的バイアスの電界強度と、画像形成可能なプロセス速度との関係を示すグラフである。
【図14】図10の現像装置におけるトナー帯電量とトナー規制ブレードの加圧力との関係を示すグラフである。
【図15】実施例3に係る現像装置に使用されるトナー規制ブレードの構成を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるC−C断面図である。
【図16】実施例4に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図17】図16の現像装置に使用されるトナー帯電手段の構成を示すものであり、(a)は上記トナー帯電手段の断面図、(b)は上記トナー帯電手段の表面状態を示す平面図、(c)は(b)におけるD−D断面図である。
【図18】実施例5に係る現像装置に使用されるトナー帯電手段の構成を示すものであり、(a)は上記トナー帯電手段の断面図、(b)は上記トナー帯電手段の表面付近の断面図である。
【図19】実施例6に係る現像装置に使用される他のトナー帯電手段の構成を示すものであり、(a)は上記トナー帯電手段の断面図、(b)は上記トナー帯電手段の表面付近の断面図である。
【図20】実施例6に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図21】図20の現像装置の電子放出部と該電子放出部に対向して設けられる電極板との間に印加される電気的バイアスの電界強度と、画像形成可能なプロセス速度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10,10’,30 現像装置
13,35 現像ローラ
15,22,24,41,402 電子放出部
16 紫外線照射器(光源)
51 電子放出特性評価装置
52 入力部(入力手段)
53 メッシュ設定部(メッシュ設定手段)
54 光源設定部(光源設定手段)
55 材質設定部(材質設定手段)
56 評価出力部(評価出力手段)
61 電子放出部
【発明の属する技術分野】
本発明は、物質が光電子を放出するときの電子放出特性の評価に関し、特に、複写機、プリンタおよびファクシミリなどの電子写真装置が備える現像装置の、トナー帯電に用いられる物質の電子放出特性の評価に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機、プリンタおよびファクシミリなどの電子写真装置においては、静電潜像を担持搬送する感光体に対して現像装置にトナーが供給され、感光体の表面上の静電潜像がトナーによって現像(可視化)される。このような現像装置では、トナーは現像ローラ表面に供給ローラにより周方向から順次供給され、現像ローラの回転により感光体へ向けて担持搬送される。
【0003】
また、上記現像ローラ上に形成されるトナー層は、供給ローラよりも現像ローラの回転方向下流側に設けられたブレードによって、現像ローラ上でその層厚が規制される。このとき同時に、トナーは、ブレードとの摩擦により電荷を帯びる(摩擦帯電)。帯電されたトナーは、現像ローラにより、さらに回転方向下流側に位置する感光体との対向部まで担持搬送されて、感光体表面上の静電潜像に対して静電的に供給され、静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。可視化されたトナー像は、転写装置によって記録紙に転写された後、定着装置によって加熱および加圧され、記録紙上に定着される。
【0004】
また、上述した摩擦帯電方式の問題を克服するために、特許文献1、特許文献2、および、特許文献3には、トナーに特殊な波長の光に反応するホトクロミック化合物などを含有させ、現像装置内部でトナーに直接光を照射することによりトナーを帯電させる手法が開示されている。
【0005】
また、ホトクロミック反応を利用した光照射によるトナーの帯電については、特許文献4および特許文献5に開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−281473号公報
(公開日:平成7年(1995)10月27日)
【0007】
【特許文献2】
特開平7−295327号公報
(公開日:平成7年(1995)11月10日)
【0008】
【特許文献3】
特開平9−6132号公報
(公開日:平成9年(1997)1月10日)
【0009】
【特許文献4】
特開平4−220657号公報
(公開日:平成4年(1992)8月11日)
【0010】
【特許文献5】
特開平7−234536号公報
(公開日:平成7年(1995)9月5日)
【0011】
【特許文献6】
特願2001−366786号
(未公開、出願日:平成13年(2001)11月30日)
【0012】
【特許文献7】
特開2001−33502号公報
(公開日:平成13年(2001)2月9日)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の構成では、層厚規制部材であるブレードはトナーの層厚を規制すると同時に、トナーを摩擦帯電させるためにも使用されている。すなわち、上記従来の構成では、トナーをブレードとの摩擦により帯電させているため、トナーにおいて所望の帯電量を得るために、ブレードを現像ローラに対して比較的大きな加圧力(F)をもって圧接させている。このように、ブレードによってトナーに対して大きな加圧力が作用する構成では、この加圧力によってトナーの破壊が生じる恐れがある。
【0014】
また、上記摩擦帯電方式におけるエネルギー収支では、以下のことがいえる。すなわち、現像ローラの駆動エネルギー(Ek)は、ブレードの作用によってトナー層厚規制エネルギー(Es)とトナー帯電エネルギー(Et)とに変換されるが、一部は熱ロスエネルギー(El)として消費される。このときに発生する熱ロスエネルギー(El)によっては、トナーが軟化することでトナーの破壊が促進される、あるいは、軟化したトナーがブレード表面に融着してトナーの摩擦帯電特性が劣化するといった問題が生じる。
【0015】
また、特殊なホトクロミック化合物を含有させたトナーに光を照射させることによりトナーを帯電させるような上記公報に記載された技術を用いると、トナーにホトクロミック材料を含有させる際のトナー成分調整が困難となる。従って、できればこのような成分調整の困難さがないトナーを用いるのが望ましい。
【0016】
特に、近年では、省エネ技術として、トナーの軟化点を低減させて定着エネルギーを削減する、あるいは、トナーの顔料部数を増加させて着色力を高める(トナーの耐破壊性が低下する)といったトナーの改良が進んでいる。しかしながら、上記従来の摩擦帯電方式は、上述の如くトナーに対する加圧力や熱的負荷が大きいため、このようなトナーには適合できていない。
【0017】
そこで本件出願人は、先に出願した未公開の特許文献6に記載しているように、トナーの劣化防止、即ちトナーの破壊やブレードヘの融着防止を可能とし、現像の信頼性を向上させることができる現像装置、特に、定着エネルギーを削減するために軟化点を低減したトナーや、着色力を高めるために顔料部数を増加させたトナーにも適合できる現像装置を実現するために、光照射された貴金属などの物質から光電効果により放出された光電子をトナーに供給して帯電させることが有効であることを見出した。従って、光照射された物体から放出される光電子量はどのくらいであってそれに伴う電子の流れはどのようになるかといった電子放出特性を知ることが重要となる。しかしながら、光電効果により電子を放出する電子放出部には様々な形状や大きさのものが考えられ、考えられた全ての電子放出部を試作し、その電子放出特性を評価するには膨大な費用や時間がかかり、困難である。
【0018】
なお、特許文献7には感光体の表面に対して帯電ローラを接触又は近接させてその感光体を帯電させる帯電装置についてのシミュレーションを行う帯電解析装置が記載されている。
【0019】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、光照射された物体の電子放出特性を費用を抑制して短時間で知ることができる、電子放出特性評価装置、および電子放出特性評価方法、ならびにそのプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子放出特性評価装置は、上記課題を解決するために、物体の形状を表す図形のデータの入力環境を提供する入力手段と、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形を、表示装置で視覚的に確認しながらメッシュに分割することができるように、線密度の設定入力を受け付けてメッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境を提供するメッシュ設定手段と、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体の材質もしくは上記物体の表面材質についての設定を行うための材質設定環境を提供する材質設定手段と、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体に光を照射する光源の上記図形上における状態を、上記表示装置で視覚的に確認しながら設定することができるように、上記光源の状態についての設定を行うための光源設定環境を提供する光源設定手段と、上記入力環境を通して入力された上記図形のデータと、上記メッシュ設定環境を通して設定されたメッシュと、上記材質設定環境を通して設定された上記材質または表面材質と、上記光源設定環境を通して設定された上記光源の状態とに基づいて、上記光源から上記物体に光が照射されたときの上記物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを、上記メッシュ単位で構成される部分毎の現象を求めることにより求め、視覚的に確認することができるように上記図形に合成し、上記物体の電子放出特性の評価結果として上記出力装置で出力する評価出力手段とを備えていることを特徴としている。
【0021】
上記の発明によれば、入力手段によって、物体の形状を表す図形のデータの入力環境が提供されるので、このデータを入力する。入力環境としては、表示装置で物体の形状を認識しながら図形のデータを生成入力する環境や、予め用意した図形データの入力を受け付ける環境などがある。また、メッシュ設定手段によって、線密度の設定入力を受け付けてメッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境が提供されるので、線密度を設定してメッシュ分割を行う。この場合のメッシュ設定環境は、表示装置で視覚的に確認しながら図形をメッシュに分割することができるものである。さらに、材質設定手段によって、物体の材質もしくは物体の表面材質についての材質設定環境が提供されるので、これらの設定を行う。さらに、光源設定手段によって、物体に光を照射する光源が、物体の形状を表す図形上においてどのような形状であってどのような位置にあり、光強度はどのくらいかなどを示す光源の状態についての光源設定環境が提供されるので、これの設定を行う。この場合の光源設定環境は、光源の図形上における状態を表示装置で視覚的に確認しながら設定することができるものである。
【0022】
そして、評価出力手段は、上記のようにして入力や設定が行われた図形のデータと、メッシュと、材質もしくは表面材質と、光源の状態とに基づいて、光源から物体に光が照射されたときの物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを、メッシュ単位で構成される部分毎の現象を求めることにより求める。すなわち、図形をメッシュに分割したことを利用し、光源からどのような強度および角度で物体に光が入射し、どのような量および角度で光電子が放出されるか、光電子が放出されることに伴う電子の流れがどのようになるかを図形上の各場所について求め、これによって図形全体で電子の流れがどのようになるかを求める。さらに評価出力手段は、図形全体における電子の流れを視覚的に確認することができるように図形に合成する。そしてこれを物体の電子放出特性の評価結果として出力装置で出力する。出力装置としては先に挙げた表示装置でもよいし、印刷装置などでもよい。ユーザは評価結果を見て、図形全体で電子の流れがどのようになっているかが分かる。
【0023】
このような構成により、ユーザは条件の入力から評価結果の出力を得るまで、特に図形をメッシュに分割するにも、光源の状態を設定するにも、物体の形状を表す図形全体を意識するだけでよい。ユーザは、自分が考えた構成の電子放出部全体の形状について、光電効果によりどのような電子の流れが期待できるかを早く知りたいので、電子放出特性の評価を行う上で、条件の入力から評価結果の出力を得るまで、図形全体を意識しさえすればよいことは非常に好ましい。
【0024】
従って、光電効果により電子を放出する電子放出部に様々な形状や大きさのものが考えられても、電子放出部を試作することなくその電子放出特性を評価することができ、開発に費用も時間もかからない。この結果、光照射された物体の電子放出特性を費用を抑制して短時間で知ることができる、電子放出特性評価装置を提供することができる。
【0025】
さらに本発明の電子放出特性評価装置は、上記課題を解決するために、上記評価出力手段は、上記電子の流れを、上記部分毎の現象を視覚的に確認することができるように、上記図形に合成することを特徴としている。
【0026】
上記の発明によれば、図形を分割するメッシュ単位で構成される部分毎の現象を視覚的に確認することができるので、小さな領域単位で電子放出特性の評価結果を得ることができる。従って、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが可能となり、最適な電子放出特性を有する電子放出部の形状設計が可能となる。
【0027】
さらに本発明の電子放出特性評価装置は、上記課題を解決するために、上記評価出力手段は、上記図形の特定の位置に到達する電子の総量を求めて出力することを特徴としている。
【0028】
上記の発明によれば、図形の特定の位置に到達する電子の総量を求めて出力することにより、物体から放出された光電子が実際に必要となる特定の位置でどのような量になるかを知ることができる。従って、得られる特定の位置での電子量を、光電効果により電子を放出する製品に反映することが可能となり、開発期間のさらなる短縮が可能となる。
【0029】
さらに本発明の電子放出特性評価装置は、上記課題を解決するために、上記評価出力手段は、上記電子の流れを上記図形上にベクトルで表示したものを、上記物体の電子放出特性の評価結果とすることを特徴としている。
【0030】
上記の発明によれば、求めた電子の流れを図形上にベクトルで表示して、物体の電子放出特性の評価結果を出力するので、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが容易になり、それだけ最適な電子放出部の形状設計が容易になる。
【0031】
また、本発明の電子放出特性評価方法は、上記課題を解決するために、物体の形状を表す図形のデータの入力環境を提供する入力ステップと、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形を、表示装置で視覚的に確認しながらメッシュに分割することができるように、線密度の設定入力を受け付けてメッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境を提供するメッシュ設定ステップと、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体の材質もしくは上記物体の表面材質についての設定を行うための材質設定環境を提供する材質設定ステップと、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体に光を照射する光源の上記図形上における状態を、上記表示装置で視覚的に確認しながら設定することができるように、上記光源の状態についての設定を行うための光源設定環境を提供する光源設定ステップと、上記入力環境を通して入力された上記図形のデータと、上記メッシュ設定環境を通して設定されたメッシュと、上記材質設定環境を通して設定された上記材質または表面材質と、上記光源設定環境を通して設定された上記光源の状態とに基づいて、上記光源から上記物体に光が照射されたときの上記物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを、上記メッシュ単位で構成される部分毎の現象を求めることにより求め、視覚的に確認することができるように上記図形に合成し、上記物体の電子放出特性の評価結果として上記出力装置で出力する評価出力ステップとを備えていることを特徴としている。
【0032】
上記の発明によれば、入力ステップによって、物体の形状を表す図形のデータの入力環境が提供されるので、このデータを入力する。入力環境としては、表示装置で物体の形状を認識しながら図形のデータを生成入力する環境や、予め用意した図形データの入力を受け付ける環境などがある。また、メッシュ設定ステップによって、線密度の設定入力を受け付けてメッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境が提供されるので、線密度を設定してメッシュ分割を行う。この場合のメッシュ設定環境は、表示装置で視覚的に確認しながら図形をメッシュに分割することができるものである。さらに、材質設定ステップによって、物体の材質もしくは物体の表面材質についての材質設定環境が提供されるので、これらの設定を行う。さらに、光源設定ステップによって、物体に光を照射する光源が、物体の形状を表す図形上においてどのような形状であってどのような位置にあり、光強度はどのくらいかなどを示す光源の状態についての光源設定環境が提供されるので、これの設定を行う。この場合の光源設定環境は、光源の図形上における状態を表示装置で視覚的に確認しながら設定することができるものである。
【0033】
そして、評価出力ステップでは、上記のようにして入力や設定が行われた図形のデータと、線密度と、材質もしくは表面材質と、光源の状態とに基づいて、光源から物体に光が照射されたときの物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを、メッシュ単位で構成される部分毎の現象を求めることにより求める。すなわち、図形をメッシュに分割したことを利用し、光源からどのような強度および角度で物体に光が入射し、どのような量および角度で光電子が放出されるか、光電子が放出されることに伴う電子の流れはどのようになるかを図形上の各場所について求め、これによって図形全体で電子の流れがどのようになるかを求める。さらに評価出力ステップでは、図形全体における電子の流れを視覚的に確認することができるように図形に合成する。そしてこれを物体の電子放出特性の評価結果として出力装置で出力する。出力装置としては先に挙げた表示装置でもよいし、印刷装置などでもよい。ユーザは評価結果を見て、図形全体にわたって電子の流れがどのようになっているかが分かる。
【0034】
このような手順により、ユーザは条件の入力から評価結果の出力を得るまで、特に図形をメッシュに分割するにも、光源の状態を設定するにも、物体の形状を表す図形全体を意識するだけでよい。ユーザは、自分が考えた構成の電子放出部全体の形状について、光電効果によりどのような電子の流れが期待できるかを早く知りたいので、電子放出特性の評価を行う上で、条件の入力から評価結果の出力を得るまで、図形全体を意識しさえすればよいことは非常に好ましい。
【0035】
従って、光電効果により電子を放出する電子放出部に様々な形状や大きさのものが考えられても、電子放出部を試作することなくその電子放出特性を評価することができ、開発に費用も時間もかからない。この結果、光照射された物体の電子放出特性を費用を抑制して短時間で知ることができる、電子放出特性評価方法を提供することができる。
【0036】
さらに本発明の電子放出特性評価方法は、上記課題を解決するために、上記評価出力ステップでは、上記電子の流れを、上記部分毎の現象を視覚的に確認することができるように、上記図形に合成することを特徴としている。
【0037】
上記の発明によれば、図形を分割するメッシュ単位で構成される部分毎の現象を視覚的に確認することができるので、最小の領域単位で電子放出特性の評価結果を得ることができる。従って、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが可能となり、最適な電子放出特性を有する電子放出部の形状設計が可能となる。
【0038】
さらに本発明の電子放出特性評価方法は、上記課題を解決するために、上記評価出力ステップでは、上記図形の特定の位置に到達する電子の総量を求めて出力することを特徴としている。
【0039】
上記の発明によれば、図形の特定の位置に到達する電子の総量を求めて出力することにより、物体から放出された光電子が実際に必要となる特定の位置でどのような量になるかを知ることができる。従って、得られる特定の位置での電子量を、光電効果により電子を放出する製品に反映することが可能となり、開発期間のさらなる短縮が可能となる。
【0040】
さらに本発明の電子放出特性評価方法は、上記課題を解決するために、上記評価出力ステップでは、上記電子の流れを上記図形上にベクトルで表示したものを、上記物体の電子放出特性の評価結果とすることを特徴としている。
【0041】
上記の発明によれば、求めた電子の流れを図形上にベクトルで表示して、物体の電子放出特性の評価結果を出力するので、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが容易になり、それだけ最適な電子放出部の形状設計が容易になる。
【0042】
また、本発明のプログラムは、上記課題を解決するために、いずれかの上記電子放出特性評価方法をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0043】
上記の発明によれば、前述した電子放出特性評価方法をコンピュータに実行させるので、該評価方法はコンピュータで実現される汎用性の高いものとなる。
【0044】
また、本発明の記録媒体は、上記課題を解決するために、上記プログラムをコンピュータ読取可能に記録したことを特徴としている。
【0045】
上記の発明によれば、前述した電子放出特性評価方法を実現するプログラムを容易にコンピュータに提供することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1ないし図21に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0047】
本実施の形態では、光が照射された電子放出部から放出された光電子をトナーに導いてトナーを帯電させる現像装置を構成する上で、最適な形状および大きさの電子放出部を設計するための、電子放出部の電子放出特性の評価について説明する。
【0048】
図1に、本実施の形態に係る電子放出特性評価装置51の構成を示す。電子放出特性評価装置51は、コンピュータと、コンピュータに電子放出特性評価方法を実行させるソフトウェアとの組み合わせにより構成されており、入力部52、メッシュ設定部53、光源設定部54、材質設定部55、および評価出力部56を備えている。
【0049】
入力部(入力手段)52は、物体の形状を表す図形のデータの入力環境をユーザに提供する。図2にこの入力環境の一例を示す。同図は、入力環境として提供された画面を示す。この画面は、電子放出部の電極の形状を表す図形のデータを入力する入力画面である。例えば同図では、太線で示した部分が電子放出部61の電極の輪郭を表しており、該電極は、光が照射されると光電効果により光電子を放出する物体として描画されている。また、該電極の輪郭線と、該輪郭線に繋がる細線とで囲まれた領域65が、光電子の放出量および電子の流れを求めたい空間に対応している。この画面は通常のCAD画面と同様の操作により、電子放出部61の形状に関する図形データの生成入力を行うことが可能である。また、この入力画面で生成入力されるデータは、一般的に使用されるCADデータと互換性を有しており、他のCADソフトウェアで作成したCADデータを取り込むことにより、新たなデータ入力を省略することも可能である。
【0050】
同図に示す電子放出部61の電極はドリル孔加工を施したグリッドの断面図であり、特に開口部付近の形状を示している。電子放出部61を現像装置に用いる場合、トナーに供給される電子は電子放出部61から発生する光電子が大半であるので、電子放出部61の開口部の電子放出量を検証することにより、トナーへの電子供給量を把握することができる。
【0051】
この入力部52には、ハードウェアとしてCPU、メモリ、表示装置、キーボード、マウスといった通常のコンピュータハードウェアを用いることができ、特に、入力環境において図形のデータを描画しながら生成する場合には表示装置を入力環境の提供に用いる。
【0052】
メッシュ設定部(メッシュ設定手段)53は、入力部52により提供された入力画面を通してデータが入力された電子放出部61の形状を表す図形を、表示装置で視覚的に確認しながらメッシュに分割することができるように、線密度の設定入力を受け付けてメッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境をユーザに提供する。この線密度は解析の精度を表し、線密度を細かく設定することにより、物体の形状が細かく分割されるので、それだけ正確なデータが得られる。また逆に線密度を粗く設定すると物体形状が粗く分割されるので、処理は高速となる。以下では、所定の設定フォームよりX方向およびY方向の分割数を入力することにより、線密度の設定を行うものとする。
【0053】
また、メッシュ設定部53は、入力された線密度に基づき物体形状を細分化するいわゆるメッシャーを備えている。このメッシャーは、シミュレーションで広く用いられているものである。図3にメッシャーの設定画面を示す。図示されていない設定フォームにより、線密度が指定されると、そのX,Y方向に指定された線密度に基づき電子放出部61の形状を表すものとして入力された図形のうちの領域65が細分化される。シミュレーションにおいては、この細分化された部分毎に光電子の放出量や流れ方向が後述のデータテーブルに基づいて算出されるので、メッシャーにより、分割単位を細かくするほど正確な検証が可能となる。
【0054】
後述するが、シミュレーションを行うときには、メッシュ単位で構成される部分毎の現象、例えばメッシュ1つ毎の現象を求めることにより、図形全体における電子の流れを算出する。上記部分の大きさ(以後、「基本領域」と称する)をメッシュ何個分とするかは適宜設定可能である。電子放出部61の電極表面を含む基本領域では、放出される光電子量とその放出方向が算出される。また、光電子放出の無い基本領域では、その領域を通過する電子量および電子の流れ方向が算出される。このような各基本領域での光電子の放出や電子の流れの状態が、基本領域毎の現象である。
【0055】
メッシュ設定部53には、ハードウェアとしてメッシュ設定環境を提供するための表示装置を用い、その制御や入力操作には、CPU、メモリ、キーボード、マウスといった通常のコンピュータハードウェアを用いることができる。
【0056】
次に、光源設定部(光源設定手段)54は、電子放出部61の電極のような物体に光を照射する光源の状態についての設定を行うための光源設定環境をユーザに提供する。光源の状態は、物体への光照射条件を表す。図4は光源設定環境の一例として、光源に関する情報を、入力部52によって入力された図形上で入力する画面を示している。これによって、光源の図形上における状態を、表示装置で視覚的に確認しながら設定することができるようになっている。光源に関する情報のうち光源の仕様に関する情報として、光源の種類(例えば棒状光源、平面光源、点状光源のいずれであるかなどの光源情報)、および、光源の強度(明るさ)を入力するようになっている。また、光源に関する他の情報として、マウスやキーの操作を行うことにより、物体と光源との位置関係(距離)を入力するようになっている。
【0057】
この光源に関する情報により、光源と、電子放出部61の電極などの物体の各部に照射される光の角度と光量とが明確になるので、基本領域毎にデータテーブルを参照することにより、光電子の放出量および放出方向が算出可能となる。
【0058】
光源設定部54には、ハードウェアとして光源設定環境を提供するための表示装置を用い、その制御や入力操作には、CPU、メモリ、キーボード、マウスといった通常のコンピュータハードウェアを用いることができる。
【0059】
次に、材質設定部(材質設定手段)55は、入力部52によってデータが入力された図形の物体の材質もしくは表面材質、例えば図2の入力データでは電子放出部61の電極の材質、もしくは物体の表面がメッキなどで加工されていればその材質についての設定を行うための材質設定環境をユーザに提供する。この材質設定環境は、入力画面として提供されればよい。予め用意された材質もしくは表面材質の中から選択する方式で入力する。
【0060】
材質設定部55には、ハードウェアとして、CPU、メモリ、表示装置、キーボード、マウスといった通常のコンピュータハードウェアを用いることができる。
【0061】
次に、評価出力部(評価出力手段)56は、光源から電子放出部61の電極のような物体に光が照射されたときの、物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを求め、表示装置や印刷装置などの出力装置で出力する。帯電させたい物体に到達する電子は電子放出部61の電極で発生する光電子の他に、光電子の流れに伴って電離により発生する電子も存在し得るので、光電子の放出に伴う電子の流れには、光電子の流れと、光電子の流れに伴って発生する電子の流れとが含まれる。
【0062】
物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを求めるときには、基本データとなるデータテーブルを参照する。このデータテーブルは、物体の材質もしくは表面材質別に構成され、光源の光量、物体の光電面に対する光の入射角度、光源と光電面との距離といった光入射条件に対応した、物体の光電面からの光電子の放出量および放出角度といった光電子放出状態のデータをテーブル形式で有しており、記憶装置に格納されている。そして、評価出力部56は、入力部52によって入力された図形のデータと、メッシュ設定部53によって設定されたメッシュと、光源設定部54によって設定された光源の状態と、材質設定部55によって設定された上記材質または表面材質とに基づいて上記光入射条件を判定し、データテーブルから上記光電子放出状態を求める。
【0063】
表1に、データテーブルの一例を示す。このデータテーブルは、光源が紫外線を照射するものである場合に、紫外線の照射強度、紫外線が金からなる光電面に入射する角度、および、光源と物体の光電面との距離という光入射条件に対応する光電子放出状態のデータを有するデータテーブルである。光電子放出状態は、光電面からの光電子の放出角度および光電子放出量を示すが、光電子放出量については、光電面にバイアス電圧を印加しない状態での電界強度として求める。
【0064】
【表1】
【0065】
同表において、例えば、
(1)光電面に紫外線を照射する紫外線強度 : 2000μW/cm2
(2)光源から照射された紫外線が光電面に照射される入射角度 : 40°
(3)光源と光電面との距離 : 4mm
という光入射条件に対して、
(4)光電子の放出角度 : 147°
(5)光電子放出量 : 2.6×103 V/mm
という光電子放出状態が対応している。
【0066】
なお、評価出力部56は、データテーブルにない光入射条件に対応する光電子放出状態を、その光入射条件に近い複数の光入射条件に対応する光電子放出状態から算出することができるようになっている。また、実際の実験より求められた実験データも同様の構成で記憶することにより、実際のデータの抽出が容易に行える。この実験データの用い方については後述する。
【0067】
評価出力部56には、ハードウェアとして、CPU、メモリ、表示装置、印刷装置、キーボード、マウスといった通常のコンピュータハードウェアを用いることができる。
【0068】
次に、評価出力部56が、物体を表す図形全体における電子の流れを求める手順について、図5を用いて説明する。
【0069】
図5は、電子放出部61の電極を表す図形の領域65における電子の流れを示すものであり、矢印(ベクトル)の向きが電子の流れ方向(向き)を、矢印(ベクトル)の長さが電子量を示し、矢印が長いほど電子量が多いことを表している。また、同図では、四角a〜gをそれぞれメッシュ4個分からなる基本領域として図示してある。
【0070】
光電面上の各点からの光電子放出状態は、表1の紫外線強度、入射角度、光電面と光源との距離に基づいて算出され、光電面上のA点からK点までのそれぞれの光電子放出量と放出角度とが求められる。
【0071】
最初に光電面のA点、B点から誘起された光電子の流れに対しては、例えば四角aでベクトル和が行われ、その結果、四角aの現象として矢印▲1▼で示す電子の量および流れ方向が求められる。次に、光電面C点、D点、E点から誘起された光電子の流れと四角aで求められた電子の流れとに対しては、四角bで示す領域でベクトル和が行われ、四角bの現象として矢印▲2▼で示す電子の量および流れ方向とが求められる。四角cではF点からの光電子の流れと四角bからの光電子の流れとに基づいて、矢印▲3▼で示す電子の量および流れ方向が、四角cの現象として計算される。こうして、四角d、四角e、…における現象として矢印▲4▼、矢印▲5▼、…を順次求めていく。なお、上記例では便宜上、一部の基本領域だけを取り上げたが、電子の流れを求めたい図形全体の領域について上述のようにベクトル和を行って矢印を求めていく。
【0072】
以上の様に、各基本領域毎に、光電面の各点から誘起された光電子の量および流れ方向に基づいてベクトル和を行うことで、各基本領域における電子の量および流れ方向を算出することができる。ここで、四角a・b・c・…の互いの位置関係については上記例ではほぼ電子の流れの上流側から下流側へ向かう順とされていて、この順にベクトル和を求めることにより、電子の流れが求まる。
【0073】
評価出力部56は、こうして、基本領域毎の現象を求めることにより、領域65といった図形全体の電子の流れを求める。なお、電子の流れを求める図形の全体をどのような範囲とするかについては、ユーザの選択次第である。従って、電子の流れとしては、電子によって帯電させる点への光電子供給状態が分かるようなものだけでもよく、ユーザが知りたいところに合わせた結果が出ればよい。
【0074】
そして、評価出力部56は、このようにして求まった電子の流れを、図5で示すように、電極を表す図形に前記矢印(ベクトル)で表される図を合成し、これを電子放出特性の評価結果として出力装置で出力する。上記合成を出力装置で出力することにより、ユーザは電子放出部61の電極形状および大きさに対する電子の流れを視覚的に確認することができる。
【0075】
なお、上記説明では基本領域として、四角a〜gという複数のメッシュを1グループとする領域を挙げたが、これに限らず、最細分化された領域であるメッシュ1つずつを基本領域としてメッシュ毎に同様のベクトル和を行えば、細かく電子の流れを算出することができる。
【0076】
次に、上記の構成の電子放出特性評価装置51による電子放出特性評価方法の一連の処理を、図6および図7のフローチャートを用いて説明する。
【0077】
図6は、電子放出特性評価方法のうち、シミュレーションを行うための条件設定処理についてのフローチャートである。まずS1で、入力部52が、電子を放出する電子放出部61の断面形状について、CADなどの図面作成ソフトを用いた図形データの入力環境をユーザに提供し、入力を受け付ける。既に電子放出部61の断面形状が入力されている場合には、入力部52はその断面形状のデータを読み込む。次にS2で、メッシュ設定部53が、シミュレーションを行う場合の線密度の大きさを入力するメッシュ設定環境をユーザに提供し、入力を受け付ける。次にS3では、メッシュ設定部53が、S2で入力された線密度に基づき物体形状を細分化(メッシャー)する。
【0078】
次に光源設定部54が光源設定環境をユーザに提供し、S4では光源の種類、および物体と光源との位置関係、S5では光源の強度といったように、S1で入力された物体の形状、および、S3でメッシュに分割された物体の形状の位置に基づいた、ユーザによる上記項目の入力(例えば光源の強度は数値入力)を受け付ける。次にS6では、材質設定部55が材質設定環境をユーザに提供し、ユーザが、S1で入力された物体の材質、および、その材質にメッキなどの表面加工が施されている場合には表面のメッキの材質などを入力すると、これを受け付ける。このS6での入力は、評価出力部56がどのデータテーブルを選択するかの判断基準となるステップである。S1からS6までのステップにより、電子放出部61から光電子の放出に伴う電子の流れのシミュレーションを行うに当たり、必須の条件入力が完了したこととなり、これらの入力条件に基づいてシミュレーションが実行される。
【0079】
次に、図7は、電子放出特性評価方法のうち、評価出力部56により電子の流れを求める処理に対応したフローチャートである。
【0080】
S11では、前述のS5で入力された電子放出部61の材質を判別し、S12で、判別した材質に適合するデータテーブルを決定する。データテーブルの決定は前述のS6の結果により複数の中から選択することによって行うようになっているが、選択方法としては、S6で入力された電子放出部61の材質を入力した時点で自動選別する構成であってもよいし、ユーザによる手動選択の入力環境を提供するようになっていてもよい。次に、決定したデータテーブルを参照してデータを抽出する処理を開始するが、まずS13で、図6の処理で入力された条件に対応する実験データの有無を確認する。実際の実験により得られたデータが存在する場合にはS14で実際の実験データを抽出し、実験データの存在しない場合にはS15でデータテーブルを参照する。そして、前述した図5の処理に移行する。なお、S13〜S15においては、部分的であっても実験データが存在する部分については実際の実験データを用い、実験データが存在しない部分に関してはデータテーブルを用いるようにしてもよく、これにより、さらに現実に近いシミュレーションが可能となる。
【0081】
本実施の形態に係る電子放出特性評価装置51およびその電子放出特性評価方法によれば、ユーザは条件の入力から評価結果の出力を得るまで、特に図形をメッシュに分割するにも、光源の状態を設定するにも、物体の形状を表す図形全体を意識するだけでよい。ユーザは、自分が考えた構成の電子放出部全体の形状について、光電効果によりどのような電子の流れが期待できるかを早く知りたいので、電子放出特性の評価を行う上で、条件の入力から評価結果の出力を得るまで、図形全体を意識しさえすればよいことは非常に好ましい。
【0082】
従って、光電効果により電子を放出する電子放出部に様々な形状や大きさのものが考えられても、電子放出部を試作することなくその電子放出特性を評価することができ、開発に費用も時間もかからない。この結果、光照射された物体の電子放出特性を費用を抑制して短時間で知ることができる。
【0083】
また、電子放出部から放出された電子は外部の電界などの作用により流動する。このような場合、物体形状の一部にでも最適でない部分があれば、電子の流れを阻害することが考えられる。また、適切でない部分では光を受光しているにも係わらず、電子の発生率が著しく良くない場合が考えられる。
【0084】
そこで、電子放出特性評価装置51において、評価出力部56が、求めた電子の流れを、例えば各基本領域に対して求めた矢印(ベクトル)をそのまま図示するといったように、基本領域毎の現象を視覚的に確認することができるように図形に合成するとよい。このようにすると、基本領域毎の現象を視覚的に確認することができるので、小さな領域単位で電子放出特性の評価結果を得ることができる。従って、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが可能となり、最適な電子放出特性を有する電子放出部の形状設計が可能となる。
【0085】
また、評価出力部56が、図形の特定の位置に到達する電子の総量を求めて出力するようにすれば、物体から放出された光電子が実際に必要となる特定の位置でどのような量になるかを知ることができる。従って、得られる特定の位置での電子量を、光電効果により電子を放出する製品に反映することが可能となり、開発期間のさらなる短縮が可能となる。
【0086】
また、評価出力部56は、求めた電子の流れを図形上にベクトルで表示したものを、物体の電子放出特性の評価結果とするので、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが容易になりそれだけ最適な電子放出部の形状設計が容易になる。
【0087】
また、本実施の形態では、以上に述べた電子放出特性評価方法は、コンピュータに実行させるためのプログラムで実現することができる。これによれば、前記の電子放出特性評価方法をコンピュータが実行することができるので、該電子放出特性評価方法をコンピュータで実現される汎用的なものとすることができる。また、このプログラムを記録媒体にコンピュータ読み取り可能に記録することもできる。これによれば、上記プログラムを容易にコンピュータに提供することができる。
【0088】
なお、本実施の形態では、この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理が行われるために図示していないメモリ、例えばROMのようなものそのものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであっても良い。
【0089】
いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であっても良いし、あるいは、いずれの場合もプログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0090】
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically
Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であっても良い。
【0091】
また、本実施の形態においては、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であることから、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であっても良い。なお、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。
【0092】
上記記録媒体がコンピュータシステムに備えられるプログラム読み取り装置により読み取られることで、上述した電子放出特性評価方法が実行される。
【0093】
コンピュータシステムは前述したような構成であるが、さらに、ネットワークを介してサーバーなどに接続するための通信手段としてのモデムなどが備えられていてもよい。
【0094】
次に、以上のようにして電子放出特性を評価した結果に基いて作製した現像装置の実施例を、以下に述べる。
【0095】
〔実施例1〕
実施例1について図8および図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。まず、実施例1に係る現像装置の概略構成を、図8を参照して説明する。
【0096】
現像装置10は、図8に示すように、感光体ドラム2と対向するように配置され、該感光体ドラム2の表面に形成される静電潜像を、現像剤として例えば1成分系の非磁性よりなるトナー(現像剤)を用いて現像する。現像装置10は、トナーを収容する容器状の現像槽11、供給ローラ(現像剤供給手段)12、現像ローラ(現像剤担持体)13、およびトナー規制ブレード(層厚規制ブレード)14を備えた構成となっている。
【0097】
供給ローラ12は、現像装置10内に配置されており、現像ローラ13と互いの外周面同士が対面するように回転可能に連設され、現像槽11内のトナーを現像ローラ13の外周面に供給する。
【0098】
現像ローラ13は、現像装置10内に感光体ドラム(潜像保持体)2と対向する箇所にて回転可能に配置されており、供給ローラ12により供給されたトナーを感光体ドラム2に向けて担持搬送する。
【0099】
トナー規制ブレード14は、現像ローラ13の回転方向に対し、供給ローラ12の下流側、かつ感光体ドラム2の上流側にて現像ローラ13と接触して配置され、現像ローラ13表面に形成されるトナー層を層厚規制する。
【0100】
さらに、現像装置10は、感光体ドラム2に供給されるトナーを所定の電荷量に帯電させるためのトナー帯電手段(現像剤帯電手段)として、トナー規制ブレード14の一部に具備された電子放出部15と、該電子放出部15に対して紫外線を照射する紫外線照射器(光源、光照射手段)16とを備えている。このトナー帯電手段の詳細については後述する。
【0101】
ここで、上記現像装置10を備えた電子写真装置におけるプロセス部を簡単に説明する。
【0102】
上記プロセス部は、図8に示すように、主に感光体ドラム2、帯電ローラ3、露光手段(図示せず)、現像装置10、転写用放電ローラ4、クリーニング手段(図示せず)、除電手段(図示せず)、定着ローラ5からなる。また、図8中において、Pは記録用紙、Lは上記露光手段から照射されて感光体ドラム2表面に静電潜像を書き込む光ビームを示している。
【0103】
感光体ドラム2は、所定方向(図8に示す矢印A方向)に回転しており、まず、その外周表面が帯電ローラ3によって均一帯電される。均一帯電された感光体ドラム2の表面には、露光手段により画像データに応じて制御される光ビームLが照射され、静電潜像が形成される。
【0104】
感光体ドラム2上に形成された上記静電潜像は、感光体ドラム2の回転によって、現像装置10と対向する位置まで移動し、該現像装置10によってトナーを供給されて可視化される(感光体ドラム2上にトナー像が形成される)。このとき、現像装置10の現像ローラ13は、感光体ドラム2に供給するトナーを担持搬送するために所定方向(図8に示す矢印B方向)に回転している。
【0105】
尚、実施例1では、感光体ドラム2は、有機光半導体で構成されており、−700V(帯電ローラ3による帯電量)に帯電して、周速度が50mm/sでA方向に回転している。現像ローラ13は、円筒状の導電性ゴム弾性材料で構成されており、−400Vの現像バイアスが印加されて感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。供給ローラ12は、円筒状の発泡性ゴム弾性材料で構成されており、感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。
【0106】
転写用放電ローラ4は、感光体ドラム2上に現像によって形成されたトナー像を用紙Pに転写する。感光体ドラム2の回転方向における転写用放電ローラ4の下流側には、さらにクリーニング手段および除電手段が配置され、該クリーニング手段は転写後の感光体ドラム2表面の残留トナーを除去し、該除電手段は感光体ドラム2表面を除電する。
【0107】
トナー像が転写された後の用紙Pは定着ローラ5に搬送され、該用紙Pが上下一対の定着ローラ5の間を通過する際に加熱および加圧を受け、トナー像が用紙P上に定着される。
【0108】
次に、現像装置10における現像の詳細過程を説明する。
【0109】
現像装置10では、上述したように、供給ローラ12より現像ローラ13表面にトナーを順次供給して、現像ローラ13がトナーを保持した状態で回転運動する。これにより、現像ローラ13によって搬送されるトナーが現像ローラ13とトナー規制ブレード14の接触領域Wsとの間に案内され、現像ローラ13上のトナーの層厚が規制される。尚、接触領域Wsは、トナー規制ブレード14の先端に設けられている。
【0110】
トナー規制ブレード14によって現像ローラ13上に層厚規制されたトナーは、トナー帯電手段を構成する電子放出部15および紫外線照射器16によって、電荷を与えられ、現像に必要な帯電量まで帯電される。すなわち、トナー規制ブレード14に形成された電子放出部15に対して紫外線照射器16から紫外線を照射することによって、光電効果によって電子放出部15から光電子が誘起される。この光電子は現像ローラ13上のトナーに向けて放出され、トナーが所望の帯電量に帯電する。尚、上記紫外線照射器16の発光は、現像ローラ13の回転と同期させれば、電力消費の増加につながる不必要な発光を抑制でき好ましい。また、図示はしていないが、電子放出部15と紫外線照射器16との間は、トナーが入り込んで光照射の障害とならないようにシールされることが好ましい。
【0111】
上記構成のトナー帯電手段において、電子放出部15は、トナー規制ブレード14上の接触領域Wsとは別の位置に形成されており、電子放出部15は現像ローラ13上のトナーとは非接触となっているため、トナーに対して無負荷の状態で帯電を行うことができる。このため、現像装置10では、トナー規制ブレード14は、現像ローラ13に対して少なくともトナーの層厚規制に必要な程度の力にて圧接されていればよく、トナー規制ブレード14によるトナーへの加圧力および熱的負荷を大幅に低減することができる。
【0112】
また、電子放出部15の形成領域は、現像ローラ13とは完全に非接触であるため、その表面粗さがトナーの層形成に及ぼすことはなく、該電子放出部15の表面粗さが設計上の制約を受けることはない。
【0113】
上記トナー帯電手段によって所定の帯電量まで帯電されたトナーは、さらに現像ローラ13の回転によって感光体ドラム2との対向部まで送られ、感光体ドラム2の表面上の静電潜像に対して、静電的に供給され、該静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。
【0114】
続いて、上記トナー規制ブレード14の具体的構成を、図9(a)および(b)を参照して説明する。
【0115】
トナー規制ブレード14は、例えば、基材としてSUSの金属(すなわち、導電性基材)を使用しており、電子放出部15が形成される領域では、図9(a)および(b)に示すように、エッチング加工等により複数の開口部151が設けられている。さらに、電子放出部15が形成される領域には、光電面152として薄膜のアルミニウムが例えば蒸着によって積層されている。
【0116】
図9(a)の記載では、上記開口部151は、円形状の小径穴が多数形成された構成となっているが、本実施例においては開口部151の形状は特に限定されるものではなく、四角や三角の形状であってもよく、また、スリット形状の開口部であってもよい。
【0117】
また、光電面152を形成する材料は、上述のようなアルミニウムに限定されるものではなく、光の照射を受けたときに光電効果が生じるものであれば、この他にTa等の金属、Mg−Ag等の合金、半導体、導電ポリマーなどであってもよい。また、上記光電面152は、トナー規制ブレード14において、必ずしも図9(b)に示すように両面に形成されている必要はなく、少なくとも紫外線照射器16との対向面側に形成されていればよい。
【0118】
さらに、上記電子放出部15に照射される光は、上述のような紫外線に限定されるものではなく、光電面152を形成する材料に対して光電効果を起こしうる波長を有するものであれば、可視光線やX線等であってもよい。
【0119】
上記構成のトナー規制ブレード14において、電子放出部15の光電面152に紫外線が照射されると、該光電面152にて光電効果による光電子が誘起される。この光電子は、主に、紫外線の照射面側、すなわち、紫外線照射器16との対向面側において発生するものであるが、発生した光電子の一部は、電子放出部15の開口部151を通って現像ローラ13との対向面側からトナーに向けて放射され、トナーの帯電に寄与する。
【0120】
また、電子放出部15において、該電子放出部15が電気的にフロートの状態であれば、電子放出部15の光電面152が光電子を放出しつづけることができないことは容易に理解できる。このような場合、電子放出部15は、光電面152から放出した分の電子を外部から供給可能な構成とすればよい。ここで、上記電子放出部15は、SUSからなるトナー規制ブレード14の基材上に光電面152としてアルミニウム薄膜を蒸着した構成であるため、トナー規制ブレード14の基材を接地することにより上記構成は容易に実現できる。トナー規制ブレード14上の接触領域Wsと現像ローラ13との間にはトナーが介在するので、聾者の間に電圧を印加することができる。
【0121】
このように、実施例1に係る現像装置10は、トナー規制ブレード14の圧接力を従来の摩擦帯電方式を用いた現像装置に比べ大幅に低減することができる。これにより、トナー規制ブレード14によるトナーへの加圧力および熱的負荷が大幅に低減され、トナー破壊やトナー規制ブレード14へのトナー融着といった不具合を回避できる。
【0122】
〔実施例2〕
実施例2について図10ないし図14に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0123】
上記実施例1に係る現像装置10では、光電効果によって光電面152から誘起された光電子は、電子放出部15の開口部151を通って現像ローラ13との対向面側からトナーに向けて放射される。しかしながら、上記構成において、トナー規制ブレード14の光照射面側で発生する光電子は、開口部151を通過するとは限らず、該開口部151を通過しない光電子が存在する場合は、通過しない光電子がトナーの帯電には寄与しないことがある。
【0124】
実施例2では、現像装置においてトナー帯電効率を向上させることのできる好適例を説明する。
【0125】
実施例2に係る現像装置10’は、図10に示すように、現像装置10の構成においてトナー規制ブレード14をトナー規制ブレード14’に代えると共に、該トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加する構成となっている。このため、トナー規制ブレード14’はバイアス印加手段19と接続されている。このバイアス印加手段19は、トナー規制ブレード14’の基材に接続する構成とすることができる。また、現像ローラ13側のバイアス印加手段20は、感光体ドラム2と現像ローラ13との間で現像バイアスを印加するためのバイアス印加手段をそのまま兼用することができる。現像装置10’においてその他の構成は現像装置10と同じである。
【0126】
トナー規制ブレード14’の具体的構成を、図11(a)および(b)を参照して説明する。
【0127】
トナー規制ブレード14’は、トナー規制ブレード14とほぼ同様の構成であるが、図11(b)に示すように、現像ローラ13との接触領域Wsにおいて絶縁層17および金属層18が設けられている点が異なっている。尚、トナー規制ブレード14’上に形成される電子放出部15の構成は、トナー規制ブレード14と同様の構成である。
【0128】
現像装置10’では、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加するため、トナー規制ブレード14の導電性基材と現像ローラ13とが直接接触する構成であれば、トナー規制ブレード14と現像ローラ13との間が導通してしまい上述のような電気的バイアスを印加することができない。
【0129】
すなわち、絶縁層17は、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’の基材との間を絶縁するために設けられるものであり、例えば、上記基材の上に厚さ80μmのフッ素樹脂層として形成される。
【0130】
また、金属層18は、現像ローラ13の表面において均一なトナー層が形成されるように、現像ローラ13との接触面において適切な硬度や表面粗さを提供するものである。金属層18としては、例えば、厚さ20μmのSUSの金属層が積層される。
【0131】
尚、現像ローラとトナー規制ブレードとの間を絶縁する構成としては、上述のようにトナー規制ブレード側に絶縁層を設ける構成に限定されるものではなく、導電性基材からなる現像ローラの外周層に、例えばゴム等の絶縁層を設ける構成であってもよい。
【0132】
上記構成の現像装置10’では、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加することにより、以下の2つの作用によって帯電効果を向上させることができる。
【0133】
まず、第1の作用として、上記電気的バイアスを印加することで、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電界が発生する。このとき、トナー規制ブレード14’の電子放出部15における開口部151付近では図12に示すような電気力線(図中、破線にて示す)が発生する。
【0134】
このため、電子放出部15の光電面152において、開口部151付近で発生した光電子は、上記電気力線に沿って移動し、開口部151を通過して現像ローラ13側に引き寄せられる。すなわち、発生した光電子をトナーの帯電に効率的に使用できる。
【0135】
次に、第2の作用として、現像ローラ13側に引き寄せられた光電子は、上記電界の作用によって加速される。そして加速された電子が、気体分子に衝突すると、該気体分子が電子を放出してイオン化する。このとき、気体分子より放出された電子も同様の作用を生じるため、気体中の電子が急激に増加する、いわゆる電子なだれの現象が発生する。この電子なだれによって生じた電子もトナーの帯電に寄与するため、帯電効率が大幅に向上する。
【0136】
ここで、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’間の電気的バイアスは、電界強度が0.5〜2.5×106(V/m)となる範囲で印加されている。
【0137】
このときの、所望の帯電量(−2.0×10−2 μC/kgとする)が得られるときの電界強度とプロセス速度の関係を図13に示す。図13から明らかなように、上記電気的バイアスの電界強度を上げることによって所望の帯電量が得られるプロセス速度も向上しており、上記範囲の電気的バイアスを印加する場合、プロセス速度50mm/s〜200mm/s相当までトナー帯電が可能となる。
【0138】
実施例2に係る現像装置10’の構成において、トナー規制ブレード14’による加圧力と、トナーの帯電特性との関係を図14に示す。このとき、電子放出部15における開口部151のパターン条件は、開口率が40%、開口部151の穴形がφ200μmとなっている。紫外線照射器16は、波長254nmの紫外光を照射している。尚、上記開口率とは、電子放出部15の形成領域の面積に対する開口部151の面積の比率を示す。さらに、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’間には5×10−6V/mの電気的バイアスが印加されている。
【0139】
図14より、従来の摩擦帯電方式では、トナーの所望の帯電量を得るためには、約196kPaの加圧力が必要であることが分かる。これに対し、本実施例の帯電方式では、従来の摩擦帯電方式に必要な加圧力の1/4、すなわち約49kPaの加圧力で所望の帯電量が得られている。
【0140】
〔実施例3〕
実施例3について図15に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0141】
実施例1および2では、トナー規制ブレード14またはトナー規制ブレード14’の電子放出部15において、開口部151のブレード断面における形状(図9(b)参照)が直方形状となっている。すなわち、実施例1および2における電子放出部15の開口部151では、光照射面側の開口面積と、現像ローラ13との対向面側の開口面積とが等しくなっている。
【0142】
これに対し、実施例3に係るトナー規制ブレードは、電子放出部における開口部の形状を、光照射面側の開口面積を、現像ローラ13との対向面側の開口面積より大きくすることで、電子放出部15における受光領域の面積を拡大し、光電子の発生量の増加を図っている。
【0143】
本実施例3における上記トナー規制ブレードの一例を図15(a)および(b)に示す。
【0144】
図15(a)および(b)に示すトナー規制ブレード21は、例えば、基材としてSUSの金属(すなわち、導電性基材)を使用しており、その一部に電子放出部22が形成されている。電子放出部22では、複数の開口部221が設けられており、さらに、光電面222として薄膜のアルミニウムが例えば蒸着によって積層されている。
【0145】
ここで、上記開口部221は、光照射面側の開口直径φ1と、現像ローラ13との対向面側の開口直径φ2とがφ1>φ2となるようなすり鉢形状となっている。尚、上記形状の開口部221をトナー規制ブレード21に形成することは、例えば片面エッチングによって容易に形成可能である(尚、図9に示すようなストレート穴は両面エッチングを行った場合に得られる)。また、上記光電面222は、電子放出部22において、少なくとも光照射面側と開口部221の内面とに形成されていればよい。
【0146】
電子放出部22をこのような形状とした場合、電子放出部22へ照射された光は、光電面222と開口部221の内面とによって受光される。このため、電子放出部22における受光領域の面積を拡大でき、光電子の発生量を増加させてトナー帯電の安定化を図ることができる。
【0147】
但し、上記開口部221は、(光照射面側の開口面積)>(現像ローラ13との対向面側の開口面積)の関係を満たしていれば、その形状は特に限定されるものではないことは、実施例1および2における電子放出部15の場合と何ら変わりはない。
【0148】
上記トナー規制ブレード21は、実施例1に係る現像装置10のように、トナー規制ブレード21と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加しない構成であってもよい。しかしながら、実施例2に係る現像装置10’のように、現像ローラ13との接触領域Wsに絶縁層を設け、トナー規制ブレード21と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加する構成に対応させることが好適である。
【0149】
〔実施例4〕
実施例4について図16および図17に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0150】
上記実施例1ないし4に係る現像装置は、トナー帯電手段における電子放出部をトナー規制ブレードの一部に設けた構成である。このような構成では、上記電子放出部における光電膜を形成するための部材を新たに設ける必要がなく、現像装置の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0151】
一方で、上記構成の現像装置では、トナー帯電手段によって帯電が施されるトナーは、現像ローラ13上に層厚規制された後のトナーである。このため、現像ローラ13上に層形成されているトナーのうち、外周部側におけるトナーはトナー帯電手段から放出される電子を多く受け取りその帯電量は多くなるが、内周部側のトナーの帯電量は小さくなる。すなわち、最終的なトナー帯電の均一性が低くなる。
【0152】
これに対し、本実施例4に係る現像装置は、トナー帯電手段の位置を実施例1ないし4に係る現像装置と異ならせることにより、トナー帯電の均一性を高める上で好適な構成を示すものである。
【0153】
本実施例4に係る現像装置30は、図16に示すように、感光体ドラム2と対向するように配置され、該感光体ドラム2の表面に形成される静電潜像を、現像剤として例えば1成分系の非磁性よりなるトナーを用いて現像する。現像装置30は、ホッパー31、現像槽32、および帯電槽33を備えている。
【0154】
ホッパー31は、現像装置30の最上流に位置する槽であり、未帯電のトナーを貯蔵している。現像槽32は、感光体ドラム2に供給されるトナーを収容する槽であり、供給ローラ34、現像ローラ35、およびトナー規制ブレード36を備えた構成となっている。
【0155】
供給ローラ34および現像ローラ35は、互いの外周面同士が対面するようにそれぞれ回転可能に連設されている。そして、供給ローラ34は現像槽32内のトナーを現像ローラ35の外周面に供給し、現像ローラ35は供給ローラ34により供給されたトナーを感光体ドラム2に向けて担持搬送する。トナー規制ブレード36は、現像ローラ35の回転方向に対し、供給ローラ34の下流側、かつ感光体ドラム2の上流側にて現像ローラ35と接触して配置され、現像ローラ35表面に形成されるトナー層を層厚規制する。
【0156】
帯電槽33は、ホッパー31の下流、かつ現像槽32の上流に配置されており、ホッパー31から現像槽32に向けて補給されるトナーに対してトナー帯電を施す槽である。すなわち、ホッパー31は、現像槽32においてトナー無しが検出された場合、トナー補給ローラ37を回転させ、現像槽32に向けてトナー補給を行う。このとき、ホッパー31から現像槽32へ補給されるトナーは、必ず帯電槽33を通過し、該帯電槽33にてトナー帯電が行われる。
【0157】
このため、帯電槽33は、光の照射を受けることにより自らの電子を誘起させてその電子を放出するトナー帯電ローラ(帯電部材)38と、該トナー帯電ローラ38に紫外線を照射する冷陰極ガラスランプ39からなるトナー帯電手段をその内部に有している。上記トナー帯電手段の詳細については後述する。
【0158】
ここで、上記現像装置30を備えた電子写真装置におけるプロセス部を簡単に説明する。
【0159】
上記プロセス部は、図16に示すように、主に感光体ドラム2、帯電ローラ3、露光手段(図示せず)、現像装置30、転写用放電ローラ4、クリーニング手段(図示せず)、除電手段(図示せず)、定着ローラ5からなる。また、図16中において、Pは記録用紙、Lは上記露光手段から照射されて感光体ドラム2表面に静電潜像を書き込む光ビームを示している。
【0160】
感光体ドラム2は、所定方向(図16に示す矢印A方向)に回転しており、まず、その外周表面が帯電ローラ3によって均一帯電される。均一帯電された感光体ドラム2の表面には、露光手段により画像データに応じて制御される光ビームLが照射され、静電潜像が形成される。
【0161】
感光体ドラム2上に形成された上記静電潜像は、感光体ドラム2の回転によって、現像装置30と対向する位置まで移動し、該現像装置30によってトナーを供給されて可視化される(感光体ドラム2上にトナー像が形成される)。このとき、現像装置30の現像ローラ35は、感光体ドラム2に供給するトナーを担持搬送するために所定方向(図16に示す矢印B方向)に回転している。
【0162】
尚、本実施例4では、感光体ドラム2は、有機光半導体で構成されており、−700V(帯電ローラ3による帯電量)に帯電して、周速度が50mm/sでA方向に回転している。現像ローラ35は、円筒状の導電性ゴム弾性材料で構成されており、−400Vの現像バイアスが印加されて感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。供給ローラ34は、円筒状の発泡性ゴム弾性材料で構成されており、感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。
【0163】
転写用放電ローラ4は、感光体ドラム2上に現像によって形成されたトナー像を用紙Pに転写する。感光体ドラム2の回転方向における転写用放電ローラ4の下流側には、さらにクリーニング手段および除電手段が配置され、該クリーニング手段は転写後の感光体ドラム2表面の残留トナーを除去し、該除電手段は感光体ドラム2表面を除電する。
【0164】
トナー像が転写された後の用紙Pは定着ローラ5に搬送され、該用紙Pが上下一対の定着ローラ5の間を通過する際に加熱および加圧を受け、トナー像が用紙P上に定着される。
【0165】
次に、現像装置30における現像の詳細過程を説明する。
【0166】
上記現像槽32でトナー無しが検出された場合、ホッパー31内部に設置されているトナー補給ローラ37が回転され、未帯電トナーがホッパー31から帯電槽33内へ送り込まれる。トナー補給ローラ37には、例えば発砲ウレタンローラが用いられる。
【0167】
帯電槽33では、トナー帯電手段を構成するトナー帯電ローラ38および冷陰極ガラスランプ39によって、電荷を与えられ、現像に必要な帯電量まで帯電される。すなわち、トナー帯電ローラ38に形成された電子放出部に対して冷陰極ガラスランプ39から光を照射することによって、光電効果によって上記電子放出部から光電子が誘起される。この光電子は帯電槽33内を通過するトナーに向けて放出され、該トナーが所望の帯電量まで帯電される。尚、上記冷陰極ガラスランプ39の発光は、トナー補給ローラ37の回転と同期させれば、電力消費の増加につながる不必要な発光を抑制でき好ましい。
【0168】
上記構成の帯電槽33において、トナー帯電ローラ38および冷陰極ガラスランプ39からなるトナー帯電手段は、該帯電槽33を通過するトナーに対して光電効果によって発生する光電子を放出して、その光電子をトナーに降り注ぐことによってトナー帯電を行っている。このため、トナー帯電手段に対し非接触の状態で帯電槽33を通過するトナーに対しても帯電を行うことができる。すなわち、トナーに対して無負荷で帯電を行うことができる。
【0169】
また、上記トナー帯電手段は現像ローラ13とは完全に非接触であり、該トナー帯電手段における電子放出部の表面粗さがトナーの層形成に及ぼすことはない。したがって、上記トナー帯電手段は、トナーに対して無負荷で帯電を行うことができると共に、電子放出部の表面粗さが設計上の制約を受けることはない。
【0170】
帯電槽33の上記トナー帯電手段によって所定の帯電量まで帯電されたトナーは、現像槽32へ送られる。現像槽32では、上述したように、供給ローラ34より現像ローラ35表面にトナーを順次供給して、現像ローラ35がトナーを保持した状態で回転運動する。これにより、現像ローラ35によって搬送されるトナーが現像ローラ35とトナー規制ブレード36の接触領域との間に案内され、現像ローラ35上のトナーの層厚が規制される。
【0171】
このとき、現像ローラ35とトナー規制ブレード36の接触領域との間に案内されるトナーは、帯電槽33において既に帯電状態とされているため、トナー規制ブレード36は、現像ローラ35に対して少なくともトナーの層厚規制に必要な程度の力にて圧接されていればよく、トナー規制ブレード35によるトナーへの加圧力および熱的負荷を大幅に低減することができる。
【0172】
現像ローラ35に層形成されたトナーは、さらに現像ローラ35の回転によって感光体ドラム2との対向部まで送られ、感光体ドラム2の表面上の静電潜像に対して、静電的に供給され、該静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。
【0173】
続いて、上記帯電槽33内に備えられるトナー帯電手段の具体的構成を、図17(a)ないし(c)を参照して説明する。
【0174】
上記トナー帯電手段は、図17(a)に示すように、帯電槽33内に備えられており、円筒形状のトナー帯電ローラ38の内部に冷陰極ガラスランプ39を配置した構成となっている。尚、トナー帯電ローラの形状は円筒形状に限定されるものでなく角筒形状などであってもよい。
【0175】
トナー帯電ローラ38は、例えば、基材としてSUSの金属円筒(すなわち、導電性基材)を使用しており、電子放出部が形成される領域では、図17(b)および(c)に示すように、エッチング加工等により複数の開口部381が設けられている。さらに、電子放出部が形成される領域には、光電面382として薄膜のアルミニウムが例えば蒸着によって積層されている。
【0176】
尚、本実施例4では、上記電子放出部は、トナー帯電ローラ38の円筒側面の全面にて形成されているものとして説明を行うが、トナー帯電ローラ38の一部の領域に形成されるものであってもよい。例えば、後述の実施例7で説明するようなバイアス印加手段と組み合わせる場合には、該バイアスの印加領域(電極板との対向領域)にのみ電子放出部を形成する構成であってもよい。
【0177】
また、図17(b)の記載では、上記開口部381は、円形状の小径穴が多数形成された構成となっているが、本実施例においては開口部381の形状は特に限定されるものではなく、四角や三角の形状であってもよく、また、スリット形状の開口部であってもよい。
【0178】
また、光電面382を形成する材料は、上述のようなアルミニウムに限定されるものではなく、光の照射を受けたときに光電効果が生じるものであれば、この他にTa等の金属、Mg−Ag等の合金、半導体、導電ポリマーなどであってもよい。また、上記光電面382は、トナー帯電ローラ38において、必ずしも図17(c)に示すように両面に形成されている必要はなく、少なくとも冷陰極ガラスランプ39との対向面側(すなわち、トナー帯電ローラ38の内周面側)に形成されていればよい。
【0179】
さらに、トナー帯電ローラ38の上記電子放出部に照射される光は、光電面382を形成する材料に対して光電効果を起こしうる波長を有するものであれば、可視光線、紫外線、X線等を使用可能である。
【0180】
上記構成のトナー帯電手段によってトナー帯電を行う場合は、冷陰極ガラスランプ39を発光させることにより、トナー帯電ローラ38に形成された電子放出部に対し、該トナー帯電ローラ38の内面側から光を照射する。これにより、トナー帯電ローラ38の電子放出部において光電効果による光電子が誘起される。こうして発生した光電子の一部は、電子放出部の開口部381を通ってトナー帯電ローラ38の外周面より放射され、トナーの帯電に寄与する。
【0181】
また、電子放出部において、該電子放出部が電気的にフロートの状態であれば、電子放出部の光電面382が光電子を放出しつづけることができないことは容易に理解できる。このため、電子放出部は、光電面382から放出した分の電子を外部から供給可能な構成とする必要がある。ここで、上記電子放出部は、SUSからなるトナー帯電ローラ38の基材上に光電面382としてアルミニウム薄膜を蒸着した構成であるため、トナー帯電ローラ38の基材を接地することにより上記構成は容易に実現できる。
【0182】
本実施例4に係る現像装置30の構成において、トナー規制ブレード36による加圧力と、トナーの帯電特性との関係は、実施例2の図14に示される関係とほぼ同様となる。このとき、電子放出部における開口部381のパターン条件は、開口率が40%、開口部381の穴形がφ200μmとなっている。また、冷陰極ガラスランプ39は、波長254nmの紫外光を照射している。但し、この場合、トナー帯電ローラ38と電極板42(図20参照)との間には、後述の実施例6の構成によって5×10−6V/mの電気的バイアスが印加されているものとする。
【0183】
図14より、従来の摩擦帯電方式では、トナーの所望の帯電量(−2.0×10−2μC/kg)を得るためには、約196kPaの加圧力が必要であることが分かる。これに対し、本実施例の帯電方式では、従来の摩擦帯電方式に必要な加圧力の1/4、すなわち約49kPaの加圧力で所望の帯電量が得られている。
【0184】
このように、本実施例4に係る現像装置30は、トナー規制ブレード36の圧接力を従来の摩擦帯電方式を用いた現像装置に比べ大幅に低減することができる。これにより、トナー規制ブレード36によるトナーへの加圧力および熱的負荷が大幅に低減され、トナー破壊やトナー規制ブレード36へのトナー融着といった不具合を回避できる。
【0185】
尚、現像装置30では、上記トナー帯電手段がホッパー31と現像槽32との間に具備される帯電槽33内に配置されているが、該トナー帯電手段の配置箇所はこれに限定されるものではない。すなわち、上記トナー帯電手段は、現像ローラ35上に層形成される前の状態のトナーに対して帯電を行えるものであれば、その配置箇所は現像装置30内の任意の箇所であってもよい。具体的には、上記トナー帯電手段は、供給ローラ34の上流側に配置されていれば、現像ローラ35上に層形成される前の状態のトナーに対して帯電を行える。
【0186】
このように、上記トナー帯電手段によって帯電されたトナーが現像ローラ35上に層形成される前のものであれば、その後の層形成に至る過程において、トナーに攪拌作用が生じ、現像ローラ35上でのトナー帯電量は均一化される
また、本実施例4に係る現像装置30では、上記トナー帯電手段は、ホッパー31と現像槽32との間に具備される帯電槽33内に配置されている。このような構成では、現像装置内で浮遊落下する状態のトナーに対して帯電を行うこととなる。
【0187】
このような場合、上記トナー帯電手段によって帯電されるトナーは比較的散乱状態にある(凝集度が低い)ため、該トナー帯電手段は、落下するトナーに対し比較的均一に帯電を行うことができ、最終的なトナー帯電量の均一性がより向上する。
【0188】
〔実施例5〕
実施例5について図18および図19に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0189】
本実施例5に係る現像装置は、実施例5で説明したトナー帯電ローラ38に代えて、図18(a)ないし(c)に示すようなトナー帯電ローラ40を用いた構成である。すなわち、上記トナー帯電手段は、図18(a)に示すように、円筒形状のトナー帯電ローラ40の内部に冷陰極ガラスランプ39を配置した構成となっている。
【0190】
トナー帯電ローラ40は、図18(b)に示すように、基材として例えばガラス、石英ガラス、アクリル樹脂等の円筒形状の透明基材401を用いており、該透明基材401における外周面側に電子放出部402としての金属薄膜が形成されている構成である。もちろん、電子放出部402の材質は、光の照射を受けたときに光電効果が生じるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、AlやTa等の金属、Mg−Ag等の合金、半導体、導電ポリマーなどであってもよい。
【0191】
上記トナー帯電手段では、冷陰極ガラスランプ39から照射される光は、トナー帯電ローラ40の内周面側から該トナー帯電ローラ40に対して照射される。この照射光は、トナー帯電ローラ40の透明基材401を透過して電子放出部402に到達する。
【0192】
ここで、電子放出部402は、トナー帯電ローラ38における電子放出部とは異なり、開口部381を有していない。すなわち、電子放出部402は、光電面として作用する金属薄膜のみからなっている。
【0193】
尚、上記構成のトナー帯電ローラ40において、開口部381を有さない電子放出部402から放出される光電子が該トナー帯電ローラ40の外周面側から放出される作用については、先に説明した実施例4における電子放出部24と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。また、上記電子放出部402を形成する金属薄膜(アルミニウム膜)の膜厚は、実施例4にて説明した電子放出部24と同様に、透過率が40〜70%になるように最適化されていることが好ましい。
【0194】
また、トナー帯電手段におけるコストを低廉化するために、図19(a)および(b)に示すような構成も考えられる。この場合のトナー帯電手段は、図19(a)に示すように、冷陰極ガラスランプ39の外周面に、電子放出部41となる金属薄膜が直接形成されている構成である。すなわち、図19(b)に示すように、冷陰極ガラスランプ39のガラス管391の表面に電子放出部41となる金属薄膜が直接形成される。この構成では、トナー帯電ローラ40における透明基材401が必要なく、部材点数を減らしてコストの削減を図ることができる。
【0195】
もちろん、上記電子放出部41は、トナー帯電ローラ40における電子放出部402と同様、その材料はAu,Ta等の金属、Mg−Ag等の合金、半導体、導電ポリマーであってもよく、また、その膜厚は、透過率が40〜70%になるように最適化されていることが好ましい。
【0196】
本実施例5に係る現像装置の構成(図18または図19に示す構成)において、トナー規制ブレード36による加圧力と、トナーの帯電特性との関係は、実施例1の図14に示される関係とほぼ同様となる。このとき、冷陰極ガラスランプ39は、波長254nmの紫外光を照射している。
【0197】
図14より、従来の摩擦帯電方式では、トナーの所望の帯電量(−2.0×10−2μC/kg)を得るためには、約196kPaの加圧力が必要であることが分かる。これに対し、本実施例の帯電方式では、従来の摩擦帯電方式に必要な加圧力の1/4、すなわち約49kPaの加圧力で所望の帯電量が得られている。
【0198】
〔実施例6〕
実施例6について図20および図21に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0199】
本実施例6に係る現像装置30’は、図20に示すように、現像装置30の構成において帯電槽33の内面側壁に電極板42を設け、トナー帯電ローラ38と電極板42とをバイアス印加手段43に接続することによって、トナー帯電ローラ38と電極板42との間に電気的バイアスを印加する構成となっている。現像装置30’においてその他の構成は現像装置30と同じである。
【0200】
上記構成の現像装置30’では、トナー帯電ローラ38と電極板42との間に電気的バイアスを印加することにより、実施例2で説明したのと同様の作用によって上記トナー帯電手段における帯電効果を向上させることができる。すなわち、上記電気的バイアスを印加することによって発生する電界の作用により、電子放出部から放出される光電子の利用率を高める作用と、電子なだれの作用とによって帯電効率を向上させることができる。
【0201】
ここで、トナー帯電ローラ38と電極板42との間の電気的バイアスは、電界強度が0.5〜2.5×106(V/m)となる範囲で印加されている。
【0202】
このときの、所望の帯電量(−2.0×10−2μC/kgとする)が得られるときの電界強度とプロセス速度の関係を図21に示す。図21から明らかなように、上記電気的バイアスの電界強度を上げることによって所望の帯電量が得られるプロセス速度も向上しており、上記範囲の電気的バイアスを印加する場合、プロセス速度50mm/s〜150mm/s相当までトナー帯電が可能となる。
【0203】
尚、上記説明において、現像装置30’は、電極板42およびバイアス印加手段43を図17に示すトナー帯電手段と組み合わせた構成を示すものであるが、図18または図19に示すトナー帯電手段と組み合わせる構成とすることも可能である。ここで、電極板42およびバイアス印加手段43を図17に示すトナー帯電手段と組み合わせる場合は、バイアス印加手段43はトナー帯電ローラ38の基材に接続する構成とすることができる。
【0204】
一方、電極板42およびバイアス印加手段43を図18または図19に示すトナー帯電手段と組み合わせる場合は、バイアス印加手段43はトナー帯電ローラ40の電子放出部402あるいは冷陰極ガラスランプ39表面に形成される電子放出部41と直接接続される、もしくは、電子放出部402または電子放出部41の下層に例えばITO(Indium Tin Oxide)からなる透明導電層を形成し、該透明導電層を介して接続される。
【0205】
尚、上記各実施例の説明において、トナーは非磁性一成分トナーを用いる場合を説明したが、各実施例の現像装置において使用可能なトナーは非磁性一成分トナーに限定されるものでなく、磁性トナーや二成分のトナーであってもよい。但し、各実施例の現像装置は、トナーへの熱的負荷を低減しトナーの破壊やブレードへの融着を防止することを目的としているものであり、特にトナー融着の問題が顕著に発生する非磁性一成分トナーに適用する場合に好適な効果が得られる。
【0206】
また、上記各実施例の説明においては、トナーの帯電は主にトナー帯電手段によって行い、トナー規制ブレードの現像ローラへの圧接力はトナーの層厚規制に必要となる最小限の圧接力に設定されるものとしている。
【0207】
しかしながら、現像装置はこれに限定されるものではなく、トナー帯電手段をトナー帯電に関し補助的に用いるものであってもよい。すなわち、この場合は、トナー規制ブレードの現像ローラへの圧接力がトナーの破壊やブレードへの融着といった問題が生じない範囲での最大の圧接力に設定され、このときの摩擦帯電による帯電量に対して所望の帯電量に不足する分をトナー帯電手段にて付加する構成となる。
【0208】
このように、トナー帯電手段をトナー帯電に関し補助的に用いる構成では、該トナー帯電手段において要求される帯電能力が小さく設定できるため、該トナー帯電手段にかかるコストを削減できる。
【0209】
尚、トナー帯電手段における帯電能力とトナー規制ブレードの現像ローラへの圧接力との関係は、トナー帯電手段によるトナー帯電量とトナー規制ブレードの摩擦帯電によるトナー帯電量との和が最終的に必要な所望の帯電量に到達していればよい。すなわち、トナー帯電手段によるトナー帯電量とトナー規制ブレードの摩擦帯電によるトナー帯電量との比率は、トナーの破壊やブレードへの融着といった問題が生じない範囲で任意に設定可能である。
【0210】
また、光照射手段は、上記各実施例で用いられている紫外線照射器16や冷陰極ガラスランプ39に限定されるものではなく、光電効果を誘起できる光を照射できるものであれば特に限定されない。但し、上記光照射手段は熱量発生の少ない光源が好ましく、紫外線照射器や冷陰極ガラスランプ以外にキセノンランプ等が好適に使用できる。
【0211】
また、上記各実施例における電子放出部は、トナーを帯電するための放出電子を光電効果によって得ているが、電子放出部を加熱して電子を放出させる熱電効果(熱電子放出)を利用することも原理的には可能である。但し、各現像装置は、トナーにかかる熱的負荷を低減することを目的とするものであり、発熱のない光電効果を利用することが好適であるのはいうまでもない。
【0212】
以上、実施例1ないし6について述べた。
【0213】
前述のシミュレーションで得られた電子放出特性を基に、評価結果を実施例1ないし6のような各現像装置に適用すると、装置に最適な電子放出部の開口形状を決定することができる。
【0214】
実機で実験を行ったところ、両面からのエッチング加工(ストレート)で加工されたグリッド電極に光電面から放出される電流密度は、100nA/cm2である。なお、グリッド電極とグランドプレートとの間に、8×106V/mの電界強度を印加している。また、この両面エッチング加工のグリッド電極に対するシミュレーションから得られた値“k”は「−0.8」である。
“k”は次の式で表せことができる。
【0215】
【数1】
【0216】
ここで、
V : グリッド電極に印加する電圧
n : メッシュに分割した個数
Ey : 電界ベクトルの y 成分
である。
【0217】
次に比電荷を変化させた時の “k” を表2に示す。
【0218】
【表2】
【0219】
上記の表から “k”値として、−0.32以下であれば良く、−1.2 < “k” < −0.8 が望ましい。
【0220】
また、電流密度の計算方法(トナーの帯電量を20μC/gとする場合)について以下に説明する。現像スリーブ上に 0.5mg/cm2 のトナーが存在し、このトナーを20μC/gに帯電させるのに必要な電荷量は、10×10−9 C/cm2となる。20PPMの現像スリーブの移動速度を100msec、光電面の幅を1cmとすると、必要な電流密度は100nA/cm2となる。
【0221】
【発明の効果】
本発明の電子放出特性評価装置は、以上のように、物体の形状を表す図形のデータの入力環境を提供する入力手段と、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形を、表示装置で視覚的に確認しながらメッシュに分割することができるように、線密度の設定入力を受け付けてメッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境を提供するメッシュ設定手段と、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体の材質もしくは上記物体の表面材質についての設定を行うための材質設定環境を提供する材質設定手段と、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体に光を照射する光源の上記図形上における状態を、上記表示装置で視覚的に確認しながら設定することができるように、上記光源の状態についての設定を行うための光源設定環境を提供する光源設定手段と、上記入力環境を通して入力された上記図形のデータと、上記メッシュ設定環境を通して設定されたメッシュと、上記材質設定環境を通して設定された上記材質または表面材質と、上記光源設定環境を通して設定された上記光源の状態とに基づいて、上記光源から上記物体に光が照射されたときの上記物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを、上記メッシュ単位で構成される部分毎の現象を求めることにより求め、視覚的に確認することができるように上記図形に合成し、上記物体の電子放出特性の評価結果として上記出力装置で出力する評価出力手段とを備えている構成である。
【0222】
それゆえ、ユーザは条件の入力から評価結果の出力を得るまで、特に図形をメッシュに分割するにも、光源の状態を設定するにも、物体の形状を表す図形全体を意識するだけでよい。ユーザは、自分が考えた構成の電子放出部全体の形状について、光電効果によりどのような電子の流れが期待できるかを早く知りたいので、電子放出特性の評価を行う上で、条件の入力から評価結果の出力を得るまで、図形全体を意識しさえすればよいことは非常に好ましい。
【0223】
従って、光電効果により電子を放出する電子放出部に様々な形状や大きさのものが考えられても、電子放出部を試作することなくその電子放出特性を評価することができ、開発に費用も時間もかからない。この結果、光照射された物体の電子放出特性を費用を抑制して短時間で知ることができる、電子放出特性評価装置を提供することができるという効果を奏する。
【0224】
さらに本発明の電子放出特性評価装置は、以上のように、上記評価出力手段は、上記電子の流れを、上記部分毎の現象を視覚的に確認することができるように、上記図形に合成する構成である。
【0225】
それゆえ、小さな領域単位で電子放出特性の評価結果を得ることができる。従って、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが可能となり、最適な電子放出特性を有する電子放出部の形状設計が可能となるという効果を奏する。
【0226】
さらに本発明の電子放出特性評価装置は、以上のように、上記評価出力手段は、上記図形の特定の位置に到達する電子の総量を求めて出力する構成である。
【0227】
それゆえ、物体から放出された光電子が実際に必要となる特定の位置でどのような量になるかを知ることができる。従って、得られる特定の位置での電子量を、光電効果により電子を放出する製品に反映することが可能となり、開発期間のさらなる短縮が可能となるという効果を奏する。
【0228】
さらに本発明の電子放出特性評価装置は、以上のように、上記評価出力手段は、上記電子の流れを上記図形上にベクトルで表示したものを、上記物体の電子放出特性の評価結果とする構成である。
【0229】
それゆえ、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが容易になり、それだけ最適な電子放出部の形状設計が容易になるという効果を奏する。
【0230】
また、本発明の電子放出特性評価方法は、以上のように、物体の形状を表す図形のデータの入力環境を提供する入力ステップと、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形を、表示装置で視覚的に確認しながらメッシュに分割することができるように、線密度の設定入力を受け付けてメッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境を提供するメッシュ設定ステップと、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体の材質もしくは上記物体の表面材質についての設定を行うための材質設定環境を提供する材質設定ステップと、上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体に光を照射する光源の上記図形上における状態を、上記表示装置で視覚的に確認しながら設定することができるように、上記光源の状態についての設定を行うための光源設定環境を提供する光源設定ステップと、上記入力環境を通して入力された上記図形のデータと、上記メッシュ設定環境を通して設定されたメッシュと、上記材質設定環境を通して設定された上記材質または表面材質と、上記光源設定環境を通して設定された上記光源の状態とに基づいて、上記光源から上記物体に光が照射されたときの上記物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを、上記メッシュ単位で構成される部分毎の現象を求めることにより求め、視覚的に確認することができるように上記図形に合成し、上記物体の電子放出特性の評価結果として上記出力装置で出力する評価出力ステップとを備えている構成である。
【0231】
それゆえ、ユーザは条件の入力から評価結果の出力を得るまで、特に図形をメッシュに分割するにも、光源の状態を設定するにも、物体の形状を表す図形全体を意識するだけでよい。ユーザは、自分が考えた構成の電子放出部全体の形状について、光電効果によりどのような電子の流れが期待できるかを早く知りたいので、電子放出特性の評価を行う上で、条件の入力から評価結果の出力を得るまで、図形全体を意識しさえすればよいことは非常に好ましい。
【0232】
従って、光電効果により電子を放出する電子放出部に様々な形状や大きさのものが考えられても、電子放出部を試作することなくその電子放出特性を評価することができ、開発に費用も時間もかからない。この結果、光照射された物体の電子放出特性を費用を抑制して短時間で知ることができる、電子放出特性評価方法を提供することができるという効果を奏する。
【0233】
さらに本発明の電子放出特性評価方法は、以上のように、上記評価出力ステップでは、上記電子の流れを、上記部分毎の現象を視覚的に確認することができるように、上記図形に合成する構成である。
【0234】
それゆえ、最小の領域単位で電子放出特性の評価結果を得ることができる。従って、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが可能となり、最適な電子放出特性を有する電子放出部の形状設計が可能となるという効果を奏する。
【0235】
さらに本発明の電子放出特性評価方法は、以上のように、上記評価出力ステップでは、上記図形の特定の位置に到達する電子の総量を求めて出力する構成である。
【0236】
それゆえ、物体から放出された光電子が実際に必要となる特定の位置でどのような量になるかを知ることができる。従って、得られる特定の位置での電子量を、光電効果により電子を放出する製品に反映することが可能となり、開発期間のさらなる短縮が可能となるという効果を奏する。
【0237】
さらに本発明の電子放出特性評価方法は、以上のように、上記評価出力ステップでは、上記電子の流れを上記図形上にベクトルで表示したものを、上記物体の電子放出特性の評価結果とする構成である。
【0238】
それゆえ、物体の形状に係わらず、物体の細部まで形状の適否を確認することが容易になり、それだけ最適な電子放出部の形状設計が容易になるという効果を奏する。
【0239】
また、本発明のプログラムは、以上のように、いずれかの上記電子放出特性評価方法をコンピュータに実行させる構成である。
【0240】
それゆえ、前述した電子放出特性評価方法をコンピュータに実行させるので、該評価方法はコンピュータで実現される汎用性の高いものとなるという効果を奏する。
【0241】
また、本発明の記録媒体は、以上のように、上記プログラムをコンピュータ読取可能に記録した構成である。
【0242】
それゆえ、前述した電子放出特性評価方法を実現するプログラムを容易にコンピュータに提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子放出特性評価装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の電子放出特性評価装置が備える入力部が提供する入力環境を示す画面状態図である。
【図3】図1の電子放出特性評価装置が備えるメッシュ設定部によって図形がメッシュ分割された状態を示す画面状態図である。
【図4】図1の電子放出特性評価装置が備える光源設定部部が提供する光源設定環境を示す画面状態図である。
【図5】図1の電子放出特性評価装置が備える評価出力部によって電子の流れが求められる状態を示す画面状態図である。
【図6】図1の電子放出特性評価装置によって行われる電子放出特性評価方法の処理の一部を示すフローチャートである。
【図7】図1の電子放出特性評価装置によって行われる電子放出特性評価方法の処理の他の一部を示すフローチャートである。
【図8】実施例1に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図9】図8の現像装置に使用されるトナー規制ブレードの構成を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるC−C断面図である。
【図10】実施例2に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図11】図10の現像装置に使用されるトナー規制ブレードの構成を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるC−C断面図である。
【図12】トナー規制ブレードと現像ローラとの間に電気的バイアスを印加した時に、トナー規制ブレードの開口部付近に生じる電気力線を説明する図である。
【図13】トナー規制ブレードと現像ローラとの間に印加される電気的バイアスの電界強度と、画像形成可能なプロセス速度との関係を示すグラフである。
【図14】図10の現像装置におけるトナー帯電量とトナー規制ブレードの加圧力との関係を示すグラフである。
【図15】実施例3に係る現像装置に使用されるトナー規制ブレードの構成を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるC−C断面図である。
【図16】実施例4に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図17】図16の現像装置に使用されるトナー帯電手段の構成を示すものであり、(a)は上記トナー帯電手段の断面図、(b)は上記トナー帯電手段の表面状態を示す平面図、(c)は(b)におけるD−D断面図である。
【図18】実施例5に係る現像装置に使用されるトナー帯電手段の構成を示すものであり、(a)は上記トナー帯電手段の断面図、(b)は上記トナー帯電手段の表面付近の断面図である。
【図19】実施例6に係る現像装置に使用される他のトナー帯電手段の構成を示すものであり、(a)は上記トナー帯電手段の断面図、(b)は上記トナー帯電手段の表面付近の断面図である。
【図20】実施例6に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図21】図20の現像装置の電子放出部と該電子放出部に対向して設けられる電極板との間に印加される電気的バイアスの電界強度と、画像形成可能なプロセス速度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10,10’,30 現像装置
13,35 現像ローラ
15,22,24,41,402 電子放出部
16 紫外線照射器(光源)
51 電子放出特性評価装置
52 入力部(入力手段)
53 メッシュ設定部(メッシュ設定手段)
54 光源設定部(光源設定手段)
55 材質設定部(材質設定手段)
56 評価出力部(評価出力手段)
61 電子放出部
Claims (10)
- 物体の形状を表す図形のデータの入力環境を提供する入力手段と、
上記入力環境を通してデータが入力された上記図形を、表示装置で視覚的に確認しながらメッシュに分割することができるように、線密度の設定入力を受け付けてメッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境を提供するメッシュ設定手段と、
上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体の材質もしくは上記物体の表面材質についての設定を行うための材質設定環境を提供する材質設定手段と、
上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体に光を照射する光源の上記図形上における状態を、上記表示装置で視覚的に確認しながら設定することができるように、上記光源の状態についての設定を行うための光源設定環境を提供する光源設定手段と、
上記入力環境を通して入力された上記図形のデータと、上記メッシュ設定環境を通して設定されたメッシュと、上記材質設定環境を通して設定された上記材質または表面材質と、上記光源設定環境を通して設定された上記光源の状態とに基づいて、上記光源から上記物体に光が照射されたときの上記物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを、上記メッシュ単位で構成される部分毎の現象を求めることにより求め、視覚的に確認することができるように上記図形に合成し、上記物体の電子放出特性の評価結果として上記出力装置で出力する評価出力手段とを備えていることを特徴とする電子放出特性評価装置。 - 上記評価出力手段は、上記電子の流れを、上記部分毎の現象を視覚的に確認することができるように、上記図形に合成することを特徴とする請求項1に記載の電子放出特性評価装置。
- 上記評価出力手段は、上記図形の特定の位置に到達する電子の総量を求めて出力することを特徴とする請求項2に記載の電子放出特性評価装置。
- 上記評価出力手段は、上記電子の流れを上記図形上にベクトルで表示したものを、上記物体の電子放出特性の評価結果とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子放出特性評価装置。
- 物体の形状を表す図形のデータの入力環境を提供する入力ステップと、
上記入力環境を通してデータが入力された上記図形を、表示装置で視覚的に確認しながらメッシュに分割することができるように、線密度の設定入力を受け付けてメッシュ分割の状態を設定するためのメッシュ設定環境を提供するメッシュ設定ステップと、
上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体の材質もしくは上記物体の表面材質についての設定を行うための材質設定環境を提供する材質設定ステップと、
上記入力環境を通してデータが入力された上記図形の上記物体に光を照射する光源の上記図形上における状態を、上記表示装置で視覚的に確認しながら設定することができるように、上記光源の状態についての設定を行うための光源設定環境を提供する光源設定ステップと、
上記入力環境を通して入力された上記図形のデータと、上記メッシュ設定環境を通して設定されたメッシュと、上記材質設定環境を通して設定された上記材質または表面材質と、上記光源設定環境を通して設定された上記光源の状態とに基づいて、上記光源から上記物体に光が照射されたときの上記物体からの光電子の放出に伴う電子の流れを、上記メッシュ単位で構成される部分毎の現象を求めることにより求め、視覚的に確認することができるように上記図形に合成し、上記物体の電子放出特性の評価結果として上記出力装置で出力する評価出力ステップとを備えていることを特徴とする電子放出特性評価方法。 - 上記評価出力ステップでは、上記電子の流れを、上記部分毎の現象を視覚的に確認することができるように、上記図形に合成することを特徴とする請求項5に記載の電子放出特性評価装置。
- 上記評価出力ステップでは、上記図形の特定の位置に到達する電子の総量を求めて出力することを特徴とする請求項6に記載の電子放出特性評価方法。
- 上記評価出力ステップでは、上記電子の流れを上記図形上にベクトルで表示したものを、上記物体の電子放出特性の評価結果とすることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の電子放出特性評価方法。
- 請求項5ないし8のいずれかに記載の電子放出特性評価方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
- 請求項9に記載のプログラムをコンピュータ読取可能に記録したことを特徴とする記録媒体。
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