JP2004277811A - アイアンヘッド用鋼とその製造方法、およびアイアンヘッドとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐食性が良好で、メッキ処理が不要な切削性にも優れた安価なアイアンヘッド用鋼とその製造方法、および前記の鋼からなアイアンヘッドとその製造方法の提供。
【解決手段】アイアンヘッド用鋼は、C:0.05%以下、Si:0.30〜0.60%、Mn:0.10〜0.50%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:7〜13%、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:1.0%以下、Al:0.10%以下、残部Feおよび不純物で、その製法は素材の鋼の加熱温度を950〜1100℃、熱間圧延の仕上げ温度を850〜950℃とする。また、本発明のアイアンヘッドは前記の本発明の鋼からなり、その表面が硝酸水溶液により処理された不動態皮膜で覆われていて良好な耐食性を発揮し、その不動態皮膜は硝酸濃度10体積%以上の硝酸水溶液による処理で得られる。
【選択図】なし
【解決手段】アイアンヘッド用鋼は、C:0.05%以下、Si:0.30〜0.60%、Mn:0.10〜0.50%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:7〜13%、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:1.0%以下、Al:0.10%以下、残部Feおよび不純物で、その製法は素材の鋼の加熱温度を950〜1100℃、熱間圧延の仕上げ温度を850〜950℃とする。また、本発明のアイアンヘッドは前記の本発明の鋼からなり、その表面が硝酸水溶液により処理された不動態皮膜で覆われていて良好な耐食性を発揮し、その不動態皮膜は硝酸濃度10体積%以上の硝酸水溶液による処理で得られる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフクラブのアイアンヘッドの素材として使用して好適な安価な鋼(以下、単にアイアンヘッド用鋼という)とその製造方法、およびその鋼を素材とするアイアンヘッドとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アイアンヘッドの素材としては、従来、ステンレス鋼(例えば、特許文献1〜6)、チタン合金(特許文献7、8)、タングステン合金(特許文献9)、アモルファス金属(特許文献10)、およびJIS G 4051に規定されているS25Cに代表される炭素鋼など、種々の金属が使用されており、炭素鋼の場合には最終的にCrメッキ処理をおこなってアイアンヘッドとされる。
【0003】
しかしながら、上記従来のステンレス鋼はNi、Mo、Coなどの合金元素を多量に含む鋼で、チタン合金やタングステン合金およびアモルファスと同様に、耐食性は良好であるがコスト高につくほか、鍛造性や切削性が十分ではないという問題があった。
【0004】
また、炭素鋼は、Crメッキを施せば耐食性は良好となる。しかし、メッキはその処理自体にコストのかかる処理であるだけでなく、その際に発生する廃液処理等にもコストがかかる。また、メッキ層に欠陥があるとその部分から錆が発生するので、その製造条件を厳しく管理する必要がある。このため、メッキ処理では期待したほどにはコストダウンできないという問題に加え、廃液の処理を誤ると大きな環境問題を招くため、好ましい方法ともいえなかった。
【0005】
一方で、アイアンヘッド用の素材としては、耐食性はもちろんのこと、熱間および冷間による鍛造性、切削性、ロゴマークの打刻性(以下、単に打刻性という)等々の特性が要求される。特に、鍛造性は、使用する金型に割れを生じさせることがなく、その使用寿命を低下させないことが要求される。また、切削性は、使用する工具寿命を低下させず、かつ切粉の処理性に優れることが要求される。
【0006】
切削性は、SやPbの多量添加により良好になるが、多量のS添加はコストアップ、耐食性劣化、鍛造性の劣化を招く。また、多量のPb添加もコストアップを招き、環境問題からも好ましくない。
【0007】
このため、多量のSやPbを含有しない切削性、耐食性および鍛造性(含む打刻性)に優れた前記従来のステンレス鋼に比べ、安価なアイアンヘッド用鋼の開発が強く望まれていた。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−136300号公報
【特許文献2】
特開平7−258798号公報
【特許文献3】
特開2001−231894号公報
【特許文献4】
特開2002−143354号公報
【特許文献5】
特開2002−275593号公報
【特許文献6】
特開2002−294410号公報
【特許文献7】
特開平10−15125号公報
【特許文献8】
特開平10−76029号公報
【特許文献9】
特開平10−314349号公報
【特許文献10】
特開平9−322953号公報
【0009】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、Crメッキを施さなくても十分な耐食性、具体的にはJIS Z 2371に規定される塩水噴霧試験法により3時間噴霧で錆を発生しないか、発生したとしても孔食は発生しないという耐食性を有し、しかも熱間と冷間による鍛造性(含む打刻性)および切削性をも良好なPb非含有の前述した従来のステンレス鋼よりも安価なアイアンヘッド用鋼とその製造方法、およびその鋼を素材とするアイアンヘッドとその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手投】
本発明の要旨は、下記(1)のアイアンヘッド用鋼と下記(2)のその製造方法、および下記(3)のアイアンヘッドと下記(4)のその製造方法にある。
【0011】
(1)質量%で、C:0.05%以下、Si:0.30〜0.60%、Mn:0.10〜0.50%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr: 7〜13%、Cu:0.5 %以下、Ni:0.5 %以下、Mo:1.0 %以下、Al:0.10%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなるアイアンヘッド用鋼。
【0012】
(2)上記(1)に記載の化学組成を有する鋼を 950〜1100℃に加熱した後、仕上げ温度 850〜950 ℃で熱間圧延をおこなうアイアンヘッド用鋼の製造方法。
【0013】
(3)上記(1)に記載の鋼からなり、その表面が硝酸による処理によって形成された不動態皮膜により被覆されているアイアンヘッド。
【0014】
(4)上記(1)に記載の鋼を所定の形状に成形し、次いで、硝酸濃度が10体積%以上の硝酸水溶液を用いて処理し、その表面に不動態皮膜を形成させる上記(3)に記載のアイアンヘッドの製造方法。
【0015】
上記(1)のアイアンヘッド用鋼は、Feの一部に代えて、質量%で、V:0.001 〜0.10%、Nb: 0.001〜0.3 %およびTi: 0.003%以上0.02%未満のうちの1種以上を含有するものであることが好ましく、さらにはMn/Sが10〜50のものであることがより好ましい。また更に、上記(1)のアイアンヘッド用鋼は、圧延方向と直交する横断面の平均硬さがHRC で20〜25であり、かつ粒界割れを含めた表面疵の深さが0.1 mm以下であることが好ましい。
【0016】
上記(2)の製造方法は、熱間圧延後に外面切削をおこなってもよい。
【0017】
なお、上記の平均硬さとは、横断面の中心部1点と、周方向の均等1/4の各位置における表層部4点と1/2半径位置4点の合計9点の測定値の平均値のことである。また、HRC とは、JIS Z 2245に規定されているロックウエルCスケール硬度のことである。
【0018】
本発明者らは、上記の課題を達成するために種々の検討を行い、以下の知見を得て上記の本発明を完成させた。
【0019】
(a) Sは耐食性に悪影響を及ぼし、Cr含有量が例えば11%と多い場合でもS含有量が多いと耐食性および鍛造性(含む打刻性)が劣化するほか、コストアップにつながるので、Sの多量添加は避け、その含有量は極力低くする必要がある。
【0020】
(b) また、Pbの多量添加は、コストアップにつながるほか、環境問題があるので、その添加は回避する必要がある。
【0021】
(c) S含有量をできるだけ低くし、かつPbを添加しない場合でも、C、Si、Mn、P、Cr、Ni、MoおよびAlの含有量を適正に調整すると、アイアンヘッド用鋼として必要な耐食性が確保され、しかも従来のS25C材と同等の快削性が確保される。
【0022】
(d) 硬さと表面疵の深さは鍛造性(含む打刻性)と切削性に影響を及ぼすが、その硬さと表面疵の程度を制限すると両特性ともに改善され、特に、圧延方向と直交する横断面の平均硬さをHRC で20〜25、粒界割れを含めた表面疵の深さを0.1 mm以下に制限すると、良好な鍛造性(含む打刻性)と切削性(ドリル性)が確保される。
【0023】
(e) 上記の硬さと表面疵深さは素材鋼の加熱温度と熱間圧延の仕上げ温度を、それぞれ、 950〜1100℃、 850〜950 ℃に制限することによって確保できる。
【0024】
(f) アイアンヘッドとして必要な耐食性はその表面に硝酸濃度が10体積%以上の硝酸水溶液を用いた処理による不働態皮膜を形成させることで確保される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のアイアンヘッド用鋼とその製造方法、および前記の鋼を素材とするアイアンヘッドとその製造方法を上記のように定めた理由について詳細に説明する。なお、以下の説明において、%は特に断らない限り質量%を意味する。
【0026】
先ず、本発明のアイアンヘッド用鋼とその製造方法について説明する。
【0027】
1.化学組成について
C:0.05%以下
Cは材料の硬度を上昇させ耐摩耗性を向上させる元素であるが、0.05%を超えて含有させるとCr炭化物を過度に形成し、耐食性を劣化させるので、0.05%以下とした。好ましいのは0.04%以下、より好ましいのは0.03%以下である。
【0028】
Si:0.30〜0.60%
Siは溶鋼の脱酸剤として必要である。また、Siは鋼の硬度を高め、切削性の改善にも有効な元素であるが、過剰に含有させると切削性劣化が著しくなるだけでなく、鍛造性も悪くなる。このため、Si含有量は0.30〜0.60%とした。上限として好ましいのは0.55%、より好ましいのは0.50%である。
【0029】
Mn:0.10〜0.50%
Mnは鋼中のSをMnSとして固定し、熱間での製造性、室温での耐食性を改善する効果がある。しかし、過剰に含有させると熱間圧延後の硬度を上昇させるため上限を0.50%とした。また、Mnは溶鋼の過酸化を防止するために有効な元素であるため下限を0.10%とした。上限として好ましいのは0.40%、より好ましいのは0.30%である。
【0030】
P:0.03%以下、
Pは不純物であり、過剰なPの含有は靭性を劣化させるので、その含有量は低いほどよい。しかし、過度な低減はコスト上昇を招くため、0.03%以下とした。
【0031】
S:0.01%以下
Sは上記のPと同様の不純物元素であり、過剰なSの含有は耐食性を劣化させるので、その含有量は低いほどよい。しかし、過度な低減はコスト上昇を招くため、0.01%以下とした。
【0032】
Cr: 7〜13%
Crは耐食性を向上させる上で不可欠な元素であり、JIS Z 2371に規定されている塩水噴霧試験方法により3時間噴霧する試験にて少なくとも孔食が発生しないという所望の耐食性を確保するためには最低でも7%が必要である。しかし、過剰なCr添加は鍛造性劣化およびコスト上昇を招くために上限は13%とした。上限として好ましいのは11%、より好ましいのは10%である。
【0033】
Cu:0.5 %以下
Cuは耐食性を向上させる作用を有するが、0.5 %を超えて含有させると熱間加工性の劣化を招くため0.5 %以下とした。なお、前記の効果は通常の分析限界値である0.01%未満の不純物量レベルでも得られるが0.01%以上で顕著になるので、その含有量は0.01〜0.5 %とするのが望ましい。下限として好ましいのは0.02%である。
【0034】
Ni:0.5 %以下
Niは上記のCuと同様に耐食性を向上させる作用を有するが、0.5 %を超えて含有させると熱間加工性およびアイアンヘッドに成形する際の鍛造性の劣化を招くため0.5 %以下とした。なお、前記の効果は通常の分析限界値である0.01%程度の不純物量レベルでも得られるが0.1 %以上で顕著になるので、その含有量は0.1 〜0.5 %とするのが望ましい。下限として好ましいのは0.2 %である。
【0035】
Mo:1.0 %以下
Moは耐食性を向上させる作用を有するが、1.0 %を超えて含有させるとコスト上昇を招くため1.0 %以下とした。なお、前記の効果は通常の分析限界値である0.01%未満の不純物量レベルでも得られるが0.01%以上で顕著になるので、その含有量は0.01〜1.0 %とするのが望ましい。下限として好ましいのは0.05%である。
【0036】
Al:0.10%以下
Alは、通常、脱酸剤として添加されるが、その含有量が0.10%を超えるとAl2O3 が多量に生成し、切削時の工具寿命低下を招くほか、コスト上昇をも招くため0.10%以下とした。好ましいのは0.05%以下、より好ましいのは0.03%以下である。なお、Alは、上記のSiやMn、さらには公知の脱ガス処理装置などを用いる手段によって脱酸が十分になされる場合には、必ずしも添加する必要はない。また、本発明にいうAlとはsol.Al(酸可溶性Al)のことである。
【0037】
V、Nb、Ti:
これらの元素はいずれも集合組織の制御作用と結晶粒径の微細化作用を有し、耐食性および熱間加工性を向上させるのに有効な元素であるので、これらのうちの1種または2種以上を必要に応じて添加することができる。しかし、V、Nbは0.001 %未満、Tiは0.003 %未満の含有量では上記の効果が得られない。一方、Vは0.1 %超、Nbは0.3 %超、Tiは0.02%以上でその効果が飽和し、かつコストアップとなる。このため、添加する場合のこれら元素の含有量は、Vは 0.001〜0.1 %、Nbは 0.001〜0.3 %、Tiは 0.003%以上0.02%未満とするのがよい。
【0038】
MnとSの関係:
Mn含有量とS含有量とは(Mn/S)値が10〜50の範囲内になるように調整するのがよく、この場合には鋼中の硫化物がMn系からCr系に変化して耐孔食性が向上し、耐食性が一段と向上する。
【0039】
本発明のアイアンヘッド用鋼の鋼組成は、上記の成分以外は実質的にFe、言い換えれば、Feと前記のP、S以外の不純物である。
【0040】
2.硬さと表面疵の深さについて
本発明になるアイアンヘッド用鋼は、上記の化学組成は満たせば十分であるが、前述したように、圧延方向と直交する横断面の平均硬さがHRC で20〜25であり、かつ粒界割れを含めた表面疵の深さが0.1 mm以下であることが望ましい。その理由は次のとおりである。
【0041】
横断面の平均硬さがHRC で20未満であると、軟らかすぎて切削性に悪影響がでてくる。一方、横断面の平均硬さがHRC で25を超えると、熱間および冷間での鍛造性および切削性、中でも切粉の処理性が悪くなる。さらに、粒界割れを含めた表面疵の深さが0.1 mmを超えると、所定形状のアイアンヘッドに成形する際に割れが発生する。
【0042】
3.素材鋼の加熱温度と仕上げ温度について
本発明になるアイアンヘッド用鋼は、通常の熱間圧延法によって、例えば、断面が円形の直状の丸棒鋼とされるが、その際、素材鋼の加熱温度と熱間圧延の仕上げ温度は、前述したように、それぞれ、 950〜1050℃、850〜950℃とするのが望ましい。その理由は次のとおりである。
【0043】
素材鋼の加熱温度が 950℃未満であったり、仕上げ温度が 850℃未満であったりすると、素材鋼の変形抵抗が高すぎて、圧延時にしわ疵などの深い表面疵が発生いやすくなる。一方、素材鋼の加熱温度が1100℃を超えたり、仕上げ温度が 950℃を超えたりすると、粒界酸化が生じ、深さが0.1 mmを超える表面疵が多発するだけでなく、横断面の平均硬さも高くなることがあり、HRC で20〜25が安定して得られなくなる。
【0044】
加熱温度と仕上げ温度が上記の範囲内であれば、ほとんどの場合、横断面の平均硬さはHRC で20〜25、粒界割れを含めた表面疵の深さは0.1 mm以下なる。しかし、圧延トラブルなどによって素材鋼の加熱時間が極端に長くなったり、圧延機の材料ガイド部材が損傷するなどした場合には、粒界割れが進行して0.1 mmを超える粒界割れが発生したり、深い引っ掻き疵が発生することがあり、これをそのまま鍛造したのでは割れが発生する。このため、圧延後の鋼は、その表面を外削仕上げすることが好ましく、この場合には0.1 mmを超える表面疵を確実になくすることができる。なお、外削は、鋼が断面円形の丸棒鋼の場合、回転ヘッドに切削バイトが装着されたピーリングマシーンを用いておこなうのが効率的である。
【0045】
次に、本発明のアイアンヘッドとその製造方法について説明する。
【0046】
4.アイアンヘッドについて、
本発明のアイアンヘッドは、前記した本発明のアイアンヘッド用鋼からなっており、その表面が硝酸水溶液による処理によって形成される不動態皮膜で被覆されている。
【0047】
すなわち、その不動態皮膜は、Cr、OおよびOHとが結合し、さらにH2O が加わった水和オキシ水酸化物(主としてCrO・OH・nH2O +FeO・OH・mH2O )と水和酸化物(Cr2O3・xH2O+Fe2O3・yH2O)からなる耐食性に優れた保護皮膜である。
【0048】
5.アイアンヘッドの製造方法について
本発明のアイアンヘッドは、上記にしたように、前記した本発明のアイアンヘッド用鋼を素材とし、下記の常法工程によって所定の形状に成形され、しかる後に処理されるのであるが、その際に用いる硝酸水溶液は、硝酸濃度が10体積%以上である必要がある。その理由は次のとおりである。
【0049】
硝酸濃度が10体積%未満では、JIS Z 2371に規定されている塩水噴霧試験方法による3時間噴霧の試験にて少なくとも孔食が発生しないという耐食性が確保できない。なお、硝酸濃度は耐食性を向上させる観点からは高いほどよいのでその上限は特に規定しない。しかし、あまり高くしすぎると、皮膜の表面が黒くなって光沢が失われ、前工程において研磨する意味がなくなるだけでなく、製品としての見栄えが確保できなくなるので、その上限は30体積%とするのが望ましい。また、浸漬時間は2時間以上、24時間以下、硝酸水溶液の温度は40〜60℃とすれば十分である。
【0050】
一般的なアイアンヘッドの製造工程は、次のとおりである。
【0051】
「素材の鋼(多くの場合直状の丸棒鋼)」→「切断」→「アイアンヘッド粗形状への熱間鍛造」→「アイアンヘッド形状への冷間鍛造(含むフェイス溝加工)」→「切削(ドリル加工)」→「ロゴマーク打刻」→「研磨」→「不働態皮膜付与処理」。
【0052】
【実施例】
《実施例1》
表1に示す化学組成を有する16種顆の鋼を180 kgの真空溶解炉を用いて溶製した。なお、記号16の鋼は、比較のため溶製したJIS に規定されているS25C材である。
【0053】
得られた鋼塊を1050℃に加熱し、外径16mmと25mmの丸棒鋼に仕上げた。そして得られた丸棒鋼を下記2種類の試験に供して耐食性と切削性を調べた。
【0054】
耐食性試験は、外径16mmの丸棒鋼から長さ300 mmの試験片を採取し、外径を14mmに切削した後、その表面を研磨し、JIS B 0601に規定されている平均粗さRaで2.41μmの表面粗さに調整し、ついでアセトン液中に60分間浸漬して脱脂処理した後、超音波洗浄し、洗浄後の試験片を、JIS Z 2371に規定されている塩水噴霧試験方法により3時間噴霧することによりおこなった。その際、いずれも場合も、硝酸水溶液の温度は50℃とした。
【0055】
耐食性の評価は、錆および孔食の発生が全く認められなかったものを優良(◎)、錆の発生面積率が10%以下で、かつ孔食の発生が認められなかったものを良好(○)、孔食の発生は認められないが、錆の発生面積率が10%を超えていたものをやや不良(△)、孔食の発生が認められ、しかも錆の発生面積率が10%を超えていたものを不良(×)とした。
【0056】
切削性試験は、外径25mmの丸棒鋼から50mmの試験片を採取し、下記に示す条件で外径を22mmに切削することによりおこなった。
【0057】
切削条件;
ドリル材質:ハイス、
ド リ ル径:12mm、
回 転 数:1800rpm、
送 り 量:0.20mm/rev、
ドリル深さ:30mm、
切 削 油:コスモ石油(株)社製の商品名コスモプールX106。
【0058】
切削性(ドリリング性)は切粉のつながりの程度により評価した。すなわち、切粉が分断されているものを良好(○)、切粉がカールはしていないもののつながっているものをやや不良(△)、切粉がカールしながらつながっているものを不良(×)とした。
【0059】
以上の試験結果は、表1に併せて示す通りであり、化学組成が本発明で規定する範囲内の符号1〜7の丸棒鋼は耐食性および切削性とも良好である。
【0060】
これに対し、符号8の丸棒鋼は、切削性は良好であるが、S含有量が本発明で規定する上限値を上回っているために耐食性がやや悪い。符号9の丸棒鋼は、切削性は良好であるが、C含有量が本発明で規定する上限値を上回っているために耐食性がやや悪い。
【0061】
また、符号10の丸棒鋼は、耐食性は良好であるが、Si含有量が本発明で規定する上限値を上回っているために切削性が悪い。符号11の丸棒鋼は、耐食性は良好であるが、Mn含有量が本発明で規定する上限値を上回っているために切削性が悪い。
【0062】
さらに、符号12の丸棒鋼は、切削性は良好であるが、Cr含有量が本発明で規定する下限値を下回っているために耐食性が悪い。符号13の丸棒鋼は、耐食性は良好であるが、Cr含有量が本発明で規定する上限値を上回っているために切削性が悪い。
【0063】
また更に、符号14の丸棒鋼は、耐食性は良好であるが、Si含有量が本発明で規定する下限値を下回っているために切削性が悪い。符号15の丸棒鋼は、切削性は良好であるが、Mn含有量が本発明で規定する下限値を下回っているために耐食性がやや悪い。
【0064】
従来のS25C材である符号16の丸棒鋼は、切削性は良好であるが、C含有量が高すぎるために耐食性が悪い。
【0065】
【表1】
【0066】
《実施例2》
前述の表1に示す符号1と2の鋼を対象に、加熱温度1050℃、仕上げ温度 950℃で熱間圧延して外径28mmの丸棒鋼とし、この丸棒鋼の一部を用いて外周面の表面疵を除去する目的で、外径26mmにピーリングを実施した。なお、素材の丸棒鋼は、仕上げ圧延後の冷却速度を変えてその横断面の平均硬さをHRC で23と30の2種類に調整した。
【0067】
また、横断面の平均硬さがHRC 23の丸棒鋼については、その横断面を対象とする磁粉探傷法によって表面疵の深さが0.12〜0.15mmのもの選別抽出した。
【0068】
これらの丸棒鋼は、アイアンヘッドの製造を模擬し、下記条件の熱間鍛造と冷間鍛造をおこなって割れ発生の有無を調査した。
【0069】
外径26mmのピーリング材;長さ150 mmの丸棒鋼を、その径方向に、温度1200〜1000℃、圧縮率70%で熱間鍛造し、冷却後、さらに冷間鍛造にて深さ0.8 mm、角度60゜のV溝(フェース)加工を実施。これは、素材硬さの影響調査である。
【0070】
外径28mmのピーリングなしで、かつ0.12〜0.15mmの表面疵あり材;外径26mmのピーリング材と同じ条件の加工を実施。これは、素材の表面庇深さの影響調査である。
【0071】
調査結果は、表2に示すとおりであり、横断面の平均硬さがHRC 30のものは、外面ピーリングをおこなって表面疵を完全に除去しても、硬さが高すぎるために冷間にての溝(フェイス)加工時に割れが発生している。
【0072】
また、横断面の平均硬さがHRC 23のものでも、その表面に深さ0.12〜0.15mmの表面疵があるものは、熱間鍛造および冷間にての溝(フェイス)加工のいずれにおいても割れが発生している。
【0073】
これに対し、横断面の平均硬さがHRC 23で、かつ表面疵がないものは、熱間鍛造および冷間にての溝(フェイス)加工のいずれにおいても割れは発生していない。これは、横断面の平均硬さはHRC で25以下、表面疵の深さは0.1 mm以下であることが望ましいことを意味している。
【0074】
【表2】
【0075】
《実施例3》
前述の表1に示す符号1と2の鋼からなる実施例1で用いたのと同じ外径25mmの丸棒鋼の表面粗さを、故意にJIS B 0601に規定されている平均粗さRaで5μmにまで粗し、次いでアセトン脱脂に代えて硝酸濃度が種々異なる硝酸水溶液により処理(脱脂処理)して不動態皮膜を形成させ、実施例1と同じ条件の耐食性試験をおこなった。
【0076】
耐食性の評価は、実施例1の場合と同じ基準によりおこない、その結果を表3に示した。
【0077】
上記の試験に供した表面租さがRaで5μmの試験片は、アセトン脱脂のままでは耐食性が悪かったものであるが、表3に示すように、硝酸の濃度が10体積%以上の硝酸水溶液で処理(脱脂処理)したものは耐食性が良好である。
【0078】
これに対し、硝酸の濃度が10体積%未満の硝酸水溶液で処理(脱脂処理)したものは耐食性が悪い。これは、本発明の鋼を所定の形状に成形した後にその表面を硝酸濃度10体積%以上の硝酸水溶液で処理して不動態皮膜を形成させたアイアンヘッドにおいてもいえることであり、良好な耐食性を発揮する不動態皮膜を形成させるためには硝酸濃度が10体積%以上の硝酸水溶液で処理(脱脂処理)する必要があることを意味している。
【0079】
【表3】
【0080】
【発明の効果】
本発明のアイアンヘッド用鋼は、Cr以外には多量の合金元素を含有していないので安価であり、しかもアイアンヘッドに要求される耐食性、ロゴマークの打刻性を含めた鍛造性、および切削性を有しており、その製造方法は素材の鋼の加熱温度と熱間圧延での仕上げ温度を管理するだけでよいので製造容易である。また、本発明のアイアンヘッドは必要な耐食性を有しており、その製造方法は所定の形状に成形後、その表面を硝酸濃度10体積%以上の硝酸水溶液で処理(脱脂処理)するだけで得られるので安価である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフクラブのアイアンヘッドの素材として使用して好適な安価な鋼(以下、単にアイアンヘッド用鋼という)とその製造方法、およびその鋼を素材とするアイアンヘッドとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アイアンヘッドの素材としては、従来、ステンレス鋼(例えば、特許文献1〜6)、チタン合金(特許文献7、8)、タングステン合金(特許文献9)、アモルファス金属(特許文献10)、およびJIS G 4051に規定されているS25Cに代表される炭素鋼など、種々の金属が使用されており、炭素鋼の場合には最終的にCrメッキ処理をおこなってアイアンヘッドとされる。
【0003】
しかしながら、上記従来のステンレス鋼はNi、Mo、Coなどの合金元素を多量に含む鋼で、チタン合金やタングステン合金およびアモルファスと同様に、耐食性は良好であるがコスト高につくほか、鍛造性や切削性が十分ではないという問題があった。
【0004】
また、炭素鋼は、Crメッキを施せば耐食性は良好となる。しかし、メッキはその処理自体にコストのかかる処理であるだけでなく、その際に発生する廃液処理等にもコストがかかる。また、メッキ層に欠陥があるとその部分から錆が発生するので、その製造条件を厳しく管理する必要がある。このため、メッキ処理では期待したほどにはコストダウンできないという問題に加え、廃液の処理を誤ると大きな環境問題を招くため、好ましい方法ともいえなかった。
【0005】
一方で、アイアンヘッド用の素材としては、耐食性はもちろんのこと、熱間および冷間による鍛造性、切削性、ロゴマークの打刻性(以下、単に打刻性という)等々の特性が要求される。特に、鍛造性は、使用する金型に割れを生じさせることがなく、その使用寿命を低下させないことが要求される。また、切削性は、使用する工具寿命を低下させず、かつ切粉の処理性に優れることが要求される。
【0006】
切削性は、SやPbの多量添加により良好になるが、多量のS添加はコストアップ、耐食性劣化、鍛造性の劣化を招く。また、多量のPb添加もコストアップを招き、環境問題からも好ましくない。
【0007】
このため、多量のSやPbを含有しない切削性、耐食性および鍛造性(含む打刻性)に優れた前記従来のステンレス鋼に比べ、安価なアイアンヘッド用鋼の開発が強く望まれていた。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−136300号公報
【特許文献2】
特開平7−258798号公報
【特許文献3】
特開2001−231894号公報
【特許文献4】
特開2002−143354号公報
【特許文献5】
特開2002−275593号公報
【特許文献6】
特開2002−294410号公報
【特許文献7】
特開平10−15125号公報
【特許文献8】
特開平10−76029号公報
【特許文献9】
特開平10−314349号公報
【特許文献10】
特開平9−322953号公報
【0009】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、Crメッキを施さなくても十分な耐食性、具体的にはJIS Z 2371に規定される塩水噴霧試験法により3時間噴霧で錆を発生しないか、発生したとしても孔食は発生しないという耐食性を有し、しかも熱間と冷間による鍛造性(含む打刻性)および切削性をも良好なPb非含有の前述した従来のステンレス鋼よりも安価なアイアンヘッド用鋼とその製造方法、およびその鋼を素材とするアイアンヘッドとその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手投】
本発明の要旨は、下記(1)のアイアンヘッド用鋼と下記(2)のその製造方法、および下記(3)のアイアンヘッドと下記(4)のその製造方法にある。
【0011】
(1)質量%で、C:0.05%以下、Si:0.30〜0.60%、Mn:0.10〜0.50%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr: 7〜13%、Cu:0.5 %以下、Ni:0.5 %以下、Mo:1.0 %以下、Al:0.10%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなるアイアンヘッド用鋼。
【0012】
(2)上記(1)に記載の化学組成を有する鋼を 950〜1100℃に加熱した後、仕上げ温度 850〜950 ℃で熱間圧延をおこなうアイアンヘッド用鋼の製造方法。
【0013】
(3)上記(1)に記載の鋼からなり、その表面が硝酸による処理によって形成された不動態皮膜により被覆されているアイアンヘッド。
【0014】
(4)上記(1)に記載の鋼を所定の形状に成形し、次いで、硝酸濃度が10体積%以上の硝酸水溶液を用いて処理し、その表面に不動態皮膜を形成させる上記(3)に記載のアイアンヘッドの製造方法。
【0015】
上記(1)のアイアンヘッド用鋼は、Feの一部に代えて、質量%で、V:0.001 〜0.10%、Nb: 0.001〜0.3 %およびTi: 0.003%以上0.02%未満のうちの1種以上を含有するものであることが好ましく、さらにはMn/Sが10〜50のものであることがより好ましい。また更に、上記(1)のアイアンヘッド用鋼は、圧延方向と直交する横断面の平均硬さがHRC で20〜25であり、かつ粒界割れを含めた表面疵の深さが0.1 mm以下であることが好ましい。
【0016】
上記(2)の製造方法は、熱間圧延後に外面切削をおこなってもよい。
【0017】
なお、上記の平均硬さとは、横断面の中心部1点と、周方向の均等1/4の各位置における表層部4点と1/2半径位置4点の合計9点の測定値の平均値のことである。また、HRC とは、JIS Z 2245に規定されているロックウエルCスケール硬度のことである。
【0018】
本発明者らは、上記の課題を達成するために種々の検討を行い、以下の知見を得て上記の本発明を完成させた。
【0019】
(a) Sは耐食性に悪影響を及ぼし、Cr含有量が例えば11%と多い場合でもS含有量が多いと耐食性および鍛造性(含む打刻性)が劣化するほか、コストアップにつながるので、Sの多量添加は避け、その含有量は極力低くする必要がある。
【0020】
(b) また、Pbの多量添加は、コストアップにつながるほか、環境問題があるので、その添加は回避する必要がある。
【0021】
(c) S含有量をできるだけ低くし、かつPbを添加しない場合でも、C、Si、Mn、P、Cr、Ni、MoおよびAlの含有量を適正に調整すると、アイアンヘッド用鋼として必要な耐食性が確保され、しかも従来のS25C材と同等の快削性が確保される。
【0022】
(d) 硬さと表面疵の深さは鍛造性(含む打刻性)と切削性に影響を及ぼすが、その硬さと表面疵の程度を制限すると両特性ともに改善され、特に、圧延方向と直交する横断面の平均硬さをHRC で20〜25、粒界割れを含めた表面疵の深さを0.1 mm以下に制限すると、良好な鍛造性(含む打刻性)と切削性(ドリル性)が確保される。
【0023】
(e) 上記の硬さと表面疵深さは素材鋼の加熱温度と熱間圧延の仕上げ温度を、それぞれ、 950〜1100℃、 850〜950 ℃に制限することによって確保できる。
【0024】
(f) アイアンヘッドとして必要な耐食性はその表面に硝酸濃度が10体積%以上の硝酸水溶液を用いた処理による不働態皮膜を形成させることで確保される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のアイアンヘッド用鋼とその製造方法、および前記の鋼を素材とするアイアンヘッドとその製造方法を上記のように定めた理由について詳細に説明する。なお、以下の説明において、%は特に断らない限り質量%を意味する。
【0026】
先ず、本発明のアイアンヘッド用鋼とその製造方法について説明する。
【0027】
1.化学組成について
C:0.05%以下
Cは材料の硬度を上昇させ耐摩耗性を向上させる元素であるが、0.05%を超えて含有させるとCr炭化物を過度に形成し、耐食性を劣化させるので、0.05%以下とした。好ましいのは0.04%以下、より好ましいのは0.03%以下である。
【0028】
Si:0.30〜0.60%
Siは溶鋼の脱酸剤として必要である。また、Siは鋼の硬度を高め、切削性の改善にも有効な元素であるが、過剰に含有させると切削性劣化が著しくなるだけでなく、鍛造性も悪くなる。このため、Si含有量は0.30〜0.60%とした。上限として好ましいのは0.55%、より好ましいのは0.50%である。
【0029】
Mn:0.10〜0.50%
Mnは鋼中のSをMnSとして固定し、熱間での製造性、室温での耐食性を改善する効果がある。しかし、過剰に含有させると熱間圧延後の硬度を上昇させるため上限を0.50%とした。また、Mnは溶鋼の過酸化を防止するために有効な元素であるため下限を0.10%とした。上限として好ましいのは0.40%、より好ましいのは0.30%である。
【0030】
P:0.03%以下、
Pは不純物であり、過剰なPの含有は靭性を劣化させるので、その含有量は低いほどよい。しかし、過度な低減はコスト上昇を招くため、0.03%以下とした。
【0031】
S:0.01%以下
Sは上記のPと同様の不純物元素であり、過剰なSの含有は耐食性を劣化させるので、その含有量は低いほどよい。しかし、過度な低減はコスト上昇を招くため、0.01%以下とした。
【0032】
Cr: 7〜13%
Crは耐食性を向上させる上で不可欠な元素であり、JIS Z 2371に規定されている塩水噴霧試験方法により3時間噴霧する試験にて少なくとも孔食が発生しないという所望の耐食性を確保するためには最低でも7%が必要である。しかし、過剰なCr添加は鍛造性劣化およびコスト上昇を招くために上限は13%とした。上限として好ましいのは11%、より好ましいのは10%である。
【0033】
Cu:0.5 %以下
Cuは耐食性を向上させる作用を有するが、0.5 %を超えて含有させると熱間加工性の劣化を招くため0.5 %以下とした。なお、前記の効果は通常の分析限界値である0.01%未満の不純物量レベルでも得られるが0.01%以上で顕著になるので、その含有量は0.01〜0.5 %とするのが望ましい。下限として好ましいのは0.02%である。
【0034】
Ni:0.5 %以下
Niは上記のCuと同様に耐食性を向上させる作用を有するが、0.5 %を超えて含有させると熱間加工性およびアイアンヘッドに成形する際の鍛造性の劣化を招くため0.5 %以下とした。なお、前記の効果は通常の分析限界値である0.01%程度の不純物量レベルでも得られるが0.1 %以上で顕著になるので、その含有量は0.1 〜0.5 %とするのが望ましい。下限として好ましいのは0.2 %である。
【0035】
Mo:1.0 %以下
Moは耐食性を向上させる作用を有するが、1.0 %を超えて含有させるとコスト上昇を招くため1.0 %以下とした。なお、前記の効果は通常の分析限界値である0.01%未満の不純物量レベルでも得られるが0.01%以上で顕著になるので、その含有量は0.01〜1.0 %とするのが望ましい。下限として好ましいのは0.05%である。
【0036】
Al:0.10%以下
Alは、通常、脱酸剤として添加されるが、その含有量が0.10%を超えるとAl2O3 が多量に生成し、切削時の工具寿命低下を招くほか、コスト上昇をも招くため0.10%以下とした。好ましいのは0.05%以下、より好ましいのは0.03%以下である。なお、Alは、上記のSiやMn、さらには公知の脱ガス処理装置などを用いる手段によって脱酸が十分になされる場合には、必ずしも添加する必要はない。また、本発明にいうAlとはsol.Al(酸可溶性Al)のことである。
【0037】
V、Nb、Ti:
これらの元素はいずれも集合組織の制御作用と結晶粒径の微細化作用を有し、耐食性および熱間加工性を向上させるのに有効な元素であるので、これらのうちの1種または2種以上を必要に応じて添加することができる。しかし、V、Nbは0.001 %未満、Tiは0.003 %未満の含有量では上記の効果が得られない。一方、Vは0.1 %超、Nbは0.3 %超、Tiは0.02%以上でその効果が飽和し、かつコストアップとなる。このため、添加する場合のこれら元素の含有量は、Vは 0.001〜0.1 %、Nbは 0.001〜0.3 %、Tiは 0.003%以上0.02%未満とするのがよい。
【0038】
MnとSの関係:
Mn含有量とS含有量とは(Mn/S)値が10〜50の範囲内になるように調整するのがよく、この場合には鋼中の硫化物がMn系からCr系に変化して耐孔食性が向上し、耐食性が一段と向上する。
【0039】
本発明のアイアンヘッド用鋼の鋼組成は、上記の成分以外は実質的にFe、言い換えれば、Feと前記のP、S以外の不純物である。
【0040】
2.硬さと表面疵の深さについて
本発明になるアイアンヘッド用鋼は、上記の化学組成は満たせば十分であるが、前述したように、圧延方向と直交する横断面の平均硬さがHRC で20〜25であり、かつ粒界割れを含めた表面疵の深さが0.1 mm以下であることが望ましい。その理由は次のとおりである。
【0041】
横断面の平均硬さがHRC で20未満であると、軟らかすぎて切削性に悪影響がでてくる。一方、横断面の平均硬さがHRC で25を超えると、熱間および冷間での鍛造性および切削性、中でも切粉の処理性が悪くなる。さらに、粒界割れを含めた表面疵の深さが0.1 mmを超えると、所定形状のアイアンヘッドに成形する際に割れが発生する。
【0042】
3.素材鋼の加熱温度と仕上げ温度について
本発明になるアイアンヘッド用鋼は、通常の熱間圧延法によって、例えば、断面が円形の直状の丸棒鋼とされるが、その際、素材鋼の加熱温度と熱間圧延の仕上げ温度は、前述したように、それぞれ、 950〜1050℃、850〜950℃とするのが望ましい。その理由は次のとおりである。
【0043】
素材鋼の加熱温度が 950℃未満であったり、仕上げ温度が 850℃未満であったりすると、素材鋼の変形抵抗が高すぎて、圧延時にしわ疵などの深い表面疵が発生いやすくなる。一方、素材鋼の加熱温度が1100℃を超えたり、仕上げ温度が 950℃を超えたりすると、粒界酸化が生じ、深さが0.1 mmを超える表面疵が多発するだけでなく、横断面の平均硬さも高くなることがあり、HRC で20〜25が安定して得られなくなる。
【0044】
加熱温度と仕上げ温度が上記の範囲内であれば、ほとんどの場合、横断面の平均硬さはHRC で20〜25、粒界割れを含めた表面疵の深さは0.1 mm以下なる。しかし、圧延トラブルなどによって素材鋼の加熱時間が極端に長くなったり、圧延機の材料ガイド部材が損傷するなどした場合には、粒界割れが進行して0.1 mmを超える粒界割れが発生したり、深い引っ掻き疵が発生することがあり、これをそのまま鍛造したのでは割れが発生する。このため、圧延後の鋼は、その表面を外削仕上げすることが好ましく、この場合には0.1 mmを超える表面疵を確実になくすることができる。なお、外削は、鋼が断面円形の丸棒鋼の場合、回転ヘッドに切削バイトが装着されたピーリングマシーンを用いておこなうのが効率的である。
【0045】
次に、本発明のアイアンヘッドとその製造方法について説明する。
【0046】
4.アイアンヘッドについて、
本発明のアイアンヘッドは、前記した本発明のアイアンヘッド用鋼からなっており、その表面が硝酸水溶液による処理によって形成される不動態皮膜で被覆されている。
【0047】
すなわち、その不動態皮膜は、Cr、OおよびOHとが結合し、さらにH2O が加わった水和オキシ水酸化物(主としてCrO・OH・nH2O +FeO・OH・mH2O )と水和酸化物(Cr2O3・xH2O+Fe2O3・yH2O)からなる耐食性に優れた保護皮膜である。
【0048】
5.アイアンヘッドの製造方法について
本発明のアイアンヘッドは、上記にしたように、前記した本発明のアイアンヘッド用鋼を素材とし、下記の常法工程によって所定の形状に成形され、しかる後に処理されるのであるが、その際に用いる硝酸水溶液は、硝酸濃度が10体積%以上である必要がある。その理由は次のとおりである。
【0049】
硝酸濃度が10体積%未満では、JIS Z 2371に規定されている塩水噴霧試験方法による3時間噴霧の試験にて少なくとも孔食が発生しないという耐食性が確保できない。なお、硝酸濃度は耐食性を向上させる観点からは高いほどよいのでその上限は特に規定しない。しかし、あまり高くしすぎると、皮膜の表面が黒くなって光沢が失われ、前工程において研磨する意味がなくなるだけでなく、製品としての見栄えが確保できなくなるので、その上限は30体積%とするのが望ましい。また、浸漬時間は2時間以上、24時間以下、硝酸水溶液の温度は40〜60℃とすれば十分である。
【0050】
一般的なアイアンヘッドの製造工程は、次のとおりである。
【0051】
「素材の鋼(多くの場合直状の丸棒鋼)」→「切断」→「アイアンヘッド粗形状への熱間鍛造」→「アイアンヘッド形状への冷間鍛造(含むフェイス溝加工)」→「切削(ドリル加工)」→「ロゴマーク打刻」→「研磨」→「不働態皮膜付与処理」。
【0052】
【実施例】
《実施例1》
表1に示す化学組成を有する16種顆の鋼を180 kgの真空溶解炉を用いて溶製した。なお、記号16の鋼は、比較のため溶製したJIS に規定されているS25C材である。
【0053】
得られた鋼塊を1050℃に加熱し、外径16mmと25mmの丸棒鋼に仕上げた。そして得られた丸棒鋼を下記2種類の試験に供して耐食性と切削性を調べた。
【0054】
耐食性試験は、外径16mmの丸棒鋼から長さ300 mmの試験片を採取し、外径を14mmに切削した後、その表面を研磨し、JIS B 0601に規定されている平均粗さRaで2.41μmの表面粗さに調整し、ついでアセトン液中に60分間浸漬して脱脂処理した後、超音波洗浄し、洗浄後の試験片を、JIS Z 2371に規定されている塩水噴霧試験方法により3時間噴霧することによりおこなった。その際、いずれも場合も、硝酸水溶液の温度は50℃とした。
【0055】
耐食性の評価は、錆および孔食の発生が全く認められなかったものを優良(◎)、錆の発生面積率が10%以下で、かつ孔食の発生が認められなかったものを良好(○)、孔食の発生は認められないが、錆の発生面積率が10%を超えていたものをやや不良(△)、孔食の発生が認められ、しかも錆の発生面積率が10%を超えていたものを不良(×)とした。
【0056】
切削性試験は、外径25mmの丸棒鋼から50mmの試験片を採取し、下記に示す条件で外径を22mmに切削することによりおこなった。
【0057】
切削条件;
ドリル材質:ハイス、
ド リ ル径:12mm、
回 転 数:1800rpm、
送 り 量:0.20mm/rev、
ドリル深さ:30mm、
切 削 油:コスモ石油(株)社製の商品名コスモプールX106。
【0058】
切削性(ドリリング性)は切粉のつながりの程度により評価した。すなわち、切粉が分断されているものを良好(○)、切粉がカールはしていないもののつながっているものをやや不良(△)、切粉がカールしながらつながっているものを不良(×)とした。
【0059】
以上の試験結果は、表1に併せて示す通りであり、化学組成が本発明で規定する範囲内の符号1〜7の丸棒鋼は耐食性および切削性とも良好である。
【0060】
これに対し、符号8の丸棒鋼は、切削性は良好であるが、S含有量が本発明で規定する上限値を上回っているために耐食性がやや悪い。符号9の丸棒鋼は、切削性は良好であるが、C含有量が本発明で規定する上限値を上回っているために耐食性がやや悪い。
【0061】
また、符号10の丸棒鋼は、耐食性は良好であるが、Si含有量が本発明で規定する上限値を上回っているために切削性が悪い。符号11の丸棒鋼は、耐食性は良好であるが、Mn含有量が本発明で規定する上限値を上回っているために切削性が悪い。
【0062】
さらに、符号12の丸棒鋼は、切削性は良好であるが、Cr含有量が本発明で規定する下限値を下回っているために耐食性が悪い。符号13の丸棒鋼は、耐食性は良好であるが、Cr含有量が本発明で規定する上限値を上回っているために切削性が悪い。
【0063】
また更に、符号14の丸棒鋼は、耐食性は良好であるが、Si含有量が本発明で規定する下限値を下回っているために切削性が悪い。符号15の丸棒鋼は、切削性は良好であるが、Mn含有量が本発明で規定する下限値を下回っているために耐食性がやや悪い。
【0064】
従来のS25C材である符号16の丸棒鋼は、切削性は良好であるが、C含有量が高すぎるために耐食性が悪い。
【0065】
【表1】
【0066】
《実施例2》
前述の表1に示す符号1と2の鋼を対象に、加熱温度1050℃、仕上げ温度 950℃で熱間圧延して外径28mmの丸棒鋼とし、この丸棒鋼の一部を用いて外周面の表面疵を除去する目的で、外径26mmにピーリングを実施した。なお、素材の丸棒鋼は、仕上げ圧延後の冷却速度を変えてその横断面の平均硬さをHRC で23と30の2種類に調整した。
【0067】
また、横断面の平均硬さがHRC 23の丸棒鋼については、その横断面を対象とする磁粉探傷法によって表面疵の深さが0.12〜0.15mmのもの選別抽出した。
【0068】
これらの丸棒鋼は、アイアンヘッドの製造を模擬し、下記条件の熱間鍛造と冷間鍛造をおこなって割れ発生の有無を調査した。
【0069】
外径26mmのピーリング材;長さ150 mmの丸棒鋼を、その径方向に、温度1200〜1000℃、圧縮率70%で熱間鍛造し、冷却後、さらに冷間鍛造にて深さ0.8 mm、角度60゜のV溝(フェース)加工を実施。これは、素材硬さの影響調査である。
【0070】
外径28mmのピーリングなしで、かつ0.12〜0.15mmの表面疵あり材;外径26mmのピーリング材と同じ条件の加工を実施。これは、素材の表面庇深さの影響調査である。
【0071】
調査結果は、表2に示すとおりであり、横断面の平均硬さがHRC 30のものは、外面ピーリングをおこなって表面疵を完全に除去しても、硬さが高すぎるために冷間にての溝(フェイス)加工時に割れが発生している。
【0072】
また、横断面の平均硬さがHRC 23のものでも、その表面に深さ0.12〜0.15mmの表面疵があるものは、熱間鍛造および冷間にての溝(フェイス)加工のいずれにおいても割れが発生している。
【0073】
これに対し、横断面の平均硬さがHRC 23で、かつ表面疵がないものは、熱間鍛造および冷間にての溝(フェイス)加工のいずれにおいても割れは発生していない。これは、横断面の平均硬さはHRC で25以下、表面疵の深さは0.1 mm以下であることが望ましいことを意味している。
【0074】
【表2】
【0075】
《実施例3》
前述の表1に示す符号1と2の鋼からなる実施例1で用いたのと同じ外径25mmの丸棒鋼の表面粗さを、故意にJIS B 0601に規定されている平均粗さRaで5μmにまで粗し、次いでアセトン脱脂に代えて硝酸濃度が種々異なる硝酸水溶液により処理(脱脂処理)して不動態皮膜を形成させ、実施例1と同じ条件の耐食性試験をおこなった。
【0076】
耐食性の評価は、実施例1の場合と同じ基準によりおこない、その結果を表3に示した。
【0077】
上記の試験に供した表面租さがRaで5μmの試験片は、アセトン脱脂のままでは耐食性が悪かったものであるが、表3に示すように、硝酸の濃度が10体積%以上の硝酸水溶液で処理(脱脂処理)したものは耐食性が良好である。
【0078】
これに対し、硝酸の濃度が10体積%未満の硝酸水溶液で処理(脱脂処理)したものは耐食性が悪い。これは、本発明の鋼を所定の形状に成形した後にその表面を硝酸濃度10体積%以上の硝酸水溶液で処理して不動態皮膜を形成させたアイアンヘッドにおいてもいえることであり、良好な耐食性を発揮する不動態皮膜を形成させるためには硝酸濃度が10体積%以上の硝酸水溶液で処理(脱脂処理)する必要があることを意味している。
【0079】
【表3】
【0080】
【発明の効果】
本発明のアイアンヘッド用鋼は、Cr以外には多量の合金元素を含有していないので安価であり、しかもアイアンヘッドに要求される耐食性、ロゴマークの打刻性を含めた鍛造性、および切削性を有しており、その製造方法は素材の鋼の加熱温度と熱間圧延での仕上げ温度を管理するだけでよいので製造容易である。また、本発明のアイアンヘッドは必要な耐食性を有しており、その製造方法は所定の形状に成形後、その表面を硝酸濃度10体積%以上の硝酸水溶液で処理(脱脂処理)するだけで得られるので安価である。
Claims (8)
- 質量%で、C:0.05%以下、Si:0.30〜0.60%、Mn:0.10〜0.50%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr: 7〜13%、Cu:0.5 %以下、Ni:0.5 %以下、Mo:1.0 %以下、Al:0.10%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなるアイアンヘッド用鋼。
- Feの一部に代えて、質量%で、V: 0.001〜0.10%、Nb: 0.001〜0.3 %およびTi: 0.003%以上0.02%未満のうちの1種以上を含有する請求項1に記載のアイアンヘッド用鋼。
- Mn/Sが10〜50である請求項1または2に記載のアイアンヘッド用鋼。
- 圧延方向と直交する横断面の平均硬さがHRC で20〜25であり、かつ粒界割れを含めた表面疵の深さが0.1 mm以下である請求項1から3までのいずれかに記載のアイアンヘッド用鋼。
- 請求項1から4までのいずれかに記載の化学組成を有する鋼を 950〜1100℃に加熱した後、仕上げ温度 850〜950 ℃で熱間圧延をおこなうことを特徴とするアイアンヘッド用鋼の製造方法。
- 熱間圧延後、外面切削をおこなうことを特徴とする請求項5に記載のアイアンヘッド用鋼の製造方法。
- 請求項1から4までのいずれかに記載の鋼からなり、その表面が硝酸による処理によって形成された不動態皮膜により被覆されていることを特徴とするアイアンヘッド。
- 請求項1から4までのいずれかに記載の鋼を所定の形状に成形し、次いで、硝酸濃度が10体積%以上の硝酸水溶液を用いて処理し、その表面に不動態皮膜を形成させることを特徴とする請求項7に記載のアイアンヘッドの製造方法。
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