JP2004277669A - 色彩記憶性光変色性スタンプインキ組成物及びそれを用いたスタンプ具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジアリールエテン系フォトクロミック化合物を含む光変色剤を、少なくとも溶剤とバインダーを含むビヒクル中に溶解、分散、又は懸濁させて、色彩記憶性光変色性スタンプインキ組成物と、前記インキ組成物を印材又は印床を構成する、連続気孔を有するプラスチック多孔体、又は無数の毛細間隙を有する繊維加工多孔体のいずれかに含浸させたスタンプ具。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、色彩記憶性光変色性スタンプインキ組成物及びそれを用いたスタンプ具に関する。詳細には、紫外線又は紫外線を含む太陽光の照射により発色して、無色から有色、或いは有色(1)から有色(2)に変色し、変色状態を維持する印像を与え、必要に応じて前記印像に可視光を照射することにより、元の無色、或いは有色(1)を呈する印像に復帰可能な色彩記憶性光変色性スタンプインキ組成物、及び前記印像を効果的に形成させる軽便なスタンプ具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、色変化する像を形成するスタンプ用インキとして、熱変色性材料を利用したもの(例えば、特許文献1)、光変色性材料を利用したもの(例えば、特許文献2)が知られている。
前記熱変色性材料を利用したインキにより形成される印像の変色には、熱又は冷熱手段を要するのに対して、光変色性材料を利用したインキにより形成される印像は、太陽光の照射により自然に色変化させることができ、手間を要さない。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−121427号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平11−335600号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の光変色性材料を利用したインキにより形成される印像は、太陽光の照射により発色し、太陽光の照射下にあっては発色状態を維持するが、太陽光の当たらない場所に放置すると、発色状態が維持されず、自然に可逆的に消色して元の印像に戻り、常態では発色状態は維持されない。
本発明者らは、光メモリー(色彩記憶性光変色性)に必要とされる熱不可逆性をもつフォトクロミック化合物の応用を検討する過程において、特定のフォトクロミック化合物(ジアリールエテン系化合物)が、発色状態を維持する色彩記憶性、熱的安定性、感度、繰り返し耐久性等に顕著に優れており、色彩記憶性光変色印像を与えるスタンプ用インキの光変色剤として有効であり、前記光変色剤を溶解、分散、又は懸濁させたインキ組成物をスタンプ具形態として適用することが効果的なことを見出し、本発明を完成させたものであり、紫外線又は紫外線を含む太陽光の照射により発色して、無色から有色、或いは有色(1)から有色(2)に変色し、変色状態を維持する印像を与え、必要に応じて前記印像に可視光を照射することにより、元の無色、或いは有色(1)の印像に復帰可能な色彩記憶性光変色性スタンプインキ組成物、及び前記印像を効果的に形成させる軽便な光変色性スタンプ具を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ジアリールエテン系フォトクロミック化合物を含む光変色剤を、少なくとも溶剤とバインダーを含むビヒクル中に溶解、分散、又は懸濁させてなる色彩記憶性光変色性スタンプインキ組成物を要件とする。
更には、前記ビヒクルは、350nm〜400nmの波長域における乾燥塗膜の光反射率が20%以上であること、光変色剤は、ジアリールエテン系フォトクロミック化合物を内包させたマイクロカプセル形態の顔料、又は前記フォトクロミック化合物を含有する樹脂粉粒体であること、非光変色性染料又は顔料を併用してなること、前記顔料は光輝性顔料から選ばれること、剪断減粘性物質を含み、剪断減粘性を有してなること、水溶性高分子凝集剤を含み、ジアリールエテン系フォトクロミック化合物を内包させたマイクロカプセル形態の顔料、又は前記フォトクロミック化合物を含有する樹脂粉粒体を緩やかな凝集状態に懸濁させてなること等を要件とする。
更には、前記色彩記憶性光変色性スタンプインキ組成物を印材又は印床を構成する、連続気孔を有するプラスチック多孔体、又は無数の毛細間隙を有する繊維加工多孔体のいずれかに含浸させたスタンプ具を要件とする。
【0007】
前記ジアリールエテン系フォトクロミック化合物を以下に例示する。
なお、本発明に用いられるジアリールエテン系フォトクロミック化合物は以下の化合物に限定されるものではない。
ジアリールエテン系フォトクロミック化合物の基本骨格としては一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
【化1】
前記一般式(1)の環Aは、フッ化(フルオロ化)又はペルフルオロ化されていてもよい炭化水素環又は複素環を示す。
【0008】
前記一般式(1)で示される化合物を、一般式(2)又は(3)で具体的に例示する。
【化2】
前記一般式(2)で示される化合物は、5個の炭素原子を含むフッ化又はペルフルオロ化されていてもよい環を有する。
【化3】
前記一般式(3)で示される化合物は、4個の炭素原子を含む無水環を形成してなり、Xは酸素原子又はNR基(ここで、Rは炭素数2乃至16のアルキル及び/又はヒドロキシアルキル基である)を示す。
【0009】
更に、別のジアリールエテン系フォトクロミック化合物の基本骨格としては一般式(4)で示される化合物が挙げられる。
【化4】
前記一般式(4)で示される化合物のA1基及びA2基は、二重結合に対して常にシス形にあり、互いに独立した置換或いは非置換のアルキル基、脂肪酸エステル基、ニトリル基を示す。
【0010】
前記一般式(4)で示される化合物を、一般式(5)及び(6)で具体的に例示する。
【化5】
【化6】
前記一般式(6)で示される化合物のR1及びR2はメチル基又はエチル基を示す。
【0011】
前記した一般式(1)乃至(6)で示される化合物中のB基とC基は、同一或いは異なっていてもよく、次の構造式で示される基を例示できる。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
〔式中、YとZは、同一或いは異なっていてもよく、酸素原子又は硫黄原子或いは硫黄、窒素またはセレニウムの酸化形を示し、DとEは、同一或いは異なっていてもよく、炭素原子又は窒素原子を示し、R3乃至R17は、同一或いは異なっていてもよく、水素、直鎖又は分枝状の炭素数1乃至16のアルキル又はアルコキシ基、ハロゲン、直鎖又は分枝状の炭素数1乃至4のフルオロ又はペルフルオロ基、カルボン酸基、炭素数1乃至16のアルキルカルボン酸基、炭素数1乃至16のモノ又はジアルキルアミノ基、ニトリル基、フェニル基、ナフタレン基、複素環(ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、インドール、ピロール、セレノフェン、チアゾール、ベンゾチオフェン等)を示す。R13乃至R17については、隣接する基と環を結んだナフタレン骨格であってもよい。〕
【0012】
前記B基及びC基について更に具体的には、
【化12】
【化13】
【化14】
等が挙げられる。
【0013】
前記一般式(2)又は(3)で示される化合物を更に詳しく説明すると、
マレイン酸無水物系化合物としては、
3,4−ビス(1,2−ジメチル−3−インドリル)フラン−2,5−ジオン、
3,4−ジ(2−メチル−3−ベンゾチオフェン)フラン−2,5−ジオン等があげられる。
シクロペンテン系化合物としては、
1−(1,2−ジメチルインドリル)−2−(2−シアノ−3,5−ジメチル−4−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(1,2−ジメチル−3−インドリル)−2−(3−シアノ−2,5−ジメチル−4−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(1,2,−ジメチル−3−インドリル)−2−(2−メチル−3−ベンゾチエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(5−(4−メトキシフェニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(5−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(5−(2−(4−シアノフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−(2−(2−キノリル)−1−エテニル)−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−(2−(4−ピリジル)−1−エテニル)−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−(2−(1−ナフチル)−1−エテニル)−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(5−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2−メチル−4−オクチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(5−(2−(4−t−ブチルフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−(2−(2−ベンゾチアジル)−1−エテニル)−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(6−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−2−(5−(4−(4−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(6−(4−(4−メトキシフェニル)−1,3−ブタジエニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−2−(5−(4−(4−メトキシフェニル)−1,3−ブタジチエニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(6−(4−(4−メトキシフェニル)−1,3−ブタジエニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(6−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(6−(2−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−エテニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−2−(5−(2−(4−シアノフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(6−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−2−(5−(2−(4−シアノフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(6−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−2−(5−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(6−(4−(4−メトキシフェニル)−1,3−ブタジエニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−2−(5−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(6−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−2−(2,4−ジメチル−(5−(4−(4−メトキシフェニル)−1,3−ブタジエニル))−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(1,2−ジメチル−3−インドリル)−2−(2−シアノ−3−メトキシ−5−メチルチエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン
1,2−ビス(2−メチル−5−フェニル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−フェニル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(5−メチル−2−フェニル−4−チアゾイル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(2−メチルベンゾチオフェン−3−イル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(3−メチルベンゾチオフェン−2−イル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(3−メチル−2−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(3−メチル−2−チエニル)−2−(2−メチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(5−(4−メチルフェニル)−2−メチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(2,4−ジメチル−5−フェニル−3−チエニル)−2−(2−メチル−5−フェニル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン等が挙げられる。
【0014】
前記一般式(5)又は(6)で示される化合物を更に詳しく説明すると、
マレイン酸系化合物としては、2,3−ジ(2−メチルベンゾチエニル)−マレイン酸ジメチル等が挙げられる。
ジシアノエチレン系化合物としては、1,2−ビス(2,3,5−トリメチル−4−チエニル)−1,2−ジシアノエチレン、1,2−ビス(2−メチル−3−ベンゾチエニル)−1,2−ジシアノエチレン等が挙げられる。
【0015】
前記ジアリールエテン系フォトクロミック化合物は、そのままの染料形態、前記化合物を含有する樹脂粉粒体、或いは前記化合物をマイクロカプセル中に媒体と共に内包させたマイクロカプセル形態の顔料として用いることができ、水性乃至油性のビヒクル中に配合して光変色性インキを調製し、スタンプ具に内蔵させて実用に供する。
前記マイクロカプセル形態の顔料は、従来より公知の界面重合法、inSitu重合法、液中界面重合法、スプレ−ドライング法等の適宜の方法により得ることができ、粒子径0.5〜50μm、好ましくは1〜30μm程度のものが、分散性、持久性、加工性の面で有効である。
前記ビヒクルには、バインダー樹脂、例えば、各種合成樹脂エマルジョン、水溶性乃至油溶性の合成樹脂、その他糊剤等から選ばれる固着剤、乾燥を抑制するための保湿剤、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、低分子量ポリエチレングリコール等のグリコール類及びそれらの低級アルキルエーテル、2−ピロリドン、N−ビニルピロリドン、尿素等の適宜量を配合することができる。
更には、剪断減粘性物質、例えば、特定のHLB値を有するノニオン系界面活性剤、キサンタンガム、ウエランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ベンジリデンソルビトール又はその誘導体、架橋性アクリル酸重合体等から選ばれる物質を、単独或いは混合して配合した剪断減粘系インキを利用することができる。
更には、高分子凝集剤、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性多糖類、非イオン性水溶性セルローズ誘導体等を適用した凝集系インキを利用することができる。
前記水溶性多糖類としては、トラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリンが挙げられ、非イオン性水溶性セルロース誘導体としては、メチルセルローズ、ヒドロキシセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、ヒドロキシプロピルセルローズ、ヒドロキシエチルメチルセルローズ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
前記ジアリールエテン系フォトクロミック化合物の光変色剤としての発色性を効果的に発現させて高視覚濃度の光変色性印像を形成させるために、ビヒクルとして下記の要件を満たすことが効果的である。
ビヒクルは、下記測定方法による、350nm〜400nmの波長域における乾燥塗膜の光反射率が20%以上であること、好ましくは、エマルジョン型バインダーを適用した、バインダー自体が溶剤に非溶解状態にある系では、反射率30%以上であり、バインダーがビヒクルに溶解状態にある系では、反射率40%以上であることが更に望ましい。
測定方法は、試料ビヒクルをバーコーターを使用して、白色合成紙(白色顔料がブレンドされたポリオレフィン系合成紙)上に、約50nmの厚みに塗布し、常温乾燥して乾燥塗膜を形成して測定試料とし、前記白色合成紙を比較対照試料として、分光光度計(株式会社日立製作所製、自記分光光度計U−3210型)を使用して、350nm〜400nmの波長域の反射率を測定して求める。
ビヒクルの光反射率が、前記反射率未満の系では、光変色剤に対する紫外線又は紫外線の照射効果の有効な発現を阻害し、本来の光変色剤の発色濃度を有効に発現させて視覚させ難い。
従って、ビヒクルを構成するバインダー樹脂や各種添加物にあっては、紫外線吸収性のないもの、或いは、紫外線吸収性を有するとしても、前記反射特性を阻害しない程度のものが適用される。
【0016】
スタンプ具は、スタンプインキをフェルト等の多孔体に含浸させた印床を設けたスタンプ台と、印材とを組み合わせたセットであってもよいが、光変色性インキを連続気孔を有するプラスチック多孔体等からなる印材に直接的に含浸させたものが軽便である。
【0017】
前記したスタンプ具により光変色性印像を形成する支持体は、紙、合成紙、プラスチックシート、布帛、アルミ箔等のシート状の支持体に限らず、各種形態のプラスチック造形体、木製部材等の立体状のもの等、印像が形成可能な支持体であればよく、材質、形態等を制約しない。
【0018】
前記ジアリールエテン系フォトクロミック化合物は、インキ中に0.5〜50重量%、好ましくは、1〜40重量%の範囲の含有量が実用的であり、視覚効果を満たす。
0.5重量%未満では、低発色濃度であり、光変色による視覚効果を満たさない。一方、50重量%以上となしても、含有量に相応する発色濃度効果が得られ難い。
なお、インキ中には非光変色性染料又は顔料を併存させて発色時と消色時の色彩を多彩に変化させ、有色(1)と有色(2)との互変的色彩変化を視覚させることもできる。
更には、前記顔料として金属光沢顔料を適用することによって、特に無色から有色に変色させる系において、無色の印像に光輝性を付与して識別効果を与え、有色の印像に光輝感を付与することができる。
前記金属光沢顔料としては、アルミニウム粉、錫粉、鉛粉、亜鉛末、ステンレススチール粉、ニッケル粉、鉄粉、銅粉、銅合金粉、錫・鉛・亜鉛・半田粉、真鍮粉、金粉、銀粉等を例示できる。
【0019】
前記光変色性印像には、紫外線照射具による紫外線照射、或いは紫外線を含む太陽光の照射により発色させ、発色状態を維持させることができる。
【0020】
色彩変換手段は、紫外線吸収剤及び/又は、少なくとも紫外線を遮蔽する光遮蔽性顔料を含み、太陽光の紫外線をカットして、可視光の照射により前記発色状態にあるフォトクロミック化合物を消色させ、消色状態に変位させて維持させるための手段であり、従来より汎用の紫外線吸収剤、光遮蔽性顔料を適用でき、熱可塑性プラスチックに一体的にブレンドして成形した、シート状、フィラメント状、その他任意形象の成形体等を例示できる。更には、紫外線吸収剤及び/又は光遮蔽性顔料をバインダー樹脂に溶解又は分散状態に支持体に固着させた、印刷乃至塗布層(像を含む)、印像又は筆記像等を挙げることができ、具体的には、透明乃至半透明性のシートや任意形象の造形体を支持体とするもの、更には、光変色性筆記像又は印像上に直接的に配設されたものであってもよい。
尚、前記したシートや薄肉状の成形体にあっては、文字、図柄、模様等の像を内部に型抜きし、発色像と消色像との対比による視覚効果を高めることができる。
更には、色彩変換手段として、紫外線吸収剤及び/又は、光遮蔽性顔料を配合したペースト状乃至ジェル等の塑性乃至流動体形態のものであってもよく、前記塑性乃至流動体形態の色彩変換手段を筆記具、塗布具、スタンプ具に収容して実用に供することもできる。
尚、前記塑性乃至流動体形態の色彩変換手段は、光変色性印像上に筆記、塗布、或いは、スタンプした後、除去できる剥離性を有する塑性乃至流動体が好適に用いられる。
【0021】
前記において、熱可塑性プラスチックに一体的に紫外線吸収剤を配合する系にあっては、前記プラスチックの重量に対して、0.001重量%以上、好ましくは、0.01重量%以上の紫外線吸収剤を配合することによって、効果的な紫外線のカット効果の役目を果たす。又、バインダー樹脂を含むビヒクル中に紫外線吸収剤を溶解又は分散させたインキにより、固着像を形成させる系にあっては、バインダー樹脂に対して、0.05重量%以上、好ましくは、0.1重量%以上の紫外線吸収剤を配合することによって、効果的な紫外線のカット効果の役目を果たす。
一方、光遮蔽性顔料を配合する系にあっては、前記熱可塑性プラスチック或いはバインダー樹脂に対して、0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%の割合に配合して分散状態に固着させることにより、所期の紫外線カット効果を効果的に果たす。
【0022】
前記紫外線吸収剤としては、
2,4−ヒドロキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、
2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、
2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、
ビス−(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)−メタン2−〔2’−ヒドロキシ−3’−5’−ジ−t−アミルフェニル〕−ベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシ−ベンゾフェノン〔商品名:シーソーブ103、シプロ化成(株)製〕、
2−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノン、
2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、
2−〔2’−ヒドロキシ−3’−5’−ジ−t−アミルフェニル〕−ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤。
【0023】
サリチル酸フェニル、
サリチル酸パラ−t−ブチルフェニル、
サリチル酸パラオクチルフェニル、
2−4−ジ−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシベンゾエート、
1−ヒドロキシベンゾエート、
1−ヒドロキシ−3−t−ブチル−ベンゾエート、
1−ヒドロキシ−3−t−オクチルベンゾエート、
レゾルシノールモノベンゾエート等のサリチル酸系紫外線吸収剤。
【0024】
エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、
2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、
2−エチルヘキシル−2−シアノ−3−フェニルシンナート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤。
【0025】
2−〔5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン−PS、チバガイギー社製〕、
2−〔5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール、
2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2Hベンゾトリアゾール、
2−〔3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール、
2−〔3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−〔3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−〔3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン328、チバガイギー社製〕、
メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール分子量300〔商品名:チヌビン1130、チバガイギー社製〕、
2−〔3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、
メチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール分子量300、
2−〔3−t−ブチル−5−プロピルオクチレート−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−〔2−ヒドロキシフェニル−3,5−ジ−(1,1’−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、
2−〔2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、
2−〔3−t−ブチル−5−オクチルオキシカルボニルエチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン384、チバガイギー社製〕、
2−〔2−ヒドロキシ−5−テトラオクチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール、
2−〔2−ヒドロキシ−4−オクトオキシ−フェニル〕−ベンゾトリアゾール、
2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3”4”5”6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤。
【0026】
エタンジアミド−N−(2−エトキシフェニル)−N’−(4−イソドデシルフェニル)、
2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリル−オキシカルボニル)−エチル−7−オキサ−3,20−ジアゾジスピロ(5,1,11,2)ヘンエイコ酸−21−オン等の蓚酸アニリド系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0027】
光遮蔽性顔料としては、粒子径が5〜400μmの金属光沢顔料、或いは、粒子径が1μm以下の透明二酸化チタン、透明酸化鉄、透明酸化セリウム、透明酸化亜鉛等を例示でき、一種又は二種以上を適用できる。
前記金属光沢顔料としては、天然雲母、合成雲母、ガラス、アルミナから選ばれる芯物質の表面を金属酸化物で被覆したものを例示でき、可視光線の選択的干渉作用により生じる虹彩効果、透過効果と、光変色層の可視光線の反射効果の相乗作用により、金属光沢調の色彩変化を視覚させることができる。
前記光遮蔽性顔料を適用した系にあっては、光吸収(或いは光反射)機能と光透過機能の両面性を兼ね備えており、紫外線や可視光線の少なくとも一部を吸収或いは反射し、更に可視光線も視覚を妨げない程度の適量を透過させることができ、光変色層の色彩変化を透視させることができる。
ここで、前記光遮蔽性顔料を含む層の上層又は下層には、紫外線吸収剤を含む層を積層状に配置することができる。更には、光遮蔽性顔料に紫外線吸収剤を適宜の割合で配合して、共存層を形成させることができる。
【0028】
前記色彩変換手段は、光変色性印像上に接触乃至非接触状に配置される。通常、シート状形態のものを全面接触状態又は一部接触状態にして適用されるが、適宜間隔をおいて、非接触状に配置することもできる。
尚、内部に型抜き像を形成したシート状形態等の色彩変換手段を適用した系にあっては、型抜き部分を残し、消色状態に変位させることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の色彩記憶性光変色機能の互変的発現方法を満たす構成であれば、総て有効であり、本発明は下記の実施例に限定されない。
【0030】
【実施例】
実施例1
色彩記憶性光変色性スタンプインキの調製
無色から青色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物A(1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−フェニル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)を公知の界面重合法によりエポキシ樹脂膜で内包されたマイクロカプセル顔料、及び、ピンク色顔料を、ポリビニルブチラール樹脂、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールからなるビヒクル中に分散して油性スタンプインキを調製した。
前記インキにおけるビヒクルの皮膜の光反射率は400nmで97%、350nmで90%であった。
【0031】
色彩記憶性光変色性スタンプ具の作製
前記インキをスタンプの含浸体に含浸させて光変色性スタンプ具(スタンプパッド)を作製した。
【0032】
印像の変色挙動
紙面上に前記スタンプパッドのインキを印面に転移させたスタンプを押印して星柄の光変色性印像を形成した後、太陽光を照射すると、太陽光に含まれる紫外光によって印像がピンク色から紫色に変色し、この状態は屋外、室内、暗所のいずれの場所でも変色することなく、その状態を維持した。
【0033】
実施例2
色彩記憶性光変色性スタンプインキの調製
無色からピンク色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物B(1,2−ビス(5−メチル−2−フェニル−4−チアゾイル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)をポリビニルブチラール樹脂、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ヘキシレングリコールからなるビヒクル中に溶解して油性スタンプ用インキを調製した。
前記インキにおけるビヒクルの皮膜の光反射率は400nmで95%、350nmで85%であった。
【0034】
色彩記憶性光変色性スタンプ具の作製
前記インキをスタンプの含浸体に含浸させて光変色性スタンプ具(スタンプパッド)を作製した。
【0035】
印像の変色挙動
紙面上に前記スタンプパッドのインキを印面に転移させたスタンプを押印してハート柄の光変色性印像を形成した後、太陽光を照射すると、太陽光に含まれる紫外光によってピンク色の印像が現出し、この状態は屋外、室内、暗所のいずれの場所でも変色することなく、その状態を維持した。
【0036】
実施例3
色彩記憶性光変色性スタンプインキの調製
無色から赤色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物C(1,2−ビス(2,5−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)を公知の界面重合法によりエポキシ樹脂膜で内包されたマイクロカプセル顔料を、ポリビニルピロリドン、グリセリン、水からなるビヒクル中に分散して水性スタンプ用インキを調製した。
前記インキにおけるビヒクルの皮膜の光反射率は400nmで55%、350nmで40%であった。
【0037】
色彩記憶性光変色性スタンプ具の作製
前記インキをスタンプの含浸体に含浸させて光変色性スタンプ具(スタンプパッド)を作製した。
【0038】
印像の変色挙動
前記スタンプパッド、ハート柄の印面を有するスタンプ、及び、シートを組み合わせて互変的色彩記憶性光変色性スタンプ具を得た。
紙面上に前記スタンプパッドのインキを印面に転移させたスタンプを押印してハート柄の光変色性印像を形成した後、太陽光を照射すると、太陽光に含まれる紫外光によって赤色の印像が現出し、この状態は屋外、室内、暗所のいずれの場所でも変色することなく、その状態を維持した。
【0039】
実施例4
色彩記憶性光変色性スタンプインキの調製
無色から緑色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物D(1,2−ビス(2−メチル−6−ニトロ−3−ベンゾチエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)を樹脂中に溶解して固形化した顔料を、ポリビニルブチラール樹脂、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールからなるビヒクル中に分散して油性スタンプ用インキを調製した。
前記インキにおけるビヒクルの皮膜の光反射率は400nmで45%、350nmで35%であった。
【0040】
色彩記憶性光変色性スタンプ具の作製
プラスチック製本体内に連続気孔を有する発泡体を収容し、前記発泡体の一端が外部に露出する構成のスタンプの前記発泡体にインキを含浸させて光変色性スタンプを作製した。
なお、外部に露出した発泡体表面には「保管注意」の文字が凹凸により形成されてなる。
【0041】
印像の変色挙動
紙面上に、前記スタンプを押印した後、太陽光を照射すると、太陽光に含まれる紫外光によって緑色の「保管注意」の印像が現出し、この状態は屋外、室内、暗所のいずれの場所でも変色することなく、その状態を維持した。
【0042】
実施例5
色彩記憶性光変色性スタンプインキの調製
無色から橙色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物E(1−(2−フェニル−5−メチル−4−チアゾイル)−2−(3−メチル−2−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)を公知の界面重合法によりエポキシ樹脂膜で内包されたマイクロカプセル顔料を、ポリビニルピロリドン、グリセリン、水からなるビヒクル中に分散して水性スタンプ用インキを調製した。
前記インキにおけるビヒクルの皮膜の光反射率は400nmで90%、350nmで80%であった。
【0043】
色彩記憶性光変色性スタンプ具の作製
プラスチック製本体内に連続気孔を有する発泡体を収容し、前記発泡体の一端が外部に露出する構成のスタンプの前記発泡体にインキを含浸させて光変色性スタンプ具を作製した。
なお、外部に露出した発泡体表面にはハート柄が凹凸により形成されてなる。
【0044】
印像の変色挙動
紙面上に、前記スタンプ具を押印した後、太陽光を照射すると、太陽光に含まれる紫外光によって橙色のハート柄の印像が現出し、この状態は屋外、室内、暗所のいずれの場所でも変色することなく、その状態を維持した。
【0045】
実施例6
色彩記憶性光変色性スタンプインキの調製
無色からピンク色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物B(1,2−ビス(5−メチル−2−フェニル−4−チアゾイル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)を公知の界面重合法によりエポキシ樹脂膜で内包されたマイクロカプセル顔料、及び、青色顔料を、ポリビニルブチラール樹脂、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールからなるビヒクル中に分散して油性スタンプ用インキを調製した。
前記インキにおけるビヒクルの皮膜の光反射率は400nmで90%、350nmで80%であった。
【0046】
色彩記憶性光変色性スタンプ具の作製
プラスチック製本体内に連続気孔を有する発泡体を収容し、前記発泡体の一端が外部に露出する構成のスタンプの前記発泡体にインキを含浸させて光変色性スタンプ具を作製した。
なお、外部に露出した発泡体表面には花の図柄が凹凸により形成されてなる。
【0047】
印像の変色挙動
紙面上に、前記スタンプ具を用いて花柄の光変色性印像を形成した後、太陽光を照射すると、太陽光に含まれる紫外光によって印像が青色から紫色に変色し、この状態は屋外、室内、暗所のいずれの場所でも変色することなく、その状態を維持した。
【0048】
実施例7
色彩記憶性光変色性スタンプインキの調製
無色からピンク色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物B(1,2−ビス(5−メチル−2−フェニル−4−チアゾイル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)、及び、黄色顔料を、ポリビニルピロリドン、グリセリン、水からなるビヒクル中に分散して水性スタンプ用インキを調製した。
前記インキにおけるビヒクルの皮膜の光反射率は400nmで60%、350nmで50%であった。
【0049】
色彩記憶性光変色性スタンプ具の作製
プラスチック製本体内に円柱状回転体を転動自在に収容し、且つ、前記本体内に回転体の周円部と接触する連続気孔を有する発泡体を設けてなり、前記回転体の一端が外部に露出する構成のスタンプの前記発泡体にインキを含浸させて光変色性スタンプ具を作製した。
なお、回転体の周円部には連続してハート柄が凹凸により形成されてなる。
【0050】
印像の変色挙動
紙面上に、前記スタンプを用いて連続的なハート柄の光変色性印像を形成した後、太陽光を照射すると、太陽光に含まれる紫外光によって印像が黄色から赤色に色変化し、この状態は屋外、室内、暗所のいずれの場所でも変色することなく、その状態を維持した。
【0051】
実施例8
色彩記憶性光変色性スタンプインキの調製
無色から青色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物A(1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−フェニル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)を樹脂中に溶解して固形化した顔料、及び、ピンク色顔料を、ポリビニルブチラール樹脂、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールからなるビヒクル中に分散して油性スタンプ用インキを調製した。
前記インキにおけるビヒクルの皮膜の光反射率は400nmで96%、350nmで80%であった。
【0052】
色彩記憶性光変色性スタンプ具の作製
プラスチック製本体内に円柱状回転体を転動自在に収容し、且つ、前記本体内に回転体の周円部と接触する連続気孔を有する発泡体を設けてなり、前記回転体の一端が外部に露出する構成のスタンプの前記発泡体にインキを含浸させて光変色性スタンプ具を作製した。
なお、回転体の周円部には連続して波模様が凹凸により形成されてなる。
【0053】
印像の変色挙動
紙面上に前記スタンプを用いて連続的な波模様の光変色性印像を形成した後、太陽光を照射すると、太陽光に含まれる紫外光によって印像がピンク色から紫色に色変化し、この状態は屋外、室内、暗所のいずれの場所でも変色することなく、その状態を維持した。
【0054】
【発明の効果】
本発明インキ組成物は、紫外線又は紫外線を含む太陽光の照射により発色して無色から有色に、或いは非光変色性の染料、又は顔料を併用した系では、有色(1)から有色(2)に、高感度且つ高濃度に変色して視覚され、前記変色状態は、可視光を照射しない限り、常態では記憶保持される印像を与えることができる。更には、光輝性の顔料を併用した系では、無色の印像に光輝性を付与して識別効果を与えることができる。
前記インキ組成物は、印材又は印床を構成する、連続気孔を有するプラスチック多孔体、又は無数の毛細間隙を有する繊維加工多孔体に含浸させてスタンプ具を構成し、任意の印像を形成でき、マジック性や玩具性の用途に限らず、学習、情報伝達等、多様な分野に適用性を備えた、軽便な色彩記憶性光変色性スタンプ具として実用性を満たす。
Claims (8)
- ジアリールエテン系フォトクロミック化合物を含む光変色剤を、少なくとも溶剤とバインダーを含むビヒクル中に溶解、分散、又は懸濁させてなることを特徴とする色彩記憶性光変色性スタンプインキ組成物。
- ビヒクルは、350nm〜400nmの波長域における乾燥塗膜の光反射率が20%以上である、請求項1記載の色彩記憶性光変色性スタンプインキ組成物。
- 光変色剤は、ジアリールエテン系フォトクロミック化合物を内包させたマイクロカプセル形態の顔料、又は前記フォトクロミック化合物を含有する樹脂粉粒体である、請求項1記載の色彩記憶性光変色性スタンプインキ組成物。
- 非光変色性染料又は顔料を併用してなる、請求項1記載の色彩記憶性光変色性スタンプインキ組成物。
- 顔料は光輝性顔料から選ばれる、請求項4記載の色彩記憶性光変色性スタンプインキ組成物。
- 剪断減粘性物質を含み、剪断減粘性を有してなる、請求項1記載の色彩記憶性光変色性スタンプインキ組成物。
- 水溶性高分子凝集剤を含み、ジアリールエテン系フォトクロミック化合物を内包させたマイクロカプセル形態の顔料、又は前記フォトクロミック化合物を含有する樹脂粉粒体を緩やかな凝集状態に懸濁させてなる、請求項1記載の色彩記憶性光変色性スタンプインキ組成物。
- 請求項1乃至7から選ばれる色彩記憶性光変色性スタンプインキ組成物を印材又は印床を構成する、連続気孔を有するプラスチック多孔体、又は無数の毛細間隙を有する繊維加工多孔体のいずれかに含浸させたことを特徴とするスタンプ具。
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