JP2004276936A - コンテナおよびその製造方法 - Google Patents

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Kazutaka Atsumi
一貴 渥美
Yasuyuki Hirano
靖幸 平野
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Abstract

【課題】コンテナとその製造方法において、タッピングスクリューによる床材と根太との締結構造における外部からの水の浸入を防ぐ。
【解決手段】横根太8の接触面を床材3の下面に面接触させ、スクリュー用下孔にタッピングスクリュー14を挿入してねじ込んで横根太8は床材3に強く締結される。タッピングスクリュー14のネジ部14aにはあらかじめシール材17が塗布されており、その軸方向の塗布範囲はタッピングスクリュー14がねじ込みきった状態で、床材3の内部における下面12の付近から、横根太8の上壁部8bの下面18より突出した部分における下面18の付近までの間となっている。シール材17は、床材の下面12と横根太の接触面13との間の隙間と、横根太8の上壁部8bのスクリュー孔20とタッピングスクリュー14のネジ部14aとの間の隙間の両方からの水の浸入を防ぐことができる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内部に貨物室を形成するコンテナにおいて、特に床材の下面に補強用の根太をタッピングスクリューで締結しているコンテナおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内部に貨物室を形成する箱体であるコンテナは、トラックの荷台用として搭載されるものや、またはそれ単独で利用される貨物コンテナ、またはトレーラ用の着脱可能なものなどのように様々な利用形態があるが、ほとんどは床材の下面に根太と呼ばれる複数の補強材が設置されている。根太は、一般的にアングル材やチャネル材などのように複数の壁部を備える断面形状の鉄またはアルミ等の骨材であり、その1つの壁部の側面を床材の下面に面接触させ、コンテナ内部からタッピングスクリューを床材および根太の接触壁部に貫通させて締結するようになっている。
【0003】
コンテナは上記形態のように屋外で利用されるのがほとんどであり、外部から雨水などが床材に開けられたスクリュー孔を介して浸入するのを防ぐためのシール構成が必須となっている。従来ではこのような水上がりを防止するシール構成として、あらかじめ根太側の接触面に防水用のシール材を塗布してから根太を設置させ、根太と床材との間の隙間から水が浸入するのを防ぐようになっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通常の場合タッピングスクリューは、床材とそれに接触させる根太の接触壁部とを貫通させて外部に突出するように設置されるため、そのタッピングスクリューの突出部分と根太のスクリュー孔との隙間から水が浸入しやすくなっており、床材と根太の接触面間に塗布されたシール材はこの水上がりを防ぐことが困難となっていた。
【0005】
本発明の目的は、タッピングスクリューによる床材と根太との締結構造において外部からの水の浸入を防ぐことの可能なコンテナおよびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のコンテナは、床材、前後左右の側壁および天井壁を有し、内部に貨物室を形成するコンテナ本体と、床材の下面に取り付けられる複数本の根太と、シール材が塗布され、床材と根太とを貫通して床材と根太とを締結するネジ部材とを有し、ネジ部材と床材との間の隙間を介して外部から貨物室内への水の浸入を防止することを特徴とする。
【0007】
本発明のコンテナは、シール材は、ネジ部材をねじ込みきった状態における床材と根太との間の接触面と、ネジ部材の突出側の根太のネジ孔の開口部が含まれる軸方向範囲で塗布されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のコンテナは、床材と根太の間にシール材が塗布されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のコンテナの製造方法は、床材、前後左右の側壁および天井壁を有し、内部に貨物室を形成するコンテナの製造方法であって、ネジ部材にシール材を塗布する工程と、床材の下面に複数本の根太を取り付ける工程と、ネジ部材を床材と根太とを貫通して床材と根太とを締結する工程とを有し、ネジ部材と床材との間の隙間を介して外部から貨物室内への水の浸入を防止することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の実施の形態のコンテナを荷台として後方に搭載したバントラックを斜め後方から見た全体斜視図であり、図2は図1における矢視Aからコンテナのみを見た長手方向断面図である。図1、図2に示すように、バントラック1に搭載されているコンテナ2は、内部に貨物室を形成する箱体であり、その下方に位置して貨物を載置する床材3と、床材3の前端に固定した前壁4と、床材3の後端に固定して左右に開閉可能なドア5aを備えた後壁5と、前壁4と後壁5のそれぞれの上端を渡すように設けられた天井壁6と、天井壁6の左右両側に設けられた側壁7とを備えている。このような構成により、コンテナ2はドア5aを閉めることで、内部の床材3に載置した貨物を外部の風雨等の影響から遮断して保管できるようになっている。なお上記における前後左右の方向はバントラック1を基準として設定したものであり、コンテナ2単体で考える場合には異なる方向に設定してもよい。
【0012】
また図2に示すように、コンテナ2の床材の下面には積載可能荷重を増加させるための補強材である多数の横根太8と2本の縦根太9が備えられており、各横根太8は床材3の下面に接触してコンテナ2の幅方向に設置され、2本の縦根太9は横根太8の下面に接触してコンテナ2の長さ方向に設置されている。
【0013】
コンテナ2の床材3に載置された貨物の荷重は床材3から各横根太8に分散され、さらに各横根太8の中央位置に付加された荷重が2つの縦根太9に分散されてそれぞれの横根太8、縦根太9を支持している側壁7や前壁4、後壁5を介して図示しないバントラック1のシャーシ部に分散して付加するようになっている。
【0014】
これにより大きい荷重の貨物を床材3のどの位置に載置しても、各横根太8および縦根太9を介して床材3全体や各壁部4,5,6,7全体で荷重を受けることになり、貨物の載置箇所における局所的な荷重の付加が回避されて床材3が損傷するのを防ぐことができるようになっている。
【0015】
図3は、図2における1つの横根太8と床材3の締結箇所を拡大した断面図であり、図3(A)は締結する前の各部の断面図であり、図3(B)は締結した状態の断面図である。図3に示すように、床材3はアピトンを材質として十分な厚みに形成された板材10の下面に、アルミを材質とする耐水用のアンダーパン11を張り付けた構成となっている。床材3およびアンダーパン11を構成する材質は上記のものに限られるものではなく、たとえば他にも板材10を木材の合板で構成したり、またアンダーパン11をFRPで構成したりすることも可能である。
【0016】
横根太8は上下方向に設けられた主壁部8aの上端と下端にそれぞれ同じ方向で直角に曲げて一体に設けた上壁部8bと下壁部8cとを有して断面がほぼコの字形状に形成されたチャンネル部材であり、上壁部8bは主壁部8aから逆側に少し長く形成されている。
【0017】
横根太8の上壁部8bの上面が床材3の下面12と面接触とする接触面13であり、図3(A)に示すようにそれら上壁部8bと床材3にあらかじめネジ部材であるタッピングスクリュー14を挿入するために形成しておいたネジ孔としての下孔15,16を水平方向に一致させて面接触させる。図3(B)に示すように横根太の接触面13と床材3の下面のアンダーパン11とを面接触させ、そしてそれらスクリュー用下孔15,16にタッピングスクリュー14を挿入してねじ込むことにより、横根太の接触面13は床材3の下面に強く面接触させて締結されている。
【0018】
タッピングスクリュー14のネジ部14aにはあらかじめフッ素系樹脂を主な材質とするシール材17が塗布されており、そのネジ部14a上の塗布範囲は図3(B)に示すように、タッピングスクリュー14をねじ込みきった状態で、床材3の内部におけるアンダーパン11の付近から、横根太8の上壁部8bの下面18より突出した部分における下面18の付近までの間の範囲となっている。
【0019】
このネジ部の軸方向範囲に塗布されたシール材17は、床材の下面12と横根太の接触面13との間の隙間と、横根太8の上壁部8bのスクリュー孔20とタッピングスクリュー14のネジ部14aとの間の隙間の両方から、コンテナ2内部への水の浸入を防ぐことができる。
【0020】
図5は、比較例として、シール材17を床材の下面12と横根太の接触面13との間に塗布しただけの床材3と横根太8の締結箇所を拡大した断面図であり、図5(A)は締結する前の各部の断面図であり、図5(B)は締結した状態の断面図である。図5(A)に示すように、シール材17はあらかじめ横根太の接触面13にのみ塗布されており、横根太8が所定の配置で床材3の下面に面接触された状態で何も塗布されていないタッピングスクリューにより締結されている。
【0021】
コンテナ2は多くの場合屋外で使用されるものであり、床材の下面12も外部に露出していることから湿気や下方からの雨水などの付着により濡れやすくなっており、十分な耐水性を備えることが必要となっている。特にタッピングスクリュー14での締結部のように、コンテナ2内部に連通するスクリュー孔20を有する箇所はたとえタッピングスクリュー14がねじ込まれていてもそれらの隙間から水が浸入してコンテナ2内部へ水上がりしやすくなっている。
【0022】
以上の比較例の構成によれば、シール材17は床材の下面12と横根太の接触面13との間の隙間からの水の浸入は十分に防ぐことができても、タッピングスクリュー14のネジ部14aに対しては軸方向のわずかな一部にのみしか接触していないため、横根太8の上壁部8bのスクリュー孔20とタッピングスクリュー14のネジ部14aとの間の隙間からの水の浸入は防ぐことができず、コンテナ2内部への水上がりを許してしまう。
【0023】
これに対して、図3に示すようなタッピングスクリュー14のネジ部14aに塗布したシール材17は、少なくとも水の浸入箇所である床材3と横根太8との間の接触面13とタッピングスクリュー14の突出側の横根太8のスクリュー孔20の開口部を含む軸方向範囲に塗布されており、またスクリュー孔19,20の隙間に対して軸方向に十分長い範囲で隙間を塞いで水の浸入を防ぐことになるためシール性能が大幅に向上して水上がりを防止することができるようになっている。
【0024】
また1つのコンテナ2においても、タッピングスクリュー14により床材3と横根太8を締結する箇所はかなりの多数となるため、タッピングスクリュー14にシール材17を塗布する軸方向範囲を上記のように明確に限定することで、シール材17の塗布量を必要最小限に抑えて製造コストを削減することができる。
【0025】
図4は、本実施の形態の変形例の床材3と横根太8の締結箇所を拡大した断面図であり、図4(A)は締結する前の各部の断面図であり、図4(B)は締結した状態の断面図である。これらの図においては、図3に示した床材3や横根太8と共通する部材や形状部分には同一の符号が付されている。
【0026】
図4において、タッピングスクリュー14のネジ部14aとともに床材の下面12と横根太の接触面13の間にもシール材17が塗布されている。これにより、床材の下面12と横根太の接触面13との間の隙間からの水の浸入を確実に防ぐことができ、上記実施の形態からさらにシール性能を向上させて水上がりを防止することができる。
【0027】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、タッピングスクリューに塗布するシール材は前述のフッ素系樹脂のものに限られず、すべり止め剤を前述したような軸方向範囲のネジ部に塗布することによっても同様の効果を得ることができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、タッピングスクリューのネジ部に塗布したシール材は、2箇所の水の浸入箇所を両方とも塞ぎ、またスクリュー孔の隙間に対して軸方向に十分長い範囲で隙間を塞いで水の浸入を防ぐことになるため、外部から付着される雨水などに対してのシール性能が大幅に向上し、コンテナ内部への水上がりを防止することができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のコンテナを荷台として後方に搭載したバントラックを斜め後方から見た全体斜視図である。
【図2】図1における矢視Aから見たコンテナの長手方向断面図である。
【図3】図2における1つの横根太と床材の締結箇所を拡大した断面図であり、(A)は締結する前の各部の断面図であり、(B)は締結した状態の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の変形例の床材と横根太の締結箇所を拡大した断面図であり、(A)は締結する前の各部の断面図であり、(B)は締結した状態の断面図である。
【図5】シール材を床材の下面と横根太の接触面との間に塗布しただけの床材と横根太の締結箇所を拡大した断面図であり、(A)は締結する前の各部の断面図であり、(B)は締結した状態の断面図である。
【符号の説明】
1 バントラック
2 コンテナ
3 床材
4 前壁
5 後壁
6 天井壁
7 側壁
8 横根太
8a 主壁部
8b 上壁部
8c 下壁部
9 縦根太
10 板材
11 アンダーパン
12 床材の下面
13 横根太の接触面
14 タッピングスクリュー(ネジ部材)
14a ネジ部
15,16 スクリュー用下孔(ネジ孔)
17 シール材
18 上壁部の下面
19,20 スクリュー孔

Claims (4)

  1. 床材、前後左右の側壁および天井壁を有し、内部に貨物室を形成するコンテナ本体と、
    前記床材の下面に取り付けられる複数本の根太と、
    シール材が塗布され、前記床材と前記根太とを貫通して前記床材と前記根太とを締結するネジ部材とを有し、
    前記ネジ部材と前記床材との間の隙間を介して外部から前記貨物室内への水の浸入を防止することを特徴とするコンテナ。
  2. 請求項1記載のコンテナにおいて、前記シール材は、前記ネジ部材をねじ込みきった状態における前記床材と前記根太との間の接触面と、前記ネジ部材の突出側の前記根太のネジ孔の開口部が含まれる軸方向範囲で塗布されていることを特徴とするコンテナ。
  3. 請求項1または2記載のコンテナにおいて、前記床材と前記根太の間にシール材が塗布されていることを特徴とするコンテナ。
  4. 床材、前後左右の側壁および天井壁を有し、内部に貨物室を形成するコンテナの製造方法であって、
    ネジ部材にシール材を塗布する工程と、
    前記床材の下面に複数本の根太を取り付ける工程と、
    前記ネジ部材を前記床材と前記根太とを貫通して前記床材と前記根太とを締結する工程とを有し、
    前記ネジ部材と前記床材との間の隙間を介して外部から前記貨物室内への水の浸入を防止することを特徴とするコンテナの製造方法。
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