JP2004276526A - 木質成形体の製造方法 - Google Patents

木質成形体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004276526A
JP2004276526A JP2003074211A JP2003074211A JP2004276526A JP 2004276526 A JP2004276526 A JP 2004276526A JP 2003074211 A JP2003074211 A JP 2003074211A JP 2003074211 A JP2003074211 A JP 2003074211A JP 2004276526 A JP2004276526 A JP 2004276526A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
wooden
wood
laminate
binder resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003074211A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4018569B2 (ja
Inventor
Hirotaka Fukatsu
啓高 深津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Araco Co Ltd
Original Assignee
Araco Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Araco Co Ltd filed Critical Araco Co Ltd
Priority to JP2003074211A priority Critical patent/JP4018569B2/ja
Publication of JP2004276526A publication Critical patent/JP2004276526A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4018569B2 publication Critical patent/JP4018569B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Dry Formation Of Fiberboard And The Like (AREA)

Abstract

【課題】より均一なバインダ樹脂分布を備える木質成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】木質成形体の製造方法は、細分された木質材料が集合して成る複数の木質体の間に、前記木質材料を結合可能な結合用樹脂を含む樹脂体を設けて積層体を形成する工程と、前記木質体に液状媒体によって流動性を付与されたバインダ樹脂を供給する工程と、前記積層体を加熱加圧して成形する工程とを備える。積層体を加熱加圧すると、木質体に供給されたバインダ樹脂は、その流動性により良好に分散するとともに、プレスされる面側に偏る。また、木質体間の樹脂体は、加圧によって樹脂体の両面に接する木質体の表面から内部に浸透し、木質体どうし、木質体内部の木質材料どうしを良好に結合させる。これにより、得られる木質成形体の表面および表面付近の木質材料を確実に結合させて、表面の硬度や強度を確保できる。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、細分された木質材料をバインダによって結合して得られる木質成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
資源の有効利用などの観点から、廃材や間伐材、わらなどの副産物や廃棄物、また、ケナフ、サイザルなどの1年草などいわゆる木質材料を積極的に利用することが検討されてきている。本発明者らは、車両や建築物の内装材としてのボードにおいて、木質材料を利用した成形体(木質成形体)の開発を進めてきた。木質成形体は、一般に、チップ状、粉状、繊維状などに細分された木質材料をバインダによって結合して所望の形状を保持するように成形される。
近年、石油資源の利用低減を進め、木質成形体の廃棄処理における問題などを鑑みて、環境によりやさしい木質成形体を製造するため、本発明者らは、バインダとして天然由来の材料や生分解性の材料を用いる技術について考案してきた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−127117号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、木質材料にバインダを添加する方法には、バインダ樹脂を有機溶媒に溶かしたバインダ溶液や、粒子状のバインダ樹脂を浮遊状態で保有するディスパージョン、エマルジョンなどの分散液を木質材料に塗布する方法がある。この方法では、バインダ樹脂に好ましい流動性を付与でき、より少量のバインダ樹脂を効率良く木質材料中に分散させることができる。しかしながら、この方法でバインダ樹脂を添加した木質材料を加熱プレスにより成形すると、バインダ樹脂が表面に偏在する木質成形体が得られることが多々ある。このような木質成形体では、内部の木質材料どうしの接着が不足して、内部の剛性や剥離強度が小さいことがある。
【0005】
そこで、本発明では、より均一なバインダ樹脂分布を備える木質成形体の製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、木質成形体の製造方法であって、細分された木質材料が集合して成る複数の木質体の間に、前記木質材料を結合可能な結合用樹脂を含む樹脂体を設けて積層体を形成する工程と、少なくとも前記木質体に液状媒体によって流動性を付与されたバインダ樹脂を供給する工程と、前記積層体を加熱加圧して成形する工程とを備える製造方法を提供する。
この明細書における「媒体によって流動体に調製されているバインダ樹脂」とは、有機溶媒や水、またはこれらの混合物を媒体として、溶液又はエマルジョン、ディスパージョンなどの分散液といった流動体に調製されているバインダ樹脂である。バインダ樹脂は、木質材料どうしを結合可能な種々の樹脂であり、ポリオレフィン、ポリエステルや、ポリウレタン(架橋反応前)等を含む。なお、結合用樹脂も同様である。
この方法によれば、積層体を加熱加圧すると、木質体に供給されたバインダ樹脂は、その流動性により良好に分散するとともに、プレスされる面側に偏る。また、木質体間の樹脂体は、加圧によって樹脂体の両面に接する木質体の表面から内部に浸透し、木質体どうし、木質体内部の木質材料どうしを良好に結合させる。これにより、得られる木質成形体の表面および表面付近の木質材料を確実に結合させて、表面の硬度や強度を確保できる。なお、バインダ樹脂の供給工程は、積層体を形成する前でも後でもどちらでも良い。
この方法で、前記樹脂体を繊維材によって構成することにより、積層体において木質体中の木質材料と絡ませることができ、積層体を安定化できる。また、加熱加圧工程で、木質体内部への浸透を良好にできるとともに、木質体に供給された流動性を有するバインダ樹脂を、樹脂体を通して木質体の間で流通させることができる。したがって、樹脂体を挟んで隣接する木質体のどちらか一方のみにバインダ樹脂を供給して、バインダ樹脂が木質成形体中により均一に分散した木質成形体を製造することも可能である。
また、加えて、前記細分された木質材料は繊維材であり、前記加熱加圧工程に先立って前記積層体において木質体の繊維材と前記樹脂体の繊維材とを絡み合わせる一体化工程を備える方法とすることができる。この方法では、木質の繊維材と樹脂体の繊維材とを絡み合わせることによって木質体と樹脂体との間を安定化させて良好に一体化することができる。また、一体化により、樹脂体を挟んだ木質体どうしの境界が馴染むため、木質材料の絡みによる木質成形体の剥離強度の向上が期待できる。
これらの製造方法では、前記樹脂体の結合用樹脂と前記バインダ樹脂とに同一の熱可塑性樹脂を用いると、樹脂どうしの相溶性により、より良好な結合を達成することができる。また、より少ない材料数で良質の木質成形体を得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に木質成形体の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本出願で開示される木質成形体の製造方法によって得られる木質成形体は、完全に成形された、すなわち内装ボード等の製品に成形された成形体に限定されず、加圧成形することでさらに成形可能な成形性を保有する予備成形体をも含む。
【0008】
本発明の一実施形態に関わる木質成形体の製造方法を実施し得る製造装置を図1〜3に示す。製造装置10は、積層体7を作成する積層体供給部11と、積層体7をニードルパンチする一体化部41と、木質体3bにバインダ樹脂を供給するバインダ供給部61と、積層体7を加熱加圧により成形する成形部71とを備えている。なお、各部は、コンベヤ91a,93,94によって連結されており、各作業が連続するようになっている。
【0009】
図1に示す積層体供給部11は、2つの木質体3a,3bとその間に1つの樹脂体5を備える積層体を作成する。積層体供給部11は、木質体3a,3bを作成する木質体供給部12a,12bと、予め作成された樹脂体5を供給する樹脂体供給部31とを備える。2つの木質体供給部12a,12bのうち、一方の木質体供給部12aは、最前部(図1中左端)に配置されており、他方の木質体供給部12bは、より後方に配置されている。
【0010】
木質体3a,3bは、細分された木質材料が集合している集合体である。木質材料は、針葉樹、広葉樹、熱帯樹など木本類や、麻、ケナフなどの草本類など種々の草木質より得られる材料である。また、廃材のように採取してから時間が経っているものや、パルプなど化学処理された繊維状材料などでも良い。また、「細分された」木質材料は、チップ状、粒子状(粉状を含む)、針状、繊維状など、集合させることによって種々の形状を形成できる程度に小さくされた材料である。繊維状であると、木質材料どうしが絡み合って集合状態がより安定であり、好ましい。本実施形態では、木質体3a,3bは、ケナフの靭皮より得られる繊維材を用いている。ケナフは、栽培可能な1年草であるため、環境の面で好ましい。
なお、木質体3a,3bには、適宜、合成樹脂繊維やガラス繊維などの補強材や防腐剤、着色剤などの副資材を添加できる。
【0011】
2つの木質体供給部12a,12bは、本実施形態では、同一の構成を有している。木質体供給部12a,12bは、ホッパ14とエアレイ16とブロワ19とを備えている。ホッパ14は、繊維集合体が投入される部分で、繊維集合体を所定の量ずつ後方に供給する。エアレイ16は公知の開繊装置で、ホッパ14から供給される繊維材を開繊して均一化する。ブロワ19はエア噴出装置で、エアレイ16のローラ17から開繊された繊維材を下方に吹き飛ばす。
【0012】
ブロワ19の下方には、吹き飛ばされた繊維材を堆積させるコンベヤ91a,91bが設けられている。コンベヤ91a,91bは、コンベヤベルト21がメッシュ部材で形成されている。また、繊維材が堆積される位置の下部に、下方に向かってエアを吸引する吸引部23を備えている。さらに、吸引部23より後方に、コンベヤベルト21との協動により、堆積された木質繊維材の目付けおよび厚みを整えるローラ17が設けられている。
【0013】
後方の木質体供給部12bのコンベヤ91bは、後方から前方(図1において右から左)へ木質体3bを搬送する。コンベヤ91bは、終端から延長するように延びて後方側(図中右側)に曲げられた形状のガイド25を備えている。ガイド25は、コンベヤ91bで搬送される木質体3bを、コンベヤ91a上に、上下反転させて供給する。
【0014】
樹脂体供給部31は、予め形成されたシート状の樹脂体5を一定速度で供給するドラム32を備えている。樹脂体供給部31は、前方に位置する木質体供給部12aから供給される木質体3aの上面に、一定の速度で樹脂体5を供給する。
【0015】
樹脂体5は、木質材料を結合可能な結合用樹脂を含むシート状部材である。結合用樹脂は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリル酸エステルなど種々の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、ポリウレタンなど公知の接着材料として利用される熱硬化性樹脂である。好ましくは、熱可塑性樹脂とされ、例えば、ポリプロピレン、ポリ乳酸が好ましい。特に、生分解性の高いポリ乳酸を用いると木質材料との組み合わせによって生分解性を備える成形体とすることができる。生分解性の高い樹脂としては、ポリ乳酸エステルやエステル化セルロースなども利用できる。
【0016】
樹脂体5は、フィルムや織布、不織布など種々の形態のシート状部材とすることができる。樹脂体5は、結合用樹脂がシート状に成形されたものであることが好ましいが、木質材料や他の合成樹脂材料などのフィルムや織布、不織布に結合用樹脂が付着したものでも良い。樹脂体5は、表面が凹凸に形成されていると、積層される木質体3a,3bとの接触面積が増大し、また木質体3a,3bとの滑りを抑制できるため、好ましい。したがって、樹脂体5は、フィルムよりは、繊維材より成る構成が好ましく、特に、不織布が好ましい。また、フィルムまたは繊維材(織布、不織布など)のいずれにおいても、後述する流動体に調製されたバインダ樹脂が流通可能に形成されていると、樹脂体5を挟んだ木質体3a,3b間でバインダ樹脂を移動させることができ、好ましい。
【0017】
結合用樹脂のシート状成形体は、例えば、上述の熱可塑性樹脂材料を溶融させて繊維状に形成して、編み物、織物などとすることができる。好ましくは、スパンボンド方式やメルトブローン方式など公知の方法を用いて形成できる不織布とされる。なお、メルトブローン方式の樹脂体5を用いる場合は、ドラム32に代えてメルトブローン装置を直接設けても良い。
【0018】
積層体供給部11の後方には、図2に示す装置が設けられている。一体化部41は、積層体7をニードルパンチして、木質体3a,3bと樹脂体5とがそれぞれの界面で滑らないように一体化する。本実施形態の製造装置10は、図2に示すように、積層体供給部11の後方に上側ニードルパンチ装置42aと下側ニードルパンチ装置42bとを備えている。
【0019】
上側ニードルパンチ装置42a及び下側ニードルパンチ装置42bは、それぞれ、積層体7の上側又は下側から針が挿入されるように配置される他は、同一の構成とすることができる。上側ニードルパンチ装置42aは、コンベヤ91aの搬送方向の延長線上に設けられている。上側ニードルパンチ装置42aは、前端および後端に設けられる送りローラ44,45と、送りローラ44,45の間に設けられる保持部47と、保持部47の上方に設けられたパンチ部49aとを備えている。
【0020】
送りローラ44,45は、積層体7の上面および下面に接する対を成すローラを備えており、積層体7を挟んで所定の速度で送る。保持部47は、積層体7の上面および下面に当接して保持する対を成すメッシュ板を備えている。パンチ部49aは、上下方向に往復運動可能な駆動手段51と、複数のニードル53とを備えている。ニードル53は、等速で往復運動させることにより、一定速度で搬送される積層体7に均等にパンチする。
【0021】
下側ニードルパンチ装置42aは、上側ニードルパンチ装置42aの後方に設けられたコンベヤ93の後方に設けられている。下側ニードルパンチ装置42bは、パンチ部49bが保持部47の下方に位置する他は、上側ニードルパンチ装置42aと同様の構成である。
【0022】
一体化部41の後方には、バインダ供給部61が設けられている。バインダ供給部61は、木質体3bにバインダ樹脂を供給する部分で、本実施形態では、上側の木質体3bにローラ塗布するロールコータである。バインダ供給部61は、一体化部41の後方から延びるコンベヤ94上に設けられている。バインダ供給部61は、流動体に調製されたバインダ樹脂の供給タンク63と、バインダ樹脂を一定量ずつ塗布する塗布ローラ66とを備えている。塗布ローラ66は、供給タンク63から供給されるバインダ樹脂をローラ表面に均一に付着させて、一定の速度で回転することにより、積層体7の上面に接触して木質体3bにバインダ樹脂を塗布する。
【0023】
バインダ樹脂は、液状媒体によって流動体に調製されている。バインダ樹脂としては、ポリオレフィンや、ポリエステル、ポリアクリル酸エステル等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、ポリウレタンなど接着材料として利用されている熱硬化性樹脂を用いることができる。好ましくは、ポリオレフィン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂である。また、ポリ乳酸、ポリ乳酸エステルやエステル化セルロース等の生分解性が良好な熱可塑性樹脂を利用すると、木質材料との組み合わせによって生分解性成形体を製造することができ、好ましい。
【0024】
ここで、バインダ樹脂と樹脂体5の結合用樹脂とが、同一の樹脂であると、互いに馴染みやすいため、良好に結合できる。また、木質成形体中の構成材料の数が低減でき、好ましい。特に、バインダ樹脂と樹脂体5の結合用樹脂とが同一の生分解性樹脂であると、生分解の程度が全体にわたってより均一な木質成形体を得ることができ、好ましい。
また、バインダ樹脂および樹脂体5の結合用樹脂の量は、木質体3a,3bとの重量との関係で調節することが好ましい。バインダ樹脂および樹脂体5の成形体中の存在比は特に限定されず、0%を超え100%未満である任意の量とすることができる。好ましくは、木質体3a,3bに対するバインダ樹脂および結合用樹脂の和は、70:30〜30:70とされると、木質体3a,3bの細分された木質材料どうしを良好に結合させることができ、また良好に成形できる。より好ましくは、70:30〜50:50であり、特に、70:30であると、より少ないバインダ樹脂および結合用樹脂を用いて、良好に木質材料どうしが結合された木質成形体1を得ることができる。また、樹脂体5の結合用樹脂とバインダ樹脂との比は、特に限定されないが、バインダ樹脂の方が多いことが好ましい。これにより、木質体3a,3bに良好に樹脂を分散させることができる。例えば、樹脂体5の結合用樹脂とバインダ樹脂は、重量比で1:2〜1:5であることがこのましく、1:2であると木質成形体1中の樹脂の分布をより均一にでき、好ましい。
【0025】
バインダ樹脂を流動体に調製するための液状媒体は、種々の有機溶媒、水又はこれらの混合物である。好ましくは、水であると、バインダ樹脂を利用する環境、特に溶媒が蒸発する加熱工程や乾燥行程における環境の悪化を低減でき、好ましい。
流動体は、溶液の他、ディスパージョン、エマルジョンなどの分散液である。例えば、ポリ乳酸やアクリル酸エステルなどを製造段階で乳化重合することにより、エマルジョンのバインダ樹脂とすることができる。なお、樹脂製造後に、界面活性剤等を用いて、ディスパージョンに調製しても良いことは、もちろんである。
【0026】
バインダ供給部61の後方には、図3に示す装置が設けられている。成形部71は、積層体7を加熱加圧により成形する装置で、本実施形態の装置は、加熱加圧部75と冷却部78とを備えている。
成形部71は、積層体7の下面に接して積層体7を搬送する下側コンベヤ72と、積層体7の上面に接して積層体7を搬送する上側コンベヤ73とを備えている。加熱加圧部75及び冷却部78は、下側コンベヤ72及び上側コンベヤ73の各コンベヤベルトを介して積層体7に作用するように設けられている。
【0027】
加熱加圧部75は、対を成す平板状のプレス板を備えている。プレス板は、図示しない加熱手段によって、プレス面を所定の温度に加熱できるようになっている。
冷却部78は、加熱加圧部75によって所定の厚みに成形された木質成形体1中のバインダ樹脂および結合用樹脂を冷却固化させる。冷却部78は、加熱加圧部75より後方に配列された複数の対を成す冷却ローラ79,80を備えている。図3に示すように、前部の冷却ローラ79は、ローラ内部に冷却水が通されるローラであり、後部の冷却ローラ80は、積層体7に接する側と反対の側に冷却器81を備えるローラである。
【0028】
次に、この製造装置10を用いて木質成形体を製造する方法について説明する。
まず、木質体供給部12a,12bのホッパ14に繊維状に加工したケナフ繊維材の塊状物を投入し、樹脂体供給部31のドラム32に帯状の樹脂体5のロールをセッティングする。本実施形態では、樹脂体5は、スパンボンド方式によって連続帯状に形成したポリ乳酸のウェブとした。また、この樹脂体5は、例えば、15g/m〜300g/mが好ましい。
【0029】
その後、製造装置10を作動させる。積層体供給部11では、本明細書における積層体形成工程を行う。木質体供給部12aは、ホッパ14から繊維材を所定の量ずつ後方に送り、これをエアレイ16で開繊し、ブロワ19によってコンベヤ91a上に堆積させる。ローラ17部分で堆積させた繊維材の目付けおよび厚みを調整してウェブとする。ウェブは、本明細書の木質体3aである。本実施形態では、例えば、300g/m〜3000g/m程度の目付けであると、良好に木質成形体を製造することができ、好ましい。
【0030】
コンベヤ91a上の木質体3aの上面に、樹脂体供給部31から、樹脂体5をコンベヤ91aの搬送速度と同じ速度で供給する。さらに、樹脂体5の上に、木質体3aと同様の方法により木質体供給部12bで作成した木質体3bを上下反転させて供給し、積層体7とする。木質体3bが上下反転することにより、表面側から内部に向かう木質材料の分布が上下対称となる。すなわち、表面側により大きな繊維が多く存在し、内部により小さな繊維が多く存在する。図4は、積層体7の断面図である。
【0031】
コンベヤ91a上に形成した積層体7を一体化部41まで搬送する。一体化部41は、ニードルパンチによる一体化工程を行う。上側ニードルパンチ装置42aで積層体7の上面から下方に向かって、下側ニードルパンチ装置42bで積層体の下面から上方に向かってニードルパンチすることにより、積層体7中の繊維材を上下方向でより対称に絡み合わせることができる。一体化工程により、木質体3a,3b及び樹脂体5中の繊維材を絡ませて一体化する。一体化工程を経た積層体7は、嵩が低減し、より硬くなっているため、ハンドリング性が向上している。例えば、一体化工程より前のウェブ状態の積層体7が200〜300mmの厚みを有している場合、上述の一体化工程によって10〜40mmの厚みに形成することができる。また、木質体3aまたは木質体3bと樹脂体5との間が滑り難く、搬送時や後述する成形工程において、ずれが生じにくい。
【0032】
バインダ供給部61は、木質体3bにバインダを供給するバインダ供給工程を行う。バインダ供給部61は、コンベヤ94上の積層体7の上面、すなわち木質体3bにバインダ樹脂をローラ塗布する。例えば、本実施形態では、バインダ樹脂を結合用樹脂と同じポリ乳酸とし、液状媒体を水とするディスパージョンを用いることができ、具体的には、固形分(ポリ乳酸)を40%含むディスパージョンを用いることができる。バインダ樹脂の供給量は、特に限定されないが、例えば、木質体3a,3bの重量に対してポリ乳酸25%となるように供給することが好ましい。このときのバインダ樹脂(ディスパージョン)の分布状態を図5に示す。
【0033】
成形部71では、成形部71では、バインダ樹脂を供給した積層体7を加熱加圧によって成形する工程を行う。まず、積層体7を、加熱加圧部75で加熱と同時にプレスする。プレスは、積層体7が所定の厚みとなる大きさである。また、加熱は、ポリ乳酸が軟化して木質体3a,3b中の木質材料を結合可能となる温度までとする。木質体3a,3bがケナフの繊維材より成り、バインダ樹脂および樹脂体5がポリ乳酸より成る本実施形態では、例えば、温度240℃で圧力150kg/mで3分間保持することにより、所望の形状のボードに成形することができる。
【0034】
成形時の積層体7およびバインダ樹脂9の動きについて、図6〜8を参照して説明する。加圧と加熱を同時に行うと、積層体7の内部まで十分に熱が浸透する前に、積層体7が所定の厚みまで圧縮される。このときの様子を図6に示す。バインダ樹脂9(ディスパージョン)は、加圧に伴う圧力および重力によって積層体7の下部に移動する。特に、樹脂体5が繊維材より成るため、上側の木質体3bから下側の木質体3aまで良好に流通する。なお、この工程で上部から中間にかけてをバインダ樹脂9が移動することにより、積層体7全体にバインダ樹脂が馴染む。
【0035】
さらに、加圧加熱が続くと、積層体7の内部に熱が十分に浸透し、図7に示すように、バインダ樹脂9の液状媒体である水が蒸発する。蒸発は、よりす早く加熱される積層体7の上下両面において激しく起こるため、木質体3a,3b中に内部から上下両面へ移動する水(水蒸気)の流れが発生する。水の流れとともに、バインダ樹脂9も上下両面に移動し、バインダ樹脂9の濃度分布は、内部から上下両面側に向かって高くなる。一方、内部に熱が浸透することで、樹脂体5も軟化する。軟化した樹脂体5は、木質体3a,3bどうし、および木質体3a,3b中の木質材料どうしを結合する。この状態を図8に示す。木質体3a,3bどうしは樹脂体5によって結合され、また木質体3a,3bの内部の木質材料は主に樹脂体5の結合用樹脂により、木質体3a,3bの表面側の木質材料は、バインダ樹脂9により結合される。
【0036】
加熱加圧部75によって成形した積層体7を、冷却部78で順次、冷却することにより、バインダ樹脂および樹脂体5を固化させて、形状を安定化し、所定の厚みの木質成形体とすることができる。
得られる木質成形体1は、全体において、結合用樹脂またはバインダ樹脂によって木質材料が良好に結合されている。このため、木質成形体1の各部が良好な強度を有しており、特に、剥離しやすい部分が少なく、剥離強度が良好である。
なお、成形部71で、上述の条件より緩い条件、すなわちより小さい圧力で積層体7を成形することにより、得られる木質成形体を再度加熱して加圧成形し、種々の形状、例えば絞り形状を備える成形体に成形することも可能である。
【0037】
なお、本発明は、上記製造方法および装置に限定されない。
例えば、バインダ樹脂の供給は、塗布ローラに限定されず、スプレー、ディッピングなどでも良い。また、バインダ樹脂の供給は、一方の面からのみに限定されず、両面に供給しても良い。また、バインダ樹脂供給工程では、樹脂体にバインダ樹脂が浸透する方法でバインダ樹脂を供給しても良いことはもちろんである。例えば、積層体形成工程後に、積層体全体をバインダ樹脂に含浸指せても良い。
また、積層体に形成する前の木質体にバインダ樹脂を供給し、その後一体化工程を行っても良い。また、加熱加圧は、ホットプレスや、複数の対を成す圧締用ローラを備えるダブルベルトプレス、あるいは、ヒータなどの加熱装置とコールドプレスとの組み合わせでも良い。
また、本製造方法では、連続式の工程について説明したが、適宜、途中の工程で得られる積層体を保存しておき、異なる時期に以降の工程を行っても良いことはもちろんである。
また、木質体は2つに限定されず3枚以上設けられても良い。樹脂体は、各木質体間に設けられることが好ましいが、中央にのみ設けられていても良い。
また、木質成形体は、木質体の表面に表皮材など他の部材を積層状に備えていても良いことはもちろんである。この場合、成形工程で木質体および樹脂体とともに加圧して積層一体化することができる。
【0038】
【発明の効果】
この発明では、より均一なバインダ樹脂分布を備える木質成形体の製造方法を提供することにより、表面から内部にかけて木質材料どうしが良好に結合している木質成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る木質成形体の製造方法を実施し得る装置の積層体形成部を示す模式図である。
【図2】本発明に係る木質成形体の製造方法を実施し得る装置の一体化部とバインダ供給部とを示す模式図である。
【図3】本発明に係る木質成形体の製造方法を実施し得る装置の成形部を示す模式図である。
【図4】実施形態の積層体の断面図である。
【図5】実施形態の成形工程前の積層体中の第1の結合用樹脂の存在状態を示す断面図である。
【図6】実施形態の成形工程で加圧された積層体中の第1の結合用樹脂の存在状態を示す断面図である。
【図7】実施形態の成形工程で加圧状態で熱が浸透したときの積層体中の第1の結合用樹脂の存在状態を示す断面図である。
【図8】実施形態の成形工程後の積層体中の第1の結合用樹脂の存在状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 木質成形体
3a,3b 木質体
5 樹脂体
7 積層体
9 バインダ樹脂
10 製造装置
11 積層体供給部
12a,12b 木質体供給部
14 ホッパ
16 エアレイ
17 ローラ
19 ブロワ
21 コンベヤベルト
23 吸引部
25 ガイド
31 樹脂体供給部
32 ドラム
41 一体化部
42a 上側ニードルパンチ装置
42b 下側ニードルパンチ装置
44,45 送りローラ
47 保持部
49a,49b パンチ部
51 駆動手段
53 ニードル
61 バインダ供給部
63 供給タンク
66 塗布ローラ
71 成形部
72 下側コンベヤ
73 上側コンベヤ
75 加熱加圧部
78 冷却部
79,80 冷却ローラ
81 冷却器
91a,91b,93,94 コンベヤ

Claims (4)

  1. 木質成形体の製造方法であって、
    細分された木質材料が集合して成る複数の木質体の間に、前記木質材料を結合可能な結合用樹脂を含む樹脂体を設けて積層体を形成する工程と、
    少なくとも前記木質体に液状媒体によって流動性を付与されたバインダ樹脂を供給する工程と、
    前記積層体を加熱加圧して成形する工程と
    を備える、木質成形体の製造方法。
  2. 前記樹脂体を繊維材によって構成する、請求項1に記載の木質成形体の製造方法。
  3. 前記細分された木質材料は繊維材であり、
    前記加熱加圧工程に先立って前記積層体において木質体の繊維材と前記樹脂体の繊維材とを絡み合わせる一体化工程を備える、請求項2に記載の木質成形体の製造方法。
  4. 前記樹脂体の結合用樹脂と前記バインダ樹脂とに同一の熱可塑性樹脂を用いる、請求項1から3のいずれかに記載の木質成形体の製造方法。
JP2003074211A 2003-03-18 2003-03-18 木質成形体の製造方法 Expired - Fee Related JP4018569B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003074211A JP4018569B2 (ja) 2003-03-18 2003-03-18 木質成形体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003074211A JP4018569B2 (ja) 2003-03-18 2003-03-18 木質成形体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004276526A true JP2004276526A (ja) 2004-10-07
JP4018569B2 JP4018569B2 (ja) 2007-12-05

Family

ID=33289916

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003074211A Expired - Fee Related JP4018569B2 (ja) 2003-03-18 2003-03-18 木質成形体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4018569B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005042217A1 (ja) * 2003-11-04 2005-05-12 Toudai Tlo, Ltd. 植物廃棄物を用いた成形品及びその製造方法
JPWO2008146370A1 (ja) * 2007-05-30 2010-08-12 富士通株式会社 植物材料を用いた圧縮成型品及びその製造方法
JP2011173307A (ja) * 2010-02-24 2011-09-08 Kakuichi Kasei Kk 粒体成形装置
JP2015160366A (ja) * 2014-02-27 2015-09-07 ホクシン株式会社 繊維板およびその製造方法
US10753793B2 (en) 2015-08-05 2020-08-25 Viavi Solutions Inc. Optical filter and spectrometer

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005042217A1 (ja) * 2003-11-04 2005-05-12 Toudai Tlo, Ltd. 植物廃棄物を用いた成形品及びその製造方法
JPWO2008146370A1 (ja) * 2007-05-30 2010-08-12 富士通株式会社 植物材料を用いた圧縮成型品及びその製造方法
JP2011173307A (ja) * 2010-02-24 2011-09-08 Kakuichi Kasei Kk 粒体成形装置
JP2015160366A (ja) * 2014-02-27 2015-09-07 ホクシン株式会社 繊維板およびその製造方法
US10753793B2 (en) 2015-08-05 2020-08-25 Viavi Solutions Inc. Optical filter and spectrometer
US11237049B2 (en) 2015-08-05 2022-02-01 Viavi Solutions Inc. Optical filter and spectrometer

Also Published As

Publication number Publication date
JP4018569B2 (ja) 2007-12-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101348269B1 (ko) 열가소적으로 변형가능한 섬유 강화 반제품의 생산방법
EP3774243B1 (en) Method for manufacturing a dry-laid mat for thermoforming
JP2020142526A (ja) 再生材料および再生可能材料から作製された複合ボード。
US5972265A (en) Method and apparatus for producing composites
GB2035334A (en) Method and apparatus for the manufacture of cellulosic fibrous compositions which can be pressed into moulded parts
JP2005307402A (ja) プラスチック繊維成形体、プラスチック繊維成形体の製造方法、プラスチック繊維板の製造装置
JPS61102487A (ja) 圧縮成形部材用出発材料としての繊維マツトの製法及び製造装置
JP2004276526A (ja) 木質成形体の製造方法
JP5246048B2 (ja) 繊維ボードの製造方法
US20040266292A1 (en) Fibre mat, moulded piece produced therefrom and method for production thereof
JP6776735B2 (ja) 繊維強化熱可塑性プラスチック作製用プレシートの製造方法
EP2125438A2 (de) Verfahren und vorrichtung zur herstellung eines formteils sowie formteil als wärme- und/oder schalldämmelement
JP4118751B2 (ja) 繊維集合体の製造方法
JP5246047B2 (ja) 繊維ボードの製造方法
CN111601927B (zh) 用于制造纤维垫的方法和装置
JP4076023B2 (ja) 繊維板の製造方法及びその製造装置
CN1040187C (zh) 纤维强化塑料结构的改进
JP2006082467A (ja) 繊維成形体の製造方法
JP6835267B2 (ja) 繊維強化熱可塑性プラスチック作製用プレシートおよびその製造方法、ならびに繊維強化熱可塑性プラスチック成形品
JP3924196B2 (ja) フォーミング型およびこのフォーミング型を用いた積層マットの製造方法
JPH07304011A (ja) ボードまたはシート、マット、混綿物、及びボードまたはシートの製造方法
JP2023079924A (ja) 紙製成形体の製造装置及び製造方法
JPH0477241A (ja) 自動車用内装基材の製造方法
JP3602486B2 (ja) 遊技機
SE544593C2 (en) Sound absorbing or damping air-laid blank

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Effective date: 20041025

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050128

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050311

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Effective date: 20050311

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051019

A977 Report on retrieval

Effective date: 20070612

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20070619

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20070726

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20070821

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20070920

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 3

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100928

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees