JP2004275801A - インクジェットヘッドの不良ノズル検出方法、及び塗布装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液滴の吐出パターンを選択するパターン選択工程(第1工程)と、吐出パターンに基づいて、液滴を吐出させる吐出工程(第2工程)と、液滴を検知機構により検知する検知工程(第3工程)と、検知機構から出力されると想定する第1の出力信号(a)と、検知工程において検知機構から出力された第2の出力信号(b)〜(d)とに基づいて、不良ノズルを特定させる処理工程(第4工程)とを備える。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッドの不良ノズル検出方法、及び塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット法(液滴吐出法)を用いた塗布装置(以下、インクジェット装置と表記する)は、通常のプリンタのみならず、半導体装置や、液晶表示装置又は有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)装置等の電気光学装置等に採用される薄膜デバイスの製造工程においても多々応用されている。
インクジェット装置は、複数のノズルを有するインクジェットヘッドを備えており、例えば、薄膜デバイスの製造工程に利用する場合、導電膜等の形成材料や発光層用インク等を含有した液滴をノズルから吐出させて、所望の膜や配線を形成させるのであるが、液滴の粘度の増加や、気泡の混入等の原因によって、幾つかのノズルが目詰まりして液滴を吐出できない場合がある。ノズルに目詰まりが発生すると、前記所望の膜や配線上にドットの抜けが起こり、ムラや断線が生じる原因となる。従って、インクジェット装置においてノズルの吐出不良を検知することは大変重要であり、近年では、照射させた光が、ノズルから吐出される液滴によって遮られるか否かによって不動作ノズルであるかどうかの判定を行う不動作ノズル検出方法等が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−212970号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術においては、複数のノズルの中で、いずれかのノズルが吐出不良を起こしていることは検出することが可能であるが、具体的にどのノズルが吐出不良を起こしているのかを特定することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、インクジェットヘッドに備えられた複数のノズルの中で、吐出不良が発生しているノズルを好適に特定することが可能なインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法、及び塗布装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明のインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法においては、インクジェットヘッドに備えられた複数のノズルから吐出される液滴を検知し、前記液滴を吐出しない不良ノズルを検出するインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法において、前記液滴の吐出パターンを選択する第1工程と、前記吐出パターンに基づいて、前記液滴を吐出させる第2工程と、前記液滴を検知機構により検知する第3工程と、前記検知機構から出力されると想定する第1の出力信号と、前記第3工程において前記検知機構から出力された第2の出力信号とに基づいて、前記不良ノズルを特定させる第4工程とを備えることを特徴としている。
上記の不良ノズル検出方法のよれば、液滴を所望のノズルより吐出させるための吐出パターンを選択し、この吐出パターンに基づいて吐出された液滴を検知機構により検知し、検知機構により出力されると想定する第1の出力信号と、実際に検知機構により出力された第2の出力信号とに基づいて、不良ノズルを特定させるので、吐出不良が発生しているノズルの場所を検出することが可能となる。
ここで、「吐出パターン」とは、複数のノズルの中で、液滴を吐出させるノズルと、液滴を故意に吐出させないノズルとに、それぞれノズルを制御するための入力信号パターンを示しており、液滴吐出後の膜形状や配線形状を示しているものではない。
また、「検知機構により出力されると想定する第1の出力信号」とは、インクジェットヘッドに備えられた複数のノズルが全て正常に吐出動作を行うと仮定した場合の出力信号を示す。
【0007】
本発明のインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法においては、前記吐出パターンは、予め想定される不良ノズルの個数に基づいて形成されたパターンユニットを含むことを特徴としている。
これによれば、吐出パターンには、予め想定される不良ノズルの個数に基づいて形成されたパターンユニットが含まれるので、吐出不良が発生しているノズルの場所を正確に、且つ、効率良く検出することが可能となる。
【0008】
本発明のインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法においては、前記パターンユニットは、前記複数のノズルにおける、いずれのノズルに吐出不良が発生しても、前記第4工程において前記第1の出力信号と前記第2の出力信号とが1カ所でマッチングするように構成されることを特徴としている。
これによれば、どのノズルに吐出不良が発生しても、第1の出力信号と第2の出力信号とが必ず1カ所でマッチングするようにパターンユニットが構成されるので、吐出不良が発生しているノズルの場所を正確に、且つ、効率良く検出することが可能となる。
【0009】
本発明のインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法においては、前記複数のノズルには、通常の吐出動作時には不使用の休止ノズルを備えてなり、前記パターンユニットは、前記吐出パターンにおいて、前記休止ノズルに対応する部位に形成されることを特徴としている。
これによれば、パターンユニットは、吐出パターン中の休止ノズルに対応する部位に形成されるので、故意に液滴を吐出させない不吐出ノズルが、休止ノズル以外の通常時に使用するノズルに含まれないので、吐出不良が発生しているノズルの場所を、1度の検出動作で効率良く検出することが可能となる。
【0010】
本発明のインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法においては、インクジェットヘッドに備えられた複数のノズルから吐出される液滴を検知し、前記液滴を吐出しない不良ノズルを検出するインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法において、前記液滴の第1の吐出パターンを選択する第1工程と、前記第1の吐出パターンと異なる第2の吐出パターンを選択する第2工程と、前記第1の吐出パターンに基づいて、前記液滴を吐出させる第3工程と、前記第3工程における前記液滴を検知機構により検知する第4工程と、前記第2の吐出パターンに基づいて、前記液滴を吐出させる第5工程と、前記第5工程における前記液滴を検知機構により検知する第6工程と、前記第4工程において前記検知機構から出力された第1の出力信号と、前記第6工程において前記検知機構から出力された第2の出力信号とに基づいて、前記不良ノズルを特定させる第7工程とを備えることを特徴としている。
上記の不良ノズル検出方法によれば、液滴を所望のノズルより吐出させるための第1の吐出パターンと、該第1の吐出パターンと異なる第2の吐出パターンとを選択し、各吐出パターンに基づいて吐出された液滴を検知機構によりそれぞれ検知し、それぞれ得られた第1の出力信号と第2の出力信号とに基づいて、不良ノズルを特定させるので、吐出不良が発生しているノズルの場所を検出することが可能となる。
【0011】
本発明のインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法においては、前記複数のノズルは、前記第1の吐出パターン若しくは前記第2の吐出パターンの少なくとも一方の吐出パターンで、前記液滴の吐出動作を行うことを特徴としている。
これによれば、複数の全てのノズルが、第1の吐出パターン若しくは第2の吐出パターンの少なくとも一方の吐出パターンで、液滴の吐出動作を必ず1回以上行うので、吐出不良が発生しているノズルの場所を確実に検出することが可能となる。
【0012】
本発明のインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法においては、前記第1の吐出パターン及び前記第2の吐出パターンは、予め想定される不良ノズルの個数に基づいて形成されたパターンユニットを含むことを特徴としている。
これによれば、これによれば、吐出パターンには、予め想定される不良ノズルの個数に基づいて形成されたパターンユニットが含まれるので、吐出不良が発生しているノズルの場所を正確に、且つ、効率良く検出することが可能となる。
【0013】
本発明の塗布装置においては、ヘッドに備えられた複数のノズルから液滴を吐出させる塗布装置において、前記複数のノズルから吐出された液滴を検知する検知機構を有し、前記液滴の吐出パターンを選択し、前記検知機構から出力されると想定する第1の出力信号と、実際に前記検知機構から出力された第2の出力信号とに基づいて、前記液滴を吐出しない不良ノズルを特定させる検査部を備えることを特徴としている。
上記に塗布装置によれば、液滴を所望のノズルより吐出させるための吐出パターンを選択し、この吐出パターンに基づいて吐出された液滴を検知機構により検知し、検知機構により出力されると想定する第1の出力信号と、実際に検知機構により出力された第2の出力信号とに基づいて、不良ノズルを特定させるので、吐出不良が発生しているノズルの場所を検出することが可能となる。
【0014】
本発明の塗布装置においては、ヘッドに備えられた複数のノズルから液滴を吐出させる塗布装置において、前記複数のノズルから吐出された液滴を検知する検知機構を有し、前記液滴の第1の吐出パターンと、該第1の吐出パターンとは異なる第2のパターンとを選択し、前記検知機構から出力された、前記第1の吐出パターンによる第1の出力信号と、前記第2の吐出パターンによる前記第2の出力信号とに基づいて、前記液滴を吐出しない不良ノズルを特定させる検査部を備えることを特徴としている。
上記に塗布装置によれば、液滴を所望のノズルより吐出させるための第1の吐出パターンと、該第1の吐出パターンと異なる第2の吐出パターンとを選択し、各吐出パターンに基づいて吐出された液滴を検知機構によりそれぞれ検知し、それぞれ得られた第1の出力信号と第2の出力信号とに基づいて、不良ノズルを特定させるので、吐出不良が発生しているノズルの場所を検出することが可能となる。
【0015】
本発明の塗布装置においては、前記検知機構は、透過型のレーザーセンサであることを特徴としている。
これによれば、吐出された液滴を正確に、且つ、効率良く検知することが可能となる。
【0016】
本発明の塗布装置においては、前記吐出パターンによる前記液滴の吐出結果を読み込む画像処理装置を備えることを特徴としている。
これによれば、液滴の吐出結果を画像処理装置により読み込むので、吐出不良が発生しているノズルの場所を特定する前に、予め、画像からノズルに吐出不良が発生しているかどうかを判別させることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法、及び塗布装置の実施形態を、図1乃至図7を参照して説明する。
【0018】
〔塗布装置〕
まず、本発明の塗布装置について説明する。
なお、本実施形態における塗布装置は、インクジェット装置であるとして説明する。該インクジェット装置は、例えば、有機EL装置を形成する際の塗布工程に採用することができる。この場合、インクジェット装置は、画素を形成する有機物からなる正孔注入層材料並びに発光材料を溶媒に溶解又は分散させたインク組成物(液状体)を、インクジェットヘッドから吐出させて透明電極上にパターニング塗布し、正孔注入/輸送層並びに発光層を形成する装置となる。例えば、本実施形態の塗布装置により、正孔注入層を形成するものとすると、インク組成物として溶媒に含有される材料としては、例えば、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体など、又は、それらのドーピング体などが採用できる。特に、ポリチオフェン誘導体では、PEDOTにPSS(ポリスチレンスルフォン酸)をドープしたPEDOT:PSSが採用できる。
【0019】
図1は、インクジェット装置10の概略的な外観斜視図である。
インクジェット装置10は、インクジェットヘッド52を備えたヘッドユニット56と、インクジェットヘッド52の位置を制御するヘッド位置制御装置47と、基板Pの位置を制御する基板位置制御装置48と、インクジェットヘッド52を基板Pに対して主走査移動させる主走査駆動装置49と、インクジェットヘッド52を基板Pに対して副走査移動させる副走査駆動装置51とを有する。
ヘッド位置制御装置47、基板位置制御装置48、主走査駆動装置49、そして副走査駆動装置51の各装置は、ベース39の上に設置される。
【0020】
インクジェットヘッド52は、X方向へ平行移動することにより基板Pを主走査するが、この主走査の間にインク組成物をインクジェットヘッド52に複数備えられたノズルから選択的に吐出することにより、基板P内の所定位置にインク組成物を付着させる。
【0021】
また、ヘッド位置制御装置47は、インクジェットヘッド52を面内回転させるαモータ74と、インクジェットヘッド52を副走査方向Yと平行な軸線回りに揺動回転させるβモータ76と、インクジェットヘッド52を主走査方向Xと平行な軸線回りに揺動回転させるγモータ77と、そしてインクジェットヘッド52を上下方向へ平行移動させるZモータ78とを有する。
【0022】
更に、基板位置制御装置48は、基板Pを載せるテーブル79と、そのテーブル79を矢印θのように面内回転させるθモータ81とを有する。また、主走査駆動装置49は、主走査方向Xへ延びるガイドレール82と、パルス駆動されるリニアモータを内蔵したスライダ83とを有する。スライダ83は、内蔵するリニアモータが作動するときにガイドレール82に沿って主走査方向へ平行移動する。更に、副走査駆動装置51は、副走査方向Yへ延びるガイドレール84と、パルス駆動されるリニアモータを内蔵したスライダ86とを有する。スライダ86は、内蔵するリニアモータが作動するときにガイドレール84に沿って副走査方向Yへ平行移動する。
【0023】
スライダ83やスライダ86内においてパルス駆動されるリニアモータは、該モータに供給するパルス信号によって出力軸の回転角度制御を精細に行うことができ、従って、スライダ83に支持されたインクジェットヘッド52の主走査方向X上の位置やテーブル79の副走査方向Y上の位置等を高精細に制御できる。なお、インクジェットヘッド52やテーブル79の位置制御は、パルスモータを用いた位置制御に限られず、サーボモータを用いたフィードバック制御や、その他任意の制御方法によって実現することもできる。
【0024】
また、図1に示すように、主走査駆動装置49によって駆動されて主走査移動するインクジェットヘッド52の軌跡下であって副走査駆動装置51の一方の脇位置に、インクジェットヘッド52のクリーニングを行うクリーニング装置60が設置されており、更に、副走査駆動装置51の他方の脇位置には、本発明に係る検査部100が設置されている。
【0025】
図2(a)に、検査部100の構成を示す概略図を示す。
検査部100は、インクジェットヘッド52に備えられた複数のノズル57から吐出される液滴を検知する検知機構1と、不図示であるが、前記検知機構1からの出力信号を基に解析を行う処理装置とから構成されている。検知機構1としては、特に、発光部1aと受光部1bとから構成される透過型のレーザーセンサが好適に利用できる。但し、これに限定されるものではない。
【0026】
検査部100では、複数のノズル57から液滴を連続して吐出させつつ、図2(a)に示すように、レーザーが照射されている発光部1aと受光部1bとの間に、吐出された液滴が交差するようにインクジェットヘッド52を移動させると、レーザーが液滴を検知して信号を出力し、処理装置に送信する。例えば、インクジェットヘッド52にノズル57が一列に100個形成されているとし、全ノズルが正常に吐出動作をしている場合は、図2(b)に示すように、個々のノズルに対応した100パルスのセンサ出力(出力信号)が検知される。
【0027】
なお、検査部100には、液滴の吐出結果を読み込む画像処理装置を設置しても良い。これにより、吐出不良が発生しているノズルの場所を特定する前に、予め、画像からノズルに吐出不良が発生しているかどうかを判別させることが可能となる。
【0028】
次に、本発明のインクジェット装置10の動作の概略を説明する。
図3に、インクジェット装置10の動作を説明するブロック図を示す。
インクジェット装置10の動作を開始させると(S10)、まず、基板Pがインクジェット装置10内に搬入され、テーブル79上に固定される(S11)。
次に、インクジェットヘッド52をクリーニング装置60に移動させ、インクジェットヘッド52のクリーニングを行う(クリーニング工程:S12)。
次に、インクジェットヘッド52を検査部100に移動させ、本発明の不良ノズルの検出を行う(不良ノズル検出工程:S13、S14)。ここで、吐出不良のノズルが検出された場合、S12へ戻り、インクジェット52のクリーニング後、再度、不良ノズルの検出を行う。不良ノズルが発見されなかった場合、基板Pに対して、通常の吐出動作を実施する(塗布工程:S15)。
そして、塗布が完了した基板Pをインクジェット装置10の外部に搬出し、次の基板Pがある場合には、S11へ戻り、次の基板Pが無い場合には、インクジェット装置の動作が終了する(S16,S17)。
【0029】
なお、図3では不図示であるが、通常の塗布工程の前工程として、一旦ノズルから液滴を吐出させて、吐出状態を整えるフラッシング工程を備えることもあり得る。この場合、フラッシング工程と、本発明の不良ノズル検出工程とを兼ねて実施する構成としても良い。
【0030】
〔第1実施形態〕
次に、本発明に係るインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法の第1の実施形態について説明する。
なお、本発明の不良ノズル検出方法は、上記のインクジェット装置10に備えられた検査部100にて好適に実施されるものであり、図3におけるS13の工程で行われるものとして説明する。
また、本実施形態では、図2(a)に示すノズル列57において、上部及び下部両端のノズル10カ所程度は、液滴の吐出が安定しないために、通常の液滴吐出時には使用しないものとして説明する。これは、インクジェットヘッド52内において、流路抵抗に起因して、液体がノズルの両端に到達するまでに時間差が生じること、また、ノズルを駆動するピエゾ素子がノズルの両端部では均一な性能を引き出すことが難しい等の問題による。
【0031】
本発明の不良ノズル検出方法は、液滴の吐出パターンを選択するパターン選択工程(第1工程)と、選択された吐出パターンに基づいて、液滴を吐出させる吐出工程(第2工程)と、液滴を検知機構により検知する検知工程(第3工程)と、検知機構から出力されると想定する第1の出力信号と、検知工程において検知機構から出力された第2の出力信号とに基づいて、不良ノズルを特定させる処理工程(第4工程)とから構成されている。
【0032】
パターン選択工程では、最も好適な吐出パターンが選択される。吐出パターンには、ノズル列において想定される不良ノズルの個数に基づいて形成されたパターンユニットが含まれている。
図4に、パターンユニットの一例を示す。
例えば、ノズル列において、1カ所に不良ノズルが発生すると想定された場合は、ある4カ所の連続したノズルをパターンユニットとして選択する。そして、4カ所のノズル(図中では、A,B,C,Dとそれぞれ表記する)の中で、例えば、ノズルCのみを吐出させないパターンを形成する(図4(a))。
この場合、もし、ノズルAが液滴を吐出しない不良ノズルであったとすると、図4(b)に示すようなパターンが出力され、同様に、ノズルBが不良ノズルあったとすると、図4(c)のようなパターンが出力され、更には、ノズルDが不良ノズルであった場合には、図4(d)に示すようなパターンが出力される。
【0033】
このように、4カ所のノズル中の1カ所を故意に吐出させないパターンユニットを吐出パターンに含むことにより、吐出させないノズル位置を基準として、吐出のタイミングを判別し、吐出不良のノズルを正確に確定させることができる。即ち、パターンユニットは、いずれのノズルに吐出不良が発生しても、処理工程において、図4(a)に示したパターンを第1の出力信号と仮定し、実際に出力されたパターンを第2の出力信号とすれば、ノズルCの1カ所でマッチングするので、吐出不良のノズルを正確に確定させることが可能となる。これによれば、ノズル列の先頭若しくは最後尾のいずれかのノズルが不良ノズルであった場合でも、好適に不良ノズルがどちらであるかを判別することができる。
【0034】
上記パターンユニットでは、ノズル列の想定される不良ノズル数を1とし、この場合の基準ノズル数(以下、「パターン長」と表記する)を4として説明したが、例えば、想定される不良ノズル数が2であった場合は、パターン長を7、また、想定される不良ノズル数が3であった場合は、パターン長を10、更に、想定される不良ノズル数が4であった場合は、パターン長を14とすることにより、好適に不良ノズルを検出することができる。
【0035】
図5(a)に、想定される不良ノズル数が2である場合のパターンユニットの一例を示し、また、図5(b)に、想定される不良ノズル数が3である場合のパターンユニットの一例を示す。
図5(a)に示すように、この場合、7カ所のノズル(図中、A〜Gと表記する)において、ノズルC,D,Fの3カ所のノズルを、故意に液滴を吐出させない不吐出ノズルに設定している。また、図5(b)に示すように、この場合、10カ所のノズル(図中、A〜Jと表記する)において、ノズルC,E,G,Hの4カ所のノズルを、故意に液滴を吐出させない不吐出ノズルに設定している。
これによれば、2カ所以上のノズルが吐出不良となった場合でも、好適に複数の不良ノズルを特定させることが可能となる。
【0036】
図6に、上記のパターンユニットを含む吐出パターンの形成方法を示す。
まず、想定される不良ノズルの個数nを仮定し、パターン長Lの初期値としてn+1と決定する(S20)。
次に、パターン長Lの任意のパターンユニットb[L]を形成する(S21)。
次に、パターンユニットb[L]中の吐出ノズル(便宜上、「1」と表記する)の数が不良ノズルの数nよりも大きい場合は、パターンユニットb[L]中の吐出ノズルをn個不吐出ノズル(便宜上、「0」と表記する)とする(S22、S23)。
次に、S23で形成されたパターンが、元のパターンと一意に一致するかどうかを判断し、一致した場合は、所望のパターン長Lとパターンユニットb[L]として決定する(S28)。
また、一致しなかった場合は、以下のステップ(S25、S26、S27)で、所望のパターン長Lとパターンユニットb[L]を得るまで判断を繰り返す。
【0037】
なお、パターンユニットは、吐出パターンにおいて、ノズル列両端の、通常の液滴吐出時は使用しない休止ノズルに対応する部位に形成されることが望ましい。これにより、故意に液滴を吐出させない不吐出ノズルが、休止ノズル以外の通常時に使用するノズルに含まれないので、吐出不良が発生しているノズルの場所を、1度の検出動作で効率良く検出することが可能となる。
【0038】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係るインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法の第2の実施形態について説明する。
なお、本実施形態の不良ノズル検出方法も、上記のインクジェット装置10に備えられた検査部100にて好適に実施され、図3におけるS13の工程で行われるものとして説明する。
第1の実施形態では、図2(a)に示すノズル列において、上部及び下部両端のノズル10カ所程度は、液滴の吐出が安定しないために、通常の液滴吐出時は使用しないものとしたが、本実施形態では、ノズル列の全てのノズルが使用可能である場合に好適に使用することができる。
【0039】
本実施形態の不良ノズル検出方法においては、液滴の第1の吐出パターンを選択する第1のパターン選択工程(第1工程)と、第1の吐出パターンと異なる第2の吐出パターンを選択する第2のパターン選択工程(第2工程)とを備えている。更に、上記の第1の吐出パターンに基づいて、液滴を吐出させる第1の吐出工程(第3工程)と、第1の吐出工程における液滴を検知機構により検知する第1の検知工程(第4工程)とを備え、また、上記の第2の吐出パターンに基づいて、液滴を吐出させる第2の吐出工程(第5工程)と、第2の吐出工程における液滴を検知機構により検知する第2の検知工程(第6工程)とを備えている。
そして、第1の検知工程において検知機構から出力された第1の出力信号と、第2の検知工程において検知機構から出力された第2の出力信号とに基づいて、不良ノズルを特定させる処理工程(第7工程)を有する。
【0040】
即ち、第1の実施形態と異なることは、第1の実施形態におけるパターンユニットに相当する特定のパターンを、吐出パターン自体に形成させることにある。この場合、全ノズルの吐出不良を検出するために、2つの異なる吐出パターンで液滴を吐出し、全てのノズルから液滴が必ずどちらか一方の吐出パターンで吐出されるようにする。
【0041】
図6に、本実施形態の吐出パターンの一例を示す。
図6(a)及び図6(b)は、想定される不良ノズル数が1である場合のものであり、また、図6(c)及び図6(d)に、想定される不良ノズル数が2である場合のものであり、更に、図6(e)及び図6(f)に、想定される不良ノズル数が3である場合の吐出パターンの一例である。
図6(a)に示すように、この場合、任意の7カ所のノズル(図中、A〜Gと表記する)において、第1の吐出パターンとして、ノズルB,D,E,Gの4カ所のノズルを、故意に液滴を吐出させない不吐出ノズルに設定している。これに対して、図6(b)では、第2の吐出パターンとしては、第1の吐出パターンにおける不吐出ノズルを吐出ノズルとして設定している。
同様に、図6(c)に示すように、この場合、任意の10カ所のノズル(図中、A〜Jと表記する)において、第1の吐出パターンとして、ノズルA,D,E,H,Jの5カ所のノズルを、故意に液滴を吐出させない不吐出ノズルに設定している。これに対して、図6(d)では、第2の吐出パターンとしては、ノズルB,F,Iの3カ所のノズルを不吐出ノズルに設定している。この場合も、第1の吐出パターンにおける不吐出ノズルが吐出ノズルとなることに変わりはない。
更に、図6(e)に示すように、この場合、任意の14カ所のノズル(図中、A〜Nと表記する)において、第1の吐出パターンとして、ノズルC,D,F,H,J,K,M,Nの8カ所のノズルを、故意に液滴を吐出させない不吐出ノズルに設定している。これに対して、図6(f)では、第2の吐出パターンとしては、ノズルB,E,G,I,Lの5カ所のノズルを不吐出ノズルに設定している。この場合も、第1の吐出パターンにおける不吐出ノズルが吐出ノズルとなることに変わりはない。
【0042】
このように、吐出させないノズル位置を基準として、吐出のタイミングを判別し、吐出不良のノズルを正確に確定させることができる。即ち、いずれのノズルに吐出不良が発生しても、処理工程において、第1の吐出パターンにより吐出された液滴を検知機構により検知して得られた信号を第1の出力信号し、第2の吐出パターンにより吐出された液滴を検知機構により検知して得られた信号を第2の出力信号とすれば、2つの出力信号を比較することにより、吐出不良のノズルを正確に確定させることが可能となる。この場合、全てのノズルから液滴が必ず第1若しくは第2のどちらか一方の吐出パターンで吐出されるので、不良ノズルの検出漏れを防ぐことが可能となる。
【0043】
以上、本発明の実施形態によるインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法、及び塗布装置について説明したが、本発明は、上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】塗布装置を示す斜視図である。
【図2】検査部を示す概略図である。
【図3】塗布装置の動作を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係る出力信号の一例を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係る出力信号の一例を示す図である。
【図6】吐出パターンの形成方法を示すブロック図である。
【図7】第2の実施形態に係る出力信号の一例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・レーザーセンサ(検知機構)、10・・・インクジェット装置(塗布装置)、52・・・インクジェットヘッド、57・・・ノズル、100・・・検査部
Claims (11)
- インクジェットヘッドに備えられた複数のノズルから吐出される液滴を検知し、前記液滴を吐出しない不良ノズルを検出するインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法において、
前記液滴の吐出パターンを選択する第1工程と、
前記吐出パターンに基づいて、前記液滴を吐出させる第2工程と、
前記液滴を検知機構により検知する第3工程と、
前記検知機構から出力されると想定する第1の出力信号と、前記第3工程において前記検知機構から出力された第2の出力信号とに基づいて、前記不良ノズルを特定させる第4工程と、
を備えることを特徴とするインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法。 - 前記吐出パターンは、予め想定される不良ノズルの個数に基づいて形成されたパターンユニットを含むことを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法。
- 前記パターンユニットは、前記複数のノズルにおける、いずれのノズルに吐出不良が発生しても、前記第4工程において前記第1の出力信号と前記第2の出力信号とが1カ所でマッチングするように構成されることを特徴とする請求項2記載のインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法。
- 前記複数のノズルには、通常の吐出動作時には不使用の休止ノズルを備えてなり、
前記パターンユニットは、前記吐出パターンにおいて、前記休止ノズルに対応する部位に形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法。 - インクジェットヘッドに備えられた複数のノズルから吐出される液滴を検知し、前記液滴を吐出しない不良ノズルを検出するインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法において、
前記液滴の第1の吐出パターンを選択する第1工程と、
前記第1の吐出パターンと異なる第2の吐出パターンを選択する第2工程と、
前記第1の吐出パターンに基づいて、前記液滴を吐出させる第3工程と、
前記第3工程における前記液滴を検知機構により検知する第4工程と、
前記第2の吐出パターンに基づいて、前記液滴を吐出させる第5工程と、
前記第5工程における前記液滴を検知機構により検知する第6工程と、
前記第4工程において前記検知機構から出力された第1の出力信号と、前記第6工程において前記検知機構から出力された第2の出力信号とに基づいて、前記不良ノズルを特定させる第7工程と、
を備えることを特徴とするインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法。 - 前記複数のノズルは、前記第1の吐出パターン若しくは前記第2の吐出パターンの少なくとも一方の吐出パターンで、前記液滴の吐出動作を行うことを特徴とする請求項5記載のインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法。
- 前記第1の吐出パターン及び前記第2の吐出パターンは、予め想定される不良ノズルの個数に基づいて形成されたパターンユニットを含むことを特徴とする請求項5記載のインクジェットヘッドの不良ノズル検出方法。
- ヘッドに備えられた複数のノズルから液滴を吐出させる塗布装置において、
前記複数のノズルから吐出された液滴を検知する検知機構を有し、
前記液滴の吐出パターンを選択し、前記検知機構から出力されると想定する第1の出力信号と、実際に前記検知機構から出力された第2の出力信号とに基づいて、前記液滴を吐出しない不良ノズルを特定させる検査部を備えることを特徴とする塗布装置。 - ヘッドに備えられた複数のノズルから液滴を吐出させる塗布装置において、
前記複数のノズルから吐出された液滴を検知する検知機構を有し、
前記液滴の第1の吐出パターンと、該第1の吐出パターンとは異なる第2のパターンとを選択し、前記検知機構から出力された、前記第1の吐出パターンによる第1の出力信号と、前記第2の吐出パターンによる前記第2の出力信号とに基づいて、前記液滴を吐出しない不良ノズルを特定させる検査部を備えることを特徴とする塗布装置。 - 前記検知機構は、透過型のレーザーセンサであることを特徴とする請求項8又は9に記載の塗布装置。
- 前記吐出パターンによる前記液滴の吐出結果を読み込む画像処理装置を備えることを特徴とする請求項8又は9に記載の塗布装置。
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