JP2004275497A - 車椅子の電動補助ユニット及び電動ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】車椅子の前部及び後部の双方に着脱自在であり、適宜に車椅子の前部又は後部のいずれかに接合することにより、平坦地走行の際の補助動力としても利用可能であり、段差走行も可能であり、狭隘な場所での取り回しも容易であり、階段の昇降も可能な手動式の車椅子の電動補助ユニット及びそのような電動ユニットの提供を目的とする。
【解決手段】左右の主輪11と、前方に配置されて従動する従輪12とを有する車椅子1の前部及び後部の双方に連結装置3により接合可能であり、車椅子1に接合された場合に、車椅子1を牽引及び推進するための電動駆動として十字車輪21等を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】左右の主輪11と、前方に配置されて従動する従輪12とを有する車椅子1の前部及び後部の双方に連結装置3により接合可能であり、車椅子1に接合された場合に、車椅子1を牽引及び推進するための電動駆動として十字車輪21等を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車椅子の補助ユニットに関し、より詳細には、車椅子に着脱自在であり、しかも主として手動式の車椅子を電動化することが可能な車椅子の電動補助ユニットに関し、更にそのような目的に使用される電動ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
電動式の車椅子は電動式でない車椅子(手動式車椅子)に比して比較的大型でしかもバッテリ及びモータを装備する必要から重量も非常に大きくなる。従って、電動式の車椅子は自力で車椅子を走行させることができない障害者が主として利用しているのが実情である。しかし、自力で手動式車椅子を走行させることが可能な障害者であっても、長距離の移動は疲労を伴うため、手動式車椅子に着脱自在な電動式の補助ユニットが開発されている(たとえば、特許文献1等)。
【0003】
また、手動式車椅子が段差,階段等を昇降するための着脱自在な装置(補助ユニット)も開発されている(たとえば、特許文献2等)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−165843号公報
【特許文献2】
特公平6−51473号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のいずれの特許文献に記載されている技術においても、補助ユニットは手動式車椅子の前部または後部のいずれか一方のみにしか装着することができず、しかも、前者は平坦地の補助動力としてのみ利用可能であり、一方後者は階段,段差の昇降のみに利用可能な構成である。また、従来のこの種の補助ユニットは比較的大型であり、このために車椅子に装着した場合に旋回半径が大きくなり、またエレベータ等の狭隘な場所での取り回しにも問題があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、手動式車椅子の前部及び後部の双方に着脱自在に接合することが可能であり、適宜に手動式車椅子の前部又は後部のいずれかに接合することにより、平坦地走行の際の補助動力としても利用可能であり、段差走行も可能であり、狭隘な場所での取り回しも容易であり、階段の昇降も可能な手動式の車椅子の電動補助ユニット及びそのような電動ユニットの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、主輪と、該主輪の前方又は後方に配置された従輪とを有する車椅子の前部及び後部の双方に接合可能にするための接合手段と、前記車椅子に接合された場合に、前記車椅子を牽引及び推進するための電動駆動手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
このような第1の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、1台の電動補助ユニットを車椅子を車椅子の前後の双方に接合して利用することが可能である。
【0009】
また第2の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第1の発明において、前記従輪との干渉を避けるために前記車椅子に一端部が接合可能な補助接合手段を更に備え、前記接合手段は、前記補助接合手段の他端部に備えられた接合部と接合可能であることを特徴とする。
【0010】
このような第2の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、電動補助ユニットを車椅子に接合する際に、従輪との干渉を避けるために補助接合手段が使用される。
【0011】
また第3の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第2の発明において、前記補助接合手段は、前記一端部と前記他端部とに分割されており、両者の上下左右への相対変位を許容する連結手段を更に備えていることを特徴とする。
【0012】
このような第3の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、電動補助ユニットを車椅子に接合するための補助接合手段が車椅子に対して上下左右への相対変位を許容する。
【0013】
また第4の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第1の発明において、前記主輪は前記車椅子の左右に一対が備えられており、前記一対の主輪の間隔よりも小なる幅に構成されており、前記車椅子の前記左右の主輪の間に位置した状態で前記接合手段により直接接合されることを特徴とする。
【0014】
このような第4の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、電動補助ユニットが車椅子の前記左右の主輪の間に位置した状態で、接合手段により直接接合される。
【0015】
また第5の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記駆動手段は、電動モータにより回動される複数の回動可能なアームと、各アームの先端部に取り付けられており、電動モータにより駆動可能な車輪とを備えたことを特徴とする。
【0016】
このような第5の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、いわゆる十字車輪が駆動力として利用される。
【0017】
更に第6の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第5の発明において、前記複数のアームの内の一つの先端部に取り付けられた車輪が接地するように前記複数のアームを固定し、前記接地している車輪の駆動により前記車椅子を走行させるようにしてあることを特徴とする。
【0018】
このような第6の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、十字車輪の一つのアームに取り付けられた車輪により車椅子が走行する。
【0019】
また第7の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第6の発明において、前記複数のアームの内の少なくとも二つの先端部に取り付けられた車輪が接地するように、前記複数のアームの固定を解除する手段を有することを特徴とする。
【0020】
このような第7の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、複数のアームの固定を解除することにより、複数のアームの内の少なくとも二つの先端部に取り付けられた車輪が接地する。
【0021】
また第8の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第5の発明において、前記複数のアームを回動させることにより、前記車椅子に段差を昇降させるようにしてあることを特徴とする。
【0022】
このような第8の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、十字車輪全体を回動させることによる複数のアームの回動により車椅子が段差を昇降する。
【0023】
また第9の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記駆動手段は、一端部を回動中心として回動可能であり、電動モータにより駆動されるクローラと、該クローラの前記一端部近傍に回転中心を有し、前記クローラが傾斜状態である場合に接地し、電動モータにより駆動可能な車輪とを備えたことを特徴とする。
【0024】
このような第9の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、クローラと車輪とのいずれかを使用することができる。
【0025】
また第10の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第9の発明において、前記クローラを水平状態にして接地させ、又は前記クローラを傾斜状態にして前記車輪を接地させた状態で、前記車椅子を走行させるようにしてあることを特徴とする。
【0026】
このような第10の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、クローラ又は車輪のいずれかにより車椅子が走行する。
【0027】
また第11の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第9の発明において、前記クローラを傾斜状態にして該クローラの駆動力により前記車椅子に段差を昇降させるようにしてあることを特徴とする。
【0028】
このような第11の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、クローラにより車椅子が段差を昇降する。
【0029】
更に第12の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記駆動手段は、電動モータにより駆動される駆動輪と、該駆動輪の回転中心よりも上側に回動中心を有し、電動モータにより回動されるアームとを備えたことを特徴とする。
【0030】
このような第12の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、必要に応じて駆動輪又はアームを利用することができる。
【0031】
また第13の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第12の発明において、前記アームが接地しない状態で、前記駆動輪の駆動力により前記車椅子を走行させるようにしてあることを特徴とする。
【0032】
このような第13の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、駆動輪の駆動により車椅子が走行する。
【0033】
また第14の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第12の発明において、前記アームを回動させることにより、前記車椅子に段差を昇降させるようにしてあることを特徴とする。
【0034】
このような第14の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、アームを回転させることにより、車椅子が段差を昇降する。
【0035】
また、第15の発明に係る電動ユニットは、電動モータにより回動される複数の回動可能なアームと、各アームの先端部に取り付けられており、電動モータにより駆動可能な車輪と、主輪と、該主輪の前方又は後方に配置された従輪とを有する車椅子の前部及び後部の双方に接合可能にするための接合手段とを備えたことを特徴とする。
【0036】
このような第15の発明の電動ユニットでは、いわゆる十字車輪が駆動力として使用され、車椅子の前部及び後部の双方に接合して利用することが可能になる。
【0037】
更に第16の発明に係る電動ユニットは、第15の発明において、前記複数のアームの内の一つの先端部に取り付けられた車輪が接地するように前記複数のアームを固定し、前記接地している車輪の駆動により走行するようにしてあることを特徴とする。
【0038】
このような第16の発明の電動ユニットでは、十字車輪の一つのアームに取り付けられた車輪により走行し、接合されている車椅子を走行させる。
【0039】
また第17の発明に係る電動ユニットは、第16の発明において、前記複数のアームの内の少なくとも二つの先端部に取り付けられた車輪が接地するように、前記複数のアームの固定を解除する手段を有することを特徴とする。
【0040】
このような第17の発明の電動ユニットでは、複数のアームの固定を解除することにより、複数のアームの内の少なくとも二つの先端部に取り付けられた車輪が接地してこれらの車輪により走行し、接合されている車椅子を走行させる。
【0041】
また第18の発明に係る電動ユニットは、第15の発明において、前記複数のアームを回動させることにより、段差を昇降するようにしてあることを特徴とする。
【0042】
このような第18の発明の電動ユニットでは、十字車輪全体を回動させることによる複数のアームの回動により昇降し、接合されている車椅子に段差を昇降させる。
【0043】
また第19の発明に係る電動ユニットは、一端部を回動中心として回動可能であり、電動モータにより駆動されるクローラと、該クローラの前記一端部近傍に回転中心を有し、前記クローラが傾斜状態である場合に接地し、電動モータにより駆動可能な車輪と、主輪と、該主輪の前方又は後方に配置された従輪とを有する車椅子の前部及び後部の双方に接合可能にするための接合手段とを備えたことを特徴とする。
【0044】
このような第19の発明の電動ユニットでは、クローラと車輪といずれかを使用することができ、車椅子の前部及び後部の双方に接合して利用することが可能になる。
【0045】
また第20の発明に係る電動ユニットは、第19の発明において、前記クローラを水平状態にして接地させ、又は前記クローラを傾斜状態にして前記車輪を接地させた状態で、走行するようにしてあることを特徴とする。
【0046】
このような第20の発明の電動ユニットでは、クローラ又は車輪のいずれかにより走行し、接合されている車椅子を走行させる。
【0047】
また第21の発明に係る電動ユニットは、第19の発明において、前記クローラを傾斜状態にして該クローラの駆動力により段差を昇降するようにしてあることを特徴とする。
【0048】
このような第21の発明の電動ユニットでは、クローラにより段差を昇降し、接合されている車椅子に段差を昇降させる。
【0049】
また第22の発明に係る電動ユニットは、電動モータにより駆動される駆動輪と、該駆動輪の回転中心よりも上側に回動中心を有し、電動モータにより回動されるアームと、主輪と、該主輪の前方又は後方に配置された従輪とを有する車椅子の前部及び後部の双方に接合可能にするための接合手段とを備えたことを特徴とする。
【0050】
このような第22の発明の電動ユニットでは、必要に応じて駆動輪又はアームを利用することができ、車椅子の前部及び後部の双方に接合して使用することが可能になる。
【0051】
また第23の発明に係る電動ユニットは、第22の発明において、前記アームが接地しない状態で、前記駆動輪の駆動力により走行するようにしてあることを特徴とする。
【0052】
このような第23の発明の電動ユニットでは、駆動輪の駆動により走行し、接合されている車椅子を走行させる。
【0053】
また第24の発明に係る電動ユニットは、第22の発明において、前記アームを回動させることにより、段差を昇降するようにしてあることを特徴とする。
【0054】
このような第24の発明の電動ユニットでは、アームを回転させることにより段差を昇降し、接合されている車椅子に段差を昇降させる。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0056】
(第1の実施の形態)
図1は本発明に係る電動補助ユニット(電動ユニット)2と、手動式車椅子(以下、単に車椅子という)1と、電動補助ユニット2を車椅子1の前部に接合する際に使用される補助接合手段としての連結装置3との構成例を示す模式的側面図である。なお、図1では、連結装置3を車椅子1の前部に取り付けた状態を示す。また、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合する場合には、連結装置3は使用する必要はなく、詳細は後述するが、電動補助ユニット2が車椅子1の後部に直接接合される。
【0057】
車椅子1は、メインフレーム10の後部寄りの部分に、搭乗者自身が手動で回転駆動させることが可能な主輪11を左右両側に備えており、またメインフレーム10の前部寄りの部分に、キャスタ式の前従輪12を左右両側に備えている。
【0058】
メインフレーム10からは、前従輪12を越えて前下方へフロントフレーム13が延設されており、このフロントフレーム13の前下方に延出された先端部(下端部)には搭乗者が足を置くための板状のフットレスト14が取り付けられている。このフロントフレーム13のフットレスト14までの間の部分に連結装置3が取り付けられるようになっている。
【0059】
図2(a), (b)はそれぞれ連結装置3の平面図及び側面図である。連結装置3は主要には、車椅子1側に固定される後部ユニット31と、電動補助ユニット2側に固定される前部ユニット32とで構成されており、両者は上下方向及び左右方向に変位可能なユニバーサルジョイント30で連結されている。
【0060】
なお、ユニバーサルジョイント30は、図2(a) に示す上下方向を軸長方向とした支軸32Cを中心として前部ユニット32を後部ユニット31に対して左右方向に回動可能に、また図2(b) に示す左右方向を軸長方向とした支軸31Cを中心として前部ユニット32を後部ユニット31に対して上下方向に回動可能に支持している。
【0061】
また、ユニバーサルジョイント30は、通常の状態においては、図2(b) に示す側面図のように、支軸32を鉛直方向に向けた場合に、後部ユニット31が車椅子1のフロントフレーム13の傾斜角度と同一角度に斜め下方を向くようになっている。
【0062】
後部ユニット31は、支軸31Cに枢支された基板311と、この基板311に固定されて後方(車椅子1側)で開口している上下2段のU字状のフレーム312(上段を312U、下段を312Lとする)と、これらの上下2段のフレーム312U, 312LのU字状の開口部の左右のアーム状の部分の先端を接続して取り付けられた縦フレーム313(右側を313R、左側を313Lとする)と、これらの左右の縦フレーム313R, 313Lそれぞれの上下端に固定された接合部材314(右側の上下を314R、左側の上下を314Lという)とで構成されている。なお、左右の縦フレーム313R, 313Lは、通常の状態においては、車椅子1のフロントフレーム13の傾斜角度と同一の角度になるように取り付けられている。
【0063】
接合部材314R,314Lは、図2(a) に示すように、左右方向の中心線で左右に分割可能に構成されており、車椅子1のフロントフレーム13を挟んで固定するための穴315R,315Lがそれぞれ設けられている。従って、これらの穴315R,315Lに車椅子1のフロントフレーム13を通して接合部材314R,314Lをたとえばボルト・ナットで固定すると、図2(b) に一点鎖線にて示すように、車椅子1のフロントフレーム13が後部ユニット31に固定される。この結果、図1に示すように、後部ユニット31が車椅子1に固定されることになる。
【0064】一方、前部ユニット32は、支軸32Cに枢支された基板320と、この基板320の前部に取り付けられていて前部が左右方向に開口した上下二段のU字状のフレーム321(上段を321U、下段を321Lとする)と、これらのU字状のフレーム321U、321LのU字状の開口部の左右のアーム状の部分の先端を接続して取り付けられた接合部材322(右側を322R、左側を322Lとする)とで構成されている。
【0065】
なお、接合部材322R、322Lの上下のフレーム321U,321Lの間には、後述する電動補助ユニット2の下部接合部材25を挿通して固定するための前後方向の開口323(右側を323R、左側を323Lとする)が設けられている。また、この開口323R, 323Lに電動補助ユニット2の接合部材25が挿通された状態で固定するための上下方向の穴324(右側を324R、左側を324Lとする)が設けられている。
【0066】
図3は連結装置3の後部ユニット31に車椅子1を、前部ユニット32に電動補助ユニット2をそれぞれ固定して車椅子1の前部に電動補助ユニット2を接合した状態を示す模式図である。具体的には、連結装置3の後部ユニット31に車椅子1を、前部ユニット32に電動補助ユニット2をそれぞれ固定すると、図3に示すように、車椅子1の前部に電動補助ユニット2が接合されることになる。なおこの場合、連結装置3の後部ユニット31と前部ユニット32とがユニバーサルジョイント30で連結されているので、電動補助ユニット2は車椅子1に対して左右及び上下方向に回動可能になる。
【0067】
次に、図1を参照して電動補助ユニット2について説明する。電動補助ユニット2は主要には、上下方向に延設された左右のフレーム20(右側を20R、左側を20Lとする)と、このフレーム20R, 20Lの下部に備えられた十字車輪21と、フレーム20R, 20Lの前部(この場合の前部とは、電動補助ユニット2が車椅子1の前部に接合された状態における前部)に取り付けられたバッテリボックス22と、フレーム20R, 20Lの上端部から更に上方に向けて取り付けられたハンドル23と、フレーム20R, 20Lの後部に取り付けられた制御ボックス26等で構成されている。
【0068】
なお、電動補助ユニット2の幅は、車椅子1の両主輪11の内幅よりも小さく構成されている。従って、後述するように、連結装置3が車椅子1の後部に接合された場合には、電動補助ユニット2は車椅子1の両主輪11間に位置することになる。
【0069】
フレーム20R, 20Lの上部寄りの位置には上部接合部材24(右側を24R、左側を24Lとする)が、同下部寄りの位置には下部接合部材25(右側を25R、左側を25Lとする)が後方へ突出して備えられている。下部接合部材25R, 25Lは前述したように、電動補助ユニット2を連結装置3を介して車椅子1の前部に接合する場合に、連結装置3の左右の接合部材322R, 322Lの開口323R, 323Lに挿通して固定するために使用される他、後述するように、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合する場合にも、上部接合部材24R, 24Lと共に使用される。
【0070】
次に、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合するための構成について説明する。図1に示すように、車椅子1の後部には電動補助ユニット2を接合するための上下方向に延設された左右の接合フレーム15(右側を15R、左側を15Lとする)がメインフレーム10に固定されている。この接合フレーム15R,15Lには、上部寄りの部分に、連結装置3の上部接合部材24R, 24Lと接合するための上部接合部材16U(右側を16UR、左側を16ULとする)が、また下部寄りの部分に、連結装置3の下部接合部材25と接合するための下部接合部材16L(右側を16LR、左側を16LLとする)がそれぞれ備えられている。
【0071】
図4は車椅子1の後部に電動補助ユニット2を接合するための準備状態を、図5は車椅子1の後部に電動補助ユニット2を接合した状態をそれぞれ示す模式図である。即ち、図4に示すように、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に、上部接合部材24R, 24Lが車椅子1の上部接合部材16UR,14Lそれぞれと、下部接合部材25R,25Lが車椅子1の下部接合部材16LR,16LLとそれぞれ対向するように、換言すれば電動補助ユニット2を車椅子1の前部に接合する場合とは逆向きにして位置させる。
【0072】
そして、電動補助ユニット2及び車椅子1の上部接合部材24R, 24Lと16UR,14L同士、下部接合部材25R,25Lと16LR,16LL同士をそれぞれ接合することにより、図5に示すように、電動補助ユニット2が車椅子1の後部に接合されることになる。但し、このようにして電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合する場合は、電動補助ユニット2を連結装置3を介して車椅子1の前部に接合する場合とは、電動補助ユニット2の向きが前後逆になる。また、電動補助ユニット2は車椅子1の左右の主輪11の間に接合されるので、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合した場合の全体の長さがそれほどには長くはならない。
【0073】
なお、電動補助ユニット2のハンドル23自体は電動補助ユニット2のフレーム20R,20Lに固定されているので、電動補助ユニット2を連結装置3を介して車椅子1の前部に接合した場合に、搭乗者がハンドル23を左右に操向操作すると電動補助ユニット2に固定された連結装置3の前部ユニット32が後部ユニット31に対して左右に回動して操向が可能になる。
【0074】
また、電動補助ユニット2は通常は図3に示すような状態で連結装置3を介して車椅子1の前部に接合されているが、ユニバーサルジョイント30の上下方向への変位は通常はロック可能である。このため、たとえば搭乗者がハンドル23を前後に若干強い力で押すか、引くことにより、ユニバーサルジョイント30の上下方向のロックが解除され、電動補助ユニット2に固定された連結装置3の前部ユニット32が後部ユニット31に対して上下に回動して、電動補助ユニット2が車椅子1に対して相対的に傾斜した状態になる。
【0075】
以上のように、本発明の電動補助ユニット2は連結装置3を介して車椅子1の前部に接合することが可能であるのみならず、車椅子1の後部に直接接合することも可能である。
【0076】
次に、上述のような本発明の電動補助ユニット2を車椅子1に接合した場合の種々の利用方法について説明する。
【0077】
なお、詳細は後述するが、電動補助ユニット2を車椅子1に接合して利用する状態を例示する図6,図7の模式図では、電動補助ユニット2には前述した如く3輪式の十字車輪21が装備されており、3輪の内の1輪のみを電動モータで駆動すること、及び十字車輪全体を電動モータで回転駆動すること、の双方が可能である。但し、このような十字車輪21の構成そのものは公知であるので、その説明は省略する。
【0078】
また、以下の第1の実施の形態の説明においては、車椅子1の前部に電動補助ユニット2を接合した場合には車椅子1の前従輪12が浮き上がる状態でユニバーサルジョイント30の上下方向への変位がロックされているものとしているが、必ずしもその必要はなく、車椅子1の前従輪12が接地した状態であってもよい。但し、この場合には、ユニバーサルジョイント30の上下方向の変位はフリーでなければ、主輪11と前従輪12とで車椅子1が接地する状態になった場合に、電動補助ユニット2による駆動力が発揮されない。
【0079】
図6(a) は、車椅子1の前部に電動補助ユニット2を接合して平坦地を走行する場合の状態を示す模式図である。この例では、車椅子1の前部に電動補助ユニット2が接合されていることにより、車椅子1の前従輪12が浮いた状態になっている。しかも、電動補助ユニット2の十字車輪21全体は回転しない状態にされており、その内の1輪で支持されている。従って、車椅子1は主輪11と電動補助ユニット2の十字車輪21の内の1輪(それぞれ左右があるので、全体では4輪)で支持される状態となり、その十字車輪21の内の接地している1輪が電動モータで駆動されることにより、電動で走行することが可能になる。
【0080】
図6(b) は、車椅子1の前部に電動補助ユニット2を接合して段差走行する場合、具体的には段差上に乗り上げる場合の状態を示す模式図である。この例では、車椅子1の前部に電動補助ユニット2が接合されていることにより、車椅子1の前従輪12が浮いた状態になっている。しかも、電動補助ユニット2の十字車輪21全体が回転する状態にされており、この十字車輪21全体の回転によって十字車輪21が段差上に乗り上げることが可能になる。
【0081】
図6(c) は、車椅子1の後部に電動補助ユニット2を接合して狭隘地を走行する場合、たとえばエレベータ内に進入するような場合の状態を示す模式図である。この例では、車椅子1の後部に、しかも左右の主輪11の間に電動補助ユニット2が接合されていることにより、電動補助ユニット2を接合した状態での車椅子1の全長が短くなる。従って、この状態ではエレベータ内等のような狭隘な場所への進入も容易になる。
【0082】
図6(d) は、車椅子1の後部に電動補助ユニット2を接合して階段を昇降するような場合の状態を示す模式図である。この例では、車椅子1の後部に、しかも左右の主輪11の間に電動補助ユニット2が接合されており、介助者が電動補助ユニット2のハンドル23を把持して車椅子1を傾斜させることによって車椅子1が電動補助ユニット2の十字車輪21のみが接地するような状態になっている。しかも、電動補助ユニット2の十字車輪21全体が回転する状態にされており、この十字車輪21全体の回転によって十字車輪21が階段の各段を昇降することが可能になる。
【0083】
図7(a) は、車椅子1の後部に電動補助ユニット2を接合して平坦地を走行する場合の状態を示す模式図である。この例では、車椅子1の後部に電動補助ユニット2が接合されており、車椅子1は主輪11、前従輪12及び電動補助ユニット2の十字車輪21の内の1輪が接地した状態になっている。そして、電動補助ユニット2の十字車輪21全体は回転しない状態にされており、電動補助ユニット2の十字車輪21の内の1輪が電動モータで駆動されることにより、電動で走行することが可能になる。
【0084】
図7(b) は、車椅子1の後部に電動補助ユニット2を接合して段差走行する場合、具体的には段差上へ乗り上げる場合の状態を示す模式図である。この例では、車椅子1の後部に電動補助ユニット2が接合されており、電動補助ユニット2の十字車輪21の内の1輪又は2輪を接地させてが電動モータで駆動されることにより、車椅子1が後方から押される状態で前従輪12が段差上へ乗り上げることが容易に可能になる。
【0085】
図8(a) は電動補助ユニット2の車椅子1との接合側に板状のクッション22を備えた構成例を示す模式図である。
【0086】
クッション22は、図8(a) に示すような、電動補助ユニット2を車椅子1の前部に接合して平坦地を走行する場合にはニーパッドとして機能し、たとえば衝突時等の傷害防止に有益である。また図8(b) に示すように、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合して階段を昇降する場合には上側へ移動させることによりヘッドレスト(バックレスト)として機能させることができるので、搭乗者は背部及び頭部を支持されて安心感をもつことができる。
【0087】
図9は、電動補助ユニットの第1の実施の形態の構成例を示す模式図である。具体的には、この第1の実施の形態の電動補助ユニット2に備えられている十字車輪21の概略の構成を示す模式図である。十字車輪21は本実施の形態では、中心軸21Cに120度間隔で3本のアーム211A,212A,213Aが放射状に固定されており、それぞれのアームの先端部に車輪211, 212, 213が回動駆動可能に取り付けられている。
【0088】
このような十字車輪21は、中心軸21Cを回転中心として全体を回転させることが可能である他、全体を回転させない状態で3個の車輪211, 212, 213を回転駆動させることも可能である。なお、十字車輪21全体を回転させるために1個のモータが、3個の車輪211, 212, 213を回転駆動させるためにも1個のモータがそれぞれ備えられている。
【0089】
図10は車椅子1の前部に第1の実施の形態の電動補助ユニット2を接合した場合に十字車輪21が段差上へ乗り上げる場合の状態を示す模式図である。まず、図10(a) に示すように、十字車輪21の1輪が回転駆動している状態でその1輪が段差の端面に当接する位置で一旦停止する。次に、十字車輪21全体をを120度回転させることにより、図10(b) に示すように、十字車輪21全体を回転させて段差の端面に当接している1輪の次の1輪を段差の上段面に接地させる。この状態になると、図10(c) に示すように、十字車輪21全体の回転を停止させて3個の車輪211, 212, 213を回転駆動させる。これにより、図10(d) に示すように、十字車輪21全体が段差の上段面へ乗り上げ、その後は図10(e) に示すように、一つの車輪のみが接地するように十字車輪21全体を若干回転させる。この後は接地している一つの車輪の駆動力で車椅子1の主輪11を段差の上段面へ引き上げるようにして前進する。
【0090】
図11(a) 乃至(d) は、上述した図10(b) 乃至(d) に対応して車椅子1全体の状態を示した模式図である。
【0091】
図12は車椅子1の前部に第1の実施の形態の電動補助ユニット2を接合した場合に十字車輪21が段差を降りる場合の状態及び車椅子1全体の状態を示した模式図である。
【0092】
まず、図12(a) に示すように、十字車輪21の1輪が回転駆動している状態でその1輪が段差の縁辺を越えると車椅子1の前部が段差の下段面へ降りようとするので前従輪12が段差の上段面に接地する。この状態で、図12(b) に示すように、十字車輪21全体を駆動していずれかの車輪が段差の下段面に接地するまで降ろす。この際、主輪11が浮き上がる状態になるが、十字車輪21と前従輪12とで車椅子1は支持されるので、不安定にはならない。次に、図12(c) に示すように、十字車輪21全体の回転を停止させて各車輪を回転駆動させることにより、図12(c) に示すように、前従輪12が段差の縁辺を通過して車椅子1は十字車輪21と主輪11とで支持される状態になる。更に車椅子1が進行すると、図12(d) に示すように、主輪11が段差の下段面へ降りて接地し、以後は通常の平坦地走行の状態になる。
【0093】
なお、前述した如く、連結装置3に組み込まれているユニバーサルジョイント30により車椅子1と電動補助ユニット2とは上下方向及び左右方向に変位可能であるので、ユニバーサルジョイント30の上下方向の変位を自由に許す状態にしておけば、図12(b) に示す状態において、主輪11が浮き上がることを防止することが可能になる。
【0094】
図13は第1の実施の形態の電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合して階段を昇る場合の状態を示す模式図である。
【0095】
図13(a) に示すように、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合した状態で、介助者が電動補助ユニット2のハンドル23を把持して車椅子1を傾斜させることにより十字車輪21のみで支持され、しかもその1輪が階段の段差面に当接する位置に移動させる。この状態において、十字車輪21全体を回転させることにより、図13(b) に示すように、十字車輪21の1輪が階段の1段上の面に乗り上げるので、この状態を反復することにより、階段の最上段まで上ることができる。そして、階段の最上段まで上ると、図13(c) に示すように、十字車輪21の各車輪を回転駆動させて、または介助者の操作により安全な位置まで車椅子1を移動させる。この後は電動補助ユニット2を車椅子1の前部に接合すれば、通常の平坦地走行が可能になる。
【0096】
図14は第1の実施の形態の電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合して階段を降りる場合の状態を示す模式図である。
【0097】
図14(a) に示すように、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合した状態で、介助者が電動補助ユニット2のハンドル23を把持して傾斜させることにより車椅子1が十字車輪21のみで支持され、しかもその1輪が階段の最初の段差の縁辺を越える位置に移動させる。この状態において、十字車輪21全体を回転させることにより、図14(b) に示すように、十字車輪21の1輪が階段の1段下の面に降りるので、この状態を反復することにより、階段の最下段まで降りることができる。そして、階段の最下段まで降りると、図14(c) に示すように、十字車輪21の各車輪を回転駆動させて、または介助者の操作により安全な位置まで車椅子1を移動させる。この後は電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合したままの状態で、または車椅子1の前部に接合して、通常の平坦地走行が可能になる。
【0098】
(第2の実施の形態)
次に、上述の第1の実施の形態の電動補助ユニット2の十字車輪21に代えて、クローラと車輪とが一体化された車輪付きクローラを備える実施の形態2の構成について説明する。図15は電動補助ユニット2の第2の実施の形態の構成例を示す模式図である。
【0099】
第2の実施の形態では、電動補助ユニット2の下部に十字車輪21に代えて備えられた車輪付きクローラが備えられている。図15(a) の側面図及び図15(b) の正面図に示すように、クローラ2Cの駆動輪の中心軸2CCと車輪2Wの中心軸2WCとがずらされており、しかもクローラ2Cは中心軸2WCを回動中心として図15(a) に矢符にて示すように回動するように構成されている。従って、図15(a) に示すように、クローラ2Cの長さ方向が垂直又はそれに近い状態にされた場合には、車輪2Wが接地してクローラ2Cが浮く状態になり、また一点鎖線にて示すように、クローラ2Cの長さ方向が水平な状態にされた場合には、クローラ2Cが接地して車輪2Wが浮く状態になる。
【0100】
図16(a) は、車椅子1の前部に第2の実施の形態の電動補助ユニット2、即ち車輪付きクローラを備えた電動補助ユニット2を接合して平坦地を走行する場合の状態を示す模式図である。この例では、車椅子1の前部に電動補助ユニット2が接合されており、しかも車輪2Wが接地し、クローラ2Cが接地しない状態になっている。従って、車椅子1は主輪11と車輪2Wとで支持され、電動補助ユニット2の車輪2Wが駆動されることにより、走行することが可能になる。
【0101】
なお、このように平坦地を走行する場合にクローラ2Cを使用しない理由は、クローラ2Cの走行抵抗が車輪2Wのそれに比して大きいためであり、平坦地の走行に際してクローラ2Cを利用してもよいことはいうまでもない。
【0102】
図16(b) は、車椅子1の前部に電動補助ユニット2を接合して不整地、軟弱地、又はたとえば積雪等で滑り易い場所を走行する場合の状態を示す模式図である。この場合には、クローラ2Cをその長手方向を水平状態にしてクローラ2Cを駆動する。従って、車椅子1は主輪11とクローラ2Cとで支持され、電動補助ユニット2のクローラ2Cが駆動されることにより、不整地を走行することが可能になる。
【0103】
図16(c) は、車椅子1の前部に電動補助ユニット2を接合して段差走行する場合、具体的には段差上に乗り上げる場合の状態を示す模式図である。この場合には、クローラ2Cをその長手方向を斜め前方に傾斜させて駆動する。従って、車椅子1は主輪11と車輪2Wとで支持され、電動補助ユニット2のクローラ2Cが駆動されることにより、クローラ2Cが段差上に乗り上げることが可能になる。
【0104】
図16(d) は、車椅子1の後部に電動補助ユニット2を接合して階段を昇降するような場合の状態を示す模式図である。この例では、車椅子1の後部に、しかも左右の主輪11の間に電動補助ユニット2が接合されており、介助者が電動補助ユニット2のハンドル23を把持して傾斜させることにより車椅子1が電動補助ユニット2のクローラ2Cのみで接地するような状態になっている。しかも、電動補助ユニット2のクローラ2Cが斜め下方に向けて駆動されることにより、階段の各段を昇降することが可能になる。
【0105】
図17及び図18は第2の実施の形態の電動補助ユニット2を前部に接合した車椅子1が段差上に乗り上げる場合の状態をより詳細に示す模式図である。
【0106】
図17(a) に示すように、通常の平坦地走行時と同様にして車輪2Wを回転駆動させた状態で車椅子1が段差に接近するとクローラ2Cを回転駆動させる。但し、常時クローラ2Cを回転駆動させておいてもよい。この状態で、図17(b) に示すように、クローラ2Cが段差の縁辺に当接するとクローラ2Cがその回転駆動力によって段差を昇る。やがて、図17(c) に示すように、車輪2Wが段差の縁辺に接地するので、これ以降は、図17(d) に示すように、車輪2Wの回転駆動力によって車椅子1は前進する。この際、搭乗者が主輪11を自ら人力で駆動して補助してもよいことはいうまでもない。
【0107】
やがて、図18(e) に示すように、前従輪12が段差の縁辺に当接すると電動補助ユニット2の車輪2Wが浮き上がるので、ユニバーサルジョイント30のロックを解除して搭乗者が電動補助ユニット2のハンドル23を前方へ若干強く押すことにより電動補助ユニット2の車輪2Wを段差の上段面に接地させ、そのまま前進する。やがて、図18(f) に示すように、主輪11が段差の縁辺に当接するが、それまでの惰性で、または搭乗者が主輪11を手動で駆動することにより主輪11を段差の上段面へ昇らせる。以後は、ユニバーサルジョイント30を通常の位置に戻して図18(g) に示すように、通常の平坦地の走行状態になる。
【0108】
図19は第2の実施の形態の電動補助ユニット2を前部に接合した車椅子1が階段を昇る場合の状態を示す模式図である。
【0109】
図19(a) に示すように、電動補助ユニット2を後部に接合した車椅子1を、クローラ2Cを斜め下方へ向けて回転駆動させつつ介助者が電動補助ユニット2のハンドル23を把持して傾斜させることにより前従輪12を浮かせた状態で引き上げることにより、クローラ2Cが階段の段差を昇る。図19(b) に示すように、階段の各段の奥行きが長い場合にも、クローラ2Cの回転駆動によって、クローラ2Cが次の段の縁辺に当接するまで移動することができる。
【0110】
(第3の実施の形態)
図20は、電動補助ユニット2の下部に、駆動輪51と、この駆動輪51の回転中心の上方に回動中心を有するアーム52(右側を52R、左側を52Lとする)と、このアーム52R,52Lの先端部に固定して取り付けられた補助輪53(右側を53R、左側を53Lとする)とを有する動力ユニット5を、第1の実施の形態の十字車輪21または第2の実施の形態の車輪付きクローラに代えて備えた電動補助ユニット2の構成例を示す模式図である。
【0111】
図21(a) 及び(b) は動力ユニット5の具体的な構成例を示す縦断面図及び側面図であり、図21(a) の縦断面図は図21(b) の側面図を前方から見た場合の縦断面図である。動力ユニット5は、前方から見た場合に「コ」の字状のフレーム50の開口部を電動補助ユニット2の下方に向けており、この開口部の内部に駆動輪51(図示例では2個を並列配置してある)がフレーム50に回転自在に枢支されている駆動軸511に固定されている。この駆動輪51の支持軸511にはプーリ512が固定されており、フレーム50内に備えられているモータM1の出力軸に固定されたプーリ513との間でベルト又はチェーン514で伝動されている。
【0112】
一方、アーム52R,52Lは、フレーム50から左右の外方へ突出していてフレーム50に回動自在に支持された回転軸521R,521Lにそれぞれ固定されている。また、アーム52R,52Lとフレーム50との間にはそれぞれプーリ522R,522Lが回転軸521R,521Lにそれぞれ固定されている。
【0113】
更に、フレーム50の上部寄りの適宜の位置にはフレーム50の左右の外方へ突出していてフレーム50に回動自在に支持された回転軸525がフレーム50を左右に横断してフレーム50に回動自在に支持されている。この回転軸525のフレーム50の外方への突出部分にはそれぞれプーリ523R,523Lが固定されており、また回転軸525のフレーム50内の適宜の位置にはプーリ526が固定されている。このプーリ526は、フレーム50内の適宜の位置に備えられたモータM2の出力軸に固定されたプーリ527との間でベルト又はチェーン528で伝動されている。
【0114】
なお、プーリ523Rとプーリ522Rとの間はベルト又はチェーン524Rで、プーリ523Lとプーリ522Lとの間はベルト又はチェーン524Lでそれぞれ伝動されている。
【0115】
従って、この動力ユニット5は、モータM1の回転駆動により車輪51が回転駆動され、またモータM2の回転駆動により両アーム52R,52Lがそれぞれ回動するように構成されていることになる。
【0116】
図22は動力ユニット5の動作状態を示す模式図である。但し、この図22では右側面から見た状態を示している。図22(a) に示すように、通常は駆動輪51が接地し、アーム52Rは長手方向を水平にして補助輪53Rは接地していない状態となっている。
【0117】
ここで、たとえば動力ユニット5を使用して段差を昇る場合には、図22(b) に示すように、駆動輪51が段差の端面に当接した状態で停止させ、アーム52R(52L)を前方へ回転させて補助輪53R(53L)を段差の上段面に接地させる。更に、この状態からアーム52R(52L)を前方へ回転させることにより、図22(c) に示すように、駆動輪51がアーム52R(52L)により引き上げられるようにして、図22(d) に示すように、段差の上段面へ昇ることができる。
【0118】
但しこの場合、補助輪53R,53Lはアーム52R,52Lの先端部に固定して取り付けられているため、図22(c) 及び(d) に示すように、補助輪53R,53Lはアーム52R,52Lの回転に伴ってその回転角度分だけ段差の上段面上で回転移動する。
【0119】
ところで、図22(b) 乃至(d) に示すように、駆動輪51が段差の上段面を移動するためには、アーム52R, 52Lの回転角度を最大π(rad)とすると、段差の奥行きをDとすると、下記式を満足する必要がある。
D>2r1+r2(π+l)
【0120】
ここで、図22(a) に示されているように、r1は駆動輪52の半径、r2は補助輪53R,53Lの半径、l(エル)はアーム52R,52Lの回動半径(アーム長)である。上記の式が満足されない場合、図22(d) に示す状態が階段の場合には、駆動輪51は階段の次の段の縁辺に乗り上げることになり、円滑に階段を昇降することができない。これは、補助輪53R,53Lがアーム52R,52Lの先端に固定されて取り付けられているために、図22(b) の状態から図22(d) の状態の間に段差上でアーム52R,52Lの回転に伴ってその回転角度分だけ補助輪53R,53Lが回転して移動するためである。従って、この状態において補助輪53R,53Lがアーム52R,52Lの回転に伴って回転することがないようにすれば段差の奥行きDがより小さい場合にも階段を昇ることができる。そのような構成は、後述する第4の実施の形態において実現される。
【0121】
図23は車椅子1の前部に第3の実施の形態の電動補助ユニット2を接合した場合に動力ユニット5が段差上に乗り上げる場合の状態を示す模式図である。まず、図32(a) に示すように、動力ユニット5の駆動輪51が段差の端面に当接する位置で一旦停止し、アーム52を前方へ回転させることにより、図23(b) に示すように、補助輪53を段差の上段面に接地させ、更にアーム52を回転させて図23(c) に示すように、駆動輪51を段差の上段面よりも若干高い位置へ持ち上げる。更にこの状態からアーム52を回転させることにより、図23(d) に示すように、駆動輪51を段差の上段面へ接地させる。この後は、駆動輪51を駆動させることにより、図23(e) に示すように、車椅子1の前従輪12を段差の上段面へ昇らせ、更に図23(f) に示すように、車椅子1の主輪11も段差の上段面へ昇ることができる。
【0122】
図24は車椅子1の前部に第3の実施の形態の電動補助ユニット2を接合した場合に、段差を降りる場合の状態及び車椅子1全体の状態を示した模式図である。
【0123】
まず、図24(a) に示すように、段差の上段面を走行中に段差の縁辺に接近した場合にアーム52を後方向きでしかもやや下方へ向けた状態とする。この状態で駆動輪51を駆動させて前進すると、図24(b) に示すように、駆動輪51が弾さの縁辺を通過して落下する状態になるが、補助輪53が段差の上段面に接地して車椅子1を支持する状態になる。そして、図24(c) に示すように、補助輪53が段差の上段面に接地している状態でアーム52を前方へ回動させると、図24(d) に示すように、やがて駆動輪51が段差の下段面に接地する。この際、車椅子1は駆動輪51と前従輪12とで支持されて主輪11は浮いた状態になるが、そのまま駆動輪を駆動して前進すると、図24(e) に示すように、車椅子1の前従輪12が段差の縁辺を通過して浮いた状態になり、車椅子1は駆動輪51と主輪11とで支持される状態になる。更にこの状態から駆動輪51を駆動させて前進すると、車椅子1の主輪11が段差の上段面から下段面へ落下するようにして接地する。
【0124】
なお、前述した如く、連結装置3に組み込まれているユニバーサルジョイント30により車椅子1と電動補助ユニット2とは上下方向及び左右方向に変位可能であるので、ユニバーサルジョイント30の上下方向の変位を自由に許す状態にしておけば、図24(d) に示す状態において、主輪11が浮き上がることを防止することが可能になる。
【0125】
図25は第3の実施の形態の電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合して階段を昇る場合の状態を示す模式図である。
【0126】
図25(a) に示すように、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合した状態で、介助者が電動補助ユニット2のハンドル23を把持して車椅子1を後方へ傾斜させることにより車椅子1が駆動輪51のみで支持される状態として、駆動輪51が階段の段差の端面に当接する位置まで移動し、アーム52を後方へ回動させて補助輪53を階段の1段上の面に接地させる。この状態で、図25(b) に示すように、更にアーム52を回動させることにより、また介助者の協力により、駆動輪51を階段の1段上の面に接地させる。以下、同様の手順を反復することにより、図25(c) に示すように、車椅子1を階段の最上段まで昇らせることが可能である。
【0127】
図26は第3の実施の形態の電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合して階段を降りる場合の状態を示す模式図である。
【0128】
電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合した状態で、介助者が電動補助ユニット2のハンドル23を把持して傾斜させることにより車椅子1が駆動輪51のみで支持される状態で、図26(a) に示すように、駆動輪51が階段の縁辺を越える位置に移動させる。この状態では補助輪53が階段の上段面に接地して車椅子1を支持している。次に、アーム52を前方へ回動させることにより、図26(b) に示すように、駆動輪51を階段の1段下の面に降ろす。更にこの状態から、図26(c) に示すように、アーム52を回動させることにより、図26(d) に示すように、駆動輪51を持ち上げて階段の更に1段下の面に駆動輪51を接地させる。
【0129】
(第4の実施の形態)
図27は、第4の実施の形態の電動補助ユニットの動力ユニットの構成例を示す縦断面図であり、前方から見た状態を示している。この第4の実施の形態では、具体的には、上述の第3の実施の形態の補助輪53R,53Lをも回転駆動可能にした構成としている。この補助輪53R,53Lを回転駆動可能にすることにより、前述した図22において説明したように、駆動輪51が段差を昇降する際の段差の奥行きDを小さくすることが可能になる。
【0130】
本実施の形態の動力ユニット5は、図21に示した動力ユニット5の駆動輪51を駆動するためのモータM1を補助輪53R,53Lを駆動するためにも使用する。他の構成は図21に示した動力ユニット5と同様であるので説明を省略する。
【0131】
モータM1の出力軸にはプーリ513が固定されており、このプーリ513とプーリ518とがベルト又はチェーン59により伝動されている。プーリ518は、フレーム50にその左右方向を軸長として回転自在に支持された回転軸516に固定されている。この回転軸516には、その軸長方向の中央にプーリ515が、両端部にプーリ517R,517Lがそれぞれ固定されている。
【0132】
プーリ515は図21に示した構成と同様に、ベルト又はチェーン514により駆動輪51を駆動するためのプーリ512と伝動されており、両端部のプーリ517R,517Lはそれぞれベルト又はチェーン520R,520Lによりプーリ529R,529Lと伝動されている。これらのプーリ529R,529Lはアーム52R,52Lが固定されている回転軸521R,521Lを中空にした内部に挿通されている回転軸(図示せず)に固定されており、この回転軸のアーム52R,52Lの両外側に突出した部分にはプーリ530R,530Lが固定されている。更にこれらのプーリ530R,530Lは補助輪53R,53Lの回転軸に固定されたプーリ532R,532Lにベルト又はチェーン531R,531Lにより伝動されている。従って、プーリ529R,529Lはアーム52R,52Lを回動させるためのプーリ522R,522Lとは連動しておらず、補助輪53R,53Lを回転駆動する。
【0133】
このような構成により、モータM2は図21に示した動力ユニット5と同様にアーム52R,52Lを回動させ、モータM1は駆動輪51を回転駆動すると共に両補助輪53R,53Lをも回転駆動させることができる。
【0134】
図28はこのような図27に示した第4の実施の形態の動力ユニット5のアーム52R,52L及び回転駆動される補助輪53R,53Lの動作を示す模式図である。
【0135】
図28(a) に示すように、駆動輪51が回転駆動し、またアーム52R,52Rも回動し、更に補助輪53R,53Lもアーム52R,52Lの先端部において回転駆動する。従って、図28(b) に示すように、駆動輪51が段差の端面に当接従って状態でアーム52R,52Lを回動させて段差の上段面に接地させた状態で、図28(c) に示すように、アーム52R,52Lを回動させ、補助輪53R,53Lはアーム52R,52Lの回動角分だけ逆回転させると補助輪53R,53Lが接地面に対して相対移動することなしに、図28(d) に示すように、駆動輪51が段差の上段面に接地する。
【0136】
このように、補助輪53R,53Lを駆動可能な構成とすることにより、補助輪53R,53Lを支点としたアーム52R,52Lの回動の際の安定性を向上させることが可能になる。
【0137】
【発明の効果】
以上に詳述したように本発明に係る車椅子の電動補助ユニットによれば、1台の電動補助ユニットを車椅子の前後部のずれにも接合することが可能であるので、1台の電動補助ユニットで平坦地の走行、段差の昇降等に対処可能になるので、種々の利用方法が考えられる。
【0138】
また第2の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、電動補助ユニットを車椅子に接合する際に、補助接合手段を使用するので、主として車椅子の前部に本来備えられている従輪との干渉が回避される。
【0139】
また第3の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、電動補助ユニットを車椅子に接合するための補助接合手段が車椅子に対して上下左右への相対変位が許容されるので、安定した走行が可能になる。
【0140】
また第4の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、電動補助ユニットを主として車椅子の後部になる左右一対の主輪の間に接合した場合に、全体の長さが短くなるので、たとえばエレベータ等の狭隘な場所へも容易に進入することが可能になる。
【0141】
また第5の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、いわゆる十字車輪が駆動力として利用されるので、アームの回転と、各アームに取り付けられた車輪との双方を利用することが可能になる。
【0142】
また第6の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、十字車輪の一つのアームに取り付けられた車輪により車椅子が走行するので、通常の走行に際しては走行抵抗が減少すると共に、安定した走行が可能になる。
【0143】
また第7の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、少なくとも二つの車輪が接地するので、不整地、軟弱地等においても安定して走行することが可能になる。
【0144】
また第8の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、十字車輪全体を回動させることによる複数のアームの回動により車椅子が段差を昇降するので、確実に段差を昇降することが可能になる。
【0145】
また第9の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、クローラと車輪といずれかを状況に応じて利用することが可能になる。
【0146】
また第10の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、クローラ又は車輪のいずれかにより車椅子が走行するので、たとえば平坦地では車輪で、不整地ではクローラで走行することが可能になる。
【0147】
また第11の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、クローラにより車椅子が段差を昇降するので、確実に段差を昇降することが可能になる。
【0148】
また第12の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、駆動輪で通常は走行し、段差の昇降の際にはアームを利用することができる。
【0149】
また第13の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、駆動輪の駆動により車椅子が走行するので、走行抵抗が少なく、安定した走行が可能になる。
【0150】
また第14の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、アームを回転させることにより、車椅子が段差を昇降するので、確実に段差を昇降することが可能になる。
【0151】
また第15の発明の電動ユニットによれば、車椅子の前部及び後部の双方に接合可能であり、いわゆる十字車輪が駆動力として利用されるので、アームの回転と、各アームに取り付けられた車輪との双方を利用して走行し、また段差を昇降するすることにより、車椅子を走行させ、また段差を昇降させることが可能になる。
【0152】
また第16の発明の電動ユニットによれば、十字車輪の一つのアームに取り付けられた車輪により走行するので、通常の走行に際しては走行抵抗が減少すると共に、安定して走行するので、接合されている車椅子を安定して走行させることが可能になる。
【0153】
また第17の発明の電動ユニットによれば、少なくとも二つの車輪が接地するので、不整地、軟弱地等においても安定して走行するので、接合されている車椅子を安定して走行させることが可能になる。
【0154】
また第18の発明の電動ユニットによれば、十字車輪全体を回動させることによる複数のアームの回動により段差を昇降するので、接合されている車椅子に確実に段差を昇降させることが可能になる。
【0155】
また第19の発明の電動ユニットによれば、クローラと車輪といずれかを使用することができるので、接合されている車椅子を状況に応じていずれかを利用して走行させ、段差を昇降させることが可能になる。
【0156】
また第20の発明の電動ユニットによれば、クローラ又は車輪のいずれかにより走行するので、接合されている車椅子をたとえば平坦地では車輪で、不整地ではクローラで走行させることが可能になる。
【0157】
また第21の発明の電動ユニットによれば、クローラにより段差を昇降するので、接合されている車椅子に確実に段差を昇降させることが可能になる。
【0158】
また第22の発明の電動ユニットによれば、駆動輪で通常は走行し、段差の昇降の際にはアームを利用するので、接合されている車椅子を通常は駆動輪で奏項させ、段差の昇降に際してはアームにより昇降させることが可能になる。
【0159】
また第23の発明の電動ユニットによれば、駆動輪の駆動により走行するので、走行抵抗が少なく、接合されている車椅子を安定して走行させることが可能になる。
【0160】
また第24の発明の電動ユニットによれば、アームを回転させることにより段差を昇降するので、接合されている車椅子に確実に段差を昇降させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電動補助ユニット(電動ユニット)と、手動式車椅子と、電動補助ユニットを車椅子の前部に接合する際に使用される連結装置との構成例を示す模式的側面図である。
【図2】連結装置の平面図及び側面図である。
【図3】車椅子の前部に電動補助ユニットを接合した状態を示す模式図である。
【図4】車椅子の後部に電動補助ユニットを接合するための準備状態を示す模式図である。
【図5】車椅子の後部に電動補助ユニットを接合した状態を示す模式図である。
【図6】電動補助ユニットを車椅子に接合して利用する状態を例示する模式図である。
【図7】電動補助ユニットを車椅子に接合して利用する状態を例示する模式図である。
【図8】電動補助ユニットの車椅子との接合側に板状のクッションを備えた構成例を示す模式図である。
【図9】電動補助ユニットの第1の実施の形態の構成例を示す模式図である。
【図10】車椅子の前部に第1の実施の形態の電動補助ユニットを接合した場合に十字車輪が段差上に乗り上げる場合の状態を示す模式図である。
【図11】車椅子の前部に第1の実施の形態の電動補助ユニットを接合した場合に十字車輪が段差上に乗り上げる場合の車椅子全体の状態を示した模式図である。
【図12】車椅子の前部に第1の実施の形態の電動補助ユニットを接合した場合に十字車輪が段差を降りる場合の状態及び車椅子全体の状態を示した模式図である。
【図13】第1の実施の形態の電動補助ユニットを車椅子の後部に接合して階段を昇る場合の状態を示す模式図である。
【図14】第1の実施の形態の電動補助ユニットを車椅子の後部に接合して階段を降りる場合の状態を示す模式図である。
【図15】電動補助ユニットの第2の実施の形態の構成例を示す模式図である。
【図16】第2の実施の形態の電動補助ユニットを車椅子に接合して利用する状態を例示する模式図である。
【図17】第2の実施の形態の電動補助ユニットを前部に接合した車椅子が段差上に乗り上げる場合の状態をより詳細に示す模式図である。
【図18】第2の実施の形態の電動補助ユニットを前部に接合した車椅子が段差上に乗り上げる場合の状態をより詳細に示す模式図である。
【図19】第2の実施の形態の電動補助ユニットを前部に接合した車椅子が階段を昇る場合の状態を示す模式図である。
【図20】電動補助ユニットの第3の実施の形態の構成例を示す模式図である。
【図21】第3の実施の形態の動力ユニットの具体的な構成例を示す縦断面図及び側面図である。
【図22】第3の実施の形態の動力ユニットの動作状態を示す模式図である。
【図23】車椅子の前部に第3の実施の形態の電動補助ユニットを接合した場合に動力ユニットが段差上に乗り上げる場合の状態を示す模式図である。
【図24】車椅子の前部に第3の実施の形態の電動補助ユニットを接合した場合に段差を降りる場合の状態及び車椅子全体の状態を示した模式図である。
【図25】第3の実施の形態の電動補助ユニットを車椅子の後部に接合して階段を昇る場合の状態を示す模式図である。
【図26】第3の実施の形態の電動補助ユニットを車椅子の後部に接合して階段を降りる場合の状態を示す模式図である。
【図27】第4の実施の形態の電動補助ユニットの動力ユニットの構成例を示す縦断面図である。
【図28】第4の実施の形態の動力ユニットのアーム及び回転駆動される補助輪の動作を示す模式図である。
【符号の説明】
1 車椅子
2 電動補助ユニット
2C クローラ
2W 車輪
3 連結装置
5 動力ユニット
11 主輪
12 前従輪
16U 上部接合部材
16L 下部接合部材
21 十字車輪
24 上部接合部材
25 下部接合部材
30 ユニバーサルジョイント
51 駆動輪
52R, 52L アーム
53R, 53L 補助輪
314R、314L 接合部材
【発明の属する技術分野】
本発明は車椅子の補助ユニットに関し、より詳細には、車椅子に着脱自在であり、しかも主として手動式の車椅子を電動化することが可能な車椅子の電動補助ユニットに関し、更にそのような目的に使用される電動ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
電動式の車椅子は電動式でない車椅子(手動式車椅子)に比して比較的大型でしかもバッテリ及びモータを装備する必要から重量も非常に大きくなる。従って、電動式の車椅子は自力で車椅子を走行させることができない障害者が主として利用しているのが実情である。しかし、自力で手動式車椅子を走行させることが可能な障害者であっても、長距離の移動は疲労を伴うため、手動式車椅子に着脱自在な電動式の補助ユニットが開発されている(たとえば、特許文献1等)。
【0003】
また、手動式車椅子が段差,階段等を昇降するための着脱自在な装置(補助ユニット)も開発されている(たとえば、特許文献2等)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−165843号公報
【特許文献2】
特公平6−51473号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のいずれの特許文献に記載されている技術においても、補助ユニットは手動式車椅子の前部または後部のいずれか一方のみにしか装着することができず、しかも、前者は平坦地の補助動力としてのみ利用可能であり、一方後者は階段,段差の昇降のみに利用可能な構成である。また、従来のこの種の補助ユニットは比較的大型であり、このために車椅子に装着した場合に旋回半径が大きくなり、またエレベータ等の狭隘な場所での取り回しにも問題があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、手動式車椅子の前部及び後部の双方に着脱自在に接合することが可能であり、適宜に手動式車椅子の前部又は後部のいずれかに接合することにより、平坦地走行の際の補助動力としても利用可能であり、段差走行も可能であり、狭隘な場所での取り回しも容易であり、階段の昇降も可能な手動式の車椅子の電動補助ユニット及びそのような電動ユニットの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、主輪と、該主輪の前方又は後方に配置された従輪とを有する車椅子の前部及び後部の双方に接合可能にするための接合手段と、前記車椅子に接合された場合に、前記車椅子を牽引及び推進するための電動駆動手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
このような第1の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、1台の電動補助ユニットを車椅子を車椅子の前後の双方に接合して利用することが可能である。
【0009】
また第2の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第1の発明において、前記従輪との干渉を避けるために前記車椅子に一端部が接合可能な補助接合手段を更に備え、前記接合手段は、前記補助接合手段の他端部に備えられた接合部と接合可能であることを特徴とする。
【0010】
このような第2の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、電動補助ユニットを車椅子に接合する際に、従輪との干渉を避けるために補助接合手段が使用される。
【0011】
また第3の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第2の発明において、前記補助接合手段は、前記一端部と前記他端部とに分割されており、両者の上下左右への相対変位を許容する連結手段を更に備えていることを特徴とする。
【0012】
このような第3の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、電動補助ユニットを車椅子に接合するための補助接合手段が車椅子に対して上下左右への相対変位を許容する。
【0013】
また第4の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第1の発明において、前記主輪は前記車椅子の左右に一対が備えられており、前記一対の主輪の間隔よりも小なる幅に構成されており、前記車椅子の前記左右の主輪の間に位置した状態で前記接合手段により直接接合されることを特徴とする。
【0014】
このような第4の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、電動補助ユニットが車椅子の前記左右の主輪の間に位置した状態で、接合手段により直接接合される。
【0015】
また第5の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記駆動手段は、電動モータにより回動される複数の回動可能なアームと、各アームの先端部に取り付けられており、電動モータにより駆動可能な車輪とを備えたことを特徴とする。
【0016】
このような第5の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、いわゆる十字車輪が駆動力として利用される。
【0017】
更に第6の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第5の発明において、前記複数のアームの内の一つの先端部に取り付けられた車輪が接地するように前記複数のアームを固定し、前記接地している車輪の駆動により前記車椅子を走行させるようにしてあることを特徴とする。
【0018】
このような第6の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、十字車輪の一つのアームに取り付けられた車輪により車椅子が走行する。
【0019】
また第7の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第6の発明において、前記複数のアームの内の少なくとも二つの先端部に取り付けられた車輪が接地するように、前記複数のアームの固定を解除する手段を有することを特徴とする。
【0020】
このような第7の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、複数のアームの固定を解除することにより、複数のアームの内の少なくとも二つの先端部に取り付けられた車輪が接地する。
【0021】
また第8の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第5の発明において、前記複数のアームを回動させることにより、前記車椅子に段差を昇降させるようにしてあることを特徴とする。
【0022】
このような第8の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、十字車輪全体を回動させることによる複数のアームの回動により車椅子が段差を昇降する。
【0023】
また第9の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記駆動手段は、一端部を回動中心として回動可能であり、電動モータにより駆動されるクローラと、該クローラの前記一端部近傍に回転中心を有し、前記クローラが傾斜状態である場合に接地し、電動モータにより駆動可能な車輪とを備えたことを特徴とする。
【0024】
このような第9の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、クローラと車輪とのいずれかを使用することができる。
【0025】
また第10の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第9の発明において、前記クローラを水平状態にして接地させ、又は前記クローラを傾斜状態にして前記車輪を接地させた状態で、前記車椅子を走行させるようにしてあることを特徴とする。
【0026】
このような第10の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、クローラ又は車輪のいずれかにより車椅子が走行する。
【0027】
また第11の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第9の発明において、前記クローラを傾斜状態にして該クローラの駆動力により前記車椅子に段差を昇降させるようにしてあることを特徴とする。
【0028】
このような第11の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、クローラにより車椅子が段差を昇降する。
【0029】
更に第12の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記駆動手段は、電動モータにより駆動される駆動輪と、該駆動輪の回転中心よりも上側に回動中心を有し、電動モータにより回動されるアームとを備えたことを特徴とする。
【0030】
このような第12の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、必要に応じて駆動輪又はアームを利用することができる。
【0031】
また第13の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第12の発明において、前記アームが接地しない状態で、前記駆動輪の駆動力により前記車椅子を走行させるようにしてあることを特徴とする。
【0032】
このような第13の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、駆動輪の駆動により車椅子が走行する。
【0033】
また第14の発明に係る車椅子の電動補助ユニットは、第12の発明において、前記アームを回動させることにより、前記車椅子に段差を昇降させるようにしてあることを特徴とする。
【0034】
このような第14の発明の車椅子の電動補助ユニットでは、アームを回転させることにより、車椅子が段差を昇降する。
【0035】
また、第15の発明に係る電動ユニットは、電動モータにより回動される複数の回動可能なアームと、各アームの先端部に取り付けられており、電動モータにより駆動可能な車輪と、主輪と、該主輪の前方又は後方に配置された従輪とを有する車椅子の前部及び後部の双方に接合可能にするための接合手段とを備えたことを特徴とする。
【0036】
このような第15の発明の電動ユニットでは、いわゆる十字車輪が駆動力として使用され、車椅子の前部及び後部の双方に接合して利用することが可能になる。
【0037】
更に第16の発明に係る電動ユニットは、第15の発明において、前記複数のアームの内の一つの先端部に取り付けられた車輪が接地するように前記複数のアームを固定し、前記接地している車輪の駆動により走行するようにしてあることを特徴とする。
【0038】
このような第16の発明の電動ユニットでは、十字車輪の一つのアームに取り付けられた車輪により走行し、接合されている車椅子を走行させる。
【0039】
また第17の発明に係る電動ユニットは、第16の発明において、前記複数のアームの内の少なくとも二つの先端部に取り付けられた車輪が接地するように、前記複数のアームの固定を解除する手段を有することを特徴とする。
【0040】
このような第17の発明の電動ユニットでは、複数のアームの固定を解除することにより、複数のアームの内の少なくとも二つの先端部に取り付けられた車輪が接地してこれらの車輪により走行し、接合されている車椅子を走行させる。
【0041】
また第18の発明に係る電動ユニットは、第15の発明において、前記複数のアームを回動させることにより、段差を昇降するようにしてあることを特徴とする。
【0042】
このような第18の発明の電動ユニットでは、十字車輪全体を回動させることによる複数のアームの回動により昇降し、接合されている車椅子に段差を昇降させる。
【0043】
また第19の発明に係る電動ユニットは、一端部を回動中心として回動可能であり、電動モータにより駆動されるクローラと、該クローラの前記一端部近傍に回転中心を有し、前記クローラが傾斜状態である場合に接地し、電動モータにより駆動可能な車輪と、主輪と、該主輪の前方又は後方に配置された従輪とを有する車椅子の前部及び後部の双方に接合可能にするための接合手段とを備えたことを特徴とする。
【0044】
このような第19の発明の電動ユニットでは、クローラと車輪といずれかを使用することができ、車椅子の前部及び後部の双方に接合して利用することが可能になる。
【0045】
また第20の発明に係る電動ユニットは、第19の発明において、前記クローラを水平状態にして接地させ、又は前記クローラを傾斜状態にして前記車輪を接地させた状態で、走行するようにしてあることを特徴とする。
【0046】
このような第20の発明の電動ユニットでは、クローラ又は車輪のいずれかにより走行し、接合されている車椅子を走行させる。
【0047】
また第21の発明に係る電動ユニットは、第19の発明において、前記クローラを傾斜状態にして該クローラの駆動力により段差を昇降するようにしてあることを特徴とする。
【0048】
このような第21の発明の電動ユニットでは、クローラにより段差を昇降し、接合されている車椅子に段差を昇降させる。
【0049】
また第22の発明に係る電動ユニットは、電動モータにより駆動される駆動輪と、該駆動輪の回転中心よりも上側に回動中心を有し、電動モータにより回動されるアームと、主輪と、該主輪の前方又は後方に配置された従輪とを有する車椅子の前部及び後部の双方に接合可能にするための接合手段とを備えたことを特徴とする。
【0050】
このような第22の発明の電動ユニットでは、必要に応じて駆動輪又はアームを利用することができ、車椅子の前部及び後部の双方に接合して使用することが可能になる。
【0051】
また第23の発明に係る電動ユニットは、第22の発明において、前記アームが接地しない状態で、前記駆動輪の駆動力により走行するようにしてあることを特徴とする。
【0052】
このような第23の発明の電動ユニットでは、駆動輪の駆動により走行し、接合されている車椅子を走行させる。
【0053】
また第24の発明に係る電動ユニットは、第22の発明において、前記アームを回動させることにより、段差を昇降するようにしてあることを特徴とする。
【0054】
このような第24の発明の電動ユニットでは、アームを回転させることにより段差を昇降し、接合されている車椅子に段差を昇降させる。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0056】
(第1の実施の形態)
図1は本発明に係る電動補助ユニット(電動ユニット)2と、手動式車椅子(以下、単に車椅子という)1と、電動補助ユニット2を車椅子1の前部に接合する際に使用される補助接合手段としての連結装置3との構成例を示す模式的側面図である。なお、図1では、連結装置3を車椅子1の前部に取り付けた状態を示す。また、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合する場合には、連結装置3は使用する必要はなく、詳細は後述するが、電動補助ユニット2が車椅子1の後部に直接接合される。
【0057】
車椅子1は、メインフレーム10の後部寄りの部分に、搭乗者自身が手動で回転駆動させることが可能な主輪11を左右両側に備えており、またメインフレーム10の前部寄りの部分に、キャスタ式の前従輪12を左右両側に備えている。
【0058】
メインフレーム10からは、前従輪12を越えて前下方へフロントフレーム13が延設されており、このフロントフレーム13の前下方に延出された先端部(下端部)には搭乗者が足を置くための板状のフットレスト14が取り付けられている。このフロントフレーム13のフットレスト14までの間の部分に連結装置3が取り付けられるようになっている。
【0059】
図2(a), (b)はそれぞれ連結装置3の平面図及び側面図である。連結装置3は主要には、車椅子1側に固定される後部ユニット31と、電動補助ユニット2側に固定される前部ユニット32とで構成されており、両者は上下方向及び左右方向に変位可能なユニバーサルジョイント30で連結されている。
【0060】
なお、ユニバーサルジョイント30は、図2(a) に示す上下方向を軸長方向とした支軸32Cを中心として前部ユニット32を後部ユニット31に対して左右方向に回動可能に、また図2(b) に示す左右方向を軸長方向とした支軸31Cを中心として前部ユニット32を後部ユニット31に対して上下方向に回動可能に支持している。
【0061】
また、ユニバーサルジョイント30は、通常の状態においては、図2(b) に示す側面図のように、支軸32を鉛直方向に向けた場合に、後部ユニット31が車椅子1のフロントフレーム13の傾斜角度と同一角度に斜め下方を向くようになっている。
【0062】
後部ユニット31は、支軸31Cに枢支された基板311と、この基板311に固定されて後方(車椅子1側)で開口している上下2段のU字状のフレーム312(上段を312U、下段を312Lとする)と、これらの上下2段のフレーム312U, 312LのU字状の開口部の左右のアーム状の部分の先端を接続して取り付けられた縦フレーム313(右側を313R、左側を313Lとする)と、これらの左右の縦フレーム313R, 313Lそれぞれの上下端に固定された接合部材314(右側の上下を314R、左側の上下を314Lという)とで構成されている。なお、左右の縦フレーム313R, 313Lは、通常の状態においては、車椅子1のフロントフレーム13の傾斜角度と同一の角度になるように取り付けられている。
【0063】
接合部材314R,314Lは、図2(a) に示すように、左右方向の中心線で左右に分割可能に構成されており、車椅子1のフロントフレーム13を挟んで固定するための穴315R,315Lがそれぞれ設けられている。従って、これらの穴315R,315Lに車椅子1のフロントフレーム13を通して接合部材314R,314Lをたとえばボルト・ナットで固定すると、図2(b) に一点鎖線にて示すように、車椅子1のフロントフレーム13が後部ユニット31に固定される。この結果、図1に示すように、後部ユニット31が車椅子1に固定されることになる。
【0064】一方、前部ユニット32は、支軸32Cに枢支された基板320と、この基板320の前部に取り付けられていて前部が左右方向に開口した上下二段のU字状のフレーム321(上段を321U、下段を321Lとする)と、これらのU字状のフレーム321U、321LのU字状の開口部の左右のアーム状の部分の先端を接続して取り付けられた接合部材322(右側を322R、左側を322Lとする)とで構成されている。
【0065】
なお、接合部材322R、322Lの上下のフレーム321U,321Lの間には、後述する電動補助ユニット2の下部接合部材25を挿通して固定するための前後方向の開口323(右側を323R、左側を323Lとする)が設けられている。また、この開口323R, 323Lに電動補助ユニット2の接合部材25が挿通された状態で固定するための上下方向の穴324(右側を324R、左側を324Lとする)が設けられている。
【0066】
図3は連結装置3の後部ユニット31に車椅子1を、前部ユニット32に電動補助ユニット2をそれぞれ固定して車椅子1の前部に電動補助ユニット2を接合した状態を示す模式図である。具体的には、連結装置3の後部ユニット31に車椅子1を、前部ユニット32に電動補助ユニット2をそれぞれ固定すると、図3に示すように、車椅子1の前部に電動補助ユニット2が接合されることになる。なおこの場合、連結装置3の後部ユニット31と前部ユニット32とがユニバーサルジョイント30で連結されているので、電動補助ユニット2は車椅子1に対して左右及び上下方向に回動可能になる。
【0067】
次に、図1を参照して電動補助ユニット2について説明する。電動補助ユニット2は主要には、上下方向に延設された左右のフレーム20(右側を20R、左側を20Lとする)と、このフレーム20R, 20Lの下部に備えられた十字車輪21と、フレーム20R, 20Lの前部(この場合の前部とは、電動補助ユニット2が車椅子1の前部に接合された状態における前部)に取り付けられたバッテリボックス22と、フレーム20R, 20Lの上端部から更に上方に向けて取り付けられたハンドル23と、フレーム20R, 20Lの後部に取り付けられた制御ボックス26等で構成されている。
【0068】
なお、電動補助ユニット2の幅は、車椅子1の両主輪11の内幅よりも小さく構成されている。従って、後述するように、連結装置3が車椅子1の後部に接合された場合には、電動補助ユニット2は車椅子1の両主輪11間に位置することになる。
【0069】
フレーム20R, 20Lの上部寄りの位置には上部接合部材24(右側を24R、左側を24Lとする)が、同下部寄りの位置には下部接合部材25(右側を25R、左側を25Lとする)が後方へ突出して備えられている。下部接合部材25R, 25Lは前述したように、電動補助ユニット2を連結装置3を介して車椅子1の前部に接合する場合に、連結装置3の左右の接合部材322R, 322Lの開口323R, 323Lに挿通して固定するために使用される他、後述するように、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合する場合にも、上部接合部材24R, 24Lと共に使用される。
【0070】
次に、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合するための構成について説明する。図1に示すように、車椅子1の後部には電動補助ユニット2を接合するための上下方向に延設された左右の接合フレーム15(右側を15R、左側を15Lとする)がメインフレーム10に固定されている。この接合フレーム15R,15Lには、上部寄りの部分に、連結装置3の上部接合部材24R, 24Lと接合するための上部接合部材16U(右側を16UR、左側を16ULとする)が、また下部寄りの部分に、連結装置3の下部接合部材25と接合するための下部接合部材16L(右側を16LR、左側を16LLとする)がそれぞれ備えられている。
【0071】
図4は車椅子1の後部に電動補助ユニット2を接合するための準備状態を、図5は車椅子1の後部に電動補助ユニット2を接合した状態をそれぞれ示す模式図である。即ち、図4に示すように、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に、上部接合部材24R, 24Lが車椅子1の上部接合部材16UR,14Lそれぞれと、下部接合部材25R,25Lが車椅子1の下部接合部材16LR,16LLとそれぞれ対向するように、換言すれば電動補助ユニット2を車椅子1の前部に接合する場合とは逆向きにして位置させる。
【0072】
そして、電動補助ユニット2及び車椅子1の上部接合部材24R, 24Lと16UR,14L同士、下部接合部材25R,25Lと16LR,16LL同士をそれぞれ接合することにより、図5に示すように、電動補助ユニット2が車椅子1の後部に接合されることになる。但し、このようにして電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合する場合は、電動補助ユニット2を連結装置3を介して車椅子1の前部に接合する場合とは、電動補助ユニット2の向きが前後逆になる。また、電動補助ユニット2は車椅子1の左右の主輪11の間に接合されるので、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合した場合の全体の長さがそれほどには長くはならない。
【0073】
なお、電動補助ユニット2のハンドル23自体は電動補助ユニット2のフレーム20R,20Lに固定されているので、電動補助ユニット2を連結装置3を介して車椅子1の前部に接合した場合に、搭乗者がハンドル23を左右に操向操作すると電動補助ユニット2に固定された連結装置3の前部ユニット32が後部ユニット31に対して左右に回動して操向が可能になる。
【0074】
また、電動補助ユニット2は通常は図3に示すような状態で連結装置3を介して車椅子1の前部に接合されているが、ユニバーサルジョイント30の上下方向への変位は通常はロック可能である。このため、たとえば搭乗者がハンドル23を前後に若干強い力で押すか、引くことにより、ユニバーサルジョイント30の上下方向のロックが解除され、電動補助ユニット2に固定された連結装置3の前部ユニット32が後部ユニット31に対して上下に回動して、電動補助ユニット2が車椅子1に対して相対的に傾斜した状態になる。
【0075】
以上のように、本発明の電動補助ユニット2は連結装置3を介して車椅子1の前部に接合することが可能であるのみならず、車椅子1の後部に直接接合することも可能である。
【0076】
次に、上述のような本発明の電動補助ユニット2を車椅子1に接合した場合の種々の利用方法について説明する。
【0077】
なお、詳細は後述するが、電動補助ユニット2を車椅子1に接合して利用する状態を例示する図6,図7の模式図では、電動補助ユニット2には前述した如く3輪式の十字車輪21が装備されており、3輪の内の1輪のみを電動モータで駆動すること、及び十字車輪全体を電動モータで回転駆動すること、の双方が可能である。但し、このような十字車輪21の構成そのものは公知であるので、その説明は省略する。
【0078】
また、以下の第1の実施の形態の説明においては、車椅子1の前部に電動補助ユニット2を接合した場合には車椅子1の前従輪12が浮き上がる状態でユニバーサルジョイント30の上下方向への変位がロックされているものとしているが、必ずしもその必要はなく、車椅子1の前従輪12が接地した状態であってもよい。但し、この場合には、ユニバーサルジョイント30の上下方向の変位はフリーでなければ、主輪11と前従輪12とで車椅子1が接地する状態になった場合に、電動補助ユニット2による駆動力が発揮されない。
【0079】
図6(a) は、車椅子1の前部に電動補助ユニット2を接合して平坦地を走行する場合の状態を示す模式図である。この例では、車椅子1の前部に電動補助ユニット2が接合されていることにより、車椅子1の前従輪12が浮いた状態になっている。しかも、電動補助ユニット2の十字車輪21全体は回転しない状態にされており、その内の1輪で支持されている。従って、車椅子1は主輪11と電動補助ユニット2の十字車輪21の内の1輪(それぞれ左右があるので、全体では4輪)で支持される状態となり、その十字車輪21の内の接地している1輪が電動モータで駆動されることにより、電動で走行することが可能になる。
【0080】
図6(b) は、車椅子1の前部に電動補助ユニット2を接合して段差走行する場合、具体的には段差上に乗り上げる場合の状態を示す模式図である。この例では、車椅子1の前部に電動補助ユニット2が接合されていることにより、車椅子1の前従輪12が浮いた状態になっている。しかも、電動補助ユニット2の十字車輪21全体が回転する状態にされており、この十字車輪21全体の回転によって十字車輪21が段差上に乗り上げることが可能になる。
【0081】
図6(c) は、車椅子1の後部に電動補助ユニット2を接合して狭隘地を走行する場合、たとえばエレベータ内に進入するような場合の状態を示す模式図である。この例では、車椅子1の後部に、しかも左右の主輪11の間に電動補助ユニット2が接合されていることにより、電動補助ユニット2を接合した状態での車椅子1の全長が短くなる。従って、この状態ではエレベータ内等のような狭隘な場所への進入も容易になる。
【0082】
図6(d) は、車椅子1の後部に電動補助ユニット2を接合して階段を昇降するような場合の状態を示す模式図である。この例では、車椅子1の後部に、しかも左右の主輪11の間に電動補助ユニット2が接合されており、介助者が電動補助ユニット2のハンドル23を把持して車椅子1を傾斜させることによって車椅子1が電動補助ユニット2の十字車輪21のみが接地するような状態になっている。しかも、電動補助ユニット2の十字車輪21全体が回転する状態にされており、この十字車輪21全体の回転によって十字車輪21が階段の各段を昇降することが可能になる。
【0083】
図7(a) は、車椅子1の後部に電動補助ユニット2を接合して平坦地を走行する場合の状態を示す模式図である。この例では、車椅子1の後部に電動補助ユニット2が接合されており、車椅子1は主輪11、前従輪12及び電動補助ユニット2の十字車輪21の内の1輪が接地した状態になっている。そして、電動補助ユニット2の十字車輪21全体は回転しない状態にされており、電動補助ユニット2の十字車輪21の内の1輪が電動モータで駆動されることにより、電動で走行することが可能になる。
【0084】
図7(b) は、車椅子1の後部に電動補助ユニット2を接合して段差走行する場合、具体的には段差上へ乗り上げる場合の状態を示す模式図である。この例では、車椅子1の後部に電動補助ユニット2が接合されており、電動補助ユニット2の十字車輪21の内の1輪又は2輪を接地させてが電動モータで駆動されることにより、車椅子1が後方から押される状態で前従輪12が段差上へ乗り上げることが容易に可能になる。
【0085】
図8(a) は電動補助ユニット2の車椅子1との接合側に板状のクッション22を備えた構成例を示す模式図である。
【0086】
クッション22は、図8(a) に示すような、電動補助ユニット2を車椅子1の前部に接合して平坦地を走行する場合にはニーパッドとして機能し、たとえば衝突時等の傷害防止に有益である。また図8(b) に示すように、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合して階段を昇降する場合には上側へ移動させることによりヘッドレスト(バックレスト)として機能させることができるので、搭乗者は背部及び頭部を支持されて安心感をもつことができる。
【0087】
図9は、電動補助ユニットの第1の実施の形態の構成例を示す模式図である。具体的には、この第1の実施の形態の電動補助ユニット2に備えられている十字車輪21の概略の構成を示す模式図である。十字車輪21は本実施の形態では、中心軸21Cに120度間隔で3本のアーム211A,212A,213Aが放射状に固定されており、それぞれのアームの先端部に車輪211, 212, 213が回動駆動可能に取り付けられている。
【0088】
このような十字車輪21は、中心軸21Cを回転中心として全体を回転させることが可能である他、全体を回転させない状態で3個の車輪211, 212, 213を回転駆動させることも可能である。なお、十字車輪21全体を回転させるために1個のモータが、3個の車輪211, 212, 213を回転駆動させるためにも1個のモータがそれぞれ備えられている。
【0089】
図10は車椅子1の前部に第1の実施の形態の電動補助ユニット2を接合した場合に十字車輪21が段差上へ乗り上げる場合の状態を示す模式図である。まず、図10(a) に示すように、十字車輪21の1輪が回転駆動している状態でその1輪が段差の端面に当接する位置で一旦停止する。次に、十字車輪21全体をを120度回転させることにより、図10(b) に示すように、十字車輪21全体を回転させて段差の端面に当接している1輪の次の1輪を段差の上段面に接地させる。この状態になると、図10(c) に示すように、十字車輪21全体の回転を停止させて3個の車輪211, 212, 213を回転駆動させる。これにより、図10(d) に示すように、十字車輪21全体が段差の上段面へ乗り上げ、その後は図10(e) に示すように、一つの車輪のみが接地するように十字車輪21全体を若干回転させる。この後は接地している一つの車輪の駆動力で車椅子1の主輪11を段差の上段面へ引き上げるようにして前進する。
【0090】
図11(a) 乃至(d) は、上述した図10(b) 乃至(d) に対応して車椅子1全体の状態を示した模式図である。
【0091】
図12は車椅子1の前部に第1の実施の形態の電動補助ユニット2を接合した場合に十字車輪21が段差を降りる場合の状態及び車椅子1全体の状態を示した模式図である。
【0092】
まず、図12(a) に示すように、十字車輪21の1輪が回転駆動している状態でその1輪が段差の縁辺を越えると車椅子1の前部が段差の下段面へ降りようとするので前従輪12が段差の上段面に接地する。この状態で、図12(b) に示すように、十字車輪21全体を駆動していずれかの車輪が段差の下段面に接地するまで降ろす。この際、主輪11が浮き上がる状態になるが、十字車輪21と前従輪12とで車椅子1は支持されるので、不安定にはならない。次に、図12(c) に示すように、十字車輪21全体の回転を停止させて各車輪を回転駆動させることにより、図12(c) に示すように、前従輪12が段差の縁辺を通過して車椅子1は十字車輪21と主輪11とで支持される状態になる。更に車椅子1が進行すると、図12(d) に示すように、主輪11が段差の下段面へ降りて接地し、以後は通常の平坦地走行の状態になる。
【0093】
なお、前述した如く、連結装置3に組み込まれているユニバーサルジョイント30により車椅子1と電動補助ユニット2とは上下方向及び左右方向に変位可能であるので、ユニバーサルジョイント30の上下方向の変位を自由に許す状態にしておけば、図12(b) に示す状態において、主輪11が浮き上がることを防止することが可能になる。
【0094】
図13は第1の実施の形態の電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合して階段を昇る場合の状態を示す模式図である。
【0095】
図13(a) に示すように、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合した状態で、介助者が電動補助ユニット2のハンドル23を把持して車椅子1を傾斜させることにより十字車輪21のみで支持され、しかもその1輪が階段の段差面に当接する位置に移動させる。この状態において、十字車輪21全体を回転させることにより、図13(b) に示すように、十字車輪21の1輪が階段の1段上の面に乗り上げるので、この状態を反復することにより、階段の最上段まで上ることができる。そして、階段の最上段まで上ると、図13(c) に示すように、十字車輪21の各車輪を回転駆動させて、または介助者の操作により安全な位置まで車椅子1を移動させる。この後は電動補助ユニット2を車椅子1の前部に接合すれば、通常の平坦地走行が可能になる。
【0096】
図14は第1の実施の形態の電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合して階段を降りる場合の状態を示す模式図である。
【0097】
図14(a) に示すように、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合した状態で、介助者が電動補助ユニット2のハンドル23を把持して傾斜させることにより車椅子1が十字車輪21のみで支持され、しかもその1輪が階段の最初の段差の縁辺を越える位置に移動させる。この状態において、十字車輪21全体を回転させることにより、図14(b) に示すように、十字車輪21の1輪が階段の1段下の面に降りるので、この状態を反復することにより、階段の最下段まで降りることができる。そして、階段の最下段まで降りると、図14(c) に示すように、十字車輪21の各車輪を回転駆動させて、または介助者の操作により安全な位置まで車椅子1を移動させる。この後は電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合したままの状態で、または車椅子1の前部に接合して、通常の平坦地走行が可能になる。
【0098】
(第2の実施の形態)
次に、上述の第1の実施の形態の電動補助ユニット2の十字車輪21に代えて、クローラと車輪とが一体化された車輪付きクローラを備える実施の形態2の構成について説明する。図15は電動補助ユニット2の第2の実施の形態の構成例を示す模式図である。
【0099】
第2の実施の形態では、電動補助ユニット2の下部に十字車輪21に代えて備えられた車輪付きクローラが備えられている。図15(a) の側面図及び図15(b) の正面図に示すように、クローラ2Cの駆動輪の中心軸2CCと車輪2Wの中心軸2WCとがずらされており、しかもクローラ2Cは中心軸2WCを回動中心として図15(a) に矢符にて示すように回動するように構成されている。従って、図15(a) に示すように、クローラ2Cの長さ方向が垂直又はそれに近い状態にされた場合には、車輪2Wが接地してクローラ2Cが浮く状態になり、また一点鎖線にて示すように、クローラ2Cの長さ方向が水平な状態にされた場合には、クローラ2Cが接地して車輪2Wが浮く状態になる。
【0100】
図16(a) は、車椅子1の前部に第2の実施の形態の電動補助ユニット2、即ち車輪付きクローラを備えた電動補助ユニット2を接合して平坦地を走行する場合の状態を示す模式図である。この例では、車椅子1の前部に電動補助ユニット2が接合されており、しかも車輪2Wが接地し、クローラ2Cが接地しない状態になっている。従って、車椅子1は主輪11と車輪2Wとで支持され、電動補助ユニット2の車輪2Wが駆動されることにより、走行することが可能になる。
【0101】
なお、このように平坦地を走行する場合にクローラ2Cを使用しない理由は、クローラ2Cの走行抵抗が車輪2Wのそれに比して大きいためであり、平坦地の走行に際してクローラ2Cを利用してもよいことはいうまでもない。
【0102】
図16(b) は、車椅子1の前部に電動補助ユニット2を接合して不整地、軟弱地、又はたとえば積雪等で滑り易い場所を走行する場合の状態を示す模式図である。この場合には、クローラ2Cをその長手方向を水平状態にしてクローラ2Cを駆動する。従って、車椅子1は主輪11とクローラ2Cとで支持され、電動補助ユニット2のクローラ2Cが駆動されることにより、不整地を走行することが可能になる。
【0103】
図16(c) は、車椅子1の前部に電動補助ユニット2を接合して段差走行する場合、具体的には段差上に乗り上げる場合の状態を示す模式図である。この場合には、クローラ2Cをその長手方向を斜め前方に傾斜させて駆動する。従って、車椅子1は主輪11と車輪2Wとで支持され、電動補助ユニット2のクローラ2Cが駆動されることにより、クローラ2Cが段差上に乗り上げることが可能になる。
【0104】
図16(d) は、車椅子1の後部に電動補助ユニット2を接合して階段を昇降するような場合の状態を示す模式図である。この例では、車椅子1の後部に、しかも左右の主輪11の間に電動補助ユニット2が接合されており、介助者が電動補助ユニット2のハンドル23を把持して傾斜させることにより車椅子1が電動補助ユニット2のクローラ2Cのみで接地するような状態になっている。しかも、電動補助ユニット2のクローラ2Cが斜め下方に向けて駆動されることにより、階段の各段を昇降することが可能になる。
【0105】
図17及び図18は第2の実施の形態の電動補助ユニット2を前部に接合した車椅子1が段差上に乗り上げる場合の状態をより詳細に示す模式図である。
【0106】
図17(a) に示すように、通常の平坦地走行時と同様にして車輪2Wを回転駆動させた状態で車椅子1が段差に接近するとクローラ2Cを回転駆動させる。但し、常時クローラ2Cを回転駆動させておいてもよい。この状態で、図17(b) に示すように、クローラ2Cが段差の縁辺に当接するとクローラ2Cがその回転駆動力によって段差を昇る。やがて、図17(c) に示すように、車輪2Wが段差の縁辺に接地するので、これ以降は、図17(d) に示すように、車輪2Wの回転駆動力によって車椅子1は前進する。この際、搭乗者が主輪11を自ら人力で駆動して補助してもよいことはいうまでもない。
【0107】
やがて、図18(e) に示すように、前従輪12が段差の縁辺に当接すると電動補助ユニット2の車輪2Wが浮き上がるので、ユニバーサルジョイント30のロックを解除して搭乗者が電動補助ユニット2のハンドル23を前方へ若干強く押すことにより電動補助ユニット2の車輪2Wを段差の上段面に接地させ、そのまま前進する。やがて、図18(f) に示すように、主輪11が段差の縁辺に当接するが、それまでの惰性で、または搭乗者が主輪11を手動で駆動することにより主輪11を段差の上段面へ昇らせる。以後は、ユニバーサルジョイント30を通常の位置に戻して図18(g) に示すように、通常の平坦地の走行状態になる。
【0108】
図19は第2の実施の形態の電動補助ユニット2を前部に接合した車椅子1が階段を昇る場合の状態を示す模式図である。
【0109】
図19(a) に示すように、電動補助ユニット2を後部に接合した車椅子1を、クローラ2Cを斜め下方へ向けて回転駆動させつつ介助者が電動補助ユニット2のハンドル23を把持して傾斜させることにより前従輪12を浮かせた状態で引き上げることにより、クローラ2Cが階段の段差を昇る。図19(b) に示すように、階段の各段の奥行きが長い場合にも、クローラ2Cの回転駆動によって、クローラ2Cが次の段の縁辺に当接するまで移動することができる。
【0110】
(第3の実施の形態)
図20は、電動補助ユニット2の下部に、駆動輪51と、この駆動輪51の回転中心の上方に回動中心を有するアーム52(右側を52R、左側を52Lとする)と、このアーム52R,52Lの先端部に固定して取り付けられた補助輪53(右側を53R、左側を53Lとする)とを有する動力ユニット5を、第1の実施の形態の十字車輪21または第2の実施の形態の車輪付きクローラに代えて備えた電動補助ユニット2の構成例を示す模式図である。
【0111】
図21(a) 及び(b) は動力ユニット5の具体的な構成例を示す縦断面図及び側面図であり、図21(a) の縦断面図は図21(b) の側面図を前方から見た場合の縦断面図である。動力ユニット5は、前方から見た場合に「コ」の字状のフレーム50の開口部を電動補助ユニット2の下方に向けており、この開口部の内部に駆動輪51(図示例では2個を並列配置してある)がフレーム50に回転自在に枢支されている駆動軸511に固定されている。この駆動輪51の支持軸511にはプーリ512が固定されており、フレーム50内に備えられているモータM1の出力軸に固定されたプーリ513との間でベルト又はチェーン514で伝動されている。
【0112】
一方、アーム52R,52Lは、フレーム50から左右の外方へ突出していてフレーム50に回動自在に支持された回転軸521R,521Lにそれぞれ固定されている。また、アーム52R,52Lとフレーム50との間にはそれぞれプーリ522R,522Lが回転軸521R,521Lにそれぞれ固定されている。
【0113】
更に、フレーム50の上部寄りの適宜の位置にはフレーム50の左右の外方へ突出していてフレーム50に回動自在に支持された回転軸525がフレーム50を左右に横断してフレーム50に回動自在に支持されている。この回転軸525のフレーム50の外方への突出部分にはそれぞれプーリ523R,523Lが固定されており、また回転軸525のフレーム50内の適宜の位置にはプーリ526が固定されている。このプーリ526は、フレーム50内の適宜の位置に備えられたモータM2の出力軸に固定されたプーリ527との間でベルト又はチェーン528で伝動されている。
【0114】
なお、プーリ523Rとプーリ522Rとの間はベルト又はチェーン524Rで、プーリ523Lとプーリ522Lとの間はベルト又はチェーン524Lでそれぞれ伝動されている。
【0115】
従って、この動力ユニット5は、モータM1の回転駆動により車輪51が回転駆動され、またモータM2の回転駆動により両アーム52R,52Lがそれぞれ回動するように構成されていることになる。
【0116】
図22は動力ユニット5の動作状態を示す模式図である。但し、この図22では右側面から見た状態を示している。図22(a) に示すように、通常は駆動輪51が接地し、アーム52Rは長手方向を水平にして補助輪53Rは接地していない状態となっている。
【0117】
ここで、たとえば動力ユニット5を使用して段差を昇る場合には、図22(b) に示すように、駆動輪51が段差の端面に当接した状態で停止させ、アーム52R(52L)を前方へ回転させて補助輪53R(53L)を段差の上段面に接地させる。更に、この状態からアーム52R(52L)を前方へ回転させることにより、図22(c) に示すように、駆動輪51がアーム52R(52L)により引き上げられるようにして、図22(d) に示すように、段差の上段面へ昇ることができる。
【0118】
但しこの場合、補助輪53R,53Lはアーム52R,52Lの先端部に固定して取り付けられているため、図22(c) 及び(d) に示すように、補助輪53R,53Lはアーム52R,52Lの回転に伴ってその回転角度分だけ段差の上段面上で回転移動する。
【0119】
ところで、図22(b) 乃至(d) に示すように、駆動輪51が段差の上段面を移動するためには、アーム52R, 52Lの回転角度を最大π(rad)とすると、段差の奥行きをDとすると、下記式を満足する必要がある。
D>2r1+r2(π+l)
【0120】
ここで、図22(a) に示されているように、r1は駆動輪52の半径、r2は補助輪53R,53Lの半径、l(エル)はアーム52R,52Lの回動半径(アーム長)である。上記の式が満足されない場合、図22(d) に示す状態が階段の場合には、駆動輪51は階段の次の段の縁辺に乗り上げることになり、円滑に階段を昇降することができない。これは、補助輪53R,53Lがアーム52R,52Lの先端に固定されて取り付けられているために、図22(b) の状態から図22(d) の状態の間に段差上でアーム52R,52Lの回転に伴ってその回転角度分だけ補助輪53R,53Lが回転して移動するためである。従って、この状態において補助輪53R,53Lがアーム52R,52Lの回転に伴って回転することがないようにすれば段差の奥行きDがより小さい場合にも階段を昇ることができる。そのような構成は、後述する第4の実施の形態において実現される。
【0121】
図23は車椅子1の前部に第3の実施の形態の電動補助ユニット2を接合した場合に動力ユニット5が段差上に乗り上げる場合の状態を示す模式図である。まず、図32(a) に示すように、動力ユニット5の駆動輪51が段差の端面に当接する位置で一旦停止し、アーム52を前方へ回転させることにより、図23(b) に示すように、補助輪53を段差の上段面に接地させ、更にアーム52を回転させて図23(c) に示すように、駆動輪51を段差の上段面よりも若干高い位置へ持ち上げる。更にこの状態からアーム52を回転させることにより、図23(d) に示すように、駆動輪51を段差の上段面へ接地させる。この後は、駆動輪51を駆動させることにより、図23(e) に示すように、車椅子1の前従輪12を段差の上段面へ昇らせ、更に図23(f) に示すように、車椅子1の主輪11も段差の上段面へ昇ることができる。
【0122】
図24は車椅子1の前部に第3の実施の形態の電動補助ユニット2を接合した場合に、段差を降りる場合の状態及び車椅子1全体の状態を示した模式図である。
【0123】
まず、図24(a) に示すように、段差の上段面を走行中に段差の縁辺に接近した場合にアーム52を後方向きでしかもやや下方へ向けた状態とする。この状態で駆動輪51を駆動させて前進すると、図24(b) に示すように、駆動輪51が弾さの縁辺を通過して落下する状態になるが、補助輪53が段差の上段面に接地して車椅子1を支持する状態になる。そして、図24(c) に示すように、補助輪53が段差の上段面に接地している状態でアーム52を前方へ回動させると、図24(d) に示すように、やがて駆動輪51が段差の下段面に接地する。この際、車椅子1は駆動輪51と前従輪12とで支持されて主輪11は浮いた状態になるが、そのまま駆動輪を駆動して前進すると、図24(e) に示すように、車椅子1の前従輪12が段差の縁辺を通過して浮いた状態になり、車椅子1は駆動輪51と主輪11とで支持される状態になる。更にこの状態から駆動輪51を駆動させて前進すると、車椅子1の主輪11が段差の上段面から下段面へ落下するようにして接地する。
【0124】
なお、前述した如く、連結装置3に組み込まれているユニバーサルジョイント30により車椅子1と電動補助ユニット2とは上下方向及び左右方向に変位可能であるので、ユニバーサルジョイント30の上下方向の変位を自由に許す状態にしておけば、図24(d) に示す状態において、主輪11が浮き上がることを防止することが可能になる。
【0125】
図25は第3の実施の形態の電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合して階段を昇る場合の状態を示す模式図である。
【0126】
図25(a) に示すように、電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合した状態で、介助者が電動補助ユニット2のハンドル23を把持して車椅子1を後方へ傾斜させることにより車椅子1が駆動輪51のみで支持される状態として、駆動輪51が階段の段差の端面に当接する位置まで移動し、アーム52を後方へ回動させて補助輪53を階段の1段上の面に接地させる。この状態で、図25(b) に示すように、更にアーム52を回動させることにより、また介助者の協力により、駆動輪51を階段の1段上の面に接地させる。以下、同様の手順を反復することにより、図25(c) に示すように、車椅子1を階段の最上段まで昇らせることが可能である。
【0127】
図26は第3の実施の形態の電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合して階段を降りる場合の状態を示す模式図である。
【0128】
電動補助ユニット2を車椅子1の後部に接合した状態で、介助者が電動補助ユニット2のハンドル23を把持して傾斜させることにより車椅子1が駆動輪51のみで支持される状態で、図26(a) に示すように、駆動輪51が階段の縁辺を越える位置に移動させる。この状態では補助輪53が階段の上段面に接地して車椅子1を支持している。次に、アーム52を前方へ回動させることにより、図26(b) に示すように、駆動輪51を階段の1段下の面に降ろす。更にこの状態から、図26(c) に示すように、アーム52を回動させることにより、図26(d) に示すように、駆動輪51を持ち上げて階段の更に1段下の面に駆動輪51を接地させる。
【0129】
(第4の実施の形態)
図27は、第4の実施の形態の電動補助ユニットの動力ユニットの構成例を示す縦断面図であり、前方から見た状態を示している。この第4の実施の形態では、具体的には、上述の第3の実施の形態の補助輪53R,53Lをも回転駆動可能にした構成としている。この補助輪53R,53Lを回転駆動可能にすることにより、前述した図22において説明したように、駆動輪51が段差を昇降する際の段差の奥行きDを小さくすることが可能になる。
【0130】
本実施の形態の動力ユニット5は、図21に示した動力ユニット5の駆動輪51を駆動するためのモータM1を補助輪53R,53Lを駆動するためにも使用する。他の構成は図21に示した動力ユニット5と同様であるので説明を省略する。
【0131】
モータM1の出力軸にはプーリ513が固定されており、このプーリ513とプーリ518とがベルト又はチェーン59により伝動されている。プーリ518は、フレーム50にその左右方向を軸長として回転自在に支持された回転軸516に固定されている。この回転軸516には、その軸長方向の中央にプーリ515が、両端部にプーリ517R,517Lがそれぞれ固定されている。
【0132】
プーリ515は図21に示した構成と同様に、ベルト又はチェーン514により駆動輪51を駆動するためのプーリ512と伝動されており、両端部のプーリ517R,517Lはそれぞれベルト又はチェーン520R,520Lによりプーリ529R,529Lと伝動されている。これらのプーリ529R,529Lはアーム52R,52Lが固定されている回転軸521R,521Lを中空にした内部に挿通されている回転軸(図示せず)に固定されており、この回転軸のアーム52R,52Lの両外側に突出した部分にはプーリ530R,530Lが固定されている。更にこれらのプーリ530R,530Lは補助輪53R,53Lの回転軸に固定されたプーリ532R,532Lにベルト又はチェーン531R,531Lにより伝動されている。従って、プーリ529R,529Lはアーム52R,52Lを回動させるためのプーリ522R,522Lとは連動しておらず、補助輪53R,53Lを回転駆動する。
【0133】
このような構成により、モータM2は図21に示した動力ユニット5と同様にアーム52R,52Lを回動させ、モータM1は駆動輪51を回転駆動すると共に両補助輪53R,53Lをも回転駆動させることができる。
【0134】
図28はこのような図27に示した第4の実施の形態の動力ユニット5のアーム52R,52L及び回転駆動される補助輪53R,53Lの動作を示す模式図である。
【0135】
図28(a) に示すように、駆動輪51が回転駆動し、またアーム52R,52Rも回動し、更に補助輪53R,53Lもアーム52R,52Lの先端部において回転駆動する。従って、図28(b) に示すように、駆動輪51が段差の端面に当接従って状態でアーム52R,52Lを回動させて段差の上段面に接地させた状態で、図28(c) に示すように、アーム52R,52Lを回動させ、補助輪53R,53Lはアーム52R,52Lの回動角分だけ逆回転させると補助輪53R,53Lが接地面に対して相対移動することなしに、図28(d) に示すように、駆動輪51が段差の上段面に接地する。
【0136】
このように、補助輪53R,53Lを駆動可能な構成とすることにより、補助輪53R,53Lを支点としたアーム52R,52Lの回動の際の安定性を向上させることが可能になる。
【0137】
【発明の効果】
以上に詳述したように本発明に係る車椅子の電動補助ユニットによれば、1台の電動補助ユニットを車椅子の前後部のずれにも接合することが可能であるので、1台の電動補助ユニットで平坦地の走行、段差の昇降等に対処可能になるので、種々の利用方法が考えられる。
【0138】
また第2の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、電動補助ユニットを車椅子に接合する際に、補助接合手段を使用するので、主として車椅子の前部に本来備えられている従輪との干渉が回避される。
【0139】
また第3の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、電動補助ユニットを車椅子に接合するための補助接合手段が車椅子に対して上下左右への相対変位が許容されるので、安定した走行が可能になる。
【0140】
また第4の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、電動補助ユニットを主として車椅子の後部になる左右一対の主輪の間に接合した場合に、全体の長さが短くなるので、たとえばエレベータ等の狭隘な場所へも容易に進入することが可能になる。
【0141】
また第5の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、いわゆる十字車輪が駆動力として利用されるので、アームの回転と、各アームに取り付けられた車輪との双方を利用することが可能になる。
【0142】
また第6の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、十字車輪の一つのアームに取り付けられた車輪により車椅子が走行するので、通常の走行に際しては走行抵抗が減少すると共に、安定した走行が可能になる。
【0143】
また第7の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、少なくとも二つの車輪が接地するので、不整地、軟弱地等においても安定して走行することが可能になる。
【0144】
また第8の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、十字車輪全体を回動させることによる複数のアームの回動により車椅子が段差を昇降するので、確実に段差を昇降することが可能になる。
【0145】
また第9の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、クローラと車輪といずれかを状況に応じて利用することが可能になる。
【0146】
また第10の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、クローラ又は車輪のいずれかにより車椅子が走行するので、たとえば平坦地では車輪で、不整地ではクローラで走行することが可能になる。
【0147】
また第11の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、クローラにより車椅子が段差を昇降するので、確実に段差を昇降することが可能になる。
【0148】
また第12の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、駆動輪で通常は走行し、段差の昇降の際にはアームを利用することができる。
【0149】
また第13の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、駆動輪の駆動により車椅子が走行するので、走行抵抗が少なく、安定した走行が可能になる。
【0150】
また第14の発明の車椅子の電動補助ユニットによれば、アームを回転させることにより、車椅子が段差を昇降するので、確実に段差を昇降することが可能になる。
【0151】
また第15の発明の電動ユニットによれば、車椅子の前部及び後部の双方に接合可能であり、いわゆる十字車輪が駆動力として利用されるので、アームの回転と、各アームに取り付けられた車輪との双方を利用して走行し、また段差を昇降するすることにより、車椅子を走行させ、また段差を昇降させることが可能になる。
【0152】
また第16の発明の電動ユニットによれば、十字車輪の一つのアームに取り付けられた車輪により走行するので、通常の走行に際しては走行抵抗が減少すると共に、安定して走行するので、接合されている車椅子を安定して走行させることが可能になる。
【0153】
また第17の発明の電動ユニットによれば、少なくとも二つの車輪が接地するので、不整地、軟弱地等においても安定して走行するので、接合されている車椅子を安定して走行させることが可能になる。
【0154】
また第18の発明の電動ユニットによれば、十字車輪全体を回動させることによる複数のアームの回動により段差を昇降するので、接合されている車椅子に確実に段差を昇降させることが可能になる。
【0155】
また第19の発明の電動ユニットによれば、クローラと車輪といずれかを使用することができるので、接合されている車椅子を状況に応じていずれかを利用して走行させ、段差を昇降させることが可能になる。
【0156】
また第20の発明の電動ユニットによれば、クローラ又は車輪のいずれかにより走行するので、接合されている車椅子をたとえば平坦地では車輪で、不整地ではクローラで走行させることが可能になる。
【0157】
また第21の発明の電動ユニットによれば、クローラにより段差を昇降するので、接合されている車椅子に確実に段差を昇降させることが可能になる。
【0158】
また第22の発明の電動ユニットによれば、駆動輪で通常は走行し、段差の昇降の際にはアームを利用するので、接合されている車椅子を通常は駆動輪で奏項させ、段差の昇降に際してはアームにより昇降させることが可能になる。
【0159】
また第23の発明の電動ユニットによれば、駆動輪の駆動により走行するので、走行抵抗が少なく、接合されている車椅子を安定して走行させることが可能になる。
【0160】
また第24の発明の電動ユニットによれば、アームを回転させることにより段差を昇降するので、接合されている車椅子に確実に段差を昇降させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電動補助ユニット(電動ユニット)と、手動式車椅子と、電動補助ユニットを車椅子の前部に接合する際に使用される連結装置との構成例を示す模式的側面図である。
【図2】連結装置の平面図及び側面図である。
【図3】車椅子の前部に電動補助ユニットを接合した状態を示す模式図である。
【図4】車椅子の後部に電動補助ユニットを接合するための準備状態を示す模式図である。
【図5】車椅子の後部に電動補助ユニットを接合した状態を示す模式図である。
【図6】電動補助ユニットを車椅子に接合して利用する状態を例示する模式図である。
【図7】電動補助ユニットを車椅子に接合して利用する状態を例示する模式図である。
【図8】電動補助ユニットの車椅子との接合側に板状のクッションを備えた構成例を示す模式図である。
【図9】電動補助ユニットの第1の実施の形態の構成例を示す模式図である。
【図10】車椅子の前部に第1の実施の形態の電動補助ユニットを接合した場合に十字車輪が段差上に乗り上げる場合の状態を示す模式図である。
【図11】車椅子の前部に第1の実施の形態の電動補助ユニットを接合した場合に十字車輪が段差上に乗り上げる場合の車椅子全体の状態を示した模式図である。
【図12】車椅子の前部に第1の実施の形態の電動補助ユニットを接合した場合に十字車輪が段差を降りる場合の状態及び車椅子全体の状態を示した模式図である。
【図13】第1の実施の形態の電動補助ユニットを車椅子の後部に接合して階段を昇る場合の状態を示す模式図である。
【図14】第1の実施の形態の電動補助ユニットを車椅子の後部に接合して階段を降りる場合の状態を示す模式図である。
【図15】電動補助ユニットの第2の実施の形態の構成例を示す模式図である。
【図16】第2の実施の形態の電動補助ユニットを車椅子に接合して利用する状態を例示する模式図である。
【図17】第2の実施の形態の電動補助ユニットを前部に接合した車椅子が段差上に乗り上げる場合の状態をより詳細に示す模式図である。
【図18】第2の実施の形態の電動補助ユニットを前部に接合した車椅子が段差上に乗り上げる場合の状態をより詳細に示す模式図である。
【図19】第2の実施の形態の電動補助ユニットを前部に接合した車椅子が階段を昇る場合の状態を示す模式図である。
【図20】電動補助ユニットの第3の実施の形態の構成例を示す模式図である。
【図21】第3の実施の形態の動力ユニットの具体的な構成例を示す縦断面図及び側面図である。
【図22】第3の実施の形態の動力ユニットの動作状態を示す模式図である。
【図23】車椅子の前部に第3の実施の形態の電動補助ユニットを接合した場合に動力ユニットが段差上に乗り上げる場合の状態を示す模式図である。
【図24】車椅子の前部に第3の実施の形態の電動補助ユニットを接合した場合に段差を降りる場合の状態及び車椅子全体の状態を示した模式図である。
【図25】第3の実施の形態の電動補助ユニットを車椅子の後部に接合して階段を昇る場合の状態を示す模式図である。
【図26】第3の実施の形態の電動補助ユニットを車椅子の後部に接合して階段を降りる場合の状態を示す模式図である。
【図27】第4の実施の形態の電動補助ユニットの動力ユニットの構成例を示す縦断面図である。
【図28】第4の実施の形態の動力ユニットのアーム及び回転駆動される補助輪の動作を示す模式図である。
【符号の説明】
1 車椅子
2 電動補助ユニット
2C クローラ
2W 車輪
3 連結装置
5 動力ユニット
11 主輪
12 前従輪
16U 上部接合部材
16L 下部接合部材
21 十字車輪
24 上部接合部材
25 下部接合部材
30 ユニバーサルジョイント
51 駆動輪
52R, 52L アーム
53R, 53L 補助輪
314R、314L 接合部材
Claims (24)
- 主輪と、該主輪の前方又は後方に配置された従輪とを有する車椅子の前部及び後部の双方に接合可能にするための接合手段と、
前記車椅子に接合された場合に、前記車椅子を牽引及び推進するための電動駆動手段と
を備えたことを特徴とする車椅子の電動補助ユニット。 - 前記従輪との干渉を避けるために前記車椅子に一端部が接合可能な補助接合手段を更に備え、
前記接合手段は、前記補助接合手段の他端部に備えられた接合部と接合可能であることを特徴とする請求項1に記載の車椅子の電動補助ユニット。 - 前記補助接合手段は、前記一端部と前記他端部とに分割されており、両者の上下左右への相対変位を許容する連結手段を更に備えていることを特徴とする請求項2に記載の車椅子の電動補助ユニット。
- 前記主輪は前記車椅子の左右に一対が備えられており、
前記一対の主輪の間隔よりも小なる幅に構成されており、前記車椅子の前記左右の主輪の間に位置した状態で前記接合手段により直接接合されることを特徴とする請求項1に記載の車椅子の電動補助ユニット。 - 前記駆動手段は、電動モータにより回動される複数の回動可能なアームと、各アームの先端部に取り付けられており、電動モータにより駆動可能な車輪とを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車椅子の電動補助ユニット。
- 前記複数のアームの内の一つの先端部に取り付けられた車輪が接地するように前記複数のアームを固定し、前記接地している車輪の駆動により前記車椅子を走行させるようにしてあることを特徴とする請求項5に記載の車椅子の電動補助ユニット。
- 前記複数のアームの内の少なくとも二つの先端部に取り付けられた車輪が接地するように、前記複数のアームの固定を解除する手段を有することを特徴とする請求項6に記載の車椅子の電動補助ユニット。
- 前記複数のアームを回動させることにより、前記車椅子に段差を昇降させるようにしてあることを特徴とする請求項5に記載の車椅子の電動補助ユニット。
- 前記駆動手段は、一端部を回動中心として回動可能であり、電動モータにより駆動されるクローラと、該クローラの前記一端部近傍に回転中心を有し、前記クローラが傾斜状態である場合に接地し、電動モータにより駆動可能な車輪とを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車椅子の電動補助ユニット。
- 前記クローラを水平状態にして接地させ、又は前記クローラを傾斜状態にして前記車輪を接地させた状態で、前記車椅子を走行させるようにしてあることを特徴とする請求項9に記載の車椅子の電動補助ユニット。
- 前記クローラを傾斜状態にして該クローラの駆動力により前記車椅子に段差を昇降させるようにしてあることを特徴とする請求項9に記載の車椅子の電動補助ユニット。
- 前記駆動手段は、電動モータにより駆動される駆動輪と、該駆動輪の回転中心よりも上側に回動中心を有し、電動モータにより回動されるアームとを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車椅子の電動補助ユニット。
- 前記アームが接地しない状態で、前記駆動輪の駆動力により前記車椅子を走行させるようにしてあることを特徴とする請求項12に記載の車椅子の電動補助ユニット。
- 前記アームを回動させることにより、前記車椅子に段差を昇降させるようにしてあることを特徴とする請求項12に記載の車椅子の電動補助ユニット。
- 電動モータにより回動される複数の回動可能なアームと、
各アームの先端部に取り付けられており、電動モータにより駆動可能な車輪と、
主輪と、該主輪の前方又は後方に配置された従輪とを有する車椅子の前部及び後部の双方に接合可能にするための接合手段と
を備えたことを特徴とする電動ユニット。 - 前記複数のアームの内の一つの先端部に取り付けられた車輪が接地するように前記複数のアームを固定し、前記接地している車輪の駆動により走行するようにしてあることを特徴とする請求項15に記載の電動ユニット。
- 前記複数のアームの内の少なくとも二つの先端部に取り付けられた車輪が接地するように、前記複数のアームの固定を解除する手段を有することを特徴とする請求項16に記載の電動ユニット。
- 前記複数のアームを回動させることにより、段差を昇降するようにしてあることを特徴とする請求項15に記載の電動ユニット。
- 一端部を回動中心として回動可能であり、電動モータにより駆動されるクローラと、
該クローラの前記一端部近傍に回転中心を有し、前記クローラが傾斜状態である場合に接地し、電動モータにより駆動可能な車輪と、
主輪と、該主輪の前方又は後方に配置された従輪とを有する車椅子の前部及び後部の双方に接合可能にするための接合手段と
を備えたことを特徴とする電動ユニット。 - 前記クローラを水平状態にして接地させ、又は前記クローラを傾斜状態にして前記車輪を接地させた状態で、走行するようにしてあることを特徴とする請求項19に記載の電動ユニット。
- 前記クローラを傾斜状態にして該クローラの駆動力により段差を昇降するようにしてあることを特徴とする請求項19に記載の電動ユニット。
- 電動モータにより駆動される駆動輪と、
該駆動輪の回転中心よりも上側に回動中心を有し、電動モータにより回動されるアームと、
主輪と、該主輪の前方又は後方に配置された従輪とを有する車椅子の前部及び後部の双方に接合可能にするための接合手段と
を備えたことを特徴とする電動ユニット。 - 前記アームが接地しない状態で、前記駆動輪の駆動力により走行するようにしてあることを特徴とする請求項22に記載の電動ユニット。
- 前記アームを回動させることにより、段差を昇降するようにしてあることを特徴とする請求項22に記載の電動ユニット。
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Cited By (2)
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KR101171141B1 (ko) * | 2010-10-28 | 2012-08-06 | 한국산재의료원 | 휠체어 보조동력장치용 착탈장치 |
JP6443586B1 (ja) * | 2017-11-30 | 2018-12-26 | 三菱電機ビルテクノサービス株式会社 | エレベーターの制御装置 |
-
2003
- 2003-03-17 JP JP2003071831A patent/JP2004275497A/ja active Pending
Cited By (3)
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