JP2004275046A - 微生物含有組成物、及びこれを用いた成形体、積層体ならびに包装材 - Google Patents
微生物含有組成物、及びこれを用いた成形体、積層体ならびに包装材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004275046A JP2004275046A JP2003069459A JP2003069459A JP2004275046A JP 2004275046 A JP2004275046 A JP 2004275046A JP 2003069459 A JP2003069459 A JP 2003069459A JP 2003069459 A JP2003069459 A JP 2003069459A JP 2004275046 A JP2004275046 A JP 2004275046A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- microorganism
- containing composition
- layer
- laminate
- laminate according
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Packages (AREA)
- Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Abstract
【課題】本発明は、微生物の好気呼吸や発酵に伴う酸素の消費と二酸化炭素やアルコールの放出等を利用し、内容物の品質を保持できるようにした鮮度保持機能を有する組成物、及びこれを用いた成形体、積層体ならびに包装材の提供を目的とする。
【解決手段】微生物、栄養源、バインダー樹脂を含む微生物含有組成物を内在させるか、あるいは前記組成物を含む微生物含有組成物層を少なくともその一部に設けることにより成形体、積層体あるいは包装材を構成する。
【選択図】図1
【解決手段】微生物、栄養源、バインダー樹脂を含む微生物含有組成物を内在させるか、あるいは前記組成物を含む微生物含有組成物層を少なくともその一部に設けることにより成形体、積層体あるいは包装材を構成する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微生物の好気呼吸や発酵に伴う酸素の消費と二酸化炭素やアルコールの放出等を利用して内容物の酸化を防止し、内容物の品質を保持できるようにした鮮度保持機能を有する組成物及びこれを用いた成形体及び積層体及び包装材に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸素はその反応性の高さから食品や医薬品等を酸化し、それらの品質を劣化させることが知られている。そこで、多くの食品や医薬品等の包装に際しては、酸素による劣化を防止するため、脱酸素剤を使用したり、ガス置換により包装袋内の空気を窒素や二酸化炭素に置き換えたり、真空包装を行ったりしている。また最近では、これらの酸化・劣化防止策の他、酵母の発酵を利用した鮮度保持方法や食品保存方法、さらには酵母を用いた鮮度保持剤や鮮度保持包装材が種々開発され、種々の包装分野で使用されている。例えば、酵母と栄養源を含む乾燥粉体と水吸収体を収納した包装食品用保存袋(特許文献1)や、酸素非通過性シート状基材層に食用酵母と炭素源を含有する酵母層を形成し酵母層を食品側に位置するように包装する食品保存方法(特許文献2)が知られている。
【0003】
しかし、個袋タイプの脱酸素剤や特許文献1に示されているような袋タイプの鮮度保持剤は、包装袋内に投入する必要があるため、投入時に手間がかかったり、ごみが増えたり、包装スペースを狭くしてしまったり、包装袋内に入れ忘れる可能性があったり、さらには消費者が誤食する可能性があったりと、様々な問題点を抱えていた。
一方、ガス置換包装では、十分に酸素を置換しきれないことがあったり、ガス置換のための設備を導入する必要があった。また、真空包装でもガス置換包装と同様に真空包装設備の導入が必要であり経済的ではなかった。また、特許文献2に示されている食品保存方法では、酵母層と食品が接触する可能性があるため、食品中で酵母が増殖し、食品の風味を変えてしまう恐れもあった。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−142739号公報
【特許文献2】
特開平6−46809号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような状況に鑑みなされたものであり、その課題とするところは微生物の好気呼吸や発酵に伴う酸素の消費と二酸化炭素やアルコールの放出等を利用し、内容物の品質を保持できるようにした鮮度保持機能を有する組成物、及びこれを用いた成形体、積層体ならびに包装材に関するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、微生物、栄養源、バインダー樹脂を含む微生物含有組成物である。
【0007】
請求項2に記載の発明は微生物含有組成物が吸水性薬剤を含むことを特徴とする請求項1記載の微生物含有組成物である。
【0008】
請求項3に記載の発明は微生物が酵母であることを特徴とする請求項1または2記載のいずれかに記載の微生物含有組成物である。
【0009】
請求項4に記載の発明はバインダー樹脂がポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリエステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルケタール、ポリ酢酸ビニル、セルロール類、ポリビニルアルコールのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の微生物含有組成物である。
【0010】
請求項5に記載の発明は吸水性薬剤がグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのアルコール類またはでんぷん、ゼラチン、寒天のいずれか1種類以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の微生物含有組成物である。
【0011】
請求項6に記載の発明は微生物含有組成物が溶媒を含む請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の微生物含有組成物である。
【0012】
請求項7に記載の発明は請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の微生物含有組成物を含む材料を成形してなる成形体である。
【0013】
請求項8に記載の発明は請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の微生物含有組成物を基材層上に塗布した積層体である。
【0014】
請求項9に記載の発明は基材層がポリアミド、セロハン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはこれらに蒸着層を形成した蒸着フィルムのいずれかであることを特徴とする請求項8記載の積層体である。
【0015】
請求項10に記載の発明は酸素透過度が500ml/m2/Day/MPa以下であることを特徴とする請求項8または請求項9のいずれかに記載の積層体である。
【0016】
請求項11に記載の発明は基材層と微生物含有組成物層の間にアンカーコート層を設けたことを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の積層体である。
【0017】
請求項12に記載の発明は基材層、微生物含有組成物層の上にさらにシーラント層を設けたことを特徴とする請求項8ないし請求項11のいずれかに記載の積層体である。
【0018】
請求項13に記載の発明はシーラント層が低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンポリ4−メチルペンテン−1、あるいはこれらの樹脂フィルムに微細な孔を設けた微細孔フィルムからなることを特徴とする請求項12に記載の積層体である。
【0019】
請求項14に記載の発明はシーラント層の酸素透過度が5000ml/m2/Day/MPa以上であることを特徴とする請求項12または請求項13のいずれかに記載の積層体である。
【0020】
請求項15に記載の発明は微生物含有組成物層とシーラント層の間にオーバーコート層を設けたことを特徴とする請求項12ないし請求項14のいずれかに記載の積層体である。
【0021】
請求項16に記載の発明は微生物含有組成物層がパターン状に形成されることを特徴とする請求項8ないし請求項16のいずれかに記載の積層体である。
【0022】
請求項17に記載の発明は請求項8ないし請求項16のいずれかに記載の積層体を少なくとも構成の一部に用いたことを特徴とする包装材である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
図1と図2には本発明に係る鮮度保持機能を有する包装材の概略の断面構成がそれぞれ示してある。
【0024】
図1に示す包装材10は、微生物、栄養源、バインダー樹脂を含む微生物含有組成物層3が基材層2とシーラント層4の間に設けてなるものである。
一方、図2に示す積層体20は、微生物、栄養源、バインダー樹脂を含む微生物含有組成物層23が基材層22とシーラント層24の間に設けてあると共に、この微生物含有組成物層23と基材層22との間にはアンカーコート層25を、微生物含有組成物層23とシーラント層24との間にはオーバーコート層26をそれぞれ介在させ、積層・一体化してなるものである。
【0025】
基材層2、22は、積層体の骨格をなし、微生物含有組成物層3、23やシーラント層4、24等を形成するためのベースとなる層である。この基材層2、22は酸素や二酸化炭素等に対して不透過性のものが好ましく、ポリアミド、セロハン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはこれらのフィルムにアルミニウムなどの金属の蒸着層や、シリカあるいはアルミナなどの無機化合物の蒸着層を形成した蒸着フィルム等が利用できる。その中でも、酸素透過度が500ml/m2/Day/MPa以下のものが好ましい。透過度がこれ以上の基材層を積層体の構成層として用いると、この積層体を構成部材とする包装袋等の密閉性が失われ、包装袋等の内部の脱酸素環境が維持できなくなる。
【0026】
微生物含有組成物層3、23は、このような基材層2、22と後述するシーラント層4、24との間に設けてあるもので、そこには少なくとも微生物とその栄養源を含んでいる。
【0027】
微生物としては、細菌、糸状菌、放線菌、酵母が利用できるが、特に胞子を作るものが望ましい。酵母は好気呼吸により酸素を消費して二酸化炭素を放出し、発酵により二酸化炭素やアルコール等を放出するため好適に利用できる。
【0028】
酵母としては、ビールやワインなどのアルコール発酵に利用されるSaccharomyces属、乳製品や魚介類に分布するCandida属、穀類等に分布するPichia属、貯蔵穀類、魚介類から分離されるHansenul属、果汁、乳製品などに分布するTorulopsis属などが利用できる。中でもSaccharomyces属が安全性も高く、また、アルコール生成能力も優れており、最も好適に使用し得るものである。また、本菌のドライイーストも利用可能である。
【0029】
また、この微生物と一緒に微生物含有組成物層に含ませる栄養源は、グルコースやガラクトースなどの単糖類、マルトース、スクロース、ラクトース等の二糖類や酵母エキス、麦芽エキス、ポテトエキス、肉エキスなどの各種抽出物が利用できる。
【0030】
微生物含有組成物層3中には上述した酵母や栄養源の他、吸水性薬剤を含ませることが望ましい。基材層に微生物含有組成物層を設けた後、この層は乾燥状態にあり、吸水性薬剤が大気中または包装袋内の内容物から供給された水分を吸収し、微生物の呼吸や発酵が開始される。この吸水性薬剤は、微生物の置かれている雰囲気を湿潤状態に保ち、栄養源の発酵を促し、アルコールや二酸化炭素を効率よく発生させる。
【0031】
吸水性薬剤としては湿潤状態を維持できるでんぷんやゼラチン、寒天、吸水性高分子、グリセリンやエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのアルコール類が利用できる。中でも多価アルコールであるグリセリンが好適に利用できる。
【0032】
微生物含有組成物層3、23は、これらの酵母、栄養源及び吸収性薬剤等を、バインダー樹脂と溶剤等からなるビヒクル中に分散させてなる塗工液を使用し、印刷やコーティングにより形成する。
【0033】
バインダー樹脂としてはポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリエステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルケタール、ポリ酢酸ビニル、セルロール類、ポリビニルアルコール、などが利用できる。
【0034】
本発明の微生物含有組成物を含む材料を成形した成形体としては、シート状などの形状に成形できるほか、鋳型に合わせて様々な形に成形することも可能である。また、セルロースやゼオライトなどの担持体を用いて錠剤型に成形することも可能である。
【0035】
微生物含有組成物に添加する溶媒としては、以上に示した物質をを均一かつ安定に溶解または分散できるものが望ましい。具体的には芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル類、アルコール類、水などが用いられる。
【0036】
微生物含有組成物を基材層に塗布する方法としては、印刷法として凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などが利用でき、またコーティング法としては、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ベタコーティング等が利用できる。
【0037】
微生物含有組成物層3、23は、図に示すように基材層2、22の全面に設けても良いが、文字や絵柄等のパターン状に設けても良い。例えば本発明の積層体を袋状に形成する場合、シール部となる部分を避けるようにパターン状に微生物含有組成物を塗布すると、シール強度の低下を防止できるなどの利点がある。また、印刷においては網点状に印刷することにより基材層への微生物含有組成物の塗布面積を減らすことができる。これによりシール強度低下を防止することができる。
【0038】
微生物含有組成物には、印刷やコーティングを円滑に行うためのレベリング剤や消泡剤等の助剤をさらに添加することも可能である。
【0039】
シーラント層としては、酸素や二酸化炭素に対して透過性を有する材料、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンポリ4−メチルペンテン−1等が好ましい。また、これらの樹脂フィルムに微細な孔を形成した微細孔フィルムも使用できる。シーラント層4はヒートシールやインパルスシールなどのシールを可能とするための層であるが、シーラント層があると上記した微生物含有組成物層3、23、特に微生物が内容物に直接触れないようにすることが可能となる。
【0040】
このシーラント層4はその酸素透過度が5000ml/m2/Day/MPa以上であることが好ましい。酸素透過度がこれ以下のシーラント層を有する積層体によって作成される包装袋あるいは包装容器では、その内部の酸素が酵母層へスムーズに移行しないで酵母の好気呼吸が効率よく行われなくなると共に、微生物含有組成物層内で発生した二酸化炭素やアルコールがシーラント層を通過しにくくなり、所期の鮮度保持効果が得られなくなる。
【0041】
アンカーコート層25は微生物含有組成物層23と基材層22の密着性の向上と微生物含有組成物層23形成時における基材層22の濡れ性向上のために設けるものであり、例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂により形成する。
【0042】
さらに、オーバーコート層26は微生物含有組成物層23とシーラント層24の密着性を向上させるために設けるものであり、前記アンカーコート層25と同様にウレタン樹脂やアクリル樹脂、ポリエステル樹脂等により形成する。
【0043】
図3には本発明に係る包装袋の概略の断面構成が示してある。
この包装袋30は三方シール袋であって、前記したような構成の積層体、即ち少なくとも微生物とその栄養源を含有する微生物含有組成物層33が基材層32とシーラント層34の間に設けてある鮮度保持機能を有する積層体をそのシーラント層34が内側にくるようにし、周辺部でシールしてなるものである。
【0044】
包装袋30内では、積層体の微生物含有組成物層33中にある微生物が、その好気呼吸によりシーラント層34を透過してくる酸素を消費する。また、微生物は栄養源を発酵原料として発酵して二酸化炭素やアルコールを発生することになる。発生した二酸化炭素やアルコールはシーラント層34を透過して包装袋30内に到達し、内部をこれらのガスで満たすことになり、結果的には内容物37の酸化、延いては内容物37の劣化が防止できるようになる。
【0045】
また、包装袋の構成部材として図2に示すような構成の積層体、即ちアンカー層やオーバーコート層も設けてなる積層体を使用すれば、微生物含有組成物層とその他の層との密着性が一段と向上し、より厳しい輸送条件、使用環境の下での使用でも微生物含有組成物層と基材層、微生物含有組成物層とシーラント層の剥離(デラミ)を防止することができる。
【0046】
【実施例】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
<実施例1>
まず、微生物含有組成物層形成用塗工液1を下記組成で製造した。
【0048】
次に、上記組成の酵母層形成用塗工液1をコーティング法により、基材層であるシリカ蒸着ポリエステルフィルム(厚さ12μm、シリカ蒸着層の厚さ20nm)上に、塗布量1g/m2の厚さに塗布して微生物含有組成物層を形成した。次に、この微生物含有組成物層の上に、塗布量1g/m2の厚さに設けたポリエステルウレタン系ドライラミネート用接着剤層を介して、厚さ40μmのポリエチレンフィルムからなるシーラント層を積層・一体化し、本発明の鮮度保持機能を有する積層体を得た。
【0049】
<実施例2>
実施例1で用いたものと同じシリカ蒸着ポリエステルフィルムからなる基材層上に、ウレタン樹脂を主組成物とするアンカーコート剤を塗布量1g/m2の厚さに塗布しアンカーコート層を形成した。次に、このアンカーコート層上に、上記微生物含有組成物層形成用塗工液1をコーティング法により塗布量1g/m2の厚さに塗布し、微生物含有組成物層を設けた。さらに、微生物含有組成物層の上にはウレタン樹脂を主組成物とするオーバーコート剤を塗布しオーバーコート層を形成した後、さらに実施例1で用いたものと同じ接着剤層を介して厚さ40μmのポリエチレンフィルムからなるシーラント層を積層・一体化し、本発明の鮮度保持機能を有する積層体を得た。
【0050】
<実施例3>
微生物含有組成物層形成用塗工液2を下記組成で製造した。
塗工液として上記微生物含有組成物層形成用塗工液2を用いた以外は実施例1と同様にして、本発明の鮮度保持機能を有する積層体を得た。
【0051】
<実施例4>
塗工液として上記微生物含有組成物層形成用塗工液2を用いた以外は実施例2と同様にして、本発明の鮮度保持機能を有する積層体を得た。
【0052】
<実施例5>
微生物含有組成物層形成用塗工液3を下記組成で製造した。
塗工液として上記微生物含有組成物層形成用塗工液3を用いた以外は実施例1と同様にして、本発明の鮮度保持機能を有する積層体を得た。
【0053】
<実施例6>
塗工液として上記微生物含有組成物層形成用塗工液3を用いた以外は実施例1と同様にして、本発明の鮮度保持機能を有する積層体を得た。
【0054】
<比較例>
微生物含有組成物層を設けない以外は実施例1と同様にして、比較例の積層体を得た。
【0055】
<実験1>
上記各実施例と比較例で得られた積層体のそれぞれを10cm×10cm角にカットした。カットした二枚の積層体をそのシーラント層側が内側に位置するように重ね合わせると共に4方シールを行い包装袋を得た。各包装袋にはもち(水分活性(AW):1.0)、カステラ(AW:0.85)、白味噌(AW:0.78)、ピーナッツ(殻なし、AW:0.37)を内容物として実包(それぞれ約100g)し、1ヶ月経過後の内容物の状態を試験開始前の状態と比較した。保存条件は25℃、65%RHで行った。実験1の結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
実施例により得られた積層体が、内容物の食品の保存性を向上させていることを確認した。特に、吸収性薬剤を添加した実施例3から実施例6は低水分活性の食品に対しても高い保存性を付与していることを確認した。
【0058】
<実験2>
実施例及び比較例で得られた積層体にゲルボフレックス試験(「ゲルボフレックステスター」テスター産業(株)製、室温)を50回実施し、積層体の密着状態を確認した。実験2の結果を表2に示す。
【0059】
<実験3>
実施例及び比較例で得られた積層体を40℃、90%RHの環境下に1ヶ月間保存し、積層体の密着状態を確認した。実験3の結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
実験2、実験3の結果より、アンカーコート層及びオーバーコート層が微生物含有組成物層とその他の層との密着性を向上させ、デラミを防止させていることを確認した。
【0062】
【発明の効果】
本発明は以上に説明したように、微生物、栄養源、バインダー樹脂を含有する微生物含有組成物に関するものであり、この微生物含有組成物層を基材層とシーラント層との間に設けることにより、酸素吸収剤投入、ガス置換、真空包装を行わなくても内容物の酸化による劣化が防げ、鮮度が保持されるようになった。
また、微生物含有組成物に吸水性薬剤を添加する事により、水分活性の低い内容物に対してもその鮮度を維持することが可能となった。
また、基材層と微生物含有組成物層との間、微生物含有組成物層とシーラント層との間にアンカーコート層やオーバーコート層を設けることにより、微生物含有組成物層とその他のフィルム層との密着が向上し、より厳しい輸送条件、使用環境の下での使用でも破袋することがなく、所期の鮮度保持機能を維持しつつ内容物の確実な収納が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鮮度保持機能を有する積層体の概略の構成を示す断面説明図である。
【図2】本発明に係る他の鮮度保持機能を有する積層体の概略の構成を示す断面説明図である。
【図3】本発明の他の実施例に係る包装袋の概略の構成を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1、20・・積層体
2、22、32・・基材層
3、23、33・・微生物含有組成物層
4、24、34・・シーラント層
25・・アンカーコート層
26・・オーバーコート層
30・・包装袋
37・・内容物
【発明の属する技術分野】
本発明は、微生物の好気呼吸や発酵に伴う酸素の消費と二酸化炭素やアルコールの放出等を利用して内容物の酸化を防止し、内容物の品質を保持できるようにした鮮度保持機能を有する組成物及びこれを用いた成形体及び積層体及び包装材に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸素はその反応性の高さから食品や医薬品等を酸化し、それらの品質を劣化させることが知られている。そこで、多くの食品や医薬品等の包装に際しては、酸素による劣化を防止するため、脱酸素剤を使用したり、ガス置換により包装袋内の空気を窒素や二酸化炭素に置き換えたり、真空包装を行ったりしている。また最近では、これらの酸化・劣化防止策の他、酵母の発酵を利用した鮮度保持方法や食品保存方法、さらには酵母を用いた鮮度保持剤や鮮度保持包装材が種々開発され、種々の包装分野で使用されている。例えば、酵母と栄養源を含む乾燥粉体と水吸収体を収納した包装食品用保存袋(特許文献1)や、酸素非通過性シート状基材層に食用酵母と炭素源を含有する酵母層を形成し酵母層を食品側に位置するように包装する食品保存方法(特許文献2)が知られている。
【0003】
しかし、個袋タイプの脱酸素剤や特許文献1に示されているような袋タイプの鮮度保持剤は、包装袋内に投入する必要があるため、投入時に手間がかかったり、ごみが増えたり、包装スペースを狭くしてしまったり、包装袋内に入れ忘れる可能性があったり、さらには消費者が誤食する可能性があったりと、様々な問題点を抱えていた。
一方、ガス置換包装では、十分に酸素を置換しきれないことがあったり、ガス置換のための設備を導入する必要があった。また、真空包装でもガス置換包装と同様に真空包装設備の導入が必要であり経済的ではなかった。また、特許文献2に示されている食品保存方法では、酵母層と食品が接触する可能性があるため、食品中で酵母が増殖し、食品の風味を変えてしまう恐れもあった。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−142739号公報
【特許文献2】
特開平6−46809号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような状況に鑑みなされたものであり、その課題とするところは微生物の好気呼吸や発酵に伴う酸素の消費と二酸化炭素やアルコールの放出等を利用し、内容物の品質を保持できるようにした鮮度保持機能を有する組成物、及びこれを用いた成形体、積層体ならびに包装材に関するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、微生物、栄養源、バインダー樹脂を含む微生物含有組成物である。
【0007】
請求項2に記載の発明は微生物含有組成物が吸水性薬剤を含むことを特徴とする請求項1記載の微生物含有組成物である。
【0008】
請求項3に記載の発明は微生物が酵母であることを特徴とする請求項1または2記載のいずれかに記載の微生物含有組成物である。
【0009】
請求項4に記載の発明はバインダー樹脂がポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリエステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルケタール、ポリ酢酸ビニル、セルロール類、ポリビニルアルコールのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の微生物含有組成物である。
【0010】
請求項5に記載の発明は吸水性薬剤がグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのアルコール類またはでんぷん、ゼラチン、寒天のいずれか1種類以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の微生物含有組成物である。
【0011】
請求項6に記載の発明は微生物含有組成物が溶媒を含む請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の微生物含有組成物である。
【0012】
請求項7に記載の発明は請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の微生物含有組成物を含む材料を成形してなる成形体である。
【0013】
請求項8に記載の発明は請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の微生物含有組成物を基材層上に塗布した積層体である。
【0014】
請求項9に記載の発明は基材層がポリアミド、セロハン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはこれらに蒸着層を形成した蒸着フィルムのいずれかであることを特徴とする請求項8記載の積層体である。
【0015】
請求項10に記載の発明は酸素透過度が500ml/m2/Day/MPa以下であることを特徴とする請求項8または請求項9のいずれかに記載の積層体である。
【0016】
請求項11に記載の発明は基材層と微生物含有組成物層の間にアンカーコート層を設けたことを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の積層体である。
【0017】
請求項12に記載の発明は基材層、微生物含有組成物層の上にさらにシーラント層を設けたことを特徴とする請求項8ないし請求項11のいずれかに記載の積層体である。
【0018】
請求項13に記載の発明はシーラント層が低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンポリ4−メチルペンテン−1、あるいはこれらの樹脂フィルムに微細な孔を設けた微細孔フィルムからなることを特徴とする請求項12に記載の積層体である。
【0019】
請求項14に記載の発明はシーラント層の酸素透過度が5000ml/m2/Day/MPa以上であることを特徴とする請求項12または請求項13のいずれかに記載の積層体である。
【0020】
請求項15に記載の発明は微生物含有組成物層とシーラント層の間にオーバーコート層を設けたことを特徴とする請求項12ないし請求項14のいずれかに記載の積層体である。
【0021】
請求項16に記載の発明は微生物含有組成物層がパターン状に形成されることを特徴とする請求項8ないし請求項16のいずれかに記載の積層体である。
【0022】
請求項17に記載の発明は請求項8ないし請求項16のいずれかに記載の積層体を少なくとも構成の一部に用いたことを特徴とする包装材である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
図1と図2には本発明に係る鮮度保持機能を有する包装材の概略の断面構成がそれぞれ示してある。
【0024】
図1に示す包装材10は、微生物、栄養源、バインダー樹脂を含む微生物含有組成物層3が基材層2とシーラント層4の間に設けてなるものである。
一方、図2に示す積層体20は、微生物、栄養源、バインダー樹脂を含む微生物含有組成物層23が基材層22とシーラント層24の間に設けてあると共に、この微生物含有組成物層23と基材層22との間にはアンカーコート層25を、微生物含有組成物層23とシーラント層24との間にはオーバーコート層26をそれぞれ介在させ、積層・一体化してなるものである。
【0025】
基材層2、22は、積層体の骨格をなし、微生物含有組成物層3、23やシーラント層4、24等を形成するためのベースとなる層である。この基材層2、22は酸素や二酸化炭素等に対して不透過性のものが好ましく、ポリアミド、セロハン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはこれらのフィルムにアルミニウムなどの金属の蒸着層や、シリカあるいはアルミナなどの無機化合物の蒸着層を形成した蒸着フィルム等が利用できる。その中でも、酸素透過度が500ml/m2/Day/MPa以下のものが好ましい。透過度がこれ以上の基材層を積層体の構成層として用いると、この積層体を構成部材とする包装袋等の密閉性が失われ、包装袋等の内部の脱酸素環境が維持できなくなる。
【0026】
微生物含有組成物層3、23は、このような基材層2、22と後述するシーラント層4、24との間に設けてあるもので、そこには少なくとも微生物とその栄養源を含んでいる。
【0027】
微生物としては、細菌、糸状菌、放線菌、酵母が利用できるが、特に胞子を作るものが望ましい。酵母は好気呼吸により酸素を消費して二酸化炭素を放出し、発酵により二酸化炭素やアルコール等を放出するため好適に利用できる。
【0028】
酵母としては、ビールやワインなどのアルコール発酵に利用されるSaccharomyces属、乳製品や魚介類に分布するCandida属、穀類等に分布するPichia属、貯蔵穀類、魚介類から分離されるHansenul属、果汁、乳製品などに分布するTorulopsis属などが利用できる。中でもSaccharomyces属が安全性も高く、また、アルコール生成能力も優れており、最も好適に使用し得るものである。また、本菌のドライイーストも利用可能である。
【0029】
また、この微生物と一緒に微生物含有組成物層に含ませる栄養源は、グルコースやガラクトースなどの単糖類、マルトース、スクロース、ラクトース等の二糖類や酵母エキス、麦芽エキス、ポテトエキス、肉エキスなどの各種抽出物が利用できる。
【0030】
微生物含有組成物層3中には上述した酵母や栄養源の他、吸水性薬剤を含ませることが望ましい。基材層に微生物含有組成物層を設けた後、この層は乾燥状態にあり、吸水性薬剤が大気中または包装袋内の内容物から供給された水分を吸収し、微生物の呼吸や発酵が開始される。この吸水性薬剤は、微生物の置かれている雰囲気を湿潤状態に保ち、栄養源の発酵を促し、アルコールや二酸化炭素を効率よく発生させる。
【0031】
吸水性薬剤としては湿潤状態を維持できるでんぷんやゼラチン、寒天、吸水性高分子、グリセリンやエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのアルコール類が利用できる。中でも多価アルコールであるグリセリンが好適に利用できる。
【0032】
微生物含有組成物層3、23は、これらの酵母、栄養源及び吸収性薬剤等を、バインダー樹脂と溶剤等からなるビヒクル中に分散させてなる塗工液を使用し、印刷やコーティングにより形成する。
【0033】
バインダー樹脂としてはポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリエステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルケタール、ポリ酢酸ビニル、セルロール類、ポリビニルアルコール、などが利用できる。
【0034】
本発明の微生物含有組成物を含む材料を成形した成形体としては、シート状などの形状に成形できるほか、鋳型に合わせて様々な形に成形することも可能である。また、セルロースやゼオライトなどの担持体を用いて錠剤型に成形することも可能である。
【0035】
微生物含有組成物に添加する溶媒としては、以上に示した物質をを均一かつ安定に溶解または分散できるものが望ましい。具体的には芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル類、アルコール類、水などが用いられる。
【0036】
微生物含有組成物を基材層に塗布する方法としては、印刷法として凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などが利用でき、またコーティング法としては、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ベタコーティング等が利用できる。
【0037】
微生物含有組成物層3、23は、図に示すように基材層2、22の全面に設けても良いが、文字や絵柄等のパターン状に設けても良い。例えば本発明の積層体を袋状に形成する場合、シール部となる部分を避けるようにパターン状に微生物含有組成物を塗布すると、シール強度の低下を防止できるなどの利点がある。また、印刷においては網点状に印刷することにより基材層への微生物含有組成物の塗布面積を減らすことができる。これによりシール強度低下を防止することができる。
【0038】
微生物含有組成物には、印刷やコーティングを円滑に行うためのレベリング剤や消泡剤等の助剤をさらに添加することも可能である。
【0039】
シーラント層としては、酸素や二酸化炭素に対して透過性を有する材料、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンポリ4−メチルペンテン−1等が好ましい。また、これらの樹脂フィルムに微細な孔を形成した微細孔フィルムも使用できる。シーラント層4はヒートシールやインパルスシールなどのシールを可能とするための層であるが、シーラント層があると上記した微生物含有組成物層3、23、特に微生物が内容物に直接触れないようにすることが可能となる。
【0040】
このシーラント層4はその酸素透過度が5000ml/m2/Day/MPa以上であることが好ましい。酸素透過度がこれ以下のシーラント層を有する積層体によって作成される包装袋あるいは包装容器では、その内部の酸素が酵母層へスムーズに移行しないで酵母の好気呼吸が効率よく行われなくなると共に、微生物含有組成物層内で発生した二酸化炭素やアルコールがシーラント層を通過しにくくなり、所期の鮮度保持効果が得られなくなる。
【0041】
アンカーコート層25は微生物含有組成物層23と基材層22の密着性の向上と微生物含有組成物層23形成時における基材層22の濡れ性向上のために設けるものであり、例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂により形成する。
【0042】
さらに、オーバーコート層26は微生物含有組成物層23とシーラント層24の密着性を向上させるために設けるものであり、前記アンカーコート層25と同様にウレタン樹脂やアクリル樹脂、ポリエステル樹脂等により形成する。
【0043】
図3には本発明に係る包装袋の概略の断面構成が示してある。
この包装袋30は三方シール袋であって、前記したような構成の積層体、即ち少なくとも微生物とその栄養源を含有する微生物含有組成物層33が基材層32とシーラント層34の間に設けてある鮮度保持機能を有する積層体をそのシーラント層34が内側にくるようにし、周辺部でシールしてなるものである。
【0044】
包装袋30内では、積層体の微生物含有組成物層33中にある微生物が、その好気呼吸によりシーラント層34を透過してくる酸素を消費する。また、微生物は栄養源を発酵原料として発酵して二酸化炭素やアルコールを発生することになる。発生した二酸化炭素やアルコールはシーラント層34を透過して包装袋30内に到達し、内部をこれらのガスで満たすことになり、結果的には内容物37の酸化、延いては内容物37の劣化が防止できるようになる。
【0045】
また、包装袋の構成部材として図2に示すような構成の積層体、即ちアンカー層やオーバーコート層も設けてなる積層体を使用すれば、微生物含有組成物層とその他の層との密着性が一段と向上し、より厳しい輸送条件、使用環境の下での使用でも微生物含有組成物層と基材層、微生物含有組成物層とシーラント層の剥離(デラミ)を防止することができる。
【0046】
【実施例】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
<実施例1>
まず、微生物含有組成物層形成用塗工液1を下記組成で製造した。
【0048】
次に、上記組成の酵母層形成用塗工液1をコーティング法により、基材層であるシリカ蒸着ポリエステルフィルム(厚さ12μm、シリカ蒸着層の厚さ20nm)上に、塗布量1g/m2の厚さに塗布して微生物含有組成物層を形成した。次に、この微生物含有組成物層の上に、塗布量1g/m2の厚さに設けたポリエステルウレタン系ドライラミネート用接着剤層を介して、厚さ40μmのポリエチレンフィルムからなるシーラント層を積層・一体化し、本発明の鮮度保持機能を有する積層体を得た。
【0049】
<実施例2>
実施例1で用いたものと同じシリカ蒸着ポリエステルフィルムからなる基材層上に、ウレタン樹脂を主組成物とするアンカーコート剤を塗布量1g/m2の厚さに塗布しアンカーコート層を形成した。次に、このアンカーコート層上に、上記微生物含有組成物層形成用塗工液1をコーティング法により塗布量1g/m2の厚さに塗布し、微生物含有組成物層を設けた。さらに、微生物含有組成物層の上にはウレタン樹脂を主組成物とするオーバーコート剤を塗布しオーバーコート層を形成した後、さらに実施例1で用いたものと同じ接着剤層を介して厚さ40μmのポリエチレンフィルムからなるシーラント層を積層・一体化し、本発明の鮮度保持機能を有する積層体を得た。
【0050】
<実施例3>
微生物含有組成物層形成用塗工液2を下記組成で製造した。
塗工液として上記微生物含有組成物層形成用塗工液2を用いた以外は実施例1と同様にして、本発明の鮮度保持機能を有する積層体を得た。
【0051】
<実施例4>
塗工液として上記微生物含有組成物層形成用塗工液2を用いた以外は実施例2と同様にして、本発明の鮮度保持機能を有する積層体を得た。
【0052】
<実施例5>
微生物含有組成物層形成用塗工液3を下記組成で製造した。
塗工液として上記微生物含有組成物層形成用塗工液3を用いた以外は実施例1と同様にして、本発明の鮮度保持機能を有する積層体を得た。
【0053】
<実施例6>
塗工液として上記微生物含有組成物層形成用塗工液3を用いた以外は実施例1と同様にして、本発明の鮮度保持機能を有する積層体を得た。
【0054】
<比較例>
微生物含有組成物層を設けない以外は実施例1と同様にして、比較例の積層体を得た。
【0055】
<実験1>
上記各実施例と比較例で得られた積層体のそれぞれを10cm×10cm角にカットした。カットした二枚の積層体をそのシーラント層側が内側に位置するように重ね合わせると共に4方シールを行い包装袋を得た。各包装袋にはもち(水分活性(AW):1.0)、カステラ(AW:0.85)、白味噌(AW:0.78)、ピーナッツ(殻なし、AW:0.37)を内容物として実包(それぞれ約100g)し、1ヶ月経過後の内容物の状態を試験開始前の状態と比較した。保存条件は25℃、65%RHで行った。実験1の結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
実施例により得られた積層体が、内容物の食品の保存性を向上させていることを確認した。特に、吸収性薬剤を添加した実施例3から実施例6は低水分活性の食品に対しても高い保存性を付与していることを確認した。
【0058】
<実験2>
実施例及び比較例で得られた積層体にゲルボフレックス試験(「ゲルボフレックステスター」テスター産業(株)製、室温)を50回実施し、積層体の密着状態を確認した。実験2の結果を表2に示す。
【0059】
<実験3>
実施例及び比較例で得られた積層体を40℃、90%RHの環境下に1ヶ月間保存し、積層体の密着状態を確認した。実験3の結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
実験2、実験3の結果より、アンカーコート層及びオーバーコート層が微生物含有組成物層とその他の層との密着性を向上させ、デラミを防止させていることを確認した。
【0062】
【発明の効果】
本発明は以上に説明したように、微生物、栄養源、バインダー樹脂を含有する微生物含有組成物に関するものであり、この微生物含有組成物層を基材層とシーラント層との間に設けることにより、酸素吸収剤投入、ガス置換、真空包装を行わなくても内容物の酸化による劣化が防げ、鮮度が保持されるようになった。
また、微生物含有組成物に吸水性薬剤を添加する事により、水分活性の低い内容物に対してもその鮮度を維持することが可能となった。
また、基材層と微生物含有組成物層との間、微生物含有組成物層とシーラント層との間にアンカーコート層やオーバーコート層を設けることにより、微生物含有組成物層とその他のフィルム層との密着が向上し、より厳しい輸送条件、使用環境の下での使用でも破袋することがなく、所期の鮮度保持機能を維持しつつ内容物の確実な収納が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鮮度保持機能を有する積層体の概略の構成を示す断面説明図である。
【図2】本発明に係る他の鮮度保持機能を有する積層体の概略の構成を示す断面説明図である。
【図3】本発明の他の実施例に係る包装袋の概略の構成を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1、20・・積層体
2、22、32・・基材層
3、23、33・・微生物含有組成物層
4、24、34・・シーラント層
25・・アンカーコート層
26・・オーバーコート層
30・・包装袋
37・・内容物
Claims (17)
- 微生物、栄養源、バインダー樹脂を含む微生物含有組成物。
- 微生物含有組成物が吸水性薬剤を含むことを特徴とする請求項1記載の微生物含有組成物。
- 微生物が酵母であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の微生物含有組成物。
- バインダー樹脂がポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリエステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルケタール、ポリ酢酸ビニル、セルロール類、ポリビニルアルコールのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の微生物含有組成物。
- 吸水性薬剤がグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのアルコール類またはでんぷん、ゼラチン、寒天のいずれか1種類以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の微生物含有組成物。
- 微生物含有組成物が溶媒を含む請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の微生物含有組成物。
- 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の微生物含有組成物を含む材料を成形してなる成形体。
- 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の微生物含有組成物を基材層上に塗布した積層体。
- 基材層がポリアミド、セロハン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはこれらに蒸着層を形成した蒸着フィルムのいずれかであることを特徴とする請求項8記載の積層体。
- 酸素透過度が500ml/m2/Day/MPa以下であることを特徴とする請求項8または請求項9のいずれかに記載の積層体。
- 基材層と微生物含有組成物層の間にアンカーコート層を設けたことを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の積層体。
- 基材層、微生物含有組成物層の上にさらにシーラント層を設けたことを特徴とする請求項8ないし請求項11のいずれかに記載の積層体。
- シーラント層が低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンポリ4−メチルペンテン−1、あるいはこれらの樹脂フィルムに微細な孔を設けた微細孔フィルムからなることを特徴とする請求項12に記載の積層体。
- シーラント層の酸素透過度が5000ml/m2/Day/MPa以上であることを特徴とする請求項12または請求項13のいずれかに記載の積層体。
- 微生物含有組成物層とシーラント層の間にオーバーコート層を設けたことを特徴とする請求項12ないし請求項14のいずれかに記載の積層体。
- 微生物含有組成物層がパターン状に形成されることを特徴とする請求項8ないし請求項15のいずれかに記載の積層体。
- 請求項8ないし請求項16のいずれかに記載の積層体を少なくとも構成の一部に用いたことを特徴とする包装材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003069459A JP2004275046A (ja) | 2003-03-14 | 2003-03-14 | 微生物含有組成物、及びこれを用いた成形体、積層体ならびに包装材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003069459A JP2004275046A (ja) | 2003-03-14 | 2003-03-14 | 微生物含有組成物、及びこれを用いた成形体、積層体ならびに包装材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004275046A true JP2004275046A (ja) | 2004-10-07 |
Family
ID=33286486
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003069459A Pending JP2004275046A (ja) | 2003-03-14 | 2003-03-14 | 微生物含有組成物、及びこれを用いた成形体、積層体ならびに包装材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004275046A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101611919B (zh) * | 2006-01-27 | 2011-01-05 | 北京晟亚育达生物科技有限公司 | 发酵包装袋 |
JP2012030484A (ja) * | 2010-07-30 | 2012-02-16 | Toray Ind Inc | ガスバリア性フィルムの製造方法およびガスバリア性包材 |
KR101188200B1 (ko) | 2010-04-16 | 2012-10-09 | 쿠수하라 타이에이 | 선택적인 가스 투과성을 조절한 포장 필름 및 식품 포장백 내부의 식미조정방법 |
WO2013021860A1 (ja) * | 2011-08-11 | 2013-02-14 | 東レ株式会社 | 積層シートおよびその製造方法 |
JP2013519377A (ja) * | 2010-02-12 | 2013-05-30 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | 食品梱包用途における自己集合性ポリマー膜 |
WO2013092081A1 (en) * | 2011-12-21 | 2013-06-27 | Unilever N.V. | Packaging containing a stock cube or stock tablet |
CN107379703A (zh) * | 2017-07-21 | 2017-11-24 | 上海海洋大学 | 一种控释型活性包装薄膜及其制备方法 |
-
2003
- 2003-03-14 JP JP2003069459A patent/JP2004275046A/ja active Pending
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101611919B (zh) * | 2006-01-27 | 2011-01-05 | 北京晟亚育达生物科技有限公司 | 发酵包装袋 |
JP2013519377A (ja) * | 2010-02-12 | 2013-05-30 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | 食品梱包用途における自己集合性ポリマー膜 |
KR101188200B1 (ko) | 2010-04-16 | 2012-10-09 | 쿠수하라 타이에이 | 선택적인 가스 투과성을 조절한 포장 필름 및 식품 포장백 내부의 식미조정방법 |
JP2012030484A (ja) * | 2010-07-30 | 2012-02-16 | Toray Ind Inc | ガスバリア性フィルムの製造方法およびガスバリア性包材 |
WO2013021860A1 (ja) * | 2011-08-11 | 2013-02-14 | 東レ株式会社 | 積層シートおよびその製造方法 |
CN103732401A (zh) * | 2011-08-11 | 2014-04-16 | 东丽株式会社 | 层叠片材及其制备方法 |
JPWO2013021860A1 (ja) * | 2011-08-11 | 2015-03-05 | 東レ株式会社 | 積層シートおよびその製造方法 |
WO2013092081A1 (en) * | 2011-12-21 | 2013-06-27 | Unilever N.V. | Packaging containing a stock cube or stock tablet |
CN107379703A (zh) * | 2017-07-21 | 2017-11-24 | 上海海洋大学 | 一种控释型活性包装薄膜及其制备方法 |
CN107379703B (zh) * | 2017-07-21 | 2019-04-19 | 上海海洋大学 | 一种控释型活性包装薄膜及其制备方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US3712848A (en) | Deoxygenated package | |
JP2758080B2 (ja) | 制御された雰囲気の包装のための被覆薄膜 | |
JP2007508132A (ja) | 酸素排除性組成物およびその使用方法 | |
JP2002096877A (ja) | 包装容器、包装食品、および包装飼料 | |
CN105638851A (zh) | 一种食品保鲜垫及其制备方法 | |
EP1773578B1 (en) | Oxygen absorbing packaging material | |
JP2021183391A (ja) | 積層体、包装体及び包装物品 | |
JP2004275046A (ja) | 微生物含有組成物、及びこれを用いた成形体、積層体ならびに包装材 | |
JP2019181897A (ja) | 酸素吸収性フィルムおよび包装材 | |
JP2010264984A (ja) | 紙製液体容器 | |
JP2017164953A (ja) | 包装体用フィルム及びこれを用いた包装体 | |
JP3246538B2 (ja) | 蓋用パッキング | |
US10370155B2 (en) | Material and packaging for yeast storage | |
KR200207745Y1 (ko) | 김치제품의 팽창방지 포장재 | |
WO2005032816A1 (en) | Moisture vapor barrier laminate | |
JP3246537B2 (ja) | 蓋用パッキング | |
JPH0320226B2 (ja) | ||
JPH11151783A (ja) | 活性化型酸素吸収剤を含む包装用積層体 | |
JP2010001068A (ja) | 食品から離れやすい食品保存剤の包装材 | |
CN216612350U (zh) | 新型食物包装材料及奶酪包装物 | |
JP2000343661A (ja) | 酸素吸収性包装材及びそれを用いた包装袋、シール蓋 | |
JP3114896B2 (ja) | 卓越した内容品長期保存性を有する容器蓋 | |
JP3243910B2 (ja) | 蓋用パッキング | |
CN202368013U (zh) | 屋顶包用双面铝箔复合纸 | |
JP2002019870A (ja) | 納豆包装容器 |