JP2004273337A - 加熱ローラ、該加熱ローラを使用したカレンダー処理装置、及び該カレンダー処理装置を使用した磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
加熱ローラ、該加熱ローラを使用したカレンダー処理装置、及び該カレンダー処理装置を使用した磁気記録媒体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】磁気テープなどのシート状物を一対のローラ同士の間に通して加圧してカレンダー処理を行うのに好適であり、かつ、様様な温度分布に迅速に対応できる加熱ローラ、該加熱ローラを使用したカレンダー処理装置、及び該装置を使用した磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】回転自在に支持され得るローラ10の内部に、ローラの軸心に沿って磁束発生機構12が設けられるとともに、磁束発生機構12がローラの軸心を中心に同心円状に複数層設けられている。それぞれの層の磁束発生機構12を独立して制御可能な制御手段30を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】回転自在に支持され得るローラ10の内部に、ローラの軸心に沿って磁束発生機構12が設けられるとともに、磁束発生機構12がローラの軸心を中心に同心円状に複数層設けられている。それぞれの層の磁束発生機構12を独立して制御可能な制御手段30を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は加熱ローラ、該加熱ローラを使用したカレンダー処理装置、及び該カレンダー処理装置を使用した磁気記録媒体の製造方法に係り、特に、磁気テープなどのシート状物を一対のローラ同士の間に通して加圧してカレンダー処理を行うのに好適な加熱ローラ、該加熱ローラを使用したカレンダー処理装置、及び該カレンダー処理装置を使用した磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気テープなどの磁気記録媒体を製造する製造工程の一つに、カレンダー処理と呼ばれる表面平滑処理工程がある。この処理工程は、磁性層表面の平滑性や充填度の向上を目的とし、一対のローラで磁気テープを加圧することによって行われる。ローラとしては、表面が金属である金属ローラと、表面が樹脂などからなる弾性ローラとの組み合わせが一般的である。
【0003】
このうち、加熱ローラとしては、金属ローラが使用されるのが一般的である。この加熱ローラとして、回転する中空ローラの内部に誘導発熱機構を配置し、これによってローラの周壁を誘導発熱させる機構のものが多用されている。
【0004】
図4は、上記従来の加熱ローラ1の構成を説明する断面図である。加熱ローラ1の内部には、誘導発熱機構であるコイル2が配置されている。このコイル2で発生する磁界によって、周壁であるシェル3に渦電流を生じさせ、この渦電流によってジュール熱が発生する。すなわち、加熱ローラ1は、誘導加熱方式のローラである。
【0005】
コイル2への給電は、軸左端の回転トランス4より、リード線5、5…を介して電源8(図5参照)によりなされる。シェル3の一部には温度センサ6が埋め込まれており、この温度センサ6の信号により温度制御がなされる。また、シェル3の内部には、貫通孔であるヒートパイプ7が設けられており、このヒートパイプ7内に流体を循環させることによっても温度制御ができるようになっている。
【0006】
また、ローラの温度領域を複数領域とすべく、磁束発生機構をローラの軸心方向に沿って複数配備する構成の提案もなされている(特許文献1参照。)。このように、加熱ローラの軸心方向に温度分布をつけることにより、製品の特性を安定化させ、歩留りを向上させ得る効果が期待できるとされている。
【0007】
【特許文献1】
特公昭62−17359号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の構成によれば、加熱ローラの軸心方向に温度分布をつけることは可能であっても、製品の仕様に対応した様々な温度分布に対応させることは容易ではない。更に、特許文献1に記載の構成では、コイルとコイルとの間に磁束の落ち込みが生じるため、均一な温度分布が得られないという問題点がある。
【0009】
また、これとは別に、加熱ローラの誘導コイルに軸心方向の巻き分布を設け、これにより様々な温度分布に対応させる構成も考えられる。たとえば、軸心方向の中央部のみ他と比べて巻き分布を密にする構成、軸心方向の両端部のみ他と比べて巻き分布を密にする構成等である。図5は、後者の例を示す図であり、従来の加熱ローラ1の制御方法を示す概略図である。
【0010】
図5において、加熱ローラ1は図4のものと略同様の構成となっている。したがって、重複部分の説明は省略する。同図において、コイル2への給電は、電源8によりなされる。また、電源8は制御装置9に接続されており、これにより電源8が制御される。温度センサ6は制御装置9に接続されており、温度センサ6の信号により上記の温度制御がなされる。以上の図5の構成では、コイル2は1本の線よりなり、これを1つの電源8でコントロールしている。
【0011】
ところが、このような構成の加熱ローラ1では、製品の仕様が異なる毎に加熱ローラ1を交換し、様々な温度分布に対応させる必要がある。この作業は加熱ローラ1のサイズ(熱容量)、仕様(使用温度)等によって多少の違いはあるものの、加熱ローラ1の冷却だけで約3時間程度を要し、稼働率の低下を招来することとなる。また、製品の仕様に対応した加熱ローラ1を複数個在庫として準備する必要があり、設備面でも負担となる。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、磁気テープなどのシート状物を一対のローラ同士の間に通して加圧してカレンダー処理を行うのに好適であり、かつ、様々な温度分布に迅速に対応できる加熱ローラ、該加熱ローラを使用したカレンダー処理装置、及び該カレンダー処理装置を使用した磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、回転自在に支持され得るローラの内部に、該ローラの軸心に沿って磁束発生機構が設けられるとともに、前記磁束発生機構が該ローラの軸心を中心に同心円状に複数層設けられており、それぞれの層の前記磁束発生機構を独立して制御可能な制御手段を備えることを特徴とする加熱ローラ、該加熱ローラを使用したカレンダー処理装置、及び該カレンダー処理装置を使用した磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【0014】
本発明によれば、ローラの内部に、磁束発生機構がローラの軸心を中心に同心円状に複数層設けられており、それぞれの層の磁束発生機構が独立して制御され得る。したがって、たとえば、3層構造の磁束発生機構とし、最内層の磁束発生機構を均一な巻き分布の誘導コイルとし、中間層の磁束発生機構を軸心方向の中央部のみ他と比べて巻き分布を密にする構成の誘導コイルとし、最外層の磁束発生機構を軸心方向の両端部のみ他と比べて巻き分布を密にする構成の誘導コイルとできる。そして、各層の磁束発生機構を独立して制御すれば、様々な温度分布に迅速に対応できる加熱ローラとできる。
【0015】
なお、「磁束発生機構」としては、誘導コイルが一般的である。
【0016】
本発明において、前記磁束発生機構は誘導コイルであり、少なくとも1層の該誘導コイルの前記ローラの軸心に沿った巻き密度が部分的に異なっていることが好ましい。このような構成とすることにより、本発明の目的が容易に達成できるからである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って、本発明に係る加熱ローラ、該加熱ローラを使用したカレンダー処理装置、及び該カレンダー処理装置を使用した磁気記録媒体の製造方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0018】
図1は、本発明に係る加熱ローラ10の構成を示す概略図である。図2は、加熱ローラ10の誘導コイル(コイル12)の巻き分布を示す概略図である。なお、加熱ローラ10の全体構成は、コイル12以外の部分では図4に示される従来例と同一であることより、図示を省略する。ここで、図4に示されるヒートパイプ7は、本発明において必須の構成ではなく、省略することも可能である。
【0019】
回転自在に支持され得る加熱ローラ10の内部に、このローラの軸心に沿って磁束発生機構であるコイル12がローラの軸心周りに設けられるとともに、コイル12がローラの軸心を中心に同心円状に3層設けられている。すなわち、図2に示される最内層のコイル12A、中間層のコイル12C及び最外層のコイル12Bの3層構造の誘導コイルである。図1では、最外層のコイル12Bのみ示されている。
【0020】
図2において、(a)に示されるコイル12Aは、最内層に配されるもので、均一な巻き分布の誘導コイルである。このコイル12Aによる加熱ローラ10のシェル(周壁)の表面温度tの分布は、図示のグラフのように、長さL方向で略均一になる。
【0021】
図2において、(b)に示されるコイル12Bは、最外層に配されるもので、軸心方向の両端部のみ他と比べて巻き分布を密にする構成の誘導コイルである。このコイル12Bによる加熱ローラ10のシェル(周壁)の表面温度tの分布は、図示のグラフのように、長さL方向の両端部のみ高くなるパターンになる。
【0022】
図2において、(c)に示されるコイル12Cは、中間層に配されるもので、軸心方向の中央部のみ他と比べて巻き分布を密にする構成の誘導コイルである。このコイル12Cによる加熱ローラ10のシェル(周壁)の表面温度tの分布は、図示のグラフのように、長さL方向の中央部のみ高くなり、両端に向かって徐々に下がるパターンになる。
【0023】
それぞれのコイル12への給電は、軸左端の回転トランス14より、リード線16、16…を介して電源20によりなされる。すなわち、コイル12A(最内層)への給電は、リード線16A、16Aを介して電源20Aによりなされ、コイル12B(最外層)への給電は、リード線16B、16Bを介して電源20Bによりなされ、コイル12C(中間層)への給電は、リード線16C、16Cを介して電源20Cによりなされる。
【0024】
それぞれの電源20は、いずれも制御装置30に接続されており、この制御装置30により独立して制御される。また、加熱ローラ10のシェルの一部には温度センサ18(18A、18B、18C)が埋め込まれており、この温度センサ18は制御装置30に接続されている。これにより、それぞれのコイル12への給電制御が適切に行える。
【0025】
温度センサ18の種類、数、設置位置等に制約はなく、各種の態様が採用できる。通常は、シースタイプの熱電対(サーモカップル)が一般的であるが、これ以外に輻射タイプの赤外温度計、白金測温抵抗体、サーミスタ等、各種のタイプが採用できる。また、温度センサ18に代えて、光沢センサ、厚さセンサ、粗さセンサ、変位センサ等のセンサを採用して被加工物(磁気テープ等)の物理量等を検出してフィードバックを行う態様をも採用できる。
【0026】
図1の構成において、温度センサ18として熱電対を使用する場合には、それぞれのコイル12の制御が適切に行える箇所のシェルの部分に、温度センサ18が埋め込まれることが好ましい。たとえば、コイル12B(最外層)に対応する温度センサ18Bは、加熱ローラ10の長さL方向の端部の温度がモニタできる位置に埋め込まれ、コイル12C(中間層)に対応する温度センサ18Cは、加熱ローラ10の長さL方向の中央部の温度がモニタできる位置に埋め込まれ、コイル12A(最内層)に対応する温度センサ18Aは、加熱ローラ10の長さL方向の端部と中央部との中間部分の温度がモニタできる位置に埋め込まれることが好ましい。
【0027】
以上に説明した加熱ローラ10の温度制御について説明する。加熱ローラ10の温度制御は、各層のコイル12の電圧又は周波数を制御装置30により独立して制御することにより行う。各層のコイル12の巻き分布は既に決定されていることより、制御可能な項目は、各層のコイル12への供給電力のみである。そして、各層のコイル12への供給電力の配分を適正に設定することにより、所望の温度パターンが得られる。
【0028】
たとえば、加熱ローラ10の全体の温度レベルを所定の温度に維持したうえで、加熱ローラ10の両端部分の温度を局所的に高くしたい場合には、供給電力全体に対し、コイル12A(最内層)への配分を60%、コイル12B(最外層)への配分を40%、コイル12C(中間層)への配分を0%とする。
【0029】
一方、加熱ローラ10の全体の温度レベルを低い温度に維持したうえで、加熱ローラ10の中央部分のみ加熱したい場合には、供給電力全体に対し、コイル12A(最内層)への配分を20%、コイル12B(最外層)への配分を0%、コイル12C(中間層)への配分を80%とする。
【0030】
その他、加熱ローラ10全体の構成(特に、シェルの材質、シェルの厚さ等)、制御装置30の構成、各コイル12の巻き分布、温度センサ18の配置、温度センサ18の個数等に適した最適な制御方法を任意に選択できる。
【0031】
次に、本発明に係る加熱ローラ10を使用したカレンダー処理装置について説明する。図3は、本発明に係るカレンダー処理装置100の全体構成を示す概略図である。同図に示されるように、カレンダー処理装置100は、テープ送出装置112、グルーブドサクションドラム(以下、GSDと略す)114、ダンサローラ(テンション調節手段に相当)116、加圧部118、巻取装置120等によって構成されている。
【0032】
テープ送出装置112には、シート状の磁気テープ122がロール状に巻回された状態で装着される。磁気テープ122は、たとえば、シート状の支持体(不図示)の表面に非磁性層と磁性層を形成し、支持体の裏面にバックコート層を形成して構成される。この磁気テープ122は、GSD114を回転させることによって、テープ送出装置112から送り出される。GSD114は、エアをその内部に吸引することによって表面に磁気テープ122を吸着しながら回転するドラムであり、その表面には、磁気テープ122との保持力を高めるための溝が形成されている。なお、GSD114の代わりに、表面がフラットなサクションドラムや一対のローラ(不図示)を用いて磁気テープ122を搬送するようにしてもよい。
【0033】
GSD114によって送り出された磁気テープ122は、ダンサローラ116を経て加圧部118に送られる。ダンサローラ116は、ガイドローラ124、126の間の磁気テープ122に吊り下げられるとともに、支持アーム128によって支持される。支持アーム128は、一方側(図3中、右側)の端部を中心に揺動自在に支持され、他方側(図3中、左側)の端部には、シリンダ132が取り付けられる。このシリンダ132で支持アーム128を引っ張ることによってダンサローラ116が昇降され、磁気テープ122のインフィード部のテンションが調節される。ここで、インフィード部とは、GSD114から加圧部118までの間とする。
【0034】
インフィード部に高テンションが付与された磁気テープ122は、加圧部118に送られる。加圧部118は、鉛直方向に積み重ねられた五段の金属ローラ134A〜134Eからなり、各金属ローラ134A〜134Eは、水平な軸を中心として回転自在に設けられている。各金属ローラ134A〜134Eの表面には、硬さと耐磨耗性向上の観点から、電解質による硬質クロムメッキ処理がなされている。
【0035】
上記金属ローラ134A〜134Eのうち、ローラ134A、134C及び134Eは既述の加熱ローラ10と同一仕様のものである。このローラ134A、134C及び134Eは、表面を60〜120度に加熱することができるようになっている。一方、ローラ134B及び134Dはバックアップローラである。なお、このバックアップローラであるローラ134B及び134Dに、冷却ローラとしての機能を果たさせるべく、水冷管を設ける構成であってもよい。
【0036】
金属ローラ134A〜134Eのうち、最下段の金属ローラ134Eは、回転軸の位置が固定され、他の金属ローラ134A〜134Dは、回転軸が水平状態を保ったまま上下方向に移動できるように構成される。また、最下段の金属ローラ134Eには、この金属ローラ134Eを回転させるためのモータ138が接続され、最上段の金属ローラ134Aには、この金属ローラ134Aを下方に付勢する付勢装置136が取り付けられている。この付勢装置136で金属ローラ134Aを下方に付勢することによって、各金属ローラ134A〜134Eが密着される。
【0037】
さらに、この状態で金属ローラ134Eを回転させることによって、金属ローラ134A〜134Dが金属ローラ134Eに連れ回りする。なお、付勢装置136による付勢を解除した際、金属ローラ134A〜134Dは上方に移動し、各金属ローラ134A〜134Eの間にすき間が形成されるように構成される。磁気テープ122は、このすき間を通過するようにして、ガイドローラ142、143、144に巻きかけてセットされる。そして、付勢装置136で金属ローラ134Aを下方に付勢し、金属ローラ134A〜134Eを密着させることによって、磁気テープ122が金属ローラ134A〜134Eによって挟み込まれる。
【0038】
金属ローラ134A〜134Eによって挟み込まれて加圧された磁気テープ122は、巻取装置120で巻き取られる。その際、磁気テープ122のひずみを防止するためには、磁気テープ122の厚さが10μm程度の場合、磁気テープ122のテンションを幅1mあたり10kg以下とすることが好ましい。なお、金属ローラ134Eと巻取装置120との間にはダンサローラ140が設けられ、このダンサローラ140によって、磁気テープ122の張力変動が吸収される。
【0039】
更に、必要に応じて、加圧処理後の磁気テープ122のテンションを検出し、この検出値に応じて加圧処理前の磁気テープ122のテンションを調節するような構成をも採用できる。この構成について、簡略に説明する。各ガイドローラ142〜144の両端部には、ロードセル(テンション測定手段)148〜150が組み込まれており、このロードセル148〜150によって、ガイドローラ142〜144に巻きかけられた磁気テープ122のテンションが測定される。
【0040】
各ガイドローラ142〜144のロードセル148〜150は制御装置146に接続される。制御装置146は、ロードセル148〜150の検出値に基づいてシリンダ132を制御し、インフィード部の磁気テープ122のテンションを調節する。たとえばガイドローラ142〜144のいずれかで磁気テープ122のテンションが設定値(または設定範囲)よりも小さかった場合には、シリンダ132によってインフィード部の磁気テープ122のテンションを増加させる。逆に、ガイドローラ142〜144のいずれかで磁気テープ122のテンションが設定値(または設定範囲)よりも大きかった場合には、シリンダ132によってインフィード部の磁気テープ122のテンションを減少させる。
【0041】
また、制御装置146は、付勢装置136が金属ローラ134Aを付勢するタイミングに応じて、シリンダ132の制御を行っている。すなわち、付勢装置136で金属ローラ134Aを付勢するのと同時に、シリンダ132で磁気テープ122のインフィード部に高テンションを付与し、付勢装置136による付勢を停止するのと同時にシリンダ132による高テンション付与を停止している。これにより、各金属ローラ134A〜134Eで磁気テープ122を挟み込んでいる間だけ、磁気テープ122のインフィード部に高テンションが付与される。
【0042】
次に、上記のように構成されたカレンダー処理装置100の作用について説明する。先ず、GSD114や巻取装置120によって磁気テープ122を走行させる。その際、シリンダ132の駆動と付勢装置136の付勢は解除しておくので、磁気テープ122は、低いテンションの状態で、各金属ローラ134A〜134Eの間を走行する。
【0043】
磁気テープ122の速度が低速で一定になった後、磁気テープ122の加圧を開始する。すなわち、付勢装置136によって金属ローラ134Aを下方に付勢し、各金属ローラ134A〜134Eを密着させ、磁気テープ122を挟み込む。これにより、金属ローラ134A〜134Dが金属ローラ134Eに連れ回りしながら、磁気テープ122を加圧する。
【0044】
磁気テープ122の加圧を開始したのと同時に、又はその直後にシリンダ132によってインフィード部に高テンションをかける。この大きさは、磁気テープ122の種類や厚さ、処理条件などによって異なるが、磁気テープ122の厚さが10μm程度であれば、幅1mあたり20〜40kg程度とすることが好ましい。このように高テンションをかけることによって、磁気テープ122は、長手方向に伸長される。
【0045】
磁気テープ122に高テンションをかけた後、磁気テープ122の速度を増加させ、磁気テープ122を高速で走行させる。高速で走行した磁気テープ122は、巻取装置120で巻き取られる。
【0046】
以上に説明したカレンダー処理装置100に本発明に係る加熱ローラ10を使用した場合、すなわち、図3のローラ134A、134C及び134Eを既述の加熱ローラ10と同一仕様のものとした場合、それぞれのローラ134の温度分布を任意に制御できる。したがって、製品の仕様に対応した様々な温度分布に対応させることが容易であり、稼働率の向上、設備面での負担軽減、磁気記録媒体の品質向上等に顕著な効果を発揮できる。
【0047】
以上、本発明に係る加熱ローラ、該加熱ローラを使用したカレンダー処理装置、及び該カレンダー処理装置を使用した磁気記録媒体の製造方法の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。たとえば、加熱ローラ10の構成、シェルの材質、形状等の限定はなく、任意の構造等が採用できる。
【0048】
また、カレンダー処理装置100の金属ローラ134A〜134Eを五段に配したが、金属ローラ134A〜134Eの個数はこれに限定されるものではなく、四段以下であっても、六段以上であってもよい。また、対向する二個の金属ローラを一組として複数組、配設してもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ローラの内部に、磁束発生機構がローラの軸心を中心に同心円状に複数層設けられており、それぞれの層の磁束発生機構が独立して制御され得る。したがって、たとえば、3層構造の磁束発生機構とし、最内層の磁束発生機構を均一な巻き分布の誘導コイルとし、中間層の磁束発生機構を軸心方向の中央部のみ他と比べて巻き分布を密にする構成の誘導コイルとし、最外層の磁束発生機構を軸心方向の両端部のみ他と比べて巻き分布を密にする構成の誘導コイルとできる。そして、各層の磁束発生機構を独立して制御すれば、様々な温度分布に迅速に対応できる加熱ローラとできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る加熱ローラの構成を示す概略図
【図2】加熱ローラの誘導コイルの巻き分布を示す概略図
【図3】本発明に係るカレンダー処理装置の全体構成を示す概略図
【図4】従来の加熱ローラの構成を説明する断面図
【図5】従来の加熱ローラの制御方法を示す概略図
【符号の説明】
10…加熱ローラ、12…コイル、14…回転トランス、16…リード線、18…温度センサ、20…電源、30…制御装置、100…カレンダー処理装置、122…磁気テープ
【発明の属する技術分野】
本発明は加熱ローラ、該加熱ローラを使用したカレンダー処理装置、及び該カレンダー処理装置を使用した磁気記録媒体の製造方法に係り、特に、磁気テープなどのシート状物を一対のローラ同士の間に通して加圧してカレンダー処理を行うのに好適な加熱ローラ、該加熱ローラを使用したカレンダー処理装置、及び該カレンダー処理装置を使用した磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気テープなどの磁気記録媒体を製造する製造工程の一つに、カレンダー処理と呼ばれる表面平滑処理工程がある。この処理工程は、磁性層表面の平滑性や充填度の向上を目的とし、一対のローラで磁気テープを加圧することによって行われる。ローラとしては、表面が金属である金属ローラと、表面が樹脂などからなる弾性ローラとの組み合わせが一般的である。
【0003】
このうち、加熱ローラとしては、金属ローラが使用されるのが一般的である。この加熱ローラとして、回転する中空ローラの内部に誘導発熱機構を配置し、これによってローラの周壁を誘導発熱させる機構のものが多用されている。
【0004】
図4は、上記従来の加熱ローラ1の構成を説明する断面図である。加熱ローラ1の内部には、誘導発熱機構であるコイル2が配置されている。このコイル2で発生する磁界によって、周壁であるシェル3に渦電流を生じさせ、この渦電流によってジュール熱が発生する。すなわち、加熱ローラ1は、誘導加熱方式のローラである。
【0005】
コイル2への給電は、軸左端の回転トランス4より、リード線5、5…を介して電源8(図5参照)によりなされる。シェル3の一部には温度センサ6が埋め込まれており、この温度センサ6の信号により温度制御がなされる。また、シェル3の内部には、貫通孔であるヒートパイプ7が設けられており、このヒートパイプ7内に流体を循環させることによっても温度制御ができるようになっている。
【0006】
また、ローラの温度領域を複数領域とすべく、磁束発生機構をローラの軸心方向に沿って複数配備する構成の提案もなされている(特許文献1参照。)。このように、加熱ローラの軸心方向に温度分布をつけることにより、製品の特性を安定化させ、歩留りを向上させ得る効果が期待できるとされている。
【0007】
【特許文献1】
特公昭62−17359号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の構成によれば、加熱ローラの軸心方向に温度分布をつけることは可能であっても、製品の仕様に対応した様々な温度分布に対応させることは容易ではない。更に、特許文献1に記載の構成では、コイルとコイルとの間に磁束の落ち込みが生じるため、均一な温度分布が得られないという問題点がある。
【0009】
また、これとは別に、加熱ローラの誘導コイルに軸心方向の巻き分布を設け、これにより様々な温度分布に対応させる構成も考えられる。たとえば、軸心方向の中央部のみ他と比べて巻き分布を密にする構成、軸心方向の両端部のみ他と比べて巻き分布を密にする構成等である。図5は、後者の例を示す図であり、従来の加熱ローラ1の制御方法を示す概略図である。
【0010】
図5において、加熱ローラ1は図4のものと略同様の構成となっている。したがって、重複部分の説明は省略する。同図において、コイル2への給電は、電源8によりなされる。また、電源8は制御装置9に接続されており、これにより電源8が制御される。温度センサ6は制御装置9に接続されており、温度センサ6の信号により上記の温度制御がなされる。以上の図5の構成では、コイル2は1本の線よりなり、これを1つの電源8でコントロールしている。
【0011】
ところが、このような構成の加熱ローラ1では、製品の仕様が異なる毎に加熱ローラ1を交換し、様々な温度分布に対応させる必要がある。この作業は加熱ローラ1のサイズ(熱容量)、仕様(使用温度)等によって多少の違いはあるものの、加熱ローラ1の冷却だけで約3時間程度を要し、稼働率の低下を招来することとなる。また、製品の仕様に対応した加熱ローラ1を複数個在庫として準備する必要があり、設備面でも負担となる。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、磁気テープなどのシート状物を一対のローラ同士の間に通して加圧してカレンダー処理を行うのに好適であり、かつ、様々な温度分布に迅速に対応できる加熱ローラ、該加熱ローラを使用したカレンダー処理装置、及び該カレンダー処理装置を使用した磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、回転自在に支持され得るローラの内部に、該ローラの軸心に沿って磁束発生機構が設けられるとともに、前記磁束発生機構が該ローラの軸心を中心に同心円状に複数層設けられており、それぞれの層の前記磁束発生機構を独立して制御可能な制御手段を備えることを特徴とする加熱ローラ、該加熱ローラを使用したカレンダー処理装置、及び該カレンダー処理装置を使用した磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【0014】
本発明によれば、ローラの内部に、磁束発生機構がローラの軸心を中心に同心円状に複数層設けられており、それぞれの層の磁束発生機構が独立して制御され得る。したがって、たとえば、3層構造の磁束発生機構とし、最内層の磁束発生機構を均一な巻き分布の誘導コイルとし、中間層の磁束発生機構を軸心方向の中央部のみ他と比べて巻き分布を密にする構成の誘導コイルとし、最外層の磁束発生機構を軸心方向の両端部のみ他と比べて巻き分布を密にする構成の誘導コイルとできる。そして、各層の磁束発生機構を独立して制御すれば、様々な温度分布に迅速に対応できる加熱ローラとできる。
【0015】
なお、「磁束発生機構」としては、誘導コイルが一般的である。
【0016】
本発明において、前記磁束発生機構は誘導コイルであり、少なくとも1層の該誘導コイルの前記ローラの軸心に沿った巻き密度が部分的に異なっていることが好ましい。このような構成とすることにより、本発明の目的が容易に達成できるからである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って、本発明に係る加熱ローラ、該加熱ローラを使用したカレンダー処理装置、及び該カレンダー処理装置を使用した磁気記録媒体の製造方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0018】
図1は、本発明に係る加熱ローラ10の構成を示す概略図である。図2は、加熱ローラ10の誘導コイル(コイル12)の巻き分布を示す概略図である。なお、加熱ローラ10の全体構成は、コイル12以外の部分では図4に示される従来例と同一であることより、図示を省略する。ここで、図4に示されるヒートパイプ7は、本発明において必須の構成ではなく、省略することも可能である。
【0019】
回転自在に支持され得る加熱ローラ10の内部に、このローラの軸心に沿って磁束発生機構であるコイル12がローラの軸心周りに設けられるとともに、コイル12がローラの軸心を中心に同心円状に3層設けられている。すなわち、図2に示される最内層のコイル12A、中間層のコイル12C及び最外層のコイル12Bの3層構造の誘導コイルである。図1では、最外層のコイル12Bのみ示されている。
【0020】
図2において、(a)に示されるコイル12Aは、最内層に配されるもので、均一な巻き分布の誘導コイルである。このコイル12Aによる加熱ローラ10のシェル(周壁)の表面温度tの分布は、図示のグラフのように、長さL方向で略均一になる。
【0021】
図2において、(b)に示されるコイル12Bは、最外層に配されるもので、軸心方向の両端部のみ他と比べて巻き分布を密にする構成の誘導コイルである。このコイル12Bによる加熱ローラ10のシェル(周壁)の表面温度tの分布は、図示のグラフのように、長さL方向の両端部のみ高くなるパターンになる。
【0022】
図2において、(c)に示されるコイル12Cは、中間層に配されるもので、軸心方向の中央部のみ他と比べて巻き分布を密にする構成の誘導コイルである。このコイル12Cによる加熱ローラ10のシェル(周壁)の表面温度tの分布は、図示のグラフのように、長さL方向の中央部のみ高くなり、両端に向かって徐々に下がるパターンになる。
【0023】
それぞれのコイル12への給電は、軸左端の回転トランス14より、リード線16、16…を介して電源20によりなされる。すなわち、コイル12A(最内層)への給電は、リード線16A、16Aを介して電源20Aによりなされ、コイル12B(最外層)への給電は、リード線16B、16Bを介して電源20Bによりなされ、コイル12C(中間層)への給電は、リード線16C、16Cを介して電源20Cによりなされる。
【0024】
それぞれの電源20は、いずれも制御装置30に接続されており、この制御装置30により独立して制御される。また、加熱ローラ10のシェルの一部には温度センサ18(18A、18B、18C)が埋め込まれており、この温度センサ18は制御装置30に接続されている。これにより、それぞれのコイル12への給電制御が適切に行える。
【0025】
温度センサ18の種類、数、設置位置等に制約はなく、各種の態様が採用できる。通常は、シースタイプの熱電対(サーモカップル)が一般的であるが、これ以外に輻射タイプの赤外温度計、白金測温抵抗体、サーミスタ等、各種のタイプが採用できる。また、温度センサ18に代えて、光沢センサ、厚さセンサ、粗さセンサ、変位センサ等のセンサを採用して被加工物(磁気テープ等)の物理量等を検出してフィードバックを行う態様をも採用できる。
【0026】
図1の構成において、温度センサ18として熱電対を使用する場合には、それぞれのコイル12の制御が適切に行える箇所のシェルの部分に、温度センサ18が埋め込まれることが好ましい。たとえば、コイル12B(最外層)に対応する温度センサ18Bは、加熱ローラ10の長さL方向の端部の温度がモニタできる位置に埋め込まれ、コイル12C(中間層)に対応する温度センサ18Cは、加熱ローラ10の長さL方向の中央部の温度がモニタできる位置に埋め込まれ、コイル12A(最内層)に対応する温度センサ18Aは、加熱ローラ10の長さL方向の端部と中央部との中間部分の温度がモニタできる位置に埋め込まれることが好ましい。
【0027】
以上に説明した加熱ローラ10の温度制御について説明する。加熱ローラ10の温度制御は、各層のコイル12の電圧又は周波数を制御装置30により独立して制御することにより行う。各層のコイル12の巻き分布は既に決定されていることより、制御可能な項目は、各層のコイル12への供給電力のみである。そして、各層のコイル12への供給電力の配分を適正に設定することにより、所望の温度パターンが得られる。
【0028】
たとえば、加熱ローラ10の全体の温度レベルを所定の温度に維持したうえで、加熱ローラ10の両端部分の温度を局所的に高くしたい場合には、供給電力全体に対し、コイル12A(最内層)への配分を60%、コイル12B(最外層)への配分を40%、コイル12C(中間層)への配分を0%とする。
【0029】
一方、加熱ローラ10の全体の温度レベルを低い温度に維持したうえで、加熱ローラ10の中央部分のみ加熱したい場合には、供給電力全体に対し、コイル12A(最内層)への配分を20%、コイル12B(最外層)への配分を0%、コイル12C(中間層)への配分を80%とする。
【0030】
その他、加熱ローラ10全体の構成(特に、シェルの材質、シェルの厚さ等)、制御装置30の構成、各コイル12の巻き分布、温度センサ18の配置、温度センサ18の個数等に適した最適な制御方法を任意に選択できる。
【0031】
次に、本発明に係る加熱ローラ10を使用したカレンダー処理装置について説明する。図3は、本発明に係るカレンダー処理装置100の全体構成を示す概略図である。同図に示されるように、カレンダー処理装置100は、テープ送出装置112、グルーブドサクションドラム(以下、GSDと略す)114、ダンサローラ(テンション調節手段に相当)116、加圧部118、巻取装置120等によって構成されている。
【0032】
テープ送出装置112には、シート状の磁気テープ122がロール状に巻回された状態で装着される。磁気テープ122は、たとえば、シート状の支持体(不図示)の表面に非磁性層と磁性層を形成し、支持体の裏面にバックコート層を形成して構成される。この磁気テープ122は、GSD114を回転させることによって、テープ送出装置112から送り出される。GSD114は、エアをその内部に吸引することによって表面に磁気テープ122を吸着しながら回転するドラムであり、その表面には、磁気テープ122との保持力を高めるための溝が形成されている。なお、GSD114の代わりに、表面がフラットなサクションドラムや一対のローラ(不図示)を用いて磁気テープ122を搬送するようにしてもよい。
【0033】
GSD114によって送り出された磁気テープ122は、ダンサローラ116を経て加圧部118に送られる。ダンサローラ116は、ガイドローラ124、126の間の磁気テープ122に吊り下げられるとともに、支持アーム128によって支持される。支持アーム128は、一方側(図3中、右側)の端部を中心に揺動自在に支持され、他方側(図3中、左側)の端部には、シリンダ132が取り付けられる。このシリンダ132で支持アーム128を引っ張ることによってダンサローラ116が昇降され、磁気テープ122のインフィード部のテンションが調節される。ここで、インフィード部とは、GSD114から加圧部118までの間とする。
【0034】
インフィード部に高テンションが付与された磁気テープ122は、加圧部118に送られる。加圧部118は、鉛直方向に積み重ねられた五段の金属ローラ134A〜134Eからなり、各金属ローラ134A〜134Eは、水平な軸を中心として回転自在に設けられている。各金属ローラ134A〜134Eの表面には、硬さと耐磨耗性向上の観点から、電解質による硬質クロムメッキ処理がなされている。
【0035】
上記金属ローラ134A〜134Eのうち、ローラ134A、134C及び134Eは既述の加熱ローラ10と同一仕様のものである。このローラ134A、134C及び134Eは、表面を60〜120度に加熱することができるようになっている。一方、ローラ134B及び134Dはバックアップローラである。なお、このバックアップローラであるローラ134B及び134Dに、冷却ローラとしての機能を果たさせるべく、水冷管を設ける構成であってもよい。
【0036】
金属ローラ134A〜134Eのうち、最下段の金属ローラ134Eは、回転軸の位置が固定され、他の金属ローラ134A〜134Dは、回転軸が水平状態を保ったまま上下方向に移動できるように構成される。また、最下段の金属ローラ134Eには、この金属ローラ134Eを回転させるためのモータ138が接続され、最上段の金属ローラ134Aには、この金属ローラ134Aを下方に付勢する付勢装置136が取り付けられている。この付勢装置136で金属ローラ134Aを下方に付勢することによって、各金属ローラ134A〜134Eが密着される。
【0037】
さらに、この状態で金属ローラ134Eを回転させることによって、金属ローラ134A〜134Dが金属ローラ134Eに連れ回りする。なお、付勢装置136による付勢を解除した際、金属ローラ134A〜134Dは上方に移動し、各金属ローラ134A〜134Eの間にすき間が形成されるように構成される。磁気テープ122は、このすき間を通過するようにして、ガイドローラ142、143、144に巻きかけてセットされる。そして、付勢装置136で金属ローラ134Aを下方に付勢し、金属ローラ134A〜134Eを密着させることによって、磁気テープ122が金属ローラ134A〜134Eによって挟み込まれる。
【0038】
金属ローラ134A〜134Eによって挟み込まれて加圧された磁気テープ122は、巻取装置120で巻き取られる。その際、磁気テープ122のひずみを防止するためには、磁気テープ122の厚さが10μm程度の場合、磁気テープ122のテンションを幅1mあたり10kg以下とすることが好ましい。なお、金属ローラ134Eと巻取装置120との間にはダンサローラ140が設けられ、このダンサローラ140によって、磁気テープ122の張力変動が吸収される。
【0039】
更に、必要に応じて、加圧処理後の磁気テープ122のテンションを検出し、この検出値に応じて加圧処理前の磁気テープ122のテンションを調節するような構成をも採用できる。この構成について、簡略に説明する。各ガイドローラ142〜144の両端部には、ロードセル(テンション測定手段)148〜150が組み込まれており、このロードセル148〜150によって、ガイドローラ142〜144に巻きかけられた磁気テープ122のテンションが測定される。
【0040】
各ガイドローラ142〜144のロードセル148〜150は制御装置146に接続される。制御装置146は、ロードセル148〜150の検出値に基づいてシリンダ132を制御し、インフィード部の磁気テープ122のテンションを調節する。たとえばガイドローラ142〜144のいずれかで磁気テープ122のテンションが設定値(または設定範囲)よりも小さかった場合には、シリンダ132によってインフィード部の磁気テープ122のテンションを増加させる。逆に、ガイドローラ142〜144のいずれかで磁気テープ122のテンションが設定値(または設定範囲)よりも大きかった場合には、シリンダ132によってインフィード部の磁気テープ122のテンションを減少させる。
【0041】
また、制御装置146は、付勢装置136が金属ローラ134Aを付勢するタイミングに応じて、シリンダ132の制御を行っている。すなわち、付勢装置136で金属ローラ134Aを付勢するのと同時に、シリンダ132で磁気テープ122のインフィード部に高テンションを付与し、付勢装置136による付勢を停止するのと同時にシリンダ132による高テンション付与を停止している。これにより、各金属ローラ134A〜134Eで磁気テープ122を挟み込んでいる間だけ、磁気テープ122のインフィード部に高テンションが付与される。
【0042】
次に、上記のように構成されたカレンダー処理装置100の作用について説明する。先ず、GSD114や巻取装置120によって磁気テープ122を走行させる。その際、シリンダ132の駆動と付勢装置136の付勢は解除しておくので、磁気テープ122は、低いテンションの状態で、各金属ローラ134A〜134Eの間を走行する。
【0043】
磁気テープ122の速度が低速で一定になった後、磁気テープ122の加圧を開始する。すなわち、付勢装置136によって金属ローラ134Aを下方に付勢し、各金属ローラ134A〜134Eを密着させ、磁気テープ122を挟み込む。これにより、金属ローラ134A〜134Dが金属ローラ134Eに連れ回りしながら、磁気テープ122を加圧する。
【0044】
磁気テープ122の加圧を開始したのと同時に、又はその直後にシリンダ132によってインフィード部に高テンションをかける。この大きさは、磁気テープ122の種類や厚さ、処理条件などによって異なるが、磁気テープ122の厚さが10μm程度であれば、幅1mあたり20〜40kg程度とすることが好ましい。このように高テンションをかけることによって、磁気テープ122は、長手方向に伸長される。
【0045】
磁気テープ122に高テンションをかけた後、磁気テープ122の速度を増加させ、磁気テープ122を高速で走行させる。高速で走行した磁気テープ122は、巻取装置120で巻き取られる。
【0046】
以上に説明したカレンダー処理装置100に本発明に係る加熱ローラ10を使用した場合、すなわち、図3のローラ134A、134C及び134Eを既述の加熱ローラ10と同一仕様のものとした場合、それぞれのローラ134の温度分布を任意に制御できる。したがって、製品の仕様に対応した様々な温度分布に対応させることが容易であり、稼働率の向上、設備面での負担軽減、磁気記録媒体の品質向上等に顕著な効果を発揮できる。
【0047】
以上、本発明に係る加熱ローラ、該加熱ローラを使用したカレンダー処理装置、及び該カレンダー処理装置を使用した磁気記録媒体の製造方法の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。たとえば、加熱ローラ10の構成、シェルの材質、形状等の限定はなく、任意の構造等が採用できる。
【0048】
また、カレンダー処理装置100の金属ローラ134A〜134Eを五段に配したが、金属ローラ134A〜134Eの個数はこれに限定されるものではなく、四段以下であっても、六段以上であってもよい。また、対向する二個の金属ローラを一組として複数組、配設してもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ローラの内部に、磁束発生機構がローラの軸心を中心に同心円状に複数層設けられており、それぞれの層の磁束発生機構が独立して制御され得る。したがって、たとえば、3層構造の磁束発生機構とし、最内層の磁束発生機構を均一な巻き分布の誘導コイルとし、中間層の磁束発生機構を軸心方向の中央部のみ他と比べて巻き分布を密にする構成の誘導コイルとし、最外層の磁束発生機構を軸心方向の両端部のみ他と比べて巻き分布を密にする構成の誘導コイルとできる。そして、各層の磁束発生機構を独立して制御すれば、様々な温度分布に迅速に対応できる加熱ローラとできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る加熱ローラの構成を示す概略図
【図2】加熱ローラの誘導コイルの巻き分布を示す概略図
【図3】本発明に係るカレンダー処理装置の全体構成を示す概略図
【図4】従来の加熱ローラの構成を説明する断面図
【図5】従来の加熱ローラの制御方法を示す概略図
【符号の説明】
10…加熱ローラ、12…コイル、14…回転トランス、16…リード線、18…温度センサ、20…電源、30…制御装置、100…カレンダー処理装置、122…磁気テープ
Claims (4)
- 回転自在に支持され得るローラの内部に、該ローラの軸心に沿って磁束発生機構が設けられるとともに、
前記磁束発生機構が該ローラの軸心を中心に同心円状に複数層設けられており、
それぞれの層の前記磁束発生機構を独立して制御可能な制御手段を備えることを特徴とする加熱ローラ。 - 前記磁束発生機構は誘導コイルであり、少なくとも1層の該誘導コイルの前記ローラの軸心に沿った巻き密度が部分的に異なっている請求項1に記載の加熱ローラ。
- 前記請求項1又は2に記載の加熱ローラを1以上備えてなることを特徴とするカレンダー処理装置。
- 請求項3に記載のカレンダー処理装置を使用して、帯状可撓性支持体に磁性層が形成されてなる磁気記録媒体のカレンダー処理を行う工程を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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