JP2004273143A - 固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形燃料電池の空気極用材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】600℃〜800℃において中温域で性能を発揮できる空気極を備えるSOFCを提供する。
【解決手段】固体酸化物形燃料電池において、空気極を、式A1−xBxCo1−yFeyO3(ただし、Aは、La、Nd及びPrから選択される1種あるいは2種以上であり、Bは、Sr、Ca及びBaから選択される1種あるいは2種以上であり、Xは0.4<X≦1.0であり、0≦y≦0.8)で示される材料で構成するものとする。A元素に対するB元素の置換率xを従来に比して高めることにより中温域において好ましい電極性能が得ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】固体酸化物形燃料電池において、空気極を、式A1−xBxCo1−yFeyO3(ただし、Aは、La、Nd及びPrから選択される1種あるいは2種以上であり、Bは、Sr、Ca及びBaから選択される1種あるいは2種以上であり、Xは0.4<X≦1.0であり、0≦y≦0.8)で示される材料で構成するものとする。A元素に対するB元素の置換率xを従来に比して高めることにより中温域において好ましい電極性能が得ることができる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体酸化物形燃料電池に関し、特に、600℃〜800℃程度で作動するのに好ましい空気極を備える中温作動形の固体酸化物形燃料電池に関する。また、本発明は、固体酸化物形燃料電池用の空気極用酸化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体酸化物形燃料電池(以下、単にSOFCという。)は、高効率でクリーンな環境調和型の新しい発電システムとして期待され、各方面で開発が進められている。これまでの開発の主流は、作動温度が約1000℃付近の高温形SOFCであったが、その作動温度ではセル構成材料が劣化しやすく、長期の耐久性が問題となっていた。また、安価な金属材料のセパレータへの適用が不可能で、スタックコストも問題となっていた。これに対し、近年、上記問題を克服するために、作動温度を800℃以下に下げた低温形SOFCの研究開発が活発化し、平板形SOFCの主流になってきている。
【0003】
低温形SOFCの実用化には、800℃以下で作動する高性能な電極(空気極及び燃料極)の開発が必要不可欠である。空気極としては、混合伝導性を有するコバルタイト系のペロブスカイト酸化物が有力候補とされ、La0.6Sr0.4CoO3組成が一般的である。
また、SOFCの空気極用材料としては、La1−XSrXCoO3においては、0.1≦X≦0.4であることが好ましいことが開示されている(特許文献1)。また、特定構造のSOFCにおいて0.3≦X≦0.5であることが好ましいとするものもある(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−188117号公報
【特許文献2】
特開2001−256986号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明らによる研究によれば、これらの組成の空気極性能は800℃程度以上では十分であると考えられるものの700℃程度の作動温度になると電極性能は低下してしまうことがわかった。
そこで、本発明では、600℃〜800℃程度の中温域において性能を発揮できる空気極を備えるSOFCを提供することを目的とする。また、本発明は、このような空気極用材料を提供することを他の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を解決するべく検討したところ、40%あるいはそれより小さいSr置換率の空気極は1000℃の高温域で高い空気極性能を得ている以上、当該Sr置換率の空気極は中温域でも同様に適切であろうと考えられていた技術常識に反し、意外にも、最も好ましいと考えられていたストロンチウムの置換率を高めることにより中温域において好ましい空気極性能が得られることを見出した。すなわち、本発明者らは、従来の知見に反し、高い置換率が有効であることを見出したのである。かかる知見に基づいて以下の発明が教示される。
【0007】
(1)固体酸化物形燃料電池であって、
空気極が、式A1−xBxCo1−yFeyO3(ただし、Aは、La、Nd及びPrから選択される1種あるいは2種以上であり、Bは、Sr、Ca及びBaから選択される1種あるいは2種以上であり、Xは0.4<X≦1.0であり、0≦y≦0.8)で示される化合物を含む、燃料電池。
(2)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、0.6≦X≦1.0である、(1)記載の燃料電池。
(3)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、0.7≦X≦0.95である、(1)記載の燃料電池。
(4)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、AはLaである、(1)〜(3)のいずれかに記載の燃料電池。
(5)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、BはSrである、(1)〜(3)のいずれかに記載の燃料電池。
(6)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、AはLaであり、BはSrである、(1)〜(3)のいずれかに記載の燃料電池。
(7)電解質層が、式La1−aSraGa1−bMgbO3(ただし、0.1≦a≦0.2、0.1≦b≦0.3)で示される材料で構成される、(1)〜(6)のいずれかに記載の燃料電池。
(8)固体酸化物形燃料電池の空気極用材料であって、
式A1−xBxCo1−yFeyO3(ただし、Aは、La、Nd及びPrから選択される1種あるいは2種以上であり、Bは、Sr、Ca及びBaから選択される1種あるいは2種以上であり、Xは0.4<X≦1.0であり、0≦y≦0.8)で示される化合物を含む、材料。
(9)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、0.6≦X≦1.0である、(8)記載の材料。
(10)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、0.7≦X≦0.95である、(8)記載の材料。
(11)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、AはLaである、(8)〜(10)のいずれかに記載の材料。
(12)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、BはSrである、(8)〜(10)のいずれかに記載の材料。
(13)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、AはLaであり、BはSrである、(8)〜(10)のいずれかに記載の材料。
【0008】
これらの発明によると、LaなどのA元素に対するSrなどのB元素置換率を高めたコバルタイト系酸化物を含む空気極とすることで、600〜800℃程度の中温域において良好な電極性能を発揮することができる。これにより、中温作動に好ましいSOFCが提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の固体酸化物形燃料電池は、空気極が、式A1−xBxCo1−yFeyO3(ただし、Aは、La、Nd及びPrから選択される1種あるいは2種以上であり、Bは、Sr、Ca及びBaから選択される1種あるいは2種以上であり、Xは0.4<X≦1.0であり、0≦y≦0.8)で示される化合物(酸化物)を含有している。好ましくは、空気極はかかる化合物の1種あるいは2種以上を主体とし、さらに、好ましくは、これらの化合物の1種あるいは2種以上のみからなる。
以下、本発明の空気極用材料について説明し、次いで、空気極及びSOFCについて説明する。
【0010】
本発明の空気極用材料は、上記式により特定される組成を備えるコバルタイト系酸化物を含むんでいる。本発明の空気極材料は、上記式に包含される1種あるいは2種以上の酸化物を含むことができ、好ましくは、これらの酸化物を主体とし、より好ましくは、これらの酸化物のみからなる。なお、当該酸化物は、好ましくは、ペロブスカイト系酸化物である。
本発明においては、当該コバルタイト系酸化物におけるLa、Nd及びPrからなる群から選択されるA元素に対するSr、Ca及びBaからなる群から選択されるB元素の置換率xに特徴がある。置換率xは、0.4を超えることが好ましい。700℃以下の温度域において、置換率xが0.4以下であると顕著に電極性能が低下する。好ましくは、当該置換率は0.5以上である。0.5以上であると、600℃〜800℃の作動温度範囲で従来のSr置換率0.4のランタンコバルタイトに比較して電極性能が明らかに向上する。より好ましくは、置換率xは、0.6以上である。0.6以上であると、700℃以下の温度域においても、低い分極値を得ることができる。より好ましくは、置換率xは、0.7以上である。0.7以上であると、700℃以下の温度域においても安定的に低い分極値を得ることができる。また、上限は0.95以下であることが好ましい。0.95を超えるとペロブスカイト構造そのものの安定性が低下するおそれがあるからである。
したがって、例えば、置換率xは0.5以上1.0以下とすることができ、より好ましくは、0.6以上1.0以下とすることができ、さらに、0.7以上1.0以下とすることもできる。また、0.8以上1.0以下とすることもできる。好ましくは、0.7以上0.95以下とすることができる。
【0011】
また、本酸化物においては、A元素は、La、Nd及びPrからなる群から選択される1種あるいは2種以上とすることができる。これらの元素は任意の比率で組み合わされることができる。好ましくは、A元素としては、Laを含むことが好ましい。すなわち、A元素をLaのみ、LaとNd、LaとPr、及びLa、Nd及びPrとすることができる。好ましくは、A元素はLaのみとする。
また、B元素は、Sr、Ca及びBaからなる群から選択される1種あるいは2種以上とすることができる。これらの元素は任意の比率で組み合わされることができる。好ましくは、B元素としては、Srを含むことが好ましい。すなわち、B元素をSrのみ、SrとCa、SrとBa、及びSr、Ca及びBaとすることができる。好ましくは、B元素はSrのみとする。
このようなA元素とB元素との組み合わせについて、上記した置換率を適用することができる。
本酸化物においては、A元素をLaとし、B元素をSrとする組み合わせ、すなわち、La1−xSrxCo1−yFeyO3(ただし、Xは0.4<X≦1.0、0≦y≦0.8)を好ましく用いることができるが、Laの一部及び全部に替えて、Nd及び/又はPrを用いること、及び、Srの一部及び全部に替えて、Ca及び/又はBaを用いることは、既に、高温作動のSOFCの空気極材料においてなされており、当該置換によって同等の電極性能が得られることは当業者においてよく知られた事項である。
【0012】
本酸化物においては、Coの一部に替えてFeを含ませることができる。Feは、空気極の熱膨張率を調整ないし低減することができる。Coに対する置換率yが0以上0.8以下の範囲においては、SOFCの空気極材料としてFeを含めた場合においても、電極性能には同等であることがわかっている。置換率yは、電極活性の観点からは、好ましくは、0以上0.4以下であり、さらに好ましくは0以上0.2以下である。また、熱膨張率の観点からは、0.4以上0.8以下である。
【0013】
このような組成を有する材料は、セラミックス分野で通常採用されている方法で調製することができる。具体的には各構成金属元素の酸化物もしくはその前駆体(熱分解により酸化物に変化する材料、たとえば、炭酸塩、カルボン酸塩、酢酸塩、硝酸塩など)の粉末を所定の原子比で混合し、加水分解、噴霧熱分解法などの熱分解法等の方法を用いて原料粉末を合成することができる。
【0014】
本酸化物を用いて空気極を製造するには、通常のSOFCの作製方法にしたがって行うことができる。空気極は、予め仮焼した原料粉末にポリエチレングリコール等をバインダーとして加えたものを、電解質上にスクリーン印刷やスラリーコーティング等により焼成して焼き付けることにより得ることができる。あるいは、ドクターブレード法、圧縮成形、静水圧プレス、鋳込み成形等により、予め、空気極及び/又は電解質をシート状として、その後これらを積層して焼成することができる。空気極及び電解質のうち一方を予め焼成しておくこともできる。
なお、空気極は多孔質とし、電解質は緻密質とする必要がある。
【0015】
本発明の空気極の作動後の微細構造を確認したところ、特に、従来のコバルタイト系酸化物により形成した微細構造と変化はなく、また、組成比を本発明のコバルタイトの組成比範囲及び従来のコバルタイトの組成比の緻密焼結体を作製し、導電率を測定したところ、組成変化に対応した導電率の変化は見られなかった。このため、本空気極による電極性能の向上は、空気極表面への酸素吸着量の増大によるものと推測している。なお、当該推論は、本発明を拘束するものではない。
【0016】
本発明のSOFCにおいては、電解質として、従来公知の各種の電解質を用いることができるが、La1−aSraGa1−bMgbO3(ただし、0.1≦a≦0.2、0.1≦b≦0.3)で示される材料で構成されることが好ましい。より好ましくは、当該材料もペロブスカイト構造を有する。かかる組成の材料を用いることで、空気極層と電解質層との間で共通する金属元素を有するため、密着性に優れる構造を得ることができる。同時に界面抵抗の増大を抑制した積層構造を得ることができる。
【0017】
本発明のSOFCにおける燃料極は、各種公知の燃料極材料を用いることができるが、Ni系サーメット材料を好ましく用いることができる。Ni系サーメット材料としては、例えば、Ni−YSZ、Ni−SDCを挙げることができる。かかる燃料極材料は、特に、噴霧熱分解法により作製されていることが好ましい。当該方法によれば、球形に近い原料粉末を得ることができ、当該原料粉末を焼成することにより、大きな表面積を得ることができる。
【0018】
なお、ここで、SDCとは、(CeO2)0.8(SmO1.5)0.2を示している。なお、SDCに替えて、CeO2あるいは一般式(CeO2)1−x(MOn)x(ただし、Mは1価のアルカリ金属カチオン、2価のアルカリ土類カチオン、3価の希土類元素カチオンの群から選択される1種あるいは2種以上のカチオンであり、nは酸化原子数であり、xとしては、通常0<x≦0.4、好ましくは0.1≦x≦0.3、より好ましくは約0.2)で示される金属酸化物である混合導電性材料を用いることができる。
燃料極材料としては、かかる組成を有する混合導電性材料を熱分解により生成する金属塩と、Niを始めとして、Pt、Ruから選択される1種あるいは2種以上の金属を熱分解により生成する金属塩とを所定の比率(最終的な金属酸化物粒子と金属粒子との体積比が90:10〜30:70、より好ましくは、70:30〜40:60、さらに好ましくは50:50)として、噴霧熱分解法等により混合導電性材料粒子と金属酸化物粒子とが複合化された複合粒子(粒子径は好ましくは0.1μm以上10μm以下であり、各一次粒子の粒子径は0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。)を用いることができる。この燃料極材料を公知の方法でシート状とし、空気中で焼き付けた後、還元雰囲気中で還元処理を行うことにより、混合導電性粒子が金属粒子を取り囲むネットワーク状構造を有する多孔構造を有する燃料極を得ることができる。この燃料電極構造は、電極性能が向上されており、低温域においても優れた電極性能を有し、中温域で作動する固体酸化物形燃料電池に適している。
【0019】
上記した空気極を備える本発明のSOFCは、円筒型セルと平板型セルのいずれにも適用することができる。また、平板型セルは、スタック型と一体焼結型(モノリス型)のいずれでもよい。
本発明のSOFCは、その空気極が600℃〜800℃の中温域で優れた電極特性を発揮できるため、当該中温作動形SOFCとして有用である。なお、その作動域は、好ましくは650℃以上800℃以下である。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0021】
(試験例1)
共沈法により、La1−xSrxCoO3において、xが0.2、0.4、0.6、及び0.8(それぞれ比較試料1、2及び試料1、2)の原料粉末を調製し、空気極用原料とした。空気極は、1000℃で24時間仮焼した原料に、ポリエチレングリコールをバインダーとして添加し、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.2O3電解質上に、スクリーン印刷し、1000℃、4時間、空気中で焼き付けて作製した。なお、燃料極は、噴霧熱分解合成した、NiO−SDC複合粉体(1000℃、24時間仮焼)をスクリーン印刷・焼き付け法(1300℃、2時間焼成)にて、作製し、発電試験用の単セル(LSGM電解質の厚み0.5mm)とした。
【0022】
空気極の電極性能は、電流遮断法にて測定し、電気化学的(η)分極により電極性能を評価した。測定温度は700℃及び800℃とし、燃料には、H2+3vol%H2O(流量=50cm3/min)を、酸化剤には空気(流量=50cm3/min)をそれぞれ使用した。なお、集電体には、白金メッシュを用いた。
【0023】
図1及び図2に、作製した4種類の空気極の700℃及び800℃の作動温度における電極性能をそれぞれ示す。Sr置換率が増加するのに伴い、電極性能が明らかに向上した。また、特に、試料2(La0.2Sr0.8CoO3組成)の電極性能は、700℃作動でも、20mV(電流密度300mA/cm2)程度で、非常に高性能であることがわかった。これに対し、従来材料である比較試料2(La0.6Sr0.4CoO3組成)では、100mV(電流密度300mA/cm2)であった。
また、図2によれば、800℃においては、より一層高い電極性能を呈することがわかった。
【0024】
さらに、発電試験後の各空気極の電極ミクロ構造を電子顕微鏡にて観察したところ、Sr置換率が増加するのに伴い、La(Sr)CoO3粒子の粒成長が若干観察されたが、どの空気極においても比較的微細な多孔質構造を有していた。
【0025】
さらに、前記各原料を、250kgf/cm2で一軸成形し、さらに、3000kgf/cm2でCIP成形した後、1250℃で5時間焼成して、緻密焼結体を作製し、導電率をそれぞれ測定した。結果は、図3に示すように、組成変化に対する大きな変化は観察されなかった。したがって、Sr置換率の増加に伴う電極性能の向上は、空気極表面への酸素の吸着量等の相違からくることが推測された。なお、導電率の測定は、焼結体の試験片に、白金ペーストを用いて白金線を接続した後、温度が調製可能な装置内で直流4端子法で測定した。
【0026】
以上のことから、La/Sr比を最適化した(La,Sr)CoO3酸化物は、700℃作動でも非常に優れた電極性能を示し、本空気極を備えるSOFCは、600℃〜800℃の中温域(好ましくは約700℃)作動において、優れた電極性能を示す、高性能な中温作動形SOFC及び当該SOFC用空気極であることがわかった。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、中温作動域において良好な性能を発揮できる空気極を備えるSOFCを提供できる。また、本発明によれば、中温作動域において性能を発揮できる空気極用酸化物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】作動温度700℃における電気化学的(η)分極と電流密度との関係を示す図である。
【図2】作動温度800℃における電気化学的(η)分極と電流密度との関係を示す図である。
【図3】各種組成の(La,Sr)CoO3酸化物緻密焼結体の導電率を示すグラフ図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体酸化物形燃料電池に関し、特に、600℃〜800℃程度で作動するのに好ましい空気極を備える中温作動形の固体酸化物形燃料電池に関する。また、本発明は、固体酸化物形燃料電池用の空気極用酸化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体酸化物形燃料電池(以下、単にSOFCという。)は、高効率でクリーンな環境調和型の新しい発電システムとして期待され、各方面で開発が進められている。これまでの開発の主流は、作動温度が約1000℃付近の高温形SOFCであったが、その作動温度ではセル構成材料が劣化しやすく、長期の耐久性が問題となっていた。また、安価な金属材料のセパレータへの適用が不可能で、スタックコストも問題となっていた。これに対し、近年、上記問題を克服するために、作動温度を800℃以下に下げた低温形SOFCの研究開発が活発化し、平板形SOFCの主流になってきている。
【0003】
低温形SOFCの実用化には、800℃以下で作動する高性能な電極(空気極及び燃料極)の開発が必要不可欠である。空気極としては、混合伝導性を有するコバルタイト系のペロブスカイト酸化物が有力候補とされ、La0.6Sr0.4CoO3組成が一般的である。
また、SOFCの空気極用材料としては、La1−XSrXCoO3においては、0.1≦X≦0.4であることが好ましいことが開示されている(特許文献1)。また、特定構造のSOFCにおいて0.3≦X≦0.5であることが好ましいとするものもある(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−188117号公報
【特許文献2】
特開2001−256986号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明らによる研究によれば、これらの組成の空気極性能は800℃程度以上では十分であると考えられるものの700℃程度の作動温度になると電極性能は低下してしまうことがわかった。
そこで、本発明では、600℃〜800℃程度の中温域において性能を発揮できる空気極を備えるSOFCを提供することを目的とする。また、本発明は、このような空気極用材料を提供することを他の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を解決するべく検討したところ、40%あるいはそれより小さいSr置換率の空気極は1000℃の高温域で高い空気極性能を得ている以上、当該Sr置換率の空気極は中温域でも同様に適切であろうと考えられていた技術常識に反し、意外にも、最も好ましいと考えられていたストロンチウムの置換率を高めることにより中温域において好ましい空気極性能が得られることを見出した。すなわち、本発明者らは、従来の知見に反し、高い置換率が有効であることを見出したのである。かかる知見に基づいて以下の発明が教示される。
【0007】
(1)固体酸化物形燃料電池であって、
空気極が、式A1−xBxCo1−yFeyO3(ただし、Aは、La、Nd及びPrから選択される1種あるいは2種以上であり、Bは、Sr、Ca及びBaから選択される1種あるいは2種以上であり、Xは0.4<X≦1.0であり、0≦y≦0.8)で示される化合物を含む、燃料電池。
(2)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、0.6≦X≦1.0である、(1)記載の燃料電池。
(3)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、0.7≦X≦0.95である、(1)記載の燃料電池。
(4)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、AはLaである、(1)〜(3)のいずれかに記載の燃料電池。
(5)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、BはSrである、(1)〜(3)のいずれかに記載の燃料電池。
(6)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、AはLaであり、BはSrである、(1)〜(3)のいずれかに記載の燃料電池。
(7)電解質層が、式La1−aSraGa1−bMgbO3(ただし、0.1≦a≦0.2、0.1≦b≦0.3)で示される材料で構成される、(1)〜(6)のいずれかに記載の燃料電池。
(8)固体酸化物形燃料電池の空気極用材料であって、
式A1−xBxCo1−yFeyO3(ただし、Aは、La、Nd及びPrから選択される1種あるいは2種以上であり、Bは、Sr、Ca及びBaから選択される1種あるいは2種以上であり、Xは0.4<X≦1.0であり、0≦y≦0.8)で示される化合物を含む、材料。
(9)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、0.6≦X≦1.0である、(8)記載の材料。
(10)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、0.7≦X≦0.95である、(8)記載の材料。
(11)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、AはLaである、(8)〜(10)のいずれかに記載の材料。
(12)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、BはSrである、(8)〜(10)のいずれかに記載の材料。
(13)前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、AはLaであり、BはSrである、(8)〜(10)のいずれかに記載の材料。
【0008】
これらの発明によると、LaなどのA元素に対するSrなどのB元素置換率を高めたコバルタイト系酸化物を含む空気極とすることで、600〜800℃程度の中温域において良好な電極性能を発揮することができる。これにより、中温作動に好ましいSOFCが提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の固体酸化物形燃料電池は、空気極が、式A1−xBxCo1−yFeyO3(ただし、Aは、La、Nd及びPrから選択される1種あるいは2種以上であり、Bは、Sr、Ca及びBaから選択される1種あるいは2種以上であり、Xは0.4<X≦1.0であり、0≦y≦0.8)で示される化合物(酸化物)を含有している。好ましくは、空気極はかかる化合物の1種あるいは2種以上を主体とし、さらに、好ましくは、これらの化合物の1種あるいは2種以上のみからなる。
以下、本発明の空気極用材料について説明し、次いで、空気極及びSOFCについて説明する。
【0010】
本発明の空気極用材料は、上記式により特定される組成を備えるコバルタイト系酸化物を含むんでいる。本発明の空気極材料は、上記式に包含される1種あるいは2種以上の酸化物を含むことができ、好ましくは、これらの酸化物を主体とし、より好ましくは、これらの酸化物のみからなる。なお、当該酸化物は、好ましくは、ペロブスカイト系酸化物である。
本発明においては、当該コバルタイト系酸化物におけるLa、Nd及びPrからなる群から選択されるA元素に対するSr、Ca及びBaからなる群から選択されるB元素の置換率xに特徴がある。置換率xは、0.4を超えることが好ましい。700℃以下の温度域において、置換率xが0.4以下であると顕著に電極性能が低下する。好ましくは、当該置換率は0.5以上である。0.5以上であると、600℃〜800℃の作動温度範囲で従来のSr置換率0.4のランタンコバルタイトに比較して電極性能が明らかに向上する。より好ましくは、置換率xは、0.6以上である。0.6以上であると、700℃以下の温度域においても、低い分極値を得ることができる。より好ましくは、置換率xは、0.7以上である。0.7以上であると、700℃以下の温度域においても安定的に低い分極値を得ることができる。また、上限は0.95以下であることが好ましい。0.95を超えるとペロブスカイト構造そのものの安定性が低下するおそれがあるからである。
したがって、例えば、置換率xは0.5以上1.0以下とすることができ、より好ましくは、0.6以上1.0以下とすることができ、さらに、0.7以上1.0以下とすることもできる。また、0.8以上1.0以下とすることもできる。好ましくは、0.7以上0.95以下とすることができる。
【0011】
また、本酸化物においては、A元素は、La、Nd及びPrからなる群から選択される1種あるいは2種以上とすることができる。これらの元素は任意の比率で組み合わされることができる。好ましくは、A元素としては、Laを含むことが好ましい。すなわち、A元素をLaのみ、LaとNd、LaとPr、及びLa、Nd及びPrとすることができる。好ましくは、A元素はLaのみとする。
また、B元素は、Sr、Ca及びBaからなる群から選択される1種あるいは2種以上とすることができる。これらの元素は任意の比率で組み合わされることができる。好ましくは、B元素としては、Srを含むことが好ましい。すなわち、B元素をSrのみ、SrとCa、SrとBa、及びSr、Ca及びBaとすることができる。好ましくは、B元素はSrのみとする。
このようなA元素とB元素との組み合わせについて、上記した置換率を適用することができる。
本酸化物においては、A元素をLaとし、B元素をSrとする組み合わせ、すなわち、La1−xSrxCo1−yFeyO3(ただし、Xは0.4<X≦1.0、0≦y≦0.8)を好ましく用いることができるが、Laの一部及び全部に替えて、Nd及び/又はPrを用いること、及び、Srの一部及び全部に替えて、Ca及び/又はBaを用いることは、既に、高温作動のSOFCの空気極材料においてなされており、当該置換によって同等の電極性能が得られることは当業者においてよく知られた事項である。
【0012】
本酸化物においては、Coの一部に替えてFeを含ませることができる。Feは、空気極の熱膨張率を調整ないし低減することができる。Coに対する置換率yが0以上0.8以下の範囲においては、SOFCの空気極材料としてFeを含めた場合においても、電極性能には同等であることがわかっている。置換率yは、電極活性の観点からは、好ましくは、0以上0.4以下であり、さらに好ましくは0以上0.2以下である。また、熱膨張率の観点からは、0.4以上0.8以下である。
【0013】
このような組成を有する材料は、セラミックス分野で通常採用されている方法で調製することができる。具体的には各構成金属元素の酸化物もしくはその前駆体(熱分解により酸化物に変化する材料、たとえば、炭酸塩、カルボン酸塩、酢酸塩、硝酸塩など)の粉末を所定の原子比で混合し、加水分解、噴霧熱分解法などの熱分解法等の方法を用いて原料粉末を合成することができる。
【0014】
本酸化物を用いて空気極を製造するには、通常のSOFCの作製方法にしたがって行うことができる。空気極は、予め仮焼した原料粉末にポリエチレングリコール等をバインダーとして加えたものを、電解質上にスクリーン印刷やスラリーコーティング等により焼成して焼き付けることにより得ることができる。あるいは、ドクターブレード法、圧縮成形、静水圧プレス、鋳込み成形等により、予め、空気極及び/又は電解質をシート状として、その後これらを積層して焼成することができる。空気極及び電解質のうち一方を予め焼成しておくこともできる。
なお、空気極は多孔質とし、電解質は緻密質とする必要がある。
【0015】
本発明の空気極の作動後の微細構造を確認したところ、特に、従来のコバルタイト系酸化物により形成した微細構造と変化はなく、また、組成比を本発明のコバルタイトの組成比範囲及び従来のコバルタイトの組成比の緻密焼結体を作製し、導電率を測定したところ、組成変化に対応した導電率の変化は見られなかった。このため、本空気極による電極性能の向上は、空気極表面への酸素吸着量の増大によるものと推測している。なお、当該推論は、本発明を拘束するものではない。
【0016】
本発明のSOFCにおいては、電解質として、従来公知の各種の電解質を用いることができるが、La1−aSraGa1−bMgbO3(ただし、0.1≦a≦0.2、0.1≦b≦0.3)で示される材料で構成されることが好ましい。より好ましくは、当該材料もペロブスカイト構造を有する。かかる組成の材料を用いることで、空気極層と電解質層との間で共通する金属元素を有するため、密着性に優れる構造を得ることができる。同時に界面抵抗の増大を抑制した積層構造を得ることができる。
【0017】
本発明のSOFCにおける燃料極は、各種公知の燃料極材料を用いることができるが、Ni系サーメット材料を好ましく用いることができる。Ni系サーメット材料としては、例えば、Ni−YSZ、Ni−SDCを挙げることができる。かかる燃料極材料は、特に、噴霧熱分解法により作製されていることが好ましい。当該方法によれば、球形に近い原料粉末を得ることができ、当該原料粉末を焼成することにより、大きな表面積を得ることができる。
【0018】
なお、ここで、SDCとは、(CeO2)0.8(SmO1.5)0.2を示している。なお、SDCに替えて、CeO2あるいは一般式(CeO2)1−x(MOn)x(ただし、Mは1価のアルカリ金属カチオン、2価のアルカリ土類カチオン、3価の希土類元素カチオンの群から選択される1種あるいは2種以上のカチオンであり、nは酸化原子数であり、xとしては、通常0<x≦0.4、好ましくは0.1≦x≦0.3、より好ましくは約0.2)で示される金属酸化物である混合導電性材料を用いることができる。
燃料極材料としては、かかる組成を有する混合導電性材料を熱分解により生成する金属塩と、Niを始めとして、Pt、Ruから選択される1種あるいは2種以上の金属を熱分解により生成する金属塩とを所定の比率(最終的な金属酸化物粒子と金属粒子との体積比が90:10〜30:70、より好ましくは、70:30〜40:60、さらに好ましくは50:50)として、噴霧熱分解法等により混合導電性材料粒子と金属酸化物粒子とが複合化された複合粒子(粒子径は好ましくは0.1μm以上10μm以下であり、各一次粒子の粒子径は0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。)を用いることができる。この燃料極材料を公知の方法でシート状とし、空気中で焼き付けた後、還元雰囲気中で還元処理を行うことにより、混合導電性粒子が金属粒子を取り囲むネットワーク状構造を有する多孔構造を有する燃料極を得ることができる。この燃料電極構造は、電極性能が向上されており、低温域においても優れた電極性能を有し、中温域で作動する固体酸化物形燃料電池に適している。
【0019】
上記した空気極を備える本発明のSOFCは、円筒型セルと平板型セルのいずれにも適用することができる。また、平板型セルは、スタック型と一体焼結型(モノリス型)のいずれでもよい。
本発明のSOFCは、その空気極が600℃〜800℃の中温域で優れた電極特性を発揮できるため、当該中温作動形SOFCとして有用である。なお、その作動域は、好ましくは650℃以上800℃以下である。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0021】
(試験例1)
共沈法により、La1−xSrxCoO3において、xが0.2、0.4、0.6、及び0.8(それぞれ比較試料1、2及び試料1、2)の原料粉末を調製し、空気極用原料とした。空気極は、1000℃で24時間仮焼した原料に、ポリエチレングリコールをバインダーとして添加し、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.2O3電解質上に、スクリーン印刷し、1000℃、4時間、空気中で焼き付けて作製した。なお、燃料極は、噴霧熱分解合成した、NiO−SDC複合粉体(1000℃、24時間仮焼)をスクリーン印刷・焼き付け法(1300℃、2時間焼成)にて、作製し、発電試験用の単セル(LSGM電解質の厚み0.5mm)とした。
【0022】
空気極の電極性能は、電流遮断法にて測定し、電気化学的(η)分極により電極性能を評価した。測定温度は700℃及び800℃とし、燃料には、H2+3vol%H2O(流量=50cm3/min)を、酸化剤には空気(流量=50cm3/min)をそれぞれ使用した。なお、集電体には、白金メッシュを用いた。
【0023】
図1及び図2に、作製した4種類の空気極の700℃及び800℃の作動温度における電極性能をそれぞれ示す。Sr置換率が増加するのに伴い、電極性能が明らかに向上した。また、特に、試料2(La0.2Sr0.8CoO3組成)の電極性能は、700℃作動でも、20mV(電流密度300mA/cm2)程度で、非常に高性能であることがわかった。これに対し、従来材料である比較試料2(La0.6Sr0.4CoO3組成)では、100mV(電流密度300mA/cm2)であった。
また、図2によれば、800℃においては、より一層高い電極性能を呈することがわかった。
【0024】
さらに、発電試験後の各空気極の電極ミクロ構造を電子顕微鏡にて観察したところ、Sr置換率が増加するのに伴い、La(Sr)CoO3粒子の粒成長が若干観察されたが、どの空気極においても比較的微細な多孔質構造を有していた。
【0025】
さらに、前記各原料を、250kgf/cm2で一軸成形し、さらに、3000kgf/cm2でCIP成形した後、1250℃で5時間焼成して、緻密焼結体を作製し、導電率をそれぞれ測定した。結果は、図3に示すように、組成変化に対する大きな変化は観察されなかった。したがって、Sr置換率の増加に伴う電極性能の向上は、空気極表面への酸素の吸着量等の相違からくることが推測された。なお、導電率の測定は、焼結体の試験片に、白金ペーストを用いて白金線を接続した後、温度が調製可能な装置内で直流4端子法で測定した。
【0026】
以上のことから、La/Sr比を最適化した(La,Sr)CoO3酸化物は、700℃作動でも非常に優れた電極性能を示し、本空気極を備えるSOFCは、600℃〜800℃の中温域(好ましくは約700℃)作動において、優れた電極性能を示す、高性能な中温作動形SOFC及び当該SOFC用空気極であることがわかった。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、中温作動域において良好な性能を発揮できる空気極を備えるSOFCを提供できる。また、本発明によれば、中温作動域において性能を発揮できる空気極用酸化物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】作動温度700℃における電気化学的(η)分極と電流密度との関係を示す図である。
【図2】作動温度800℃における電気化学的(η)分極と電流密度との関係を示す図である。
【図3】各種組成の(La,Sr)CoO3酸化物緻密焼結体の導電率を示すグラフ図である。
Claims (13)
- 固体酸化物形燃料電池であって、
空気極が、式A1−xBxCo1−yFeyO3(ただし、Aは、La、Nd及びPrから選択される1種あるいは2種以上であり、Bは、Sr、Ca及びBaから選択される1種あるいは2種以上であり、Xは0.4<X≦1.0であり、0≦y≦0.8)で示される化合物を含む、燃料電池。 - 前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、0.6≦X≦1.0である、請求項1記載の燃料電池。
- 前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、0.7≦X≦0.95である、請求項1記載の燃料電池。
- 前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、AはLaである、請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池。
- 前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、BはSrである、請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池。
- 前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、AはLaであり、BはSrである、請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池。
- 電解質層が、式La1−aSraGa1−bMgbO3(ただし、0.1≦a≦0.2、0.1≦b≦0.3)で示される材料で構成される、請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池。
- 固体酸化物形燃料電池の空気極用材料であって、
式A1−xBxCo1−yFeyO3(ただし、Aは、La、Nd及びPrから選択される1種あるいは2種以上であり、Bは、Sr、Ca及びBaから選択される1種あるいは2種以上であり、Xは0.4<X≦1.0であり、0≦y≦0.8)で示される化合物を含む、材料。 - 前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、0.6≦X≦1.0である、請求項8記載の材料。
- 前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、0.7≦X≦0.95である、請求項8記載の材料。
- 前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、AはLaである、請求項8〜10のいずれかに記載の材料。
- 前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、BはSrである、請求項8〜10のいずれかに記載の材料。
- 前記式A1−xBxCo1−yFeyO3において、AはLaであり、BはSrである、請求項8〜10のいずれかに記載の材料。
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