JP2004271797A - 吸音材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分割繊維を含む繊維ウエブを水流により極細繊維に分割するとともに絡合した、通気度が1〜50cm3/cm2/sec.の低通気性繊維シートからなる袋内に、前記低通気性繊維シートよりも通気性の高いニードルパンチ不織布を詰め込んだ吸音材、又は前記低通気性繊維シートからなる袋内に、繊維及び/又は粉体からなる充填材が充填された吸音材からなる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は吸音材に関し、自動車用に好適に使用することができ、特に自動車の座席の下、天井装飾材と車体との間、ダッシュボード内、ドアパネル装飾材と車体との間、或いはトランク装飾材と車体との間に配置して使用できる吸音材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車などの車両や建築物における静寂性を保つために、各種吸音材が使用されている。例えば、吸音材として、「繊維径が6ミクロン以下の極細繊維を含む目付が20〜200g/m2の不織布(A)と、目付が50〜2000g/m2の不織布(B)とが積層一体化されてなり、25℃における破断伸度が25%以上である吸音材」が提案されている(特許文献1)。この吸音材においては、極細繊維を含む不織布(A)のへたり防止、形態安定性の付与、毛羽立ちの抑制及び嵩高性の維持のために、不織布(B)と積層しており、具体的には、ニードルパンチ法により一体化している。しかしながら、この吸音材は積層一体化方向と直交する方向からの音に対しては十分に吸音できないものであった。
【0003】
また、吸音体構造として、「騒音の入射方向に対して剛体の前方に多孔質媒体を介して極細繊維薄膜を配してなる吸音体構造」が提案されている(特許文献2)。この吸音体構造においては、多孔質媒体と極細繊維薄膜とは接着又はニードルパンチングによって積層できることが開示されている。しかしながら、この吸音構造体も積層方向と直交する方向からの音に対しては十分に吸音できないものであった。
【0004】
更に、サイレンサー構造として、「柔軟な袋体に充填される未成形の粉体状ないし繊維状の吸音材と、袋体に延長形成した取付部とをもつサイレンサー構造」が提案されている(特許文献3)。このサイレンサー構造においては、柔軟な袋体として、ポリエステルスパンボンド不織布や微孔フィルムを開示している。しかしながら、このサイレンサー構造は吸音性の不十分なものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−161465号公報(特許請求の範囲、段落番号0018、0021など)
【特許文献2】
特開2000−238157号公報(特許請求の範囲、段落番号0011など)
【特許文献3】
特開2000−80925号公報(特許請求の範囲、段落番号0009など)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、全方向から音を十分に吸音することのできる、吸音性の優れる吸音材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1にかかる発明は、「通気度が1〜50cm3/cm2/sec.の低通気性繊維シートにより囲まれた空間内に、前記低通気性繊維シートよりも通気性の高い高通気性繊維シートが存在していることを特徴とする吸音材」である。このように、請求項1にかかる吸音材(以下、「第1吸音材」という)は、通気度が1〜50cm3/cm2/sec.の低通気性繊維シートと高通気性繊維シートとの通気度の差を利用した粘性吸音効果により吸音性能に優れており、また、低通気性繊維シートによって閉鎖空間を形成しているため、どの方向からの音も十分に吸音できるものである。
【0008】
本発明の請求項2にかかる発明は、「低通気性繊維シートと高通気性繊維シートとは結合していないことを特徴とする、請求項1記載の吸音材」である。このように、低通気性繊維シートと高通気性繊維シートとが結合していないと、これら繊維シートの境界面における繊維の自由度が高いため、更に吸音効果の高いものである。
【0009】
本発明の請求項3にかかる発明は、「高通気性繊維シートを構成する繊維同士は、単に絡んだ状態にあることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の吸音材」である。このように、高通気性繊維シートを構成する繊維同士が、単に絡んだ状態にあると、繊維の自由度が高いため、更に吸音効果の高いものである。
【0010】
本発明の請求項4にかかる発明は、「高通気性繊維シートが、開繊ウエブ又はニードルパンチ不織布からなることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の吸音材」である。このような開繊ウエブ又はニードルパンチ不織布からなる高通気性繊維シートは、単に絡んだ状態にあり、繊維の自由度が高いため、更に吸音効果の高いものである。
【0011】
本発明の請求項5にかかる発明は、「通気度が1〜50cm3/cm2/sec.の低通気性繊維シートにより囲まれた空間内に、繊維及び/又は粉体からなる充填材が充填されていることを特徴とする吸音材」である。請求項5にかかる吸音材(以下、「第2吸音材」という)は、通気度が1〜50cm3/cm2/sec.の低通気性繊維シートと充填材との通気度の差を利用した粘性吸音効果により吸音性能に優れており、また、低通気性繊維シートによって閉鎖空間を形成しているため、どの方向からの音も十分に吸音できるものである。
【0012】
本発明の請求項6にかかる発明は、「低通気性繊維シートと充填材とは結合していないことを特徴とする、請求項5記載の吸音材」である。このように、低通気性繊維シートと充填材とが結合していないと、低通気性繊維シートと充填材との境界面における充填材の自由度が高いため、更に吸音効果の高いものである。
【0013】
本発明の請求項7にかかる発明は、「充填材を構成する繊維同士、粉体同士、或いは繊維と粉体とは、融着も接着剤による接着もしていないことを特徴とする、請求項5又は請求項6記載の吸音材」である。このように、充填材を構成する繊維同士、粉体同士、或いは繊維と粉体とが、融着も接着剤による接着もしていないと、充填材の自由度が高いため、更に吸音効果の高いものである。
【0014】
本発明の請求項8にかかる発明は、「低通気性繊維シートは、繊度が0.01〜3dtexの繊維から構成されていることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の吸音材」である。このように、低通気性繊維シートが、繊度が0.01〜3dtexの繊維から構成されていると、目付が低くても1〜50cm3/cm2/sec.の通気度であることができるため、各種用途への汎用性の高いものである。
【0015】
本発明の請求項9にかかる発明は、「低通気性繊維シートが流体流絡合不織布からなることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の吸音材」である。この流体流絡合不織布は、目付が低くても繊維密度が均一であることができるため、安定した吸音性を発揮できる。
【0016】
本発明の請求項10にかかる発明は、「低通気性繊維シートは、分割繊維から発生した繊度が0.5dtex以下の極細繊維を含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の吸音材」である。このような低通気性繊維シートは、通気度が1〜50cm3/cm2/sec.であることが容易であるため、好適に使用できる。
【0017】
本発明の請求項11にかかる発明は、「自動車用に用いることを特徴とする、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の吸音材」である。このように、自動車用の吸音材として好適に使用できる。特に、自動車の座席の下、天井装飾材と車体との間、ダッシュボード内、ドアパネル装飾材と車体との間、或いはトランク装飾材と車体との間に配置して使用できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の第1吸音材、第2吸音材のいずれにおいても、通気度が1〜50cm3/cm2/sec.の低通気性繊維シートを備えており、この低通気性繊維シートによって、囲まれた空間を形成している。したがって、どの方向からの音に対しても効果的に吸音することができる。
【0019】
本発明の低通気性繊維シートの通気度は1〜50cm3/cm2/sec.である必要がある。これは、通気度が1cm3/cm2/sec.未満であると、高周波における吸音が著しく低下するためであり、好ましくは3cm3/cm2/sec.以上であり、より好ましくは5cm3/cm2/sec.以上である。他方、通気度が50cm3/cm2/sec.を超えると、低周波における吸音が著しく低下するためであり、好ましくは40cm3/cm2/sec.以下であり、より好ましくは30cm3/cm2/sec.以下である。この「通気度」は、JIS L 1096(6.27.1 A法(フラジール法))に規定されている方法により測定して得られる値をいう。
【0020】
このような低通気性繊維シートは、目付が低くても前記通気度を有する低通気性繊維シートであることができるように、繊度が0.01〜3dtexの繊維から構成されているのが好ましい。より好ましくは繊度が0.1〜2dtexの繊維から構成されている。なお、「繊度」とは、JIS L 1015に規定されているA法により得られる値を意味する。
【0021】
また、低通気性繊維シートを構成する繊維は繊維長が110mm以下の短繊維から構成されていても良いし、繊維長が110mmを超える長繊維から構成されていても良いし、短繊維と長繊維とが混在していても良い。この「繊維長」は、JIS L 1015(化学繊維ステープル試験法)B法(補正ステープルダイヤグラム法)により得られる値をいう。
【0022】
なお、低通気性繊維シートを構成する繊維は特に限定するものではないが、例えば、ガラス繊維や炭素繊維などの無機繊維、絹、羊毛、綿、麻などの天然繊維、レーヨン繊維などの再生繊維、アセテート繊維などの半合成繊維、ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維、ポリエステル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリメチルペンテン系繊維、芳香族ポリアミド繊維などの合成繊維から構成することができる。なお、低通気性繊維シートは1種類又は2種類以上の繊維から構成することができる。
【0023】
また、低通気性繊維シートを構成する繊維は、横断面形状が円形又は非円形の繊維であることができる。また、樹脂の存在していない部分を有する多孔繊維、又は中空繊維であることもできる。
【0024】
本発明の低通気性繊維シートの態様は、特に限定されるものではないが、例えば、織物、編物、不織布、或いはこれらの積層態様であることができる。これらの中でも、適当な繊度の繊維から構成することによって前記通気度を有する低通気性繊維シートであることが容易である不織布態様を含んでいるのが好ましい。この好適である不織布態様としては、例えば、メルトブロー法により製造した不織布の態様、ニードルパンチした繊維ウエブをカレンダー加工により圧縮させた不織布の態様、流体流絡合不織布の態様、などを挙げることができる。これらの中でも、流体流絡合不織布の態様であると、目付が低くても繊維密度が均一であることができ、安定した吸音性を発揮できるため好適である。この流体流絡合不織布は流体流(特に水流)を繊維ウエブに対して噴出させることによって、繊維同士を絡合させて不織布化したものであり、従来公知の方法により製造することができる。
【0025】
本発明の低通気性繊維シートは、分割繊維から発生した繊度が0.5dtex以下の極細繊維を含んでいるのが好ましい。このような低通気性繊維シートは、通気度が1〜50cm3/cm2/sec.であることが容易であるためである。なお、分割繊維とは、(1)横断面形状がオレンジ状又は多層積層状であるように、相溶性の低い樹脂を組合せた繊維、(2)ある溶媒によって溶解する樹脂と、前記溶媒によって溶解しないか、溶解速度が前記樹脂よりも遅い樹脂とを含む繊維、(3)ある溶媒による膨潤の程度の異なる樹脂を含む繊維、などを意味し、(1)の分割繊維の場合、水流などの流体流やニードルなどの外力によって分割して、繊度が0.5dtex以下の極細繊維を発生させることができ、(2)の分割繊維の場合、ある溶媒によって樹脂成分を溶解させて除去することによって、繊度が0.5dtex以下の極細繊維を発生させることができ、(3)の分割繊維の場合、ある溶媒に晒すことによって、膨潤の程度の差を利用して、繊度が0.5dtex以下の極細繊維を発生させることができる。これらの中でも、(1)又は(3)の分割繊維であると、分割繊維の構成樹脂量が減少せず、前記通気度であることがより容易であるため好適である。なお、極細繊維の繊度の下限は特に限定するものではないが、0.0001dtex程度が適当である。また、極細繊維の含有量は低通気性繊維シートの通気度が前記範囲内にあれば良く、特に限定するものではない。更に、極細繊維を含む低通気性繊維シートは上述の理由により、流体流絡合不織布からなるのが好ましい。したがって、上記(1)の分割繊維を使用して繊維ウエブを形成した後に、流体流(特に水流)を繊維ウエブに対して噴出させることによって、分割繊維を分割して極細繊維を発生させるとともに、繊維同士を絡合させて不織布化するのが最も好ましい。
【0026】
本発明の低通気性繊維シートの目付(1m2あたりの質量)は前記通気度であれば良く、特に限定するものではないが、20〜200g/m2であるのが好ましく、50〜150g/m2であるのがより好ましい。また、低通気性繊維シートの厚さ(1.96kPa荷重時の厚さ)も特に限定するものではないが、0.1〜2.0mmであるのが好ましく、0.5〜1.5mmであるのがより好ましい。
【0027】
本発明の第1吸音材は上述のような低通気性繊維シートにより囲まれた空間内に、低通気性繊維シートよりも通気性の高い高通気性繊維シートが存在するものである。そのため、第1吸音材は低通気性繊維シートと高通気性繊維シートとの通気度の差を利用した粘性吸音効果により吸音性能に優れるものである。
【0028】
第1吸音材における高通気性繊維シートの通気度は、低通気性繊維シートよりも通気度が高ければ良く、特に限定するものではない。
【0029】
第1吸音材における高通気性繊維シートは、低通気性繊維シートよりも通気性が高い限り、どのような繊維シートから構成されていても良いが、高通気性繊維シートを構成する繊維同士は、単に絡んだ状態にあるのが好ましい。このような状態にあると、繊維の自由度が高いため吸音効果に優れているためである。この「単に絡んだ状態」とは、絡みのみによって繊維シート形態を維持していることを意味し、例えば、構成繊維の融着や接着剤による接着によって結合していない状態にある。より具体的には、開繊ウエブ、流体流絡合不織布、ニードルパンチ不織布を挙げることができ、これらの中でも、目付や厚さの選択の幅が広く、各種用途に適する吸音特性を発揮できる、開繊ウエブ又はニードルパンチ不織布からなるのが好ましい。なお、開繊ウエブは、カード機等によって繊維を開繊しただけで、繊維同士を結合させるための工程(例えば、絡合工程、融着工程、接着工程)を経ていない繊維ウエブであり、繊維の巻縮によって、繊維同士が絡んで形態を維持した状態にある。
【0030】
なお、第1吸音材を構成する高通気性繊維シートを構成する繊維は特に限定されるものではないが、低通気性繊維シートを構成する繊維と同様の繊維から構成することができる。なお、高通気性繊維シートも1種類又は2種類以上の繊維から構成することができるし、横断面形状が円形又は非円形の繊維、多孔繊維及び/又は中空繊維を含んでいることができる。
【0031】
本発明の高通気性繊維シートの目付は前記通気度である限り、特に限定するものではないが、100〜1000g/m2であるのが好ましく、300〜600g/m2であるのがより好ましい。また、高通気性繊維シートの厚さ(98Pa荷重時の厚さ)も特に限定するものではないが、5〜20mmであるのが好ましく、10〜15mmであるのがより好ましい。
【0032】
本発明の第1吸音材においては、上記のような高通気性繊維シートが前述のような低通気性繊維シートにより囲まれた閉鎖空間に存在している。その存在状態は、低通気性繊維シートと高通気性繊維シートとが結合している状態、低通気性繊維シートと高通気性繊維シートとが結合していない状態、のいずれでもあることができるが、低通気性繊維シートと高通気性繊維シートとの界面における繊維の自由度が高いことによって吸音性能により優れているように、後者のように低通気性繊維シートと高通気性繊維シートとが結合していない状態にあるのが好ましい。この結合していない状態として、例えば、低通気性繊維シートと高通気性繊維シートとが絡合、融着、及び/又は接着によって結合していない状態、を挙げることができる。このような状態は低通気性繊維シートによって囲まれて形成された空間(例えば、袋)に、高通気性繊維シートを充填又は挿入することによって形成できる。
【0033】
本発明の第1吸音材は、例えば次のようにして製造することができる。まず、低通気性繊維シート2枚を重ね合わせた後、それらの周縁を、一部を残して結合(例えば、縫製、融着、接着、絡合など)して、袋状とする。次いで、この袋状の低通気性繊維シート間に高通気性繊維シートを充填又は挿入する。その後、結合していない周縁を、同様にして結合することにより、低通気性繊維シートにより囲まれた閉鎖空間に高通気性繊維シートが存在する第1吸音材を得ることができる。
【0034】
本発明の第2吸音材は前述のような低通気性繊維シートにより囲まれた空間内に、繊維及び/又は粉体からなる充填材が充填されたものである。そのため、第2吸音材も低通気性繊維シートと充填材との通気度の差を利用した粘性吸音効果により吸音性能に優れるものである。
【0035】
第2吸音材における充填材である繊維又は粉体はどのような状態にあっても良いが、充填材である繊維同士、粉体同士、或いは繊維と粉体とは、融着も接着剤による接着もしていないのが好ましい。このような状態にあると、充填材である繊維及び/又は粉体の自由度が高く、更に吸音性能に優れているためである。なお、繊維同士が絡んでいたとしても、繊維の自由度はある程度確保されているため、吸音性能への影響は小さい。
【0036】
なお、第2吸音材における充填材である繊維の種類、繊度等は特に限定されるものではないが、低通気性繊維シートを構成できる繊維と同様の繊維に加えて、反毛綿であることができる。反毛綿であると、リサイクル性に優れているという効果を奏する。なお、充填材である繊維も1種類又は2種類以上の繊維から構成することができるし、横断面形状が円形又は非円形の繊維、多孔繊維及び/又は中空繊維を含んでいることができる。
【0037】
また、第2吸音材における充填材である粉体は特に限定されるものではないが、平均粒子径が50〜500μmの粉体を使用できる。また、粉体構成材料としては、例えば、ポリエステル粉体などの有機粉体、砂などの無機粉体を挙げることができる。この充填材である粉体も1種類又は2種類以上の粉体から構成することができるし、繊維と組み合わされて使用することもできる。なお、平均粒子径は、粉体を走査型電子顕微鏡で拡大して撮影し、任意の500個以上の粉体の粒子径を測定した後、これら粉体の粒子径から算出した算術平均値をいう。粉体が球形でない場合には、個々の粉体の外接円の直径を、個々の粉体の粒子径とみなす。
【0038】
本発明の第2吸音材における充填材(繊維、粉体)の充填量は特に限定するものではないが、100〜1000g/m2であるのが好ましく、300〜600g/m2であるのがより好ましい。
【0039】
本発明の第2吸音材においては、上記のような充填材が前述のような低通気性繊維シートにより囲まれた閉鎖空間に充填されている。本発明の第2吸音材においては、充填材である繊維及び/又は粉体の自由度が高く、吸音性能に優れているように、低通気性繊維シートと充填材(繊維及び/又は粉体)とが結合していない状態にあるのが好ましい。この結合していない状態として、例えば、低通気性繊維シートと充填材とが絡合、融着、及び/又は接着によって結合していない状態、を挙げることができる。このような状態は低通気性繊維シートによって囲まれて形成された空間(例えば、袋)に、充填材を単に充填することによって形成できる。
【0040】
本発明の第2吸音材は、例えば次のようにして製造することができる。まず、低通気性繊維シート2枚を重ね合わせた後、それらの周縁を、一部を残して結合(例えば、縫製、融着、接着、絡合など)して、袋状とする。次いで、この袋状の低通気性繊維シート間に充填材を充填する。その後、結合していない周縁を、同様にして結合することにより、低通気性繊維シートにより囲まれた閉鎖空間に充填材が充填された第2吸音材を得ることができる。
【0041】
以上のように、本発明の第1吸音材、第2吸音材ともに、吸音材全体が低通気性繊維シートから構成されており、しかも低通気性シートにより形成された空間内に高通気性繊維シート又は充填材が存在しているため、全方向からの音を吸音することができ、しかも吸音性能の優れるものである。そのため、自動車などの車両や建築物などの、静寂性を必要とする用途に使用することができる。特に、自動車の座席の下、天井装飾材と車体との間、ダッシュボード内、ドアパネル装飾材と車体との間、或いはトランク装飾材と車体との間に配置して、車内における静寂性を保ち、快適なドライブを提供できるものである。
【0042】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
【実施例】
(実施例1)
ポリエステルとナイロンからなる16分割可能な分割繊維(繊度:2.2dtex、繊度が約0.14dtexのポリエステル極細繊維と繊度が約0.14dtexのナイロン極細繊維とに分割可能、繊維長:51mm、横断面形状:オレンジ状)をカード機を用いて開繊して繊維ウエブを形成した後、繊維ウエブに対して圧力15MPaの水流を噴出して、分割繊維をポリエステル極細繊維とナイロン極細繊維とに分割するとともに絡合して、目付が100g/m2で、厚さが0.6mmの水流絡合不織布を製造し、これを低通気性繊維シート(通気度:11.5cm3/cm2/sec.)とした。
【0044】
他方、ポリエステル繊維(繊度:6.6dtex、繊維長:51mm、横断面形状:円形)をカード機を用いて開繊して繊維ウエブを形成した後、針密度150本/cm2でニードルパンチ絡合を実施して、目付が300g/m2で、厚さが13.8mmのニードルパンチ不織布を製造し、これを高通気性繊維シート(通気度:160cm3/cm2/sec.)とした。
【0045】
次いで、前記低通気性繊維シートを30cm角の袋状に縫製した後、その中に28cm角の大きさに裁断した前記高通気性繊維シートを詰め込み、詰め込み口を縫製して、本発明の吸音材(全体の厚さ:15mm、低通気性繊維シートと高通気性繊維シートとは結合していない)を製造した。
【0046】
(実施例2)
ポリエステル繊維(繊度:1.65dtex、繊維長:51mm、横断面形状:円形)をカード機を用いて開繊して繊維ウエブを形成した後、繊維ウエブに対して圧力15MPaの水流を噴出して絡合し、目付が150g/m2で、厚さが0.6mmの水流絡合不織布を製造し、これを低通気性繊維シート(通気度:40.5cm3/cm2/sec.)とした。また、実施例1と同じ高通気性繊維シート(通気度:160cm3/cm2/sec.)を用意した。
【0047】
次いで、実施例1と全く同様にして、前記低通気性繊維シートからなる袋中に前記高通気性繊維シートを詰め込み、本発明の吸音材(全体の厚さ:15mm、低通気性繊維シートと高通気性繊維シートとは結合していない)を製造した。
【0048】
(比較例1)
ポリエステル繊維(繊度:6.6dtex、繊維長:51mm、横断面形状:円形)をカード機を用いて開繊して繊維ウエブを形成した後、針密度150本/cm2でニードルパンチ絡合を実施して、目付が500g/m2で、厚さが15mmのニードルパンチ不織布を製造し、これを比較用の吸音材(通気度:100cm3/cm2/sec.)とした。
【0049】
(比較例2)
比較例1と同じ吸音材(通気度:100cm3/cm2/sec.)、つまりニードルパンチ不織布を用意した。
【0050】
次いで、前記ニードルパンチ不織布の片面に、厚さ50μmのポリエステルフィルム(通気度:0cm3/cm2/sec.)を接着剤により貼り合わせて、比較用の吸音材(全体の厚さ:15mm)を製造した。
【0051】
(比較例3)
ポリエステル繊維(繊度:1.65dtex、繊維長:51mm、横断面形状:円形)をカード機を用いて開繊して繊維ウエブを形成した後、繊維ウエブに対して圧力15MPaの水流を噴出して絡合し、目付が100g/m2で、厚さが0.5mmの水流絡合不織布(通気度:61.5cm3/cm2/sec.)を製造した。また、実施例1の高通気性繊維シート(通気度:160cm3/cm2/sec.)と同じニードルパンチ不織布を用意した。
【0052】
次いで、実施例1と全く同様にして、前記水流絡合不織布からなる袋中に前記ニードルパンチ不織布を詰め込み、比較用の吸音材(全体の厚さ:15mm、水流絡合不織布とニードルパンチ不織布とは結合していない)を製造した。
【0053】
(吸音性能の測定)
各吸音材の周波数500、1000、2000、及び4000Hzにおける吸音率をJIS−A1405に準じて測定した。なお、比較例2においては、ポリエステルフィルム側からの吸音率を測定した。この結果は表1に示す通りであった。
【0054】
【表1】
#1:ニードルパンチ不織布のみ
#2:ニードルパンチ不織布とフィルムとの単なる積層
【0055】
この実施例1又は実施例2の吸音材と比較例1の吸音材との比較から、低通気性繊維シートと高通気性繊維シートとの組合せによって、吸音性能が優れていること、実施例1の吸音材と比較例2の吸音材との比較から、低通気性繊維シートの通気性が1cm3/cm2/sec.以上であることによって吸音性能に優れていること、実施例2の吸音材と比較例3の吸音材との比較から、低通気性繊維シートの通気性が50cm3/cm2/sec.以下であることによって吸音性能に優れていること、及び実施例1の吸音材と実施例2の吸音材との比較から、低通気性繊維シートの通気度が40cm3/cm2/sec.以下(特には20cm3/cm2/sec.以下)である方がより吸音性能に優れていることがわかった。
【0056】
【発明の効果】
本発明の吸音材は、どの方向からの音も十分に吸音できる、吸音性能の優れるものである。
Claims (11)
- 通気度が1〜50cm3/cm2/sec.の低通気性繊維シートにより囲まれた空間内に、前記低通気性繊維シートよりも通気性の高い高通気性繊維シートが存在していることを特徴とする吸音材。
- 低通気性繊維シートと高通気性繊維シートとは結合していないことを特徴とする、請求項1記載の吸音材。
- 高通気性繊維シートを構成する繊維同士は、単に絡んだ状態にあることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の吸音材。
- 高通気性繊維シートが、開繊ウエブ又はニードルパンチ不織布からなることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の吸音材。
- 通気度が1〜50cm3/cm2/sec.の低通気性繊維シートにより囲まれた空間内に、繊維及び/又は粉体からなる充填材が充填されていることを特徴とする吸音材。
- 低通気性繊維シートと充填材とは結合していないことを特徴とする、請求項5記載の吸音材。
- 充填材を構成する繊維同士、粉体同士、或いは繊維と粉体とは、融着も接着剤による接着もしていないことを特徴とする、請求項5又は請求項6記載の吸音材。
- 低通気性繊維シートは、繊度が0.01〜3dtexの繊維から構成されていることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の吸音材。
- 低通気性繊維シートが流体流絡合不織布からなることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の吸音材。
- 低通気性繊維シートは、分割繊維から発生した繊度が0.5dtex以下の極細繊維を含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の吸音材。
- 自動車用に用いることを特徴とする、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の吸音材。
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